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特許7654315情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250325BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06F3/12 315
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2025019970
(22)【出願日】2025-02-10
【審査請求日】2025-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524124927
【氏名又は名称】Docurain株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-120020(JP,A)
【文献】特開2010-191635(JP,A)
【文献】特開2004-102587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得する変動対象設定情報取得部と、
文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、
前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、
前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、
を含む表計算データである対象表計算データを取得する対象表計算データ取得部と、
前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、
前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、
前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成する表計算データ処理部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記表計算データ処理部は、
前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報に基づいて、前記対象表計算データから前記複数の固定対象を削除した表計算データである固定削除済表計算データを生成し、
前記固定削除済表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、
前記変動対象表計算データを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記表計算データ処理部は、前記文字列タグ情報と、前記図形タグ情報が関連づけられた前記第2の変動対象と、を前記対象表計算データから削除した表計算データである台紙表計算データを生成する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記変動対象設定情報の前記入力対象データは、文字列を示す文字列データを含み、
前記対象表計算データは、前記文字列データが示す文字列が入力され得る少なくとも一つのセルで構成される入力領域である前記第1の変動対象を含み、
前記文字列タグ情報は、前記入力領域それぞれに入力され、
前記表計算データ処理部は、
前記固定削除済表計算データにおける前記文字列タグ情報が入力された前記入力領域それぞれに対して、前記文字列タグ情報に基づいて前記文字列データを入力し、
前記文字列データを含む前記印字画面を表示するための前記変動対象表計算データを生成する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記変動対象設定情報の前記入力対象データは、前記所定の図形に関する図形関連データを含み、
前記図形タグ情報は、前記所定の図形の表示態様に関する条件を含み、
前記表計算データ処理部は、
前記固定削除済表計算データにおける前記第2の変動対象に対して、前記図形タグ情報と、前記図形関連データと、に基づいて、前記条件に応じた前記所定の図形の表示態様に関する処理を実行し、
前記設定位置または前記第2の変動対象に対して、前記所定の図形の表示態様に関する処理が実行された結果を反映した前記変動対象表計算データを生成する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記対象表計算データに含まれる前記複数の固定対象のうちの所定の固定対象を前記変動対象設定情報に基づき特定可能な表示態様識別情報に基づいて、前記所定の固定対象を、当該対象表計算データまたは前記台紙表計算データから削除するか否かを特定する表計算データ生成部をさらに備える、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得することと、
文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、
前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、
前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、
を含む表計算データである対象表計算データを取得することと、
前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、
前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定して、
前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得することと、
文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、
前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、
前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、
を含む表計算データである対象表計算データを取得することと、
前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、
前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定して、
前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用表計算ソフトウェアにより顧客帳票を生成する帳票出力システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-157124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の帳票出力システムは、帳票の固定項目として設定されたセルと、固定項目として設定されていないセルとにより構成された顧客帳票情報を取得する。帳票出力システムは、顧客帳票情報を取得した場合、固定項目として設定されたセル(例えば項目名などの固定の文言が設定されるセル)の背景を緑色に彩色し、固定項目として設定されていないセル(例えば個人名などの可変の文言が設定されるセル)の背景を黄色に彩色する色分け処理を実行する。帳票出力システムは、色分け処理を実行されたセルの彩色に基づき固定文言と可変文言とを判定することにより、固定文言および可変文言を適切にデータベースに登録することが可能となる。
【0005】
