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7654757抗トランスフェリン受容体抗体およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】抗トランスフェリン受容体抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250325BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250325BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20250325BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250325BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20250325BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20250325BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20250325BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20250325BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20250325BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20250325BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20250325BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20250325BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K31/7088
A61K31/713
A61K47/68
A61P21/00
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/11 Z
C12N15/113 Z
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
【請求項の数】 37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195532
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2021533671の分割
【原出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2024026108
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】62/784,181
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518345192
【氏名又は名称】アビディティー バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダリモント,ベアトリス ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】ドパラプディ,ヴェンカタ ラマナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,レイチェル
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503357(JP,A)
【文献】特表2014-509857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C12N
C07K
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の疾患を処置するための製剤の製造における抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントの使用であって、前記処置は、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する工程を含み、ここで、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントは、可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域を含み、
(a)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号4を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号6を含むLCDR1配列、配列番号7を含むLCDR2配列、および配列番号8を含むLCDR3配列、
(b)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号2を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号6を含むLCDR1配列、配列番号9を含むLCDR2配列、および配列番号10を含むLCDR3配列、または
(c)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号5を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号11を含むLCDR1配列、配列番号12を含むLCDR2配列、および配列番号10を含むLCDR3配列、
を有する、抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項2】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントは、多特異性抗体またはその結合フラグメントを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
被験体の疾患を処置するための製剤の製造のためのトランスフェリン受容体に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントの使用であって、前記処置は、前記抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する工程を含み、ここで、可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域を含む、前記抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(a)前記VH領域は、配列番号14の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号18の配列、
(b)前記VH領域は、配列番号13の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号20の配列、または
(c)前記VH領域は、配列番号15の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号21の配列、
を有する、抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、あるいはキメラ抗体またはその結合フラグメントを含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記抗原結合フラグメントは、IgG-scFv、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、トリプルボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv-Fc KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、F(ab’)2-scFv2、scFv、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scダイアボディ-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、およびイントラボディから選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記抗原結合フラグメントは、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、トリプルボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv-Fc KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、F(ab’)2-scFv2、scFv、およびscFv-KIHから選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG1フレームワーク、IgG2フレームワーク、IgG2bフレームワーク、またはIgG4フレームワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記抗トランスフェリン受容体抗体は、Fc領域中に少なくとも1つの突然変異をさらに含み、前記少なくとも1つの突然変異はエフェクター機能を調節する、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記エフェクター機能は、Fc-γ受容体結合を弱めるか、または取り除くことを含む、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記少なくとも1つの突然変異は、残基位置D265、N297、K322、L328、またはP329にあり、ここで、前記残基位置はIgG1を基準としている、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記Fc領域はL233とL234において突然変異を含み、ここで、残基は配列番号23の位置233と位置234に対応する、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記Fc領域は、IgG1 Fc領域またはIgG2b Fc領域を基準とし、D265とN297において突然変異を含む、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記抗トランスフェリン受容体抗体は、重鎖(HC)配列と軽鎖(LC)配列とを含み、
(a)前記HCは、配列番号29-34から選択される配列を含み、および、前記LCは、配列番号47の配列を含み、
(b)前記HCは、配列番号23-28から選択される配列を含み、および、前記LCは、配列番号49の配列を含み、または
(c)前記HCは、配列番号35-40から選択される配列を含み、および、前記LCは、配列番号50の配列を含む、
求項1に記載の使用。
【請求項14】
前記抗トランスフェリン受容体抗体はヒトトランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する、請求項1に記載の使用。
【請求項15】
以下の式(I)を含む、被験体の疾患を処置するための製剤の製造における抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートの使用であって、
【化1】
式中、
Aは抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントは可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域を含み、
(a)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号4を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号6を含むLCDR1配列、配列番号7を含むLCDR2配列、および配列番号8を含むLCDR3配列、
(b)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号2を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号6を含むLCDR1配列、配列番号9を含むLCDR2配列、および配列番号10を含むLCDR3配列、または
(c)前記VH領域は、配列番号1を含むHCDR1配列、配列番号5を含むHCDR2配列、および配列番号3を含むHCDR3配列、ならびに、前記VL領域は、配列番号11を含むLCDR1配列、配列番号12を含むLCDR2配列、および配列番号10を含むLCDR3配列、を有し、
Bはポリ核酸分子を含み、
は単結合またはリンカーからなり、および、
nは1-12から選択された平均値である、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートの使用。
【請求項16】
以下の式(I)を含む、被験体の疾患を処置するための製剤の製造における抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートの使用であって、
【化2】
式中、
Aは抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントは可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域を含み、
(a)前記VH領域は、配列番号14の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号18の配列、
(b)前記VH領域は、配列番号13の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号20の配列、または
(c)前記VH領域は、配列番号15の配列を含み、および、前記VL領域は、配列番号21の配列、を有する、
Bはポリ核酸分子を含み、
は単結合またはリンカーからなり、および、
nは1-12から選択された平均値である、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートの使用。
【請求項17】
前記抗原結合フラグメントは、IgG-scFv、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、トリプルボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv-Fc KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、F(ab’)2-scFv2、scFv、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scダイアボディ-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、およびイントラボディから選択される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記ポリ核酸分子は、短干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴ(PMO)、およびmRNAから選択される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項19】
前記ポリ核酸分子は、二本鎖RNA(dsRNA)である、請求項15または16に記載の使用。
【請求項20】
前記ポリ核酸分子は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である、請求項15または16に記載の使用。
【請求項21】
前記ポリ核酸分子は、パッセンジャー鎖とガイド鎖とを含む、請求項15または16に記載の使用。
【請求項22】
前記ガイド鎖は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド間結合、少なくとも1つの反転脱塩基部分、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然のヌクレオチド、あるいは、これらの組み合わせを含む、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記ポリ核酸分子は、2’位置での糖部分の修飾をさらに含み、2’-位置での修飾は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾されたヌクレオチドから選択される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項24】
前記パッセンジャー鎖は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー修飾された非天然のヌクレオチドを含む、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
A-Xは前記パッセンジャー鎖の5’末端または前記パッセンジャー鎖の3’末端にコンジュゲートする、請求項21に記載の使用。
【請求項26】
前記ポリ核酸分子は遺伝子の標的配列にハイブリダイズし、および、前記ポリ核酸分子は、前記遺伝子に対するRNA干渉を媒介する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項27】
前記遺伝子は、IGF1-Akt-FoxO経路、グルココルチコイド-GR経路、PGC1α-FoxO経路、TNFα-NFκB経路、またはミオスタチン-ActRIIb-Smad2/3経路、E3リガーゼ、フォークヘッドボックス転写因子、アトロジン-1遺伝子(FBXO32)、MuRF1遺伝子(TRIM63)、FOXO1、FOXO3、MSTN、DMD、またはDMPK内のアップレギュレートされた遺伝子を含む、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記RNA干渉は、前記抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートが被験体に投与されるときに、筋肉で優先的に媒介される、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
前記疾患は、筋萎縮症または筋緊張性ジストロフィーである、請求項1に記載の使用。
【請求項30】
前記筋萎縮症は、糖尿病に関連する筋萎縮症または癌性悪液質に関連する筋萎縮症である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記筋萎縮症は、インスリン欠損症、慢性腎不全、うっ血性心不全、慢性呼吸病、慢性感染症、絶食、除神経、サルコペニア、または1型筋緊張性ジストロフィー(DM1)に関連する、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
前記筋緊張性ジストロフィーはDM1である、請求項29に記載の使用。
【請求項33】
被験体の網状赤血球レベルは、抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント投与後に減少しない、請求項1に記載の使用。
【請求項34】
抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントコンジュゲートの投与は、前記被験体のSSB siRNAまたはSSB mRNAのレベルをダウンレギュレートする、請求項1に記載の使用。
【請求項35】
SSB siRNAまたはSSB mRNAのダウンレギュレーションは、筋肉内におけるものである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記筋肉は骨格筋である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記筋肉は心筋である、請求項35に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/784,181号の利益を主張し、その全体は引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は医薬製剤の分野に属し、特に抗体に関する。本発明は、抗トランスフェリン受容体抗体、および抗トランスフェリン受容体抗体を調製および使用する方法を提供する。
【0003】
診断法の既存の使用に加えて、抗体は、治療剤として有用であることが示されている。例えば、免疫療法、または治療目的のための抗体の使用は、癌および他の障害を処置するために近年利用されている。トランスフェリン受容体は、標的とされた癌の診断薬または治療薬を開発する際に、最も広く利用されている標的受容体の1つである。このII型膜貫通型糖タンパク質は、細胞内の鉄輸送を担っており、多くの正常な細胞タイプの表面に低レベルで見られる。製薬使用のための改善された抗トランスフェリン受容体抗体の開発に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態において、抗トランスフェリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、および抗トランスフェリン受容体抗体またはコンジュゲートを含む医薬組成物が本明細書で開示されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体を利用してペイロードを送達する方法、および本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体の使用による処置の方法も本明細書で開示されている。
【0005】
特定の実施形態では、可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域とを含む抗トランスフェリン受容体抗体が本明細書に開示され、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含む。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、VH領域は配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、LCDR2配列AXTNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはNまたはSから選択され、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択され、および、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。いくつかの実施形態では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。いくつかの実施形態では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:13-16から選択される配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、VL領域は、配列番号:18-21から選択される配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、あるいはキメラ抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、多特異性抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、二重特異性抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG-scFv、ナノボディ、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、トリプルボディ、ミニ抗体、ミニボディ、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv-Fc KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2、F(ab’)2-scFv2.scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scダイアボディ-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、またはイントラボディを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体はIgG1フレームワークを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体はIgG2フレームワークを含む。いくつかの実施形態では、IgG2フレームワークはIgG2bフレームワークである。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体はIgG4フレームワークを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、Fc領域中に少なくとも1つの突然変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突然変異はエフェクター機能を調節する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突然変異は、Fc-γ受容体結合を弱めるか、または取り除く。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突然変異は、残基位置D265、N297、K322、L328、またはP329にあり、ここで、残基位置はIgG1を基準としている。いくつかの実施形態では、Fc領域は2以上、3以上、または4以上の突然変異を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域はL233とL234において突然変異を含み、ここで、残基は配列番号:23の位置233と位置234に対応する。いくつかの実施形態では、Fc領域はD265とN297で突然変異を含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、配列番号:23-46から選択された重鎖(HC)配列と、配列番号:47-50から選択された軽鎖(LC)配列とを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、ヒトトランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する。
【0006】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体と、ペイロードとを含む抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートが本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、ペイロードは小分子、ペプチド、タンパク質、またはポリ核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードはポリ核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、短干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、PMO、またはmRNAを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードはdsRNAを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは小分子、ペプチド、またはタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、微小管破壊剤、DNA修飾剤、またはAkt阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、オーリスタチンまたはその誘導体、ドラスタチンまたはその誘導体あるいはアナログ、メイタンシノイド、もしくは、ピロロベンゾジアゼピンまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、オーリスタチンまたはその誘導体は、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)またはモノメチルオーリスタチンF(MMAF)である。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドはDM1またはDM4である。いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、ピロロベンゾジアゼピン二量体である。いくつかの実施形態では、ペイロードは免疫調節剤または免疫調節薬を含む。いくつかの実施形態では、免疫調節薬はサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードはタンパク質またはペプチドトキシンあるいはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、リンカーを介して抗トランスフェリン受容体抗体にコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体はさらに、2つ以上のペイロードにコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体に対するペイロードの比率は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、または12:1である。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、A-(X-B)(式(I))を含み、式中、Aは抗トランスフェリン抗体を含み、Bはペイロードを含み、Xは単結合またはリンカーからなり、および、nは1-12から選択された平均値である。いくつかの実施形態では、ペイロードはポリ核酸分子である。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、パッセンジャー鎖とガイド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、ガイド鎖は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド間結合、少なくとも1つの逆位脱塩基部分、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然のヌクレオチド、あるいは、これらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然のヌクレオチドは、ガイド鎖の5’末端から、約1、2、3、4、または5つの塩基離れて位置する。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、2’位置での糖部分の修飾をさらに含む。いくつかの実施形態では、2’-位置での修飾は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2-O-NMA)修飾されたヌクレオチドから選択される。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー修飾された非天然のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖はガイド鎖よりも長さが短く、それによって、5’オーバーハング、3’オーバーハング、1つの末端の平滑末端、またはこれらの組み合わせを生成する。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖はガイド鎖と長さが等しく、それによって、ポリ核酸分子の各末端で平滑末端を生成する。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖はA-Xにコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、A-Xはパッセンジャー鎖の5’末端にコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、A-Xはパッセンジャー鎖の3’末端にコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、A-X-(B-X-C)(式(II))を含み、式中、Aは抗トランスフェリン受容体抗体を含み、Bはポリ核酸分子を含み、Cはポリマーからなり、Xは単結合または第1のリンカーからなり、Xは単結合または第2のリンカーからなり、および、nは1-12から選択された平均値である。いくつかの実施形態では、Cはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、パッセンジャー鎖とガイド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖はA-XとX-Cにコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、A-Xはパッセンジャー鎖の5’末端へコンジュゲートし、X-Cはパッセンジャー鎖の3’末端へコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、X-Cはパッセンジャー鎖の5’末端へコンジュゲートし、A-Xはパッセンジャー鎖の3’末端へコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、XとXはそれぞれ独立して非ポリマーリンカーである。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートはDをさらに含む。いくつかの実施形態では、Dはエンドソーム溶解部分である。
【0007】
特定の実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体をコードする核酸ポリマーが本明細書で開示される。
【0008】
特定の実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体をコードする核酸ポリマーを含むベクターが本明細書で開示される。
【0009】
特定の実施形態において、医薬組成物が本明細書で開示され、上記医薬組成物は、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体、または、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、および、薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は全身投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非経口投与のために製剤化される。
【0010】
特定の実施形態では、被験体の対象となる標的部位にペイロードを送達する方法が本明細書で開示され、上記方法は、対象となる標的部位にペイロードを送達するために、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、または、本明細書に記載される医薬組成物を、被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、対象となる標的部位は、過剰発現された原因となるタンパク質を含む細胞である。いくつかの実施形態では、対象となる標的部位は腫瘍部位である。いくつかの実施形態では、対象となる標的部位は脳にある部位である。
【0011】
特定の実施形態において、被験体の癌を処置する方法が本明細書で開示され、上記方法は、対象となる被験体の癌を処置するために、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、または、本明細書に記載される医薬組成物を、被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、癌は固形癌である。いくつかの実施形態では、癌は血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、肺癌、脳癌、黒色腫、乳癌、非ホジキンリンパ腫、子宮頚癌、卵巣癌、大腸癌、膵臓癌、食道癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、白血病、甲状腺癌、肝臓癌、または子宮癌である。いくつかの実施形態では、癌は転移性癌である。いくつかの実施形態では、癌は再発性または難治性の癌である。
【0012】
特定の実施形態では、被験体の筋萎縮症または筋緊張性ジストロフィーを処置する方法が本明細書で開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、または、本明細書に記載される医薬組成物を、被験体に投与する工程を含み、ここで、ポリ核酸分子はアトロジーンの標的配列にハイブリダイズし、および、ここで、ポリ核酸分子は、アトロジーンに対するRNA干渉を媒介し、それによって被験体の筋萎縮症を処置する。いくつかの実施形態では、筋萎縮症は、糖尿病に関連する筋萎縮症または癌性悪液質に関連する筋萎縮症である。いくつかの実施形態では、筋萎縮症は、インスリン欠損症、慢性腎不全、うっ血性心不全、慢性呼吸病、慢性感染症、絶食、除神経、サルコペニア、または筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の網状赤血球レベルは、抗トランスフェリン受容体抗体の投与後に減少しない。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートの投与は、被験体のSSB siRNAまたはSSB mRNAのレベルをダウンレギュレートする。いくつかの実施形態では、SSB siRNAまたはSSB mRNAのダウンレギュレーションは、筋肉内におけるものである。いくつかの実施形態では、筋肉は骨格筋である。いくつかの実施形態では、筋肉は心筋である。
【0013】
いくつかの実施形態では、筋緊張性ジストロフィーはDM1である。いくつかの実施形態では、アトロジーンは、IGF1-Akt-FoxO経路、グルココルチコイド-GR経路、PGC1α-FoxO経路、TNFα-NFκB経路、またはミオスタチン-ActRIIb-Smad2/3経路内のアップレギュレートされた遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、アトロジーンはE3リガーゼをコードする。いくつかの実施形態では、アトロジーンはフォークヘッドボックス転写因子をコードする。いくつかの実施形態では、アトロジーンはアトロジン-1遺伝子(FBXO32)、MuRF1遺伝子(TRIM63)、FOXO1、FOXO3、またはMSTNを含む。いくつかの実施形態では、アトロジーンはDMPKを含む。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0014】
特定の実施形態では、被験体の筋ジストロフィーを処置する方法が本明細書で開示され、上記方法は、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、または、本明細書に記載される医薬組成物を、被験体に投与する工程であって、それによって被験体の筋ジストロフィーを処置する、工程を含む。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、または筋緊張性ジストロフィーである。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーはデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0015】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、本明細書に記載される核酸ポリマー、本明細書に記載されるベクター、または本明細書に記載される医薬組成物を含むキットが本明細書で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の様々な態様が、添付の請求項において具体的に明記されている。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が利用されている例示的な実施形態を説明する以下の詳細な記載と、以下の添付の図面とを参照することにより得られる。本特許出願ファイルは、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含んでいる。カラーの図面を有するこの特許出願公開のコピーは、必要な料金の請求および支払い後に事務局によって提供される。
図1】例示的なSSBパッセンジャー鎖の構造を例示する。
図2】相補的な19の塩基と1つの3’ジヌクレオチドオーバーハングを持つ例示的な平滑末端二重鎖の構造を例示する。精製された一本鎖を二重にして二本鎖siRNAを得た。
図3A】組換えヒトTfR1に対するTfR1.IgG2 mAbとTfR1.IgG2 mAb-SSBのインビトロ結合を例示する。
図3B】組換えカニクイザルTfR1に対するTfR1.IgG2 mAbとTfR1.IgG2 mAb-SSBのインビトロ結合を例示する。
図4A】hTfR1.IgG2 mAb SSBまたはhTfR1.IgG2 mAb MSTN(陰性対照)コンジュゲートで処理したHel92.1.7細胞におけるsiRNA送達でのSSB mRNAレベルを例示する。
図4B】hTfR1.IgG2 mAb SSBまたはhTfR1.IgG2 mAb MSTN(陰性対照)コンジュゲートで処理した不死化したヒト骨格筋細胞におけるsiRNA送達でのSSB mRNAレベルを例示する。
図5A】hTfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートを30および60mg/kg(n=3)で投与した後の、カニクイザルの腓腹筋におけるSSB mRNAおよびSSB siRNAのレベルを例示する。
図5B】hTfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートを30および60mg/kg(n=3)で投与した後の、カニクイザルの大腿四頭筋におけるSSB mRNAおよびSSB siRNAのレベルを例示する。
図6】hTfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートを30および60mg/kgで投与する前後のカニクイザルの相対的な網状赤血球レベルを例示する。
図7】カニクイザルCD71に対する例示的な抗TfR抗体の結合定数を例示する。
図8】ヒトCD71に対する例示的な抗TfR抗体の結合定数を例示する。
図9A】競合的な設定下におけるTfRに対する例示的な抗TfR抗体の結合を例示する。
図9B図9Aの試験済みの抗TfR抗体の結合定数を示す。
図10A】TfRに対する例示的な抗TfR抗体の結合が維持されることを示す。
図10B図10Aの試験済みの抗TfR抗体の結合定数を示す。
図11】例示的な抗TfR抗体のADCC活性を示す。
図12】抗TfR抗体がTfR2に結合しないことを示す。
図13A】HEL92細胞における% SSB mRNAノックダウンを示す。
