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特許7654265一体型多段濾過システムを有する丸鋸装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】一体型多段濾過システムを有する丸鋸装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20250325BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20250325BHJP
   B23D 45/02 20060101ALI20250325BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
B23D47/00 A
B23Q11/00 M
B23D45/02 D
A47L9/16
【請求項の数】 1
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115355
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2018511096の分割
【原出願日】2016-08-31
(65)【公開番号】P2022165981
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】62/212,372
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518062299
【氏名又は名称】ジェイピーエル グローバル,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JPL Global,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グース,ポール,ダブリュ.
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-002084(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0192262(US,A1)
【文献】特開平10-006131(JP,A)
【文献】特開2013-119127(JP,A)
【文献】特表2018-528869(JP,A)
【文献】特開平09-052226(JP,A)
【文献】特開2005-014309(JP,A)
【文献】実開平03-039510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00
B27B 17/00
B27G 19/02
B23Q 11/00
B23D 45/02
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸装置において、
真空源と、
複数のフィルタと、
丸鋸刃と、
前記丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを具える作業台とを具え、
前記真空源が、前記作業台の下の前記中央スロットに第1の負圧と、補助ポートを介して前記丸鋸刃のブレードガード内に第2の負圧とを提供するように構成され、
前記複数のフィルタは、第1の負圧及び第2の負圧によって吸引される浮遊ダストを収集するように構成され、
前記第1の負圧及び前記第2の負圧によって吸引される浮遊ダストは、前記複数のフィルタのうちの前記真空源とは別に設けられたサイクロンフィルタである第1のフィルタによって捕捉される第1の浮遊ダストと、前記複数のフィルタのうちの前記真空源とは別に設けられたサイクロンフィルタである第2のフィルタによって捕捉される第2の浮遊ダストとを含み、
前記第1の浮遊ダストは、前記第2の浮遊ダストとは異なり、
前記補助ポートが、前記丸鋸刃のブレードガード上に配置されており、前記ブレードガード内の浮遊ダストが、前記第2の負圧によって前記補助ポートに向かって引き込まれ、
