IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

特許7654669情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法
<>
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図8
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図9
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図10
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図11
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図12
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図13A
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図13B
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図14
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図15
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図16
  • 特許-情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250325BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20250325BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250325BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20250325BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250325BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20250325BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250325BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/16
B60L58/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022540026
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018565
(87)【国際公開番号】W WO2022024500
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020128493
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】工藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】内藤 栄一
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-297435(JP,A)
【文献】特開2007-323999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/42
H01M 10/48
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/16
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する劣化情報導出部と、
前記劣化情報を出力する出力部と、
を備え
前記劣化情報導出部は、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリを、前記電池の劣化を引き起こす主原因として導出し、前記主原因を示す主原因情報を前記劣化情報として導出し、
前記出力部は、前記主原因を示すメッセージを表示させるためのデータを出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記電池の状態は、前記電池の温度及び電流値の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電池の状態は、前記電池の残容量をさらに含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記劣化情報導出部は、前記電池の劣化速度を示す情報を前記劣化情報として導出する、請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電池の劣化度を示す劣化度情報を取得する劣化度情報取得部をさらに備え、
前記劣化情報導出部は、前記状態情報と前記関連情報と前記劣化度情報とに基づいて、前記劣化速度に応じた前記電池の余寿命である第1余寿命を前記劣化情報として導出する、請求項1~のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記劣化情報導出部はさらに、前記第1余寿命と第2余寿命との余寿命差を前記劣化情報として導出し、
前記第2余寿命は、予め設定された標準的な使用条件における、前記劣化度に応じた前記電池の余寿命である、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
現在地の予想気温を示す気温情報を取得する気温情報取得部をさらに備え、
前記劣化情報導出部は、前記状態情報と前記関連情報と前記気温情報とに基づいて、前記電気機器の好適な保管条件を前記劣化情報として導出する、請求項1~のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置を、
電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する関連情報取得手段と、
前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する劣化情報導出手段と、
前記劣化情報を出力する出力手段と、
として機能させ、
前記劣化情報導出手段は、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリを、前記電池の劣化を引き起こす主原因として導出し、前記主原因を示す主原因情報を前記劣化情報として導出し、
前記出力手段は、前記主原因を示すメッセージを表示させるためのデータを出力する
プログラム。
【請求項9】
情報処理装置が、
電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得し、
前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得し、
前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出し、
前記劣化情報を出力し、
前記劣化情報の導出において、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリを、前記電池の劣化を引き起こす主原因として導出し、前記主原因を示す主原因情報を前記劣化情報として導出し、
前記劣化情報の出力において、前記主原因を示すメッセージを表示させるためのデータを出力する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電気自動車に搭載されている電池の劣化状態を推定する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術によると、ユーザに対してSOH等の電池の劣化状態を提示することはできる。しかし、SOHは電池が劣化した結果としての情報に過ぎないため、ユーザは、自身の運転方法が電池の劣化に対して直接的にどのような影響を及ぼしているのか、SOHによっては容易に理解することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-509103号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は、電気機器に搭載されている電池の劣化の進行速度(劣化速度)に関わる劣化情報をユーザに提示することが可能な技術を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する関連情報取得部と、前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する劣化情報導出部と、前記劣化情報を出力する出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】三次元データマップの一例を簡略化して示す図である。
