(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】進捗管理装置、進捗管理方法、及び進捗管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20250324BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
(21)【出願番号】P 2024573319
(86)(22)【出願日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2023022812
【審査請求日】2024-12-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 豪介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和樹
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219811(JP,A)
【文献】特開2006-195677(JP,A)
【文献】特開2005-208804(JP,A)
【文献】特開2000-322252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいて前記システム開発の進捗を管理する進捗管理装置であって、
前記システム開発におけるタスクであって、進行中のタスクである進行中タスクの担当者である対象担当者が前記進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する遅延リスク算出部
を備える進捗管理装置。
【請求項2】
前記遅延リスク算出部は、前記対象担当者が前記進行中タスクを実行した累積日数に対する、前記対象担当者が前記進行中タスクに対応する進捗を入力した累積日数の割合が遅延基準割合以下である場合に、前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあると判定する請求項1に記載の進捗管理装置。
【請求項3】
前記遅延リスク算出部は、前記システム開発において前記対象担当者が過去に実行完了したタスクにおける前記対象担当者による進捗の入力傾向と、前記進行中タスクにおける前記対象担当者による進捗の入力傾向との比較に基づいて前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する請求項1又は2に記載の進捗管理装置。
【請求項4】
前記入力傾向は入力頻度である請求項3に記載の進捗管理装置。
【請求項5】
システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいて前記システム開発の進捗を管理するコンピュータである進捗管理装置が実行する進捗管理方法であって、
前記進捗管理装置が、前記システム開発におけるタスクであって、進行中のタスクである進行中タスクの担当者である対象担当者が前記進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する進捗管理方法。
【請求項6】
システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいて前記システム開発の進捗を管理するコンピュータである進捗管理装置が実行する進捗管理プログラムであって、
前記システム開発におけるタスクであって、進行中のタスクである進行中タスクの担当者である対象担当者が前記進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する遅延リスク算出処理
を前記進捗管理装置に実行させる進捗管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、進捗管理装置、進捗管理方法、及び進捗管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システム開発などのプロジェクトにおいて、作業の進捗を管理する技術がある。
特許文献1は、プロジェクトに関するタスクの遂行を担当する担当者による作業を管理する作業管理装置を開示している。作業管理装置は、担当者関連情報に基づいて担当タスクについて進捗に遅延が生じている遅延タスクがあるか否かを判定し、遅延タスクがある場合に、タスク担当者に対して遅延が生じている旨を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システム開発などのプロジェクトにおいて、各担当者は、各担当者が担当するタスクの進捗を管理し、他の担当者との間でこまめに進捗を共有する必要がある。ここで、各担当者は、各担当者が担当するタスクの計画(実施期間など)と実施状況(進捗率など)などを公開することにより情報共有を行う。各担当者は、各担当者に影響があるタスクの進捗などに基づいて、各タスクに遅延が発生する可能性と、遅延の規模などを推定し、推定した遅延に迅速に対応する必要がある。
ここで、進行中タスクに対応する進捗が更新される頻度が相対的に低い場合において、進行中タスクには遅延リスクがあることが考えられる。しかしながら、特許文献1が開示している技術には、進行中タスクに対応する進捗が更新される頻度が相対的に低い場合において、進行中タスクに遅延リスクがあることが検知されないという課題がある。
本開示は、システム開発の進捗を管理する技術において、進行中タスクに対応する進捗が更新される頻度が相対的に低い場合において、進行中タスクに遅延リスクがあることを検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る進捗管理装置は、
システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいて前記システム開発の進捗を管理する進捗管理装置であって、
