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特許7654467航路計画装置、航路計画システム、航路計画方法、及び航路計画支援をコンピュータに実行させるプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】航路計画装置、航路計画システム、航路計画方法、及び航路計画支援をコンピュータに実行させるプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/22 20060101AFI20250325BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20250325BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20250325BHJP
【FI】
G01C21/22
B63B49/00 Z
B63B79/40
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021090389
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022091667
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】20212730.4
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥田 将斗
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬年
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150024(JP,A)
【文献】特開2018-151811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/22
B63B 49/00
B63B 79/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の航行の経路を設定する航路計画装置であって、
前記移動体の航行の出発地点と目的地点との間に配列され、画面上に表示された複数のポテンシャルウェイポイントについて、前記画面上の操作により位置調整可能な状態で仮の位置を入力する位置入力部と、
入力された前記仮の位置に基づいて、前記ポテンシャルウェイポイントと該ポテンシャルウェイポイントに配列上隣接するポテンシャルウェイポイントの位置関係を算定する位置関係算定部と、
前記複数のポテンシャルウェイポイントのうち位置調整の対象に選定された選定ポテンシャルウェイポイントの位置を調整する位置関係調整部と、
を備え、
前記位置関係調整部は、
選定ポテンシャルウェイポイントと該選定ポテンシャルウェイポイントに隣接する2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうちの一つの隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示すインディケータと、
前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうちの一つの隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、該隣接ポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示すインディケータと、
の2つのインディケータをそれぞれ生成して前記画面上に表示し、前記選定ポテンシャルウェイポイントの仮の位置が前記画面上の操作により移動したとき、前記位置関係算定部により算定されたそれぞれの位置関係により、前記2つのインディケータがそれぞれ示す距離と方位を変化させるインディケータ生成部を備えており、
さらに、前記位置関係調整部による前記選定ポテンシャルウェイポイントの前記仮の位置が調整されたのち、前記画面上の操作により該選定ポテンシャルウェイポイントの位置を前記移動体の航路の経路を構成するウェイポイントとして決定するウェイポイント位置決定部を備える、
航路計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の航路計画装置であって、
前記インディケータ生成部は、
前記選定ポテンシャルウェイポイントに前記配列上隣接し、前記出発地点により近い位置にある第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第1の方位を設定して前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点に該第1の方位を示す第1のインディケータを表示し、
前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントにおける第2の方位を設定して前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に該第2の方位を示す第2のインディケータを表示する、
航路計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載の航路計画装置であって、
前記インディケータ生成部は、
前記選定ポテンシャルウェイポイントに前記配列上隣接し、前記出発地点により近い位置にある第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第1の方位を設定して前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点に該第1の方位を示す第1のインディケータを表示し、
前記選定ポテンシャルウェイポイントに前記配列上隣接し、前記出発地点により遠い位置にある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントにおける第2の方位を設定して前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に該第2の方位を示す第2のインディケータを表示する、
航路計画装置。
【請求項4】
請求項2に記載の航路計画装置であって、
前記インディケータ生成部は、前記選定ポテンシャルウェイポイントの前記仮の位置が移動されると、
前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて前記第1の方位を、
前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて前記第2の方位をそれぞれ変化させる、
航路計画装置。
【請求項5】
請求項3に記載の航路計画装置であって、
前記インディケータ生成部は、前記選定ポテンシャルウェイポイントの前記仮の位置が移動されると、
前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて前記第1の方位を、
前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて前記第2の方位をそれぞれ変化させる、
航路計画装置。
【請求項6】
請求項4のいずれかの請求項に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点とし、該第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線に垂直な方向に目盛りを有する第1の基本スケールを有し、
前記第2のインディケータは、前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点とし、該選定ポテンシャルウェイポイントと前記出発地点により遠い位置にある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線に垂直な方向に目盛りを有する第2の基本スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項7】
請求項5のいずれかの請求項に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点とし、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線に垂直な方向に目盛りを有する第1の基本スケールを有し、
前記第2のインディケータは、前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点とし、前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線に垂直な方向に目盛りを有する第2の基本スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項8】
請求項6に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、さらに、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点とし、該第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長上に目盛りを有する第1の中心軸スケールを有し、
前記第2のインディケータは、さらに、前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点とし、前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長上に目盛りを有する第2の中心軸スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項9】
請求項7に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、さらに、前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点とし、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長上に目盛りを有する第1の中心軸スケールを有し、
前記第2のインディケータは、さらに、前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点とし、前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長上に目盛りを有する第2の中心軸スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項10】
