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特許7654563フレキシブルエレクトロニクスを製造するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】フレキシブルエレクトロニクスを製造するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20250325BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20250325BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20250325BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20250325BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20250325BHJP
   H10D 30/67 20250101ALI20250325BHJP
   H10D 86/40 20250101ALI20250325BHJP
   H10D 30/01 20250101ALI20250325BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H05B33/10
H10K59/00
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H10D30/67 206C
H10D86/40 101Z
H10D30/01 206D
H01L21/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021562025
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020028541
(87)【国際公開番号】W WO2020214825
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】62/834,720
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521454397
【氏名又は名称】ネクスト・バイオメトリクス・グループ・アーエスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】クァン,キン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】フン,シェン-シャン
(72)【発明者】
【氏名】ナウマン,マーク・ウィリアム
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-128826(JP,A)
【文献】特開2014-001101(JP,A)
【文献】特開2014-065646(JP,A)
【文献】特開2014-168790(JP,A)
【文献】特開2006-041135(JP,A)
【文献】特開2004-219551(JP,A)
【文献】特開2012-051777(JP,A)
【文献】特表2008-512877(JP,A)
【文献】国際公開第2018/152169(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H05B 33/10
H10K 59/10
H10K 50/10
H05B 33/22
H10D 30/67
H10D 86/40
H10D 30/01
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルエレクトロニクスを製造する方法であって、
電子アセンブリの複数の電子特徴に第1の保護材料を施すステップであって、前記電子アセンブリがガラス基板を含み、前記複数の電子特徴は前記ガラス基板の第1の側に配置される、施すステップと、
前記ガラス基板を所定の厚さに薄化する化学物質に前記ガラス基板の第2の側を露出させるステップであって、前記第2の側は前記ガラス基板の前記第1の側とは反対に位置する、露出させるステップと、
前記ガラス基板の前記第2の側に第2の保護材料を施すステップと
を含み、前記方法は、
前記複数の電子特徴を個別の電子構成要素に分離するステップと、
前記個別の電子構成要素の少なくとも一部分の周りに第3の保護材料を施すステップとをさらに含み、前記個別の電子構成要素の少なくとも一部分の周りに前記第3の保護材料を施すステップは、
個片化された前記電子構成要素の外面に液体ポリマーを施すステップであって、前記外面が少なくとも1つの側面を含む、施すステップと、
前記電子構成要素をソフトベークして、前記液体ポリマーを部分的に硬化させるステップと、
前記第1の側から前記第1の保護材料を除去するステップと、
前記電子アセンブリをハードベークして、前記電子構成要素の前記第2の側および縁部で前記液体ポリマーを完全に硬化させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記ガラス基板の前記第2の側を前記化学物質に露出させるステップは、少なくとも前記ガラス基板の前記第2の側を第1の化学エッチング槽に浸漬させるステップを含み、
前記複数の電子特徴を分離するステップは、
レーザを使用して前記ガラス基板の前記第1の側および前記第2の側の一方または双方に切断トラックを刻印するステップであって、前記切断トラックは前記個別の電子構成要素の周りに境界を画定する、刻印するステップと、
前記電子アセンブリを第2の化学エッチング槽に少なくとも部分的に浸漬させて、前記ガラス基板を前記切断トラックに沿って分離するステップと
を含む、
方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、
前記ガラス基板の前記第2の側を前記化学物質に露出させるステップは、少なくとも前記ガラス基板の前記第2の側を第1の化学エッチング槽に浸漬させるステップを含み、
前記複数の電子特徴を分離するステップは、
互いから徐々に隔置された複数の孔を形成して、前記ガラス基板に切断トラックを画定するステップであって、前記切断トラックは前記個別の電子構成要素の周りに境界を画定する、画定するステップと、
前記電子アセンブリを第2の化学エッチング槽に少なくとも部分的に浸漬させて、前記ガラス基板を前記切断トラックに沿って分離するステップと
を含む、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の側を前記化学物質に露出させるステップは、前記電子アセンブリを化学エッチング槽に浸漬させるステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の側を前記化学物質に露出させるステップは、前記ガラス基板から材料を除去して、前記ガラス基板の前記第2の側から欠陥を低減させるステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の電子特徴は複数の薄膜トランジスタを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の電子特徴は指紋センサを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記ガラス基板を前記所定の厚さに薄化する前記化学物質に前記ガラス基板の前記第2の側を露出させるステップは、前記ガラス基板を大きくとも0.2mmの厚さに化学的に薄化することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ガラス基板の前記第2の側に前記第2の保護材料を施すステップは、高い衝撃吸収特性を有する膜を前記ガラス基板の前記第2の側に恒久的に結合させるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年4月16日出願の米国仮特許出願第62/834,720号に対する優先権を主張する。
【0002】
[0002]本技術は、フレキシブルエレクトロニクスを製造することに関する。より詳細には、本技術は、高性能かつ低コストの電子構成要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]フレキシブルディスプレイ(たとえば、有機発光ダイオード(「OLED」)、液晶ディスプレイ(「LCD」)、および電子ペーパーディスプレイ(「EPD」))、センサ、および近距離無線通信(「NFC」)に基づくデバイスへの関心の高まりが、大面積フレキシブルエレクトロニクスの進化をもたらしてきた。これらのフレキシブルエレクトロニクスの大部分は、ポリイミド(「PI」)材料に形成された電子構成要素を含む薄膜トランジスタ(「TFT」)アレイを利用する。PIは、可撓性が高く、本質的に電子機器を絶縁することができることから有用である。製造中、マザーガラス(たとえば、剛性の耐久ガラス)、または他のタイプの基板にPI層が積層されて、剛性の裏打ちを提供し、上にあるPI層には電子回路が形成される。次いで、PI層は、マザーガラスから剥離され、次にポリエチレンテレフタレート(「PET」)基板などの可撓性基板に積層されて、可撓性の機械的支持を提供する。
【0004】
