(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】開閉角度調整可能な角型折畳みピンチハンガー
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20250325BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
D06F57/00 350
D06F57/12 A
(21)【出願番号】P 2024022417
(22)【出願日】2024-01-30
【審査請求日】2024-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年7月4日一般社団法人発明学会主催の「身近なヒント発明展」へ応募し公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524061286
【氏名又は名称】高梨 夏子
(72)【発明者】
【氏名】高梨 夏子
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-093794(JP,A)
【文献】特開2013-208198(JP,A)
【文献】特開2003-024695(JP,A)
【文献】実開昭57-202895(JP,U)
【文献】特開2012-024432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00,57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム軸に対して垂直に切断した際の断面が下向き凹状のコの字型のフレームを連結部材7a、7bで連結し、折畳むことが出来る、角型折畳みピンチハンガーであって、
向かって近い側に位置する前側長手方向の連結部材7aの左側フレーム21側底部には、片端に回動軸部44と他端に係止部材43を備えた長手形状の保持部材本体42と、それに沿うような形状で、前記回動軸部44を基軸に回動自在に支持された操作部材41を備えた保持部材4が、連結部材7aより5~10cm離れた位置で且つ前記回動軸部44を前記連結部材7aに向け、
着脱自在に取り付けられており、
向かって近い側に位置する前側長手方向の連結部材7aの右側フレーム22側底部には、前記操作部材41の先端の爪45を掛止するためのリブ5が、所定間隔で複数取り付けられており、
前記操作部材4においては、保持部材本体42の回動軸部から遠い側の端部に形成された係止部材43に操作部材41の先端の爪45を嵌合することで閉鎖固定され、係止部材43を下後方へ押し下げることで嵌合が外れ、操作部材41が保持部材本体42から閉鎖解除されることを特徴とする角型折畳みピンチハンガー。
【請求項2】
フレーム軸外底面部に、はしご式の外付け用掛止部材10を着脱自在に取り付けることによって前記リブを形成する請求項1記載の角型折畳みピンチハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は角型折畳みピンチハンガーに関し、詳細には折畳みピンチハンガーの開閉角度調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折畳みピンチハンガーにおいては、不使用時にはフレームを閉状態に折畳み、洗濯物を干す際にフレームを水平180度の全開状態に開き使用していた。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、洗濯物が乾かないうちにフレームを閉状態にしてしまうと、洗濯物同士が密着し生乾き臭発生の原因になってしまうため、洗濯物が完全に乾くまでフレームは水平180度の全開状態を維持し続けなければならなく、そのため特に大きいサイズの折畳みピンチハンガーにおいては、洗濯物を干すための相応のスペースを長時間独占してしまっていた。
【0005】
本発明が解決しようとしている課題は、洗濯物同士が接触しないよう間隔を保ちつつ、折畳みピンチハンガーの使用面積を干しスペースの広狭に合わせて変えることが出来る物干具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明によれば、連結部で折畳むことが可能な折畳み式の角型状のピンチハンガーにおいて、向かって近い側に位置する前側長手方向の中央にある連結部材7aの左側フレーム21側底部に、片端に回動軸部44と他端に係止部材43を備えた長手形状の保持部材本体42とそれに沿うような形状で且つ前記回動軸部44を基軸に回動自在に支持された操作部材41を有する保持部材4が、連結部材7aから5~10cm離れた位置で回動軸部44を連結部材7aに向けた状態で取り付けられており、連結部材7aの右側フレーム22側底部に所定間隔で取り付けられたリブ5の手前立上げ部に、前記操作部材41の先端の爪45を掛止するよう橋掛けし緊張状態を作る。それにより前記ハンガーの開閉角度を調整し維持固定する。