図13B図13Aの試験済みの抗TfR抗体のEC50を示す。
図14】例示的な抗TfR抗体のADCC活性を例示する。
図15】例示的な抗TfR抗体のCDC活性を例示する。
図16】初代ヒト骨格筋細胞(筋管)におけるTfR1.mAbコンジュゲートの取り込みを示す。
図17】TfR1.hIgG2 mAbまたはTfR1.hIgG1 mAb変異体のSSBまたはScramble siRNAコンジュゲートで処置された初代ヒト骨格筋細胞におけるSSB mRNAレベルを示す。
図18】TfR1標的AOCを投与(1日目に単回投与)前後のカニクイザルにおける絶対的な網状赤血球レベルを示す。
図19】TfR1 mAb SSBコンジュゲートの単回投与から21日後のカニクイザルの筋肉におけるSSB mRNAレベルを示す(n=3)。
図20A】hIgG1 TfR-Val2ii-SSBコンジュゲートの6mg/kg単回投与から21日後のカニクイザルの組織におけるSSB siRNAレベルを示す(n=2)。
図20B】hIgG1 TfR-Val2ii-SSBコンジュゲートの6mg/kg単回投与から21日後のカニクイザルの組織におけるSSB mRNAレベルを示す(n=2)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
トランスフェリン受容体(TfR)は、膜糖タンパク質のファミリーを含み、遺伝子TFRCによってコードされる。TfRは、鉄-トランスフェリン複合体と相互作用して鉄を細胞内に取り込みやすくすることで、鉄代謝に関与している。TfRには、トランスフェリン受容体1(TfR1またはCD71)とトランスフェリン受容体2(TfR2)の2つのサブタイプがある。TfR1は様々な種類の細胞にユビキタスに発現するが、TfR2は肝細胞に特異的に発現する。
【0018】
いくつかの例では、TfR1の異常な発現は様々な癌で顕著である。実際、ある研究では、乳癌細胞においてTfR1の発現レベルが上昇していることが示されている(Pizzamiglio, et al. “Expression of iron-related proteins differentiate non-cancerous and cancerous breast tumors,” Int J Mol Sci. 2017;18)。別の研究では、TFR1が脳癌で過剰発現していることが示されている(Rosager, et al.,“Transferrin receptor-1 and ferritin heavy and light chains in astrocytic brain tumors: Expression and prognostic value,” PLoS One 12:e0182954 (2017))。 さらに別の研究では、鉄の取り込みが腫瘍開始細胞で上昇していることが指摘されている(Rychtarcikova, et al.,“Tumorinitiating cells of breast and prostate origin show the alterations in the expression of genes related to iron metabolism,”Oncotarget. 8:6376-6398 (2017))。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート、およびそれを含む医薬組成物が本明細書で開示される。さらなる実施形態では、ペイロードの送達のために抗トランスフェリン受容体抗体を利用する方法、および対象となる送達のためにトランスフェリン受容体の存在を利用することによって疾患または疾病を処置する方法が本明細書で開示される。
【0020】
抗トランスフェリン受容体抗体
特定の実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体が本明細書に開示される。いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する。いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、ヒトトランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、トランスフェリン受容体1(TfR1)(またはCD71)に特異的に結合する。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、ヒトトランスフェリン受容体1(TfR1)(またはヒトCD71)に特異的に結合する。
【0021】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン抗体のVH領域は、表1から選択された、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3の配列を含む。
【0023】
【表1】
【0024】
いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2、4、または5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの例では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの例では、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。いくつかの例では、VH領域は配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体のVL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、LCDR2配列AXTNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはNまたはSから選択され、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択され、および、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体のVL領域は、表2から選択された、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
【0027】
【表2】
【0028】
いくつかの例では、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはNまたはSから選択される。
【0029】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、LCDR2配列AXTNLAX、および配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択される。
【0030】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、Xは存在し、または存在せず、存在する場合には、Fである。
【0031】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0032】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0033】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0034】
いくつかの例では、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0035】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、LCDR2配列AXTNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはNまたはSから選択され、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択され、および、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0036】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはNまたはSから選択される。
【0037】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、LCDR2配列AXTNLAX、および配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択される。
【0038】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、Xは存在し、または存在せず、存在する場合には、Fである。
【0039】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0040】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0041】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0042】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列と、HCDR2配列EINPIXGRSNYAXKFQGであって、XがNまたはQから選択され、XがQまたはEから選択される、HCDR2配列と、配列番号:3を含むHCDR3配列とを含み、ならびに、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0043】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはNまたはSから選択される。
【0044】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、LCDR2配列AXTNLAX、および配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択される。
【0045】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、Xは存在し、または存在せず、存在する場合には、Fである。
【0046】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0047】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0048】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0049】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:2を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0050】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはNまたはSから選択される。
【0051】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、LCDR2配列AXTNLAX、および配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択される。
【0052】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、Xは存在し、または存在せず、存在する場合には、Fである。
【0053】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0054】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0055】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0056】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:4を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0057】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYXNLA、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはNまたはSから選択される。
【0058】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、LCDR2配列AXTNLAX、および配列番号:8または10を含むLCDR3配列を含み、ここで、XはAまたはGから選択され、XはDまたはEから選択される。
【0059】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6または11を含むLCDR1配列、配列番号:7、9、または12を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、Xは存在し、または存在せず、存在する場合には、Fである。
【0060】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX、およびLCDR3配列QHFWGTPLTXを含み、ここで、XはDまたはEから選択され、Xは存在し、または存在せず、存在する場合にはFである。
【0061】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:7を含むLCDR2配列、および配列番号:8を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0062】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:6を含むLCDR1配列、配列番号:9を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0063】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域は、配列番号:1を含むHCDR1配列、配列番号:5を含むHCDR2配列、および配列番号:3を含むHCDR3配列を含み、ならびに、VL領域は、配列番号:11を含むLCDR1配列、配列番号:12を含むLCDR2配列、および配列番号:10を含むLCDR3配列を含んでいる。
【0064】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域とVL領域を含み、ここで、VH領域の配列は、配列番号:13-16に対する約80%、85%、90%、95%、96% 97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含み、ならびに、VL領域の配列は、配列番号:18-21に対する約80%、85%、90%、95%、96% 97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、VH領域は、配列番号:13-16(表3)から選択された配列を含み、および、VL領域は、配列番号:18-21(表4)から選択された配列を含む。表3および表4で強調された領域は、それぞれのCDR1、CDR2、またはCDR3の配列を表示している。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、表5で例示されるようなVH領域とVL領域を含む。
【0069】
【表5】
【0070】
いくつかの実施形態では、上記の抗トランスフェリン受容体抗体は、完全長の抗体である。他の実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体はその結合フラグメントである。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、多特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいは二重特異性抗体またはその結合フラグメントである。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、一価Fab’、二価Fab2、F(ab)’3フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)2、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、ラクダ科抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体である。
【0071】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は多特異性抗体である。場合によっては、多特異性抗体は、2つ以上の標的結合部位を含み、ここで、2つ以上の標的結合部位の各々は抗原に特異的に結合し、2つ以上の抗原は異なっている。場合によっては、多特異性抗体は、3つ以上の異なる抗原、4つ以上の異なる抗原、または5つ以上の異なる抗原に特異的に結合する標的結合部位を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は二重特異性抗体である。場合によっては、二重特異性抗体または結合フラグメントは、ノブイントゥホール(Knobs-into-Holes)(KiH)、非対称的再操作技術-免疫グロブリン(Asymmetric Re-engineering Technology-immunoglobulin)(ART-Ig)、トリオマブ クアドロマ(Triomab quadroma)、二重特異性モノクローナル抗体(BiMAb、BsmAb、BsAb、bsMab、BS-Mab、またはBi-MAb)、FcΔAdp、XmAb、Azymetric、T細胞受容体(BEAT)に基づく抗体による二重特異性結合、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Biclonics、Fab-scFv-Fc、Two-in-one/Dual Action Fab(DAF)、FinomAb、scFv-Fc-(Fab)融合、Dock-aNd-Lock(DNL)、Adaptir(旧SCORPION)、タンデムダイアボディ(TandAb)、二重親和性再標的化(Dual-affinity-ReTargeting)(DART)、ナノボディを含む。
【0073】
いくつかの例では、二重特異性抗体は三機能性抗体または二重特異性ミニ抗体である。場合によっては、二重特異性抗体は三機能性抗体である。いくつかの例では、三機能性抗体は、2つの異なる抗原のための結合部位を含む完全長のモノクローナル抗体である。
【0074】
場合によっては、二重特異性抗体は二重特異性ミニ抗体である。いくつかの例では、二重特異性ミニ抗体は、二価Fab2、F(ab)’3フラグメント、ビス-scFv(scFv)2、ダイアボディ、ミニボディ、トリアボディ、テトラボディ、または二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャーは、2つのscFvsが2つの異なる抗原のエピトープを標的とする2つの単鎖可変フラグメント(scFvs)を含む融合タンパク質である。
【0075】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は三重特異性抗体である。いくつかの例では、三重特異性抗体はF(ab)’3フラグメントまたはトリアボディを含む。いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体は、Dimas,et al.,“Development of a trispecific antibody designed to simultaneously and efficiently target three different antigens on tumor cells,” Mol. Pharmaceutics、12(9):3490-3501(2015)に記載されるような三重特異性抗体である。
【0076】
いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、Brinkmann and Kontermann, “The making of bispecific antibodies,”MABS 9(2): 182-212 (2017)の図2に例示された抗体フォーマットを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体は、IgGフレームワーク、IgAフレームワーク、IgEフレームワーク、またはIgMフレームワークを含む。いくつかの例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgGフレームワーク(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)を含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG1フレームワークを含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2(例えば、IgG2aまたはIgG2b)フレームワークを含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2aフレームワークを含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2bフレームワークを含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG3フレームワークを含む。場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG4フレームワークを含む。
【0078】
場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体は、フレームワーク領域において、例えば、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジ領域、またはその組み合わせにおいて、1つ以上の突然変異を含む。いくつかの例では、1つ以上の突然変異は、抗体を安定させるための、および/または半減期を増大させるためのものである。いくつかの例では、1つ以上の突然変異は、Fc受容体の相互作用を調節し、FcyR、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、または補体依存性細胞傷害(CDC)などのFcエフェクターの機能を低下または消失させたりするためのものである。さらなる例では、1つ以上の突然変異はグリコシル化を修飾するためのものである。
【0079】
いくつかの実施形態では、1つ以上の突然変異はFc領域に位置する。いくつかの例では、Fc領域は、残基位置L234、L235、またはその組み合わせにおいて突然変異を含む。いくつかの例では、突然変異はL234とL235を含む。いくつかの例では、突然変異はL234AとL235Aを含む。場合によっては、残基位置はIgG1を基準としている。
【0080】
いくつかの例では、Fc領域は、残基位置L234、L235、D265、N297、K322、L328、またはP329、あるいはその組み合わせにおいて突然変異を含む。いくつかの例では、突然変異は、残基位置K322、L328、またはP329における突然変異と組み合わせてL234とL235を含む。場合によっては、Fc領域は、L234、L235、およびK322において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L234、L235、およびL328において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L234、L235、およびP329において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域、D265とN297において突然変異を含む。場合によっては、残基位置はIgG1を基準としている。
【0081】
いくつかの例では、Fc領域は、L234A、L235A、D265A、N297G、K322G、L328R、またはP329G、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの例では、Fc領域は、K322G、L328R、またはP329Gと組み合わせてL234AとL235Aを含む。場合によっては、Fc領域は、L234A、L235A、およびK322Gを含む。場合によっては、Fc領域は、L234A、L235A、およびL328Rを含む。場合によっては、Fc領域は、L234A、L235A、およびP329Gを含む。場合によっては、Fc領域は、D265AとN297Gを含む。場合によっては、残基位置はIgG1を基準としている。
【0082】
いくつかの例では、Fc領域は、残基位置L235、L236、D265、N297、K322、L328、またはP329における突然変異、あるいは突然変異の組み合わせを含む。いくつかの例では、Fc領域は、L235とL236における突然変異を含む。いくつかの例では、Fc領域は、残基位置K322、L328、またはP329の突然変異と組み合わせてL235とL236における突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L235、L236、およびK322において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L235、L236、およびL328において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L235、L236、およびP329において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、D265とN297において突然変異を含む。場合によっては、残基位置はIgG2bを基準としている。
【0083】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、L235A、L236A、D265A、N297G、K322G、L328R、またはP329G、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの例では、Fc領域は、L235AとL236Aを含む。いくつかの例では、Fc領域は、K322G、L328R、またはP329Gと組み合わせてL235AとL236Aを含む。場合によっては、Fc領域は、L235A、L236A、およびK322Gを含む。場合によっては、Fc領域は、L235A、L236A、およびL328Rを含む。場合によっては、Fc領域は、L235A、L236A、およびP329Gを含む。場合によっては、Fc領域は、D265AとN297Gを含む。場合によっては、残基位置はIgG2bを基準としている。
【0084】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、残基位置L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328において突然変異を含み、ここで、残基は、配列番号:23の位置233、234、264、296、321、327、および328に対応する。いくつかの例では、Fc領域は、L233とL234における突然変異を含む。いくつかの例では、Fc領域は、残基位置K321、L327、またはP328の突然変異と組み合わせてL233とL234における突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L233、L234、およびK321において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L233、L234、およびL327において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L233、L234、およびK321において突然変異を含む。場合によっては、Fc領域は、L233、L234、およびP328において突然変異を含む。いくつかの例では、Fc領域は、D264とN296における突然変異を含む。場合によっては、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のフレームワークにおける残基L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328に対する同等の位置が企図されている。場合によっては、IgG1、IgG2、またはIgG4のフレームワークにける配列番号:23の残基L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328に対応する残基に対する突然変異も企図される。
【0085】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、L233A、L234A、D264A、N296G、K321G、L327R、またはP328Gを含み、ここで、残基は、配列番号:23の位置233、234、264、296、321、327、および328に対応する。いくつかの例では、Fc領域は、L233AとL234Aを含む。いくつかの例では、Fc領域は、K321G、L327R、またはP328Gと組み合わせてL233AとL234Aを含む。場合によっては、Fc領域は、L233A、L234A、およびK321Gを含む。場合によっては、Fc領域は、L233A、L234A、およびL327Rを含む。場合によっては、Fc領域は、L233A、L234A、およびK321Gを含む。場合によっては、Fc領域は、L233A、L234A、およびP328Gを含む。いくつかの例では、Fc領域は、D264AとN296Gを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、ヒトIgG定常領域は、例えば、Natsume et al., 2008 Cancer Res, 68(10): 3863-72; Idusogie et al., 2001 J Immunol, 166(4): 2571-5; Moore et al., 2010 mAbs, 2(2): 181- 189; Lazar et al., 2006 PNAS, 103(11): 4005-4010, Shields et al., 2001 JBC, 276( 9): 6591- 6604; Stavenhagen et al., 2007 Cancer Res, 67(18): 8882-8890; Stavenhagen et al., 2008 Advan. Enzyme Regul., 48: 152-164; Alegre et al, 1992 J Immunol, 148: 3461-3468; Reviewed in Kaneko and Niwa, 2011 Biodrugs, 25(1): 1-11に記載されたアミノ酸修飾を用いて、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を改変するように修飾される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体は、重鎖(HC)および軽鎖(LC)を含む、完全長の抗体である。場合によっては、重鎖(HC)は表6から選択された配列を含む。場合によっては、軽鎖(LC)は表7から選択された配列を含む。強調された部位はそれぞれのCDRを表示する。
【0088】
【表6-1】
【0089】
【表6-2】
【0090】
【表6-3】
【0091】
【表6-4】
【0092】
【表6-5】
【0093】
【表7】
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体は、基準の抗トランスフェリン受容体抗体と比較して、改善された血清半減期を有する。いくつかの例では、改善された血清半減期は、基準の抗トランスフェリン受容体抗体よりも、少なくとも30分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、またはそれ以上長い。
【0095】
抗体またはその結合フラグメントの産生
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体とその結合フラグメント)は、とりわけ、化学合成によって、または組換え発現によって、ポリペプチド(例えば、抗体)の合成に役立つように、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して生成され、および、好ましくは組換え発現技術によって生成される。
【0096】
いくつかの例では、抗体またはその結合フラグメントは組換え発現され、抗体またはその結合フラグメントをコードする核酸は、化学的に合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeier et al.,1994,BioTechniques 17:242に記載されるような)から組み立てられ、これは、抗体をコードする配列の一部を含有する重複するオリゴヌクレオチドの合成、オリゴヌクレオチドのアニーリングとライゲーション、および、その後のPCRによるライゲートされたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0097】
代替的に、抗体をコードする核酸分子は、配列の3’と5’の末端へハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用するPCR増幅によって、あるいは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用してクローンを作ることによって、適切なソース(例えば、抗体cDNAライブラリー、または免疫グロブリンを発現する任意の組織あるいは細胞から生成されたcDNAライブラリー)から随意に生成される。
【0098】
いくつかの例では、抗体またはその結合は、ポリクローナル抗体を産生するためにウサギなどの動物を免疫化することにより、または、より好ましくは、例えば、KohlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495-497)によって記載されるように、または、Kozborら(1983,Immunology Today 4:72)あるいはColeら(1985 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R. Liss,Inc.,pp.77-96)によって記載されるように、モノクローナル抗体を産生することによって、随意に生成される。代替的に、抗体の少なくともFab部分をコードするクローンは、特異的抗原に結合するFAbフラグメントのクローンのためにFab発現ライブラリー(例えば、Huse et al.,1989,Science 246:1275-1281に記載される)をスクリーニングすることにより、または抗体ライブラリー(Clackson et al.,1991,Nature 352:624; Hane et al.,1997 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4937を参照)をスクリーニングすることにより、随意に得られる。
【0099】
いくつかの実施形態では、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒に、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることにより、「キメラ抗体」(Morrison et al.,1984,Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855;Neuberger et al.,1984,Nature 312:604-608;Takeda et al.,1985,Nature 314:452-454)の産生のために開発された技術が使用される。キメラ抗体は、異なる部分が、マウスのモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域、例えば、ヒト化抗体を有する動物種などの様々な動物種に由来する分子である。
【0100】
いくつかの実施形態では、単鎖抗体の産生について記載された技術(U.S.Pat.No.4,694,778;Bird,1988,Science 242:423-42;Huston et al.,1988,Proc. Natl. Acad.Sci.USA 85:5879-5883; and Ward et al.,1989,Nature 334:544-54)は、単鎖抗体を産生するために適合される。単鎖抗体は、アミノ酸ブリッジによってFv領域の重鎖および軽鎖のフラグメントを結合することによって形成され、結果として単鎖ポリペプチドを生じさせる。大腸菌中の機能的なFvフラグメントの組み立てのための技術も随意に使用される(Skerra et al.,1988,Science 242:1038-1041)。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗体のヌクレオチド配列を含む発現ベクターまたは抗体のヌクレオチド配列は、従来の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、および、リン酸カルシウム沈澱反応)によって宿主細胞に導入され、トランスフェクトされた細胞はその後、抗体を産生するために従来の技術によって培養される。特定の実施形態では、抗体の発現は、構成的な、誘導可能な、または組織特異的なプロモーターによって調節される。
【0102】
いくつかの実施形態では、様々な宿主発現ベクター系は、本明細書に記載される抗体またはその結合フラグメントを発現するために利用される。そのような宿主発現系は、抗体のコード配列を生成し、その後精製するビヒクルを表すだけでなく、適切なヌクレオチドコード配列でトランスフェクトされるか、あるいはトランスフェクトされるときに、抗体またはその結合フラグメントをインサイツで発現する細胞も表す。これらは、限定されないが、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、あるいはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌と枯草菌)などの微生物、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミケス・ピキア)、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組替えウイルス発現ベクターに感染した昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス)、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))に感染した、あるいは、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、もしくは、哺乳動物細胞(例えば、メタロチオネイン・プロモーター)のゲノム、または、哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む、組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BH、293、293T、3T3細胞)を含む。
【0103】
組換えタンパク質の長期的かつ高収率の生成のためには、安定した発現が好ましい。いくつかの例では、安定して抗体を発現する細胞株が随意に操作される。ウイルスの複製開始点を含む発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御されたDNAで形質転換される。外来性DNAの導入後に、細胞を操作して富化培地で1-2日間成長させ、その後、選択培地に切り替える。組換えプラスミドにおける選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を与え、細胞が、プラスミドをその染色体に安定的に統合し、成長してフォーカスを形成し、これがクローン化されて細胞株へと拡大することを可能にする。この方法は、抗体またはその結合フラグメントを発現する細胞株を操作するために有利に使用することができる。
【0104】
いくつかの例では、限定されないが、それぞれtk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞で利用される単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,1977,Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,192,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,1980,Cell 22:817)遺伝子を含む、多くの選択系が使用される。同様に、代謝拮抗薬の耐性は、以下の遺伝子の選定基準として使用される:メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler et al.,1980,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:357; O’Hare et al.,1981,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(Mulligan & Berg,1981,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を与えるneo(Clinical Pharmacy 12:488-505; Wu and Wu, 1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596; Mulligan, 1993, Science 260:926-932、およびMorgan and Anderson, 1993,Ann.Rev. Biochem. 62:191-217;May,1993,TIB TECH 11(5):155-215)、ならびに、ヒグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerre et al.,1984, Gene 30:147)。使用可能な組換えDNA技術の技術分野で一般的に知られている方法は、Ausubel et al. (eds., 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY; Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY; and in Chapters 12 and 13, Dracopoli et al. (eds), 1994, Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY.; Colberre-Garapin et al., 1981, J. Mol. Biol. 150:1)に記載される。
【0105】