ところで、表計算ソフトウェアを用いた帳票などを印刷する商用印刷では、セルの入力内容が変化しない固定部分(文字列や図形など)と、入力情報に応じてセルの入力内容が変化する可変部分とを分けて印刷することが求められている。これは、例えば帳票のような印刷対象が、通常、固定部分の表示領域の広さが可変部分の表示領域の広さよりも広く構成されていることから、固定部分と可変部分とを一つのデータとして印刷するよりも、固定部分と可変部分とを分けた上で、印刷スピードが速い印刷機で固定部分を印刷し、当該固定部分が印刷された台紙に可変部分を印刷する方が、印刷の処理速度を高めることができるためである。しかし、特許文献1に記載の帳票出力システムでは、固定文言と可変文言とを判別するものであり、固定文言と可変文言との印刷処理を分けることはできないことから、印刷対象を印刷する処理速度を高めることができない。
【0006】
よって、本発明は、表計算ソフトウェアで生成された印刷対象の印刷にかかる処理速度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得する変動対象設定情報取得部と、文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、を含む表計算データである対象表計算データを取得する対象表計算データ取得部と、前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定して、前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成する表計算データ処理部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得することと、文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、を含む表計算データである対象表計算データを取得することと、前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定して、前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成することと、を実行する。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の印字項目データと、前記複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得することと、文字列が設定され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る第2の変動対象の少なくともいずれかと、前記文字列および前記所定の図形が設定されない複数の固定対象と、前記第1の変動対象に関連づけられて設定される、前記印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報、および、前記第2の変動対象に関連づけて設定される、前記印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、を含む表計算データである対象表計算データを取得することと、前記文字列タグ情報および前記図形タグ情報の少なくともいずれかと、前記変動対象設定情報における前記印字項目データと、当該印字項目データに対応する前記入力対象データと、に基づいて、前記対象表計算データに基づき表示される画面における前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかに対して前記文字列または前記所定の図形を設定し、または、前記第1の変動対象および前記第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置に対して前記文字列または前記所定の図形を設定して、前記複数の固定対象のうちの少なくとも一つの前記固定対象を含まず、前記文字列および前記所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表計算ソフトウェアで生成された印刷対象の印刷にかかる処理速度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】印刷出力調整システムの構成の一例を示す図である。
図2】表計算情報D111の一例を示す図である。
図3】印刷出力調整システムの処理手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
図4】対象表計算データに基づき表示される画面T10の一例を示す図である。
図5】固定削除済対象表計算データに基づき表示される画面T20の一例を示す図である。
図6】変動対象表計算データに基づき表示される画面T30の一例を示す図である。
図7】入力対象データが反映された変動対象表計算データに基づき表示される画面T40の一例を示す図である
図8】台紙表計算データに基づき表示される画面T50の一例を示す図である。
図9】変形例に係る印刷出力調整システムの構成例を示す図である。
図10】固定対象T12のレイアウトの変動例を示す図である。
図11】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本実施形態において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、一つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されてもよく、二つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0013】
===印刷出力調整システム100の構成===
<<概要>>
印刷出力調整システム100は、例えば、商用印刷において印刷の高速化および低コスト化を実現するためのシステムである。一般的に、商用印刷においては、例えば、オンデマンド印刷およびオフセット印刷が用いられている。
【0014】
オンデマンド印刷は、例えば大型のプリンタで実行される高速の印刷方式であり、印刷単価が高い印刷方式である。オンデマンド印刷は、印刷対象である例えばPDF(Portable Document Format)データを印刷可能な印刷方式であり、印刷内容が異なる複数の印刷対象を一度の操作で印刷することが可能な印刷手法である。
【0015】
オフセット印刷は、平板印刷であり、オンデマンド印刷よりも印刷のスピードが速く、印刷単価が安い印刷方式である。オフセット印刷は、平板印刷であることから、印刷内容が異なる複数の印刷対象の印刷には適用できず、一つの印刷内容を効率的に大量に印刷することが可能な印刷方式である。
【0016】
例えば多数の申込者それぞれの申請書を印刷する商用印刷の場面において、申込者それぞれの申請内容を反映した申請書を印刷する。申請書には、申請者によって変動する印字対象(以下、「変動対象」という。)と、申請者によって変動しない印字対象(以下、「固定対象」という。)とがある。変動対象は、申請者によって異なる文字列などが設定される対象であり、例えば氏名、生年月日、選択箇所などが入力される対象である。固定対象は、申請者によって異なる文字列などが設定されない対象であり、例えば申請書の台紙となる領域である。
【0017】
このような申請書を商用印刷する場合、変動対象と固定対象とを含む一つのPDFデータをオンデマンド印刷すると、印刷にかかるコスト(インク代など)が著しく高くなる。また、この場合、変動対象のデータ容量よりも大きいデータ容量の固定対象を、変動対象とともにオンデマンド印刷すると、オフセット印刷よりも印刷にかかる時間を要する。
【0018】
そこで、印刷事業者による商用印刷では、固定対象をオフセット印刷し、変動対象をオンデマンド印刷することにより、印刷にかかるコストを縮減し、印刷を高速化することが求められている。これを実現するためには、印刷事業者は、変動対象のみのPDFデータと、固定対象のみのPDFデータとを取得して、それぞれのPDFデータをオンデマンド印刷およびオフセット印刷している。具体的には、印刷事業者は、例えば、固定対象のみのPDFデータを必要部数オフセット印刷し、印刷した固定対象のみの印刷物をオンデマンド印刷機にセットした後、固定対象のみの印刷物に対して変動対象のみをオンデマンド印刷する。
