(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】データ流通管理システム、データ流通管理方法、及びデータ流通管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250324BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024555110
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2023002408
(87)【国際公開番号】W WO2024157414
(87)【国際公開日】2024-08-02
【審査請求日】2024-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 明歩
(72)【発明者】
【氏名】楓 仁志
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-038201(JP,A)
【文献】特開2020-129311(JP,A)
【文献】特開2015-162163(JP,A)
【文献】特開2022-145435(JP,A)
【文献】特開2022-068786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得部と、
前記活用状況データに基づいて前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出部を備えるデータ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信する活用状況データ送信部と
を備えるデータ流通管理装置
を備えるデータ流通管理システム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理システム。
【請求項2】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出部
を備えるデータ価値算出装置
を備えるデータ流通管理システム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理システム。
【請求項3】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得部
を備えるデータ流通管理装置と、
前記活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出部
を備えるデータ価値算出装置と
を備えるデータ流通管理システムであって、
前記データ流通管理装置は、さらに、
前記データ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信する活用状況データ送信部
を備えるデータ流通管理システム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理システム。
【請求項4】
前記活用状況データは、前記活用データを活用することによって得た利得を示す情報を含む請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項5】
前記提供データには、前記提供データの鮮度を示すデータが対応付けられており、
前記インセンティブ算出部は、前記提供データの鮮度に応じて前記インセンティブを算出する請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項6】
前記提供データには、前記提供データに対する利用制限を示すデータが対応付けられており、
前記活用データは、前記提供データに対する利用制限に従うデータである請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項7】
前記データ価値算出装置は、さらに、
前記活用状況データに基づいて、前記データ活用装置が前記活用データを活用したことに対するデータ使用料を算出するデータ使用料算出部
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項8】
前記MaaS関連事業者は鉄道事業者であり、
前記提供データは、前記移動対象による鉄道を用いた移動を示すデータを含む請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項9】
前記提供データは、鉄道設備における混雑に関する情報である混雑情報を含む請求項8に記載のデータ流通管理システム。
【請求項10】
前記インセンティブ算出部は、前記活用状況データと、前記混雑情報が列車の車両毎の混雑を示す情報であるか否かに関する情報とに基づいて前記インセンティブを算出する請求項9に記載のデータ流通管理システム。
【請求項11】
前記インセンティブ算出部は、前記活用状況データと、前記混雑情報の鮮度を示す情報とに基づいて前記インセンティブを算出する請求項9に記載のデータ流通管理システム。
【請求項12】
前記MaaS関連事業者は鉄道事業者であり、
前記提供データは、鉄道設備の運行管理に関する情報を含む請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項13】
前記MaaS関連事業者は鉄道事業者であり、
前記提供データは、鉄道設備が備えるセンサが取得したデータを含む請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項14】
前記データ活用装置は、前記活用データに対する評価と、前記提供データを提供したMaaS関連事業者に対する評価との少なくともいずれかを示す評価データを生成し、
前記インセンティブ算出部は、前記活用状況データと前記評価データとに基づいて前記インセンティブを算出する請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項15】
各々が前記MaaS関連事業者である複数のMaaS関連事業者が存在する場合において、
前記データ流通管理装置は、さらに、
前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者から前記提供データを取得する提供データ取得部と、
前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者について、各MaaS関連事業者に対応する活用データに対する評価と、各MaaS関連事業者に対する評価との少なくともいずれかを示す評価データを前記データ活用装置に送信し、送信した評価データに基づいて前記データ活用装置において生成されたデータの提供依頼を示すデータを受け取り、受け取ったデータが示すデータの提供依頼に対応する活用データを前記データ活用装置に送信する活用データ送信部と
を備える請求項1又は3に記載のデータ流通管理システム。
【請求項16】
各々が前記MaaS関連事業者である複数のMaaS関連事業者が存在する場合において、
前記活用データは、前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者から取得した提供データを用いて生成されたデータであり、
前記インセンティブ算出部は、前記活用状況データと、前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者の前記活用データに対する寄与率とに基づいて、前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者に対するインセンティブを算出する請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ流通管理システム。
【請求項17】
前記インセンティブ算出部は、前記複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者に対応する寄与率を、前記データ活用装置における前記活用データの活用目的に応じて決定する請求項16に記載のデータ流通管理システム。
【請求項18】