図3】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図4】表示部へのΔSOHの表示例を示す図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図6】三次元データマップの一例を簡略化して示す図である。
図7】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図8】表示部への劣化の主原因の表示例を示す図である。
図9】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図10】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図11】関連情報の一例である二次元データマップを簡略化して示す図である。
図12】本開示の第3実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図13A】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図13B】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図14】表示部へのバッテリの余寿命の表示例を示す図である。
図15】本開示の第4実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図16】関連情報の一例である二次元データマップを簡略化して示す図である。
図17】情報処理装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見)
バッテリによって駆動される走行モータが搭載された電気自動車の普及が進みつつある。バッテリは、車両の総走行距離に応じて劣化が進行する。バッテリの劣化状態を表す指標としては、一般的にSOH(State Of Health)が使用される。ドライバが視認可能なディスプレイにバッテリのSOHが表示される車両も実用化されている。
【0009】
上記特許文献1には、電気自動車に搭載されている電池の劣化状態(SOH等)を推定する装置が開示されている。当該装置は、車両の速度に関する時系列データを取得し、当該時系列データの中から所定の条件を満たす区間を抽出し、当該区間に対して所定の推定モデルを適用することにより、上記電池の劣化状態を推定する。
【0010】
しかし、SOHは電池が劣化した結果としての情報に過ぎないため、ユーザは、自身の運転方法が電池の劣化に対して直接的にどのような影響を及ぼしているのか、SOHによっては容易に理解することができない。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明者は、電池が劣化した結果としてのSOHではなく、電池の劣化の進行速度(劣化速度)に関わる情報をユーザに提示することにより、電池の劣化に対するユーザの意識を高めることができ、ひいては運転方法の改善によって電池の劣化の抑制効果を期待できるとの知見を得て、本開示を想到するに至った。
【0012】
次に、本開示の各態様について説明する。
【0013】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する関連情報取得部と、前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する劣化情報導出部と、前記劣化情報を出力する出力部と、を備える。
【0014】
この構成によれば、状態情報取得部は、電池の状態を示す状態情報を取得し、関連情報取得部は、電池の状態と電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する。そして、劣化情報導出部は、状態情報取得部が取得した状態情報と、関連情報取得部が取得した関連情報とに基づいて、電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する。出力部が当該劣化情報を出力することにより、電気機器に搭載されている電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することが可能となる。電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することにより、電池の劣化に対するユーザの意識を高めることができ、ひいては電気機器の使用方法の改善によって電池の劣化の抑制効果を期待できる。
【0015】
上記態様において、前記電池の状態は、前記電池の温度及び電流値の少なくとも一方を含む。
【0016】
この構成によれば、電池の温度及び電流値の少なくとも一方を示す状態情報を用いることにより、劣化情報の精度を高めることが可能となる。
【0017】
上記態様において、前記電池の状態は、前記電池の残容量をさらに含む。
【0018】
この構成によれば、電池の残容量をさらに示す状態情報を用いることにより、劣化情報の精度をさらに高めることが可能となる。
【0019】
上記態様において、前記劣化情報導出部は、前記電池の劣化速度を示す情報を前記劣化情報として導出する。
【0020】
この構成によれば、電池の劣化速度を示す情報をユーザに提示することが可能となる。
【0021】
上記態様において、前記劣化情報導出部は、前記電池の劣化を引き起こす主原因情報を前記劣化情報として導出する。
【0022】
この構成によれば、電池の劣化を引き起こす主原因情報をユーザに提示することが可能となる。
【0023】
上記態様において、前記電池の劣化度を示す劣化度情報を取得する劣化度情報取得部をさらに備え、前記劣化情報導出部は、前記状態情報と前記関連情報と前記劣化度情報とに基づいて、前記劣化速度に応じた前記電池の余寿命である第1余寿命を前記劣化情報として導出する。
【0024】
この構成によれば、劣化速度に応じた電池の余寿命である第1余寿命をユーザに提示することが可能となる。
【0025】
上記態様において、前記劣化情報導出部はさらに、前記第1余寿命と第2余寿命との余寿命差を前記劣化情報として導出し、前記第2余寿命は、予め設定された標準的な使用条件における、前記劣化度に応じた前記電池の余寿命である。
【0026】
この構成によれば、第1余寿命と第2余寿命との余寿命差をユーザに提示することが可能となる。
【0027】
上記態様において、現在地の予想気温を示す気温情報を取得する気温情報取得部をさらに備え、前記劣化情報導出部は、前記状態情報と前記関連情報と前記気温情報とに基づいて、前記電気機器の好適な保管条件を前記劣化情報として導出する。
【0028】
この構成によれば、現在地の予想気温に応じた電気機器の好適な保管条件をユーザに提示することが可能となる。
【0029】
本開示の一態様に係るプログラムは、情報処理装置を、電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する関連情報取得手段と、前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する劣化情報導出手段と、前記劣化情報を出力する出力手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0030】
この構成によれば、状態情報取得手段は、電池の状態を示す状態情報を取得し、関連情報取得手段は、電池の状態と電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得する。そして、劣化情報導出手段は、状態情報取得手段が取得した状態情報と、関連情報取得手段が取得した関連情報とに基づいて、電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する。出力手段が当該劣化情報を出力することにより、電気機器に搭載されている電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することが可能となる。電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することにより、電池の劣化に対するユーザの意識を高めることができ、ひいては電気機器の使用方法の改善によって電池の劣化の抑制効果を期待できる。