【0019】
しかし、印刷対象(PDFデータ)の元となる、表計算ソフトウェアで作成された表計算データは、申請者ごとに変動対象(例えば名前や住所など)と固定対象(例えば台紙となる領域)とが一つにまとまったデータである。そうすると、表計算データにおける変動対象と固定対象とを分離するには、変動対象をユーザが手動で抽出して、変動対象で構成される表計算データ(以下、「変動対象表計算データ」という。)を作成する必要がある。表計算データにおいて、変動対象の位置やセルの大きさなどをユーザが手動で設定することは困難であり、膨大な時間を要する。
【0020】
そこで、印刷出力調整システム100は、変動対象で構成される変動対象表計算データと、固定対象で構成される表計算データ(以下、「台紙表計算データ」という。)とを自動的に分離して生成する。
【0021】
このとき、印刷出力調整システム100は、変動対象表計算データに含まれる変動対象であるセルや図形に、変動対象であることを特定可能な情報(以下、「タグ情報」という。)を、ユーザの操作入力に基づき設定する。
【0022】
そして、印刷出力調整システム100は、タグ情報に基づき変動対象に対して文字列や図形を設定することにより、変動対象の位置やセルの大きさが元々の印刷対象の表計算データと同じである変動対象表計算データを作成する。同様に、印刷出力調整システム100は、例えば、タグ情報に基づき変動対象に設定される文字列や図形を、元々の印刷対象の表計算データから削除した台紙表計算データを作成する。
【0023】
これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データおよび固定対象のみの台紙表計算データそれぞれをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とする。
【0024】
なお、上記の表計算ソフトウェアは、格子状に多数のセルを配置して複数行及び複数列を形成する表計算データを生成するソフトウェアである。具体的には、表計算ソフトウェアは例えばMicrosoft Excel(以下、「エクセル」という。)などである。
【0025】
以下では、固定対象とタグ情報とを含む表計算データを「対象表計算データ」という。
【0026】
また、以下では、文字列が設定される変動対象(例えばエクセルのシート上のセル)を「第1の変動対象」といい、所定の図形が設定される変動対象を「第2の変動対象」という。なお、以下において、単に「変動対象」というときには、第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかを示すものとする。
【0027】
また、以下では、第1の変動対象に関連づけられるタグ情報を「文字列タグ情報」といい、第2の変動対象に関連づけられるタグ情報を「図形タグ情報」という。なお、単に「タグ情報」というときには、文字列タグ情報および図形タグ情報の少なくともいずれかを示すものとする。
【0028】
印刷出力調整システム100は、例えば、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。なお、印刷出力調整システム100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ(限定ではなく例として、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティング)により実現されていてもよい。
【0029】
<<構成>>
図1を参照して、印刷出力調整システム100の構成について説明する。図1は、印刷出力調整システム100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、印刷出力調整システム100は、例えば、記憶部110と、変動対象設定情報取得部120と、対象表計算データ取得部130と、表計算データ処理部140と、表示処理部150とを含む。
【0030】
記憶部110は、表計算情報D111を含む。図2を参照して、表計算情報D111の構成について説明する。図2は、表計算情報D111の一例を示す図である。表計算情報D111は、印刷出力調整システム100が対象表計算データから台紙表計算データおよび変動対象表計算データを作成する際に参照するデータベースである。また、表計算情報D111は、各機能部によって作成されたデータを格納する。
【0031】
図2に示すように、表計算情報D111は、例えば、[表計算データID]、[対象表計算データ]、[タグ情報]、[変動対象設定情報]、[変動対象表計算データ]、[台紙表計算データ]の項目を含んでいてもよい。[表計算データID]は、対象表計算データを一意に識別可能な識別情報を格納する項目である。[対象表計算データ]は、例えば対象表計算データを格納する項目である。
【0032】
[タグ情報]は、対象表計算データに含まれるタグ情報を格納する項目である。タグ情報は、対象表計算データに含まれる変動対象であるセルや図形(テキストボックスを含む)に関連づけて格納される。なお、タグ情報は、エクセルのシート上での位置を特定可能な情報を含んでいてもよく、例えばセルの行および列を特定可能な情報(例えば(A列,2行)など)や図形のエクセルのシート上での位置を示す情報を含んでいてもよい。
【0033】
具体的には、タグ情報は、例えば、文字列タグ情報としての、「%{XX}」などのように通常使用されない文字列を示す情報であり、この場合は「%{」または「%{}」の情報である。この場合、例えば、%{XX}の「XX」に後述する変動対象設定情報の列名(後述する印字項目データの名称)が記入される。また、タグ情報は、例えば、図形タグ情報としての、セルに設定されるコメントであってもよく、例えば「性別が女性(2)である場合に点線を実線にする」というコメントであってもよい。また、タグ情報は、例えば、セルに設定される数式であってもよいし、セルに設定される条件付き書式であってもよい。
【0034】
[変動対象設定情報]は、例えば、後述する変動対象設定情報取得部120で事業者から取得される、対象表計算データの変動対象に設定される情報(以下、「変動対象設定情報」という。)を格納する項目である。変動対象設定情報は、事業者から取得される情報であり、例えばCSV(Comma-Separated Values)ファイル、XML(Extensible Markup Language)データ、JSON(JavaScript Object Notation)データなどである。
【0035】
変動対象設定情報は、例えば、複数の項目データ(以下、「印字項目データ」という。)と、複数の印字項目データそれぞれに対応する、文字列を示す複数のデータ(以下、「入力対象データ」という。)とを含む情報である。印字項目データは、列の名称であり、例えば「氏名」、「年齢」などのデータ項目である。入力対象データは、「山田太郎」、「20歳」などの印字データである。入力対象データは、図形タグ情報において図形の表示態様に関する図形関連データを含む。図形関連データは、例えば図形タグ情報が「性別が女性(2)である場合に点線を実線にする」である場合、性別を示す「2」である。
【0036】
[変動対象表計算データ]は、後述する表計算データ処理部140によって対象表計算データから作成された変動対象表計算データを格納する項目である。
【0037】
[台紙表計算データ]は、後述する表計算データ処理部140によって対象表計算データから作成された台紙表計算データを格納する項目である。
【0038】
変動対象設定情報取得部120は、変動対象設定情報を事業者から取得する。
【0039】
