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特許7654417ガスタービンシステム内の熱安定性を検出するためのシステム、プログラム製品及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】ガスタービンシステム内の熱安定性を検出するためのシステム、プログラム製品及び方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20250325BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20250325BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
F02C7/00 A
F01D25/00 V
G05B23/02 T
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021020262
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2021139363
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】16/809,134
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーラッパン・ムサイア
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・アンドリュー・ヘーリー
(72)【発明者】
【氏名】ランディ・スコット・ロッソン
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・ラマー・ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】カウシック・ナラヤナスワミー
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0001845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F01D 25/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンシステム(11)及び複数のセンサ(106)と通信する少なくとも1つのコンピューティングデバイス(100)を備えるシステム(10)であって、
前記ガスタービンシステム(11)が、圧縮機(12)、燃焼器(24)及びタービン部品(32)を含んでおり、
記複数のセンサ(106)のうちの少なくとも1つが前記ガスタービンシステム(11)内又は前記ガスタービンシステム(11)に隣接して配置され、前記複数のセンサ(106)の各センサ(106)が前記ガスタービンシステム(11)の複数の動作特性のうちの1つを測定し、
記少なくとも1つのコンピューティングデバイス(100)が、
前記複数の測定された動作特性の各々についてlag出力を算出するステップであって、前記算出されたlag出力が、
前記ガスタービンシステム(11)の前記測定された動作特性について算出されたlagと前記測定された動作特性との間の差分、及び
前記複数の測定された動作特性の各々に関する時定数
に基づく、ステップと、
前記算出されたlag出力の各々が所定の閾値(110)よりも低いときを判定するステップであって、前記所定の閾値(110)が前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性及びビルドパラメータの各々に基づく、ステップ
を含むプロセスを実行することによって前記ガスタービンシステム(11)内の熱安定性を検出するように構成されており、前記ビルドパラメータが、
a)前記圧縮機(12)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ、
b)前記燃焼器(24)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ、
c)前記タービン部品(32)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ
を含んでおり、
前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性の各々についての前記lagが、
【数1】
に基づいて算出され、
tは、第1の時間であり、
t-1は、前記第1の時間tの前に発生する第2の時間であり、
OC lag (t)は、時間tにおいて測定された動作特性について算出されたlagであり、
OC lag (t-1)は、時間t-1において測定された動作特性について算出されたlagであり、
OC measured (t-1)は、時間t-1において測定された動作特性であり、
Δtは、前記第1の時間と前記第2の時間との間の差分であり、
τ OC は、前記測定された動作特性に関する時定数である、
システム(10)。
【請求項2】
前記ガスタービンシステム(11)内の熱安定性を検出するために前記少なくとも1つのコンピューティングデバイス(100)によって実行される前記プロセスが、
前記複数の測定された動作特性の各々について算出されたlag出力の各々が前記対応する所定の閾値(110)よりも低いことに応じて、前記ガスタービンシステム(11)が熱的に安定していることを検証すること
をさらに含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記複数の測定された動作特性が、
圧縮機(12)入口温度、
圧縮機(12)排出温度、
前記ガスタービンシステム(11)の排気温度、
前記ガスタービンシステム(11)の電力出力、
入口ガイドベーン位置、
前記ガスタービンシステム(11)の燃料(26)のフィールドストローク基準及び
前記ガスタービンシステム(11)の燃料(26)流量
からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム(10)
【請求項4】
前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性の各々についての前記lag出力が、
【数2】
に基づいて算出され、
OClagは、前記算出されたlag出力であり、
ΔOClagは、前記判定されたlag差分であり、
τOCは、前記測定された動作特性の前記時定数である、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記ガスタービンシステム(11)内の熱安定性を検出するために前記少なくとも1つのコンピューティングデバイス(100)によって実行される前記プロセスが、
前記算出されたlag出力の各々が前記対応する所定の閾値(110)よりも低いと判定したことに応じて、前記ガスタービンシステム(11)の電力出力を増加させるように前記ガスタービンシステム(11)の動作条件を調整すること
をさらに含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記ガスタービンシステム(11)内の熱安定性を検出するために前記少なくとも1つのコンピューティングデバイス(100)によって実行される前記プロセスが、
前記ガスタービンシステム(11)の動作モデルに基づいて、前記複数の測定された動作特性の各々の前記所定の閾値(110)を算出すること
をさらに含んでおり、前記ガスタービンシステム(11)の前記動作モデルが、前記ガスタービンシステム(11)の前記ビルドパラメータと同一のビルドパラメータを含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記時定数が、前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性及び前記ビルドパラメータの各々に固有である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項8】
圧縮機(12)、燃焼器(24)及びタービン部品(32)を含むガスタービンシステム(11)内の熱安定性を検出するための方法であって、当該方法
前記ガスタービンシステム(11)内又は前記ガスタービンシステム(11)に隣接の少なくとも一方で配置された複数のセンサ(106)によって測定された前記ガスタービンシステム(11)の複数の測定された動作特性の各々についてlag出力を算出するステップであって、前記算出されたlag出力が、
前記ガスタービンシステム(11)の前記測定された動作特性について算出されたlagと前記測定された動作特性との間の差分、及び
前記複数の測定された動作特性の各々に関する時定数
に基づく、ステップと、
前記算出されたlag出力の各々が所定の閾値(110)よりも低いときを判定するステップであって、前記所定の閾値(110)が前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性及びビルドパラメータの各々に基づく、ステップ