【0031】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置が、電池によって駆動される電気機器に搭載される前記電池の状態を示す状態情報を取得し、前記電池の状態と前記電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得し、前記状態情報と前記関連情報とに基づいて、前記電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出し、前記劣化情報を出力する。
【0032】
この構成によれば、情報処理装置は、電池の状態を示す状態情報を取得し、電池の状態と電池の劣化速度との関連を示す関連情報を取得し、取得した状態情報と関連情報とに基づいて電池の劣化速度に関わる劣化情報を導出する。当該劣化情報を出力することにより、電気機器に搭載されている電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することが可能となる。電池の劣化速度に関わる劣化情報をユーザに提示することにより、電池の劣化に対するユーザの意識を高めることができ、ひいては電気機器の使用方法の改善によって電池の劣化の抑制効果を期待できる。
【0033】
上述した本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又はこれらの任意の組合せとして実現することができる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な不揮発性の記録媒体として流通させ、あるいは、インターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0034】
以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0035】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態の例において、情報処理装置1Aは、電気機器の一例としての電気自動車に搭載される。但し、情報処理装置1Aは、電気自動車に限らず、電池によって駆動される任意の電気機器(例えば、電動バイク等の車両又はスマートフォン等の電子機器)に搭載されても良い。
【0037】
電気自動車は、走行用の走行モータ(不図示)と、当該走行モータに電力を供給するバッテリ2とを備えている。バッテリ2は、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。また、電気自動車は、バッテリコントローラ3、電流値センサ4、温度センサ5、記憶部6、及び表示部7を備えている。バッテリコントローラ3は、バッテリ2の充放電制御及び状態管理を行う。電流値センサ4は、バッテリ2の充放電電流(少なくとも放電電流)の電流値を測定する。温度センサ5は、バッテリ2の温度を測定する。記憶部6は、フラッシュメモリ等である。記憶部6には、後述する関連情報30Aが格納されている。表示部7は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。表示部7は、電気自動車の運転席前方のインストルメントパネル等、電気自動車のドライバが着座時に視認可能な位置に配置されている。
【0038】
情報処理装置1Aは、状態情報取得部11、関連情報取得部12、劣化情報導出部13A、及び出力部14を備えている。状態情報取得部11は、SOC取得部21、電流値取得部22、及び温度取得部23を有している。情報処理装置1Aが備えるこれらの機能は、CPU等の信号処理部が、ROM等の不揮発性記録媒体8に格納されているコンピュータプログラム9を読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実行されても良いし、FPGA等の専用回路を用いてハードウェアとして実現されても良い。
【0039】
状態情報取得部11は、バッテリ2の状態を示す状態情報を取得する。具体的に、SOC取得部21は、バッテリ2の残容量(SOC:State Of Charge)を示す情報をバッテリコントローラ3から取得し、当該情報をデータD1として劣化情報導出部13Aに入力する。電流値取得部22は、バッテリ2の充放電電流の電流値を示す情報を電流値センサ4から取得し、当該情報をデータD2として劣化情報導出部13Aに入力する。温度取得部23は、バッテリ2の温度を示す情報を温度センサ5から取得し、当該情報をデータD3として劣化情報導出部13Aに入力する。
【0040】
関連情報取得部12は、記憶部6からのデータ読み出しによって関連情報30Aを取得し、当該関連情報30AをデータD4Aとして劣化情報導出部13Aに入力する。なお、関連情報取得部12は、記憶部6からのデータ読み出しに代えて、電気自動車の外部のクラウドサーバから無線通信によってデータを受信することによって、関連情報30Aを取得しても良い。
【0041】
関連情報30Aは、バッテリ2の状態(SOC、電流値、及び温度)と、バッテリ2の劣化速度との関連を示す情報である。劣化速度は、単位時間又は単位走行距離あたりのバッテリ2の劣化度の変化量を表す。本実施形態では、バッテリの劣化度を表す一般的な指標であるSOHを用いて、バッテリ2の劣化速度を「ΔSOH」と表す。
【0042】
第1の例として、関連情報30Aは、機械学習による学習済みモデルとして得られる。学習フェーズにおいて、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度のデータに対して、ΔSOHの正解ラベルを付したものを教師データとして用いて、学習モデルを構築することにより、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度と、ΔSOHとの関係を示す学習済みモデルを出力する。この学習済みモデルとして関連情報30Aが得られる。そして、利用フェーズにおいて、情報処理装置1Aが、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度のデータを入力情報として、当該入力情報を上記学習済みモデルに入力することにより、上記学習済みモデルの内部処理を経て、ΔSOHを出力する。なお、機械学習のアルゴリズムとしては、上記の出力結果が達成されるものであれば特に限定されず、例えば、重回帰分析又はニューラルネットワーク等の回帰アルゴリズムを用いることができる。
【0043】
第2の例として、関連情報30Aは、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度を入力データとし、ΔSOHを出力データとする三次元データマップとして得られる。図2は、三次元データマップの一例を簡略化して示す図である。温度及び電流値を入力データとし、ΔSOHを出力データとする二次元データマップが、所定間隔(この例では10%間隔)のSOCごとに作成されることにより、三次元データマップが構築されている。各々の二次元データマップにおいて、バッテリ2の温度が適温かつ電流値が最小の時にΔSOHは最小となり、バッテリ2の温度が適温から遠ざかるほど、又はバッテリ2の電流値が大きくなるほど、ΔSOHは大きくなる。また、温度及び電流値が同一条件であれば、SOCが小さいほどΔSOHは小さくなる。なお、二次元データマップが用意されていない値のSOCに関しては、そのSOCの値を挟む2つの二次元データマップを用いた補間演算によってΔSOHを求めることができる。
【0044】
なお、上記第1及び第2の例に関して、バッテリ2の状態としては、電流値及び温度の少なくとも一方が含まれていれば良いが、ΔSOHの精度を高めるためには、電流値及び温度の双方が含まれていると良い。望ましくは、上記第1及び第2の例に示したように、SOC、電流値、及び温度の全てが含まれていると良い。
【0045】