対象表計算データ取得部130は、所定のシステムから対象表計算データを取得する。なお、対象表計算データ取得部130は、後述するように印刷出力調整システム100が対象表計算データを生成する対象表計算データ生成部を備える場合は、記憶部110から対象表計算データを取得してもよい。
【0040】
表計算データ処理部140は、変動対象に対して、変動対象設定情報およびタグ情報に基づき文字列または所定の図形の一方に関する所定の処理を実行することにより、変動対象表計算データを生成する。
【0041】
具体的には、表計算データ処理部140は、対象表計算データのタグ情報に基づき表示部に表示される画面(例えば後述する図4の画面T10)の変動対象を特定する。表計算データ処理部140は、変動対象以外の固定対象をタグ情報に基づき削除した表計算データ(以下、「固定削除済表計算データ」という。)を生成する。
【0042】
そして、表計算データ処理部140は、固定削除済表計算データに基づき表示される画面(例えば図5の画面T20)の第1の変動対象(例えば図5の変動対象T11aのセルなどである。)に対して、文字列タグ情報に基づき変動対象設定情報の入力対象データを設定する。
【0043】
また、表計算データ処理部140は、固定削除済対象表計算データに基づき表示部に表示される画面における第2の変動対象(例えば図5では破線で示される変動対象T11cや変動対象T11dなどである。)に対して、変動対象設定情報の入力対象データに基づき図形タグ情報が示す図形(例えば実線である。)を設定する。なお、「図形を設定する」処理は、図形を削除する処理を含む。すなわち、表計算データ処理部140は、図形タグ情報に基づき所定の図形を削除してもよい。
【0044】
これにより、印刷出力調整システム100は、エクセルのシート上で台紙における変動対象の位置(セルの位置や図形の位置など)と同じ位置に設定された変動対象で構成される変動対象表計算データを生成することができる。そのため、印刷出力調整システム100は、オンデマンド印刷の対象を変動対象のみにできるため、オンデマンド印刷にかかる費用を大幅に縮減することが可能となる。なお、表計算データ処理部140は、固定対象の一部を含む変動対象表計算データを生成してもよい。
【0045】
なお、上記では、表計算データ処理部140が対象表計算データから固定削除済表計算データを生成した後に、固定削除済表計算データから変動対象表計算データを生成することとして説明したが、これに限定されない。
【0046】
例えば、表計算データ処理部140は、対象表計算データの変動対象に対してタグ情報に基づき入力対象データを設定する処理を実行した後に、タグ情報に基づき変動対象を特定することにより固定対象を削除して、変動対象表計算データを生成してもよい。この場合の具体的な処理については後述する。
【0047】
また、例えば、表計算データ処理部140は、対象表計算データの変動対象に対してタグ情報に基づき入力対象データを設定する処理を実行した後に、タグ情報(変動対象の位置を示す情報)に基づきエクセルの白紙のシート上に変動対象を反映させて変動対象表計算データを生成してもよい。この場合の処理の具体的な処理については後述する。
【0048】
そして、表計算データ処理部140は、対象表計算データにおける変動対象をタグ情報に基づき特定することにより、対象表計算データから変動対象およびタグ情報を削除して、固定対象で構成される台紙表計算データ(例えば後述する図8の画面T50)を生成する。
【0049】
表示処理部150は、各種画面を表示部に表示するための情報を生成する。
【0050】
===処理手順===
図3図7を参照して、印刷出力調整システム100の処理手順について説明する。図3は、印刷出力調整システム100の処理手順を示すフローチャートの一例を示す図である。図4は、対象表計算データに基づき表示される画面T10の一例を示す図である。図5は、固定削除済対象表計算データに基づき表示される画面T20の一例を示す図である。図6は、変動対象表計算データに基づき表示される画面T30の一例を示す図である。図7は、入力対象データが反映された変動対象表計算データに基づき表示される画面T40の一例を示す図である。図8は、台紙表計算データに基づき表示される画面T50の一例を示す図である。
【0051】
ステップS100において、印刷出力調整システム100は、対象表計算データを所定のシステムから取得する。なお、印刷出力調整システム100は、記憶部110から対象表計算データを取得してもよい。
【0052】
図4を参照して、対象表計算データに基づき表示部に表示される画面T10について説明する。画面T10は、変動対象T11と、固定対象T12と、タグ情報T13とを含む。
【0053】
変動対象T11は、例えば変動対象設定情報の行ごとに異なる内容である入力対象データが設定される対象である。図4において、変動対象T11は、例えば、文字列変動対象T11a(例えば第1の変動対象に相当する。)と、計算変動対象T11b(例えば第1の変動対象に相当する。)と、図形変動対象T11c(例えば第2の変動対象に相当する。)と、表示変動対象T11d(例えば第2の変動対象に相当する。)とを含む。
【0054】
文字列変動対象T11aは、少なくとも一つのセルで構成され、文字列が入力されるセルである。計算変動対象T11bは、計算式が設定されるセルである。図形変動対象T11cは、所定の図形の態様で表示される対象であり、図4では一例として実線を設定する対象である。表示変動対象T11dは、例えば、テキストが入力されたテキストボックスで構成される対象であり、図4では一例として「*」が入力されるテキストボックスである。
【0055】
固定対象T12は、例えば申請書などの台紙領域であり、申請者それぞれによって内容や形式が変動しない領域である。図4において、固定対象T12は、例えば、申込内容を説明する説明文T12aと、合計金額の計算結果が表示される領域T12bと、性別が選択される領域T12cと、プランが選択される領域T12dとを含む。
【0056】
タグ情報T13は、例えば変動対象を特定するための情報である。図4において、タグ情報T13は、例えば、第1の文字列タグ情報T13aと、第2の文字列タグ情報T13bと、第1の図形タグ情報T13cと、第2の図形タグ情報T13dとを含む。
【0057】
第1の文字列タグ情報T13aは、変動対象である文字列が入力されることを特定可能なタグ情報であり、図4では一例として「%{」で示される。すなわち、第1の文字列タグ情報T13aは、変動対象設定情報の印字項目データとの関連を示す情報が入力される。例えば、「%{XX}」と入力されていた場合、XXには印字項目データである列名が入力される。
【0058】
第2の文字列タグ情報T13bは、変動対象である計算式が入力されていることを特定可能なタグ情報であり、例えば計算式を示す情報である。図4では一例として「=P30+P40」で示される。すなわち、第2の文字列タグ情報T13bは、変動対象設定情報の印字項目データとの関連を示す情報が入力される。例えば、P30およびP40が示すセルに印字項目データの列に対応する数値が入力されるため、第2の文字列タグ情報T13bの計算式「=P30+P40」は、変動対象設定情報の印字項目データと間接的に関連するものであるといえることから、印字項目データ情報との関連を示す情報であるといえる。
【0059】
第1の図形タグ情報T13cは、変動対象の図形の表示態様を示すタグ情報であり、図4では一例として「性別が女性(2)である場合に点線を実線にする」や「T11が選択されていたら点線を実線にする」というコメントである。すなわち、第1の図形タグ情報T13cは、変動対象設定情報の印字項目データとの関連を示す情報が入力される。なお、図4において、第1の図形タグ情報T13cが画面T10に吹き出し表示されているように示しているが、これに限定されず、第1の図形タグ情報T13cは画面T10に表示されている必要はなく、図形変動対象T11cに関連づけられて設定されていればよい(例えば管理用画面で表示確認できるものであればよい)。