請求項8に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に前記第1の基本スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有し、
前記第2のインディケータは、前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に前記第2の基本スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有する、
航路計画装置。
【請求項11】
請求項9に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、前記選定ポテンシャルウェイポイントを基点に前記第1の基本スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有し、
前記第2のインディケータは、前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に前記第2の基本スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有する、
航路計画装置。
【請求項12】
請求項8に記載の航路計画装置であって、
前記第1の基本スケールは、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線上にあって、該選定ポテンシャルウェイポイントを基点に所定の間隔で表示される目盛りを有し、
前記第2の基本スケールは、前記選定ポテンシャルウェイポイントと前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントとを結ぶ直線上にあって、該第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に所定の間隔で表示される目盛りを有する、
航路計画装置。
【請求項13】
請求項8又は請求項9に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、さらに、前記第1の基本スケールと前記第1の中心軸スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第1の補助スケールを有し、
前記第2のインディケータは、さらに、前記第2の基本スケールと前記第2の中心軸スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第2の補助スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項14】
請求項13に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータは、さらに、前記第1の中心軸スケールと前記第1の補助スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第3の補助スケールを有し、
前記第2のインディケータは、さらに、前記第2の中心軸スケールと前記第2の補助スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第4の補助スケールを有する、
航路計画装置。
【請求項15】
請求項2又は請求項3に記載の航路計画装置であって、
前記第1のインディケータと前記第2のインディケータとは、色データ、色合いデータ、輝度データのうちの1つ以上が互いに異なる、
航路計画装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかの請求項に記載の航路計画装置であって、さらに、
前記移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、
前記位置入力部は、前記チャート情報に基づいて前記画面に表示されるチャート上で画面タッチされた位置に基づいて、前記出発地点、前記目的地点及び前記複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定する、
航路計画装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項15のいずれかの請求項に記載の航路計画装置であって、さらに、
前記移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、
前記位置入力部は、前記チャート情報に基づいて前記画面に表示されるチャート上のカーソルにより、前記出発地点、前記目的地点及び前記複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定する、
航路計画装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項15のいずれかの請求項に記載の航路計画装置であって、さらに、
前記移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、
前記位置入力部は、緯度及び経度を含む数値入力により、前記出発地点、前記目的地点及び前記複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定する、
航路計画装置。
【請求項19】
請求項3に記載の航路計画装置であって、
前記出発地点から前記目的地点に向けて、前記第1の隣接ポテンシャルウェイポイント、前記選定ポテンシャルウェイポイント、及び前記第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの順で配列されている、
航路計画装置。
【請求項20】
請求項16に記載の航路計画装置は、さらに、
前記チャート情報に基づいてチャートを表示し、
前記画面タッチにより特定された前記出発地点、前記目的地点、及び前記複数のポテンシャルウェイポイントを前記チャート上の対応する位置にそれぞれ表示するディスプレイを備える、
航路計画システム。
【請求項21】
移動体の航行の経路を設定する航路計画方法であって、
移動体の航行の出発地点及び目的地点、並びに前記出発地点と前記目的地点との間に配列された複数のポテンシャルウェイポイントを画面上の操作により位置調整可能な状態で該画面上に表示し、
前記複数のポテンシャルウェイポイントのうち位置調整の対象に選定された選定ポテンシャルウェイポイントの仮の位置を画面上の操作により受付け、
前記選定ポテンシャルウェイポイントに隣接するポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示す第1のインディケータと、前記選定ポテンシャルウェイポイントと該選定ポテンシャルウェイポイントに隣接するポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、前記隣接するポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示す第2のインディケータとを生成して前記画面上に表示し、
前記選定ポテンシャルウェイポイントの仮の位置が前記画面上の操作により移動したとき、該選定ポテンシャルウェイポイントと隣接ポテンシャルウェイポイントとの前記位置関係により、前記第1のインディケータと前記第2のインディケータが示す距離と方位をそれぞれ変化させ、
前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する操作を受けて該選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する、
航路計画方法。
【請求項22】
コンピュータに移動体の航行の経路を設定するプログラムを実行させる航路計画プログラムであって、
移動体の航行の出発地点及び目的地点、並びに前記出発地点と前記目的地点との間に配列された複数のポテンシャルウェイポイントを位置調整可能な状態で画面上に表示させ、
前記複数のポテンシャルウェイポイントのうち位置調整の対象に選定された選定ポテンシャルウェイポイントの仮の位置を画面上の操作により受付け、
前記選定ポテンシャルウェイポイントに隣接するポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示す第1のインディケータと、前記選定ポテンシャルウェイポイントと該選定ポテンシャルウェイポイントに隣接するポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて、前記隣接するポテンシャルウェイポイントの位置を基点にした距離と方位を示す第2のインディケータとを生成して前記画面上に表示させ、
前記選定ポテンシャルウェイポイントの仮の位置が前記画面上の操作により移動したとき、前記位置関係により、前記第1のインディケータと前記第2のインディケータが示す距離と方位をそれぞれ変化させ、
前記選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する操作を受けて該選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する、
コンピュータに移動体の航行の経路を設定するプログラムを実行させる航路計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に航路を計画するための航路計画装置及びシステム、並びに航路を計画するための方法、コンピュータに航路計画支援を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子海図表示情報システム(ECDIS:Electronic Chart Display and Information System、以下「ECDIS」という。)は、1又は複数の船舶などの移動体が河川や湖、海洋などの水域を航行している場合に、航行水域の海図とこれらの船舶等の航路情報を表示する。ECDISは、電子海図データをソフトウェア処理して所望の海域の海図を画面(表示画面)に表示する。
【0003】
ECDISは、いわゆるタッチセンサを有するタッチ画面による操作が可能な表示スクリーンが用いられる場合もある。このため、航路はタッチ画面に表示されたチャート上の所望の位置にタッチすることにより設定することができる。船舶等の航行の出発地点(目的地)と航行の目的地点(目的地)とを設定し、その間に「ウェイポイント」と呼ばれる船舶等が通過すべき1以上の地点を決定することにより全体の航路を設定する。航路上の船舶に障害を与えないように、これらの航路は正確に定められていなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-150024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の航路計画システムは、ECDIS装置の画面上でウェイポイントを順次設定して全体の航路を設定している。例えば、特許文献1に示される先行技術では、連続的にすでに設定されたウェイポイントに対して、設定しようとしている現在のウェイポイントに接続することにより航路を順次設定する。
