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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20250325BHJP
   E06B 1/62 20060101ALI20250325BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B1/62 A
E04B1/64 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021054837
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152167
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤淳二
(72)【発明者】
【氏名】海藤真広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤郁恵
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-330790(JP,A)
【文献】特開2021-031998(JP,A)
【文献】実開平02-074487(JP,U)
【文献】特開2012-127166(JP,A)
【文献】特開2010-236247(JP,A)
【文献】特開2005-315003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/14
E06B 1/62
E04B 2/56
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部の雨仕舞い構造において、垂直平面状の固定面と、該固定面の下端を屋外側へ折り返して防水面とから断面略L字状に形成した長尺状の捨板と、垂直平面状の固定片と、該固定片の一端を略90度で折り返した側片と、該側片の先端を固定片と略平行に突出した化粧片とから形成した止縁を使用し、開口部の上面上には連続状でシーリングが形成され、該シーリングを介して捨板の防水面が載置されて固定され、開口部の下面に隙間を介して化粧片の先端部分を部分的に切除した切り欠きを形成した止縁が固定され、開口部の両側面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の上面に隙間を介して下面となる側片を部分的に切除して排水孔を形成した止縁が固定され、各止縁間の4カ所のコーナー部分の固定片上には開口部コーナーパッキンが形成され、開口部に合わせて切断加工された乾式壁材が開口部の止縁を介して施工され、開口部と止縁間の隙間にシーリングが形成されると共に、開口部の上面部分には上面と止縁との間に隙間を残存させたことを特徴とする乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部間から壁下地への雨水の浸入を防止する乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に金属板を表面材とし、合成樹脂発泡体を芯材とし、シート状物を裏面材としたサンドイッチ構造の乾式壁材、あるいは無機系の材料からなる乾式壁材を用いて壁体を形成した場合には、乾式壁材の端部とサッシなどの開口部間に突き合わせにより隙間が形成され、隙間にコーキング材を植設したり、コ字状断面止縁、L字状の水切りを介して納める方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179872号公報
【文献】特開2021-031998号公報
【文献】特開2018-031185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1、2は隙間にバックアップ剤、目地材を隙間に充填する構造で、材料の劣化による漏水が避けられなかった。また、引用文献3は引用文献1の構造の裏面側(サッシの上部)に排水用部材を形成しているが、サッシ側面に流れた雨水が側面側から壁下地内に浸入する危険があった。
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部の雨仕舞い構造において、垂直平面状の固定面と、該固定面の下端を屋外側へ折り返して防水面とから断面略L字状に形成した長尺状の捨板と、垂直平面状の固定片と、該固定片の一端を略90度で折り返した側片と、該側片の先端を固定片と略平行に突出した化粧片とから形成した止縁を使用し、開口部の上面上には連続状でシーリングが形成され、該シーリングを介して捨板の防水面が載置されて固定され、開口部の下面に隙間を介して化粧片の先端部分を部分的に切除した切り欠きを形成した止縁が固定され、開口部の両側面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の上面に隙間を介して下面となる側片を部分的に切除して排水孔を形成した止縁が固定され、各止縁間の4カ所のコーナー部分の固定片上には開口部コーナーパッキンが形成され、開口部に合わせて切断加工された乾式壁材が開口部の止縁を介して施工され、開口部と止縁間の隙間にシーリングが形成されると共に、開口部の上面部分には上面と止縁との間に隙間を残存させたことを特徴とする乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造(以下単に、雨仕舞構造という)によれば、(1)開口部上面の止縁に排水孔を形成し、開口部上面に隙間を形成したために、乾式壁材の表面から流れてくる雨水を速やかに外部へ排水出来る。