【0007】
本発明に関わる角型折畳みピンチハンガーは、対面するフレームの開閉角度を調整し固定することで、洗濯物と洗濯物が接触しないように間隔を確保しながら、折畳みピンチハンガーの使用面積を干しスペースに合わせ干し続けることが可能なため、物干しスペースを有効に利用することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、角型折畳みピンチハンガーの開閉角度を調整維持することで、洗濯物と洗濯物が接触しないよう間隔を保ちながら干しスペースの広狭に合わせ干し続けることが可能となるため、スペースを有効に利用出来、且つ洗濯物の間に風道が確保されることにより洗濯物同士の接触による生乾き臭を予防することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】折畳みピンチハンガー本体1の全開状態を示す正面図。
【
図2】折畳みピンチハンガー本体1の全開状態を示す底面図。
【
図3】折畳みピンチハンガー本体1の閉状態を示す正面図。
【
図4】折畳みピンチハンガー本体1に本発明を適応した状態の第1例を示す図。
【
図5】折畳みピンチハンガー本体1に本発明を適応した状態の第2例を示す図。
【
図8】フレーム側底部に一定間隔で隔壁状に取り付けられたリブ5を示す図。
【
図9】フレーム側底部に隔壁状に取り付けられたリブ5の拡大図。
【
図10】操作部材41がリブ5に掛止した状態を示す図。
【
図11】外部取付け用の掛止部材の第1例を示した図。
【発明を実施するための形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の折畳みピンチハンガー本体1の全開状を示した図である。図の紙面に向かって近い側に位置し、連結部材7aを挟んで左側フレーム21と右側フレーム22でなる長手方向を前側長手方向と呼び、図の紙面に向かって奥側に位置し、連結部材7bを挟んで左側フレーム23と右側フレーム24からなる長手方向を奥側長手方向と呼ぶこととする。
【0011】
図1は洗濯物を干す際の全開状態を示し、
図3は収納時や不使用時の閉状態を示す図である。従来の折畳みピンチハンガーの状態は前記2パターンに限られたものであったが、
図4に示すように、前側長手方向の左側フレーム21に取り付けられた保持部材4の操作部材41を対向する前側長手方向の右側フレーム22側底部に取り付けた複数のリブのいずれかに橋掛けさせることによって、数パターンのフレームの開閉角度を調整維持することが可能となり、干しスペースの広狭に合わせ洗濯物を干し続けることが出来る。
【0012】
図7は保持部材4の部品を示す図である。長手形状の保持部材本体42と回動自在な操作部材41はどちらも片端を回動軸部44で連結されており、操作部材41は、保持部材本体42の回動軸部から遠い側の端部に形成された係止部材43に操作部材41の先端の爪45を嵌合することで閉鎖固定される。また係止部材43を指で軽く下後方へ押し下げることで嵌合が外れ、操作部材41は保持部材本体42から閉鎖解除される。
【0013】
図1・
図3に示すよう保持部材4は、ピンチハンガーのフレームが全開状態時又は閉状態時においては役目を要しないため、保持部材本体42と操作部材41は係止部材43によって閉鎖固定可能となる。
【0014】
図8は、保持部材4が取り付けられ
たフレームと対向するフレームである前側長手方向の右側フレーム22側底部に一定間隔で取り付けられたリブ5を表した図であって、
図9は前記リブを拡大した図である。
【0015】
ピンチハンガーの本体フレームが、例えばプラスチックのように相当な強い力が加わることで破損したり、劣化により割れる可能性がある部材で作られている場合、
図8に示すリブ5は、本体フレームの強度を保持する役割を有するために前記保持部材4の取り付け箇所以外の長手方向、短手方向全てのフレーム側底部に所定間隔で複数取り付けることが好ましいが、フレームがステンレスやアルミのように強度に優れた部材で作られている場合はそれを必要としない。その場合はリブ5を、前記保持部材4を取り付けたフレームと対向するフレームにのみに取り付けることも出来る。
【0016】