を含んでおり、前記ビルドパラメータが、
a)前記圧縮機(12)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ、
b)前記燃焼器(24)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ、
c)前記タービン部品(32)のタイプ、サイズ及びモデルの少なくとも1つ
を含んでおり、
前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性の各々についての前記lagが、
【数3】
に基づいて算出され、
tは、第1の時間であり、
t-1は、前記第1の時間tの前に発生する第2の時間であり、
OC lag (t)は、時間tにおいて測定された動作特性について算出されたlagであり、
OC lag (t-1)は、時間t-1において測定された動作特性について算出されたlagであり、
OC measured (t-1)は、時間t-1において測定された動作特性であり、
Δtは、前記第1の時間と前記第2の時間との間の差分であり、
τ OC は、前記測定された動作特性に関する時定数である、
方法。
【請求項9】
前記複数の測定された動作特性の各々について算出されたlag出力の各々が前記対応する所定の閾値(110)よりも低いことに応じて、前記ガスタービンシステム(11)が熱的に安定していることを検証すること
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記算出されたlag出力の各々が前記対応する所定の閾値(110)よりも低いと判定したことに応じて、前記ガスタービンシステム(11)の電力出力を増加させるように前記ガスタービンシステム(11)の動作条件を調整すること
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスタービンシステム(11)の動作モデルに基づいて、前記複数の測定された動作特性の各々の前記所定の閾値(110)を算出すること
をさらに含んでおり、前記ガスタービンシステム(11)の前記動作モデルが、前記ガスタービンシステム(11)の前記ビルドパラメータと同一のビルドパラメータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記時定数が、前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性及び前記ビルドパラメータの各々に固有である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスタービンシステム(11)の前記複数の測定された動作特性の各々の前記lag出力が、
【数4】
に基づいて算出され、
OClagは、前記算出されたlag出力であり、
ΔOClagは、前記判定されたlag差分であり、
τOCは、前記測定された動作特性の前記時定数である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービンシステムに関し、より詳細には、ガスタービンシステム内の熱安定性を検出するためのシステム、プログラム製品及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力システムでは、システムが所望の性能及び又は最高の動作効率で動作していることを確保するために、動作パラメータ継続的に監視る。例えば、ガスタービンシステム内の様々な動作パラメータ測定及び又は監視て、ガスタービンシステムが所望の性能で動作しているか否か及び又は所望の/必要な量の電力出力を生成しているか否かを判定する。そのような動作パラメータとしては、ガスタービンシステムの様々な段階における流体の温度及び又は圧力が挙げられる。従来のシステムでは、ガスタービンシステムの動作状態を判定又は推定するために、動作パラメータ経時的に観察得る。例えば、これらの動作パラメータを経時的に観察することができ、これにより、ガスタービンシステムのオペレータは、動作パラメータが一定のままである場合にはシステムが熱的に安定していると想定できる。ガスタービンシステムの熱安定性は、ガスタービンシステムを所望の効率で動作させる上で重要であり得、特に、例えば、システムが、定常状態の動作モデルにおける熱的に安定なシステムの動作パラメータに依拠及び又はこれを利用する場合に重要であり得る。これらの動作モデルは、電力出力、動作効率、排出量及び又は他の同様の特性を増加及び又は改善するようにガスタービンシステムを調整するために動作パラメータを使用する。
【0003】
しかしながら、従来のシステムでは、オペレータは、動作パラメータデータのみに基づいて、ガスタービンシステムの動作状態を不適切に想定する場合がある。例えば、オペレータは、追加のセンサによって検出された動作パラメータデータに変化がないこと或いは変化が最小限であることに基づいて、ガスタービンシステムの部品が十分に/完全にヒートソーク及び又は動作温度に加熱されたと誤って結論付ける場合がある。つまり、ガスタービンシステムが熱的に安定しており、よってこれ以上動作の「始動」又は「ランプアップ」段階では動作していない可能性があり、「定常状態」で動作しているはずであると不適切に判断される場合がある。この判断の結果として、システムが所望の電力出力を生成していることを確保するために、流量、燃焼温度及び又は燃料供給などの動作パラメータが増加得る。しかしながら、ガスタービンシステムが熱的に安定していない及び又はシステムの部品が完全にヒートソークされていない、時期尚早の「定常状態」動作への移行は、実際にはシステムの動作効率を低下させかねない及び又はシステムの部品を望ましくない動作パラメータ(例えば、流体温度)に曝しかねない。望ましくない動作パラメータに曝されることにより、例えば、ガスタービンシステムの部品への損傷(例えば、クリープ)のリスクが増大し得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、ガスタービンシステム及び複数のセンサと通信する少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備えるシステムを提供するが、複数のセンサのうちの少なくとも1つガスタービンシステム内又はガスタービンシステムに隣接して配置され、複数のセンサの各センサガスタービンシステムの複数の動作特性のうちの1つを測定し、少なくとも1つのコンピューティングデバイス、複数の測定された動作特性の各々についてlag出力を算出するステップであって、算出されたlag出力が、ガスタービンシステムの測定された動作特性について算出されたlagと測定された動作特性との間の差分、及び複数の測定された動作特性の各々に関する時定数に基づく、ステップと、算出されたlag出力の各々が所定の閾値よりも低いときを判定するステップであって、所定の閾値がガスタービンシステムの複数の測定された動作特性及びビルドパラメータの各々に基づく、ステップとを含むプロセスを実行することによってガスタービンシステム内の熱安定性を検出するように構成され
【0005】
本開示の第2の態様は、少なくとも1つのコンピューティングデバイスによって実行されると、ガスタービンシステム内又はガスタービンシステムに隣接の少なくとも一方で配置された複数のセンサによって測定されたガスタービンシステムの複数の測定された動作特性の各々についてlag出力を算出するステップであって、算出されたlag出力が、ガスタービンシステムの測定された動作特性について算出されたlagと測定された動作特性との間の差分、及び複数の測定された動作特性の各々に関する時定数に基づく、ステップと、算出されたlag出力の各々が所定の閾値よりも低いときを判定するステップであって、所定の閾値がガスタービンシステムの複数の測定された動作特性及びビルドパラメータの各々に基づく、ステップとを含むプロセスを実行することによってガスタービンシステム内の熱安定性を少なくとも1つのコンピューティングデバイスに検出させる、プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0006】
本開示の第3の態様は、ガスタービンシステム内の熱安定性を検出するための方法であって、本方法は、ガスタービンシステム内又はガスタービンシステムに隣接の少なくとも一方で配置された複数のセンサによって測定されたガスタービンシステムの複数の測定された動作特性の各々についてlag出力を算出するステップであって、算出されたlag出力が、ガスタービンシステムの測定された動作特性について算出されたlagと測定された動作特性との間の差分、及び複数の測定された動作特性の各々に関する時定数に基づく、ステップと、算出されたlag出力の各々が所定の閾値よりも低いときを判定するステップであって、所定の閾値がガスタービンシステムの複数の測定された動作特性及びビルドパラメータの各々に基づく、ステップとを含む、方法を提供する。