前記作業台の下の中央スロットで前記第1の負圧によって収集された浮遊ダストが、前記第1の負圧によって収集された浮遊ダスト専用の第1のフィルタに送られ、前記ブレードガード内の浮遊ダストが、前記第2の負圧によって収集された浮遊ダスト専用の第2のフィルタへと向けられることを特徴とする鋸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、「一体型多段濾過システムを有する丸鋸装置」と題された2015年8月31日に出願された米国仮特許出願第62/212372号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の開示は、一般的に集塵に関し、より詳細には、多段濾過システムを介して丸鋸装置内における集塵を容易にすることに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電動鋸を使用する際の、加工物の切断に起因する浮遊ダストおよび粒子状物質の放出は問題である。呼吸によるこのようなダストの吸引に伴う健康障害は特に問題となっている。ダストが流体に取り込まれて、保持領域へと向けられるブレードカッティングエッジに水を適用する湿式切断装置の開発は、ダスト除去に対する1つの解決策である。ほとんどの湿式切断方式は比較的良好に機能するが、廃水による汚染および環境問題といったさらなる問題を引き起こす。例えば、従来のレンガおよびタイルの切断機は、通常、カッティングヘッドに水を供給するポンプ付の水槽またはウォータパンを有する。鋸で切断している間、水が鋸切断領域の周りに撒かれ、分散する。したがって、この水は垂れ落ちたり、跳ね返ったり、溢れ出る可能性があるため、実際にレンガおよび/またはタイル設置がされている部分の近くに電動鋸を配置できない。このため電動鋸と設置領域との間を行き来するのにユーザはかなりの時間を費やすことになる。
【0004】
このことから、ダストが環境中に漏れ出るのを防ぐ乾式操作による電動鋸が望ましい。上述の欠点は、単に従来のシステムのいくつかの問題点の概要の提示をするためのものであり、上述の欠点が包括的なものであるとは意図していないことに留意すべきである。現状における他の問題および非限定的な種々の実施形態の対応する利益は、以下の詳細な説明を検討することにより更に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
ここでは、より詳細な説明および添付の図面に記載した例示的で非限定的な実施形態の様々な態様の基本的または一般的な理解のため、簡略化した概要を提供する。しかしながら、この概要は、広範囲または包括的な概要を意図していない。この概要の唯一の目的は、いくつかの例示的で非限定的な実施形態に関連するいくつかの概念を、以下に述べる様々な実施形態のより詳細な説明の序章として単に提示することにある。
【0006】
1またはそれ以上の実施形態および対応する開示によれば、集塵システムに関連する様々な非限定的な態様が記載されている。その一態様には、集塵を容易にする装置が開示されている。この実施形態において、装置は、真空源と、丸鋸刃と、丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを有する作業台とを具える。ここで、中央スロットは、丸鋸刃と加工物との間における予想される接触点近傍に空気流路を具える。次いで、この真空源は、空気流路を介して作業台の下に集中的な負圧を提供するよう構成されている。
【0007】
集塵を容易にする別の装置がさらなる態様において開示されている。この実施形態において、装置は、真空源および多段フィルタを具えるハウジングを具える。この装置は、丸鋸刃と、丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを具える作業台とを更に具える。ここで真空源は、作業台の下の中央スロットに負圧を提供する構成となっており、多段フィルタは、中央スロットに近接する領域からこの負圧によって引き込まれた浮遊ダストを収集するよう構成されている。
【0008】
更に別の態様では、真空源と、丸鋸刃と、作業台とを具える集塵を容易にする装置が開示されている。この実施形態では、作業台が、丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを具えており、真空源は、作業台の下の中央スロットに第1の負圧を提供するように構成されている。次いで、真空源は更に、補助ポートを介して第2の負圧を提供するように構成されている。
【0009】
他の実施形態および様々な非限定的な例、シナリオおよび実装例を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
様々な非限定的な実施形態を添付の図面を参照して更に説明する。
図1図1は、多段濾過システムを介して浮遊ダストの除去を容易にした本明細書の一態様による例示的な装置を示すブロック図である。
図2図2は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムを有する例示的な装置を示す第1の概略図である。
図3図3は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムを有する例示的な装置を示す第2の概略図である。