前記システム開発におけるタスクであって、進行中のタスクである進行中タスクの担当者である対象担当者が前記進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、前記進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する遅延リスク算出部
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、遅延リスク算出部が、対象担当者が進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する。従って、本開示によれば、システム開発の進捗を管理する技術において、進行中タスクに対応する進捗が更新される頻度が相対的に低い場合において、進行中タスクに遅延リスクがあることを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る進捗管理システム90の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る進捗管理システム90の運用を説明する図。
【
図3】実施の形態1に係る進捗管理システム90が備える各装置の構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る進捗入力フローの動作を示すフローチャート。
【
図5】実施の形態1に係る進行中タスクに対する入力実績計算フローを示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1に係る入力実績計算フローを説明する図。
【
図7】実施の形態1の変形例に係る進捗管理装置100のハードウェア構成例を示す図。
【
図8】実施の形態2に係る完了タスクに対する入力実績計算フローを示すフローチャート。
【
図9】実施の形態2に係る進行中タスクに対する入力実績計算フローを示すフローチャート。
【
図10】実施の形態2に係る入力実績計算フローを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0009】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る進捗管理システム90の構成例を示している。進捗管理システム90は、
図1に示すように、進捗管理装置100と、複数のユーザ端末200とを備える。進捗管理装置100と各ユーザ端末200とは、ネットワークを介して通信可能に接続している。進捗管理装置100とユーザ端末200とは適宜一体的に構成されていてもよい。
【0011】
進捗管理システム90は、具体例として、システム開発の試験工程において、各試験に対して必要な資源(作業人員及び計算リソースなど)を割り当てる機能を有し、各試験間の関係性に基づいて遅延などの影響を管理及び共有するシステムである。ここで、開発されるシステムはソフトウェアを含むシステムである。
進捗管理システム90において、複数の担当者の各担当者は、各担当者が担当するタスクの情報(実施期間及び進捗など)を入力及び管理する。タスクは、具体例として試験工程における各試験項目を指す。
進捗管理システム90において、各担当者は、各担当者の試験の開始前において、各担当者が担当するタスクの開始に影響がある他のタスクの実施状況を確認することができる。また、各担当者は、各担当者の試験の実施中において、各担当者が担当するタスクの実施状況が他の担当者のタスクに与える影響を確認することができる。
【0012】
進捗管理装置100は、各タスクに対応する進捗の入力実績(頻度)に基づいて各タスクの遅延リスクを検知する。あるタスクの遅延リスクは、当該あるタスクに遅延が生じるリスクである。あるタスクに遅延リスクがある場合に、当該あるタスクが事前の計画通りに完了しない可能性がある。進捗管理装置100は、システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいてシステム開発の進捗を管理する。
【0013】
ユーザ端末200は、各担当者が担当する各タスクに対応する進捗の入力と、各タスクに対応する進捗の確認とを各担当者が実行するための端末である。ユーザ端末200は、具体例としてPC(Personal Computer)又はタブレット端末である。
【0014】
図2は、進捗管理システム90の運用の具体例を説明する図である。以下、本例を説明する。進捗管理システム90において、試験工程を円滑に進めるために、各担当者は、試験に関する情報を入力し、入力された情報をつきあわせた結果を共有する。
まず、各担当者は、各担当者が担当する試験の情報を各ユーザ端末200に入力する。試験の情報は、具体例として、実施スケジュールと、進捗と、遅延又は遅延リスクとの各々を示す情報である。各ユーザ端末200は、入力された情報を進捗管理装置100に送信する。
次に、進捗管理装置100は、各ユーザ端末200から情報を受信し、受信した情報を分析し、分析結果を示す情報を各ユーザ端末200に送信する。
次に、各ユーザ端末200は、進捗管理装置100から情報を受信し、受信した情報を各ユーザ端末200の画面に表示する。本例において、各ユーザ端末200は、各タスク間の関係を有向グラフにより表示する。この際、各ユーザ端末200は、タスクT1に遅延リスクがあることと、タスクT4に遅延が発生したこととを表示する。
次に、各担当者は、各ユーザ端末200に表示された情報に基づいて、遅延及び遅延リスクに応じた計画修正の必要性などを検討する。
【0015】
図3は、進捗管理システム90が備える各装置の構成例を示している。
進捗管理装置100は、
図3に示すように、機能構成要素として、入力部110と、データ蓄積部120と、入力実績分析部130と、遅延リスク算出部140とを備える。
ユーザ端末200は、入力部210と、表示部220とを備える。
【0016】
