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特許7654518取引処理システム、入力処理装置、決済装置及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】取引処理システム、入力処理装置、決済装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20250325BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021155662
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046852
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】平野 和也
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117085(JP,A)
【文献】特開2013-242839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたデータを基に客との取引の決済に必要な決済情報を作成する入力処理装置と、
前記決済情報を基に前記取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置と、
を備え、
前記3台以上の決済装置に対してはそれぞれ前記決済情報の転送順位が設定された取引処理システムであって、
前記入力処理装置は、
前記3台以上の決済装置のうち送信先に設定された送信先決済装置に前記決済情報を送信する送信手段と、
前記送信先決済装置の状態確認を行う状態確認手段と、
前記送信先決済装置を除く他の決済装置から送信先変更の通知を受信すると、前記決済情報の送信先を前記他の決済装置へと変更する変更手段と、
を具備し、
前記3台以上の決済装置は、
前記入力処理装置に対して前記送信先決済装置の状態確認を通知する確認通知手段と、
前記状態確認の通知に対して前記入力処理装置から応答される前記送信先決済装置の状態確認結果が前記決済情報の送信先変更条件を満たす場合、前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する変更通知手段と、
を具備する取引処理システム。
【請求項2】
前記状態確認手段は、前記送信先決済装置の状態に係る情報を当該送信先決済装置から取得する手段であり、
前記変更通知手段は、前記状態確認結果に含まれる前記送信先決済装置の転送順位が自機の転送順位よりも上位の場合で、かつ、前記入力処理装置から前記送信先決済装置の状態確認結果として当該送信先決済装置から前記状態に係る情報を取得し得なかった旨が応答された場合、前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する、請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記変更通知手段は、前記状態確認結果に含まれる前記送信先決済装置の転送順位が自機の転送順位よりも上位の場合で、かつ、前記入力処理装置から前記送信先決済装置の状態確認結果として当該送信先決済装置から取得した前記状態に係る情報が応答された場合、その状態に係る情報が送信先変更条件を満たす場合に前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する、請求項2に記載の取引処理システム。
【請求項4】
前記変更通知手段は、前記状態確認結果に含まれる前記送信先決済装置の転送順位が自機の転送順位よりも下位の場合、前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する、請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の取引処理システム。
【請求項5】
前記入力処理装置は、
前記3台以上の決済装置のうち送信先決済装置に設定された決済装置の転送順位を記憶する記憶手段、をさらに備え、
前記送信先決済装置の状態確認結果とともに前記記憶手段で記憶する情報を通知する、請求項2乃至4のうちいずれか一に記載の取引処理システム。
【請求項6】
前記3台以上の決済装置は、
前記確認通知手段による状態確認の通知を定期的に行い、
前記入力処理装置は、
前記状態確認の通知に応じて前記状態確認手段による状態確認を行い、その状態確認結果を、前記通知を行った決済装置に応答する、
請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の取引処理システム。
【請求項7】
入力されたデータを基に客との取引の決済に必要な決済情報を作成する入力処理装置、及び、前記決済情報を基に前記取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置とを備え、前記3台以上の決済装置に対してはそれぞれ前記決済情報の転送順位が設定された取引処理システムにおける決済装置であって、
前記入力処理装置に対して送信先に設定された送信先決済装置の状態確認を通知する確認通知手段と、
前記状態確認の通知に対して前記入力処理装置から応答される前記送信先決済装置の状態確認結果が前記決済情報の送信先変更条件を満たす場合、前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する変更通知手段と、
を具備する決済装置。
【請求項8】
客との取引の決済に必要な決済情報を基に取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置と取引処理システムを構成する入力処理装置であって、
入力されたデータを基に前記決済情報を作成する作成手段と、
前記3台以上の決済装置のうち送信先に設定された送信先決済装置に前記決済情報を送信する送信手段と、
前記送信先決済装置の状態確認を行う状態確認手段と、
前記送信先決済装置を除く他の決済装置から送信先変更の通知を受信すると、前記決済情報の送信先を前記他の決済装置へと変更する変更手段と、
を具備する入力処理装置。
【請求項9】
入力されたデータを基に客との取引の決済に必要な決済情報を作成する入力処理装置、及び、前記決済情報を基に前記取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置とを備え、前記3台以上の決済装置に対してはそれぞれ前記決済情報の転送順位が設定された取引処理システムにおける決済装置のコンピュータを、
前記入力処理装置に対して送信先に設定された送信先決済装置の状態確認を通知する確認通知手段、及び、
前記状態確認の通知に対して前記入力処理装置から応答される前記送信先決済装置の状態確認結果が前記決済情報の送信先変更条件を満たす場合、前記入力処理装置に対して送信先変更を通知する変更通知手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
客との取引の決済に必要な決済情報を基に取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置と取引処理システムを構成する入力処理装置のコンピュータを、
入力されたデータを基に前記決済情報を作成する作成手段、
前記3台以上の決済装置のうち送信先に設定された送信先決済装置に前記決済情報を送信する送信手段、
前記送信先決済装置の状態確認を行う状態確認手段、及び、
前記送信先決済装置を除く他の決済装置から送信先変更の通知を受信すると、前記決済情報の送信先を前記他の決済装置へと変更する変更手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム及びこのシステムの入力処理装置及び決済装置並びに入力処理装置及び決済装置の各プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、量販店向けの取引処理システムとして、セミセルフタイプの取引処理システムが知られている。この種の取引処理システムは、取引毎にその取引で売買される商品のデータを入力し登録処理する入力処理装置と、この入力処理装置で登録処理されたデータを基に取引の決済処理を実行する決済装置とを分離する。そして、店員が入力処理装置を操作し、客が決済装置を操作するように配置する。
【0003】
セミセルフタイプの取引処理システムは、商品のデータ入力操作を店員が行うため、客が自身で入力操作を行うフルセルフタイプの取引処理システムよりもデータ入力に要する時間が短縮される。その一方で、客が決済装置を操作するため、操作に不慣れな客が決済に手間取ることが想定される。そこで一般に、セミセルフタイプの取引処理システムは、1台の入力処理装置に対して決済装置を例えば3台以上備える。3台以上の決済装置には、予め決済情報の転送順位が設定されている。
【0004】
入力処理装置は、取引の決済に必要な情報を転送順位が1位の決済装置(第1決済装置)に送信する。第1決済装置は、既に前の客の決済を終えており決済処理が可能な場合には、その情報を基に取引の決済を処理する。まだ前の客の決済が続いており決済処理が不可能な場合には、第1決済装置は、転送順位が2位の決済装置(第2決済装置)に取引の決済に必要な情報を送信する。第2決済装置は、第1決済装置から受け取った情報を基に取引の決済を処理する。第2決済装置も決済処理が不可能な場合には、第2決済装置は、転送順位が3位の決済装置(第3決済装置)に取引の決済に必要な情報を送信する。第3決済装置は、第2決済装置から受け取った情報を基に取引の決済を処理する。このように、従来のセミセルフタイプの取引処理システムは、3台以上の決済装置を効率よく稼働させて、短時間で多くの取引を決済できるようにしている。
【0005】
しかしながら、入力処理装置が取引の決済に必要な情報を送信する送信先は、第1決済装置に限られる。したがって、第1決済装置がダウンして取引の決済に必要な情報を受信できなくなった場合、第1決済装置だけできなく第2決済装置あるいは第3決済装置においても取引の決済を処理できなくなり、決済が滞るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-242839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、決済が滞るのを防ぐことができる取引処理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、取引処理システムは、入力されたデータを基に客との取引の決済に必要な決済情報を作成する入力処理装置と、決済情報を基に取引の決済処理を実行する3台以上の決済装置とを備える。3台以上の決済装置に対してはそれぞれ決済情報の転送順位が設定されている。入力処理装置は、送信手段と、状態確認手段と、変更手段とを備える。送信手段は、3台以上の決済装置のうち送信先に設定された送信先決済装置に決済情報を送信する。状態確認手段は、送信先決済装置の状態確認を行う。変更手段は、送信先決済装置を除く他の決済装置から送信先変更の通知を受信すると、決済情報の送信先を他の決済装置へと変更する。3台以上の決済装置は、確認通知手段と、変更通知手段とを備える。確認通知手段は、入力処理装置に対して送信先決済装置の状態確認を通知する。変更通知手段は、状態確認の通知に対して入力処理装置から応答される送信先決済装置の状態確認結果が決済情報の送信先変更条件を満たす場合、入力処理装置に対して送信先変更を通知する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、登録機の要部回路構成を示すブロック図である。
図3図3は、会計機の要部回路構成を示すブロック図である。
図4図4は、接続状態テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図5図5は、登録機が有する会計機状態フラグを示す模式図である。
図6図6は、登録機のプロセッサが実行する第1の情報処理の手順を示す流れ図である。
図7図7は、登録機のプロセッサが実行する第1の情報処理の手順を示す流れ図である。
図8図8は、第1会計機のプロセッサが実行する第4の情報処理の手順を示す流れ図である。
図9図9は、第2会計機のプロセッサが実行する第5の情報処理の手順を示す流れ図である。
図10図10は、第1会計機及び第2会計機のプロセッサが実行する第6の情報処理の手順を示す流れ図である。
図11図11は、登録機のプロセッサが実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。
図12図12は、第1会計機及び第2会計機のプロセッサが実行する第7の情報処理の手順を示す流れ図である。
図13図13は、登録機のプロセッサが実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。
図14図14は、登録機と第1会計機及び第2会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図15図15は、登録機と第1会計機及び第2会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図16図16は、登録機と第1会計機及び第2会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図17図17は、第2の実施形態に係る取引処理システムの概念図である。
図18図18は、接続状態テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図19図19は、第1登録機及び第2登録機と、第1会計機、第2会計機及び第3会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図20図20は、第3の実施形態に係る取引処理システムの概念図である。
図21図21は、接続状態テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図22図22は、会計機状態テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図23図23は、登録機のプロセッサが実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図24図24は、登録機のプロセッサが実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。
図25図25は、会計機のプロセッサが実行する第7の情報処理の手順を示す流れ図である。
図26図26は、登録機のプロセッサ31が実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。
図27図27は、登録機と第1会計機、第2会計機、第3会計機及び第4会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図28図28は、登録機と第1会計機、第2会計機、第3会計機及び第4会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図29図29は、登録機と第1会計機、第2会計機、第3会計機及び第4会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
図30図30は、登録機と第1会計機、第2会計機、第3会計機及び第4会計機との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、セミセルフタイプの取引処理システムに係る実施形態について、図面を用いて説明する。
セミセルフタイプの取引処理システムは、入力処理装置と複数の決済装置とを含む。入力処理装置は、取引毎にその取引で売買される商品のデータを入力し、商品販売データを登録処理するための装置である。決済装置は、商品販売データ等を含む取引の決済に必要な決済情報を入力処理装置から取得し、その決済情報を基に取引の決済処理を実行するための装置である。以下の実施形態では、入力処理装置を登録機と称し、決済装置を会計機と称する。
【0011】
(第1の実施形態)
[取引処理システムの構成]
第1の実施形態に係る取引処理システム100の構成について、図1乃至図5を用いて説明する。なお、以下に説明する構成は一例である。同様な効果を奏し得るのであれば、構成の一部を適宜変更することができる。
【0012】
図1は、取引処理システム100の概略構成を示す模式図である。取引処理システム100は、登録機11と、会計機12と、サーバ13と、これらを接続するネットワーク14と、を含む。ネットワーク14の種類は特に限定されないが、一般的には有線又は無線のLAN(local area network)が適用される。
