(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】二機能性ヒト化抗C5抗体ならびにそのH因子融合タンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20250325BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20250325BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20250325BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20250325BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250325BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250325BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20250325BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K16/18 ZNA
C07K14/47
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/869 Z
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P37/02
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2021563186
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 US2020029876
(87)【国際公開番号】W WO2020219922
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(73)【特許権者】
【識別番号】521095547
【氏名又は名称】キラ ファーマシューティカルズ (ユーエス) リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチャオ ソン
(72)【発明者】
【氏名】三輪 隆史
(72)【発明者】
【氏名】ダモダー ガリーパリ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 さやか
(72)【発明者】
【氏名】ピン ツイ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112996(JP,A)
【文献】国際公開第2018/165062(WO,A1)
【文献】特表2017-512463(JP,A)
【文献】特開2017-226655(JP,A)
【文献】J. Am. Soc. Nephrol.,2018年,Vol.29,pp.1141-1153
【文献】PLoS ONE,2018年,Vol.13,e0195909 (pp.1-15)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ヒトC5に特異的に結合する抗体
部分(抗ヒトC5抗体
部分)と
b)H因子(FH)またはその機能的断片
とを含む
、融合タンパク質
であって、前記抗ヒトC5抗体部分は、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、および
i)前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
ii)前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
iii)前記VHは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
iv)前記VHは、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
v)前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号29のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
vi)前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号34のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
vii)前記VHは、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号38のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
viii)前記VHは、配列番号42のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号43のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
ix)前記VHは、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
x)前記VHは、配列番号52のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
xi)前記VHは、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
xii)前記VHは、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号62のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
xiii)前記VHは、配列番号42のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号65のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;
xiv)前記VHは、配列番号52のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号68のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む;または
xv)前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み;そして前記VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、
融合タンパク質。
【請求項2】
前記抗ヒトC5抗体
部分のヒトC5への結合はpH依存性であり、および
前記抗ヒトC5抗体部分は中性pHのときに酸性pHのときよりも強力にヒトC5に結合する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記FH
機能的断片は
、前記FHタンパク質のショート・コンセンサス・リピート(SCR)ドメイン
1~4またはドメイン1~5を含む、請求項
1または2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記FH
機能的断片は、配列番号72
のアミノ酸配列のアミノ酸残基472~726を含む、請求項
3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の融合タンパク質であって、前記抗ヒトC5抗体は:
a)配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;および配列番号13
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号13
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
b)配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号16
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号16
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
c)配列番号19
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号19
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
d)配列番号22
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号22
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
e)配列番号28
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号28
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号31
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号31
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
f)配列番号36
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号36
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
g)配列番号41
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号41
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
h)配列番号46
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号46
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
i)配列番号51
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号51
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
j)配列番号56
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号56
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
k)配列番号59
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号59
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号25
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
l)配列番号76
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号76
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
m)配列番号78
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号78
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
n)配列番号80
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~14
2または配列番号80
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~14
2と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL;
または
o)配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144または配列番号2
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVH;およ
び配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127または配列番号7
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127と少なくとも
90%配列同一性を
有するそのバリアントを含むVL
を含む、融合タンパク質。
【請求項6】
請求項5に記載の融合タンパク質であって、前記抗ヒトC5抗体は:
a)配列番号2のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号13のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
b)配列番号2のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号16のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
c)配列番号19のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号7のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
d)配列番号22のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
e)配列番号28のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号31のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
f)配列番号36のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号7のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
g)配列番号41のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
h)配列番号46のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
i)配列番号51のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
j)配列番号56のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
k)配列番号59のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
l)配列番号64のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
m)配列番号67のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;
n)配列番号70のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号25のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL;または
o)配列番号2のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~144を含むVH、および配列番号7のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~127を含むVL
を含む、融合タンパク質。
【請求項7】
前記抗ヒトC5抗体
部分は、全長抗体、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、
またはそれらの組合せ
である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記抗ヒトC5抗体
部分は、全長抗体(抗ヒトC5全長抗体)である、請求項
7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記抗ヒトC5
全長抗体は、IgG4由来のFc断片を含む、請求項
8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記Fc断片は、配列番号32、33及び61のいずれか
1つのアミノ酸配列を含む、請求項
9に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記Fc断片は、配列番号61のアミノ酸配列を含む、請求項1
0に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
請求項
8~1
1のいずれか一項に記載の融合タンパク質であって、前記抗ヒトC5全長抗体は、重鎖と軽鎖を含み、ここで
i)前記重鎖は、配列番号72
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~471を含み、および前記軽鎖は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234を含む;
ii)前記重鎖は、配列番号76
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~471を含み、および前記軽鎖は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234を含む;
iii)前記重鎖は、配列番号78
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~471を含み、および前記軽鎖は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234を含む;あるいは
iv)前記重鎖は、配列番号80
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~471を含み、および前記軽鎖は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234を含む
、
融合タンパク質。
【請求項13】
前記
FHまたはその機能的断片は、抗ヒトC5全長抗体の一方または両方の重鎖のC末端に融合されている、請求項
8~1
2のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記融合タンパク質は、第一のFHまたはその機能的断片および第二のFHまたはその機能的断片を含み、ここで、前記第一のFHまたはその機能的断片は、前記抗C5全長抗体の第一の重鎖のC末端に融合されており、そして前記第二のFHまたはその機能的断片は、前記抗C5全長抗体の第二の重鎖のC末端に融合されている、請求項
13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記第一のFHまたはその機能的断片は、第一のリンカーを介して、前記抗C5全長抗体の第一の重鎖のC末端に融合されており、そして前記第二のFHまたはその機能的断片は、第二のリンカーを介して、前記抗C5全長抗体の第二の重鎖のC末端に融合されている、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記融合タンパク質は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234をそれぞれ含む2つの軽鎖、ならびに配列番号72、76、78および80のいずれか
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~777をそれぞれ含む2つのFH断片融合重鎖を含む、請求項
15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記融合タンパク質は、配列番号74
のアミノ酸配列のアミノ酸残基21~234をそれぞれ含む2つの軽鎖、ならびに配列番号72
のアミノ酸配列のアミノ酸残基20~777をそれぞれ含む2つのFHフラグメント融合重鎖を含む、請求項
16に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記FHまたはその機能的断片は、前記抗ヒトC5抗体部分のC末端に融合されている、請求項1~14、16~17のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記FHまたはその機能的断片は、リンカーを介して、前記抗ヒトC5抗体部分のC末端に融合されている、請求項18に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする単離された核酸。
【請求項21】
前記単離された核酸が、配列番号1、6、12、15、18、21、24、27、30、35、40、45、50、55、58、63、64、69、71、73、75、77および79のいずれかの核酸配列を含む、請求項2
0に記載の単離された核酸。
【請求項22】
請求項2
0又は2
1に記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項23】
ウイルスベクターである、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、レンチウイルスベクター、マウス幹細胞ウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、またはヒト免疫不全ウイルスベクターである、請求項23に記載のベクター。
【請求項25】
i)請求項1~19のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項20または21に記載の単離された核酸、または請求項22~24のいずれか一項に記載のベクター、およびii)医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の融合タンパク質
を発現するか、請求項2
0または2
1に記載の単離された核酸
を含むか、あるいは請求項
22~24のいずれか一項に記載のベクターを含む
、宿主細胞。
【請求項27】
ハイブリドーマである、請求項2
6に記載の
宿主細胞。
【請求項28】
個体の補体経路関連疾患または障害を治療する方法
における使用のための、請求項1~
19のいずれか一項に記載の融合タンパク質
、請求項20または21に記載の単離された核酸、請求項22~24のいずれか一項に記載のベクター、または請求項
25に記載の医薬組成物を含む、
医薬。
【請求項29】
個体の補体系の活性を下げる方法における使用のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項20または21に記載の単離された核酸、請求項22~24のいずれか一項に記載のベクター、または請求項25に記載の医薬組成物を含む、医薬。
【請求項30】
前記疾患または障害は、黄斑変性(MD)、加齢黄斑変性(AMD)、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、喘息、アレルギー性喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎(NMO)、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜中心動脈閉塞症(CRAO)、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項
28に記載の
医薬。
【請求項31】
i)前記炎症が、心肺バイパス手術に関連する炎症
、腎臓透析に関連する炎症
、糸球体腎炎、関節炎、関節リウマチ、視神経脊髄炎(NMO)、手術後の全身性炎症症候群、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、狼瘡、潰瘍性大腸炎、および/または臓器移植に関連する炎症のうちの1または複数を含み;
ii)前記
黄斑変性が、加齢黄斑変性(AMD)を含み;および/または
iii)前記喘息は、アレルギー性喘息を含む、
請求項3
0に記載の
医薬。
【請求項32】
前記糸球体腎炎は、ANCA関連糸球体腎炎、ループス腎炎、またはそれらの組合せを含む、請求項31に記載の使用のための医薬。
【請求項33】
前記個体が、ヒトである、請求項
28または29に記載の
使用のための医薬。
【請求項34】
融合タンパク質を産生する方法であって、
a)請求項20または21に記載の単離された核酸または請求項22~24のいずれか一項に記載のベクターを含む宿主細胞、あるいは請求項26または27に記載の宿主細胞を、前記融合タンパク質の発現に好適な条件下で培養する工程;および
b)発現した融合タンパク質を前記宿主細胞から得る工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health; NIH)から授与したNIH助成金第AI085596号および第AI117410号の政府支援を受けてなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項の定めにより、2019年4月24日出願の米国仮特許出願第62/837,853号および2019年4月24日出願の米国仮特許出願第62/837,833号の優先権を主張する。これらの出願の開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
補体系は宿主の防御で重要な役割を果たす先天免疫の一部である。通常、補体の活性化は宿主組織に自己損傷を起こさないように慎重に制御されている。しかし、調節機構が欠陥をもつ(たとえば、補体調節遺伝子の変異)または不十分である(たとえば、自己抗体または感染により調節因子の能力を超える強力な補体活性化が誘発された場合)特定の状況では、制御不能な補体系による深刻で致命的な自己組織損傷が起こる可能性がある。多くの自己免疫疾患および炎症性疾患には不適切な補体活性化が関与していることが現在知られており、当技術分野では、様々な補体関連疾患の発症機序を理解しこれらの障害を治療する薬物として特異的な抗補体阻害物質を開発するための熱心な取組みがなされている。活性化した補体は重大な組織損傷および破壊を引き起こす可能性もあり、調節不全の補体活性は多くの希少疾患および一般的疾患、たとえば発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、関節リウマチ、加齢黄斑変性などに関連することがわかっている。したがって、抗補体療法はこれらのヒトの障害を治療する有望な方法である。
【0004】
補体C5は補体活性化の終末経路における重要なタンパク質であり、強力な炎症性媒介物質C5aおよび細胞溶解性の膜侵襲複合体(MAC)を生成する前駆体タンパク質である。C3活性化はさらに、C5切断酵素複合体の生成を引き起こし、終末補体活性化経路を開始して、結果的に強力な炎症性媒介物質C5aと、細胞の溶解および死を引き起こす可能性のある膜侵襲複合体C5b-9を産生する。
【0005】
多くのヒト炎症性疾患および自己免疫疾患にはC5aおよび/またはMACが関与しており、C5活性化の遮断はC5aおよびMACの生成を予防し、治療に有用なはずである。ヒト化マウス抗ヒトC5モノクローナル抗体(mAb)であるエクリズマブは、2つの補体関連疾患PNHおよびaHUSの治療に用いられてきた。しかし、すべてのPNH患者がエクリズマブ治療に反応するわけではなく、非反応性の理由の一つはエクリズマブに結合するエピトープの損失を伴うヒトC5の遺伝的多型である。また、C5の血漿濃度が高く、標的により抗体が急速に除去されるため、エクリズマブを高用量かつ高頻度で患者に投与しなければならない。
【0006】
補体タンパク質を標的とする薬物の開発における課題の一つは、それらの血漿濃度が高いことおよび/または代謝回転が速いことである。たとえば、ヒトC3およびC5の血漿濃度はそれぞれ約1 mg/mLおよび80 μg/mLである。このことは、これらのタンパク質の阻害物質を高用量かつ/または高頻度で投与する必要があることを意味する。実際、抗C5 mAb薬物エクリズマブは、PNHおよびaHUS患者にそれぞれ900 mgおよび1200 mgの維持量で、静脈注射で2週間毎に投与することが求められる。より長く持続する第二世代の抗C5 mAbラブリズマブが開発されて注射の頻度は8週間毎まで減少しているが、ラブリズマブの維持量は注射一回あたり3300 mgに増えている。さらに、エクリズマブもラブリズマブも、治療したPNH患者の約50%で乳酸脱水素酵素(LDH)およびヘモグロビンの濃度を正常にすることができなかった。標準的なエクリズマブ治療を受けたPNH患者では破綻的な溶解が認められることが多く、20~30%の患者は依然として輸血依存状態である。PNH患者におけるこれらの満たされていない医療上の要求は、罹患した血液細胞のDAFおよびCD59の欠損により患者はC3活性化およびMACによる損傷を起こしやすくなるという事実に関連している。抗C5 mAb、たとえばエクリズマブおよびラブリズマブはC5による溶血を阻害することができるが、罹患した赤血球(RBC)のC3活性化を予防するわけではなく、その結果、赤血球のC3bオプソニン化は依然として起こり、これによって血管外溶血(EVH)(細網内皮系のC3bオプソニン化した赤血球が捕食されることにより引き起こされる過程)というよく認識された現象が起こる。また、研究により、C5工程で赤血球の補体活性化を遮断することは有効性に限界があることがわかっている。というのも、多すぎるC5転換酵素が既に細胞表面に集合している場合、結合力に限りのあるmAbでC5切断を完全に遮断することは不可能になるからである。このことはエクリズマブで治療したPNH患者の破綻的な溶解現象について、またエクスビボ検定で抗C5 mAbがウサギ赤血球およびPNH赤血球細胞の完全な溶血を予防することができない理由についての説明となり得る。というのも、PNH赤血球およびウサギ赤血球はいずれも代替経路(AP)を介するC3補体活性化に非常に感受性が高く、表面に大量のC5転換酵素を容易に集めることができるからである。補体依存性疾患では、たとえばC3阻害性環状ペプチドまたは組換え短鎖型H因子(FH)の使用によりC3活性化を標的化する取組みがなされているが、このような分子は非常に乏しい薬物動態を有し、大量かつ高頻度(たとえば1日に1回)の投薬を必要とする。
【0007】
したがって、当技術分野では、C3およびC5活性の両方を阻害することで終末補体関連症状の治療においてより高い効力を達成し、さらには投薬頻度が減るという利便性を提供することができる持続性かつ二機能性の補体阻害物質が必要である。本発明はこれらおよび他の要求に取り組み、かつそれらを満たす。
【発明の概要】
【0008】
一実施態様では、本発明はヒトC5に特異的に結合する抗体と融合タンパク質パートナーを含む融合タンパク質を包含する。一実施態様では、C5はヒトC5である。一実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。一実施態様では、抗体はヒト化抗体である。一実施態様では、抗体はキメラ抗体である。実施態様によっては、抗体は全長抗体である。実施態様によっては、抗体は抗体断片であり、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、およびscFvが挙げられるがこれらに限定されない。実施態様によっては、抗体は構築物、たとえば抗体と標的化部分または作動体部分を含む融合構築物の一部である。実施態様によっては、抗体は複合体構築物、たとえば抗体薬物複合体構築物の一部である。
【0009】
本発明の一側面では、抗体融合タンパク質はC5に対しpH依存性の結合を示す。実施態様によっては、このpH依存性抗体融合タンパク質は中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)になるほど、より酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)のときよりも強力にC5に結合する。実施態様によっては、このpH依存性抗体融合タンパク質は、酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)になるほど、中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)のときよりも速くC5から解離する。
【0010】
実施態様によっては、抗C5抗体はC5に対しpH依存性の結合を示す。実施態様によっては、このpH依存性抗C5抗体は中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)になるほど、より酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)のときよりも強力にC5に結合する。実施態様によっては、このpH依存性抗C5抗体は、酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)になるほど、中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)のときよりも速くC5から解離する。
【0011】
一実施態様では、融合タンパク質は補体制御タンパク質または補体制御タンパク質断片を含む。一実施態様では、この補体制御タンパク質または補体制御タンパク質断片はC3転換酵素の阻害物質である。一実施態様では、C3転換酵素は代替経路C3転換酵素C3bBbである。一実施態様では、C3転換酵素は古典経路C3転換酵素C4b2aである。一実施態様では、補体制御タンパク質または補体制御タンパク質断片はC3またはC5活性化以外の補体活性化工程の阻害物質である。様々な実施態様では、融合タンパク質パートナーは、補体受容体1(CR1)もしくはその断片、膜補因子タンパク質(MCP)もしくはその断片、C4b結合タンパク質(C4BP)もしくはその断片、崩壊促進因子(DAF)もしくはその断片、アポリポタンパク質E(ApoE)もしくはその断片、FHタンパク質もしくはその断片、ヒトIgG4もしくはその断片、リンカー、またはそれらの任意の組合せである。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のショート・コンセンサス・リピート(SCR)ドメイン1~5を含む。一実施態様では、DAFの断片はDAFの細胞外ドメインである。一実施態様では、CR1の断片はCR1の細胞外ドメインのうちの選択されたSCRである。
【0012】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のC末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のN末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。
【0013】
一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbに結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗C5 mAbに結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗C5 mAbに結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのC末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのN末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。
【0014】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体の重鎖可変領域(VH)配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体のVH配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体のVH配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVH配列のC末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVH配列のN末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。
【0015】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体の軽鎖可変領域(VL)配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体のVL配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体のVL配列に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVL配列のC末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVL配列のN末端に結合した融合タンパク質パートナーを含む。
【0016】
一実施態様では、抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号11のVL-CDR3からなる群より選択される相補性決定領域(CDR)のうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号11のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0017】
一実施態様では、抗体は配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号13のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0018】
一実施態様では、抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0019】
一実施態様では、抗体は配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号16のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0020】
一実施態様では、抗体は、配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0021】
一実施態様では、抗体は配列番号19のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号7のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0022】
一実施態様では、抗体は、配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0023】
一実施態様では、抗体は配列番号22のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0024】
一実施態様では、抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0025】
一実施態様では、抗体は配列番号28のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号31のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0026】
一実施態様では、抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号34のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号34のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0027】
一実施態様では、抗体は配列番号36のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号7のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0028】
一実施態様では、抗体は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0029】
一実施態様では、抗体は配列番号41のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0030】
一実施態様では、抗体は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0031】
一実施態様では、抗体は配列番号46のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0032】
一実施態様では、抗体は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0033】
一実施態様では、抗体は配列番号51のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0034】
一実施態様では、抗体は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0035】
一実施態様では、抗体は配列番号56のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0036】
一実施態様では、抗体は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0037】
一実施態様では、抗体は配列番号59のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0038】
一実施態様では、抗体は配列番号72のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0039】
一実施態様では、抗体は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0040】
一実施態様では、抗体は配列番号76のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0041】
一実施態様では、抗体は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0042】
一実施態様では、抗体は配列番号78のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0043】
一実施態様では、抗体は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。一実施態様では、抗体は以下のCDR、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0044】
一実施態様では、抗体は配列番号80のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。一実施態様では、抗体は配列番号80のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む。
【0045】
一実施態様では、抗体はmAb L3-1、L1-2、H1-4、H1-8/L1-9、およびH2-6/L3-5からなる群より選択される少なくとも1つである。一実施態様では、抗体はmAb H1-8/L1-9の変形である。
【0046】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号4に対してVH-CDR2の第4位のプロリン残基(すなわちP4)の置換を含む。様々な実施態様では、P4の置換は、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、またはP4→I4(すなわちP4I)である。
【0047】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号4に対してVH-CDR2の第9位のスレオニン残基(すなわちT9)の置換を含む。様々な実施態様では、T9の置換は、T9→H9(すなわちT9H)、T9→F9(すなわちT9F)、T9→L9(すなわちT9L)、T9→M9(すなわちT9M)、T9→W9(すなわちT9W)、またはT9→I9(すなわちT9I)である。
【0048】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号4に対してVH-CDR2の第4位のプロリン残基(すなわちP4)の置換、および配列番号4に対してVH-CDR2の第9位のスレオニン残基(すなわちT9)の置換を含む。様々な実施態様では、P4の置換は、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、またはP4→I4(すなわちP4I)であり、T9の置換は、T9→H9(すなわちT9H)、T9→F9(すなわちT9F)、T9→L9(すなわちT9L)、T9→M9(すなわちT9M)、T9→W9(すなわちT9W)、またはT9→I9(すなわちT9I)である。
【0049】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号5に対してVH-CDR3の第16位のバリン残基(すなわちV16)の置換を含む。様々な実施態様では、V16の置換は、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、またはV16→W16(すなわちV16W)である。
【0050】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号20に対してVH-CDR1の第9位のロイシン残基(すなわちL9)の置換を含む。様々な実施態様では、L9の置換は、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、またはL9→F9(すなわちL9F)である。
【0051】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号4に対するVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、配列番号4に対するVH-CDR2のスレオニン9(すなわちT9)、配列番号5に対するVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)、および配列番号20に対するVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)からなる群のうちの2つ以上の置換を含む。様々な実施態様では、配列番号4に対するVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、配列番号5に対するVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)、および配列番号20に対するVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)からなる群のうちの2つ以上の置換を含む抗C5抗体またはその抗原結合断片は、L9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、L9F/P4F/V16E、L9I/P4M/T9H/V16W、L9I/P4W/T9H/V16W、L9I/P4F/T9H/V16W、L9F/P4M/T9H/V16W、L9F/P4W/T9H/V16W、L9F/P4F/T9H/V16W、L9I/P4M/T9H/V16E、L9I/P4W/T9H/V16E、L9I/P4F/T9H/V16E、L9F/P4M/T9H/V16E、L9F/P4W/T9H/V16E、およびL9F/P4F/T9H/V16Eからなる群より選択される2つ以上の置換を含む。
【0052】