前記活用データには、前記活用データに対応するインセンティブの下限が設定されており、
前記データ流通管理装置は、さらに、
前記データ活用装置の利用者が前記活用データに対応するインセンティブの下限を許容する場合に前記活用データを前記データ活用装置に送信する活用データ送信部
を備える請求項1又は3に記載のデータ流通管理システム。
【請求項19】
コンピュータが、MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得し、
前記コンピュータが、前記活用状況データに基づいて前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出部を備えるデータ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信するデータ流通管理方法
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理方法。
【請求項20】
コンピュータが、MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するデータ流通管理方法
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理方法。
【請求項21】
第1コンピュータが、MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得し、
第2コンピュータが、前記活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出し、
前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信し、
前記第1コンピュータが、前記第2コンピュータへ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信するデータ流通管理方法
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理方法。
【請求項22】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得処理と、
前記活用状況データに基づいて前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出処理を実行するデータ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信する活用状況データ送信処理と
をコンピュータであるデータ流通管理装置に実行させるデータ流通管理プログラム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理プログラム。
【請求項23】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出処理
をコンピュータであるデータ価値算出装置に実行させるデータ流通管理プログラム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理プログラム。
【請求項24】
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得処理
をコンピュータであるデータ流通管理装置に実行させ、
前記活用状況データに基づいて、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出
し、前記インセンティブを示すインセンティブ情報を前記提供データの提供元に向けて送信するインセンティブ算出処理
をコンピュータであるデータ価値算出装置に実行させるデータ流通管理プログラムであって、
前記データ流通管理プログラムは、さらに、
前記データ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信する活用状況データ送信処理
を前記データ流通管理装置に実行させるデータ流通管理プログラム
であって、
前記インセンティブは、前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対する利得として設定されるデータ流通管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ流通管理システム、データ流通管理方法、及びデータ流通管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
来たるMaaS(Mobility as a Service)社会では、交通事業者及び他の交通媒体事業者等の複数のステークホルダが共存し、互いに情報を提供し合う連邦型のエコシステムが形成されることにより、スマートモビリティソリューションが実現されると予想される。スマートモビリティソリューションを実現するためには、ステークホルダ間におけるデータの連携が求められる。ステークホルダ間におけるデータの連携の中核としては、データ流通管理システムが挙げられる。
また、MaaSを実現するためには、設備系データ及び情報系データを複数の事業者間で提供し合うなど、各事業者の輸送収益を拡大するために複数の事業者間で協働することが不可欠である。
特許文献1は、利用者の入場日時情報及び列車の運行状況等に基づいてタクシー配車システムに対して配車依頼をするセンター処理装置と、センター処理装置に対して配車依頼の結果を送信するタクシー配車システムとにより、タクシー車両の配車を自動的に予約することができるシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、鉄道事業者が提供するデータを利用して、効率的なタクシーの配車を行うシステムを開示している。しかしながら、特許文献1は、鉄道事業者が提供したデータをタクシー事業者が活用した回数、又はタクシー事業者が当該データを用いて得た利益等の活用状況を把握し、把握した活用状況に基づいてデータの提供元である鉄道事業者に対するインセンティブを算出し、算出したインセンティブを鉄道事業者に対して提供する仕組みについては開示も示唆もしていない。
従って、特許文献1が開示している技術を用いた場合に、鉄道事業者等のMaaS関連事業者にとってデータを提供するメリットが少ないために、MaaS関連事業者がデータを提供しないということが起こり得るという課題がある。
【0005】
本開示は、MaaS関連事業者がデータを提供したことに対する利得を設定することにより、MaaS関連事業者に対してデータの提供を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るデータ流通管理システムは、
MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータである提供データの少なくとも一部を含む活用データのデータ活用装置における活用状況を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得部と、
前記活用状況データに基づいて前記MaaS関連事業者が前記提供データを提供したことに対するインセンティブを算出するインセンティブ算出部を備えるデータ価値算出装置へ、前記提供データに対応するデータとして前記活用状況データを送信する活用状況データ送信部と
を備えるデータ流通管理装置
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インセンティブ算出部は、MaaS関連事業者が提供データを提供したことに対するインセンティブを算出する。ここで、算出されたインセンティブは、MaaS関連事業者がデータを提供したことに対する利得として設定されてもよい。従って、本開示によれば、MaaS関連事業者がデータを提供したことに対する利得を設定することにより、MaaS関連事業者に対してデータの提供を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係るインセンティブを説明する図。
【
