IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 福田 正和の特許一覧

<>
  • 特許-粒子分析装置 図1
  • 特許-粒子分析装置 図2
  • 特許-粒子分析装置 図3
  • 特許-粒子分析装置 図4
  • 特許-粒子分析装置 図5
  • 特許-粒子分析装置 図6
  • 特許-粒子分析装置 図7
  • 特許-粒子分析装置 図8
  • 特許-粒子分析装置 図9
  • 特許-粒子分析装置 図10
  • 特許-粒子分析装置 図11
  • 特許-粒子分析装置 図12
  • 特許-粒子分析装置 図13
  • 特許-粒子分析装置 図14
  • 特許-粒子分析装置 図15
  • 特許-粒子分析装置 図16
  • 特許-粒子分析装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】粒子分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1429 20240101AFI20250325BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
G01N15/1429 200
G01N15/1429 300
G01N21/05
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024141641
(22)【出願日】2024-08-05
【審査請求日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2023186002
(32)【優先日】2023-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523409566
【氏名又は名称】福田 正和
(72)【発明者】
【氏名】福田 正和
【審査官】寺田 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-315799(JP,A)
【文献】特表2006-504970(JP,A)
【文献】国際公開第2009/147931(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/1492
G01N 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検粒子を含む試料液をシース液と共にフローセル内にシースフローを形成する流体手段と、
フローセル内を流れる被検粒子にレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、
被検粒子から発する散乱光や蛍光を受光する光検出器と、
を備えた粒子検出部と、
前記光検出器で受光した光の強度や時の特性に基づいて撮像の可否を判断する信号処理装置と、
前記粒子検出部の下流側に撮像すると判断された被検粒子の静止画像を光源としてLEDを発光時間の半値幅が10~100ナノ秒以下でパルス発光させてデジタルカメラで撮像する撮像手段と、
撮像された被検粒子像の画像処理を行う画像処理手段を備える、粒子分析装置。
【請求項5】
光検出部の側方散乱光、蛍光の対物レンズと撮像用の対物レンズが同じである様に構成されている、請求項に記載の粒子分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローサイトメーターに粒子撮像機能を備えた粒子分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フローサイトメーターは、粒子や細胞を含む試料溶液をシース液と共に細く絞ってフローセル内にシースフローを形成する。この試料溶液にレーザー光を照射し粒子や細胞から発する散乱光や蛍光を受光し解析する。このフローサイトメーターに粒子や細胞の透過像や蛍光像を撮像する機能を備える粒子分析装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-134093
【0004】
【文献】特開平05-142137
【0005】
【文献】特開2017-116558
【0006】
【文献】特開2023-036596
【非特許文献】
【0007】
【文献】カタログ「AImageStream▲R▼X Mark II」、メルク株式会社、P2~P15