【0060】
第2の図形タグ情報T13dは、変動対象のテキストボックスの表示態様を示すタグ情報であり、図4では一例として「T10かT11が選択されていたら*を削除する」というコメントである。すなわち、第2の図形タグ情報T13dは、変動対象設定情報の印字項目データとの関連を示す情報が入力される。なお、図4において、第2の図形タグ情報T13dが画面T10に吹き出し表示されているように示しているが、これに限定されず、第2の図形タグ情報T13dは画面T10に表示されている必要はなく、表示変動対象T11dに関連づけられて設定されていればよい。
【0061】
ステップS101において、印刷出力調整システム100は、事業者から変動対象設定情報を取得する。一例として、変動対象設定情報には、氏名、住所、性別、選択したプランなどの入力対象データを一行の情報として複数の入力対象データが含まれるものとする。印刷出力調整システム100は、変動対象設定情報を記憶部110に記憶する。
【0062】
ステップS102において、印刷出力調整システム100は、例えば、変動対象設定情報およぶタグ情報に基づき、対象表計算データから固定対象を削除して、固定削除済表計算データを生成する。
【0063】
図4および図5を参照して、対象表計算データから固定対象を削除して固定削済表計算データを生成する処理について説明する。
【0064】
表計算データ処理部140は、文字列タグ情報および図形タグ情報に関連する変動対象を特定する。具体的には、図4において、表計算データ処理部140は、第1の文字列タグ情報T13aに関連する文字列変動対象T11aを特定し、第2の文字列タグ情報T13bに関連する計算変動対象T11bを特定し、第1の図形タグ情報T13cに関連する図形変動対象T11cを特定し、第2の図形タグ情報T13dに関連する表示変動対象T11dを特定する。
【0065】
表計算データ処理部140は、タグ情報に基づき特定された変動対象以外を固定対象として特定する。表計算データ処理部140は、特定された固定対象を対象表計算データから削除して、図5に示す固定削除済対象表計算データを生成する。なお、表計算データ処理部140は、例えば、文字列変動対象T11aおよび計算変動対象T11bのセルの枠線についても固定対象として特定する。
【0066】
ステップS103において、印刷出力調整システム100は、例えば、タグ情報と、変動対象設定情報の印字項目データと、変動対象設定情報の所定の行の入力対象データとに基づき、固定削除済対象表計算データに入力対象データを反映して、変動対象表計算データを生成する。
【0067】
図5および図6を参照して、固定削除済表計算データに変動対象設定情報の所定の行の入力対象データを反映する処理について説明する。
【0068】
表計算データ処理部140は、図5に示す文字列変動対象T11aのセル(入力領域)に変動対象であることを特定可能な文字列タグ情報である文字列「%{」が入力されていることを特定する。表計算データ処理部140は、「%{」を特定した場合、「%{XX}」の「XX」を特定する。そして、表計算データ処理部140は、変動対象設定情報の複数の印字項目データのうちの、「XX」と同じ印字項目データ(ここでは「氏名」項目。)を特定する。表計算データ処理部140は、特定した印字項目データに対応する入力対象データを特定する。図6に示すように、表計算データ処理部140は、当該入力対象データ「山田太郎」を文字列変動対象T11aに入力する。
【0069】
また、具体的には、表計算データ処理部140は、図5に示す計算変動対象T11bのセル(入力領域)に変動対象であることを特定可能な計算式が入力されていることを特定する。表計算データ処理部140は、文字列タグ情報である計算式を特定した場合、計算結果を示す数字を特定する。そして、図6に示すように、表計算データ処理部140は、当該計算結果を示す数字「15,000」を計算変動対象T11bに入力する。
【0070】
また、具体的には、表計算データ処理部140は、図5に示す図形タグ情報であるコメントと、コメントが関連づけられている対象とを特定する。表計算データ処理部140は、図形タグ情報であるコメントが関連づけられている対象を第2の変動対象として特定する。例えば、図6に示すように、表計算データ処理部140は、変動対象設定情報の「性別」の印字項目データの入力対象データが「2」であると特定した場合、第1の図形タグ情報T13c(図4を参照)が関連する図形変動対象T11cの図形を実線とする。
【0071】
また、具体的には、表計算データ処理部140は、入力対象データの基本プランのデータ項目の個人が「1」であり、プランが「T11」であると特定した場合、図6に示すように、第2の図形タグ情報T13d(図4を参照)が関連づけられている表示変動対象T11dであるテキストボックスを削除する。この場合、表計算データ処理部140は、図4の「家族」に関連づけられている表示変動対象T11dであるテキストボックスは削除しない。
【0072】
これにより、印刷出力調整システム100は、対象表計算データにおける変動対象の位置と同じ位置に変動対象が配置される変動対象表計算データを生成することができる。
【0073】
ここで、図6および図7を参照して、変動対象表計算データを生成する他の処理について説明する。表計算データ処理部140は、例えば、対象表計算データに入力対象データを反映させた後に、変動対象を特定することにより変動対象表計算データを生成してもよい。以下、他の処理方法である第1の処理方法および第2の処理方法について説明する。
【0074】
第1の処理方法について説明する。表計算データ処理部140は、所定の行の入力対象データが反映された図7に示す対象表計算データの変動対象を、タグ情報に基づき特定する。すなわち、表計算データ処理部140は、タグ情報が関連づけられていた対象(例えばセルである入力領域や図形など)を変動対象であると特定する。表計算データ処理部140は、特定した変動対象以外の対象である固定対象を削除する処理を実行して、図6に示す変動対象表計算データを生成する。これにより、印刷出力調整システム100は、対象表計算データにおける変動対象の位置と同じ位置に変動対象が配置される変動対象表計算データを生成することができる。
【0075】
第2の処理方法について説明する。表計算データ処理部140は、例えば、図4に示す第1の文字列タグ情報T13aおよび第2の文字列タグ情報T13bそれぞれが設定されていたエクセルのシート上のセルの行と列を示す位置(以下、「文字列位置」という。)を特定する。具体的には、表計算データ処理部140は、例えば図7に示す変動対象T11aおよび変動対象T11bのセルの行と列を示す文字列位置を特定する。また、表計算データ処理部140は、例えば、図4に示す第1の図形タグ情報T13cおよび第2の図形タグ情報T13dそれぞれが関連づけられている図形またはテキストボックスの位置(以下、「図形位置」という。)を特定する。具体的には、表計算データ処理部140は、例えば図7に示す変動対象T11cの図形や変動対象T11dのテキストボックスの図形位置を特定する。
【0076】
そして、表計算データ処理部140は、エクセルの白紙のシートを予め準備し、当該シート上における、文字列位置に対応する位置である設定位置に、第1の文字列タグ情報T13aおよび第2の文字列タグ情報T13bに対応する文字列および計算結果を設定する。具体的には、表計算データ処理部140は、図6に示す変動対象T11a,T11bのセルに示す文字列および計算結果を設定する。また、表計算データ処理部140は、当該シート上に、上記の図形またはテキストボックスの図形位置と対応する位置である設定位置に、当該図形またはテキストボックスを設定する。具体的には、表計算データ処理部140は、例えば図6に示す変動対象T11c,T11dを設定する。これにより、印刷出力調整システム100は、対象表計算データにおける変動対象の位置と同じ位置に変動対象が配置される変動対象表計算データを生成することができる。