(2)開口部に形成された止縁の端部のコーナー部分4カ所に三角形の開口部コーナーパッキンを接着固定したために、コーナー部分からの雨水の壁下地への浸入を防止出来る。(3)開口部下部の止縁に切り欠きを複数個形成したために、風雨により外圧が大きくなっても、止縁内の内圧も大きくなるために、雨水が内部に浸入しにくくなる。(4)施工後の、コーキング材による表面側からの防水施工を排除でき、施工性の向上、外観意匠性の向上と紫外線によるコーキング材の劣化がない。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図2】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図3】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する乾式壁材の一実施例を示す断面図と施工状態を示す断面図である。
図6】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図7】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一実施例を示す斜視図である。
図9】本発明に係る雨仕舞い構造の一実施例を示す平面図である。
図10】本発明に係る雨仕舞い構造の一実施例を示す平面図である。
図11】本発明に係る雨仕舞い構造の一実施例を示す断面図である。
図12】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分の施工状態の一実施例を示す斜視図である。
図13】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する敷目板のその他の実施例を示す断面図である。
図14】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
図15】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0008】
以下に図面を用いて本発明に係る雨仕舞い構造の代表的な実施例について詳細に説明する。図1図8は本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序を説明するための説明図である。図1に示すように、壁下地α、サッシなどの開口部Kからなる構造である。また、図示しないが防水性を図るために壁下地α上には防水シートが施設されている。なお、壁下地αは既存の壁下地、あるいは新築の壁下地である。
【0009】
まず、開口部Kの上面K2の上部に連続状にシーリングSを施工する。その後矢印aに示すように捨板Tを図2に示すように施工する。なお、捨板Tは固定面1、防水面2からなるものである。なお、シーリング材Sはシリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系などよりなるコーキング材、あるいはエチレンプロピレンゴム(EPDM)などよりなるものである。
【0010】
捨板Tの施工が完了したら、図2に示すような固定片3、側片4、化粧片、固定片3と側片4と化粧片5からなる空間6とからなる止縁Xを開口部Kの側面K1、上面K2、下面K3に施工する。その際に、図2に示すように止縁Xには化粧片5部分を切り欠き、側片4を90度で折り返した挿入片X1を形成し、挿入片X1を止縁Xの空間6に挿入するようにして図3図4に示すように開口部Kの周りに止縁Xを固定する。勿論、固定の際には固定具βを使用するものである。
【0011】
下面K3に施工する止縁Xには図2にて拡大部分bに示すように化粧片5部分を一定間隔で切除した切り欠きX2を形成するものである。この切り欠きX2は、施工後に下面K3部分に形成した止縁Xの空間6内の内圧を外圧と同程度にし、雨水の内部への浸入を阻止するものである。また、上面K2に施工する止縁Xには図2に示すように側片4に一定間隔で切除した排水孔4aを形成するものである。
【0012】
止縁Xの施工は、まず、下面K3の下部に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定する。その後側面K1の側面に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定する。最後に、上面K2の上面に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定するものである。なお、図4に示すように止縁Xの施工前にシーリングSを形成し、捨板Tと止縁Xの裏面間からの雨水の横走りを防止するものである。
【0013】
止縁Xの施工が完了したら、図5に示すように各止縁Xの端部のコーナー部分4カ所に三角形の開口部コーナーパッキンPを接着固定する。開口部コーナーパッキンPはコーナー部分からの雨水の浸入防止の目的で施工するものである。
