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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/00 20060101AFI20250325BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20250325BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20250325BHJP
   G02B 6/293 20060101ALI20250325BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20250325BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
G02B27/00 C
H01S5/022
G02B6/42
G02B6/293 301
G02B27/10
G02B5/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021017604
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120608
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 彪利
(72)【発明者】
【氏名】石毛 悠太
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-248162(JP,A)
【文献】特開平10-197800(JP,A)
【文献】特開2020-139985(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217541(WO,A1)
【文献】特開平07-248534(JP,A)
【文献】特開2001-321978(JP,A)
【文献】特開2005-301252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/10
G02B 27/00
G02B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向へ向かう第一光を第二方向へ反射するとともに第二方向へ向かい前記第一光とは波長が異なる第二光を透過し、前記第一光のうち前記第一方向へ向けて透過した成分と前記第二光のうち前記第一方向へ向けて反射した成分とを含み前記第一方向へ向かう漏洩光を生じる波長フィルタと、
前記漏洩光を所定方向に反射するとともに吸収して熱に変換する第一処理部と、
前記第一処理部からの前記漏洩光を吸収して熱に変換する少なくとも一つの第二処理部と、
を備えた光学装置であって
前記波長フィルタは、100%の反射特性および透過特性を有せず、
前記第一光の波長が前記第二光の波長よりも長い場合、前記波長フィルタは、ショートパスフィルタであり、
前記第一光の波長が前記第二光の波長よりも短い場合、前記波長フィルタは、ロングパスフィルタであり、
前記第一処理部における前記漏洩光の反射率を、略50パーセントとし、
前記第二処理部における前記漏洩光の反射率を、略0パーセントとし、
前記第一処理部および前記第二処理部のそれぞれが互いに分離して配置され、前記第一処理部および前記第二処理部のそれぞれに前記漏洩光の吸収により生じた熱を放熱部へ伝達する熱伝達部が設けられることにより、前記光学装置内の局所的な温度上昇を抑制する、光学装置。
【請求項2】
前記第一処理部および前記第二処理部のうち少なくとも一つを冷却する冷却機構を備えた、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記波長フィルタとしての複数の波長フィルタと、
それぞれ互いに異なる前記波長フィルタから前記漏洩光が入射する前記第一処理部としての複数の第一処理部と、
を備え、
前記少なくとも一つの前記第二処理部には、前記複数の第一処理部からの前記漏洩光が入射する、請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第一光および前記第二光の偏波面の向きが異なる、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項5】
