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特許7654511制御装置、コンピュータプログラム、および遠隔制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】制御装置、コンピュータプログラム、および遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20250325BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20250325BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021142403
(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公開番号】P2023035500
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 了也
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193919(JP,A)
【文献】特開2021-066193(JP,A)
【文献】特開2020-157859(JP,A)
【文献】特開2014-058817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0217929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御装置の動作を制御する制御装置であって、
第一モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第一要求、および第二モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第二要求を受け付ける受付部と、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる処理部と、
を備え
前記処理部は、前記被制御装置の現在の状態を変更しうる前記第一動作と前記第二動作の一方を、前記被制御装置に行なわせる、
制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記受付部によってより早く受け付けられた前記第一要求と前記第二要求の一方により指定された前記第一動作と前記第二動作の一方を、前記被制御装置に行なわせる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、より高い権限レベルが付与されたモバイル装置から送信された要求により指定された前記第一動作と前記第二動作の一方を、前記被制御装置に行なわせる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記被制御装置との関連性がより高いモバイル装置から送信された要求により指定された前記第一動作と前記第二動作の一方を、前記被制御装置に行なわせる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記被制御装置は、開閉体の施解錠装置である、
請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
移動体に搭載されるように構成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
被制御装置の動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一モバイル装置から無線送信された被制御装置を遠隔制御するための第一要求と、第二モバイル装置から無線送信された当該被制御装置を遠隔制御するための第二要求とを受け付け、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、前記被制御装置の現在の状態を変更しうる当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
人物による携帯が可能である第一モバイル装置と、
人物による携帯が可能である第二モバイル装置と、
前記第一モバイル装置および前記第二モバイル装置と無線通信を行なうことが可能である通信装置と、
被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、
前記第一モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第一要求、および前記第二モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第二要求を受け付ける受付部と、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる処理部と、
を備え
前記処理部は、前記被制御装置の現在の状態を変更しうる前記第一動作と前記第二動作の一方を、前記被制御装置に行なわせる、
遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモバイル装置を用いて被制御装置の動作を遠隔制御可能である遠隔制御システムに関連する。本発明は、当該被制御装置の動作を制御する制御装置にも関連する。本発明は、当該制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、遠隔制御システムの一例として認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての車両の施錠装置の動作を制御する制御装置と人物により携帯可能であるモバイル装置の一例としてのキーとの間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証が成立すると、当該車両のドアの施錠が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数のモバイル装置を用いて被制御装置の動作を遠隔制御可能な遠隔制御システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は被制御装置の動作を制御する制御装置であって、