いくつかの例では、抗体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加する(検討のために、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3.(Academic Press,New York,1987を参照))。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加すると、標識遺伝子のコピーの数が増加する。増幅した領域が抗体のヌクレオチド配列に関連しているため、抗体の産生も増加する(Crouse et al.,1983,Mol. Cell Biol. 3:257)。
【0106】
いくつかの例では、抗体または抗体コンジュゲートの精製または分析のための当該技術分野で知られている任意の方法は、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、とりわけ、プロテインAの後の特異性抗原への親和性、および、サイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解性によって、またはタンパク質の精製のための他の標準的な技術によって使用される。例示的なクロマトグラフィー方法としては、限定されないが、強力な陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および高速タンパク質液体クロマトグラフィーが挙げられる。
【0107】
抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲート
いくつかの実施形態では、上記の抗トランスフェリン受容体抗体はさらにペイロードにコンジュゲートする。いくつかの例では、ペイロードは小分子を含む。他の例では、ペイロードはタンパク質またはペプチドを含む。さらなる例では、ペイロードはポリ核酸分子を含む。
【0108】
いくつかの例では、ペイロード対抗トランスフェリン受容体抗体(薬物から抗体への比率あるいはDAR比)の比は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、または16:1である。
【0109】
場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、
【0110】
【化1】
を含み、
式中、
Aは抗トランスフェリン受容体抗体を含み、
Bはペイロードを含み、
は単結合またはリンカーからなり、および、
nは1-12から選択された平均値である。
【0111】
いくつかの例では、B対A(抗トランスフェリン受容体抗体)のDAR比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16である。場合によっては、B対AのDAR比は約1である。場合によっては、B対AのDAR比は約2である。場合によっては、B対AのDAR比は約3である。場合によっては、B対AのDAR比は約4である。場合によっては、B対AのDAR比は約6である。場合によっては、B対AのDAR比は約8である。場合によっては、B対AのDAR比は約10である。場合によっては、B対AのDAR比は約12である。場合によっては、B対AのDAR比は約16である。
【0112】
いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約1である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約2である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約3である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約4である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約5である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約6である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約7である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約8である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約9である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約10である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約11である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約12である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約13である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約14である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約15である。いくつかの例では、ポリ核酸分子(B)対抗トランスフェリン受容体抗体AのDAR比は、約16である。
【0113】
いくつかの実施形態では、Bは小分子、ペプチド、またはタンパク質を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、Bはポリ核酸分子を含む。場合によっては、ポリ核酸分子は、パッセンジャー鎖とガイド鎖とを含む。場合によっては、パッセンジャー鎖はA-Xにコンジュゲートする。場合によっては、A-Xはパッセンジャー鎖の5’末端にコンジュゲートする。場合によっては、A-Xはパッセンジャー鎖の3’末端にコンジュゲートする。
【0115】
場合によっては、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、
【0116】
【化2】
を含み、
式中、
Aは抗トランスフェリン受容体抗体を含み、
Bはペイロードを含み、
Cはポリマーからなり、
は単結合または第1のリンカーからなり、
は単結合または第2のリンカーからなり、および、
nは1-12から選択された平均値である。
【0117】
場合によっては、Cはポリエチレングリコールである。
【0118】
場合によっては、Bはポリ核酸分子である。場合によっては、ポリ核酸分子は、パッセンジャー鎖とガイド鎖とを含む。場合によっては、パッセンジャー鎖はA-XとX-Cにコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、A-Xはパッセンジャー鎖の5’末端へコンジュゲートし、X-Cはパッセンジャー鎖の3’末端へコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、X-Cはパッセンジャー鎖の5’末端へコンジュゲートし、A-Xはパッセンジャー鎖の3’末端へコンジュゲートする。
【0119】
場合によっては、XとXはそれぞれ独立して非ポリマーリンカーである。
【0120】
場合によっては、式(II)A-X-(B-X-C)のコンジュゲートはさらに、エンドソーム溶解部分であるDを含む。
【0121】
コンジュゲーション化学
いくつかの実施形態では、Bは化学的なライゲーションプロセスによってAにコンジュゲートする。いくつかの例では、Bは天然のライゲーションによってAにコンジュゲートする。いくつかの例では、コンジュゲーションは、Dawson, et al. ”Synthesis of proteins by native chemical ligation,” Science 1994, 266, 776-779; Dawson, et al. ”Modulation of Reactivity in Native Chemical Ligation through the Use of Thiol Additives,” J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 4325-4329; Hackeng, et al. ”Protein synthesis by native chemical ligation:Expanded scope by using straightforward methodology.,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1999, 96, 10068-10073;あるいは、Wu, et al. ”Building complex glycopeptides: Development of a cysteine-free native chemical ligation protocol,” Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 4116-4125に記載される通りである。いくつかの例では、コンジュゲーションは米国特許第8,936,910号に記載されるとおりである。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、天然のライゲーション化学を介して、結合部分に部位特異的または非特異的にコンジュゲートする。
【0122】
いくつかの例では、Bは「トレースレス(traceless)」カップリング技術(PhiloChem)を利用する部位指定的な方法によってAにコンジュゲートする。いくつかの例では、「トレースレス」カップリング技術は、アルデヒド基を含むポリ核酸分子とコンジュゲートする結合部分のN末端 1,2-アミノチオール基を利用する。(Casi et al.,“Site-specific traceless coupling of potent cytotoxic drugs to recombinant antibodies for pharmacodelivery,” JACS 134(13): 5887-5892 (2012)を参照)
【0123】
いくつかの例では、Bは、結合部分に導入された非天然のアミノ酸を利用する部位指定的な方法によってAにコンジュゲートする。いくつかの例では、非天然アミノ酸はp-アセチルフェニルアラニン(pAcPhe)を含む。いくつかの例では、pAcPheのケト基は、オキシム結合を形成するために、アルコキシ-アミン由来のコンジュゲート部分に選択的に連結される。(Axup et al.,“Synthesis of site-specific antibody-drug conjugates using unnatural amino acids,” PNAS 109(40): 16101-16106 (2012))を参照)。
【0124】
いくつかの例では、Bは、酵素触媒プロセスを利用する部位指定的な方法によってAにコンジュゲートする。いくつかの例では、部位指定的な方法はSMARTag(商標)技術(Redwood)を利用する。いくつかの例では、SMARTag(商標)技術は、アルデヒドタグの存在下での酸化プロセスを介するホルミルグリシン生成酵素(FGE)によるシステインからのホルミルグリシン(FGly)残基の生成、および、ヒドラジノ-Pictet-Spengler(HIPS)ライゲーションを介するアルキルヒドラジン機能化ポリ核酸分子へのFGlyのその後のコンジュゲーションを含む。(Wu et al.,”Site-specific chemical modification of recombinant proteins produced in mammalian cells by using the genetically encoded aldehyde tag,” PNAS 106(9): 3000-3005 (2009); Agarwal,et al.,”A Pictet-Spengler ligation for protein chemical modification,” PNAS 110(1):46-51(2013)を参照)
【0125】
いくつかの例では、酵素触媒プロセスは、微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)を含む。場合によっては、Bは、微生物トランスグルタミナーゼ触媒プロセスを利用してAにコンジュゲートする。いくつかの例では、mTGは、認識配列内のグルタミンのアミド側鎖と機能化ポリ核酸分子の一級アミンとの間の共有結合の形成を触媒する。いくつかの例では、mTGはストレプトマイセス・モバラエンシス(Streptomyces mobarensis)から産生される。(Strop et al.,“Location matters: site of conjugation modulates stability and pharmacokinetics of antibody drug conjugates,”Chemistry and Biology 20(2) 161-167(2013)を参照)
【0126】
いくつかの例では、Bは、配列に特異的なトランスペプチダーゼを利用する、PCT国際公開第WO2014/140317号に記載される方法によってAにコンジュゲートする。
【0127】
いくつかの例では、Bは、米国特許出願公開第2015/0105539号および第2015/0105540号に記載されるような方法によってAにコンジュゲートする。
【0128】
ペイロード
ポリ核酸分子
いくつかの実施形態では、ペイロードはポリ核酸分子である。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、RNA干渉(RNAi)または遺伝子発現抑制(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)治療などの遺伝子治療に関与する。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、mRNAのスプライシングを調節し、それによってコードされたタンパク質のその後の生成を調節する。
【0129】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、短干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、または低分子ヘアピン型RNA(shRNA)を含む。
【0130】
他の実施形態では、ポリ核酸分子はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はPMOを含む。
【0132】
さらなる実施形態では、ポリ核酸分子はmRNAを含む。
【0133】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、萎縮関連遺伝子(アトロジーンとも呼ばれる)の標的配列にハイブリダイズする。アトロジーン、すなわち、萎縮関連遺伝子は、委縮する筋肉でアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる遺伝子である。いくつかの例では、アップレギュレートされたアトロジーンは、ユビキチンリガーゼ、フォークヘッドボックス転写因子、成長因子、脱ユビキチン化酵素、またはグルココルチコイドにより誘導された萎縮に関与するタンパク質をコードする遺伝子を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、ユビキチンリガーゼ(例えば、E3ユビキチンリガーゼまたはミトコンドリアユビキチンリガーゼ)の標的配列にハイブリダイズする。いくつかの例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、フォークヘッドボックス転写因子の標的配列にハイブリダイズする。いくつかの例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、成長因子の標的配列にハイブリダイズする。いくつかの例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、脱ユビキチン化酵素の標的配列にハイブリダイズする。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FBXO32、TRIM63、TRAF6、FBXO30、FBXO40、NEDD4、TRIM32、MUL1、STUB1、FOXO1、FOXO3、MSTN、USP14、USP19、DDIT4、CTSL2、TGIF、MYOG、HDAC2、HDAC3、MT1L、MT1B、またはDMPKの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FBXO32、TRIM63、FOXO1、FOXO3、またはMSTNの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FBXO32の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、TRIM63の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、TRAF6の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FBXO30の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FBXO40の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、NEDD4の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、TRIM32の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、MUL1の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、STUB1の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FOXO1の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、FOXO3の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、MSTNの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、USP14の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、USP19の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、DDIT4の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、CTSL2の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、TGIFの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、MYOGの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、HDAC2の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、HDAC3の標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、MT1Lの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、MT1Bの標的配列にハイブリダイズする。場合によっては、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、DMPKの標的配列にハイブリダイズする。
【0135】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、限定されないが、神経筋疾患、遺伝病、癌、遺伝性疾患、または心血管疾患などの疾患または障害をもたらす、誤ってスプライシングされたmRNAの標的領域をハイブリダイズする。場合によっては、神経筋疾患または障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、または筋緊張性ジストロフィーである。
【0136】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こすDMD遺伝子中で突然変異するエクソンを標的とする。デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こすDMD遺伝子中で突然変異する例示的なエクソンとしては、限定されないが、エクソン、2、3、4、5、6、7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、および78が挙げられる。
【0137】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、癌遺伝子の標的領域にハイブリダイズする。例示的な癌遺伝子としては、限定されないが、Abl、AKT-2、ALK、AML1(または、RUNX1)、AR、AXL、BCL-2、3、6、BRAF、c-MYC、EGFR、ErbB-2(Her2、Neu)、Fms、FOS、GLI1、HPRT1、IL-3、INTS2、JUN、KIT、KS3、K-sam、LBC(AKAP13)、LCK、LMO1、LMO2、LYL1、MAS1、MDM2、MET、MLL(KMT2A)、MOS、MYB、MYH11/CBFB、NOTCH1(TAN1)、NTRK1(TRK)、OST(SLC51B)、PAX5、PIM1、PRAD-1、RAF、RAR/PML、HRAS、KRAS、NRAS、REL/NRG、RET、ROS、SKI、SRC、TIAM1、またはTSC2が挙げられる。場合によっては、ポリ核酸分子は、KRAS、EGFR、AR、HPRT1、CNNTB1(β-カテニン)、またはβ-カテニン関連遺伝子の標的領域にハイブリダイズするである。
【0138】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はmRNAを含む。場合によっては、mRNAは細胞傷害性のタンパク質またはペプチドをコードする。例示的な細胞傷害性のタンパク質またはペプチドとしては、α孔形成毒素(例えば、大腸菌由来の細胞溶解素A)、β孔形成毒素(例えば、α-ヘモリジン、PVL-パントンバレンタインロイコシジン、エアロライシン、クロストリジウムイプシロントキシン、クロストリジウムペルフリンゲンスエンテロトキシン)、二成分毒素(炭疽菌毒素、水腫菌毒素、クロストリジウム・ボツリヌムC2毒素、クロストリジウムスピロフォルム毒素、クロストリジウムペルフリンゲンスイオタ毒素、クロストリジウムディフィシル細胞致死毒素(AおよびB))、プリオン、パラスポリン、コレステロール依存性細胞溶解素(例えば、ニューモリシン)、小孔形成毒素(例えば、グラミシジンA)、シアノトキシン(例えば、ミクロシスチン、ノデュラリン)、ヘモトキシン、神経毒(例えば、ボツリヌス神経毒)、細胞毒素、コレラ毒素、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシンA、破傷風毒素、または免疫毒素(イダルビシン、リシンA、CRM9、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、DT)などの細菌性細胞毒素が挙げられる。
【0139】
いくつかの例では、mRNAは、細胞傷害性ペプチド、または細胞傷害性T細胞あるいはB細胞エピトープなどの免疫系に関連するペプチドをコードして、MHC I複合体、補体系の膜攻撃複合体タンパク質(MAC)、パーフォリン、グランザイム、およびグラニュライシンとの当該エピトープの提示を介して特異的な免疫応答を刺激する。
【0140】
場合によっては、mRNAは、アポトーシスプロテアーゼ活性化因子-1(Apaf-1)、シトクロム-c、カスパーゼイニシエータータンパク質(CASP2、CASP8、CASP9、CASP10)、アポトーシス誘導因子(AIF)、p53、p73、p63、Bcl-2、Bax、グランザイムB、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)、およびP21活性化キナーゼ2(PAK2)などのアポトーシス誘導タンパク質またはペプチドをコードする。
【0141】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は核酸デコイである。いくつかの例では、核酸デコイは、RNAベースのタンパク質結合模倣物などのタンパク質結合核酸の模倣物である。例示的な核酸デコイとしては、トランス活性化領域(TAR)デコイおよびrev応答エレメント(RRE)デコイが挙げられる。
【0142】
いくつかの例では、ペイロードはアプタマーである。アプタマーは、特定の標的分子に結合する小さなオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。例示的な核酸アプタマーは、DNAアプタマー、RNAアプタマー、または1つ以上の非天然ヌクレオチドを含むRNAおよび/またはDNAアプタマーであるXNAアプタマーを含んでいる。例示的な核酸アプタマーとしては、ARC19499(Archemix Corp.)、REG1(Regado Biosciences)、およびARC1905(Ophthotech)が挙げられる。
【0143】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は天然または合成または人工のヌクレオチドアナログまたは塩基を含む。場合によっては、ポリ核酸分子は、DNA、RNA、および/またはヌクレオチドのアナログの組み合わせを含む。いくつかの例では、合成または人工ヌクレオチドのアナログまたは塩基は、リボース部分、リン酸塩部分、ヌクレオシド部分、またはその組み合わせの1つ以上における修飾を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログまたは人工ヌクレオチド塩基は、リボース部分の2’ヒドロキシル基における修飾を有する核酸を含む。いくつかの例では、修飾はH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCNを含み、Rはアルキル部分である。例示的なアルキル部分としては、限定されないが、ハロゲン、硫黄、チオール、チオエーテル、チオエステル、アミン(一級、二級、または三級)、アミド、エーテル、エステル、アルコール、および酸素が挙げられる。いくつかの例では、アルキル部分はさらに修飾を含む。いくつかの例では、修飾はアゾ基、ケト基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、複素環(例えば、イミダゾール、ヒドラジノ、またはヒドロキシルアミノ)基、イソシアネート基またはシアネート基、あるいは硫黄含有基(例えば、スルホキシド、スルホン、スルフィド、またはジスルフィド)を含む。いくつかの例では、アルキル部分はさらにヘテロ置換を含む。いくつかの例では、複素環式基の炭素は窒素、酸素、または硫黄によって置換される。いくつかの例では、複素環式置換は、限定されないが、モルホリノ、イミダゾール、および、ピロリジノを含む。
【0145】
いくつかの事例では、2’ヒドロキシル基での修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾である。場合によっては、2’-O-メチル修飾は、メチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加え、一方で2’O-メトキシエチル修飾は、メトキシエチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加える。アデノシン分子の2’-O-メチル修飾およびウリジンの2’O-メトキシエチル修飾の典型的な化学構造が、以下に例証される。
【0146】
【化3】
【0147】
いくつかの実施形態では、2’ヒドロキシル基での修飾は、プロピルリンカーを含む伸長したアミン基がアミン基を2’酸素に結合させる2’-O-アミノプロピル修飾である。いくつかの例では、この修飾は、1糖当たりアミン基から1つの正電荷を導入することによってオリゴヌクレオチド分子のリン酸塩由来の全体的な負電荷を中和し、それによって、その双性イオン特性による細胞取り込み特性を改善する。2’-O-アミノプロピルヌクレオシドホスホラミダイトの例示的な化学構造が、以下に例証される。
【0148】
【化4】
【0149】
いくつかの例では、2’ヒドロキシル基での修飾はロックドまたは架橋リボース修飾(例えば、ロックド核酸またはLNA)であり、ここで、2’炭素で結合された酸素分子はメチレン基によって4’炭素に連結され、これにより、2’-C,4’-C-オキシ-メチレン結合二環式リボヌクレオチド単量体を形成する。LNAの化学構造の例示的な表示が以下に例証される。左に示される表示は、LNA単量体の化学結合性を強調している。右に示される表示は、LNA単量体のフラノース環のロックド3’-endo(E)構造を強調している。
【0150】
【化5】
【0151】
いくつかの実施形態では、2’ヒドロキシル基での修飾は、糖構造をC’-endo糖パッカリング構造(sugar puckering conformation)へとロックする、例えば、2’-4’-エチレン架橋核酸などのエチレン核酸(ENA)を含む。ENAは、LNAも含む修飾された核酸の架橋された核酸クラスの一部である。ENAおよび架橋された核酸の典型的な化学構造は、以下に例証される。
【0152】
【化6】
【0153】
いくつかの実施形態では、2’ヒドロキシル基でのさらなる修飾は、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログは、修飾された塩基、例えば、限定されないが、5-プロピニルウリジン、5-プロピニルシチジン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、N,N,-ジメチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-プロピルグアニン、2-アミノアデニン、1-メチルイノシン、3-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および、5位置に修飾を有する他のヌクレオチド、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ハロシチジン、5-ハロウリジン、4-アセチルシチジン、1-メチルアデノシン、2-メチルアデノシン、3-メチルシチジン、6-メチルウリジン、2-メチルグアノシン、7-メチルグアノシン、2,2-ジメチルグアノシン、5-メチルアミノエチルウリジン、5-メトキシウリジン、7-デアザ-アデノシンなどのデアザヌクレオチド、6-アゾウリジン、6-アゾシチジン、6-アゾチミジン、5-メチル-2-チオウリジン、他のチオ塩基、例えば、2-チオウリジンと4-チオウリジン、および2-チオシチジン、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、キューオシン、アルカエオシン、ナフチルおよび置換されたナフチル基、任意のOアルキル化およびNアルキル化プリンおよびピリミジン、例えば、N6-メチルアデノシン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン 5-オキシ酢酸、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニルおよび修飾フェニル基、例えば、アミノフェノールまたは2,4,6-トリメトキシベンゼン、Gクランプヌクレオチドとして作用する修飾されたシトシン、8-置換されたアデニンおよびグアニン、5-置換されたウラシルおよびチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシアルキルアミノアルキルヌクレオチド、および、アルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドを含む。修飾されたヌクレオチドはさらに、リボシルではない糖またはそのアナログを有するヌクレオチドと同様に、糖部に対して修飾されるヌクレオチドを含む。例えば、糖部は、場合によっては、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4’-チオリボース、および、その他の糖類、複素環、または炭素環であるか、または、これらがベースである。ヌクレオチドという用語はさらに、普遍的な塩基として当該技術分野で知られているものを含む。一例として、普遍的な塩基は、限定されないが、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、またはネブラリンを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログは、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、またはその組み合わせをさらに含む。モルホリノまたはホスホロジアミデートモルホリノオリゴ(PMO)は合成分子を含み、その構造は、正常な糖およびリン酸塩構造からの逸脱によって天然の核酸構造を模倣している。いくつかの例では、5員のリボース環は、4つの炭素、1つの窒素、および1つの酸素を含有している6員のモルホリノ環で置換される。場合によっては、リボース単量体は、リン酸基の代わりにホスホロジアミデート基によって結合する。場合によっては、骨格の変質はすべての正電荷と負電荷を取り除き、モルホリノ中性分子は、荷電オリゴヌクレオチドで使用されるような細胞送達剤の助けを借りることなく細胞膜を通過できるようになる。
【0156】
【化7】
【0157】
いくつかの実施形態では、ペプチド核酸(PNA)は、糖環もリン酸塩結合も含まず、塩基は結合し、オリゴグリシン様分子によって適切に間隔を置かれ、そうすることで骨格電荷を除去する。
【0158】
【化8】
【0159】
いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾が随意にヌクレオチド間結合で生じる。いくつかの例では、修飾されたヌクレオチド間結合は、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、5’-メチルホスホネート、3’-アルキレンホスホネート、三フッ化ホウ素(borontrifluoridates)、3’-5’結合または2’-5’結合のボラノリン酸エステルおよびセレノホスフェート、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル、水素ホスホネート結合、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、アリールホスホノチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスフィネート、ホスホルアミデート、3’-アルキルホスホルアミデート、ホスホロピペラジデート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ケトン、スルホン、スルホンアミド、カルボネート、カルバメート、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、チオアミデート、リボアセチル基との結合、アミノエチルグリシン、シリル、またはシロキサン結合、例えば、飽和または不飽和の、および/または、置換された、および/またはヘテロ原子を含む1~10の炭素のヘテロ原子を含むまたは含まないアルキルまたはシクロアルキル結合、塩基が骨格のアザ窒素に直接的または間接的に結合しているモルホリノ構造、アミド、またはポリアミドとの結合、および、これらの組み合わせを含む。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(PS ASO)は、ホスホロチオエート結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。例示的なPS ASOが以下に例証される。
【0160】
【化9】
【0161】
いくつかの例では、修飾は、メチルホスホネート修飾またはチオールホスホネート修飾などのメチル修飾またはチオール修飾である。例示的なチオールホスホネートヌクレオチド(左)およびメチルホスホネートヌクレオチド(右)が、以下に例証される。
【0162】
【化10】
【0163】
いくつかの例では、修飾されたヌクレオチドは、限定されないが、以下のように例証される2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含む:
【0164】
【化11】
【0165】
いくつかの例では、修飾されたヌクレオチドは、限定されないが、以下のように例証されるヘキシトール核酸(または、1’、5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA))を含む:
【0166】
【化12】
【0167】
いくつかの実施形態では、上記のヌクレオチドアナログまたは人工ヌクレオチド塩基は、リボース部分の5’ヒドロキシル基における修飾を有する5’-ビニルホスホネート修飾ヌクレオチド核酸を含む。いくつかの実施形態では、5’-ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドは、以下から提供されたヌクレオチドから選択され、式中、XはOまたはSであり、および、Bは複素環式塩基部分である。
【0168】
【化13】
【0169】
いくつかの実施形態では、2’ヒドロキシル基での修飾は、プロピルリンカーを含む伸長したアミン基がアミン基を2’酸素に結合させる、2’-O-アミノプロピル修飾である。いくつかの例では、この修飾は、1糖当たりアミン基から1つの正電荷を導入することによってオリゴヌクレオチド分子のリン酸塩由来の全体的な負電荷を中和し、それによって、その双性イオン特性による細胞取り込み特性を改善する。
【0170】
いくつかの例では、5’-ビニルホスホネートはロックドまたは架橋リボース修飾(例えば、ロックド核酸またはLNA)でさらに修飾され、ここで、2’炭素で結合された酸素分子はメチレン基によって4’炭素に結合され、それにより、2’-C、4’-C-オキシ-メチレン結合二環式リボヌクレオチド単量体を形成する。5’-ビニルホスホネート修飾されたLNAの化学構造の例示的な表現が以下に例示され、式中、XはOまたはSであり、Bは複素環式塩基部分であり、および、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに結合するヌクレオチド間結合基である。
【0171】
【化14】
【0172】
いくつかの実施形態では、2’ヒドロキシル基でのさらなる修飾は、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログは、修飾塩基、例えば、限定されないが、5-プロピニルウリジン、5-プロピニルシチジン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、N,N,-ジメチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-プロピルグアニン、2-アミノアデニン、1-メチルイノシン、3-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および、5位置に修飾を有する他のヌクレオチド、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ハロシチジン、5-ハロウリジン、4-アセチルシチジン、1-メチルアデノシン、2-メチルアデノシン、3-メチルシチジン、6-メチルウリジン、2-メチルグアノシン、7-メチルグアノシン、2,2-ジメチルグアノシン、5-メチルアミノエチルウリジン、5-メトキシウリジン、デアザヌクレオチド(7-デアザ-アデノシン、6-アゾウリジン、6-アゾシチジン、または6-アゾチミジンなど)、5-メチル-2-チオウリジン、他のチオ塩基(2-チオウリジン、4-チオウリジン、および2-チオシチジンなど)、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、キューオシン、アルカエオシン、ナフチルおよび置換されたナフチル基、任意のOアルキル化およびNアルキル化プリンおよびピリミジン(例えば、N6-メチルアデノシン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン 5-オキシ酢酸、ピリジン-4-オン、またはピリジン-2-オン)、フェニルおよび修飾フェニル基、例えば、アミノフェノールまたは2,4,6-トリメトキシベンゼン、Gクランプヌクレオチドとして作用する修飾されたシトシン、8-置換されたアデニンおよびグアニン、5-置換されたウラシルおよびチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシアルキルアミノアルキルヌクレオチド、および、アルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドを含む。5’-ビニルホスホネート修飾されたヌクレオチドはさらに、リボシルではない糖またはそのアナログを有する5’-ビニルホスホネート修飾されたヌクレオチドと同様に、糖部に対して修飾されるこれらのヌクレオチドを含む。例えば、糖部は、場合によっては、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4’-チオリボース、および、その他の糖類、複素環、または炭素環であるか、あるいは、これらがベースである。ヌクレオチドという用語はさらに、普遍的な塩基として当該技術分野で知られているものを含む。一例として、普遍的な塩基は、限定されないが、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、またはネブラリンを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、5’-ビニルホスホネート修飾されたヌクレオチドアナログはさらに、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’ホスホラミダイト、または1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)を含む。モルホリノまたはホスホロジアミデートモルホリノオリゴ(PMO)は合成分子を含み、その構造は、天然の核酸構造を模倣しているが、正常な糖とリン酸塩の構造からは逸脱している。いくつかの例では、5員のリボース環は、4つの炭素、1つの窒素、および1つの酸素を含有している6員のモルホリノ環で置換される。場合によっては、リボース単量体は、リン酸基の代わりにホスホロジアミデート基によって結合する。場合によっては、骨格の変質はすべての正電荷と負電荷を取り除き、モルホリノ中性分子は、荷電オリゴヌクレオチドで使用されるような細胞送達剤の助けを借りることなく細胞膜を通過できるようになる。5’-ビニルホスホネート修飾されたモルホリノオリゴヌクレオチドの非限定的な例が以下に例証され、式中、XはOまたはSであり、および、Bは複素環式塩基部分である。
【0175】
【化15】
【0176】
いくつかの実施形態では、上に記載された5’-ビニルホスホネート修飾されたモルホリノまたはPMOは、正電荷またはカチオン電荷を含むPMOである。いくつかの例では、PMOはPMOplus(Sarepta)である。PMOplusは、任意の数の(1-ピペラジノ)ホスフィニリデンデオキシ(phosphinylideneoxy)、(1-(4-(オメガ-グアニジノ-アルカノイル))-ピペラジノ)ホスフィニリデンデオキシ結合(例えば、PCT国際公開第WO2008/036127号に記載されるものなど)を含むホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーを指す。いくつかの例では、PMOは、米国特許第7943762号に記載されるPMOである。