【0007】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題及び/又は検討されていない他の問題を解決するように設計されている。
【0008】
本開示のこれら及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の様々な実施形態による、制御システムを備えるガスタービンシステムの概略図である。
図2】本開示の実施形態による、ガスタービンシステムの動作特性のlag出力の安定性活性化関数グラフである。
図3】本開示の実施形態による、図1のガスタービンシステムの熱安定性を検出するための例示的なプロセスを示す図である。
図4】本開示の実施形態による、図1のガスタービンシステムの熱安定性のための制御システムを含む環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0011】
最初の問題として、本開示を明確に説明するために、組み合わされたサイクル発電プラント内の関連する機械部品を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。これを行う場合、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用及び利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈及び添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる又は重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。或いは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0012】
また、本明細書ではいくつかの記述上の用語を繰り返し使用する場合があり、本項の始めでこれらの用語を定義することが有用であるはずである。これらの用語及びその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」及び「上流」とは、タービンエンジンを通る作動流体、又は例えば、燃焼器を通る空気の流れ、もしくはタービンの部品システムのうちの1つを通る冷却剤などの流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れの反対の方向を指す。「前方」及び「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を指し、「後方」はエンジンの後方又はタービン端を指す。多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置にある部品を記述することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動又は位置を指す。このような場合、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」又は「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」又は「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動又は位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動又は位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸線に関連して適用することができることが理解されよう。
【0013】
上述のように、本開示は、一般に、ガスタービンシステムに関し、より詳細には、ガスタービンシステム内の熱安定性を検出するためのシステム、プログラム製品及び方法に関する。
【0014】
これら及び他の実施形態は、図1図4を参照して以下に説明される。しかし、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた詳細な説明は説明の目的のためのものに過ぎず、限定するものとして解釈すべきではないことを容易に理解するであろう。
【0015】
図1は、本開示の様々な実施形態によるガスタービンシステム11を含むシステム10の概略図を示している。システム10のガスタービンシステム11は、圧縮機12と、圧縮機12に結合もしくは配置された及び/又は圧縮機12の入口の上流に配置された可変又は調節可能入口ガイドベーン(IGV)18とを備え得る。圧縮機12は、IGV18を通って圧縮機12に流入することができる流体20(例えば、空気)の入って来る流れを圧縮する。本明細書で説明するように、IGV18は、流体20がIGV18を通って圧縮機12に流れるとき、流体20の質量流量又は流量を調整することができる。圧縮機12は、圧縮流体22の流れ(例えば、圧縮空気)を燃焼器24に送る。燃焼器24は、圧縮流体22の流れを、燃料供給源28によって供給される燃料26の加圧された流れと混合し、混合気を点火して燃焼ガス30の流れを生成する。
【0016】
次に、燃焼ガス30の流れは、複数のタービンブレード(図示せず)を通常含むタービン部品32に供給される。燃焼ガス30の流れはタービン部品32を駆動して機械的仕事を生成する。タービン部品32で生成された機械的仕事は、シャフト34を介して圧縮機12を駆動し、電力を生成及び/又は負荷を生成するように構成された発電機36(例えば、外部構成要素)を駆動するために使用することができる。タービン部品32のタービンブレードを通って流れて駆動する燃焼ガス30は、排気ハウジング又は排気管38を介してタービン部品32から排出され、大気中に放出されるか、或いは別のシステム(例えば、蒸気タービンシステム)によって(再)使用得る。
【0017】
図1では、ガスタービンシステム11が単一シャフト構成を備えるとして示されているが、他の非限定的な例では、ガスタービンシステム11は、二重シャフト又はロータ構成を備え得ることを理解されたい。
【0018】
図1に示すように、システム10はまた、ガスタービンシステム11に動作可能に結合された、並びに/又はガスタービンシステム11内の熱安定性を検出するように及び/もしくは検出された熱安定性に基づいてガスタービンシステム11の動作パラメータを調整するように構成された少なくとも1つのコンピューティングデバイス100を備え得る。1以上のコンピューティングデバイ100は、任意の適切な電子通信部品又は技術を介して、ガスタービンシステム11及びその様々な部品(例えば、圧縮機12、IGV18及びタービン部品32など)に有線及び/又は無線で接続及び/又は通信し得る。本明細書に記載の通り1以上のコンピューティングデバイ100は、ガスタービンシステム11が熱的に安定したときを検出するため及び/又はガスタービンシステム11の動作機構もしくは部品が動作温度に加熱された(例えば、十分にヒートソークされた)ときを判定するために、ガスタービンシステム11の様々な部品(明確にするために図示せず)と通信し得る。様々な実施形態において、1以上のコンピューティングデバイ100は、ガスタービンシステム11の動作特性を取得又は測定するために、本明細書で説明するように、熱安定性システム102、制御システム104及び複数のセンサ106を備え得る。本明細書に記載の通り、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11内の熱安定性を検出するために使用得る一方、制御システム104は、検出された熱安定性に基づいてガスタービンシステム11及びその様々な部品の動作パラメータを制御/調整し得る。
【0019】
システム10の1以上のコンピューティングデバイ100は、複数のセンサ106を備え得る及び/又は複数のセンサ106と電気的に通信し得る。図1の非限定的な例に示されるように、1以上のコンピューティングデバイ100の及び/又は1以上のコンピューティングデバイ100に接続された少なくとも1つ又は複数のセンサ106(ファントムで示される部分)は、動作中にガスタービンシステム11の動作特性を測定、検出及び/又は取得するために、ガスタービンシステム11内又はガスタービンシステム11に隣接して様々な場所に配置得る。このため、ガスタービンシステム11に対する1以上のセンの位置及び/又は1以上のセン106のタイプ/構成によって、測定又は検出される動作特性が決まり得る。例えば、複数のセンサ106のうちの1つは、圧縮機12に直接隣接して及び/又は圧縮機12の上流に、より具体的には、IGV18を備える圧縮機12の入口に配置得る。この非限定的な例では、このセンサ106は、一般に圧縮機入口温度と呼ばれる圧縮機12に流れる流体20の入口温度を測定、検出は取得し得る任意の適切なセンサから構成及び/又は形成得る。追加的又は代替的に、IGV18を備える圧縮機12の入口内に及び/又は圧縮機12内に直接(かつIGV18の下流に)配置された別個の1以上のセン106も配置得る、構成得る、及び/又は、流体20に基づいて圧縮機入口温度を測定、検出、もしくは取得し得る任意の適切なセンサから形成得る。
【0020】