図1を参照して、劣化情報導出部13Aは、データD4Aで示される関連情報30A(上記の学習済みモデル又は三次元データマップ)を参照することにより、データD1~D3で示されるバッテリ2の状態情報(SOC、電流値、及び温度)に対応する、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報(本実施形態ではΔSOHそのもの)を導出する。劣化情報導出部13Aは、導出したΔSOHを示すデータD5Aを出力部14に入力し、出力部14はデータD5Aを出力する。出力部14が出力したデータD5Aは、表示部7に入力される。
【0046】
図3は、情報処理装置1Aが実行する処理の流れを示すフローチャートである。電気自動車の電源がオンされて情報処理装置1Aが起動することにより、処理の実行が開始される。
【0047】
まずステップS101において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Aを取得し、当該関連情報30Aを劣化情報導出部13Aに入力する。
【0048】
次にステップS102においてSOC取得部21は、バッテリ2のSOCを示す情報をバッテリコントローラ3から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Aに入力する。
【0049】
次にステップS103において電流値取得部22は、バッテリ2の充放電電流の電流値を示す情報を電流値センサ4から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Aに入力する。
【0050】
次にステップS104において温度取得部23は、バッテリ2の温度を示す情報を温度センサ5から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Aに入力する。
【0051】
次にステップS105において劣化情報導出部13Aは、ステップS101で入力された関連情報30Aを参照することにより、ステップS102~S104で入力されたバッテリ2のSOC、電流値、及び温度に対応する、バッテリ2のΔSOHを導出する。
【0052】
次にステップS106において出力部14は、ステップS105で導出されたΔSOHを示すデータD5Aを出力する。出力部14が出力したデータD5Aは、表示部7に入力される。
【0053】
次にステップS107において情報処理装置1Aは、電気自動車の電源がオフされたか否かによって、電気自動車の使用が終了されたか否かを判定する。
【0054】
電気自動車の使用が終了されていない場合(ステップS107:NO)は、情報処理装置1Aは、所定の間隔(例えば1秒間隔)でステップS102~S107の処理を繰り返し実行する。
【0055】
電気自動車の使用が終了された場合(ステップS107:YES)は、情報処理装置1Aは処理を終了する。
【0056】
図4は、表示部7へのΔSOHの表示例を示す図である。警告灯を模した図形41は、ΔSOHが所定の閾値以上である場合に点灯し、ΔSOHが当該閾値未満である場合に消灯する。速度メータを模した図形42は、ΔSOHの値が大きいほど針が右方向に回転移動し、ΔSOHの値が小さいほど針が左方向に回転移動する。バッテリ形状を模した図形43は、SOCを示す。なお、SOCに加えてSOHを表示しても良い。また、表示場所は、運転席前方のインストルメントパネルに限らず、予め登録された携帯端末(ユーザのスマートフォン等)が備える表示画面であっても良い。このように、表示部7への情報表示の態様によって、バッテリ2の現在のΔSOHをユーザに提示することができる。なお、提示の態様は、表示に限らず、スピーカからの音声出力であっても良いし、電気自動車のペダル又はハンドルへの振動発生等であっても良い。
【0057】
本実施形態によれば、状態情報取得部11は、バッテリ2の状態を示す状態情報を取得し、関連情報取得部12は、バッテリ2の状態と劣化速度との関連を示す関連情報30Aを取得する。そして、劣化情報導出部13Aは、状態情報取得部11が取得した状態情報と、関連情報取得部12が取得した関連情報とに基づいて、バッテリ2のΔSOHに関わる劣化情報を導出する。出力部14が当該劣化情報を出力することにより、電気自動車等の電気機器に搭載されているバッテリ2のΔSOHに関わる劣化情報をユーザに提示することが可能となる。バッテリ2のΔSOHに関わる劣化情報をユーザに提示することにより、バッテリ2の劣化に対するユーザの意識を高めることができ、ひいては運転方法の改善によってバッテリ2の劣化の抑制効果を期待できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、バッテリ2の温度及び電流値の少なくとも一方を示す状態情報を用いることにより、ΔSOHの精度を高めることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態によれば、バッテリ2のSOCをさらに示す状態情報を用いることにより、ΔSOHの精度をさらに高めることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態によれば、劣化情報導出部13Aがバッテリ2のΔSOHを示す情報を劣化情報として導出することにより、バッテリ2のΔSOHを示す情報をユーザに提示することが可能となる。
【0061】
(第2実施形態)
図5は、本開示の第2実施形態に係る情報処理装置1Bの構成を示すブロック図である。図1に示した構成との相違点は以下の通りである。情報処理装置1Bは、劣化情報導出部13Aに代えて劣化情報導出部13Bを備えている。記憶部6には、関連情報30Aに代えて関連情報30Bが格納されている。情報処理装置1Bは、計時部52を備えている。計時部52は、周期が既知であるシステムクロック等のクロック数をカウントすることにより、経過時間を計測する。電気自動車は、記憶部51を備えている。記憶部51は、フラッシュメモリ等である。記憶部51は、バッテリコントローラ3から出力されたSOCを示す情報、電流値センサ4から出力された電流値を示す情報、及び、温度センサ5から出力された温度を示す情報を蓄積する。
【0062】
SOC取得部21は、バッテリ2のSOCを示す情報を記憶部51から読み出すことによって取得し、当該情報をデータD1として劣化情報導出部13Bに入力する。電流値取得部22は、バッテリ2の充放電電流の電流値を示す情報を記憶部51から読み出すことによって取得し、当該情報をデータD2として劣化情報導出部13Bに入力する。温度取得部23は、バッテリ2の温度を示す情報を記憶部51から読み出すことによって取得し、当該情報をデータD3として劣化情報導出部13Bに入力する。関連情報取得部12は、関連情報30Bを記憶部6から読み出すことによって取得し、当該関連情報30BをデータD4Bとして劣化情報導出部13Bに入力する。
【0063】
関連情報30Bは、バッテリ2の状態(SOC、電流値、及び温度)と、バッテリ2の劣化を引き起こす原因カテゴリとの関連を示す情報である。
【0064】
第1の例として、関連情報30Bは、機械学習による学習済みモデルとして得られる。学習フェーズにおいて、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度のデータに対して、劣化の原因カテゴリの正解ラベルを付したものを教師データとして用いて、学習モデルを構築することにより、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度と、劣化の原因カテゴリとの関係を示す学習済みモデルを出力する。この学習済みモデルとして関連情報30Bが得られる。そして、利用フェーズにおいて、情報処理装置1Bが、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度のデータを入力情報として、当該入力情報を上記学習済みモデルに入力することにより、上記学習済みモデルの内部処理を経て、劣化の原因カテゴリを出力する。なお、機械学習のアルゴリズムとしては、上記の出力結果が達成されるものであれば特に限定されず、例えば、サポートベクターマシン又はニューラルネットワーク等の多項分類アルゴリズムを用いることができる。
【0065】