【0013】
登録機11は、チェッカと呼ばれる役割を担った店員21が、その操作者となる。会計機12は、店舗で商品を購入する消費者、いわゆる客22が、その操作者となる。登録機11は、図1においては、作業テーブル23に取り付けられる。作業テーブル23は、矩形の天板を有する。複数の作業テーブル23が、天板の長手方向がほぼ並行するように配置されることにより、客22のための通路、いわゆるチェックアウトレーンが形成される。
【0014】
登録機11及び会計機12は、店舗のチェックアウトレーン毎に配置される。1つのチェックアウトレーンに対し、登録機11は1台配置され、会計機12は複数台配置される。そして、同じチェックアウトレーンに配置された登録機11と会計機12との間で、ネットワーク14を通じて種々のデータ信号が授受される。データ信号は、サーバ13を介して授受されてもよいし、サーバ13を介さずに授受されてもよい。
【0015】
図1では、2つのチェックアウトレーンに対し、2台の登録機11(11-1,11-2)と4台の会計機12(12-1,12-2,12-3,12-4)とを配置した例を示している。2台の登録機11のうち一方の登録機11-1は、4台の会計機12のうち2台の会計機12-1及び会計機12-2とグループを構成する。他方の登録機11-2は、残りの2台の会計機12-3及び会計機12-4とグループを構成する。各会計機12は、同一グループの登録機11で処理された取引の決済処理を実行する。すなわち、会計機12-1及び会計機12-2は、登録機11-1で処理された取引の決済処理を実行する。会計機12-3及び会計機12-4は、登録機11-2で処理された取引の決済処理を実行する。取引の決済処理は、グループ間で異なることはない。そこで以下では、1台の登録機11-1と2台の会計機12-1及び会計機12-2とで構成されるグループに着眼して説明を続ける。他の1台の登録機11-2と他の2台の会計機12-3及び会計機12-4とで構成されるグループについては、説明が重複するので、ここでの説明は省略する。
【0016】
サーバ13は、商品マスタファイル15を備える。商品マスタファイル15は、サーバ13が内蔵する記憶装置に保存されていてもよいし、サーバ13の外部に接続された記憶装置に保存されていてもよい。
【0017】
商品マスタファイル15は、店舗で販売される商品毎に作成された商品レコードを格納するデータファイルである。商品レコードは、商品コード、商品名、単価、属性等の商品データを記述したデータレコードである。
【0018】
商品コードは、各商品を識別するために商品毎に設定された固有のコードである。通常、各商品には、商品コードを表すバーコード、若しくは二次元コードが付されている。あるいは、商品コードを記憶したRFID(Radio Frequency Identification)タグが付されていてもよい。登録機11は、商品に付されたバーコード、2次元コード又はRFIDタグを読取装置で読み取ることで、取引で売買される商品の商品コードを入力することができる。
【0019】
商品名及び単価は、商品コードで識別される商品の名称及び1点当たりの価格である。属性は、例えば商品の税に関する情報である。税に関する情報としては、税率、税種(外税、内税、非課税)等がある。
【0020】
図2は、登録機11-1の要部回路構成を示すブロック図である。登録機11-1は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、時計34、通信ユニット35、キーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39、プリンタ40及びシステム伝送路41等を備える。システム伝送路41は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路41は、プロセッサ31と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0021】
登録機11-1は、プロセッサ31と、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、時計34及び通信ユニット35とをシステム伝送路41で接続することにより、コンピュータを構成する。そして登録機11-1は、そのコンピュータに、システム伝送路41を介してキーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39、プリンタ40等のデバイスを接続する。
【0022】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、登録機11-1としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0023】
メインメモリ32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ32は、プロセッサ31が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0024】
補助記憶デバイス33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス33となり得る。補助記憶デバイス33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0025】
時計34は、日付と時刻を計時する。プロセッサ31は、時計34によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0026】
通信ユニット35は、ネットワーク14を介して接続されたサーバ13及び同一グループの会計機12-1及び会計機12-2との間でデータ通信を行う。通信ユニット35は、ネットワーク14を介して接続された他のグループの登録機11-2、会計機12-3又は会計機12-4との間でデータ通信を行うこともできる。
【0027】
キーボード36は、客が購入する商品に係るデータの入力等に必要な種々のキーを配置した入力デバイスである。
【0028】
スキャナ37は、バーコード、二次元コード等のコードシンボルを読み取ることが可能な読取装置の一例である。スキャナ37は、レーザ光の走査によりコードシンボルを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からコードシンボルを読み取るタイプであってもよい。
【0029】
タッチパネル38は、入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル38は、登録機11-1のオペレータである店員に対して情報の表示を行い、その店員による操作入力を受け付ける。
【0030】
客用ディスプレイ39は、登録機11-1において買上商品のデータが登録されている客22に対して情報の表示を行う。
【0031】
プリンタ40は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタ40としては、例えばサーマルプリンタ又はドットインパクトプリンタ等を利用できる。
【0032】
このような登録機11-1のハードウェアとしては、例えば既存のPOS端末を利用することが可能である。なお、登録機11-1に接続されるデバイスは、図2に示すキーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39及びプリンタ40に限定されるものではない。登録機11-1の用途において必要なデバイスを追加したり、一部のデバイスを省略したりしてもよい。
【0033】
かかる構成の登録機11-1において、プロセッサ31は、作成手段311、送信手段312、状態確認手段313、変更手段314及び復旧手段315としての機能を有する。作成手段311は、読取装置又は入力デバイスを介して入力された商品に係るデータを基に、客22との取引の決済に必要な決済情報を作成する機能である。送信手段312は、その決済情報を2台の会計機12-1,12-2のうち送信先に設定された1台の会計機に送信する機能である。
【0034】
決済情報は、取引番号、取引日時、端末ID、商品販売データ、合計点数、合計金額等の項目を含む。取引番号は、客22との取引を個々に識別するために取引毎に発番される連続番号である。取引日時は、その取引が行われた日付及び時刻である。端末IDは、その取引を処理した登録機11-1に設定された識別情報である。各登録機11(11-1,11-2,…)には予め固有の端末IDが設定されている。因みに、各会計機12(12-1,12-2,12-3,12-4,…)にも固有の端末IDが設定されている。商品販売データは、客22が買い上げる商品の商品コード、商品名、単価、販売点数、販売金額、属性等の項目からなる。決済情報には、その取引の客22が買い上げる全ての商品の商品販売データが含まれる。合計点数は、1取引における商品販売データの販売点数を合算した値である。合計金額は、1取引における商品販売データの販売金額を合算した金額である。
【0035】
このような決済情報は、取引番号と取引日時と端末IDとによって一意に特定される。すなわち、取引番号と取引日時と端末IDは、決済情報を特定可能な取引特定情報として機能する。なお、取引特定情報は、取引番号、取引日時及び端末IDに限定されない。決済情報を特定できるのであれば、その他の項目が付加されてもよいし、一部の項目が省略されてもよい。また、決済情報のデータ構造は、上記の項目に限定されるものではない。その他の項目が付加されてもよいし、一部の項目が省略されてもよい。
【0036】
状態確認手段313は、2台の会計機12-1,12-2のうち送信先に設定された1台の会計機の状態確認を行う機能である。変更手段314は、2台の会計機12-1,12-2のうち送信先に設定されていない他方の会計機から送信先変更の通知を受信すると、決済情報の送信先をその他方の会計機へと変更する機能である。復旧手段315は、送信先に設定された1台の会計機から送信先変更の通知を受信すると、決済情報の送信先を当該会計機へと戻す機能である。
【0037】
作成手段311、送信手段312、状態確認手段313、変更手段314及び復旧手段315としての機能は、いずれもプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第1の情報処理、第2の情報処理及び第3の情報処理によって実現される。第1の情報処理、第2の情報処理及び第3の情報処理については後述する。
【0038】
登録プログラムは、メインメモリ32又は補助記憶デバイス33に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。登録プログラムをメインメモリ32又は補助記憶デバイス33にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に登録プログラムを記録して、あるいはネットワーク14を介した通信により登録プログラムを配信して、メインメモリ32又は補助記憶デバイス33にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0039】
図3は、会計機12の要部回路構成を示すブロック図である。一方の会計機12-1と他方の会計機12-2とは同一構成である。そこで図3では、一方の会計機12-1と他方の会計機12-2とを区別せずに会計機12として説明する。
【0040】
会計機12は、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54、通信ユニット55、釣銭機インターフェース56、スキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60、パトランプ61及びシステム伝送路62等を備える。システム伝送路62は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路62は、プロセッサ51と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0041】
会計機12は、プロセッサ51と、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54及び通信ユニット55とをシステム伝送路62で接続することにより、コンピュータを構成する。そして会計機12は、そのコンピュータに、システム伝送路62を介して釣銭機インターフェース56、スキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60、パトランプ61等のデバイスインターフェース又はデバイスを接続する。
【0042】
プロセッサ51は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ51は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、会計機12としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPUである。
【0043】
メインメモリ52は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ52は、プロセッサ51が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ52は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ51によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0044】
補助記憶デバイス53は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等が補助記憶デバイス53となり得る。補助記憶デバイス53は、プロセッサ51が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ51での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス53は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0045】
時計54は、日付と時刻を計時する。プロセッサ51は、時計54によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0046】
通信ユニット55は、ネットワーク14を介して接続されたサーバ13又は同一チェックアウトレーンの登録機11-1との間でデータ通信を行う。通信ユニット55は、ネットワーク14を介して接続された他のグループの登録機11-2又は会計機12-3,12-4との間でデータ通信を行うこともできる。
【0047】
釣銭機インターフェース56は、図示しない自動釣銭機とのインターフェースを構成する。釣銭機インターフェース56は、自動釣銭機から当該自動釣銭機に投入された貨幣の金額データを入力する。釣銭機インターフェース56は、会計機12から自動釣銭機へと釣銭データを出力する。釣銭データを入力した自動釣銭機は、その釣銭データ相当の貨幣を釣銭として自動的に払い出す。
【0048】
スキャナ57は、バーコード、二次元コード等のコードシンボルを読み取る読取装置の一例である。スキャナ57は、レーザ光の走査によりコードシンボルを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からコードシンボルを読み取るタイプであってもよい。
【0049】
タッチパネル58は、入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル58は、会計機12のオペレータである客22に対して情報の表示を行い、その客22による操作入力を受け付ける。
【0050】
プリンタ59は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタ59としては、例えばサーマルプリンタ又はドットインパクトプリンタ等を利用できる。
【0051】
リーダ・ライタ60は、カード、スマートフォン等の媒体に記録されたデータを読み取る機能と、上記媒体へデータを書き込む機能とを有する。カードは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、プリペイドカード等の決済用カードの他に、メンバーズカードやポイントカード等と称される会員カードを含み得る。リーダ・ライタ60は、磁気式、接触式、あるいは非接触式のいずれのデバイスであってもよいし、また複数種のデバイスを含んでいてもよい。
【0052】