より具体的には、直近に設定された最新のウェイポイントから次のウェイポイントを設定できるように、現在のウェイポイント、すなわちすでに設定済みの先端のウェイポイントの位置にガイドラインのみが表示され、それを参考に次のウェイポイントの位置が決定される。そして、これを繰り返すことで目的地点までをつなぐウェイポイントが1つずつ順次に設定される。
【0006】
ところが、従来の航路計画装置では、次のウェイポイントを見つけるためのガイドラインしか表示されないため最適な航路を得ることが難しいか、或いは設定した経路が必ずしも最適な航路とはいえない場合もある。
【0007】
このため、船舶の航路の設定において、より正確かつ効率的にウェイポイントを設定することができる航路計画装置が必要とされている。本発明は、上述の課題に応え、より正確かつ効率的に経路を設定できる航路計画装置及び航路計画方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の航路計画装置は、上記課題を解決するために、船舶や航空機などの移動体の航行の出発地点及び目的地点、これら両地点の間に位置する複数のポテンシャルウェイポイントの位置とその配列を定める位置入力信号をそれぞれ受信する位置入力部と、これら複数のポテンシャルウェイポイントからポテンシャルウェイポイントを選定する選定信号を受信して選定ポテンシャルウェイポイントを出力するポテンシャルウェイポイント選定部と、出発地点及び目的地点、並びに及び選定ポテンシャルウェイポイントと配列上隣接するポテンシャルウェイポイント又は出発地点若しくは目的地点の間の位置関係を算定する位置関係算定部と、インディケータ生成部とを備えている。
インディケータ生成部は、上記位置関係に基づいて、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と方位を示す第1のインディケータと、選定ポテンシャルウェイポイントに隣接する配列にある、第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと該第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとは前記選定ポテンシャルウェイポイントに対して配列が前または後ろにある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうち、該第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と方位を示す第2のインディケータをそれぞれ出力する。ここでは、ウェイポイントを決定する前に選定したウェイポイントをポテンシャルウェイポイント(候補ウェイポイント)ということにする。
【0009】
本発明の航路計画装置は、航行の出発地点と目的地点との間の全航路、またはその一部の区間について、あらかじめ複数のポテンシャルウェイポイントを選定する。そして、複数のポテンシャルウェイポイントのうちのいずれかを選定してこれを移動させ、他のウェイポイントの関係を確認しながら最終的なウェイポイントを決定する。
【0010】
位置入力部は、複数のポテンシャルウェイポイントの位置の入力後に、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を変更する位置変更信号を受信して位置関係算定部に出力し、インディケータ生成部は、位置関係算定部で算出される位置関係に基づいて、第1のインディケータの位置と第1の方位、及び第2のインディケータの第2の方位を変更する。
【0011】
そして、ウェイポイント位置決定部は、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する信号を受信して該ポテンシャルウェイポイントの位置を決定し、航路のポテンシャルウェイポイントとなるウェイポイントとする。インディケータ生成部は、選定ポテンシャルウェイポイントと第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第1のインディケータの第1の方位を、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントと選定ポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて第2のインディケータの第2の方位をそれぞれ算定する。
【0012】
上記の第1のインディケータは、ポテンシャルウェイポイント選定部によって選定された選定ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と方位を示すものであり、第2のインディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントに隣接する配列にある、第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとこれとは選定ポテンシャルウェイポイントに対して配列が前または後ろにある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうち、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と方位を示すものである。
【0013】
第1のインディケータは、選定されたポテンシャルウェイポイントを基点としたその周辺領域の各地点までの距離を示すスケールを有する。このうち基本スケールは、選定ポテンシャルウェイポイントに配列上隣接する2つのポテンシャルウェイポイントのうちの1つ(出発地点又は目的地点である場合にはそのいずれか)と選定ポテンシャルウェイポイントとの位置関係によって決まる直線上の距離を示す。例えば、配列上より目的地点に近い側にある第1の隣接ポテンシャルウェイポイントから選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長線上の距離を示す目盛りを有するスケールが想定される。
【0014】
第1のインディケータは、上記基点から上記隣接ポテンシャルウェイポイントから選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長線に垂直な直線上に目盛りを有する第1の基本スケールと、左記延長線上に目盛りを有する第1の中心軸スケールとを有する。第2のインディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントから見て配列上先にある第2のポテンシャルウェイポイントを基点とし、同様の第2の基本スケールと第2の中心軸スケールを有する。
【0015】
また、第1のインディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントを基点に第1の中心軸スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有し、第2のインディケータは、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に第2の中心軸スケールの方位を含む1又は複数の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを有するようにしてもよい。
【0016】
第1の基本スケールは、第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと前記選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線上にあって、この選定ポテンシャルウェイポイントを基点に所定の間隔で表示される目盛りを有し、第2の基本スケールは選定ポテンシャルウェイポイントと第2の隣接ポテンシャルウェイポイントとを結ぶ直線上にあって、この第2の隣接ポテンシャルウェイポイントを基点に所定の間隔で表示される目盛りを有するようにしてもよい。
【0017】
第1のインディケータは、さらに、第1の基本スケールと第1の中心軸スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第1の補助スケールを有し、第2のインディケータは、さらに、第2の基本スケールと第2の中心軸スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第2の補助スケールを有するようにしてもよい。
【0018】
さらに、第1のインディケータは、第1の中心軸スケールと第1の補助スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第3の補助スケールを有し、第2のインディケータは、第2の中心軸スケールと第2の補助スケールがなす角を按分する方向の距離を示す第4の補助スケールを有するようにすることもできる。
【0019】
第1のインディケータと第2のインディケータとは、色データ、色合いデータ、輝度データのうちの1つ以上が互いに異なるようにしてもよい。
【0020】
本発明の航路計画装置は、さらに、移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、位置入力部は、チャート情報に基づいて表示画面に表示されるチャート上で画面タッチされた位置に基づいて、出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定するように構成してもよい。
【0021】
本発明の航路計画装置は、さらに、移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、位置入力部は、チャート情報に基づいて表示画面に表示されるチャート上のカーソルにより、出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定するようにすることもできる。
【0022】
本発明の航路計画装置は、さらに、移動体の航行の計画領域の一部または全部を含む領域のチャート情報を受信するチャート情報受信部を備え、位置入力部は、緯度及び経度を含む数値入力により、出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントのうちいずれか又は全部の位置をそれぞれ特定するようにしてもよい。
【0023】