一実施態様では、本発明は抗C5抗体または融合タンパク質を個体に投与する工程を含む、前記個体の補体経路関連疾患または障害を治療する方法に関する。一実施態様では、疾患または障害は、黄斑変性(MD)、加齢黄斑変性(AMD)、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、喘息、アレルギー性喘息、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎(NMO)、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜中心動脈閉塞症(CRAO)、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症(心肺バイパス手術および腎臓透析に関連する炎症が挙げられるがこれらに限定されない)、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎(抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連糸球体腎炎、ループス腎炎、およびそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)、ANCA関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、および抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、またはそれらの任意の組合せからなる群より少なくとも選択される。実施態様によっては、AP関連疾患はC3糸球体症である。実施態様によっては、AP関連疾患は黄斑変性、たとえば加齢黄斑変性である。一実施態様では、抗C5抗体または融合タンパク質の投与はC3aまたはC3bタンパク質の生成を阻害する。一実施態様では、融合タンパク質の投与はC5aまたはC5bタンパク質の生成を阻害する。一実施態様では、抗C5抗体または融合タンパク質の投与はC3aまたはC3bタンパク質の生成を阻害するか、C5aまたはC5bタンパク質の生成を阻害するか、あるいはその組合せである。
【0053】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0054】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号11のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0055】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0056】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0057】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0058】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0059】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0060】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0061】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0062】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0063】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して融合タンパク質を個体に投与することを含み、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片を含む。
【0064】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して抗体またはその融合タンパク質もしくは断片を個体に投与することを含み、抗体は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0065】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して抗体またはその融合タンパク質もしくは断片を個体に投与することを含み、抗体は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0066】
一実施態様では、本発明は個体の補体系の活性を下げる方法に関し、この方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して抗体またはその融合タンパク質もしくは断片を個体に投与することを含み、抗体は、以下のアミノ酸配列、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらの配列の1つ以上のバリアントを有する6つの相補性決定領域を含む。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0067】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質であり、この抗体は、配列番号2またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する重鎖可変(VH)領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0068】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質であり、この抗体は、配列番号7またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0069】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号2と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号7と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0070】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質であり、この抗体は、配列番号13またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0071】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号2と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号13と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0072】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号16と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0073】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号2と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号16と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0074】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号19と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0075】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号7と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0076】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号19と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号7と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0077】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号22と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0078】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0079】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号22と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0080】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号28と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0081】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号31と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0082】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号28と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号31と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0083】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号41と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0084】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号41と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0085】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号46と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0086】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号46と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0087】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号51と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0088】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号51と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0089】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号56と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0090】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号56と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0091】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体は、配列番号59と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0092】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体を含む融合タンパク質に関し、この抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号59と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号25と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0093】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質であり、この抗体または抗体融合タンパク質は、配列番号72またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0094】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質であり、この抗体または抗体融合タンパク質は、配列番号74またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVL領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0095】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質に関し、この抗体または抗体融合タンパク質はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号72と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号74と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0096】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質であり、この抗体または抗体融合タンパク質は、配列番号76またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0097】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質に関し、この抗体または抗体融合タンパク質はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号76と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号74と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0098】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質であり、この抗体または抗体融合タンパク質は、配列番号78またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0099】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質に関し、この抗体または抗体融合タンパク質はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号78と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号74と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0100】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質であり、この抗体または抗体融合タンパク質は、配列番号80またはそのバリアントと約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有するVH領域を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0101】
実施態様によっては、本発明はヒトC5に対する抗体、ヒトC3に対し阻害活性をもつ抗体融合タンパク質、またはそれらの組合せを含む融合タンパク質に関し、この抗体または抗体融合タンパク質はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号80と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号74と約90%を超えて(たとえば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかを超えて)同一なアミノ酸配列を有する。一実施態様では、抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である。
【0102】
一実施態様では、本発明は、本明細書中の他の箇所に記載の融合タンパク質のうちの少なくとも1つを含む細胞に関する。実施態様によっては、この細胞は本明細書中の他の箇所に記載の融合タンパク質のうちの少なくとも1つを産生する。一実施態様では、この細胞はハイブリドーマである。
【0103】
一実施態様では、本発明は、本明細書中の他の箇所に記載の融合タンパク質のうちの少なくとも1つを含む細胞株である。実施態様によっては、この細胞株は本明細書中の他の箇所に記載の融合タンパク質のうちの少なくとも1つを産生する。実施態様によっては、この細胞株はハイブリドーマ細胞株である。
【0104】
一実施態様では、本発明はヒト以外の遺伝子改変動物に関する。一実施態様では、このヒト以外の遺伝子改変動物はヒトC5を発現する。一実施態様では、このヒト以外の遺伝子改変動物はげっ歯類である。一実施態様では、このヒト以外の遺伝子改変動物はマウスである。一実施態様では、このヒト以外の遺伝子改変動物はNOD/SCIDマウスである。一実施態様では、このヒト以外の遺伝子改変動物はFcRn/SCIDマウスである。
【0105】
一実施態様では、本発明は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含む融合タンパク質に関する。実施態様によっては、この抗C5部分は少なくとも1つのヒスチジン置換を含む。一実施態様では、この抗C5部分はIgG4鎖を含む。一実施態様では、IgG4鎖はPLA変異を含む。一実施態様では、FHまたはその機能性断片はFHタンパク質のドメイン1~5を含む。
【図面の簡単な説明】
【0106】
添付の図面を参照しながら読むことで、上記の概要および下記の本発明の模範的な実施態様の詳細な説明をより深く理解することができる。ただし、本発明は図面に示す実施態様の精密な配置および手段に限定されないものとする。図面については以下のとおりである。
【0107】
【
図1】
図1は、mAb 2G1のヒト化可変重鎖(VH)(ヒト化2G1 VH-11801)およびmAb 2G1のヒト化可変軽鎖(VL)(ヒト化2G1 VL-1901)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。生殖細胞系でコードされたヒトVHフレーム(11801)にマウスmAb 2G1のVHからCDRをグレーティング(grating)し、かつ生殖細胞系でコードされたヒトVLフレーム(1901)にマウスmAb 2G1のVLからCDRをグレーティングすることによりヒト化を達成した。シグナルペプチドのアミノ酸配列に下線を施し、CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列を太字にし、陰影を施す。
【0108】
【
図2】
図2は、mAb L3-1(ヒト化VH-11801およびヒト化VL-1901のVL-CDR3にQ→H置換あり)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す
【0109】
【
図3】
図3は、mAb L1-2(ヒト化VH-11801およびヒト化VL-1901のVL-CDR1にT→H置換あり)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0110】
【
図4】
図4は、mAb H1-4(ヒト化VH-11801およびヒト化VL-1901のVH-CDR1にI→H置換あり)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0111】
【
図5】
図5は、mAb H1-8/L1-9(ヒト化VH-11801およびヒト化VL-1901のVH-CDR1にN→H置換、VL-CDR1にY→H置換あり)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0112】
【
図6】
図6は、mAb H2-6/L3-5(ヒト化VH-11801およびヒト化VL-1901のVH-CDR2にY→H置換、VL-CDR3にE→H置換あり)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0113】
【
図7】
図7は、親ヒト化mAb 11801(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0114】
【
図8】
図8は、mAb L3-1のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0115】
【
図9】
図9は、mAb L1-2のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0116】
【
図10】
図10は、mAb H1-4のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0117】
【
図11】
図11は、mAb H2-6/L3-5のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0118】
【
図12】
図12は、mAb H1-8/L1-9のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0119】
【
図13】
図13は、親ヒト化mAb 11801(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))とそのバリアントmAb L1-2、mAb L3-1、およびmAb H2-6/L3-5のC5阻害効果を評価する、古典経路補体によるヒツジ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0120】
【
図14】
図14は、親ヒト化mAb 11801(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))とそのバリアントmAb H1-8/L1-9のC5阻害効果を評価する、古典経路補体によるヒツジ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0121】
【
図15】
図15は、親ヒト化mAb 11801(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))とそのバリアントmAb H1-4およびmAb L3-1のC5阻害効果を評価する、古典経路補体によるヒツジ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0122】
【
図16】
図16は、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変したNOD/SCIDマウスの血漿中のヒトC5濃度を評価するELISAアッセイの結果を示す。M1、M3、M4、およびM5は4匹の代表的なマウスを指す。
【0123】
【
図17】
図17は、組換えキメラヒトIgG4 mAb H1-4、H1-8/L1-9、H2-6/L3-5、L3-1、またはL1-2を注射した後の、C5を発現するよう遺伝子改変したNOD/SCIDマウスの血漿中のヒトIgG4濃度を評価する検定の結果を示す。
【0124】
【
図18】
図18は、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変した2匹のNOD/SCIDマウス(Mo-03およびMo-05)で親ヒト化mAb 2G1(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))の薬力学を評価する、古典経路補体によるニワトリ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0125】
【
図19】
図19は、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変したNOD/SCIDマウスで組換えキメラヒトIgG4 mAb L3-1、L1-2、H1-4、H1-8/L1-9、およびH2-6/L3-5の薬力学を評価する、古典経路補体によるニワトリ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0126】
【
図20】
図20は、配列番号20に対してVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)、配列番号4に対してVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、および/または配列番号5に対してVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)の少なくとも1つの置換(すなわち、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、L9→F9(すなわちL9F)、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、P4→I4(すなわちP4I)、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、およびV16→W16(すなわちV16W))を有するmAb H1-8/L1-9 scFvバリアントのpH 7.4のときのC5への結合が改善したことを実証するELISAアッセイの結果を示す。mAb H1-8/L1-9 scFvバリアントの結合を第3列(OD450)および第4列(OD450、確認)、親mAb H1-8/L1-9 scFvの結合を第8列(WT/OD450)に示す。
【0127】
【
図21】
図21は、Expi-CHO細胞でヒトIgG4として発現させたmAb H1-8/L1-9バリアントの相対的C5結合親和性を評価するOctet検定の結果を示す。Expi-CHO細胞に指定のH1-8 VHバリアントおよびL1-9 VL(配列番号23)を遺伝子導入し、細胞培養液上清を遺伝子導入の2日後に評価した。得られた細胞培養液上清について、C5結合応答の抗体結合応答に対する比を計算し、C5結合親和性の尺度として用いた。配列番号20に対してVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)、配列番号4に対してVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、および/または配列番号5に対してVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)の少なくとも1つの置換(すなわち、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、L9→F9(すなわちL9F)、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、P4→I4(すなわちP4I)、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、およびV16→W16(すなわちV16W))を有するmAb H1-8/L1-9 IgG4バリアントを用いた遺伝子導入実験の2つの別個のOctet検定から計算した比を図に示す。
【0128】
【
図22】
図22は、それぞれpH 7.4およびpH 5.8のときのC5とmAb H1-8/L1-9バリアントの解離速度を評価するOctet検定の結果を示す。pH 7.4およびpH 5.8のときの各mAbについて、結合相から解離相への転換後のピークのC5結合応答からの減少率(%)を計算した。配列番号20に対してVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)、配列番号4に対してVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、および/または配列番号5に対してVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)の少なくとも1つの置換(すなわち、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、L9→F9(すなわちL9F)、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、P4→I4(すなわちP4I)、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、およびV16→W16(すなわちV16W))を有するmAb H1-8/L1-9 IgG4バリアントを用いた遺伝子導入実験の2つの別個のOctet検定で計算した減少率(%)を図に示す。
【0129】
【
図23】
図23は18種の組合せ置換バリアント(すなわち、L9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、およびL9F/P4F/V16E)を示す。親H1-8/L1-9 mAbに比べて改善したC5結合親和性を示すと共にpH 7.4とpH 5.8での示差的な解離速度を維持した(
図21および
図22)7種のmAb H1-8/L1-9 IgG4単一バリアント(すなわちL9I、L9F、P4M、P4W、P4F、V16E、V16W)からこれらの組合せバリアントを誘導した。
【0130】
【
図24】
図24は、Expi-CHO細胞でヒトIgG4として発現させたmAb H1-8/L1-9組合せ置換バリアントの相対的なC5結合親和性を評価するOctet検定の結果を示す。Expi-CHO細胞に特定のH1-8 VH組合せ置換バリアントを遺伝子導入し、細胞培養液上清を遺伝子導入の2日後に評価した。得られた細胞培養液上清について、C5結合応答の抗体結合応答に対する比を計算し、C5結合親和性の尺度として用いた。mAb H1-8/L1-9組合せ置換バリアントL9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、およびL9F/P4F/V16Eを用いた遺伝子導入実験から計算した比を図に示す。
【0131】
【
図25】
図25は、それぞれpH 7.4およびpH 5.8のときのC5およびmAb H1-8/L1-9組合せ置換バリアントの解離速度を評価するOctet検定の結果を示す。pH 7.4およびpH 5.8のときの各mAbについて、結合相から解離相への転換後のピークのC5結合応答からの減少率(%)を計算した。mAb H1-8/L1-9 IgG4組合せ置換バリアントL9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、およびL9F/P4F/V16Eを用いた遺伝子導入実験で計算した減少率(%)を図に示す。
【0132】
【
図26】
図26は、mAb 1819親和性成熟実験で得たさらなるscFv変異体(VH-CDR2の第9位のT→H変異に対応するクローン14C6を含む)のpH 7.4のときのC5結合親和性を評価する実験の結果を示す。
【0133】
【
図27】
図27は、mAb 1819親和性成熟実験で得たさらなるscFv変異体(VH-CDR2の第9位のT→H変異に対応するクローン14C6を含む)のpH 7.4とpH 5.8での示差的なC5結合親和性を評価する実験の結果を示す。
【0134】
【
図28】
図28は、mAb 1819親和性成熟実験で得たさらなるscFv変異体をpH 7.4とpH 5.8での示差的な結合に従い順位付けする実験の結果を示し、クローン14C6がこの変異体群の中で1位に順位付けされたことを示している。クローン14C6はVH-CDR2の第9位のT→H変異に対応する。
【0135】
【
図29】
図29は、mAb H1-8/L1-9バリアントIWWのVH(上図)、すなわちVH-CDR1にN→HおよびL→I置換、VH-CDR2にP→W置換、VH-CDR3にV→W置換を有するヒト化VH-11801のヌクレオチドおよびアミノ酸配列;ならびにmAb H1-8/L1-9バリアントIFWのVH(下図)、すなわちVH-CDR1にN→HおよびL→I置換、VH-CDR2にP→F置換、VH-CDR3にV→W置換を有するヒト化VH-11801のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0136】
【
図30】
図30は、mAb H1-8/L1-9バリアントFMEのVH(上図)、すなわちVH-CDR1にN→HおよびL→F置換、VH-CDR2にP→M置換、VH-CDR3にV→E置換を有するヒト化VH-11801のヌクレオチドおよびアミノ酸配列;ならびにmAb H1-8/L1-9バリアントFMWのVH(下図)、すなわちVH-CDR1にN→HおよびL→F置換、VH-CDR2にP→M置換、VH-CDR3にV→W置換を有するヒト化VH-11801のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0137】
【
図31】
図31は、mAb H1-8/L1-9バリアントFMEHのVH、すなわちVH-CDR1にN→HおよびL→F置換、VH-CDR2にP→MおよびT→H置換、VH-CDR3にV→E置換を有するヒト化VH-11801のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0138】
【
図32】
図32は、組換えキメラヒトIgG4 mAb H1-8/L1-9、FMW、IFW、FME、およびIWWのpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0139】
【
図33】
図33は、組換えキメラヒトIgG4 mAb 11801(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))、H1-8/L1-9、FMW、IFW、FME、およびIWWについて、pH 7.4およびpH 5.8のときのピーク値から解離したC5結合の割合(%)を示す。
【0140】
【
図34】
図34は、親ヒト化組換えキメラヒトIgG4 mAb H1-8/L1-9(VH-11801(配列番号22)およびVL-1901(配列番号25))とそのバリアントIFW PLA(VH-11801(配列番号46)およびVL-1901(配列番号25))、FME PLA((配列番号51)およびVL-1901(配列番号25))、IWW PLA((配列番号41)およびVL-1901(配列番号25))、およびFMW PLA((配列番号56)およびVL-1901(配列番号25))のC5阻害効果を評価する、古典経路補体によるヒツジ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0141】
【
図35】
図35は、組換えキメラヒトIgG4 mAb H1-8/L1-9、FME、FMEH、FMW、およびIFWのpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0142】
【
図36】
図36は、精製した組換えキメラヒトIgG4 PLA(配列番号61)、mAb H1-8/L1-9、FME、FMEH、FMW、およびIFWのpH 5.8およびpH 7.4のときのピーク値から解離したC5結合の割合(%)を示す。
【0143】
【
図37】
図37は、組換えキメラヒトIgG4 mAb FME PLA((配列番号51)およびVL-1901(配列番号25))、FMEH PLA((配列番号59)およびVL-1901(配列番号25))、FMW PLA((配列番号56)およびVL-1901(配列番号25))、およびIFW PLA(VH-11801(配列番号46)およびVL-1901(配列番号25))のC5阻害効果を評価する、古典経路補体によるヒツジ赤血球の溶解検定の結果を示す。
【0144】
【
図38】
図38は、C5ヒト化FcRn/SCIDマウスでのPK/PD試験用の組換えキメラヒトIgG4 PLA mAb中のヒトIgG4のFcドメイン変異のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0145】
【
図39】
図39は、ヒトC5のcDNAを水圧注入して作製したC5ヒト化マウスの血漿C5濃度を示す。
【0146】
【
図40】
図40は、組換えキメラヒトIgG4 PLA(配列番号61)mAb IFW-PLA、FMW-PLA、またはFMEH-PLAを注射した後の、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変したFcRn/SCIDマウスの血漿中の総ヒトC5濃度を評価する検定の結果を示す。
【0147】
【
図41】
図41は、組換えキメラヒトIgG4 PLA(配列番号61)mAb IFW-PLA、FMW-PLA、またはFMEH-PLAを注射した後の、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変したFcRn/SCIDマウスの血漿中の総IgG4濃度を評価する検定の結果を示す。
【0148】
【
図42】
図42は、ヒトC5を発現するよう遺伝子改変したFcRn/SCIDマウスでの組換えキメラヒトIgG4 PLA(配列番号61)mAb IFW-PLA、FMW-PLA、またはFMEH-PLAの薬力学を評価する、古典経路補体によるニワトリ赤血球検定の結果を示す。
【0149】
【
図43】
図43は、一連の標的認識およびタンパク質切断を含む補体活性化につながる可能性のある3つの異なる経路を示す。これらの経路はすべてC3活性化工程で収束する。
【0150】
【
図44】
図44は、20個のSCRドメインで構成されるヒトFHの構造、およびヒトIgG4抗C5 mAb/FH SCR1-5融合タンパク質の構造を示す。
【0151】
【
図45】
図45は、mAb H1-8/L1-9バリアントFMEH-IgG4PLA-FH1-5のVH配列(VH-CDR1にN→HおよびL→F置換、VH-CDR2にP→MおよびT→H置換、VH-CDR3にV→E置換を有するヒト化VH-11801)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0152】
【
図46】
図46は、mAb H1-8/L1-9バリアントFMEH-IgG4PLA-FH1-5のVL配列(VL-CDR1にY→H置換を有するヒト化VL-1901)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0153】
【
図47】
図47は、抗C5 mAb FMEH-IgG4PLA(レーン1)および抗C5 mAb/FH SCR1-5融合タンパク質(FMEH-IgG4PLA-FH1-5、レーン2)のVHおよびVL鎖を示すSDSゲルを示す。
【0154】
【
図48】
図48は、抗C5 mAb FMEH-IgG4PLAおよび抗C5 mAbとFH SCR1-5の融合タンパク質FMEH-IgG4PLA-FH1-5のpH 5.8およびpH 7.4のときのC5結合および解離のOctetによる追跡を示す。
【0155】
【
図49】
図49は、抗C5 mAb FMEH-IgG4および抗C5 mAbとFH SCR1-5の融合タンパク質FMEH-IgG4PLA-FH1-5のpH 7.4およびpH 5.8のときのピークのC5結合からの解離(%)を示す。
【0156】
【
図50】
図50は、抗C5 mAb FMEH-IgG4PLA、抗C5 mAbとFH SCR1-5の融合タンパク質FMEH-IgG4PLA-FH1-5、ならびに基準抗C5 mAbエクリズマブおよびラブリズマブの溶血活性に対する阻害効果を評価する、代替経路補体によるウサギ赤血球溶解検定の結果を示す。
【0157】
【
図51】
図51は、FMEH-IgG4PLA、FMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、およびラブリズマブで処置した未溶解のウサギ赤血球でのC3断片沈着の濃度を示す。
【0158】
【
図52】
図52は、FMEH-IgG4PLA、FMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、およびラブリズマブを注射した後の様々な時点のC5ヒト化FcRn/SCIDマウスの血漿中のヒトIgG4濃度を評価する検定の結果を示す。
【0159】
【
図53】
図53は、分子のヒトIgG4部分に特異的な検出用mAbを用いて注射後の様々な時点のC5ヒト化FcRn/SCIDマウスの血漿中のFMEH-IgG4PLA-FH1-5濃度を評価する検定の結果を示す。
【0160】
【
図54】
図54は、分子のFH SCR1-5部分に特異的な検出用mAbを用いて注射後の様々な時点のC5ヒト化FcRn/SCIDマウスの血漿中のFMEH-IgG4PLA-FH1-5濃度を評価する検定の結果を示す。
【0161】
【
図55】
図55は、FMEH-IgG4PLA、FMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、およびラブリズマブを注射した後の様々な時点のC5ヒト化FcRn/SCIDマウスの血漿中のヒトC5濃度を評価するELISAの結果を示す。
【0162】
【
図56】
図56は、C5ヒト化FcRn/SCIDマウスから採取した血清を用いたハイブリッド検定で、FMEH-IgG4PLA、FMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、ラブリズマブ、およびC5枯渇ヒト血清を注射した後の様々な時点の代替補体経路を介したウサギ赤血球溶解の割合(%)を示す。
【0163】
【
図57】
図57は、PNH患者(患者2)赤血球のインビトロ溶血に関する代表的な結果を示す。様々な量のFMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、またはラブリズマブの存在下、AP緩衝液に入れた2E7 PNH患者赤血球を、HClで酸性にした正常ヒト血清35%と混合した。この混合物を37℃で40分間恒温放置し、OD405で溶血を読み取った。溶解の割合(%)を公式(OD405(特異抗体濃度)-OD405(40mM EDTA))/((OD405(抗体濃度=0)-OD405(40mM EDTA)) *100%)を用いて計算した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5は、インビトロでエクリズマブおよびラブリズマブよりも強力にPNH患者の赤血球溶解を遮断する。
図57は、酸性にした正常ヒト血清(35%、血液型AB)と混ぜたヒトPNH赤血球の代替経路補体による溶解に対するFMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、ラブリズマブ、および対照IgG4の阻害活性およびIC50 (μg/mL)の比較を示す。
【0164】
【
図58】
図58は、インビトロの抗C5 mAb処置後のPNH患者赤血球へのC3b被覆の代表的な蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析結果を示す。溶血検定(
図57のPNH患者赤血球のインビトロ溶血を参照のこと)の後、未溶解の赤血球を回収し、DPBSで洗浄した。2E6細胞に抗C3b抗体を加えて氷上で30分間恒温放置した後、FACS分析を行った。C3b+/CD59-細胞集団を通過させ、分析する。結果はPNH患者2から得たものである。NDは検出不可能という意味である。エクリズマブおよびラブリズマブは遮断することができなかったが、FMEH-IgG4PLA-FH1-5はPNH患者の赤血球へのC3b沈着を効果的に遮断する。エクリズマブまたはラブリズマブで処置した試料ではC3bオプソニン化したPNH赤血球(Q4)が検出されたが、FMEH-IgG4PLA-FH1-5の場合は検出されなかった。
【0165】
【
図59】
図59は、PNH患者(患者3)の赤血球のインビトロ溶血に関する代表的な結果を示す。指定の様々な量のFMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、またはラブリズマブの存在下、AP緩衝液に入れた5E6 PNH赤血球を、HClで酸性にした正常ヒト血清50%と混合した。37℃で90分間、溶血を起こさせ、OD405で分光計を用いて溶血を読み取った。溶解の割合(%)を公式(OD405(特異抗体濃度)-OD405(40mM EDTA))/((OD405(抗体濃度=0)-OD405(40mM EDTA)) *100%)を用いて計算した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5は、インビトロでエクリズマブおよびラブリズマブよりも強力にPNH患者の赤血球溶解を遮断する。
【0166】
【
図60】
図60は、インビトロの抗C5 mAb処置後のPNH患者3の赤血球へのC3b被覆の代表的なFACS分析結果を示す。5E6 PNH患者3の赤血球を、HClで酸性にした正常ヒト血清50%と指定の様々な濃度の抗体と混合し恒温放置した溶血検定の後、未溶解の赤血球を回収し、DPBSで洗浄した。2E6の未溶解の細胞に抗C3b抗体を加えて氷上で30分間恒温放置した後、FACS分析を行った。C3b+細胞集団を通過させ、分析する。NDは検出不可能という意味である。エクリズマブおよびラブリズマブは遮断することができなかったが、FMEH-IgG4PLA-FH1-5はPNH患者の赤血球へのC3b沈着を用量依存的に遮断した。
【0167】
【
図61】
図61は、カニクイザルの代替経路補体による溶解に対するFMEH-IgG4PLAおよびFMEH-IgG4PLA-FH1-5融合タンパク質の効果を示す。様々な濃度のFMEH-IgG4PLAまたはFMEH-IgG4PLA-FH1-5融合タンパク質の存在下、カニクイザル血清50%を用いてウサギ赤血球の溶血検定を行った。サルC5には反応性のない2種の基準抗ヒトC5 mAb(エクリズマブおよびラブリズマブ)を陰性対照として用いた。
【0168】
【
図62A】
図62Aと
図62Bを含む
図62は、pH 6.0のときのFMEH-IgG4PLAのヒトFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定を示す。精製ヒトFcRnをアミンカップリング法でCM5チップに結合した(280RU)。Biacore-3000装置でBiacore分析を行った。pH 7.4の緩衝液を用いて結合毎にチップを再生した。FMHE-IgG4PLAのKDを6.47 E-9 Mと決定した。
図62AはヒトFcRnへのFMEHの結合を実証する代表的な結果を示す。
図62BはpH 6.0のときのFMEH-IgG4PLAのヒトFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定および対応する分析を示す。
【0169】
【
図63A】
図63Aと
図63Bを含む
図63は、pH 6.0のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定を示す。精製ヒトFcRnをアミンカップリング法でCM5チップに結合した(280RU)。Biacore-3000装置でBiacore分析を行った。pH 7.4の緩衝液を用いて結合毎にチップを再生した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5のKDを8.88 E-9 Mと決定した。
図63AはヒトFcRnへのFMEH-FH1-5の結合を実証する代表的な結果を示す。
図63BはpH 6.0のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定および対応する分析を示す。
【0170】
【
図64A】
図64Aと
図64Bを含む