[0004]柔軟な有機基板材料と堅い無機TFT材料との間で機械的、熱的、および化学的な特性が大きく違うため、この製造プロセスには多くの技術的な難題が伴う。たとえば、高品質で高価なPIが使用されなければ、電子機器の製造に内在する熱が、TFTおよびPI層に様々なタイプの欠陥を引き起こす可能性がある。TFTガラスに比べてPI基板の温度許容度が低いため、PI基板に製作される薄膜デバイスに対する処理温度を下げなければならず、それによりデバイス性能の最大の可能性が制限される。さらに、耐熱性および機械的耐久性の必要を考えると、PI層(電子機器が製造された後)を裏打ちするために使用される可撓性基板に利用可能な選択肢が制限される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の多くの態様は、以下の図面を参照するとよりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ本開示の原理をはっきりと示すことに重点が置かれている。同様に、本技術の実装のいくつかに関する議論の目的で、いくつかの構成要素および/または動作を異なるブロックに分離することができ、または単一のブロックに組み合わせることができる。参照を容易にするために、この開示全体にわたって、同様または類似の構成要素または特徴を識別するために同一の参照番号および/または文字が使用されるが、同じ参照番号の使用は、これらの部分が同一であると解釈されるべきであることを示唆するものではない。実際には、本明細書に記載する多くの例では、同一の符号の構成要素が、構造的および/または機能的に別個の異なる実施形態を指す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]電子アセンブリの部分概略断面図である。
図2A】[0007]本技術のいくつかの実施形態によって製造された電子アセンブリの部分概略断面図である。
図2B】[0008]本技術の実施形態による製造プロセスの中間段階中の図2Aの電子アセンブリの分解断面図である。
図2C】[0009]本技術のいくつかの実施形態による次の製造段階における図2Bの電子アセンブリの部分概略断面図である。
図3】[0010]本技術の実施形態によるガラスにフレキシブルエレクトロニクスを直接製造するプロセスを示すブロック図である。
図4A】[0011]本技術の実施形態による電子アセンブリを製造する方法を示す等角図である。
図4B】本技術の実施形態による電子アセンブリを製造する方法を示す等角図である。
図4C】本技術の実施形態による電子アセンブリを製造する方法を示す等角図である。
図4D】本技術の実施形態による電子アセンブリを製造する方法を示す等角図である。
図5】[0012]本技術のいくつかの実施形態によるフレキシブルエレクトロニクスを製造するロールツーロールプロセスのブロック図である。
図6】[0013]本技術のいくつかの実施形態による電子アセンブリを製造するロールツーロールプロセスを示す部分概略図である。
図7A】[0014]本技術の実施形態による電子構成要素を製造する方法を示す断面側面図である。
図7B】本技術の実施形態による電子構成要素を製造する方法を示す断面側面図である。
図7C】本技術の実施形態による電子構成要素を製造する方法を示す断面側面図である。
図7D】本技術の実施形態による電子構成要素を製造する方法を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0015]薄膜回路に基づいて大面積フレキシブルエレクトロニクスなどのフレキシブルエレクトロニクスを製造するシステムおよび方法が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、たとえば、本明細書に記載するシステムおよび方法は、ガラス基板に電気的特徴(たとえば、TFTおよび他の薄膜回路)を直接形成し、包装された可撓性の電子構成要素のための基部として働くようにガラス基板を薄化する。本明細書に開示するシステムおよび方法はまた、ガラス基板および/または次に個片化される電気構成要素の表面から、微小クラックおよび他の欠陥(ガラス内に既存である、または電子機器の製造中の取扱いによってもたらされる)を除去することができる。これにより、ガラス基板材料と無機薄膜回路材料との機械的、熱的、および化学的な特性が良好に一致するため、低コストかつ高収率の製造プロセスが提供される。
【0008】
[0016]本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細について、図1図7Dを参照して以下に説明する。実施形態の多くについて、フレキシブル生体認証センサ向けの可撓性の電気構成要素を製造するシステムおよび方法に関して以下に説明するが、本明細書に記載するものに加えて、他の応用例および他の実施形態も本技術の範囲内である。たとえば、本技術は、フレキシブルLCDおよびOLEDなどのフレキシブルディスプレイ向けの電気構成要素を製造するために使用することができる。加えて、様々な実施形態の関連する説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、いくつかのよく知られている構造または機能については詳細に図示または説明しないことがある。さらに、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に記載するものとは異なる構成、構成要素、または手順を有することができ、図示の実施形態の特徴を互いに組み合わせることができる。したがって当業者であれば、それに応じて、本技術は、追加の要素を含む他の実施形態を有することができること、または本技術は、図1図7Dを参照して以下に図示および説明する特徴のいくつかを含まない他の実施形態を有することができることが理解されよう。
【0009】
[0017]いくつかの実施形態では、本技術を使用して、指紋センサおよびBiometric System on Card(BSoC)などの生体認証システムで使用するために、可撓性ガラスにTFTなどの薄膜回路および他の薄膜の電気的特徴を製造することができる。TFTは、特殊なタイプの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、これは支持基板の上に活性半導体層および誘電体層の薄膜を堆積させることによって作ることができる。その結果として得られるフレキシブル指紋センサまたはフレキシブルLCDおよびOLEDなどの可撓性の電子構成要素は、次いで、BSoCまたはフレキシブルディスプレイなどの電子システムに一体化することができる。その結果として得られる電子システムの可撓性は、一部には製造中に基板にもたらされる微小クラックおよび/または他の欠陥もしくは不純物のため、TFTの下にある基板の可撓性によって制限されることがある。それらの欠陥または不純物は、曲げ、衝撃などから機械応力を受けて、電子システムの障害点に達する。
【0010】
[0018]これらの可撓性の電子構成要素を製造する1つの方法は、ポリイミド基板などの高い可撓性を有するコア基板を選択することを含む。しかし、ポリイミドは非常に可撓性が高く、したがって形成された電気的特徴を支持するには、少なくとも1つの他のより剛性の基板(典型的には、2つの異なる基板:電子特徴の形成中に使用されるもの、およびその後に電子システムへの一体化に使用されるもの)にさらに積層しなければならない。製造プロセスが複雑であり、薄膜回路に必要とされるポリイミドの品質コストが高いため、製造プロセスに相当なコストがもたらされる可能性がある。
【0011】
[0019]本明細書に開示するシステムおよび方法は、可撓性ガラス基板に電子機器を直接製造する。いくつかの実施形態では、たとえば、本技術は、典型的には剛性のガラス基板によって支持されたポリイミド基板に電子機器を製造するために使用されるシートツーシート製造プロセスを使用するが、代わりにポリイミドを除去して、ガラス基板に薄膜電子特徴を直接配置する。これらの実施形態では、この方法は、ガラスシートの第1の側に複数の電子特徴(たとえば、TFTおよび他の薄膜回路)を配置することを含むことができる。次いで、可撓性を増大させるために、ガラスシートの裏側を化学的に薄化して、可撓性ガラスシートの表面からクラック、不純物、または他の起こり得る障害点を除去することができる。この方法は、次いで、シートの裏側に保護積層板を積層または被覆することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、ケミカルダイシング技法を使用してシートを個別の電気構成要素に個片化することによって継続することができる。たとえば、レーザによってガラスに部分的に刻印し(たとえば、ミシン目入り表面を生じさせる連続する線または複数の隔置されたくぼみとして)、個別の電子構成要素の周りに切断トラックを画定してから、シートを化学エッチング槽へ浸漬させて、切断トラックに沿って個片化を完了することができる。個片化後、個別の電子構成要素の露出した表面および縁部に、保護被覆(たとえば、液体ポリマー)を形成することができる。
【0012】