前記第一光および前記第二光は、それぞれ異なる光源から出射され、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不要な光である漏洩光(迷光)を処理する処理部を備えた光学装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/134911号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レーザ光のパワーが大きい光学装置においては、漏洩光の処理部が受光する漏洩光のパワーも増大し、ひいては当該漏洩光の処理部の温度が高くなる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、漏洩光を処理可能な光学装置において、例えば、漏洩光の処理部における温度の上昇を抑制することができるような、より不都合の少ない改善された新規な光学装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学装置は、例えば、第一方向へ向かう第一光を第二方向へ反射するとともに第二方向へ向かう第二光を透過し、前記第一光のうち前記第一方向へ向けて透過した成分と前記第二光のうち前記第一方向へ向けて反射した成分とを含み前記第一方向へ向かう漏洩光を生じる少なくとも一つの光学部品と、前記漏洩光を吸収するとともに所定方向に反射する第一処理部と、前記第一処理部からの前記漏洩光を吸収する少なくとも一つの第二処理部と、を備える。
【0007】
前記光学装置では、前記第二処理部における前記漏洩光の反射率は、前記第一処理部における前記漏洩光の反射率よりも低くてもよい。
【0008】
前記光学装置は、前記第一処理部として、前記漏洩光の光路において直列に配置された複数の第一処理部を備えてもよい。
【0009】
前記光学装置では、前記複数の第一処理部に含まれる二つの第一処理部のうち前記漏洩光の光路の進行方向の前方に位置する第一処理部における前記漏洩光の反射率は、前記二つの第一処理部のうち前記進行方向の後方に位置する第一処理部における前記漏洩光の反射率よりも低くてもよい。
【0010】
前記光学装置は、前記第一処理部または前記第二処理部で前記漏洩光の吸収により生じた熱を放熱部へ伝達する熱伝達部を備えてもよい。
【0011】
前記光学装置は、前記第一処理部および前記第二処理部のうち少なくとも一つを冷却する冷却機構を備えてもよい。
【0012】
前記光学装置は、前記光学部品としての複数の光学部品と、それぞれ互いに異なる前記光学部品から前記漏洩光が入射する前記第一処理部としての複数の第一処理部と、を備え、前記少なくとも一つの前記第二処理部には、前記複数の第一処理部からの前記漏洩光が入射してもよい。
【0013】
前記光学装置では、前記第一光および前記第二光の波長が異なってもよい。
【0014】
前記光学装置では、前記第一光および前記第二光の偏波面の向きが異なってもよい。
【0015】
前記光学装置では、前記第一光および前記第二光は、それぞれ異なる光源から出射されてもよい。
【0016】
また、本発明の光学装置は、例えば、光学部品からの第一方向への漏洩光を吸収するとともに当該漏洩光を第三方向へ反射する第一処理部と、前記第一処理部から前記第三方向へ離れて位置され、前記第一処理部で反射された前記漏洩光を吸収する第二処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば、漏洩光の処理部における温度の上昇を抑制することができるような、より不都合の少ない改善された新規な光学装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第2実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、第3実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、第4実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第5実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第5実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
図7図7は、第6実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、第7実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図9図9は、第8実施形態の光学装置に含まれる第二処理部および熱伝達部の例示的かつ模式的な断面図である。
図10図10は、第9実施形態の光学装置に含まれる第二処理部および熱伝達部の例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0020】
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0021】
本明細書において、序数は、部品や、部位、光、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0022】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の光学装置100の平面図である。図1に示されるように、光学装置100は、波長フィルタ111と、第一処理部112と、第二処理部113と、熱伝達部114と、を備えている。