パトランプ61は、例えば赤色と青色の二色の発光体を有する。パトランプ61は、会計機12に対応付けてその近傍に立設されたポールの頂部に設けられており、対応する会計機12の状態に応じて、例えば赤色又は青色で点灯又は点滅する。
【0053】
このような会計機12のハードウェアとしては、例えば既存のフルセルフタイプの取引処理システムにおけるPOS端末、いわゆるセルフレジを利用することが可能である。なお、会計機12に接続されるデバイスは、図3に示すスキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60及びパトランプ61に限定されるものではない。会計機12の用途において必要なデバイスを追加したり、一部のデバイスを省略したりしてもよい。
【0054】
かかる構成の会計機12において、プロセッサ51は、決済手段511、確認通知手段512及び変更通知手段513としての機能を有する。決済手段511は、決済情報を基に決済処理を実行する機能である。
【0055】
確認通知手段512は、同一グループを構成する登録機11-1に対して会計機12の状態確認を通知する機能である。例えばプロセッサ51は、システム立ち上げ後、監視タイマに設定された監視時間の間隔で定期的に対して会計機12の状態確認を登録機11-1に通知する。例えばプロセッサ51は、取引の決済処理が終了したタイミングで、会計機12の状態確認を登録機11-1に通知してもよい。
【0056】
変更通知手段513は、状態確認の通知に対して登録機11-1から応答される会計機12の状態確認結果が決済情報の送信先変更条件を満たす場合、登録機11-1に対して送信先変更を通知する機能である。送信先変更条件については後述する。
【0057】
決済手段511、確認通知手段512及び変更通知手段513としての機能は、いずれもプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第4の情報処理、第5の情報処理、第6の情報処理及び第7の情報処理によって実現される。第4の情報処理乃至第7の情報処理については後述する。
【0058】
決済プログラムは、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。決済プログラムをメインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に決済プログラムを記録して、あるいはネットワーク14を介した通信により決済プログラムを配信して、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0059】
図4は、同一グループを構成する登録機11-1及び会計機12-1,12-2がそれぞれ有する接続状態テーブル71の主要なデータ構造を示す模式図である。接続状態テーブル71は、例えば補助記憶デバイス33,53で記憶される。同一グループの登録機11-1及び会計機12-1,12-2は、同一内容の接続状態テーブル71を有する。
【0060】
接続状態テーブル71は、図4に示すように、端末ID、グループ番号、会計機番号及び転送順位Nの各要素で構成されるデータレコード711,712及び713を記述する。データレコード711は、登録機11-1に関するデータレコードである。データレコード712は、一方の会計機12-1に関するデータレコードである。データレコード713は、他方の会計機12-2に関するデータレコードである。
【0061】
端末IDは、登録機11-1、会計機12-1及び会計機12-2の各端末に対してそれぞれ設定された固有の識別情報である。少なくとも取引処理システム100に組み込まれる登録機11及び会計機12には、それぞれ異なる端末IDが設定されている。
【0062】
グループ番号は、1台の登録機11と2台の会計機12とからなるグループを識別するためにグループ毎に設定された番号である。したがって、1つのグループに対する接続状態テーブル71のグループ番号は共通となる。グループ番号は、連続番号であってもよいし、連続番号でなくてもよい。少なくとも別のグループのグループ番号と重複しなければよい。
【0063】
会計機番号は、同じグループを構成する2台の会計機12-1,12-2を個々に識別するために会計機毎に設定された“1”からの連続番号である。なお、同じグループを構成する登録機11-1に対しては、会計機番号として“0”が設定される。
【0064】
転送順位Nは、同じグループを構成する登録機11-1から送信される決済情報の2台の会計機12-1,12-2に対する転送順位Nを示す“1”からの連続番号である。本実施形態では、会計機番号が“1”の会計機12-1の転送順位Nを1位とし、会計機番号が“2”の会計機12-2の転送順位Nを2位とする。会計機番号が“2”の会計機12-2の転送順位Nを1位とし、会計機番号が“1”の会計機12-1の転送順位Nを2位としてもよい。登録機11-1に対しては、転送順位Nとして“0”が設定される。以下では、説明の便宜上、会計機番号が“1”の会計機12-1を第1会計機12-1と称し、会計機番号が“2”の会計機12-2を第2会計機12-2と称する。第1会計機12-1は、転送順位が1位なので、親機又はマスタ機等と言うこともできる。第2会計機12-2は、転送順位が2位なので、子機又はサテライト機等と言うこともできる。
【0065】
図5は、登録機11-1が有する会計機状態フラグ81を示す模式図である。会計機状態フラグ81は、例えばメインメモリ32の揮発性メモリ領域で記憶される。会計機状態フラグ81は、転送順位Nが1位の第1会計機12-1を決済情報の送信先としているか否かを判別可能な値を記憶するための領域である。値は、“0”又は“1”の1ビットデータである。本実施形態では、第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合の会計機状態フラグ81の値を“0”、決済情報の送信先としていない場合の会計機状態フラグ81の値を“1”とする。第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合の会計機状態フラグ81の値を“1”、決済情報の送信先としていない場合の会計機状態フラグ81の値を“0”としてもよい。
【0066】
[取引処理システムの機能]
取引処理システム100の主要な機能について、図6乃至図16を用いて説明する。なお、以下に説明する機能に係る処理及び手順は一例である。同様な効果を奏し得るのであればその手順又は処理の内容は適宜変更することができる。
【0067】
はじめに、取引の決済に係る第1の機能について説明する。第1の機能は、登録機11-1においては、作成手段311及び送信手段312としての機能が関係する。第1会計機12-1及び第2会計機12-2においては、決済手段511としての機能が関係する。作成手段311及び送信手段312としての機能は、第1の情報処理に基づくものである。決済手段511としての機能は、第4の情報処理又は第5の情報処理に基づくものである。
【0068】
図6及び図7は、登録機11-1のプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第1の情報処理の手順を示す流れ図である。客22は、売場に陳列されている商品の中から購入する商品を買物籠等に入れ、チェックアウトレーンに向かう。客22がチェックアウトレーンに来ると、チェッカとしての役割を担う店員21は、登録機11-1に対して登録開始の宣言操作を行う。この操作により、登録機11-1の登録プログラムが起動し、プロセッサ31は、図6及び図7の流れ図で手順が示される第1の情報処理を開始する。
【0069】
プロセッサ31は、ACT1としてタッチパネル38に登録画面を表示させる。登録画面は、例えば明細領域と合計領域とを配置し、さらに小計ボタンのアイコンを配置した画面である。明細領域は、一連の番号順に、商品名、個数、単価及び金額をリスト形式で表示するための領域である。合計領域は、明細領域に表示された個数の合計(点)と金額の合計(円)とをそれぞれ表示するための領域である。小計ボタンは、客22が購入する商品の小計出力を指示するために店員21がタッチ操作する操作子である。
【0070】
登録画面の表示を制御したプロセッサ31は、ACT2として商品に係るデータが入力されるのを待ち受ける。多くの商品には、その商品の識別情報である商品コードを表すバーコードが付されている。そこで店員21は、スキャナ37を操作して客22の買上商品に付されたバーコードを読み取る。スキャナ37でバーコードが読み取られることによって、買上商品の商品コードが登録機11-1に入力される。一方、生鮮食品などの一部の商品にはバーコードが付されていないことがある。買上商品にバーコードが付されていない場合、店員21は、タッチパネル38に表示される商品ボタン群の中から、買上商品に対応した商品ボタンをタッチする。商品ボタンがタッチされると、その商品ボタンに対応した商品の商品コードが登録機11-1に入力される。
【0071】
プロセッサ31は、商品コードが入力されると、ACT2においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT3として商品販売データ処理を実行する。すなわちプロセッサ31は、スキャナ37又はタッチパネル38を介して入力された商品コードで識別される商品の商品レコードから商品名、単価、属性等の商品データを取得する。そしてプロセッサ31は、商品コード、商品名、単価、販売点数、販売金額、属性等の項目を含む商品販売データを、トランザクションメモリに登録する。トランザクションメモリは、メインメモリ32における揮発性メモリ領域の一部である。
【0072】
商品販売データ処理を終えたプロセッサ31は、ACT4として小計ボタンが入力されたか否かを確認する。店員は、客22の買上商品の商品コードを入力するための操作を順次行う。そして、全ての買上商品の商品コードを入力し終えると、小計ボタンをタッチ操作する。
【0073】
プロセッサ31は、小計ボタンが入力されず、次の商品の商品コードが入力された場合、ACT4においてNOへと進み、さらにACT2においてYESへと進む。すなわちプロセッサ31は、ACT3として商品販売データ処理を実行する。その結果、買上商品の商品販売データがトランザクションメモリに登録される。
【0074】
小計ボタンが入力されると、プロセッサ31は、ACT4においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT5として小計画面を表示させる。小計画面は、合計領域を配置し、さらに支払いボタン等のアイコンを配置した画面である。合計領域は、登録画面の合計領域と同じである。支払いボタンは、代金の支払いを指示するために店員21がタッチ操作する操作子である。小計画面を確認した店員21は、支払いボタンをタッチ操作する。
【0075】
小計画面の表示を制御したプロセッサ31は、ACT6として支払いボタンが入力されるのを待ち受ける。店員21により支払ボタンが入力された場合には、プロセッサ31は、ACT6においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT7として決済情報を作成する。すなわちプロセッサ31は、トランザクションメモリに登録された各買上商品の商品販売データ及びその合計点数並びに合計金額のデータと、取引番号、取引日時、登録機の端末ID等の取引特定データとにより、取引の決済に必要な決済情報を作成する。
【0076】
決済情報を作成し終えると、プロセッサ31は、図7のACT8へと進む。プロセッサ31は、ACT8として会計機状態フラグ81を取得する。プロセッサ31は、ACT9として会計機状態フラグ81の値が“0”であるか“1”であるかを確認する。
【0077】
会計機状態フラグ81の値が“0”、すなわち第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合には、プロセッサ31は、ACT9においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT10として接続状態テーブル71を参照し、転送順位Nが1位に設定されている第1会計機12-1の端末IDを選択する。
【0078】
会計機状態フラグ81の値が“1”、すなわち第1会計機12-1を決済情報の送信先としていない場合には、プロセッサ31は、ACT9においてNOへと進む。プロセッサ31は、ACT11として接続状態テーブル71を参照し、転送順位Nが2位に設定されている第2会計機12-2の端末IDを選択する。
【0079】
ACT10又はACT11の処理を終えると、プロセッサ31は、ACT12へと進む。プロセッサ31は、ACT12として、ACT10又はACT11の処理で取得した端末IDで特定される会計機を送信先として決済情報を送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、ACT10において第1会計機12-1の端末IDが選択された場合には、第1会計機12-1を送信先として決済情報がネットワーク14に送信される。ACT11において第2会計機12-2の端末IDが選択された場合には、第2会計機12-2を送信先として決済情報がネットワーク14に送信される。
【0080】
決済情報の送信を制御したプロセッサ31は、ACT13として送信エラーが発生したか否かを確認する。例えば、送信先の会計機12がダウンしていたり、ネットワーク14に通信障害が発生していたりした場合、決済情報の送信がエラーとなる。決済情報の送信がエラーになると、プロセッサ31は、ACT13においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT14として決済情報の送信エラーを報知する。例えばプロセッサ31は、タッチパネル38に送信エラーのメッセージを表示させて報知する。
【0081】
決済情報の送信がエラーとならない場合、プロセッサ31は、ACT13においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT15として会計機12から決済可能通知コマンドを受信したか否かを確認する。因みに、決済情報が会計機12-1又は12-2に送信された場合、いずれかの会計機12から決済可能通知コマンド又はビジィ通知コマンドが返信される。
【0082】
プロセッサ31は、決済可能通知コマンドでなくビジィ通知コマンドを受信した場合には、ACT15においてNOへと進み、ACT8へと戻る。そしてプロセッサ31は、ACT8以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0083】
プロセッサ31は、決済可能通知コマンドを受信した場合には、ACT15においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT16として会計先の会計機を通知する。すなわちプロセッサ31は、決済可能通知コマンドの送信元が第1会計機12-1の場合には、第1会計機12-1が会計先であることを通知する。プロセッサ31は、決済可能通知コマンドの送信元が第2会計機12-2の場合には、第2会計機12-2が会計先であることを通知する。通知は、タッチパネル38を利用して店員21に対して行ってもよいし、客用ディスプレイ39を利用して客22に対して行ってもよい。客22は、会計先として通知された第1会計機12-1又は第2会計機12-2の設置場所まで移動し、会計機12を操作して、セルフで会計を行う。
【0084】
以上で、プロセッサ31は、第1の情報処理を終了する。
ここに、登録機11-1のプロセッサ31は、ACT7の処理により作成手段311としての機能を実現する。また、同プロセッサ31は、ACT8乃至ACT12の処理により送信手段312としての機能を実現する。
【0085】
図8は、第1会計機12-1のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第4の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT21として決済情報を待ち受けている。登録機11-1から送信された決済情報を通信ユニット55で受信すると、プロセッサ51は、ACT21においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT22として第1会計機12-1が決済処理を実行可能であるか否かを確認する。例えば前の客の決済処理が終了していない場合、第1会計機12-1は、次の客の決済処理を実行することはできない。また、プリンタ59の用紙詰まり、用紙切れ等のプリンタエラー、あるいは釣銭機の貨幣詰まり、釣銭切れなどの釣銭機エラーが発生している場合、第1会計機12-1は、決済処理を実行することができない。
【0086】