図1に示す非限定的な例では、コンピューティングデバイス100は、ガスタービンシステム11全体に配置された追加の1以上のセン106を備え得る。例えば、複数の別個の1以上のセン106、タービン部品32、発電機36、排気管38、圧縮機12/タービン部品32と燃焼器24との間の供給ライン(図示せず)及びシャフト34(図示せず)などの内に、隣接して及び/又は通信して配置得る。これらの1以上のセン106の各々は、ガスタービンシステム11の追加又は別個の動作特性を特定、検出及び/又は測定するように配置及び/又は構成得る。別個の動作特性は、流体20に基づく圧縮機入口温度とは異なり得る。加えて、また本明細書に記載の通り、別個の動作特性は、ガスタービンシステム11の熱安定性を検出するために明示的に使用得る、並びに/又はガスタービンシステム11の様々な部品が動作温度に加熱されたとき及び/もしくは維持されたとき(例えば、ヒートソークされた)を判定するために使用得る。動作特性としては、圧縮機12から流れる圧縮流体22の排出温度、排気管38を流れる燃焼ガス30の排気温度、例えば発電機36の動作に基づくガスタービンシステム11の電力出力、IGV18の位置(例えば、角度又は開放の度合い)、燃料供給源28によって供給されるガスタービンの燃料のフィールドストローク基準又は燃料流量及び燃料供給源28によって供給されるガスタービンシステム11の燃料流量などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
7つのセンサ106が示されているが、他の非限定的な例では、システム10は、1以上のコンピューティングデバイ100、特に熱安定性システム102及び制御システム104に、動作中のガスタービンシステム11の動作特性に関連する情報又はデータを提供するように構成得るより多数又はより少数のセンサ106を備え得ることを理解されたい。
【0022】
非限定的な例では、1以上のセン106は、動作中のガスタービンシステム11の1以上の動作特に関連するデータを断続的に感知、検出及び/又は取得することができる。1以上のセンがデータを取得する断続的な間隔又は周期は、例えば、ガスタービンシステム11の動作時間、ガスタービンシステム11の動作寿命、動作状態(例えば、始動、定常状態)及び1以上のセン106によって取得されるデータのタイプなどによって判定得る。別の非限定的な例では、1以上のセン106は、動作中のガスタービンシステム11の1以上の動作特に関連するデータを連続的に感知、検出及び/又は取得することができる。さらに、ガスタービンシステム11に示されているセンサ106は、ガスタービンシステム11内に既に存在し、含まれてもよいことを理解されたい。そのため、本明細書で説明するように、ガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを1以上のコンピューティングデバイ100が検出するために、ガスタービンシステム11に新しいセンサを追加する必要はない場合もある。
【0023】
本明細書に記載の通り、コンピューティングデバイス100、より具体的にはコンピューティングデバイス100の熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを検出することができる。熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを検出するため及び/又はガスタービンシステム11の動作機構又は部品が動作温度に加熱された(例えば、十分にヒートソークされた)ときを判定するために、コンピューティングデバイス100のセンサ106によって測定されるガスタービンシステム11の1以上の動作特を利用し得る。ガスタービンシステム11内の熱安定性を検出するために、熱安定性システム102は、測定された動作特性を一連の算出において利用することができる。1つの非限定的な例では、熱安定性システム102は、本明細書に記載の通り、単一の測定された動作特性に関連する及び/又は対応する単一のlag出力が測定された動作特性の所定の閾値よりも低いことに応じて、ガスタービンシステム11が熱的に安定であることを検出及び/又は判定することができる。別の非限定的な例では、また本明細書に記載の通り、熱安定性システム102は、各測定された動作特性に関連する及び/又は対応する各及び/又はすべてのlag出力が測定された動作特性の所定の閾値よりも低いことに応じて、ガスタービンシステム11が熱的に安定であることを検出及び/又は判定することができる。つまり、ガスタービンシステム11の熱安定性は、複数の測定された動作特性の各々に対応するすべての算出されたlag出力が所定の閾値よりも低くなった場合にのみ、熱安定性システム102によって検出得る。
【0024】
非限定的な例では、センサ106がガスタービンシステム11の動作特性を検出、判定、取得及び/又は測定すると、熱安定性システム102は、測定された動作特性を使用して、測定された動作特性の各々についてlag又はlag関数を算出することができる(以下、「lag」又は「算出されたlag」)。算出されたlagは、ガスタービンシステム11の複数の測定された動作特性及びビルドパラメータ(例えば、圧縮機/燃焼器/タービン部品のタイプ/サイズ/モデルなど)の各々に基づき得る。例えば、ガスタービンシステム11の複数の測定された動作特性の各々のlagは、
【数1】
に基づいて算出することができ、tは、第1の時間であり、t-1は、第1の時間tの前に発生する第2の時間であり、OClag(t)は、時間tにおいて測定された動作特性について算出されたlagであり、OClag(t-1)は、時間t-1において測定された動作特性について算出されたlagであり、OCmeasured(t-1)は、時間t-1において測定された動作特性であり、Δtは、第1の時間と第2の時間との間の差分であり、τOCは、測定された動作特性に関する時定数である。非限定的な例では、測定された動作特性のlagを判定するための算出は、熱伝導材料内の温度を判定する又は解くために使用される一次の非定常状態の熱伝達条件に少なくとも部分的に基づき得る。加えて、時定数(τOC)は、測定された動作特性に固有であり得る。例えば、圧縮機入口温度に関する時定数(例えば、τCTIM)は、IGV18の位置に関する時定数(例えば、τIGVP)とは異なり得る。さらに、時定数(例えば、τOC)は、ガスタービンシステム11のビルドパラメータに固有であり得る。つまり、圧縮機入口温度に関する時定数(例えば、τCTIM)は、システムごとに異なり得る及び/又はガスタービンシステム11の圧縮機12からのビルドパラメータ(例えば、タイプ、サイズ、モデルなど)に依存し得る。そのため、ガスタービンシステム11の圧縮機12とは異なるタイプ/サイズ/モデルの圧縮機を有する別個のガスタービンシステムはまた、圧縮機入口温度の別個に関する時定数(例えば、τCTIM)を含み得る。
【0025】
測定された動作特性の各々のlag(例えば、OClag(t))が算出されると、次いで熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11の測定された動作特性の各々の算出されたlagと測定された動作特性との間の差分を判定することができる。より具体的には、熱安定性システム102は、センサ106によって測定された動作特性の各々と、測定された動作特性の各々の算出されたlagとの間の絶対差分を判定することができる。非限定的な例では、絶対差分又はlag差分は、
ΔOClag=OCmeasured-OClag
に基づいてよく、ΔOClagはこの絶対差分であり、OCmeasuredはセンサ106によって測定された動作特性のデータであり、OClagは測定された動作特性について算出されたlagであり得る。
【0026】
絶対差分(例えば、ΔOClag)を算出した後、複数の測定された動作特性の各々の最終的なlag出力判定得る。より具体的には、熱安定性システム102は、1以上のコンピューティングデバイ100のセンサ106によって測定得る複数の動作特性の各々についてlag出力を判定又は算出することができる。測定された動作特性の各々の算出されたlag出力は、測定された動作特性の各々の算出されたlagと測定された動作特性の各々に関する時定数との間の算出された/判定された絶対差分(例えば、ΔOClag)に基づき得る。つまり、lag出力は、センサ106によって測定された動作特性の各々と(例えば、OCmeasured)、測定された動作特性の各々の算出されたlag(例えば、OClag)との間の差分、及び複数の測定された動作特性の各々に関する時定数(例えば、τOC)に基づいて算出得る。そのため、ガスタービンシステム(11)の複数の測定された動作特性の各々についてのlag出力が、
【数2】
に基づいて算出てよく、OClagは、算出されたlag出力であり、ΔOClagは、判定されたlag差分であり、τOCは、測定された動作特性に関する時定数であり得る。非限定的な例では、算出されたlag出力(例えば、OClag)は、測定された動作特性(例えば、OClag)の各々の入力の一次導関数であり得る。
【0027】