図64は、pH 6.0のときのFMEH-IgG4PLAのカニクイザル(Cyno) FcRnへの親和性の代表的なBiacore測定を示す。精製カニクイザルFcRnをアミンカップリング法でCM5チップに結合した(200RU)。Biacore-3000装置でBiacore分析を行った。pH 7.4の緩衝液を用いて結合毎にチップを再生した。FMHE-IgG4PLAのKDを1.4 E-8 Mと決定した。
図64AはカニクイザルFcRnへのFMEHの結合を実証する代表的な結果を示す。
図64BはpH 6.0のときのFMEH-IgG4PLAのカニクイザルFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定および対応する分析を示す。
【0171】
【
図65A】
図65Aと
図65Bを含む
図65は、pH 6.0のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のカニクイザルFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定を示す。精製カニクイザルFcRnをアミンカップリング法でCM5チップに結合した(200RU)。Biacore-3000装置でBiacore分析を行った。pH 7.4の緩衝液を用いて結合毎にチップを再生した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5のKDを3.91 E-8 Mと決定した。
図65AはカニクイザルFcRnへのFMEH-FH1-5の結合を実証する代表的な結果を示す。
図65BはpH 6.0のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のカニクイザルFcRnへの親和性の代表的なBiacore測定および対応する分析を示す。
【0172】
【
図66】
図66は、ヒトIgG4 FcまたはFH融合タンパク質に対する検出用抗体を用いて測定した、C5ヒト化FcRn/SCIDマウス(n=2)でのFMEH-IgG4PLA-FH1-5の代表的な薬物動態を示す。いずれの検定でも、マウスの血漿中のFMEH-IgG4PLA-FH1-5は抗ヒトκ軽鎖抗体に捕捉されたが、分子のヒトIgG4部分(左図)または分子のヒトFH1-5部分(右図)については異なる検出用抗体が用いられた。FMEH-IgG4PLA-FH1-5の注射後、指定の様々な時点でマウスの血漿試料を採取した。いずれの検定も類似の薬物動態を示し、このことは抗C5 mAbおよびFH1-5融合タンパク質がその完全性を維持したことを示唆している。
【0173】
【
図67】
図67A~
図67Cを含む
図67は、SDS-PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によるFMEH-FH1-5の特性評価に関する代表的な結果を示す。SDS-PAGEおよびSEC-HPLC によるFMEH-IgG4PLA-FH1-5の特性評価。HEK293細胞遺伝子導入用培地から発現したFMEH-IgG4PLA-FH1-5をタンパク質A親和性クロマトグラフィーで精製した。
図67Aは還元SDS-PAGEの代表的な結果を示す。還元SDS-PAGEで、約85 kDaおよび約25 kDaのバンド形成はそれぞれ予想される重鎖-FH1-5融合および軽鎖である。
図67Bは非還元SDS-PAGEの代表的な結果を示す。非還元SDS-PAGEで、200 kDaマーカーよりも大きなバンドは予想される完全なFMEH-IgG4PLA-FH1-5分子である。
図67CはSEC-HPLCの代表的な結果を示す。SEC-HPLCでFMEH-IgG4PLA-FH1-5は6.54分後に溶出され、95%を超える純度である。
【0174】
【
図68】
図68はFMEH-IgG4PLA-FH1-5の質量分析計による分析の代表的な結果を示す。HEK293遺伝子導入細胞培地からタンパク質Aで精製したFMEH-IgG4PLA-FH1-5を質量分析計による分析に供して分子量を決定した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5の完全体、還元した重鎖、還元した軽鎖、脱グリコシル化した完全体、還元・脱グリコシル化した重鎖、および還元・脱グリコシル化した軽鎖の質量を決定した。実験上の質量と理論上の質量はすべての試料で一貫して一致している。結果はFMEH-IgG4PLA-FH1-5に2つのグリコシル化修飾があったことを示した。FcのCH2にある基準N-グリコシル化部位を考慮すると、FHドメイン1~5はグリコシル化されているようには見えない。
【0175】
【
図69A】
図69Aと
図69Bを含む
図69は、pH 7.4およびpH 5.8のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトおよびカニクイザルC5タンパク質への代表的な結合親和性を示す。HEK293遺伝子導入細胞培地から精製したFMEH-IgG4PLA-FH1-5を、GatorのBio-Layer Interferometry(Probe Life Inc.、中国)を用いた結合親和性決定に供した。pH 7.4またはpH 5.8の緩衝液条件で実験を行い、結合動態へのpHの影響を決定した。Gator評価ソフトウェア(Probe Life Inc.、中国)で1:1結合モデルを用いてデータを分析した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5はpH 5.8のときにpH 7.4のときよりも約10倍速くC5結合複合体から解離する。
図69Aは、pH 7.4およびpH 5.8のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトおよびカニクイザルC5タンパク質への結合親和性をグラフで表したものである。
図69Bは、pH 7.4およびpH 5.8のときのFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトおよびカニクイザルC5タンパク質への結合親和性を表で表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0176】
発明の詳細な説明
本発明は、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを用いた補体シグナル伝達阻害に関する。本発明は、部分的には、C3およびC5活性の両方を阻害することで終末補体関連症状の治療でより高い効力を達成し、さらには投薬頻度が減るという利便性を提供することができる二機能性の補体阻害物質に関する。実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せはC5に対しpH依存性の結合を示す。実施態様によっては、このpH依存性抗C5抗体または融合タンパク質は中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)になるほど、より酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)のときよりも強力にC5に結合する。様々な実施態様では、本発明は、個体を抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せに接触させることによる、個体の補体関連疾患または補体関連障害を治療する組成物および方法に関する。本明細書の組成物および方法で治療することができる補体関連症状および状態としては、MD、AMD、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、喘息、アレルギー性喘息、COPD、PNH症候群、重症筋無力症、NMO、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、aHUS、CRVO、CRAO、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症(心肺バイパス手術および腎臓透析に関連する炎症が挙げられるがこれらに限定されない)、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎(ANCA関連糸球体腎炎、ループス腎炎、およびそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)、ANCA関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、および抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
定義
【0177】
特に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似すなわち等価な任意の方法および材料を用いて本発明を実施または試験することができるが、模範的な方法および材料を記載する。
本明細書で用いる場合、以下の用語はそれぞれ本節のその用語に関連する意味を有する。
【0178】
本明細書では、冠詞「a」および「an」はその冠詞の文法上の対象が1つ、または2つ以上(すなわち少なくとも1つ)であることを指すのに用いられる。例として、「要素(an element)」は1個の要素または2個以上の要素を意味する。
【0179】
本明細書で用いる場合、「阻害する」および「阻害」という用語は、活性または機能を対照値に対して少なくとも約10%低減する、抑制する、減少させる、または遮断することを意味する。実施態様によっては、活性を対照値に比べて少なくとも約50%抑制または遮断する。実施態様によっては、活性を少なくとも約75%抑制または遮断する。実施態様によっては、活性を少なくとも約95%抑制または遮断する。
【0180】
「有効量」および「薬学的有効量」という用語は、所望の生物学的結果を与えるのに十分な薬剤の量を意味する。その結果は疾患もしくは障害の徴候、症状、または原因の低減および/または軽減、あるいは生体系のその他の任意の所望の変更であってもよい。任意の個体の場合の適切な有効量を当業者が通常の実験を用いて決定してもよい。
【0181】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は本明細書で交換可能に用いられ、病気またはその後遺症に対する治療を必要とするかそれに感受性のある、補体系を有するヒトを含む任意の動物(実施態様によっては哺乳動物であり、実施態様によってはヒトである)を指す。個体としては、たとえばイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、サル、マウス、およびヒトを挙げることができる。
【0182】
生物、組織、細胞、またはそれらの成分に関連して用いる場合、「異常」という用語は、少なくとも1つの観察または検出可能な性質(年齢、処置、時間帯など)について「正常な」(期待される/恒常的な)各性質を呈する生物、組織、細胞、またはそれらの成分とは異なる生物、組織、細胞、またはそれらの成分を指す。ある細胞、組織型、または対象では正常なまたは期待される性質が別の細胞または組織型では異常である場合がある。
【0183】
「疾患」は対象が恒常性を維持することができず、またその疾患が寛解しない場合には対象の健康が悪化し続ける、対象の健康状態である。
【0184】
これに対し、対象の「障害」は対象が恒常性を維持することはできるが、対象の健康状態はその障害がない場合よりも好ましくない、健康状態である。未処置のままにした場合、障害は対象の健康状態を必ずしもさらに低下させるわけではない。
【0185】
疾患または障害の徴候または症状の重症度、患者がそのような徴候または症状を経験する頻度、あるいはその両方が減った場合、その疾患または障害は「軽減して」いる。
【0186】
化合物の「有効量」または「治療有効量」は、その化合物を投与する対象に有益な効果を与えるのに十分な化合物の量である。
【0187】
本明細書で用いる場合、「説明資料」は、本明細書に列挙する様々な疾患または障害の軽減を引き起こすキット内の本発明の化合物、組成物、ベクター、または送達システムの有用さを伝えるのに用いることができる刊行物、記録物、図表、または他の任意の表現手段を包含する。任意にまたは代わりに、説明資料は哺乳動物の細胞または組織の疾患または障害を軽減する1つ以上の方法を記載していてもよい。本発明のキットの説明資料を、たとえば本発明の特定の化合物、組成物、ベクター、または送達システムを含む容器に添付する、あるいは本発明の特定の化合物、組成物、ベクター、または送達システムを含む容器と共に輸送することができる。あるいは、受取人が説明資料と化合物を連動的に使用することを意図して、説明資料を容器と別にして輸送することができる。
【0188】
本明細書で用いる場合、「作動可能に連結された」または「作動的に連結された」は、遺伝子の発現がその遺伝子を空間的に接続したプロモーターに制御されることを意味し得る。制御対象の遺伝子の5'末端(上流)または3'末端(下流)にプロモーターを配置してもよい。プロモーターと遺伝子との距離は、そのプロモーターの由来源である遺伝子内でのそのプロモーターとそれが制御する遺伝子との距離とほぼ同じであってもよい。当技術分野で公知のように、プロモーターの機能を喪失させずにこの距離の変動を調節してもよい。
【0189】
「治療処置」は疾患または障害の徴候を示す対象に対してそれらの徴候を低減または除去する目的で施される処置である。
【0190】
本明細書で用いる場合、「疾患または障害を治療する」は、患者が経験する疾患または障害の徴候および/または症状の頻度および/または重症度を下げることを意味する。
【0191】
本明細書で用いる場合、「生体試料」、「試料」、または「検体」という語句は、その
中で核酸またはポリペプチドの発現を検出することができる細胞、組織、または体液を含む任意の試料を包含するものとする。生体試料は所望の生物マーカーを検出するのに適した任意の生体物質を含んでいてもよく、個体から得た細胞および/または細胞以外の物質を含んでいてもよい。このような生体試料の例としては血液、リンパ、骨髄、生検体または塗抹物が挙げられるがこれらに限定されない。本来は液体である試料を本明細書では「体液」という。たとえば、ある領域を掻爬するまたは拭取る、あるいは針を用いて体液を得るなどの様々な技術で患者から生体試料を得てもよい。様々な身体試料を採取する方法は当技術分野で周知である。
【0192】
本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、抗原の特定のエピトープに特異的に結合することができる免疫グロブリン分子を指す。抗体は天然源に由来の完全な免疫グロブリン、または組換え源由来のものであってもよく、完全な免疫グロブリンの免疫反応部分であってもよい。本発明の抗体は、たとえば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、細胞内抗体(「イントラボディ」)、Fv、Fab、Fab’、F(ab)2およびF(ab’)2、さらには単鎖抗体(scFv)、重鎖抗体(たとえばラクダ科抗体)、ならびにヒト化抗体などの様々な形態で存在してもよい(Harlow et al., 1999, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0193】
本明細書で用いる場合、「合成抗体」という用語は組換えDNA技術を用いて作製された抗体、たとえばバクテリオファージが発現する抗体などを意味する。この用語は、抗体をコードするDNA分子、および抗体タンパク質を発現するDNA分子またはその抗体を特定するアミノ酸配列の合成により生成された抗体を意味するものとする。ここで、DNAまたはアミノ酸配列は当技術分野で利用可能かつ周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を用いて得られたものである。
【0194】
本明細書で用いる場合、「重鎖抗体(単数)」又は「重鎖抗体(複数)」という用語は、ペプチドによる免疫化とその後の血清の単離により、あるいはこの抗体をコードする核酸配列のクローン化と発現によりラクダ科の種から誘導した免疫グロブリン分子を包含する。「重鎖抗体(単数)」又は「重鎖抗体(複数)」という用語は、重鎖病を有する対象から単離した、あるいは対象由来のVH(免疫グロブリン分子重鎖可変領域)遺伝子のクローン化および発現により調製した免疫グロブリン分子をさらに包含する。
【0195】
「キメラ抗体」は、受容抗体由来の軽鎖および重鎖定常領域と組み合わせて供与抗体由来の天然に存在する可変領域(軽鎖および重鎖)を含む改変抗体の一種を指す。
【0196】
「ヒト化抗体」は、そのCDRはヒト以外の供与免疫グロブリンに由来し、分子のうち残りの免疫グロブリン由来部分は1つ(または複数)のヒト免疫グロブリンに由来する、改変抗体の一種を指す。また、結合親和性を保つようにフレームワーク支持残基を改変してもよい(たとえば、1989, Queen et al., Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029-10032; 1991, Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421を参照のこと)。好適なヒト受容抗体は、供与抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列との相同性により従来のデータベース、たとえばKABATデータベース、Los Alamosデータベース、およびSwiss Proteinデータベースから選択した1つであってもよい。供与抗体のフレームワーク領域との(アミノ酸を基準とする)相同性を特徴とするヒト抗体は、供与CDRの挿入のために重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに適し得る。軽鎖定常または可変フレームワーク領域を供与することができる好適な受容抗体を類似の方法で選択してもよい。なお、受容抗体の重鎖と軽鎖は同じ受容抗体に由来する必要はない。先行技術にはこのようなヒト化抗体を作製するいくつかの方法が記載されている(たとえば、EP-A-0239400およびEP-A-054951を参照のこと)。
【0197】
「供与抗体(donor antibody)」という用語は、その可変領域、CDR、またはそれらのその他の機能性断片もしくは類似体のアミノ酸配列を第一の免疫グロブリンパートナーに提供して、改変免疫グロブリンのコード領域および得られる発現後の改変抗体に供与抗体の抗原特異性および中和活性の性質を提供する、(モノクローナルおよび/または組換え)抗体を指す。
【0198】
「受容抗体(acceptor antibody)」という用語は、その重鎖および/もしくは軽鎖フレームワーク領域ならびに/またはその重鎖および/もしくは軽鎖定常領域をコードするアミノ酸配列の全体(またはその任意の部分、ただし実施態様によっては全体)を第一の免疫グロブリンパートナーに提供する供与抗体とは異種である、(モノクローナルおよび/または組換え)抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト抗体が受容抗体である。
【0199】
「融合タンパク質」という用語は、別々のタンパク質に由来の2種以上のポリペプチドを結合して作製されたタンパク質を指す。実施態様によっては、組換えDNA技術を用いて(たとえば、融合タンパク質の部分のそれぞれをコードする核酸を結合することで)融合タンパク質を作製し、典型的には生物学的研究または治療に用いる。実施態様によっては、融合タンパク質のポリペプチド部分の間にリンカーを伴って、または伴わずに、化学結合(たとえば共有結合など)により融合タンパク質を作製する。
【0200】
本明細書で用いる場合、「結合する」または「結合した」という用語は、2つ以上の成分をまとめるために結合、連結、力、または結びつけにより接続または一体化することを指し、たとえば第一のポリペプチドを第二のポリペプチドまたは物質に直接結合する、また、たとえば1つ以上の中間化合物(たとえばアミノ酸、ペプチド、ポリペプチドなど)を第一のポリペプチドと第二のポリペプチドまたは物質との間に配置する、直接的結合も間接的結合も包含する。
【0201】
「CDR」は、抗体のうち免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である相補性決定領域アミノ酸配列と定義される。たとえば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照のこと。免疫グロブリンの可変部分には3個の重鎖CDRと3個の軽鎖CDR(すなわちCDR領域)が存在する。したがって、本明細書で用いる場合、「CDR」は3個の重鎖CDRすべてまたは3個の軽鎖CDRすべて(あるいは、適切であればすべての重鎖CDRおよびすべての軽鎖CDRの両方)を指す。抗体の構造およびタンパク質折畳みは、他の残基が抗原結合領域の一部とみなされるということを意味する可能性があり、また、当業者はそのように理解する。たとえば、Chothia et al., (1989) Conformations of immunoglobulin hypervariable regions; Nature 342, p 877-883を参照のこと。
【0202】
本明細書で用いる場合、「免疫検定」は標的分子に特異的に結合してその標的分子を検出かつ数量化することができる抗体を用いる任意の結合検定を指す。
【0203】
本明細書で抗体に関して用いる場合、「特異的に結合する」という用語は、特異的な標的分子を認識しこれに結合するが試料中のその他の分子は実質的に認識・結合しない抗体を意味する。場合によっては、認識および結合が標的分子上の特定の構造(たとえば抗原決定基すなわちエピトープ)の存在に依存することを意味するのに「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語を用いる。たとえば、抗体がエピトープ「A」に特異的に結合する場合、エピトープAを含む非標識分子(または遊離の非標識のA)が標識付き「A」と抗体を含む反応物中に存在することにより、抗体に結合する標識付きAの量は減少する。
【0204】
遺伝子の「コード領域」は、遺伝子のコード鎖のヌクレオチド残基と遺伝子の非コード鎖のヌクレオチド(それぞれ、遺伝子の転写により生じるmRNA分子のコード領域と相同または相補性である)からなる。
【0205】
mRNA分子の「コード領域」も、mRNA分子のうちmRNA分子の翻訳時に転移RNAの逆コドン領域と適合するヌクレオチド残基または終止コドンをコードするヌクレオチド残基からなる。したがって、コード領域は、mRNA分子がコードする成熟タンパク質には存在しないアミノ酸残基(たとえば、タンパク質輸送シグナル配列のアミノ酸残基)に関するコドンを含むヌクレオチド残基を含んでいてもよい。
【0206】
「示差的に減少した発現」または「発現低下」は、対照に比べて少なくとも10%以上(たとえば20%、30%、40%、または50%、60%、70%、80%、90%)低いかそれ以下、かつ/または2.0倍、1.8倍、1.6倍、1.4倍、1.2倍、1.1倍低いかそれ以下、およびその間の任意のすべての全体または部分増分である生物マーカー産生水準を指す。
【0207】
「示差的に増加した発現」または「発現上昇」は、対照に比べて少なくとも10%以上(たとえば20%、30%、40%、または50%、60%、70%、80%、90%)高いかそれ以上、かつ/または1.1倍、1.2倍、1.4倍、1.6倍、1.8倍、2.0倍高いかそれ以上、およびその間の任意のすべての全体または部分増分である生物マーカー産生水準を指す。
【0208】
本明細書で核酸を指すのに用いる場合、「相補的」は2本の核酸鎖の領域間または同じ核酸鎖の2つの領域間の配列相補性という広い概念を指す。第一の核酸領域のアデニン残基は、第一の領域と逆平行の第二の核酸領域の残基と(その残基がチミンまたはウラシルである場合)特異的水疎結合を形成(塩基対形成)することができることが知られている。同様に、第一の核酸鎖のシトシン残基は、第一の鎖と逆平行の第二の核酸鎖の残基と(その残基がグアニンである場合)塩基対形成することができることが知られている。2つの領域が逆平行に配置されているとき、第一の領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基が第二の領域の残基と塩基対形成することができる場合、核酸の第一の領域は同じまたは別の核酸の第二の領域と相補的である。実施態様によっては、第一および第二の部分が逆平行に配置されているときに第一の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、および/または少なくとも約75%、または少なくとも約90%、または少なくとも約 95%が第二の部分のヌクレオチド残基と塩基対形成することができるように第一の領域は第一の部分を含み、第二の領域は第二の部分を含む。実施態様によっては、第一の部分のすべてのヌクレオチド残基は第二の部分のヌクレオチド残基と塩基対形成することができる。
本明細書で用いる場合、「DNA」という用語はデオキシリボ核酸と定義される。
【0209】
「コードする」は、ポリヌクレオチド中の特定のヌクレオチド配列、たとえば遺伝子、cDNA、またはmRNAが持つ、指定のヌクレオチド配列(すなわちrRNA、tRNA、およびmRNA)または指定のアミノ酸配列とそれによって得られる生物学的性質とを有する生物学的過程のその他の高分子および巨大分子を合成するための鋳型として機能する固有の性質を指す。したがって、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳によりタンパク質が細胞または他の生体系で産生される場合、遺伝子はタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり通常は配列表に記載されているコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として用いられる非コード鎖の両方をタンパク質またはその遺伝子もしくはcDNAのその他の産物をコードするということができる。
【0210】
特に指定しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は互いの縮重型であり同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を包含する。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が型によってはイントロンを含み得る範囲で、イントロンも包含する可能性がある。
【0211】
「単離された」は天然の状態から変更された、または取り出されたことを意味する。たとえば、生体内でその通常の状況で天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その天然の状況の共存する物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は実質的に精製された形態で存在することができ、あるいは非天然の環境(たとえば宿主細胞など)に存在することができる。
【0212】
本明細書で用いる場合、「ハイブリドーマ」という用語はBリンパ球と融合パートナー、たとえば骨髄腫細胞とを融合することで得られた細胞を指す。ハイブリドーマをクローン化して細胞培養液に永久的に維持することができ、ハイブリドーマはモノクローナル抗体を産生することができる。
【0213】
「単離核酸」は、天然の状態では近接していた配列から分離された核酸分節または断片、すなわち通常であればその断片に近接している配列(すなわち、その断片が天然に存在するゲノムではその断片に近接している配列)から取り出されたDNA断片を指す。この用語は、核酸に本来付随する他の成分(すなわち、細胞ではその核酸に本来付随しているRNAもしくはDNAまたはタンパク質)を実質的に取り除いた核酸にも用いられる。したがって、この用語は、たとえば、ベクター、自己複製するプラスミドもしくはウイルス、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、あるいは他の配列から独立した別個の分子として存在する組換えDNA(すなわち、PCRまたは制限酵素消化によって作製されたcDNAまたはゲノム断片もしくはcDNA断片)も包含する。この用語はさらに、さらなるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも包含する。
【0214】
本発明に関して、通常存在する核酸塩基について以下の略語を用いる。「A」はアデノシン、「C」はシトシン、「G」はグアノシン、「T」はチミジン、「U」はウリジンを指す。
【0215】
本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド鎖と定義される。また、核酸はヌクレオチドの重合体である。したがって、本明細書で用いる場合、核酸とポリヌクレオチドは互換可能である。当業者は、核酸は単量体「ヌクレオチド」に加水分解することができるポリヌクレオチドであるという一般知識を有する。この単量体ヌクレオチドはヌクレオシドに加水分解することができる。本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドとしては、当技術分野で利用可能な任意の手段(たとえば組換え手段、すなわち組換えライブラリーまたは細胞ゲノムから核酸配列を通常のクローン化技術とPCRでクローン化することなどが挙げられるが、これらに限定されない)および合成手段により得られたすべての核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0216】
本明細書で用いる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は互換可能に用いられ、ペプチド結合により共有結合したアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質またはペプチドは少なくとも2個のアミノ酸を含有しなければならないが、タンパク質またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数には制限はない。ポリペプチドはペプチド結合により互いに連結した2個以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を包含する。本明細書で用いる場合、この用語は当技術分野で一般的にたとえばペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーとも呼ばれる短鎖と、それよりも長く、当技術分野で一般的にタンパク質と呼ばれる鎖の両方を指し、多くの種類が存在する。「ポリペプチド」としては特に、たとえば生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、ポリペプチドの改変体、誘導体、類似体、融合タンパク質またはそのバリアントもしくは断片が挙げられる。ポリペプチドとしては、天然のペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0217】
本明細書で用いる場合、「子孫」という用語は派生物または後代を指し、哺乳動物の後代を包含し、また、親細胞に由来の分化済みまたは未分化の派生細胞も包含される。一つの用法では、子孫という用語は遺伝的に親と同一である派生細胞を指す。別の用法では、子孫という用語は遺伝的・表現型的に親と同一である派生細胞を指す。さらに別の用法では、子孫という用語は親細胞から分化した派生細胞を指す。
本明細書で用いる場合、「RNA」という用語はリボ核酸と定義される。
【0218】
本明細書で用いる場合、「組換えDNA」という用語は異なる供給源に由来するDNA片を連結して作製されたDNAと定義される。
【0219】
本明細書で用いる場合、「組換えポリペプチド」という用語は組換えDNA法を用いて作製されたポリペプチドと定義される。
本明細書で用いる場合、「接合された」は1つの分子を第二の分子に共有結合することを指す。
【0220】
本明細書で用いる場合、「バリアント」という用語は、それぞれ基準の核酸配列またはペプチド配列と配列は異なるが基準分子の本質的な生物学的特性を保持している核酸配列またはペプチド配列を指す。核酸バリアントの配列の変化によって、基準核酸がコードするペプチドのアミノ酸配列は変化しない場合もあり、アミノ酸の置換、付加、欠失、融合、および切断が起こる場合もある。ペプチドバリアントの配列の変化は典型的には限定的または保存的であり、結果として基準ペプチドとバリアントの配列は全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一である。バリアントと基準ペプチドは、任意の組合せの1つ以上の置換、付加、欠失によりアミノ酸配列が異なっていてもよい。核酸またはペプチドのバリアントは、アレルバリアントなどの天然に存在するバリアントであってもよく、天然に存在するとわかっていないバリアントであってもよい。天然に存在しない核酸およびペプチドバリアントを変異誘発技術または直接合成により作製してもよい。様々な実施態様では、バリアントの配列は基準配列と少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、少なくとも85%同一である。
【0221】
本明細書で用いる場合、「調節」という用語は、基質の濃度または活性を変更する任意の方法を意味することができる。タンパク質に関して、調節の非限定的な例としては、発現(転写および/または翻訳を含む)に作用すること、折畳みに作用すること、分解またはタンパク質代謝回転に作用すること、ならびにタンパク質の局在化に作用することが挙げられる。酵素に関して、調節の非限定的な例としては、酵素活性に作用することがさらに挙げられる。「調節因子」は、基質の濃度または活性に作用する活性を持つ分子を指す。調節因子は直接的であっても間接的であってもよい。調節因子はその基質を活性化もしくは阻害、またはそれ以外の形で変化させるよう機能することができる。
【0222】
本明細書で用いる場合、「スキャンウィンドウ」は、配列を任意の近接配列と独立に評価することができる複数の連続位置の区画を指す。一般に、評価する配列の長さに沿ってスキャンウィンドウを徐々に移動させ、新しい各区画を独立に評価する。1位または2位以上で位置を徐々に移動させる。
【0223】
本明細書で用いる場合、「ベクター」という用語は複製起点を含む核酸配列を意味する可能性がある。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌の人工染色体、または酵母の人工染色体であってもよい。ベクターはDNAベクターまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製する染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに統合するベクターであってもよい。
【0224】
範囲:本開示全体で、範囲を示す形式で本発明の様々な側面を記載する場合がある。なお、範囲を示す形式による記載は単に簡便のためのものであり、本発明の範囲に対する変更不可の限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の記載は、可能性のあるすべての部分的範囲と、その範囲内の個々の数値とを具体的に開示しているものとする。たとえば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分的範囲と、その範囲に含まれるたとえば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6などの個々の数とを具体的に開示しているものとする。このことは範囲の幅に関係なくあてはまる。
説明
【0225】
本発明は、抗C5抗体またはその融合タンパク質を用いた補体シグナル伝達阻害に関する。実施態様によっては、本発明は、C3およびC5活性の両方を阻害することができる二機能性の補体阻害物質を用いる補体シグナル伝達阻害に関する。様々な実施態様では、本発明は、部分的には、 個体を抗C5抗体またはその融合タンパク質に接触させることによる、個体の補体関連疾患または補体関連障害を治療する方法に関する。
補体阻害物質および二機能性抗体
【0226】
本発明は、抗ヒトC5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片(たとえば、抗C5抗体またはそのバリアントもしくは断片、抗C5融合タンパク質抗体またはそのバリアントもしくは断片など)を用いる補体シグナル伝達および補体関連障害の阻害に関する。実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せは、C5およびC3活性化の阻害に二機能性の活性を示す。実施態様によっては、この抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せはC5に対しpH依存性の結合を示す。
【0227】
実施態様によっては、この抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せはC5に対しpH依存性の結合を示す。実施態様によっては、このpH依存性抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せは中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)になるほど、より酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)のときよりも強力にC5に結合する。このようなpH依存性の結合により、投与された抗体または抗体融合タンパク質分子はより長い持続性を得る。というのも、細胞に吸収された免疫複合体(すなわち、C5に結合した抗C5 mAb、および/またはC5に結合した抗C5 mAb-FH融合タンパク質)はエンドソームの酸性環境では解離し、それにより遊離の抗体または抗体-FH融合タンパク質が胎児性Fc受容体(FcRn)を介して細胞外で再循環することができ、そこで新たなC5分子との結合に利用可能になるからである。
【0228】
一実施態様では、本発明は、補体成分C3タンパク質、またはタンパク質C3aもしくはC3bの断片を特異的に標的化することによる補体シグナル伝達カスケードの阻害に関する。一実施態様では、本発明は、補体成分C5タンパク質、またはタンパク質C5aもしくはC5bの断片を特異的に標的化することによる補体シグナル伝達カスケードの阻害に関する。
一実施態様では、本発明は、補体成分C3タンパク質、タンパク質C3aもしくはC3bの断片、C5タンパク質、タンパク質C5aもしくはC5bの断片、またはそれらの任意の組合せを特異的に標的化することによる、補体シグナル伝達カスケードの阻害に関する。一実施態様では、本発明は、望ましくない制御不能な過剰な補体活性化に関連する炎症および自己免疫疾患の治療および予防方法に関する。一実施態様では、本発明は個体を抗C5抗体に接触させることによる個体の補体関連疾患または補体関連障害の治療に関する。一実施態様では、本発明は個体を抗C5融合タンパク質抗体に接触させることによる個体の補体関連疾患または補体関連障害の治療に関する。一実施態様では、本発明は個体を抗C5抗体または抗C5融合タンパク質抗体に接触させることによる個体の補体関連疾患または補体関連障害の治療に関する。
【0229】
一実施態様では、本発明は抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを個体に投与することでC3aまたはC3bタンパク質の生成とMACの形成を阻害する工程を含む、前記個体の補体関連疾患または障害を治療する方法である。一実施態様では、本発明は抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを個体に投与することでC5aまたはC5bタンパク質の生成とMACの形成を阻害する工程を含む、前記個体の補体関連疾患または障害を治療する方法である。一実施態様では、本発明は抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを個体に投与することでC3aまたはC3bタンパク質の生成を阻害し、C5aまたはC5bタンパク質の生成とMACの形成を阻害する工程を含む、前記個体の補体関連疾患または障害を治療する方法である。本発明の方法を用いて治療することができる補体関連症状の例としては、MD、AMD、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、喘息、アレルギー性喘息、COPD、PNH症候群、重症筋無力症、NMO、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、aHUS、CRVO、CRAO、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症(心肺バイパス手術および腎臓透析に関連する炎症が挙げられるがこれらに限定されない)、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎(ANCA関連糸球体腎炎、ループス腎炎、およびそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)、ANCA関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、および抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、またはそれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。実施態様によっては、本発明の組成物および方法は対象、たとえばエクリズマブまたはラブリズマブによる治療に十分に反応しない、PNHを有する対象の治療に有用である。非限定的な例として、対象によってはC5のα鎖にエクリズマブまたはラブリズマブ治療に抵抗性にする可能性がある変異を有していてもよい(Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. Nishimura J, et al., N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9を参照のこと)。
【0230】
「自己」と「非自己」の抗原を区別する免疫系の能力は、侵入する微生物に対する特異的防御として免疫系が機能するために不可欠である。「非自己」抗原は体内に侵入または存在する物質上の抗原であり、対象自身の構成要素とは検出できるほど異なるか外来性であるのに対し、「自己」抗原は、健常な対象の体内にある、対象自身の構成要素と検出できるほどには異ならないか外来性ではない抗原である。本方法の様々な実施態様では、阻害される補体活性化は、微生物抗原、非生物学的外来表面、変化した自己組織、またはそれらの組合せからなる群のうちの少なくとも1つによって引き起こされたものである。非生物学的外来表面の一例は、心肺バイパス手術または腎臓透析で使用されるような血液中のチューブである。変化した自己組織の例としては、アポトーシス、壊死、虚血ストレスを受けた組織および細胞、機能的補体調節タンパク質を欠く組織および細胞、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0231】
実施態様によっては、本発明の抗C5抗体(たとえば抗C5抗体、抗C5融合タンパク質抗体、抗体断片、抗体バリアントなど)は代替補体経路(AP)、古典経路(CP)、またはレクチン経路(LP)の活性化の下流作用を阻害する。一般に、CPは抗原-抗体複合体により開始され、LPは微生物表面の糖分子へのレクチンの結合により活性化され、一方、APは低水準で恒常的に活性であるが、細菌、ウイルス、および寄生虫の細胞表面では調節タンパク質がないため迅速に増幅可能である。宿主細胞は通常、調節タンパク質によりAP補体活性化から保護される。しかし、状況によっては(調節タンパク質が不完全である、または欠失している場合など)、APは宿主細胞でも制御不能に活性化されて補体関連疾患または障害につながる可能性がある。CPは成分C1、C2、C4からなり、C3活性化工程でAPと合流する。LPはマンノース結合レクチン(MBL)およびMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)からなり、成分C4およびC2をCPと共有する。APは成分C3といくつかの因子、たとえばB因子、D因子、プロペルジン、C5、および液相調節因子FHからなる。補体活性化は3つの段階、すなわち(a)認識、(b)酵素活性化、および(c)細胞死につながる膜侵襲からなる。CP補体活性化の最初の段階はC1で開始する。C1は3つの異なるタンパク質、すなわち認識サブユニットC1q、ならびにセリンプロテアーゼ小成分C1rおよびC1sで構成され、C1rおよびC1sはカルシウム依存性四量体複合体であるC1r2 s2で共に結合している。C1の生理学的活性化が生じるためには完全なC1複合体が必要である。活性化は、抗原と複合体形成した免疫グロブリンに完全なC1複合体が結合すると起こる。この結合はC1sを活性化し、次いでC1sはC4およびC2タンパク質の両方を切断してC4aおよびC4bならびにC2aおよびC2bを生成する。C4bおよびC2aの断片は一体となってC3転換酵素C4b2aを形成し、次にC4b2aはC3を切断してC3aおよびC3bを形成する。LPの活性化はMBLが標的表面上の特定の糖と結合することにより開始され、これはMASPの活性化を誘発する。MASPは続いてCPのC1sの活性と類似の方法でC4およびC2を切断し、その結果C3転換酵素C4b2aを生成する。このように、CPとLPは異なる機序により活性化されるが、それらは同一の成分C4およびC2を共有し、いずれの経路も同一のC3転換酵素C4b2aの生成を引き起こす。C4b2aがC3をC3bおよびC3aに切断することは2つの理由により補体経路の中心的事象である。それはAP増幅ループを開始する。というのも、表面に堆積したC3bはAPの中心的な中間体であるからである。C3aおよびC3bはいずれも生物学的に重要である。C3aは炎症誘発性であり、C5aと共にアナフィラトキシンと呼ばれる。C3bおよびそのさらなる切断産物はさらに好中球、好酸球、単球およびマクロファージに存在する補体受容体に結合し、それによりC3bオプソニン化した粒子の食作用および排除を促進する。最後に、C3bはC4b2aと結合してCPおよびLPのC5転換酵素を形成して終末補体配列を活性化することができ、強力な炎症誘発性媒介物質であるC5aの生成、および溶解性MACであるC5-C9の構築を引き起こす。
【0232】
一実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体経路の活性は、リポ多糖(LPS)、リポオリゴ糖(LOS)、病原体関連分子パターン(PAMP)、および損傷関連分子パターン(DAMP)から選択される群のうちの少なくとも1つにより誘導される補体経路活性化である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性はC5aタンパク質の生成である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性はC5bタンパク質の生成である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性はC3aタンパク質の生成である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性はC3bタンパク質の生成である。様々な実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性は、C5aタンパク質、C5bタンパク質、C3aタンパク質、C3bタンパク質、またはそれらの任意の組合せの生成である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体シグナル伝達の活性はMACの形成である。別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体経路の活性はC5依存性である。さらに別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体経路の活性はC3依存性である。さらに別の実施態様では、本発明の方法を用いて阻害される補体経路の活性はC3依存性、C5依存性、またはその両方である。
【0233】