【0024】
波長フィルタ111は、主として、D1方向へ向かう光L1を反射するとともに、D2方向へ向かう光L2を透過する。反射面111aにおける光L1の入射角と反射光L1rの反射角とは等しい。また、D1方向、D2方向、および波長フィルタ111の姿勢は、反射光L1rと透過光L2tとがD2方向に向かうよう、設定されている。このような構成において、波長フィルタ111からの主要光Lmは、光L1の反射光L1rと、光L2の透過光L2tと、を含む。光L1は、第一光の一例であり、光L2は、第二光の一例である。D1方向は、第一方向の一例であり、D2方向は、第二方向の一例である。また、波長フィルタ111は、光学部品の一例である。
【0025】
光L1と光L2とは、例えば、互いに波長が異なる光である。一例として、光L1の波長が光L2の波長よりも長い場合、波長フィルタ111は、例えば、ショートパスフィルタである。
【0026】
また、光L1の波長は光L2の波長よりも短くてもよい。この場合、波長フィルタ111は、例えば、ロングパスフィルタである。
【0027】
波長フィルタ111において、100%の反射特性および透過特性を得るのは難しく、実際には、光L1の透過光L1tと、光L2の反射光L2rとが生じ、これらは、波長フィルタ111からの漏洩光Ll1(Ll)となる。上述した構成において、透過光L1tおよび反射光L2rは、いずれも波長フィルタ111からD1方向へ向かう。すなわち、波長フィルタ111からの漏洩光Ll1は、D1方向へ向かう。
【0028】
光学装置100では、多段に設けられた第一処理部112および第二処理部113が、波長フィルタ111からの漏洩光Llを処理する。第一処理部112は、前段の処理部であり、漏洩光Ll1を吸収するとともに反射する。第二処理部113は、第一処理部112よりも後段(最終段)の処理部であり、漏洩光Ll2(Ll)を吸収する。第一処理部112および第二処理部113は、それぞれ、漏洩光Llのエネルギを熱エネルギに変換する。
【0029】
第一処理部112は、漏洩光Llを、散乱することなく、第二処理部113に向けて所定方向へ反射している。第一処理部112における漏洩光Llの反射は、拡散反射ではなく、鏡面反射である。これにより、例えば、第二処理部113を、光学装置100内の都合の良い位置、例えば、光学装置100内において他の部品と干渉しない位置や、他の部品に熱影響を与え難い位置に、配置することができる。また、仮に、第一処理部112が漏洩光Llを散乱した場合、当該散乱された漏洩光Llが予期せぬ方向へ進み、光学部品を固定している接着剤に損傷を与えるなどの、不都合な事象が生じる虞がある。この点、本実施形態によれば、漏洩光Llを所定方向へ反射し、第一処理部112および第二処理部113によってより確実に処理することができるので、当該漏洩光Llによる不都合な事象を回避しやすくなる。
【0030】
本実施形態では、一例として、第一処理部112において、反射面112aに入射する漏洩光Ll1の入射角と、反射面112aで反射する漏洩光Ll2の反射角とは、同じである。本実施形態では、一例として、漏洩光Ll2は、D2方向へ向かう。D2方向は、第三方向および所定方向の一例である。
【0031】
第二処理部113は、第一処理部112から、漏洩光Ll2の向かう方向、本実施形態ではD2方向に離れて位置され、第一処理部112からの漏洩光Ll2を吸収する。第二処理部113は、漏洩光Ll2の大半を吸収するが、一部散乱したり反射したりしてもよい。
【0032】
本実施形態では、第一処理部112において漏洩光Llのエネルギの大半を吸収するのではなく、第一処理部112および第二処理部113を設けることにより、漏洩光Llのエネルギを吸収する位置を、光学装置100内で分散している。これにより、光学装置100の温度が局所的に上昇するのを抑制することができる。
【0033】
光学装置100における漏洩光Llのエネルギ吸収箇所の分散のため、第二処理部113における漏洩光Llの反射率は、第一処理部112における漏洩光Llの反射率よりも低く設定されている。ここで、第二処理部113における漏洩光Llの反射率は、第二処理部113に入力される漏洩光Ll2のパワーに対する第二処理部113で反射される漏洩光(不図示)のパワーの比であり、第一処理部112における漏洩光Llの反射率は、第一処理部112に入力される漏洩光Ll1のパワーに対する第一処理部112で反射される漏洩光のパワーの比である。また、第一処理部112および第二処理部113は、いずれも、漏洩光Llを透過しないものとする。
【0034】