【0008】
【文献】宮崎 英一,岡本 研正:超高輝度LEDを用いたパルス光源の試作とその応用,計測自動制御学会論文集,Vol32,No.3,306/312(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
粒子を含む試料溶液をシース液と共に細く絞ってシースフローを形成する。
このシースフロー中の試料溶液流(サンプル流)にレーザー光を照射して粒子個々から発する散乱光や蛍光(緑色蛍光、赤色蛍光等)を解析する。解析される粒子は数百個から数十万個に及び、散乱光強度や緑色蛍光、赤色蛍光の粒度分布や散布図を描いてクラスター分類を行う。この技術をフローサイトメーターと言う。この技術は、血液中の血球や尿中の赤血球、白血球や上皮細胞等を計数、分析する臨床検査装置に応用されている。しかしながら、この技術は細胞凝集や濃度が低い粒子は判別が難しい。そこで、フローサイトメーターに粒子の静止画像を撮像する機能を備えた装置が望まれている。本発明は、フローサイトメーターに、レーザーを通過後に散乱光や蛍光の条件から特定の粒子に撮像用の光を照射して撮像する機能を備えた粒子分析装置で、安価で高画質の粒子分析装置を提供する。
【0010】
フローサイトメーターは、微小な粒子の散乱光や蛍光を精度良く測定する為と分析容量を確保する為にサンプル流は細く、早く流す必要がある。実際にそのサンプル流は、毎秒数メートルから数十メートルで流れている。この高速で流れるサンプル流中の粒子、細胞を撮像する為に光源としてナノ秒単位の発光時間の光源が必要である。一般的にはパルスレーザーが用いられる。パルスレーザーは、発光時間が数ナノ秒から数十ナノ秒と短く高い光強度を持ち高速で流れる粒子や細胞の静止画像を捉えることができる。しかし、レーザー光はコヒーレント性(coherent、可干渉性)が高く干渉縞が生じ綺麗な画像が得られ難い。
【0011】
特許文献1は、パルスレーザー光のコヒーレンス性を低下させて粒子を撮像する発明がある。この発明の実施例では光ファイバーを利用した方法で、パルスレーザー光を光ファイバーに通すことによりコヒーレンス性を低下し干渉縞の発生を低くする。しかしながら、この発明はレーザー光を光ファイバーに精度良く入射すること必要である。更に光ファイバーから出射した光を成形して均一に照明する必要があり画像が暗くなってしまう欠点がある。又、レーザー光は単色であるのでカラー撮像する為には複数のレーザーと光ファイバーが必要である。
【0012】
特許文献2は、パルスレーザーの代わりにキセノンフラッシュランプ等のインコヒーレント(incoherent、非干渉性)の光源で撮像する。比較的に発光時間が長い光源を利用する、その工夫としてカメラの前に高速で応答の出来るゲート機能付きイメージインテンシファイヤ(Image Intensifier)を入れて、露光時間を短く、画像を明るくして、干渉縞の無い鮮明な静止画像を得る発明がある。これは、イメージインテンシファイヤが高価であり、カラーで撮像する為には光を分岐して複数のイメージインテンシファイヤとカメラを設けることが示されていて複雑で高価である。
【0013】
他に、非特許文献1は、動く物体を撮像する目的で開発されたTDIカメラ(Time Delay Integration Camera)を用いる商品がある。これは、フローセルを流れる試料溶液に連続発振するレーザー光を照射し粒子がレーザー光を横切りながら発する散乱光、蛍光を対物レンズで受光してTDIカメラの受光センサー上に結像して静止画像データを作成することが出来る。更に、画像解析して粒子の散乱光強度や蛍光強度を算出して二次元のスキャッタグラムが作成される。しかしながら、TDIカメラが高価であることや分光に用いるフィルターが複雑で高価である。
【0014】
更に、特許文献3特許文献4は、フローサイトメーターで測定後に流速を遅くして撮像する発明がある。この方法は、流速を遅くして撮像するのでフラッシュランプで撮像ができる。しかし、発光時間がマイクロ秒単位のキセノンフラッシュランプで撮像できるまで十分に流速を落とす必要があり、フローセルの流路が大きく、長くなりこととフローセル保持具が複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シースフローのサンプル流にレーザー光を照射し細胞や粒子からの散乱光や蛍光を集光、解析するフローサイトメーターに、解析後の結果から特定条件の細胞・粒子を選択的に撮像する粒子分析装置に関するものである。本発明は、撮像する光源としてインコヒーレントなLEDを用いる。更にLEDのパルス発光時間は、半値幅は10~100nsecであること特徴としている。