【0014】
開口部コーナーパッキンPの施工が完了したら、図6(a)に示すような長尺状の乾式壁材Aを図5図7に示すように乾式壁材Aを加工して開口部Kの上下左右に止縁Xを介して施工する。その際には、止縁X間のコーナー部分の乾式壁材Aの表面から固定具βにより4カ所を固定するものである。勿論、固定具βの部分はシーリングSにて埋設し防水性を図るものである。
【0015】
乾式壁材Aの一例としては、図6(a)に乾式壁材Aの断面図、図6(b)に施工状態断面図を示すように、金属製の薄板からなる金属製表面材8と裏面材9間に芯材10をサンドイッチし、幅方向の下端に形成した凹部11と、上端に形成した凸部12、凸部12の裏面を上方に折り返して形成した上端凹部12aと固定部13とから形成した長尺状のサンドイッチパネルである。
【0016】
なお、P1は防水性、防風性、気密性、断熱性強化のために形成したパッキンである。
【0017】
乾式壁材同士は、凸部12に凹部11が連結されることにより、図6(b)に示すように固定具βにより壁下地α上に固定されるものである。
【0018】
乾式壁材Aは金属系サイディング材、あるいは窯業系サイディング材、セラミック、等より成形したものであり、その一例としての金属系サイディング材としては、金属製表面材8は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成形、あるいはプレス成形したものである。また、裏面材9としてはアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものでも良いものである。
【0019】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、金属製表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・発泡・硬化させて金属製表面材1と裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。
【0020】
開口部K部分への乾式壁材Aの施工が完了したら、図7に示すように止縁Xのコーナー部分に止縁コーナーキャップHを施工する。
【0021】
乾式壁材Aの施工が完了したら、図8~11に示すように開口部Xと止縁X間の隙間BにパッキンP1とシーリングSを施工する。その際には、上面K2と止縁X間の隙間B部分にはパッキンP1とシーリングSは施工せず、隙間Bより止縁X内に浸入した雨水を隙間Bより排出出来るように形成するものである。
【0022】
また、図5に示すように乾式壁材Aを施工する際には、乾式壁材Aの嵌合部分の固定部13部分~止縁Xの固定片3間に掛けてシーリングSを施工し防水性を強化するものである。勿論、図12に示すように、一般部分の敷目板M1と化粧キャップM2よりなる目地部M部分には、図12に示すようにシーリングSを施工するものである。
【0023】
なお、図9~11は本発明に係る雨仕舞構造のメカニズムを示す説明図と断面図である。
【0024】
図9においては、開口部Kの上面K2部分の雨仕舞構造を示すものであり、雨水Wが止縁Xや止縁コーナーキャップHから浸入しても、左右に形成された開口部コーナーパッキンPや捨板Tにより壁下地α内部への浸入を防止され、雨水は止縁Xに形成された排水孔4a部分より隙間Bより外部に排水される。
【0025】
図10においては、開口部Kの左右の側面K1部分の雨仕舞構造を示すものであり、雨水Wが止縁Xの固定片3や止縁コーナーキャップHから浸入しても、左右に形成された開口部コーナーパッキンPやシーリングSより壁下地α内部への浸入を防止され、雨水は乾式壁材Aの表面側に排出される。
【0026】
図11は(a)、(b)は開口部Kの下部K3部分の雨仕舞い構造を示すものであり、(a)図は止縁Xに切り欠きX2を形成しない場合を示すものであり、風雨により外圧が大きくなると、止縁X内の内圧が小さくなりその圧力差により雨水が内部に浸入しやすくなる。これに対して(b)図は止縁Xに切り欠きX2を複数個形成した場合を示すものであり、風雨により外圧が大きくなっても、止縁X内の内圧も大きくなるために、雨水が内部に浸入しにくくなる。
【0027】
なお、図13(a)~(c)~図15(a)~(c)は一般部に使用する止縁、出隅入隅として使用する敷目板M1、化粧キャップM2を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
A 乾式壁材
a 矢印
b 拡大部分
B 隙間
H 止縁コーナーキャップ
K 開口部
K1 側面
K2 上面
K3 下面
M 目地部
M1 敷目板
M2 化粧キャップ
P 開口部コーナーパッキン
P1 パッキン
S シーリング
T 捨板
W 雨水
X 止縁
X1 挿入片
X2 切り欠き
α 壁下地
β 固定具
1 固定面
2 防水面
3 固定片
4 側片
4a 排水孔
5 化粧片
6 空間
7 切り欠き
8 金属製表面材
9 裏面材
10 芯材
11 凹部
12 凸部
12a 上端凹部
13 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15