[0020]本明細書に記載するプロセスを使用して製造される可撓性の電子構成要素は、製造される電子特徴より高い破壊応力を有する可撓性ガラス基板を含む。したがって、いくつかの実施形態では、個片化中または個片化後、破壊応力を高めて、場合により破損しやすい他の不純物を除去するために、電子構成要素の外縁部および外面を化学的にエッチングして、外縁部の周りで表面付近の微小クラックを除去することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法およびシステムは、可撓性ガラス積層板を使用するロールツーロール製造プロセスを含む。
【0013】
[0021]いくつかの実施形態では、この方法は、ロールツーロールプロセスを介して、可撓性ガラス基板を化学的に薄化して、可撓性ガラス基板から欠陥を除去することを含むことができる。この方法は、次いで、ガラス基板の一方の表面に保護被覆を施しながら、反対側の表面は電子機器の製造(たとえば、薄膜堆積)に露出させたままにすることができる。いくつかの実施形態では、この方法は、ロールツーロール製造プロセスを利用して、可撓性ガラス基板の露出面に複数の個別の電子特徴を堆積させ、それによって高処理量の製造プロセスを提供することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、次いで、個片化を実行して、可撓性ガラス基板上の複数の電子特徴を複数の電子構成要素に分離することができる。
【0014】
[0022]図1は、現在のTFT処理技法によって製造された包装された電子アセンブリ110の部分概略断面図である。電子アセンブリ110は、電子アセンブリ110のコアとして働くポリイミド(「PI」)基板112(「PI層112」とも呼ばれる)と、PI基板112を保持する可撓性の支持基板122(たとえば、PET基板)と、PI基板112によって保持された電子特徴130(たとえば、生体認証センサ向けの複数の薄膜回路など)とを有する。図1にさらに示すように、電子アセンブリ110はまた、電子特徴130の上に配置された第1または上部の保護膜142と、可撓性基板122の底面に配置された第2または下部の保護膜144とを含む。いくつかの応用例では、製造が別の方法で完了した後、第1の保護膜142を除去して電子特徴130を露出させ、たとえば電子特徴130への電子接続を可能にする。
【0015】
[0023]電子アセンブリ110は、一時的な支持基板(図示せず)にPI基板112を取外し可能に接着(たとえば、積層)し、次いでPI基板112に電子特徴130を形成することによって形成される。一時的な支持基板は、ガラスなどの剛性の材料とすることができ(すなわち、「マザー」ガラス基板またはシートと呼ばれる)、それにより、電子特徴130が形成されるとき、極めて可撓性の高いPI基板112への支持を提供し、両者が半導体処理ステップを受けるとき、PI基板112に適合した材料特性も有する。電子特徴が形成された後、一時的な支持基板の裏側がレーザに露出され、レーザは一時的な支持基板とPI基板112との間の接着剤を溶解および/または蒸発させ、それによってPI基板112を一時的な支持基板から完全に除去することを可能にする。次いで、電子構成要素を含むPI基板112が可撓性基板122に積層される。電子アセンブリ110は、支持基板122およびPI基板112の曲げ半径が小さいため、高い可撓性を有することができる。しかし、製造プロセスの複雑さは高価となる可能性があり、製作収率を低減させる可能性がある。たとえば、一時的な支持基板からPI基板112を剥離することで、PI基板112の一部が蒸発し、一時的なガラス支持体からの取外しが可能になるおそれがある。加えて、いくつかの材料は可撓性の支持基板122に好適であり、可撓性の支持基板122およびPI層112はどちらも温度の影響を受ける可能性がある。可撓性基板122にPI層112を積層するために到達する温度は、製作収率を減少させる変形および/または他の製造上の欠陥を引き起こす可能性がある。
【0016】
[0024]図2Aは、本技術の実施形態によって製造された電子アセンブリ210の部分概略断面図である。電子アセンブリ210は、薄い可撓性ガラス基板221(「ガラス基板221」とも呼ばれる)と、ガラス基板221の第1の側に直接配置された電子特徴230(たとえば、TFTおよび他の薄膜回路)とを含む。いくつかの実施形態では、製造中に電子特徴230を保護するために、電子特徴230に第1の保護膜242(図示せず)を配置することができ、ガラス基板221の第2の側は、第2の保護膜244によって覆われる。図示の実施形態では、第1の保護膜242は、後の使用(たとえば、センサとして)のために電子特徴230を露出させるために除去されており、第2の保護膜244は、ガラス基板221を引き続き保護するために残されている。ガラス基板221に電子機器を直接製造することで、製造効率およびデバイス性能を高め、コストを削減し、製作収率を増大させることができる。たとえば、製造プロセスは、より少ないステップを含み、電子機器の製造のために一時的なガラス支持基板にPI基板を積層して剥離し、より剛性のプラスチックの裏打ちに積層して作製を完了する必要がなくなる。ガラス基板221はまた、製造に内在する熱に対してより耐性があり、引っ掻きもしくはくぼみに対してより耐久性があり、かつ/または図1の電子アセンブリ110の可撓性の支持基板より操作するのが容易である。ガラス基板221に使用されたものなどの可撓性ガラスは、典型的には、表面に小さい微小クラックおよび他の欠陥を含み、それによりその結果として得られる電子アセンブリ210の信頼性および可撓性が制限される可能性がある。したがって、本技術は、確実な可撓性ガラス基板を提供するために、そのようなクラックおよび欠陥を除去し、または実質的に解消する。
【0017】
[0025]
[0026]特に、可撓性ガラス基板221などの基板に対する破壊応力σは、等式(1)によって決定される。
【0018】
【数1】
【0019】
式中、Klcはガラスの破壊靱性であり、αは幾何パラメータであり(典型的には、ガラスの表面または縁部のクラックに対して約1.12)、aはガラスに存在するクラックの最大長さである。Klcおよびαは、ガラスまたは他の可撓性基板のタイプが選択された後に指示され、クラックの長さaは、等式(1)の分母内の変数のままである。したがって、ガラスの表面および/または縁部のクラックの長さaを低減させると、それに対応してガラスに対する破壊応力が増大する。また、ガラスの可撓性を増大させると、ガラスを使用する電子ユニットの可撓性も増大する。本技術は、可撓性の電子構成要素を製造するために使用されるガラスの表面のクラックおよび他の欠陥を低減および/またはほぼ解消させるシステムおよび方法を含む。
【0020】
[0027]図2Bは、本技術の実施形態による製造プロセスの中間段階中の図2Aの電子アセンブリ210の分解断面図である。可撓性ガラス基板221’は、事前に薄化された状態であり、第1の表面222(「上面」、「前面」、または「電子機器面」とも呼ばれる)を含む第1の側225a(「上側」、「前側」、または「電子機器側」とも呼ばれる)と、第1の側225aの反対に位置する第2の表面224’(「下面」または「裏面」とも呼ばれる)を含む第2の側225b(「下側」または「裏側」とも呼ばれる)と、第1の表面222と第2の表面224’との間の厚さとを有する。図2Bに示すように、電子特徴230は、第1の表面222に配置され、次に第1の上部保護膜242によって覆われる。第1の表面222には、実質的に不純物がないのに対して、第2の表面224’は、複数のクラックおよび/または欠陥を含む。たとえば、第2の表面224’は、長さaを有するクラックを含む。これらのクラックおよび他の欠陥は、可撓性ガラス基板221’自体を製造するプロセス、および/または可撓性ガラス基板221’の第1の表面222に電子機器を製造するプロセス(たとえば、裏面のロボットによる取扱い中に)の結果として生じる可能性がある。図示の実施形態では、電子アセンブリ210の破壊応力は、可撓性ガラス基板221’の破壊応力によって制限され、等式(1)およびクラックの長さaを使用して計算することができる。
【0021】
[0028]図2Cは、本技術のいくつかの実施形態による次の製造段階における図2Bの電子アセンブリ210の断面図であり、欠陥を除去するために可撓性ガラス基板221が処理されている。図2Cに示すように、可撓性ガラス基板221は、ガラス基板221の第2の側225b(図2B)から基板材料を除去して新しい第2の表面224を画定することによって、所定の厚さまで薄化されている。ガラス基板221は、電子アセンブリ210を化学エッチング槽に部分的または完全に浸漬させることによって薄化することができ、この化学エッチング槽は、第2の側225bから材料を除去する化学物質に第2の側225bを露出させるが、保護膜242は、化学槽が電子アセンブリ210の第1の側225aの電子特徴230に影響するのを防止する。いくつかの実施形態では、他の好適な薄化技法を使用して、ガラス基板221の第2の側225bを薄化することができる。第2の側225bから基板材料を除去することで、クラックおよび他の欠陥も除去して、少なくとも実質的にクラックおよび欠陥のない第2の表面224を形成する。その結果、電子アセンブリ210の破壊応力が大幅に改善される(たとえば、等式(1)の分母に入力されるあらゆるクラックの長さaが大幅に低減される)。いくつかの実施形態では、下面224から欠陥を除去した直後に、第2の保護膜244を施すことができる。いくつかの実施形態では、第2の下部保護膜244は、機械的保護品質(たとえば、耐引っ掻き性、衝撃減衰、耐久性など)および化学的保護品質(たとえば、酸への露出からの保護)に基づいて選択することができる。