ここで、第1の隣接ポテンシャルウェイポイント、ポテンシャルウェイポイント、及び第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの順は、出発地点から目的地点に向けて、或いはその逆に、いずれであってもよい。
【0024】
本発明の航路計画システムは、航路計画装置に加え、チャートを表示する表示画面を備え、表示画面上で特定された出発地点、目的地点、及び複数のポテンシャルウェイポイントの位置を位置入力部に出力し、表示画面上で選定された前記ウェイポイントをポテンシャルウェイポイント選定部に出力する、ディスプレイを備える。
【0025】
本発明はまた、航路計画を行う方法も提供するものであり、移動体の航行の経路を設定する航路計画方法であって、移動体の航行の出発地点及び目的地点、並びに出発地点と目的地点との間に位置する複数のポテンシャルウェイポイントの位置をそれぞれ入力し、出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントの間の位置関係を算定し、複数のポテンシャルウェイポイントのうち、1のポテンシャルウェイポイントを選定し、第1のインディケータと第2のインディケータを表示するデータを表示画面に出力する。
【0026】
第1のインディケータは、ポテンシャルウェイポイント選定部によって選定された選定ポテンシャルウェイポイントと第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第1の方位を算定しポテンシャルウェイポイント選定部の位置を基準にした距離と第1の方位を示す。また、第2のインディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントに隣接する配列にある、第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとこの第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとは選定ポテンシャルウェイポイントに対して配列が前または後ろにある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうち第2の隣接ポテンシャルウェイポイントと選定ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第2の方位を算定し、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と第2の方位を示す。
【0027】
そして、選定ポテンシャルウェイポイントの位置の変更に伴って、第1のインディケータの位置と第1の方位、及び第2のインディケータの第2の方位を変更し、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する信号を受信してウェイポイントの位置を決定する。
【0028】
本発明のコンピュータに移動体の航行の経路を設定するプログラムを実行させる航路計画プログラムは、移動体の航行の出発地点及び目的地点、並びに出発地点と目的地点との間に位置する複数のポテンシャルウェイポイントの位置をそれぞれ入力するステップと、出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントの間の位置関係を算定し、複数のポテンシャルウェイポイントのうち、1又は複数のポテンシャルウェイポイントを選定する信号を入力するステップと、ポテンシャルウェイポイント選定部によって選定された選定ポテンシャルウェイポイントと第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第1の方位を算定し、ポテンシャルウェイポイント選定部の位置を基準にした距離と第1の方位を示す第1のインディケータと、選定ポテンシャルウェイポイントに隣接する配列にある、第1の隣接ポテンシャルウェイポイントと第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとは選定ポテンシャルウェイポイントに対して配列が前または後ろにある第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの2つの隣接ポテンシャルウェイポイントのうち第2の隣接ポテンシャルウェイポイントと選定ポテンシャルウェイポイントとの位置関係に基づいて第2の方位を算定し、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの位置を基準にした距離と第2の方位を示す第2のインディケータをそれぞれ表示画面に表示する信号を生成し出力するステップと、選定ポテンシャルウェイポイントの位置の変更に伴って、第1のインディケータの位置と第1の方位、及び第2のインディケータの第2の方位を変更するステップと、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定する信号を受信してウェイポイントの位置を決定するステップとを含んでいる。
【0029】
本発明は、海域内の船舶又は航空路若しくは航空路を航行する航空機のためのより適した航行経路を決定するための航路計画装置を提案する。そのために、航路計画装置は、航行の出発地点と目的地点、及び出発地点と目的地点との間の複数のポテンシャルウェイポイントとを取得する。複数のポテンシャルウェイポイントは、ランダムな順序又は連続した順序の少なくとも1つ取得される。
【0030】
複数のポテンシャルウェイポイントは、要件に基づいてリアルタイムで変更可能な候補位置に対応する。航路計画装置は、複数のポテンシャルウェイポイント間の位置関係を決定する。また、航路計画装置は、複数のポテンシャルウェイポイントの候補位置を変更又は調整することにより、複数のポテンシャルウェイポイントのうちの1つ以上のポテンシャルウェイポイントを介して出発地点と目的地点とを接続して最適な、或いはより最適に近い航路を決定する最適な航路を決定する。
複数のポテンシャルウェイポイント間の位置関係に基づいて、航路を最適化するために、複数のポテンシャルウェイポイントの1つ以上のウェイポイントを調整又は削除することができる。なお、航行の出発地点、目的地点及び複数のポテンシャルウェイポイントのうちの1つ以上は、あらかじめ設定された通過地点、すなわち航路上の任意の地点(寄港地)に対応していてもよく、必ずしも経路基点及び経路目的地点に対応していなくてもよい。上記の地点は、いうまでもなく、海域上のポイントであってよい。
【0031】
上記はあくまでも例示的なものであり、いかなる意味においても限定的なものではない。
【発明の効果】
【0032】
本発明の航路計画装置等によれば、船舶のほか航空機なども含め様々な移動体の航路を計画するための装置とシステム及び方法を提供することができ、これにより開始地から目的地までの経路をより正確かつ効率的に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本主題の図示された実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解することができる。ここで、同様の部分は全体を通して同様の数字で示される。以下の説明は、1例としてのみ意図されており、本明細書に請求される主題と一致するデバイス、システム、方法、及びプログラムの選定の選定された実施形態を単に例示するものである。
【0034】
図1】本発明の一実施形態による、航路計画システムの作業環境を例示的に示す概略図である。
図2図1に示す航路計画システムを示すブロック図である。
図3】航行出発地点、航行目的地、及び複数のポテンシャルウェイポイント(位置設定のために操作中のウェイポイント)をチャートに入力するためのユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図4】複数のポテンシャルウェイポイントの各位置を変更するユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図5】第1のインディケータデータ及び第2のインディケータデータのユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図6】現在のポテンシャルウェイポイントの位置が変更されたときの、第1のインディケータに関連付けられた配向表示及び第2のインディケータに関連付けられた配向表示における変化を表示するユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図7】所定の方向に所定間隔で配置された1本以上のライン上に複数のドットが配置されたインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図8】ポテンシャルウェイポイントの周囲の1つ以上の方向に所定の間隔で同心円状に配置された複数のドットを含むインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図9】ポテンシャルウェイポイントの周囲の所定の方向に所定の間隔で同心円の半円のみを含むインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図10】基本スケールと中心軸スケールからなるインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図11】基本スケールと中心軸スケールと、さらに両スケールのなす角を按分する45°の方向にも補助スケールを有するインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図12】基本スケールと補助スケールがなす角をさらに按分する方向にも補助スケールを有するインディケータ表示フォーマットを示す図である。
図13図12に示す複数の補助線表示フォーマットを使用して第1のインディケータと第2のインディケータが表示されるユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図14】第1のインディケータと第2のインディケータが異なる色で表されるユーザインターフェース(タッチスクリーン)を示す図である。
図15】例示的な実施形態による、航路計画システムによって実行される方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここでは、装置を例に取り上げて説明する。本明細書に提示される主題の本質又は範囲から逸脱することなく、他の例示的な実施形態又は特徴をさらに利用し、他の変更を行ってもよい。以下の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面を参照する。
【0036】
