(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20250325BHJP
【FI】
B62M6/45
(21)【出願番号】P 2020183006
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-033070(JP,A)
【文献】特開2019-116249(JP,A)
【文献】特開平07-309283(JP,A)
【文献】特開2019-064353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車に推進力を付与するモータを、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する変速情報に応じて
、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、および、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つを変更するように前記モータを制
御し、
前記第1変化率および前記第2変化率は、各別に設定されるように構成される、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記人力駆動車が走行を開始する場合、
前記入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下の場合、
前記人力駆動車の車速が第1速度以下の場合、および、
前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度以下かつ前記人力駆動力が第1駆動力以上の場合、の少なくとも1つにおいて、
前記変速情報に応じて
、前記第1変化率、および
、前記第2変化率の少なくとも1つを変更するように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記第1変化率、および、前記第2変化率の少なくとも1つに加えて、前記モータの出力の最大値を変更するように前記モータを制御する、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて、前記モータの出力の前記最大値を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第1比率よりも小さい場合における前記モータの出力の前記最大値が、前記変速比率が前記第1比率以上の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも減少するように前記モータを制御する、請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて、前記モータの出力の前記最大値を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第2比率よりも大きい場合における前記モータの出力の前記最大値を、前記変速比率が前記第2比率以下の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも増加するように前記モータを制御する、請求項
3または4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて
、前記第1変化率を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第3比率よりも小さい場合におけ
る前記第1変化率を、前記変速比率が前記第3比率以上の場合におけ
る前記第1変化率よりも減少するように前記モータを制御する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて
、前記第1変化率を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第4比率よりも大きい場合におけ
る前記第1変化率を、前記変速比率が前記第4比率以下の場合におけ
る前記第1変化率よりも増加するように前記モータを制御する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて
、前記第2変化率を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第5比率よりも小さい場合におけ
る前記第2変化率を、前記変速比率が前記第5比率以上の場合におけ
る前記第2変化率よりも増加するように前記モータを制御する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記変速情報に応じて
、前記第2変化率を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第6比率よりも大きい場合におけ
る前記第2変化率を、前記変速比率が前記第6比率以下の場合におけ
る前記第2変化率よりも増加するように前記モータを制御する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車に推進力を付与するモータを、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する変速情報に応じて、前記モータの出力
の最大値を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第1比率よりも小さい場合における前記モータの出力の前記最大値が、前記変速比率が前記第1比率以上の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも減少するように前記モータを制御する
、制御装置。
【請求項11】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車に推進力を付与するモータを、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する変速情報に応じて、前記モータの出力
の最大値を変更するように前記モータを制御し、
前記変速比率が第2比率よりも大きい場合における前記モータの出力の前記最大値を、前記変速比率が前記第2比率以下の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも増加するように前記モータを制御する
、制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記人力駆動車が走行を開始してから予め定める期間における前記モータの制御状態と、前記予め定める期間の経過後における前記モータの前記制御状態が異なるように、前記モータを制御する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、人力駆動車用の制御装置を開示する。特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車両の推進をアシストするモータを人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、ユーザビリティを向上できる人力駆動車両用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する変速情報に応じて、前記モータの出力の最大値、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、および、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つを変更するように前記モータを制御する。
第1側面の制御装置によれば、変速情報に応じて、モータの出力の最大値、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、および、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが好適な値になるようにモータを制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車が走行を開始する場合、前記入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下の場合、前記人力駆動車の車速が第1速度以下の場合、および、前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度以下かつ前記人力駆動力が第1駆動力以上の場合、の少なくとも1つにおいて、前記変速情報に応じて、前記モータの出力の前記最大値、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率、および、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率の少なくとも1つを変更するように前記モータを制御する。
第2側面の制御装置によれば、人力駆動車が走行を開始する場合、入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下の場合、人力駆動車の車速が第1速度以下の場合、および、入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下かつ人力駆動力が第1駆動力以上の場合、の少なくとも1つにおいて、モータを好適に制御できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記モータの出力の前記最大値を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第1比率よりも小さい場合における前記モータの出力の前記最大値が、前記変速比率が前記第1比率以上の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも減少するように前記モータを制御する。
第3側面の制御装置によれば、変速比率が減少すると、人力駆動力による車輪の回転トルクが増加するが、モータの出力の最大値を減少させることによって、車輪の回転トルクが増加しすぎることを抑制できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記モータの出力の前記最大値を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第2比率よりも大きい場合における前記モータの出力の前記最大値を、前記変速比率が前記第2比率以下の場合における前記モータの出力の前記最大値よりも増加するように前記モータを制御する。
第4側面の制御装置によれば、変速比率が増加すると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、モータの出力の最大値を増加させることによって、ライダーが感じる負荷の増加を低減できる。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第3比率よりも小さい場合における前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率を、前記変速比率が前記第3比率以上の場合における前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率よりも減少するように前記モータを制御する。
第5側面の制御装置によれば、変速比率が減少すると、人力駆動力による車輪の回転トルクが増加するが、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率を減少させることによって、車輪の回転トルクが増加しすぎることを抑制できる。
【0010】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第4比率よりも大きい場合における前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率を、前記変速比率が前記第4比率以下の場合における前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率よりも増加するように前記モータを制御する。
第6側面の制御装置によれば、変速比率が増加すると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率を増加させることによって、ライダーが感じる負荷の増加を低減できる。
【0011】
本開示の第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第5比率よりも小さい場合における前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を、前記変速比率が前記第5比率以上の場合における前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率よりも増加するように前記モータを制御する。
第7側面の制御装置によれば、変速比率が減少すると、人力駆動力による車輪の回転トルクが増加するが、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を増加させることによって、ユーザが車両をコントロールしやすくなる。
【0012】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速情報に応じて、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を変更するように前記モータを制御し、前記変速比率が第6比率よりも大きい場合における前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を、前記変速比率が前記第6比率以下の場合における前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率よりも増加するように前記モータを制御する。
第8側面の制御装置によれば、変速比率が増加すると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率よりも増加することによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0013】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車が走行を開始してから予め定める期間における前記モータの制御状態と、前記予め定める期間の経過後における前記モータの前記制御状態が異なるように、前記モータを制御する。
第9側面の制御装置によれば、人力駆動車が走行を開始してから予め定める期間におけるモータの制御状態と、予め定める期間の経過後におけるモータの制御状態とを、それぞれ好適な制御状態にできる。
【0014】
本開示の第10側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上、かつ、前記入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率が第7比率の場合、および、前記人力駆動車が走行を開始し、かつ、前記変速比率が前記第7比率の場合、の少なくとも1つにおいて、第1制御状態において前記モータを制御し、前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度以下、前記人力駆動力が前記第1駆動力以上、かつ、前記変速比率が前記第7比率とは異なる第8比率の場合、および、前記人力駆動車が走行を開始し、かつ、前記変速比率が前記第8比率の場合、の少なくとも1つにおいて、前記第1制御状態とは異なる第2制御状態において前記モータを制御する。