図3】実施の形態1に係るインセンティブを説明する図であり、(a)は鮮度に応じた加算ポイントを示す表、(b)はサンプリング周期に応じた加算ポイントを示す表、(c)は有効桁数に応じた加算ポイントを示す表。
【
図4】実施の形態1に係るインセンティブを説明する図であり、(a)は利益に応じた加算ポイントを示す表、(b)は参照回数に応じた加算ポイントを示す表。
【
図5】実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の動作を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1の変形例に係る処理を説明する図。
【
図7】実施の形態1の変形例に係るデータ流通管理システム90の動作を示すフローチャート。
【
図8】実施の形態1の変形例に係るインセンティブを説明する図。
【
図9】実施の形態1の変形例に係る処理を説明する図。
【
図10】実施の形態1の変形例に係るデータ流通管理システム90の動作を示すフローチャート。
【
図11】実施の形態1の変形例に係るデータ提供装置100のハードウェア構成例を示す図。
【
図12】実施の形態2に係るデータ流通管理システム90の構成例を示す図。
【
図13】実施の形態3に係るデータ流通管理システム90の構成例を示す図。
【
図14】実施の形態3に係るデータ流通管理システム90の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0010】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るデータ流通管理システム90の構成例を示している。データ流通管理システム90は、本図に示すように、データ提供装置100と、データ流通管理装置200と、データ価値算出装置300と、データ活用装置400とを備える。
データ提供装置100は、機能構成要素として、提供データ送信部110を備える。データ提供装置100は、具体例として、鉄道事業者の運行管理システム、又は乗り換えアプリケーションからデータを収集するサーバである。
データ流通管理装置200は、機能構成要素として、提供データ取得部210と、活用データ送信部220と、活用状況データ取得部230と、活用状況データ送信部240と、提供データ記憶部291と、活用状況データ記憶部292とを備える。
データ価値算出装置300は、機能構成要素として、インセンティブ算出部310と、データ使用料算出部320とを備える。データ価値算出装置300は、データ提供装置100が提供データを提供したことに対するインセンティブと、データ活用装置400に対するデータ使用料とを算出する。
データ活用装置400は、機能構成要素として、活用データ取得部410と、活用状況データ送信部420とを備える。データ活用装置400は、具体例として、タクシーの配車装置、又はバス運行管理装置である。
【0012】
提供データ送信部110は、データ流通管理装置200に提供データを送信する。提供データは、MaaS(Mobility as a Service)関連事業者が提供したデータであって、移動対象の移動に対応するデータであり、MaaS関連事業者の設備系データと情報系データとの少なくともいずれかから成り、具体例として列車の運行管理に関するデータである。設備系データは、MaaS関連事業者の設備において取得されたデータであり、具体例として、設備の状態を示すデータ、又は設備に滞在している人を示すデータである。情報系データは、MaaS関連事業者が提供するサービスを利用した移動に関するデータであり、具体例として、運行管理情報、物の位置の追跡情報、又は、各顧客の移動実績若しくは移動予定を示す情報である。
【0013】
MaaS関連事業者は、MaaSに関連する事業を実施している事業者であり、データ提供者に当たり、移動対象の移動に関する情報を取得する事業者、又は移動対象の移動に関する情報を加工する事業者である。移動対象は、目的地に向かって移動する人又は物である。人の集団等、複数の人又は複数の物をまとめて1つの移動対象とみなしてもよい。MaaS関連事業者は、具体例として、鉄道事業者、バス事業者、タクシー事業者、レンタル自動車事業者、レンタル自転車事業者、又は乗り換えアプリケーションを運営する事業者である。鉄道等を利用して移動した人が滞在する建物を管理する事業者又は運営する事業者であって、監視カメラ等を用いて人の移動を追跡する事業者をMaaS関連事業者とみなしてもよい。
【0014】
提供データ取得部210は、提供データを取得する。
【0015】
提供データ記憶部291は提供データを記憶する。提供データには、具体例として、提供データの鮮度を示すデータと、提供データの利用制限を示すデータとの各々が対応付けられる。提供データの鮮度は、提供データを取得した時点から経過した時間に応じて定まる指標である。提供データの鮮度がより高いほど、より新しく取得された提供データである。
【0016】
活用データ送信部220は、提供データ記憶部291が記憶している提供データの少なくとも一部を含むデータを活用データとし、活用データをデータ活用装置400に送信する。提供データに対する利用制限がある場合、提供データに対応する活用データは提供データに対する利用制限に従うデータである。
【0017】
活用状況データ取得部230は、データ活用装置400から活用状況データを取得する。
活用状況データは、データ活用装置400における活用データの活用状況を示すデータである。具体的には、活用状況データは、データ活用装置400が活用した活用データに対応する提供データの識別情報と、データ活用装置400又はデータ活用装置400を利用するデータ活用者が活用データを活用することによって得た利得とを示すデータである。利得を収益又は利益と読み替えてもよい。利得は、活用データを活用することによって節約した時間等、金銭的な利益以外のメリットであってもよい。データ活用装置400が活用データと他のデータとを用いることによって利得を得た場合に、活用データに対応する利得の値は、得た利得の値に対して活用データの寄与率を乗じた値であってもよい。データ活用者は、活用データを活用する事業者等であり、具体例として、タクシー事業者又はバス事業者である。
なお、データ活用装置400が活用データに対応する利得を示す情報を適切に提供しない場合に、新たな活用データの提供を制限する等のペナルティをデータ活用装置400に対して科してもよい。
【0018】
活用状況データ記憶部292は、提供データと、活用された際の提供データの鮮度を示すデータとの各々が対応付けられた活用状況データを記憶する。
【0019】
活用状況データ送信部240は、データ価値算出装置300へ、提供データに対応するデータとして活用状況データを送信する。また、活用状況データ送信部240は、インセンティブ算出部310がデータの属性又はデータの粒度等に基づいてデータの価値を算出するケースに備え、必要に応じて、活用データのメタデータをデータ価値算出装置300に送信する。メタデータは、データに関するデータであり、本体であるデータに関する付帯情報を示すデータである。
【0020】
インセンティブ算出部310は、活用状況データに基づいて、MaaS関連事業者が活用状況データに対応する提供データを提供したことに対するインセンティブを算出し、算出したインセンティブを示すインセンティブ情報をデータ提供装置100に送信する。インセンティブ算出部310は、提供データの鮮度に応じてインセンティブを算出してもよい。
インセンティブ算出部310によるインセンティブを算出する方針(インセンティブ算出方針)は、具体例として、データの種別に基づく分類(分類A)と、データの粒度に基づく分類(分類B)と、活用状況に基づく分類(分類C)との3種類に分類される。
以下、各分類に含まれる方針の具体例について説明する。なお、インセンティブ算出部310は複数の方針を採用してインセンティブを算出してもよい。ここで、複数の方針は複数の分類に跨ってもよい。
【0021】
(分類A)
方針A-1:個人情報に直結するデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。
方針A-2:加工していないデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。