【0077】
ステップS104において、印刷出力調整システム100は、例えば、図4に示す対象表計算データから、図8に示す固定対象で構成される台紙表計算データを作成する。
【0078】
具体的には、表計算データ処理部140は、図4に示す対象表計算データについて、文字列タグ情報と、図形タグ情報に基づき設定された第2の変動対象とを削除して、固定対象で構成される台紙表計算データ(例えば図8の画面T50)を生成する。言い換えると、表計算データ処理部140は、タグ情報が関連づけられていない情報を固定対象であると特定して、固定対象で構成される台紙表計算データを作成する。なお、この場合、表計算データ処理部140は、予めエクセルの白紙のシートを準備し、当該シートに固定対象を反映して台紙表計算データを作成してもよい。
【0079】
ステップS105において、印刷出力調整システム100は、変動対象表計算データおよび台紙表計算データそれぞれをPDFデータに変換する。
【0080】
ステップS106において、印刷出力調整システム100は、変動対象設定情報の全ての行(変動表計算データを作成する対象の個別データ)の入力対象データについて変動表計算データを作成したか否かを判定する(例えば表計算データ処理部140が判定する。)。印刷出力調整システム100は、例えば、全ての行の入力対象データについて変動表計算データを作成していない場合(ステップS106:NO)、変動対象設定情報の行をインクリメントして処理をステップS102から繰り返す。
【0081】
より具体的には、この場合、変動対象設定情報取得部120は、複数の印字項目データそれぞれに対応する複数の入力対象データを含み、複数の入力対象データにおける一つの入力対象データごとに一行で記述される変動対象設定情報(例えばCSV)を取得する。表計算データ処理部140は、変動対象設定情報に含まれる全ての行の入力対象データに対して変動対象表計算データを生成したか否かを判定する。そして、表計算データ処理部140は、複数の入力対象データの全部に対して変動対象表計算データを生成していないと判定した場合、変動対象設定情報における入力対象データの行をインクリメントした行に対応する入力対象データについて、ステップS102から処理を繰り返す。
【0082】
これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象設定情報における入力対象データそれぞれの変動対象表計算データを生成することができる。
【0083】
===変形例===
図9図10を参照して変形例に係る印刷出力調整システム100aについて説明する。図9は、変形例に係る印刷出力調整システム100aの構成例を示す図である。図10は、固定対象T12のレイアウトの変動例を示す図である。
【0084】
図9に示すように、変形例に係る印刷出力調整システム100aは、印刷出力調整システム100と比較して表計算データ生成部160をさらに備える。以下、表計算データ生成部160の機能について説明する。
【0085】
<<第1の変形例>>
表計算データ生成部160は、ユーザの操作入力に基づき対象表計算データを生成する。具体的には、表計算データ生成部160は、タグ情報が含まれない表計算データに基づき表示された画面に対してユーザの操作入力を受け付けることにより、変動対象(セルやオブジェクト)にタグ情報(例えば図4の「%{}」や「コメント」など)を付加して、対象表計算データを生成する。表計算データ生成部160は、生成した対象表計算データを記憶部110に記憶する。
【0086】
<<第2の変形例>>
また、表計算データ生成部160は、台紙表計算データの表示パターンを変更可能な機能を有していてもよい。すなわち、表計算データ生成部160は、台紙表計算データに基づき表示される画面上の表示パターンを変更可能な機能を有する。具体的には、表計算データ生成部160は、台紙表計算データに基づき表示される画面上の表示形式の表示態様を示す表示態様識別情報を取得する。表計算データ生成部160は、表示態様識別情報に基づき当該表示形式を所定の表示態様に変更する。例えば、表計算データ生成部160は、表示態様識別情報が表の行数を示す情報である場合、複数の行の表示態様の表を、表示態様識別情報が示す行数に変更する。これにより、印刷出力調整システム100は、対象表計算データを生成するプロセスにおいて、固定対象で構成される台紙表計算データについて複数の表示態様のものを容易に生成することが可能となるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0087】
<<第3の変形例>>
また、表計算データ生成部160は、変動対象設定情報と、表示態様識別情報とに基づき、変動対象T11が入力され得る固定対象T12のレイアウトを変動させてもよい。図10を参照して、固定対象T12のレイアウトが変動される処理の一例について説明する。
【0088】
図10(A)は、変動対象設定情報に「“個人プラン”:“T10”」、「“個人プラン”:“T11”」、「“家族プラン”:“T20”」または「“家族プラン”:“T21”」が含まれる場合の、固定対象T12となり得る領域T12d(図4においてプランが選択される領域T12dを一部抜粋)の表示態様を示す。
【0089】
図10(B)は、変動対象設定情報に「“個人プラン”:“T10”」または「“個人プラン”:“T11”」が含まれる場合の、固定対象T12となり得る領域T12dの表示態様を示す。言い換えると、図10(B)では、変動対象設定情報に「“家族プラン”:“T20”」および「“家族プラン”:“T21”」が含まれない場合の領域T12dの表示態様を示す。
【0090】
図10(C)は、変動対象設定情報に「“家族プラン”:“T20”」または「“家族プラン”:“T21”」が含まれる場合の、固定対象T12となり得る領域T12dの表示態様を示す。言い換えると、図10(C)では、変動対象設定情報に「“個人プラン”:“T10”」および「“個人プラン”:“T11”」が含まれない場合の領域T12dの表示態様を示す。
【0091】
表示態様識別情報は、固定対象T12のレイアウトを一意に特定可能な識別情報である。具体的には、表示態様識別情報は、例えば、「基本プラン♯if(%{個人プラン})-個人有♯end ♯if(%{家族プラン})-家族有♯end」である。
【0092】
具体的には、変動対象設定情報に「“個人プラン”:“T10”,“家族プラン”:“T21”」が含まれている場合、表計算データ生成部160は、表示態様識別情報に基づき、領域T12dにおける個人プランおよび家族プランの欄に対する入力があることを特定する。すなわち、表計算データ生成部160は、個人プランが有る場合の表示領域である領域T12d1と、家族プランが有る場合の表示領域である領域T12d2と、を台紙表計算データが含むことを特定する。この場合、例えば、表計算データ生成部160は、「基本プラン-個人有-家族有」を識別子として特定する。
【0093】
そして、表計算データ処理部140は、表計算データ生成部160で特定された識別子に基づき、図10(A)に示す領域T12d1および領域T12d2を含む、台紙表計算データ(この場合は図8の画面T50)を生成する。
【0094】
同様に、変動対象設定情報に、「“個人プラン”:“T10”」が含まれ、「“家族プラン”:“T20”」および「“家族プラン”:“T21”」が含まれていない場合、表計算データ生成部160は、表示態様識別情報に基づき、領域T12dにおける個人プランの欄に対する入力があることを特定する。すなわち、表計算データ生成部160は、個人プランが有る場合の表示領域である領域T12d1を含み、家族プランが有る場合の表示領域である領域T12d2を含まないことを特定する。この場合、例えば、表計算データ生成部160は、「基本プラン-個人有」を識別子として特定する。