第10側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上の場合と、人力駆動車が走行を開始する場合とにおいて、変速比率に応じて、モータを好適に制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記第8比率は、前記第7比率よりも大きく、前記制御部は、前記第2制御状態において、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力のアシスト比率が、前記第1制御状態における前記アシスト比率よりも増加するように、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
第11側面の制御装置によれば、変速比率が大きくなると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率を増加させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0016】
本開示の第10または第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記第8比率は、前記第7比率よりも大きく、前記制御部は、前記第2制御状態において、前記モータの出力の最大値が、前記第1制御状態における前記モータの出力の前記最大値よりも増加するように、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
第12側面の制御装置によれば、変速比率が大きくなると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、モータの出力の最大値を増加させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0017】
本開示の第10から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記第8比率は、前記第7比率よりも大きく、前記制御部は、前記第2制御状態において、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率が、前記第1制御状態における前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率よりも増加するように、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
第13側面の制御装置によれば、変速比率が大きくなると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率を増加させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0018】
本開示の第10から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記第8比率は、前記第7比率よりも大きく、前記制御部は、前記第2制御状態において、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率が、前記第1制御状態における前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率よりも減少するように、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
第14側面の制御装置によれば、変速比率が大きくなると、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが増加するが、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を減少させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0019】
本開示の第10から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度よりも大きく、かつ、前記変速比率が前記第7比率の場合、または、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が前記第1駆動力未満であり、かつ、前記変速比率が前記第7比率の場合、前記第2制御状態において前記モータを制御する。
第15側面の制御装置によれば、変速比率が第7比率であり、かつ、第1制御状態においてモータが制御されている間に、人力駆動車の入力回転軸の回転速度、または、人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて、制御装置は、第1制御状態から第2制御状態に変更するので、走行状況に応じてモータを好適に制御できる。
【0020】
本開示の第16側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上、かつ、前記人力駆動車の傾斜角度が第1角度の場合、第3制御状態において前記モータを制御し、前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度以下、前記人力駆動力が前記第1駆動力以上、かつ、前記人力駆動車の傾斜角度が前記第1角度とは異なる第2角度の場合、前記第3制御状態とは異なる第4制御状態において前記モータを制御する。
第16側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、かつ、人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上の場合、人力駆動車の傾斜角度に応じてモータを好適に制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0021】
本開示の第16側面に従う第17側面の制御装置において、前記傾斜角度は、前記人力駆動車が上り坂を走行する場合の前記人力駆動車のピッチ角度であり、前記第1角度は、前記第2角度よりも大きく、前記制御部は、前記第3制御状態における前記モータの出力の最大値が、前記第4制御状態における前記モータの出力の前記最大値よりも大きくなるように、前記モータを制御する。
第17側面の制御装置によれば、人力駆動車が上り坂を走行する場合は、ピッチ角度が大きくなるほどユーザが感じる負荷が大きくなるが、ピッチ角度が増加すると、モータの出力の最大値を増加させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。
【0022】
本開示の第16側面に従う第18側面の制御装置において、前記傾斜角度は、前記人力駆動車が下り坂を走行する場合の前記人力駆動車のピッチ角度であり、前記第1角度は、前記第2角度よりも大きく、前記制御部は、前記第3制御状態における前記モータの出力の最大値が、前記第4制御状態における前記モータの出力の前記最大値よりも小さくなるように、前記モータを制御する。
第18側面の制御装置によれば、人力駆動車が下り坂を走行する場合は、ピッチ角度が大きくなるほどユーザが感じる負荷が小さくが、ピッチ角度が増加すると、モータの出力の最大値を小さくするので、電力の消費を抑制できる。
【0023】
本開示の第17または第18側面に従う第19側面の制御装置において、前記制御部は、前記入力回転軸の回転速度が第1回転速度よりも大きく、かつ、前記傾斜角度が前記第1角度の場合、または、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力未満であり、かつ、前記傾斜角度が前記第1角度の場合、前記第4制御状態において前記モータを制御する。
第19側面の制御装置によれば、傾斜角度が第1角度であり、かつ、第3制御状態においてモータが制御されている間に、入力回転軸の回転速度、または、人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて、制御装置は、第3制御状態から第4制御状態に変更するので、走行状況に応じてモータを好適に制御できる。
【0024】
本開示の第20側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸と前記人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する情報、および、前記人力駆動車の傾斜角度に関する情報に応じて、前記モータを制御する。
第20側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸と人力駆動車の車輪との間の動力伝達経路における変速比率に関する情報と、人力駆動車の傾斜角度に関する情報との両方に応じて、モータが制御されるので、走行状況に応じてモータが好適に制御され、ユーザビリティを向上できる。
【0025】
本開示の第20側面に従う第21側面の制御装置において、前記人力駆動車の前記傾斜角度は、前記人力駆動車が上り坂を走行する場合の前記人力駆動車のピッチ角度であり、前記制御部は、前記変速比率が第9比率以下、かつ、前記傾斜角度が第3角度以上の場合は、前記変速比率が前記第9比率以下、かつ、前記傾斜角度が第3角度未満の場合、または、前記変速比率が前記第9比率よりも大きく、かつ、前記傾斜角度が前記第3角度以上の場合よりも、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力のアシスト比率、前記モータの出力の最大値、および、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、のうちの少なくとも1つを増加させるように前記モータを制御する。
第21側面の制御装置によれば、人力駆動車が上り坂を走行する場合は、ピッチ角度が大きくなるほどユーザが感じる負荷が大きくなるが、変速比率が第9比率以下において、ピッチ角度が増加すると、人力駆動車に入力される人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、および、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、のうちの少なくとも1つを増加させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。第21側面の制御装置によれば、ユーザが負荷を低減するために、変速比率を第9比率よりも大きい値から第9比率以下に減少する場合、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが減少するが、さらに、人力駆動車に入力される人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、および、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、のうちの少なくとも1つを増加することによって、ユーザが感じる負荷をさらに低減できる。
【0026】
本開示の第20または第21側面に従う第22側面の制御装置において、前記人力駆動車の前記傾斜角度は、前記人力駆動車が上り坂を走行する場合の前記人力駆動車のピッチ角度であり、前記制御部は、前記変速比率が第10比率以下、かつ、前記傾斜角度が第4角度以上の場合は、前記変速比率が前記第10比率以下、かつ、前記傾斜角度が前記第4角度未満の場合、または、前記変速比率が前記第10比率よりも大きく、かつ、前記傾斜角度が前記第4角度以上の場合よりも、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率を減少させるように前記モータを制御する。
第22側面の制御装置によれば、人力駆動車が上り坂を走行する場合は、ピッチ角度が大きくなるほどユーザが感じる負荷が大きくなるが、変速比率が第10比率以下において、ピッチ角度が増加すると、人力駆動車に入力される人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を減少させることによって、ユーザが感じる負荷を低減できる。第22側面の制御装置によれば、変速比率が第10比率よりも大きい値から第10比率以下に減少する場合、入力回転軸を回転させるために必要な回転トルクが減少するが、さらに、人力駆動車に入力される人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を減少させることによって、ユーザが感じる負荷をさらに低減できる。
【0027】
本開示の第23側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、かつ、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上の場合、第5制御状態において前記モータを制御し、前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度よりも大きい、または、前記人力駆動力が第1駆動力未満の場合、第6制御状態において前記モータを制御し、前記第5制御状態と、前記第6制御状態と、において、前記モータの出力の最大値、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、および、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが異なる。
第23側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、かつ、人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上の場合と、入力回転軸の回転速度が第1回転速度よりも大きい、または、人力駆動力が第1駆動力未満の場合と、のそれぞれにおいてモータを好適に制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0028】
本開示の第24側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上、かつ、前記人力駆動車の進行方向における加速度が第1加速度未満の場合に、第7制御状態において前記モータを制御し、前記入力回転軸の回転速度が前記第1回転速度よりも大きく、前記人力駆動力が第1駆動力未満、および、前記加速度が第1加速度以上の少なくとも1つの場合に、前記第7制御状態とは異なる第8制御状態において前記モータを制御する。
第24側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第1回転速度以下、人力駆動車に入力される人力駆動力が第1駆動力以上、かつ、人力駆動車の進行方向における加速度が第1加速度未満の場合と、入力回転軸の回転速度が第1回転速度よりも大きく、人力駆動力が第1駆動力未満、および、加速度が第1加速度以上の少なくとも1つの場合と、のそれぞれにおいてモータを好適に制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0029】
本開示の第24側面に従う第25側面の制御装置において、前記制御部は、前記第7制御状態と、前記第8制御状態とにおいて、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力のアシスト比率、前記モータの出力の最大値、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、および、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが異なるように前記モータを制御する。
