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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0417 20170101AFI20250324BHJP
【FI】
H04B7/0417
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024521404
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2022020424
(87)【国際公開番号】W WO2023223396
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2024-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】岩山 直文
(72)【発明者】
【氏名】下田 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 満
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 史樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 真也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 暢彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正幸
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/220910(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0022089(US,A1)
【文献】OPPO,On sub use cases and other aspects of AI/ML for CSI feedback enhancement,3GPP TSG RAN WG1 109-e R1-2204016, Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_109-e/Docs/R1-2204016.zip>,2022年04月29日
【文献】ZTE,Discussion on other use cases for AI/ML[online],3GPP TSG RAN WG1 #109-e R1-2203254,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_109-e/Docs/R1-2203254.zip>,2022年04月29日
【文献】OPPO,Discussion on UE-Network Coordinated AI/ML service,3GPP SA WG1 #97-e S1-220038,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG1_Serv/TSGS1_97e_EM_Feb2022/Docs/S1-220038.zip>,2022年02月04日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02- 7/12
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置、SL(Side Link)通信により、前記第1の端末装置と通信を行う第2の端末装置、及び、前記SL通信により、前記第2の端末装置と通信を行う基地局、を備える無線通信システムであって、
前記第1の端末装置は、前記SL通信のチャネル状態を報告するための情報である学習用のSL-CSI(Channel State Information)レポートを送信し、
前記基地局は、前記第1の端末装置により送信された前記学習用のSL-CSIレポートを受信し、
前記基地局は、前記学習用のSL-CSIレポートを用いて、前記SL通信のチャネル状態を報告するための情報であるSL-CSIレポート用の符号化モデル及び復号化モデルを学習し、
前記第1の端末装置は、前記符号化モデルを用いて符号化したSL-CSIレポートである符号化SL-CSIレポートを、前記第2の端末装置に送信し、
前記第2の端末装置は、前記符号化SL-CSIレポートを、前記復号化モデルを用いて復号化すること
を特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、SL(Side Link)通信(PC5通信とも称する)を用いた様々なサービス又はアプリケーションに対する規格を行っている。
【0003】
例えば、SL通信において、適応変調又はMIMO(Multipl-Input Multiple-Output)伝送におけるランクアダプテーション(送信レイヤ数の適応制御)を可能とするために端末装置、基地局間通信で利用されている適応送信技術同様に、データ送信をする端末装置がSL-CSI(Channel State Information)-RS(Reference Signal)を送信し、データ受信をする端末装置がそのSL-CSI-RSを受信してチャネル状態を解析し、その解析結果を、SL-CSIレポートとしてそのデータ送信の端末装置に向けて送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPPTS38.473 V16.6.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通信システムでは、SL-CSIレポートのビットデータが無線リソースを占有してしまい、ユーザデータとして利用可能な無線リソースを逼迫する、という問題が生じる。
【0006】
本開示の一又は複数の態様は、上記課題に鑑み、SL通信におけるデータの符号化及び復号化にAI(Artificial Intelligence)を適用可能にして通信システムの効率化を実現することを、目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る無線通信システムは、第1の端末装置、SL(Side Link)通信により、前記第1の端末装置と通信を行う第2の端末装置、及び、前記SL通信により、前記第2の端末装置と通信を行う基地局、を備える無線通信システムであって、前記第1の端末装置は、前記SL通信のチャネル状態を報告するための情報である学習用のSL-CSI(Channel State Information)レポートを送信し、前記基地局は、前記第1の端末装置により送信された前記学習用のSL-CSIレポートを受信し、前記基地局は、前記学習用のSL-CSIレポートを用いて、前記SL通信のチャネル状態を報告するための情報であるSL-CSIレポート用の符号化モデル及び復号化モデルを学習し、前記第1の端末装置は、前記符号化モデルを用いて符号化したSL-CSIレポートである符号化SL-CSIレポートを、前記第2の端末装置に送信し、前記第2の端末装置は、前記符号化SL-CSIレポートを、前記復号化モデルを用いて復号化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一又は複数の態様によれば、SL通信におけるデータの符号化及び復号化にAIを適用可能にして通信システムの効率化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1~4に係る通信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】実施の形態1~4におけるUEの構成を概略的に示すブロック図である。
図3】(A)及び(B)は、ハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1~4における基地局の構成を概略的に示すブロック図である。
図5】上位装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図6】実施の形態1において、UEが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UEが推論を行う際の構成例を示す。
図7】実施の形態1において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
図8】符号化モデル及び復号化モデルの学習において用いられるニューラルネットワークの一例を示す概略図である。
図9】実施の形態2において、基地局が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UEが推論を行う際の構成例を示す。
図10】実施の形態2において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
図11】実施の形態3において、基地局が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UEが推論を行う際の構成例を示す。
図12】実施の形態3において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
図13】実施の形態4において、U2Nリレーが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UEが推論を行う際の構成例を示す。
図14】実施の形態4において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る通信システム100の構成を概略的に示すブロック図である。
通信システム100は、端末装置としてのUE(User Equipment)110と、基地局装置としての基地局130と、上位装置160とを備える。ここでのUE110は、移動端末装置であるが、このような例に限定されない。
【0011】
UE110は、基地局130と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。また、UE110は、SL通信により、UE110間での通信を行うこともでき、リレー(relay)を介した通信も行うことができる。
【0012】
基地局130は、無線アクセスネットワークを構成する。
ここでは、無線アクセスネットワークが、第5世代(以下、「5G」ともいう)無線アクセスシステムであるものとして説明するが、このような例に限定されるものではない。
【0013】
無線アクセスネットワークが、3GPPにおいて議論されている5G方式である場合、無線アクセスネットワークは、NG-RAN(Next Generation Radio Access Network)と称される。この場合、基地局130は、gNB(NG-RAN NodeB)と称される。コアネットワークは、5Gコア(5G Core)と称される。なお、無線アクセスネットワークが、3GPPにおいて議論されているLTE方式である場合、無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)と称される。この場合、基地局130は、eNB(E-UTRAN NodeB)と称される。
【0014】
図2は、UE110の構成を概略的に示すブロック図である。
UE110は、端末側通信部111と、アプリケーション部(以下、AP部という)120と、プロトコル処理部121と、制御部122と、記憶部123とを備える。
【0015】
まず、UE110の送信処理を説明する。