第1会計機12-1が決済処理を実行可能である場合、プロセッサ51は、ACT22においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT23として決済可能通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対して決済可能通知コマンドが送信される。
【0087】
プロセッサ51は、ACT24として決済処理を実行する。具体的には、プロセッサ51は、タッチパネル58の画面を支払方法選択画面とする。支払方法選択画面は、例えば、現金ボタン、クレジットボタン、電子マネーボタン等の支払い方法を選択するための操作子を配置した画面である。第1会計機12-1の設置場所に移動した客は、希望する支払方法に対応したボタンにタッチする。すなわち、現金支払いを希望する客は現金ボタンにタッチし、クレジットカード支払いを希望する客はクレジットボタンにタッチし、電子マネー支払いを希望する客は電子マネーボタンにタッチする。
【0088】
支払方法選択画面の表示を制御したプロセッサ51は、いずれかの支払方法が選択されるのを待ち受ける。そして、支払方法が選択されたならば、プロセッサ51は、その支払方法に対応した決済処理を実行する。例えば支払方法として現金が選択された場合、プロセッサ51は、自動釣銭機に投入された金額から合計金額を差し引き、釣銭を算出して自動釣銭機から払い出す処理を実行する。例えば支払方法としてクレジットカードが選択された場合、プロセッサ51は、リーダ・ライタ60で読み取ったクレジットカードの認証を行い、サーバ13で承認されたことを条件に合計金額をクレジット決済金額として確定する。例えば支払方法として電子マネーが選択された場合、プロセッサ51は、リーダ・ライタ60で読み取った電子マネー媒体の残高から合計金額を引き去る。
【0089】
こうして、支払方法別の決済処理が終了すると、プロセッサ51は、ACT25としてプリンタ59を制御し、取引レシートを発行する。取引レシートには、決済情報、つまりは取引番号、取引日時、端末ID、商品販売データ、合計点数、合計金額等が印刷される。
【0090】
一方、第1会計機12-1が決済処理を実行不可能である場合には、プロセッサ51は、ACT22においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT26として接続状態テーブル71を参照し、自機の端末IDに関連付けられた転送順位Nを取得する。次いでプロセッサ51は、ACT27としてその転送順位Nに“1”を加算した順位が転送順位Nとして設定された他の会計機12-2を選択する。そしてプロセッサ51は、ACT28としてその選択した他の会計機12-2を宛先として決済情報を送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、転送順位Nが2位である第2会計機12-2を送信先として決済情報がネットワーク14に送信(転送)される。
【0091】
決済情報の送信(転送)を制御したプロセッサ51は、ACT29として送信エラーが発生したか否かを確認する。例えば、送信先の会計機12-2がダウンしていた場合、決済情報の送信がエラーとなる。決済情報の送信がエラーになると、プロセッサ51は、ACT29においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT30としてビジィ通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対してビジィ通知コマンドが送信される。
【0092】
以上で、プロセッサ51は、第4の情報処理を終了する。
ここに、第1会計機12-1のプロセッサ51は、ACT24の処理により決済手段511としての機能を実現する。また、第1会計機12-1のプロセッサ51は、ACT25乃至ACT27の処理により転送手段としての機能を実現する。
【0093】
図9は、第2会計機12-2のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第5の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT31として決済情報を待ち受けている。第1会計機12-1から送信された決済情報を通信ユニット55で受信すると、プロセッサ51は、ACT31においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT32として第2会計機12-2が決済処理を実行可能であるか否かを確認する。例えば前の客の決済処理が終了していない場合、第2会計機12-2は、次の客の決済処理を実行することはできない。また、プリンタ59の用紙詰まり、用紙切れ等のプリンタエラー、あるいは釣銭機の貨幣詰まり、釣銭切れなどの釣銭機エラーが発生している場合、第2会計機12-2は、決済処理を実行することができない。
【0094】
第2会計機12-2が決済処理を実行可能である場合、プロセッサ51は、ACT32においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT33乃至ACT35として、図8のACT23乃至ACT25と同様の処理を実行する。すなわちプロセッサ51は、ACT33として決済可能通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。またプロセッサ51は、ACT34として決済処理を実行する。その後、プロセッサ51は、ACT35としてプリンタ59を制御し、取引レシートを発行する。
【0095】
一方、第2会計機12-2が決済処理を実行不可能である場合には、プロセッサ51は、ACT32においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT36として接続状態テーブル71を参照し、自機の端末IDに関連付けられた転送順位Nを取得する。そしてプロセッサ51は、ACT37としてその転送順位Nが接続状態テーブル71に記述されているレコードの転送順位Nの中で最下位であるか否かを確認する。
【0096】
グループに属する会計機12が2台の場合、第2会計機12-2に設定された転送順位N、すなわち2位は最下位である。転送順位Nが最下位である場合、プロセッサ51は、ACT37においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT38としてビジィ通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対して決済可能通知コマンドが送信される。
【0097】
なお、グループに属する会計機12が3台以上の場合、第2会計機12-2に設定された転送順位Nは最下位ではない。転送順位Nが最下位でない場合、プロセッサ51は、ACT37においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT39としてその転送順位Nに“1”を加算した順位が転送順位Nとして設定された他の会計機12を選択する。そしてプロセッサ51は、ACT40としてその選択した他の会計機12を宛先として決済情報を送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、転送順位Nがより下位の会計機12を送信先として決済情報がネットワーク14に送信(転送)される。
【0098】
決済情報の送信(転送)を制御したプロセッサ51は、ACT41として送信エラーが発生したか否かを確認する。決済情報の送信がエラーになると、プロセッサ51は、ACT41においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT42としてビジィ通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対してビジィ通知コマンドが送信される。
【0099】
以上で、プロセッサ51は、第5の情報処理を終了する。
ここに、第2会計機12-2のプロセッサ51は、ACT34の処理により決済手段511としての機能を実現する。また、第2会計機12-2のプロセッサ51は、ACT36乃至ACT40の処理により転送手段としての機能を実現する。
【0100】
以上、第1の機能の説明から明らかなように、登録機11-1が第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合、すなわち会計機状態フラグ81の値が“0”である場合、登録機11-1で作成された決済情報は、第1会計機12-1へと送信される。このとき、第1会計機12-1が決済処理を実行できる状態であるとき、第1会計機12-1から登録機11-1へと決済可能通知コマンドが送信される。これにより、登録機11-1の店員21は、客22に対し、第1会計機12-1で会計を行うように指示できる。客22は、第1会計機12-1の設置場所に移動して会計のための操作をセルフで行う。この操作を受けて、第1会計機12-1は決済処理を実行する。
【0101】
一方、第1会計機12-1が決済処理を実行できない状態にあるとき、第1会計機12-1から第2会計機12-2へと決済情報が転送される。このとき、第2会計機12-2が決済処理を実行できる状態にあるとき、第2会計機12-2から登録機11-1へと決済可能通知コマンドが送信される。これにより、登録機11-1の店員21は、客22に対し、第2会計機12-2で会計を行うように指示できる。客22は、第2会計機12-2の設置場所に移動して会計のための操作をセルフで行う。この操作を受けて、第2会計機12-2は決済処理を実行する。
【0102】
このように、取引処理システム100は、第1会計機12-1又は第2会計機12-2の少なくとも一方が決済処理を実行できる状態にあれば、登録機11-1で買上商品の販売データが登録処理された客22との取引を決済することができる。
【0103】
ただし、第1会計機12-1から第2会計機12-2へと決済情報が送信(転送)されたが、第2会計機12-2が決済処理を実行できない状態にあるとき、第2会計機12-2から登録機11-1へとビジィ通知コマンドが送信される。また、第1会計機12-1と第2会計機12-2との通信異常により、第2会計機12-2への決済情報の送信がエラーとなった場合には、第1会計機12-1から登録機11-1へとビジィ通知コマンドが送信される。ビジィ通知コマンドを受信した登録機11-1は、再び、決済情報を第1会計機12-1へと送信する。したがって、少なくとも第1会計機12-1において、例えば前の客との決済が終了して決済処理を実行可能な状態となることにより、取引処理システム100は、客22との取引を決済することができる。
【0104】
しかしながら、第1会計機12-1がダウンしていたために登録機11-1から第1会計機12-1へと決済情報を送信できない場合、たとえ第2会計機12-2が正常に動作していても、決済情報が第2会計機12-2に送信(転送)されない。このため、取引処理システム100は、客22との取引を決済することができない。
【0105】
そこで次に、このような不具合を解消するために取引処理システム100が有している第2の機能について説明する。第2の機能は、登録機11-1においては、状態確認手段313、変更手段314及び復旧手段315としての機能が関係する。第1会計機12-1及び第2会計機12-2においては、確認通知手段512及び変更通知手段513としての機能が関係する。状態確認手段313としての機能は、第2の情報処理に基づくものである。変更手段314及び復旧手段315としての機能は、第3の情報処理に基づくものである。確認通知手段512としての機能は、第6の情報処理に基づくものである。変更通知手段513としての機能は、第7の情報処理に基づくものである。
【0106】
図10は、第1会計機12-1及び第2会計機12-2のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第6の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT51として会計機確認通知の通知タイミングであるか否かを確認する。プロセッサ51は、会計機モードで立ち上げられた後、図示しない監視タイマを起動する。そして、この監視タイマのカウント値が設定値をカウントする毎に、プロセッサ51は、ACT51においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT52として確認開始通知コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対して確認開始通知コマンドが送信される。
【0107】
以上で、プロセッサ51は、第6の情報処理を終了する。
このように、第1会計機12-1及び第2会計機12-2は、同じグループの登録機11-1に対し、監視タイマの設定値に応じた時間間隔で定期的に確認開始通知コマンドを送信する。なお、監視タイマの設定値は、任意である。例えば、システムの管理者によって適正な値が設定される。
【0108】
ここに、第1会計機12-1及び第2会計機12-2のプロセッサ51は、ACT51及びACT52の処理により確認通知手段512としての機能を実現する。
【0109】
図11は、登録機11-1のプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ31は、ACT61として確認開始通知コマンドを待ち受ける。プロセッサ31は、通信ユニット35を介して確認開始通知コマンドを受信すると、ACT61においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT62として接続状態テーブル71を参照し、転送順位Nが1位に設定された端末IDを選択する。プロセッサ31は、ACT63としてその選択された端末IDで識別される会計機12、つまりは第1会計機12-1に対し、状態確認コマンドを送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、第1会計機12-1に対して状態確認コマンドが送信される。
【0110】
状態確認コマンドの送信を制御したプロセッサ31は、ACT64として送信エラーが発生したか否かを確認する。例えば、第1会計機12-1がダウンしている場合、状態確認コマンドの送信がエラーとなる。状態確認コマンドの送信がエラーになると、プロセッサ31は、ACT64においてYESへと進み、ACT67の処理へと移行する。ACT67以降の処理については後述する。
【0111】
状態確認コマンドを受信した第1会計機12-1のプロセッサ51は、状態確認に必要な情報、いわゆる会計機情報を収集する。そしてプロセッサ51は、会計機情報を含む確認応答コマンドを登録機11-1に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対して確認応答コマンドが送信される。確認応答コマンドには、会計機情報が含まれる。会計機情報は、例えば第1会計機12-1の動作モードが会計機モードなのかトレーニングモードなのかを識別する情報、プリンタ59にエラーが発生しているか否かを識別する情報、釣銭機インターフェース56に接続される釣銭機にエラーが発生しているか否かを識別する情報等である。なお、会計機情報は、上述した情報に限定されるものではない。
【0112】
状態確認コマンドの送信がエラーとならない場合、プロセッサ31は、ACT64においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT65として第1会計機12-1からの確認応答コマンドを待ち受ける。通信ユニット35を介して確認応答コマンドを受信すると、プロセッサ31は、ACT65においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT66としてその確認応答コマンドに含まれる会計機情報をメインメモリ32の一時メモリに記憶する。その後、プロセッサ31は、ACT67へと進む。
【0113】
このように、プロセッサ31は、状態確認コマンドの送信がエラーとなるか、状態確認コマンドに対する応答コマンドの会計機情報を一時メモリに記憶すると、ACT67の処理へと移行する。
【0114】
プロセッサ31は、ACT67として会計機状態フラグ81を取得する。そしてプロセッサ31は、ACT68として確認開始通知コマンドの送信元に対し、確認終了通知コマンドを送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、確認開始通知コマンドの送信元が第1会計機12-1である場合には、当該第1会計機12-1に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認開始通知コマンドの送信元が第2会計機12-2である場合には、当該第2会計機12-2に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認終了通知コマンドには、ACT67の処理で取得した会計機状態フラグ81が含まれる。また、ACT66において一時メモリに会計機情報が記憶されている場合には、その会計機情報も確認終了通知コマンドに含まれる。そして、一時メモリはクリアされる。