一実施態様では、本発明は個体に抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを投与して個体の体内のCP、LP、またはAP活性化により生じる終末補体活性化の開始を阻害する工程を含む、前記個体の終末補体活性化の開始を阻害する方法である。これらの実施態様の例は、補体関連の溶血に苦しむPNH患者、ならびに補体関連のaHUS、喘息、虚血再灌流障害、関節リウマチ、およびANCA関連腎臓疾患に苦しむ個体である。本発明の様々な実施態様では、本発明の組成物および方法を用いて治療することができる疾患および障害としては、補体関連の溶血、補体関連のaHUS、C3糸球体症、視神経脊髄炎、重症筋無力症、喘息、虚血再灌流障害、関節リウマチ、ならびにANCA関連腎臓疾患または障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0234】
様々な他の実施態様では、終末補体活性化に対する阻害効果を有する潜在的な抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの組合せを特定する方法が本明細書で提供される。一つのこのような方法は後述のヒツジ赤血球溶解検定である。簡潔には、ヒツジ赤血球(検定試料あたり1×107細胞、PBS中で調製、Complement Technology Inc)に50%の正常ヒト血清(NHS、Complement Technology Inc.製)を加えてゼラチンベロナール緩衝液(GVB2+、Sigma;合計検定容量: 100 μl)中で、37℃で20分間恒温放置した。ヒツジ赤血球に加える前にNHSを抗C5 mAbと共に4℃で1時間、予備保温した。40 mMのEDTA-PBS氷冷溶液を加えて溶解反応を停止した。恒温放置後の混合物を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収してODを405 nmで測定した。NHSを含まない試料またはEDTAを加えた試料を陰性溶解対照として使用し、また、蒸留水で完全に溶解したヒツジ赤血球の試料を陽性対照(100%溶解)として使用し、これに対して他の試料の溶解率(%)を正規化した。抗ヒトC5遮断mAbの確認選別に使用することができる別の方法は以下の工程を含む:a)プレートをLPSで被覆する;b)プレートを洗浄して未結合のLPSを除去する;c)ウシ血清アルブミン(BSA)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を加える;d)プレートを洗浄して未結合のBSAを除去する;e)血清と共に予備保温して正常ヒト血清に混合した候補抗C5抗体化合物の混合物を加える;f)プレートを洗浄する;g)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ヒトC5b-9または抗ヒトC6抗体(抗ヒト終末補体複合体(TCC)抗体であるクローンaE11、またはビオチン標識抗ヒトC6抗体、いずれもQuidel製)を加える;h)プレートを洗浄して未結合の抗体を除去する;i)HRP基質試薬を加える;j)硫酸を加えて反応を停止する;k)450 nmで光学密度を測定する;l)候補抗C5抗体化合物を含むプレートの光学密度を陽性比較対照および陰性比較対照の光学密度と比較する(光学密度が陽性比較対照と比較して減少した場合、抗C5抗体が特定される)。
抗C5抗体および抗C5融合タンパク質抗体
【0235】
実施態様によっては、本発明は、C3転換酵素によるC3の活性化を特異的に阻害する抗体または融合タンパク質を含む組成物を包含する。実施態様によっては、本発明は、C5に特異的に結合し、かつその活性化を阻害する抗体または融合タンパク質を含む組成物を包含する。実施態様によっては、本発明は、C3、C5、またはその両方の活性化を特異的に阻害する抗体または融合タンパク質を含む組成物を包含する。実施態様によっては、抗C5 抗体または融合タンパク質はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である。
【0236】
実施態様によっては、抗体または融合タンパク質は抗体断片である。実施態様によっては、C3はヒトC3である。実施態様によっては、C5はヒトC5である。実施態様によっては、抗C5抗体融合タンパク質はFHに連結された抗C5 mAbである。実施態様によっては、抗C5抗体融合タンパク質はFHの断片に連結された抗C5 mAbである。実施態様によっては、FHはヒトFHである。実施態様によっては、抗C5抗体または融合タンパク質はC5に対しpH依存性の結合を示す。実施態様によっては、このpH依存性抗C5抗体または融合タンパク質は中性のpH(たとえば血液に見られるようなpH約7.4)になるほど、より酸性のpH(たとえばエンドソームに見られるようなpH約5.8)のときよりも強力にC5に結合する。
【0237】
実施態様によっては、抗体、融合タンパク質、または抗体の断片のヒトC5への結合は、完全な生体の補体活性化経路のC3aもしくはC3bの生成およびMACの形成の低減に関連する。実施態様によっては、抗体、融合タンパク質、または抗体の断片のヒトC5への結合は、完全な生体の補体活性化経路のC5aもしくはC5bの生成およびMACの形成の低減に関連する。
【0238】
実施態様によっては、本発明はヒトC3の活性化を阻害することができるタンパク質またはポリペプチドである。実施態様によっては、本発明はヒトC5に結合してその活性化を阻害することができるタンパク質またはポリペプチドである。実施態様によっては、本発明はヒトC3、ヒトC5、またはその両方に結合し、かつ/またはその活性化を阻害することができるタンパク質またはポリペプチドである。実施態様によっては、抗体、融合タンパク質、または抗体断片;タンパク質またはポリペプチドがヒトC3転換酵素の関連部分もしくは画分またはエピトープに結合すること;および抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片の相互作用、あるいはタンパク質またはポリペプチドがヒトC3転換酵素の関連部分と相互作用すること、は完全な生体の体内のC3aもしくはC3bの生成およびMACの形成の低減に関連する。実施態様によっては、抗体、融合タンパク質、または抗体断片;タンパク質またはポリペプチドがヒトC5の関連部分もしくは画分またはエピトープに結合すること;および抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片、あるいはタンパク質またはポリペプチドがヒトC5の関連部分と結合すること、は完全な生体の体内のC5aもしくはC5bの生成およびMACの形成の低減に関連する。
【0239】
実施態様によっては、ヒトC3転換酵素に対する阻害活性を有する抗体、融合タンパク質、またはそれらの断片をタンパク質、ペプチド、または別の化合物にさらに接合する。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片をタンパク質、ペプチド、または他の化合物に接合する。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、標的化部分である(すなわち、標的化部分はヒトC3以外の分子に特異的に結合する)。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、作動体分子(たとえば細胞傷害性分子)である。
【0240】
実施態様によっては、ヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらのC5結合抗体断片をタンパク質、ペプチド、または別の化合物にさらに接合する。実施態様によっては、ヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片をタンパク質、ペプチド、または他の化合物に接合する。実施態様によっては、ヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、標的化部分である(すなわち、標的化部分はヒトC5以外の分子に特異的に結合する)。実施態様によっては、ヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、作動体分子(たとえば細胞傷害性分子)である。
【0241】
実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害しかつヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはC3転換酵素を阻害しかつC5と結合するそれらの断片をタンパク質、ペプチド、または別の化合物にさらに接合する。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害しかつヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片をタンパク質、ペプチド、または他の化合物に接合する。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害しかつヒトC5と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、標的化部分である(すなわち、標的化部分はヒトC3およびヒトC5以外の分子に特異的に結合する)。実施態様によっては、ヒトC3転換酵素を阻害しかつヒトC5結合と結合する抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗体断片を接合するタンパク質、ペプチド、または他の化合物は、作動体分子(たとえば細胞傷害性分子)である。
【0242】
様々な実施態様では、抗体は融合タンパク質である。一実施態様では、融合タンパク質は補体制御タンパク質を含む。一実施態様では、融合タンパク質はCR1またはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はMCPまたはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はC4BPまたはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はDAFまたはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はApoEまたはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はFHタンパク質またはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はヒトIgG4またはその断片を含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーを含む。様々な実施態様では、融合タンパク質はCR1もしくはその断片、MCPもしくはその断片、C4BPもしくはその断片、DAFもしくはその断片、ApoEもしくはその断片、FHタンパク質もしくはその断片、ヒトIgG4もしくはその断片、リンカー、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0243】
一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも1個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも2個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも3個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも4個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも5個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも6個のSCRドメインを含む。 一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも7個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも8個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも9個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも10個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも11個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも12個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも13個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも14個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも15個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも16個のSCRドメインを含む。 一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも17個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも18個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも19個のSCRドメインを含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質の少なくとも20個のSCRドメインを含む。
【0244】
一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン1~20を含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン1~5を含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン2~5を含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン3~5を含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン4および5を含む。一実施態様では、FHの断片はFHタンパク質のSCRドメイン5を含む。
【0245】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体と融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体に結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。実施態様によっては、融合タンパク質は直接またはリンカーを介して抗体と融合(たとえば結合)した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、リンカーは切断可能なリンカーではない。一実施態様では、リンカーは切断可能なリンカーである。たとえば、実施態様によっては、切断可能なリンカーは化学切断可能なリンカー、酵素切断可能なリンカー、ペプチドに基づくリンカー、またはそれらの任意の組合せである。
【0246】
実施態様によっては、化学切断可能なリンカーは酸切断可能なリンカーまたは還元可能なリンカーである。一実施態様では、酸切断可能なリンカーを、血液循環の中性pHでは安定を保つが細胞区画の酸性環境では加水分解し細胞傷害性の薬物を放出するように特異的に設計する。一実施態様では、還元可能なリンカーを、血流中の酸素が豊富な環境では安定を保ち細胞の還元的環境では選択的に切断されるように設計する。別の実施態様では、ペプチドに基づくリンカーを、体循環中では完全な状態を保ち特異的な細胞内プロテアーゼ(カテプシンBなど)により切断されるように設計する。リンカーの例としては、リソソーム特異的プロテアーゼ切断部位を含むリンカー、混合二硫化物を含むリンカー、アミノエトキシエトキシアセタート(AEEA)、β-グルクロニドリンカー、細胞内プロテアーゼ(たとえば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼ)で切断可能なペプチドリンカー、ジペプチドリンカー(たとえば、バリン-シトルリン(val-cit)またはフェニルアラニン-リシン(phe-lys)リンカー)、アミノヘキサノアート、ヒドラゾン、チオマレイミド、およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のC末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のN末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0248】
一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗C5 mAbと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0249】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗C5 mAbと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのC末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのN末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0250】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体のバリアントと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。たとえば、一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのバリアントと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体のバリアントと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0251】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体のバリアントと結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のバリアントのC末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のバリアントのN末端と結合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0252】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体の断片と融合(たとえば結合)した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質はリンカーを伴ってまたは伴わずに抗体の断片と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。たとえば、一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbの断片と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体の断片と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0253】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体の断片と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体の断片のC末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体の断片のN末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0254】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVH配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。たとえば、一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのVH配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体のVH配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0255】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体のVH配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVH配列のC末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVH配列のN末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0256】
一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVL配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。たとえば、一実施態様では、融合タンパク質は抗C5 mAbのVL配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーで抗体のVL配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0257】
一実施態様では、融合タンパク質はリンカーなしで抗体のVL配列と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVL配列のC末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。一実施態様では、融合タンパク質は抗体のVL配列のN末端と融合した融合タンパク質パートナー(たとえばFHまたはその機能性断片)を含む。
【0258】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0259】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1を含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号8のVL-CDR1を含む。
【0260】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0261】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3を含む。
【0262】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0263】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0264】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0265】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号11のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号11のVL-CDR3を含む。
【0266】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号11のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0267】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0268】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0269】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号13のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb L3-1またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb L3-1は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0270】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0271】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号14のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号14のVL-CDR1を含む。
【0272】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号14のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0273】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号14のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0274】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号14のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0275】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号16のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb L1-2またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb L1-2は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0276】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0277】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号8のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号8のVL-CDR1を含む。
【0278】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0279】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0280】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0281】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号7のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-4またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-4は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0282】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0283】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号20のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1を含む。
【0284】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号20のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0285】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号20のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0286】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0287】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号22のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0288】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0289】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0290】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号29のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号29のVL-CDR3を含む。
【0291】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号26のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号29のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0292】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号26のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号29のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0293】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号26のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号29のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0294】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号28のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号31のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H2-6/L3-5またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H2-6/L3-5は、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0295】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号34のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号3のVH-CDR1;配列番号34のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0296】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号34のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0297】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号34のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0298】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号34のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0299】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号34のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0300】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号36のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号7のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0301】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0302】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1を含む。
【0303】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0304】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号39のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3を含む。
【0305】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号38のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0306】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号38のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0307】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号38のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0308】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号41のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。.
【0309】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0310】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1を含む。
【0311】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号43のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号43のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0312】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号44のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3を含む。
【0313】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号43のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0314】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号43のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0315】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号43のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0316】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号46のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0317】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0318】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1を含む。
【0319】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号48のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0320】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号49のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3を含む。
【0321】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号48のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0322】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号48のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0323】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号48のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0324】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号51のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0325】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0326】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;および配列番号23のVL-CDR1を含む。
【0327】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号53のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号53のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0328】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号54のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;および配列番号10のVL-CDR3を含む。
【0329】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号53のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0330】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号53のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0331】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0332】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号56のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。.
【0333】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0334】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号57のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0335】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号57のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0336】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号57のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0337】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0338】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号59のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0339】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号76のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0340】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0341】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号62のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号62のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0342】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号62のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0343】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号62のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0344】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号62のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号39のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0345】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号64のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。.
【0346】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号72のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0347】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。
【0348】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号65のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号65のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0349】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号65のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0350】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号65のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0351】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号44のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0352】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号67のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0353】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号78のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0354】
一実施態様では、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群より選択されるCDRのうちの少なくとも1つ、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む。別の実施態様では、抗C5抗体は、配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3からなる群のすべてのCDR、またはそれらの1つ以上のバリアントを含む。
【0355】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号68のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。実施態様によっては、抗C5抗体またはその抗原結合断片は、配列番号68のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;および配列番号9のVL-CDR2を含む。
【0356】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号68のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR3を含む。
【0357】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR1;配列番号68のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列または最大約3個(たとえば約1個、2個、もしくは3個のいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0358】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号68のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0359】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号70のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体mAb H1-8/L1-9は、配列番号70のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。.