算出された出力を得ることにより、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを検出することができる。より具体的には、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlag出力(例えば、OClag)を使用して、1以上のコンピューティングデバイ100の熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定したときを判定、検出及び/もしくは特定し得る、並びに/又はガスタービンシステム11の様々な部品が動作温度に加熱された及び/もしくは維持されている(例えば、ヒートソークされた)ときを判定し得る。非限定的な例では、熱安定性システム102は、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlag出力(例えば、OClag)を所定の閾値と比較することによって、ガスタービンシステム11内の熱安定性を判定又は検出することができる。所定の閾値は、センサ106によって測定される複数の測定された動作特性及びガスタービンシステム11のビルドパラメータ(例えば、圧縮機/燃焼器/タービン部品のタイプ/サイズ/モデルなど)の各々に基づき得る。例えば、所定の閾値は、複数の測定された動作特性の各々に固有であり得、ガスタービンシステム11の動作モデルに基づいて、複数の測定された動作特性の各々について判定、定義及び/又は算出得る。ガスタービンシステム11の動作モデルは、ガスタービンシステム11と同一のモデル(例えば、同一のビルドパラメータ、同一の圧縮機/燃焼器/タービン部品タイプなど)の理想的な、最適化された、抑制されていない及び/又は「新しい清浄なシステム」の性能又は動作に少なくとも部分的に基づき得る。つまり、動作モデルは、ガスタービンシステム11の動作の理想的なシナリオをモデリングするためのガスタービンシステム11のビルドパラメータと同一のビルドパラメータを含む。そのため、ガスタービンシステム11の動作モデルは、センサ106によって測定された動作特性の各々の所定の閾値を算出及び/又は生成するために使用得る。ガスタービンシステム11の動作モデルによって算出される動作特性の各々の所定の閾値は、本明細書に記載の通り、ガスタービンシステム11が熱的に安定していることを示す動作特性の値を提供し得る。
【0028】
ガスタービンシステム11の動作モデルに基づいて、熱安定性システム102によって算出された所定の閾値を使用して、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定であるときを検出することができる。例えば、熱安定性システム102は、複数の測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)の各々が対応する所定の閾値よりも低いときに判定、検証(verified)及び/又は確認(confirmed)得る。すべての算出されたlag出力(例えば、OClag)が所定の閾値よりも低いと熱安定性システム102が判定した場合、ガスタービンシステム11は熱的に安定であり得る。つまり、熱安定性システム102は、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlag出力の各々が対応する所定の閾値よりも低いことに応じて、ガスタービンシステム11が熱的に安定である及び/又はガスタービンシステムのすべての部品が、動作温度に加熱された(例えば、ヒートソークされた)ことを検証(verify)及び/又は確認(confirm)することができる。
【0029】
ガスタービンシステム11が熱的に安定していることを判定、検証(verifying)及び/又は確認(confirming)する際に、ガスタービンシステム11に対して追加のプロセスを実行することができる。例えば、算出されたlag出力の各々が対応する所定の閾値よりも低く、最終的にガスタービンシステム11が熱的に安定であると判定したことに応じて、ガスタービンシステム11の動作条件及び/又はパラメータが調整得る。具体的には、1以上のコンピューティングデバイ100の制御システム104は、ガスタービンシステム11の動作条件及び/又はパラメータを調整して、例えば、ガスタービンシステム11の電力出力を増加させることができる。非限定的な例では、制御システム104は、ガスタービンシステム11の圧縮機12によって導入及び/又は圧縮される流体20の量を変更するためにシャフト34の動作速度を調整すること及び/又はIGV18の位置(例えば、動作条件)を調整することによって、ガスタービンシステム11の電力出力を増加させるのを支援することができる。他の非限定的な例では、ガスタービンシステム11が熱的に安定である及び/又はそこに含まれる部品が動作温度に加熱された(例えば、ヒートソークされた)と判定されると、コンピューティングデバイス100は、ガスタービンシステム11に対する追加の診断及び/又は動作監視プロセスを実行することができる。つまり、ガスタービンシステム11が熱的に安定であると判定されると、ガスタービンシステム11の動作特性の追加の測定及び/又は算出は、ガスタービンシステム11が熱的に不安定であるときに判定得る測定/算出と比較して、正確及び/又は精密であり得ることを理解されたい。そのため、ガスタービンシステム11のオペレータは、本明細書に記載の通り、システムの検出された熱安定性に基づいて、ガスタービンシステム11の動作をより正確に監視することができる。
【0030】
図2を、図1を引き続き参照しながら参照すると、1以上のコンピューティングデバイ100の熱安定性システム102(図1を参照)によって使用される安定性活性化関数グラフ108(以下、「グラフ108」)の非限定的な例が示されている。非限定的な例では、グラフ108は、熱安定性システム102が、複数の測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)を、算出されたlag出力が所定の閾値よりも低いと判定し、ひいてはガスタービンシステム11(図1を参照)が熱的に安定しているときを検出するための絶対値(例えば、(0,1))に変換する非限定的な例を表し得る。非限定的な例では、所定の閾値110は、本明細書に記載の通り、ガスタービンシステム11が熱的に安定していることを示す動作特性の値を表し得る。具体的には、また本明細書に記載の通り、測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)が所定の閾値110よりも低い場合、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定であることを示し得る、又は検出し得る。
【0031】
別の非限定的な例では、また図2に示すように、熱安定性システム102はまた、グラフ108の基準線118、120によって規定される範囲112を特定し得る。範囲112は、所定の閾値110よりも低い可能性があるが、ガスタービンシステム11内の熱安定性を必ずしも確保及び/又は保証しない可能性がある、測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)の一部を規定し得る。つまり、範囲112は、所定の閾値110よりも低い可能性があるが、ガスタービンシステム11が熱的に安定であることを必ずしも確保しない可能性がある、測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)を含み得る。範囲112のサイズ及び/又は値は、測定された動作特性及び/又は動作特性を測定するために使用されたセンサ106に関連する情報に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、範囲112は、センサ106の所定又は既知の不確かさに少なくとも部分的に依存し得る。具体的には、センサ106は、動作及び/又は製造の変数に基づく所定の不確かさ、感度及び/又はデータ検出偏差を含み得る。そのため、ガスタービンシステム11及び1以上のコンピューティングデバイ100のオペレータ又はユーザは、測定された動作特性に関連するデータ値が、センサの既知の不確かさに基づいて歪められる可能性があることを理解し得る。ガスタービンシステム11が熱的に安定していることを確保するために、熱安定性システム102は、センサ106の所定の不確かさを使用して、範囲112を確立することができる。非限定的な例では、測定された動作特性について算出されたlag出力(例えば、OClag)が所定の閾値110よりも低く、かつ範囲112の外側にある場合、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定である及び/又はガスタービンシステム11の部品が動作温度に加熱された(例えば、ヒートソークされた)ことを検出し得る。
【0032】