図4図4は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムおよびブレードガード真空インレットを有する例示的な装置を示す第1の概略図である。
図5図5は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムおよびブレードガード真空インレットを有する例示的な装置を示す第2の概略図である。
図6図6は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムおよびブレードガード真空インレットを有する例示的な装置を示す第3の概略図である。
図7図7は、本明細書の一態様による、一体型多段濾過システムを有する装置の例示的な使用の時間経過を示す図である。
図8図8は、本明細書の一態様による、一体型多段濾過システムを有する装置の例示的な使用の時間経過を示す図である。
図9図9は、本明細書の一態様による、一体型多段濾過システムを有する装置の例示的な使用の時間経過を示す図である。
図10図10は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムを有する装置内の例示的なダスト経路を示す第1の図を示す。
図11図11は、本明細書の一態様による一体型多段濾過システムを有する装置内の例示的なダスト経路を示す第2の図を示す。
図12図12は、本明細書に記載の一態様による一体化した延在部分を伴う例示的な装置を示す第1の概略図である。
図13図13は、本明細書に記載の一態様による一体化した延長部分を伴う例示的な装置を示す第2の概略図である。
図14図14は、本明細書に記載の一態様による例示的なチョップソーの構成を示す第1の概略図である。
図15図15は、本明細書に記載の一態様による例示的なチョップソーの構成を示す第2の概略図である。
図16図16は、本明細書に記載の一態様による例示的なテーブルソーの構成を示す第1の概略図である。
図17図17は、本明細書に記載の一態様による例示的なテーブルソーの構成を示す第2の概略図である。
図18図18は、本明細書に記載の一態様によるブレード冷却を容易にする例示的な装置の側面図である。
図19図19は、本明細書に記載の一態様によるブレード冷却を容易にする例示的な装置の平面図である。
図20図20は、本明細書に記載の一態様によるブレード冷却を容易にするルーバを有する例示的な装置の側面図である。
図21図21は、本明細書に記載の一態様による例示的なルーバインサートの様々な態様を示す図である。
図22図22は、本明細書に記載の一態様による例示的なブレードスタビライザの概略図である。
図23図23は、本明細書に記載の一態様による例示的なダストトレイを示す概略図である。
図24図24は、本明細書に記載の一態様によるダストトレイ上の例示的なオープンダスト閉じ込めバッグを示す概略図である。
図25図25は、本明細書に記載の一態様によるダストトレイ上の例示的なオープンダスト閉じ込めバッグを示す側面図である。
図26図26は、本明細書に記載の一態様によるダストトレイ上の例示的なクローズダスト閉じ込めバッグを示す概略図である。
図27図27は、本明細書に記載の一態様によるオープンダスト閉じ込めバッグを有する装置に挿入した例示的な取り外し可能ダストトレイを示す概略図である。
図28図28は、本明細書に記載の一態様によるクローズダスト閉じ込めバッグを有する装置に挿入された例示的な取り外し可能ダストトレイを示す概略図である。
図29図29は、本明細書に記載の態様による装置から取り外された例示的な取り外し可能ダストトレイを示す概略図である。
図30図30は、本明細書に記載の態様によるブレードガードダストの例示的な迂回経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示された様々な実施形態は、多段濾過システムを介した丸鋸装置内の集塵に関する。図1には、本明細書の態様による一体型多段濾過システムを有する例示的な装置のブロック図が示されている。図示するように、装置100は、ハウジング110と、作業台120と、丸鋸刃130とを具えており、ハウジング110は、更に真空源112と多段フィルタ114とを具えている。以下の残りの図を参照してより詳細に説明するように、作業台120は、丸鋸刃130に軸方向に整列した中央スロットを具える旨が考慮されている。次いで使用中に真空源112が、作業台120の下の中央スロットに負圧を提供するよう構成されており、多段フィルタ114が、中央スロットの近接領域から負圧により引き込まれる浮遊ダストを収集するように構成されている。