【0022】
[0029]ガラスを薄化する結果、可撓性ガラス基板221の破壊応力は、図2Bの元のガラス基板221’より大幅に高くなる。加えて、基板を薄化することで、電子アセンブリ210の可撓性または曲げ性が高まり、生体認証センサを含むカードなど、柔軟な応用例が可能になる。いくつかの実施形態では、たとえば、破壊応力により、破壊するまでに、電子アセンブリ210を約40mm~約30mmの曲げ半径に曲げることが可能になる。他の実施形態では、曲げ半径は、薄化の程度、電子アセンブリ210の材料および構造、ならびに/または所望の使用のための仕様(たとえば、フレキシブルカード、フレキシブルディスプレイ、またはウェアラブルセンサに埋め込まれる)に応じて、30mmより小さくまたは40mmより大きくすることができる。
【0023】
[0030]図3は、本技術の実施形態によって可撓性ガラスにフレキシブルエレクトロニクスを直接製造するプロセス300を示すブロック図である。シートツーシートプロセス300は、ガラス基板の第1の表面にTFT、他の薄膜回路、および/または他の電子特徴が形成された後、ガラスの可撓性を改善するために使用することができる。プロセス300を使用して、ガラス基板の裏面からクラックおよび他の欠陥を低減もしくは除去し、新しい不純物をもたらすことなく複数の電子特徴を含むシートを個別の電子構成要素に分離し、かつ/または電子構成要素に保護膜および/もしくは被覆を施すことができる。
【0024】
[0031]プロセス300は、ガラスシート基板の第1の側に薄膜回路(たとえば、TFT)または他の可撓性の電子特徴を配置することを含むことができる。いくつかの実施形態では、電子特徴は、ガラス基板にすでに形成されている。図3に示すように、ブロック305で、プロセス300は、電気的特徴の上のシートの第1の側に保護膜を施す。保護膜は、プロセス300の後の段階中の化学物質への露出、加熱、および/または他の外部への露出から電子特徴を保護する材料障壁を提供する。いくつかの実施形態では、シートの第1の側の保護膜は、たとえば後に除去することができる接着材を使用して、一時的な使用のために施される。いくつかの実施形態では、保護膜は、電子特徴およびガラス基板の第1の側の上に恒久的に接着する。保護膜は、約50μm~約500μmの厚さを有するPET膜とすることができる。
【0025】
[0032]ブロック310で、プロセス300は、ガラスシートの第2の側を化学溶液に露出させて、ガラスの第2の側から材料を化学的に除去し、ガラスシートを所定の厚さまで薄化する。化学的な薄化は、ガラスの第2の表面からクラック、欠陥、および/または不純物を除去するために使用される。たとえば、ガラス内のこれらのクラック、欠陥、および/または不純物は主に、ガラスの外面からガラス基板内へある深さまで延びるガラス基板の外側領域に存在する。化学溶液は、新しいクラック、欠陥、および/または不純物をもたらすことなく、この外側の層を剥がし、クラック、欠陥、および/または不純物がほとんどまたはまったくない平滑な表面を残す。いくつかの実施形態では、化学エッチングステップ(ブロック310)は、シートの第2の側から約0.2mm~約0.3mmをエッチングで除去する。いくつかの実施形態では、化学エッチングステップ(ブロック310)は、たとえばガラスシート基板の第2の側に存在するより深いクラックでも確実に除去し、それによってそのようなクラックがガラスの材料特性(たとえば、可撓性)に与える影響を低減させるために、シートの第2の側のガラスの少なくとも0.3mmをエッチングで除去する。さらに、化学エッチングはまた、ガラスシートの全体的な厚さを薄化し(たとえば、0.5mm~0.2mm以下)、それにより次に個片化される電気構成要素の可撓性(たとえば、曲げ半径)を増大させる。
【0026】
[0033]化学溶液は、ガラスをエッチングするフッ化水素酸溶液および/または他の化学物質を含む。いくつかの実施形態では、ブロック310の薄化ステップは、シート(ガラス基板およびその上に配置された電気構成要素)を、化学溶液を含む化学エッチング剤槽(「化学槽」とも呼ばれる)に完全に浸漬させて、シートのすべての露出面を制御可能に溶解することを含む。保護膜は、所望の表面のみがエッチングされるように、化学溶液への露出から電子特徴を保護することができる。いくつかの実施形態では、ブロック310の薄化ステップは、シートの選択された外面を制御可能に溶解するために、化学エッチング槽内に第2の表面を部分的にのみ浸漬させること、ならびに/またはホースおよびノズルを介して化学溶液を第2の表面へ誘導することを含む。いくつかの実施形態では、シートのガラス基板は、約0.5mmの厚さから、約0.05~0.2mm、約0.05mm、約0.15mm~約0.08mm、または約0.15mmの厚さに薄化される。
【0027】
[0034]ブロック315で、プロセス300は、清浄にされた表面の機械的および/または化学的な保護を提供し、後のクラックまたは他の欠陥の形成を回避するために、シートの第2の側(すなわち、薄化したガラスの裏面)に第2の保護膜を施す。第2の保護膜は、積層プロセス、被覆プロセス、または当技術分野で知られている他の適当な方法によって施すことができる。
【0028】
[0035]第2の保護膜は、プラスチック材料、PETなどの有機膜、無機有機ハイブリッド材料、ならびに/またはエポキシ、ウレタン、および/もしくはアクリル中のナノシリカ粒子などのナノコンポジットから構築することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の保護膜は、同じ材料から構成される。他の実施形態では、第1および第2の保護膜は、異なる材料から構築される。いくつかの実施形態では、第2の保護膜は、その機械的品質に基づいて選択される。たとえば、第2の保護膜は恒久的な保護膜とすることができることから、可撓性の電子デバイスを衝撃による損傷から保護するために、減衰特性または高い衝撃吸収特性を有するように選択することができる。いくつかの実施形態では、第2の保護膜は、第2の表面に恒久的に被覆される。いくつかの実施形態では、第2の保護膜は、たとえば後述するさらなる化学工程で使用することができる化学溶液(たとえば、フッ化水素酸)に露出されたときに溶解せず、または非常にゆっくりと溶解する。いくつかの実施形態では、第2の保護膜および/または第2の保護膜の厚さもまた、材料の可撓性に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、第2の保護膜は、約50μm~500μmの厚さを有することができる。
【0029】
[0036]シートは、複数の電子構成要素を画定する電子特徴を含むことができる。これらの実施形態では、プロセス300は、デバイスの個片化のためのブロック320および325によって継続する。ブロック320で、プロセス300は、レーザを使用してシートに刻印し、個別の電子構成要素(たとえば、個別のディスプレイ、センサなど)間の境界を画定する切断トラックを画定する。レーザ刻印により、ガラス基板の第1の側および/または第2の側から切断トラック(たとえば、くぼみまたは凹部)を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の保護膜は、以前の製造ステップ中(たとえば、電子特徴の形成中)に切断トラックを精密に示すために、下にある材料(たとえば、ガラス基板)に堆積された透明の位置合わせトラック(位置合わせガイド、線、またはエイドとも呼ばれる)とすることができる。次いで、これらの位置合わせガイドを使用して、切断トラックを形成する刻印プロセス中にレーザを案内することができる。いくつかの実施形態では、切断トラックは、レーザを案内するコンピュータシステム(たとえば、ソフトウェアアプリケーション)に事前に設定してロードすることができる。様々な実施形態では、レーザは、適当な周波数または波長を有する様々なレーザタイプ(たとえば、IR波長を有するダイオード励起固体状態レーザ)から選択することができ、たとえばPSO(位置同期出力)技法によって、空間領域でレーザパルスのエネルギー密度および電力密度を均等に制御することができる。波長、パルスエネルギー、および/または電力密度を制御することで、エッチングされた切断トラックの形状および深さの制御を可能にすることができる。さらに、様々な実施形態では、レーザは、単焦点または多焦点の方法によって使用することができる。
【0030】
[0037]いくつかの実施形態では、レーザ刻印は、レーザを使用して、切断トラックに連続する(たとえば、切れ目のない)線を刻印することを含むことができる。これらの実施形態では、切断トラックは、シートの途中までにのみ延びることができる。いくつかの実施形態では、レーザを使用して、切断トラックを画定するようにシートに沿って互いから周期的に隔置された孔を形成(すなわち、「穿設」)することができる。そのような切断トラックは、ミシン目線に似ている。いくつかの実施形態では、上述したレーザ材料プロセスは、シートの一方の側のみに実行することができる。たとえば、レーザを使用して、第1の表面のみに連続する線を刻印することができる。他の実施形態では、レーザ刻印プロセスを両側で実行することができる。これらの実施形態では、レーザ刻印は、両側で同時に行うことができ、またはそれぞれの側で順次行うことができる。機械切断と比較すると、レーザエッチングは、シートへの新しいクラックおよびチップの導入を大幅に低減させるとともに、機械切断中の接触による残留応力を低減させる。