第一モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第一要求、および第二モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第二要求を受け付ける受付部と、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる処理部と、
を備えている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、被制御装置の動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一モバイル装置から無線送信された被制御装置を遠隔制御するための第一要求と、第二モバイル装置から無線送信された当該被制御装置を遠隔制御するための第二要求とを受け付け、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、遠隔制御システムであって、
人物による携帯が可能である第一モバイル装置と、
人物による携帯が可能である第二モバイル装置と、
前記第一モバイル装置および前記第二モバイル装置と無線通信を行なうことが可能である通信装置と、
被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、
前記第一モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第一要求、および前記第二モバイル装置から無線送信された前記被制御装置を遠隔制御するための第二要求を受け付ける受付部と、
前記第一要求により指定された前記被制御装置の第一動作と前記第二要求により指定された前記被制御装置の第二動作が相違する場合、当該第一動作と当該第二動作のいずれか一方を前記被制御装置に行なわせる処理部と、
を備えている。
【0008】
上記の各態様に係る構成によれば、複数のモバイル装置から無線送信された相違する被制御装置の動作要求に対する調停機能を、被制御装置の動作を制御する制御装置に付与できる。すなわち、相違する被制御装置の動作の要求が複数のモバイル装置からなされた場合において、いずれの要求も却下されるのではなく、いずれかの要求は必ず採用される。したがって、複数のモバイル装置を用いて施解錠装置の動作を遠隔制御可能な遠隔制御システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る認証システムの構成を例示している。
図2図1の認証システムの機能構成を例示している。
図3図1の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
図4図3の調停処理の一例を示している。
図5図3の調停処理の別例を示している。
図6図3の調停処理の一例を示している。
図7図3の調停処理の一例を示している。
図8図3の調停処理の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る認証システム10の構成を例示している。認証システム10は、遠隔制御システムの一例である。
【0011】
認証システム10は、第一モバイル装置11を含んでいる。第一モバイル装置11は、人物による携帯が可能な装置である。本例においては、第一モバイル装置11は、第一人物21により携帯されている。
【0012】
認証システム10は、第二モバイル装置12を含んでいる。第二モバイル装置12は、人物による携帯が可能な装置である。本例においては、第二モバイル装置12は、第二人物22により携帯されている。
【0013】
認証システム10は、例えば、第一モバイル装置11を認証することによって第一人物21による車両30の利用を許可し、第二モバイル装置12を認証することによって第二人物22による車両30の利用を許可するために使用されうる。車両30の形状は、例示に過ぎない。車両30は、移動体の一例である。
【0014】
認証システム10は、通信装置13を含んでいる。本例においては、通信装置13は、車両30に搭載されている。通信装置13は、第一モバイル装置11および第二モバイル装置12との無線通信を行なうことが可能なアンテナを備えている。
【0015】
認証システム10は、制御装置14を含んでいる。本例においては、制御装置14は、車両30に搭載されている。制御装置14は、認証処理に基づいて、車両30に搭載された施解錠装置31の動作を制御するように構成されている。施解錠装置31は、車両30のドアを施解錠する装置である。施解錠装置31は、被制御装置の一例である。
【0016】
第一モバイル装置11は、施解錠装置31によるドアの施解錠を要求する第一要求信号RS1を電波で送信するように構成されている。第一要求信号RS1は、第一要求情報RQ1と第一認証情報AT1を含んでいる。第一要求情報RQ1は、施解錠装置31に要求する動作が施錠動作と解錠動作のいずれであるかを示す情報である。第一認証情報AT1は、第一モバイル装置11と第一人物21の少なくとも一方を特定する情報である。第一要求信号RS1は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0017】
第二モバイル装置12は、施解錠装置31によるドアの施解錠を要求する第二要求信号RS2を電波で送信するように構成されている。第二要求信号RS2は、第二要求情報RQ2と第二認証情報AT2を含んでいる。第二要求情報RQ2は、施解錠装置31に要求する動作が施錠動作と解錠動作のいずれであるかを示す情報である。第二認証情報AT2は、第二モバイル装置12と第二人物22の少なくとも一方を特定する情報である。第二要求信号RS2は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0018】
図2に例示されるように、受付部141を備えている。受付部141は、通信装置13により受信された第一要求信号RS1に含まれる第一要求情報RQ1と第一認証情報AT1を受け付けるインターフェースとして構成されている。第一要求信号RS1がアナログ信号である場合、受付部141は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0019】