【0012】
様々な構成の装置100が考慮されており、本明細書に開示されている。例えば、考えられる第1の構成では、作業台120が、ハウジング110上でスライドするように構成されている(例えば、図2図10を参照)。この特定の実施形態では、作業台120の下の中央スロットに負圧を提供することに加え、真空源112は、丸鋸刃130のブレードガード内の領域にも負圧を提供する。ここで、図示するように、多段フィルタ114は、作業台120の中央スロット近傍のダストに加え、丸鋸刃130のブレードガード内から引き込まれる浮遊ダストを収集するように構成されている。
【0013】
チョップソー構成の装置100も考慮されている(例えば、図14図15を参照)。この実施形態では、作業台120は静止しており、丸鋸刃130が、回転可能なアームに連結されている。使用中、回転可能なアームは加工物上に降りて、作業台120の中央スロットに近傍のダストが、真空源112により提供される負圧によって多段フィルタ114に向けて再び引き込まれる。
【0014】
本開示の別の態様では、テーブルソーの構成も考慮されている(例えば、図16図17を参照)。この実施形態では、丸鋸刃130は、ハウジング110から作業台120の中央スロットを通って突出している。使用中は、加工物が丸鋸刃130に対して押し付けられ、作業台120の中央スロット近傍のダストが、真空源112によって供給される負圧によって多段フィルタ114に向けて再び引き込まれる。
【0015】
〔例示的なスライド式作業台の実施形態〕
作業台がスライド式テーブルである、ここに開示された鋸装置の例示的な実施形態を更に詳細に説明する。例えば図2および図3では、本開示の一態様によるこのような装置の第1および第2の概略図がそれぞれ提示されている。図示するように、鋸装置200は、作業台220に連結されたハウジング210と、丸鋸刃230とを具えており、作業台220は、レール222を介してハウジング210の上をスライドするように構成されている。この実施形態の場合、図示するように、作業台220は、丸鋸刃230と軸方向に整列した中央スロット226内で互いに戦略的に離間させた複数のルーバ224により、2つに分けられている。更に、丸鋸刃230は、ソーモータ234によって駆動され、アーム236を介してハウジング210にしっかりと固定されている。安全のため、ブレードガード232を設けてもよい。
【0016】
ハウジング210に関しては、多段フィルタを具えることが考えられる。ここで、例えばこのような多段フィルタは、サイクロンフィルタ216に連結された回転可能なフィルタ217を具えることができる。回転可能なフィルタ217に取り付けられた真空源212は、回転可能なフィルタ217およびサイクロンフィルタ216を通る空気流を作るように構成されている。使用中に作業台220がハウジング210上をスライドする際、この空気流が、中央スロット226直下に負圧を提供し、中央スロット226近傍のダストが、ルーバ224を通ってフィルタに向かって引き込まれ、次いでダスト容器213内に収集される。
【0017】
本開示の一態様では、ルーバ224が塞がれている場合、中央スロット226の下の吸引力は減少することに留意されたい。実際、相当数のルーバ224が(例えば、大きな加工物により)塞がれている場合、このような閉塞により、ダストを回収するには吸引力が不足することになる。その結果、ダストは、中央スロット226の下に引き込まれるのではなく、望ましくはなく作業台220の上に残ったままとなる。
【0018】
この問題を回避するには、図4図6の構成が考えられ、ここでは真空源212によってできた空気流が、ブレードガード232内の領域に更に広がる。特に、導管235の一端はブレードガード232上の真空インレット233内に挿入され、導管235の他端はハウジング210上の真空ポート218に連結される。このような実施形態では、中央スロット226の下の吸引力が不十分な場合、ダストは、その後ブレードガード232内から真空インレット233に向かって引き込まれる。ブレードガードでは、ダストは、導管235を通って進み、次いでハウジング210内のフィルタを通過する。
【0019】