第25側面の制御装置によれば、第7制御状態および第8制御状態のそれぞれにおいて、人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、および、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが好適な値になるようにモータを制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0030】
本開示の第25側面に従う第26側面の制御装置において、前記制御部は、前記第7制御状態の場合、前記第8制御状態の場合よりも、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の前記アシスト比率、前記モータの出力の前記最大値、および、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率、のうちの少なくとも1つを増加させるように前記モータを制御する。
第26側面の制御装置によれば、第7制御状態の場合、第8制御状態の場合よりも、人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、および、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、のうちの少なくとも1つを大きくできる。
【0031】
本開示の第25または第26側面に従う第27側面の制御装置において、前記制御部は、前記第7制御状態の場合、前記第8制御状態の場合よりも、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を減少させるように前記モータを制御する。
第27側面の制御装置によれば、第7制御状態の場合、第8制御状態の場合よりも、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を小さくできる。
【0032】
本開示の第28側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車に推進力を付与するモータを制御するように構成される制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第2回転速度以下、かつ、前記人力駆動車に入力される人力駆動力が40Nm以上の場合、第9制御状態において前記モータを制御し、前記入力回転軸の回転速度が前記第2回転速度よりも大きい、または、前記人力駆動力が40Nm未満の場合、前記第9制御状態とは異なる第10制御状態において前記モータを制御する。
第28側面の制御装置によれば、人力駆動車の入力回転軸の回転速度が第2回転速度以下、かつ、人力駆動車に入力される人力駆動力が40Nm以上の場合と、入力回転軸の回転速度が第2回転速度よりも大きい、または、人力駆動力が40Nm未満の場合と、のそれぞれにおいてモータを好適に制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0033】
本開示の第28側面に従う第29側面の制御装置において、前記制御部は、前記第9制御状態と、前記第10制御状態とにおいて、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力のアシスト比率、前記モータの出力の最大値、前記人力駆動力の増加に対する前記モータの出力の増加速度の第1変化率、および、前記人力駆動力の減少に対する前記モータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが異なるように前記モータを制御する。
第29側面の制御装置によれば、第9制御状態および第10制御状態のそれぞれにおいて、人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、および、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率の少なくとも1つが好適な値になるようにモータを制御できるため、ユーザビリティを向上できる。
【0034】
本開示の第29側面に従う第30側面の制御装置において、前記制御部は、前記第9制御状態の場合、前記第10制御状態の場合よりも、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力の前記アシスト比率、前記モータの出力の前記最大値、および、前記人力駆動力の増加速度に対する前記モータの出力の増加速度の前記第1変化率、のうちの少なくとも1つを増加させるように前記モータを制御する。
第30側面の制御装置によれば、第9制御状態の場合、第10制御状態の場合よりも、人力駆動力に対するモータによるアシスト力のアシスト比率、モータの出力の最大値、および、人力駆動力の増加速度に対するモータの出力の増加速度の第1変化率、のうちの少なくとも1つを大きくできる。
【0035】
本開示の第29または第30側面に従う第31側面の制御装置において、前記制御部は、前記第9制御状態の場合、前記第10制御状態の場合よりも、前記人力駆動力の減少速度に対する前記モータの出力の減少速度の前記第2変化率を減少させるように前記モータを制御する。
第31側面の制御装置によれば、第9制御状態の場合、第10制御状態の場合よりも、人力駆動力の減少速度に対するモータの出力の減少速度の第2変化率を小さくできる。
【発明の効果】
【0036】
本開示の人力駆動車用の制御装置は、ユーザビリティを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
【
図3】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理の第1部分のフローチャート。
【
図4】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理の第2部分のフローチャート。
【
図5】第2実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図6】第
2実施形態の制御部によって実行され、モータを制御す
る処理のフローチャート。
【
図7】第3実施形態の制御部によって実行され、モータを制御す
る処理のフローチャート。
【
図8】第4実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理の第1部分のフローチャート。
【
図9】第4実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理の第2部分のフローチャート。
【
図10】第4実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理の第3部分のフローチャート。
【
図11】第4実施形態の第1変形例の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図12】第4実施形態の第2変形例の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図13】第5実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図14】第6実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図15】第7実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第1実施形態>
図1から
図4を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力Hによって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力Hのみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力Hだけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車、かつ、マウンテンバイクとして説明する。
【0039】
人力駆動車10は、人力駆動力Hが入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能な入力回転軸12Aと、入力回転軸12Aの軸方向の第1端部設けられる第1クランクアーム12Bと、入力回転軸12Aの軸方向の第2端部に設けられる第2クランクアーム12Cと、を含む。本実施形態において、入力回転軸12Aは、クランク軸である。第1クランクアーム12Bには、第1ペダル20Aが連結される。第2クランクアーム12Cには、第2ペダル20Bが連結される。
【0040】
後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、入力回転軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力回転軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転する場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転する場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0041】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転する場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転する場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。人力駆動車10は、変速機29を含む。変速機29は、外装変速機および内装変速機の少なくとも1つを含む。外装変速機は、例えば、ディレーラ29A、第1回転体24、および、第2回転体26を含む。ディレーラ29Aは、フロントディレーラおよびリアディレーラの少なくとも1つを含む。ディレーラ29Aがフロントディレーラを含む場合、第1回転体24は、複数のスプロケットを含む。ディレーラ29Aがリアディレーラを含む場合、第2回転体26は、複数のスプロケットを含む。内装変速機は、例えば、後輪14Aのハブに設けられてもよく、入力回転軸12Aから第1回転体24までの動力伝達経路に設けられてもよい。
変速機29は、ボーデンケーブルによって操作されてもよく、電動アクチュエータによって操作されてもよい。ハンドルバー34には、変速操作装置が設けられる。変速操作装置は、変速レバーまたは変速スイッチを含む。変速操作装置は、ボーデンケーブル、または、通信ケーブルを介して、変速機29に接続される。変速機29および変速操作装置は、それぞれ無線通信装置を有し、無線通信してもよい。変速機29は、ユーザが変速操作装置を操作することによって、操作されてもよく、人力駆動車に設けられるセンサの出力に応じて、制御部62または他の制御部によって自動的に操作されてもよい。変速機29が電気アクチュエータによって操作される場合、電動アクチュエータは、変速機29に含まれていてもよい。変速操作装置、例えば、変速比が増加するように変速機29を動作させるためのシフトアップレバーまたはシフトアップスイッチと、変速比が減少するように変速機29を動作させるためのシフトダウンレバーまたはシフトダウンスイッチと、を有する。変速操作装置は、円筒部材を有し、円筒部材を回転させることによって、変速機29を動作させてもよい。変速操作装置は、様々な構成としてもよく、特に限定されない。
【0042】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0043】
好ましくは、人力駆動車10は、バッテリ36をさらに含む。バッテリ36は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ36は、制御装置60に電力を供給するように構成される。バッテリ36は、好ましくは、制御装置60の制御部62と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ36は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部62と通信可能である。
【0044】
人力駆動車10は、モータ38を含む。モータ38は、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。モータ38は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ38は、ペダル20A,20Bから後輪14Aまでの人力駆動力Hの動力伝達経路、および、前輪14Bの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。ペダル20A,20Bから後輪14Aまでの人力駆動力Hの動力伝達経路には、後輪14Aも含まれる。本実施形態では、モータ38は、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、第1回転体24に回転を伝達するように構成される。モータ38は、ハウジング39に設けられる。ハウジング39は、フレーム18に設けられる。ハウジング39は、例えばフレーム18に着脱可能に取り付けられる。
【0045】
モータ38およびモータ38が設けられるハウジング39を含んで、ドライブユニット40が構成される。ドライブユニット40には、モータ38の出力軸に接続される減速機が設けられてもよい。本実施形態では、ハウジング39は、入力回転軸12Aを回転可能に支持する。本実施形態では、ドライブユニット40は、第1回転体24が接続される出力部を含む。好ましくは、出力部は、環状に形成され、入力回転軸12Aの外周に、入力回転軸12Aと同軸に配置される。出力部は、入力回転軸12Aに直接または第1ワンウェイクラッチを介して接続される。モータ38は、出力部に直接または減速機を介して接続される。モータ38と入力回転軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、入力回転軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力のモータ38への伝達を抑制する第3ワンウェイクラッチが設けられる。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つにモータ38を設ける場合、モータ38は、ハブに設けられて、ハブと共にハブモータを構成してもよい。
【0046】
制御装置60は、制御部62を含む。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。好ましくは、制御部62は、タイマおよびカウンタの少なくとも1つを含む。
【0047】
制御装置60は、好ましくは、モータ38の駆動回路66をさらに備える。駆動回路66と、制御部62とは、好ましくは、ドライブユニット40のハウジング39に設けられる。駆動回路66と、制御部62とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路66は、インバータ回路を含む。駆動回路66は、バッテリ36からモータ38に供給される電力を制御する。駆動回路66は、制御部62と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続される。駆動回路66は、制御部62からの制御信号に応じてモータ38を駆動させる。