【0360】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号80のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む。他の実施態様では、抗C5抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む。別の実施態様では、抗C5抗体はmAb H1-8/L1-9またはそのバリアントである。モノクローナル抗C5抗体H1-8/L1-9は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はヒト化されている。実施態様によっては、モノクローナル抗C5抗体はキメラ抗体である。
【0361】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号4に対してVH-CDR2の第4位のプロリン(すなわちP4)の置換を含む。様々な実施態様では、P4の置換は、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、またはP4→I4(すなわちP4I)である。
【0362】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号4に対してVH-CDR2の第9位のスレオニン(すなわちT9)の置換を含む。様々な実施態様では、T9の置換は、T9→H9(すなわちT9H)、T9→F9(すなわちT9F)、T9→L9(すなわちT9L)、T9→M9(すなわちT9M)、T9→W9(すなわちT9W)、またはT9→I9(すなわちT9I)である。
【0363】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号4に対してVH-CDR2の第4位のプロリン(すなわちP4)の置換、および配列番号4に対してVH-CDR2の第9位のスレオニン(すなわちT9)の置換を含む。様々な実施態様では、P4の置換は、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、またはP4→I4(すなわちP4I)であり、T9の置換は、T9→H9(すなわちT9H)、T9→F9(すなわちT9F)、T9→L9(すなわちT9L)、T9→M9(すなわちT9M)、T9→W9(すなわちT9W)、またはT9→I9(すなわちT9I)である。
【0364】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号5に対してVH-CDR3の第16位のバリン(すなわちV16)の置換を含む。様々な実施態様では、V4の置換は、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、またはV16→W16(すなわちV16W)である。
【0365】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号3に対してVH-CDR1の第8位のアスパラギン(すなわちN8)の置換を含む。様々な実施態様では、N8の置換は、N8→H8(すなわちN8H)、N8→W8(すなわちN8W)、N8→I8(すなわちN8I)、N8→V8(すなわちN8V)、N8→Y8(すなわちN8Y)、またはN8→F8(すなわちN8F)である。
【0366】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は配列番号20に対してVH-CDR1の第9位のロイシン(すなわちL9)の置換を含む。様々な実施態様では、L9の置換は、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、またはL9→F9(すなわちL9F)である。
【0367】
実施態様によっては、抗C5抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片は、配列番号4に対するVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、配列番号4に対するVH-CDR2のスレオニン9(すなわちT9)、配列番号5に対するVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)、および配列番号20に対するVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)からなる群のうちの2つ以上の置換を含む。様々な実施態様では、配列番号4に対するVH-CDR2のプロリン4(すなわちP4)、配列番号4に対するVH-CDR2のスレオニン9(すなわちT9)、配列番号5に対するVH-CDR3のバリン16(すなわちV16)、および配列番号20に対するVH-CDR1のロイシン9(すなわちL9)からなる群のうちの2つ以上の置換を含む抗C5抗体またはその抗原結合断片は、L9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、L9F/P4F/V16E、L9I/P4M/T9H/V16W、L9I/P4W/T9H/V16W、L9I/P4F/T9H/V16W、L9F/P4M/T9H/V16W、L9F/P4W/T9H/V16W、L9F/P4F/T9H/V16W、L9I/P4M/T9H/V16E、L9I/P4W/T9H/V16E、L9I/P4F/T9H/V16E、L9F/P4M/T9H/V16E、L9F/P4W/T9H/V16E、およびL9F/P4F/T9H/V16Eからなる群より選択される2つ以上の置換を含む。
【0368】
実施態様によっては、抗体または融合タンパク質はキメラ抗体である。実施態様によっては、抗ヒトC5抗体は本明細書で先に説明した可変領域CDR配列と組み合わせてヒト軽鎖およびヒト重鎖定常領域を含んでいてもよい。当業者は、目的の特異抗体の関連ドメインを交換する公知の技術を用いてキメラ抗体を調製し入手することができる。このような抗体は、異種起源の抗体ドメインを接合し、本願に記載の1つ以上のCDR配列を組み込むことにより容易に調製される。公知の組換え技術を用いて、ヒト重鎖および軽鎖定常領域の核酸配列によりコードされる重鎖および軽鎖定常領域と本開示に記載のCDR配列に対応する核酸配列によりコードされるCDRを含む重鎖および軽鎖可変領域とを含む組換え抗体を入手・調製することができる。当業者は、本開示に記載の1つ以上のCDR配列を含み、軽鎖の部分のみまたは重鎖の部分のみを別の種(たとえばヒトなど)の抗体に由来の領域で置き換えられた、抗ヒトC5抗体を調製することができる。配列番号3~5、8~11、14、17、20、23、26、29、34、37~39、42~44、47~49、52~54、57、62、65、および68から選択される1つ以上のCDR配列またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを有する可変領域をCDR領域外のマウスまたはマウス以外の抗体構造要素と組み合わせて含むヒト抗ヒトC5抗体を、当技術分野で公知の通常の方法で調製することができる。実施態様によっては、当技術分野で公知の技術を用いてさらに抗体または抗体断片をヒト化する。
【0369】
様々な実施態様では、本明細書に記載の可変領域のいずれかを有する本明細書に記載の本発明の抗体または融合タンパク質のいずれも、ヒトIgG4重鎖定常領域を含んでいてもよい。配列番号32はヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列の例である。実施態様によっては、本発明の抗体または融合タンパク質はS228P変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域を含む。配列番号33はS228P変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列の例である。実施態様によっては、本発明の抗体はFc PLA変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域を含む。配列番号61はFc PLA変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列の例である。
【0370】
実施態様によっては、抗C5 抗体または融合タンパク質は、配列番号3~5、8~11、14、17、20、23、26、29、34、37~39、42~44、47~49、52~54、57、62、65、および68に示す本明細書に記載のCDR配列と少なくとも約85%(たとえば、少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のいずれか)のアミノ酸同一性を有する抗体を含む。
【0371】
一実施態様では、本開示は、上記のCDR配列と少なくとも約85%(たとえば、少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のいずれか)の同一性のCDR配列を有する抗C5 抗体または融合タンパク質を包含する。一実施態様では、ヒトC5に対する抗体はVH領域およびVL領域を有し、VH領域は配列番号2、19、22、28、36、41、46、51、56、および59から選択される1つと約90%を超えて(たとえば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のいずれかを超えて、または100%)同一なアミノ酸配列を有し、VL領域は配列番号7、13、16、17、25、31、および74から選択される1つと約90%を超えて(たとえば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のいずれかを超えて、または100%)同一なアミノ酸配列を有する。
【0372】
実施態様によっては、抗体または抗体断片は改変されている。実施態様によっては、この改変は、抗体またはその抗原結合断片を別のタンパク質またはタンパク質断片の部分と融合することを包含する。実施態様によっては、本発明の抗体またはその抗体断片をインビボの循環半減期を増やすように改変する。たとえば、抗体をインビボで安定させるために断片の抗体をFcRn分子(胎児性Fc受容体としても知られている)と融合してもよい(Nature Reviews Immunology 7:715-725)。実施態様によっては、抗体またはその抗原結合断片を作動体分子および/または別の標的化部分(異なる分子、異なる抗原、または異なるエピトープを認識する抗体または抗体断片など)に接合(たとえば融合)する。
【0373】
当業者は、配列番号3~5、8~11、14、17、20、23、26、29、34、37~39、42~44、47~49、52~54、57、62、65、および68から選択される少なくとも1つの特異的CDR配列またはそれらの1つ以上のバリアントを含むヒトC5結合scFvを調製することができる。scFvは、配列番号3~5、17、20、26、34、37~39、42~44、47~49、52~54、57、62、65、および68で指定の重鎖可変領域配列またはそれらの1つ以上のバリアント、ならびに配列番号8~11、14、23、および29で指定の軽鎖可変領域またはそれらの1つ以上のバリアントを含んでいてもよい。本開示に記載のCDR配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する、scFvに組み込まれたCDR配列が本開示の範囲内に包含される。
【0374】
実施態様によっては、単離抗体はヒトC5に結合し、抗体はヒトC5のエピトープに結合する。実施態様によっては、本発明のヒトC5抗体はヒトC5の特異的エピトープに結合するものである。実施態様によっては、このエピトープはC5のα鎖に少なくとも1個のアミノ酸を含む。実施態様によっては、このエピトープはC5のβ鎖に少なくとも1個のアミノ酸を含む。
【0375】
実施態様によっては、本発明は抗C5抗体部分(たとえば本明細書に記載の抗C5抗体のいずれか)とFHまたはその機能性断片を含む融合タンパク質を提供する。実施態様によっては、この抗C5抗体部分は全長抗体である。実施態様によっては、FHは全長抗体の一方または両方の重鎖に(たとえば重鎖のC末端に)融合されている。実施態様によっては、全長抗体はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含む。たとえば、一実施態様では、PLA変異を含むIgG4鎖はFc PLA変異を含むヒトIgG4重鎖定常領域を含む。一実施態様では、PLA変異を含むIgG4鎖は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む。
【0376】
実施態様によっては、本発明は抗C5抗体部分(たとえば本明細書に記載の抗C5抗体のいずれか)とFHまたはFHのSCRドメイン1~5を含むその機能性断片を含む融合タンパク質を提供する。実施態様によっては、本発明はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含む抗C5抗体部分(たとえば本明細書に記載の抗C5抗体のいずれか)とFHまたはFHのSCRドメイン1~5を含むその機能性断片を含む融合タンパク質を提供する。
【0377】
実施態様によっては、本発明は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片とを含み、抗C5抗体部分はpH感受性である(たとえば本明細書に記載のpH感受性の抗C5抗体のいずれか)、融合タンパク質を提供する。たとえば、実施態様によっては、pH感受性の抗C5抗体部分はpH 7.4のときにpH 5.8のときよりも高い親和性でC5に結合する抗C5抗体部分である。実施態様によっては、pH 7.4のときの抗C5抗体部分のC5(たとえばヒトC5)に対する結合親和性は、pH 5.8のときの抗C5抗体部分のC5(たとえばヒトC5)に対する結合親和性の少なくとも約3(たとえば少なくとも約4、5、6、7、8、または10のいずれか)倍高い。
【0378】
実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5抗体部分はpH感受性であり(たとえば本明細書に記載のpH感受性の抗C5抗体のいずれか)、たとえばpH 7.4のときにpH 5.8のときよりも高い親和性でC5に結合し、抗C5部分はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含む。実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5抗体部分はpH感受性であり(たとえば本明細書に記載のpH感受性の抗C5抗体のいずれか)、たとえばpH 7.4のときにpH 5.8のときよりも高い親和性でC5に結合し、FHまたはその機能性断片はFHのSCRドメイン1~5を含む。実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5抗体部分はpH感受性であり(たとえば本明細書に記載のpH感受性の抗C5抗体のいずれか)、たとえばpH 7.4のときにpH 5.8のときよりも高い親和性でC5に結合し、抗C5部分はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含み、FHまたはその機能性断片はFHのSCRドメイン1~5を含む。
【0379】
実施態様によっては、本発明は抗C5抗体部分(たとえば本明細書に記載の抗C5抗体のいずれか)とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5部分はそのCDR領域のうちの1つ以上にヒスチジン置換を含む(たとえば本明細書に記載のヒスチジン含有抗C5抗体のいずれか)、融合タンパク質を提供する。実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5部分はそのCDR領域のうちの1つ以上にヒスチジン置換を含み(たとえば本明細書に記載のヒスチジン含有抗C5抗体のいずれか)、抗C5部分はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含む。実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5部分はそのCDR領域のうちの1つ以上にヒスチジン置換を含み(たとえば本明細書に記載のヒスチジン含有抗C5抗体のいずれか)、FHまたはその機能性断片はFHのSCRドメイン1~5を含む。実施態様によっては、融合タンパク質は抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片を含み、抗C5部分はそのCDR領域のうちの1つ以上にヒスチジン置換を含み(たとえば本明細書に記載のヒスチジン含有抗C5抗体のいずれか)、抗C5部分はIgG4鎖(たとえばPLA変異を含むIgG4鎖)を含み、FHまたはその機能性断片はFHのSCRドメイン1~5を含む。
【0380】
様々な実施態様では、FHまたはその機能性断片は補体FHを含む。補体FHは単一ポリペプチド鎖の血漿糖タンパク質である。このタンパク質は約60個のアミノ酸の20個の反復的なSCRドメインで構成され、SCRドメインは糸に通した20個のビーズのように連続して配置されている。実施態様によっては、FHはC3bに結合し、代替経路C3転換酵素(C3Bb)の崩壊を促進し、C3bのタンパク質分解不活性化のための補因子として作用する。FHが存在する場合、C3bのタンパク質分解の結果、C3bの切断が起こる。実施態様によっては、FHはC3bについて少なくとも3個の異なる結合ドメインを有し、それらはSCR1~4、SCR5~8、およびSCR19~20に位置する。実施態様によっては、FHの各部位はC3bタンパク質内の異なる領域に結合する。すなわち、N末端の部位は天然型C3bに結合し、FHの中間領域に位置する第二の部位はC3c断片に結合し、SCR19および20内に位置する部位はC3d領域に結合する。実施態様によっては、FHはヘパリンに対する結合部位をさらに含み、それらはFHのSCR7、SCR5~12、およびSCR20内に位置し、C3b結合部位と重複する。たとえば、実施態様によっては、構造および機能分析から、FHの補体阻害活性に関するドメインが最初の4個のN末端SCRドメインに位置することがわかっている。
【0381】
本明細書に記載のFHまたはその機能性断片は、FHタンパク質のいくつかまたはすべての補体阻害活性を有するFHタンパク質の任意の部分を指し、以下に詳細に説明するとおり、全長FHタンパク質、FHタンパク質の生物学的に活性な断片、SCR1~4を含むFH断片、または天然に存在するFHもしくはその断片の任意の相同体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0382】
様々な実施態様では、FHは配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84に記載のアミノ酸配列を含む全長ヒトFHタンパク質である。アミノ酸1~18はリーダーペプチドに対応し、アミノ酸21~80はSCR1に対応し、アミノ酸85~141はSCR2に対応し、アミノ酸146~205はSCR3に対応し、アミノ酸210~262はSCR4に対応し、アミノ酸267~320はSCR5に対応する。
【0383】
実施態様によっては、FH部分は以下の特性、すなわち(1) C反応性タンパク質(CRP)への結合、(2) C3bへの結合、(3)ヘパリンへの結合、(4)シアル酸への結合、(5)内皮細胞表面への結合、(6)細胞インテグリン受容体への結合、(7)病原体への結合、(8) C3b補助子活性、(9) C3b崩壊促進活性、および(10)代替補体経路の阻害のうちの1つ以上を有する。
【0384】
実施態様によっては、FH部分はFHの最初の4個のN末端SCRドメイン(SCR1~4)を含む。実施態様によっては、この構築物はFHの最初の5個のN末端SCRドメイン(SCR1~5)を含む。実施態様によっては、この構築物はFHの最初の6個のN末端SCRドメイン(SCR1~6)を含む。実施態様によっては、FH部分はFHの少なくとも最初の4個のN末端SCRドメイン(たとえば、FHの少なくとも最初の5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個のいずれか、またはそれ以上のN末端SCRドメイン)を含む(また、実施態様によってはそれらからなる、またはそれらから本質的になる)。
【0385】
実施態様によっては、FHは野生型FHである。実施態様によっては、FHは天然に存在するFHまたはそのバリアントのバリアントである。天然に存在するFHタンパク質またはその断片のバリアントは、天然に存在するFHまたはその断片とは少なくとも1つまたは数個の(ただし1個または数個に限定されない)アミノ酸が欠失している(たとえばペプチドまたは断片など、タンパク質の切断型)、挿入されている、反転されている、置換されている、かつ/または(たとえばグリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミチン酸化(palmitation)、アミド化および/またはグリコシルホスファチジルイノシトールの添加によって)誘導体化されている点で異なるタンパク質を包含する。たとえば、FHバリアントは天然に存在するFHのアミノ酸配列(たとえば配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84)と少なくとも約70%同一な(たとえば、天然に存在するFHのアミノ酸配列(たとえば配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84)と少なくとも約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかの同一性の)アミノ酸配列を有していてもよい。実施態様によっては、FHバリアントまたはその断片は、天然に存在するFHまたはその断片の補体阻害活性をすべて保持している。実施態様によっては、FHバリアントまたはその断片は天然に存在するFHまたはその断片の補体阻害活性の少なくとも約50%、たとえば少なくとも約60%、70%、80%、90%、または95%のいずれかを保持している。実施態様によっては、FHまたはその断片は、ヒトFHの少なくとも最初の5個のN末端SCRドメイン、たとえばヒトFH(たとえば配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84)のうち少なくともアミノ酸21~320を含むアミノ酸配列を有するFH部分を含む。実施態様によっては、FHまたはその断片は、ヒトFH(たとえば配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84)のうちの少なくともアミノ酸21~320と少なくとも約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のいずれかの同一性のアミノ酸配列を有する、ヒトFHの少なくとも最初の5個のN末端SCRドメインを含む。
選別検定
【0386】
本発明は様々な選別検定、たとえば候補抗C5抗体(たとえば抗C5抗体、抗C5融合タンパク質抗体など)が補体活性を阻害することができるかの決定などに用途を有する。
【0387】
実施態様によっては、候補抗C5抗体が存在する場合の補体活性の度合いを陽性比較対照で検出される補体活性と比較する。陽性比較対照は、加えられた試験化合物が存在しない場合の補体活性を含む。実施態様によっては、候補抗C5抗体が存在する場合の補体活性が陽性比較対照で検出される補体活性の約70%未満である場合、候補抗C5抗体を補体の阻害物質と特定する(これは試験化合物が存在する場合の補体活性の約30%を超える阻害に相当する)。他の実施態様では、候補抗C5抗体が存在する場合の補体活性が陽性比較対照で検出される補体活性の約80%未満である場合、候補抗C5抗体を補体の阻害物質と特定する(これは試験化合物が存在する場合の補体活性の約20%を超える阻害に相当する)。さらに他の実施態様では、候補抗C5抗体が存在する場合の補体活性が陽性比較対照で検出される補体活性の約90%未満である場合、候補抗C5抗体を補体の阻害物質と特定する(これは試験化合物が存在する場合の補体活性の約10%を超える阻害に相当する)。実施態様によっては、抗C5抗体による補体阻害の度合いを陰性比較対照で検出される阻害の度合いと比較する。
【0388】
様々な免疫検定形式、たとえば競合および非競合免疫検定形式、抗原捕捉検定、二抗体サンドイッチ検定、ならびに三抗体サンドイッチ検定が本発明の有用な方法である(Self et al., 1996, Curr. Opin. Biotechnol. 7:60-65)。本発明は、検定が補体の阻害を検出することができるという条件で、公知または従来未知である検定のいずれか1つの種類には限定されないものとする。
【0389】
酵素結合免疫吸着検定(ELISA)は本発明の方法に有用である。酵素、たとえば(ただしこれらに限定されない)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはウレアーゼを、たとえば本発明の方法で使用する抗C5抗体または二次抗体に結合することができる。セイヨウワサビペルオキシダーゼ検出系をたとえば発色基質テトラメチルベンジジン(TMB)と共に用いてもよい。TMBは、過酸化水素が存在する場合、450 nmで検出可能な可溶性生成物を生じる。他の好都合な酵素結合系としては、たとえばアルカリホスファターゼ検出系であり、これを405 nmで容易に検出可能な可溶性生成物を生じる発色基質p-ニトロフェニルリン酸と共に用いてもよい。同様に、βガラクトシダーゼ検出系を410 nmで検出可能な可溶性生成物を生じる発色基質o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)と共に用いてもよい。あるいは、ウレアーゼ検出系を尿素-ブロモクレゾールパープル(Sigma Immunochemicals、ミズーリ州、セントルイス)などの基質と共に用いてもよい。有用な酵素結合一次抗体および二次抗体を多数ある商業的供給源から入手することができる。
【0390】
化学発光検出も終末補体経路の阻害を検出するのに有用である。化学発光性二次抗体を多数ある商業的供給源から入手してもよい。
【0391】
蛍光検出も終末補体の阻害を検出するのに有用である。有用な蛍光色素としては、ジアミジノフェニルインドール(DAPI)、フルオレセイン、ヘキスト33258、R-フィコシアニン、B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン、ローダミン、テキサスレッド、およびリサミン、フルオレセインまたはローダミン標識抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0392】
放射免疫検定(RIA)も本発明の方法に有用である。このような検定は当技術分野で周知であり、たとえばBrophy et al. (1990, Biochem. Biophys. Res. Comm. 167:898-903)およびGuechot et al. (1996, Clin. Chem. 42:558-563)に記載されている。たとえばヨウ素125標識一次または二次抗体を用いて放射免疫検定を行う(Harlow et al., supra, 1999)。
【0393】
検出可能な抗体から発せられたシグナルを、たとえば発色基質から色を検出する分光光度計、放射線を検出する放射線計測器(たとえばヨウ素125を検出するガンマ計測器)、または特定の波長の光の存在下で蛍光を検出する蛍光光度計を用いて分析する。酵素結合検定を用いる場合、分光光度計を用いて定量分析を行う。なお、本発明の検定を手動で実施することも必要に応じて自動化することもでき、また、複数の試料から発せられたシグナルを市販の多くのシステムで同時に検出してもよい。
【0394】
本発明の方法は、キャピラリー電気泳動に基づく免疫検定(CEIA)(必要に応じて自動化されていてもよい)の使用も包含する。たとえばSchmalzing et al. (1997, Electrophoresis 18:2184-2193)およびBao (1997, J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. 699:463-480)に記載されているように、免疫検定をレーザー誘起蛍光法と併用してもよい。リポソーム免疫検定、たとえばフローインジェクションリポソーム免疫検定およびリポソーム免疫センサーなども本発明の方法に従って用いてもよい(Rongen et al., 1997, J. Immunol. Methods 204:105-133)。
【0395】
定量的ウェスタンブロット法を用いて本発明の方法の終末補体阻害の度合いを決定してもよい。走査濃度測定などの周知の方法を用いてウェスタンブロットを定量化する(Parra et al., 1998, J. Vasc. Surg. 28:669-675)。
投与方法
【0396】
本発明の方法は治療有効量の少なくとも1種の抗C5抗体(たとえば抗C5抗体、抗C5融合タンパク質抗体など)またはその結合断片(たとえば本明細書で他の箇所に記載の抗体またはその断片のうちのいずれか)を、補体関連疾患または障害を有すると確認された個体に投与することを含む。一実施態様では、個体は補体系を有する哺乳動物である。一実施態様では、個体はヒトである。様々な実施態様では、少なくとも1種の抗C5 抗体またはその結合断片を局所、領域、または全身投与する。
【0397】
様々な実施態様では、疾患または障害は、MD、AMD、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、喘息、アレルギー性喘息、COPD、PNH症候群、重症筋無力症、NMO、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、aHUS、CRVO、CRAO、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症(心肺バイパス手術および腎臓透析に関連する炎症が挙げられるがこれらに限定されない)、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎(ANCA関連糸球体腎炎、ループス腎炎、およびそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)、ANCA関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、および抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、またはそれらの任意の組合せからなる群より少なくとも選択される。実施態様によっては、補体関連疾患はC3糸球体症である。実施態様によっては、補体関連疾患は黄斑変性、たとえば加齢黄斑変性である。一実施態様では、抗C5抗体融合タンパク質の投与はC3aまたはC3bタンパク質の生成を阻害する。一実施態様では、抗C5抗体融合タンパク質の投与はC5aまたはC5bタンパク質の生成を阻害する。実施態様によっては、本発明の組成物および方法は対象、たとえばエクリズマブによる治療に反応しない、PNHを有する対象の治療に有用である。非限定的な例として、対象によってはC5のα鎖にエクリズマブ治療に抵抗性にする可能性がある変異を有していてもよい(Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. Nishimura J, et al., N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9を参照のこと)。
【0398】
本発明の方法は少なくとも1種の抗C5抗体融合タンパク質またはその結合断片の投与を含み得るが、本発明はいかなる形でも本明細書に記載の抗C5抗体融合タンパク質に限定されず、補体活性化を減少させ低減する既知および未知の任意の抗C5抗体融合タンパク質を包含するものとする。
【0399】
本発明の方法は治療有効量の少なくとも1種の抗C5抗体融合タンパク質またはその結合断片を個体に投与することを含み、本発明の組成物は少なくとも1種の抗C5抗体融合タンパク質またはその結合断片を単独または少なくとも1種の他の治療剤と共に含む。本発明を他の治療様式、たとえば抗炎症治療などと併用することができる。本発明の方法と併用することができる抗炎症治療の例としては、たとえばステロイド系薬物を採用する治療および非ステロイド系薬物を採用する治療が挙げられる。
【0400】
本発明の方法は治療有効量の抗C5抗体融合タンパク質またはその抗原結合断片を対象に投与することを含む。実施態様によっては、本発明は、治療有効量の本発明の抗体融合タンパク質または治療有効量のその抗体断片を投与することにより対象の体内のC3a、C3b、C5a、もしくはC5b、またはMAC形成の低減を引き起こす、補体シグナル伝達の調節不全を含む補体関連疾患の治療方法を包含する。実施態様によっては、本発明は、治療有効量の抗体融合タンパク質または抗体断片を投与することによる、補体シグナル伝達の調節不全を含む補体関連疾患の治療方法を包含する。実施態様によっては、本発明は、有効量の抗体融合タンパク質、抗体断片、ポリペプチド、ペプチド、結合ペプチドを対象に投与することにより対象の体内の補体活性化経路の活性化が低減する、補体シグナル伝達の調節不全を含む補体関連疾患の治療方法を包含する。実施態様によっては、この治療方法は、全身有効量の抗体融合タンパク質または抗体断片を対象に投与することにより対象の体内で全身のC3a、C3b、C5a、もしくはC5b、またはMAC形成の低減を引き起こすことを包含する。
【0401】
本発明を実施するのに有用な医薬組成物を、対象の体重に対して少なくとも約1 ng/kg、少なくとも約5 ng/kg、少なくとも約10 ng/kg、少なくとも約25 ng/kg、少なくとも約50 ng/kg、少なくとも約100 ng/kg、少なくとも約500 ng/kg、少なくとも約1 μg/kg、少なくとも約5 μg/kg、少なくとも約10 μg/kg、少なくとも約25 μg/kg、少なくとも約50 μg/kg、少なくとも約100 μg/kg、少なくとも約500 μg/kg、少なくとも約1 mg/kg、少なくとも約5 mg/kg、少なくとも約10 mg/kg、少なくとも約25 mg/kg、少なくとも約50 mg/kg、少なくとも約100 mg/kg、少なくとも約200 mg/kg、少なくとも約300 mg/kg、少なくとも約400 mg/kg、および少なくとも約500 mg/kgの用量が送達されるように投与してもよい。一実施態様では、本発明は、個体の体内の本発明の抗C5抗体融合タンパク質の濃度を少なくとも1 pM、少なくとも約10 pM、少なくとも約100 pM、少なくとも約1 nM、少なくとも約10 nM、少なくとも約100nM、少なくとも約1 M、少なくとも約2 M、少なくとも約3 M、少なくとも約4 M、少なくとも約5 M、少なくとも約6 M、少なくとも約7 M、少なくとも約8 M、少なくとも約9 M、および少なくとも約10 Mにする用量を投与する。別の実施態様では、本発明は、本発明の抗C5抗体融合タンパク質の濃度を個体の血漿中少なくとも約1 pM、少なくとも約10 pM、少なくとも約100 pM、少なくとも約1 nM、少なくとも約10 nM、少なくとも約100nM、少なくとも約1 M、少なくとも約2 M、少なくとも約3 M、少なくとも約4 M、少なくとも約5 M、少なくとも約6 M、少なくとも約7 M、少なくとも約8 M、少なくとも約9 M、および少なくとも約10 Mの間にする用量の投与を想定している。