【0031】
[0038]レーザ刻印は、個別の電気構成要素を完全には切断(すなわち、個片化)しない。一部には、これは、シートを完全に切断するために必要とされる熱への露出が継続することで、切断面に小さい微小爆発を引き起こし、レーザに露出されたガラスに小さいクラックおよび/または他の不純物をもたらす可能性があるからである。
【0032】
[0039]したがって、ブロック325で、プロセス300は、個別の電子構成要素の個片化を完了する化学エッチング剤にシートを露出させながら、露出面(たとえば、個別の電子構成要素の側壁)に沿ってあらゆる新しいクラックまたは欠陥を平滑にすることによって継続する。特に、化学エッチングプロセス(ブロック325)は、レーザ刻印中に保護膜から露出された切断トラックに沿ってシートを溶解する。ケミカルダイシングもまた、平滑な丸い縁部を形成することができ、それにより起こり得る破損個所を低減させ、レーザ刻印中にガラスまたは他の材料にもたらされるクラックまたは他の欠陥の少なくとも一部を除去する。
【0033】
[0040]いくつかの実施形態では、ケミカルダイシング(ブロック325)は、化学エッチング槽にシートを浸漬させることによって完了することができる。いくつかの実施形態では、化学エッチング槽は、ブロック310で可撓性ガラスを化学的に薄化するために使用されるものと同じ槽とすることができる。いくつかの実施形態では、化学エッチングは、化学溶液を切断トラックに誘導するために、ホースおよびノズルを使用して実現することができる。
【0034】
[0041]いくつかの実施形態では、プロセス300は、個片化の必要なく、独立型の電子構成要素および/または協働する複数の電子機器を製造するために使用される。これらの実施形態では、プロセス300は、ブロック315および320のステップを省略し、ブロック330へ直接進む。
【0035】
[0042]ブロック330で、プロセス300は、個別の電子構成要素に保護被覆を施すことによって進行する。この保護被覆(「保護被覆」または「保護膜」とも呼ばれる)は、外部環境から保護し、クラックまたは他の欠陥を回避するために、個片化された電気構成要素の新しく露出された側面に施すことができる。保護被覆は、さらに、または別法として、ガラス基板の第2の側(前に施された保護膜の上)および/またはガラス基板の第1の側の電子特徴上(前に施された保護膜の上)に施すことができる。様々な実施形態では、最終保護被覆を施すことを優先して、第1および第2の側の保護膜を除去することができる。
【0036】
[0043]いくつかの実施形態では、ブロック330の保護被覆ステップは、一連のステップも同様に含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ブロック330は、電子ユニット(個別またはシート)を液体ポリマーで被覆する第1のステップと、電子ユニットをソフトベークして液体ポリマーを部分的に硬化させる第2のステップと、第1の保護膜を除去し、それによって電子機器の第1の表面を露出させ、電子機器がたとえば電気コンタクトを受け取ることを可能にする第3のステップと、ハードベークして液体ポリマーの硬化を終了する第4のステップとを含む。様々な実施形態では、電子ユニットは、浸漬被覆、スプレー被覆、ノズル印刷などを介して液体ポリマーで被覆することができ、または電子ユニットは、電子ユニットのための保持セルを有するチャック上に水平に配置することができ、プログラム可能なポリマー溶液ディスペンサ(たとえば、インクジェットプリンタ)により、電子ユニットのすべての縁部の周りにポリマー溶液を分注することができる。
【0037】
[0044]いくつかの実施形態では、ブロック310で説明した化学的薄化およびブロック320~325で説明したケミカルダイシングは、プロセス300の同じ段階中に行うことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の保護膜が電子機器層の上に施された直後に、シートに切断トラックをレーザ刻印し、次いでこのシートを化学槽に浸漬させることができ、同時に第2の表面を溶解することによってガラスを薄化し、化学エッチングプロセスを完了することができる。これらの実施形態では、レーザエッチングプロセスは、切断トラックを溶解させるときに第2の表面から十分な材料が溶解することを可能にする切断トラックをエッチングするように較正することができる。いくつかの実施形態では、個片化後、ブロック330でポリマーによって被覆される前に、個別の電子構成要素に第2の保護膜を施すことができる。他の実施形態では、ブロック330で、個別の電子構成要素をポリマーによって直接被覆することができる。
【0038】
[0045]図4A図4Dは、図3を参照して上述したシートツーシートプロセスの様々な段階における複数の個別の電子特徴432を含む電子アセンブリ410(「シート410」とも呼ばれる)を示す等角図である。
【0039】
[0046]図4Aは、製造プロセスの早い段階のシート410を示す。シート410はガラス基板421を含み、ガラス基板421は、低いレベルの欠陥(たとえば、クラック)を含む第1の部分422と、より高いレベルの欠陥を有する第2の部分424とを有する。図4Aに示すように、第2の部分424は、ガラス基板421の外面からガラス基板422内へ、ある距離だけ延びる。複数の個別の電子特徴432は、第1の保護膜442によって覆われたガラス基板421の上面(たとえば、第1の表面)に配置される。一実施形態では、次いで、シート410を化学槽に浸漬させてガラスを薄化する。
【0040】
[0047]図4Bは、化学的薄化プロセス後のシート410を示す。化学的薄化プロセスは、少なくともシート421の第2の側を化学エッチング槽に浸漬させること、および/またはシート421の第2の側の方へ化学エッチング剤を誘導することを含むことができる。化学物質が、ガラス基板の一部分を露出面から事前定義された深さまで溶解する。第1の保護膜442は、化学エッチング剤が下にある電子特徴432を除去すること、または他の形で電子特徴432に影響することを防止する。図4Aおよび図4Bに示すように、化学エッチング剤は、下面(たとえば、第2の表面)に施され、それによって欠陥の多い第2の部分424を溶解し、下にある欠陥の少ない第1の部分422を露出させる。図4Bにさらに示すように、第1の部分は、第2の保護膜444で被覆することができる。この段階で、シート410は、個別の電子構成要素に個片化する準備ができた状態になる。
【0041】
[0048]図4Cは、個別の電子構成要素の周りに境界を画定するために切断トラック470が形成された後の、次の処理ステップにおけるシート410を示す。図示の実施形態では、切断トラック470は、シート410の両側に形成され、保護膜442、444を通って部分的にガラス基板422内へ延びる。いくつかの実施形態では、切断トラック470は、ガラス基板422の一方の側にのみ形成され、かつ/またはガラス基板422の表面までのみ延びる(ガラス基板422内へは延びない)。切断トラック470は、レーザおよび/または他の好適なミシン目形成手段を使用して刻印することができる。図示の実施形態では、切断トラック470は、個別の電子構成要素の境界を画定するように互いから隔置された連続する線(たとえば、トレンチ、細長い凹部、または谷)である。いくつかの実施形態では、切断トラック470は、シート410の上面および/または下面に沿って一連の隔置された破線または孔である(たとえば、紙の穿孔に類似している)。シート410が化学エッチング剤に露出されたとき、化学物質は切断トラック470を通ってガラス421に接触し、ガラス421を径方向内方へ溶解することができる。切断トラック470が十分に深い場合、化学エッチング剤が個別の電子ユニット413の何らかの実質的な部分を溶解する前に、複数の電子構成要素432を複数の個別の電子ユニット413に分離することができる(図4D)。
【0042】
[0049]図4Dは、複数の個片化された電子構成要素413を示す。電子構成要素413は各々、可撓性ガラス基板421に配置された個別の電子特徴432を含む。デバイスの可撓性を増大させ、第2の保護膜444で被覆された下面から欠陥を除去するために、可撓性ガラス基板421は薄化される。化学的個片化は、構成要素413の可撓性を妨げるはずの追加のクラックまたは他の欠陥を生じることなく、清浄で平滑な側壁を提供することができる。図示の実施形態では、個別の構成要素413は、外面全体が最終保護被覆(図示せず)で被覆されている。構成要素413をソフトベークすることができ、第1の保護膜442を除去して、個別の電子特徴432を露出させることができ、次いで構成要素413をハードベークして、最終被覆を完全に硬化させることができる。複数の電子特徴432は、分離によってシート全体を含む任意の数の電子特徴432がともにグループ化されるように、相互接続することができる(それによって、分離を必要としない)ことも理解されよう。個別の構成要素413ごとに個々の電子機器として示されているが、個別の電子特徴432は、複数の回路および/または複数の下位構成要素を含むことができることも理解されよう。
【0043】