第2の例として、関連情報30Bは、バッテリ2のSOC、電流値、及び温度を入力データとし、劣化の原因カテゴリを出力データとする三次元データマップとして得られる。図6は、三次元データマップの一例を簡略化して示す図である。温度及び電流値を入力データとし、原因カテゴリA~Cを出力データとする二次元データマップが、所定間隔(この例では10%間隔)のSOCごとに作成されることにより、三次元データマップが構築されている。各々の二次元データマップにおいて、バッテリ2の電流値が所定の閾値より大きい場合には、電流値が大きすぎることを劣化の原因とする原因カテゴリAに分類される。バッテリ2の電流値が所定の閾値以下であり、かつバッテリ2の温度が所定の許容下限値より低い場合には、温度が低すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリBに分類される。バッテリ2の電流値が所定の閾値以下であり、かつバッテリ2の温度が所定の許容上限値より高い場合には、温度が高すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリCに分類される。上記の所定の閾値、所定の許容下限値、及び所定の許容上限値は、SOCが異なる二次元データマップごとに個別に設定される。なお、二次元データマップが用意されていない値のSOCに関しては、そのSOCの値を挟む2つの二次元データマップを用いた補間演算によって上記の所定の閾値、所定の許容下限値、及び所定の許容上限値を求めることができる。なお、図2図6とを比較すると明らかなように、原因カテゴリA~Cは、ΔSOHが大きい領域に対応して設定されている。従って、原因カテゴリの分類によって特定される劣化の原因情報は、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報の一つと捉えることができる。
【0066】
図5を参照して、劣化情報導出部13Bは、データD4Bで示される関連情報30B(上記の学習済みモデル又は三次元データマップ)を参照することにより、データD1~D3で示されるバッテリ2の状態情報(SOC、電流値、及び温度)に対応する、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報(本実施形態では劣化の主原因情報)を導出する。劣化情報導出部13Bは、導出した主原因情報を示すデータD5Bを出力部14に入力し、出力部14はデータD5Bを出力する。出力部14が出力したデータD5Bは、表示部7に入力される。
【0067】
図7は、車両の使用中に生じているバッテリ2の劣化の主原因を車両の使用中に提示する例において、情報処理装置1Bが実行する処理の流れを示すフローチャートである。電気自動車の電源がオンされて情報処理装置1Bが起動することにより、処理の実行が開始される。電気自動車の電源がオンされると、バッテリコントローラ3、電流値センサ4、及び温度センサ5は、所定のサンプリング間隔で、SOCを示す情報、電流値を示す情報、及び温度を示す情報をそれぞれ出力し、これらの状態情報は記憶部51に蓄積される。以下の例では状態情報のサンプリング間隔は1秒とするが、これに限定されず、数ミリ秒~数秒の任意の時間間隔であれば良い。
【0068】
まずステップS201において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Bを取得し、当該関連情報30Bを劣化情報導出部13Bに入力する。
【0069】
次にステップS202において状態情報取得部11は、計時部52による経過時間の計測結果に基づいて、状態情報の取得時刻が到来したか否かを判定する。本実施形態の例では、バッテリ2の劣化原因判定の対象期間が直近の所定期間に設定されている。以下の例では対象期間は直近の10分間とするが、これに限定されず、数分~数時間の任意の期間であれば良い。状態情報取得部11は、電気自動車の電源がオンされた時点から10分が経過したことにより、状態情報の1回目の取得時刻が到来したと判定する。
【0070】
状態情報の取得時刻が到来していない場合(ステップS202:NO)は、状態情報の取得時刻が到来するまでステップS202の処理が繰り返し実行される。
【0071】
状態情報の取得時刻が到来した場合(ステップS202:YES)は、次にステップS203においてSOC取得部21は、記憶部51に蓄積されている直近10分間分のSOCを示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0072】
次にステップS204において電流値取得部22は、記憶部51に蓄積されている直近10分間分の電流値を示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0073】
次にステップS205において温度取得部23は、記憶部51に蓄積されている直近10分間分の温度を示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0074】
次にステップS206において劣化情報導出部13Bは、ステップS201で入力された関連情報30Bを参照することにより、ステップS203~S205で入力されたバッテリ2の状態情報(SOC、電流値、及び温度)に基づいて、バッテリ2の劣化の原因カテゴリを推定する。具体的に、劣化情報導出部13Bは、同時刻に測定されたSOC、電流値、及び温度のデータセットに対して、関連情報30Bに基づいて劣化の原因カテゴリを推定する。劣化情報導出部13Bは、対象期間に含まれる全てのデータセットに対して、原因カテゴリの推定をそれぞれ行う。この例では、対象期間が直近10分間であり、状態情報のサンプリング間隔が1秒であるため、対象期間内に600個のデータセットが存在する。劣化情報導出部13Bは、600個のデータセットの各々に対して、関連情報30Bに基づいて原因カテゴリの推定を行う。
【0075】
次にステップS207において劣化情報導出部13Bは、ステップS206で推定した全ての原因カテゴリの中に、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリが存在するか否かを判定する。
【0076】
頻出の原因カテゴリが存在しない場合(ステップS207:NO)は、ステップS202に戻って上記と同様の処理が実行される。2回目以降の状態情報の取得に関しては、前回の取得時刻から所定時間が経過した時刻が、次回の取得時刻とされる。当該所定時間は、状態情報のサンプリング間隔以上の任意の時間であり、以下の例では10秒とする。この例の場合、状態情報取得部11は、最新の10秒間分の状態情報を記憶部51から新たに取得して劣化情報導出部13Bに入力する。劣化情報導出部13Bは、保持している10分間分の状態情報のうち最も古い10秒間分の状態情報を破棄し、状態情報取得部11から入力された新たな10秒間分の状態情報を追加することにより、新たな直近10分間の対象期間に対して上記と同様の処理を行う。
【0077】
頻出の原因カテゴリが存在する場合(ステップS207:YES)は、次にステップS208において劣化情報導出部13Bは、その頻出の原因カテゴリを、バッテリ2の劣化を引き起こす主原因として導出する。
【0078】
次にステップS209において出力部14は、ステップS208で導出された劣化の主原因を示すデータD5Bを出力する。出力部14が出力したデータD5Bは、表示部7に入力される。
【0079】
次にステップS210において情報処理装置1Bは、電気自動車の電源がオフされたか否かによって、電気自動車の使用が終了されたか否かを判定する。
【0080】
電気自動車の使用が終了されていない場合(ステップS210:NO)は、情報処理装置1Bは、ステップS202~S210の処理を繰り返し実行する。
【0081】
電気自動車の使用が終了された場合(ステップS210:YES)は、情報処理装置1Bは処理を終了する。
【0082】
以上の処理により、電気自動車の使用中に生じているバッテリ2の劣化の主原因が、電気自動車の使用中にユーザに提示される。
【0083】
図8は、表示部7への劣化の主原因の表示例を示す図である。警告灯を模した図形44は、最新の対象期間において劣化の主原因が存在する場合に点灯し、存在しない場合に消灯する。メッセージ表示エリア45には、劣化の主原因の内容をユーザに報知するためのテキストメッセージが表示される。図8に示した例では、最新の対象期間においてバッテリ2の電流値が大きすぎることが劣化の主原因として導出された結果、アクセルの開度が大きいとバッテリ2の劣化が早まることを報知するテキストメッセージが、メッセージ表示エリア45に表示されている。なお、同一の対象期間に関して劣化の主原因が複数存在する場合には、複数の主原因がメッセージ表示エリア45に同時に表示されても良い。
【0084】
図9は、車両の使用中に生じたバッテリ2の劣化の主原因を車両の使用後に提示する例において、情報処理装置1Bが実行する処理の流れを示すフローチャートである。電気自動車の電源がオンされると、バッテリコントローラ3、電流値センサ4、及び温度センサ5は、所定のサンプリング間隔(この例では1秒)でバッテリ2の状態情報(SOC、電流値、及び温度)をそれぞれ出力し、これらの状態情報は記憶部51に蓄積される。