方針A-3:加工していないデータを提供した場合に、提供されたデータを適切に加工する処理(個人情報である場合に匿名化処理等)に要する労力を見越すことによりインセンティブを低く設定する方針。
方針A-4:消費電力に関するデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。
方針A-5:運行管理に関するデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。
方針A-6:センサを用いて収集したデータを提供した場合にインセンティブを高くする方針。
方針A-7:データの取得場所に関する情報に基づいてインセンティブを算出する方針。具体例として、車両において取得したデータに対応するインセンティブを高くし、地上において取得したデータに対応するインセンティブを低くする方針。別の具体例として、駅の構外において取得したデータに対応するインセンティブを高くし、駅の構内において取得したデータに対応するインセンティブを低くする方針。駅の構外において取得したデータは、具体例として鉄道設備のセンサデータである。
方針A-8:車両と地上との間における通信を用いて取得したデータを提供した場合にインセンティブを高くする方針。
【0022】
図2は、インセンティブ算出部310が分類Aに含まれる方針を採用する場合における加算ポイントの具体例を説明する図である。インセンティブ算出部310は、活用データのメタデータが示すデータの種別を確認し、確認したデータの種別が
図2の表に示すデータの種別に該当する場合に、インセンティブに対して対応するポイントを加算する。
【0023】
(分類B)
方針B-1:鮮度が高いデータが活用された場合に、データの新しさに価値を認めることによりインセンティブを高く設定する方針。
方針B-2:鮮度が低いデータが活用された場合に、データの管理コストを見込むことによりインセンティブを高く設定する方針。
方針B-3:提供するデータのレベルに応じてインセンティブを設定する方針。具体例として、より詳細な情報又はより具体的な情報を提供した場合にインセンティブを高くする方針。
【0024】
図3は、インセンティブ算出部310が分類Bに含まれる方針を採用する場合における加算ポイントの具体例を説明する図である。
図3の(a)は鮮度に応じた加算ポイントを示す表であり、
図3の(b)はサンプリング周期に応じた加算ポイントを示す表であり、
図3の(c)は有効桁数に応じた加算ポイントを示す表である。なお、
図3の(a)は方針B-1に対応する表であり、方針B-2に対応する表おいては加算するポイントの並び順が
図3の(a)に示す並び順の逆になる。
図3の(b)は鉄道機器のセンサデータの具体例であり、サンプリング周期の短さによる価値はデータの種別に応じて異なってもよい。
インセンティブ算出部310は、
図3の(a)を用いる場合において、活用データのメタデータが示すタイムスタンプを参照してデータが提供されてから経過した時間を確認し、データの鮮度に応じてインセンティブに対してポイントを加算する。
インセンティブ算出部310は、
図3の(b)を用いる場合において、活用データのメタデータが示すデータのサンプリング周期を確認し、サンプリング周期が短いデータであるほどインセンティブに対して多くのポイントを加算する。
インセンティブ算出部310は、
図3の(c)を用いる場合において、活用データのメタデータが示すデータの有効桁数を確認し、粒度が細かいデータであるほど、インセンティブに対して多くのポイントを加算する。粒度は、メタデータが示す単位等に応じて定められてもよい。
【0025】
(分類C)
方針C-1:多数回利用されるデータを提供した場合、又は提供されたデータによってデータ活用者が大きな収益を上げた場合にインセンティブを高く設定する方針。
【0026】
図4は、インセンティブ算出部310が分類Cに含まれる方針を採用する場合における加算ポイントの具体例を説明する図である。
図4の(a)は利益に応じた加算ポイントを示す表であり、
図4の(b)は参照回数に応じた加算ポイントを示す表である。
インセンティブ算出部310は、
図4の(a)及び
図4の(b)に示すように、データ活用者により活用データが活用された場合に、活用データを活用することによってデータ活用者が得た利益、又はデータ活用者による活用データの参照回数等に応じてインセンティブに対してポイントを加算する。
【0027】
データ使用料算出部320は、活用状況データに基づいてデータ活用装置400が活用データを活用したことに対するデータ使用料を算出し、算出したデータ使用料を示すデータ使用料情報をデータ活用装置400に送信する。対応するインセンティブが高い提供データほど、通常はデータ使用料が高くなる。
データ使用料を算出する計算式は、具体例として、(データ流通管理装置200の利用料)+(インセンティブの一定割合)である。
【0028】
データ提供装置100は、コンピュータであり、ハードウェア構成要素として、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インターフェイス14等を備える。これらのハードウェア構成要素は、信号線を介して適宜接続されている。データ提供装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
データ流通管理装置200とデータ価値算出装置300とデータ活用装置400との各々のハードウェア構成は、データ提供装置100のハードウェア構成と同様である。データ流通管理システム90を構成する2つ以上の装置が適宜一体的に構成されていてもよい。データ流通管理装置200は第1コンピュータとも呼ばれる。データ価値算出装置300は第2コンピュータとも呼ばれる。
【0029】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
データ提供装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
プロセッサ21とプロセッサ31とプロセッサ41との各々はプロセッサ11と同様である。
【0030】
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じてストレージ13に保存される。
メモリ22とメモリ32とメモリ42との各々はメモリ12と同様である。
【0031】
ストレージ13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。ストレージ13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
ストレージ23とストレージ33とストレージ43との各々はストレージ13と同様である。
メモリ12及びストレージ13は一体的に構成されていてもよい。
【0032】
通信インターフェイス14は、レシーバ及びトランスミッタである。通信インターフェイス14は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
通信インターフェイス24と通信インターフェイス34と通信インターフェイス44との各々は通信インターフェイス14と同様である。
データ流通管理システム90の各部は、他の装置等と通信する際に通信インターフェイス14を適宜用いてもよい。
【0033】
データ流通管理システム90を構成する各装置のストレージには、各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。各装置に格納されているプログラムは、各装置のプロセッサにより各装置のメモリに読み込まれ、各装置のプロセッサによって実行される。これにより、各装置の各機能構成要素の機能が実現される。
各装置のストレージに格納されているプログラムを総称してデータ流通管理プログラムと呼ぶ。
【0034】