【0016】
LEDは連続光で発光させるか、発熱により故障や色調が変わるのを抑える目的で、数ミリから数百ミリ秒の発光時間でパルス発光させるのが一般的である。その為、フローサイトメーターで流れる細胞の撮像に用いられていない。
【0017】
本発明の撮像の光源に用いるLEDは、コンデンサーに数百ボルトで蓄積した電気をスイッチングトランジスターでLEDに瞬間的に流すことで大きな光強度と短いナノ秒単位の発光時間が得られる。このようにして、電荷をコンデンサーに充電し瞬間的に流すことで大きな光強度と短い発光時間が得られ、LEDを壊すことなく安定な光源として使用できる(非特許文献2)。
【0018】
今仮に、毎秒5m(メートル)で流れる試料流中の直径7μm(マイクロメートル)の例えば赤血球を発光時間1.0μsec(マイクロ秒)のキセノンフラッシュランプで撮像すると、発光時間中に5μm(マイクロメートル)の画像の振れを発生して7μm(マイクロメートル)の赤血球は綺麗な静止画像が得られない。しかし、LEDを発光時間80nsec(ナノ秒)以下でパルス発光させると画像の振れは僅か0.4μm(マイクロメートル)以下で綺麗な静止画像が撮像できる。ここでの画像の振れは、発光時間内に粒子が移動する距離Lで、発光時間t×粒子速度s=移動距離Lで計算できる。
【0019】
ここでは、LEDのパルス発光の発光時間は、パルス発光波形(時間と強度)のピーク値の半値幅の2倍と定義して計算する。よって、発光時間80nsecは、半値幅が40nsecとなる。
【0020】
撮像に用いるLED光源の発光時間は、短いほど振れが少なく綺麗な画像が得られる。しかしながら、発光時間が短くなると電荷を蓄えるコンデンサーの容量が小さく、発光強度も弱くなり撮像できる画像も暗くなる。そこで、比較的に早い流速毎秒20mでも振れ0.4μmとなる20nsec(半値幅10nsec)をパルス発光時間の下限値とした。更に、上限の200nsec(半値幅100nsec)は販売されているキセノンフラッシュランプの下限領域である。発光時間が、半値幅が100nsecを超える場合はキセノンフラッシュランプを用いれば良い。
【0021】
本発明において、フローサイトメーター用のレーザー光源の光軸と撮像用の光源の光軸を垂直にすることによって、それぞれの光源のレンズ系や対物のレンズ系を近くに配置することが出来てフローセルの流路を短くできる。
【0022】
本発明に用いるフローセルのサンプルの流路は、散乱光や蛍光を集光、解析する領域は一辺が100から数百ミクロンの四角い穴が空いていて、この領域から下流側に数ミリから数十ミリ離れた位置から四角い穴の一方向に徐々に広がり持つ物を採用すれば、層流を保ったまま流すと粒子を含む試料溶液は横に広がり薄くなって流れる。このフローセルを用いると試料中の粒子の焦点位置が安定し綺麗な像が撮像できる。
【0023】
本発明において、フローサイトメーターの側方散乱光、蛍光を受光する対物レンズと撮像を行う対物レンズに同じ物を用いる様に配置する。そうすると、粒子分析装置の光学検出部を簡素化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明において、撮像する光源としてナノ秒単位でパルス発光するLEDを用いると以下の効果が得られる。
(1)LEDは、インコヒーレントな光を発して干渉縞の少ない画像を撮像することが出来る。
(2)表面実装型のLEDを用いると狭い面積に複数個並べて発光させることが出来て、輝度強度を増すことが出来る。
(3)粒子像は、モノクロ画像やカラー画像を容易に撮像することが可能である。モノクロ画像は、LEDは単色LEDを採用しモノクロカメラを採用する。
カラー画像は、LEDに白色LEDかRGBの3色のLEDを用いて、カラーカメラを採用する。更に、照明系を落射照明系を採用すれば透過画像と同時に蛍光画像も撮像できる