次に図7図9を参照すると、これらの図は、本明細書の態様による、装置200の例示的な使用の時間経過を示す。特に、図7はt=tにおける装置200の断面を示しており、図8は、t=tにおける装置200の断面を示し、そして図9は、t=tにおける装置200の断面を示している。ここでは、t<t<tである。図示されているように、t=tにおいて、ブロック270は、丸鋸刃230から離れて作業台220上に置かれる。t=tにおいて、作業台220は、丸鋸刃230に向かって動き、これにより、ブロック270が丸鋸刃230と接触した際にダストを発生させる。ここで、丸鋸刃230は反時計周りに回転しており、真空源212(図示せず)が作業台220の下に負圧をつくることで、粉塵の軌道は実質的に下向きとなる。作業台220が丸鋸刃230に向かって更にスライドし続けると、その際、重い破片用シュート215上の特定の組のルーバ234を介してダストが回収される。例えば、図示するように、ダストは、t=tでルーバ234の第1の組を通過し、t=tでルーバ234の第2の組を通過する。
【0020】
尚、装置200の特定のパラメータは、必要に応じて変更して、様々な性能特性を提供しおよび/または様々なタイプの加工物(例えば、異なる材料、異なる寸法など)を切断することができる。例えば、図示するように、重い破片用シュート215および各ルーバ234は、ダスト粒子がルーバ234を通して「跳ね返る」のを避けるため、角度付けされている。しかしながら、特定の実施形態では、ルーバ234がレバーに連結されていてもよく、そのレバーにより、ルーバ234を特定の範囲の角度(例えば、30°から45°の間)になるように均一に調整できる。また、他の様々なパラメータ、例えば、ルーバ234の各々の間隔、丸鋸刃230の1分間当たりの回転数(RPM)および/または真空源212によって提供される吸引力を含むパラメータも調整することができる。
【0021】
先に述べたように、本明細書に開示された態様は、複数のフィルタのいずれかを介してダストを収集するシステムを提供する。ここでは、例えば、ルーバ234を通って引き込まれたダストが移動する例示的な経路が図8乃至図11に提供されている。図示するように、ルーバ234を通って引き込まれた重い破片は、重い破片用シュート215を通って重い破片区画240内へと落ちるが、軽いダスト粒子は、サイクロンフィルタ216の方へ引っ張られる。これらの軽いダスト粒子は、サイクロンフィルタ216の上方を進むため、一部のダストはサイクロン粒子区画250内に引き込まれ、一方で微細なダスト粒子は回転可能なフィルタ217に向かって進み続ける。
【0022】
図示するように、特定の実施形態では、回転可能なフィルタ217が、円筒形の表面の周りに複数のひだ部を有する円筒形フィルタ媒体である。回転可能なフィルタ217は、回転可能なフィルタ217の内部で側方仕切り壁に固定されたフィルタクリーニングフラップ218を更に具えており、このフィルタクリーニングフラップ218は、フィルタクリーニングノブが回転するとひだ部に接触する。更に、回転可能なフィルタ217が回転すると、フィルタクリーニングフラップ218がひだ部からダストを除去し、除去されたダストは、微細粒子区画260へと落ちる。
【0023】
図示するように、ダストは、真空インレット233を介して引き込むこともできる。先に述べたように、真空インレット233には、導管235の第1の端部を挿入することができ、一方でハウジング210上の真空ポート218には、導管235のもう一方の端部を接続できる。中央スロット226の下の吸引力が不十分である場合、ダストは真空インレット233に向かって引き上がられ、次いで導管235を通り、続いてハウジング210内のフィルタを通過する。
【0024】
本開示の別の態様では、真空の流れの損失を最小にする態様が考慮されている。例えば、図12および図13に示すように、装置200は、空気流路に沿って延在部219を具えるような構成であってもよい。そのような実施形態では、延在部219は、集塵スロットの各端部に配置されており、ルーバ224と連通することができる。作業台220が丸鋸刃230に向かってスライドすると、これらの延在部219は、ルーバ224の先行する組を連通させ(plug off)、作業台220の下における真空流損失を最小にする。
【0025】
〔例示的なチョップソーの実施形態〕
次に図14および図15を参照すると、本明細書に開示された態様によるチョップソー構成の概略図が示されている。図示するように、チョップソー装置300は、作業台320に連結されたハウジング310と、丸鋸刃330とを具えており、作業台320は、ハウジング310上の静止テーブルとして構成されている。図示するように、この実施形態では、装置200の作業台220と同様に、作業台320は、軸方向に丸鋸刃330と整列した中央スロット326を具える。しかしながら、丸鋸刃330は回転アーム336に取り付けられており、ブレードガード332上のハンドル331を使って、使用中に丸鋸刃330を上下させる。
【0026】