【0115】
以上で、プロセッサ31は、第2の情報処理を終了する。
このように、登録機11-1は、同じグループの第1会計機12-1又は第2会計機12-2から定期的に送信される確認開始通知コマンドを受信する毎に、転送順位1位に設定されている第1会計機12-1の会計機情報を取得する。そして登録機11-1は、確認開始通知コマンドの送信元である第1会計機12-1又は第2会計機12-2に対し、取得した会計機情報と現時点における会計機状態フラグ81とを含む確認終了通知コマンドを送信する。なお、第1会計機12-1から会計機情報を取得できなかった場合には、会計機状態フラグ81を含む確認終了通知コマンドを送信する。なお、会計機状態フラグ81に加えて、会計機情報を取得できなかったことを示す情報を含んでもよい。
【0116】
ここに、登録機11-1のプロセッサ31は、ACT62乃至ACT68の処理を実行することにより、状態確認手段313としての機能を実現する。
【0117】
図12は、第1会計機12-1及び第2会計機12-2のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第7の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT71として確認終了通知コマンドを待ち受ける。プロセッサ51は、通信ユニット55を介して確認終了通知コマンドを受信すると、ACT71においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT72として接続状態テーブル71を参照して、自機の端末IDに関連付けられた転送順位Nを取得する。
【0118】
プロセッサ51は、ACT73として転送順位Nが1位であるか否かを確認する。転送順位Nが1位の場合、すなわち第1会計機12-1の場合、プロセッサ51は、ACT73においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT74として確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態フラグ81を調べる。会計機状態フラグ81が“0”の場合、すなわち登録機11-1が第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合には、プロセッサ51は、ACT74においてNOへと進み、第7の情報処理を終了する。
【0119】
会計機状態フラグ81が“1”の場合、すなわち登録機11-1が第1会計機12-1を決済情報の送信先としていない場合には、プロセッサ51は、ACT74においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT75として登録機11-1に対しマスタ宣言コマンドを送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドが送信される。マスタ宣言コマンドの送信を制御したプロセッサ51は、第7の情報処理を終了する。
【0120】
一方、転送順位Nが1位でない場合、すなわち第2会計機12-2の場合には、プロセッサ51は、ACT73においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT76として確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態フラグ81を調べる。会計機状態フラグ81が“1”の場合、すなわち登録機11-1が第1会計機12-1を決済情報の送信先としていない、つまりは第2会計機12-2を送信先としている場合には、プロセッサ51は、ACT76においてYESへと進み、第7の情報処理を終了する。
【0121】
会計機状態フラグ81が“0”の場合、すなわち登録機11-1が第1会計機12-1を決済情報の送信先としている場合には、プロセッサ51は、ACT75においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT77として確認終了通知コマンドに第1会計機12-1の会計機情報が含まれているか否かを確認する。会計機情報が含まれていない場合、プロセッサ51は、ACT77においてNOへと進み、前述したACT75の処理へと移行する。すなわちプロセッサ51は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信するように通信ユニット55を制御して、第7の情報処理を終了する。
【0122】
確認終了通知コマンドに会計機情報が含まれている場合には、プロセッサ51は、ACT77においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT78としてその会計機情報を分析する。そしてプロセッサ51は、第1会計機12-1が会計可能な状態であるか否かを判定する。
【0123】
前述したように、会計機情報には、例えば第1会計機12-1の動作モードが会計機モードなのかトレーニングモードなのかを識別する情報、プリンタ59にエラーが発生しているか否かを識別する情報、釣銭機インターフェース56に接続される釣銭機にエラーが発生しているか否かを識別する情報等がある。プロセッサ51は、第1会計機12-1の動作モードが会計機モードであり、且つ、プリンタ59及び釣銭機にエラーが発生していない場合、第1会計機12-1が会計可能であると判定する。プロセッサ51は、第1会計機12-1の動作モードがトレーニングモードである場合、あるいはプリンタ59又は釣銭機にエラーが発生している場合、第1会計機12-1が会計不可能であると判定する。
プロセッサ51は、第1会計機12-1が会計可能であると判定した場合には、ACT78においてYESへと進み、第7の情報処理を終了する。
【0124】
プロセッサ51は、第1会計機12-1が会計不可能であると判定した場合には、ACT78においてNOへと進み、前述したACT75の処理を実行する。すなわちプロセッサ51は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信するように通信ユニット55を制御して、第7の情報処理を終了する。
【0125】
このように、転送順位が1位の第1会計機12-1は、確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態フラグ81が“1”である場合、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。会計機状態フラグ81が“1”である場合、登録機11-1においては決済情報の送信先が第1会計機12-1に設定されていない。このような事象は、第1会計機12-1がダウンした場合に起こり得る。その後、第1会計機12-1が復旧すると、第1会計機12-1は、登録機11-1に対して確認開始通知コマンドを再び送信する。そして、この確認開始通知コマンドに対する応答コマンドである確認開始通知コマンドには、会計機状態フラグ81として“1”が含まれる。そこで、第1会計機12-1は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。すなわち、第1会計機12-1において、確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態フラグ81が“1”である場合、送信先変更条件を満足することとなる。
【0126】
一方、転送順位が2位の第2会計機12-2は、確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態フラグ81が“1”の場合、すなわち、登録機11-1において決済情報の送信先が第2会計機12-2に変更されている場合には、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信しない。
【0127】
これに対し、会計機状態フラグ81が“0”の場合においては、以下の送信先変更条件を満足する場合に、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。
第1の条件は、確認終了通知コマンドに会計機情報が含まれていない場合である。確認終了通知コマンドに会計機情報が含まれていないということは、第1会計機12-1がダウンしたことを意味する。そこで、第2会計機12-2は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。
【0128】
第2の条件は、確認終了通知コマンドに含まれる会計機情報を分析した結果、第1会計機12-1が会計不可能な状態であると認識した場合である。この場合も、第2会計機12-2は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。
【0129】
ここに、第1会計機12-1及び第2会計機12-2のプロセッサ31は、ACT75の処理を実行することにより、変更通知手段513としての機能を実現する。なお、第1会計機12-1の変更通知手段513と第2会計機12-2の変更通知手段513とを区別するために、第2会計機12-2の変更通知手段513を第1の変更通知手段513と言い換え、第1会計機12-1の変更通知手段513を第2の変更通知手段513と言い換えてもよい。
【0130】
図13は、登録機11-1のプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ31は、ACT81としてマスタ宣言コマンドを待ち受ける。プロセッサ31は、通信ユニット35を介してマスタ宣言コマンドを受信すると、ACT81においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT82として登録機11-1がアイドル中であるか否かを確認する。アイドル中とは、プロセッサ31が第1の情報処理又は第2の情報処理等を実行していない状態である。登録機11-1がアイドル中でない場合、プロセッサ31は、ACT82においてNOへと進み、第3の情報処理を終了する。
【0131】
登録機11-1がアイドル中のときにマスタ宣言コマンドを受信した場合には、プロセッサ31は、ACT82においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT83として会計機状態フラグ81を調べる。
【0132】
会計機状態フラグ81が“0”である場合、プロセッサ31は、ACT83においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT84として会計機状態フラグ81を“0”から“1”に変更する。会計機状態フラグ81が“1”である場合には、プロセッサ31は、ACT83においてNOへと進む。プロセッサ31は、ACT85として会計機状態フラグ81を“1”から“0”に変更する。以上で、プロセッサ31は、第3の情報処理を終了する。
【0133】
このように、登録機11-1は、会計機状態フラグ81が“0”のときにマスタ宣言コマンドを受信すると、会計機状態フラグ81を“0”から“1”に変更する。会計機状態フラグ81が“0”のときにマスタ宣言コマンドを送信するのは、第2会計機12-2である。そして、会計機状態フラグ81が“0”から“1”に変更されると、登録機11-1のプロセッサ31は、第1の情報処理のACT9においてNOへと進み、ACT11の処理を実行する。すなわちプロセッサ31は、転送順位Nが2位に設定されている第2会計機12-2の端末IDを接続状態テーブル71から選択する。そしてプロセッサ31は、この端末IDで特定される第2会計機12-2を送信先として、決済情報を送信する。
【0134】
このように、第2会計機12-2からマスタ宣言コマンドが送信されると、決済情報の送信先が自動的に第1会計機12-1から第2会計機12-2へと変更される。第2会計機12-2がマスタ宣言コマンドを送信するのは、前述した第1の条件又は第2の条件を満足する場合である。したがって、取引処理システム100は、第1会計機12-1がダウンするか、会計不可能な状態に陥ると、決済情報の送信先が自動的に第1会計機12-1から第2会計機12-2へと変更される。よって、第1会計機12-1がダウンしても客22の決済処理が滞ることはない。
【0135】
また登録機11-1は、会計機状態フラグ81が“1”のときにマスタ宣言コマンドを受信すると、会計機状態フラグ81を“1”から“0”に変更する。会計機状態フラグ81が“1”のときにマスタ宣言コマンドを送信するのは、第1会計機12-1である。そして、会計機状態フラグ81が“1”から“0”に変更されると、登録機11-1のプロセッサ31は、第1の情報処理のACT9においてYESへと進み、ACT10の処理を実行する。すなわちプロセッサ31は、転送順位Nが1位に設定されている第1会計機12-1の端末IDを接続状態テーブル71から選択する。そしてプロセッサ31は、この端末IDで特定される第1会計機12-1を送信先として、決済情報を送信する。
【0136】
このように、第1会計機12-1からマスタ宣言コマンドが送信されると、決済情報の送信先が自動的に第2会計機12-2から第1会計機12-1へと変更される。第1会計機12-1がマスタ宣言コマンドを送信するのは、前述したようにダウンしていた第1会計機12-1が復旧した場合である。したがって、取引処理システム100は、第1会計機12-1がダウンから復旧した場合、速やかに、決済情報の送信先を第1会計機12-1へと戻すことができる。
【0137】
ここに、登録機11-1のプロセッサ31は、ACT84の処理を実行することにより、変更手段314としての機能を実現する。また同プロセッサ31は、ACT85の処理を実行することにより、復旧手段315としての機能を実現する。
【0138】
次に、上述した第2の機能において、登録機11-1と第1会計機12-1及び第2会計機12-2との間で授受されるコマンドのシーケンスを説明する。
図14は、第1会計機(会計機1)12-1において例えばプリンタエラーが発生した場合のシーケンス図である。始めにプリンタエラーが発生していない場合、第1会計機12-1は、確認開始通知コマンド(Pa)を登録機11-1へと送信する。この確認開始通知コマンド(Pa)を受けて、登録機11-1は、状態確認コマンド(Pb)を第1会計機12-1へと送信し、第1会計機12-1から確認応答コマンド(Pc)を受信すると、会計機情報と会計機状態フラグ81とを含む確認終了通知コマンド(Pd)を第1会計機12-1へと送信する。このとき、会計機状態フラグ81は“0”であるので、第1会計機12-1は、マスタ宣言コマンドを登録機11-1へと送信しない。
【0139】
一方、第2会計機(会計機2)12-2は、確認開始通知コマンド(Qa)を登録機11-1へと送信する。この確認開始通知コマンド(Qa)を受けて、登録機11-1は、状態確認コマンド(Qb)を第1会計機12-1へと送信し、第1会計機12-1から確認応答コマンド(Qc)を受信すると、会計機情報と会計機状態フラグ81とを含む確認終了通知コマンド(Qdx)を第2会計機12-2へと送信する。このとき、会計機状態フラグ81は“0”であり、会計機情報は送信先変更条件を満足していないので、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンドを登録機11-1へと送信しない。
【0140】
この時点では、決済情報は、登録機11-1から第1会計機12-1へと送信される。そして、第1会計機12-1が決済可能な状態であれば、第1会計機12-1で決済処理が実行される。第1会計機12-1が例えばビジィ状態にある場合には、第1会計機12-1から第2会計機12-2へと決済情報が転送される。そして、第2会計機12-2で決済処理が実行される。
【0141】
その後、第1会計機12-1にプリンタエラーが発生したと仮定する。その場合、登録機11-1から第2会計機12-2へと送信される確認終了通知コマンド(Qdy)に含まれる会計機情報は、送信先変更条件を満足する。したがって第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を登録機11-1へと送信する。その結果、決済情報の送信先が第1会計機12-1から第2会計機12-2へと変更される。以後、第2会計機12-2で決済処理が実行される。
【0142】
図15は、第1会計機12-1がダウンした場合のシーケンス図である。第1会計機12-1はダウンしているため、確認開始通知コマンド(Pa)を送信しない。このため、確認開始通知コマンド(Pa)に応じて登録機11-1と第1会計機12-1との間で行われていた状態確認コマンド(Pb)、確認応答コマンド(Pc)及び確認終了通知コマンド(Pd)の授受も行われない。