【0402】
実施態様によっては、本発明を実施するのに有用な医薬組成物を、対象の体重に対して約1 ng/kg以下、約5 ng/kg以下、約10 ng/kg以下、約25 ng/kg以下、約50 ng/kg以下、約100 ng/kg以下、約500 ng/kg以下、約1 μg/kg以下、約5 μg/kg以下、約10 μg/kg以下、約25 μg/kg以下、約50 μg/kg以下、約100 μg/kg以下、約500 μg/kg以下、約1 mg/kg以下、約5 mg/kg以下、約10 mg/kg以下、約25 mg/kg以下、約50 mg/kg以下、約100 mg/kg以下、約200 mg/kg以下、約300 mg/kg以下、約400 mg/kg以下、および約500 mg/kg以下の用量が送達されるように投与してもよい。一実施態様では、本発明は、個体の体内の本発明の抗C5抗体融合タンパク質の濃度を約1 pM以下、約10 pM以下、約100 pM以下、約1 nM以下、約10 nM以下、約100nM以下、約1 M以下、約2 M以下、約3 M以下、約4 M以下、約5 M以下、約6 M以下、約7 M以下、約8 M以下、約9 M、および約10 M以下にする用量を投与する。別の実施態様では、本発明は、本発明の抗C5抗体融合タンパク質の濃度を個体の血漿中約1 pM以下、約10 pM以下、約100 pM以下、約1 nM以下、約10 nM以下、約100nM以下、約1 M以下、約2 M以下、約3 M以下、約4 M以下、約5 M以下、約6 M以下、約7 M以下、約8 M以下、約9 M以下、および約10 M以下の間にする用量の投与を想定している。本明細書に開示の用量のうちのいずれかの間の投与量範囲も考慮される。
【0403】
典型的には、本発明の方法で対象(実施態様によってはヒト)に投与してもよい投与量は、対象の体重1キログラムあたり0.5 μg~約50 mgの量の範囲である。投与する厳密な投与量は複数の要因(対象の種類および治療する病状の種類、対象の年齢、ならびに投与経路が挙げられるが、これらに限定されない)に依存して変動する。実施態様によっては、化合物の投与量は、対象の体重1キログラムあたり約1 μg~約10 mgで変動する。他の実施態様では、投与量は対象の体重1キログラムあたり約3 μg~約1 mgで変動する。
【0404】
抗体融合タンパク質を一日に数回の頻度で対象に投与してもよいし、それよりも低い頻度、たとえば一日に1回、一日に2回、一日に3回、週に1回、週に2回、週に3回、2週間に1回、2週間に2回、2週間に3回、月に1回、月に2回、月に3回、またはそれよりも低い頻度、たとえば数か月に1回、さらに年に1回もしくは数回、またはそれよりも低い頻度で投与してもよい。投与の頻度は当業者には自明であり、複数の要因(治療する疾患の種類および重症度、対象の種類および年齢などであるが、これらに限定されない)に依存する。薬理学の技術分野で公知のまたはこれから開発される任意の方法で医薬組成物の製剤を調製してもよい。一般に、このような調製方法は、活性成分を担体または1種以上の他の副成分と組み合わせ、次いで必要または所望であれば生成物を所望の一回または複数回の投与単位に成形または包装する工程を含む。
【0405】
本明細書で提供する医薬組成物の説明は主にヒトへの倫理的な投与に適した医薬組成物に関するが、当業者には当然ながら、このような組成物は一般にあらゆる種類の対象への投与に適している。組成物を様々な対象への投与に適合させるためにヒトへの投与に適した医薬組成物を改良することはよく知られており、通常の技術を有する獣医薬理学者は、行うとしても通常の実験だけでこのような改良を設計・実施することができる。本発明の医薬組成物の投与が意図される個体としては、ヒトおよび他の霊長類、商業に関連する哺乳動物を含む哺乳動物(ヒト以外の霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、およびイヌなど)挙げられるが、これらに限定されない。
【0406】
本発明の方法に有用な医薬組成物を眼、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻腔内、頬側、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、および静脈内の投与経路に適した製剤で調製、包装、または販売してもよい。意図される他の製剤としては、発射型(projected)ナノ粒子、リポソーム製剤、活性成分を含む再封赤血球、および免疫学に基づく製剤が挙げられる。
【0407】
本発明の医薬組成物を大容量で、一回単位用量で、または複数の一回単位用量で調製、包装、または販売してもよい。単位用量は所定量の活性成分を含む医薬組成物の個別の量である。活性成分の量は一般に、個体に投与する活性成分の投与量に等しいか、そのような投与量の好都合な小部分、たとえばそのような投与量の2分の1または3分の1である。
【0408】
本発明の医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容される担体、および任意のさらなる成分の相対量は、治療する個体の身元、大きさ、および状態、さらには組成物を投与する経路に依存して変動する。例として、組成物は0.1%~100% (w/w)の活性成分を含んでいてもよい。様々な実施態様では、組成物は少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100% (w/w)の活性成分を含む。
【0409】
活性成分に加え、本発明の医薬組成物は1種以上のさらなる医薬活性成分をさらに含んでいてもよい。
【0410】
従来の技術を用いて本発明の医薬組成物の放出制御または徐放性製剤を作製してもよい。
【0411】
医薬組成物の非経口投与は、個体の組織の物理的破損およびその組織の破損を介する医薬組成物の投与を特徴とする任意の投与経路を含む。非経口投与は局所的であっても、領域的であっても、全身的であってもよい。したがって、非経口投与としては、組成物の注射、外科的切開を介する組成物の投与、組織貫通性の非外科的創傷を介する組成物の投与などによる医薬組成物の投与が挙げられるがこれらに限定されない。特に、非経口投与は静脈内、眼内、硝子体内、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、胸骨内、および腫瘍内注射を含むことが意図されるが、これらに限定されない。
【0412】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、医薬的に許容される担体、たとえば滅菌水または滅菌等張生理食塩水と組み合わせられた活性成分を含む。このような製剤を急速投与または継続投与に適した形態で調製、包装、または販売してもよい。注射用製剤をアンプルなどの単位投与量、または保存剤を含む複数回投与分の容器で調製、包装、または販売してもよい。非経口投与用の製剤としては、懸濁剤、溶液剤、油性または水性溶媒中の乳剤、糊状剤、および埋込型の徐放性または生分解性製剤が挙げられるがこれらに限定されない。このような製剤は、1つ以上のさらなる成分(懸濁化剤、安定化剤、または分散剤が挙げられるがこれらに限定されない)をさらに含んでいてもよい。非経口投与用の製剤の一実施態様では、好適な溶媒(たとえば発熱物質を含まない滅菌水)で再構成した後に再構成済み組成物を非経口投与するために、活性成分を乾燥(すなわち粉末または顆粒)形態で提供する。
【0413】
医薬組成物を水性または油性の無菌注射懸濁剤または溶液剤の形態で調製、包装、または販売してもよい。この懸濁剤または溶液剤は公知の技術で製剤されてもよく、活性成分に加えてさらなる成分、たとえば分散剤、湿潤剤、または懸濁化剤を含んでいてもよい。非経口で許容される無毒の希釈剤または溶媒、たとえば水または1,3-ブタンジオールなどを用いてこのような無菌注射製剤を調製してもよい。許容される他の希釈剤および溶媒としては、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、および不揮発性油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドなど)が挙げられるが、これらに限定されない。非経口投与することができる他の有用な製剤としては、活性成分を微結晶形態で含むもの、リポソーム製剤中に含むもの、または生分解性高分子系の成分として含むものが挙げられる。徐放性または埋込型の組成物は、医薬的に許容される高分子または疎水性物質、たとえば乳剤、イオン交換樹脂、難溶性の高分子、または難溶性の塩などを含んでいてもよい。
【0414】
本発明の医薬組成物を、口腔を通じた肺内投与に適した製剤として調製、包装、または販売してもよい。このような製剤は、活性成分を含みかつ約0.5~約7ナノメートル、実施態様によっては約1~約6ナノメートルの範囲の直径を有する乾燥粒子を含んでいてもよい。好都合には、このような組成物は、乾燥粉末容器を含む器具(そこに推進剤の流れを誘導して粉末を分散させてもよい)を用いて、または自己推進型溶媒/粉末分配容器(たとえば、密閉容器内に低沸点の推進剤に溶解または懸濁された活性成分を含む器具)を用いて投与される乾燥粉末の形態である。実施態様によっては、このような粉末は、粒子のうち重量で少なくとも98%が0.5ナノメートルを超える直径を有し、粒子のうち粒子数で少なくとも95%が7ナノメートル未満の直径を有する、粒子を含む。実施態様によっては、粒子のうち重量で少なくとも95%は1ナノメートルを超える直径を有し、粒子のうち粒子数で少なくとも90%は6ナノメートル未満の直径を有する。実施態様によっては、乾燥粉末組成物は糖などの固体微粉末希釈剤を含み、好都合には単位用量形態で提供される。
【0415】
低沸点の推進剤は一般に、大気圧で65°F未満の沸点を有する液体推進剤を包含する。一般に、推進剤は組成物の50~99.9%(w/w)を占めていてもよく、活性成分は、組成物の0.1~20%(w/w)を占めていてもよい。推進剤はさらなる成分、たとえば液体非イオン性界面活性剤もしくは固体陰イオン性界面活性剤または固体希釈剤(実施態様によっては活性成分を含む粒子と同一オーダーの粒径を有する)をさらに含んでいてもよい。
【0416】
肺送達用に製剤された本発明の医薬組成物はまた、溶液剤または懸濁剤の液滴の形態で活性成分を提供してもよい。このような製剤を、活性成分を含む任意には無菌である水性または希アルコール性の溶液剤または懸濁剤として調製、包装、または販売してもよく、好都合には噴霧または微粒子化装置を用いて投与してもよい。このような製剤は1つ以上のさらなる成分をさらに含んでいてもよく、そのような成分としては、香味剤(サッカリンナトリウムなど)、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、または保存剤(ヒドロキシ安息香酸メチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。実施態様によっては、この投与経路で提供される液滴は約0.1~約200ナノメートルの範囲の平均直径を有する。
【0417】
製剤は本発明の医薬組成物の鼻腔内送達にも有用である。
【0418】
鼻腔内投与に適した別の製剤は、活性成分を含みかつ平均約0.2~500マイクロメートルの粒子を有する粗粉末である。このような製剤を、嗅ぎ薬を吸う方法で(すなわち鼻孔付近に保持した粉末の容器から鼻腔を通じて素早く吸入することにより)投与する。
【0419】
鼻腔内投与に適した製剤は、たとえば最小で約0.1%(w/w)、最大で100%(w/w)の活性成分を含んでいてもよく、1つ以上のさらなる成分をさらに含んでいてもよい。
【0420】
本発明の医薬組成物を頬側投与に適した製剤で調製、包装、または販売してもよい。このような製剤は、たとえば従来の方法で製造された錠剤またはトローチ剤の形態であってもよく、たとえば0.1~20%(w/w)の活性成分を含み、残部は口腔で溶解または分解可能な組成物、および任意に1つ以上のさらなる成分を含んでいてもよい。あるいは、頬側投与に適した製剤は活性成分を含む粉末またはエアロゾル化もしくは微粒子化した溶液もしくは懸濁液を含んでいてもよい。実施態様によっては、このような粉末化、エアロゾル化、またはエアロゾル化した製剤は、分散すると約0.1~約200ナノメートルの範囲の平均粒径または液滴径を有し、1つ以上のさらなる成分をさらに含んでいてもよい。
【0421】
本明細書で用いる場合、「さらなる成分」としては、以下:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活希釈剤;造粒剤および崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;香味剤;着色剤;保存剤;生理学的に分解される組成物(ゼラチンなど);水性ベヒクル及び溶媒;油性ベヒクル及び溶媒;懸濁化剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生剤;抗真菌剤;安定化剤;ならびに医薬的に許容される高分子または疎水性物質のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物に含まれていてもよい他の「さらなる成分」は当技術分野で公知であり、たとえばRemington's Pharmaceutical Sciences (1985, Genaro, ed., Mack Publishing Co.,、ペンシルベニア州イーストン)に記載されている。同文献は参照により本明細書に組み込まれる。
抗体、融合タンパク質、またはそれらの抗原結合断片を産生する細胞
【0422】
実施態様によっては、本発明は本明細書に記載の抗C5抗体(たとえば抗C5抗体、抗C5融合タンパク質抗体など)またはその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを産生する細胞または細胞株(宿主細胞など)である。一実施態様では、この細胞または細胞株は、本明細書に記載の抗C5抗体または抗原結合断片のうちの少なくとも1つを産生する遺伝子組換え細胞である。一実施態様では、この細胞または細胞株は、本明細書に記載の抗C5抗体または抗原結合断片のうちの少なくとも1つを産生するハイブリドーマである。
【0423】
一般に、Bリンパ球について非常に濃縮されたマウス脾細胞と骨髄腫「融合パートナー細胞」との大量融合物から雑種細胞(ハイブリドーマ)を作製する(Alberts et al., Molecular Biology of the Cell (Garland Publishing, Inc. 1994); Harlow et al., Antibodies. A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, 1988))。続いて融合物中の細胞をプールに分配し、このプールを所望の特異性を持つ抗体の産生について分析することができる。試験で陽性となったプールを、所望の特異性の抗体を産生する単一の細胞クローンが特定されるまでさらに細分化することができる。そのようなクローンによって産生される抗体をモノクローナル抗体という。
【0424】
本明細書に開示の抗体または抗体断片のうちのいずれかをコードする核酸、さらにはその核酸を含むベクターも提供される。したがって、細胞または細胞株(組換えまたはヒト化免疫グロブリンの発現に典型的に用いられる細胞株など)内で核酸を発現させることにより本発明の抗体および断片を生成することができる。したがって、核酸を1つ以上の発現ベクターにクローン化し、そのベクターで細胞株(組換えまたはヒト化免疫グロブリンの発現に典型的に用いられる細胞株など)を形質転換することによっても本発明の抗体および断片を生成することができる。
【0425】
免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする遺伝子またはその断片を当技術分野で公知の方法に従い改変することができ、その方法としてはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられるが、これらに限定されない(たとえば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor, N.Y., 1989; Berger & Kimmel, Methods in Enzymology, Vol. 152: Guide to Molecular Cloning Techniques, Academic Press, Inc., San Diego, Calif., 1987; Co et al., 1992, J. Immunol. 148:1149を参照のこと)。たとえば、重鎖および軽鎖をコードする遺伝子またはその断片を抗体分泌細胞のゲノムDNAからクローン化することができ、あるいは、その細胞のRNAの逆転写によりcDNAを作製する。クローン化は、クローン化の対象である遺伝子または遺伝子分節に近接または重複する配列にハイブリダイズするPCRプライマーの使用を含む従来技術により達成される。
【0426】
特異的免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらの断片もしくはバリアントを様々な宿主細胞またはインビトロ翻訳系で産生するための組換え核酸技術に従い、本発明の抗体またはその重鎖もしくは軽鎖をコードする核酸またはその断片を入手・使用することができる。たとえば、抗体をコードする核酸またはその断片を、核酸が(たとえばベクター内で)1つ以上の発現制御配列に作動可能に連結されるか宿主細胞ゲノムに組み込まれるように、好適な原核生物または真核生物ベクター(たとえば発現ベクター)に配置し、適切な方法(たとえば形質転換、遺伝子導入、電気穿孔、感染)で好適な宿主細胞に導入することができる。
【0427】
実施態様によっては、レシピエント細胞に同時遺伝子導入するのに用いることができる2つの異なる発現ベクターで重鎖および軽鎖またはそれらの断片を構築することができる。実施態様によっては、各ベクターは2つ以上の選択遺伝子(1つは細菌系での選択のため、1つは真核生物系での選択のため)を含むことができる。これらのベクターは細菌系での遺伝子の生成および増幅、ならびにその後の真核細胞への同時遺伝子導入および同時遺伝子導入細胞の選択を可能にする。選択手順を用いて、2つの異なるDNAベクターに導入された抗体核酸の真核細胞への発現について選択することができる。
【0428】
あるいは、重鎖および軽鎖をコードする核酸またはその断片を1つのベクターから発現させてもよい。軽鎖および重鎖は別々の遺伝子によりコードされるが、組換え方法を用いてそれらを連結することができる。たとえば、2つのポリペプチドを、VLとVH領域が対になって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖(scFvとして知られる;たとえばBird et al., 1988, Science 242: 423-426およびHuston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照のこと)として形成されるのを可能にする合成リンカーで連結することができる。
【0429】
本発明は重鎖および/または軽鎖をコードする核酸配列を含む単離核酸分子、さらにはその断片を提供する。軽鎖と重鎖の両方のコード配列を含む核酸分子またはその断片を、細胞内で生成されると抗体または断片の分泌に関する合成シグナル配列を含むように改変することができる。さらに、核酸分子は、他の抗体配列の挿入を可能にし、かつ抗体配列に通常見られるアミノ酸を変化させないよう翻訳読み枠を維持する、特異的なDNA連結を含むことができる。
【0430】
本発明によれば、抗体コード核酸配列を適切な発現ベクターに挿入することができる。様々な実施態様では、発現ベクターは、抗体またはその断片を形成すべく抗体配列の発現を誘導する組換えDNA分子を生成するために、その挿入された抗体コード核酸を転写・翻訳するのに必要な配列を含む。
【0431】
抗体をコードする核酸またはその断片を当業者に公知の様々な組換え核酸技術、たとえば部位特異的変異誘発に供することができる。
【0432】
核酸を細胞内で発現するには様々な方法を用いることができる。核酸を複数の種類のベクターにクローン化することができる。しかし、本発明はいかなる特定のベクターにも限定されないものとする。むしろ、本発明は当技術分野で容易に利用可能かつ/または公知である多様なベクターを包含するものとする。たとえば、本発明の核酸をベクター(プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、およびコスミドが挙げられるがこれらに限定されない)にクローン化することができる。特に興味深いベクターとしては発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、および配列決定ベクターが挙げられる。
【0433】
特定の実施態様では、発現ベクターはウイルスベクター、細菌ベクター、および哺乳動物細胞ベクターからなる群より選択される。上記の組成物の少なくとも一部またはすべてを含む多数の発現ベクター系が存在する。ポリヌクレオチドまたはその同族ポリペプチドを作製するべく本発明で用いるのには原核生物および/または真核細胞ベクターに基づく系を採用することができる。多くのこのような系は広く市販されている。
【0434】
ウイルスベクター技術は当技術分野で周知であり、たとえばSambrook et al. (2012)およびAusubel et al. (1999)や他のウイルス学および分子生物学の入門書に記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしてはレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。実施態様によっては、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)ベクターを用いて所望の核酸を発現させる。MSCVベクターは所望の核酸を効率的に 細胞内で発現することが実証されている。しかし、本発明はMSCVベクターの使用のみに限定されるべきではなく、任意のレトロウイルス発現方法が本発明に包含される。ウイルスベクターの他の例はモロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)に基づくものである。実施態様によっては、好適なベクターは、少なくとも1つの生物で機能する複製起点、また、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択マーカーを含む(たとえば、国際特許公開第01/96584号;国際特許公開第01/29058号;および米国特許第6,326,193号を参照のこと)。
【0435】
さらなる制御配列(たとえばエンハンサー)を用いて転写開始の頻度を調節することができる。プロモーターは、コード区画および/またはエキソンの上流に位置する5'非コード配列を単離することによって得られるような、天然に遺伝子または核酸配列に付随しているものでもよい。このようなプロモーターを「内在性」ということができる。同様に、エンハンサーは、天然に核酸配列に付随しその配列の下流または上流に位置しているものでもよい。あるいは、コード核酸区画を組換えまたは異種プロモーター(自然な環境では通常は核酸配列に付随しないプロモーターを指す)の制御下に配置することにより特定の利点が得られる。組換えまたは異種エンハンサーも、自然な環境では通常は核酸配列に付随しないエンハンサーを指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、ならびに他の任意の原核生物、ウイルス、もしくは真核生物細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在」しない(たとえば異なる転写制御領域の異なる配列および/または発現を変化させる変異を含む)プロモーターまたはエンハンサーを包含し得る。本明細書に開示する組成物に関して、プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列の合成的作製に加えて、組換えクローン化および/または核酸増幅技術(PCRを含む)を用いて配列を作製してもよい(米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号)。さらに、非核細胞小器官、たとえばミトコンドリア、葉緑体などの配列の転写および/または発現を誘導する制御配列も採用することができると想定される。
【0436】
当然ながら、発現させるべく選択された細胞型、細胞小器官、および生物でDNA区画の発現を効果的に誘導するプロモーターおよび/またはエンハンサーを採用することが重要である。分子生物学分野の当業者は一般に、プロモーター、エンハンサー、および細胞型の組合せをどのようにタンパク質発現に使用するかを知っている(たとえば、Sambrook et al. (2012)を参照のこと)。採用されるプロモーターは、構成的、組織特異的、誘導性、かつ/または導入されたDNA区画の高度な発現を誘導するのに適した条件で有用(たとえば、組換えタンパク質およびその断片の大規模な生産に有利)であり得る。
【0437】
プロモーターの例はサイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動的に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高度な発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。しかし、他の構成的プロモーター配列、たとえば、以下に限定しないが、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳がんウイルス(MMTV)、HIV長鎖末端反復配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、さらにはヒト遺伝子プロモーター(以下に限定しないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、および筋クレアチンプロモーターなど)を用いてもよい。さらに、本発明は構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として意図される。本発明で誘導性プロモーターの使用は、それが作動的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をその発現を所望する場合には活性化、所望しない場合には不活性化することができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、メタロチオネインプロモーター、糖質コルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、所望の組織または細胞でのみ活性なプロモーターである組織特異的プロモーターまたは細胞型特異的プロモーターの使用も包含する。組織特異的プロモーターは当技術分野で周知であり、ヒト上皮成長因子受容体2 (HER-2)プロモーターおよび前立腺特異抗原(PSA)関連プロモーター配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0438】
核酸の発現を評価するため、細胞に導入する発現ベクターは選択マーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子またはその両方も含むことにより、ウイルスベクターによる遺伝子導入または感染の対象である細胞集団から発現細胞を特定・選択しやすくすることができる。他の実施態様では、選択マーカーは別の核酸に保有され同時遺伝子導入手順で使用されてもよい。選択マーカーおよびレポーター遺伝子のいずれにも、宿主細胞での発現を可能にする適切な制御配列を隣接させてもよい。有用な選択マーカーは当技術分野で公知であり、たとえば抗生物質耐性遺伝子、たとえばneoなどが挙げられる。
【0439】
潜在的な遺伝子導入細胞を特定し制御配列の機能性を評価するためにレポーター遺伝子を用いる。容易に検定可能なタンパク質をコードするレポーター遺伝子は当技術分野で周知である。一般に、レポーター遺伝子はレシピエント生物または組織では存在しないか発現されない遺伝子で、かつ何らかの容易に検出可能な性質(たとえば酵素活性)により発現が明示されるタンパク質をコードする遺伝子である。DNAをレシピエント細胞に導入した後の適切な時期にレポーター遺伝子の発現を検定する。
【0440】
好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる(たとえばUi-Tei et al., 2000 FEBS Lett. 479:79-82を参照のこと)。好適な発現系は周知であり、これを周知技術で調製してもよいし、商業的に入手してもよい。一般に、レポーター遺伝子の最高度の発現を示す最小の5'隣接領域を含む構築物をプロモーターと特定する。このようなプロモーター領域をレポーター遺伝子に連結し、プロモーターに駆動された転写を調節する能力について物質を評価するために用いてもよい。
【0441】
核酸を細胞に導入し発現させる方法は当技術分野で公知である。発現ベクターとの関連では、当技術分野の任意の方法でベクターを宿主細胞(たとえば哺乳動物、細菌、酵母、または昆虫の細胞)に容易に導入することができる。たとえば、物理的、化学的、または生物学的手段で宿主細胞に発現ベクターを導入することができる。
【0442】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、微量注入、電気穿孔、レーザー穿孔などが挙げられる。ベクターおよび/または外来核酸を含む細胞を作製する方法は当技術分野で周知である。たとえば、Sambrook et al. (2012)およびAusubel et al. (1999)を参照のこと。
【0443】
目的の核酸を宿主細胞に導入する生物学的方法としてはDNAおよびRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物(たとえばヒト)の細胞に挿入するのに最も広く使用される方法になっている。他のウイルスベクターをレンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスなどから誘導してもよい。たとえば米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照のこと。
【0444】
核酸を宿主細胞に導入する化学的手段としては、コロイド分散系(巨大分子複合体、ナノカプセル、微小球、ビーズなど)および脂質系(水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームなど)が挙げられる。インビトロまたはインビボで送達媒体として用いるのに好ましいコロイド系はリポソーム(たとえば人工膜小胞)である。このような系の調製および使用は当技術分野で周知である。
【0445】
外来核酸を宿主細胞に導入するか他の形で細胞を本発明の核酸に触れさせるのに用いる方法とは関係なく、宿主細胞内の組換えDNA配列の存在を確認するために多様な検定を実施してもよい。このような検定としては、たとえば、当業者に周知の「分子生物学的」検定(サザンブロットおよびノーザンブロット、逆転写PCR(RT-PCR)およびPCRなど);ならびに「生化学的」検定(たとえば免疫学的手段(ELISAおよびウェスタンブロット)による、または本発明の範囲内の物質を確認するための本明細書に記載の検定による、特定のペプチドが存在するかしないかの検出など)が挙げられる。
ヒトC5を発現するヒト以外の動物
【0446】
本発明はヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物も包含する。実施態様によっては、このヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物はヒト以外の動物のC5も発現する。実施態様によっては、このヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物はヒト以外の動物のC5を発現しない。一実施態様では、本発明はヒト以外の動物の内在性調節配列からヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物であるが、ヒト以外の動物のC5を発現しない。実施態様によっては、このヒト以外の動物は哺乳類である。実施態様によっては、このヒト以外の動物はげっ歯類である。実施態様によっては、このヒト以外の動物はラットまたはマウスである。実施態様によっては、マウスは免疫不全マウスである。実施態様によっては、マウスはNOD/SCIDマウスである。実施態様によっては、マウスはFcRn/SCIDマウスである。
【0447】
ヒト以外の遺伝子改変動物を作製するために、ヒトC5タンパク質をコードする核酸を宿主細胞でのヒトC5タンパク質の発現に適した形態で組換え発現ベクターに組み込むことができる。「宿主細胞での融合タンパク質の発現に適した形態」という用語は、組換え発現ベクターがヒトC5タンパク質をコードする核酸に作動的に(ヒト以外の動物ゲノムへの組込みを可能にし安定かつ永久的な核酸からmRNAへの転写およびmRNAからヒトC5タンパク質への翻訳を引き起こす様式で)連結された1つ以上の制御配列を含んでいることを意図する。「制御配列」という用語は当技術分野で認識されており、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御配列(たとえばポリアデニル化シグナル、PiggyBac、およびSleeping Beautyトランスポゾン配列)を包含するよう意図される。このような制御配列は当業者には公知であり、以下の文献に記載されている:1990, Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CalifおよびNakanishi H, Higuchi Y, Kawakami S, Yamashita F, Hashida M. Mol Ther. 2010 Apr;18(4):707-14. doi: 10.1038/mt.2009.302. Epub 2010 Jan 26.; Hudecek M, Ivics Z. Curr Opin Genet Dev. 2018 Jun 22;52:100-108. doi: 10.1016/j.gde.2018.06.003. [Epub ahead of print] Review。なお、発現ベクターの設計は、遺伝子導入対象である宿主細胞および動物の選択ならびに/または発現するヒトC5タンパク質の量などの要因に依存してもよい。
【0448】