本発明の航路計画装置によれば、新しいポテンシャルウェイポイントは、以前に設定されたウェイポイントとの位置関係に基づいて決定されてもよいが、複数のポテンシャルウェイポイントの暫定的な位置は、ランダムな順序又は順次いずれかで設定され、それをベースに各ポテンシャルウェイポイントの位置を調整して最適な、又はより最適に近い航路を設定できる。ウェイポイントを決定して航路を設定する前に、一時的に選定されたポテンシャルウェイポイントを「選定ポテンシャルウェイポイント」ということにする。
【0037】
なお、本発明の航路計画装置は、河川、湖、海洋などの水域に加え、空域も含む。つまり、本一実施形態では、航路計画装置は航空機などの空中を移動する移動体も適用可能である。ここでは、船舶を例に取り上げて説明するので、以下移動体は「船舶」、そして船舶が移動する領域は「海域」という。
【0038】
図1は、例示的な実施形態による、航路計画装置101に対し操作を行う作業環境100aを例示的に示す概略図である。本一実施形態では、航路計画装置101は海域を航行する船舶に設置される。
【0039】
本発明の航路計画装置は、電子チャート表示及び情報システム(ECDIS)と通信可能に結合されるが、このECDISは航路を計画するために必要なチャートを表示するタッチ入力タイプの表示画面を備えており、ユーザデバイス103として用いてもよい。あるいは、ECDIS装置本体と離れ、無線又は有線通信によってネットワークを介してデータの授受が可能な端末をユーザデバイス103として用いてもよい。
【0040】
船舶に設置された航路計画装置101は、海域内の最適な航路を決定するために使用することができる。最適化された航行経路は航行の安全性を維持しつつ、海域内の航行経路上の船舶の移動遅延を最小にする、或いは航行に必要な燃費を節約する。
【0041】
航路計画装置101は、ユーザ105から、或いは図示しない外部のコンピュータから、船舶の開始地の位置を示す航行の出発地点、船舶の目的地の位置を示す目的地点、及び出発地点と目的地点との間の複数のポテンシャルウェイポイントの候補となるポテンシャルウェイポイントを含み、そのポテンシャルウェイポイントの位置は出発地点から始まるランダムな順序又は連続した順序で設定入力される。いうまでもないが、船舶なので港湾を出発地点、目的地点というのが通常であるが、これらの海域にあるポイントも含め、地点ということにする。
【0042】
複数のポテンシャルウェイポイントは、海域に設定された2つのポテンシャルウェイポイントの間で決定することもできる。さらに、新たなウェイポイントの位置を正確に決定するために、航路計画装置101は、新たなウェイポイントと予め設定されたウェイポイントとの位置関係を決定し、その位置関係を表示する。
【0043】
海域のマップである海図(陸地を含む場合もある。)を示すチャート上において位置入力された複数のポテンシャルウェイポイントが航行の出発地点及び目的地点とともに表示画面に表示される。複数のポテンシャルウェイポイントのそれぞれの位置は暫定的に設定されており選択、或いは画面上で移動が可能である。複数のポテンシャルウェイポイントのそれぞれのウェイポイントの仮の位置は、単純なドラッグ・アンド・ドロップ又は表示画面上の任意のウェイポイントを前後に移動することによって航路を最適化するために移動又は調整することができる。
【0044】
当該各ポテンシャルウェイポイントの位置は、経度若しくは緯度、又はそれらの双方、方位データ又はGPS座標、出発地点からの距離などの位置データにより選定されてもよい。航路計画装置101は、ネットワーク107を介してユーザデバイス103及びデータベース109と通信可能に結合される。
【0045】
ユーザデバイス103には、アプリケーション103aがインストールされており、アプリケーション103aは、ユーザデバイス103を操作するユーザ105に対して航行に関する異なる情報を表示する。ユーザデバイス103は、スマートフォン、ポータブルコンピュータ、表示画面を備えた任意のユーザアクセス可能な装置であってよい。
【0046】
本一実施形態例では、ユーザデバイス103はECDISを含むことができる。ユーザデバイス103は、アプリケーション103aを用いて、海図、海流等の異なる航行情報をユーザデバイス103の表示画面に表示する。本一実施形態では、ユーザデバイス103は、タッチスクリーンで構成されてもよい。
【0047】
航路計画装置101は、複数のポテンシャルウェイポイントをランダムな順序で選択する複数のポテンシャルウェイポイントをユーザ105に選択させる。複数のポテンシャルウェイポイントは、最適化された航路を決定するためにリアルタイムで要求に基づいて調整又は削除することができる候補位置に対応する。これにより、航路計画装置101は、ユーザ105が複数のポテンシャルウェイポイントのそれぞれのウェイポイントの位置を動的に調整して最適な航路を決定することができる。
【0048】
各ポテンシャルウェイポイントの位置は、航路計画装置101のユーザデバイス103のユーザインターフェース上でユーザ105によって調整される。或いは、それらの位置は、ネットワーク107を介して航路計画装置101に接続されたユーザデバイス103を使用して、ユーザ105によって遠隔的に調整されてもよい。例えば、チャートを表示するタッチスクリーンを備えたユーザデバイス103では、タッチスクリーンを用いてチャート上の複数のポテンシャルウェイポイントのそれぞれのウェイポイントの位置をドラッグ・アンド・ドロップすることにより、複数のポテンシャルウェイポイントのそれぞれのウェイポイントの位置を調整することができる。
【0049】
次に、航路計画装置101のより詳細な構成と各部の機能について、図2を参照して説明する。図2は、例示的な実施形態による、図1に例示的に示される航路計画装置101の構成をブロック図により示している。
【0050】
航路計画装置101は、記憶された命令を実行するように構成された処理回路113と、処理回路113によって実行可能な命令を記憶するメモリ(記憶装置)111とを含む。メモリ111は、さらに、航行に必要なチャートを表示するためのチャートデータを格納する。チャートのデータには、海域のマップやこれに付随する潮流情報、さらには他の航行情報を含むことができる。メモリ111は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又は任意の他の適切なメモリシステムを含むことができる。
【0051】
処理回路113は、バス115を介してメモリ111に接続されている。航路計画装置101の処理回路113は、一実施形態では、位置入力部117と、位置関係算定部119と、インディケータ生成部121と、各種のインディケータのフォーマットが保存されたインディケータフォーマット部123と、航路127を出力する経路設定部125とを備える。
【0052】
さらに、航路計画装置101は表示画面129を備えており、この表示画面129はチャートデータの少なくとも一部を表示するように構成されている。船舶又は航空機の航路のための出発地点及び目的地点、および両地点との間にある複数のポテンシャルウェイポイントをチャート上で仮に設定する選定が必要であるが、これは位置入力部117が担う。
【0053】
位置入力部117は、船舶又は航空機の航路のための出発地点及び目的地点のデータを受信する。これは表示画面129がタッチ入力機能を有しており、タッチスクリーンからタッチ入力されることもあれば、緯度経度により数値入力され、或いは港湾の名称等で入力されることもある。本一実施形態の表示画面129は、さらに、出発地点と目的地点との間の複数のポテンシャルウェイポイントがタッチ入力により入力される。以下、表示画面129は、適宜にタッチスクリーン129ということもある。表示画面129は、航行出発地点、航行目的地点、複数の経由地等のユーザ105から取得したデータを、バス115を介して処理回路113に出力する。
【0054】
本一実施形態とは別の実施形態として、ユーザ105はユーザデバイス103を使用して、ユーザデバイス103のタッチスクリーンに表示されたチャート上の出発地点、目的地点、及び複数のポテンシャルウェイポイントの位置をリモートで指定し設定することもできる。
【0055】
ところで、設定した複数のポテンシャルウェイポイントをより最適な位置にするためには、着目するために選定した1のポテンシャルウェイポイントのほかに、その配列の前後に隣接する別のポテンシャルウェイポイントの位置関係を把握して各ウェイポイントを設定した方がよい場合が少なくない。各ポテンシャルウェイポイントをそれぞれ順次出発地点から順次最適と思われる位置に配置したとしても、航路全体を見たときに必ずしも最適とは言えない場合もあるからである。
【0056】
そのために、航路計画装置101は、位置関係算定部119を用いて構成され、位置関係算定部119は、複数のポテンシャルウェイポイント間の位置関係を判定するように構成されている。位置関係は、複数のポテンシャルウェイポイントの位置データに基づいて決定され、位置データは、複数のポテンシャルウェイポイントの各ウェイポイントに関連付けられた経度及び緯度情報を含み得る。
【0057】
位置入力部117は、上記の設定された複数のポテンシャルウェイポイントのうち、ユーザが選定した任意のポテンシャルウェイポイントが選定される、例えば、チャートが表示されている表示画面129の該当するポテンシャルウェイポイントがタッチされることでポテンシャルウェイポイントの選定を受け付ける。
本一実施形態についてもう少し詳しく説明すると、位置入力部117は、複数のポテンシャルウェイポイントのうち1又は複数のポテンシャルウェイポイントを決める機能も備えている(従って、図2において「ポテンシャルウェイポイント選定部」は図示を省略する。)。タッチして位置入力された複数のポテンシャルウェイポイントの中で選定したい、すなわち航路決定のために移動させたいポテンシャルウェイポイントをさらに選定モードでタッチすることで選定信号が送出され活性化させることができ、表示画面上129で自由に移動させることができるようになる。
【0058】
航路計画装置101は、さらにインディケータ生成部121を備えており、インディケータ生成部121は、複数のポテンシャルウェイポイントの位置関係に基づいて、複数のポテンシャルウェイポイントのうちの少なくとも1つのポテンシャルウェイポイントに対応する少なくとも1つのインディケータを決定する機能を有する。インディケータ生成部121は、選定ポテンシャルウェイポイントとこれに対応するインディケータを表示画面129に出力し表示させる。
【0059】
このインディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントに対応するインディケータであり、第1のインディケータということにする。第1のインディケータは、選定されたポテンシャルウェイポイントを基点としたその周辺領域の各地点までの距離を示すスケールを有する。このうち基本スケールは、選定ポテンシャルウェイポイントに配列上隣接する2つのポテンシャルウェイポイントのうちの1つ(出発地点又は目的地点である場合にはそのいずれか)と選定ポテンシャルウェイポイントとの位置関係によって決まる直線上の距離を示す。例えば、単純に前者のポテンシャルウェイポイントから選定ポテンシャルウェイポイントを結ぶ直線の延長線上の距離が想定される。