図3は、ガスタービンシステム11が熱的に安定したときを検出するための非限定的な例示的なプロセスを示すフローチャートを示している。これらのプロセスは、例えば、本明細書で説明するように、熱安定性システム102及び制御システム104を備える少なくとも1つのコンピューティングデバイス100(図1を参照)によって実行得る。他の場合には、これらのプロセスは、ガスタービンシステム11内の熱安定性を検出するためのコンピュータ実施方法にしたがって実行得る。さらに他の実施形態では、これらのプロセスは、1以上のコンピューティングデバイ100上でコンピュータプログラムコードを実行し、1以上のコンピューティングデバイ100、特に熱安定性システム102及び制御システム104にガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを検出させることによって実行得る。
【0033】
プロセスP1において、ガスタービンシステムの1以上の動作特が測定算出得る。より具体的には、ガスタービンシステムの複数の動作特性は、ガスタービンシステムに隣接して及び/又はガスタービンシステム内に配置された複数のセンサを使用して測定得る。測定された動作特性としては、ガスタービンシステムの圧縮機に流れる流体の圧縮機入口温度、圧縮機から流れる圧縮流体の排出温度、ガスタービンシステムの排気管を流れる燃焼ガスの排気温度、例えば1以上の発電の動作に基づくガスタービンシステムの電力出力、IGVの位置(例えば、角度又は開放の度合い)、燃料供給源によって供給されるガスタービンの燃料のフィールドストローク基準及び燃料供給源によって供給されるガスタービンシステムの燃料流量などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
プロセスP2において、複数の測定された動作特性の各々についてlagが算出される。つまり、プロセスP1で測定された複数の動作特性の各々について、lag又はlag関数が算出される。算出されたlagは、ガスタービンシステムの複数の測定された動作特性及びビルドパラメータ(例えば、圧縮機/燃焼器/タービン部品のタイプ/サイズ/モデルなど)の各々に基づき得る。加えて、算出されたlagは、複数の測定された動作特性の各々に関する時定数に基づき得る。非限定的な例では、各測定された動作特性のlagを判定するための算出は、熱伝導材料内の温度を判定する又は解くために使用される一次の非定常状態の熱伝達条件に少なくとも部分的に基づき得る。時定数は、測定された動作特性に固有であり得る。つまり、複数の測定された動作特性の各々のlagは、個々の測定された動作特性に固有の及び/又は対応する時定数によって算出得る。さらに、時定数は、ガスタービンシステムのビルドパラメータに固有であり得る。つまり、動作特性(例えば、圧縮機入口温度)に関する時定数は、システムごとに異なり得る及び/又はガスタービンシステムの圧縮機からのビルドパラメータ(例えば、タイプ、サイズ、モデルなど)に依存し得る。
【0035】
プロセスP3において、lag差分が判定得る。より具体的には、ガスタービンシステムの測定された複数の動作特性の各々のlag差分が判定、算出及び/又は特定得る。lag差分は、ガスタービンシステムの測定された動作特性の各々の算出されたlag(例えば、プロセスP2)と対応する測定された動作特性(例えば、プロセスP1)との間の差分を含み得る。非限定的な例では、判定されたlag差分は、測定された動作特性の各々と、測定された動作特性の各々の算出されたlagとの間の絶対値の差分であり得る。
【0036】
プロセスP4において、lag出力が算出得る。つまり、複数の測定された動作特性の各々についてlag出力が算出又は判定得る。測定された動作特性の各々の算出されたlag出力は、測定された動作特性の各々の算出されたlag(例えば、プロセスP3)と測定された動作特性の各々に関する時定数との間の算出された/判定された(絶対)差分に基づき得る。つまり、lag出力は、センサによって測定された動作特性の各々と、測定された動作特性の各々の算出されたlagとの間の差分、及び複数の動作特性の各々に関する時定数に基づいて算出得る。算出されたlag差分は、lag出力を算出するために、対応する動作特性に関する時定数で除算し得る。非限定的な例では、算出されたlag出力は、測定された動作特性(例えば、プロセスP2)の各々の入力の一次導関数であり得る。
【0037】
プロセスP5において、算出されたlag出力(例えば、プロセスP4)が所定の閾値よりも低いか否かが判定得る。具体的には、各算出されたlag出力を所定の閾値と比較することによって、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlag出力が対応する所定の閾値よりも低いか否かが判定得る。所定の閾値は、プロセスP1においてセンサによって測定される複数の測定された動作特性及びガスタービンシステムのビルドパラメータ(例えば、圧縮機/燃焼器/タービン部品のタイプ/サイズ/モデルなど)の各々に基づき得る。例えば、所定の閾値は、複数の測定された動作特性の各々に固有であり得、ガスタービンシステムの動作モデルに基づいて、複数の測定された動作特性の各々について判定、定義及び/又は算出得る。動作モデルは、ガスタービンシステムの動作の理想的なシナリオをモデリングするためのガスタービンシステムのビルドパラメータと同一のビルドパラメータを含む。そのため、ガスタービンシステムの動作モデルは、測定された動作特性の各々の所定の閾値を算出及び/又は生成するために使用得る。動作特性の各々の所定の閾値は、本明細書に記載の通り、ガスタービンシステムが熱的に安定していることを示す動作特性の値を提供し得る。
【0038】
複数の測定された動作特性の各々及び/又はそのうちの1つの算出されたlagが対応する所定の閾値よりも低くない(例えば、P5において「いいえ」)と判定したことに応じて、プロセスP1~P5が繰り返得る。つまり、複数の測定された動作特性の各々及び/又はそのうちの1つの算出されたlagが、対応する所定の閾値よりも低くない(例えば、P5において「いいえ」)と判定された場合、ガスタービンシステムが熱的に安定していると検証できず(例えば、プロセスP6)、ガスタービンシステムが熱的に安定していることが検証できるまで、プロセスP1~P5が繰り返得る。
【0039】
しかしながら、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlagが対応する所定の閾値よりも低い(例えば、P5において「はい」)と判定したことに応じて、プロセスP6において、ガスタービンシステムが熱的に安定していることが検証し得る。つまり、プロセスP6において、複数の測定された動作特性の各々の算出されたlag出力の各々が対応する所定の閾値よりも低いことに応じてガスタービンシステムが熱的に安定していることを検証(verified)又は確認(confirmed)することができる。ガスタービンシステムが熱的に安定していることを検証することはまた、ガスタービンシステムのすべての部品が動作温度に加熱された(例えば、ヒートソークされた)ことを示し得る。
【0040】
プロセスP6においてガスタービンシステムが熱的に安定していることを検証した後、熱的に安定なガスタービンシステムに対して追加のプロセスを実行することができる。例えば、算出されたlag出力の各々が対応する所定の閾値よりも低いと判定し、最終的にガスタービンシステムが熱的に安定であると検証したことに応じて、プロセスP7においてガスタービンシステムの動作条件及び/又はパラメータが調整得る。具体的には、ガスタービンシステムの動作条件及び/又はパラメータは、例えば、ガスタービンシステムの電力出力を増加させるように調整得る。非限定的な例では、ガスタービンシステムの圧縮機によって導入及び/又は圧縮される流体の量を変更するためにシステム内のシャフト34の動作速度を調整すること及び/又はIGVの位置(例えば、動作条件)を調整することによって、ガスタービンシステム11の電力出力を増加させることができる。
【0041】
他の非限定的な例では、ガスタービンシステムが熱的に安定である及び/又はそこに含まれる部品が動作温度に加熱された(例えば、ヒートソークされた)と検証されると(例えば、プロセスP6)、追加の診断及び/又は動作監視プロセスがガスタービンシステムに対して実行得る。つまり、ガスタービンシステムが熱的に安定であると検証されると、ガスタービンシステムの動作特性の追加の測定及び/又は算出は、ガスタービンシステムが熱的に不安定であるとき(例えば、始動時)に判定得る測定/算出と比較して、正確及び/又は精密であり得ることを理解されたい。そのため、ガスタービンシステムのオペレータは、ガスタービンシステムに対して追加の診断及び/又は動作監視プロセスを実行して、検出された熱安定性に基づいてシステムの動作をより正確に監視することができる。
【0042】