装置300のハウジング310に関して、その中の構成部品は、装置200のハウジング210の対応する構成部品と実質的に同じであることは自明である。例えば、ハウジング310は、サイクロンフィルタ316に連結された回転可能なフィルタ317を有する多段フィルタを具えており、回転可能なフィルタ317に取り付けられた真空源312も、回転可能なフィルタ317およびサイクロンフィルタ316を通る空気流を作り出す構成である。使用中、この空気流は、ダストが中央スロット326を通ってフィルタに向かって引き込まれ、続いてダスト容器313内に収集されるよう中央スロット326の直下に負圧を提供している。特に、重い破片は、中央スロット326を通って引き込まれ、重い破片シュート315を通ってダスト容器313に落ちるが、より軽いダスト粒子は、サイクロンフィルタ316に向けて引っ張られる。これらのより軽いダスト粒子が、サイクロンフィルタ316上方を移動すると、いくらかのダストが、ダスト容器313内に引っ張られ、一方で、より微細なダスト粒子は、回転可能なフィルタ317に向かって進み続ける。
【0027】
しかしながら、中央スロット326を介してダストを引っ張ることに加えて、装置300は、図示するように、ダストをスコップ323に向かって引き戻す構成となっている。したがって、真空源312は、中央スロット326およびスコップ323の両方を通して吸引力を提供する。このため、スコップ323を通って引き込まれたダストは、真空ポート318を通ってフィルタへと進む。ここで、スコップ323は、ブラシまたは指状の材料で構成されてもよいことは自明である。図示するように、フェンス321を具えてもよい。
【0028】
〔例示的なテーブルソーの実施形態〕
次に図16および図17を参照すると、本明細書に開示された態様によるテーブルソーの構成の概略図が提供されている。図示するように、テーブルソー装置400は、作業台420に連結されたハウジング410と、丸鋸刃430とを具えており、この作業台420は、ハウジング410上の静止台として構成されている。この実施形態では、装置200の作業台220と同様に、作業台420は、図示するように、丸鋸刃430と軸方向に整列した中央スロット426を具える。しかしながら、丸鋸刃430は、作業台420の中央スロット426を通って突出している。更に、丸鋸刃430およびソーモータ434は、作業台420の下でブレードハウジング432内に収容され、ブレードハウジング432は、実質的にハウジング410内にある。
【0029】
尚、ハウジング410の残りの構成部品に関し、これらの構成部品が、装置200のハウジング210の対応する構成部品とほぼ同じである。例えば、ハウジング410は、多段フィルタを更に具えており、この多段フィルタは、サイクロンフィルタ416に連結された回転可能なフィルタ417を具えており、回転可能なフィルタ417に取付けられた真空源412は、ここでも回転可能なフィルタ417およびサイクロンフィルタ416を通る空気流を生成するように構成されている。使用時に、この空気流は、中央スロット426直下に負圧を提供し、ダストが中央スロット426を通ってフィルタへと引き込まれ、次いでダスト容器413に収集される。特に、中央スロット426を通って引き込まれた重い破片は、重い破片シュート415を通ってダスト容器413へと落ちる。一方でより軽いダスト粒子は、サイクロンフィルタ416の方へと引っ張られる。これらのより軽いダスト粒子がサイクロンフィルタ416の上を移動すると、一部のダストは、ダスト容器413へと引き込まれ、より微細なダスト粒子は、回転可能なフィルタ417の方へとそのまま進む。
【0030】
〔例示的なブレード冷却の態様〕
次に図18乃至図22を参照すると、これらには、本明細書に開示される様々なブレード冷却の態様が示されている。このため、「ドライカット」を使用する間に丸鋸刃を冷却することが、最適な性能を達成し、ブレードが損傷する可能性を低減するのに特に望ましいことは自明である。本明細書に記載の態様によるブレード冷却を容易にする例示的な装置の側面図および平面図が、図18および図19にそれぞれ示されている。また、装置500は、上述の装置100、200、300および400とほぼ同じであり、装置500の個々の構成部品は、装置100、200、300および400の個々の構成部品と実質的に同じであることは理解されたい。図示するように、装置500は、真空源512と、丸鋸刃530と、作業台520とを具えており、この作業台520は、丸鋸刃530と軸方向に整列した中央スロット526を具える。ここで、中央スロット526は、丸鋸刃530と加工物570との間の予想される接触点532の近傍に空気流路527を具える。したがって、真空源512は、この空気流路527を介して作業台520の下に集中した負圧528を提供するように構成されている。
【0031】