[0050]いくつかの実施形態では、個別の電子構成要素413は、フレキシブル生体認証カードまたは他の生体認証感知デバイスに一体化することができるフレキシブル生体認証センサシステムに対する構成要素のいくつかまたはすべてを含むことができる。たとえば、個別の電子構成要素413は、指紋感知領域、ASIC、およびマイクロコントローラを含むことができる。指紋センサのための構成要素のいくつかまたはすべてを製造することによって、プロセス300を使用して、たとえばBSoCで使用するためのフレキシブル指紋センサを製造することができる。センサがこの技法を使用して製造されるため、BSoCは、大量の機械応力に耐え、BSoCの寿命を延ばすことが可能である。本技術のいくつかの実施形態による生体認証システムの構成要素に関する完全な詳細は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9792516B2号に記載されている。
【0044】
[0051]図5は、本技術のいくつかの実施形態によるフレキシブルエレクトロニクスを製造するロールツーロールプロセス500のブロック図である。ロールツーロールプロセス500は、ロールツーロールシステムでの使用に適合された図2A図4Dに関して上記に論じた方法のいくつかを使用する。
【0045】
[0052]ブロック505で、プロセス500は、製造プロセスのための可撓性のロール基板(たとえば、可撓性ガラス基板、積層板)を提供する。いくつかの実施形態では、可撓性基板を準備することは、可撓性ガラス基板を化学的に薄化して以前の製造プロセスおよび/または製造前の取扱いから残る外面領域内のクラックおよび他の欠陥を除去することを含む。いくつかの実施形態では、可撓性ガラス基板を準備することは、可撓性基板の下面に保護膜を施し、それによって積層板を形成することを含むことができる。これらの実施形態では、保護膜は、上面に電子機器を製造するときに欠陥の導入を低減させるために、機械的および化学的な保護を下面に提供することができる。可撓性ガラス基板がそれ以外に関して準備された後、可撓性ガラス基板はロールに巻かれて、ロールツーロール製造システムで構成される。
【0046】
[0053]ブロック510で、プロセス500は、可撓性ガラス基板の前面または第1の表面に電子特徴を形成することによって継続する。たとえば、これは、ロールを展開し、ガラス基板の前面または第1の表面に電子特徴を堆積させるように構成された1つまたは複数の半導体製造モジュールに、この可撓性ガラス基板をかけることを含むことができる。いくつかの実施形態では、モジュールを使用して、低温多結晶シリコン(LTPS)の製作を実現することができる。一実施形態では、たとえば、可撓性基板は、基板の上面に複数のTFTの1つまたは複数の層を堆積させる第1の膜堆積モジュール、フォトリソグラフィパターニングを行うための第2のモジュール、堆積膜をエッチングして剥離する第3のモジュール、TFTを検査する第4のモジュール、および/または頂部の上に最終層を堆積させる第5のモジュールに通される。様々な実施形態では、製造プロセス500は、他のTFT関連モジュールを含むことができ、記載されたいくつかを省略することができ、かつ/または異なる半導体処理モジュールを含むことができる。たとえば、製造プロセス500はまた、レーザ結晶化プロセス、イオンドーピングプロセス、活性化プロセス、および様々なアニーリングなどの任意の他の適当な機能モジュールを含むことができる。さらに、作製される電子ユニットに関連する製造プロセスのすべては、単一のモジュール、2つのモジュール、または任意の数のモジュールで行うことができることが理解されよう。ロールツーロールプロセスを使用して、例として上述したものとは完全に異なるモジュールを必要とする可能性があるTFT以外の他の電子ユニットを製造することができることも理解されよう。可撓性ガラス基板に電子機器が形成された後、展開されたロールは、図4A図4Dに関して上述した電気的特徴が隔置されたシートに類似の特徴を含むことができる。
【0047】
[0054]ブロック515で、ロールを個別のシートに分離することができる。これは、様々な方法で実現することができる。いくつかの実施形態では、分離は、個別のシートを分離するように、図3のブロック320および325に関して上述したケミカルダイシングプロセスを適合することができる。たとえば、レーザを使用して、シート間の境界を画定する切断トラックをエッチングすることができ、化学槽を使用して、分離を完了することができる。シートが単一の電子ユニット(または協働する複数の電子機器)を含む実施形態では、化学エッチングプロセスを分離に組み込むことで、シートの縁部にもたらされる欠陥の数を低減させることができる。シートを複数の個別の電子構成要素413に分離するためにさらなる個片化が行われる実施形態(図4D)では、従来の切断機構によってもたらされる欠陥は、ケミカルダイシング個片化プロセスによって後に除去することができる。
【0048】
[0055]ブロック520で、プロセス500を継続してケミカルダイシングを使用し、個片化を完了することができる。様々な実施形態では、プロセスは、図3のブロック320およびブロック325に関して上記で論じたステップをたどることができる。すなわち、ブロック520で、プロセス500は、レーザおよび化学エッチングプロセスの組合せを使用して、個別の電子構成要素への分離を完了することができる。これらの実施形態では、個片化を完了するために使用される化学エッチング剤を使用して、ブロック515でシートの分離によってもたらされる欠陥を低減させることもできる。
【0049】
[0056]いくつかの実施形態では、プロセス500はブロック515を省くことができることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、個別の電子構成要素を個片化するために、ロールを個片化モジュールに通すことができ、個片化モジュールは、ケミカルダイシングプロセスをロール上で直接連続して完了する。
【0050】
[0057]ブロック525で、プロセスは、その結果として得られる電子製品(たとえば、分離されたシート、複数の個別の電子ユニットなど)に、最終保護被覆を施す。様々な実施形態では、プロセスは、図3のブロック330に関して上記で論じたステップをたどって、最終被覆を施すことができる。たとえば、一実施形態では、プロセスは、個別の電子ユニットを水平チャックに投入し、個別の電子ユニットをスプレー被覆し、個別の電子ユニットをソフトベークし、個別の電子ユニットの上面から保護膜を除去し、かつ/または個別の電子ユニットをハードベークする。
【0051】
[0058]図6は、図5のプロセス500の一実施形態によって使用することができるロールツーロールプロセスを示す部分概略図である。図示の実施形態では、プロセス600は、第1のロール602、第2のロール604、および第3のロール606を使用する。プロセスの開始時に、可撓性基板(たとえば、可撓性ガラス基板)は、第1のロール602に巻かれている。次いで、可撓性基板は、第1のロール602から展開され、一連のモジュール611~615を通って第2のロール604に巻き取られる。いくつかの実施形態では、第1のロール602は、製造プロセスによって可撓性基板に張力を与えるように、第2のロール604への巻き取りに耐える。
【0052】
[0059]図示の実施形態では、可撓性基板は、第2のロール604に巻き取られるとき、モジュール611~615によって引っ張られる。モジュールの総数、ならびに各モジュールでどの製造プロセスが行われるかは、可撓性基板の上面に堆積させられる電子構成要素に応じて適宜変更することができることが理解されよう。一実施形態では、たとえば、モジュール611~615は、上記で論じたTFTの製造に関連する様々なモジュールに対応することができる。すなわち、一実施形態では、モジュール611を膜堆積モジュールとすることができ、モジュール612をフォトリソグラフィパターニングモジュールとすることができ、モジュール613をエッチングおよび剥離モジュールとすることができ、モジュール614を検査モジュールとすることができ、モジュール615を第2の膜堆積モジュールとすることができる。
【0053】
[0060]図示の実施形態では、電子機器の製造が完了した後、第2のロール604は、個片化の準備のために別のステーションへ動かされる。第2のステーションで、可撓性基板は第2のロール604から展開され、第3のロール606に巻き取られる。いくつかの実施形態では、第2のロール604は、個片化準備全体にわたって可撓性基板に一定の張力を生じさせるように、第3のロール606の巻き取りに耐える。
【0054】
[0061]図示の実施形態では、可撓性基板は、第3のロール606に巻き取られるとき、様々なモジュール622および624によって引っ張られる。モジュールの総数、ならびに各モジュールでどのプロセスが行われるかは、個片化プロセスに応じて適宜変更することができることが理解されよう。一実施形態では、たとえば、モジュール622および624を使用して、電子機器に保護膜を施し、個別の電子ユニットの周りで切断トラックをエッチングすることによって、個別の電子ユニットに分離されるロールを準備することができる。たとえば、モジュール622を使用して、可撓性基板の上面に保護膜を施すことができる。上記で論じたように、保護膜はたとえば、個片化中に個別の電子ユニットおよび上面を化学的および機械的な損傷から保護するために、上面に一時的に積層することができる。さらに、モジュール624は、ケミカルダイシングプロセスの第1のステップを実行するために使用されるレーザエッチングモジュールとすることができる。一実施形態では、たとえば、モジュール624で、レーザを使用して連続する切断トラックを可撓性基板内へ刻印することができる。上述したように、レーザ刻印プロセスは、上面、下面、または両面で行うことができる。