一例として、第一処理部112における漏洩光Llの反射率は、略50%(略1/2)に設定され、第二処理部113のける漏洩光Llの反射率は、略0%に設定される。この場合、第一処理部112において波長フィルタ111からの漏洩光Ll1のエネルギの略50%が吸収され、第二処理部113において波長フィルタ111からの漏洩光Ll1のエネルギの略50%が吸収されることになる。このような設定により、漏洩光Llのエネルギを、複数箇所で略均等に分散して吸収することができる。
【0035】
ただし、第一処理部112および第二処理部113の反射率の設定は、これには限定されない。本実施形態のように、第一処理部112および第二処理部113が一つずつ設けられる場合、エネルギ吸収箇所の分散の観点から、第一処理部112の反射率は、30%以上かつ70%以下に設定されるのが好ましく、40%以上かつ60%以下に設定されるのがさらにより好ましい。
【0036】
熱伝達部114は、それぞれ、第一処理部112または第二処理部113で生じた熱を、例えば不図示のヒートシンクのような放熱部へ熱伝達する。熱伝達部114は、例えば、金属材料のような熱伝導性の高い材料で作られる。熱伝導性の高い材料は、例えば、無酸素銅や銅合金のような銅系材料や、純アルミニウムやアルミニウム合金のようなアルミニウム系材料である。また、熱伝達部114は、不図示の光学装置100のベースの表面上から突出するように設けられる。この場合、熱伝達部は、ベースと一体に構成されてもよいし、ベースの表面上に別部材が取り付けられることにより構成されてもよい。
【0037】
また、第一処理部112および第二処理部113は、熱伝達部114の側面に設けられた層状部分であってもよい。一例として、第一処理部112は、銅系材料によって作られた熱伝達部114に設けられたニッケルめっき層として構成され、第二処理部113は、銅系材料によって作られた熱伝達部114に設けられた黒染め加工層として構成されてもよい。黒染め加工層は、例えば、酸化銅被膜等で作られる。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態によれば、光学装置100において、複数箇所で分散して漏洩光Llを処理することができるため、光学装置100に局所的に温度の高い部位が生じるのを、抑制することができる。
【0039】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態の光学装置100Aの平面図である。図2に示されるように、光学装置100Aは、波長フィルタ111と、第一処理部112-1,112-2と、第二処理部113と、熱伝達部114と、を備えている。本実施形態では、第二処理部113の前段に、多段の第一処理部112-1,112-2を備えている点が、上記第1実施形態と相違している。第一処理部112-1,112-2は、漏洩光Llの光路において、直列に配置されている。この点を除き、光学装置100Aは、上記第1実施形態の光学装置100と同様の構成を備えている。
【0040】
第一処理部112-1は、波長フィルタ111からの漏洩光Ll1を吸収するとともに、後段、すなわち漏洩光Llの光路の進行方向の前方の第一処理部112-2に向けて、D2方向へ反射している。また、第一処理部112-2は、第一処理部112-1に対してD2方向に離れて位置され、前段、すなわち漏洩光Llの光路の進行方向の後方の第一処理部112-1からの漏洩光Ll2を吸収するとともに、第二処理部113へ向けてD1方向へ反射している。第二処理部113は、第一処理部112-2で反射された漏洩光Ll3(Ll)を吸収する。第一処理部112-1,112-2は、上記第1実施形態の第一処理部112と同様の構成を有し、同様の作用および効果を奏する。なお、第一処理部112-1,112-2における漏洩光Llの反射方向は、この例には限定されない。また、第一処理部112の数は、3以上であってもよい。また、複数段の第一処理部112-1,112-2は、統合された一つの第一処理部112として取り扱うことができる。この場合において、D1方向は、第三方向の一例である。
【0041】
また、本実施形態では、第一処理部112-2の反射率は、第一処理部112-1の反射率よりも低く設定され、第二処理部113の反射率は、第一処理部112-2の反射率よりも低く設定されている。一例として、第一処理部112-1の反射率は、例えば、略66.7%(略2/3)に設定され、第一処理部112-2の反射率は、例えば、略50%(略1/2)に設定され、第二処理部113の反射率は、例えば、略0%に設定される。この場合、第一処理部112-1において波長フィルタ111からの漏洩光Ll1のエネルギの略1/3が吸収され、第一処理部112-2において、波長フィルタ111からの漏洩光Ll1のエネルギの略1/3が吸収され、第二処理部113において、波長フィルタ111からの漏洩光Ll1のエネルギの略1/3が吸収されることになる。このような設定により、漏洩光Llのエネルギを、複数箇所で略均等に分散して吸収することができる。
【0042】