【0060】
ユーザは、通信ネットワークを介して接続されるユーザデバイス103上で、或いは、ECDIS上の表示画面129上に表示されるチャートと自らが入力したポテンシャルウェイポイント及びそこから選定したポテンシャルウェイポイントの位置を移動させ、両インディケータと見ながら選定ポテンシャルウェイポイントの位置を決定することができる。なお、選定ポテンシャルウェイポイントを航路の一部をなすウェイポイントとして決定するのも、表示画面129上で決定モードとしてタッチされることでその旨を指示する信号が位置入力部117に入力されることでなされる(従って、図示は省略する。)。
決定したポテンシャルウェイポイントの位置は航路設定部125により航路のウェイポイントとして決定される。すべてのポテンシャルウェイポイントがウェイポイントとして決定されると、航路127として最終的に決定され出力される。
【0061】
続いて図3から図6の各図を参照して、インディケータ生成部121の機能とそれによる本実施例における表示画面129に表示されるインディケータについてさらに詳細に説明する。
【0062】
図3に示されるように、ここでは、Liverpoolを出発地点201とし、Belfastを目的地点203として航行することを前提に、この航行の航路を計画する。まず、航路計画装置101は両地点を含むチャート情報を入手し、表示画面129にチャートと設定した両地点201、203のチャート上の位置が表示される。
【0063】
ユーザは、チャートを参照しながら、出発地点201とし目的地点203の間にポテンシャルウェイポイントを設定する。この設定は、すでに説明したように表示画面129へのタッチやカーソル、直接の数値入力など種々の方法を選択しうるが、ここではタッチ方式を例に説明する。本実施形態では、5つのポテンシャルウェイポイント205a-205eが設定されている。なお、ここでは航路計画のためにポテンシャルウェイポイントを入力するとしたが、メモリ111に過去の設定情報を記憶しておき、それを呼び出すようにしてもよい。
【0064】
いま、これらのポテンシャルウェイポイントのうち、2番目の配置されたポテンシャルウェイポイント205bが選定されたとする。インディケータ生成部121は、選定ポテンシャルウェイポイント205bに対してここを基点とする第1のインディケータを生成する。また、配列上隣接する2つのポテンシャルウェイポイント205aと205cのうち、1のポテンシャルウェイポイント205c(以下、適宜「隣接ポテンシャルウェイポイント」という。)に対してこれを基点とする第2のインディケータを生成する。
【0065】
2つの隣接ポテンシャルウェイポイント205a、205cのどちらに第2のインディケータを生成してもよいが、ここでは、出発地点に近い側にある隣接ポテンシャルウェイポイント(第1の隣接ポテンシャルウェイポイントという。)は固定し、選定ポテンシャルウェイポイントに加え、これを挟んで第1の隣接ポテンシャルウェイポイントとは反対の位置に配列される第2の隣接ポテンシャルウェイポイントの状態を見るものとする。
【0066】
図4は、選定ポテンシャルウェイポイントの位置を図中右上に移動させた様子を示している。これにより、第1のポテンシャルウェイポイント205aから航行してきた船舶は、選定ポテンシャルウェイポイント205bで針路を変更することになる。さらに、針路を変更した船舶は第2のポテンシャルウェイポイント205cに向けて航行する。第2のポテンシャルウェイポイント205cに到達した船舶は、それに配列上隣接するポテンシャルウェイポイント205dに針路を変えることになるが、針路の変更度合いが上記の選定ポテンシャルウェイポイント205bを移動させたことによる影響を受ける。このように1つのポテンシャルウェイポイントの移動はその先の航路にまで影響を及ぼす。
【0067】
上記に対応しより広く航路計画の状況を把握できるように、本一実施形態では、インディケータ生成部121は、航路計画の設定上、選定ポテンシャルウェイポイント205bの進行先にある隣接ポテンシャルウェイポイント(これが、第2の隣接ポテンシャルウェイポイントになる。)を基点とする第2のインディケータを生成する。
【0068】
図5は、上述の機能に基づいてインディケータ生成部121が生成した第1のインディケータ207と第1のインディケータ209が表示画面129上に表示されている様子を示している。図2に戻って、インディケータ生成部121は、インディケータフォーマット部123に備えられた種々のフォーマットのインディケータから指定されたフォーマットを選択し、これに基づいて上記インディケータを生成する。ここでは、ドットタイプのインディケータの例が示される。なお、ドットタイプは線表示に比べ他の線との交わりが生じないというメリットがある。
【0069】
図6は、図5の示したチャート上に表示された第1のインディケータ207と第2のインディケータ209の説明をするために、部分的に拡大した図である。選定ポテンシャルウェイポイント205bは、タッチして自由に移動をさせることができる。また、移動前後と移動中にもその位置を基点とした第1のインディケータ207が表示される。
【0070】
この第1のインディケータ207はドットタイプであり、ポテンシャルウェイポイント205aから選定ポテンシャルウェイポイント205bを結ぶ直線211aの延長線上に基点から等間隔で配列されたドットからなる基本スケールを有する。基本スケールを中心軸に左右には、同じように等間隔で配列されたドットを有する。
【0071】
本一実施形態の航路計画装置では、さらに、選定ポテンシャルウェイポイント205bの配列上一つ先にある第2のポテンシャルウェイポイント205cにもそれを基点とする第2のインディケータ209が生成され、表示画面129上に表示される。なお、本一実施形態では、第2のインディケータ209も基点とする位置と方向が異なるだけでインディケータのタイプは第1のインディケータ207と同じドットタイプである。
【0072】
第2のインディケータ209は基点のみならずその方向も第1のインディケータ207と異なる。第2のインディケータ209は、選定ポテンシャルウェイポイント205bと第2のポテンシャルウェイポイント205cを結ぶ直線の延長線上にその基本スケールが表示される。第2のインディケータも選定ポテンシャルウェイポイント205bの位置がタッチにより移動することによりその方向を変化させる。
【0073】
本一実施形態では、第1のインディケータ207と第2のインディケータ209はともにドットタイプであるが、双方或いは一方のタイプを図7から図12に示すタイプにし、互いに異なったものとすることもできる。これらについては後述する。また、色データ、色合いデータ、輝度データのうちの1つ以上が互いに異なるようにしてもよい。
【0074】
インディケータ生成部121は、経路設定部125と通信可能に接続されており、経路設定部125は、出発地点と、複数のポテンシャルウェイポイントのうちの1つ以上のポテンシャルウェイポイントと、目的地点とを接続して航路を決定するように構成されている。経路設定部125は、インディケータ生成部121が生成したインディケータを用いて、最適な航路127を決定するために複数のポテンシャルウェイポイントのうちのどのウェイポイントを接続すべきかを決定する。
【0075】
最適化航路は、画面129に表示される。別の実施形態では、最適化された航路をユーザデバイス103に表示することができる。この場合、経路設定部125は、ECDIS等のユーザデバイス103とネットワーク107を介して直接通信を行い、最適な航路127を決定する。
【0076】
本一実施形態では、インディケータは、選定ポテンシャルウェイポイント205bと、複数のポテンシャルウェイポイントのうちの1つ以上の次のポテンシャルウェイポイント205a、205cのうちの少なくとも1つのウェイポイントとの間の位置関係を示すために使用される。
【0077】
以上説明した本一実施形態では、あくまでも複数あるうちのポテンシャルウェイポイントのうちの1つを選定してこれを移動させたときに2つのインディケータが生成され表示されることを示したが、選定されるポテンシャルウェイポイントは同時にタッチ入力が可能であれば複数であってもよい。この場合、選定された各ポテンシャルウェイポイントを基点とするインディケータが生成、表示され、さらに各選定ポテンシャルウェイポイントに配列上隣接するポテンシャルウェイポイントも相互の位置関係に基づいて算出される方位の基本スケールを有するインディケータがそれぞれ生成、表示される。複数のポテンシャルウェイポイントの相互の位置関係に基づくインディケータが複数表示されそれを見て航路計画を立てることができるので、より最適な航路を設定することができる。
【0078】
ところで、処理回路113は、インディケータフォーマット部123に保存されるいくつかの表示タイプ(フォーマット)のインディケータ表示フォーマットから適宜に選択することができる。すでに、ドットタイプについてはその機能とメリットについて説明をした。
【0079】
まず、図7は、図6に示すドットタイプですでに説明した通りである。図7は、一実施形態による、所定の方向に所定の間隔で配置された1つ以上のライン上に配置された複数のドットを有するインディケータ表示フォーマットにより表示される。ここで、所定の間隔及び方向は、複数のドット間の分離度を示す角度であってもよい。また、中心軸となる基本スケールを有し、その両側に広がる扇型に配置されたドットを有するが、その扇型の広がり具合は人に設定できる。分離の程度は予め決定されてもよく、又はリアルタイムで動的に構成されてもよい。
【0080】
他のインディケータ表示フォーマットとして、図7に示されるインディケータと異なるタイプを図8から図12にそれぞれに示す。
【0081】
図8は、ポテンシャルウェイポイントの周囲の1つ以上の方向に所定の間隔で同心円状に配置されたラインに複数のドットを含むインディケータ表示フォーマットを示す。よい。図8のタイプは、複数のドットが、選定ポテンシャルウェイポイント、又は配列上隣接する第2のポテンシャルウェイポイントのいずれかの周囲の同心円状の半円上に配置されることを除いて、図7のタイプと同様である。図8の表示形式は、図7の表示形式と比較して、ウェイポイントからのより正確な距離を決定するために使用され得る。
【0082】
図9に示すインディケータ表示フォーマットは、ウェイポイントの周りの所定の方向に所定の間隔で同心円の半円を含むタイプのインディケータ表示フォーマットを示す。
【0083】