プロトコル処理部121からの制御データ又はAP部120からのユーザデータは、端末側通信部111に与えられる。
【0016】
端末側通信部111は、データを、無線で通信するための送信信号に変換し、その送信信号を、一又は複数のアンテナで、宛先へ送信する。
【0017】
次に、UE110の受信処理を説明する。
端末側通信部111は、一又は複数のアンテナで、送信元からの無線信号を受信信号として受信し、その受診信号から制御データ又はユーザデータを生成する。そして、端末側通信部111は、制御データをプロトコル処理部121へ送り、ユーザデータをAP部120へ送る。
【0018】
以上のような、UE110での一連の処理は、制御部122によって制御される。図示されていないが、制御部122は、端末側通信部111、AP部120及びプロトコル処理部121に接続されている。
なお、UE110が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
ここで、実施の形態1におけるAP部120は、学習機能を実行する学習部又は推論機能を実行する推論部として機能する。ここでの処理については、後述する。
【0020】
記憶部123は、UE110での処理に必要なプログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部123は、後述する符号化モデル及び復号化モデルの少なくとも何れか一方を記憶する。
【0021】
以上に記載されたAP部120、プロトコル処理部121及び制御部122の一部又は全部は、例えば、図3(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0022】
また、AP部120、プロトコル処理部121及び制御部122の一部又は全部は、例えば、図3(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路12で構成することもできる。
以上のように、AP部120、プロトコル処理部121及び制御部122は、処理回路網により実現することができる。
【0023】
なお、端末側通信部111は、無線通信用のインタフェースである無線通信インタフェースにより実現することができる。
記憶部123は、不揮発性メモリ、又は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Sorid State Drive)等の記憶装置により実現することができる。
【0024】
図4は、基地局130の構成を概略的に示すブロック図である。
基地局130は、局側通信部131と、通信処理部140と、プロトコル処理部144と、制御部145と、記憶部146とを備える。
通信処理部140は、上位装置160等の5GCとの間のデータの送受信を行う5GC通信部141と、MME(Mobility Management Entity)等のEPC(Evolved Packet Core)との間のデータの送受信を行うEPC通信部142と、他の基地局との間のデータの送受信を行う他基地局通信部143とを備える。なお、5GC通信部141、EPC通信部142及び他基地局通信部143は、それぞれプロトコル処理部144と情報の受け渡しを行う。
【0025】
まず、基地局130の送信処理を説明する。
プロトコル処理部144からの制御データ、又は、5GC通信部141、EPC通信部142若しくは他基地局通信部143からのユーザデータ若しくは制御データは、局側通信部131に与えられる。
【0026】
局側通信部131は、データを、無線で通信するための送信信号に変換し、その送信信号を、一又は複数のアンテナで、宛先へ送信する。
【0027】
次に、基地局130の受信処理を説明する。
局側通信部131は、一又は複数のアンテナで、送信元からの無線信号を受信信号として受信し、その受診信号から制御データ又はユーザデータを生成する。そして、局側通信部131は、制御データをプロトコル処理部144、5GC通信部141、EPC通信部142又は他基地局通信部143へ送り、ユーザデータを5GC通信部141、EPC通信部142又は他基地局通信部143へ送る。
【0028】
以上のような、基地局130での一連の処理は、制御部145によって制御される。図示されていないが、制御部145は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144に接続されている。
なお、基地局130が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、UE110のアンテナ数と、基地局130のアンテナ数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0029】
記憶部146は、基地局130での処理に必要なプログラム及びデータを記憶する。
【0030】
以上に記載された通信処理部140、プロトコル処理部144及び制御部145の一部又は全部は、例えば、図3(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0031】
また、通信処理部140、プロトコル処理部144及び制御部145の一部又は全部は、例えば、図3(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC又はFPGA等の処理回路12で構成することもできる。
以上のように、通信処理部140、プロトコル処理部144及び制御部145は、処理回路網により実現することができる。
【0032】
なお、局側通信部131は、無線通信用のインタフェースである無線通信インタフェースにより実現することができる。
記憶部126は、不揮発性メモリ、又は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Sorid State Drive)等の記憶装置により実現することができる。
【0033】
図5は、上位装置160の構成を概略的に示すブロック図である。
本実施の形態では、無線アクセスネットワークとして5G方式が利用されているため、上位装置160は、5GC(5G Core)部とも称される。
【0034】
図5は、図1に示されている上位装置160に、AMF(Access and Mobility Management Function)の構成、SMF(Session Management Function)の構成及びUPF(User Plane Function)の構成が含まれた場合について示している。
上位装置160は、Data Network通信部161と、基地局通信部162と、ユーザプレイン通信部163と、セッション管理部164と、制御プレイン制御部165と、制御部169とを備える。
【0035】
Data Network通信部161は、上位装置160と、Data Networkとの間のデータの送受信を行う。
基地局通信部162は、上位装置160と、基地局130との間のNGインタフェースによるデータの送受信を行う。
Data Networkから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、Data Network通信部161から、ユーザプレイン通信部163経由で基地局通信部162に送られ、基地局通信部162から基地局130に送られる。
受信された基地局130からのデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部162から、ユーザプレイン通信部163経由で、Data Network通信部161に送られ、Data Network通信部161からData Networkへ送信される。
【0036】
Data Networkから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、Data Network通信部161からユーザプレイン通信部163経由でセッション管理部164へ送られる。
セッション管理部164は、制御データを制御プレイン制御部165へ送る。
受信された基地局130からのデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部162から制御プレイン制御部165に送られる。制御プレイン制御部165は、その制御データをセッション管理部164へ送る。
【0037】
制御プレイン制御部165は、制御プレイン(以下、C-Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。
制御プレイン制御部165は、NAS(Non-Access Stratum)セキュリティ部166と、PDUセッションコントロール部167と、アイドルステートモビリティ管理部168とを含む。
【0038】
NASセキュリティ部166は、NASメッセージのセキュリティ等を行う。
PDUセッションコントロール部167は、UE110と、上位装置160との間のPDUセッションの管理等を行う。
アイドルステートモビリティ管理部168は、待受け状態のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成及び制御、傘下の一又は複数のUE110のトラッキングエリアの追加、削除、更新及び検索、並びに、トラッキングエリアリスト管理等を行う。なお、待ち受け状態は、アイドルステート、RRC_IDLE状態、又は、単にアイドルとも称される。
【0039】
上位装置160の一連の処理は、制御部169によって制御される。図示されていないが、制御部169は、Data Network通信部161、基地局通信部162、ユーザプレイン通信部163、セッション管理部164及び制御プレイン制御部165と接続されている。
【0040】
Data Network通信部161、基地局通信部162、ユーザプレイン通信部163、セッション管理部164、制御プレイン制御部165及び制御部169の一部又は全部は、例えば、図3(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0041】
また、Data Network通信部161、基地局通信部162、ユーザプレイン通信部163、セッション管理部164、制御プレイン制御部165及び制御部169の一部又は全部は、例えば、図3(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC又はFPGA等の処理回路12で構成することもできる。
以上のように、Data Network通信部161、基地局通信部162、ユーザプレイン通信部163、セッション管理部164、制御プレイン制御部165及び制御部169は、処理回路網により実現することができる。
【0042】
実施の形態1では、SL通信において、適応送信技術を適用してもよい。この時、データ送信側が、各送信アンテナと、各受信アンテナとの間のチャネル状態を把握するために、SL-CSI-RS及びSL-CSIレポートが使用されてもよい。この場合、データ送信側のUE110から送信されたSL-CSI-RSを、データ受信をするUE110が受信してチャネル状態を解析し、その解析結果をSL-CSIレポートとしてデータ送信側の端末装置に向けて送信する。
【0043】
また、SL-CSIは、学習装置を用いて符号化モデルおよび復号化モデルを生成し、適用することでビットデータ量を削減することができる。
【0044】
実施の形態1では、データ受信するUE110が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う。以下、その構成について説明する。
【0045】