同様に、受付部141は、通信装置13により受信された第二要求信号RS2に含まれる第二要求情報RQ2と第二認証情報AT2を受け付けるインターフェースとして構成されている。第二要求信号RS2がアナログ信号である場合、受付部141は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0020】
制御装置14は、処理部142を備えている。処理部142は、通信装置13により第一要求信号RS1が受信されると、受付部141により取得された第一認証情報AT1を、不図示の記憶装置に格納された第一認証情報AT1と照合するように構成されている。両者の一致度が閾値を上回る場合に、第一モバイル装置11の認証が成立する。
【0021】
同様に、処理部142は、通信装置13により第二要求信号RS2が受信されると、受付部141により取得された第二認証情報AT2を、不図示の記憶装置に格納された第二認証情報AT2と照合するように構成されている。両者の一致度が閾値を上回る場合に、第二モバイル装置12の認証が成立する。
【0022】
制御装置14は、出力部143を備えている。処理部142は、出力部143からの制御信号CSの出力を許容する。制御信号CSは、施解錠装置31の動作を制御する信号である。制御信号CSは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。制御信号CSがアナログ信号である場合、出力部143は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0023】
処理部142は、第一モバイル装置11の認証が成立すると、第一要求情報RQ1により指定される動作(施錠または解錠)を施解錠装置31に行なわせる制御信号CSを、出力部123から出力するように構成されている。
【0024】
同様に、処理部142は、第二モバイル装置12の認証が成立すると、第二要求情報RQ2により指定される動作(施錠または解錠)を施解錠装置31に行なわせる制御信号CSを、出力部123から出力するように構成されている。
【0025】
図1に例示されるように、第一モバイル装置11から無線送信された第一要求信号RS1と第二モバイル装置12から無線送信された第二要求信号RS2が同時に通信装置13に受信される場合がある。換言すると、第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が、制御装置14の受付部141により同時に受け付けられる場合がある。
【0026】
ここで用いられる「同時に受け付けられる」という表現は、第一認証情報AT1に基づく第一モバイル装置11の認証が成立するまでに第二要求情報RQ2が受付部141に受け付けられる場合、あるいは第二認証情報AT2に基づく第二モバイル装置12の認証が成立するまでに第一要求情報RQ1が受付部141に受け付けられる場合を意味する。すなわち、第一要求情報RQ1が受付部141に受け付けられる時点と、第二要求情報RQ2が受付部141に受け付けられる時点とは、ある長さを有する時間範囲内で相違してもよい。
【0027】
図3を参照しつつ、このような場合において制御装置14の処理部142により行なわれる処理について説明する。
【0028】
処理部142は、受付部141により複数の要求が同時に受け付けられたかを判断する(STEP1)。すなわち、第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が受付部141により同時に受け付けられたかを判断する。
【0029】
第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が受付部141により同時に受け付けられたと判断された場合(STEP1においてYES)、処理部142は、第一要求情報RQ1により指定された施解錠装置31の動作と第二要求情報RQにより指定された施解錠装置31の動作が相違しているかを判断する(STEP2)。
【0030】
第一要求情報RQ1により指定された施解錠装置31の動作と第二要求情報RQにより指定された施解錠装置31の動作が相違していると判断された場合(STEP2においてYES)、処理部142は、第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2のいずれかを無効にする調停処理を実行する(STEP3)。これにより、第一要求情報RQ1により指定された施解錠装置31の動作と第二要求情報RQにより指定された施解錠装置31の動作のいずれか一方が有効とされる。
【0031】
続いて、処理部142は、有効とされた一方の動作を施解錠装置31に行なわせる制御信号CSを、出力部123から出力する(STEP4)。施解錠装置31は、制御信号CSに基づく動作を実行する。
【0032】
例えば、第一要求情報RQ1が施解錠装置31によるドアの施錠を要求しており、第二要求情報RQ2が施解錠装置31によるドアの解錠を要求しており、かつ第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が受付部141により同時に受け付けられた場合、調停処理が実行される。その結果として第一要求情報RQ1が有効とされた場合、施解錠装置31はドアの施錠を行なう。
【0033】
このような構成によれば、複数のモバイル装置から無線送信された相違する施解錠装置31の動作要求に対する調停機能を、施解錠装置31の動作を制御する制御装置14に付与できる。すなわち、相違する施解錠装置31の動作の要求が複数のモバイル装置からなされた場合において、いずれの要求も却下されるのではなく、いずれかの要求は必ず採用される。したがって、複数のモバイル装置を用いて施解錠装置31の動作を遠隔制御可能な認証システム10の利便性を高めることができる。
【0034】
第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が受付部141により同時に受け付けられていない場合は(STEP1においてNO)、前述の通り、受け付けられた要求に応じた制御信号CSが出力される(STEP4)。