(4)LEDは小型であるので、撮像用の照明系を小型化でき、フローサイトメーター用のレーザー光源の光軸と撮像用の光源の光軸を垂直に配置することができ、それぞれの光源のレンズ系や対物のレンズ系を近くに配置することが出来てフローセルの流路を短くできて光学検出部を小型化とコストを抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施形態1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明のLED21を発光させる電源の回路図である。
図3】実施形態1のLED21と照明系22を含むケーラー照明の構成図である。
図4】実施形態1のケーラー照明以外の照明の構成図の例である。
図5】本発明の粒子分析装置における各信号のタイミングを説明するための図である。
図6】この発明の実施形態2の構成を示すブロック図である。
図7】この発明の実施形態2のフローセル8の図面の上面図である。
図8】この発明の実施形態2のフローセル8の図面の正面図である。
図9】この発明の実施形態2のフローセル8の図面の右側面図である。
図10】この発明の実施形態2のフローセル8の図面の下面図である。
図11】この発明の実施形態3の構成を示すブロック図である。
図12】この発明の実施形態3に用いるダイクロイックミラー61の分光透過率特性である。
図13】この発明の実施形態3に用いる光源LED21の発光スペクトルである。
図14】この発明で実施形態4の構成を示すブロック図である。
図15】この発明の実施形態4に用いる光源LED64の発光スペクトルである。
図16】この発明の実施形態4に用いるダイクロイックミラー62の透過特性である。
図17】この発明の実施形態4で、細胞がレーザー光を通過した時の模式図である。
【発明を実施する為の形態】
【0026】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態について、図1図5に基づいて説明すると以下のとおりである。
【0027】
図1は粒子分析装置の光学検出部100、信号処理装置31とマイクロコンピュータ33で構成され、各信号と画像データの流れを示すブロック図である。
【0028】
この粒子分析装置の光学検出部100には、フローサイトメーター(粒子検出部)、撮像系(撮像部)と流体部で構成している。粒子検出部は、フローセル4と、半導体レーザー1と、レーザー光を絞るコンデンサーレンズ2と、前方散乱光を集光する集光レンズ5と前方散乱光を受光するホトダイオード6と、側方散乱光と蛍光を集光する対物レンズ11と、側方散乱光と蛍光を分光するダイロイックフィルター12、13、14と、側方散乱光と蛍光を受光する受光素子15、16、17で構成されている。撮像部は、光源のLED21と、照明系22と、ミラー23と、フローセル4と、撮像用の対物レンズ24と、デジタルカメラ25で構成されている。流体部は、試料ノズル3と、図中では省略しているが試料溶液36とシース液35を流す流体系も含まれる。
【0029】
粒子を含む試料溶液36は、予め希釈や染色されている。試料溶液としては、大きさの異なる複数種類の細胞を含む生体試料であればよく、例えば、尿、血液、体腔液、子宮頸部組織等であってもよい。又は、人工の粒子であっても良い。
【0030】
試料溶液36は、フローセル4内に試料ノズル3から吐出されると同時にシース液35で流体的に細く絞られてシースフローを形成する。細く流れる試料溶液流(サンプル流)36に半導体レーザー1から発したレーザー光をコンデンサーレンズ2で絞って照射する。この半導体レーザー1は、連続発振しており波長405nm(ナノメートル)、488nmや633nmを用いる。これらの波長は、波長488nmはアルゴンイオンレーザーと同じで、波長633nmはHeNeレーザーと同じでフローサイトメーターでは最も多く使われている。このレーザー光をサンプル流中の細胞や粒子が通過する際に前方散乱光、側方散乱光や蛍光を発生する。レーザー光と同じ方向に発生した散乱光は前方散乱光と呼ばれ粒子の大きさ情報を反映する。側方散乱光は、レーザー光の垂直方向に発生した光で細胞内の核や顆粒などの内部情報を反映する。蛍光は、細胞内の染色度合を反映しレーザー光の迷光が少ない側方で受光する。
【0031】
前方散乱光は、集光レンズ5で集光してホトダイオード6で受光して電気信号41に変換されて信号処理装置31に送られる。又、レーザー光と垂直方向に発生した側方散乱光と蛍光は、対物レンズ11で集光されダイクロイックフィルター12、13、14で側方散乱光、緑蛍光や赤蛍光等に分光されて受光素子15、16、17で受光して電気信号に変換されて信号処理装置31に送られる。尚、受光素子15、16、17は、感度が高い光電子増倍管(ホトマル)やアバランシェホトダイオードを用いる。