データ流通管理プログラムを実行する際に用いられるデータと、データ流通管理プログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。データ流通管理システム90の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、ストレージ13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データという用語と情報という用語とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及びストレージ13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0035】
データ流通管理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。データ流通管理プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0036】
***動作の説明***
データ流通管理システム90の動作手順はデータ流通管理方法に相当する。また、データ流通管理システム90の動作を実現するプログラムはデータ流通管理プログラムに相当する。
【0037】
図5は、データ流通管理システム90の動作の一例を示すフローチャートである。
図5を用いてデータ流通管理システム90の動作を説明する。
【0038】
(ステップS101)
提供データ送信部110は、MaaS関連事業者が保有する提供データをデータ流通管理装置200に送信する。
【0039】
(ステップS102)
データ提供装置100は、データ価値算出装置300からインセンティブ情報を取得する。
なお、インセンティブ算出部310において、分類Aに含まれる方針、又は分類Bに含まれる方針が採用される場合において、データ提供者は、提供したデータが活用されなかった場合であっても、データを提供したことに対するインセンティブを受け取ることができてもよい。
【0040】
(ステップS201)
提供データ取得部210は、データ提供装置100から提供データを取得する。
【0041】
(ステップS202)
提供データ取得部210は、取得した提供データに、取得した提供データの鮮度を示すデータと、取得した提供データの利用制限を示すデータとの各々を対応付け、各データを対応付けた提供データを提供データ記憶部291に記憶する。
【0042】
(ステップS203)
活用データ送信部220は、データ活用装置400から活用データの提供依頼を示すデータを取得する。
【0043】
(ステップS204)
活用データ送信部220は、取得したデータが示す提供依頼に対応する提供データの少なくとも一部を含むデータを活用データとしてデータ活用装置400に送信する。
【0044】
(ステップS205)
活用状況データ取得部230は、データ活用装置400から活用状況データを取得する。
【0045】
(ステップS206)
活用状況データ取得部230は、取得した活用状況データに、活用データがデータ活用装置400において活用された際の活用データの鮮度を示すデータを対応付け、データを対応付けた活用状況データを活用状況データ記憶部292に記憶する。
【0046】
(ステップS301)
インセンティブ算出部310は、活用データの特性と、活用データに対応する活用状況データが示す活用状況等に基づいて、データ提供装置100が活用データに対応する提供データを提供したことに対するインセンティブを算出する。
データ使用料算出部320は、活用データの特性と、活用データに対応する活用状況データが示す活用状況等に基づいて、データ活用装置400が活用データを使用したことに対するデータ使用料を算出する。
【0047】
(ステップS302)
インセンティブ算出部310は、算出したインセンティブを示すインセンティブ情報をデータ提供装置100に送信する。
データ使用料算出部320は、算出したデータ使用料を示すデータ使用料情報をデータ活用装置400に送信する。
【0048】
(ステップS401)
活用データ取得部410は、活用データの提供依頼を示すデータをデータ流通管理装置200に送信する。
【0049】
(ステップS402)
活用データ取得部410は、提供依頼に対応する活用データをデータ流通管理装置200から取得する。
【0050】
(ステップS403)
活用状況データ送信部420は、取得した活用データを活用し、活用データを活用した実績等を示す活用状況データを生成し、生成した活用状況データをデータ流通管理装置200に送信する。
【0051】
(ステップS404)
データ活用装置400は、データ価値算出装置300からデータ使用料情報を取得する。
【0052】
***実施の形態1の効果の説明***
従来技術には、「MaaS関連事業者にとってデータを提供するメリットが少ないために、MaaS関連事業者がデータを提供しないということが起こり得る」という課題があった。
一方、本実施の形態では、データ活用者が活用した各活用データを、データ活用者が各活用データを活用することによって獲得した利得を示す活用状況データと対応付けて管理する。そのため、本実施の形態によれば、データ活用者による各活用データの活用状況を把握することができる。また、本実施の形態では、各提供データに対応する活用状況データが示す利得と、各提供データと対応付けて管理される鮮度等の情報に基づいて各提供データの価値を算出し、算出した価値に応じたインセンティブをデータ提供者に提示するため、データを提供することに対するメリットをデータ提供者に感じてもらいやすい。従って、本実施の形態によれば、MaaS事業者が保有する設備系データ及び情報系データの提供が促進されるという効果がある。
従って、本実施の形態によれば、MaaS事業者間におけるデータ流通を加速させること、また、鉄道を主軸にしてタクシー及びバス等の鉄道に隣接する他の交通媒体の輸送収益を拡大することの実現に寄与することができる。
【0053】
また、従来技術では、データ流通管理装置200は、運行管理システムから提供された列車の運行状況等を示すデータに基づいてタクシー配車システムに対して配車を依頼し、配車を依頼した結果を受け取るのみであり、運行管理システムから提供されたデータがタクシー配車システムにおいて活用された状況を把握することはできない。そのため、従来技術では、提供データの活用状況に基づいて提供データの価値を算出し、算出した価値に応じたインセンティブを提供データの提供元である運行管理システムに対して提供することはできない。
一方、本実施の形態では、データ活用装置400において活用データを活用することによって得られた利益等を示す活用状況データを取得する活用状況データ取得部230と、提供データと、活用された際の提供データの鮮度とに対応付けて活用状況データを記憶する活用状況データ記憶部292とを備えることにより、提供データの活用状況を把握することができる。さらに、本実施の形態では、提供データの活用状況に基づいて提供データの価値を算出し、算出した価値に応じたインセンティブであって、提供データの提供元に対するインセンティブを算出するインセンティブ算出部310を備えることにより、提供データの価値に応じてデータ提供元に対してインセンティブを提供することができる。従って、本実施の形態によれば、データを提供することに対するメリットをデータ提供者に感じてもらいやすくなるため、MaaS関連事業者によるデータの提供を促進することができる。また、本実施の形態によれば、データ活用者は、MaaS関連事業者が保有している設備系データ及び情報系データを十分に獲得することができる。
【0054】
***他の構成***
<変形例1>
本変形例において、提供データは、移動対象による鉄道を用いた移動を示すデータを含むデータであり、鉄道設備における混雑に関する情報を含むデータである。
混雑に関する情報は、混雑情報とも呼ばれ、鉄道設備における混雑を示す情報であってもよく、鉄道設備における混雑を推定することに用いられるデータであってもよい。
鉄道設備における混雑を推定することに用いられるデータは、具体例として、車両の応荷重情報、監視カメラの映像(駅の構内の映像及び車両内の映像等)データ、列車の車内の温度を示す情報、改札が取得した情報、列車の予約状況(新幹線及び特急列車の予約数等)、駅員若しくは乗客が目視した情報、駅の周辺において開催されるイベントを示す情報、又は乗客の端末から発信される情報(GPS(Global Positioning System)の情報と、乗り換え検索の履歴を示す情報等)である。