【0143】
一方、第2会計機12-2からは確認開始通知コマンド(Qa)が送信される。そして、この確認開始通知コマンド(Qa)を受けて、登録機11-1は、状態確認コマンド(Qb)を第1会計機12-1へと送信する。しかし、状態確認コマンド(Qb)の送信はエラーとなり、確認応答コマンド(Qc)を受信し得ない。このため、登録機11-1から第2会計機12-2へと送信される確認終了通知コマンド(Qdz)には、会計機情報が含まれておらず、送信先変更条件を満足する。したがって、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を登録機11-1へと送信する。その結果、それ以後は、登録機11-1から第2会計機12-2へと決済情報が送信される。そして、第2会計機12-2で決済処理が実行される。
【0144】
図16は、第1会計機12-1がダウンから復旧した場合のシーケンス図である。第1会計機12-1が復旧する前に、登録機11-1から第2会計機12-2へと送信される確認終了通知コマンド(Qdz)に含まれる会計機状態フラグ81は“1”である。したがって、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を送信しない。
【0145】
第1会計機12-1が復旧すると、第1会計機12-1は、確認開始通知コマンド(Pa)の送信を再開する。この確認開始通知コマンド(Pa)を受けて、登録機11-1は、状態確認コマンド(Pb)を第1会計機12-1へと送信し、第1会計機12-1から確認応答コマンド(Pc)を受信すると、会計機情報と会計機状態フラグ81とを含む確認終了通知コマンド(Pd)を第1会計機12-1へと送信する。このとき、会計機状態フラグ81は“1”であるので、第1会計機12-1は、マスタ宣言コマンド(Pe)を登録機11-1へと送信する。その結果、決済情報の送信先が第2会計機12-2から第1会計機12-1へと戻される。
【0146】
その後、第2会計機12-2からの確認開始通知コマンド(Qa)に対して登録機11-1から第2会計機12-2へと送信される確認終了通知コマンド(Qdx)には、正常状態の会計機情報が含まれる。また、会計機状態フラグ81も“0”に変更されている。したがって、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を送信しない。
【0147】
なお、図14乃至図16に示したシーケンスの例では、各会計機12-1,12-2は、登録機11-1から確認終了通知コマンド(Pd,Qd)が送信された後に確認開始通知コマンド(Pa,Qa)を送信するように図示している。しかし実際には、登録機11-1は、一方の会計機に確認終了通知コマンド(Pd,Qd)を送信する前に他方の会計機から確認開始通知コマンド(Pa,Qa)を受信する場合があり得る。そのような場合、登録機11-1は、一方の会計機に確認終了通知コマンド(Pd,Qd)を送信した後で、他方の会計機からの確認開始通知コマンド(Pa,Qa)に応じた処理、つまりは状態確認コマンドの送信と、確認応答コマンドの受信と、確認終了通知コマンドの送信と、を実行する。
【0148】
以上詳述したように、取引処理システム100によれば、第1会計機12-1がダウンして登録機11から決済情報を第1会計機12-1に送信できなくなった場合でも、決済情報の送信先がすぐに第2会計機12-2へと変更される。また、第1会計機12-1にプリンタエラー、釣銭機エラー等の障害が発生して決済不能となった場合も同様である。したがって、決済情報の送信先である第1会計機12-1に異常が発生しても、取引の決済が滞ってしまうのを未然に防ぐことができる。その結果、処理効率の高い取引処理システムを提供することができる。
【0149】
また、第1会計機12-1が復旧した場合には、速やかに決済情報の送信先を第1会計機12-1へと戻すことができる。一般に、セミセルフタイプの取引処理システムにおいては、客の移動効率が良好な会計機を第1会計機12-1とする傾向がある。したがって、第1会計機12-1の異常に伴う影響を極力小さくすることができる。
【0150】
登録機11は、決済情報の送信先となる会計機を識別するための情報を、1ビットデータの会計機状態フラグ81としている。したがって、登録機11のメモリ容量に影響を及ぼすこともない。
【0151】
なお、本実施形態では、登録機11のプロセッサ31が第2の情報処理及び第3の情報処理を登録プログラムに従って実行するものとして説明した。第2の情報処理及び第3の情報処理を実行させるためのプログラムは、登録プログラムに限定されない。プロセッサ31は、登録プログラムとは別のプログラムに従って第2の情報処理及び第3の情報処理を実行してもよい。同様に、会計機12のプロセッサ51が第5の情報処理乃至第7の情報処理を実行するためのプログラムは、決済プログラムに限定されない。プロセッサ51は、決済プログラムとは別のプログラムに従って第5の情報処理乃至第7の情報処理を実行してもよい。
【0152】
確認開始通知コマンドを送信する会計機12は、登録機11において決済情報の送信先に設定されていない会計機12だけであってもよい。例えば、本実施形態のように、第1会計機12-1が送信先である場合、第2会計機12-2だけが定期的に確認開始通知コマンドを送信する。そして、この確認開始通知コマンドに対して応答される確認終了通知コマンドが送信先変更条件を満たす場合、第2会計機12-2は、登録機11-1に対してマスタ宣言コマンドを送信する。そして第2会計機12-2は、確認開始通知コマンドの送信を停止する。その後、第1会計機12-1が復旧すると、送信先が第1会計機12-1に戻るので、第2会計機12-2は、確認開始通知コマンドの送信を再開する。このような構成であっても、本実施形態と同様の効果を奏し得る。
【0153】
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係る取引処理システム200の概念図である。取引処理システム200は、2台の登録機11(11-1,11-2)と、3台の会計機12(12-1,12-2,12-3)とを含む。各登録機11と各会計機12とは、ネットワーク14で接続される。なお、図示しないが、ネットワーク14には、第1の実施形態と同様にサーバ13も接続されている。
【0154】
取引処理システム200は、一方の登録機11-1と2台の会計機12-1及び会計機12-2とで1つのグループを構成する。また取引処理システム200は、他方の登録機11-2と2台の会計機12-2及び会計機12-3とで1つのグループを構成する。すなわち、一方の登録機11-1と他方の登録機11-2とが、会計機12-2を共有する。したがって、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1台の登録機と2台の会計機とをグループとした取引処理システムである。
【0155】
各登録機11-1,11-2及び各会計機12-1,12-2,12-3のハードウェア構成は、第1の実施形態のものと変わらない。したがって、第2の実施形態においても、図2及び図3をそのまま利用して、説明を省略する。また、各登録機11-1,11-2が会計機状態フラグ81を有している点も、第1の実施形態と同様である。なお、以下の説明では、登録機11-1が有する会計機状態フラグを会計機状態フラグ811と表し、登録機11-2が有する会計機状態フラグを会計機状態フラグ812と表して区別する。
【0156】
図18は、各登録機11-1,11-2及び各会計機12-1,12-2,12-3がそれぞれ有する接続状態テーブル72の主要なデータ構造を示す模式図である。接続状態テーブル72は、例えば補助記憶デバイス33,53で記憶される。会計機12-2を共有する2つのグループの各登録機11-1,11-2及び各会計機12-1,12-2,12-3は、同一内容の接続状態テーブル72を有する。
【0157】
接続状態テーブル72は、図18に示すように、端末ID、グループ番号、会計機番号及び転送順位Nの各要素で構成されるデータレコード721,722,723,724,725及び726を記述する。データレコード721は、登録機11-1に関するデータレコードである。データレコード722は、会計機12-1に関するデータレコードである。データレコード723は、会計機12-2に関するデータレコードである。データレコード724は、登録機11-2に関するデータレコードである。データレコード725は、会計機12-3に関するデータレコードである。データレコード726は、会計機12-2に関するデータレコードである。このように、2つのグループで共有される会計機12-2に関しては、各グループにそれぞれ対応したデータレコード723とデータレコード726が接続状態テーブル72に記述される。
【0158】
端末IDは、各登録機11-1,11-2及び各会計機12-1,12-2,12-3の各端末に対してそれぞれ設定された固有の識別情報である。
【0159】
グループ番号は、1台の登録機11と2台の会計機12とからなるグループを識別するためにグループ毎に設定された番号である。したがって、一方のグループを構成する登録機11-1、会計機12-1及び会計機12-2に対するデータレコード721,722,723のグループ番号は共通となる。他方のグループを構成する登録機11-2、会計機12-3及び会計機12-2に対するデータレコード724,725,726のグループ番号は共通となる。
【0160】
会計機番号は、同じグループを構成する2台の会計機12-1,12-2を個々に識別するために会計機毎に設定された“1”からの連続番号である。なお、同じグループを構成する登録機11-1に対しては、会計機番号として“0”が設定される。
【0161】
転送順位Nは、同じグループを構成する登録機11から送信される決済情報の2台の会計機12に対する転送順位Nを示す“1”からの連続番号である。本実施形態では、一方の登録機11-1が属するグループについては、会計機番号が“1”の会計機12-1の転送順位Nを1位とし、会計機番号が“2”の会計機12-2の転送順位Nを2位とする。他方の登録機11-2が属するグループについては、会計機番号が“3”の会計機12-3の転送順位Nを1位とし、会計機番号が“2”の会計機12-2の転送順位Nを2位とする。以下では、説明の便宜上、一方の登録機11-1を第1登録機11-1と称し、他方の登録機11-2を第2登録機11-2と称する。また、会計機番号が“1”の会計機12-1を第1会計機12-1と称し、会計機番号が“2”の会計機12-2を第2会計機12-2と称し、会計機番号が“3”の会計機12-3を第3会計機12-3と称する。第1会計機12-1及び第3会計機12-3は、転送順位が1位なので、親機又はマスタ機等と言うこともできる。第2会計機12-2は、転送順位が2位なので、子機又はサテライト機等と言うこともできる。なお、2つのグループで共有する第2会計機12-2の転送順位を、一方のグループでは1位とし、他方のグループでは2位としてもよい。
【0162】
取引処理システム200の機能は、基本的には第1の実施形態の取引処理システム100と同様である。したがって、第1の実施形態で説明した図6乃至図13の流れ図は、そのまま第2の実施形態においても採用し、その説明は省略する。
【0163】
ただ、第2の実施形態では、第2会計機12-2が2つのグループで共有される。このため、接続状態テーブル72には、第2会計機12-2に関するデータレコードとして、グループ番号が“1”のグループに対するデータレコード723と、グループ番号が“2”のグループに対するデータレコード726が記述されている。その結果、第2会計機12-2は、グループ番号が“1”のグループに属する第1登録機11-1に対して定期的に確認開始通知コマンドを送信するだけでなく、グループ番号が“2”のグループに属する第2登録機11-2に対しても定期的に確認開始通知コマンドを送信することとなる。
【0164】
図19は、第1登録機(登録機1)11-1及び第2登録機(登録機2)11-2と、第1会計機(会計機1)12-1、第2会計機(会計機2)12-2及び第3会計機(会計機3)12-3との間で授受されるコマンドのシーケンス図である。図示するように、第2会計機12-2は、グループ番号が“1”のグループに属する第1登録機11-1に対して確認開始通知コマンド(Qa)を送信する。この確認開始通知コマンド(Qa)を受けて、第1登録機11-1は、状態確認コマンド(Qb)を第1会計機12-1へと送信し、第1会計機12-1から確認応答コマンド(Qc)を受信すると、会計機情報と会計機状態フラグ811とを含む確認終了通知コマンド(Qd)を第2会計機12-2へと送信する。このとき、送信先変更条件を満足しない場合には、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を第1登録機11-1へと送信しない。仮に、会計機状態フラグ811が“0”で、かつ、確認終了通知コマンド(Qd)に会計機情報が含まれていない、若しくは会計機情報から第1会計機12-1にエラーが発生しており、送信先変更条件を満足する場合には、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を第1登録機11-1へと送信する。
【0165】
一方、第2会計機12-2は、グループ番号が“2”のグループに属する第2登録機11-2に対しても確認開始通知コマンド(Ra)を送信する。この確認開始通知コマンド(Ra)を受けて、第2登録機11-2は、状態確認コマンド(Rb)を第3会計機12-3へと送信し、第3会計機12-3から確認応答コマンド(Rc)を受信すると、会計機情報と会計機状態フラグ812とを含む確認終了通知コマンド(Rd)を第2会計機12-2へと送信する。このとき、送信先変更条件を満足しない場合には、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Re)を第2登録機11-2へと送信しない。仮に、会計機状態フラグ81が“0”で、かつ、確認終了通知コマンド(Rd)に会計機情報が含まれていない、若しくは会計機情報から第3会計機12-3にエラーが発生しており、送信先変更条件を満足する場合には、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Re)を第2登録機11-2へと送信する。
【0166】
このような構成の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、決済情報の送信先に設定されている第1会計機12-1又は第3会計機12-3に異常が発生しても、決済が滞るのを未然に防ぐことができる。その上、2つのグループに必要な会計機の台数を減らすことができるので、設備コストを低減できるメリットもある。
【0167】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、1台の登録機11と2台の会計機12とでグループを構成する取引処理システム100,200について説明した。第3の実施形態では、1台の登録機11と3台以上の会計機12とでグループを構成する取引処理システムについて説明する。
【0168】
[取引処理システムの構成]
図20は、第3の実施形態に係る取引処理システム300の概念図である。取引処理システム300は、1台の登録機11と、4台の会計機12-1,12-2,12-3,12-4とを含む。登録機11と各会計機12-1,12-2,12-3,12-4とは、ネットワーク14で接続される。なお、図示しないが、ネットワーク14には、第1の実施形態と同様にサーバ13も接続されている。
【0169】
取引処理システム300は、登録機11と4台の会計機12-1,12-2,12-3,12-4とで1つのグループを構成する。なお、会計機12の台数は、3台以上であればよい。また、例えば3台の会計機12で構成されるグループと、4台の会計機12で構成されるグループとが混在して、1つの取引処理システムを構成してもよい。
【0170】
登録機11及び各会計機12-1,12-2,12-3,12-4のハードウェア構成は、第1の実施形態のものと変わらない。したがって、第3の実施形態においても、図2及び図3をそのまま利用して、説明を省略する。
【0171】
図21は、1つのグループを構成する登録機11及び各会計機12-1,12-2,12-3,12-4がそれぞれ有する接続状態テーブル73の主要なデータ構造を示す模式図である。接続状態テーブル73は、例えば補助記憶デバイス33,53で記憶される。
【0172】