図10に示すインディケータ表示フォーマットは、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eからの距離を示す目盛りを有する1つ以上の直線スケールを含むインディケータ表示フォーマットを示している。このインディケータは、所定の目盛りを有する基本スケール301とこれに直交するように配置された中心軸スケール303を有しており、両スケール301、303の接続する位置が基点となる。
【0084】
図6に戻って、基本スケール301は、例えば上述した選定ポテンシャルウェイポイント205bの位置に配置される場合には、その位置を基点とし、第1のポテンシャルウェイポイント205aと選定ポテンシャルウェイポイント205bを結ぶ直線に垂直に配置される。このように配置するのは、選定ポテンシャルウェイポイント205bの位置を移動させてウェイポイントを決定する際に、航路に垂直な方向にある陸地や灯台などの目印となるランドマークとの距離を視覚的に把握することができるようにするためである。図6を例にとると、マン島先端にある灯台(図示省略)との距離を測り、航路の位置を確認するためである。
【0085】
再び図10に戻って、中心軸スケール303は、上記直線の延長線上に重ねて配置されることになる。これにより、上記の位置確認と同時に、予め配置した第2のポテンシャルウェイポイント205cの選定ポテンシャルウェイポイント205bに対する方位を視覚的に把握することが容易になる。
【0086】
図11は、図10に示すインディケータ表示フォーマットにさらに、基本スケール301と中心軸スケール303がなす角度を按分する方向にさらに別の補助スケール305a、305bを付加したものである。これにより、上述の予め配置した第2のポテンシャルウェイポイント205cの選定ポテンシャルウェイポイントに対する方位をより正確に把握することができる。さらに、選定ポテンシャルウェイポイント205bから第2のポテンシャルウェイポイント205cに向かう方向に補助スケールがあることで、距離もより把握しやすくなる。
【0087】
図12は、図11に示すインディケータ表示フォーマットにさらに中心軸スケール303と補助スケール305a、305bの間に補助スケール307a、307bをそれぞれ設けた例である。
【0088】
図13は、上述した図12に示すインディケータ表示フォーマットを用いて、選定ポテンシャルウェイポイント205bの位置に第1のインディケータ207、第2のポテンシャルウェイポイント205cの位置に第2のインディケータ209をそれぞれ表示させた一実施形態を示している。
【0089】
すでに説明したように、本発明の航路計画装置が表示する、第1のインディケータ207、第2のインディケータ209が各ポテンシャルウェイポイント205b、205cの位置にそれぞれ同時に表示をされる。そして、選定ポテンシャルウェイポイント205bの位置を移動させると、第1のインディケータ207画素の位置と方位を変えるとともに、第2のインディケータ209も同時にその方位を変えるので、船舶の計画航路近傍の陸地などとの位置関係を把握し、さらにより広い範囲で航路を見ることができるので、最適な航路又はこれに近い航路を計画しやすくなる。
【0090】
図14は、図6に示したドットタイプのインディケータ表示フォーマットによる表示を示している。但し、ここに示す本一実施形態では、第1のインディケータ207と第2のインディケータ209が異なるシェードデータを使用して異なるシェードで表示されており、第2のインディケータ209は太字で示されている。第1のインディケータ207の周囲の複数の黒色のドットは、明るい色の複数のドットで示される。第1のインディケータ207と第2のインディケータ209とを異なる階調で表すことにより、ユーザ105は、両インディケータを容易に区別することができる。
【0091】
なお、ここではタッチスクリーン129を備えたユーザインタフェース400はチャートを表示し、どう表示画面から各ポテンシャルウェイポイント205a―205dの位置入力が行われる。これにより、第1のインディケータ207と第2のインディケータ209がそれぞれ上述の如く表示される。そして、選定ポテンシャルウェイポイント205bの選定と位置移動もタッチ入力により行われ、これにより、第1のインディケータ207と第2のインディケータ209がともにユーザインタフェース400上で移動する。
【0092】
他の例示的な実施形として、第1のインディケータ207と第2のインディケータ209を、カラーデータと輝度データのうちの1つ以上において互いに異なるようにしてもよい。
【0093】
図15は、本一実施形態による航路計画装置101によって実行される航路計画方法500のステップを示すフローチャートである。
【0094】
本方法500は、ステップ501で開始する。ステップ503において、船舶又は航空機の航路について、出発地点201及び目的地点203を受信する。出発地点201及び目的地点203は、ユーザ105により画面129を介して入力され、入力された位置データは、位置入力部117により受信される。
【0095】
出発地点201及び目的地点203は、ユーザ105が選定の位置にタッチしたり、カーソルを移動させたり、画面129のタッチスクリーン画面パネルに表示された航行マップに数値データを入力することによって指定することができる。また、ユーザデバイス103を介して位置データを入力してもよい。
【0096】
ステップ505では、出発地点201と目的地点203との間の複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eを位置入力部117が受信する。複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eは、最適化された航路を決定するためにリアルタイムで変更又は調整され得る候補位置に対応し得る。なお、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eは、ユーザ105によってランダムに選択されてもよい。
【0097】
別の実施形態では、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eは、ユーザ105によって順次に選択され得る。例えば、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eは、ユーザ105が選定の位置にタッチしたり、カーソルを移動したり、表示画面129のタッチスクリーン画面に表示される航路マップ(又はグラフデータ)に数値データを入力したりすることによって指定することができる。また、ユーザデバイス103を介して位置データを入力してもよい。
【0098】
航路は、複数のポテンシャルウェイポイント205b~205fのうちの1つ以上のウェイポイントを介して出発地点201を目的地点203に接続することにより決定されてもよい。
【0099】
ステップ507では、位置関係算定部119により、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eの位置データに基づいて位置関係を算出する。位置データは、複数のポテンシャルウェイポイントの経度及び緯度情報としてもよいし、相対的に位置を示すデータであってもよい。複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eの1つ以上のウェイポイント間の決定された位置関係は、チャート上に示されてもよく、示された位置関係は、ユーザ105が最適化された航行ルートを決定するために次のポテンシャルウェイポイントを選択することを可能にする。
【0100】
ステップ509において、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eのうちの少なくとも1つのポテンシャルウェイポイントに対応する少なくとも1つのインディが、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eの間の位置関係に基づいて生成されてもよい。
【0101】
インディケータは、選定ポテンシャルウェイポイントに対応する第1のインディケータ207を含み、第1のインディケータ207は、選定ポテンシャルウェイポイントを基点としそこからの距離と方位を示すスケールを有する。第1のインディケータは、ウェイポイントを決定していく過程で配列上、進行する前方に表示されるのがよい。
【0102】
さらに、インディケータデータは、次のポテンシャルウェイポイントに対応する第2のインディケータ209を含み、そこを基点としそこからの距離と方位を示すスケールを有する。第2のインディケータもウェイポイントを決定していく過程で配列上、進行する前方に表示されるのがよい。
【0103】
ステップ511では、少なくとも1つのポテンシャルウェイポイント及び対応する少なくとも1つのインディケータを表示画面129に出力して、少なくとも1つのポテンシャルウェイポイント及び対応する少なくとも1つのインディケータを船舶又は航空機の航路に関連付けて表示することができる。ユーザ105は、図7から図12に示される30のように、異なるインディケータ表示フォーマットの1つのインディケータ表示フォーマットを選択することができる。
【0104】
インディケータ表示フォーマットは、最適化された航路を決定するために、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eのうちのどの1つ以上のポテンシャルウェイポイントが接続されるべきかを決定するために使用され得る。最適化された航路は、表示画面129に表示することができる。或いは、最適化された航路をユーザデバイス103の表示画面(図示省略)に表示してもよい。
【0105】
このように、本発明の実施例は、船舶又は航空機のための最適化された航行経路を決定するために、複数のポテンシャルウェイポイント205a~205eの1つ以上のウェイポイントの正確かつ容易な選択を確実にする航路計画装置及び航行計画方法を提供することができる。
【0106】
以上が本発明の実施形態の例示であるが、すべての目的又は効果、利点が、本明細書に記載される任意の選定の実施形態に従って達成され得るわけではない。従って、例えば、当業者は選定の実施形態が、本明細書で教示又は示唆されるような他の目的又は効果/利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されることを理解するであろう。1つ以上の効果或いは利点を達成又は最適化するように構成されていることが必要である。
【0107】
そして、本明細書に記載される例示的な実施形態は、一実施形態に示したものに限定されるものではない。本明細書に一般的に記載され、図面に例示されている本開示の態様は、本明細書で明示的に意図されているように、多種多様な異なる構成で配列され、置換され、結合され、分離され、設計され得ることは説明するまでもない。