【0055】
[0062]可撓性基板内へ切断トラックを刻印した後、モジュール626で、可撓性基板を第3のロール606から化学エッチング槽内へ展開して、個片化を完了することができる。いくつかの実施形態では、個片化後、複数の個別のユニットに最終保護被覆を施すことができ、かつ/または上面から保護膜を除去することができる。
【0056】
[0063]上述した方法によって電子機器が製造されるとき、可撓性ガラスなどの可撓性基板の可撓性を著しく増大させることができ、その結果、屈曲されまたは曲げられたときの可撓性基板は、機械応力を受けても障害点を生じない。逆に、可撓性基板に配置された電子特徴が、全体的なデバイスの可撓性に対する制限要因として働く(たとえば、欠陥および/または鋭い縁部による)。したがって、本明細書に開示するシステムおよび方法は、化学的薄化を利用して、可撓性ガラス基板からクラックおよび欠陥を低減および/または除去し、ガラスに電気的特徴を直接製造し、その結果として得られる電子構成要素をフレキシブル電子システム(たとえば、フレキシブルカード、ウェアラブル、スキャナ、ディスプレイ)に一体化することを可能にすることができる。
【0057】
[0064]図7A図7Dは、本技術のいくつかの実施形態による電子構成要素の可撓性を改善するための様々な製造段階における電子構成要素の断面側面図である。図7Aは、第1の処理ステップにおける個片化された電子構成要素710(「電子デバイス」または「電子ユニット」とも呼ばれる)を示す。図示のように、電子構成要素710は、可撓性基板712(たとえば、ガラス)および電子特徴714(たとえば、薄膜回路)を含む。電子構成要素710は、外面715(「第1の表面715」とも呼ばれる)および縁部716を有する。これらの縁部716は、鋭く薄い頂点をつなぐ表面によって形成することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、可撓性基板712は、図3に説明するプロセス300によって薄化された可撓性ガラスとすることができ、電子特徴714は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化インジウムスズ(ITO)、および/またはモリブデン(Mo)のプラズマ化学気相成長(PECVD)によって製造された比較的もろいTFTとすることができる。
【0058】
[0065]図7Aに示すように、外面715は、たとえば製造中の応力に起因しうる複数の欠陥(たとえば、クラック、縁部欠陥、または不純物)を含む。たとえば、薄膜回路をパターニングする最終ステップは、フォトレジストマスクを剥離し、それに続いて薄膜を水洗いすることを伴うことが多い。一般に、超音波攪拌または他の攪拌手段が、高速かつ清浄なフォトレジスト除去のために使用される。しかし、攪拌および後の水洗いは、薄膜の表面を悪化させ、その結果、外面715内に縁部欠陥、傷、および/または微小クラックを生じさせる傾向がある。これらの欠陥は特に、一般に攪拌中に高度の応力集中が存在する薄膜のあらゆる露出縁部の周りにもたらされる。さらに、図2Bに関して論じた欠陥と同様に、外面715の欠陥は、典型的に、電子特徴714の可撓性を制限する。電子特徴714がPECVDによって製造されたTFT膜である実施形態では、使用される膜材料は、交換することができない比較的もろい材料である。
【0059】
[0066]代わりに、本技術のいくつかの実施形態では、ブランケットエッチングプロセスを使用して、電子特徴714の外面715における表面欠陥を低減させることができる。いくつかの実施形態では、ブランケットエッチングプロセスは、上述した製造プロセス中のエッチングに使用されるものと同じエッチング剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、TFTがエッチングおよび剥離段階を含むプロセスによって製造される場合、ブランケットエッチングプロセスは、膜をエッチングするために使用されるものと同じエッチング剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、ブランケットエッチングプロセスは、フッ化水素酸をフッ化アンモニウム溶液中で、HF:NHF比1:7で使用することができる。いくつかの実施形態では、使用されるエッチング剤は、より高濃度にすることができ、これは、外面715を除去し、それによって電子特徴714内の欠陥を低減させるために、非常に短時間の露出を必要とする。いくつかの実施形態では、エッチング剤をさらに希釈することができ、これは、プロセス中により長い露出を必要とするが、さらなる制御を提供する。
【0060】
[0067]図7Bは、電子構成要素714から欠陥または不純物を除去するための処理後の電子ユニット710を示す。図示のように、より少ない欠陥または不純物を有する表面717を露出させるために、外面715が除去されている。さらに、縁部716が丸くされており、それにより縁部716に集中する応力の量が低減される。より少ない欠陥を含む表面717を露出させる結果、電子特徴714、したがって電子構成要素710の可撓性が改善される。
【0061】
[0068]図7Cは、本技術のいくつかの実施形態による電子構成要素710の一例を示し、電子構成要素710の上面714に保護膜720が配置されている。いくつかの実施形態では、保護膜720は、縁部716および表面717への機械的保護(たとえば、引っ掻き、接触誘因応力などに対する)を提供することができる。いくつかの実施形態では、保護膜720は、電子構成要素710の上面714の上の平坦化層として作用することができる。いくつかの実施形態では、保護膜720は、高分解能のLCDまたはOLEDディスプレイを製作する際に通常使用されるものなど、フォトパターン可能の有機または無機有機ハイブリッド材料とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、保護膜720は、電子構成要素710の上面714に選択的に施すことができる。
【0062】
[0069]図7Dは、本技術のいくつかの実施形態による電子構成要素710の一例を示し、保護膜720は、電子構成要素710の上面714に選択的に配置されている。図示の実施形態では、保護膜720は、電子特徴714の一部分の上にバイア孔が位置する状態で配置され、それにより層730が電子特徴714に接触することが可能になる。いくつかの実施形態では、たとえば層730は、電子特徴714を他の電子機器構成要素(図示せず)に電子的に結合することができる。いくつかの実施形態では、電子特徴714は、比較的もろい電極(たとえば、ITOまたはMo)とすることができ、保護膜720によって保護され、層730内の比較的もろくない電極に接触することができる。
【0063】
[0070]図7A図7Dに示す概略図および電子構成要素710は、例示のみを目的として示されていることが理解されよう。電子機器の可撓性を改善する方法の根本原理から逸脱することなく、実施形態の多くの変形例が存在することができる。たとえば、電子特徴714が基板712の上に直接位置するように示されているが、電子特徴714と基板712との間の1つもしくは複数の薄膜および/または他の層が存在してもよく、単一の基板712が図7A図7Dに示されているが、基板712はまた、複数の層からなることもできる(たとえば、可撓性プラスチック材料(PIなど)の層が剛性のキャリア基板(たとえば、剛性ガラス)に積層される)。

[0071]本技術のいくつかの態様が、便宜上符号(1、2、3など)を有する以下の例に記載されている。これらは例として提供されており、主題の技術を限定するものではない。
【0064】
1.フレキシブルエレクトロニクスを製造する方法であって、
電子アセンブリの複数の電子特徴に第1の保護材料を施すステップであり、電子アセンブリがガラス基板を含み、複数の電子特徴がガラス基板の第1の側に配置される、施すステップと、
ガラス基板を所定の厚さに薄化する化学物質にガラス基板の第2の側を露出させるステップであり、第2の側がガラス基板の第1の側とは反対に位置する、露出させるステップと、
ガラス基板の第2の側に第2の保護材料を施すステップとを含む、方法。
【0065】
2.例1に記載の方法であって、
複数の電子特徴を個別の電子構成要素に分離するステップと、
個別の電子構成要素の少なくとも一部分の周りに第3の保護材料を施すステップとをさらに含む、方法。
【0066】
3.例2に記載の方法であって、
ガラス基板の第2の側を化学物質に露出させるステップが、少なくともガラス基板の第2の側を第1の化学エッチング槽に浸漬させることを含み、
複数の電子特徴を分離するステップが、
レーザを使用してガラス基板の第1の側および/または第2の側に切断トラックを刻印することであり、切断トラックが個別の電子構成要素の周りに境界を画定する、刻印することと、