図6は、実施の形態1において、UE110が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UE110が推論を行う際の構成例を示す。
【0046】
実施の形態1では、第2のUE110Bが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、第1のUE110A及び第2のUE110Bが学習されたモデルを使用して通信を行う。
【0047】
図6では、第1のUE110AがSL-CSIを送信するデータ受信側端末装置であり、第2のUE110BがSL-CSIを受信するデータ送信側端末装置である。
【0048】
図7は、実施の形態1において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
まず、第1のUE110Aの制御部122と、第2のUE110Bとの制御部122とは、それぞれのプロトコル処理部121及び端末側通信部111とを介して、PC5インタフェースにてSL通信を確立する(S10)。これにより、第1のUE110Aと、第2のUE110Bとは、通信可能な状態となる。
【0049】
次に、基地局130の制御部145は、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、初期状態の符号化モデルである初期符号化モデル及び初期状態である復号化モデルである初期復号化モデルを、接続されている各UE110に向けて送信する(S11)。ここでは、データ送信を行う第2のUE110Bが、それらを受信する。具体的には、第2のUE110Bの制御部122は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを取得して、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0050】
ここで、符号化モデルデータ及び復号化モデルデータのそれぞれは、例えば下記の(1)~(11)の情報から構成される。
(1)入力値の種別、(2)入力層のノードの数、(3)隠れ層の深さ、(4)隠れ層のノードの数、(5)隠れ層の各ノードに適用する関数、(6)出力層のノードの数、(7)出力層の各ノードに適用する関数、(8)枝の重みづけ係数、(9)枝が結合するノードに関する情報、(10)学習装置のデフォルトの動作モードに関する情報、及び、(11)モデルのバイナリ情報。
【0051】
「入力値の種別」は、例えば、SL-CSIレポートであることを示す情報であってもよい。この情報に、入力するSL-CSIレポートの詳細、例えば、測定対象のSL-CSI-RSのリソースに関する情報が含まれてもよい。測定対象のSL-CSI-RSのリソースは、例えば、時間、周波数又はアンテナポート等である。UE110は、その情報を用いて、SL-CSIレポートの符号化処理を行ってもよい。このことにより、例えば、UE110間の認識齟齬による誤動作を回避可能となる。
【0052】
また、「入力値の種別」に、測定対象のSL-CSI-RSの種別に関する情報が含まれてもよい。この情報は、例えば、ZP(Zero-Power)-CSI-RSであってもよいし、NZP(Non-Zero-Power)-CSI-RSであってもよいし、CSI-IM(Channel State Information-Interference Measurement)であってもよい。このことにより、例えば、チャネル測定の柔軟性を向上可能となる。
【0053】
なお、ZP-CSI-RS及びNZP-CSI-RSについては、3GPP TS38.211に規定されている。CSI-IMについては、3GPP TS38.214に規定されている。
【0054】
さらに、「入力値の種別」は、他の入力値に関する情報であってもよい。例えば、「入力値の種別」は、測位信号受信結果に関する情報であってもよい。このことにより、例えば、他の入力値についても符号化又は復号化が可能となり、その結果、通信システムにおける効率を向上可能となる。
【0055】
「入力層のノードの数」は、例えば、入力層のノード数そのものであってもよいし、入力層のノード数を表す識別子であってもよい。入力層のノード数と、該識別子との間の対応付けは、予め規格で決められてもよいし、基地局130が決定してUE110に通知してもよいし、例えばAMFを有するコアNW(NetWork)装置(図示せず)が決定して、基地局130及びUE110の少なくとも何れか一方に通知してもよい。UE110は、その情報を用いて、符号化モデルの入力層を構成してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0056】
「隠れ層の深さ」は、符号化部(図示せず)における隠れ層の深さに関する情報であってもよい。UE110は、この情報を用いて、符号化モデルを構築してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0057】
「隠れ層のノードの数」には、各隠れ層におけるノードの数に関する情報が含まれてもよい。ノード数そのものの情報の代わりに、ノード数を表す識別子が用いられてもよい。隠れ層のノード数と、その識別子との間の対応付けは、予め規格で決められてもよいし、基地局130が決定してUE110に通知してもよいし、例えばAMFを有するコアNW装置(図示せず)が決定して、基地局130及びUE110の少なくとも何れか一方に通知してもよい。UE110は、この情報を用いて、符号化モデルの隠れ層を構成してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0058】
「隠れ層の各ノードに適用する関数」には、各隠れ層の入力値に適用される関数に関する情報が含まれてもよい。その関数は、例えば、シグモイド関数であってもよいし、双曲線正接関数であってもよい。他の例として、その関数は、線形関数であってもよいし、関数が適用されない、言い換えると、隠れ層への入力値と出力値は等しいとしてもよい。UE110は、その情報を用いて、符号化モデルの隠れ層を構成してもよい。「隠れ層の各ノードに適用する関数」の情報により、例えば、符号化モデル及び復号化モデルの少なくとも何れか一方の柔軟性を向上可能となる。
【0059】
また、「隠れ層の各ノードに適用する関数」に、各隠れ層の入力値に加えられるオフセットに関する情報が含まれてもよい。そのオフセットは、例えば、各隠れ層に入力される重みづけ係数と前段の層の値との積を、枝毎に加算したものに加えられる値であってもよい。この情報により、例えば、符号化モデル及び復号化モデルの少なくとも何れか一方の柔軟性を向上可能となる。
【0060】
なお、「隠れ層の各ノードに適用する関数」に関する情報は、ノード毎に与えられてもよい。このことにより、例えば、符号化モデル及び復号化モデルの少なくとも何れか一方の柔軟性を向上可能となる。他の例として、その情報は、隠れ層毎に与えられてもよい。言い換えると、その情報は、同じ層のノード間で共通としてもよい。このことにより、例えば、その情報のシグナリング量を削減可能となる。他の例として、その情報は、ノード間で共通としてもよい。このことにより、例えば、その情報のシグナリング量をさらに削減可能となる。
【0061】
「出力層のノードの数」には、出力層におけるノードの数に関する情報が含まれてもよい。ノード数そのものの情報の代わりに、ノード数を表す識別子が用いられてもよい。出力層のノード数と、その識別子との間の対応付けは、予め規格で決められてもよいし、基地局130が決定してUE110に通知してもよいし、例えばAMFを有するコアNW装置(図示せず)が決定して基地局130及びUE110の少なくとも何れか一方に通知してもよい。UE110は、その情報を用いて、符号化モデルの出力層を構成してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0062】
「出力層の各ノードに適用する関数」は、「隠れ層の各ノードに適用する関数」と同様の情報であってもよい。このことにより、前述の「隠れ層の各ノードに適用する関数」と同様の効果が得られる。
【0063】
「出力層の各ノードに適用する関数」に関する情報は、ノード毎に与えられてもよい。このことにより、例えば、符号化モデル及び復号化モデルの少なくとも何れか一方の柔軟性を向上可能となる。他の例として、その情報は、ノード間で共通としてもよい。このことにより、例えば、その情報のシグナリング量を削減可能となる。
【0064】
「枝の重みづけ係数」の情報は、枝毎に与えられてもよい。UE110は、その情報を用いて、ノード間の枝を構成してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0065】
「枝が結合するノードに関する情報」は、枝の両端のノードに関する情報が含まれてもよい。ノードに関するその情報は、例えば、ノード全体の識別子を用いて与えられてもよいし、層を識別する情報と層の中におけるノードを識別する情報の組合せを用いて与えられてもよい。UE110は、その情報を用いて、ノード間の枝を構成してもよい。このことにより、例えば、UE110において符号化モデルを構築可能となる。
【0066】
また、「枝が結合するノードに関する情報」に関し、枝の両端が、1つ又はそれ以上の層をまたがってもよい。他の例として、枝の両端が、同じ層のノードであってもよいし、同じノードに接続されてもよい。このことにより、例えば、符号化モデルの柔軟性を向上可能となる。
【0067】
「学習装置のデフォルトの動作モードに関する情報」は、その通知後におけるUE110の符号化部(図示せず)の動作状況に関する情報が含まれてもよい。その情報は、例えば、符号化を行うことを示す情報であってもよいし、符号化を行なわないことを示す情報であってもよい。UE110は、その情報を用いて、符号化を行う、あるいは行わない、としてもよい。このことにより、例えば、UE110間における学習装置の動作モードの齟齬を防止可能となり、その結果、通信システム100における誤動作を防止可能となる。
【0068】
「モデルのバイナリ情報」は、例えば、基地局130と、UE110とが同じプラットフォームを用いる場合に通知されてもよい。UE110は、その情報を用いて、符号化モデルを構成してもよい。このことにより、例えば、UE110間のシグナリング量を削減可能となる。
【0069】
初期符号化モデル及び初期復号化モデルは、その基地局130特有のものであってもよく、全基地局130で共通であってもよい。または、端末毎に固有の初期符号化モデル及び初期複合化モデルが割り当てられてもよい。
また、ここでは、初期符号化モデル及び初期復号化モデルは、基地局130の記憶部146に記憶されているものとする。
【0070】
次に、第2のUE110Bの制御部122は、学習を行い符号化モデル及び復号化モデルを、第1のUE110AからのSL-CSIフィードバックに適用することを決定する。または、ステップS11にて基地局が決定して第2のUE100Bに指示してもよい。そして、その制御部122は、ステップS11で基地局130から受信した初期符号化モデルを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE110Aに転送する(S12)。第1のUE110Aの制御部122は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介してその初期符号化モデルを受け取り、記憶部123に記憶させる。
【0071】
次に、第2のUE110Bの制御部122は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE110Aに対して受信した符号化モデルを適用するよう指示する(S13)。