【0032】
信号処理装置31に送られた前方散乱光信号41、側方散乱・蛍光信号42は、予め設定された基準に基づいて撮像するか否か判断される。撮像と判定された粒子は、撮像領域に達するとLEDの電源回路のトリガー信号入力端子115へLED発光トリガー信号43を送りパルス発光させると同時にデジタルカメラ25で撮像する。このデジタルカメラ25は、CCDカメラ又はCMOSカメラを用いる。撮像枚数を増やしたい場合は、フレームレートが高いCMOSカメラを用いる。又、シャッターは任意のタイミングで撮像できるグローバルシャッターのデジタルカメラ25を用いる。LED21で発したパルス光を粒子に均一に照明する為に照明系22で照明を行う。
【0033】
モノクロ画像を撮像する場合は、LED21は単色LEDを用い、デジタルカメラ25はモノクロカメラを用いると安価で画質が高い。モノクロ画像が、画質が高いのは、色収差の影響が少なく画素分解能が高い為である。カラー画像を撮像する場合は、LED21は白色LEDを用いるか赤色、緑色、青色の3個のLEDを用いる、デジタルカメラ25はカラーカメラを用いる。
【0034】
図2は、光源LED21を含む電源回路を示す。LED21は可視光や赤外光で高出力用を用いる。高電圧直流電源113から電気抵抗112を通じてコンデンサー111にパルス駆動用電荷を充電する。その後、LED発光トリガー信号43をトリガー信号入力端子115へ入力によりスイッチングトランジスター114が導通状態となり、これを通してコンデンサー111に蓄えられた電荷が放電する。この放電によりLED21をナノ秒単位の発光時間で高輝度にパルス発光させることができる。
【0035】
図3は、光源であるLED21と照明系22を含む照明装置の構造図である。照明装置は、ケーラー照明を構成している。ケーラー照明は、顕微鏡の照明として用いられる方式で均一な照明が出来る。構成は、LED21、コレクターレンズ52、フィルター53、視野絞り54、窓レンズ55,開口絞り56とコンデンサーレンズ57である。照明強度は開口絞り56の絞り径で調整可能であり、粒子に照射する面積は視野絞り54で調整可能である。更に、照明する波長帯を変更するのはフィルター53で変えることが可能である。波長帯を変えるとは、カラー画像では色合いを変えることを意味する。この図では、LED21は説明の為に一般的に知らで示している砲丸型で描いているが表面実装型を用いても良い。又、輝度を高くする為に表面実装型を複数個用いる場合もある。
【0036】
この発明では、照明装置は性能の高いケーラー照明で説明している。しかし、コストダウンの為に図4に示す様にLED21とレンズ51で構成されるものでも良い。LED21で発した光は、レンズ51で平行光にされ粒子に照射される。
【0037】
LED発光トリガー信号46をONもしくはプルアップするタイミングとデジタルカメラ25を露光状態にするタイミングの制御について、図5に基づいて説明する。粒子検出部から得られる前方散乱光信号41や側方散乱・蛍光信号42から、粒子がフローセル4のレーザー光を通過したことを前方散乱光か側方散乱・蛍光光の粒子信号の終わり44を検知し、時間Tm1の間に撮像すると判断されデジタルカメラ25にカメラシャッタートリガー信号46が送られてデジタルカメラは露光状態となる。次に、上記半導体レーザー光1に対して、下流方向(図中では上側)の位置にある撮像部領域に粒子が到達するとLED発光トリガー信号43を送り、LED21を発光させる。パルス発光時間は半値幅10~100ナノ秒以下で発光し粒子像をデジタルカメラのセンサー上に結像する。撮像された画像データは、マイクロコンピュータ33に送られて保存、画像処理が行われる。
【0038】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図6図10に基づいて説明する。
【0039】