【0055】
インセンティブ算出部310は、実施の形態1の方針に加えて、下記の方針を採用してもよい。即ち、インセンティブ算出部310は、活用状況データと、混雑情報が列車の車両毎の混雑を示す情報であるか否かに関する情報とに基づいてインセンティブを算出してもよく、活用状況データと、混雑情報の鮮度を示す情報とに基づいてインセンティブを算出してもよい。
【0056】
方針1-1:車両毎の混雑を推定することに用いられるデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。車両毎の混雑を推定することに用いられるデータは、具体例として、車両の応荷重情報、又は車両内の監視カメラの映像データである。
方針1-2:混雑に関する情報として鮮度が高いデータを提供した場合にインセンティブを高く設定する方針。当該データは、具体例として、応荷重情報、又は車両内の監視カメラの映像データである。
【0057】
以上のように、本変形例によれば、データ活用者に対して、従来は提供されることがなかったデータであって、鉄道設備におけるリアルタイムの混雑状況を推定することに用いられるデータであって、鉄道事業者が保持するリアルタイムな鉄道の設備系データ及び情報系データを提供することができる。
【0058】
<変形例2>
本変形例において、提供データは鉄道設備の運行管理に関する情報を含む。
鉄道設備の運行管理に関する情報は、複数の鉄道会社間で行う相互直通運行時、又は、鉄道からタクシー及びバス等の他の公共交通機関に乗り換える際等において有用であるため、他の事業者からのニーズが高い情報である。ここで、他の事業者は、より詳細な運行管理に関する情報を得ることにより、ユーザーに対してより高いサービスを提供することができるものとする。
【0059】
以下、データ提供者が鉄道事業者であり、データ活用者がタクシー事業者である場合における具体例を説明する。
図6は、本例におけるデータの流れ及びインセンティブの流れ等を説明する図である。
図7は、データ流通管理システム90が本例において実施する処理の一部を示すフローチャートである。
図7を用いてデータ流通管理システム90の処理を説明する。
【0060】
(ステップS221)
タクシー事業者は、活用データとして、鉄道事業者によって提供された情報であって、列車の運行管理に関する詳細な情報を取得する。当該情報は、具体例として、列車に乗車している人であって、スーツケースを持っている人の数を示す情報である。
【0061】
(ステップS421)
タクシー事業者は、取得した活用データを用いてタクシーの需要を予測し、予測した需要に基づいて、列車が駅に到着する時間に合わせて駅にタクシーを配車する。
【0062】
(ステップS422)
タクシー事業者は、乗客の待ち時間が短いほど多くのインセンティブを乗客から受け取り、乗客の待ち時間が長くなるほど少ないインセンティブを乗客から受け取る。
図8は、タクシー事業者が受け取るインセンティブの具体例を示している。本例に示す各運賃はある距離に対応する運賃である。従来は、タクシー事業者は、乗客の待ち時間に関わらず乗客から同一の運賃を受け取っていた。しかしながら、本例では、タクシー事業者は、乗客の待ち時間が0分である場合に乗客から通常の運賃に加えて100円のインセンティブを受け取り、乗客の待ち時間が10分である場合に乗客からインセンティブを受け取らない。また、タクシー事業者は、乗客の待ち時間が20分と長時間になった場合に、インセンティブとは関係なく運賃を割り引いてもよい。
【0063】
(ステップS423)
活用状況データ送信部420は、タクシー事業者が乗客から得たインセンティブを活用状況として示す活用状況データをデータ流通管理装置200に送信する。
【0064】
(ステップS321)
インセンティブ算出部310は、タクシー事業者が得たインセンティブ(利益)に応じて、前述のインセンティブ算出方針に従い、鉄道事業者が受け取るインセンティブを算出する。
【0065】
本例によれば、鉄道事業者にとって詳細な情報を提供することに対するメリットがあるため、鉄道事業者がより詳細な情報を提供することに協力することが期待される。
【0066】
以下、データ提供者が鉄道事業者であり、データ活用者がアプリケーション製作会社である場合における具体例を説明する。「アプリケーション」はソフトウェアアプリケーションの略記である。
図9は、本例におけるデータの流れ及びインセンティブの流れ等を説明する図である。
まず、アプリケーション製作会社は、活用データとして列車の運行管理に関する詳細な情報を取得する。
次に、乗客はアプリケーションを用いて目的地までの経路を検索し、アプリケーションは検索結果として複数の経路を表示する。
次に、乗客は複数の経路から使用する経路を選択する。混雑度が低い経路を乗客が選択した場合に、提携店において使えるクーポンが乗客に配布される。提携店は、アプリケーションと提携している店であり、クーポンの提供元である店である。
次に、乗客は配布されたクーポンを提携店において使う。なお、乗客が提携店を訪れた際、クーポンが適用される商品以外の商品も購入することがあるため、提携店に利益が生じることもある。そこで、アプリケーション製作会社は、提携店に生じた利益の一部をアプリケーション使用料として受け取る。
次に、インセンティブ算出部310は、前述のインセンティブ算出方針に従い、アプリケーション製作会社が受け取った利益に応じて、鉄道事業者が受け取るインセンティブを算出する。
【0067】
以上のように、本変形例によれば、鉄道事業者による運行管理に関する情報の提供に対してインセンティブが付与されるため、鉄道事業者がより詳細な運行管理に関する情報を提供することが期待される。
【0068】
<変形例3>
本変形例において、提供データは、鉄道設備のセンサデータを含む、即ち鉄道設備が備えるセンサが取得したデータを含む。
鉄道事業者が保有している鉄道設備のセンサデータは、交通事業者のみならず、他の事業者にとっても有用である場合がある。また、鉄道事業者が、主事業(鉄道運行事業)以外の新規事業への参入を検討しており、従来は鉄道の運行のために用いていたセンサデータを新規事業において利活用することにより副収入を得ることを要望していることがある。
鉄道設備のセンサは、具体例として、路面水量測定センサ(線路が水没しているか否かを確認するためのセンサ)と、法面角度計測センサ(傾斜を測定するセンサ)と、土中の水分量を測るセンサ(土砂崩れを予測するためのセンサ)と、明るさ計測センサと、監視カメラ(駅構内、車両内、及び線路脇等に設置されているセンサ)と、風速センサとである。
【0069】
他の事業者が各センサのデータを活用する場面としては、具体例として以下のような場面が考えられる。
路面水量測定センサ、線路脇の監視カメラ、風速センサ:気象庁及び気象情報会社等が天気情報の予測精度を上げるためにこれらのセンサを活用する。また、運送業者が安全な運搬経路を選択するためにこれらのセンサを活用する。
駅構内の監視カメラ、車両内の監視カメラ:乗り換えアプリケーションが混雑情報を取得するためにこれらのセンサを活用する。また、地方公共団体等が不審者及び行方不明者等を捜索するためにこれらのセンサを活用する。
明るさ計測センサ:カーナビメーカが踏切周辺における車の運転の危険度を測定するために明るさ計測センサを活用する。
【0070】
インセンティブ算出部310は、前述のように他の事業者が鉄道設備のセンサデータを使用した際に、前述のインセンティブ算出方針に従って、鉄道設備を保有している鉄道事業者に対するインセンティブを算出する。
【0071】
以上のように、本変形例によれば、データ活用者は、従来は他の事業者に対して提供されることがなかった各種センサデータであって、鉄道事業者が保持している各種センサデータを活用することができる。
【0072】
<変形例4>