従来、一般に主流のプラスチック製のピンチハンガーの構造は、フレーム軸に対して垂直に切断した際の断面が、下方が空いている凹の形をしており、強度を高めるために、凹部内側側底部に複数のリブを隔壁状に所定間隔で取り付けられている。本発明は、コスト削減や製造工程の煩雑化を防ぐ観点から、前記のような従来のプラスチック製折畳みピンチハンガーに元々取り付けられている隔壁状のリブをそのまま活かし、フレームの強度を高める役目と操作部材41を掛止する掛止部材の役目を兼務することを可能にしたものである。しかし現在普及されている多様な折畳みピンチハンガーのデザインに対応すべく、本発明のリブの役目を有する掛止部材は、隔壁状のリブに限られたものではなく、例えばステンレス製やアルミ製の凹部のない構造のフレームには、
図11で示すような、はしご式掛止部材10を洗濯物を挟むピンチの邪魔にならないように、フレーム軸外側面部やフレーム軸外底面部に外付し、部材や構造に対応した方法や構造を用いることも出来る。その際は保持部材も併せて外付けとなる。
【0017】
図10に示すように、前記操作部材41は対向するフレーム側底部に取り付けられたリブ5の手前立上げ部に掛止するよう橋掛けすることで、フレームの自重と洗濯物の重みにより緊張状態を作りフレームの角度を維持する。
【0018】
前記リブ5を何か所か備えることにより、固定角度の選択を増やすことが可能となる。
【0019】
図4は、前側長手方向の中央にある連結部材7aを挟んで対向する左側フレーム21と右側フレーム22に、操作部材41を橋掛けした状態であって本発明を適用した第1例を示す図である。
図5は、前記同様に本発明を適用した第2例を示す図である。これらの図に示したように、操作部材41が橋掛けられた状態からフレームの角度を変えたい時は、対向する左右のフレームを手で少し持ち上げるように開くことで、リブ5から操作部材の爪45が外れ、緊張状態を解除し、再度操作部材の爪45を他箇所のリブ5に掛止し直すことでフレームの角度を変えることが出来る。
【0020】
前記保持部材4においては、保持部材本体42を設けずに直接フレーム側底部に、回動軸部と連結部とを兼備した状態の操作部材41と、操作部材の爪45を係止するための係止部材43を取り付けることも可能ではあるが、フレームの部材によっては操作部材の緊張状態に耐えるだけの強度を持ち合わせず、フレームへの負担が大きくなってしまい破損に繋がる恐れがある。そのため操作部材と保持部材本体は一体化し且つ合成樹脂やステンレスなど、洗濯物の重さを支える強度を有する部材で形成されるのが好ましい。
【0021】
前記保持部材4は、右利きの人が左手でフレームをおさえ、右手で前記操作部材41を操作することを前提としているため、前側長手方向の左側に設けているが、左利きの人の利便性を考慮し前側長手方向の右側フレーム22側底部に設けることも可能である。
【0022】
前記保持部材4は、右利き左利き両者が利き手で容易に操作出来るよう、前側長手方向、後側長手方向共に、連結部材7a7bの左側のフレーム21・23側底部に設けることも可能である。即ちフレームを平面回転させ前側長手方向と後側長手方向を逆にすることによって、前記保持部材4が、前側長手方向連結部の左側にも右側にも向けることが可能となる。
【0023】
前記保持部材4は、フレームを平面回転させ前側長手方向と後側長手方向が逆になったとしても、常に前記保持部材4が前側長手方向連結部の左側に位置するように、フレーム21・24側底部の両側に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 折畳みピンチハンガー本体
21 前側長手方向の左側フレーム
22 前側長手方向の右側フレーム
23 後側長手方向の左側フレーム
24 後側長手方向の右側フレーム
3 短手方向フレーム
4 保持部材
41 操作部材
42 保持部材本体
43 係止部材
44 回動軸部
45 爪
5 リブ
6 フック
7a 前側長手方向フレームの連結部材
7b 後側長手方向フレームの連結部材
8 ワイヤー
9 ピンチ
10 外付け用掛止部材
【要約】
【課題】狭く限られた干しスペースであっても洗濯物と洗濯物の間に風道を確保しつつ、スペースの広狭に合わせ干し続けることを可能とする利便性に優れたピンチハンガーを提供する。
【解決手段】角型折畳みピンチハンガーにおいて、向かって近い側に位置する前側長手方向の中心の連結部材7aを挟んで左側のフレーム21側底部に長手形状の操作部材41を持ち合わせた保持部材4を取り付け、他側フレーム22側底部に前記操作部材41を掛止するためのリブ5を複数設けた折畳みピンチハンガーであって、前記操作部材41の先端の爪45を、前記リブ5のいずれか1つに橋掛けすることで、緊張手段によってフレームが自重で下方に閉じないよう保持し、複数の開閉角度を固定維持する。
【選択図】
図4