入力部110は、計画入力部111と、進捗入力部112とを備える。
計画入力部111は、各タスクを実行する計画を示す情報を受け付ける。
進捗入力部112は、各タスクに対応する進捗を示す情報を受け付ける。
【0017】
データ蓄積部120は、計画入力部111と進捗入力部112との各々が受け付けた情報をストレージ13に適宜格納する。また、データ蓄積部120は、各タスクに対応する進捗の入力実績を示すデータを入力実績DB(Database)121に格納する。
具体例として、入力実績DB121は、各タスクに対応する進捗の入力回数を、各タスクの実施状況に関するデータとして保持する。入力実績DB121は、データ蓄積部120によって分析された各タスクに対応する進捗の入力操作がない期間を示す情報を、タスクの実施状況に関わる情報として保持してもよい。入力実績DB121が保持しているデータは、具体例として遅延リスクの算出などに利用される。入力実績DB121は、具体例としてストレージ13により実現される。
【0018】
入力実績分析部130は、進捗分析部131と、入力頻度分析部132とを備える。
進捗分析部131は、各タスクに対応する計画と進捗とを参照して、各タスクに対応する計画と進捗との差分を分析する。
入力頻度分析部132は、各タスクに対応する進捗が入力された頻度を分析する。入力頻度分析部132は、各タスクに対応する進捗の入力操作がない期間を分析してもよい。
【0019】
遅延リスク算出部140は、進行中タスクの担当者である対象担当者が進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する。進行中タスクは、システム開発におけるタスクであって、完了していないタスクであって、進行中のタスクである。具体例として、遅延リスク算出部140は、進捗分析部131と入力頻度分析部132との各々の分析結果に基づいて各タスクの遅延リスクを算出し、算出した遅延リスクを示すデータを各ユーザ端末200に向けて送信する。
遅延リスク算出部140は、対象担当者が進行中タスクを実行した累積日数に対する、対象担当者が進行中タスクに対応する進捗を入力した累積日数の割合が遅延基準割合以下である場合に、進行中タスクに遅延が生じるリスクがあると判定してもよい。遅延基準割合はどのように定められてもよい。遅延リスク算出部140は、進捗の総入力回数、進捗の入力ペース、進捗を入力した期間と進捗を入力していない期間との比率などから遅延リスクを検知してもよい。遅延リスク算出部140は、進捗の入力操作が一定期間なかった場合に遅延リスクがあると判定してもよい。
【0020】
入力部210は、担当者から各タスクに対応する進捗の入力を受け付ける。
表示部220は、進捗管理装置100から受信したデータを表示する。
【0021】
また、進捗管理装置100は、
図3に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14などのハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線を介して適宜接続されている。進捗管理装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
【0022】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
進捗管理装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
【0023】
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じてストレージ13に保存される。
【0024】
ストレージ13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。ストレージ13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及びストレージ13は一体的に構成されていてもよい。
【0025】
通信インタフェース14は、レシーバ及びトランスミッタである。通信インタフェース14は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0026】
ストレージ13は進捗管理プログラムを記憶している。進捗管理プログラムは、進捗管理装置100が備える各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。進捗管理プログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。進捗管理装置100が備える各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0027】
進捗管理プログラムを実行する際に用いられるデータと、進捗管理プログラムを実行することによって得られるデータなどは、記憶装置に適宜記憶される。進捗管理装置100の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、ストレージ13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データという用語と情報という用語とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及びストレージ13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0028】
進捗管理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。進捗管理プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
ユーザ端末200のハードウェア構成は、進捗管理装置100のハードウェア構成と同様であってもよい。