【0048】
好ましくは、人力駆動車10は、車速センサ42をさらに含む。好ましくは、人力駆動車10は、クランク回転センサ44、人力駆動力検出部46、傾斜検出部48、および、加速度検出部50の少なくとも1つをさらに含む。
【0049】
車速センサ42は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサ42は、人力駆動車10の車輪14の回転速度Wに関する情報を検出するように構成される。車速センサ42は、例えば、人力駆動車10の車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ42は、例えば、車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ42は、車輪14の回転速度Wに応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度Wに応じた情報と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速Vを算出できる。記憶部64には車輪14の周長に関する情報が記憶される。
【0050】
車速センサ42は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。車速センサ42は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪14Aに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、前輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ42は、車輪14が一回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ42は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよく、光学センサなどを含んで構成されてもよく、GPS(Global positioning system)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ42がGPS受信器を含む場合、制御部62は、時間と移動距離とに応じて車速Vを算出できる。車速センサ42は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0051】
クランク回転センサ44は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ44は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはドライブユニット40に設けられる。クランク回転センサ44は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、入力回転軸12A、入力回転軸12Aに連動して回転する部材、または、入力回転軸12Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。入力回転軸12Aに連動して回転する部材は、モータ38の出力軸を含んでもよい。
【0052】
クランク回転センサ44は、入力回転軸12Aの回転速度Cに応じた信号を出力する。例えば、磁石は、入力回転軸12Aと第1回転体24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体24に設けられてもよい。クランク回転センサ44は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。クランク回転センサ44は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0053】
人力駆動力検出部46は、人力駆動力Hに関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部46は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力Hによってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサは、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0054】
トルクセンサは、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、入力回転軸12A、入力回転軸12Aと第1回転体24との間において人力駆動力Hを伝達する部材、クランクアーム12B,12C、または、ペダル20A,20Bである。人力駆動力検出部46は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。人力駆動力検出部46は、人力駆動力Hに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、例えば、ペダル20A,20Bに与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0055】
傾斜検出部48は、人力駆動車10の傾斜角度Dに関する情報を検出するように構成される。傾斜検出部48は、人力駆動車10の傾斜角度Dを検出するように構成される。人力駆動車10の傾斜角度Dは、人力駆動車10の進行方向における傾斜角度である。人力駆動車10の傾斜角度Dは、人力駆動車10のピッチ角度と対応する。傾斜検出部48は、一例では、傾斜センサを含む。傾斜センサは、ジャイロセンサおよび加速度センサの少なくとも1つを含む。別の例では、傾斜検出部48は、GPS受信機を含む。制御部62は、GPS受信機によって取得されるGPS情報と、記憶部64に予め記録されている地図情報に含まれる路面勾配とに応じて、人力駆動車10の傾斜角度Dを演算してもよい。傾斜検出部48は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0056】
加速度検出部50は、人力駆動車10が前進する方向における加速度Sに応じた信号を検出するように構成される。加速度検出部50は、加速度センサを含む。加速度検出部50は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。加速度検出部50は、加速度センサに代えて、車速センサ42を含んでいてもよい。加速度検出部50が車速センサ42を含む場合、制御部62は、車速Vを微分することによって人力駆動車10が前進する方向における加速度に関する情報を取得する。
【0057】
好ましくは、人力駆動車10は、変速情報取得部52をさらに含む。変速情報取得部52は、入力回転軸12Aと車輪14との間の動力伝達経路における変速機29の変速比率Rに関する変速情報を取得する。変速情報は、変速機29のシフトステージに関する情報を含んでいてもよい。変速情報取得部52は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。変速情報取得部52は、例えば、変速機29の一部の動作、ボーデンケーブルの動作、変速操作装置の動作、の少なくとも1つに応じた信号を出力する第1センサを含む。変速機29が電動アクチュエータによって操作される場合、変速情報取得部52は、電動アクチュエータの動作、または、電動アクチュエータに接続される減速機の動作の少なくとも1つに応じた信号を出力する第2センサを含んでいてもよい。第1センサは、例えば、磁気センサ、光学センサ、または、ポテンショメータを含む。第2センサは、例えば、磁気センサ、光学センサ、または、ポテンショメータを含む。
【0058】
変速機29がディレーラ29Aを含む場合、例えば、第1センサは、ディレーラ29Aの可動部材のフレーム18に対する位置を表す信号、および、可動部材の回転位相を表す信号の少なくとも1つを出力する。可動部材は、例えばチェーンガイドを含む。変速機29が電動変速機を含む場合、変速情報取得部52は、変速情報として変速操作装置の操作信号を取得してもよい。制御部62は、変速情報取得部52が取得する変速情報を受信する。制御部62は、変速情報と、テーブルまたは関係式などの情報とから、現在の変速比を特定する。制御部62は、現在の変速比を特定しないで、現在の変速ステージを特定してもよい。変速比と変速ステージとの対応関係は、記憶部64に記憶されていてもよい。変速情報取得部52は、車速センサ42、クランク回転センサ44、および、人力駆動力検出部46を含んでいてもよい。制御部62は、人力駆動力検出部46によって検出される人力駆動力が予め定める値以上の場合、車速センサ42が検出する車輪の回転速度と、クランク回転センサ44が検出するクランクの回転速度との比率を演算して、現在の変速比を特定してもよい。
【0059】
制御部62は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ38を、制御するように構成される。制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じて、モータ38を制御するように構成される。人力駆動力Hは、トルクで表されてもよく、仕事率で表されてもよい。人力駆動力Hが仕事率によって表される場合、人力駆動力Hは、人力駆動力検出部46によって検出されたトルクとクランク回転センサ44によって検出された入力回転軸12Aの回転速度Cとを乗算することによって得られる。
【0060】
制御部62は、例えば、モータ38の出力Mが最大値MX以下の場合に、人力駆動力Hに対して、モータ38によるアシスト力が予め定めるアシスト比率Aになるように、モータ38を制御するように構成される。予め定めるアシスト比率Aは、一定ではなく、例えば、人力駆動力Hに応じて変化してもよく、車速Vに応じて変化してもよく、人力駆動力Hおよび車速Vの両方に応じて変化してもよい。人力駆動力Hおよびアシスト力は、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。アシスト比率Aは、人力駆動力Hによって人力駆動車10に生じる推進力に対する、モータ38によるアシスト力によって人力駆動車に生じる推進力の比率と等しい。
【0061】
制御部62は、例えば、人力駆動力Hと予め定めるアシスト比率Aとの対応関係の少なくとも一部が互いに異なる複数の制御状態から選択される1つの制御状態によって、モータ38を制御するように構成される。制御状態は、制御モードを含む。制御部62は、人力駆動力Hに応じて、制御指令をモータ38の駆動回路66に出力するように構成される。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。複数の制御状態は、モータ38を駆動しない制御状態を含んでいてもよい。
【0062】
制御部62は、アシスト力が上限値MX以下になるようにモータ38を制御するように構成される。モータ38の出力Mが第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力がトルクによって表される場合、制御部62は、ドライブユニット40の出力部におけるトルクMTが上限値MTX以下になるようにモータ38を制御するように構成される。好ましくは、上限値MTXは、30Nm以上200Nm以下の範囲の値である。上限値MTXは、例えば、85Nmである。上限値MTXは、例えば、モータ38の出力M特性によって決定される。モータ38の出力Mが第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力が仕事率によって表される場合、制御部62は、ドライブユニット40の出力部における仕事率が上限値MWX以下になるようにモータ38を制御するように構成される。
【0063】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aと人力駆動車10の車輪14との間の動力伝達経路における変速比率Rに関する変速情報に応じて、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つを変更するようにモータ38を制御する。変速情報は、例えば、変速情報取得部52によって取得される。好ましくは、制御部62は、変速比率Rに応じて、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つを変更するようにモータ38を制御する。
【0064】
制御部62は、例えば、第1フィルタによって第1変化率P1を変更する。第1フィルタは、例えば、第1時定数を有するローパスフィルタを含む。制御部62は、第1時定数を変更することによって第1変化率P1を変更する。制御部62は、人力駆動力Hからモータ38の出力Mを算出するためのゲインを変更することによって第1変化率P1を変更するようにしてもよい。
【0065】
制御部62は、例えば、第2フィルタによって第2変化率P2を変更する。第2フィルタは、例えば、第2時定数を有するローパスフィルタを含む。制御部62は、第2時定数を変更することによって第2変化率P2を変更する。制御部62は、人力駆動力Hからモータ38の出力Mを算出するためのゲインを変更することによって第2変化率P2を変更するようにしてもよい。
【0066】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10が走行を開始する場合、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、車輪14の車速Vが第1速度V1以下の場合、および、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下かつ人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、の少なくとも1つにおいて、変速情報に応じて、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つを変更するようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、人力駆動車10が走行を開始する場合、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、車輪14の回転速度Wが第2回転速度CY以下の場合、および、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下かつ人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、の少なくとも1つにおいて、変速比率Rに応じて、最大値MX、第1変化率P1、および、第2変化率P2の少なくとも1つを変更するようにモータ38を制御する。
【0067】
制御部62は、例えば、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1以下の場合、および、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下かつ人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、の少なくとも1つにおいて、第11制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、例えば、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きい場合、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1を超える場合、および、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きくかつ人力駆動力Hが第1駆動力HXよりも小さい場合、の少なくとも1つにおいて、第12制御状態においてモータ38を制御する。第12制御状態は、変速情報とは無関係にモータ38を制御する制御状態を含んでもよく、変速情報に応じてモータ38を制御する制御状態を含んでいてもよい。第1回転速度CXは、5rpm以上30rpm以下の値であり、例えば、20rpmである。第1速度V1は、3km/h以上10km/h以下の値であり、たとえば7km/hである。第1駆動力HXが、トルクで表される場合、第1駆動力HXは、例えば、40Nmである。