本変形例は、インセンティブ算出部310がインセンティブを算出する際に活用データに対応する評価データを用いるアイデア(アイデア1-1)と、データ活用者が提供データを選択する際に評価データを用いるアイデア(アイデア1-2)とに関する。活用データに対応する評価データは、活用データに対する評価と、活用データに対応するデータ提供者に対する評価との少なくともいずれかを示すデータである。評価データは、複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者について、各MaaS関連事業者に対応する活用データに対する評価と、各MaaS関連事業者に対する評価との少なくともいずれかを示すデータでもある。評価データが示す評価は、具体例として、5段階程度でデータを評価する方法であって、データ活用者にとって有用なデータであるほどより高いスコアを付ける方法を用いて決定された評価である。
【0073】
本変形例に係る提供データ取得部210は、複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者から提供データを取得する。
本変形例に係る活用データ送信部220は、評価データをデータ活用装置400に送信し、送信した評価データに基づいてデータ活用装置400において生成されたデータの提供依頼を示すデータを受け取り、受け取ったデータが示すデータの提供依頼に対応する活用データをデータ活用装置400に送信する。
【0074】
以下、アイデア1-1に係るデータ流通管理システム90の動作のうち、実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の動作との差異を主に説明する。
【0075】
(ステップS205)
活用状況データ取得部230は、活用状況データと共に、活用データに対応する評価データをデータ活用装置400から取得する。
【0076】
(ステップS206)
活用状況データ取得部230は、前述の処理を実行するほか、取得した評価データに、当該評価データに対応する提供データを対応付け、提供データを対応付けた評価データを活用状況データ記憶部292に記憶する。
【0077】
(ステップS301)
インセンティブ算出部310は、インセンティブを算出する際に、前述のデータに加え、活用データに対応する評価データを用いる。
データ使用料算出部320は、データ使用料を算出する際に、前述のデータに加え、活用データに対応する評価データを用いる。
【0078】
(ステップS403)
活用状況データ送信部420は、前述の処理を実行するほか、活用データに対応する評価データを生成し、生成した評価データをデータ流通管理装置200に送信する。
【0079】
図10は、アイデア1-2に係るデータ流通管理システム90の動作の一例の一部を示すフローチャートである。以下、アイデア1-2に係るデータ流通管理システム90の動作のうち、実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の動作との差異を主に説明する。
【0080】
(ステップS241)
活用データ送信部220は、ステップS203において取得したデータが示す提供依頼に対応する各活用データに対応する評価データをデータ活用者に送信する。
【0081】
(ステップS242)
活用データ送信部220は、選択されたデータ提供者を示す情報をデータ活用装置400から取得する。
【0082】
(ステップS243)
活用データ送信部220は、ステップS242において取得した情報が示すデータ提供者に対応する提供データの少なくとも一部を含むデータを活用データとしてデータ活用装置400に送信する。
【0083】
(ステップS441)
活用データ取得部410は、ステップS401における提供依頼に対応する各活用データに対応する評価データをデータ流通管理装置200から取得する。
データ活用者は、データ活用装置400において、評価データに基づいてどのデータ提供者が提供したデータを取得するかを選択する。
【0084】
(ステップS442)
活用データ取得部410は、データ活用者によって選択されたデータ提供者を示すデータをデータ流通管理装置200に送信する。
【0085】
以上のように、本変形例によれば、同じデータ又は互いに類似するデータを保持している複数のデータ提供者が存在する場合に、データ活用者は、評価データに基づいて、どのデータ提供者が提供した提供データを取得するかを選択することができる。従って、本変形例によれば、複数のデータ提供者間におけるデータの提供に関する競争が促進されるため、より精度が高いデータを各データ提供者が競うように提供すること、又はより活用しやすいデータを各データ提供者が競うように提供すること等が期待される。
【0086】
<変形例5>
本変形例は、複数のデータ提供者が存在する場合において、各データ提供者に対してインセンティブを分配する方法に関する。
本変形例に係る提供データ取得部210は、複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者から提供データを取得する。
本変形例に係る活用データ送信部220は、複数の提供データを用いて活用データを生成し、生成した活用データをデータ活用装置400に送信する。
本変形例に係るインセンティブ算出部310は、データの活用状況と、活用データに対する各データ提供者の寄与率とに基づいて、各データ提供者に対するインセンティブを算出する。インセンティブ算出部310は、複数のMaaS関連事業者の各MaaS関連事業者に対応する寄与率を、データ活用装置400における活用データの活用目的に応じて決定してもよい。
【0087】
各データ提供者が鉄道事業者である場合において、各データ提供者に対応する寄与率は、具体例として、各データ提供者についての、路線の長さと、駅の数と、列車の本数と、センサの数と、センサのバリエーション数と、センサのカバー率との少なくともいずれかに応じて決定される。ここで、あるセンサのカバー率は、当該あるセンサが探知可能な範囲である。また、都市部では各センサが探知する範囲が重複することが多いために各センサのカバー率が低下することが見込まれるが、郊外では各センサが探知する範囲が重複することが少ないために各センサのカバー率が高いことが想定される。
【0088】
以下、データ活用装置400のデータの活用目的に応じた寄与率の決定方法の具体例を説明する。
具体例として、データの活用目的がルート検索である場合において、インセンティブ算出部310は、各データ提供者が保有している路線の長さに応じて寄与率を決定する。この場合において、路線の長さが長いほど寄与率が高くなる。
【0089】
以上のように、本変形例によれば、活用データが複数のデータ提供者が関わるデータである場合に、インセンティブ算出部310は、活用データに対する各データ提供者の寄与率に応じて各データ提供者に対するインセンティブを算出する。従って、本変形例によれば、各データ提供者に対して比較的公平にインセンティブを提供することができる。
【0090】
<変形例6>
本変形では、インセンティブに対するデータ提供者の希望がインセンティブに反映される。
【0091】
本変形例に係る活用データには、活用データに対応するインセンティブの下限が設定されている。
本変形例に係るデータ流通管理装置200は、データカタログを管理する。データカタログは、各活用データに対応するミニマムインセンティブポイントを示すデータなどを管理する。ミニマムインセンティブポイントは、データ提供者が提供データの提供に対して要求するインセンティブの最小値に対応するポイントである。提供データに対応するインセンティブが、提供データに対応するミニマムインセンティブポイントを下回る場合に、通常はデータ提供者はデータ活用者に対して提供データを提供しない。
本変形例に係る活用データ送信部220は、データ活用装置400の利用者が活用データに対応するインセンティブの下限を許容する場合に活用データをデータ活用装置400に送信する。
以下、本変形例に係るデータ流通管理システム90の動作のうち、実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の動作との差異を主に説明する。
【0092】
(ステップS101)
提供データ送信部110は前述の処理を実行する。