【0029】
***動作の説明***
進捗管理装置100の動作手順は進捗管理方法に相当する。また、進捗管理装置100の動作を実現するプログラムは進捗管理プログラムに相当する。
【0030】
図4は、進捗入力フローの一例を示すフローチャートである。
図4を用いて進捗入力フローを説明する。
【0031】
(ステップS101)
各担当者は、各担当者が担当するタスクに対応する進捗をユーザ端末200に入力する。この際、各担当者は、各タスクの進捗率を入力してもよく、各タスクに対応する試験項目を示すリストから実行完了した試験項目を選択してもよい。
入力部210は、入力された進捗を示す情報を進捗管理装置100に送信する。
【0032】
(ステップS102)
データ蓄積部120は、各タスクに対応する進捗の入力実績に基づいて各タスクに対応する進捗の入力回数を計測し、計測した入力回数を示すデータをタスク毎に入力実績DB121に保存する。
【0033】
図5は、進行中タスクに対する入力実績計算フローの一例を示すフローチャートである。
図5を用いて入力実績計算フローを説明する。以下、進行中タスクは、入力実績DB121に格納されているデータに対応する各タスクであり、進行中である各タスクである。
【0034】
(ステップS111)
入力頻度分析部132は、進行中タスクに対応する進捗入力がなされた日数を、作業日数で割った割合を進捗入力実績として算出する。
【0035】
(ステップS112)
ステップS111において算出した進捗入力実績が一定の割合よりも大きい場合、進捗管理装置100は本フローチャートの処理を終了する。それ以外の場合、進捗管理装置100はステップS113に進む。
【0036】
(ステップS113)
遅延リスク算出部140は、進行中タスクを示す情報に対して遅延リスクを示す情報を付与し、遅延リスクを示す情報が付与された進行中タスクを示す情報をユーザ端末200に向けて送信する。
【0037】
図6は、入力実績計算フローの具体例を示している。
遅延リスク算出部140は、進行中タスクに対応する進捗率の入力頻度が一定基準を満たしていない場合、進行中タスクに遅延リスクがあるものと判定する。ここで、進捗率が入力された日数の割合は入力頻度に当たり、一定基準は70%である。また、進行中タスクの担当者は進行中タスクに対応する進捗率を1日に1回入力するものとする。なお、担当者がある日に進捗率を複数回入力した場合において、当該ある日における進捗率の入力回数を1回とみなしてもよい。
本例において、現在は進行中タスクの開始から12日目であり、計11日間の過去の作業日のうち計7日間において進行中タスクに対応する進捗率が入力されたものとする。そのため、入力日数の割合は約64%であり、一定基準を満たしていない。従って、遅延リスク算出部140は進行中タスクに遅延リスクがあるものと判定する。ここで、進行中タスクに対応する進捗の入力が一定基準を満たしていない場合に、進行中タスクにおいて遅延の要因となる障害が発生している可能性があるものと考えられる。
なお、
図6において進捗率が入力された回数は7回である。遅延リスク算出部140は、7回という進捗率が入力された回数のみに基づいて遅延リスクの有無を判定してもよい。
【0038】
***実施の形態1の効果の説明***
本実施の形態によれば、ある担当者が担当するタスクに対応する進捗が入力されていない場合において、当該タスクに対応する進捗の入力頻度に基づいて当該タスクの遅延リスクが検出される。そのため、本実施の形態によれば、各担当者は、他の担当者が進捗を入力する頻度が低い場合であっても、各担当者が担当するタスクに対する遅延リスクを把握することができる。
【0039】
***他の構成***
<変形例1>
図7は、本変形例に係る進捗管理装置100のハードウェア構成例を示している。
進捗管理装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11とストレージ13、あるいはプロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、進捗管理装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0040】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
進捗管理装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0041】
進捗管理装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0042】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、進捗管理装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
他の実施の形態に係る進捗管理装置100についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
【0043】
実施の形態2.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
***構成の説明***
本実施の形態に係る進捗管理システム90の構成は、実施の形態1に係る進捗管理システム90の構成と同様である。
本実施の形態に係る入力頻度分析部132は、各担当者が完了させたタスクにおける各担当者による進捗の入力実績に基づいて、各担当者による進捗の入力傾向を分析する。進捗の入力傾向は、具体例として、進捗を入力する頻度、進捗を入力する時間帯、又は連続する2回の進捗入力の間隔の最大値である。