【0177】
いくつかの実施形態では、上に記載されたモルホリノまたはPMOはPMO-X(Sarepta)である。場合によっては、PMO-Xは、少なくとも1つの結合、または、PCT国際公開第WO2011/150408号と米国出願公開第2012/0065169号に記載されるものなどの開示された末端修飾の少なくとも1つを含むホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーを指す。
【0178】
いくつかの実施形態では、上に記載されたモルホリノまたはPMOは、米国出願公開第2014/0296321号の表5に記載されるようなPMOである。
【0179】
5’-ビニルホスホネート修飾された核酸の化学構造の例示的な表現が以下に例示され、式中、XはOまたはSであり、Bは複素環式塩基部分であり、および、Jはヌクレオチド間結合である。
【0180】
【化16】
【0181】
いくつかの実施形態では、ペプチド核酸(PNA)は、糖環もリン酸塩結合も含まず、塩基は結合し、オリゴグリシン様分子によって適切に間隔を置かれ、そうすることで骨格電荷を除去する。
【0182】
【化17】
【0183】
いくつかの実施形態では、5’-ビニルホスホネート修飾されたオリゴヌクレオチドの1つ以上の修飾は、ヌクレオチド間結合で随意に生じる。いくつかの例では、修飾されたヌクレオチド間結合は、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、5’-メチルホスホネート、3’-アルキレンホスホネート、三フッ化ホウ素、3’-5’結合または2’-5’結合のボラノリン酸エステルとセレノホスフェート、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル、水素ホスホネート結合、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、アリールホスホノチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスフィネート、ホスホルアミデート、3’-アルキルホスホルアミデート、アミノアルキルホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、ホスホロピペラジデート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ケトン、スルホン、スルホンアミド、カーボネート、カルバメート、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、チオアミデート、リボアセチル基との結合、アミノエチルグリシン、シリルまたはシロキサン結合、例えば、飽和または不飽和の、および/または、置換された、および/またはヘテロ原子を含む1~10の炭素のヘテロ原子を含むまたは含まないアルキルまたはシクロアルキル結合、塩基が骨格のアザ窒素に直接的または間接的に結合しているモルホリノ構造、アミド、またはポリアミドとの結合、および、これらの組み合わせを含む。
【0184】
いくつかの例では、修飾は、メチルホスホネート修飾またはチオールホスホネート修飾などのメチル修飾またはチオール修飾である。例示的なチオールホスホネートヌクレオチド(左)、ホスホロジチオエート(中)、およびメチルホスホネートヌクレオチド(右)が、以下に例証される。
【0185】
【化18】
【0186】
いくつかの例では、5’-ビニルホスホネート修飾されたヌクレオチドは、限定されないが、以下として例示されるホスホラミダイトを含む。
【0187】
【化19】
【0188】
いくつかの例では、修飾されたヌクレオチド間結合はホスホロジアミデート結合である。モルホリノ系とのホスホロジアミデート結合の非限定的な例が以下に示される。
【0189】
【化20】
【0190】
いくつかの例では、修飾されたヌクレオチド間結合はメチルホスホネート結合である。メチルホスホネート結合の非限定的な例が以下に示される。
【0191】
【化21】
【0192】
いくつかの例では、修飾されたヌクレオチド間結合はアミド結合である。アミド結合の非限定的な例が以下に示される。
【0193】
【化22】
【0194】
いくつかの例では、5’-ビニルホスホネート修飾されたヌクレオチドは、限定されないが、以下に例示される修飾された核酸を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾は、修飾が中性または非荷電の骨格を生成する、修飾リン酸骨格を含む。いくつかの例では、リン酸骨格は、非荷電または中性のリン酸骨格を生成するアルキル化によって修飾される。本明細書で使用されるように、アルキル化は、メチル化、エチル化、およびプロピル化を含む。場合によっては、アルキル基は、アルキル化の文脈において本明細書で使用されるように、1~6の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。いくつかの例では、例示的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3.3-ジメチルブチル、および2-エチルブチルの基が挙げられる。場合によっては、修飾リン酸は、米国特許第9481905号に記載されるリン酸基である。
【0196】
いくつかの実施形態では、さらなる修飾リン酸骨格は、メチルホスホネート、エチルホスホネート、メチルチオホスホネート、またはメトキシホスホネートを含む。場合によっては、修飾リン酸はメチルホスホネートである。場合によっては、修飾リン酸はエチルホスホネートである。場合によっては、修飾リン酸はメチルチオホスホネートである。場合によっては、修飾リン酸はメトキシホスホネートである。
【0197】
いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾はさらに、リボース部分、リン酸骨格、およびヌクレオシドの修飾、あるいは3’または5’末端のヌクレオチドアナログの修飾を含む。例えば、3’末端は、随意に、または、3’-3’結合で3’-末端でヌクレオシドを反転させることによって、3’カチオン基を含む。別の代替物では、3’-末端は随意に、アミノアルキル基、例えば、3’C5-アミノアルキルdTとコンジュゲートする。追加の代替物では、3’-末端は随意に、脱塩基部位、例えば、アプリン酸またはアピリミジン酸部位とコンジュゲートする。いくつかの例では、5’-末端は、アミノアルキル基、例えば、5’-O-アミノアルキル置換基とコンジュゲートする。場合によっては、5’-末端は、脱塩基部位、例えば、アプリン酸またはアピリミジン酸部位とコンジュゲートする。
【0198】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログの1つ以上を含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載される人工ヌクレオチドアナログの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25、またはそれ以上を含む。いくつかの実施形態では、人工ヌクレオチドアナログは、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、あるいはこれらの組み合わせから選択された、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25、またはそれ以上の人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25、またはそれ以上の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25、またはそれ以上の2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾されたヌクレオチドを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25、またはそれ以上のチオールホスホネートヌクレオチドを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、複数のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーまたは複数のペプチド核酸修飾非天然ヌクレオチドを含み、および、少なくとも1つの逆位脱塩基部分を随意に含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー修飾非天然ヌクレオチドを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、100%ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー修飾非天然ヌクレオチドを含む。
【0200】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のペプチド核酸修飾非天然ヌクレオチドを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、100%ペプチド核酸修飾非天然ヌクレオチドを含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、各ヌクレオチドアナログが立体化学的に異性型である1つ以上のヌクレオチドアナログを含む。そのような例では、ポリ核酸分子はキラル分子である。場合によっては、ヌクレオチドアナログは骨格立体化学を含む。さらなる場合には、ヌクレオチドアナログは、米国特許第9,982,257号、第9,695,211号、または第9,605,019号に記載されるようなキラルアナログを含む。
【0202】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、約5%~約100%の修飾、約10%~約100%の修飾、約20%~約100%の修飾、約30%~約100%の修飾、約40%~約100%の修飾、約50%~約100%の修飾、約60%~約100%の修飾、約70%~約100%の修飾、約80%~約100%の修飾、および、約90%~約100%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0203】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約90%の修飾、約20%~約90%の修飾、約30%~約90%の修飾、約40%~約90%の修飾、約50%~約90%の修飾、約60%~約90%の修飾、約70%~約90%の修飾、および、約80%~約100%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0204】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約80%の修飾、約20%~約80%の修飾、約30%~約80%の修飾、約40%~約80%の修飾、約50%~約80%の修飾、約60%~約80%の修飾、および、約70%~約80%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0205】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、約10%~約70%の修飾、約20%~約70%の修飾、約30%~約70%の修飾、約40%~約70%の修飾、約50%~約70%の修飾、および、約60%~約70%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0206】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、約10%~約60%の修飾、約20%~約60%の修飾、約30%~約60%の修飾、約40%~約60%の修飾、および約50%~約60%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0207】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約50%の修飾、約20%~約50%の修飾、約30%~約50%の修飾、および約40%~約50%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0208】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約40%の修飾、約20%~約40%の修飾、および約30%~約40%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0209】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約30%の修飾、および約20%~約30%の修飾の少なくとも1つを含む。
【0210】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約10%~約20%の修飾を含む。
【0211】
場合によっては、ポリ核酸分子は、約15%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、または約40%~約60%の修飾を含む。
【0212】
さらなる場合には、ポリ核酸分子は、少なくとも約15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の修飾を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、またはそれ以上の修飾を含む。
【0214】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、またはそれ以上の修飾されたヌクレオチドを含む。
【0215】
いくつかの例では、約5~約100%のポリ核酸分子は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約5%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約10%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約15%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約20%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約25%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約30%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約35%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約40%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約45%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約50%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約55%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約60%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約65%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約70%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約75%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約80%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約85%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約90%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約95%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約96%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約97%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約98%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約99%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子の約100%は、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、人工ヌクレオチドアナログは、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、またはこれらの組み合わせを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約1~約25の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約1の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約2の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約3の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約4の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約5の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約6の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約7の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約8の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約9の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約10の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約11の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約12の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約13の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約14の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約15の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約16の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約17の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約18の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約19の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約20の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約21の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約22の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約23の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約24の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は約25の修飾を含み、ここで、修飾は本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログを含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は2つの別個のポリヌクレオチドから組み立てられ、ここで、1つのポリヌクレオチドはセンス鎖を含み、第2のポリヌクレオチドはポリ核酸分子のアンチセンス鎖を含む。他の実施形態では、センス鎖はリンカー分子によってアンチセンス鎖に接続され、これは、いくつかの例では、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーである。
【0218】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、センス鎖中のピリミジンヌクレオチドは2’-O-メチルピリミジンヌクレオチドを含み、センス鎖中のプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、センス鎖中に存在するピリミジンヌクレオチドは2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドを含み、センス鎖中に存在するプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、ピリミジンヌクレオチドは、前記アンチセンス鎖中に存在する場合、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、プリンヌクレオチドは前記アンチセンス鎖中に存在する場合、2’-O-メチルプリンヌクレオチドである。
【0220】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、ピリミジンヌクレオチドは、前記アンチセンス鎖中に存在する場合、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、プリンヌクレオチドは前記アンチセンス鎖中に存在する場合、2’-デオキシ-プリンヌクレオチドを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、センス鎖は、センス鎖の5’-末端、3’-末端、または5’と3’の末端の両方で末端キャップ部分を含む。他の実施形態では、末端キャップ部分は逆位デオキシ脱塩基部分である。
【0222】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、アンチセンス鎖はアンチセンス鎖の3’末端にリン酸塩骨格修飾を含む。いくつかの例では、リン酸骨格修飾は、ホスホロチオエートである。場合によっては、パッセンジャー鎖は、ガイド鎖よりも多くのホスホロチオエート修飾を含む。他の場合では、ガイド鎖は、パッセンジャー鎖よりも多くのホスホロチオエート修飾を含む。さらなる場合には、パッセンジャー鎖は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエート修飾を含む。さらなる場合には、ガイド鎖は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエート修飾を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、アンチセンス鎖はアンチセンス鎖の3’末端にグリセリル修飾を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、センス鎖は、1つ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含み、および、アンチセンス鎖は、約1~約10またはそれ以上の、とりわけ、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にアンチセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含む。他の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の1つ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドを用いて、あるいは1つ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、同じあるいは異なる鎖に存在する3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を用いて、または、用いずに、化学修飾される。
【0225】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、センス鎖は、約1~約25、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含み、および、アンチセンス鎖は、約1~約25またはそれ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にアンチセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含む。他の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の1つ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドを用いて、約1~約25またはそれ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、同じあるいは異なる鎖に存在する3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を用いて、または、用いずに、化学修飾される。
【0226】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、アンチセンス鎖は、1つ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、約1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含み、および、アンチセンス鎖は、約1~約10またはそれ以上の、とりわけ、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にアンチセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含む。他の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の1つ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドを用いて、1つ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、同じあるいは異なる鎖に存在する3’-末端、5’-末端、あるいは3’と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を用いて、または、用いずに、化学修飾される。
【0227】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、ここで、アンチセンス鎖は、約1~約25またはそれ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含み、および、アンチセンス鎖は、約1~約25またはそれ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または、1つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の普遍的な塩基修飾ヌクレオチド、ならびに、随意にアンチセンス鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を含む。他の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の1つ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドを用いて、約1~約5、例えば、約1、2、3、4、5またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または、同じあるいは異なる鎖に存在する3’-末端、5’-末端、あるいは3’-と5’-の末端の両方の末端キャップ分子を用いて、または、用いずに、化学修飾される。
【0228】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、以下の特性:高い肝細胞安定性、全体的な電荷の減少、肝細胞の取り込みの減少、または薬物動態の拡張の1つ以上を有する二重鎖ポリ核酸分子である。いくつかの実施形態では、二重鎖ポリ核酸分子は、複数の修飾を含むパッセンジャー鎖(例えば、センス鎖)とガイド鎖(例えば、アンチセンス鎖)を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、二重鎖ポリ核酸分子は、上に記載された修飾の1つ以上を有するガイド鎖(例えば、アンチセンス鎖)、および複数のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーまたは複数のペプチド核酸修飾非天然ヌクレオチドを有するパッセンジャー鎖(例えば、センス鎖)を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、ポリ核酸分子の各鎖において、約1~約25、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する化学修飾された短干渉核酸分子である。
【0231】
別の実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は2’-5’ヌクレオチド間結合を含む。いくつかの例では、2’-5’ヌクレオチド間結合は、一方または両方の配列鎖の3’-末端、5’-末端、あるいは3’-末端と5’-末端の両方にある。さらなる例では、2’-5’ヌクレオチド間結合は、一方または両方の配列鎖内の様々な他の位置に存在し、例えば、ポリ核酸分子の一方または両方の鎖中のピリミジンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上は、2’-5’ヌクレオチド間結合を含み、あるいは、ポリ核酸分子の一方または両方の鎖中にプリンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上は、2’-5’ヌクレオチド間結合を含む。
【0232】
場合によっては、ポリ核酸分子は、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を有する、二重の、非対称的で二重の、ヘアピン型の、または非対称的なヘアピン型の二次構造を有するポリヌクレオチドであり、ここで、アンチセンス領域は、別の標的核酸分子またはその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。他の場合には、ポリ核酸分子は、2つ以上のループ構造と、自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を含む基部とを有する、環状の単鎖ポリヌクレオチドであり、ここで、アンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有し、環状ポリヌクレオチドは、RNAiを媒介することが可能な活性なポリ核酸分子を生成するためにインビボまたはインビトロで処理される。さらなる場合には、ポリ核酸分子はさらに、標的核酸分子またはその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する単鎖ポリヌクレオチドを含み(例えば、そのようなポリ核酸分子は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列のポリ核酸分子内に存在することを必要としない)、単鎖ポリヌクレオチドはさらに、5’-ホスフェート(例えば、Martinez et al.,2002,Cell.,110,563-574と、Schwarz et al.,2002,Molecular Cell,10,537-568を参照)または5’,3’-ジホスフェートなどの末端リン酸基を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子は、細胞または再構成されたインビトロ系でRNAi活性を媒介する単鎖ポリ核酸分子であり、ここで、ポリ核酸分子は、標的核酸配列に対する相補性を有する単鎖ポリヌクレオチドを含み、および、ポリ核酸中に存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、ここで、ピリミジンヌクレオチドはすべて2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、または、代替的に、複数のピリミジンヌクレオチドは2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり)、および、ポリ核酸中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’-デオキシプリンヌクレオチドであり(例えば、すべてのプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドであり、または、代替的に、複数のプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドであり)、ならびに、末端キャップ修飾は、アンチセンス配列の3’-末端、5’-末端、あるいは3’と5’-末端の両方で随意に存在し、ポリ核酸分子は随意に、ポリ核酸分子の3’末端に約1~約4(例えば、約1、2、3、または4)の末端2’-デオキシリボヌクレオチドをさらに含み、ここで、末端のヌクレオチドはさらに、1つ以上(例えば、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、および、ポリ核酸分子は随意に、5’-末端リン酸基などの末端リン酸基をさらに含む。
【0234】
いくつかの例では、非対称の二重鎖は、アンチセンス領域と、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むループ部分と、センス領域とを含む線形のポリ核酸分子であり、センス領域は、アンチセンス領域と塩基対をなし、ループを有する二重鎖を形成するのに十分な相補的なヌクレオチドを有する程度には、アンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含む。例えば、非対称的なヘアピン型のポリ核酸分子は、細胞またはインビトロ系でRNAiを媒介するのに十分な長さを有し、かつ、約4~約8のヌクレオチドを含むループ領域を有するアンチセンス領域(例えば、約19~約22ヌクレオチド)と、アンチセンス領域に相補的な約3~約18のヌクレオチドを有するセンス領域とを含む。場合によっては、非対称的なヘアピン型のポリ核酸分子はさらに、化学修飾された5’末端リン酸基を含む。さらなる場合には、非対称的なヘアピン型のポリ核酸分子のループ部分は、ヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、またはコンジュゲート分子を含む。
【0235】
いくつかの実施形態において、非対称的な二重鎖は、センス領域およびアンチセンス領域を含む2つの別々の鎖を有するポリ核酸分子であり、センス領域は、アンチセンス領域と塩基対をなし、二重鎖を形成するのに十分な相補的なヌクレオチドを有する程度には、アンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含む。例えば、非対称的な二重ポリ核酸分子は、細胞またはインビトロ系でRNAiを媒介するのに十分な長さを有するアンチセンス領域(例えば、約19~約22のヌクレオチド)と、アンチセンス領域に相補的な約3~約18のヌクレオチドを有するセンス領域とを含む。
【0236】
場合によっては、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログの1つ以上は、天然のポリ核酸分子と比較して、例えば、RNase Hなどのリボヌクレアーゼ、DNaseなどのデオキシリボヌクレアーゼ、または、5’-3’エキソヌクレアーゼおよび3’-5’エキソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼ等のヌクレアーゼに対する耐性を有する。いくつかの例では、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、あるいは、これらの組み合わせを含む人工ヌクレオチドアナログは、RNase Hなどのリボヌクレアーゼ、DNaseなどのデオキシリボヌクレアーゼ、または、5’-3’エキソヌクレアーゼおよび3’-5’エキソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼ等のヌクレアーゼに対する耐性を有する。いくつかの例では、2’-O-メチル修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-O-アミノプロピル修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-デオキシ修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、T-デオキシ-2’-O-フルオロ修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、LNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、ENA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、HNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、モルホリノは、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、PNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼに対する耐性を有する(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)。いくつかの例では、メチルホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、チオールホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含むポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼ耐性)である。いくつかの例では、本明細書に記載された5’コンジュゲートは、5’-3’エキソヌクレアーゼ切断を阻害する。いくつかの例では、本明細書に記載された3’コンジュゲートは、3’-5’エキソヌクレアーゼ切断を阻害する。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された人工ヌクレオチドアナログの1つ以上は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、または2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含む人工ヌクレオチドアナログの1つ以上は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-メチル修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-アミノプロピル修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-デオキシ修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、T-デオキシ-2’-フルオロ修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、LNA修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、ENA修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、PNA修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、HNA修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、モルホリノ修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、メチルホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、チオールホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。いくつかの例では、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含むポリ核酸分子は、同等の天然ポリ核酸分子と比較して、そのmRNA標的に対する結合親和性を増加させている。場合によっては、増加した親和性は、低Kd、高融解温度(Tm)、またはその組み合わせで例証される。
【0238】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、キラル純粋(またはステレオ純粋)なポリ核酸分子、または単一のエナンチオマーを含むポリ核酸分子である。いくつかの例では、ポリ核酸分子はL-ヌクレオチドを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子はD-ヌクレオチドを含む。いくつかの例において、ポリ核酸分子組成物は、その鏡像異性体の30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下を含む。場合によっては、ポリ核酸分子組成物は、ラセミ混合物の30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下を含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、米国特許出願公開第2014/194610号と第2015/211006号、および、PCT国際公開第WO2015107425号に記載されるポリ核酸分子である。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、アプタマーコンジュゲート化部分を含めるようにさらに修飾される。いくつかの例では、アプタマーコンジュゲート化部分は、DNAアプタマーコンジュゲート化部分である。いくつかの例では、アプタマーコンジュゲート化部分は、Alphamer(Centauri Therapeutics)であり、これは、特定細胞表面標的と、循環抗体に結合するための特定のエピトープを示す部分とを認識するアプタマー部分を含んでいる。いくつかの例において、本明細書に記載されたポリ核酸分子は、米国特許第8,604,184号、第8,591,910号、および、第7,850,975号に記載されるようなアプタマーコンジュゲート化部分を含めるようにさらに修飾される。