【0072】
第1のUE110Aの制御部122は、その指示を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その指示に従って、記憶部123に記憶されている符号化モデルを適用する(S14)。
また、第2のUE110Bでも、制御部122が、記憶部123に記憶されている復号化モデルを適用する(S15)。
【0073】
次に、学習のために、第2のUE110Bの制御部122は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI-RSを送信して、第1のUE110Aに対してトレーニング用のSL-CSIレポートの送信を要求する(S16)。この時、その制御部122は、トレーニング用SL-CSIレポートの送信回数N(Nは1以上の整数)を、その要求において指定してもよい。
【0074】
第1のUE110Aの制御部122は、その要求を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取る。そして、その制御部122は、その要求に応じて、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、トレーニング用のSL-CSIレポートを送信する(S17)。
【0075】
そのSL-CSIレポートを受信した第2のUE110Bでは、制御部122が、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、SL-CSIレポートを受け取り、符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う(S18)。
【0076】
例えば、第2のUE110Bの制御部122は、公知のニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と、その結果を示すラベルとのデータの組を学習用データとして学習装置に与えることで、学習装置が、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。ここでは、制御部122が学習装置として機能する。符号化モデル及び復号化モデルの学習にあっては、結果のデータとして入力データそのものが用いられてもよい。
【0077】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層、及び、複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、一層、又は、二層以上でもよく、隠れ層とも称される。他の例として、中間層が存在しなくてもよい。このことにより、例えば、通信システム100における処理量を削減可能となる。
【0078】
図8は、符号化モデル及び復号化モデルの学習において用いられるニューラルネットワークの一例を示す概略図である。
図8に示されている例において、ニューラルネットワークは、符号化モデルM1と、復号化モデルM2とから構成されている。
【0079】
図8に示されているように、複数の入力値、例えば、異なる周波数帯域におけるSL-CSIレポートが入力層X1~X4に入力されると、その値に重みW1としての値w11~w43を掛けて、中間層Y1~Y3に入力され、その結果にさらに重みV1としての値v11~v32を掛けて、中間層Z1~Z2に入力される。この結果は、重みW1および重みV1の値によって変わる。
【0080】
さらに、中間層Z1~Z2の値に、重みV’1としての値v’11~v’23を掛けて、中間層Y’1~Y’3に入力され、その結果にさらに重みW’1としての値w’11~w’34を掛けて、出力層X’1~X’4に入力される。この出力結果は、重みW1、重みV1、重みV’1及び重みW’1の値によって変わる。
【0081】
中間層Y1~Y3、中間層Z1~Z2、中間層Y’1~Y’3及び出力層X’1~X’4に入力された値に、予め定められた関数による演算が行われる。中間層におけるその演算結果に、重みV1、重みV’1又は重みW’1が掛けられる。予め定められた関数には、例えば、シグモイド関数が用いられる場合があるし、双曲線正接関数(Hyperbolic Tangent Function)が用いられる場合があり、また、他の関数が用いられる場合がある。
【0082】
実施の形態1においては、ニューラルネットワークは、第1のUE110Aから送信されるSL-CSIレポートに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。
【0083】
ここでは、出力層X’1~X’4の値が、入力層X1~X4と同じとなるように、符号化モデル及び復号化モデル、例えば、重みW1、重みV1、重みV’1及び重みW’1が学習される。
なお、そのSL-CSIレポートを入力とし、そのSL-CSIレポートを符号化したデータを結果のラベルとすることで、符号化モデルの学習データとすることもできる。また、そのSL-CSIレポートを符号化したデータを入力とし、そのSL-CSIレポートを結果のラベルとすることで、復号化モデルの学習データとすることもできる。
【0084】
図7に戻り、第2のUE110Bの制御部122は、ステップS17及びS18の処理を繰り返し、SL-CSIレポートの送信回数が予め設定された送信回数Nに達した場合、又は、学習に必要なデータが得られたと判断した場合には、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE110Aへトレーニングデータの送信停止を指示する(S19)。これにより、その制御部122は、学習を終了する。
【0085】
そして、第2のUE110Bの制御部122は、学習で得られた学習済みモデルから、アップデートされた符号化モデル及び復号化モデルを生成し、生成された復号化モデルを自身の推論装置に適用する(S20)。ここでは、第2のUE110Bの制御部122が推論装置として機能する。
なお、学習後の復号化モデルは、初期モデルにおける前記の(1)~(11)の情報から、要素の数値又は構成情報の組合せ自体を変えたモデルとなっていてもよい。
【0086】
次に、第2のUE110Bの制御部122は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SLデータ通信を用いて第2のUE110Bで生成された学習結果の符号化モデルを第1のUE110Aへ送信する(S21)。第1のUE110Aの制御部122は、このような符号化モデルを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取る。そして、第1のUE110Aの制御部122は、その符号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0087】
さらに、第2のUE110Bの制御部122は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE110Aに、ステップS21で送信した符号化モデルを適用することを指示する(S22)。
【0088】
第1のUE110Aの制御部122は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、記憶部123に記憶されている学習済の符号化モデルを適用する(S23)。
【0089】
そして、第1のUE110Aの制御部122は、学習後の符号化モデルでSL-CSIレポートを符号化して、符号化されたSL-CSIレポートを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第2のUE110Bへ送信する(S24)。
【0090】
また、第2のUE110Bの制御部122は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、符号化されたSL-CSIレポートを受け取り、復号化を行う。そして、その制御部122は、得られたSL-CSI信号を解析して実際のPHY制御に用いる(S25)。
【0091】
なお、第2のUE110Bの制御部122は、ステップS24において受信された、符号化されたSL-CSIレポートを解析して、再学習を行い符号化モデル及び復号化モデルを継続的に更新して、適時、適用してもよい。
【0092】
ここで、再学習を実施する際には、第2のUE110Bの制御部122は、現状の符号化モデル及び復号化モデル、言い換えると、学習後の符号化モデル及び復号化モデルを利用して再学習を行ってもよく、初期モデルを用いて、再学習を行ってもよく、さらに、符号化モデル及び復号化モデルを一から学習して生成してもよい。
【0093】
なお、第2のUE110Bの制御部122は、解析の結果、学習後の符号化モデル及び復号化モデルを用いることでエラーが増大した場合は、ステップS13での符号化モデルの適用を指示する信号を拡張し、符号化モデルを用いないという指示を第1のUE110Aに送り、符号化モデル及び復号化モデルを用いた処理を停止してもよい。エラーの指標として、例えば、ビットエラーレート、ブロックエラーレート、スループット、遅延時間、又は、再送回数が用いられてもよい。また、どの指標を用いるか、及び、閾値を基地局が第2のUE110Bに指示してもよい。
【0094】
以上のように、実施の形態1では、無線通信システムである通信システム100は、第1のUE110A、及び、SL通信により、第1のUE110Aと通信を行う第2のUE110Bを備える。第1のUE110Aは、SL通信のチャネル状態を報告するための情報であるチャネル状態情報用に学習された符号化モデルを用いて符号化したチャネル状態情報である符号化チャネル状態情報を、第2のUE110Bに送信する。第2のUE110Bは、その符号化チャネル状態情報を、チャネル状態情報用に学習された復号化モデルを用いて復号化する。ここで、その符号化モデル及び復号化モデルは、第1のUE110Aが送信した学習用のチャネル状態情報を用いて、第2のUE110Bにより学習される。これにより、実施の形態1では、チャネル状態情報であるSL-CSIレポートを符号化モデルによってデータ量を削減して送信することができ、そのようなデータを、復号化モデルを用いて復号することができる。
【0095】
なお、以上に記載された実施の形態1では、第2のUE110Bの制御部122が学習装置として機能しているが、実施の形態1は、このような例に限定されるものではない。例えば、第2のUE110Bのエンコーダ部113又はデコーダ部118が、学習装置として機能してもよい。実施の形態1において、学習装置として機能する部分を、学習部ともいい、学習済モデルを記憶する記憶部123を学習済モデル記憶部ともいう。
【0096】
また、実施の形態1では、第1のUE110Aの制御部122が、学習済モデルである符号化モデルを用いて、符号化を行っているが、実施の形態1はこのような例に限定されない。例えば、第1のUE110Aのエンコーダ部113が、符号化モデルを用いて、符号化を行ってもよい。実施の形態1において、推論装置として、符号化モデルを用いて符号化を行う部分をモデル符号化部ともいう。
【0097】
さらに、実施の形態1では、第2のUE110Bの制御部122が、学習済モデルである復号化モデルを用いて、復号化を行っているが、実施の形態1はこのような例に限定されない。例えば、第2のUE110Bのデコーダ部118が、復号化モデルを用いて、復号化を行ってもよい。実施の形態1において、推論装置として、復号化モデルを用いて復号化を行う部分をモデル復号化部ともいう。
【0098】
実施の形態2.