本実施形態によっても、光学装置100Aに局所的に温度の高い部位が生じるのを抑制することができる。また、本実施形態によれば、光学装置100Aにおいてより多くの箇所で分散して漏洩光Llを処理することができるため、光学装置100Aにおける局所的な温度差をより小さくしやすい。
【0043】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態の光学装置100Bの平面図である。図3に示されるように、光学装置100Bは、レンズ115、ミラー116、波長フィルタ111、およびレンズ117のような光学部品を備え、複数の光ファイバ20Aから入力される互いに波長の異なる光を合成し、光ファイバ20Bに結合する。また、光ファイバ20A,20Bは、それぞれ支持部110に支持されている。レンズ115は、例えばコリメートレンズであり、レンズ117は、例えば集光レンズである。
【0044】
このような構成の光学装置100Bによっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
また、本実施形態では、第二処理部113の受光面113aの法線方向が、漏洩光Ll2の進行方向(D2方向)の反対方向に対して傾斜している。このような構成により、受光面113aにおける微少な反射光が波長フィルタ111に戻り、主要光Lmに悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0046】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態の光学装置100Cの平面図である。図4に示されるように、光学装置100Cは、一つの第二処理部113Cを備えており、二つの第二処理部113を備えていない点で、上記第3実施形態の光学装置100Bと相違している。この点を除き、第4実施形態の光学装置100Cは、第3実施形態の光学装置100Bと同様の構成を備えている。
【0047】
本実施形態では、一つの第二処理部113Cが、二つの第一処理部112で反射された漏洩光Ll2を吸収する。すなわち、一つの第二処理部113Cが、二つの第一処理部112について共用されている。このような構成によれば、光学装置100Cにおける処理部の数を減らすことができ、例えば、光学装置100C内における部品のレイアウトの自由度を高めることができたり、部品点数が減ることにより製造の手間やコストを低減することができたり、といった利点が得られる。
【0048】
また、本実施形態では、二箇所の第一処理部112の反射率は、いずれも、例えば、略33.3%(略1/3)に設定され、第二処理部113の反射率は、例えば、略0%に設定されている。この場合、二箇所の第一処理部112-1のそれぞれにおいて、二つの波長フィルタ111からの漏洩光Ll1の合計のエネルギの略1/3ずつが吸収され、第二処理部113において、二つの波長フィルタ111からの漏洩光Ll1の合計のエネルギの略1/3が吸収されることになる。このような設定により、漏洩光Llのエネルギを、複数箇所で略均等に分散して吸収することができる。
【0049】
[第5実施形態]
図5は、第5実施形態の光学装置100Dの平面図である。図5に示されるように、光学装置100Dは、ハウジング101と、支持部110に支持された光ファイバ20Bと、複数の発光ユニット10と、複数の発光ユニット10から出射された光を合成する光学部品と、を備えている。光学装置100Dは、発光装置とも称されうる。
【0050】
ハウジング101は、例えば、ケースおよび蓋(不図示)を有し、封止されている。ハウジング101は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料のような、熱伝導性の高い材料で作られる。
【0051】
本実施形態では、複数の発光ユニット10がY方向に所定間隔(例えば一定間隔)をあけて並ぶ二つのアレイA1,A2が、略平行に配置されている。複数の発光ユニット10は、互いに異なる波長(λ1,λ2,・・・,λn)の光を出力する。複数の波長の間隔は、例えば、中心波長間で、5[nm]~20[nm]である。また、ここで合成される光には、青色のレーザ光が含まれてもよい。発光ユニット10は、例えば半導体レーザモジュールである。
【0052】
発光ユニット10は、例えば、気密封止されたケース内に、サブマウントと、当該サブマウント上に実装された発光素子と、発光素子の出射した光を速軸方向にコリメートするコリメートレンズ(不図示)と、を含んでいる。コリメートレンズを透過した光は、ケースに設けられた窓から出射される。なお、発光ユニット10は、ケース内に気密封止されていない構成、すなわち、ハウジング101内では、サブマウント、発光素子、およびコリメートレンズが露出された構成であってもよい。
【0053】