たとえば、ヒトC5タンパク質をコードする核酸(典型的には適切な制御配列、たとえば構成的または組織特異的エンハンサーと連結されている)を(たとえば微量注入で)卵母細胞に導入してその卵母細胞を雌の初代マウスで発生させることにより、ヒト以外の遺伝子改変動物を作製することができる。ヒトC5タンパク質をコードする核酸(典型的には適切な制御配列、たとえば構成的もしくは組織特異的エンハンサー、ならびに/またはPiggyBacおよびSleeping Beautyトランスポゾン配列と連結されている)を動物に尾静脈から水圧注入で導入することによりこのような動物を作製することもできる(Suda T, Liu D. Mol Ther. 2007 Dec;15(12):2063-9. Epub 2007 Oct 2. Reviewに記載)。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルを導入遺伝子に含めて導入遺伝子の発現効率を上げることもできる。遺伝子改変動物、たとえばマウスの作製方法は当技術分野で従来技術になっており、たとえば米国特許第4,736,866号および第4,870,009号、ならびに1986, Hogan et al., A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y., Cold Spring Harbor Laboratoryに記載されている。導入遺伝子を卵母細胞に導入する場合、遺伝子改変初代動物を用いて導入遺伝子を持つさらなる対象を作製することができる。本発明の卵母細胞注入により作製されたC5タンパク質をコードする導入遺伝子を持つ遺伝子改変動物から、他の導入遺伝子を持つ他の遺伝子改変動物または他の遺伝子欠損動物(たとえばマウスC5遺伝子を発現しない遺伝子欠損マウス)をさらに作製することができる。尾静脈水圧注入により作製されたC5タンパク質をコードする導入遺伝子を持つ遺伝子改変動物を他の遺伝子欠損または遺伝子導入マウス(たとえば実験用のFcRn/SCIDマウス)を用いて容易に作製することができる。遺伝子組換え動物に加え、その系を用いて他のヒトC5発現対象を作製することもできることは公知である。
【0449】
一実施態様では、ヒト以外の動物のC5エキソン配列(またはエキソンおよびイントロン配列)をヒトC5エキソン配列(またはエキソンおよびイントロン配列)で置き換えるがヒト以外の動物の天然型の制御配列(たとえば、プロモーター、エンハンサー、隣接領域、イントロンなど)の1つ以上またはすべてを未変化の配列に保つ系を用いて、ヒト以外の動物の制御配列からヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物を作製する。任意の好適な系を用いることができるが、この方法でヒト以外の遺伝子改変動物を作製することができる1つの模範的な系はCRISPR/Cas9系である。「CRISPR/Cas」系は、外来核酸に対する防御のための幅広い分類の細菌系を指す。CRISPR/Cas系は広範囲の真正細菌および古細菌生物に見られる。CRISPR/Cas系としてはI型、II型、およびIII型の各種亜型が挙げられる。野生型のII型CRISPR/Cas系はRNA介在型ヌクレアーゼCas9をガイドと組み合わせて利用し、RNAを活性化して外来核酸を認識・切断する。Cas9相同体は多様な真正細菌に見られ、真正細菌としては以下の分類群:放線菌門(Actinobacteria)、アクウィフェクス門(Aquificae)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)-緑色硫黄細菌門(Chlorobi)、クラミジア門(Chlamydiae)-ウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)、クロロフレクサス門(Chloroflexi)、シアノバクテリア門(Cyanobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、スピロヘータ門(Spirochaetes)、およびテルモトガ門(Thermotogae)の細菌が挙げられるが、これらに限定されない。模範的なCas9タンパク質は化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質である。さらなるCas9タンパク質およびその相同体は、たとえばChylinksi, et al., RNA Biol. 2013 May 1; 10(5): 726-737; Nat. Rev. Microbiol. 2011 June; 9(6): 467-477; Hou, et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Sep 24;110(39): 15644-9; Sampson et al., Nature. 2013 May 9;497(7448):254-7;およびJinek, et al., Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21に記載されている。
【0450】
一実施態様では、本発明のヒト以外の遺伝子改変動物は内在性プロモーターからヒトC5を発現する。本発明で有用なプロモーターの例としては、天然型マウスプロモーター、DNA pol IIプロモーター、PGKプロモーター、ユビキチンプロモーター、アルブミンプロモーター、グロビンプロモーター、オボアルブミンプロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、βアクチンプロモーター、レトロウイルスLTR、およびレンチウイルスLTRが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で有用なプロモーターおよびエンハンサー発現系としては誘導性および/または組織特異的発現系も挙げられる。
【0451】
実施態様によっては、本発明のヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物を抗C5抗体および抗C5 mAb融合タンパク質の選別、試験、査定(assessing)または評価(evaluating)に用いる。実施態様によっては、本発明のヒトC5を発現するヒト以外の遺伝子改変動物を抗C5抗体および抗C5 mAb融合タンパク質の特性、性質、または活性の選別、試験、査定(assessing)または評価(evaluating)に用いる。
キット
【0452】
本発明は、本発明の抗C5抗体(たとえば抗C5抗体、抗C5融合タンパク質抗体など)またはその組合せと、本明細書中の他の箇所に記載の治療処置または非治療的使用としてたとえば抗C5抗体またはその組合せを個体に投与することを記載した説明資料とを含むキットも包含する。一実施態様では、このキットは、たとえば個体に抗体を投与する前に本発明の抗C5抗体またはその組合せを含む治療組成物を溶解または懸濁化するのに適した医薬的に許容される(任意には無菌の)担体をさらに含む。任意に、キットは抗体を投与するためのアプリケーターを含む。
【実施例】
【0453】
以下、下記の実施例を参照し本発明を説明する。これらの実施例は例示のみを目的として示され、本発明はいかなる形でもこれらの実施例に限定されず、本明細書に示す教示の結果として明白となるいかなる変更もすべて包含するものとする。
【0454】
さらに説明しなくても、当業者は先の説明および以下の例示的な実施例を用いて本発明の化合物を製造・利用し、特許請求される方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は本開示の残りの部分をいかなる形でも限定しないものとする。
実施例1
【0455】
pH 7.4のときのC5との結合が改善し、かつpH 5.8のときのC5との結合が低下するバリアントを開発する目的で、ヒト化2G1(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))のバリアントを作製した(
図1)。
【0456】
本明細書に記載の手法は、インビトロで測定したmAbの親和性および遮断効力はインビボの半減期、PK、またはPDと必ずしも相関しないという理解に基づく。これは、少なくとも部分的には、高い血中濃度で存在する可溶性抗原(たとえばC5)は身体から除去すべき標的とされる免疫複合体(すなわち抗原に結合したmAb)を形成するからである。したがって、一般的に、インビボでこのような可溶性抗原の活性を遮断するには高い血中抗体濃度が求められる。
【0457】
本明細書に記載の手法は、「pH依存性」の結合特性を持つmAbを生成することにより抗体の再循環または半減期(ひいてはPK)の増加および抗原の細胞内分解の加速によってインビボの治療抗体の効力を高めることができるという理解に基づく。この点に関して望ましい特性は、血液のpHである中性pH(pH約7.4)に近いとき治療mAbが抗原(たとえばC5)に十分に結合することである。このように、それは抗原(たとえばC5)の活性を効果的に遮断する。続いて免疫複合体は細胞に取り込まれ、そこでタンパク質分解のためにエンドソームに移動する。初期エンドソームのpHは酸性(pH約5.8)である。したがって、治療mAbが酸性pHのときに低い抗原結合を有する場合、そのmAbは免疫複合体から解離し、次いでFcRnに取り込まれて血漿に戻ることができる。このように、抗原(C5など)のみがエンドソームタンパク質分解経路を介して分解されるが、FcRnを介したmAbの再循環は血漿中の持続性の拡大に貢献する。
【0458】
酸性pHでプロトン化(H+)する傾向があるため、CDRにヒスチジン残基を含むmAbは酸性pHでプロトン化してより弱い結合親和性を有する可能性がある。本明細書に記載の手法ではすべてのCDR残基の「ヒスチジンスキャン」(すなわち、CDR残基を1個ずつヒスチジンで置換すること)を利用した。そこで、Octet機器(Pall ForteBio)を用いてpH 7.4およびpH 5.8のときのmAbとC5の解離を測定し、pH 5.8のときに比較的速く解離しpH 7.4のときに比較的遅く解離したヒスチジン置換バリアントを特定した。
【0459】
親ヒト化2G1 mAb(VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7))は、pH 5.8のときにより良好なC5への親和性を示した(
図7)。mAb(VH-11801(配列番号2)およびVL-1609(配列番号7))の6個のCDRのそれぞれの各残基にヒスチジン置換を有する単一置換バリアントを作製し、pH依存性の結合特性について評価した。各バリアントについて、VHおよびVLプラスミドを構築し、次いでHEK細胞に一過的に遺伝子導入した。細胞培養液上清中のmAbをpH 5.8およびpH 7.4のときの結合について試験した。
【0460】
これらの単一置換バリアントのうち、3種(mAb L3-1、L1-2、およびH1-4)はpH依存性の結合のいくらかの改善を示した。L3-1の配列を
図2に示す(配列番号1~5、8、9、および11~13)。L1-2の配列を
図3に示す(配列番号1~5、9、10、および14~16)。H1-4の配列を
図4に示す(配列番号4、5、6~10、および17~19)。
【0461】
単一置換バリアントの作製に加え、単一置換の軽鎖と重鎖を組み合わせて二重置換バリアントを作製した。これらの二重置換バリアントのうちの2種(mAb H1-8/L1-9およびH2-6/L3-5)はpH依存性の結合のいくらかの改善を示した。H1-8/L1-9の配列を
図5に示す(配列番号4、5、9、10、および20~25)。H2-6/L3-5の配列を
図6に示す(配列番号3、5、8、9、および26~31)。
【0462】
VH-11801(配列番号2)およびVL-1901(配列番号7)を有する親ヒト化mAb 2G1ならびに様々な単一および二重ヒスチジン変異体のC5結合および解離のOctet追跡を
図7~
図12に示す。C5機能の遮断でのそれらの相対的な活性を、ヒツジ赤血球溶解検定を用いて親ヒト化2G1 mAb (VH-11801/VL-1901)と比較し
図13および
図14に示す。親ヒト化2G1 mAbに比べて等しいか改善した活性を示したmAb L3-1を除いて、他のすべての変異体はより低い活性を示した。2種の二重置換バリアントの場合、それらの活性は大きく低下し、H1-8/L1-9は実質的にすべてのC5遮断活性を失った。これは意外でもない、というのは、mAb H1-8/L1-9およびH2-6/L3-5については、pH 5.8のときにいくらかの望ましい解離の加速が認められたが、pH 7.4のときの解離も劇的に加速している(そのことから活性の喪失が明らかである)からである。
【0463】
上記のヒスチジン置換バリアントはインビトロでは活性が低下したが、それらのインビボの半減期は改善した可能性があり、したがって、pH依存性の結合により分解が低減されたことが原因でそれらのPK/PD特性が親mAbに比べて改善した可能性があった。
【0464】
インビボのPK/PDを試験するため、Sleeping Beautyトランスポゾン配列を含むヒトC5のcDNAを尾静脈から水圧注入してヒトC5を永久に発現するNOD/SCIDマウスを作製することによりC5ヒト化マウスを開発した。NODマウスは本来C5が欠けているため、内因性のマウスC5が薬力学(PD)検定に干渉しない。SCIDの遺伝的背景により、遺伝子導入によって発現したヒトC5がヒトC5に対する免疫反応を誘発しないことが保証される。安定なゲノム組込みのためにSleeping Beautyトランスポゾン配列を含むヒトC5プラスミドを水圧注入してC5ヒト化マウスを開発した。NOD/SCIDマウスでの高度なヒトC5発現の代表的なデータを
図16に示す。典型的には、50~120 μg/mLの範囲の血漿C5濃度が認められた。これは約80 μg/mLであるヒト血漿中のC5濃度と同程度である。
【0465】
5種のヒスチジン置換バリアント(すなわちmAb L3-1、L1-2、H1-4、H1-8/L1-9およびH2-6/L3-5)をPK/PDについて評価した。2種の二重置換バリアント(すなわちmAb H1-8/L1-9およびH2-6/L3-5)は最も高い持続性を示した。3種の単一置換バリアントのうち、mAb H1-4およびL1-2はmAb L3-1よりも良好な持続性を示した(
図17)。したがって、L3-1はヒトC5に対して最も良好なpH 7.4親和性およびインビトロ遮断活性を示すが、最も短い半減期を有する。興味深いことに、インビボ遮断活性を示さなかったmAb H1-8/L1-9を除いて他のすべてのバリアントは親ヒト化2G1 mAb (VH-11801, VL-1901)に比べて改善したPD特性を有する(
図18および
図19)。
【0466】
バリアントmAb H1-8/L1-9は最も良好なpH結合差を示した(すなわちpH 5.8のときにpH 7.4のときよりもはるかに速く抗原解離が起こる(
図12))がC5遮断活性の多くを失った(pH 7.4のときの抗原解離も高くなっていることから)と仮定し、H1-8/L1-9の6個のCDRの各残基を(H1-8およびL1-9のヒスチジン置換は保存しながら)ランダムに置換するために倹約的な変異誘発を行った。scFv構築物のELISAプレート検定でpH 7.4結合を有意に改善したVHで3つの「ホットスポット」を特定した。これらの残基は配列番号20に対してVH-CDR1の第9位のロイシン(すなわちL9)、配列番号4に対してVH-CDR2の第4位のプロリン(すなわちP4)、および配列番号5に対してVH-CDR3の第16位のバリン(すなわちV16)であった。最も大きく改善した結合を示した置換は、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、L9→F9(すなわちL9F)、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、P4→I4(すなわちP4I)、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、およびV16→W16(すなわちV16W)であった(
図20)。
【0467】
これらの13種の置換体(すなわち、L9→W9(すなわちL9W)、L9→I9(すなわちL9I)、L9→V9(すなわちL9V)、L9→Y9(すなわちL9Y)、L9→F9(すなわちL9F)、P4→F4(すなわちP4F)、P4→L4(すなわちP4L)、P4→M4(すなわちP4M)、P4→W4(すなわちP4W)、P4→I4(すなわちP4I)、V16→F16(すなわちV16F)、V16→E16(すなわちV16E)、およびV16→W16(すなわちV16W))を作製し、IgG4としてのpH依存性結合特性について評価した。各バリアントについて、VHおよびVLプラスミドを構築し、次いでExpi-CHO細胞に一過的に遺伝子導入した。細胞培養液上清中のmAbをpH 5.8およびpH 7.4のときの結合について試験した。
図21および
図22はこれらのバリアントのC5結合特性を要約している。
図21はC5結合のmAb結合シグナルに対する比、
図22はpH 7.4およびpH 5.8のときの結合相から解離相への転換後のピーク値からの結合シグナルの減少率(%)を示す。得られたいずれの変異体についても、
図21の比が高いことが好ましく、
図22のpH 7.4のとき(網掛けの棒)の解離率(%)がより低く、pH 5.8のとき(格子模様の棒)の解離率(%)がより高いことが好ましい。
【0468】
この13種のmAb H1-8/L1-9単一ヒスチジン置換バリアントの評価から、7個のバリアントを選択して
図23に示す18種の組合せ置換バリアント(すなわち、L9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、およびL9F/P4F/V16E)を作製した。これらの18種の組合せ置換バリアントを作製し、pH依存性結合特性について評価した。各バリアントについて、VHおよびVLプラスミドを構築し、次いでExpi-CHO細胞に一過的に遺伝子導入した。細胞培養液上清中のmAbをpH 5.8およびpH 7.4のときの結合について試験した。
【0469】
図24および
図25は、これらの18種の組合せ置換バリアントのC5結合特性を要約している。
図24はC5結合のmAb結合シグナルに対する比、
図25はそれぞれpH 7.4およびpH 5.8のときの結合相から解離相への転換後のピーク値からの結合シグナルの減少率(%)を示す。得られたいずれの変異体についても、
図24の比が高いことが好ましく、
図25のpH 7.4のとき(網掛けの領域)の解離率(%)がより低く、pH 5.8のとき(格子模様の領域)の解離率(%)がより高いことが好ましい。
実施例2
【0470】
pH 7.4対pH 5.8における結合の最大の差とpH 7.4における最良の結合に基づき、バリアントIWW、IFW、FME、およびFMWをV1-8/L1-9の上位4種の三重変異クローンとして選択し、さらに特性評価した。親和性成熟計画のさらなる分析およびデータマイニングを行い、CDR2の第9位のTからHisへの変異を、V1-8/L1-9のpH 7.4結合を回復するためのもう一つの有望なランダム変異と特定した(
図26~
図28)。IWW、IFW、FME、およびFMWをV1-8/L1-9の上位4種の三重変異クローンとして選択した。IWW、IFW、FME、およびFMWを発現させ、タンパク質を精製してpH依存性の結合特性を確認した。溶血検定でのC5阻害活性も試験した(
図29、
図30、
図32~
図34)。上記の4種の三重変異体を新たなHis変異(VHのCDR2、第9位、T→H変異)とさらに組み合わせて4種の四重変異体(IWWH、IFWH、FMEH、およびFMWH;たとえば
図31)を作製した。これらの新たな変異体をpH依存性の結合特性およびC5阻害活性について試験した。これらのうち、四重変異体FMEHをその三重変異親分子FMEに比べて改善した変異体と特定した(
図35~
図37)。
【0471】
実施例1に記載の、インビボのPK/PDを試験するために抗C5 mAbの改変変異体のいくつかを水圧注入して作製したNOD/SCIDマウスのC5ヒト化マウスに加え、SCID/FcRn遺伝子導入マウスのC5ヒト化マウス(ヒトFcRn遺伝子導入・マウスFcRn欠損)背景も作製した。後者の株により、pH依存性の抗C5 mAb変異体とIgG4抗体構築物のさらに操作されたFcドメイン(Fcドメインの3つの変異)の複合効果の試験が可能になった(
図38および
図39)。
【0472】
SCID/FcRn遺伝子導入背景のC5ヒト化マウスを用いて、H1-8/L1-9三重変異体IFWとFMW、さらにFMEHのPK/PDをFcドメインの3残基の置換(PLA)を有するIgG4形式でも試験した。データは、元の(H1-8/L1-9の誘導源である)ヒト化抗C5 mAb 11801に比べて有意に改善したPK/PD活性を示した(
図40~
図42)。
実施例3
【0473】
補体活性化は一連の標的認識およびタンパク質切断を含む。補体活性化は3つの異なる経路により活性化され得る。これらの経路はすべてC3活性化工程で合流する(
図43)。これらの経路は古典経路、代替経路、およびレクチン経路である(
図43)。CPは抗原-抗体複合体により活性化され、C3活性化工程で他の経路と合流する前にC1およびC4/C2の順次の活性化を含む。LPは特定のパターン認識分子、たとえばMBL、コレクチン、およびフィコリンにより微生物表面の糖分子への結合時に誘発される。LPはMASPの活性化を含み、続いてMASPはC4/C2を切断し、C3活性化工程で他の経路と合流する(
図43)。C3の自然加水分解および活性化によりC3(H
2O)が生成されるため、APは低水準で恒常的に活性である。C3(H
2O)はB因子と結合することができ、D因子によりタンパク質分解活性化すると初期C3切断酵素複合体C3(H
2O)Bbを生成する(
図43)。調節タンパク質が存在しない場合、C3(H
2O)Bb複合体の産物であるC3bはC3(H
2O)と同じようにB因子と結合することができ、したがって、自己増幅的なC3活性化の別の循環を開始する。
【0474】
3つの経路のうちのいずれかによるC3の活性化は一様に代替経路を誘発する。したがって、多くの補体関連疾患では代替経路活性化を阻害することが重要である。C3活性化はC5切断酵素複合体の生成も誘導し、終末補体活性化経路を開始し、結果的に強力な炎症性媒介物質C5a、ならびに細胞溶解および細胞死を引き起こす可能性がある膜侵襲複合体C5b-9が生成される。補体が無差別な損傷を引き起こすのを防ぐために、宿主細胞は補体の活性化と増幅を遮断するよう機能する多くの膜固定型の調節因子を発現する。それらの調節因子のうちのいくつか、たとえば崩壊促進因子(DAF、CD55)およびMCPはC3活性化を阻害するよう作用するが、CD59など他の調節因子は補体活性化カスケード中の他の工程で作用する。膜固定型の補体制御因子の他に、宿主組織を優先的に防御するよう作用する液相の調節因子も血中に存在する。液相の阻害因子としては、補体活性化の代替経路の重要な阻害因子であるFHおよび第I因子(FI)、ならびに古典経路の補体活性化を阻害するC4BPおよびC1阻害因子(C1INH)が挙げられる。液相および膜固定型のいずれの補体調節タンパク質も、多くの場合は複数の保存されたSCRドメインで構成されている。たとえば、FHは20個のSCRで構成され(
図44)、DAF(CD55)の細胞外分節は5個のSCRドメインを含む。
【0475】
FHはFIによるC3bの切断のための補因子として作用すること、およびC3bBb複合体の崩壊を促進すること(いずれの機構もAPの増幅ループを予防する)により、代替経路の補体活性化を阻害する。構造機能研究から、FHでは補体調節活性はSCR1~5に位置し、一方他のSCRドメイン(特にSCR19~20)は宿主細胞および表面に沈着したC3bの認識に重要な役割を果たすことが明らかになった。同様に、DAF(CD55)およびMCP(CD46)の細胞外SCRドメインは補体阻害活性に関与することが示され、DAFおよびMCPの可溶型またはそれらのマウス相同体は補体調節活性を有することが実証されている。補体調節タンパク質の非発現または不完全な機能につながる変異は、いくつかの補体依存性疾患に関与している。たとえば、GPIアンカー生合成に関与する酵素の遺伝子変異は、影響を受けたPNH患者の造血幹細胞ならびに対応する赤血球(RBC)、血小板、および白血球でのDAFおよびCD59の発現の欠如につながる。これは、代替経路を介した補体攻撃と、影響を受けたPNH赤血球の溶解および血小板活性化を引き起こし、PNH患者に貧血や血栓症などの壊滅的な病状を引き起こす。同様に、FHおよびMCPをコードする遺伝子の変異はaHUSに関連している。現在、PNHとaHUSのいずれも、診療所では標準治療としてヒト化抗C5 mAb薬エクリズマブを用いて治療されている。しかし、依然として満たされていない重要な医療上の要求があり、PNHおよびaHUSの治療でも他の補体関連疾患の治療でも、より効果的かつ好都合な抗補体薬を開発することが依然として望まれている。
【0476】
補体タンパク質を標的とする薬物の開発における課題の一つは、それらの血漿濃度が高いことおよび/または代謝回転が速いことである。たとえば、ヒトC3およびC5の血漿濃度はそれぞれ約1 mg/mLおよび80 μg/mLである。このことは、これらのタンパク質の阻害物質を高用量かつ/または高頻度で投与する必要があることを意味する。実際、抗C5 mAb薬物エクリズマブは、PNHおよびaHUS患者にそれぞれ900 mgおよび1200 mgの維持量で、静脈注射で2週間毎に投与することが求められる。より長く持続する第二世代の抗C5 mAbラブリズマブが開発されて注射の頻度は8週間毎まで減少しているが、ラブリズマブの維持量は注射一回あたり3600 mgに増えている。さらに、エクリズマブもラブリズマブも、PNH患者のLDHおよびヘモグロビンの濃度を正常にすることができなかった。標準的なエクリズマブ治療を受けたPNH患者では破綻的な溶解が頻繁に認められ、20~30%の患者は依然として輸血依存状態である。PNH患者におけるこれらの満たされていない医療上の要求は、罹患した血液細胞のDAFおよびCD59の欠損により患者はC3活性化およびMACによる損傷を起こしやすくなるという事実に関連している。抗C5 mAb、たとえばエクリズマブおよびラブリズマブはC5による溶血を阻害することができるが、罹患した赤血球のC3活性化を予防するわけではなく、その結果、赤血球のC3bオプソニン化は依然として起こり、これによってEVH(細網内皮系のC3bオプソニン化した赤血球が捕食されることにより引き起こされる過程)というよく認識された現象が起こる。また、研究により、C5工程で赤血球の補体活性化を遮断することは有効性に限界があることがわかっている。というのも、多すぎるC5転換酵素が既に細胞表面に集合している場合、結合力に限りのあるmAbでC5切断を完全に遮断することは不可能になるからである。このことはエクリズマブで治療したPNH患者の破綻的な溶解現象について、またエクスビボ検定で抗C5 mAbがウサギ赤血球およびPNH赤血球細胞の完全な溶血を予防することができない理由についての説明となり得る。というのも、PNH赤血球およびウサギ赤血球はいずれもAPを介するC3補体活性化に非常に感受性が高く、表面に大量のC5転換酵素を容易に集めることができるからである。補体依存性疾患で、たとえばC3阻害性環状ペプチドまたは組換え短鎖型FHの使用によりC3活性化を標的化する取組みがなされているが、このような分子は非常に乏しい薬物動態を有し、大量かつ高頻度(たとえば1日に1回)の投薬を必要とする。
【0477】
本発明は、部分的には、ヒトC5に対するpH依存性結合を獲得するためにVHおよびVLに変異を導入して薬物動態を改善する(ただしmAbのC5遮断活性を損なわずに)ことによる、ヒト化抗C5 mAb薬の改善について記載する。VHおよびVLのこれらの変異は、IgG4のFcドメイン変異と組み合わせると、SCID/ヒトFcRn遺伝子導入マウスのC5ヒト化マウスで評価したところ有意に改善した薬物動態および薬物力学が得られた。
【0478】
本発明の戦略は、部分的には抗C5 mAb-FH 融合タンパク質の概念に基づく。FHのうちSCRドメイン1~5(先に紹介したように、C3活性化の制御に関与するドメインである)を用いた。目的は全長FHを含む融合タンパク質を作製することではない。というのもそれは非常に大きく複雑な糖タンパク質であり、抗C5 mAbを含む完全な融合タンパク質は製造上の課題を有するからである。FHのN末端SCR 1~5をヒトIgG4のFcドメインのC末端に結合した(
図44)。FcとFHドメインの間に、IgG4 Fcの最後のアミノ酸の後に追加されたリンカーはなく、その最後のアミノ酸は成熟FHのN末端配列に直接連結されている。この抗C5 mAb融合タンパク質は二機能性であり、通常の抗C5 mAbとしてC5活性を遮断するよう機能し、FHドメインはC3補体活性化阻害因子として作用する。
【0479】
この構築物のもう一つの重要な利点は、持続性(再循環性)抗C5 mAbを用いてFH融合タンパク質を構築したことである。持続性抗C5 mAbをIgG4 Fcドメイン変異(S228P、M428L、およびN434A;PLAと呼ぶ)と結合し、C5に対しpH依存性結合(pH 5.8のときにpH 7.4のときよりも速くC5から解離すること)を有するよう改変している。
【0480】
本明細書に示すデータは、抗C5 mAb FMEH-IgG4PLAに基づく抗C5 mAb-FH融合タンパク質のVHおよびVL配列を含む(
図45および
図46)。SDSゲルは予想された大きさの拡大および良好な完全性を示す融合タンパク質のVH鎖の発現を示した(
図47)。
【0481】
mAb-FH融合タンパク質は依然として親抗C5 mAbのpH依存性の結合特性を維持した(
図48および
図49)が、これは重要である。というのも、このような融合タンパク質は親抗C5 mAb(たとえばFMEH)と同様に持続性の薬物として挙動する必要があるからである。抗C5 mAb-FH融合タンパク質は、ウサギ赤血球溶解の阻害(
図50)およびPNH赤血球溶解の阻害(
図57)において、それらの対応する親mAb(たとえばFMEH-IgG4PLA対FMEH-IgG4PLA-FH SCR1-5)および基準である通常の抗C5 mAb(エクリズマブおよびラブリズマブ)よりもはるかに強力であった。抗C5 mAb融合タンパク質は、対応する親mAbまたは基準抗C5 mAb(エクリズマブおよびラブリズマブ)と違ってウサギおよびPNHの赤血球のC3オプソニン化を阻害することがさらに示された(
図51および
図58)。
【0482】
さらに、抗C5 mAb-FH融合タンパク質はC5ヒト化マウスで従来の基準抗C5 mAb(エクリズマブ)よりも良好なPK(半減期)、および第二世代の持続性基準抗C5 mAb(ラブリズマブ)に類似のPKを有するが、ウサギ赤血球溶解試験ではいずれの基準抗C5 mAbよりも良好なPD(薬力学)を有する(二機能性の特性による)ことが実証された(
図52~
図56)。
以下、本実施例で用いた材料および方法について説明する。
【0483】
マウスでヒトC5を検出するためのサンドイッチELISA:ヒトC5のcDNAプラスミドの水圧注射後、ヒトC5を発現するNOD/SCIDまたはFcRn/SCIDマウスでヒトC5を検出するためのサンドイッチELISA:96ウェルプレートを抗ヒトC5抗体(Quidel、A217)で、重炭酸緩衝液中2 μg/mLの最終濃度になるように37℃で1時間かけて被覆した。0.05%のTween-20を含むPBSで洗浄した後、遮断溶液で希釈した血漿試料を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、遮断溶液に溶解したビオチン化抗ヒトC5 mAb (9G6)を加えたプレートを室温で1時間恒温放置し、再び洗浄し、遮断溶液に溶解したセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合アビジンまたはストレプトアビジン(BD pharmigen)を加えて室温で1時間恒温放置した。最終洗浄の後、HRP基質を用いてプレートを3分間かけて発色させた。2NのH2SO4で反応を停止させ、プレートをマイクロプレートリーダーで450 nmで読み取った。マウスでヒトIgG4を検出するためのサンドイッチELISA。
【0484】
ヒトIgG4の検出のためのサンドイッチELISA:抗ヒトC5 IgG4 mAbまたは抗C5 mAb-FH SCR1-5融合タンパク質処置マウスでヒトIgG4を検出するためのサンドイッチELISA:96ウェルプレートを抗ヒトκ軽鎖抗体(Antibody Solutions, AS75-P)で、重炭酸緩衝液中2 μg/mLの最終濃度になるように37℃で1時間かけて被覆した。0.05%のTween-20を含むPBSで3回洗浄した後、遮断溶液で希釈した血漿試料を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、プレートを抗ヒトIgG4 HRP (1:2000希釈、Invitrogen、A10654)を加えた遮断溶液中で、室温で1時間恒温放置した。洗浄後、HRP基質を用いてプレートを3分間かけて発色させた。2NのH2SO4で反応を停止させ、プレートをマイクロプレートリーダーで450 nmで読み取った。
【0485】
抗ヒトC5 IgG4-FH1-5融合物処置マウスでヒトIgG4-FH1-5融合物を検出するためのサンドイッチELISA:96ウェルプレートを抗ヒトκ軽鎖抗体(Antibody Solutions、AS75-P)で、重炭酸緩衝液中2 μg/mLの最終濃度になるように37℃で1時間かけて被覆した。0.05%のTween-20を含むPBSで3回洗浄した後、遮断溶液を加えたプレートを37℃で1時間恒温放置した。洗浄後、遮断溶液で希釈した血漿試料を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、プレートをビオチン結合抗ヒトFH(1:100希釈、Thermo Scientific、MA5-17735)加えた遮断溶液中で、室温で1時間恒温放置した。洗浄後、遮断溶液に溶解したストレプトアビジン-HRP(1:1000希釈、BD Biosciences、554066)を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、HRP基質(Thermo Scientific、34029)を用いてプレートを3分間かけて発色させた。2NのH2SO4で反応を停止させ、プレートをマイクロプレートリーダーで450 nmで読み取った。
【0486】
マウス血漿試料中の完全なFMEH-IgG4PLA-FH1-5融合タンパク質を検出するためのサンドイッチELISA:96ウェルプレートを抗ヒトκ軽鎖抗体(Antibody Solutions, AS75-P)で、重炭酸緩衝液中2 μg/mLの最終濃度になるように37℃で1時間かけて被覆した。0.05%のTween-20を含むPBSで3回洗浄した後、遮断溶液を加えたプレートを37℃で1時間恒温放置した。洗浄後、遮断溶液で希釈した血漿試料を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、プレートをビオチン結合抗ヒトH因子抗体(1:100希釈、Thermo Scientific、MA5-17735)を加えた遮断溶液中で、室温で1時間恒温放置した。洗浄後、遮断溶液に溶解したストレプトアビジン-HRP(1:1000希釈、BD Biosciences、554066)を加えたプレートを室温で1時間恒温放置した。洗浄後、HRP基質(Thermo Scientific、34029)を用いてプレートを3分間かけて発色させた。2NのH2SO4で反応を停止させ、プレートをマイクロプレートリーダーで450 nmで読み取った。