【0085】
電気自動車の電源がオフされることにより、情報処理装置1Bが起動されて、図9に示した処理の実行が開始される。
【0086】
まずステップS211において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Bを取得し、当該関連情報30Bを劣化情報導出部13Bに入力する。
【0087】
次にステップS212においてSOC取得部21は、今回(つまり電気自動車の電源がオンされてからオフされるまでの間)の使用によって記憶部51に蓄積されたSOCを示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0088】
次にステップS213において電流値取得部22は、今回の使用によって記憶部51に蓄積された電流値を示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0089】
次にステップS214において温度取得部23は、今回の使用によって記憶部51に蓄積された温度を示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0090】
次にステップS215において劣化情報導出部13Bは、ステップS211で入力された関連情報30Bを参照することにより、ステップS212~S214で入力されたバッテリ2の状態情報(SOC、電流値、及び温度)に基づいて、バッテリ2の劣化の原因カテゴリを推定する。つまり、劣化情報導出部13Bは、今回の使用によって記憶部51に蓄積された状態情報の全てのデータセットの各々に対して、関連情報30Bに基づいて原因カテゴリの推定を行う。
【0091】
次にステップS216において劣化情報導出部13Bは、ステップS215で推定した全ての原因カテゴリの中に、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリが存在するか否かを判定する。
【0092】
頻出の原因カテゴリが存在しない場合(ステップS216:NO)は、情報処理装置1Bは処理を終了する。
【0093】
頻出の原因カテゴリが存在する場合(ステップS216:YES)は、次にステップS217において劣化情報導出部13Bは、その頻出の原因カテゴリを、バッテリ2の劣化を引き起こす主原因として導出する。
【0094】
次にステップS218において出力部14は、ステップS217で導出された劣化の主原因を示すデータD5Bを出力する。出力部14が出力したデータD5Bは、表示部7に入力される。
【0095】
以上の処理により、電気自動車の今回の使用中に生じたバッテリ2の劣化の主原因が、電気自動車の使用後にユーザに提示される。例えば、今回の使用においてバッテリ2の温度が高すぎることが劣化の主原因として導出された場合には、使用温度が高すぎるバッテリ2の劣化が早まることを報知するテキストメッセージが、図8に示したメッセージ表示エリア45に表示される。
【0096】
図10は、車両の保管中に生じたバッテリ2の劣化の主原因を車両の使用開始後に提示する例において、情報処理装置1Bが実行する処理の流れを示すフローチャートである。電気自動車の電源がオフされることにより、情報処理装置1Bが起動されて、処理の実行が開始される。
【0097】
まずステップS221において情報処理装置1Bは、計時部52による経過時間の計測結果に基づいて、バッテリ2の状態情報の保存時刻が到来したか否かを判定する。情報処理装置1Bは、電気自動車の電源がオフされた時点から所定の時間間隔が経過するごとに、バッテリ2の状態情報の保存時刻が到来したと判定する。以下の例では所定の時間間隔は1時間とするが、これに限定されず、数分~数時間の任意の時間であれば良い。
【0098】
状態情報の保存時刻が到来していない場合(ステップS221:NO)は、状態情報の保存時刻が到来するまでステップS221の処理が繰り返し実行される。
【0099】
状態情報の保存時刻が到来した場合(ステップS221:YES)は、次にステップS222において情報処理装置1Bは、その時点でのバッテリ2のSOCを示す情報をバッテリコントローラ3から出力させ、当該情報を記憶部51に保存する。
【0100】
次にステップS223において情報処理装置1Bは、その時点でのバッテリ2の温度を示す情報を温度センサ5から出力させ、当該情報を記憶部51に保存する。
【0101】
次にステップS224において情報処理装置1Bは、電気自動車の電源がオンされたか否かによって、電気自動車使用が開始されたか否かを判定する。
【0102】
電気自動車の使用が開始されていない場合(ステップS224:NO)は、情報処理装置1Bは、ステップS221~S224の処理を繰り返し実行する。
【0103】
電気自動車の使用が開始された場合(ステップS224:YES)は、次にステップS225において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Bを取得し、当該関連情報30Bを劣化情報導出部13Bに入力する。
【0104】
図11は、関連情報30Bの一例である二次元データマップを簡略化して示す図である。バッテリ2の温度及びSOCを入力データとし、原因カテゴリD~Fを出力データとする二次元データマップが構築されている。バッテリ2の温度が所定の許容下限値より低い場合には、温度が低すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリEに分類される。バッテリ2の温度が所定の許容上限値より高い場合には、温度が高すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリFに分類される。バッテリ2の温度が許容下限値以上・許容上限値以下であり、かつ、SOCが所定の閾値以上である場合には、SOCが大きすぎることを劣化の原因とする原因カテゴリDに分類される。
【0105】
図10を参照して、次にステップS226においてSOC取得部21は、今回(つまり電気自動車の電源がオフされてからオンされるまでの間)の保管によって記憶部51に蓄積されたSOCを示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0106】
次にステップS227において温度取得部23は、今回の保管によって記憶部51に蓄積された温度を示す情報を記憶部51から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Bに入力する。
【0107】
次にステップS228において劣化情報導出部13Bは、ステップS225で入力された関連情報30Bを参照することにより、ステップS226,S227で入力されたバッテリ2の状態情報(SOC及び温度)に基づいて、バッテリ2の劣化の原因カテゴリを推定する。つまり、劣化情報導出部13Bは、今回の保管によって記憶部51に蓄積された状態情報の全てのデータセットの各々に対して、関連情報30Bに基づいて原因カテゴリの推定を行う。
【0108】
次にステップS229において劣化情報導出部13Bは、ステップS228で推定した全ての原因カテゴリの中に、発生の頻度が所定値以上である頻出の原因カテゴリが存在するか否かを判定する。
【0109】
頻出の原因カテゴリが存在しない場合(ステップS229:NO)は、情報処理装置1Bは処理を終了する。
【0110】
頻出の原因カテゴリが存在する場合(ステップS229:YES)は、次にステップS230において劣化情報導出部13Bは、その頻出の原因カテゴリを、バッテリ2の劣化を引き起こす主原因として導出する。
【0111】
次にステップS231において出力部14は、ステップS230で導出された劣化の主原因を示すデータD5Bを出力する。出力部14が出力したデータD5Bは、表示部7に入力される。
【0112】
以上の処理により、電気自動車の今回の保管中に生じたバッテリ2の劣化の主原因が、電気自動車の使用開始後にユーザに提示される。例えば、今回の保管においてバッテリ2のSOCが大きすぎることが劣化の主原因として導出された場合には、満充電に近い状態で保管するとバッテリ2の劣化が早まることを報知するテキストメッセージが、図8に示したメッセージ表示エリア45に表示される。
【0113】
本実施形態によれば、バッテリ2の劣化を引き起こす主原因情報をユーザに提示することができる。これにより、ユーザは、自身の運転方法又は保管方法がバッテリ2の劣化に対して直接的にどのような影響を及ぼしているのか、容易に理解することが可能となる。
【0114】
(第3実施形態)