複数の発光ユニット10から出力された光は、複数の光学部品によって合成される。当該光学部品は、レンズ115や、ミラー116、波長フィルタ111、コンバイナ120、レンズ117(117-1,117-2)等を含む。
【0054】
レンズ115は、光をY方向(遅軸方向)にコリメートする。波長フィルタ111は、上記実施形態の波長フィルタ111と同様のものである。
【0055】
コンバイナ120は、二つのアレイA1,A2からの光を合成してレンズ117-1に向けて出力する。レンズ117-1は、光をZ方向(速軸方向)に集光し、レンズ117-2は、光をX1,X2方向(遅軸方向)に集光する。コンバイナ120は、波長合成部とも称されうる。
【0056】
本実施形態では、第一処理部112および第二処理部113は、コンバイナ120からの漏洩光を処理する。コンバイナ120からの漏洩光Ll1には、アレイA1からの光のうちコンバイナ120で反射されず当該コンバイナ120を透過した成分と、アレイA2からの光のうちコンバイナ120を透過せず当該コンバイナ120で反射された成分と、が含まれる。第一処理部112は、漏洩光Ll1を吸収するとともに反射し、第二処理部113は、第一処理部112で反射された漏洩光Ll2を吸収する。コンバイナ120は、光学部品の一例である。
【0057】
また、ハウジング101には、複数の発光ユニット10、支持部110、レンズ117-1,117-2、コンバイナ120、および熱伝達部114等を冷却する冷却通路130が設けられている。冷却通路130では、例えば、冷却液のような冷媒が流れる。冷却通路130は、例えば、ハウジング101の各部品の実装面の近く(直下)を通り、冷却通路130の内面は、冷却対象の部品や部位、すなわち、発光ユニット10、支持部110、レンズ117-1,117-2、コンバイナ120、および熱伝達部114と、熱的に接続されている。また、冷却通路130は、Z方向の視線において、冷却対象の部品や部位の最高温度位置と重なるように配置されている。ハウジング101のうち冷却通路130が設けられた部位は、冷却機構の一例である。また、冷却機構は、放熱部の一例でもある。
【0058】
図6は、光学装置100Dの第二処理部113および熱伝達部114をY方向の反対方向に見た側面図(一部断面図)である。図6に示されるように、ハウジング101の表面101aには、当該表面101aからZ方向に突出した熱伝達部114および第二処理部113が設けられている。熱伝達部114は、例えば、ハウジング101の表面101a上に、ねじのような固定具による結合や、熱伝導性を有した接着剤による接合、溶接等により、取り付けられている。
【0059】
また、ハウジング101には、熱伝達部114および第二処理部113とZ方向に重なるように、冷媒Cが流れる冷却通路130が設けられている。冷却通路130は、図5に示されるように、冷却通路130の入口130aから出口130bまでの間の一部の区間が、熱伝達部114に対してZ方向と重なる位置を通るように設けられている。
【0060】
このように、本実施形態では、熱伝達部114と冷却通路130の内面および冷媒Cとが熱的に接続されている。よって、本実施形態によれば、熱伝達部114およびハウジング101を介して第二処理部113と冷媒Cとの間で熱交換が行われ、漏洩光Llのエネルギに基づく熱が生じた第二処理部113が冷却され、当該第二処理部113および熱伝達部114の周辺の温度が上昇するのを抑制することができる。なお、図示されないが、光学装置100Dは、第一処理部112についても、図6と同様の構成を備えており、熱伝達部114およびハウジング101を介して第一処理部112と冷媒Cとの間で熱交換が行われ、漏洩光Llのエネルギに基づく熱が生じた第一処理部112が冷却され、当該第一処理部112および熱伝達部114の周辺の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0061】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態の光学装置100Eの平面図である。光学装置100Eは、同じ波長λ1(単一の波長λ1)の光を合成して出力する。
【0062】
ハウジング101には、Y方向に複数の発光ユニット10が所定間隔(例えば一定間隔)で並ぶアレイA1,A2のそれぞれについて、Y方向の反対方向に向かうにつれて、発光ユニット10の位置がZ方向にずれるよう、段差面(不図示)が設けられている。発光ユニット10は、それぞれ、段差面上に載置されている。
【0063】
複数の発光ユニット10は、それぞれ、同じ波長λ1の光を出力する。発光ユニット10は、例えば半導体レーザモジュールである。
【0064】
複数の発光ユニット10から出力された光は、複数の光学部品によって合成される。当該光学部品は、レンズ115や、ミラー116、コンバイナ120E、レンズ117(117-1,117-2)等を含む。
【0065】