接続状態テーブル73は、図21に示すように、端末ID、グループ番号、会計機番号及び転送順位Nの各要素で構成されるデータレコード731,732,733,734及び735を記述する。データレコード731は、登録機11に関するデータレコードである。データレコード732は、会計機12-1に関するデータレコードである。データレコード733は、会計機12-2に関するデータレコードである。データレコード734は、会計機12-3に関するデータレコードである。データレコード735は、会計機12-4に関するデータレコードである。
【0173】
端末IDは、登録機11-1及び各会計機12-1,12-2,12-3,12-4の各端末に対してそれぞれ設定された固有の識別情報である。
【0174】
グループ番号は、1台の登録機11と4台の会計機12-1,12-2,12-3,12-4とからなるグループを識別するためにグループ毎に設定された番号である。したがって、1つのグループに対する接続状態テーブル73のグループ番号は共通となる。グループ番号は、連続番号であってもよいし、連続番号でなくてもよい。少なくとも別のグループのグループ番号と重複しなければよい。
【0175】
会計機番号は、同じグループを構成する4台の会計機12-1,12-2,12-3,12-4を個々に識別するために会計機毎に設定された“1”からの連続番号である。なお、同じグループを構成する登録機11に対しては、会計機番号として“0”が設定される。
【0176】
転送順位Nは、同じグループを構成する登録機11から送信される決済情報の4台の会計機12-1,12-2,12-3,12-4に対する転送順位Nを示す“1”からの連続番号である。本実施形態では、会計機番号が“1”の会計機12-1の転送順位Nを1位とし、会計機番号が“2”の会計機12-2の転送順位Nを2位とし、会計機番号が“3.”の会計機12-3の転送順位Nを3位とし、会計機番号が“4”の会計機12-4の転送順位Nを4位とする。登録機11に対しては、転送順位Nとして“0”が設定される。
【0177】
以下では、説明の便宜上、会計機番号が“1”の会計機12-1を第1会計機12-1と称し、会計機番号が“2”の会計機12-2を第2会計機12-2と称し、会計機番号が“3”の会計機12-3を第3会計機12-3と称し、会計機番号が“4”の会計機12-4を第4会計機12-4と称する。第1会計機12-1は、転送順位が1位なので、親機又はマスタ機等と言うこともできる。第2会計機12-2、第3会計機12-3及び第4会計機12-4は、いずれも転送順位が2位以下なので、子機又はサテライト機等と言うこともできる。
【0178】
図22は、登録機11が有する会計機状態テーブル82のデータ構造を示す模式図である。会計機状態テーブル82は、例えばメインメモリ32の揮発性メモリ領域で記憶さる。会計機状態テーブル82は、転送順位Nが1位から4位までの各会計機12-1,12-2,12-3,12-4のうち、どの順位の会計機が決済情報の送信先に設定されているかを特定するためのデータテーブルである。
【0179】
会計機状態テーブル82は、転送順位N毎に会計機状態フラグを記憶する。会計機状態フラグは、“0”又は“1”の1ビットデータである。本実施形態では、送信先に設定されていることを示す会計機状態フラグ81の値を“1”、送信先に設定されていないことを示す会計機状態フラグ81の値を “0”とする。送信先に設定される会計機は1台である。したがって、会計機状態テーブル82に記憶される会計機状態フラグ81は、いずれか1つの転送順位Nに対応した会計機状態フラグ81が“1”となり、他の転送順位Nに対応した会計機状態フラグ81が“0”となる。デフォルトでは、転送順位Nが1位の会計機状態フラグ81が“1”となり、転送順位Nが2位から4位の会計機状態フラグ81が“0”となる。以下では、会計機状態フラグ81が“1”の転送順位Nが設定されている会計機を送信先会計機12-Xと称する。なお、会計機状態フラグ81は、送信先に設定されていることを示す会計機状態フラグ81の値を“1”、送信先に設定されていないことを示す会計機状態フラグ81の値を “0”としてもよい。会計機状態テーブル82は、記憶手段の一例である。
【0180】
[取引処理システムの機能]
取引処理システム300の第1の機能は、登録機11のプロセッサ31が第1の情報処理に従って実行するACT8乃至ACT11の処理を除いて、第1の実施形態の取引処理システム100と同様である。したがって、第1の実施形態で説明した図6図8及び図9の流れ図は、そのまま第3の実施形態においても採用し、その説明は省略する。
【0181】
図23は、登録機11のプロセッサ31が第1の情報処理に従って実行するACT7以降の処理の要部手順を示す流れ図である。なお、第1の実施形態で説明した図7と共通する部分には同一符号を付している。
【0182】
すなわちプロセッサ31は、図6のACT7において決済情報を作成すると、図23のACT91へと進む。プロセッサ31は、ACT91として会計機状態テーブル82を検索して会計機状態フラグが“1”となっている転送順位を認識する。そしてプロセッサ31は、ACT92として接続状態テーブル73を参照して、当該転送順位が設定された送信先会計機12-Xを選択する。そしてプロセッサ31は、ACT12として送信先会計機12-Xに決済情報を送信するように通信ユニット35を制御する。その後、プロセッサ31は、第1の実施形態で説明したACT13乃至ACT16の処理と同様の処理を実行する。
【0183】
このように登録機11は、決済情報を作成すると、接続状態テーブル73及び会計機状態テーブル82の情報を基に送信先会計機12-Xを選択し、その送信先会計機12-Xに決済情報を送信する。
【0184】
ここに、プロセッサ31は、図6のACT7の処理を実行することにより作成手段311としての機能を実現する。また、同プロセッサ31は、図23のACT91,ACT92及びACT12の処理を実行することにより、送信手段312としての機能を実現する。
【0185】
例えば、第1会計機12-1が送信先会計機である場合、決済情報は登録機11から第1会計機12-1へと送信される。このとき、第1会計機12-1が決済可能である場合には、客22は、第1会計機12-1を利用して取引の決済を行うことができる。
【0186】
一方、第1会計機12-1が例えばビジィ状態にある場合には、決済情報が第1会計機12-1から第2会計機12-2へと送信される。また、第2会計機12-2も例えばビジィ状態にある場合には、決済情報が第2会計機12-2から第3会計機12-3へと送信される。従って、同じグループに属するいずれかの会計機が会計可能であれば、客22は、取引を決済することができる。
【0187】
しかし、送信先会計機である第1会計機12-1がダウンしていると、同じグループに属する全ての会計機に決済情報が送信されないので、客22は、取引を決済できなくなる。このような不具合を解消するために、取引処理システム300も第2の機能を有している。この第2の機能も、基本の部分は第1の実施形態の取引処理システム100と同様である。すなわち第2の機能を実現するために、登録機11のプロセッサ31は、状態確認手段313、変更手段314及び復旧手段315としての機能を有する。第1会計機12-1、第2会計機12-2、第3会計機12-3及び第4会計機12-4のプロセッサ51は、確認通知手段512及び変更通知手段513としての機能を有する。状態確認手段313としての機能は、第2の情報処理に基づくものである。変更手段314及び復旧手段315としての機能は、第3の情報処理に基づくものである。確認通知手段512としての機能は、第6の情報処理に基づくものである。変更通知手段513としての機能は、第7の情報処理に基づくものである。
【0188】
第1会計機12-1、第2会計機12-2、第3会計機12-3及び第4会計機12-4のプロセッサ51が実行する第6の情報処理の手順は、第1の実施形態と同様である。したがって、第3の実施形態においても図10を採用する。なお、以下では、第1会計機12-1、第2会計機12-2、第3会計機12-3及び第4会計機12-4を総称する場合に会計機12-Kと表記する。
【0189】
会計機12-Kのプロセッサ51は、ACT51として会計機確認通知の通知タイミングになる毎に、ACT52として確認開始通知コマンドを登録機11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、会計機12-Kから登録機11に対して確認開始通知コマンドが定期的に送信される。
【0190】
ここに、会計機12-Kのプロセッサ51は、ACT51及びACT52の処理により確認通知手段512としての機能を実現する。
【0191】
図24は、登録機11のプロセッサ31が実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ31は、ACT101として確認開始通知コマンドを待ち受ける。プロセッサ31は、通信ユニット35を介して確認開始通知コマンドを受信すると、ACT101においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT102として会計機状態テーブル82を参照し、会計機状態フラグが“1”に設定されている転送順位Nを検出する。次いで、プロセッサ31は、ACT103として接続状態テーブル73を参照し、ACT102の処理で検出した転送順位Nが設定されている会計機、つまり送信先会計機12-Xの端末IDを特定する。
【0192】
プロセッサ31は、ACT104として送信先会計機12-Xに対し、状態確認コマンドを送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、送信先会計機12-Xに対して状態確認コマンドが送信される。
【0193】
状態確認コマンドの送信を制御したプロセッサ31は、ACT105として送信エラーが発生したか否かを確認する。例えば、送信先会計機12-Xがダウンしている場合、状態確認コマンドの送信がエラーとなる。状態確認コマンドの送信がエラーになると、プロセッサ31は、ACT105においてYESへと進み、ACT108の処理へと移行する。ACT108以降の処理については後述する。
【0194】
状態確認コマンドを受信した送信先会計機12-Xのプロセッサ51は、状態確認に必要な情報、いわゆる会計機情報を収集する。そしてプロセッサ51は、会計機情報を含む確認応答コマンドを登録機11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11に対して確認応答コマンドが送信される。確認応答コマンドには、会計機情報が含まれる。会計機情報の内容は、第1の実施形態と同様である。
【0195】
状態確認コマンドの送信がエラーとならない場合、プロセッサ31は、ACT105においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT106として送信先会計機12-Xからの確認応答コマンドを待ち受ける。通信ユニット35を介して確認応答コマンドを受信すると、プロセッサ31は、ACT106においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT107としてその確認応答コマンドに含まれる会計機情報をメインメモリ32の一時メモリに記憶する。その後、プロセッサ31は、ACT108へと進む。
【0196】
このように、プロセッサ31は、状態確認コマンドの送信がエラーとなるか、状態確認コマンドに対する応答コマンドの会計機情報を一時メモリに記憶すると、ACT108へと移行する。
【0197】
プロセッサ31は、ACT108として会計機状態テーブル82のデータを取得する。そしてプロセッサ31は、ACT109として確認開始通知コマンド送信元の会計機12-Kに対し、確認終了通知コマンドを送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、確認開始通知コマンドの送信元が第1会計機12-1である場合には、当該第1会計機12-1に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認開始通知コマンドの送信元が第2会計機12-2である場合には、当該第2会計機12-2に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認開始通知コマンドの送信元が第3会計機12-3である場合には、当該第3会計機12-3に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認開始通知コマンドの送信元が第4会計機12-4である場合には、当該第4会計機12-4に対して確認終了通知コマンドが送信される。確認終了通知コマンドには、ACT108の処理で取得した会計機状態テーブル82のデータが含まれる。また、ACT107において一時メモリに会計機情報が記憶されている場合には、その会計機情報も確認終了通知コマンドに含まれる。そして、一時メモリはクリアされる。
【0198】
以上で、プロセッサ31は、第2の情報処理を終了する。
このように、登録機11は、同じグループの会計機12-Kから定期的に送信される確認開始通知コマンドを受信する毎に、送信先会計機12-Xの会計機情報を取得する。そして登録機11は、確認開始通知コマンドの送信元である会計機12-Kに対し、取得した会計機情報と現時点における会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンドを送信する。なお、送信先会計機12-Xから会計機情報を取得できなかった場合には、会計機状態テーブル82のデータだけを含む確認終了通知コマンドを送信する。なお、会計機状態テーブル82のデータに加えて、会計機情報を取得できなかったことを示す情報を含んでもよい。
【0199】
ここに、登録機11のプロセッサ31は、ACT102乃至ACT109の処理を実行することにより、状態確認手段313としての機能を実現する。
【0200】
図25は、会計機12-Kのプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第7の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT111として確認終了通知コマンドを待ち受ける。プロセッサ51は、通信ユニット55を介して確認終了通知コマンドを受信すると、ACT111においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT112として接続状態テーブル71を参照して、自機の端末IDに関連付けられた転送順位Nを取得する。またプロセッサ51は、ACT113として確認終了通知コマンドに含まれる会計機状態テーブル82のデータを検索し、会計機状態フラグが“1”になっている転送順位Mを検出する。
【0201】
プロセッサ51は、ACT114として転送順位Mが転送順位Nと一致するか否かを確認する。転送順位Mが転送順位Nと一致する、すなわち自機が送信先会計機12-Xの場合には、プロセッサ51は、ACT114においてYESへと進み、第7の情報処理を終了する。
【0202】
転送順位Mが転送順位Nと一致しない場合、プロセッサ51は、ACT114においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT115として転送順位Mが転送順位Nよりも大きいか否かを確認する。転送順位Mが転送順位Nよりも大きい、すなわち自機よりも転送順位が下位の会計機が送信先会計機12-Xである場合には、プロセッサ51は、ACT115においてYESへと進み、ACT118の処理へと移行する。ACT118以降の処理については後述する。
【0203】
転送順位Mが転送順位Nよりも小さい、すなわち自機よりも転送順位が上位の会計機が送信先会計機12-Xである場合には、プロセッサ51は、ACT115においてNOへと進む。プロセッサ51は、ACT116として確認終了通知コマンドに送信先会計機12-Xの会計機情報が含まれているか否かを確認する。会計機情報が含まれていない場合、プロセッサ51は、ACT116においてNOへと進み、ACT118の処理へと移行する。
【0204】
確認終了通知コマンドに会計機情報が含まれている場合には、プロセッサ51は、ACT116においてYESへと進む。プロセッサ51は、ACT117としてその会計機情報を分析する。そしてプロセッサ51は、第1の実施形態でACT78の処理として説明した場合と同様に、送信先会計機12-Xが会計可能な状態であるか否かを判定する。送信先会計機12-Xが会計可能な状態である場合、プロセッサ51は、ACT117においてYESへと進み、第7の情報処理を終了する。送信先会計機12-Xが会計不可能な状態である場合には、プロセッサ51は、ACT117においてNOへと進み、ACT118へと移行する。
【0205】