【0487】
ヒツジ赤血球溶解試験:ヒツジ赤血球(検定試料あたり1×107細胞、PBS中で調製、Complement Technology Inc)に50%の正常ヒト血清(NHS、Complement Technology Inc.製)を加え、ゼラチンベロナール緩衝液(GVB2+、Sigma;合計検定容量:100 μl)中で、37℃で20分間恒温放置した。ヒツジ赤血球に加える前にNHSに抗C5 mAbを加えて4℃で1時間、予備保温した。40 mMのEDTA-PBS氷冷溶液を加えて溶解反応を停止した。恒温放置した混合物を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収してODを405 nmで測定した。NHSを含まない試料またはEDTAを加えた試料を陰性溶解対照として使用し、また、蒸留水で完全に溶解したヒツジ赤血球の試料を陽性対照(100%溶解)として使用し、これに対して他の試料の溶解率(%)を正規化した。
【0488】
ニワトリ赤血球溶解検定:ニワトリ赤血球(Rockland Immunochemicals Inc #R401-0050)を抗ニワトリウサギ赤血球抗体(Rockland Immunochemicals Inc #103-4139)(150 μg/mL)で30分間感作させ、GVB緩衝液で2回洗浄した。mAb BB5.1で前処理してマウスC5活性を遮断したC5ヒト化マウスのレピルジン血漿およびC5枯渇ヒト血清(Quidel #A501)試料をGVB緩衝液で10%(すなわち最終検定容量5 mL~50 mL)に希釈し、5 mLの抗体感作済みニワトリ赤血球(cRBC)(5 × 108/mL)と混合して最終容量を50 mLにし、37℃で30分間恒温放置した。10 mMのEDTA-PBS冷溶液(100 mL)で反応を停止させた。細胞を1500 rpmで、4℃で5分間遠心分離した。回収した上清のODを405で測定した。
【0489】
ウサギ赤血球溶解試験:ウサギ赤血球(Rockland Immunochemicals Inc cat# R403-0100)(検定試料あたり1×107細胞、PBS中で調製、Complement Technology Inc)に25%の正常ヒト血清(NHS、Complement Technology Inc.製)または50%のカニクイザル血清(CMS、Innovative research)を加えてゼラチンベロナール緩衝液(GVB2+EGTA、Sigma;合計検定容量:100 μl)中で、37℃で30分間恒温放置した。ウサギ赤血球に加える前にNHSまたはCMSに抗C5 mAbまたは抗C5 mAb-fH SCR1-5 融合タンパク質と共に4℃で1時間、予備保温した。氷冷した40 mMのEDTA-PBS溶液を加えて溶解反応を停止した。恒温放置後の混合物を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収してODを405 nmで測定した。NHSもしくはCMSを含まない試料またはEDTAを加えた試料を陰性溶解対照として使用し、また、蒸留水で完全に溶解したウサギ赤血球の試料を陽性対照(100%溶解)として使用し、これに対して他の試料の溶解率(%)を正規化した。
【0490】
薬力学研究のためのヒト・マウスハイブリッド補体系を用いたウサギ赤血球溶解試験:C5ヒト化FcRn/SCIDマウスで様々な抗ヒトC5 mAbおよびそのfH SCR1-5融合物の薬力学を試験するために、試験用C5ヒト化FcRn/SCIDマウス(ヒトC5の源としての)の血漿と混合したC5枯渇ヒト血清を用いてrRBC溶解検定を行った。検定混合物中のマウスC5を2種の抗マウスC5抗体BB5.1および21A9(最終反応物中それぞれ400 μg/mL)で遮断した。マウスのレピルジン血漿およびC5枯渇ヒト血清(Quidel #A501)試料をGVB-EGTA緩衝液で10%に希釈し、5 μLのウサギ赤血球(5 × 108/mL)と混合して最終容量50 μLにし、37℃で30分間恒温放置した。10 mMのEDTA-PBS冷溶液(100 μL)で反応を停止させた。細胞を1500 rpmで、4℃で5分間遠心分離した。回収した上清のODを405で測定した。
【0491】
ヒトC5トランスポゾンプラスミドの構築:pCMV Sport6からC5のcDNAをpCAGGSベクターのEcoRI部位にサブクローン化した。エンハンサーの5’部位のHinc II部位にSB IR/DR(L)トランスポゾン認識配列、3’部位のrBG Stu I部位の後にSB IR/DR(R)認識配列をInfusionクローン化法でクローン化した。NOD/SCDマウスへの水圧注入のため、pCMV-T7-SB100プラスミド(2 μg)とトランスポゾン部位を持つpCAGGSに入れたヒトC5(25 μg)を尾静脈注射した。ヒトC5 ELISAで遺伝子導入効率を1日後に確認した。注入の2週間後、ヒトC5 ELISAで再び安定な組込みを確認した。
【0492】
ヒスチジンスキャン:ヒト化mAb 2G1 (VH-11801およびVL-1901)のヒスチジンスキャン:HEK細胞を24ウェルプレートに入れ、8 μLのX-TremeGene HP DNA Transfection Reagent (Roche#6366546001)を用いて1 μgのVHおよび2 μgのVLプラスミドを遺伝子導入した。上清を遺伝子導入の2日後に回収し、Octet検定に使用した。11801ヒスチジン変異体のpH依存性の解離をOctet Red E機器(ForteBio Inc.)で生物膜干渉法(biolayer interferometry)により分析した。抗ヒトIgGバイオセンサー(ForteBio# 18-5060):センサーを200 μLの遺伝子導入上清に600秒間浸して抗体をセンサーに捕捉した。その後、ヒトC5を加えてこれらのバイオセンサーを600秒間恒温放置した後、pH 7.4およびpH 5.8で解離させた。
【0493】
倹約的な変異誘発:pH 7.4のときのC5結合を改善する点アミノ酸置換変異を特定するため、mAb H1-8/L1-9の6個の相補性決定領域(CDR)すべてを部位特異的変異誘発法によって他の19種のアミノ酸に1個ずつ変異させた。QuikChange(登録商標、Agilent)またはQ5(登録商標)部位特異的変異誘発(NEB)により、各位置について設計した変異をコードしたオリゴヌクレオチドを用いて標的CDR位置に変異を導入する。結合が改善したバリアントを選別するために、遺伝子導入済みの各反応物から88種のクローンを選び、大腸菌細胞培地から分泌されたscFvを捕捉ELISAで試験した。捕捉ELISAでは、滴定された量の抗Fd抗体を用いてウェルを被覆して細菌上清からscFvを捕捉する。これに続いてビオチン化抗原を加えて恒温放置した。HRP結合抗Lc抗体を用い、続いてTMB基質を加えて恒温放置することにより、結合シグナルを検出する。0.2MのH2SO4で反応を停止させ、プレートを450 nmで読み取った。親クローンよりも大きい450nmにおける光学密度(OD)シグナルを示すクローンを選択した。再増殖した上清から得たScFvをELISA(上記)で2回再検定し、陽性の結果を確認する。結合が改善したクローンを、抗原をELISAウェルに被覆する直接結合ELISAでさらに確認し、scFv定量的ELISAで決定したscFvの計算量を使用する。親のscFv結合を超える結合を繰り返し示したクローンを配列決定した。
【0494】
pH依存性結合/解離の測定:親和性成熟したH1-8L1-9抗C5 mAb変異体および対応するFH SCR 1-5融合タンパク質のpH依存性の結合:2~3 × 106/mLのExpiCHOを24ウェルプレートに播き、8 μLのX-TremeGene HP DNA Transfection Reagent (Roche#6366546001)を用いて2 μgのVHおよび4 μgのVLプラスミドを遺伝子導入した。上清を遺伝子導入の2日後に回収し、Octet検定に使用した。ヒスチジン変異体のpH依存性の解離をOctet Red E機器(ForteBio Inc.)で生物膜干渉法により分析した。ストレプトアビジンバイオセンサー(ForteBio# 18-5019)を3 μg/mLの捕捉選抜ビオチン抗ヒトIgG4 fab (Thermo fisher#7102902100)で250~300秒間かけて被覆し、2mMのビオシチンで600秒間かけて反応停止した。これらのバイオセンサーに10 μg/mLのヒトC5(Complement tech#A320)を加えて600秒間恒温放置し、ヒトC5のバイオセンサーへの非特異的結合を飽和させた。センサーを200 μLの遺伝子導入上清に600秒間浸して抗体をセンサーに捕捉した。その後、これらのバイオセンサーにヒトC5を加えて600秒間恒温放置した後、pH 7.4およびpH 5.8で解離させた。
【0495】
大規模な遺伝子導入:大規模なExpiCHO遺伝子導入実施計画:インビボ研究用のmAbおよびmAb-FH融合タンパク質の大規模な作製のために、製造業者の指示に従い最大力価の実施計画を用いてExpiCHO遺伝子導入系(Gibco#A29133)を使用した。200 mLのExpi CHO培地の場合、150 μgのVHおよび300 μgのVLを遺伝子導入に使用した。
【0496】
FMEH-IgG4PLAおよびFMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトまたはカニクイザルFcRnへの親和性の分析:表面プラズモン共鳴分析を用いて、固定したヒトまたはカニクイザルFcRnへのFMEH-IgG4PLAおよびFMEH-IgG4PLA-FH1-5の結合について結合および解離速度定数をBIAcore 3000機器(Biacore AB、スウェーデン、ウプサラ)で測定した。25℃ですべてのBiacore実験を行った。CM5センサーチップのカルボキシル化デキストラン基質を用いて、精製ヒトまたはカニクイザルFcRnをアミンカップリング化学で結合し、それぞれ280 RUまたは200 RUの表面密度を得た。FMEH-IgG4PLAまたはFMHE-IgG4PLA-FH1-5をHBS(HEPES緩衝生理食塩水)緩衝液で200、100、50、25、12.5、および0 nMに希釈し、試料を200秒間かけて注入し、300秒間、結合した分析物の解離を進行させた。二価結合モデルを想定したBIA評価ソフトウェア3.2でデータを分析した。
【0497】
完全なFMEH-IgG4PLA-FH1-5融合タンパク質のC5ヒト化マウスでの薬物動態の決定:C5およびFcRnヒト化SCIDマウスに40 mg/kgの用量のFMEH-IgG4PLA-FH1-5融合タンパク質を後眼窩経路で注射した。データグラフに示す薬物投与後の様々な時点でEDTA血漿を回収した。
【0498】
SDS-PAGEによるFMEH-IgG4PLA-FH1-5の特性評価:SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を用いてFMEH-IgG4PLA-FH1-5タンパク質を特性評価した。FMEH-IgG4PLA-FH1-5は、還元剤の有無にかかわらず、PBS緩衝液に含まれている。試料を99℃で10分間加熱し、5 μgのタンパク質マーカーと、2 μgの還元および非還元試料を12% SDS-PAGEゲルに充填した。ゲルを80vで30分間泳動し、続いて170 vで1時間泳動した後、クーマシー・ブリリアントブルー-R-250溶液でゲルを染色した。ゲルを脱色し、Gel Doc XR Imaging system (Bio-Rad Laboratories, Inc.、米国)を用いて画像化した。
【0499】
SEC-HPLCによるFMEH-IgG4PLA-FH1-5の純度分析:SEC-HPLC(サイズ排除クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー)を用いてFMEH-IgG4PLA-FH1-5タンパク質の純度を測定した。実験にはLC-20AT HPLC装置(Shimadzu Scientific Instruments、日本)およびTSKゲルG3000SWXLカラム(Tosoh Corporation、日本)を用いた。オーブン温度35℃、流速1 mL/分、移動相:PBS(リン酸緩衝生理食塩水)という実行条件でSEC-HPLC実験を実施した。TSKゲルG3000SWXLカラムをLC-20AT HPLC装置に接続し、PBSで平衡化した。0.242 mgのFMEH-IgG4PLA-FH1-5タンパク質溶液を注入し、214 nmでの吸光度を15分間検出した。データをLab Solutionsソフトウェアで分析した。
【0500】
FMEH-IgG4PLA-FH1-5のヒトおよびカニクイザルC5への結合親和性の分析:Bio-Layer Interferometryを用いて、可溶性のヒトおよびカニクイザルC5へのFMEH-IgG4PLAおよびFMEH-IgG4PLA-FH1-5の結合および解離速度定数を測定した。GatorのBio-Layer Interferometry(Probe Life Inc.、中国)を用い、30℃ですべての実験を行った。HFC(抗ヒトIgG Fc)プローブをK緩衝液(ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水)に300秒間浸した。次いでHFCプローブをFMEH-IgG4PLA-FH1-5に浸して1 nmの表面密度を得た。K緩衝液に200秒間浸し(基準)、続いて精製ヒトまたはカニクイザルC5を異なる濃度(40、20、10、5、2.5、1.25、および0.625 nM)で含む溶液にHFCプローブを600秒間浸した後、K緩衝液で600秒間の解離時間をとった。pH 7.4またはpH 5.8のいずれの緩衝液条件でも実験を実施し、結合動態へのpHの影響を決定した。1:1結合モデルを用いるGatorの評価ソフトウェア(Probe Life Inc.、中国)でデータを分析した。
【0501】
FMEH-IgG4PLA-FH1-5の分子量分析:質量分析を用いてFMEH-IgG4PLA-FH1-5の分子量を測定した。U3000 UPLCシステムとQ Exactive Plus質量分析計(Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)を実験に用いた。ペプチド-N-グリコシダーゼFを用いて脱グリコシル化FMEH-IgG4PLA-FH1-5を調製し、ジチオスレイトールを用いて還元FMEH-IgG4PLA-FH1-5を調製した。完全体、脱グリコシル化、および還元FMEH-IgG4PLA-FH1-5をそれぞれLC-MASSで製造者が記載した方法で分離し検出した。データをBiopharma Finderソフトウェア(Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)で分析した。
【0502】
PNH患者赤血球の溶解検定:PNH赤血球をAP緩衝液(GVB + 5 mMのMg2+ + 20 mMのEGTA、pH 6.4)に懸濁した後、HClで酸性にした(0.2M)正常ヒト血清を加えてゼラチンベロナール緩衝液(Complement Technology、米国テキサス州)中で、37℃で40分間恒温放置した。NHSにはFMEH-IgG4PLA-FH1-5、エクリズマブ、またはラブリズマブを加えて4℃で1時間、予備保温した。次に、HCL処理(0.2M)したPNH赤血球と予備保温した抗体血清を混合し、試験管でxxx分間恒温放置した。合計の反応液の用量は50 μlである。40 mMのEDTA-PBS氷冷溶液を加えて溶解反応を停止した。恒温放置した混合物を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収して405 nmのODを測定した。EDTAを加えた試料を陰性溶解対照として使用し、また、蒸留水で完全に溶解したPNH赤血球の試料を陽性対照(100%溶解)として使用した。溶解率(%)を公式(OD405(特異抗体濃度)-OD405(40mM EDTA))/((OD405(水)-OD405(40mM EDTA)) *100%)を用いて計算した。
【0503】
C3b沈着分析:赤血球溶解検定の後の未溶解の赤血球を遠心分離により回収した。細胞をPBSで洗浄した後、PBS緩衝液に再懸濁した。APC標識付き抗C3b抗体(Biolegend、米国カリフォルニア州)を加え、暗所で30分間、氷上で恒温放置した。C3b+染色細胞を通過させ、流動細胞計測器CytoFLEX (Beckman Coulter、蘇州、中国)またはFACSCelesta (BD Biosciences、米国カリフォルニア州)で分析した。NDは検出不可能という意味である。
【0504】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、および刊行物の開示は、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0505】
特定の実施態様を参照して本発明を開示してきたが、当業者が本発明のその他の実施態様および変形例を本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく考案してもよいことは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施態様および相当する変形例を包含すると解釈されるよう意図されている。
本発明の態様の一部を以下に記載する。
1.ヒトC5に特異的に結合する抗体と融合タンパク質パートナーを含む融合タンパク質。
2.前記抗体の結合はpH依存性であり、前記抗体は中性pHのときに酸性pHのときよりも強力にC5に結合する、項目1に記載の融合タンパク質。
3.前記抗体は二機能性抗体融合タンパク質である、項目1または2に記載の融合タンパク質。
4.前記抗体融合タンパク質はC3活性化を阻害する、項目3に記載の融合タンパク質。
5.前記融合タンパク質は補体制御タンパク質を含む、項目1~4のいずれかに記載の融合タンパク質。
6.前記融合タンパク質パートナーは、補体受容体1(CR1)またはその断片、膜補因子タンパク質(MCP)またはその断片、C4b結合タンパク質(C4BP)またはその断片、崩壊促進因子(DAF)またはその断片、アポリポタンパク質E(ApoE)またはその断片、H因子(FH)タンパク質またはその断片、ヒトIgG4またはその断片、リンカー、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項目1~5のいずれかに記載の融合タンパク質。
7.前記FHの断片は前記FHタンパク質のショート・コンセンサス・リピート(SCR)ドメイン1~5を含む、項目6の融合タンパク質。
8.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号11のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
9.前記抗体は配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
10.前記抗体は配列番号13のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
11.前記抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
12.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号14のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
13.前記抗体は配列番号2のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
14.前記抗体は配列番号16のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
15.前記抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
16.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号17のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
17.前記抗体は配列番号19のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
18.前記抗体は配列番号7のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
19.前記抗体は配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
20.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号20のVH-CDR1;配列番号4のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
21.前記抗体は配列番号22のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
22.前記抗体は配列番号25のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
23.前記抗体は配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
24.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号26のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号29のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
25.前記抗体は配列番号28のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
26.前記抗体は配列番号31のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
27.前記抗体は配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
28.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号3のVH-CDR1;配列番号34のVH-CDR2;配列番号5のVH-CDR3;配列番号8のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
29.前記抗体は配列番号36のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
30.前記抗体は配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
31.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号38のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
32.前記抗体は配列番号41のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
33.前記抗体は配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
34.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号43のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
35.前記抗体は配列番号46のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
36.前記抗体は配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
37.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号48のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
38.前記抗体は配列番号51のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
39.前記抗体は配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
40.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号53のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
41.前記抗体は配列番号56のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
42.前記抗体は配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
43.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号47のVH-CDR1;配列番号57のVH-CDR2;配列番号49のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
44.前記抗体は配列番号59のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
45.前記抗体は配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
46.前記抗体は配列番号72のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
47.前記抗体は配列番号74のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む軽鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
48.前記抗体は配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
49.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号37のVH-CDR1;配列番号62のVH-CDR2;配列番号39のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
50.前記抗体は配列番号76のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
51.前記抗体は配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
52.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号42のVH-CDR1;配列番号65のVH-CDR2;配列番号44のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
53.前記抗体は配列番号78のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
54.前記抗体は配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
55.前記抗体は以下のCDR、すなわち配列番号52のVH-CDR1;配列番号68のVH-CDR2;配列番号54のVH-CDR3;配列番号23のVL-CDR1;配列番号9のVL-CDR2;および配列番号10のVL-CDR3、またはそれらのCDRの1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
56.前記抗体は配列番号80のアミノ酸配列またはそのバリアントを含む重鎖を含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
57.前記抗体は配列番号80のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらの鎖の1つ以上のバリアントを含む、項目1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
58.前記抗体は配列番号4に対してVH-CDR2のプロリン4(P4)の置換を含む、項目8、12、16、20、24、28、31、34、37、40、43、49、52、または55に記載の融合タンパク質。
59.前記プロリン4(P4)の置換は、P4→F4(P4F)、P4→L4(P4L)、P4→M4(P4M)、P4→W4(P4W)、およびP4→I4(P4I)からなる群より選択される1つの置換である、項目58に記載の融合タンパク質。
60.前記抗体は配列番号4に対してVH-CDR2のプロリン4(P4)の置換、および配列番号4に対してVH-CDR2のスレオニン9の置換を含む、項目59に記載の融合タンパク質。
61.前記プロリン4(P4)の置換は、P4→F4(P4F)、P4→L4(P4L)、P4→M4(P4M)、P4→W4(P4W)、およびP4→I4(P4I)からなる群より選択される1つの置換であり、前記スレオニン9(T9)の置換は、T9→H9(T9H)、T9→F9(T9F)、T9→L9(T9L)、T9→M9(T9M)、T9→W9(T9W)、およびT9→I9(T9I)からなる群より選択される1つの置換である、項目60に記載の融合タンパク質。
62.前記抗体は配列番号5に対してVH-CDR3のバリン16(V16)の置換を含む、項目8、12、16、20、24、28、31、34、37、40、43、49、52、または55に記載の融合タンパク質。
63.前記バリン16(V16)の置換は、V16→F16(V16F)、V16→E16(V16E)、およびV16→W16(V16W)からなる群より選択される1つの置換である、項目62に記載の融合タンパク質。
64.前記抗体は配列番号20に対してVH-CDR1のロイシン9(L9)の置換を含む、項目8、12、16、20、24、28、31、34、37、40、43、49、52、または55に記載の融合タンパク質。
65.前記ロイシン9(L9)の置換は、L9→W9(L9W)、L9→I9(L9I)、L9→V9(L9V)、L9→Y9(L9Y)、およびL9→F9(L9F)からなる群より選択される1つの置換である、項目64に記載の融合タンパク質。
66.前記抗体は、配列番号4に対するVH-CDR2のプロリン4(P4)、配列番号4に対するVH-CDR2のスレオニン9(T9)、配列番号5に対するVH-CDR3のバリン16(V16)、および配列番号20に対するVH-CDR1のロイシン9(L9)からなる群より選択される2つ以上の置換を含む、項目8、12、16、20、24、28、31、34、37、40、43、49、52、または55に記載の融合タンパク質。
67.前記抗体は、L9I/P4M、L9I/P4W、L9I/P4F、L9F/P4M、L9F/P4W、L9F/P4F、L9I/P4M/V16W、L9I/P4W/V16W、L9I/P4F/V16W、L9F/P4M/V16W、L9F/P4W/V16W、L9F/P4F/V16W、L9I/P4M/V16E、L9I/P4W/V16E、L9I/P4F/V16E、L9F/P4M/V16E、L9F/P4W/V16E、L9F/P4F/V16E、L9I/P4M/T9H/V16W、L9I/P4W/T9H/V16W、L9I/P4F/T9H/V16W、L9F/P4M/T9H/V16W、L9F/P4W/T9H/V16W、L9F/P4F/T9H/V16W、L9I/P4M/T9H/V16E、L9I/P4W/T9H/V16E、L9I/P4F/T9H/V16E、L9F/P4M/T9H/V16E、L9F/P4W/T9H/V16E、およびL9F/P4F/T9H/V16Eからなる群より選択される2つ以上の置換を含む、項目66に記載の融合タンパク質。
68.項目1~67のいずれかに記載の融合タンパク質を個体に投与する工程を含む、前記個体の補体経路関連疾患または障害を治療する方法。
69.前記疾患または障害は、黄斑変性(MD)、加齢黄斑変性(AMD)、虚血再灌流障害、関節炎、関節リウマチ、狼瘡、潰瘍性大腸炎、卒中、手術後の全身性炎症症候群、喘息、アレルギー性喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎(NMO)、多発性硬化症、臓器移植後臓器機能障害、抗体関連型拒絶、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜中心動脈閉塞症(CRAO)、表皮水疱症、敗血症、臓器移植、炎症(心肺バイパス手術および腎臓透析に関連する炎症が挙げられるがこれらに限定されない)、C3糸球体症、膜性腎症、IgA腎症、糸球体腎炎(抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連糸球体腎炎、ループス腎炎、およびそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)、ANCA関連血管炎、志賀毒素誘発性HUS、ならびに抗リン脂質抗体誘発性妊娠損失、またはそれらの任意の組合せからなる群より少なくとも選択される、項目68に記載の方法。
70.個体の補体系の活性を下げる方法であって、前記方法は経腸投与、非経口投与、およびそれらの組合せからなる群より選択される投与経路を介して抗体を前記個体に投与することを含み、前記抗体は項目1~67のいずれかに記載に融合タンパク質である、方法。
71.前記抗体はFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、scFv、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗体断片である、項目70に記載の方法。
72.項目1~67の少なくとも1項に記載の融合タンパク質を含む細胞。
73.項目1~67の少なくとも1項に記載の融合タンパク質を産生する、項目72に記載の細胞。
74.ハイブリドーマである、項目73に記載の細胞。
75.ヒトC5を発現する、ヒト以外の遺伝子改変動物。
76.げっ歯類である、項目75に記載のヒト以外の遺伝子改変動物。
77.マウスである、項目76に記載のヒト以外の遺伝子改変動物。
78.NOD/SCIDマウスである、項目76に記載のヒト以外の遺伝子改変動物。
79.FcRn/SCIDマウスである、項目76に記載のヒト以外の遺伝子改変動物。
80.抗C5抗体部分とFHまたはその機能性断片とを含む融合タンパク質。
81.前記抗C5部分は少なくとも1つのヒスチジン置換を含む、項目80に記載のタンパク質。
82.前記抗C5部分はIgG4鎖を含む、項目80に記載のタンパク質。
83.前記IgG4鎖はPLA変異を含む、項目82に記載のタンパク質。
84.前記FHまたはその機能性断片はFHタンパク質のドメイン1~5を含む、項目80に記載のタンパク質。
【配列表】