【0068】
制御部62は、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXにおけるモータ38の制御状態と、予め定める期間TXの経過後におけるモータ38の制御状態が異なるように、モータ38を制御してもよい。予め定める期間TXは、例えば、予め定める時間であってもよい。予め定める時間は、例えば、1秒以上60秒以下の間の時間である。予め定める期間TXは、予め定める時間ではなく、例えば、人力駆動車10が走行を開始してから入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えるまでの期間、人力駆動車10が走行を開始してから人力駆動車10の車速Vが第1速度V1を超えるまでの期間、および、人力駆動車10が走行を開始してから、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下かつ人力駆動力Hが第1駆動力HX以上になるまでの期間、の少なくとも1つに対応してもよい。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXにおいて、第11制御状態においてモータ38を制御し、予め定める期間TXの経過後において、第12制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、例えば、タイマまたはカウンタによって時間を演算する。制御部62は、時計を有していてもよい。
【0069】
制御部62は、第11制御状態において、変速情報に応じて、モータ38の出力Mの最大値MXを変更するようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、第11制御状態において、変速情報に応じて、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1を変更するようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、第11制御状態において、変速情報に応じて、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を変更するようにモータ38を制御してもよい。
【0070】
制御部62は、第11制御状態においてモータ38を、第1例、第2例、第3例、第4例、第5例、第6例、第7例、第8例、第9例、第10例、第11例、または、第12例のように制御してもよい。第11制御状態において制御部62は、モータ38を、第1例および第2例のうちの1つと、第3例および第4例のうちの1つと、第5例および第6例のうちの1つと、第7例および第8例のうちの1つと、第9例および第10例のうちの1つと、第11例および第12例のうちの1つと、のうちの矛盾の生じない2つ以上を組み合わせて制御してもよい。
【0071】
第1例では、制御部62は、変速比率Rが第1比率R1よりも小さい場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、変速比率Rが第1比率R1以上の場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも減少するようにモータ38を制御する。第2例では、制御部62は、変速比率Rが第1比率R1よりも小さい場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、変速比率Rが第1比率R1以上の場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも増加するようにモータ38を制御する。
【0072】
第3例では、制御部62は、変速比率Rが第2比率R2よりも大きい場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXを、変速比率Rが第2比率R2以下の場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも増加するようにモータ38を制御する。第11制御状態の第4例では、制御部62は、変速比率Rが第2比率R2よりも大きい場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXを、変速比率Rが第2比率R2以下の場合におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも減少するようにモータ38を制御する。
【0073】
第5例では、制御部62は、変速比率Rが第3比率R3よりも小さい場合における人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1を、変速比率Rが第3比率R3以上の場合における人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1よりも減少するようにモータ38を制御する。第11制御状態の第6例では、制御部62は、変速比率Rが第3比率R3よりも小さい場合における第1変化率P1を、変速比率Rが第3比率R3以上の場合における第1変化率P1よりも増加するようにモータ38を制御する。
【0074】
第7例では、制御部62は、変速比率Rが第4比率R4よりも大きい場合における人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1を、変速比率Rが第4比率R4以下の場合における人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1よりも増加するようにモータ38を制御する。第8例では、制御部62は、変速比率Rが第4比率R4よりも大きい場合における第1変化率P1を、変速比率Rが第4比率R4以下の場合における第1変化率P1よりも減少するようにモータ38を制御する。
【0075】
第9例では、制御部62は、変速比率Rが第5比率R5よりも小さい場合における人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を、変速比率Rが第5比率R5以上の場合における人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2よりも増加するようにモータ38を制御する。第10例では、制御部62は、変速比率Rが第5比率R5よりも小さい場合における第2変化率P2を、変速比率Rが第5比率R5以上の場合における第2変化率P2よりも減少するようにモータ38を制御する。
【0076】
第11例では、制御部62は、変速比率Rが第6比率R6よりも大きい場合における人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を、変速比率Rが第6比率R6以下の場合における人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2よりも増加するようにモータ38を制御する。第12例では、制御部62は、変速比率Rが第6比率R6よりも大きい場合における第2変化率P2を、変速比率Rが第6比率R6以下の場合における第2変化率P2よりも減少するようにモータ38を制御する。好ましくは、第6比率R6は、第5比率R5よりも大きい。
【0077】
第1比率R1、第2比率R2、第3比率R3、第4比率R4、第5比率R5、および、第6比率R6として、変速機29が設定可能な変速比のうち、最小の変速比および最大の変速比を除く変速比が設定される。好ましくは、第1比率R1、第3比率R3、第5比率R5として、変速機29が設定可能な変速比のうち、最小の変速比と最大の変速比との間の中央の変速比よりも小さい変速比が設定される。好ましくは、第2比率R2、第4比率R4、第6比率R6として、変速機29が設定可能な変速比のうち、最小の変速比と最大の変速比との間の中央の変速比よりも大きい変速比が設定される。
【0078】
第1比率R1は、第3比率R3と等しくてもよい。第2比率R2は、第4比率R4と等しくてもよい。第5比率R5は、第1比率R1および第3比率R3の少なくとも1つと等しくてもよい。第6比率R6は、第2比率R2および第4比率R4の少なくとも1つと等しくてもよい。第1比率R1、第3比率R3、および、第5比率R5のうちの2つ以上の変速比率Rが等しくてもよく、全てが異なっていてもよい。第2比率R2、第4比率R4、および、第6比率R6のうちの2つ以上の変速比率Rが等しくてもよく、全てが異なっていてもよい。
【0079】
図3および
図4を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、
図3および
図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0080】
制御部62は、ステップS11において、人力駆動車10が走行を開始したかを判定する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始していない場合、ステップS12に移行する。制御部62は、車速センサ42の出力信号に基づいて、人力駆動車10が停止状態から車速が増加する場合、人力駆動車10が走行を開始したと判定する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始した場合、ステップS15に移行する。
【0081】
制御部62は、ステップS12において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、ステップS13に移行する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、ステップS15に移行する。
【0082】
制御部62は、ステップS13において、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1以下か否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1以下ではない場合、ステップS14に移行する。制御部62は、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1以下の場合、ステップS15に移行する。
【0083】
制御部62は、ステップS14において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、かつ、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、および、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、かつ、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS15に移行する。
【0084】
制御部62は、ステップS15において、第11制御状態においてモータ38を制御し、ステップS16に移行する。制御部62は、ステップS16において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えるか否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えない場合、ステップS17に移行する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超える場合、ステップS20に移行する。
【0085】
制御部62は、ステップS17において、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1を超えるか否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1を超えない場合、ステップS18に移行する。制御部62は、人力駆動車10の車速Vが第1速度V1を超える場合、ステップS20に移行する。
【0086】
制御部62は、ステップS18において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えるか、または、人力駆動力Hが第1駆動力HX未満か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えない場合、かつ、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS19に移行する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXを超えるか、または、人力駆動力Hが第1駆動力HX未満の場合、ステップS20に移行する。
【0087】
制御部62は、ステップS19において、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過したか否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過していない場合、ステップS15に移行する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過している場合、ステップS20に移行する。
【0088】
制御部62は、ステップS20において、第
12制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。好ましくは、制御部62は、ステップS17以降において、再びステップS15の処理を実行する。
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS11、ステップS12、ステップS13、および、ステップS14のうちの、いずれか1つ、いずれか2つ、または、いずれか3つを省略してもよい。
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS16、ステップS17、および、ステップS19のうちの、いずれか1つ、いずれか2つ、または、いずれか3つを省略してもよい。
【0089】
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS11を省略する場合、ステップS19を省略してもよい
。図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS12を省略する場合、ステップS16を省略してもよい。
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS13を省略する場合、ステップS17を省略してもよい。
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS14を省略する場合、ステップS18を省略してもよい。
図3のフローチャートにおいて、ステップS11,S12,S1
3、および、S14の順番は変更されてもよい。
図3および
図4のフローチャートにおいて、ステップS16,S17,S18、および、S19の順番は変更されてもよい。