このようにプロセッサ51は、転送順位Mが転送順位Nよりも小さい場合、または、確認終了通知コマンドに送信先会計機12-Xの会計機情報が含まれていない場合、または、送信先会計機12-Xが会計不可能な状態である場合に、ACT118へと移行する。プロセッサ51は、ACT118として登録機11に対してマスタ宣言コマンドを送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、登録機11に対してマスタ宣言コマンドが送信される。マスタ宣言コマンドには、送信元である会計機12-Kの端末IDが含まれる。マスタ宣言コマンドの送信を制御したプロセッサ51は、第7の情報処理を終了する。
【0206】
すなわち第2会計機12-2、第3会計機12-3又は第4会計機12-4は、送信先会計機12-Xの転送順位Mが自機の転送順位Nよりも上位の場合、確認終了通知コマンドに送信先会計機12-Xの会計機情報が含まれているか否かを確認する。会計機情報が含まれていない場合、第2会計機12-2、第3会計機12-3又は第4会計機12-4は、登録機11に対してマスタ宣言コマンドを送信する。また、会計機情報は含まれているが、その会計機情報が送信先変更条件を満足する場合も、第2会計機12-2、第3会計機12-3又は第4会計機12-4は、登録機11に対してマスタ宣言コマンドを送信する。
【0207】
ここに、第2会計機12-2、第3会計機12-3又は第4会計機12-4のプロセッサ51は、ACT116乃至ACT118の処理により変更通知手段513としての機能を実現する。
【0208】
一方、第1会計機12-1、第2会計機12-2又は第3会計機12-3は、送信先会計機12-Xの転送順位Mが自機の転送順位Nよりも下位の場合、登録機11に対してマスタ宣言コマンドを送信する。
【0209】
ここに、第1会計機12-1、第2会計機12-2又は第3会計機12-3のプロセッサ51は、ACT115及びACT118の処理を実行することにより、変更通知手段513としての機能を実現する。なお、前者の変更通知手段513を第1の変更通知手段513と言い換え、後者の変更通知手段513を第2の変更通知手段513と言い換えてもよい。
【0210】
図26は、登録機11のプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ31は、ACT121としてマスタ宣言コマンドを待ち受ける。プロセッサ31は、通信ユニット35を介してマスタ宣言コマンドを受信すると、ACT121においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT122として登録機11がアイドル中であるか否かを確認する。アイドル中とは、プロセッサ31が第1の情報処理又は第2の情報処理等を実行していない状態である。登録機11がアイドル中でない場合、プロセッサ31は、ACT122においてNOへと進み、第3の情報処理を終了する。
【0211】
登録機11がアイドル中のときにマスタ宣言コマンドを受信した場合には、プロセッサ31は、ACT122においてYESへと進む。プロセッサ31は、ACT123として会計機状態テーブル82の全ての会計機状態フラグを“0”とする。
【0212】
プロセッサ31は、ACT124としてマスタ宣言コマンドを送信した会計機12-Kの端末IDを取得する。次いでプロセッサ31は、ACT125として接続状態テーブル73を参照して、当該端末IDが設定された会計機12-Kの転送順位Nを取得する。そしてプロセッサ31は、ACT126として転送順位Nに対応した会計機状態フラグを“1”とする。以上で、プロセッサ31は、第3の情報処理を終了する。
【0213】
このように登録機11は、例えば送信先会計機12-Xが第1会計機12-1の場合、つまり転送順位1位の会計機状態フラグが“1”のときに、転送順位2位の第2会計機12-2からマスタ宣言コマンドを受信すると、会計機状態テーブル82の転送順位1位の会計機状態フラグを“0”、転送順位2位の会計機状態フラグを“1”に変更する。その結果、登録機11においては、図23のACT91及びACT92の処理により送信先会計機12-Xとして第2会計機12-2が選択され、決済情報が当該第2会計機12-2へと送信される。そして、第2会計機12-2が決済可能である場合、客22は、第2会計機12-2を利用して取引を決済することができる。
【0214】
また登録機11は、送信先会計機12-Xが第2会計機12-2の場合、つまり転送順位2位の会計機状態フラグが“1”のときに、転送順位3位の第3会計機12-3からマスタ宣言コマンドを受信すると、会計機状態テーブル82の転送順位2位の会計機状態フラグを“0”、転送順位3位の会計機状態フラグを“1”に変更する。その結果、登録機11においては、図23のACT91及びACT92の処理により送信先会計機12-Xとして第3会計機12-3が選択され、決済情報が当該第3会計機12-3へと送信される。そして、第3会計機12-3が決済可能である場合、客22は、第3会計機12-3を利用して取引を決済することができる。
【0215】
一方、登録機11は、送信先会計機12-Xが第2会計機12-2の場合、つまり転送順位2位の会計機状態フラグが“1”のときに、転送順位1位の第1会計機12-1からマスタ宣言コマンドを受信すると、会計機状態テーブル82の転送順位2位の会計機状態フラグを“0”、転送順位1位の会計機状態フラグを“1”に変更する。その結果、登録機11においては、図23のACT91及びACT92の処理により送信先会計機12-Xとして第1会計機12-1が選択され、決済情報が当該第1会計機12-1へと送信される。そして、第1会計機12-1が決済可能である場合、客22は、第1会計機12-1を利用して取引を決済することができる。
【0216】
ここに、登録機11のプロセッサ31は、ACT123乃至ACT126の処理を実行することにより、変更手段314及び復旧手段315としての機能を実現する。
【0217】
次に、上述した第2の機能において、登録機11と第1会計機12-1、第2会計機12-2、第3会計機12-3及び第4会計機12-4との間で授受されるコマンドのシーケンスを説明する。
図27は、送信先会計機であった第1会計機12-1がダウンした場合のシーケンス図である。第1会計機12-1はダウンしているため、確認開始通知コマンド(Pa)を送信しない。このため、確認開始通知コマンド(Pa)に応じて登録機11と第1会計機12-1との間で行われていた状態確認コマンド(Pb)、確認応答コマンド(Pc)及び確認終了通知コマンド(Pd)の授受も行われない。
【0218】
一方、第2会計機12-2からは確認開始通知コマンド(Qa)が送信される。そして、この確認開始通知コマンド(Qa)を受けて、登録機11は、状態確認コマンド(Qb)を第1会計機12-1へと送信する。しかし、状態確認コマンド(Qb)の送信はエラーとなり、確認応答コマンド(Qc)を受信し得ない。このため、登録機11から第2会計機12-2へと送信される確認終了通知コマンド(Qdz)には、会計機情報が含まれていない。また、送信先会計機である第1会計機12-1の転送順位M(=1)は、第2会計機12-2の転送順位N(=2)よりも小さい。したがって、送信先変更条件を満足するので、第2会計機12-2は、マスタ宣言コマンド(Qe)を登録機11へと送信する。その結果、第2会計機12-2が送信先会計機12-Xとなる。
【0219】
その後、第3会計機12-3から確認開始通知コマンド(Sa)が送信されると、登録機11は、状態確認コマンド(Sb)を第2会計機12-2へと送信する。そして登録機11は、第2会計機12-2から確認応答コマンド(Sc)を受信すると、会計機情報と会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンド(Sd)を第3会計機12-3へと送信する。このとき、送信先会計機である第2会計機12-2の転送順位M(=2)は、第3会計機12-3の転送順位N(=3)よりも小さい。そして、会計機情報が送信先変更条件を満足していないとすると、第3会計機12-3は、マスタ宣言コマンドを登録機11へと送信しない。第4会計機12-4から確認開始通知コマンド(Ta)が送信された場合も同様である。
【0220】
図28は、さらに第2会計機12-2もダウンした場合のシーケンス図である。第1会計機12-1及び第2会計機12-2はダウンしているため、確認開始通知コマンド(Pa,Qa)を送信しない。このため、登録機11と第1会計機12-1との間で行われていた状態確認コマンド(Pb)、確認応答コマンド(Pc)及び確認終了通知コマンド(Pd)の授受、及び、登録機11と第2会計機12-2との間で行われていた状態確認コマンド(Qb)、確認応答コマンド(Qc)及び確認終了通知コマンド(Qd)の授受も行われない。
【0221】
一方、第3会計機12-3からは確認開始通知コマンド(Sa)が送信される。そして、この確認開始通知コマンド(Sa)を受けて、登録機11は、状態確認コマンド(Sb)を送信先会計機である第2会計機12-2へと送信する。しかし、状態確認コマンド(Sb)の送信はエラーとなり、確認応答コマンド(Sc)を受信し得ない。このため、登録機11から第3会計機12-3へと送信される確認終了通知コマンド(Sd)には、会計機情報が含まれていない。また、送信先会計機である第2会計機12-2の転送順位M(=2)は、第3会計機12-3の転送順位N(=3)よりも小さい。したがって、送信先変更条件を満足するので、第3会計機12-3は、マスタ宣言コマンド(Se)を登録機11へと送信する。その結果、第3会計機12-3が送信先会計機12-Xとなる。
【0222】
その後、第4会計機12-4から確認開始通知コマンド(Ta)が送信されると、登録機11は、状態確認コマンド(Tb)を第3会計機12-3へと送信する。そして登録機11は、第3会計機12-3から確認応答コマンド(Tc)を受信すると、会計機情報と会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンド(Td)を第4会計機12-4へと送信する。このとき、送信先会計機である第3会計機12-3の転送順位M(=3)は、第4会計機12-4の転送順位N(=4)よりも小さい。そして、会計機情報が送信先変更条件を満足していないとすると、第4会計機12-4は、マスタ宣言コマンドを登録機11へと送信しない。
【0223】
図29は、図28と同様に、第1会計機12-1だけでなく送信先会計機であった第2会計機12-2がダウンした場合において、先に第4会計機12-4から確認開始通知コマンド(Ta)が登録機11に送信された場合のシーケンス図である。
【0224】
図示するように、第4会計機12-4からの確認開始通知コマンド(Ta)を受けて、登録機11は、状態確認コマンド(Tb)を第2会計機12-2へと送信する。しかし、状態確認コマンド(Tb)の送信はエラーとなり、確認応答コマンド(Tc)を受信し得ない。このため、登録機11から第4会計機12-4へと送信される確認終了通知コマンド(Td)には、会計機情報が含まれていない。また、送信先会計機である第2会計機12-2の転送順位M(=2)は、第4会計機12-4の転送順位N(=4)よりも小さい。したがって、送信先変更条件を満足するので、第4会計機12-4は、マスタ宣言コマンド(Te)を登録機11へと送信する。その結果、第4会計機12-4が送信先会計機12-Xとなる。
【0225】
その後、第3会計機12-3から確認開始通知コマンド(Sa)が送信されると、登録機11は、状態確認コマンド(Sb)を第4会計機12-4へと送信する。そして登録機11は、第4会計機12-4から確認応答コマンド(Sc)を受信すると、会計機情報と会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンド(Sd)を第3会計機12-3へと送信する。このとき、送信先会計機である第4会計機12-4の転送順位M(=4)は、第3会計機12-3の転送順位N(=3)よりも大きい。したがって、送信先変更条件を満足するので、第3会計機12-3は、マスタ宣言コマンド(Se)を登録機11へと送信する。その結果、第3会計機12-3が送信先会計機12-Xとなる。
【0226】
図30は、第3会計機12-3が送信先会計機12-Xである場合において、ダウンしていた第1会計機12-1が復旧した場合のシーケンス図である。復旧した第1会計機12-1は、登録機11に対して確認開始通知コマンド(Pa)を送信する。この確認開始通知コマンド(Pa)をを受けて、登録機11は、状態確認コマンド(Pb)を第3会計機12-3へと送信する。そして登録機11は、第3会計機12-3から確認応答コマンド(Pc)を受信すると、会計機情報と会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンド(Pd)を第1会計機12-1へと送信する。このとき、送信先会計機である第3会計機12-3の転送順位M(=3)は、第1会計機12-1の転送順位N(=1)よりも大きい。したがって、送信先変更条件を満足するので、第1会計機12-1は、マスタ宣言コマンド(Pe)を登録機11へと送信する。その結果、第1会計機12-1が送信先会計機12-Xとなる。
【0227】
その後、第3会計機12-3から確認開始通知コマンド(Sa)が送信されると、登録機11は、状態確認コマンド(Sb)を第1会計機12-1へと送信する。そして登録機11は、第1会計機12-1から確認応答コマンド(Sc)を受信すると、会計機情報と会計機状態テーブル82のデータとを含む確認終了通知コマンド(Sd)を第3会計機12-3へと送信する。このとき、送信先会計機である第1会計機12-1の転送順位M(=1)は、第3会計機12-3の転送順位N(=3)よりも小さい。そして、会計機情報が送信先変更条件を満足していないとすると、第3会計機12-3は、マスタ宣言コマンドを登録機11へと送信しない。
【0228】
なお、図27乃至図30に示したシーケンスの例では、会計機12-Kは、登録機11から確認終了通知コマンド(Pd,Qd,Sd,Td)が送信された後に確認開始通知コマンド(Pa,Qa,Sa,Ta)を送信するように図示している。しかし実際には、登録機11は、いずれかの会計機12-Kに確認終了通知コマンドを送信する前に別の会計機12-Kから確認開始通知コマンドを受信する場合があり得る。そのような場合、登録機11は、1つの会計機12-Kに確認終了通知コマンドを送信した後で、別の会計機12-Kからの確認開始通知コマンドに応じた処理、つまりは状態確認コマンドの送信と、確認応答コマンドの受信と、確認終了通知コマンドの送信と、を実行する。
【0229】
以上詳述したように、取引処理システム300によれば、送信先会計機12-Xがダウンして登録機11から決済情報を送信先会計機12-Xに送信できなくなった場合でも、直ぐに別の会計機12-Kを送信先会計機12-Xとして設定することができる。また、送信先会計機12-Xにプリンタエラー、釣銭機エラー等の障害が発生して決済不能となった場合も同様である。したがって、送信先会計機12-Xに異常が発生しても、取引の決済が滞ってしまうのを未然に防ぐことができる。その結果、処理効率の高い取引処理システムを提供することができる。
【0230】
また、現時点の送信先会計機12-Xよりも転送順位が上位の会計機12-Kが復旧した場合には、速やかにその復旧した会計機12-Kを送信先会計機12-Xへと戻すことができる。一般に、セミセルフタイプの取引処理システムにおいては、客の移動効率が良好な会計機の転送順位を上位にする傾向がある。したがって、転送順位が上位の会計機12-1の異常に伴う影響を極力小さくすることができる。
【0231】
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態のように、1台以上の会計機を異なるグループで共有させてもよい。その場合も、共有する会計機が、各グループの登録機11に確認開始通知コマンド(Qa,Ra)を送信することとなる。
【0232】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0233】
11,11-1,11-2…登録機(入力処理装置)、12,12-1,12-2,12-3,12-4…会計機(決済装置)、13…サーバ、14…ネットワーク、15…商品マスタファイル、21…店員、22…客、31,51…プロセッサ、32,52…メインメモリ、33,53…補助記憶デバイス、34,54…時計、35,55…通信ユニット、36…キーボード、37.57…スキャナ、38,58…タッチパネル、39…客用ディスプレイ、40,59…プリンタ、41,62…システム伝送路、56…釣銭機インターフェース、60…リーダ・ライタ、61…パトランプ、71,72,73…接続状態テーブル、81…会計機状態フラグ、82…会計機状態テーブル。
図1
図2
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