図12は、本開示の第3実施形態に係る情報処理装置1Cの構成を示すブロック図である。図1に示した構成との相違点は以下の通りである。情報処理装置1Cは、劣化情報導出部13Aに代えて劣化情報導出部13Cを備えている。情報処理装置1Cは、状態情報取得部11に代えて状態情報取得部11Cを備えている。状態情報取得部11Cは、SOH取得部20を有している。記憶部6には、関連情報30Aに代えて関連情報30Cが格納されている。情報処理装置1Cは、走行ログ情報取得部54及びΔSOH記憶部55を備えている。ΔSOH記憶部55は、ROM又はRAM等である。電気自動車は、走行ログ情報記憶部53を備えている。走行ログ情報記憶部53は、フラッシュメモリ等である。走行ログ情報記憶部53は、電気自動車の走行時間、走行距離、及び走行速度等の走行ログ情報を蓄積する。
【0115】
SOH取得部20は、バッテリ2の劣化度としてSOHを示す情報をバッテリコントローラ3から取得し、当該情報をデータD12として劣化情報導出部13Cに入力する。
【0116】
走行ログ情報取得部54は、走行ログ情報を走行ログ情報記憶部53から読み出すことによって取得し、当該走行ログ情報をデータD11として劣化情報導出部13Cに入力する。
【0117】
関連情報取得部12は、関連情報30Cを記憶部6から読み出すことによって取得し、当該関連情報30CをデータD4Cとして劣化情報導出部13Cに入力する。関連情報30Cは、関連情報30Aと同様に、バッテリ2の状態(SOC、電流値、及び温度)と、バッテリ2の劣化速度(ΔSOH)との関連を示す情報である。
【0118】
劣化情報導出部13Cは、データD4Cで示される関連情報30Cを参照することにより、データD1~D3のデータセットに対応するΔSOHを導出する。劣化情報導出部13Cは、導出したΔSOHをデータD10としてΔSOH記憶部55に入力する。これにより、劣化情報導出部13Cによって導出されたΔSOHがΔSOH記憶部55に保存される。劣化情報導出部13Cは、この一連の処理を、所定のサンプリング間隔(この例では1秒)で繰り返し実行する。これにより、複数のデータセットの各々に対応するΔSOHが、ΔSOH記憶部55に保存される。
【0119】
また、劣化情報導出部13Cは、走行ログ情報取得部54からデータD11として入力された走行ログ情報と、ΔSOH記憶部55から読み出したΔSOHとに基づいて、今回(つまり電気自動車の電源がオンされてからオフされるまでの間)の使用における、単位時間又は単位走行距離あたりのΔSOHの平均値(平均劣化速度)を算出する。劣化情報導出部13Cは、SOH取得部20からデータD12として入力された現在のSOHと、算出した平均劣化速度とに基づいて、当該平均劣化速度に応じたバッテリ2の余寿命である第1余寿命を導出する。時間に基づいて平均劣化速度が算出される例として、現在のSOHが80(%)であり、メーカ推奨の下限SOHが50(%)であり、平均劣化速度が0.002(%/分)である場合には、(80-50)/0.002=15000(分)が、バッテリ2の第1余寿命となる。走行距離に基づいて平均劣化速度が算出される例として、現在のSOHが80(%)であり、メーカ推奨の下限SOHが50(%)であり、平均劣化速度が0.002(%/km)である場合には、(80-50)/0.002=15000(km)が、バッテリ2の第1余寿命となる。第1余寿命は、ΔSOHに応じて変動するため、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報の一つと捉えることができる。
【0120】
また、温度及び電流値等に関して無駄な劣化要因のない標準的な使用条件におけるバッテリ2の劣化速度(標準劣化速度)が予め設定されて、その設定情報が劣化情報導出部13Cによって保持されている。劣化情報導出部13Cは、SOH取得部20からデータD12として入力された現在のSOHと、標準劣化速度とに基づいて、当該標準劣化速度に応じたバッテリ2の余寿命である第2余寿命を導出する。時間に基づいて標準劣化速度が設定されている例として、現在のSOHが80(%)であり、メーカ推奨の下限SOHが50(%)であり、標準劣化速度が0.0015(%/分)である場合には、(80-50)/0.0015=20000(分)が、バッテリ2の第2余寿命となる。走行距離に基づいて標準劣化速度が設定されている例として、現在のSOHが80(%)であり、メーカ推奨の下限SOHが50(%)であり、標準劣化速度が0.0015(%/km)である場合には、(80-50)/0.0015=20000(km)が、バッテリ2の第2余寿命となる。劣化情報導出部13Cは、第2余寿命から第1余寿命を減算することにより、第1余寿命と第2余寿命との余寿命差を導出する。この余寿命差は、ΔSOHに応じて変動するため、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報の一つと捉えることができる。
【0121】
劣化情報導出部13Cは、導出した第1余寿命及び余寿命差を示すデータD5Cを出力部14に入力し、出力部14はデータD5Cを出力する。出力部14が出力したデータD5Cは、表示部7に入力される。
【0122】
図13A,13Bは、情報処理装置1Cが実行する処理の流れを示すフローチャートである。図13A,13Bに示したフローチャートは、接続点1によって互いに接続される。電気自動車の電源がオンされて情報処理装置1Cが起動することにより、処理の実行が開始される。
【0123】
まずステップS301において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Cを取得し、当該関連情報30Cを劣化情報導出部13Cに入力する。
【0124】
次にステップS302においてSOC取得部21は、バッテリ2のSOCを示す情報をバッテリコントローラ3から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Cに入力する。
【0125】
次にステップS303において電流値取得部22は、バッテリ2の充放電電流の電流値を示す情報を電流値センサ4から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Cに入力する。
【0126】
次にステップS304において温度取得部23は、バッテリ2の温度を示す情報を温度センサ5から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Cに入力する。
【0127】
次にステップS305において劣化情報導出部13Cは、ステップS301で入力された関連情報30Cを参照することにより、ステップS302~S304で入力された状態情報のデータセットに対応する、バッテリ2のΔSOHを導出する。
【0128】
次にステップS306において劣化情報導出部13Cは、ステップS305で導出したΔSOHを、ΔSOH記憶部55に保存する。
【0129】
次にステップS307において情報処理装置1Cは、電気自動車の電源がオフされたか否かによって、電気自動車の使用が終了されたか否かを判定する。
【0130】
電気自動車の使用が終了されていない場合(ステップS307:NO)は、情報処理装置1Cは、所定のサンプリング間隔(この例では1秒間隔)でステップS302~S307の処理を繰り返し実行する。
【0131】
電気自動車の使用が終了された場合(ステップS307:YES)は、次にステップS308において走行ログ情報取得部54は、今回(つまり電気自動車の電源がオンされてからオフされるまでの間)の使用において蓄積された走行ログ情報を走行ログ情報記憶部53から取得し、当該走行ログ情報を劣化情報導出部13Cに入力する。
【0132】
次にステップS309において劣化情報導出部13Cは、今回の使用において蓄積されたΔSOHをΔSOH記憶部55から読み出す。
【0133】
次にステップS310において劣化情報導出部13Cは、ステップS308で取得した走行ログ情報と、ステップS309で読み出したΔSOHとに基づいて、今回の使用における平均劣化速度を算出する。
【0134】
次にステップS311において劣化情報導出部13Cは、ステップS310で算出した平均劣化速度が、予め設定された所定値以上であるか否かを判定する。例えば、上記の標準劣化速度を当該所定値として設定しても良い。
【0135】
平均劣化速度が所定値未満である場合(ステップS311:NO)は、情報処理装置1Cは処理を終了する。
【0136】
平均劣化速度が所定値以上である場合(ステップS311:YES)は、次にステップS312においてSOH取得部20は、バッテリ2の現在のSOHをバッテリコントローラ3から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Cに入力する。