本実施の形態に係る遅延リスク算出部140は、システム開発において対象担当者が過去に実行完了したタスクにおける対象担当者による進捗の入力傾向と、進行中タスクにおける対象担当者による進捗の入力傾向との比較に基づいて進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する。入力傾向は、具体例として入力頻度である。具体例として、遅延リスク算出部140は、各担当者による進行中タスクに対応する進捗の入力傾向が各担当者によるこれまでの進捗の入力傾向よりも一定以上劣る場合に、各担当者が担当している進行中タスクに遅延リスクあるものと判定する。
【0045】
***動作の説明***
本実施の形態に係る進捗入力フローは、実施の形態1に係る進捗入力フローと同様である。以下、実施の形態1との差分を説明する。
【0046】
(ステップS102)
データ蓄積部120は、入力回数に加え、進捗が入力された日時など、入力頻度分析部132が用いる情報を適宜入力実績DB121に保存する。
【0047】
図8は、完了タスクに対する入力頻度計算フローの一例を示すフローチャートである。
図8を用いて入力頻度計算フローを説明する。完了タスクは、入力実績DB121に格納されているデータに対応する各タスクであり、実行完了した各タスクである。
【0048】
(ステップS201)
入力頻度分析部132は、完了タスクの実施期間を抽出する。実施期間は、具体例として作業日数である。
【0049】
(ステップS202)
入力頻度分析部132は、実施期間中における完了タスクに対応する進捗の入力回数を抽出する。
【0050】
(ステップS203)
入力頻度分析部132は、進捗入力頻度の指標として、ステップS202において抽出した進捗の入力回数を実施期間に対応する値で割った値を算出する。なお、進捗入力頻度の指標は、実施期間に対応する値を進捗の入力回数で割った値であってもよく、進捗の入力回数と実施期間に対応する値とに基づいてその他どのように算出した値であってもよい。
【0051】
(ステップS204)
入力頻度分析部132は、ステップS203において算出した指標を、完了タスクを実行した担当者に対応する進捗入力頻度データとして保持する。ここで、ある担当者に対応する進捗入力頻度データは、当該ある担当者が過去に実行完了したタスクにおける進捗入力頻度を示す。当該進捗入力頻度は、具体例として、当該ある担当者が過去に実行完了した全て又は一部のタスクにおける進捗入力頻度の平均値である。
【0052】
図9は、本実施の形態に係る進行中タスクに対する入力頻度計算フローの一例を示すフローチャートである。
図9を用いて入力頻度計算フローを説明する。
【0053】
(ステップS211)
入力頻度分析部132は、進行中タスクに対応する進捗率の入力回数を、進行中タスクに対応する実施期間に対応する値で割った値を算出する。進行中タスクに対応する実施期間は、具体例として進行中タスクの累積実施日数である。
【0054】
(ステップS212)
ステップS211において算出した値が進行中タスクを実行している担当者に対応する進捗入力頻度データが示す進捗率入力頻度を超えている場合、進捗管理装置100は本フローチャートの処理を終了する。それ以外の場合、進捗管理装置100はステップS113に進む。
【0055】
図10は、入力頻度計算フローを説明する図である。
図10において、左側に完了タスクに対応する進捗率の入力傾向が示されており、右側に進行中タスクに対応する進捗率の入力傾向が示されている。入力頻度分析部132は、これらの入力傾向に基づいて、進行中タスクに対応する進捗率の入力頻度が完了タスクに対応する進捗率の入力頻度よりも一定以上低いか否かを判定する。遅延リスク算出部140は、入力頻度分析部132の判定結果に応じて、進行中タスクに対する遅延リスクの有無を判定する。
具体例として、担当者AがタスクT1からタスクT3を完了させた後、タスクT4を実施している場合を考える。即ち、タスクT1からタスクT3の各々が完了タスクであり、タスクT4が進行中タスクである場合を考える。この場合において、具体例として、タスクT1からタスクT3において進捗の入力回数が1日に1回であったものの、タスクT4において進捗の入力回数が2日に1回である場合に、入力頻度分析部132は、タスクT4に対応する進捗の入力頻度が一定以上低いと判定する。その結果、遅延リスク算出部140は、タスクT4に遅延リスクがあるものと判断する。ここで、進行中タスクに対応する進捗の入力頻度が進行中タスクの担当者のこれまでの入力頻度よりも低い場合、進行中タスクにおいて遅延の要因となる障害が発生している可能性があるものと考えられる。
【0056】
***実施の形態2の効果の説明***
本実施の形態によれば、各担当者の過去の進捗入力傾向に応じて各担当者が担当する進行中タスクに遅延リスクがあるか否かを判定することができる。
【0057】
***他の実施の形態***
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
また、実施の形態は、実施の形態1から2で示したものに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。フローチャートなどを用いて説明した手順は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、18 処理回路、90 進捗管理システム、100 進捗管理装置、110 入力部、111 計画入力部、112 進捗入力部、120 データ蓄積部、121 入力実績DB、130 入力実績分析部、131 進捗分析部、132 入力頻度分析部、140 遅延リスク算出部、200 ユーザ端末、210 入力部、220 表示部。
【要約】
システム開発における各タスクの担当者によって入力された各タスクに対応する進捗に基づいてシステム開発の進捗を管理する進捗管理装置(100)は、遅延リスク算出部(140)を備える。遅延リスク算出部(140)は、システム開発におけるタスクであって、進行中のタスクである進行中タスクの担当者である対象担当者が進行中タスクに対応する進捗を入力した回数に基づいて、進行中タスクに遅延が生じるリスクがあるか否かを判定する。