【0095】
そして、表計算データ処理部140は、表計算データ生成部160で特定された識別子に基づき、図10(B)に示すように、領域T12d1を含み、領域T12d2を含まない、台紙表計算データを生成する。
【0096】
同様に、変動対象設定情報に、「“家族プラン”:“T21”」が含まれ、「“個人プラン”:“T10”」および「“個人プラン”:“T11”」が含まれていない場合、表計算データ生成部160は、表示態様識別情報に基づき、領域T12dにおける家族プランの欄に対する入力があることを特定する。すなわち、表計算データ生成部160は、家族プランが有る場合の表示領域である領域T12d2を含み、個人プランが有る場合の表示領域である領域T12d1を含まないことを特定する。この場合、例えば、表計算データ生成部160は、「基本プラン-家族有」を識別子として特定する。
【0097】
そして、表計算データ処理部140は、表計算データ生成部160で特定された識別子に基づき、図10(C)に示すように、領域T12d2を含み、領域T12d1を含まない、台紙表計算データを生成する。
【0098】
同様に、変動対象設定情報に「個人プラン」および「家族プラン」を示す情報が含まれない場合、表計算データ生成部160は、表示態様識別情報に基づき、領域T12dにおける個人プランおよび家族プランの欄に対する入力がないことを特定する。すなわち、表計算データ生成部160は、領域T12dを含まないことを特定する。この場合、例えば、表計算データ生成部160は、「基本プラン」を識別子として特定する。
【0099】
そして、表計算データ処理部140は、表計算データ生成部160で特定された識別子に基づき、領域T12dを含まない(領域T12dが削除された)、台紙表計算データを生成する。
【0100】
すなわち、第3の変形例に係る印刷出力調整システム100aは、変動対象設定情報と表示態様識別情報とに基づき固定対象T12のレイアウトを設定して、文字列タグ情報と第2の変動対象とを削除することにより、台紙表計算データを生成する。
【0101】
これにより、印刷出力調整システム100aは、例えば、一つの表示態様識別情報に基づき、固定対象T12のレイアウトを特定可能な複数の識別子それぞれを特定することにより、当該識別子に基づき簡易な処理によりレイアウトが適切に設定された台紙表計算データを生成できる。
【0102】
<<第4の変形例>>
また、表計算データ生成部160は、予め作成されている複数のページで構成される対象表計算データのうち、変動対象設定情報に基づき、当該複数のページのうちの所定のページを特定してもよい。この場合、表計算データ処理部140は、表計算データ生成部160で特定されたページで構成される表計算データに基づき台紙表計算データを生成する。
【0103】
表計算データ生成部160は、パラメータと、当該パラメータに対応する識別情報(以下、「ページ識別情報」という。)と、に基づき、変動対象設定情報についての台紙表計算データのページ構成を特定する。
【0104】
具体的には、印刷出力調整システム100aは、予め操作者によりテンプレート(対象表計算データ)である複数のページそれぞれを特定可能なページ識別情報を設定する。例えば、ページ識別情報は、「Aフラグ」や「Bページ有無」などである。また、ページ識別情報それぞれには「1」や「2」などの数値が対応づけられる。具体的には、印刷出力調整システム100aには、「1=%{Aフラグ}」や「2={Bページ有無}」が予め設定される。
【0105】
この場合、表計算データ生成部160は、変動対象設定情報に、「Aフラグ」が含まれ、「Bページ」が有ることを特定すると、それぞれのページ識別情報に対応する数値の列である例えば「12」を識別子として特定する。
【0106】
表計算データ処理部140は、識別子「12」に対応するページ構成のテンプレート(例えば1ページ目と2ページ目で構成されるテンプレート)に基づき台紙表計算データを生成する。
【0107】
すなわち、印刷出力調整システム100aは、予め設定されるテンプレートのうちの所定のテンプレート(台紙表計算データとなるテンプレート)を特定した上で、表計算データ処理部140によって台紙表計算データが生成される。これにより、印刷出力調整システム100aは、簡易な処理により、必要となる台紙表計算データを得ることが可能となる。また、識別子に応じて生成した台紙表計算データを保持することで、次回以降、識別子が一致した、作成済みの台紙表計算データを再利用することができる。いわゆるキャッシュと呼ばれる仕組みである。これにより、台紙表計算データの作成回数を必要最小限に抑えることが可能となり、更に高速な処理速度を期待できる。
【0108】
===ハードウェア構成===
図11を参照して、印刷出力調整システム100をコンピュータで実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。図11は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0109】
図11に示すように、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006、及び表示部1007を含む。
【0110】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0111】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0112】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0113】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサー、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介してコンピュータ1000に接続されても良い。
【0114】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0115】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0116】
表示部1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示部1007は、コンピュータ1000の外部に設けられても良い。その場合、表示部1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示部1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0117】
===まとめ===