【0108】
上述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の選定の例示的な組み合わせに関連して例示的な実施形態を説明しているが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態によって提供され得ることを理解されたい。この点に関して、例えば、上記に明示的に記載されたものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせもまた、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように企図される。本明細書では選定の用語を使用するが、それらは、限定の目的ではなく、1般的かつ記述的な意味でのみ使用される。
【0109】
上記各実施例において、例えば、図1に示されるデータベース109は、更新された航行マップ、天気予報に関する最新情報、潮流に関する情報、船体内を航行し、最適化された航路を決定するために船舶によって使用され得る海図を記憶してもよい。データベース109は渦の位置など、海域内の危険な位置や、塩分、水温及び気温、気圧及び風(速度、突風、方向)、船舶の経度及び緯度に関する地理的位置等の情報のような航法データを含むことができる。データベース109はさらに、航空機によって得られるアップデイトされた航行マップ、天気予報に関する最新情報などを含んでもよい。
【0110】
別の実施形態として、データベース109は、チャートが保存されたデータベースとして実施することもでき、また、航行及び/又はチャート関連機能をユーザ105に提供するために、ユーザデバイス103において、ユーザデバイスとともに使用され得るように調製された航行データベースであってもよい。このような場合には、ユーザデバイス103にデータベースをダウンロードするようにしてもよいし、或いはユーザデバイス103にデータベースを格納してもよい。本明細書に記載されるすべてのプロセスは、1つ以上のコンピュータ又はプロセッサを含み、完全に自動化され得るコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールによって具現化され得る。コードモジュールは、任意のタイプの非1過性コンピュータ可読媒体又は他のコンピュータ記憶装置に記憶することができる。一部又は全ての方法は、専用のコンピュータ・ハードウェア内で具体化され得る。
【0111】
本開示から明らかなように、本明細書に記載したもの以外にも多くの変形がある。例えば、実施形態に依存して、本明細書に記載されたアルゴリズムのいずれかの選定のアクション、イベント、又は機能は、異なるシーケンスで実行されてもよく、追加されてもよく、併合されてもよく、又は完全に除外されてもよい。(たとえば、説明されているすべてのアクション又はイベントがアルゴリズムの実行に必要なわけではない。)
【0112】
さらに、選定の実施形態では、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコアを介して、又は他の並列アーキテクチャ上で、順次ではなく並列で実行される。できます。さらに、異なるタスク又はプロセスは、1緒に動作することができる異なるマシン及び/又はコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0113】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的論理ブロック及びモジュールは、プロセッサなどのマシンによって実施又は実行され得る。プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシン、又はそれらの組み合わせであってもよい。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行する選定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、デジタル信号プロセッサ(デジタル信号処理装置)及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又はそれらの任意の他のものなどのコンピューティングデバイスの組み合わせであってもよい。このような構成として実装できます。本明細書では主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは主にアナログデバイスを含んでもよい。例えば、本明細書に記載される信号処理アルゴリズムのいくつか又はすべては、アナログ回路又は混合アナログ及びデジタル回路によって実施することができる。コンピューティング環境には、マイクロプロセッサ、メインフレーム・コンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブル・コンピューティング・デバイス、デバイス・コントローラ、又はデバイス内のコンピューティング・エンジンに基づく任意のタイプのコンピュータ・システムが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
ネットワーク107は、航行出発地点、航行目的地点、複数のポテンシャルウェイポイントの候補位置に関するデータの送受信のための複数のネットワークポート及び複数の通信チャネルを提供するように構成され得る適切な論理、回路、及びインターフェースを含み得る。各ネットワークポートは、通信データを送受信するための仮想アドレス(又は物理マシンアドレス)に対応してもよい。例えば、仮想アドレスは、インターネットプロトコルバージョン4(IPv4)(又はIPv6アドレス)であり得、物理アドレスは、メディアアクセス制御(MAC)アドレスであり得る。ネットワーク107は、1以上の通信装置のうちの少なくとも1つからの1以上の通信要求に基づいて通信プロトコルを実施するためのアプリケーション層に関連付けられる。
【0115】
通信データは、通信プロトコルを介して送受信することができる。このような有線及び無線通信プロトコルの例としては、伝送制御プロトコル及びインターネットプロトコル(TCP/IP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ZigBee、EDGE、赤外線(IR)、IEEE802.11、802.16、セルラー通信プロトコル、及び/又はBluetooth(BT)通信プロトコルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
ネットワーク107の例は、無線チャネル、有線チャネル、その無線及び有線チャネルの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。無線又は有線チャネルは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線センサネットワーク(WSN)、無線エリアネットワーク(WAN)、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、1般電話サービス(POTS)、及びメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)のうちの1つによって定義され得るネットワーク標準に関連付けられ得る。さらに、有線チャネルは、帯域幅基準に基づいて選択されてもよい。例えば、光ファイバチャネルを高帯域幅通信に使用することができる。さらに、同軸ケーブルベース又はイーサネットベースの通信チャネルを、中程度の帯域幅の通信に使用することができる。
【0117】
幾つかの実施形態は、最適化された航路を決定するために、複数のポテンシャルウェイポイントが航路に障害を引き起こさないように正確に配置されなければならないという認識に基づいている。
【0118】
本明細書に記載され、かつ/又は添付の図面に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素又はブロックは、プロセスにおける選定の論理機能又は要素を実装するための1つ以上の実行可能な命令である。を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を潜在的に表していると理解する必要があります。代替的な実施形態は、本明細書に記載された実施形態の範囲内に含まれ、ここで、要素又は機能は、当業者に理解されるように、関与する機能性に応じて実質的である。
【0119】
特段の記載がない限り、「1」のような数字は、1般に、1つ以上の記載項目を含むものと解釈されるべきである。したがって、「~するように構成された1つの装置」などの用語は、1つ以上のリストされたデバイスを含むことを意図している。このような列挙された装置のうちの1つ以上は、記載された引用を実行するように集合的に構成することもできる。例えば、「以下のA、B、Cを実行するように構成されたプロセッサー」は、Aを実行するように構成された第1のプロセッサ、及びBとCを実行するように構成された第2のプロセッサと解釈できる。さらに、導入された例の具体的な数の列挙が明示的に列挙される場合であっても、そのような列挙が典型的には少なくとも列挙された数であることを意味する。「2つの列挙」の単なる列挙は、少なくとも2つの列挙又は2つ以上の列挙を意味するものと解釈されるべきである。
【0120】
上述の実施形態に多くの修正及び修正を加えることができ、それらの要素は、他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるべきである。このようなすべての変更及び修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図され、以下の特許請求の範囲によって保護される。
【符号の説明】
【0121】
100a 航路計画装置の作業環境
100b 航路計画装置とその周辺の構成
101 航路計画装置
103 ユーザデバイス
103a アプリケーション
105 ユーザ
107 ネットワーク
109 データベース
111 メモリ
113 処理回路
115 バス
117 位置入力部
119 位置関係算定部
121 インディケータ生成部
123 インディケータフォーマット部
125 航路設定部
127 航路
129 表示画面(タッチスクリーン)
201 出発地点
203 目的地点
205a-205e ポテンシャルウェイポイント
207 第1のインディケータ
209 第2のインディケータ
301 基本スケール
303 中心軸スケール
305a,305b 補助スケール
307a,307b 補助スケール
400 ユーザインタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15