図5に示す様に、実施形態1のフローセル4の代わりにフローセル8を採用する。図7~10にフローセル8の図面を示す。フローセル8は、セル部9とチャンバー部10で構成されている。セル部9とチャンバー部10の内面は、シースフローが乱れなく形成されるようにスムーズに接合されている。散乱光や蛍光を集光、解析するフローサイトメーター系は一辺が百ミクロンから数百ミクロンの四角い穴が開いていて、レーザー照射位置から下流側に数ミリから数十ミリ離れた位置から穴は一方向に徐々に広がり持つ物を採用すれば、層流を保ったまま流すと粒子を含む試料溶液は横に広がり薄くなって流れる。このことにより、試料中の粒子の焦点位置が安定し綺麗な像が撮像できる。
【0040】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図11図13に基づいて説明する。
【0041】
図11に示す様に、粒子の透過像を撮像する実施形態1に蛍光画像を撮像する機能を加えた物である。蛍光画像を撮像する為に照明方法は、迷光の少ない落射照明を形成している。光源のLED21は、図12に示す様に蛍光を発生させる励起光として優位な青色の波長帯の物を用いる。LED21から発した照明光(励起光)は、ミラー23とダイクロイックミラーと対物レンズ63を通ってフローセル4を流れる試料溶液36に照射される。粒子から発した蛍光は、再び対物レンズ63で集光し、とダイクロイックミラー61で蛍光の波長帯のみが反射されてデジタルカメラ26のCMOSセンサー上に結像して蛍光画像が撮像される。図13は、ダイクロイックミラー61の透過特性を示す。このグラフで、透過率が500nm付近の長波長側から低下して代わりに反射率が増加する。ここに用いるLED21やダイクロイックミラー61の分光特性は、一例で限定するものではない。
【0042】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図1図14図17に基づいて説明する。
【0043】
実施形態1と異なる点は、実施形態1(図1)の側方散乱光と蛍光を集光する集光レンズ5と画像を捉える対物レンズ11が一つになって図14に示される対物レンズ63となっている。
【0044】
実施形態を実現する為の条件を図14で説明する。散乱光や蛍光の受光に迷光とならない様に図9中のLED64の発光波長は、図15のグラフに示す様に波長700nm以上でピークを持つ。次に、ダイクロイックミラー62は図16のグラフに示す様に波長700nm付近から透過率が低下してLED64の光のみを反射する。更に、デジタルカメラ25の入射窓(フィルター)と対物レンズ63は波長800nm付近まで透過率が高い物を用いる。
【0045】
図17は、フローサル4を流れる試料溶液流36中の細胞がレーザー光を通過した直後の模式図である。対物レンズ63の視野(点線)が図12に示す様に十分に広いものを採用すれば、散乱光・蛍光を受光する集光レンズと撮像する対物レンズを一体化できる。
【符号の説明】
【0046】
1:半導体レーザー、2:コンデンサーレンズ、3:試料ノズル、4:フローセル、5:集光レンズ、6:ホトダイオード、8:フローセル、9:セル部、10:チャンバー部、11:対物レンズ、12、13、14:ダイクロイックフィルター、15、16、17:受光素子、21:LED、22:照明系、23:ミラー、24:対物レンズ、25:デジタルカメラ、26:デジタルカメラ、31:信号処理装置、32:表示部、33:マイクロコンピュータ、35:シース液、36:試料溶液流(サンプル流)、41:前方散乱光信号、42:側方散乱・蛍光信号、43:LED発光トリガー信号、44:粒子信号の終わり、46:カメラシャッタートリガー信号、51:レンズ、52:コレクターレンズ、53:フィルター、54:視野絞り、55:窓レンズ、56:開口絞り、57:コンデンサーレンズ、61:ダイクロイックミラー、62:ダイクロイックミラー、63:対物レンズ、64:LED、100:光学検出部、111:コンデンサー、112:電気抵抗、113:高電圧直流電源、114:スイッチングトランジスター、115:トリガー信号入力端子。
【要約】
【課題】フローサイトメーターに静止画像撮像機能を備えた粒子分析装置において、高速で流れる粒子を高品質で撮像できる粒子撮像方法を提供する。
【解決手段】LED21、レンズ系22とミラー23、フローセル4、対物レンズ24とデジタルカメラ25で撮像系を形成している、このLED21はインコヒーレントな物を用い、ナノ秒単位の発光時間でパルス発光させることにより高画質の画像を撮像する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17