丸鋸刃530と加工物570との間の予想される接触点532と空気流路527とを適切に整列させることで、丸鋸刃530が顕著に冷却されることがわかった。すなわち、丸鋸刃530は、使用中に予想される接触点532で非常に熱くなることがあるため、集中した負圧528を利用して、予想される接触点532で丸鋸刃530を冷却するのが特に望ましい。
【0032】
スライド式作業台が使用されている実施形態では、他の構成が考えられる。図20には、ルーバを利用してブレード冷却を容易にしたスライド式作業台を有する例示的な装置の側面図が示されている。ここで、装置600は、上述の装置200とほぼ同じであり、装置600の個々の構成部品もまた、装置200の個々の構成部品とほぼ同じである。図示するように、装置600は、真空源612と、丸鋸刃630と、作業台620とを具えており、この作業台620は、丸鋸刃630と軸方向に整列した中央スロット626を具える。ここで、中央スロット626は、丸鋸刃630と加工物670との間の予想される接触点632の近接に空気流路627を具える。したがって、真空源612は、空気流路627を介して、作業台620の下に集中した負圧628を提供するように構成されている。
【0033】
しかしながら、この特定の実施形態では、作業台620が、丸鋸刃630に向かってスライドするような構成となっており、中央スロット626は、空気流路627を別個に形成する複数のルーバ624を具える。更に、作業台620が丸鋸刃630に向かってスライドする際、複数のルーバ624のうちのどれが予想される接触点632に近接しているかにより、空気流路627は順次変化する。
【0034】
本開示の一態様では、集中した負圧628の大きさは、空気流路627の開口サイズに反比例する。したがって、個々のルーバ624間のギャップを小さくすることにより、集中した負圧628は大きくなる。この大きさを切り換えるためには、様々なサイズの取り外し可能なルーバインサートを使用することが考えられる。例えば、図21は、本明細書の態様による例示的なルーバインサートの様々な態様を示す。符号700に示すように、インサート680をルーバ624上に配置することにより、ルーバ624間のギャップ625が小さくなる。すなわち、図示するように、インサートギャップ幅は、ルーバギャップ幅よりも小さい。
【0035】
更に、符号710および720は、このギャップサイズの縮減を示しており、符号710は、インサート680なしの作業台620を示し、一方で符号720は、インサート680を有する作業台620を示す。図示するように、インサート680を使用することにより、ギャップ625のサイズを縮小することに加え、空気流路627に対応する特定のギャップも小さくなる。したがって、符号720における空気流路627での集中した負圧628は、符号710の空気流路627における集中した負圧628よりも大きい。
【0036】
本開示の更なる態様では、丸鋸刃は、不安定であると過熱する可能性がより高いことがわかった。したがって、使用中のぐらつきを最小にして、丸鋸刃を安定させる様々な態様が考えられる。特に考えられる態様では、図22に示すように、ブレード安定化ローラを丸鋸刃に連結させるようにした。このような実施形態では、図示するように、丸鋸刃830が、ブレードガード832内に収容されており、アーバシャフト830およびブレード安定化ローラ835に連結されている。使用中、アーバシャフト830が回転し始め、これにより丸鋸刃830が回転する。丸鋸刃830が加工物と接触すると、ブレード安定化ローラ835が、丸鋸刃830を整列させしっかり保持し、そのまま刃が回転し続けるようにする。したがって、丸鋸刃830はより安定し、ぐらつきの影響を受けにくいものとなるため、丸鋸刃830はより過熱しにくくなる。
【0037】
〔例示的な多段フィルタの態様〕
上述のように、先の装置200のような、多段フィルタを使用する様々な態様が考えられる。特定の実施形態では、真空源および多段フィルタを具えるハウジングを具えた装置を開示している。この装置は、丸鋸刃と、丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを具える作業台とを更に具える。ここで、真空源は、作業台の中央スロットの下に負圧を提供するように構成されており、多段フィルタは、中央スロットに近傍の領域から負圧によって引き込まれた浮遊ダストを収集するように構成されている。
【0038】