【0240】
さらなる実施形態では、本明細書に記載されるポリ核酸分子は、その安定性を増大させるために修飾される。いくつかの実施形態では、ポリ核酸分子はRNA(例えば、siRNA)である。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、その安定性を増大させるために、上に記載された修飾の1つ以上によって修飾される。場合によっては、ポリ核酸分子は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾、あるいは、ロックドまたは架橋リボース構造(例えば、LNAまたはENA)によるなどして、2’ヒドロキシル位置で修飾される。場合によっては、ポリ核酸分子は、2’-O-メチルおよび/または2’-O-メトキシエチルリボースによって修飾される。場合によっては、ポリ核酸分子はさらに、その安定性を増大させるために、モルホリノ、PNA、HNA、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、および/または2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子はキラル純粋な(またはステレオ純粋な)ポリ核酸分子である。いくつかの例では、キラル純粋な(またはステレオ純粋な)ポリ核酸分子はその安定性を増大させるために修飾される。送達の安定性を増大させるためのRNAの適切な修飾は当業者には明らかとなるであろう。
【0241】
場合によっては、普遍的な塩基とは、ほとんど見分けがつかない天然のDNA/RNA塩基の各々と塩基対を形成するヌクレオチド塩基アナログを指す。普遍的な塩基の非限定的な例は、従来技術で知られているようなC-フェニル、C-ナフチル、および他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、ならびに、3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドール、および6-ニトロインドールなどのニトロアゾール誘導体を含む(例えば、Loakes,2001,Nucleic Acids Research,29,2437-2447を参照)。
【0242】
小分子、タンパク質、およびペプチド
いくつかの実施形態では、ペイロードは小分子である。いくつかの例では、小分子は細胞傷害性ペイロードである。例示的な細胞傷害性ペイロードは、限定されないが、微小管破壊剤、DNA修飾剤、またはAkt阻害剤を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、ペイロードは微小管破壊剤を含む。例示的な微小管破壊剤としては、限定されないが、2-メトキシエストラジオール、オーリスタチン、カルコン、コルヒチン、コンブレタスタチン、クリプトフィシン、ディクチオスタチン、ディスコデルモリド、ドラスタイン(dolastain)、エリュテロビン、エポチロン、ハリコンドリン、ラウリマリド、メイタンシン、ノスカピノイド、パクリタキセル、ペロルシド、フォモプシン、ポドフィロトシン、リゾキシン、スポンジスタチン、タキサン、チューブリシン(tubulysin)、ビンカアルカロイド、ビノレルビン、またはその誘導体あるいはアナログが挙げられる。
【0244】
いくつかの実施形態では、チューブリシンは、米国特許第8580820号と第8980833号、および米国出願公開第20130217638号、第20130224228号、ならびに第201400363454号に記載されるようなチューブリシンのアナログまたは誘導体である。
【0245】
いくつかの実施形態では、メイタンシンはメイタンシノイドである。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドはDM1、DM4、またはアンサマイトシンである。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドはDM1である。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドはDM4である。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドはアンサマイトシンである。いくつかの実施形態では、メイタンシノイドは、米国特許第5208020号、第5416064号、第7276497号、および第6716821号、または米国出願公開第2013029900号および第20130323268号に記載されるようなメイタンシノイドの誘導体またはアナログである。
【0246】
いくつかの実施形態では、ペイロードは、ドラスチンまたはその誘導体あるいはアナログである。いくつかの実施形態では、ドラスチンは、ドラスチン10またはドラスチン15、あるいはその誘導体またはアナログである。いくつかの実施形態では、ドラスチン10アナログは、オーリスタチン、ソブリドチン、シンプロスタチン1、またはシンプロスタチン3である。いくつかの実施形態では、ドラスチン15アナログは、セマドチンまたはタシドチンである。
【0247】
いくつかの実施形態では、ドラスチン10アナログは、オーリスタチンまたはオーリスタチン誘導体である。いくつかの実施形態では、オーリスタチンまたはオーリスタチン誘導体は、オーリスタチンE(AE)、オーリスタチンF(AF)、オーリスタチンE5-ベンゾイル吉草酸エステル(AEVB)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、またはモノメチルオーリスタチンD(MMAD)、オーリスタチンPE、あるいはオーリスタチンPYEである。いくつかの実施形態では、オーリスタチン誘導体はモノメチルオーリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態では、オーリスタチン誘導体はモノメチルオーリスタチンF(MMAF)である。いくつかの実施形態では、オーリスタチンは、米国特許第6884869号、第7659241号、第7498298号、第7964566号、第7750116号、第8288352号、第8703714号、および号8871720号に記載されるようなオーリスタチン誘導体またはアナログである。
【0248】
いくつかの実施形態では、ペイロードはDNA修飾剤を含む。いくつかの実施形態では、DNA修飾剤はDNA開裂剤、DNAインターカレータ、DNA転写阻害剤、またはDNA架橋剤を含む。いくつかの例では、DNA開裂剤は、ブレオマイシンA2、カリケアミシン、またはその誘導体あるいはアナログを含む。いくつかの例では、DNAインターカレータは、ドキソルビシン、エピルビシン、PNU-159682、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、オリゴマイシンC、ダウノルビシン、バルルビシン、トポテカン、またはその誘導体あるいはアナログを含む。いくつかの例では、DNA転写阻害剤はダクチノマイシンを含む。いくつかの例では、DNA架橋剤はマイトマイシンCを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、DNA修飾剤は、アムサクリン、アントラサイクリン、カンプトテシン、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、エンジイン、エトポシド、インドリノベンゾジアゼピン、ネトロプシン、テニポシド、またはその誘導体あるいはアナログを含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、アントラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、ネモルビシン、ピクサントロン、サバルビシン、またはバルルビシンである。
【0251】
いくつかの実施形態では、カンプトテシンのアナログは、トポテカン、イリノテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルートテカン、ジャイマテカン、ベロテカン、ルビテカン、またはSN-38である。
【0252】
いくつかの実施形態では、デュオカルマイシンは、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンD、デュオカルマイシンSA、またはCC-1065である。いくつかの実施形態では、エンジインはカリケアミシン、エスペラミシン、またはダイネマイシンAである。
【0253】
いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、アントラマイシン、アベイマイシン、チカマイシン、DC-81、マゼトラマイシン、ネオトラマイシンA、ネオトラマイシンB、ポロトラマイシン、プロトラカルシン、シバノマイシン(DC-102)、シビロマイシン、またはトマイマイシンである。いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、米国特許第8404678号および第8163736号に記載されるようなトマイマイシン誘導体である。いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、米国特許第8426402号、第8802667号、第8809320号、第6562806号、第6608192号、第7704924号、第7067511号、第US7612062号、第7244724号、第7528126号、第7049311号、第8633185号、第8501934号、および第8697688号、ならびに米国出願公開第US20140294868号に記載されるようなものである。
【0254】
いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、ピロロベンゾジアゼピン二量体である。いくつかの実施形態では、PBD二量体は対称的な二量体である。対称PBD二量体の例としては、限定されないが、SJG-136(SG-2000)、ZC-423(SG2285)、SJG-720、SJG-738、ZC-207(SG2202)、およびDSB-120(表2)が挙げられる。いくつかの実施形態では、PBD二量体は非対称二量体である。非対称PBD二量体の例としては、限定されないが、米国特許第8697688号および第9242013号、ならびに米国出願公開第20140286970号に記載されるようなSJG-136誘導体が挙げられる。
【0255】
いくつかの実施形態では、ペイロードはAkt阻害剤を含む。場合によっては、Akt阻害剤は、イパタセルチブ(GDC-0068)またはその誘導体を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、ペイロードは、限定されないが、α-アマニチンなどのポリメラーゼII阻害剤、およびポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む、ポリメラーゼ阻害剤を含む。例示的なPARP阻害剤は、限定されないが、イニパリブ(BSI 201)、タラゾパリブ(BMN-673)、オラパリブ(AZD-2281)、オラパリブ、ルカパリブ(AG014699、PF-01367338)、ベリパリブ(ABT-888)、CEP 9722、MK 4827、BGB-290、または3-アミノベンズアミドを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、ペイロードは、造影剤である。いくつかの例では、ペイロードは、「放射線不透過性の」標識、例えば、X線を使用して視覚化された標識を含む。放射線不透性物質は、当業者に周知である。例示的な放射線不透性物質は、ヨウ化物、臭化物、またはバリウム塩を含む。追加の放射線不透性物質は、限定されないが、有機ビスマス誘導体(例えば、米国特許第5,939,045号)、放射線不透性ポリウレタン(例えば、米国特許第5,346,981号を参照)、有機ビスマス複合体(例えば、米国特許第5,256,334号を参照)、放射線不透性バリウムポリマー複合体(例えば、米国特許第4,866,132号を参照)などを含む。
【0258】
いくつかの例では、ペイロードは、例えば、イムノコンジュゲートに使用される検出可能な標識を含み、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物を含む。有用なラベルは、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(商標))、蛍光色素(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射性同位体(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびその他共通してELISAに使用されるもの)、ならびに比色定量ラベル、例えば、コロイド金または着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズ、ナノ粒子、量子ドットなどを含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、適切な放射標識は、限定されないが、99Tc、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113mIn、97Ru、62Cu、64Cu、52Fe、52mMn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、159Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、および111Agを含む。
【0260】
いくつかの例では、ペイロードは、細胞に対する電離放射線(60CoまたはX線源などで生成されるような)の細胞毒性効果を高める放射線増感剤を含む。多くの放射線増感剤が知られており、限定されないが、ベンゾポルフィリン誘導体化合物(例えば、米国特許第5,945,439号を参照)、1,2,4-ベンゾトリアジンオキシド(例えば、米国特許第5,849,738号を参照)、特定のジアミンを含有する化合物(例えば、米国特許第5,700,825号を参照)、BCNT(例えば、米国特許第5,872,107号を参照)、放射線増感性ニトロ安息香酸アミド誘導体(例えば、米国特許第4,474,814号を参照)、様々な複素環誘導体(例えば、米国特許第5,064,849号を参照)、白金錯体(例えば、米国特許第4,921,963号を参照)などを含む。
【0261】
いくつかの例では、ペイロードは、α放射体、すなわち、α粒子を放出する放射性同位体を得る。α放射体は、癌の処置に有効であると近年示されている(例えば、McDevitt et al. (2001) Science 294:1537-1540;Ballangrud et al.(2001) Cancer Res. 61: 2008-2014; Borchardt et al.(2003) Cancer Res. 63:5084-50を参照)。適切なα放射体は、限定されないが、213Bi、211Atなどを含む。
【0262】
いくつかの例では、ペイロードは免疫調節剤を含む。有用な免疫調節剤としては、腫瘍に対するホルモンの作用を阻害する抗ホルモン剤、およびサイトカインの産生を抑制したり、自己抗原の発現をダウンレギュレートしたり、またはMHC抗原をマスクしたりする免疫抑制剤が挙げられる。代表的な抗ホルモン剤としては、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性の4(5)-イミダゾール類、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプンストン、およびトレミフェンなどの抗エストロゲン、ならびに、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン、ならびに、抗副腎剤が挙げられる。免疫抑制剤としては、限定されないが、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHCフラグメントに対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、グルココルチコステロイドなどのステロイド、ストレプトキナーゼ、またはラパマイシンなどが挙げられる。
【0263】
いくつかの実施形態では、ペイロードはタンパク質またはペプチドトキシンあるいはそのフラグメントを含む。例示的な酵素学的に活性な毒素またはそのフラグメントとしては、限定されないが、ジフテリア毒素Aフラグメント、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A(Pseudomonas aeruginosaからの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、a-サルシン、特定のシナアブラギリタンパク質、特定のダイアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAP、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィキナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトギリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。
【0264】
いくつかの例では、ペイロードは免疫調節薬である。例示的な免疫調節薬としては、限定されないが、ガンシクロビエ、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノールゲートモフェチル、メトトレキサート、グルココルチコイドおよびそのアナログ、キサンチン、幹細胞成長因子、リンパトキシン、造血因子、腫瘍壊死因子(TNF)(例えば、TNFα)、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ)、「S1因子」と名付けられる幹細胞増殖因子、エリスロポエチン、およびトロンボポエチン、またはその組み合わせが挙げられる。
【0265】
いくつかの例では、ペイロードはサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、IL-21、インターフェロン(例えば、IFNα、IFNβ)、またはTNFαを含む。
【0266】
ポリマー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、高分子(ポリマー部分C)をさらに含む。いくつかの例では、ポリマー部分は、分岐したまたは分枝していない単量体の長鎖、および/または、二次元あるいは三次元の単量体の架橋したネットワークからなる、天然または合成のポリマーである。いくつかの例では、ポリマー部分は多糖、リグニン、ゴム、またはポリアルキルエンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール)を含む。いくつかの例では、少なくとも1つのポリマー部分としては、限定されないが、アルファ-ジヒドロキシルポリエチレングリコール、オメガ-ジヒドロキシルポリエチレングリコール、生物分解性ラクトンベースのポリマー、例えば、ポリアクリル酸、ポリラクチド酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリシアノアクリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート(PET、PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PETE)、ポリテトラメチレングリコール(PTG)、またはポリウレタン、およびこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用されるように、混合物は、ブロックコポリマーに関連する場合と同様に、同じ化合物内の様々なポリマーの使用を指す。場合によっては、ブロックコポリマーは、ポリマーの少なくとも1つの部分が別のポリマーの単量体から構築されるポリマーである。いくつかの例では、ポリマー部分はポリアルキレンオキシドを含む。いくつかの例では、ポリマー部分はPEGを含む。いくつかの例では、ポリマー部分はポリエチレンイミド(PEI)またはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。
【0267】
いくつかの例では、CはPEG部分である。いくつかの例では、PEG部分はポリ核酸分子の5’末端にコンジュゲートするが、結合部分はポリ核酸分子の3’末端にコンジュゲートする。いくつかの例では、PEG部分はポリ核酸分子の3’末端にコンジュゲートするが、結合部分はポリ核酸分子の5’末端にコンジュゲートする。いくつかの例では、PEG部分はポリ核酸分子の内部部位にコンジュゲートする。いくつかの例では、PEG部分、結合部分、またはその組み合わせは、ポリ核酸分子の内部部位にコンジュゲートする。いくつかの例では、コンジュゲーションは直接コンジュゲーションである。いくつかの例では、コンジュゲーションは天然のライゲーションを介するものである。
【0268】
いくつかの実施形態では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は多分散または単分散の化合物である。いくつかの例では、多分散材料は、平均重量(重量平均)サイズおよび分散度を特徴とする、異なる分子量の材料の分散分布を含む。いくつかの例では、単分散PEGは1つのサイズの分子を含む。いくつかの実施形態では、Cは多分散または単分散のポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)であり、示された分子量は、ポリアルキレンオキシド、例えば、PEG分子の分子量の平均を表す。
【0269】
いくつかの実施形態では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)の分子量は、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daである。
【0270】
いくつかの実施形態では、Cはポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)であり、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、CはPEGであり、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daの分子量を有する。いくつかの例では、Cの分子量は約200Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約300Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約400Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約600Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約700Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約800Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約900Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1100Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1200Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1300Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1400Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1450Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1600Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1700Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1800Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約1900Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2100Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2200Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2300Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2400Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2600Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2700Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2800Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約2900Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約3000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約3250Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約3350Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約3500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約3750Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約4000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約4250Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約4500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約4600Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約4750Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約5000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約5500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約6000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約6500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約7000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約7500Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約8000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約10,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約12,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約20,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約35,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約40,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約50,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約60,000Daである。いくつかの例では、Cの分子量は約100,000Daである。
【0271】
いくつかの実施形態では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は、離散PEG(discrete PEG)であり、離散PEGは、1を超える繰り返しエチレンオキシド単位を含むポリマーPEGである。いくつかの例では、離散PEG(dPEG)は、2~60、2~50、または2~48の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、42、48、50、またはそれ以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約2以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約3以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約4以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約5以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約6以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約7以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約8以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約9以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約10以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約11以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約12以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約13以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約14以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約15以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約16以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約17以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約18以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約19以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約20以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約22以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約24以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約26以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約28以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約30以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約35以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約40以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約42以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約48以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例では、dPEGは約50以上の反復エチレンオキシド単位を含む。場合によっては、dPEGは、純粋な(例えば、約95%、98%、99%、または99.5%)出発物質から単一分子量化合物として段階的に合成される。場合によっては、dPEGは、平均分子量ではなく、特定の分子量を有する。場合によっては、本明細書に記載されるdPEGはQuanta Biodesign,LMDのdPEGである。
【0272】
いくつかの実施形態では、ポリマー部分Cは、カチオン性ムチン酸ベースのポリマー(cMAP)を含む。いくつかの例では、cMAPは、少なくとも1つの反復サブユニットの1つ以上のサブユニットを含み、サブユニット構造は式(III)として表され、
【0273】
【化23】
【0274】
ここで、mは、それぞれ存在する場合、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、好ましくは、4-6、または5であり、および、nは、それぞれ存在する場合、独立して、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態では、mとnは、例えば、約10である。
【0275】
いくつかの例では、cMAPはさらにPEG部分にコンジュゲートし、cMAP-PEGコポリマー、mPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマー、またはcMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーを生成する。いくつかの例では、PEG部分は約500Da~約50,000Daの範囲である。いくつかの例では、PEG部分は、約500Da~約1000Da、1000Da超~約5000Da、5000Da超~約10,000Da、10,000超~約25,000Da、25,000Da超~約50,000Da、またはこれらの範囲の2つ以上の任意の組み合わせの範囲である。
【0276】
いくつかの例では、Cは、cMAP-PEGコポリマー、mPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマー、またはcMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーである。場合によっては、CはcMAP-PEGコポリマーである。他の場合には、CはmPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマーである。さらなる場合には、CはcMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーである。
【0277】
エンドソーム溶解部分
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートは、追加のコンジュゲート化部分をさらに含む。いくつかの例では、追加の結合部分はエンドソーム溶解部分である。場合によっては、エンドソーム溶解部分は、細胞区画放出成分、例えば、エンドソーム、リソソーム、小胞体(ER)、ゴルジ体、微小管、ペルオキシソーム、または細胞を有する他の小胞体などの、当該技術分野で知られている細胞区画のいずれかから放出することができる化合物である。場合によっては、エンドソーム溶解部分は、エンドソーム溶解性ポリペプチド、エンドソーム溶解性ポリマー、エンドソーム溶解性脂質、またはエンドソーム溶解性小分子を含む。場合によっては、エンドソーム溶解部分はエンドソーム溶解性ポリペプチドを含む。他の場合では、エンドソーム溶解部分はエンドソーム溶解性ポリマーを含む。
【0278】
エンドソーム溶解性ポリペプチド
いくつかの実施形態では、抗トランスフェリン受容体抗体コンジュゲートはさらに、エンドソーム溶解性ポリペプチドとコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、式(I):A-(X-B)、または、式(II):A-X-(B-X-C)のコンジュゲートは、エンドソーム溶解性ポリペプチドとさらにコンジュゲートする。場合によっては、エンドソーム溶解性ポリペプチドはpH依存性膜活性ペプチドである。場合によっては、エンドソーム溶解性ポリペプチドは両親媒性ポリペプチドである。さらなる場合には、エンドソーム溶解性ポリペプチドはペプチド模倣薬である。いくつかの例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、INF、メリチン、ムチン(meucin)、またはそのそれぞれの誘導体を含む。いくつかの例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、INFまたはその誘導体を含む。他の場合には、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、メリチンまたはその誘導体を含む。さらなる場合には、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、ムチンまたはその誘導体を含む。
【0279】
いくつかの例では、INF7は24残基ポリペプチドであり、この配列は、CGIFGEIEELIEEGLENLIDWGNA(配列番号:51)またはGLFEAIEGFIENGWEGMIDGWYGC(配列番号:52)を含む。いくつかの例では、INF7またはその誘導体は、以下の配列を含む:GLFEAIEGFIENGWEGMIWDYGSGSCG(配列番号:53)、GLFEAIEGFIENGWEGMIDG WYG-(PEG)6-NH2(配列番号:54)、または、GLFEAIEGFIENGWEGMIWDYG-SGSC-K(GalNAc)2(配列番号:55)。
【0280】
場合によっては、メリチンは26残基ポリペプチドであり、この配列は、CLIGAILKVLATGLPTLISWIKNKRKQ(配列番号:56)、または、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号:57)を含む。いくつかの例では、メリチンは、米国特許第8,501,930号に記載されるポリペプチド配列を含む。
【0281】
いくつかの例では、ムチンは、サソリ(Mesobuthus eupeus)の毒液腺に由来する抗菌ペプチド(AMP)である。いくつかの例では、ムチンは、IFGAIAGLLKNIF-NH2(配列番号:58)を含むムチン-13、および、FFGHLFKLATKIIPSLFQ(配列番号:59)を含むムチン-18配列から構成される。
【0282】
いくつかの例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、その配列がINF7またはその誘導体、メリチンまたはその誘導体、あるいはムチンまたはその誘導体に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%配列同一性であるポリペプチドを含む。いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、INF7またはその誘導体、メリチンまたはその誘導体、あるいはムチンまたはその誘導体を含む。
【0283】
いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は表8で例証されるような配列を含む。
【0284】
【表8-1】
【0285】
【表8-2】
【0286】
場合によっては、エンドソーム溶解部分は、Bcl-2および/またはBcl-xLなどの抑制因子標的の拮抗を介してアポトーシスを誘発するBak BH3ポリペプチドを含む。いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、Albarran, et al., “Efficient intracellular delivery of a pro-apoptotic peptide with a pH-responsive carrier,” Reactive & Functional Polymers 71: 261-265 (2011)に記載されるBak BH3ポリペプチドを含む。
【0287】
いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、PCT国際公開第WO2013/166155号または第WO2015/069587号に記載されるようなポリペプチド(例えば、細胞透過性ポリペプチド)を含む。
【0288】
エンドソーム溶解性ポリマー
いくつかの実施形態では、式(I):A-(X-B)、または、式(II):A-X-(B-X-C)のコンジュゲートは、エンドソーム溶解性ポリマーとさらにコンジュゲートする。本明細書で使用される場合、エンドソーム溶解性ポリマーは、線形、分岐ネットワーク、星形、くし形、またはしご型のポリマーを含む。いくつかの例では、エンドソーム溶解性ポリマーは、2つ以上の異なる型の単量体を含むホモポリマーまたはコポリマーであある。場合によっては、エンドソーム溶解性ポリマーはポリカチオンポリマーである。他の場合において、エンドソーム溶解性ポリマーはポリアニオンポリマーである。
【0289】
いくつかの例では、ポリカチオンポリマーは、電荷が正、電荷が中性、または電荷が負である単量体単位を含み、正味の電荷は正である。他の場合において、ポリカチオンポリマーは、2つ以上の正電荷を含有する非ポリマー分子を含む。例示的なカチオンポリマーとしては、限定されないが、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)(PLA)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸](PAGA)、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、またはN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)が挙げられる。
【0290】