【0035】
第一要求情報RQ1と第二要求情報RQ2が受付部141により同時に受け付けられ、第一要求情報RQ1により指定された施解錠装置31の動作と第二要求情報RQにより指定された施解錠装置31の動作が一致していると判断された場合もまた(STEP2においてNO)、受け付けられた要求に応じた制御信号CSが出力される(STEP4)。
【0036】
図4は、制御装置14の処理部142により実行される調停処理の一例を示している。本例においては、処理部142は、受付部141によってより早く受け付けられた要求情報により指定された動作を施解錠装置31に行なわせるように構成される。
【0037】
図示の例においては、時点t1において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t1よりも遅い時点t2において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、より早く受け付けられた第一要求情報RQ1を有効にし、施解錠装置31に施錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0038】
同様に、時点t3において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられ、時点t3よりも遅い時点t4において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられている。この場合、処理部142は、より早く受け付けられた第二要求情報RQ2を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0039】
図5は、制御装置14の処理部142により実行される調停処理の別例を示している。本例においては、処理部142は、受付部141によってより遅く受け付けられた要求情報により指定された動作を施解錠装置31に行なわせるように構成される。
【0040】
図示の例においては、時点t1において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t1よりも遅い時点t2において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、より遅く受け付けられた第二要求情報RQ2を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0041】
同様に、時点t3において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられ、時点t3よりも遅い時点t4において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられている。この場合、処理部142は、より遅く受け付けられた第一要求情報RQ1を有効にし、施解錠装置31に施錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0042】
図6は、制御装置14の処理部142により実行される調停処理の別例を示している。本例においては、処理部142は、施解錠装置31の現在の状態を変更しうる要求を採用するように構成される。処理部142は、最後に出力された制御信号CSに関連付けられた施解錠装置31の動作に基づいて、施解錠装置31の現在の状態を判断しうる。
【0043】
図示の例においては、施解錠装置31がドアを施錠している状態下で、時点t1において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t1よりも遅い時点t2において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、施解錠装置31の現在の状態を変更しうる第二要求情報RQ2を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0044】
他方、施解錠装置31がドアを解錠している状態下で、時点t3において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t3よりも遅い時点t4において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、施解錠装置31の現在の状態を変更しうる第一要求情報RQ1を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0045】
このような構成によれば、施解錠装置31の状態を変更し得ない要求が優先されて実効的な要求が却下される事態の発生を回避できる。
【0046】
図7は、制御装置14の処理部142により実行される調停処理の別例を示している。本例においては、処理部142は、より高い権限レベルが付与されたモバイル装置から送信された要求情報により指定された動作を施解錠装置31に行なわせるように構成される。一例として、マスタキー機能を有するモバイル装置とスペアキー機能を有するモバイル装置とでは、マスタキー機能を有するモバイル装置により高い権限レベルが付与される。別例として、車両30のオーナが所有するモバイル装置と当該オーナの家族が所有するモバイル装置とでは、オーナが所有するモバイル装置により高い権限レベルが付与される。
【0047】
第一モバイル装置11に付与された権限レベルに係る情報は、第一認証情報AT1に含まれて送信されうる。同様に、第二モバイル装置12に付与された権限レベルに係る情報は、第二認証情報AT2に含まれて送信されうる。制御装置14の処理部142は、受付部141により受け付けられた第一認証情報AT1と第二認証情報AT2に基づいて、いずれのモバイル装置に付与された権限レベルが高いかを判断しうる。
【0048】
図示の例においては、第二モバイル装置12により高い権限レベルが付与されている。時点t1において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t1よりも遅い時点t2において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、より高い権限レベルが付与されている第二モバイル装置12から送信された第二要求情報RQ2を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0049】