電子アセンブリを第2の化学エッチング槽に少なくとも部分的に浸漬させて、ガラス基板を切断トラックに沿って分離することとを含む、方法。
【0067】
4.例2に記載の方法であって、
ガラス基板の第2の側を化学物質に露出させるステップが、少なくともガラス基板の第2の側を第1の化学エッチング槽に浸漬させることを含み、
複数の電子特徴を分離するステップが、
互いから徐々に隔置された複数の孔を形成して、ガラス基板に切断トラックを画定することであり、切断トラックが個別の電子構成要素の周りに境界を画定する、画定することと、
電子アセンブリを第2の化学エッチング槽に少なくとも部分的に浸漬させて、ガラス基板を切断トラックに沿って分離することとを含む、方法。
【0068】
5.例2~4のいずれかに記載の方法であって、個別の電子構成要素の少なくとも一部分の周りに第3の保護材料を施すステップが、
個片化された電子構成要素の外面に液体ポリマーを施すことであり、外面が少なくとも1つの側面を含む、施すことと、
電子構成要素をソフトベークして、液体ポリマーを部分的に硬化させることと、
第1の側から第1の保護材料を除去することと、
電子アセンブリをハードベークして、電子構成要素の第2の側および縁部で液体ポリマーを完全に硬化させることとを含む、方法。
【0069】
6.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、第2の側を化学物質に露出させるステップが、電子アセンブリを化学エッチング槽に浸漬させることを含む、方法。
7.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、第2の側を化学物質に露出させるステップが、ガラス基板から材料を除去して、ガラス基板の第2の側から欠陥を低減させることを含む、方法。
【0070】
8.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、複数の電子特徴が複数の薄膜トランジスタを含む、方法。
9.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、複数の電子特徴が指紋センサを構成する、方法。
【0071】
10.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、ガラス基板を所定の厚さに薄化する化学物質にガラス基板の第2の側を露出させるステップが、ガラス基板を多くとも0.2mmの厚さに化学的に薄化することを含む、方法。
【0072】
11.前述の例のいずれか1つに記載の方法であって、ガラス基板の第2の側に第2の保護材料を施すステップが、高い衝撃吸収特性を有する膜をガラス基板の第2の側に恒久的に結合させることを含む、方法。
【0073】
12.フレキシブルエレクトロニクスを製造する方法であって、
一連の製造ステップを実行するように、順次位置決めされた製作モジュールの経路に沿って可撓性ガラス基板を前進させるステップであり、製造ステップが、
少なくとも1つの電子機器製作モジュールを介して、可撓性ガラス基板の電子機器側に複数の個別の電子特徴を配置するステップ、
被覆モジュールを介して、可撓性ガラス基板の電子機器側に第1の保護材料を施すステップ、および
刻印モジュールを介して、可撓性ガラス基板に切断トラックを刻印するステップを含み、切断トラックが個別の電子構成要素の周りに境界を画定する、前進させるステップと、
可撓性ガラス基板を化学エッチング槽に少なくとも部分的に浸漬させて、個別の電子構成要素を切断トラックに沿って分離し、複数の個別のユニットを作り出すステップと、
複数の個別のユニットに第2の保護被覆を施すステップとを含む、方法。
【0074】
13.例12に記載の方法であって、順次位置決めされた製作モジュールの経路に沿って可撓性ガラス基板を前進させるステップが、可撓性ガラス基板が経路に沿って前進するにつれて、ロールから可撓性ガラス基板を展開することを含む、方法。
【0075】
14.例12または13に記載の方法であって、ロールが第1のロールであり、この方法が、
第1のロールが展開されるにつれて、順次位置決めされた製作モジュールの少なくとも一部分の後に位置決めされた第2のロールに可撓性ガラス基板を巻き取り、一連の製造ステップにわたって可撓性ガラス基板に張力を提供するステップをさらに含む、方法。
【0076】
15.例12~14のいずれかに記載の方法であって、切断トラックを刻印するステップが、切断トラックを所定の刻印深さまでレーザ刻印することを含み、所定の刻印深さが可撓性ガラス基板の厚さより小さい、方法。
【0077】
16.例12~15に記載の方法であって、切断トラックを刻印するステップが、
可撓性ガラス基板の電子機器側に第1の切断トラックを刻印することと、
可撓性ガラス基板の裏側に第2の切断トラックを刻印することとを含み、裏側が電子機器側とは反対に位置し、第2の切断トラックが第1の切断トラックと少なくとも実質的に位置合わせされる、方法。
【0078】
17.例12~16のいずれかに記載の方法であって、切断トラックを刻印するステップが、一連の孔をレーザ穿設して切断トラックを画定することを含む、方法。
18.電子構成要素の可撓性を改善する方法であって、
微小クラックを除去し、電子構成要素の内側部分を露出させるように、電子構成要素の少なくとも1つの表面に化学エッチング剤を制御可能に施すステップであり、電子構成要素の内側部分に欠陥が実質的にない、制御可能に施すステップと、
電子構成要素の内側部分を欠陥の発生から保護するために、電子構成要素の内側部分の上に保護膜を施すステップと、
保護膜をフォトパターニングしてバイア孔を形成し、バイア孔と位置合わせされた電子構成要素の電気コンタクトへの電気的接続を可能にするステップとを含む、方法。
【0079】
19.例18に記載の方法であって、電子構成要素の少なくとも1つの表面に化学エッチング剤を制御可能に施すステップが、共通の縁部で交わる少なくとも第1の表面および第2の表面を化学的にエッチングして共通の縁部を丸くすることを含む、方法。
【0080】
20.例18または19に記載の方法であって、電子構成要素が、パターニングされた薄膜トランジスタアレイであり、可撓性基板に配置されており、薄膜トランジスタより高い破壊応力を有する、方法。
結論
[0072]本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本技術を上記で開示した厳密な形態に限定することを意図したものではない。本技術の特有の実施形態および例について例示の目的で上述したが、当業者には理解されるように、本技術の範囲内で、様々な同等の修正形態が可能である。たとえば、上記ではステップを所与の順序で提示したが、代替実施形態は、ステップを異なる順序で実行することができる。さらに、本明細書に記載する様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することもできる。
【0081】
[0073]上記から、本技術の特有の実施形態について例示の目的で本明細書に説明したが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、よく知られている構造および機能については詳細に図示または説明しないことがあることが理解されよう。参照により本明細書に組み込まれているあらゆる資料が本開示に矛盾する限り、本開示が優先する。内容が許す場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ複数形または単数形の用語も含むことができる。さらに、「または」という単語が、2つ以上の項目の一覧に関して、他の項目から排他的に単一の項目のみを意味すると明白に限定されない限り、そのような一覧における「または」の使用は、(a)一覧内のいずれか単一の項目、(b)一覧内の項目のすべて、または(c)一覧内の項目の任意の組合せを含むと解釈されたい。さらに、本明細書では、「Aおよび/またはB」にあるように、「および/または」という語句は、Aのみ、Bのみ、およびAおよびBの両方を指す。加えて、「含む(comprising)」、「含む(including)、「有する(having)」、および「有する、含む(with)」という用語は、全体にわたって、任意のより多数の同じ特徴および/または追加のタイプの他の特徴が除外されることなく、少なくとも記載の特徴を含むことを意味するために使用される。
【0082】
[0074]上記から、本開示または本技術から逸脱することなく、様々な修正を加えることができることも理解されよう。たとえば、本技術の様々な構成要素を下位方法にさらに分割することができること、または本技術の様々なシステムおよび方法を組み合わせて一体化することができることが、当業者には理解されよう。加えて、特定の実施形態の文脈で記載する本技術の特定の態様を、他の実施形態では統合または削除することもできる。さらに、本技術の特定の実施形態に伴う利点について、それらの実施形態の文脈で説明したが、他の実施形態もそのような利点を呈することができ、本技術の範囲に入るために、必ずしもすべての実施形態がそのような利点を呈する必要はない。したがって、本開示および関連する技術は、本明細書に明白に図示または記載されていない他の実施形態を包含することもできる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D