場合によっては、ポリアニオンポリマーは、電荷が正、電荷が中性、または電荷が負である単量体単位を含み、正味の電荷は負である。他の場合において、ポリアニオンポリマーは、2つ以上の負電荷を含有する非ポリマー分子を含む。例示的なアニオンポリマーは、p(アルキルアクリレート)(例えば、ポリ(プロピルアクリル酸)(PPAA))、またはポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(NIPAM)を含む。さらなる例は、PP75、Khormaee,et al.,“Edosomolytic anionic polymer for the cytoplasmic delivery of siRNAs in localized in vivo applications,” Advanced Functional Materials 23: 565-574 (2013)に記載されるL-フェニルアラニン-ポリ(L-リジンイソフタルアミド)ポリマーを含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解性ポリマーは、pH応答性のエンドソーム溶解性ポリマーである。pH応答性ポリマーは、環境のpHに応じてサイズを増大させる(膨潤させる)か、崩壊するポリマーを含む。ポリアクリル酸およびキトサンはpH応答性ポリマーの例である。
【0292】
いくつかの例では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解部分は、膜破壊性ポリマーである。場合によっては、膜破壊性ポリマーは、カチオンポリマー、中性または疎水性ポリマー、あるいはアニオンポリマーを含む。いくつかの例では、膜破壊性ポリマーは親水性ポリマーである。
【0293】
いくつかの例では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解部分は、膜破壊性ポリマーである。例示的なpH応答性の膜破壊性ポリマーは、p(アルキルアクリル酸)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(NIPAM)コポリマー、スクシニル化p(グリシドール)、およびp(β-リンゴ酸)ポリマーを含む。
【0294】
いくつかの例では、p(アルキルアクリル酸)は、ポリ(プロピルアクリル酸(polyPAA)、ポリ(メタクリル酸(PMAA)、ポリ(エチルアクリル酸)(PEAA)、およびポリ(プロピルアクリル酸)(PPAA)を含む。いくつかの例では、p(アルキルアクリル酸)は、Jones,et al.,Biochemistry Journal 372: 65-75 (2003)に記載されるp(アルキルアクリル酸)を含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、pH応答性の膜破壊性ポリマーは、p(ブチルアクリレート-co-メタクリル酸)を含む。(Bulmus, et al., Journal of Controlled Release 93: 105-120 2003、およびYessine, et al., Biochimica et Biophysica Acta 1613: 28-38 (2003)を参照)
【0296】
いくつかの実施形態では、pH応答性の膜破壊性ポリマーは、p(スチレン-alt-無水マレイン酸)を含む。(Henry,et al.,Biomacromolecules 7:2407-2414(2006)を参照)
【0297】
いくつかの実施形態では、pH応答性の膜破壊性ポリマーは、ポリ(MAA-co-PDSA)、ポリ(EAA-co-PDSA)、ポリ(PAA-co-PDSA)、ポリ(MAA-co-BA-co-PDSA)、ポリ(EAA-co-BA-co-PDSA)、またはポリ(PAA-co-BA-co-PDSA)ポリマーなどのピリジルジスルフィドアクリレート(PDSA)ポリマーを含む。(El-Sayed,et al.,“Rational design of composition and activity correlations for pH-responsive and glutathione-reactive polymer therapeutics,” Journal of Controlled Release 104: 417-427 (2005)、またはFlanary et al., “Antigen delivery with poly(propylacrylic acid) conjugation enhanced MHC-1 presentation and T-cell activation,” Bioconjugate Chem. 20: 241-248 (2009)を参照)。
【0298】
いくつかの実施形態では、pH応答性の膜破壊性ポリマーは、以下の塩基構造を含む溶解性ポリマーを含む:
【0299】
【化24】
【0300】
いくつかの例では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解部分はさらに、追加のコンジュゲート、例えば、ポリマー(例えば、PEG)、または修飾されたポリマー(例えば、コレステロール修飾されたポリマー)にコンジュゲートする。
【0301】
いくつかの例では、追加のコンジュゲートは界面活性剤(例えば、トリトンX-100)を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解部分は、界面活性剤(例えば、トリトンX-100)とコンジュゲートされたポリマー(例えば、ポリ(アミドアミン))を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるエンドソーム溶解部分は、ポリ(アミドアミン)-トリトンX-100コンジュゲート(Duncan, et al.,“A polymer-Triton X-100 conjugate capable of pH-dependent red blood cell lysis: a model system illustrating the possibility of drug delivery within acidic intracellular compartments,” Journal of Drug Targeting 2: 341-347 (1994))を含む。
【0302】
エンドソーム溶解性脂質
いくつかの実施形態では、エンドソーム溶解部分は脂質(例えば、融合性脂質)である。いくつかの実施形態では、式(I):A-(X-B)、または、式(II):A-X-(B-X-C)のコンジュゲートは、エンドソーム溶解性脂質(例えば、融合性脂質)とさらにコンジュゲートする。例示的な融合性脂質は、1,2-ジレオイル(dileoyl)-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、(6Z、9Z、28Z、31Z)-ヘプタトリアコンタ-6、9、28、31-テトラエン-19-オール(Di-Lin)、N-メチル(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(DLin-k-DMA)、およびN-メチル-2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)エタンアミン(XTC)を含む。
【0303】
いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、PCT国際公開第WO09/126,933号に記載される脂質(例えば、融合性脂質)である。
【0304】
エンドソーム溶解性小分子
いくつかの実施形態では、エンドソーム溶解部分は小分子である。いくつかの実施形態では、式(I):A-(X-B)、または、式(II):A-X-(B-X-C)の分子は、エンドソーム溶解性小分子とさらにコンジュゲートする。エンドソーム溶解部分として適切な例示的な小分子としては、限定されないが、キニーネ、クロロキン、水酸化クロロキン、アモジアキン(カルノキン(carnoquines))、アモピロキン、プリマキン、メフロキン、ニバキン(nivaquines)、ハロファントリン、キノンイミン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、キノリンエンドソーム溶解部分としては、限定されないが、7-クロロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン(クロロキン)、7-クロロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン(ヒドロキシクロロキン)、7-フルオロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン、4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-ジエチル-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン(デスメチルクロロキン)、7-フルオロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(4-ジエチル-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチル-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチル-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(4-エチル-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ-)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、ヒドロキシクロロキンホスフェート、7-クロロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル-1)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン(デスメチルヒドロキシクロロキン)、7-フルオロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、8-[(4-アミノペンチル)アミノ-6-メトキシジヒドロクロリドキノリン、1-アセチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、8-[(4-アミノペンチル)アミノ]-6-メトキシキノリンジヒドロクロリド、1-ブチリル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、3-クロロ-4-(4-ヒドロキシ-α,α’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン、4-[(4-ジエチル-アミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、3-フルオロ-4-(4-ヒドロキシ-α,α’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン、4-[(4-ジエチルアミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、4-(4-ヒドロキシ-α,α’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン、4-[(4-ジエチルアミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、3,4-ジヒドロ-1-(2H)-キノリンカルボキシアルデヒド、1,1’-ペンタメチレンキノリニウムヨージド、8-硫酸キノリノール、およびそのアミノ、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロキシル、ハロゲン、ケト、スルフヒドリル、ならびにビニル誘導体またはアナログが挙げられる。いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、Naisbitt et al (1997,J Pharmacol Exp Therapy 280:884-893)および米国特許第5,736,557号に記載される小分子である。
【0305】
いくつかの実施形態では、エンドソーム溶解部分は、ニゲリシンまたはそのコンジュゲート、例えば、葉酸-ニゲリシンのエステルコンジュゲート、葉酸-ニゲリシンのアミドコンジュゲート、または葉酸-ニゲリシンのカルバメートコンジュゲートなどである。いくつかの例では、エンドソーム溶解部分は、Rangasamy, et. al., ”New mechanism for release of endosomal contents: osmotic lysis via nigericin-mediated K+/H+ exchange,” Bioconjugate Chem. 29:1047-1059 (2018)に記載されるニゲリシンである。
【0306】
リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるリンカーは、切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーである。いくつかの例では、リンカーは切断可能なリンカーである。他の例では、リンカーは切断不可能なリンカーである。
【0307】
場合によっては、リンカーは非ポリマーリンカーである。非ポリマーリンカーは、重合プロセスによって生成された単量体の反復単位を含まないリンカーを指す。例示的な非ポリマーリンカーとしては、限定されないが、C-Cアルキル基(例えば、C、C、C、C、またはCアルキル基)、ホモ二機能性架橋リンカー、ヘテロ二機能性架橋リンカー、ペプチドリンカー、トレースレスリンカー、自壊性リンカー、マレイミドベースのリンカー、またはそれらの組み合わせが挙げられる。場合によっては、非ポリマーリンカーは、C-Cアルキル基(例えば、C、C、C、C、またはCアルキル基)、ホモ二機能性架橋リンカー、ヘテロ二機能性架橋リンカー、ペプチドリンカー、トレースレスリンカー、自壊性リンカー、マレイミドベースのリンカー、またはそれらの組み合わせを含む。さらなる場合には、非ポリマーリンカーは、2つを超える同じタイプのリンカー、例えば、2つを超えるホモ二機能性架橋リンカー、または2つを超えるペプチドリンカーを含まない。さらなる場合には、非ポリマーリンカーは随意に1つ以上の反応性官能基を含む。
【0308】
いくつかの例では、非ポリマーリンカーは、上に記載されたポリマーを包含しない。いくつかの例では、非ポリマーリンカーは、ポリマー部分Cによって包含されるポリマーを包含しない。場合によっては、非ポリマーリンカーはポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)を包含しない。場合によっては、非ポリマーリンカーはPEGを包含しない。
【0309】
いくつかの例では、リンカーはホモ二機能性リンカーを含む。例示的なホモ二機能性リンカーは、限定されないが、Lomantの試薬ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)DSP、3’3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロプリオネート(DTSSP)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ジスクシンイミジルタルトレート(DST)、ジスルホスクシンイミジルタルトレート(スルホDST)、エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、ジスクシンイミジルグルタレート(DSG)、N,N’-ジスクシンイミジルカルボネート(DSC)、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル-3,3’-ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、1,4-ジ-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンまたは1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼン、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3,3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレンスルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、または、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)を含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、リンカーはヘテロ二機能性リンカーを含む。例示的なヘテロ二機能性リンカーとしては、限定されないが、アミン反応性およびスルフヒドリル架橋リンカー、例えば、N-スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(sPDP)、長鎖N-スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(LC-sPDP)、水溶性の長鎖N-スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート(スルホ-LC-sMPT)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアクテイル)アミノベンゾエート(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、スクシンイミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート(sIAX)、スクシンイミジル6-[6-(((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサノエート(sIAXX)、スクシンイミジル-4-(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sIAC)、スクシンイミジル6-((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサノエート(sIACX)、p-ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA)、カルボニル反応性およびスルフヒドリル反応性の架橋リンカー、例えば、4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)、アミン反応性および光反応性の架橋リンカー、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NH-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NH-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサノエート(スルホ-NH-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAsD)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドベンゾエート(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドベンゾエート(スルホ-HsAB)、N-スクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAND)、N-スクシンイミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオネート(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオネート(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル 4-(ρ-アジドフェニル)ブチレート(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル 2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAED)、スルホスクシンイミジル 7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセテート(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルベート(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオネート(PNP-DTP)、スルフヒドリル反応性および光反応性の架橋リンカー、例えば、1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ベンゾフェノン-4-マレイミドカルボニル反応性および光反応性の架橋リンカー、例えば、ρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、カルボキシレート反応性および光反応性の架橋リンカー、例えば、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、ならびにアルギニン反応性および光反応性の架橋リンカー、例えば、ρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)が挙げられる。
【0311】
いくつかの例では、リンカーは反応性官能基を含む。場合によっては、反応性官能基は、結合部分に存在する求電子基に反応性の求核基を含む。例示的な求電子基は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノン、ハロゲン化アシル、または酸無水物などのカルボニル基を含む。いくつかの実施形態では、反応性官能基はアルデヒドである。例示的な求核基は、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、リンカーはマレイミド基を含む。いくつかの例では、マレイミド基はマレイミドスペーサーとも呼ばれる。いくつかの例では、マレイミド基はカプロン酸をさらに包含し、マレイミドカプロイル(mc)を形成する。場合によっては、リンカーはマレイミドカプロイル(mc)を含む。場合によっては、リンカーはマレイミドカプロイル(mc)である。他の例では、マレイミド基は、上に記載されたスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sMCC)、または、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-sMCC)などのマレイミドメチル基を含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、マレイミド基は自己安定化マレイミドである。いくつかの例では、自己安定化マレイミドは、チオスクシンイミド環加水分解の分子内触媒作用をもたらすために、マレイミドに隣接する塩基性アミノ基を取り込むべくジアミノプロピオン酸(DPR)を利用し、それによって、マレイミドがレトロマイケル反応による脱離反応を経験することのないようにする。いくつかの例では、自己安定化マレイミドは、Lyon,et al.,“Self-hydrolyzing maleimides improve the stability and pharmacological properties of antibody-drug conjugates,” Nat. Biotechnol. 32(10):1059-1062(2014)に記載されるマレイミド基である。いくつかの例では、リンカーは自己安定化マレイミドを含む。いくつかの例では、リンカーは自己安定化マレイミドである。
【0314】
いくつかの実施形態では、リンカーはペプチド部分を含む。いくつかの例では、ペプチド部分は、少なくとも1、2、3、4、5、または6より多くのアミノ酸残基を含む。いくつかの例では、ペプチド部分は、最大で1、2、3、4、5、6、7、または8のアミノ酸残基を含む。いくつかの例では、ペプチド部分は、約2、約3、約4、約5、または約6のアミノ酸残基を含む。いくつかの例では、ペプチド部分は、切断可能なペプチド部分(例えば、酵素的または化学的に)である。いくつかの例では、ペプチド部分は切断不可能なペプチド部分である。いくつかの例では、ペプチド部分は、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu、またはGly-Phe-Leu-Glyを含む。いくつかの例では、リンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu、またはGly-Phe-Leu-Glyなどのペプチド部分を含む。場合によっては、リンカーはVal-Citを含む。場合によっては、リンカーはVal-Citである。
【0315】
いくつかの実施形態では、リンカーは安息香酸基またはその誘導体を含む。いくつかの例では、安息香酸基またはその誘導体はパラアミノ安息香酸(PABA)を含む。いくつかの例では、安息香酸基またはその誘導体はγ-アミノ酪酸(GABA)を含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、リンカーは、任意の組み合わせにおける、マレイミド基、ペプチド部分、および/または、安息香酸基の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、マレイミド基、ペプチド部分、および/または、安息香酸基の組み合わせを含む。いくつかの例では、マレイミド基はマレイミドカプロイル(mc)である。いくつかの例では、ペプチド基はval-citである。いくつかの例では、安息香酸基はPABAである。いくつかの例では、リンカーはmc-val-cit基を含む。場合によっては、リンカーはval-cit-PABA基を含む。さらなる場合には、リンカーはmc-val-cit-PABA基を含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、リンカーは自壊性リンカーまたは自己脱離リンカーである。場合によっては、リンカーは自壊性リンカーである。他の場合には、リンカーは自己脱離リンカー(例えば、環化自己脱離リンカー)である。いくつかの例では、リンカーは、米国特許第9,089,614号またはPCT国際公開第WO2015038426号に記載されるリンカーを含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、リンカーは樹状型リンカーである。いくつかの例では、樹状型リンカーは分岐した多機能リンカー部分を含む。いくつかの例では、樹状型リンカーは、ポリヌクレオチドB対結合部分Aのモル比を増加させるために使用される。いくつかの例では、樹状型リンカーはPAMAMデンドリマーを含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、リンカーは、トレースレスリンカーであり、または切断後に、結合部分A、ポリヌクレオチドB、ポリマーC、またはエンドソーム溶解部分Dへのリンカー部分(例えば、原子またはリンカー基)を残さないリンカーである。例示的なトレースレスリンカーは、限定されないが、ゲルマニウムリンカー、ケイ素リンカー、硫黄リンカー、セレンリンカー、窒素リンカー、リンリンカー、ホウ素リンカー、クロムリンカー、またはフェニルヒドラジドリンカーを含む。場合によっては、リンカーは、Hejesen,et al.,“A traceless aryl-triazene linker for DNA-directed chemistry,”Org Biomol Chem 11(15):2493-2497 (2013)に記載されるようなトレースレスアリール-トリアゼンリンカーである。いくつかの例では、リンカーは、Blaney,et al.,“Traceless solid-phase organic synthesis,”Chem.Rev.102:2607-2024(2002)に記載されるトレースレスリンカーである。いくつかの例では、リンカーは、米国特許第6,821,783号に記載されるようなトレースレスリンカーである。
【0320】
いくつかの実施形態では、リンカーは、米国特許第6,884,869号、第7,498,298号、第8,288,352号、第8,609,105号、または、第8,697,688号、米国特許公開第2014/0127239号、第2013/028919号、第2014/286970号、第2013/0309256号、第2015/037360号、または、第2014/0294851号、あるいは、PCT国際公開第WO2015057699号、第WO2014080251号、第WO2014197854号、第WO2014145090号、または、第WO2014177042号に記載されるリンカーである。
【0321】
いくつかの実施形態では、XとXはそれぞれ独立して、単結合または非ポリマーリンカーである。いくつかの例では、XとXはそれぞれ独立して単結合である。場合によっては、XとXはそれぞれ独立して非ポリマーリンカーである。
【0322】
いくつかの例では、Xは単結合または非ポリマーリンカーを含む。いくつかの例では、Xは単結合である。いくつかの例では、Xは非ポリマーリンカーである。いくつかの例では、リンカーはC-Cアルキル基である。場合によっては、XはC-Cアルキル基、例えば、C、C、C、C、またはCアルキル基などである。場合によっては、C-Cアルキル基は非置換のC-Cアルキル基である。リンカーの文脈において使用されるように、とりわけ、X1の文脈において使用されるように、アルキルは、最大で6つの炭素原子を含む飽和した直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。いくつかの例では、Xは上に記載されたホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーを含む。場合によっては、Xはヘテロ二機能性リンカーを含む。場合によっては、XはsMCCを含む。他の例では、Xは、C-Cアルキル基に随意にコンジュゲートしたヘテロ二機能性リンカーを含む。他の例では、Xは、C-Cアルキル基に随意にコンジュゲートしたsMCCを含む。さらなる例では、Xは、上に記載されたホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーを含まない。
【0323】
いくつかの例では、Xは単結合またはリンカーである。いくつかの例では、Xは単結合である。他の場合には、Xはリンカーである。さらなる場合には、Xは非ポリマーリンカーである。いくつかの実施形態では、XはC-Cアルキル基である。いくつかの例では、Xは上に記載されたホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーである。いくつかの例では、Xは上に記載されたホモ二機能性リンカーである。いくつかの例では、Xは上に記載されたヘテロ二機能性リンカーである。いくつかの例では、Xはマレイミド基、例えば、マレイミドカプロイル(mc)、または上に記載された自己安定化マレイミド基を含む。いくつかの例では、XはVal-Citなどのペプチド部分を含む。いくつかの例では、XはPABAなどの安息香酸基を含む。さらなる例では、Xはマレイミド基、ペプチド部分、および/または、安息香酸基の組み合わせを含む。さらなる例では、Xはmc基を含む。さらなる例では、Xはmc-val-cit基を含む。さらなる例では、Xはval-cit-PABA基を含む。さらなる例では、Xはmc-val-cit-PABA基を含む。
【0324】
使用の方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された抗トランスフェリン受容体抗体の使用によって、対象となる標的部位にペイロードを送達する方法が本明細書に記載されている。いくつかの例では、対象となる標的部位は、疾患または疾病に関連付けられる原因となるタンパク質を過剰発現する細胞である。いくつかの例では、対象となる標的部位は、非機能的なタンパク質、または、疾患あるいは疾病につながる発現が低下したタンパク質をコードする正しく処理されていないmRNAを含む細胞である。いくつかの例では、対象となる標的部位は腫瘍部位である。さらなる例では、対象となる標的部位は脳にある部位である。
【0325】
いくつかの実施形態では、過剰発現されたタンパク質を特徴とする疾患または障害を処置する方法が本明細書に記載される。いくつかの例では、疾患または障害は筋萎縮症である。いくつかの例では、疾患または障害は筋緊張性ジストロフィーである。
【0326】
1つの実施形態では、筋萎縮症は筋力の著しい喪失を指す。筋力の著しい喪失とは、対照被験体の同じ筋組織と比較して、被験体の病気の、損傷した、または使用していない筋組織の強度の低下を意味する。ある実施形態において、筋力の著しい喪失は、対照被験体の同じ筋組織と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上の強度の低下である。別の実施形態では、筋力の著しい喪失とは、非使用期間前の同じ被験体の同じ筋組織の筋力と比較して、使用していない筋組織の強度の低下を意味する。ある実施形態において、筋肉強度の著しい喪失は、非使用期間前の同じ被験体の同じ筋組織の筋強度と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上の低下である。
【0327】
別の実施形態では、筋萎縮症は筋肉量の著しい喪失を指す。筋肉量の著しい喪失とは、対照被験体の同じ筋組織と比較して、被験体の病気の、損傷した、または使用していない筋組織の筋肉体積の減少を意味する。ある実施形態において、筋肉体積の著しい喪失は、対照被験体の同じ筋組織と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上である。別の実施形態では、筋肉量の著しい喪失とは、非使用期間前の同じ被験体の同じ筋組織の筋肉体積と比較して、使用していない筋組織の筋肉体積の低下を意味する。ある実施形態において、筋肉組織の著しい喪失は、非使用期間前の同じ被験体の同じ筋組織の筋肉体積と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上である。筋肉体積は、磁気共鳴撮像(例えば、筋肉体積/断面積(CSA)MRI方法による)によるなどして筋肉の断面積を評価することにより、随意に測定される。
【0328】
いくつかの実施形態では、筋萎縮症は、悪液質、脱神経、ミオパシー、運動ニューロン疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患、うっ血性心不全、慢性腎不全、慢性感染症、敗血症、絶食、サルコペニア、グルココルチコイド関連筋萎縮症、または廃用性関連筋萎縮を含み、または、これらに関連付けられる。
【0329】
悪液質とは、基礎疾患によって引き起こされる筋肉の後天性の加速度的に失われていくことである。いくつかの例では、悪液質は、栄養では回復させることができない体重の喪失を指し、一般的には、基礎疾患、例えば、癌、COPD、AIDS、心不全などに関連付けられる。悪液質が末期癌の患者で見られるとき、それは「癌性悪液質」と呼ばれる。癌性悪液質は、進行癌の患者の大部分に影響を与え、処置耐性、治療に対する反応、生活の質、および生存期間の減少に関連付けられる。いくつかの例では、癌性悪液質は、体脂肪量の喪失を伴ってまたは伴わずに、骨格筋量の進行中の喪失を特徴とする他因子症候群として定義され、従来の栄養学的なサポートでは完全には回復できず、進行性の機能障害を引き起こしかねない。場合によっては、骨格筋の喪失は、癌性悪液質で最も重要な事象であると思われる。加えて、癌性悪液質の分類は、診断基準が、体重減少が悪液質のプロセスのシグナル事象であることだけでなく、患者の当初の蓄え、低いBMI、または低レベルの筋肉質も考慮されなければならないと提唱している。
【0330】
除神経は、臓器と中枢神経系との間の神経線維の部分的または完全な遮断を伴う末梢性の運動ニューロンに対する損傷であり、神経伝導と運動ニューロン発火の遮断を引き起こし、その結果、骨格筋の収縮性(contractability)が妨げられる。神経機能のこの喪失は、運動ニューロン単位全体の喪失により局在化または一般化される。骨格筋が収縮できないと、筋萎縮症が引き起こされる。いくつかの例では、除神経は、変性、代謝性、または炎症性の神経障害(例えば、ギランバレー症候群、末梢神経障害、または環境毒物あるいは薬物への暴露)に関連付けられ、あるいはこれらの結果として関連付けられる。さらなる例では、除神経は肉体損傷、例えば、外科手術に関連付けられる。
【0331】
ミオパシーは筋肉の疾患を記載する総称である。いくつかの例では、ミオパシーは筋緊張症、先天性ミオパシー、例えば、ネマリンミオパシー、マルチコア/ミニコアミオパシー、および筋細管(中心核)ミオパシー、ミトコンドリアミオパシー、家族性周期性四肢麻痺、炎症性ミオパシー、例えば、グリコーゲンまたは脂質蓄積疾患によって引き起こされた代謝性ミオパシー、皮膚筋炎、多発性筋炎、封入体筋炎、骨化性筋炎、横紋筋融解症、および、ミオグロビン尿症を含む。いくつかの例では、ミオパシーは、筋ジストロフィー症候群、例えば、デュシェンヌ型、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型、エメリ・ドレフュス型、眼咽頭型、肩甲上腕骨型、肢帯型、福山型、先天性筋のジストロフィー、または遺伝的な遠位型ミオパシーなどによって引き起こされる。いくつかの例では、ミオパシーは筋緊張性ジストロフィー(例えば、筋緊張性ジストロフィー1型またはDM1)によって引き起こされる。いくつかの例では、ミオパシーはDM1によって引き起こされる。
【0332】
運動ニューロン疾患(MND)は、身体の随意筋を制御する細胞である運動ニューロンに影響を与える神経異常を包含する。例示的な運動ニューロン疾患は、限定されないが、成人の運動ニューロン疾患、乳児脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性伝導ブロックによる自己免疫性の運動ニューロパチー、脳卒中または脊髄損傷による麻痺、あるいは外傷による骨格の固定化を含む。
【0333】
糖尿病(真性糖尿病、DM)は、1型糖尿病、2型糖尿病、3型糖尿病、4型糖尿病、二重糖尿病、潜在性自己免疫性糖尿病(LAD)、妊娠性糖尿病、新生児真性糖尿病(NDM)、若年発症成人型糖尿病(MODY)、ウルフラム症候群、アルストレーム症候群、糖尿病前症、または尿崩症を含む。非インスリン依存性糖尿病とも呼ばれる2型糖尿病は、すべての糖尿病症例の95%を占める最も一般的な型の糖尿病である。いくつかの例では、2型糖尿病は、膵臓のβ細胞機能障害によるインスリン抵抗性を含む因子の組み合わせによって引き起こされ、結果として高血圧グルコース濃度に結びつく。場合によっては、グルカゴンレベルの増加が肝臓を刺激して、異常な量の必要のないグルコースを生成させ、これが高血圧グルコース濃度の原因となる。インスリン依存性糖尿病とも呼ばれる1型糖尿病は、すべての糖尿病症例の約5%から10%を含む。1型糖尿病は、T細胞が膵臓中のインスリン産生β細胞を攻撃して破壊する自己免疫疾患である。いくつかの実施形態では、1型糖尿病は遺伝子と環境要因によって引き起こされる。4型糖尿病は、65歳以上の糖尿病患者の約20%に影響を与える型の糖尿病である。いくつかの実施形態では、4型糖尿病は、年齢に関連するインスリン耐性を特徴とする。3型糖尿病は、脳のインスリン抵抗性に起因するアルツハイマー病の用語として使用されている。
【0334】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期的な呼吸障害と空気の流れの悪さを特徴とする閉塞性肺疾患の一種である。慢性気管支炎と気腫は2つの異なる型のCOPDである。
【0335】
肝疾患(または肝臓病)は、線維症、肝硬変、肝炎、アルコール性肝臓疾患、脂肪肝、遺伝性疾患、または原発性肝癌を含む。
【0336】
うっ血性心不全は、心臓が身体の組織に対して十分な血液と酸素を送ることができない状態である。
【0337】
慢性腎不全または慢性腎臓病は、時間の経過とともに腎臓機能が徐々に失われていくことを特徴とする疾病である。
【0338】
いくつかの実施形態では、AIDSなどの慢性感染症はさらに、筋萎縮症を引き起こす。
【0339】
敗血症は、組織損傷、臓器機能不全、および/または死亡に結びつく感染症に対する免疫応答である。
【0340】
絶食は、一定の期間、一部またはすべての食物、飲み物、あるいはその両方を自発的に断つこと、あるいは、減らすことである。
【0341】
サルコペニアとは、数ヶ月から数年にわたって徐々に筋肉量や筋力が低下していくことを特徴とする、通常の老化の過程における筋萎縮症の継続的なプロセスである。通常の老化プロセスとは、本明細書では、骨格筋神経変性を促す障害および疾患の存在によって影響を受けることも加速されることもない老化プロセスを意味する。
【0342】
いくつかの例では、グルココルチコイドを用いる処置はさらに、筋萎縮症を引き起こす。例示的なグルココルチコイドは、限定されないが、コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾロンを含む。
【0343】
廃用性に関連する筋萎縮症は、四肢が固定される結果として生じる(例えば、四肢または関節の骨折、あるいは殿部または膝の置換手術などの整形手術による)。本明細書で使用されるように、「固定化」または「固定された」とは、長期間(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、またはそれ以上)、四肢、筋肉、骨、腱、関節、または他の身体部分の運動の部分的または完全な制約を指す。いくつかの例では、固定化の期間は、入浴、外部装置の交換、または外部装置の調整など、短期間または短時間の拘束されない動きを含む。四肢の固定化は、限定されないが、装具、スリング、ギプス、包帯、およびスプリント(これらのいずれも随意に、限定されないが、布、ガーゼ、ガラス線維、プラスチック、石膏、または金属を含む硬質材料または軟質材料で構成される)を含む任意の様々な外部装置と、外科的に移植されたスプリント、プレート、装具などを含む任意の様々な内部装置によって実施される。四肢の固定化の文脈において、動きの制約は、単関節または多関節(例えば、肩関節または股関節などの単関節、橈骨手根関節などの複合関節、および、限定されないが、以下の1つ以上を含む、膝関節などの複関節:手の関節、肩関節、肘関節、手首の関節、補助関節、胸鎖関節、椎骨の関節、顎関節、仙腸関節、股関節、膝関節、および足の関節)、単一の腱または靭帯あるいは複数の腱または靭帯(例えば、限定されないが、以下の1つ以上を含む:前十字靱帯、後十字靱帯、回旋腱板腱、肘と膝の内側側副靱帯、手の屈筋腱、足首の外側靱帯、および顎または顎関節の腱と靭帯)、単一の骨または複数の骨(例えば、限定されないが、以下の1つ以上を含む:頭蓋、下顎、鎖骨、肋骨、橈骨、尺骨、上腕骨、骨盤、仙骨、大腿骨、膝蓋骨、指骨、手根骨、中手骨、足根骨、中足骨、腓骨、脛骨、肩甲骨、および椎骨)、単一の筋肉または複数の筋肉(例えば、限定されないが、以下の1つ以上を含む:広背筋、僧帽筋、三角筋、胸筋、二頭筋、三頭筋、外腹斜筋、腹筋、大殿筋、大腿屈筋、大腿四頭筋、腓腹筋、および横隔膜)、一本の四肢または複数の四肢、腕と脚の1つ以上)、あるいは、骨格筋系全体またはその一部(例えば、全身ギプスまたはスパイカギプスの場合)を含む。
【0344】
筋緊張性ジストロフィーは、2つの主要な型:筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)および筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)を含む多全身系神経筋疾患である。DM1は、遺伝子DMプロテインキナーゼ(DMPK)中での優勢遺伝性の「CTG」反復拡張によって引き起こされ、これは、mRNAへ転写されるとき、タンパク質のMuscleblind-like(MBNL)ファミリーに高い親和性で結合するヘアピンを形成する。MBNLタンパク質は、転写後のスプライシングに関与し、ポリアデニル化(polyadenylatin)部位の制御とMBNLタンパク質機能の喪失は、核病巣の下流への蓄積を引き起こし、ミススプライシング事象を増加させ、その後、筋緊張症と他の臨床症状を引き起こす。