実施の形態1では、第2のUE110Bで符号化モデル及び復号化モデルの学習を行っているが、学習に係る計算処理負荷が大きくUE110では実行できない等の理由により、第2のUE110Bで学習機能がない又はできない場合が想定される。実施の形態2では、学習の実施をUEではなく、基地局が実施する例を説明する。
【0099】
図1に示されているように、実施の形態2に係る通信システム200は、UE210と、基地局230と、上位装置160とを備える。
実施の形態2に係る通信システム200の上位装置160は、実施の形態1に係る通信システム100の上位装置160と同様である。
【0100】
図2に示されているように、実施の形態2におけるUE210は、端末側通信部111と、AP部120と、プロトコル処理部121と、制御部222と、記憶部123とを備える。
実施の形態2におけるUE210の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123は、実施の形態1におけるUE110の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123と同様である。
【0101】
制御部222は、UE210で行われる一連の処理を制御する。
また、制御部222は、基地局230での学習に関する処理を行う。この処理については、後述する。
【0102】
図4に示されているように、実施の形態2における基地局230は、局側通信部131と、通信処理部140と、プロトコル処理部144と、制御部245と、記憶部146とを備える。
実施の形態2における基地局230の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146は、実施の形態1における基地局130の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146と同様である。
【0103】
制御部245は、基地局230での一連の処理を制御する。
また、制御部245は、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。この処理については、後述する。
【0104】
実施の形態2では、基地局230が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う。以下、その構成について説明する。
【0105】
図9は、実施の形態2において、基地局230が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UE210が推論を行う際の構成例を示す。
【0106】
実施の形態2では、基地局230が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、第1のUE210A及び第2のUE210Bが学習されたモデルを使用して通信を行う。
【0107】
ここでは、第1のUE210AがSL-CSIを送信するデータ受信側端末装置であり、第2のUE210BがSL-CSIを受信するデータ送信側端末装置である。第2のUE210Bは、基地局230に在圏して通信可能な状態とする。
【0108】
図10は、実施の形態2において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
【0109】
第2のUE210Bが基地局230の圏内に入りハンドオーバした場合、又は、第2のUE210Bが基地局230の圏内で起動した場合、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL通信のための登録及び許可を基地局230に求める。この時、第2のUE210Bの制御部222は、SL-SL-CSIの符号化及び復号化に関する学習を基地局230にて実施することを要求する(S30)。
【0110】
基地局230の制御部245は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、その要求を受け取り、その要求に対して、基地局230が学習機能を有する場合、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE210Bに許可する旨を応答する(S31)。
【0111】
第1のUE210Aの制御部222と、第2のUE210Bの制御部222とは、それぞれのプロトコル処理部121及び端末側通信部111とを介して、PC5インタフェースにてSL通信を確立する(S32)。これにより、第1のUE210Aと、第2のUE210Bとは、通信可能な状態となる。
【0112】
次に、第2のUE210Bから第1のUE210Aへデータ送信を開始する準備として、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI符号化及び復号化の初期モデルを取得するための要求を基地局230へ送信する(S33)。
【0113】
基地局230の制御部245は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、その要求を受け取り、基地局230において対応可能であれば、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、その旨を第2のUE210Bへ応答する(S34)。
【0114】
第2のUE210Bの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その応答を受け取り、エンコードを行わない状態で、SL-CSI-RSの送信を開始し、第1のUE210Aの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、受け取ったSL-CSI情報を解析して、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第2のUE210BへSL-CSIレポートを送信する(S35)。
【0115】
第2のUE210Bの制御部222は、局側通信部131及びプロトコル処理部144を介してSL-CSIレポートを受け取り、そのSL-CSIレポートをそのまま、プロトコル処理部144及び局側通信部131を介して、基地局230へ転送する(S36)。
【0116】
基地局230の制御部245は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、SL-CSIレポートを受け取り、そのSL-CSIレポートから、第2のUE210Bの各送信アンテナから第1のUE210Aの各受信アンテナへの電波伝搬状態を推測し、事前に用意した初期符号化モデル及び初期復号化モデルの中から、又は、他端末装置で適用している符号化モデル及び復号化モデルの中から、第2のUE210Bから第1のUE210Aへの伝送路として最適なものを、初期モデルとして決定する(S37)。
【0117】
例えば、実施の形態2では、記憶部146に符号化モデル及び復号化モデルの複数のペアが記憶されており、制御部245は、その中から、使用する初期符号化モデル及び初期復号化モデルを決定する。
具体的には、記憶部146には、中間ノードの数、中間ノードの段数、中間ノードに接続する枝の本数、及び、最終ノードの数が異なる符号化モデル及び復号化モデルの複数のペアが記憶されているものとする。
そして、制御部245は、取得されたSL-CSIレポートから受信電力の強度又はMIMOのアンテナ間分離能力を把握することができるため、その強度又はアンテナ間分離能力が高いほど、中間ノードの数、中間ノードの段数、中間ノードに接続する枝の本数、及び、最終ノードの数の少なくとも何れか一つが少なくなるように、使用する初期符号化モデル及び初期復号化モデルを決定すればよい。
【0118】
そして、基地局230の制御部245は、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、決定された初期符号化モデル及び初期復号化モデルを、第2のUE210Bへ送信する(S38)。第2のUE210Bの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを受け取り、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0119】
ここで、符号化モデルデータ及び復号化モデルデータのそれぞれは、例えば上記の(1)~(11)の情報から構成される。
【0120】
次に、第2のUE210Bの制御部222は、ステップS38で基地局230から受信した初期符号化モデルを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE210Aに転送する(S39)。第1のUE210Aの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、初期符号化モデルを受け取り、その初期符号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0121】
次に、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE210Aに対して受信した符号化モデルを適用するよう指示する(S40)。
【0122】
第1のUE210Aの制御部222は、その指示を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、記憶部123に記憶されている符号化モデルを適用する(S41)。
また、第2のUE210Bでも、制御部222が、記憶部123に記憶されている復号化モデルを適用する(S42)。
【0123】
次に、学習のために、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI-RSを送信して、第1のUE210Aに対してトレーニング用のSL-CSIレポートの送信を要求する(S43)。この時、その制御部222は、その要求でトレーニング用SL-CSIレポートの送信回数Nを指定してもよい。
【0124】
第1のUE210Aの制御部222は、その要求を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その要求に応じて、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、トレーニング用のSL-CSIレポートを送信する(S44)。
【0125】
第2のUE210Bの制御部222は、そのSL-CSIレポートを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、そのSL-CSIレポートを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、基地局230に転送する(S45)。
【0126】
次に、基地局230の制御部245は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、転送されたSL-CSIレポートを受け取り、符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う(S46)。
【0127】
基地局230の制御部245は、ステップS44、S45及びS46の処理を繰り返し、SL-CSIレポートの送信回数が予め設定された送信回数Nに達した場合、又は、学習に必要なデータが得られたと判断した場合には、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE210Bへトレーニングデータの送信停止を指示する(S47)。これにより、その制御部245は、学習を終了する。
【0128】
第2のUE210Bの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を、第1のUE210Aへ転送する(S48)。
【0129】
そして、基地局230の制御部245は、学習で得られた学習済みモデルから、アップデートされた符号化モデル及び復号化モデルを生成する(S49)。なお、学習後の復号化モデルは、初期モデルにおける前記の(1)~(11)の情報から、要素の数値又は構成情報の組合せ自体を変えたモデルとなっていてもよい。
【0130】
また、基地局230の制御部245は、生成された符号化モデル及び復号化モデルを、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE210Bへ送信する(S50)。
【0131】
第2のUE210Bの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、基地局230からの符号化モデル及び復号化モデルを受け取り、その復号化モデルを記憶部123に記憶させ、その復号化モデルを適用する(S51)。ここでは、第2のUE210Bの制御部222が推論装置として機能する。
【0132】
次に、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SLデータ通信を用いて、基地局230から受け取った学習結果の符号化モデルを第1のUE210Aへ送信する(S52)。第1のUE210Aの制御部222は、その符号化モデルを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その符号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0133】
さらに、第2のUE210Bの制御部222は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE210Aに、ステップS52で送信した符号化モデルを適用することを指示する(S53)。
【0134】
第1のUE210Aの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、記憶部123に記憶されている学習済の符号化モデルを適用する(S54)。
【0135】
そして、第1のUE210Aの制御部222は、学習後の符号化モデルでSL-CSIレポートを符号化して、第2のUE210Bへ送信を開始する(S55)。
【0136】
また、第2のUE210Bの制御部222は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その符号化されたSL-CSIレポートを受け取り、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、その符号化されたSL-CSIレポートを、基地局230に転送する(S56)とともに、その符号化されたSL-CSIレポートを復号化し、得られたSL-CSI信号を解析して実際のPHY制御に用いる(S57)。
【0137】
なお、基地局230の制御部245は、ステップS56において受信された、符号化されたSL-CSIレポートを解析して、再学習を行い符号化モデル及び復号化モデルを継続的に更新して、適時、適用してもよい。
ここで、再学習の判断及び要求は、第2のUE210Bが行ってもよく、基地局230が行ってもよい。または、第2のUE210B又は基地局230において、再学習の周期が予め決められていてもよい。
【0138】
また、再学習を実施する際に、現状の符号化モデル及び復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、初期符号化モデル及び初期復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、さらに、一から符号化モデル及び復号化モデルが学習されてもよい。モデルの更新又はモデルのリセットの選択は、第2のUE210Bが決定してもよく、基地局230が決定してもよい。
【0139】
また、基地局230の制御部245は、解析の結果、符号化モデル及び復号化モデルを用いることでエラーが増大した場合は、ステップS40で符号化モデルの適用を指示する信号を拡張し、符号化モデルを用いないという指示を基地局230が第2のUE210Bに送信し、さらに第2のUE210Bが第1のUE210Aへ同様の指示を転送することで、符号化モデル及び復号化モデルの使用を停止してもよい。エラーの指標として、例えば、ビットエラーレート、ブロックエラーレート、スループット、遅延時間、又は、再送回数が用いられてもよい。
【0140】
以上のように、実施の形態2では、通信システム200が、SL通信により、第2のUE210Bと通信を行う基地局230を備え、その基地局230が、第1のUE210Aが送信した学習用のチャネル状態情報を用いて、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。言い換えると、実施の形態2では、第2のUE210Bの代わりに基地局230において、符号化モデル及び復号化モデルを学習して、第2のUE210B及び第1のUE210Aに配布することができる。これにより、SL-CSIレポートのデータ量を削減することが可能となる。
なお、実施の形態2では、第1のUE210Aが送信した学習用のチャネル状態情報を、第2のUE210Bが受信して、その学習用のチャネル状態情報を、基地局230に転送する。
【0141】
実施の形態3.