<1>本実施形態における印刷出力調整システム100は、複数の印字項目データと、複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得する変動対象設定情報取得部120と、文字列が設定され得る第1の変動対象(例えば、文字列変動対象T11a,計算変動対象T11b)および所定の図形が設定され得る第2の変動対象(例えば、図形変動対象T11c,表示変動対象T11d)の少なくともいずれかと、文字列および所定の図形が設定されない複数の固定対象(例えば固定対象T12)と、第1の変動対象に関連づけられて設定される、印字項目データとの関連を示す文字列タグ情報(例えば、第1の文字列タグ情報T13a,第2の文字列タグ情報T13b)、および、第2の変動対象に関連づけて設定される、印字項目データとの関連を示す図形タグ情報(例えば、第1の図形タグ情報T13c,第2の図形タグ情報T13d)の少なくともいずれかと、を含む表計算データである対象表計算データを取得する対象表計算データ取得部130と、文字列タグ情報および図形タグ情報の少なくともいずれかと、変動対象設定情報における印字項目データと、当該印字項目データに対応する入力対象データと、に基づいて、対象表計算データに基づき表示される画面における第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかに対して文字列または所定の図形を設定し、または、第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置(例えば、エクセルの白紙のシートを予め準備し、当該シート上における、文字列位置または図形に対応する位置)に対して文字列または所定の図形を設定し、複数の固定対象のうちの少なくとも一つの固定対象を含まず、文字列および所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成する表計算データ処理部140と、を備える。これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データを容易に生成することができ、それをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とできるため、印刷事業者における印刷速度を高めるとともにコスト縮減を可能とする。
【0118】
<2>また、本実施形態における印刷出力調整システム100における表計算データ処理部140は、文字列タグ情報および図形タグ情報に基づいて、対象表計算データから複数の固定対象を削除した表計算データである固定削除済表計算データを生成し、固定削除済表計算データに基づき表示される画面における第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかに対して文字列または所定の図形を設定し、変動対象表計算データを生成する。これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データを容易に生成することができ、それをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とできるため、印刷事業者における印刷速度を高めるとともにコスト縮減を可能とする。
【0119】
<3>また、本実施形態における印刷出力調整システム100における表計算データ処理部140は、文字列タグ情報と、図形タグ情報が関連づけられた第2の変動対象と、を対象表計算データから削除した表計算データである台紙表計算データを生成する。これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データおよび固定対象のみの台紙表計算データそれぞれを容易に生成することができ、それらをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とできるため、印刷事業者における印刷速度を高めるとともにコスト縮減を可能とする。
【0120】
<4>また、本実施形態における印刷出力調整システム100における変動対象設定情報の入力対象データは、文字列を示す文字列データを含み、対象表計算データは、文字列データが示す文字列が入力され得る少なくとも一つのセルで構成される入力領域である第1の変動対象を含み、文字列タグ情報は、入力領域それぞれに入力され、表計算データ処理部140は、固定削除済表計算データにおける文字列タグ情報が入力された入力領域それぞれに対して、文字列タグ情報に基づいて文字列データを入力し、文字列データを含む印字画面を表示するための変動対象表計算データを生成する。これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データを容易に生成することができ、それをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とできるため、印刷事業者における印刷速度を高めるとともにコスト縮減を可能とする。
【0121】
<5>また、本実施形態における印刷出力調整システム100における変動対象設定情報の入力対象データは、所定の図形に関する図形関連データを含み、図形タグ情報は、所定の図形の表示態様に関する条件を含み、表計算データ処理部140は、固定削除済表計算データにおける第2の変動対象に対して、図形タグ情報と、図形関連データと、に基づいて、条件に応じた所定の図形の表示態様に関する処理を実行し、設定位置または第2の変動対象に対して、所定の図形の表示態様に関する処理が実行された結果を反映した変動対象表計算データを生成する。これにより、印刷出力調整システム100は、変動対象のみの変動対象表計算データを容易に生成することができ、それをPDFデータに変換して、印刷事業者に提供することを可能とできるため、印刷事業者における印刷速度を高めるとともにコスト縮減を可能とする。
【0122】
<6>また、印刷出力調整システム100aは、対象表計算データに含まれる複数の固定対象のうちの所定の固定対象を変動対象設定情報に基づき特定可能な表示態様識別情報に基づいて、所定の固定対象を、当該対象表計算データまたは台紙表計算データから削除するか否かを特定する表計算データ生成部160をさらに備える。これにより、印刷出力調整システム100aは、例えば、簡易な処理によりレイアウトが適切に設定された台紙表計算データを生成できる。
【0123】
なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。また、上記実施の形態で記載された印刷出力調整システム100が備える構成要素は、記憶装置1003に格納されたプログラムがプロセッサ1001によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。
【符号の説明】
【0124】
100…印刷出力調整システム、110…記憶部、120…変動対象設定情報取得部、130…対象表計算データ取得部、140…表計算データ処理部、150…表示処理部、160…表計算データ生成部。
【要約】
【課題】表計算ソフトウェアで作成された印刷対象の印刷にかかる処理速度を高めることを目的とする。
【解決手段】複数の印字項目データと、複数の印字項目データそれぞれに対応する入力対象データと、を含む変動対象設定情報を取得する変動対象設定情報取得部と、文字列が設定設置され得る第1の変動対象および所定の図形が設定され得る 第2の変動対象の少なくともいずれかと、文字列および所定の図形が設定されない複数の固定対象 と、第1の変動対象に関連づけられて設定される、印字項目データとの関連を示す文字列特定タグ情報文字列タグ情報、および、第2の変動対象に関連づけて設定される、印字項目データとの関連を示す図形タグ情報の少なくともいずれかと、を含む表計算データである対象表計算データを取得する対象表計算データ取得部と、文字列特定タグ情報文字列タグ情報および図形タグ情報の少なくともいずれかと、変動対象設定情報における印字項目データと、当該印字項目データに対応する入力対象データと、に基づいて、対象表計算データに基づき表示される画面における第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかに対して文字列または所定の図形を設定し、または、第1の変動対象および第2の変動対象の少なくともいずれかの位置と対応する設定位置 に対して文字列または所定の図形を設定し、文字列または所定の図形の一方に関する処理を実行して、複数の固定対象のうちの少なくとも一つの固定対象を含まず、文字列および所定の図形の少なくともいずれかで構成される印字画面を表示するための表計算データである変動対象表計算データを生成する表計算データ処理部と、を備える。
【選択図】図1
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