【0345】
いくつかの実施形態では、誤ってスプライシングされたmRNAを特徴とする疾患または障害を処置する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗トランスフェリン受容体抗体は、エクソンスキッピングまたはエクソンインクルージョンを誘発するために、誤ってスプライシングされたmRNA転写産物の部位にポリ核酸分子を送達する。
【0346】
いくつかの例では、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAに起因する疾患または障害としては、限定されないが、神経筋疾患、遺伝病、癌、遺伝性疾患、または心血管疾患が挙げられる。
【0347】
いくつかの例では、遺伝病または遺伝障害は、常染色体優性障害、常染色体劣性障害、X連鎖優性障害、X連鎖劣性障害、Y連鎖障害、ミトコンドリア遺伝病、または多因子あるいは多遺伝子障害を含む。
【0348】
いくつかの例では、高コレステロール血症などの心血管疾患は、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAに起因する。高コレステロール血症では、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)のエクソン12中の一塩基多型がエクソンスキッピングを促進することが示されている。
【0349】
いくつかの例では、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAは、癌を引き起こす。例えば、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAは、限定されないが、増殖、運動性、および薬物応答を含む、癌に関与する細胞のプロセスに影響を与える。いくつかの例では、固形癌または血液の癌がある。いくつかの例では、癌は、膀胱癌、肺癌、脳癌、黒色腫、乳癌、非ホジキンリンパ腫、子宮頚癌、卵巣癌、大腸癌、膵臓癌、食道癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、白血病、甲状腺癌、肝臓癌、または子宮癌である。
【0350】
いくつかの例では、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAは、神経筋疾患または障害を引き起こす。例示的な神経筋疾患としては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、または筋緊張性ジストロフィーなどの筋ジストロフィーが挙げられる、いくつかの例では、筋ジストロフィーは遺伝的である。いくつかの例では、筋ジストロフィーは自然突然変異によって引き起こされる。ベッカー型筋ジストロフィーとデュシェンヌ型筋ジストロフィーは、タンパク質ジストロフィンをコードするDMD遺伝子中の突然変異に関与していることが示されてきた。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーは二重ホメオボックス4(DUX4)遺伝子中の突然変異に関与していることが示されている。
【0351】
いくつかの例では、不適切にスプライシングされた、または、部分的にスプライシングされたmRNAは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは重度の筋衰弱を引き起こし、機能的なジストロフィンの産生を消失させるDMD遺伝子中の突然変異によって引き起こされる。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、DMD遺伝子中のエクソンの突然変異の結果である。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、DMD遺伝子中のエクソン1、2、3、4、5、6、7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、および79の少なくとも1つの突然変異の結果である。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、DMD遺伝子中のエクソン3、4、5、6、7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、および63の少なくとも1つの突然変異の結果である。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、DMD遺伝子中のエクソン8、23、35、43、44、45、50、51、52、53、および55の少なくとも1つの突然変異の結果である。いくつかの例では、多くのエクソンが突然変異する。例えば、エクソン48-50の突然変異は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者において一般的である。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーはエクソン51の突然変異の結果である。いくつかの例では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーはエクソン23の突然変異の結果である。いくつかの例では、突然変異は1つまたは複数のエクソンの欠失を含む。いくつかの例では、突然変異は1つまたは複数のエクソンの重複を含む。いくつかの例では、突然変異はエクソンの点突然変異に関与している。例えば、患者の中にはDMD遺伝子のエクソン51のナンセンス点突然変異を抱えているものもいることが示されている。
【0352】
医薬製剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬製剤は、限定されないが、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、経口、鼻腔内、頬側、直腸、または経皮の投与経路を含む、複数の投与経路によって、被験体に投与される。いくつかの例では、本明細書に記載される医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、腹腔内、髄腔内、大脳内、脳室内、または頭蓋内)投与のために製剤化される。他の例では、本明細書に記載される医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。また他の例では、本明細書に記載される医薬組成物は、経鼻投与のために製剤化される。
【0353】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、限定されないが、水性液体分散液、自己乳化分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤(例えば、ナノ粒子製剤)、および即時放出と制御放出の混合製剤を含む。
【0354】
いくつかの例では、医薬製剤は多粒子製剤を含む。いくつかの例では、医薬製剤はナノ粒子製剤を含む。いくつかの例では、ナノ粒子は、cMAP、シクロデキストリン、または脂質を含む。場合によっては、ナノ粒子は、固体脂質ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、自己乳化ナノ粒子、リポソーム、マイクロエマルジョン、またはミセル溶液を含む。さらなる例示的なナノ粒子としては、限定されないが、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様材料、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合した金属キレートを有するものなど)、ナノファイバー、ナノホーン、ナノオニオン、ナノロッド、ナノロープ、および量子ドットが挙げられる。いくつかの例では、ナノ粒子は、金属ナノ粒子、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、ガドリニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、シリコン、リン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、およびこれらの組み合わせ、その合金またはオキシドのナノ粒子である。
【0355】
いくつかの例では、ナノ粒子は、コア、または、コアシェルナノ粒子のような、コアおよびシェルを含む。
【0356】
いくつかの例では、ナノ粒子は、(例えば、本明細書に記載されるポリ核酸分子または結合部分の1つ以上との)機能要素の結合のために分子でさらにコーティングされる。いくつかの例では、コーティングは、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、フコイダン、アガロペクチン、ポルフィラン、カラヤゴム、ジェランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、キチン(またはキトサン)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、リゾチーム、チトクロムC、リボヌクレアーゼ、トリプシノゲン、キモトリプシノーゲン、α-キモトリプシン、ポリリシン、ポリアルギニン、ヒストン、プロタミン、オバルブミン、またはデキストリンあるいはシクロデキストリンを含む。いくつかの例では、ナノ粒子はグラフェンコーティングされたナノ粒子を含む。
【0357】
場合によっては、ナノ粒子は、約500nm、400nm、300nm、200nm、または100nm未満の少なくとも1つの寸法を有する。
【0358】
いくつかの例では、ナノ粒子製剤は、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様材料、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合した金属キレートを有するものなど)、ナノファイバー、ナノホーン、ナノオニオン、ナノロッド、ナノロープ、または量子ドットを含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子または結合部分は、ナノ粒子に直接的または間接的にコンジュゲートする。いくつかの例では、本明細書に記載される少なくとも1、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のポリ核酸分子または結合部分は、ナノ粒子に直接的または間接的にコンジュゲートする。
【0359】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、送達ベクター、例えば、細胞へのポリ核酸分子の送達のための組換えベクターを含む。いくつかの例では、組換えベクターはDNAプラスミドである。他の例では、組換えベクターはウイルスベクターである。例示的なウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアルファウイルスに由来するベクターを含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子を発現することができる組換えベクターは、標的細胞中での安定した発現をもたらす。さらなる例では、ポリ核酸分子の一時的発現をもたらすウイルスベクターが使用される。
【0360】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、本明細書に開示される組成物との適合性と所望の剤形の放出プロファイル特性とに基づいて選択された担体または担体材料を含む。例示的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。薬学的に適合可能な担体材料としては、限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロースコンジュゲート、糖ステアロイル乳酸ナトリウム(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどが挙げられる。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
【0361】
いくつかの例では、医薬製剤はさらに、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および、塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、ならびに、クエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、pH調節剤または緩衝剤をさらに含む。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持するのに必要な量で含まれる。
【0362】
いくつかの例では、医薬製剤は、組成物の浸透圧を許容可能な範囲にするのに必要な量の1つ以上の塩を含む。こうした塩は、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムのカチオン、および塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または重亜硫酸塩のアニオンを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および、硫酸アンモニウムを含む。
【0363】
治療レジメン
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は治療用途のために投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、毎日、1日おき、週5日、週1回、1週おき、月2週間、月3週間、月1回、月2回、月3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年、またはそれ以上の間、投与される。
【0364】
いくつかの実施形態では、1つ以上の医薬組成物は、同時に、順次、または一定の時間間隔で投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の医薬組成物が同時に投与される。場合によっては、1つ以上の医薬組成物が順次投与される。さらなる場合には、1つ以上の医薬組成物は、一定の時間間隔で投与される(例えば、第1の医薬組成物の第1回の投与は1日目であり、その後、少なくとも第2の医薬組成物の投与前に少なくとも1、2、3、4、5日またはそれ以上の間隔を空ける)。
【0365】
いくつかの実施形態では、2つ以上の様々な医薬組成物が同時投与される。いくつかの例では、2つ以上の異なる医薬組成物が同時に同時投与される。場合によっては、2つ以上の異なる医薬組成物は、投与間の時間的な隔たりなく、順次、同時投与される。他の場合には、2つ以上の異なる医薬組成物は、投与間に約0.5時間、1時間、2時間、3時間、12時間、1日、2日の隔たりをあけて、順次、同時投与される。
【0366】
患者の状態が改善している場合には、医師の判断で、組成物の投与は継続的に行われ、代替的に、投与されている組成物の用量は、一時的に減らされるか、または特定の期間、一時的に中断される(つまり、「休薬期間」)。いくつかの例では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日~1年の間で変わる。休薬期間の用量の減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む、10%~100%である。
【0367】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持用量が投与される。その後、投与量または投与頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害、または疾病が保持されるレベルにまで減らすことができる。
【0368】
いくつかの実施形態では、このような量に対応する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、処置を必要としている被験体または宿主の独自性(例えば、体重)などの要因に左右されて変動するが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、および処置されている被験体または宿主を含む、症例を取り囲む特定の環境に従って、当該技術分野で既知の手法で日常的に判定される。いくつかの例では、所望の用量は一回量で、または同時に(あるいは短時間にわたって)、または適切な間隔を置いて投与された分割量、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上の副用量(sub-doses)として、都合よく提示される。
【0369】
個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単なる示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値から大きく逸脱することは珍しいことではない。そのような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0370】
いくつかの実施形態では、こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50(母集団の50%に致死的な用量)と、ED50(母集団の50%に治療上有効な用量)の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトで使用される一連の投与量を製剤化するのに使用される。こうした化合物の投与量は、最小限の毒性を有するED50を含む一連の循環濃度内に位置するのが好ましい。投与量は、使用される剤形と利用される投与経路に応じて、この範囲内で変わる。
【0371】
キット/製品
特定の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の組成物と方法とともに使用されるキットおよび製品が本明細書で開示される。このようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、包装容器、または容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載されている方法で使用される別の要素の1つを含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管を含む。1つの実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0372】
本明細書で提供される製品は包装材料を含む。製薬用包装材料の例としては、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、および選択された製剤と意図した投与および処置の様式に適する任意の包装材料が挙げられる。
【0373】
例えば、容器は、抗トランスフェリン受容体抗体と、随意に、本明細書に記載された1つ以上の標的核酸分子とを含む。そのようなキットは随意に、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を含む。
【0374】
キットは典型的には、内容物および/または使用説明書を列挙するラベルと、使用説明書を備えた添付文書とを含んでいる。説明書のセットも通常含まれる。
【0375】
1つの実施形態では、ラベルは容器上にあるか、容器に付属する。1つの実施形態では、ラベルを形成する文字、数字、または他の表示が容器自体に貼り付けられ、成形され、または刻まれている場合は、ラベルは容器上にある。ラベルは、例えば、添付文書として、容器を保持するレセプタクルまたは運搬装置内に存在場合には、容器に付属する。1つの実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために使用される。ラベルは、例えば、本明細書に記載される方法などで、内容物の使用方法も示している。
【0376】
特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含む1つ以上の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置で提示される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属ホイルまたはプラスチックホイルを含む。1つの実施形態では、パックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書が添付してある。1つの実施形態では、パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または販売を管理する政府機関によって規定された形態の容器に付属の通知書も添付してあり、この通知書は、ヒトまたは動物への投与のための薬物の形態に関して政府機関の承認を反映するものである。このような通知書は、例えば、処方薬または承認された添付文書に関して、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。1つの実施形態では、適合する医薬担体で製剤化される本明細書で提供される化合物を含む組成物も調製され、適切な容器に入れられ、示された疾病の処置のためにラベルが付けられる。
【0377】
特定の用語
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、主張された主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。前述の一般的な記載および以下の詳細な記載は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、任意の主題に限定されるものではないことが理解されよう。本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り複数を含む。明細書および添付の請求項内で用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを定めていない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定的なものではない。
【0378】
本明細書で使用されるように、範囲と量は、「約」特定の値または範囲として表現可能である。「約」は正確な量も含んでいる。したがって、「約5μL」は、「約5μL」と「5μL」も意味する。一般に、「約」という用語は、実験誤差内であると予想されることになる量を含んでいる。
【0379】
本明細書で使用されている段落の見出しは、整理を目的としたもの過ぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0380】
「抗体」および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造特徴を有する糖タンパク質である。これらの用語は同義的に使用される。いくつかの例では、免疫グロブリンの抗原特異性は既知である。
【0381】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、抗原を結合することができる抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、Fv、単鎖抗体、ダイアボディ、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体など)、および前述のものを含む組換えペプチドを包含する。
【0382】
本明細書で使用されるように、「モノクローナル抗体」および「mAb」という用語は、抗体の実質的に均質な集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在することもある起こりうる自然発生突然変異を除いて、同一である。
【0383】
「天然の(Native)抗体」および「天然の免疫グロブリン」は通常、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有結合のジスルフィド結合により重鎖に結合するが、その一方で、ジスフィルド結合の数は、異なる免疫グロブリンのアイソタイプの重鎖の中で変動する。重鎖と軽鎖はそれぞれ規則的に距離をおいた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は一方の端部に可変ドメイン(VH)を有し、その後に多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は一方の端部に可変ドメイン(VL)を有し、もう一方の端部に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメインと位置合わせされ、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖の可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている。
【0384】
本明細書で使用されるように、「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分が抗体中の配列で大きく異なるという事実を指す。可変領域は抗原結合特異性を付与する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイン全体に均一に分布していない。可変性は、双方とも軽鎖および重鎖の可変性ドメインにある、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つの区域に集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、4つのFR領域を含み、その大部分がβ-プリーツシート構成を採用し、ループ接続を形成する3つのCDRによって接続され、場合によっては、β-プリーツシート構成の一部を形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域によって近接して共に保持され、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.(1991) NIH PubL.No.91-3242,Vol.I,pages 647-669を参照)。定常ドメインは、抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性細胞傷害への抗体の関与、補体依存性細胞傷害の導入、および肥満細胞脱顆粒などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0385】
本明細書で使用されるように、「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される時、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基24-34(L1)、50-56(L2)、および89-97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける31-35(H1)、50-65(H2)、および95-102(H3);Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, Md.)、ならびに/あるいは、「超可変ループ」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基26-32(L1)、50-52(L2)、および91-96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける(H1)、53-55(H2)、および96-101(13);Clothia and Lesk,(1987)J.Mol.Biol., 196:901-917)を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書でみなされるように、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0386】
「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の一部、好ましくは、無傷の抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab、F(ab’)2、およびFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体(Zapata et al. (1995) Protein Eng. 10:1057-1062)、単鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、その名前が容易に結晶させる能力を反映している残基「Fc」フラグメントとを生成する。ペプシン処置により、2つの抗原結合部位を有するとともに依然として抗原を架橋結合することができるF(ab’)2フラグメントが生成される。
【0387】
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む小さな抗体フラグメントである。この領域は、緊密な非共有結合的会合における、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。V-V二量体の表面上の抗原結合部位を定義するために、この構造内において、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用する。まとめて、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を付与する。しかしながら、結合部位全体よりも親和性は低いが、1つの可変ドメイン(または、抗原に特異的なわずか3つのCDRしか含まないFvの半分)でも、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0388】
Fabフラグメントは、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域の1つ以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の添加により、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有しているFab’に関する本明細書での命名である。Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド架橋の還元により生成される。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
【0389】
任意の脊椎動物種の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、定常領域のアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明らかに異なるタイプの1つに割り当てることができる。
【0390】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存し、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、およびIgYがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けられてもよい。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構造は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1とIgG3のアイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)活性を有している。
【0391】
いくつかの例では、抗体のCDRは、(i)Kabatナンバリングシステム(Kabat et al. (197 ) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391 and, Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、または、(ii)Chothiaナンバリングスキーム(例えば、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273 :927-948; Chothia et al., 1992, J. Mol. Biol., 227:799-817; Tramontano A et al. , 1990, J. Mol. Biol. 215(1): 175-82; and U.S. Patent No. 7,709,226を参照);または、(iii)例えば、Lefranc, M.-P., 1999, The Immunologist, 7: 132-136 and Lefranc, M.-P. et al, 1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212 (“IMGT CDRs”)に記載されるようなImMunoGeneTics (IMGT)ナンバリングシステム;または、(iv)MacCallum et al, 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745に従って、決定される。例えば、Martin, A., “Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,” in Antibody Engineering, Kontermann and Diibel, eds., Chapter 31, pp. 422-439, Springer- Verlag, Berlin (2001)をさらに参照。
【0392】
Kabatナンバリングシステムに関して、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、随意に35(Kabatナンバリングスキームでは、35Aおよび35Bと呼ばれる)後に1つまたは2つの追加のアミノ酸を含むことができるアミノ酸位置31~35(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、およびアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabatナンバリングシステムを使用すると、抗体軽鎖分子内のCDRは典型的には、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、およびアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。当業者に周知であるように、Kabatナンバリングシステムを使用すると、抗体可変ドメインの実際の線状アミノ酸配列は、FRおよび/またはCDRの短縮または延長に起因して、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含むことができ、そのため、アミノ酸のKabatナンバーは、その線状アミノ酸番号と必ずしも同じわけではない。
【0393】
Chotiaナンバリングシステムに関して、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、随意に31(Chotiaナンバリングスキームでは、31Aおよび31Bと呼ばれる)後に1つまたは2つの追加のアミノ酸を含むことができるアミノ酸位置26~31(CDR1)、アミノ酸位置52~56(CDR2)、およびアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Chotiaナンバリングシステムを使用すると、抗体軽鎖分子内のCDRは典型的には、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、およびアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。当業者に周知であるように、Chotiaナンバリングシステムを使用すると、抗体可変ドメインの実際の線状アミノ酸配列は、FRおよび/またはCDRの短縮または延長に起因して、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含むことができ、そのため、アミノ酸のChotiaナンバーは、その線状アミノ酸番号と必ずしも同じわけではない。
【0394】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる供給源または種に由来する、抗体を指す。
【0395】
「ヒト化抗体」という用語は、親免疫グロブリンのCDRと比較して異なる特異性を有する免疫グロブリンのCDRを構成するようにフレームワークまたはCDRが改変された抗体を指す。
【0396】
本明細書で使用されるように、「個体」、「被験体」、および「患者」という用語は、任意の哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非ヒトである。いかなる用語も、保健従事者(例えば、医師、正看護師、臨床看護師、医師助手、看護助手、またはホスピスの職員)の監督(例えば、常時または断続的)を特徴とする状況に限定されない。
【実施例
【0397】
これら実施例は例示のみを目的として提供されるものであり、本明細書に提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0398】
ヒト化抗TfR抗体の産生と特徴づけ
例示的な抗TfR抗体をコードする核酸をCHOK1SV GSKO細胞へと安定的にトランスフェクトし、生成物1つにつき3つの安定プールを作製した。この安定プールでは、トランスフェクション後8日目以降の細胞増殖とプロテインAの力価をモニタリングした。培養物が一旦、生存率70%で閾値0.6×10e細胞/mLに到達したとき、安定プールを継代した。細胞の生存率が97%を超えると、試験済みのプール中の最高産生プールを用いて、生成物1つにつき600mLの流加過剰成長培養(fed-batch overgrow cultures)(FOG)を0.2×10e細胞/mLで蒔いた。4日目と8日目にFOG培養物に給餌し、11日目に遠心分離と濾過滅菌により採取した。滅菌細胞培養上清を、AKTA清浄器(10mL/分で実行)上で並行して3×5ml MabSelectSuREカラムを用いたプロテインA精製により精製した。リン酸ナトリウム50mMでカラムを平衡化した。pH7.0の塩化ナトリウム250mMをリン酸ナトリウム50mMとpH7.0の塩化ナトリウム1Mで洗浄し、pH3.5のギ酸ナトリウム10mMで溶出した。溶出した分画を2×PBSで1:2に希釈することで中和し、次いで希釈したNaOHを用いてpHを7.4に調整した。
【0399】
SE-HPLCとSDS-PAGEにより抗体を解析した。Zorbax GF-2509.4mm ID×25cmカラム(Agilent)を用いてSE-HPLCにより、複製試料を解析した。試料1mg/mlの80μlアリコートを注射し、1ml/分で15分間、リン酸ナトリウム50mM、塩化ナトリウム150mM、L-アルギニン500mM、pH6.0で実行した。変異体すべてに16.89%未満の小さなピークを認め、保持時間は約7.66分であり、可溶性凝集物と一貫していた。Empower v3ソフトウェアを用いて可溶性凝集物濃度を解析した。
【0400】
表9では、試験済み抗TfR抗体の構築物デザインとHPLC解析を例示する。
【0401】
【表9】
【0402】
9個の例示的なヒト化抗TfR抗体および親キメラ抗体の結合動態を特徴づけた。mAb捕捉のためプロテインAで被覆したGLMセンサチップを使用してBioRad ProteOn XPR36光学バイオセンサ上で試験を行った。泳動用緩衝液には、10mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.4、0.05%のtween-20、0.2mg/ml BSAが含まれていた。25℃でデータを集めた。得られたストック濃度に基づき、すべてのmAbsを泳動用緩衝液に入れて2ug/mlに希釈した。その後、各々をプロテインA表面上で40秒間捕捉した。
【0403】
hTfR(100ug)を水300uLに溶かし、ストック濃度4.3uMを得た。hTfRを最高濃度として43nMに希釈(dilted)し、3倍系列稀釈で試験した。hTfRを2分かけて200ul/分で注射し、続いて1時間の解離相に移った。
【0404】
データを内部スポット対照表面から控除することで反応データを処理し、加えて緩衝液注射により二重参照した。
【0405】
表10では25℃で求めた結合定数を示す。
【0406】
【表10】
【実施例2】
【0407】
hIgG2 TfR1キメラ抗体siRNA(SSB)コンジュゲートを用いたインビボでの遺伝子ダウンレギュレーション
【0408】
hTfR1に対するマウスIgG2抗体のCDRをヒトIgG2バックグラウンドへとサブクローン化し、CHO-K1SP細胞へとトランスフェクトした。配列は実施例4を参照。安定した細胞プールを選択し、Wave Bioreactor(GE Healthcare)を使用して37℃、5%COで、cellbags(Healthcare)中のDynamis培地(GIBCO)に播種した。最終培養物体積(25リットル)の8%に対する給餌を4日目から2日毎に行い、計14日間のインキュベーションを行った。培養液上清を採取し、深度濾過を行い、Monofinity A Resin(GenScript)を用いて流速30ml/分で精製した。溶出したタンパク質の緩衝液をPBSに入れ、還元条件下と非還元条件下でのSDS-PAGE、およびSEC-HPLCにより、精製したタンパク質の分子量と純度を解析した。最終タンパク質純度は98%を超えていた。
【0409】
ビス-マレイミド(BisMal)リンカーを用いたTfR1-IgG2 mAbキメラとSSB siRNAとのコンジュゲーション
【0410】
本実験に使用するコンジュゲートとして、SSB siRNA二本鎖を使用した。21量体のSSBガイド/アンチセンス鎖の配列は、(5’~3’)UUACAUUAAAGUCUGUUGUUUであった。標準ホスホラミダイト化学を用いて固相上に一本鎖を完全にアセンブルし、HPLCを使用して精製した。RNAiの分野でよく記述されている塩基、糖、およびリン酸塩の修飾を使用して二本鎖の効力を最適化し、免疫原性を低下させた。siRNAパッセンジャー鎖には、5’末端にC6-NH2コンジュゲーションハンドルが包含されていた。図1を参照。相補性の19塩基および1つの3’ジヌクレオチドオーバーハングを持つブラントエンド二本鎖として、siRNA二本鎖を設計した。末端塩基上のリン酸ジエステルを介してコンジュゲーションハンドルをsiRNAパッセンジャー鎖に接続した。図2を参照。
【0411】
工程1:TCEPによる抗体減少
【0412】