実施の形態2において、第2のUE210Bは、第1のUE210Aから受信したSL-CSIレポートを学習のために、都度基地局230に転送する必要がある。例えば、平坦な過疎地域又は海上のような、伝送路の状態があまり変化しない場所においては、第1のUE210A及び第2のUE210Bともに基地局230の通信圏内にいると想定し、第1のUE210Aから送信されたSL-CSIレポートを基地局230が直接受信して学習を実施することで、転送に因る処理量増大又は処理時間増大を軽減することが可能である。
【0142】
図1に示されているように、実施の形態3に係る通信システム300は、UE310と、基地局330と、上位装置160とを備える。
実施の形態3に係る通信システム300の上位装置160は、実施の形態1に係る通信システム100の上位装置160と同様である。
【0143】
図2に示されているように、実施の形態3におけるUE310は、端末側通信部111と、AP部120と、プロトコル処理部121と、制御部322と、記憶部123とを備える。
実施の形態3におけるUE310の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123は、実施の形態1におけるUE110の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123と同様である。
【0144】
制御部322は、UE310で行われる一連の処理を制御する。
また、制御部322は、基地局330での学習に関する処理を行う。この処理については、後述する。
【0145】
図4に示されているように、実施の形態3における基地局330は、局側通信部131と、通信処理部140と、プロトコル処理部144と、制御部345と、記憶部146とを備える。
実施の形態3における基地局330の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146は、実施の形態1における基地局130の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146と同様である。
【0146】
制御部345は、基地局130での一連の処理を制御する。
また、制御部345は、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。この処理については、後述する。
【0147】
実施の形態3では、基地局330が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う。以下、その構成について説明する。
【0148】
図11は、実施の形態3において、基地局330が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UE310が推論を行う際の構成例を示す。
【0149】
実施の形態3では、基地局330が符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、第1のUE310A及び第2のUE310Bが学習されたモデルを使用して通信を行う。
【0150】
ここでは、第1のUE310AがSL-CSIを送信するデータ受信側端末装置であり、第2のUE310BがSL-CSIを受信するデータ送信側端末装置である。実施の形態3では、第1のUE310A及び第2のUE310Bの両方が、基地局330に在圏して通信可能な状態とする。
【0151】
図12は、実施の形態3において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
【0152】
第2のUE310Bが基地局330の圏内に入りハンドオーバした場合、又は、第2のUE310Bが基地局330の圏内で起動した場合、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL通信のための登録及び許可を基地局330に求める。この時、第2のUE310Bの制御部322は、SL-CSIの符号化及び復号化に関する学習を基地局330にて実施することを要求する(S60)。
【0153】
基地局330の制御部345は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、その要求を受け取り、その要求に対して、基地局330が学習機能を有する場合、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE310Bに許可する旨を応答する(S61)。この際、その制御部345は、SL-CSIを直接受信して学習を行う機能を有する旨の情報をその応答に含める。
【0154】
第1のUE310Aの制御部322と、第2のUE310Bの制御部322とは、それぞれのプロトコル処理部121及び端末側通信部111とを介して、PC5インタフェースにてSL通信を確立する(S62)。これにより、第1のUE310Aと、第2のUE310Bとは、通信可能な状態となる。
【0155】
次に、第2のUE310Bから第1のUE310Aへデータ送信を開始する準備として、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI符号化及び復号化の初期モデルを取得するための要求を基地局330へ送信する(S63)。ここで、その制御部322は、第1のUE310AがSL-CSIレポートを送信することを示す情報をその要求に含める。
【0156】
基地局330の制御部345は、局側通信部131及びプロトコル処理部144を介して、その要求を受け取り、基地局330において対応可能であれば、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、その旨を第2のUE310Bへ応答する(S64)。ここで、基地局330は、第1のUE310Aが在圏であり、通信可能である場合、第1のUE310AからのSL-CSIを直接受信する。その場合、その制御部345は、第1のUE310AからSL-CSIレポートを直接受信するモードである直接受信モードを指示する情報をその応答に付加する。
【0157】
第2のUE310Bの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その応答を受け取り、エンコードを行わない状態で、SL-CSI-RSの送信を開始し、第1のUE310Aの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、受け取ったSL-CSI情報を解析して、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSIレポートを送信する(S65)。
【0158】
第2のUE310Bの制御部322は、局側通信部131及びプロトコル処理部144を介して、第1のUE310Aから送信されたSL-CSIレポートを受信するが、直節受信モードが指示されている場合には、SL-CSIレポートの基地局330への転送を行わない。
【0159】
一方、基地局330の制御部345は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、第1のUE310AからのSL-CSIレポートを受け取り、そのSL-CSIレポートから、第2のUE210Bの各送信アンテナから第1のUE210Aの各受信アンテナへの電波伝搬状態を推測し、事前に用意した初期符号化モデル及び初期復号化モデルの中から、又は、他端末装置で適用している符号化モデル及び復号化モデルの中から、第2のUE310Bから第1のUE310Aへの伝送路として最適なものを、初期モデルとして決定する(S66)。
【0160】
そして、基地局330の制御部345は、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、決定された初期符号化モデル及び初期復号化モデルを、第2のUE310Bへ送信する(S67)。第2のUE310Bの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを受け取り、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0161】
ここで、符号化モデルデータ及び復号化モデルデータのそれぞれは、例えば上記の(1)~(11)の情報から構成される。
【0162】
次に、第2のUE310Bの制御部322は、ステップS67で基地局330から受信した初期符号化モデルを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE310Aに転送する(S68)。第1のUE310Aの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介してその初期符号化モデルを受け取り、記憶部123に記憶させる。
【0163】
次に、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE310Aに対して受信した符号化モデルを適用するよう指示する(S69)。
【0164】
第1のUE310Aの制御部322は、その指示を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、記憶部123に記憶されている符号化モデルを適用する(S70)。
また、第2のUE310Bでも、制御部322が、記憶部123に記憶されている復号化モデルを適用する(S71)。
【0165】
次に、学習のために、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI-RSを送信して、第1のUE310Aに対してトレーニング用のSL-CSIレポートの送信を要求する(S72)。この時、その制御部322は、その要求でトレーニング用SL-CSIレポートの送信回数Nを指定してもよい。
【0166】
第1のUE310Aの制御部322は、その要求を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その要求に応じて、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、トレーニング用のSL-CSIレポートを送信する(S73)。
【0167】
第2のUE310Bの制御部322は、そのSL-CSIレポートを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取るが、直接受信モードである場合には、そのSL-CSIレポートの基地局330への転送を行わない。
【0168】
一方、基地局330の制御部345は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、第1のUE310Aから送信されたSL-CSIレポートを受け取り、符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う(S74)。
【0169】
基地局330の制御部345は、ステップS73及びS74の処理を繰り返し、SL-CSIレポートの送信回数が予め設定された送信回数Nに達した場合、又は、学習に必要なデータが得られたと判断した場合には、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE310Bへトレーニングデータの送信停止を指示する(S75)。これにより、その制御部345は、学習を終了する。