ミラー116は、発光ユニット10と同様、それぞれ、ハウジング101の段差面上に載置されている。ミラー116は、それぞれ、光学的に結合された発光ユニット10からの光を反射する。段差面のZ方向の位置およびミラー116のサイズは、他のミラー116からの光と干渉しないように設定されている。
【0066】
アレイA1からの光は、光の偏波面を回転させる1/2波長板123を介してコンバイナ120Eに入力され、アレイA2からの光は、1/2波長板123を介さずにコンバイナ120に入力される。コンバイナ120Eは、偏波合成部とも称されうる。
【0067】
本実施形態でも、第一処理部112および第二処理部113Eは、コンバイナ120Eからの漏洩光を処理する。コンバイナ120Eからの漏洩光Ll1には、アレイA1からの光のうちコンバイナ120Eで反射されず当該コンバイナ120Eを透過した成分と、アレイA2からの光のうちコンバイナ120Eを透過せず当該コンバイナ120Eで反射された成分と、が含まれる。第一処理部112は、漏洩光Ll1を吸収するとともに反射し、第二処理部113Eは、第一処理部112で反射された漏洩光Ll2を吸収する。コンバイナ120Eは、光学部品の一例である。
【0068】
また、本実施形態では、第二処理部113Eは、ハウジング101の側壁101bの内面上に設けられている。このような構成によれば、側壁101bを、第二処理部113Eの支持部および当該第二処理部113Eに対応した熱伝達部として用いることができる。このような構成によれば、光学装置100Eにおける処理部の数を減らすことができ、例えば、光学装置100E内における部品のレイアウトの自由度を高めることができたり、部品点数が減ることにより製造の手間やコストを低減することができたり、といった利点が得られる。なお、第二処理部113Eは、漏洩光Ll2を吸収するとともに散乱するものであってもよい。
【0069】
[第7実施形態]
図8は、第7実施形態の光学装置100Fの平面図である。図8に示されるように、本実施形態では、第一処理部112の反射面112aは、凹面である。この場合、漏洩光Ll2は、集束しながら、D2方向へ向かう。このような構成によれば、例えば、第二処理部113や熱伝達部114をより小型に構成することができる、という利点が得られる。
【0070】
[第8実施形態]
図9は、第8実施形態の光学装置100Gに含まれる第二処理部113および熱伝達部114の断面図である。図9に示されるように、本実施形態では、第二処理部113および受光面113aは、D2方向に向かうほど直径が小さくなる円錐状のすり鉢形状を有している。また、受光面113aは、反射面としても機能し、漏洩光Ll2は、当該受光面113aにおいて多重反射される。よって、第二処理部113における漏洩光Ll2の吸収率をより高めることができる。このような構成によれば、例えば、漏洩光Ll2の筐体1内への漏洩を抑制することができ、ひいては、当該漏洩光Ll2による不都合な事象をさらに回避しやすくなる、という利点が得られる。
【0071】
[第9実施形態]
図10は、第9実施形態の光学装置100Hに含まれる第二処理部113および熱伝達部114の断面図である。図10に示されるように、本実施形態では、第二処理部113および受光面113aは、D2方向の反対方向に開口した有底円筒状の形状を有している。また、受光面113aは、表面が荒らされた粗面として構成され、漏洩光Ll2を拡散反射する反射面としても機能し、漏洩光Ll2が受光面113aにおいて多重反射される。よって、第二処理部113における漏洩光Ll2の吸収率をより高めることができる。このような構成によれば、例えば、漏洩光Ll2の筐体1内への漏洩を抑制することができ、ひいては、当該漏洩光Ll2による不都合な事象をさらに回避しやすくなる、という利点が得られる。
【0072】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…発光ユニット
20A,20B…光ファイバ
100,100A~100H…光学装置
101…ハウジング
101a…表面
101b…側壁
110…支持部
111…波長フィルタ(光学部品)
111a…反射面
112,112-1,112-2…第一処理部
112a…反射面
113,113C,113E…第二処理部
113a…受光面
114…熱伝達部
115…レンズ
116…ミラー
117,117-1,117-2…レンズ
120…コンバイナ(光学部品)
120E…コンバイナ(光学部品)
123…1/2波長板
130…冷却通路(冷却機構、放熱部)
130a…入口
130b…出口
A1,A2…アレイ
C…冷媒
D1…方向(第一方向、第三方向)
D2…方向(第二方向、第三方向、所定方向)
L1…光(第一光)
L2…光(第二光)
Ll,Ll1,Ll2,Ll3…漏洩光
Lm…主要光
L1t,L2t…透過光
L1r,L2r…反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10