一部の国では、本明細書に開示された装置から実際にダストを除去することが難しい。したがって、図23乃至図26に示すように、様々な態様の取り外し可能で特殊なダストトレイが考えられ、図27乃至29の、装置200内にこのダストを示す。図示するように、取り外し可能なダストトレイ900は、多段フィルタの下に配置することができ、取り外し可能なダストトレイ900は、複数の個別の区画910、920および930を具え、多段フィルタの各ステージは、取り外し可能なダストトレイ900内に対応する区画(例えば、微細粒子区画260、サイクロン粒子区画250および重い破片区画260の下に)を有する。図示するように、取り外し可能なダストトレイ900は、更に、引き紐1010およびワッシャ1020を具えた少なくとも1つのダスト閉じ込めバッグ1000を収容するように構成してもよい。取り外し可能なダストトレイ900を装置200内に挿入したまま引き紐1010を引っ張ることにより、ユーザが装置200から取り外し可能なダストトレイ900を取り外す前に、収集されたダストをすべて密閉することができる。
【0039】
〔例示的な補助ポートの態様〕
上述したように、前述の装置200のような、補助ポートを利用する様々な態様が考えられる。特定の実施形態は、真空源、丸鋸刃および作業台を具えた装置を開示している。この実施形態では、作業台は、丸鋸刃に軸方向に整列した中央スロットを具えており、真空源は、作業台の中央スロット下に第1の負圧を提供するように構成されている。更に真空源は、補助ポートを介して第2の負圧を提供するように構成されている。
【0040】
いくつかの構成では、異なるダスト経路を介してダストを迂回させることが望ましい。例えば、図30は、本明細書に記載の態様によるブレードガードダストの例示的な迂回経路の概略図である。ここでは、3つのサイクロンフィルタ1116が、中央スロット1126で収集されたダストを受けるためのものであるのに対して、第4のサイクロンフィルタ1117は、ブレードガード1132から支持アーム1136を通して頂部のダストの収集用である。このことにより、必要に応じてブレードの背面に一定の真空を供給する。
【0041】
本明細書において、「例示的」という用語は、例、事例、または説明目的のために使用する。疑念を払うと、本明細書で開示された内容は、そのような例に限定されない。更に、本明細書において「例示的」として記載された任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計に対して好ましいまたは有利であると解釈されるものではなく、当業者に既知の同等の例示的な構造および技術を除外するものでもない。更に、「具える」、「有する」、「含む」および他の同様な用語が、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、疑念を払うと、そのような用語は、任意の追加の要素または他の要素を除外することなく、オープントランジションワードとしての用語「具える」と同じであり、包括的であることを意図する。
【0042】
上述のシステムは、いくつかの構成部品間の相互作用に関する説明である。このようなシステムおよび構成部品が、これらの構成部品または特定の従属部品、いくつかの特定の構成部品または従属部品および/または追加の構成部品を具えることができ、上述の様々な変更および組合せに従うことは理解されるべきである。従属部品は、親の構成部品内に含まれるのではなく、別の構成部品に結合された構成部品としても利用可能である(階層型)。更に、1または複数の構成部品は、集約機能を提供する単一の構成部品内に組み込むか、またはいくつかの別個の従属部品に分割することができ、更に任意の1または複数の中間層を提供し、それらを従属部品に連結して集約機能を提供できることに留意すべきである。また、本明細書に記載される任意の構成部品は、本明細書に具体的に記載されてはいないが、当業者に一般的に既知の1または複数の別の構成部品と相互作用することもできる。
【0043】
上述の例示的なシステムを考慮すると、開示された内容に従って実施され得る方法は、様々な図を参照して理解できる。説明を簡単にするため、一連の工程として当該方法を説明しているが、開示された内容が、当該工程の順序に限定されてはおらず、一部の工程は、異なる順序および/または本明細書に記載された他の工程と同時に起こる可能性があることは理解されたい。更に、開示したすべての工程が、以下に説明する方法の実施に必要とされるわけではない。
【0044】
様々な図の例示的な実施形態に関連して様々な実施形態を説明したが、別の類似の実施形態を使用してもよく、そこから逸脱せずに同じ機能を発揮するため、開示された実施形態に変更および追加を加えてもよいことは理解されたい。したがって、本発明は、何らかの単一の実施形態に限定されるべきではない。
図1
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