【0170】
第2のUE310Bの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を、第1のUE310Aへ転送する(S76)。
【0171】
そして、基地局330の制御部345は、学習で得られた学習済みモデルから、アップデートされた符号化モデル及び復号化モデルを生成する(S77)。なお、学習後の復号化モデルは、初期モデルにおける前記の(1)~(11)の情報から、要素の数値又は構成情報の組合せ自体を変えたモデルとなっていてもよい。
【0172】
また、基地局330の制御部345は、生成された符号化モデル及び復号化モデルを、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、第2のUE310Bへ送信する(S78)。
【0173】
第2のUE310Bの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、基地局330からの符号化モデル及び復号化モデルを受け取り、その復号化モデルを記憶部123に記憶させ、その復号化モデルを適用する(S79)。ここでは、第2のUE310Bの制御部322が推論装置として機能する。
【0174】
次に、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SLデータ通信を用いて、基地局330から受け取った学習結果の符号化モデルを第1のUE310Aへ送信する(S80)。第1のUE310Aの制御部322は、その符号化モデルを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取る。そして、第1のUE310Aの制御部322は、その符号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0175】
さらに、第2のUE310Bの制御部322は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE310Aに、ステップS80で送信した符号化モデルを適用することを指示する信号を、第1のUE310Aへ送信する(S81)。
【0176】
その指示を受信した第1のUE310Aでは、制御部322が、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、記憶部123に記憶されている学習済の符号化モデルを適用する(S82)。
【0177】
そして、第1のUE310Aの制御部322は、学習後の符号化モデルでSL-CSIレポートを符号化して、その送信を開始する(S83)。
【0178】
また、第2のUE310Bにおいても、制御部322が、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、受信されたデータを受け取り、復号化を行い、得られたSL-CSI信号を解析して実際のPHY制御に用いる(S84)。なお、直接受信モードでは、符号化されたSL-CSIレポートの転送は行われない。
【0179】
なお、基地局330の制御部345は、ステップS83において受信された、符号化されたSL-CSIレポートを解析して、再学習を行い符号化モデル及び復号化モデルを継続的に更新して、適時、適用してもよい。
ここで、再学習の判断及び要求は、第2のUE310Bが行ってもよく、基地局330が行ってもよい。または、第2のUE310B又は基地局330において、再学習の周期が予め決められていてもよい。
【0180】
また、再学習を実施する際に、現状の符号化モデル及び復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、初期符号化モデル及び初期復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、さらに、一から符号化モデル及び復号化モデルが学習されてもよい。モデルの更新又はモデルのリセットの選択は、第2のUE310Bが決定してもよく、基地局330が決定してもよい。
【0181】
また、基地局330の制御部345は、解析の結果、符号化モデル及び復号化モデルを用いることでエラーが増大した場合は、ステップS69で符号化モデルの適用を指示する信号を拡張し、符号化モデルを用いないという指示を基地局330が第2のUE310Bに送信し、さらに第2のUE310Bが第1のUE310Aへ同様の指示を転送することで、符号化モデル及び復号化モデルの使用を停止してもよい。エラーの指標として、例えば、ビットエラーレート、ブロックエラーレート、スループット、遅延時間、又は、再送回数が用いられてもよい。
【0182】
以上のように、実施の形態3では、第2のUE310Bの代わりに基地局330が、第1のUE310AからのSL-CSIレポートを受信して、符号化モデル及び復号化モデルを学習して、第2のUE310B及び第1のUE310Aに配布することができる。これにより、SL-CSIレポートのデータ量を削減することが可能となる。
【0183】
実施の形態4.
SL通信においては、UE間の直接通信だけでなく、リレーを介したUEと、NW(NetWork)との間の通信が提案されている。以下では、UEとNWとの間のリレーを、UE-to-NWリレー、又は、UE-NW間リレーと称する場合がある。さらに、UEとNWとの間のリレーを実施するUEを、U2Nリレーと称する場合がある。
実施の形態4は、U2Nリレー機能を有するUEが他のUEの代わりに学習を行う例を示す。
【0184】
図1に示されているように、実施の形態4に係る通信システム400は、UE410と、基地局430と、上位装置160とを備える。
実施の形態4に係る通信システム400の上位装置160は、実施の形態1に係る通信システム100の上位装置160と同様である。
【0185】
図2に示されているように、実施の形態4におけるUE410は、端末側通信部111と、AP部120と、プロトコル処理部121と、制御部422と、記憶部123とを備える。
実施の形態4におけるUE410の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123は、実施の形態1におけるUE110の端末側通信部111、AP部120、プロトコル処理部121及び記憶部123と同様である。
【0186】
制御部422は、UE410で行われる一連の処理を制御する。
また、制御部422は、学習に関する処理を行う。この処理については、後述する。
【0187】
図4に示されているように、実施の形態4における基地局430は、局側通信部131と、通信処理部140と、プロトコル処理部144と、制御部445と、記憶部146とを備える。
実施の形態4における基地局430の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146は、実施の形態1における基地局130の局側通信部131、通信処理部140、プロトコル処理部144及び記憶部146と同様である。
【0188】
制御部445は、基地局430での一連の処理を制御する。
また、制御部445は、U2Nリレーに符号化モデル及び復号化モデルを学習させる。この処理については、後述する。
【0189】
実施の形態4では、U2Nリレーが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う。以下、その構成について説明する。
【0190】
図13は、実施の形態4において、U2Nリレーが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、学習された符号化モデル及び復号化モデルを用いて、UE410が推論を行う際の構成例を示す。
【0191】
実施の形態4では、U2Nリレーが符号化モデル及び復号化モデルの学習を行い、第1のUE410A及び第2のUE410Bが学習されたモデルを使用して通信を行う。
【0192】
ここでは、第1のUE410AがSL-CSIを送信するMIMO受信側端末装置であり、第2のUE410BがSL-CSIを受信するMIMO送信側端末装置であり、第3のUE410CがU2Nリレーである。実施の形態4では、第1のUE410A及び第2のUE410Bは、基地局430の圏外であるが、第3のUE410Cを介して、基地局430と通信可能な状態とする。
【0193】
図14は、実施の形態4において、符号化モデル及び復号化モデルの学習、並びに、学習されたモデルを適用する際の手順を示すシーケンス図である。
【0194】
第3のUE410Cが基地局430の圏内に入りハンドオーバした場合、又は、第3のUE410Cが基地局430の圏内で起動した場合、第3のUE410Cの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL通信及びU2Nリレー利用のための登録及び許可を基地局430に求める。この時、第3のUE410Cの制御部422は、SL-CSIの符号化及び復号化に関する学習を他のUE410に代わって実施する許可を、基地局430に要求する(S90)。
【0195】
基地局430の制御部445は、局側通信部131、通信処理部140及びプロトコル処理部144を介して、その要求を受け取り、その要求に対して、プロトコル処理部144、通信処理部140及び局側通信部131を介して、リレー機能の実施を第3のUE410Cに許可する旨を応答する(S91)。
【0196】
次に、第1のUE410Aの制御部422と、第2のUE410Bの制御部422と、第3のUE410Cの制御部422とは、それぞれのプロトコル処理部121及び端末側通信部111とを介して、PC5インタフェースにてSL通信を確立する(S92~S94)。これにより、第1のUE410Aと、第2のUE410Bと、第3のUE410Cとは、相互に、通信可能な状態となる。
【0197】
第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、U2Nリレーである第3のUE410Cに対して、学習機能を代行して実施する機能を有するか否かの問い合わせを行う(S95)。
【0198】
第3のUE410Cの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その問い合わせを受け取り、そのような機能を有し、学習機能を代行することを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第2のUE410Bに応答する(S96)。
【0199】
次に、第2のUE410Bから第1のUE410Aへデータ送信を開始する準備として、第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI符号化及び復号化の初期モデルを取得するための要求を第3のUE410Cへ送信する(S97)。
【0200】
第3のUE410Cの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その要求要求を受け取り、第3のUE410Cにおいて対応可能であれば、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、その旨を第2のUE410Bへ応答する(S98)。
【0201】