【0090】
<第2実施形態>
図5および
図6を参照して、第2実施形態の制御装置60が説明される。第2実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図5のフローチャートの処理または
図6のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第2実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX以上、かつ、入力回転軸12Aと人力駆動車10の車輪14との間の動力伝達経路における変速比率Rが第7比率R7の場合、および、人力駆動車10が走行を開始し、かつ、変速比率Rが第7比率R7の場合、の少なくとも1つにおいて、第1制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上、かつ、変速比率Rが第7比率R7とは異なる第8比率R8の場合、および、人力駆動車10が走行を開始し、かつ、変速比率Rが第8比率R8の場合、の少なくとも1つにおいて、第1制御状態とは異なる第2制御状態においてモータ38を制御する。
【0092】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きく、かつ、変速比率Rが第7比率R7の場合、または、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX未満であり、かつ、変速比率Rが第7比率R7の場合、第2制御状態においてモータ38を制御する。
【0093】
好ましくは、第8比率R8は、第7比率R7よりも大きい。第7比率R7は、第1実施形態の第1比率R1、第2比率R2、第3比率R3、第4比率R4、第5比率R5、および、第6比率R6のうちのいずれかと等しくてもよく、いずれとも異なっていてもよい。好ましくは、第7比率R7は、第1実施形態の第1比率R1、第3比率R3、および、第5比率R5のうちのいずれかと等しい。好ましくは、第8比率R8は、第7比率R7よりも大きい全ての比率Rを含む。好ましくは、第7比率R7は、第8比率R8よりも小さい全ての比率Rを含む。好ましくは、第7比率R7ではない変速比率Rは、全て第8比率R8である。
【0094】
制御部62は、第1制御状態および第2制御状態においては、モータ38を、第13例、第14例、第15例、第16例、第17例、第18例、第19例、または、第20例のように制御してもよい。制御部62は、第1制御状態および第2制御状態において、モータ38を、第13例および第14例のうちの1つと、第15例および第16例のうちの1つと、第17例および第18例のうちの1つと、第19例および第20例のうちの1つと、の2つ以上を組み合わせて制御してもよい。
【0095】
第13例では、制御部62は、第2制御状態において、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率Aが、第1制御状態におけるアシスト比率Aよりも増加するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。第14例では、制御部62は、第2制御状態において、アシスト比率Aが、第1制御状態におけるアシスト比率Aよりも減少するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。
【0096】
第15例では、制御部62は、第2制御状態において、モータ38の出力Mの最大値MXが、第1制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも増加するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。第16例では、制御部62は、第2制御状態において、モータ38の出力Mの最大値MXが、第1制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも減少するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。
【0097】
第17例では、制御部62は、第2制御状態において、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1が、第1制御状態における人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1よりも増加するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。第18例では、制御部62は、第2制御状態において、第1変化率P1が、第1制御状態における第1変化率P1よりも減少するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。
【0098】
第19例では、制御部62は、第2制御状態において、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2が、第1制御状態における人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2よりも減少するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。第20例では、制御部62は、第2制御状態において、第2変化率P2が、第1制御状態における第2変化率P2よりも増加するように、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ38を制御する。
【0099】
図5を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理の一例が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図5に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、
図5のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0100】
制御部62は、ステップS21において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下か否かを判定する。制御部62は、ステップS21において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、ステップS25に移行する。制御部62は、ステップS25において、第2制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS21において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、ステップS22に移行する。
【0101】
制御部62は、ステップS22において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上ではない場合、ステップS25に移行する。制御部62は、ステップS25において、第2制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。ステップS22において、制御部62は、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS23に移行する。
【0102】
制御部62は、ステップS23において、変速比率Rが第7比率R7か否かを判定する。制御部62は、変速比率Rが第7比率R7ではない場合、ステップS25に移行する。制御部62は、ステップS25において、第2制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS23において、変速比率Rが第7比率R7の場合、ステップS24に移行する。制御部62は、ステップS24において、第1制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
図5のフローチャートにおいて、ステップS21,S22,S23の順番を入れ替えてもよい。
【0103】
図6を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理の他の例が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、
図6のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0104】
制御部62は、ステップS31において、
図3のステップS11と同様に、人力駆動車10が走行を開始したか否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始していない場合、ステップS34に移行する。制御部62は、ステップS34において、
図4のステップS19と同様に、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過したか否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過した場合、ステップS35に移行する。制御部62は、ステップS35において、第2制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0105】
制御部62は、ステップS34において、人力駆動車10が走行を開始してから予め定める期間TXが経過していない場合、ステップS33に移行する。制御部62は、ステップS31において、人力駆動車10が走行を開始した場合、ステップS32に移行する。
【0106】
制御部62は、ステップS32において、変速比率Rが第7比率R7か否かを判定する。制御部62は、変速比率Rが第7比率R7ではない場合、ステップS35に移行する。制御部62は、ステップS3
5において、第2制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、変速比率Rが第7比率R7の場合、ステップS33に移行する。制御部62は、ステップS33において、第1制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
図6のフローチャートにおいて、ステップS31,S32の順番を入れ替えてもよい。
【0107】
<第3実施形態>
図7を参照して、第3実施形態の制御装置60が説明される。第3実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図7のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第3実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0108】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX以上、かつ、人力駆動車10の傾斜角度Dが第1角度DXの場合、第3制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上、かつ、人力駆動車10の傾斜角度Dが第1角度DXとは異なる第2角度DWの場合、第3制御状態とは異なる第4制御状態においてモータ38を制御する。好ましくは、第1角度DXは、予め定める角度DA以上の角度を含む。好ましくは、第2角度DWは、予め定める角度DA未満の角度を含む。
【0109】
制御部62は、例えば、第4制御状態において、モータ38を、第21例、第22例、第23例、または、第24例のように制御する。制御部62は、第4制御状態において、モータ38を、第21例および第22例のうちの1つと、第23例および第24例のうちの1つと、を組み合わせて制御してもよい。
【0110】
第21例では、傾斜角度Dは、人力駆動車10が上り坂を走行する場合の人力駆動車10のピッチ角度であり、第1角度DXは、第2角度DWよりも大きく、制御部62は、第3制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、第4制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも大きくなるように、モータ38を制御する。第22例において、傾斜角度Dは、人力駆動車10が上り坂を走行する場合の人力駆動車10のピッチ角度であり、第1角度DXは、第2角度DWよりも大きく、制御部62は、第3制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、第4制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも小さくなるように、モータ38を制御する。第21例および第22例において、好ましくは、予め定める角度DAは、予め定める道路勾配以上の上り坂と対応するピッチ角度である。第21例および第22例において、予め定める角度DAは、例えば、5度以上20度未満の範囲の角度である。
【0111】
第23例では、傾斜角度Dは、人力駆動車10が下り坂を走行する場合の人力駆動車10のピッチ角度であり、第1角度DXは、第2角度DWよりも大きく、制御部62は、第3制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、第4制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも小さくなるように、モータ38を制御する。第24例において、傾斜角度Dは、人力駆動車10が下り坂を走行する場合の人力駆動車10のピッチ角度であり、第1角度DXは、第2角度DWよりも大きく、制御部62は、第3制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXが、第4制御状態におけるモータ38の出力Mの最大値MXよりも大きくなるように、モータ38を制御する。第23例および第24例において、好ましくは、予め定める角度DAは、予め定める道路勾配以上の下り坂と対応するピッチ角度である。第23例および第24例において、予め定める角度DAは、例えば、5度以上20度未満の範囲の角度である。
【0112】
好ましくは、第21例、第22例、第23例、および、第24例において、制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第1角度DXの場合、または、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX未満であり、かつ、傾斜角度Dが第1角度DXの場合、第4制御状態においてモータ38を制御する。
【0113】
図7を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図7に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部62は、
図7のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0114】
制御部62は、ステップS41において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、ステップS45に移行する。制御部62は、ステップS45において、第4制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS41において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、ステップS42に移行する。
【0115】