続いて、時点t3において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられ、時点t3よりも遅い時点t4において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられている。この場合においても、処理部142は、より高い権限レベルが付与されている第二モバイル装置12から送信された第二要求情報RQ2を有効にし、施解錠装置31に解錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0050】
図8は、制御装置14の処理部142により実行される調停処理の別例を示している。本例においては、処理部142は、施解錠装置31との関連性がより高いモバイル装置から送信された要求情報により指定された動作を施解錠装置31に行なわせるように構成される。
【0051】
施解錠装置31を遠隔制御しうるモバイル装置として、(1)ボタン操作により施解錠信号を通信装置13へ無線送信するキー装置、(2)携行することにより通信装置13との間で自動的に認証処理がなされ、認証が成立している状態でドアノブに触れると施解錠動作がなされる専用モバイル装置、(3)施解錠機能を有するアプリケーションがインストールされた汎用モバイル装置などが挙げられる。この場合、装置(1)や装置(2)の方が装置(3)よりも施解錠装置31に対して高い関連性を有しているとする。
【0052】
第一モバイル装置11の施解錠装置31に対する関連性に係る情報は、第一認証情報AT1に含まれて送信されうる。同様に、第二モバイル装置12の施解錠装置31に対する関連性に係る情報は、第二認証情報AT2に含まれて送信されうる。制御装置14の処理部142は、受付部141により受け付けられた第一認証情報AT1と第二認証情報AT2に基づいて、いずれのモバイル装置の施解錠装置31に対する関連性が高いかを判断しうる。
【0053】
図示の例においては、第一モバイル装置11がより高い施解錠装置31との関連性を有している。時点t1において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられ、時点t1よりも遅い時点t2において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられている。この場合、処理部142は、より高い関連性を有している第一モバイル装置11から送信された第一要求情報RQ1を有効にし、施解錠装置31に施錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0054】
続いて、時点t3において解錠動作を指定する第二要求情報RQ2が第二モバイル装置12から受け付けられ、時点t3よりも遅い時点t4において施錠動作を指定する第一要求情報RQ1が第一モバイル装置11から受け付けられている。この場合においても、処理部142は、より高い関連性を有している第一モバイル装置11から送信された第一要求情報RQ1を有効にし、施解錠装置31に施錠動作を行なわせる制御信号CSを出力部123から出力する。
【0055】
これまで説明した様々な機能を有する制御装置14の処理部142は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、不図示の無線通信ネットワークを介して不図示の外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0056】
処理部142は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0057】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0058】
通信装置13と同時に無線通信が可能であるモバイル装置の数は、三つ以上であってもよい。
【0059】
上記の各実施形態においては、制御装置14は、車両30に搭載されている。このような構成によれば、第一モバイル装置11および第二モバイル装置12との短距離無線通信において生じうる通信遅延を抑制しやすい。
【0060】
しかしながら、制御装置14の処理部142により行なわれる認証処理の少なくとも一部は、不図示の無線通信ネットワークを介して第一モバイル装置11および第二モバイル装置12と通信可能な不図示の外部サーバ装置において行なわれうる。
【0061】
認証処理の結果として制御装置14により制御される被制御装置は、施解錠装置311に限られない。他の被制御装置の例としては、車両30に搭載されたイグニッション電源、エンジン、空調装置、音響映像機器、照明装置、シートやステアリングホイールの位置調節機構などが挙げられる。各被制御装置の動作について相違する要求が調停処理に供される。例えば、エンジンの始動と停止、空調装置や照明装置のオン動作とオフ動作などが挙げられる。調停処理に供されうる被制御装置の動作は、三つ以上であってもよい。
【0062】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0063】
施解錠装置31により施解錠される開閉体は、移動体のドアに限られない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。すなわち、通信装置131は、移動体に搭載されることを要しない。
【0064】
人物20により携帯されるモバイル装置を用いて被制御装置の動作を遠隔制御するために、必ずしも認証処理が行なわれることを要しない。
【符号の説明】
【0065】
10:認証システム、11:第一モバイル装置、12:第二モバイル装置、13:通信装置、14:制御装置、141:受付部、142:処理部、21:第一人物、22:第二人物、30:車両、31:施解錠装置、RQ1:第一要求情報、RQ2:第二要求情報
図1
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図8