抗体に対し、1mM DTPAを含む25mMホウ酸塩緩衝液(pH8)との緩衝液交換を行い、最大10mg/mlの濃度とした。この溶液に、同じホウ酸塩緩衝液中の4当量のTCEPを添加し、37℃で2時間インキュベートした。結果として生じる反応混合物を室温(RT)でpH6.0の10mM酢酸塩緩衝液の中、BisMal-siRNA(1.25当量)の溶液と組み合わせ、4℃で一晩保管した。分析的SAXカラムクロマトグラフィーによる反応混合物の解析では、抗体siRNAコンジュゲートを未反応抗体およびsiRNAとともに認めた。反応混合物を10EQのN-エチルマレイミド(10mg/mLでDMSO中)で処理し、残るすべての遊離システイン残基をキャッピングした。
【0413】
工程2:精製
【0414】
陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)方法-1を使用してAKTA Pure FPLCにより、粗製の反応混合物を精製した。DAR1抗体-siRNAコンジュゲートを含有する分画を単離し、濃縮し、pH7.4のPBSとの緩衝液交換を行った。
【0415】
陰イオン交換クロマトグラフィー方法(SAX)-1
【0416】
カラム:Tosoh Bioscience、TSKGel SuperQ-5PW、21.5mm ID X 15cm、13μm
【0417】
溶媒A:pH8.0の20mMトリス緩衝液、溶媒B:20mMのトリス、1.5MのNaCl、pH8.0、流速:6.0mL/分:
【0418】
勾配:
a)%A %B カラム体積
b)100 0 1
c)811 9 0.5
d)50 50 13
e)40 60 0.5
f)0 100 0.5
g)100 0 2
【0419】
強力な陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)方法-2
【0420】
カラム:Thermo Scientific、ProPacTM SAX-10、Bio LCTM、4 X 250mm
【0421】
溶媒A:80%の10mMトリスpH8、20%エタノール、溶媒B:80%の10mMのトリスpH8、20%エタノール、1.5MのNaCl、流速:0.75mL/分:
【0422】
勾配:
a)時間 %A %B
b).0 90 10
c)3.00 90 10
d)11.00 40 60
e)14.00 40 60
f)15.00 20 80
g)16.00 90 10
h)20.00 90 10
【0423】
SAX方法-2を使用して分析的HPLCによりコンジュゲートの純度を評価した(表11)。
【0424】
【表11】
【0425】
本実施例で使用するコンジュゲートの解析データ表:分で表すHPLC保持時間(RT)、およびクロマトグラフィーピーク面積による純度%。
【0426】
hTfR1-IgG2 mAb siRNA DAR1コンジュゲートのインビトロ活性
【0427】
hTfR1-IgG2 mAb siRNAコンジュゲートのヒトおよびカニクイザルのTfR1に対する結合能を、ELISAアッセイを使用して評価した。半ウェルの高結合96ウェルプレート(Half-well high-binding 96-well plates)(Costar #3690)を、PBS(Gibco 14190)の中1ng/μLで組換えヒトトランスフェリン受容体タンパク質(Sino Biological 11020-H07H)または組換えカニクイザルトランスフェリン受容体タンパク質(Sino Biological 90253-C07H)により被覆し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを100μLのTris緩衝生理食塩水+Tween(20xTBST、Cell Signaling 9997S)で4回洗浄した。Superblock(ThermoFisher PI-37535)100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄工程を繰り返してから、試料を添加した。最大10nM、50μL/ウェルの濃度で、試料を添加した。プレートを室温でさらに1時間(another hour)インキュベートし、洗浄工程を繰り返した。二次抗体(Peroxidase AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson Immunoresearch、109-035-098)を、添加したSuperblockおよび50μL/ウェルの中で1:5000に希釈した。プレートを室温で1時間培養し、もう1回洗浄した。50μLの1-Step(商標)Ultra TMB-ELISA(ThermoFisher,34028)を添加することで結合を測定し、5分間インキュベーションを行い、25μLのStop Solution 2N sulfuric Acid(R&D Systems DY994)を添加して反応を止めた。吸収度を450nmで測定し、対照波長570nmを控除した。Hill Slopeを伴うGraphPad Prism Specific Bindingを使用して結合定数を求めた。
【0428】
非コンジュゲーションおよびコンジュゲーションhTfR1.IgG2 mAb抗体は、同様の親和性をもって組換えヒトおよびカニクイザルTfR1に結合する(図3A図3B)。
【0429】
TfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートがSSB発現をダウンレギュレートする能力を、HEL92.1.7およびヒト骨格筋細胞を対象にモニタリングした。HEL92.1.7細胞(ATCC(登録商標)TIB-180(商標))を、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640の中で培養した(Nucleus Biologics FBS1824)。細胞を100,000/mLに希釈し、100μLをプレートの各ウェルに添加した。抗体コンジュゲートを100nMの最大濃度に希釈した。陰性対照としてコンジュゲートまたはPBS20μLを96ウェルプレートの複数のウェルに添加し、処理した細胞を37℃と5%COで72時間静置した。
【0430】
24ウェルのコラーゲンプレート(Thermo Fisher A1142802)上の500μl骨格筋細胞増殖培地(PromoCell C-23260)の中で、不死化ヒト骨格筋細胞(Institute of Myology, Paris)を播種し、筋芽細胞がコンフルエントになるまで5%COの中37℃でインキュベートした。この時点で、500μlの分化培地(インスリン10ug/mlとゲンタマイシン50μg/mlを補足したDMEM(Gibco 10566-016))の中で4日間インキュベーションを行うことで筋管の分化を誘導した。培地をリフレッシュし、PBS中で希釈した50μlのTfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートを添加した。処理した細胞を72時間インキュベートした。いずれかの細胞型を採取かつ解析するために、ウェルから培地を取り除き、150μLのTrizol(Ambion 15596018)を添加した。プレートを-80℃で一晩以上冷凍してから解析を行った。製造者の指示に従いDirect-zol 96 RNAキットを使用してRNAを単離し、分光学的に定量化した。High Capacity cDNAキット(Thermo Fisher #4368813)を使用して、製造者の指示に従いRNA(100=200ng)を逆転写した。適宜設計したプライマーとプローブを用いるTaqMan qPCRを使用して、mRNA濃度を定量化した。PPIB(ハウスキーピング遺伝子)を内部RNAローディング対照として使用した。ΔΔC方法を使用してmRNAの%を算出し、PBSで処理した細胞を100%発現に設定した。これら実験では、TfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートはSSBを最大60%ダウンレギュレートし、一方でSSBは、TfR1.IgG2 mAb-MSTNコンジュゲート(陰性対照)で処理した細胞において最大25%ダウンレギュレートされた(図4A図4B)。
【0431】
カニクイザルにおけるhTfR1-IgG2 mAb SSB siRNAコンジュゲートの活性と安全性
【0432】
hIgG2 TfR1.mAb-siSSBコンジュゲートのPK、PD、および安全特徴をカニクイザルにおいて評価した。カニクイザルは2~3歳のオス、体重2~3kgであった。カニクイザルに30mg/kgあるいは60mg/kg(mAb濃度)のコンジュゲート、またはPBSを30分(+/-3分)の静脈内(IV)注入により投与した。表12に概説するような異なる時間に、意識のある拘束した動物の末梢静脈、または鎮静させた動物の腓腹筋と大腿四頭筋からそれぞれ血液試料と筋生検を採取した。
【0433】
【表12】
【0434】
ステムループqPCRアッセイを使用して、hIgG2 TfR1.mAb-siSSBコンジュゲートの血漿中濃度を求めた。簡潔的に、TE緩衝液+0.1%v/v Triton X-100の中で血漿試料を直接希釈した。siRNAを未処置動物の血漿へとスパイクし(spiking)、次いでTE緩衝液+0.1%v/v Triton X-100で連続希釈を行うことで、標準曲線を生成した。25nMの配列特異的ステムループRTプライマーを伴うTaqMan MicroRNA逆転写キット(Applied Biosystems)を使用して、siRNAのアンチセンス鎖を逆転写した。フォワードプライマー1.5μM、リバースプライマー0.75μM、およびプローブ0.2μMを伴うTaqMan Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems)を使用したリアルタイムPCRに、RT工程から得たcDNAを利用した。測定に使用されるSSB siRNAアンチセンス鎖の配列、ならびにすべてのプライマーおよびプローブを表13に示す。QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR System(Life Technologies)中の標準サイクル条件を用いて、量的PCR反応を行った。標準曲線から得た線形方程式を使用して、Ct値を血漿中または組織中濃度に変換した。
【0435】
【表13】
【0436】
コンジュゲートのクリアランスと半減期は表14に示す。これらコンジュゲートのPK特性は、マウスを対象に試験したマウス抗トランスフェリンmAbコンジュゲートと同様であった。
【0437】
【表14】
【0438】
siRNA濃度と筋肉内のコンジュゲートの活性を評価するために、表12に示すスケジュールに従い筋生検(腓腹筋と大腿四頭筋)を得た。筋生検を6mm穿刺により採取し、計量し、液体窒素で急速冷凍した。冷凍した組織試料を1mlの冷たいTRIZOl(供給業者)の中で均質化させた。mRNAノックダウンを求めるために、製造者の指示に従いDirect-zol 96 RNAキットを使用して全RNAを組織から控除し、分光学的に定量化した。High Capacity cDNAキット(Thermo Fisher #4368813)を使用して、製造者の指示に従いRNA(100=200ng)を逆転写した。適宜設計したプライマーとプローブを用いるTaqMan qPCRを使用して、SSB mRNA濃度を定量化した。PPIB(ハウスキーピング遺伝子)を内部RNAローディング対照として使用した。ΔΔC方法を使用してmRNAの%を算出し、処置前の同じ動物のSSB mRNA濃度またはPBSで処置した動物のSSB濃度を100%発現に設定した。
【0439】
組織siRNA濃縮の定量化を、ステムループqPCRアッセイを使用して求めた。簡潔的に、TissueLyser II plate-based homogenizer(Qiagen)を使用して組織片15~50mgを500uLのTrizolの中で均質化し、次いでTE緩衝液+0.1%v/v Triton X-100の中で希釈した。siRNAを未処置動物の均質化組織へとスパイクし、次いでTE緩衝液+0.1%v/v Triton X-100で連続希釈を行うことで、標準曲線を生成した。25nMの配列特異的ステムループRTプライマーを伴うTaqMan MicroRNA逆転写キット(Applied Biosystems)を使用して、siRNAのアンチセンス鎖を逆転写した。フォワードプライマー1.5μM、リバースプライマー0.75μM、およびプローブ0.2μMを伴うTaqMan Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems)を使用したリアルタイムPCRに、RT工程から得たcDNAを利用した。測定に使用されるSSB siRNAアンチセンス鎖の配列、ならびにすべてのプライマーおよびプローブを表13に示す。QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR System(Life Technologies)中の標準サイクル条件を用いて、量的PCR反応を行った。標準曲線から得た線形方程式を使用して、Ct値を血漿中または組織中濃度に変換した。
【0440】
カニクイザルをコンジュゲートで処置した結果、腓腹筋では最大62%、大腿四頭筋では最大75%にSSB mRNAのダウンレギュレーションを認めた(図5A図5B)。これら組織中のsiRNA濃度は用量依存性であり、30mg/kgと60mg/kgの投与量ではそれぞれ0.6~1.9nMと2.0~6.5nMであった。組織中のコンジュゲート活性とsiRNA濃度は、投与後21または28日目に調べたときは同様であった。これらの結果より、選択されたTfR1抗体はsiRNAsをサル筋組織へと効果的に送達可能であり、トランスフェリン受容体標的化AOCの活性は種間を移行する(translate)ことを実証した。
【0441】
霊長類の選択された抗hTfR1抗体の安全性をモニタリングするために、表xに示すスケジュールに従い血液学と臨床化学を解析した。網状赤血球の用量依存性であるが一時的な枯渇(図6)は例外とし、投与後最大28日間でその血液学的または臨床化学的パラメータにも処置関連の効果を認めなかった。網状赤血球で認めた一時的なダウンレギュレーションは、TfR1抗体の副作用と評した。無傷の作用因子機能または補体結合能を持つマウスTfR1抗体がTfR発現網状赤血球を重度に枯渇させることを認めた(Daniels-Wells, et al.,“Transferrin receptor 1:a target for antibody-mediated cancer therapy,”Immunotherapy 8(9):991-994(2016))。霊長類では高TfR1レベルを発現する網状赤血球の分画が低いため、網状赤血球の枯渇は一時的なものにすぎず、げっ歯類ほど明白ではなかった。重要なことに、その他の試験では、抗体のADCC/CDC活性を取り除く突然変異によりこの活性を上手く抑えることが可能であることを認めた。
【実施例3】
【0442】
ヒト/カニクイザル交差反応抗TfR1抗体の生成、特徴づけ、ヒト化
【0443】
当該技術分野で十分に記載される現代のインシリコの抗体ヒト化と脱免疫化のプログラムを用いて、実施例1のNHP試験を行ったキメラ抗トランスフェリン1 mAbの16変異体を設計した。変異体の配列については表XYZを参照。設計の一部として、高リスク翻訳後修飾(PTM)の同定による製造可能性の評価を試み、実行可能な場合には、アミノ酸置換を介してそれらをヒト化活性の一部として取り除いた。免疫原性リスクの評価も試み、高リスクのエピトープを同定し、実行可能な場合にはこれを取り除いた。さらに変異体のFcドメインに突然変異を導入して、作用因子機能(ADCCとCDC)を取り除いた。その後、当該技術分野で十分に説明される技法を用いて16変異体を哺乳動物細胞培養物に発現させ、プロテインAレジンに基づく親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。次いでmAb変異体を完全に特徴づけ、siRNAコンジュゲートを下記のように作製した。
【0444】
ヒトおよびカニクイザルのTfR1 ELISAアッセイ
【0445】
これらアッセイの目標は、16変異体ヒト抗TfR1抗体がヒトとカニクイザル両方のTfR1に結合することを確認することであった。ヒトまたはカニクイザルのトランスフェリン受容体ELISAアッセイプロトコルを後述する。
【0446】
半ウェルの高結合96ウェルプレート(Costar #3690)を、PBS(Gibco 14190)の中1ng/μLで組換えヒトトランスフェリン受容体タンパク質(Sino Biological 11020-H07H)または組換えカニクイザルトランスフェリン受容体タンパク質(Sino Biological 90253-C07H)により被覆し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを100μLのTris緩衝生理食塩水+Tween(20xTBST、Cell Signaling 9997S)で4回洗浄した。Superblock(ThermoFisher PI-37535)100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄工程を繰り返してから、試料を添加した。最大10nM、50μL/ウェルの濃度で、試料を添加した。プレートを室温でさらに1時間インキュベートし、洗浄工程を繰り返した。二次抗体(Peroxidase AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson Immunoresearch、109-035-098)を、添加したSuperblockおよび50μL/ウェルの中で1:5000に希釈した。プレートを室温で1時間培養し、もう1回洗浄した。50μLの1-Step(商標)Ultra TMB-ELISA(ThermoFisher,34028)を添加することで結合を測定し、5分間インキュベーションを行い、25μLのStop Solution 2N sulfuric Acid(R&D Systems DY994)を添加して反応を止めた。吸収度を450nmで測定し、対照波長570nmを控除した。Hill Slopeを伴うGraphPad Prism Specific Bindingを使用して結合定数を求めた。
【0447】
図7図8では、カニクイザルCD71とヒトCD71それぞれの結合結果を例示する。
【0448】
Tf-TfR遮断ELISAアッセイ
【0449】
このアッセイの目標は、TfR抗体がホロ-トランスフェリンの存在下でTfRに結合することを確認することであった。
【0450】
製造者の指示に従いEZ-Link No weigh NHS-Biotin(Thermo Scientific A39256)の50倍モル過剰を使用して、抗体をビオチン化した。PBSの中4℃で一晩かけて、500ng/mの生成ヒト・ホロ-トランスフェリン(R&D Systems 2914-HT)で半ウェル高結合プレート(Costar #3690)を被覆した。比較のためにプレートをhTfRで直接被覆した。プレートを100μLのTris緩衝生理食塩水+Tween(20xTBST、Cell Signaling 9997S)で4回洗浄した。Superblock(ThermoFisher PI-37535)100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄工程を繰り返してから、hTfR(25μl中200ng/mL)をトランスフェリンプレートに添加、またはSuperblockをhTfRプレートに添加し、30分間インキュベートした。ビオチン化抗体を高濃度にするために20nMに希釈し、3倍系列希釈でプレートに添加した。既にプレートにある25μlに25μl/ウェルを添加した。プレートを1時間インキュベートし、洗浄工程を繰り返した。添付文書で推奨される希釈に従いStreptavidin-HRP(R&D Systems DY998)を添加し、最終洗浄工程を行った。50μLの1-Step(商標)Ultra TMB-ELISA(ThermoFisher,34028)を添加することで結合を測定し、5分間インキュベーションを行い、25μLのStop Solution 2N sulfuric Acid(R&D Systems DY994)を添加して反応を止めた。吸収度を450nmで測定し、対照波長570nmを控除した。Hill Slopeを伴うGraphPad Prism Specific Bindingを使用して結合定数を求めた。トランスフェリンの存在下と不在下での抗体結合定数の変化は、トランスフェリンと重複するエピトープを持つと知られる市販の抗体(AF2474,R&D Systems)に対して考慮する。図9A図9Bを参照。
【0451】
HFE-TfR結合ELISAアッセイ
【0452】
このアッセイの目標は、TfRがHFEに結合したときにTfR抗体が結合を維持することを確認することであった。
【0453】
トランスフェリン存在下でのTfR結合と同じ方法に従いこのアッセイを実行し、トランスフェリンの代わりに補助因子HFE(遺伝性ヘモクロマトーシスタンパク質、mybiosource.com、MBS953891)を用いた。図10A図10Bを参照。
【0454】
FcγRIIIA(CD16a)ELISA
【0455】
このアッセイの目標は、FcγRIIIA(CD16a)遺伝子型V158への結合を測定することにより抗体のADCC活性に対する候補(potential)を求めることであった。半ウェルの高結合96ウェルプレート(Costar #3690)を、PBS(Gibco 14190)の中2ng/μLで組換えCD16aタンパク質(Sino Biological 10389-H27H1)により被覆し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを100μLのTris緩衝生理食塩水+Tween(20xTBST、Cell Signaling 9997S)で4回洗浄した。Superblock(ThermoFisher PI-37535)100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄工程を繰り返してから、試料を添加した。最大1μM、50μL/ウェルの濃度で、試料を添加した。プレートを室温でさらに1時間インキュベートし、洗浄工程を繰り返した。二次抗体(Peroxidase AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson Immunoresearch、109-035-098)を、添加したSuperblockおよび50μL/ウェルの中で1:5000に希釈した。プレートを室温で1時間培養し、もう1回洗浄した。50μLの1-Step(商標)Ultra TMB-ELISA(ThermoFisher,34028)を添加することで結合を測定し、5分間インキュベーションを行い、25μLのStop Solution 2N sulfuric Acid(R&D Systems DY994)を添加して反応を止めた。吸収度を450nmで測定し、対照波長570nmを控除した。Hill Slopeを伴うGraphPad Prism Specific Bindingを使用して結合定数を求めた。図11を参照。
【0456】
HEL92.1.7細胞におけるインビトロ効力アッセイ
【0457】
このアッセイの目標は、TfR mAbコンジュゲートがsiRNAの送達および遺伝子特異的ダウンレギュレーションを行うことが可能であることを実証することであった。mAb変異体を、活性siRNA(SSB)またはスクランブル対照(Scr)にコンジュゲートさせた。HEL92.1.7細胞株(ATCC(登録商標)TIB-180(商標))を、10%ウシ胎仔血清(Nucleus Biologics FBS1824)を含有するRPMI1640(Gibco A10491)の中で培養した。抗体siRNAコンジュゲートを100nMの最大用量に希釈した。コンジュゲート20μlを96ウェルプレートのウェルに添加した。PBS20μlを追加の陰性対照として一部のウェルに添加した。細胞を100,000/mLに希釈し、100μLをプレートの各ウェルに添加した。細胞を37℃と5%COで、72時間静置させた。培地をウェルから取り除き、150μlのTrizol(Ambion 15596018)を添加した。プレートを-80℃で一晩以上冷凍してから解析を行った。製造者の指示に従いDirect-zol 96 RNA単離キット(Zymo Research R2056)を使用してRNAを単離した。製造者の指示に従いHigh Capacity cDNAキット(Applied biosystems 4368814)を使用してRNAを逆転写し、SSBおよびPPIB Taqmanプローブセット(ThermoFisher Hs04187362_g1およびHs00168719_m1)を伴うTaqman Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems 4444558)によりqPCRを行った。ΔΔCt方法を使用してmRNAの%を算出し、PBSで処理した細胞を100%発現に設定した。
【0458】
活性siRNA(SSB)または不活性あるいはスクランブルsiRNA(Scr)を含有するDAR1を作製し、実施例2に記載するように特徴づけた。これらコンジュゲートでは、SSB siRNAは、リボース2’ヒドロキシル上のパッセンジャー鎖の位置11にてコンジュゲートされるCy5蛍光タグを包含していた。これを固相合成中に導入し、ガイド鎖の活性は阻害されなかったが、取り込みアッセイの実施は可能となった。イオン交換クロマトグラフィー方法-2を使用した分析的HPLCによりコンジュゲートの純度を評価し、クロマトグラフィー保持時間と純度を以下の表15に記載する。
【0459】
【表15】
【0460】
本実施例で使用するコンジュゲートの解析データ表:分で表すHPLC保持時間(RT)、およびクロマトグラフィーピーク面積による純度%。
【0461】
PBMC中でTfR1抗体および抗体siRNAコンジュゲート(ASC)により媒介される抗体依存性細胞傷害性(ADCC)
【0462】
マウスと非ヒト霊長類(NHP)を対象とした試験では、作用因子機能および/または補体結合能を持つマウス/カニクイザルTfRに結合する抗体がTfR発現網状赤血球を選択的に枯渇させることを実証している。変異体に作用因子機能があったかどうか確認するために、エフェクター細胞として健康なヒトドナーから得た末梢血単核球(PBMC)を使用してADCCアッセイを行った。
【0463】
材料:
【0464】
STRONG ADCC活性を持つBUYPBMC.COM, lot#2010113378のPBMC。
【0465】
標的細胞:HEL-92.1.7(ATCC、#TIB-180)、HEL(#JCRB0062)
【0466】
Cytotoxicity LDHキット、Pierce(ThermoFisher)、#88953
【0467】
10%熱不活性化FBS(56℃で30分間)および2%L-グルタミンを含有する血清(完全培地)RPMI 1640(Life Technologies)を伴う組織培養培地
【0468】
hIgG1 mAb変異体
【0469】
手順:
【0470】
37℃の水槽の中でPBMC細胞を優しく撹拌しながら解凍する。解凍後、30秒間の点滴により暖かい培養培地1mLをバイアルドロップに添加して、細胞が環境変化に調整されることを可能にする。暖かい培養培地9mLを含有する15または50mLの円錐管に細胞を徐々に添加する。細胞含有培地1mLを含む最初のバイアルをすすいで、側面に付着した細胞を回収する。すすぎ培地を円錐管に添加する。350xgで8~12分間の遠心分離により細胞をペレット状にする。上清を捨てる。軽く叩いて細胞ペレットを浮遊させる(過度の剪断力を避ける)。暖かい培養培地10mLを円錐管に添加して細胞を再びすすぐ。350xgで8~12分間の遠心分離により細胞をペレット状にする。2回目の洗浄から上清を捨てる。軽く叩いて細胞ペレットを浮遊させる(過度の剪断力を避ける)。必要に応じて暖かい培養培地10mLの中で細胞を浮遊させる。T75の中37℃で一晩インキュベーションを行い、細胞を順応させる。
【0471】
標的細胞HEL-92を採取し、冷たいアッセイ培地で2回洗浄する。高生存率を確保する。96ウェル丸底プレートの中、氷の上で4×10/ウェルで、冷たい50μl(8x10)アッセイ培地(1%BSAと100ユニット/mLのペニシリンおよびストレプトマイシンを含むRPMI-1640)に標的細胞を蒔く。以下の表に記載する標的細胞を含有するプレートに、試験および対照の抗体/ASC(10μl)の稀釈物(6倍、10μg/mlから出発)を添加し、次いで氷の上で30分間インキュベートし、オプソニン作用を可能にした。培地10μlを対照ウェルに添加し、体積を維持する。
【0472】
対照:
【0473】
-バックグラウンド低対照:標的細胞の自発的LDH放出対照により標的細胞(低対照)からの自発的放出を修正する。実験用ウェルに使用される同数の標的細胞を添加する。培養培地により最終体積を100μL/ウェルに調整する。
【0474】
-陽性高対照:LDHの100%放出を判定する計算には標的細胞最大LDH放出対照が必要となる。実験用ウェルに使用される同数の標的細胞を添加する。最終体積は100μL/ウェルでなければならない(工程5で10X溶解バッファー10μLを添加する)。
【0475】
-抗体を添加せずに標的およびエフェクター細胞を含有するウェルの中で抗体非依存性細胞傷害性(AICC)を測定する。
【0476】
以下2つの対照をアッセイ条件のモニタリングに使用するが、ADCC計算には不要である。
【0477】
-エフェクター細胞の自発的LDH放出対照によりエフェクター細胞からのLDHの自発的放出を修正する。実験用ウェルに使用されるエフェクター細胞を様々な数で添加する。培養培地により最終体積を100μL/ウェルに調整する。
【0478】
-培養培地バックグラウンド対照は、培養培地を含有する血清中に存在し得るLDH活性による寄与を修正する必要がある。培養培地100μLを3通りのウェル(細胞を含まない)に添加する。
【0479】
氷の上で30分間インキュベートした後、暖かいアッセイ培地50μl(1%BSAと100ユニット/mLのペニシリンおよびストレプトマイシンを含むRPMI-1640)に入った8×10PBMCエフェクター細胞を各ウェルに添加し、20:1の比で作用因子:標的細胞を得て、37℃でさらに4時間プレートをインキュベートする。
【0480】
上清を採取する45分前に、溶解緩衝液(10X)10μLを標的細胞最大LDH放出対照(陽性対照)と体積補正対照に添加する。PBS10μLを、細胞、試料、および他の対照を含むバックグラウンド低対照に添加する。インキュベーション(350g、10分)後にプレートを遠心分離する。96ウェルの透明平底プレートに上清50μLを移し、反応混合物50μLを各試料ウェルに添加し、軽く叩いて混合する。光から保護した状態で室温で30分間、プレートをインキュベートする。停止溶液50μLを各試料ウェルに添加し、軽く叩いて混合する。吸収度を490nmと680nmで測定する。LDH活性の判定には、490nmの吸収度から680nmの吸収度(器機からのバックグラウンドシグナル)を控除する。
【0481】
特異的ADCC活性を次のように算出した。
【0482】
%ADCC=100×((A490(試料)-A490(AICC))/(A490(高対照)-A490(低対照))
【0483】
結果を図14に示す。
【0484】
ウサギ血清中でTfR1抗体および抗体siRNAコンジュゲート(ASC)により媒介される補体依存性細胞傷害(ADCC)
【0485】
材料:
【0486】
凍結乾燥したウサギ補体。氷冷の蒸留水で再構成する。全凍結乾燥材料が確実に溶けるように優しく撹拌する。再構成の1時間以内に使用する。再構成材料は常に氷の上で維持する。1/2稀釈で完全に活性でない場合、アリコートを捨てる。
【0487】
標的細胞:HEL-92.1.7(ATCC、#TIB-180)
【0488】
Viobility 405/452固定可能染料。
【0489】
10%熱不活性化FBS(56℃で30分間)および2%L-グルタミンを含有する血清(完全培地)RPMI 1640(Life Technologies)を伴う組織培養培地
【0490】
hIgG1変異体
【0491】
手順:
【0492】
HEL92.1.7標的細胞を採取し、冷たいアッセイ培地で2回洗浄した。96ウェル丸底プレートの中、5×10/ウェルで、冷たい25μlアッセイ培地(1%BSAと100ユニット/mLのペニシリンおよびストレプトマイシンを含むRPMI-1640)に細胞を蒔いた。25μlの標的細胞を含有するプレートに、試験および対照の抗体(25μl)の稀釈物(5倍、最終50ug/mlでは100ug/mlから出発)を添加し、次いで氷の上で30分間インキュベートし、オプソニン作用を可能にする。
【0493】
対照:
【0494】
-バックグラウンド低対照:標的細胞の自発的LDH放出対照により標的細胞(低い調節)からの自発的放出を修正する。実験用ウェルに使用される同数の標的細胞を添加する。培養培地により最終体積を100μL/ウェルに調整する。
【0495】
-抗体を添加せずに標的およびCDC細胞を含有するウェルの中で抗体非依存性細胞傷害性(AICC)を測定する。
【0496】
30分のインキュベーション後、補体50μLを各ウェルに添加し、培地と低対照(50μLの培地を有する)を除き、プレートを37℃でさらに60分間インキュベートした。インキュベーション(350g、10分)の終わりにプレートを遠心分離にかけた。希釈したViobility 405/452染料(染色緩衝液100μL中に染料0.5μL)を添加した。光から保護した状態で室温で15分間、プレートをインキュベートした。細胞を洗浄して固定した。流れ解析を行い、死細胞を測定した。
【0497】
特異的CDC活性を次のように算出する。
【0498】
%CDC=試料中の死細胞%-対照中の死細胞%
【0499】
結果を図15に示す。
【0500】
ヒト抗TfR1 IgG1 siRNAコンジュゲート(ASC)のヒト骨格筋管へのインビトロ取り込み
【0501】
筋細胞へのASCの取り込みをモニタリングするために、10%FBS(Nucleus Biologics FBS1824)および1xITS(Thermo Fisher Scientific 41400045)を補足した1mLのDMEM(ATCC 30-2002)の中、初代ヒト骨格筋芽細胞(Thermo Fisher Scientific A11440)を24ウェルコラーゲンプレート上で播種した。筋芽細胞がコンフルエントになるまで、細胞を37℃と5%COでインキュベートした。この時点で、2%のウマ血清(ATCC 30-2040)および1xITS(Thermo Fisher Scientific 41400045)を補足した1000μlの1mL DMEM(ATCC30-2002)を対象に2日間インキュベートすることで、筋管への分化を誘導した。培地を500ul分化培地と交換し、PBS中で希釈した50μlのTfR1.IgG2 mAb-SSB(Cy5)コンジュゲートを1および10nMの最終濃度に添加した。細胞を37℃と5%COで24時間インキュベートし、500ulのPBSで3回洗浄し、凍結融解サイクルを使用して150ulのT-PER溶解緩衝液(Thermo Fisher Scientific 78510)の中で溶解した。溶解した細胞75ulをヌクレアーゼフリーの水75μlで希釈し、TECANプレートリーダーを使用して蛍光を求めた(Ex 635nM-Em 675nM)。入力に対する細胞中の蛍光として結果を示す(図16)。
【0502】
ヒト骨格筋管中のヒト抗TfR1 IgG1 siRNAコンジュゲート(ASC)により媒介されるインビトロ遺伝子ダウンレギュレーション
【0503】
TfR1.mAb-SSBコンジュゲートがSSB mRNAレベルをダウンレギュレートする能力をモニタリングするために、10%FBS(Nucleus Biologics FBS1824)および1xITS(Thermo Fisher Scientific 41400045)で補足した1mLのDMEM(ATCC30-2002)の中、初代ヒト骨格筋芽細胞(Thermo Fisher Scientific A11440)を24ウェルコラーゲンプレート(Thermo Fisher A1142802)上で播種した。筋芽細胞がコンフルエントになるまで、細胞を37℃と5%COでインキュベートした。この時点で、2%のウマ血清(ATCC 30-2040)および1xITS(Thermo Fisher Scientific 41400045)を補足した1000μlの1mL DMEM(ATCC30-2002)を対象に2日間インキュベートすることで、筋管への分化を誘導した。培地をリフレッシュし、PBS中で希釈した100μlのTfR1.IgG2 mAb-SSBコンジュゲートを添加した。処理した細胞を72時間インキュベートした。採取のために培地をウェルから取り除き、150μlのTrizol(Ambion 15596018)を添加した。プレートを-80℃で一晩以上冷凍してから解析を行った。製造者の指示に従いDirect-zol 96 RNAキットを使用してRNAを単離し、分光学的に定量化した。High Capacity cDNAキット(Thermo Fisher #4368813)を使用して、製造者の指示に従いRNA(100=200ng)を逆転写した。適宜設計したプライマーとプローブを用いるTaqMan qPCRを使用して、mRNA濃度を定量化した。PPIB(ハウスキーピング遺伝子)を内部RNAローディング対照として使用した。ΔΔCt方法を使用してmRNAの%を算出し、PBSで処理した細胞を100%発現に設定した。試験したSSB siRNAコンジュゲートはすべて、同様の効力をもってSSBを50%ダウンレギュレートした(図17)。
【実施例4】
【0504】
hTfR1重鎖:461aa
【0505】
NruI-Kozak配列--人工シグナルペプチド-hTfR1 mAb HC可変領域-ヒトIgG2定常領域(P01859)--停止コドン--PmlI
【0506】
【化25】
【0507】
hTfR1軽鎖:233aa
【0508】
AscI-Kozak配列--人工シグナルペプチド-hTfR1 mAb LC可変領域-ヒトIgカッパ定常領域(P01859)--停止コドン--FseI
【0509】
【化26】
【実施例5】
【0510】
カニクイザル試験での例示的な抗TfR抗体のSSB siRNAノックダウン
例示的な抗TfR抗体でのカニクイザルの処置を試験して、腓腹筋でのSSB mRNAダウンレギュレーションの割合を求める。30mg/kg、10mg/kg、および3mg/kgの投与量を試験する。抗体コンジュゲートの活性を投与後21および/または28日目に調査する。血液学と臨床化学の解析によりカニクイザルの安全性もモニタリングする。
【実施例6】
【0511】
hIgG1 TfR-Var2iiおよびhIgG1 TfR-Var9iiのSSBコンジュゲートは、カニクイザルの絶対的網状赤血球値に影響を及ぼさない。
hIgG1 TfR-Var2iiおよびhIgG1 TfR-Var9iiは、hTfR1を標的とするヒト化IgG1抗体であり、IgG1重鎖のヒンジ領域に突然変異を含有しており、作用因子機能(LALA+L328R)を取り除くように設計されている。キメラhIgG2 TfR1抗体とは対照的に、hIgG1 TfR-Var2iiおよびhIgG1 TfR-Var9iiのSSBコンジュゲートをカニクイザルへ投与後、網状赤血球値は低下しない。この結果は、TfR1標的化抗体による未成熟網状赤血球の枯渇が、抗体のADCC/CDC活性を取り除く突然変異により上手く抑えることができることを実証する他者の試験と一致している(WO2014/189973A2)。
【0512】
方法:
【0513】
1日目、カニクイザル(オス2~3歳、BW2~3kg)に30分(+/-3分)の静脈内(IV)注入を行った。図18に示すように投与後の異なる時点で、意識のある拘束した合物の末梢静脈から血液試料を採取した。
【実施例7】
【0514】
hIgG1 TfR-Var2ii AbおよびhIgG1 TfR-Var9ii AbのSSBコンジュゲートは、カニクイザルの筋肉のSSB RNA値をダウンレギュレートする。
投与前のSSB mRNA値と比較して、1または6mg/kg(siRNA)のhIgG1 TfR-Var2iiまたはhIgG1 TfR-Var9ii SSBコンジュゲートの単回投与により、投与後21日目で腓腹筋と大腿四頭筋におけるSSB mRNA値を最大72%ダウンレギュレートした(図19)。ヒト化抗体の活性は親キメラIgG2 TfR1抗体の活性と同様である。60mg/kg(6mg/kgのAOC投与量に等しい)で投与したコンジュゲートされていないTfR-Var2ii Abでは、SSBの有意なダウンレギュレーションを認めなかった。
【0515】
方法:
【0516】
1日目に、カニクイザル(オス2~3歳、BW2~3kg)に30分(+/-3分)の静脈内(IV)注入を行った。投与後-10日目と+21日目に、6mm穿刺により筋生検(腓腹筋と大腿四頭筋)を鎮静させた動物から採取し、計量し、液体窒素中で急速冷凍した。冷凍した組織試料を1mlの冷たいTRIZOl(Thermo Fisher # 15596026)の中で均質化させた。mRNAノックダウンを求めるために、製造者の指示に従いDirect-zol 96 RNAキットを使用して全RNAを組織から控除し、分光学的に定量化した。High Capacity cDNAキット(Thermo Fisher #4368813)を使用して、製造者の指示に従いRNA(100=200ng)を逆転写した。適宜設計したプライマーとプローブを用いるTaqMan qPCRを使用して、SSB mRNA濃度を定量化した。PPIB(ハウスキーピング遺伝子)を内部RNAローディング対照として使用した。ΔΔCt方法を使用してmRNAの%を算出し、処置前の同じ動物のSSB mRNA濃度またはPBSで処置した動物のSSB濃度を100%発現に設定した。
【実施例8】
【0517】
siRNA送達ではなくAOC媒介性SSBノックダウンが筋肉に特異的である。
6mg/kgのhIgG1 TfR-Var2ii-SSBを単回投与して21日目、大半の組織に10~100nMのSSB siRNA濃度を認めた。最高siRNA値は肝臓と副腎であり(1000nM以下)、最低値は脳であった(2nM)。骨格筋のsiRNA濃度は3~20nMであった。siRNA曝露は比較的低いにもかかわらず、骨格筋と心臓のみに50%を超えるSSB mRNA値の低下を認めた。この結果から、TfR1標的化抗体によるオリゴヌクレオチドペイロードの送達は筋肉に特異的であり、siRNA曝露ではなく細胞特異的輸送経路により導かれることを実証する。
【0518】
方法:
【0519】
1日目に、カニクイザル(オス2~3歳、BW2~3kg)に30分(+/-3分)の静脈内(IV)注入を行った。投与後21日目に、6mm穿刺により筋生検を鎮静した動物から採取した。他の組織試料はすべて検死後30分以内に集めた。組織試料を処理し、SSB mRNA値を上述のように求めた(図20B)。方法の章に記載したステムループqPCRアッセイを使用して、組織SSB siRNA濃度を求めた(図20A)。配列特異的ステムループRTプライマーを用いるTaqMan MicroRNA逆転写キット(Applied Biosystemsを使用して、siRNAのアンチセンス鎖を逆転写した。次いで、RT工程から得たcDNAをリアルタイムPCRに利用し、標準曲線から得た線形方程式を用いてCt値を血漿中または組織中濃度に変換した。
【0520】
本開示の好ましい実施形態が本明細書で示され記載されてきたが、こうした実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。多数の変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定すること、かつ本特許請求の範囲内の方法と構造、およびその等価物が本開示に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
【配列表】
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