【0137】
次にステップS313において劣化情報導出部13Cは、ステップS312で入力された現在のSOHと、ステップS310で算出した平均劣化速度とに基づいて、バッテリ2の第1余寿命を導出する。また、劣化情報導出部13Cは、ステップS312で入力された現在のSOHと、標準劣化速度とに基づいて、バッテリ2の第2余寿命を導出する。さらに、劣化情報導出部13Cは、第2余寿命から第1余寿命を減算することにより、第1余寿命と第2余寿命との余寿命差を導出する。
【0138】
次にステップS314において出力部14は、ステップS313で導出された第1余寿命及び余寿命差を示すデータD5Cを出力する。出力部14が出力したデータD5Cは、表示部7に入力される。
【0139】
図14は、表示部7へのバッテリ2の余寿命の表示例を示す図である。警告灯を模した図形46は、今回の使用においてバッテリ2に標準以上の劣化が生じた場合に点灯し、生じていない場合に消灯する。メッセージ表示エリア47には、バッテリ2の余寿命をユーザに報知するためのテキストメッセージが表示される。図14に示した例では、第1余寿命である「15000分/15000km」と、余寿命差である「5000分/5000km」とを報知するテキストメッセージが、メッセージ表示エリア47に表示されている。
【0140】
本実施形態によれば、ΔSOHに応じたバッテリ2の余寿命である第1余寿命と、余寿命差とをユーザに提示することが可能となる。これにより、バッテリ2の劣化に対するユーザの意識をさらに高めることが可能となる。
【0141】
(第4実施形態)
図15は、本開示の第4実施形態に係る情報処理装置1Dの構成を示すブロック図である。図1に示した構成との相違点は以下の通りである。情報処理装置1Dは、劣化情報導出部13Aに代えて劣化情報導出部13Dを備えている。情報処理装置1Dは、状態情報取得部11に代えて状態情報取得部11Dを備えている。状態情報取得部11Dにおいては、図1に示した電流値取得部22及び温度取得部23の実装が省略されている。記憶部6には、関連情報30Aに代えて関連情報30Dが格納されている。情報処理装置1Dは、気温情報取得部61を備えている。電気自動車は、通信部60を備えている。通信部60は、IPネットワーク等の任意の通信ネットワークを介して、天気予報サービスを提供するサーバ装置(不図示)との間で無線通信を行うための通信モジュールである。
【0142】
気温情報取得部61は、電気自動車の現在地の天気予報に含まれる所定期間分(例えば1週間分)の予想最高気温情報を、上記サーバ装置から通信部60を介して取得し、当該情報をデータD20として劣化情報導出部13Dに入力する。
【0143】
関連情報取得部12は、関連情報30Dを記憶部6から読み出すことによって取得し、当該関連情報30DをデータD4Dとして劣化情報導出部13Bに入力する。
【0144】
関連情報30Dは、バッテリ2の状態(SOC)及び現在地の予想最高気温と、バッテリ2の劣化を引き起こす原因カテゴリとの関連を示す情報である。
【0145】
図16は、関連情報30Dの一例である二次元データマップを簡略化して示す図である。バッテリ2のSOC及び現在地の予想最高気温を入力データとし、原因カテゴリG,H,Jを出力データとする二次元データマップが構築されている。予想最高気温が所定の許容下限値より低い場合には、温度が低すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリGに分類される。予想最高気温が所定の許容上限値より高い場合には、温度が高すぎることを劣化の原因とする原因カテゴリHに分類される。予想最高気温が許容下限値以上・許容上限値以下であり、かつ、SOCが所定の閾値以上である場合には、SOCが大きすぎることを劣化の原因とする原因カテゴリJに分類される。
【0146】
図15を参照して、劣化情報導出部13Dは、データD4Dで示される関連情報30Dを参照することにより、データD1で示されるバッテリ2のSOCと、データD20で示される予想最高気温とに基づいて、原因カテゴリG,H,Jの分類を行う。また、劣化情報導出部13Dは、各原因カテゴリG,H,Jの劣化原因を回避するための、車両の好適な保管条件を示すアドバイス情報を導出する。アドバイス情報の内容は、各原因カテゴリG,H,Jの劣化原因に対応して予め定められている。
【0147】
予想最高気温が許容下限値より低い場合に分類される原因カテゴリGに関しては、例えば、「気温が低くなることが予想されます。電池の劣化を防止するために、低温になりにくい場所で車両を保管して下さい。」とのテキストメッセージが、アドバイス情報として設定されている。予想最高気温が許容上限値より高い場合に分類される原因カテゴリHに関しては、例えば、「気温が高くなることが予想されます。電池の劣化を防止するために、高温になりにくい場所で車両を保管して下さい。」とのテキストメッセージが、アドバイス情報として設定されている。SOCが閾値以上である場合に分類される原因カテゴリJに関しては、例えば、「電池が満充電に近い状態で車両を保管すると電池の劣化が早まります。V2Hの実施を検討して下さい。」とのテキストメッセージが、アドバイス情報として設定されている。
【0148】
劣化情報導出部13Bは、導出したアドバイス情報を示すデータD5Dを出力部14に入力し、出力部14はデータD5Dを出力する。出力部14が出力したデータD5Dは、表示部7に入力される。なお、原因カテゴリG,H,JはいずれもΔSOHが許容値より大きくなる領域に対応する。従って、原因カテゴリG,H,Jの分類情報及びそれに対応する上記アドバイス情報は、バッテリ2の劣化速度に関わる劣化情報の一つと捉えることができる。
【0149】
図17は、情報処理装置1Dが実行する処理の流れを示すフローチャートである。電気自動車の使用が終了して電源がオフされることにより、情報処理装置1Dが起動されて、処理の実行が開始される。
【0150】
まずステップS401において関連情報取得部12は、記憶部6から関連情報30Dを取得し、当該関連情報30Dを劣化情報導出部13Dに入力する。
【0151】
次にステップS402においてSOC取得部21は、バッテリ2のSOCを示す情報をバッテリコントローラ3から取得し、当該情報を劣化情報導出部13Dに入力する。
【0152】
次にステップS403において気温情報取得部61は、電気自動車の現在地の予想最高気温情報を、上記サーバ装置から通信部60を介して取得し、当該情報を劣化情報導出部13Dに入力する。
【0153】
次にステップS404において劣化情報導出部13Dは、ステップS401で入力された関連情報30Dを参照することにより、ステップS402で入力されたSOCと、ステップS403で入力された予想最高気温とに基づいて、保管条件のアドバイスが必要か否かを判定する。劣化情報導出部13Dは、当該SOC及び当該予想最高気温に対応する出力値が原因カテゴリG,H,Jのいずれかに属する場合に、保管条件のアドバイスが必要であると判定する。一方、劣化情報導出部13Dは、当該SOC及び当該予想最高気温に対応する出力値が原因カテゴリG,H,Jのいずれにも属さない場合に、保管条件のアドバイスは必要でないと判定する。
【0154】
保管条件のアドバイスが必要でない場合(ステップS404:NO)は、情報処理装置1Dは処理を終了する。
【0155】
保管条件のアドバイスが必要である場合(ステップS404:YES)は、次にステップS405において劣化情報導出部13Dは、当該SOC及び当該予想最高気温に対応する原因カテゴリG,H,Jを導出し、その原因カテゴリに対応して設定されているアドバイス情報を導出する。
【0156】
次にステップS406において出力部14は、ステップS405で導出されたアドバイス情報を示すデータD5Dを出力する。出力部14が出力したデータD5Dは、表示部7に入力される。これにより、車両の好適な保管条件を示す上記のテキストメッセージが、表示部7に表示される。
【0157】
本実施形態によれば、車両の状態(SOC)と現在地の予想気温とに応じた車両の好適な保管条件をユーザに提示することができ、その結果、バッテリ2の劣化を抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本開示に係る技術は、二次電池によって駆動される電気機器全般において、電池の劣化を抑制するための技術として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17