加えて、図3に示すように、プロセスP1~P6は、連続的に及び/又は所定のサイクルで実行得ることを理解されたい。プロセスP1~P6は、ガスタービンシステムの熱安定性が動作中に常に又は断続的に把握得るように、連続的に及び/又は所定のサイクルで実行得る。そのため、算出されたlag出力が所定の閾値よりも低いと判定され(例えば、プロセスP5において「はい」)、ガスタービンシステムが熱的に安定していることが検証された場合(例えば、プロセスP6)でも、プロセスP1~P6は、ガスタービンシステムが依然として熱的に安定している及び/又は熱的に安定したままであることを検証し続けるために、その後、すなわち、直後又は所定の期間の後のいずれかに再び実行得る。
【0043】
本明細書に図示及び記載されるフローチャートにおいて、図示していない他のプロセス又は動作を実行することもできることが理解されよう。プロセスの順序もまた様々な実施形態にしたがって再配置されてもよい。例えば、順次実行されるものとして示されているが、プロセスP6及びP7は同時に実行されてもよい。さらに、本明細書に記載の通り、ガスタービンシステムの動作を改善するために及び/又はガスタービンシステム内の熱安定性を検出もしくは判定するのを支援するために、プロセスP1~P7は、連続して順次実行得る及び/又はプロセスP1は、他のプロセスの実行とは無関係に、連続的又は断続的に実行得る。本明細書に図示及び記載されるプロセスのフローは、様々な実施形態に限定されるとみなすべきではない。
【0044】
図4は、例示的な環境を示している。このために、環境は、ガスタービンシステム11内の熱安定性を検出するために、本明細書に記載の様々なプロセスステップを実行することができる1以上のコンピューティングデバイ100を含む。特に、1以上のコンピューティングデバイ100は、本開示のプロセスステップのうちの1つ又は複数を実行することによって、コンピューティングデバイス100がガスタービンシステム11内の熱安定性を検出し、ガスタービンシステム11の動作を制御する及び/又は動作条件を調整することを可能にする熱安定性システム102及び制御システム104を含むとして示されている。
【0045】
ストレージ部品146、処理部品148、入力/出力(I/O)部品150及びバス152を備える1以上のコンピューティングデバイ100が示されている。さらに、1以上のコンピューティングデバイ100は、ガスタービンシステム11及び/又はセンサ106と通信するように示されている。当技術分野で知られているように、一般に、処理部品148は、ストレージ部品146又は外部ストレージ部品(図示せず)に記憶された熱安定性システム102及び制御システム104などのコンピュータプログラムコードを実行する。処理部品148は、コンピュータプログラムコードを実行している間に、熱安定性システム102及び制御システム104などのデータをストレージ部品146及び/又はI/O部品150との間で読み出し及び/又は書き込むことができる。バス152は、1以上のコンピューティングデバイ100の部品の各々の間の通信リンクを提供する。I/O部品150は、1以上のユー153が1以上のコンピューティングデバイ100と対話することを可能にする任意のデバイス、又は1以上のコンピューティングデバイ100が1つもしくは複数の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイスを含むことができる。入力/出力デバイス(限定はしないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含む)を、直接又は介在するI/Oコントローラを通してシステムに結合することができる。
【0046】
いずれにしても、1以上のコンピューティングデバイ100は、ユーザ153がインストールしたコンピュータプログラムコードを実行することができる任意の汎用コンピューティング製品(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドデバイスなど)を含むことができる。しかし、1以上のコンピューティングデバイ100及び熱安定性システム102/制御システム104は、本開示の様々なプロセスステップを実行することができる様々な可能な同等のコンピューティングデバイスのうちの代表的なものに過ぎないことが理解される。このために、他の実施形態では、1以上のコンピューティングデバイ100は、特定の機能を実施するためのハードウェア及び/又はコンピュータプログラムコードを含む任意の特定用途向けコンピューティング製品、特定用途向け及び汎用のハードウェア/ソフトウェアの組み合わせを含む任意のコンピューティング製品などを備えてもよい。いずれの場合も、プログラムコード及びハードウェアは、各々標準的なプログラミング技術及びエンジニアリング技術を使用して作成することができる。
【0047】
同様に、1以上のコンピューティングデバイ100は、本開示を実施するための様々なタイプのコンピュータインフラストラクチャの例示に過ぎない。例えば、一実施形態では、1以上のコンピューティングデバイ100は、本開示の様々なプロセスステップを実施するために、ネットワーク、共有メモリなどの任意のタイプの有線及び/又は無線通信リンクを介して通信する2つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、サーバクラスタ)を備える。通信リンクがネットワークを備えるとき、ネットワークは、1つ又は複数のタイプのネットワーク(例えば、インターネット、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、仮想プライベートネットワークなど)の任意の組み合わせを含むことができる。ネットワークアダプタもまた、介在するプライベートネットワーク又は公衆ネットワークを介して、データ処理システムが他のデータ処理システム又はリモートプリンタもしくは記憶デバイスに結合することができるように、システムに結合することができる。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのごく一部である。とにかく、コンピューティングデバイス間の通信は、様々なタイプの伝送技術の任意の組み合わせを利用することができる。
【0048】
本明細書で上述及び論じたように、熱安定性システム102は、ガスタービンシステム11が熱的に安定しているときを1以上のコンピューティングデバイ100が検出することを可能にする一方、制御システム104は、1以上のコンピューティングデバイ100がガスタービンシステム11の動作を制御する及び/又は動作条件を調整することを可能にする。このために、熱安定性システム102及び制御システム104の各々が、測定された動作特性データ154、所定の閾値データ156、laglag差分、及びlag出力に関連する算出を含むlag算出データ158、動作条件データ160、並びに診断データ162を含む様々なモジュールを含むとして示されている。これらのデータの各々の動作について、本明細書でさらに説明する。しかし、図4に示す様々なデータのいくつかは、独立して実装され、組み合わされ及び/又は、1以上のコンピューティングデバイ100に含まれる1つもしくは複数の別々のコンピューティングデバイスのためのメモリに格納得ることが理解される。さらに、データ及び/又は機能のいくつかは、実施されなくてもよく、或いは追加のデータ及び/又は機能が1以上のコンピューティングデバイ100の一部として含まれてもよいことを理解されたい。
【0049】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態による、システム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能性及び動作を示している。これに関連して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができ、それは、所定の1以上の論理機を実現するための1つ又は複数の実行可能命令を含む。いくつかの代替的な実施態様では、ブロックで説明した機能は図で説明した順序と異なる順序で行われてもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示す2つのブロックが、実際に、実質的に同時に実行されてもよいし、又はそれらのブロックが含まれる機能性に応じて時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/もしくはフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/もしくはフローチャート図中のブロックの組み合わせが、所定の機能もしくは動作を実施する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実現することができることもまた留意されたい。
【0050】
本明細書に記載の通り、様々なシステム及び構成要素は、データを「取得する」(例えば、1以上の動作特を取得/測定するなど)として説明される。対応するデータは、任意の解決策を使用して取得することができることが理解される。例えば、対応するシステム/部品は、データを生成し、かつ/又はデータを生成するために使用され、1つ又は複数のデータ記憶装置(例えば、データベース)からデータを取り出し、別のシステム/部品からデータを受信することなどができる。特定のシステム/部品によってデータが生成されないとき、図示のシステム/部品とは別に、データを生成してシステム/部品に提供する及び/又はシステム/部品によるアクセスのためにデータを記憶する、別のシステム/部品を実装することができることが理解される。