第2のUE410Bの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その応答を受け取り、エンコードを行わない状態で、SL-CSI-RSの送信を開始し、第1のUE410Aの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、受け取ったSL-CSI情報を解析して、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSIレポートを送信する(S99)。ここでは、第1のUE410Aが、SL-CSIレポートを、直接、第3のUE410Cに送信する例を示すが、実施の形態2のように、第2のUE410Bが転送を行ってもよい。
【0202】
第3のUE410Cの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、第1のUE410AからのSL-CSIレポートを受け取り、そのSL-CSIレポートから、第2のUE410Bの各送信アンテナから第1のUE410Aの各受信アンテナへの電波伝搬状態を推測し、事前に用意した初期符号化モデル及び初期復号化モデルの中から、又は、他端末装置で適用している符号化モデル及び復号化モデルの中から、第2のUE410Bから第1のUE410Aへの伝送路として最適なものを、初期モデルとして決定する(S100)。なお、実施の形態4における第3のUE410Cの記憶部123には、初期符号化モデル及び初期復号化モデルの複数のペアが記憶されているものとする。
【0203】
そして、第3のUE410Cの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、決定された初期符号化モデル及び初期復号化モデルを、第2のUE410Bへ送信する(S101)。第2のUE410Bの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを受け取り、その初期符号化モデル及び初期復号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0204】
ここで、符号化モデルデータ及び復号化モデルデータのそれぞれは、例えば上記の(1)~(11)の情報から構成される。
【0205】
次に、第2のUE410Bの制御部422は、ステップS101で第3のUE410Cから受信した初期符号化モデルを、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE410Aに転送する(S102)。第1のUE410Aの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その初期符号化モデルを受信し、記憶部123に記憶させる。
【0206】
次に、第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE410Aに対して受信した符号化モデルを適用するよう指示する(S103)。
【0207】
第1のUE410Aの制御部422は、その指示を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その指示に従って、記憶部123に記憶されている符号化モデルを適用する(S104)。
また、第2のUE410Bでも、制御部422が、記憶部123に記憶されている復号化モデルを適用する(S105)。
【0208】
次に、学習のために、第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SL-CSI-RSを送信して、第1のUE410Aに対してトレーニング用のSL-CSIレポートの送信を要求する(S106)。この時、その制御部422は、その要求でトレーニング用SL-CSIレポートの送信回数Nを指定してもよい。
【0209】
第1のUE410Aの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その要求を受け取り、その要求に応じて、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、トレーニング用のSL-CSIレポートを送信する(S107)。
【0210】
第3のUE410Cの制御部422は、そのSL-CSIレポートを、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、符号化モデル及び復号化モデルの学習を行う(S108)。
【0211】
第3のUE410Cの制御部422は、ステップS107及びS108の処理を繰り返し、SL-CSIレポートの送信回数が予め設定された送信回数Nに達した場合、又は、学習に必要なデータが得られたと判断した場合には、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第2のUE410Bへトレーニングデータの送信停止を指示する(S109)。これにより、その制御部422は、学習を終了する。
【0212】
第2のUE410Bの制御部322は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を受け取り、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、その指示を、第1のUE410Aへ転送する(S110)。
【0213】
そして、第3のUE410Cの制御部422は、学習で得られた学習済みモデルから、アップデートされた符号化モデル及び復号化モデルを生成する(S111)。なお、学習後の復号化モデルは、初期モデルにおける前記の(1)~(11)の情報から、要素の数値又は構成情報の組合せ自体を変えたモデルとなっていてもよい。
【0214】
また、第3のUE410Cの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、生成された符号化モデル及び復号化モデルを、第2のUE410Bへ送信する(S112)。
【0215】
第2のUE410Bの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、第3のUE410Cからの符号化モデル及び復号化モデルを受け取り、その復号化モデルを記憶部123に記憶させ、その復号化モデルを適用する(S113)。ここでは、第2のUE410Bの制御部422が推論装置として機能する。
【0216】
次に、第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、SLデータ通信を用いて、第3のUE410Cから受け取った学習結果の符号化モデルを第1のUE410Aへ送信する(S114)。このような符号化モデルは、第1のUE410Aの端末側通信部111で受信され、プロトコル処理部121を介して、制御部422に与えられる。そして、第1のUE410Aの制御部422は、その符号化モデルを記憶部123に記憶させる。
【0217】
さらに、第2のUE410Bの制御部422は、プロトコル処理部121及び端末側通信部111を介して、第1のUE410Aに、ステップS114で送信した符号化モデルを適用することを指示する信号を、第1のUE410Aへ送信する(S115)。
【0218】
第1のUE410Aの制御部422は、その指示を、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受け取り、その指示に従って、記憶部123に記憶されている学習済の符号化モデルを適用する(S116)。
【0219】
そして、第1のUE410Aの制御部422は、学習後の符号化モデルでSL-CSIレポートを符号化して、その送信を開始する(S117)。
【0220】
また、第2のUE310Bの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して、符号化されたSL-CSIレポートを受け取り、その符号化されたSL-CSIレポートを復号化して、得られたCSI信号を解析して実際のPHY制御に用いる(S118)。直接受信モードでは、符号化されたSL-CSIレポートの転送は行われない。
【0221】
なお、第3のUE410Cの制御部422は、端末側通信部111及びプロトコル処理部121を介して受信された、符号化されたSL-CSIレポートを解析して、再学習を行い符号化モデル及び復号化モデルを継続的に更新して、適時、適用してもよい。
ここで、再学習の判断及び要求は、第2のUE410Bが行ってもよく、第3のUE410Cが行ってもよい。または、第2のUE410B又は第3のUE410Cにおいて、再学習の周期が予め決められていてもよい。
【0222】
また、再学習を実施する際に、現状の符号化モデル及び復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、初期符号化モデル及び初期復号化モデルを利用して再学習が行われてもよく、さらに、一から符号化モデル及び復号化モデルが学習されてもよい。モデルの更新又はモデルのリセットの選択は、第2のUE410Bが決定してもよく、第3のUE410Cが決定してもよい。
【0223】
また、第3のUE410Cの制御部422は、解析の結果、符号化モデル及び復号化モデルを用いることでエラーが増大した場合は、ステップS103で符号化モデルの適用を指示する信号を拡張し、符号化モデルを用いないという指示を第3のUE410Cが第2のUE410Bに送信し、さらに第2のUE410Bが第1のUE410Aへ同様の指示を転送することで、符号化モデル及び復号化モデルの使用を停止してもよい。エラーの指標として、例えば、ビットエラーレート、ブロックエラーレート、スループット、遅延時間、又は、再送回数が用いられてもよい。また、どの指標を用いるか及び閾値を基地局が第3のUE410Cに指示してもよい。
【0224】
以上のように、実施の形態4では、通信システム400は、SL通信により、第1のUE410A及び第2のUE410Bと通信を行う第3のUE410Cを備え、その第3のUE410が、第1のUE410Aが送信した学習用のチャネル状態情報を用いて、符号化モデル及び復号化モデルを学習する。これにより、実施の形態4では、U2Nリレーが学習処理を他のUE410の代わりに実施して、符号化モデル及び復号化モデルを生成して、SL通信を行うUE410に適用し、SL-CSIレポートのデータ量を削減することが可能となる。
ここで、実施の形態4では、第1のUE410Aが送信した学習用のチャネル状態情報を第2のUE410Bが受信して、第2のUE410Bが、その学習用のチャネル状態情報を、第3のUE410Cに転送してもよく、また、第1のUE410Aが送信した学習用のチャネル状態情報を第3のUE410Cが直接受信してもよい。
【符号の説明】
【0225】
100,200,300,400 通信システム、 110,210,310,410 UE、 111 端末側通信部、 120 AP部、 121 プロトコル処理部、 122,222,322,422 制御部、 123 記憶部、 130,230,330,430 基地局、 131 局側通信部、 140 通信処理部、 144 プロトコル処理部、 145 制御部、 146 記憶部、 160 上位装置、 161 Data Network通信部、 162 基地局通信部、 163 ユーザプレイン通信部、 164 セッション管理部、 165 制御プレイン制御部、 169 制御部。
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