ただし、データ提供者は、提供データを提供する際に、提供データのメタデータの一部においてミニマムインセンティブポイントを設定し、ミニマムインセンティブポイントを設定した提供データのメタデータをデータ流通管理装置200に送信する。
【0093】
(ステップS401)
データ活用者は、データの提供を依頼する際に、データ流通管理装置200が管理するデータカタログを参照し、データカタログが示すミニマムインセンティブポイントに基づいて活用データの提供を依頼するか否かを判断する。ここで、ある活用データに対応するミニマムインセンティブポイントが高いほど、当該ある活用データに対応するデータ提供者に与えられるインセンティブが高いため、当該ある活用データを活用するデータ活用者に課されるデータ使用料も高い。
【0094】
なお、「ミニマムインセンティブポイントがXポイント以下であればデータの提供を依頼する」といった意志をデータ活用者がデータ提供者に伝える等、ミニマムインセンティブポイントに関してデータ活用者がデータ提供者と交渉することができてもよい。また、データ提供者は、提示されたインセンティブに応じてミニマムインセンティブポイントを決定してもよい。
【0095】
<変形例7>
図11は、本変形例に係るデータ提供装置100のハードウェア構成例を示している。
データ提供装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11とストレージ13、あるいはプロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、データ提供装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0096】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
データ提供装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0097】
データ提供装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0098】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、データ提供装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
データ流通管理装置200とデータ価値算出装置300とデータ活用装置400との各々のハードウェア構成は、本変形例に係るデータ提供装置100のハードウェア構成と同様であってもよい。他の実施の形態に係る各装置についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
【0099】
実施の形態2.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0100】
***構成の説明***
図12は、本実施の形態に係るデータ流通管理システム90の構成例を示している。
図12に示すように、データ流通管理システム90はデータ価値算出装置300を備えない。また、データ流通管理装置200は、インセンティブ算出部310とデータ使用料算出部320とを備え、活用状況データ送信部240を備えない。
【0101】
***動作の説明***
本実施の形態に係るデータ流通管理システム90の処理フローは、データ流通管理装置200から活用状況データを送信する処理がなくなったこと以外は実施の形態1に係るデータ流通管理システム90の処理フローと同様である。
【0102】
***実施の形態2の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、データ流通管理装置200とデータ価値算出装置300とが一体的に構成されている。そのため、本実施の形態によれば、データ流通管理システム90において使用する装置の数を抑えることができ、また、装置間の通信による処理の遅延を削減することができる。
【0103】
実施の形態3.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0104】
***構成の説明***
図13は、本実施の形態に係るデータ流通管理システム90の構成例を示している。
本実施の形態では、
図13に示すように、実施の形態1においてデータ流通管理装置200が備えている提供データ記憶部291と活用データ送信部220との各々をデータ提供装置100が備える。
また、データ提供装置100は、データ流通管理装置200を介さず、P2P(Peer to Peer)を用いて活用データをデータ活用装置400に送信する。そのため、データ流通管理装置200の機能は、データ活用装置400から送信される活用状況データを管理する機能に限定されている。
なお、
図13に示す構成において、データをやり取りするデータ提供者とデータ活用者との組は無数に存在し得る。全ての組におけるデータのやり取りに対する耐改ざん性を保証するために、ブロックチェーン技術が用いられてもよい。
【0105】
実施の形態3では、データ提供装置100から提供されるデータをデータ流通管理装置200において記憶しないことに対処するために、活用状況データ取得部230は、活用状況データに加えて、活用データのメタデータをデータ活用装置400から取得する。活用データのメタデータが示す項目の具体例としては、作成者名と、ユーザー名と、編集者名と、作成日と、更新日と、保存場所と、サイズと、データ定義等が挙げられる。
【0106】
***動作の説明***
図14は、データ流通管理システム90の動作の一例を示すフローチャートである。
図14を用いてデータ流通管理システム90の動作を説明する。
【0107】
(ステップS161)
本ステップは、ステップS203と同様である。
【0108】
(ステップS162)
本ステップは、ステップS204と同様である。
【0109】
(ステップS261)
活用状況データ取得部230は、活用データのメタデータと、活用状況データとをデータ活用装置400から取得する。
【0110】
(ステップS262)
本ステップはステップS206と同様である。ただし、活用状況データ取得部230は、活用状況データに活用データのメタデータを対応付ける。
【0111】
(ステップS361)
本ステップは、ステップS301と同様である。
【0112】
(ステップS461)
活用状況データ送信部420は、ステップS403の処理を実行するほか、活用データのメタデータをデータ流通管理装置200に送信する。
【0113】
***実施の形態3の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、データ流通管理装置200が提供データ記憶部291を備える代わりに、データ提供装置100が提供データ記憶部291を備える。そのため、本実施の形態によれば、データ流通管理装置200において、提供データを記憶するストレージ分のコストを抑えることができる。
【0114】
***他の実施の形態***
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
また、実施の形態は、実施の形態1から3で示したものに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。フローチャート等を用いて説明した手順は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
11,21,31,41 プロセッサ、12,22,32,42 メモリ、13,23,33,43 ストレージ、14,24,34,44 通信インターフェイス、18 処理回路、90 データ流通管理システム、100 データ提供装置、110 提供データ送信部、200 データ流通管理装置、210 提供データ取得部、220 活用データ送信部、230 活用状況データ取得部、240 活用状況データ送信部、291 提供データ記憶部、292 活用状況データ記憶部、300 データ価値算出装置、310 インセンティブ算出部、320 データ使用料算出部、400 データ活用装置、410 活用データ取得部、420 活用状況データ送信部。