【0051】
当業者によって理解されるように、本開示は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。したがって、本開示は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又は、本明細書において「回路」、「モジュール」及び/もしくは「システム」とすべて一般的に呼ぶことができるソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形式をとることができる。さらに、本開示は、媒体内に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する表現の任意の有形な媒体で具現化されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0052】
1つ以上のコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されてもよい。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、又は伝搬媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非包括的リスト)には、1つ以上の配線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学ストレージデバイス、インターネットもしくはイントラネットなどをサポートする媒体などの伝送媒体、又は磁気ストレージデバイスが含まれる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、プログラムを印刷した紙又は別の適切な媒体でもよく、プログラムは、例えば、その紙又は他の媒体の光学スキャンを介して電子的に取り込むことができ、その後、必要に応じて、適切な様式で編集、解釈、又は処理することができ、その後、コンピュータメモリに格納することができることに留意されたい。本明細書の文脈では、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって、又はそれと併せて使用されるプログラムを包含、格納、通信、伝搬、又は輸送することができる任意の媒体であってもよい。コンピュータ使用可能媒体は、ベースバンドに又は搬送波の一部として具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する伝搬されたデータ信号を含んでもよい。コンピュータ使用可能プログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体を使用して送信することができる。
【0053】
本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータで、部分的にユーザのコンピュータで、独立したソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータで、部分的に遠隔コンピュータで、又は完全に遠隔コンピュータもしくはサーバで実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、或いは、外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを介して)接続されてもよい。
【0054】
本開示は、本開示の実施形態による、方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック並びにフローチャート及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに供給されてもよく、これにより、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行されるこれらの命令は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックで所定の機能/動作を実施するための手段をもたらす。
【0055】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に対して特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に格納することもでき、これにより、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックで指定される機能/動作を実施する命令手段を含む製品を製造する。
【0056】
コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実行処理を生成するために、コンピュータプログラム命令をコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもでき、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実行される命令は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックで指定される機能/動作を実施するためのプロセスを提供する。
【0057】
技術的効果は、ガスタービンシステムが熱的に安定しているときを検出するためのシステム、プログラム製品及び方法を提供することである。具体的には、システムは、ガスタービンシステムの熱安定性を検出するためにガスタービンシステムの測定された動作特性を使用し得る、並びに/又はガスタービンシステムの様々な部品が動作温度に加熱されたとき及び/もしくは維持されたとき(例えば、ヒートソークされた)を判定するために使用得る。ガスタービンシステムがいつ熱的に安定しているときを判定できることにより、オペレータは、ガスタービンシステムの正確な性能情報を取得することができる及び/又はガスタービンシステムの効率を改善するために動作特性もしくはパラメータを調整する(例えば、電力出力を増加させる)ことができる。
【0058】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素が存在することを明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの組が存在すること又は追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意の」又は「任意に」は、後で述べられる事象又は状況が、起こる場合も起こらない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる事例と、起こらない事例とを含む。
【0059】
本明細書及び特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」及び「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、文脈及び文言が特に指示しない限り、このような範囲は特定され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0060】
添付の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を遂行するための、一切の構造、材料又は動作を包含することが意図されている。本開示の記述は、例示及び説明の目的で提示されたもので、網羅的であることも、又は本開示を開示した形態に限定することも意図されていない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの修正及び変形が明らかであろう。本開示の原理及び実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態の本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0061】
10 システム
11 ガスタービンシステム
12 圧縮機
18 入口ガイドベーン(IGV)
20 流体
22 圧縮流体
24 燃焼器
26 燃料
28 燃料供給源
30 燃焼ガス
32 タービン部品
34 シャフト
36 発電機
38 排気管
100 コンピューティングデバイス
102 熱安定性システム
104 制御システム
106 センサ
108 グラフ
110 所定の閾値
112 範囲
118、120 基準線
146 ストレージ部品
148 処理部品
150 入力/出力(I/O)部品
152 バス
153 ユーザ
154 動作特性データ
156 所定の閾値データ
158 lag算出データ
160 動作条件データ
162 診断データ
図1
図2
図3
図4