制御部62は、ステップS42において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上ではない場合、ステップS45に移行する。制御部62は、ステップS45において、第4制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS42において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS43に移行する。
【0116】
制御部62は、ステップS43において、傾斜角度Dが第1角度DXか否かを判定する。制御部62は、傾斜角度Dが第1角度DXではない場合、ステップS45に移行する。制御部62は、ステップS45において、第4制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS43において、傾斜角度Dが第1角度DXの場合、ステップS44に移行する。制御部62は、ステップS44において、第3制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
図7のフローチャートにおいて、ステップS41、ステップS42,および、ステップS43の順番は変更されてもよい。
【0117】
<第4実施形態>
図8から
図10を参照して、第4実施形態の制御装置60が説明される。第4実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図8から
図10のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第4実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0118】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aと人力駆動車10の車輪14との間の動力伝達経路における変速比率Rに関する情報、および、人力駆動車10の傾斜角度Dに関する情報に応じて、モータ38を制御する。好ましくは、人力駆動車10の傾斜角度Dは、人力駆動車10が上り坂を走行する場合の人力駆動車10のピッチ角度である。
【0119】
制御部62は、変速比率Rが第9比率R9以下、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合は、変速比率Rが第9比率R9以下、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY未満の場合、または、変速比率Rが第9比率R9よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合よりも、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、および、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、のうちの少なくとも1つを増加させるようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第10比率R10以下、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合は、変速比率Rが第10比率R10以下、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ未満の場合、または、変速比率Rが第10比率R10よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合よりも、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を減少させるようにモータ38を制御する。第9比率R9および第10比率R10は、第1実施形態の第1比率R1、第2比率R2、第3比率R3、第4比率R4、第5比率R5、および、第6比率R6のうちのいずれかと等しくてもよく、いずれとも異なっていてもよい。好ましくは、第9比率R9および第10比率R10は、第1実施形態の第1比率R1、第3比率R3、および、第5比率R5のうちのいずれかと等しい。
【0120】
好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第9比率R9以下、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合、第15制御状態において、モータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第9比率R9以下、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY未満の場合、または、変速比率Rが第9比率R9よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合、第16制御状態において、モータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第9比率R9よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第3角度DY未満の場合、第17制御状態において、モータ38を制御する。
【0121】
制御部62は、第15制御状態と第17制御状態とにおいて、実質的に同様にモータ38を制御してもよく、互いに異なるようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、例えば、第17制御状態において、第15制御状態の場合よりもアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、および、第1変化率P1、のうちの少なくとも1つを減少させるようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、例えば、第17制御状態において、第15制御状態の場合よりもアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、および、第1変化率P1、のうちの少なくとも1つを増加させるようにモータ38を制御してもよい。
【0122】
好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第10比率R10以下、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合は、第18制御状態において、モータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第10比率R10以下、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ未満の場合、または、変速比率Rが第10比率R10よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、第19制御状態において、モータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、変速比率Rが第10比率R10よりも大きく、かつ、傾斜角度Dが第4角度DZ未満の場合、第20制御状態において、モータ38を制御する。
【0123】
制御部62は、第18制御状態と第20制御状態とにおいて、実質的に同様にモータ38を制御してもよく、互いに異なるようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、例えば、第20制御状態において、第18制御状態の場合よりも人力駆動車10に入力される人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を減少させるようにモータ38を制御してもよい。制御部62は、例えば、第20制御状態において、第18制御状態の場合よりも人力駆動車10に入力される人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を増加させるようにモータ38を制御してもよい。
【0124】
図8から
図10を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図8に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部62は、
図8から
図10のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS51からの処理を繰り返す。
【0125】
制御部62は、ステップS51において、変速比率Rが第9比率R9以下か否かを判定する。制御部62は、変速比率Rが第9比率R9以下の場合、ステップS52に移行する。制御部62は、ステップS52において、傾斜角度Dが第3角度DY以上か否かを判定する。制御部62は、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合、ステップS53に移行する。
【0126】
制御部62は、ステップS53において、変速比率Rが第10比率R10以下か否かを判定する。制御部62は、ステップS53において、変速比率Rが第10比率R10以下ではない場合、ステップS55に移行する。制御部62は、ステップS55において、第15制御状態および第19制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0127】
制御部62は、ステップS53において、変速比率Rが第10比率R10以下である場合、ステップS54に移行する。制御部62は、ステップS54において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS56に移行する。制御部62は、ステップS54において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS55に移行する。制御部62は、ステップS56において、第15制御状態および第18制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0128】
制御部62は、ステップS51において、変速比率Rが第9比率R9以下ではない場合、ステップS57に移行する。制御部62は、ステップS57において、傾斜角度Dが第3角度DY以上か否かを判定する。制御部62は、ステップS57において、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合、ステップS58に移行する。制御部62は、ステップS52において、傾斜角度Dが第3角度DY以上ではない場合、ステップS58に移行する。
【0129】
制御部62は、ステップS58において、変速比率Rが第10比率R10以下か否かを判定する。制御部62は、ステップS58において、変速比率Rが第10比率R10以下の場合、ステップS59に移行する。制御部62は、ステップS59において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上か否かを判定する。制御部62は、ステップS59において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS60に移行する。制御部62は、ステップS60において、第16制御状態および第18制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0130】
制御部62は、ステップS58において、変速比率Rが第10比率R10以下ではない場合、ステップS64に移行する。制御部62は、ステップS64において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上か否かを判定する。制御部62は、ステップS64において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS66に移行する。制御部62は、ステップS59において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS66に移行する。制御部62は、ステップS66において、第16制御状態および第19制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS64において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS65に移行する。制御部62は、ステップS65において、第16制御状態および第20制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0131】
制御部62は、ステップS57において、傾斜角度Dが第3角度DY以上ではない場合、ステップS61に移行する。制御部62は、ステップS61において、変速比率Rが第10比率R10以下か否かを判定する。制御部62は、ステップS61において、変速比率Rが第10比率R10以下の場合、ステップS62に移行する。制御部62は、ステップS62において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上か否かを判定する。制御部62は、ステップS62において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS63に移行する。制御部62は、ステップS63において、第17制御状態および第18制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS62において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS68に移行する。
【0132】
制御部62は、ステップS61において、変速比率Rが第10比率R10以下ではない場合、ステップS69に移行する。制御部62は、ステップS69において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上か否かを判定する。制御部62は、ステップS69において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS68に移行する。制御部62は、ステップS68において、第17制御状態および第19制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS69において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS67に移行する。制御部62は、ステップS67において、第17制御状態および第20制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0133】
図8から
図10のフローチャートの処理において、ステップS57、S58、S59、S64、S66、S65、S61、S62、S63、S6
9、S67、および、S6
8を省略してもよい。この場合、ステップS51において
NOの場合、ステップS60に移行する。この場合、ステップS52において
NOの場合、ステップS60に移行する。
【0134】
図8から
図10のフローチャートの処理において、ステップS51、S52、S53、S54、S55、および、S56の処理を省略してもよい。この場合、制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図9に示すフローチャートのステップ
S57に移行する。制御部62は、
図9および
図10のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップ
S57からの処理を繰り返す。
【0135】
図8から
図10のフローチャートの処理は、
図11に示すように変更されてもよい。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図11に示すフローチャートのステップS151に移行する。制御部62は、
図11のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS151からの処理を繰り返す。
【0136】
制御部62は、ステップS151において、変速比率Rが第9比率R9以下か否かを判定する。制御部62は、変速比率Rが第9比率R9以下の場合、ステップS152に移行する。制御部62は、ステップS152において、傾斜角度Dが第3角度DY以上か否かを判定する。制御部62は、傾斜角度Dが第3角度DY以上の場合、ステップS153において第15制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0137】
制御部62は、ステップS151において、変速比率Rが第9比率R9以下ではない場合、ステップS154に移行する。制御部62は、ステップS152において、傾斜角度Dが第3角度DY以上ではない場合、ステップS154に移行する。制御部62は、ステップS154において、第16制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0138】
図8から
図10のフローチャートの処理は、
図12に示すように変更されてもよい。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図12に示すフローチャートのステップS155に移行する。制御部62は、
図12のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS155からの処理を繰り返す。
【0139】
制御部62は、ステップS155において、変速比率Rが第10比率R10以下か否かを判定する。制御部62は、変速比率Rが第10比率R10以下の場合、ステップS156に移行する。制御部62は、ステップS156において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上か否かを判定する。制御部62は、傾斜角度Dが第4角度DZ以上の場合、ステップS157において第18制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0140】
制御部62は、ステップS155において、変速比率Rが第10比率R10以下ではない場合、ステップS158に移行する。制御部62は、ステップS156において、傾斜角度Dが第4角度DZ以上ではない場合、ステップS158に移行する。制御部62は、ステップS158において、第19制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0141】
<第5実施形態>
図13を参照して、第5実施形態の制御装置60が説明される。第5実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図13のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第5実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0142】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、かつ、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、第5制御状態においてモータ38を制御し、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きい、または、人力駆動力Hが第1駆動力HX未満の場合、第6制御状態においてモータ38を制御する。第5制御状態と、第6制御状態とにおいて、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つが異なる。
【0143】
図13を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図13に示すフローチャートのステップS161に移行する。制御部62は、
図13のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS161からの処理を繰り返す。
【0144】
制御部62は、ステップS161において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、ステップS164に移行する。制御部62は、ステップS164において、第6制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS161において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、ステップS162に移行する。
【0145】
制御部62は、ステップS162において人力駆動力Hが第1駆動力HX以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上ではない場合、ステップS164に移行する。制御部62は、ステップS164において、第6制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS16
2において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS163に移行する。制御部62は、
ステップS163において、第5制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
図13のフローチャートにおいて、ステップS161およびステップS162の順番は変更されてもよい。
【0146】
<第6実施形態>
図14を参照して、第6実施形態の制御装置60が説明される。第6実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図14のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第6実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0147】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが第1駆動力HX以上、かつ、人力駆動車10の進行方向における加速度Sが第1加速度SX未満の場合に、第7制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CXよりも大きく、人力駆動力Hが第1駆動力HX未満、および、加速度Sが第1加速度SX以上の少なくとも1つの場合に、第7制御状態とは異なる第8制御状態においてモータ38を制御する。
【0148】
好ましくは、制御部62は、第7制御状態と、第8制御状態とにおいて、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つが異なるようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、第7制御状態の場合、第8制御状態の場合よりも、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、および、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、のうちの少なくとも1つを増加させるようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、第7制御状態の場合、第8制御状態の場合よりも、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を減少させるようにモータ38を制御する。
【0149】
図14を参照して、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図14に示すフローチャートのステップS71に移行する。制御部62は、
図14のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS71からの処理を繰り返す。
【0150】
制御部62は、ステップS71において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下ではない場合、ステップS75に移行する。制御部62は、ステップS75において、第8制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS71において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第1回転速度CX以下の場合、ステップS72に移行する。
【0151】
制御部62は、ステップS72において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上ではない場合、ステップS75に移行する。制御部62は、ステップS75において、第8制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS72において、人力駆動力Hが第1駆動力HX以上の場合、ステップS73に移行する。
【0152】
制御部62は、ステップS73において、加速度Sが第1加速度SX未満か否かを判定する。制御部62は、加速度Sが第1加速度SX未満ではない場合、ステップS75に移行する。制御部62は、ステップS75において、第8制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS73において、加速度Sが第1加速度SX未満の場合、ステップS74に移行する。制御部62は、ステップS74において、第7制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
図14のフローチャートにおいて、ステップS71、ステップS72、および、ステップS73の順番は変更されてもよい。
【0153】
<第7実施形態>
図15を参照して、第7実施形態の制御装置60が説明される。第7実施形態の制御装置60は、
図3および
図4のフローチャートの処理に代えて
図15のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第7実施形態の制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0154】
制御部62は、人力駆動車10の入力回転軸12Aの回転速度Cが第2回転速度CY以下、かつ、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hが40Nm以上の場合、第9制御状態においてモータ38を制御する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第2回転速度CYよりも大きい、または、人力駆動力Hが40Nm未満の場合、第9制御状態とは異なる第10制御状態においてモータ38を制御する。第2回転速度CYは、5rpm以上30rpm以下の値であり、例えば、20rpmである。本実施形態において、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hは、入力回転軸12Aに与えられるトルクである。
【0155】
好ましくは、制御部62は、第9制御状態と、第10制御状態とにおいて、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、および、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2の少なくとも1つが異なるようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、第9制御状態の場合、第10制御状態の場合よりも、人力駆動力Hに対するモータ38によるアシスト力のアシスト比率A、モータ38の出力Mの最大値MX、および、人力駆動力Hの増加速度に対するモータ38の出力Mの増加速度の第1変化率P1、のうちの少なくとも1つを増加させるようにモータ38を制御する。好ましくは、制御部62は、第9制御状態の場合、第10制御状態の場合よりも、人力駆動力Hの減少速度に対するモータ38の出力Mの減少速度の第2変化率P2を減少させるようにモータ38を制御する。
【0156】
図15を参照して、第9制御状態、または、第10制御状態においてモータ38を制御する構成において、制御部62がモータ38を制御する処理が説明される。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図15に示すフローチャートのステップS81に移行する。制御部62は、
図15のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS81からの処理を繰り返す。
【0157】
制御部62は、ステップS81において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第2回転速度CY以下か否かを判定する。制御部62は、入力回転軸12Aの回転速度Cが第2回転速度CY以下ではない場合、ステップS84に移行する。制御部62は、ステップS84において、第10制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS81において、入力回転軸12Aの回転速度Cが第2回転速度CY以下の場合、ステップS82に移行する。
【0158】
制御部62は、ステップS82において、人力駆動力Hが40Nm以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動力Hが40Nm以上ではない場合、ステップS84に移行する。制御部62は、ステップS84において、第10制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS82において、人力駆動力Hが40Nm以上の場合、ステップS83に移行する。制御部62は、ステップS83において、第9制御状態においてモータ38を制御し、処理を終了する。
【0159】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0160】
・第2実施形態および第2実施形態を含む変形例において、第8比率R8は、第7比率R7よりも小さくてもよい。
【0161】
・第4実施形態および第4実施形態を含む変形例において、制御部62は、人力駆動力Hに応じてモータ38を制御するのではなく、例えばハンドルバー34に設けられる操作装置を操作される場合、人力駆動車10の入力回転軸12Aと人力駆動車10の車輪14との間の動力伝達経路における変速比率Rに関する情報、および、人力駆動車10の傾斜角度Dに関する情報に応じて、モータ38の出力Mの最大値MXを制御するように構成されてもよい。
【0162】
・各実施形態および各実施形態の変形例において、制御部62の制御に不要な構成は省略されてもよい。
【0163】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0164】
10…人力駆動車、12A…入力回転軸、14…車輪、38…モータ、60…制御装置、62…制御部。