(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】サイコロセンサ及びサイコロシステム
(51)【国際特許分類】
G01P 15/02 20130101AFI20250325BHJP
【FI】
G01P15/02 Z
(21)【出願番号】P 2023208357
(22)【出願日】2023-12-11
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTイノベーティブデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】都筑 慎也
(72)【発明者】
【氏名】廣木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】安斉 一典
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖之
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-068666(JP,A)
【文献】特開2009-279273(JP,A)
【文献】おみくじダイス,[online], [令和6年10月21日検索], インターネット<URL: https://item.rakuten.co.jp/headwear/839541/>
【文献】Foam Number Dice, set of 144 - Bulk Pricing,[online], [令和6年10月21日検索], インターネット<URL: https://www.didax.com/easyshapes-number-dice-144-vp.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 13/00 ~ 15/18
G09F 7/00 ~ 7/22
G01D 11/24
G12B 9/02 ~ 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力の向きを検出する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機と、
前記加速度センサ及び前記無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体と、
を備え、
隣接する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交して
おり、
前記加速度センサ及び前記無線送信機が直方体形状の内部筐体に収納され、
前記内部筐体が前記サイコロ筐体の内部空間に固定されず、かつ回転範囲が制限されているサイコロセンサ。
【請求項2】
対向する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であることを特徴とする請求項1に記載のサイコロセンサ。
【請求項3】
前記内部空間は面取りされた直方体形状であることを特徴とする請求項
1又は2に記載のサイコロセンサ。
【請求項4】
重力の向きを検出する加速度センサ、
前記加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機、
並びに、前記加速度センサ及び前記無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体を備え、
隣接する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交しているサイコロセンサと、
前記無線送信機から前記加速度センサの出力信号を無線受信し、前記出力信号を前記サイコロセンサの各面に表示された文字と対応させ、前記サイコロセンサの側面に上向き表示された文字を判定する管理装置と、
を備えるサイコロシステム。
【請求項5】
前記サイコロセンサが、対向する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であることを特徴とする請求項
4に記載のサイコロ
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイコロの向きを無線送信するサイコロセンサ及びサイコロシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務の可視化を図るために、サイコロ筐体の側面に表示された内容によって業務内容を表すことが試みられている。例えば、作業者が従事する業務内容をサイコロ筐体の6面のそれぞれに表示し、作業者は現在従事している業務内容を表す面を正面になるようにサイコロを載置する。
【0003】
一方、サイコロの向きを検出する技術として、サイコロの内部に方向検出器と送信機を内包し、サイコロの出た目を無線送信する無線サイコロがある(例えば、特許文献1参照。)。無線サイコロの内部にある方向検出器は、無線サイコロの上面になっている面を検出し、無線送信機が、外部にある管理装置に無線サイコロの上面になっている面の情報を送信する。無線サイコロの外部にある管理装置は、無線サイコロの上面になっている面の情報から無線サイコロの出た目を把握することができる。
【0004】
このような無線サイコロの技術を業務の可視化のためのサイコロに利用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線サイコロでは、出た目、即ち、どの目が上面になっているか、だけを把握すれば足りる。例えば、無線サイコロの六面に対応して、3軸加速度センサを方向検出器として配置し、3軸加速度センサのいずれの軸の加速度センサが重力を検出したか、及び、いずれの重力の向きを検出したかによって、上面となる面を判定することができる。
【0007】
しかし、業務の可視化のためのサイコロでは、載置場所によっては、上面ではなく、側面の一つである正面に業務内容を表わすことがある。サイコロの六面のそれぞれに表示されている業務内容を、「状態1」~「状態6」とした例を
図1に示す。ここでは、X軸、Y軸、Z軸の方向軸で矢印の向きをプラス、矢印と反対の向きをマイナスとする。重力はX軸方向で、向きはマイナスとなる。
【0008】
図1では、正面には「状態1」の文字がX軸の方向軸でプラスの向き、右側面には「状態2」の文字がX軸の方向軸でプラスの向きで表示されている。正面の表示を
図2の(A)に示す「状態1」の表示から
図2の(B)に示す「状態2」に切り替えるとき、サイコロは上面から見て、90度右回転させることになる。そうすると、重力の方向はX軸方向で、マイナスの向きに対して、3軸の加速度センサの検出する重力の方向軸及び向きが変化しないため、どの面が正面を向いているか判定が困難という課題が生じた。
【0009】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、サイコロ筐体の内包する加速度センサの検出する重力の方向軸又は向きからサイコロ筐体の側面の表示を判定できる構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示のサイコロセンサでは、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向に規則を持たせることとした。なお、文字は縦書き、横書きを問わない。また、サイコロ筐体の表面に表示された文字には、向きのある絵文字や記号も含まれる。
【0011】
具体的には、本開示は、
重力の向きを検出する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機と、
前記加速度センサ及び前記無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体と、
を備え、
隣接する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交していることを特徴とするサイコロセンサ
である。
【0012】
また、本開示は、
対向する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であることを特徴とする。
【0013】
また、サイコロセンサでは、サイコロ筐体に内包する加速度センサが重力の方向軸の変化又は向きの変化を検出しやすい構成とした。
【0014】
具体的には、本開示は、
前記加速度センサ及び前記無線送信機が直方体形状の内部筐体に収納され、
前記内部筐体が前記サイコロ筐体の内部空間に固定されず、かつ回転範囲が制限されていることを特徴とする。
【0015】
また、本開示は、
前記内部空間は面取りされた直方体形状であることを特徴とする。
【0016】
サイコロシステムでは、管理装置がサイコロセンサの表す文字を判定することとした。
【0017】
具体的には、本開示は、
上記いずれかに記載のサイコロセンサと
前記無線送信機から前記加速度センサの出力信号を無線受信し、前記出力信号を前記サイコロセンサの各面に表示された文字と対応させ、前記サイコロセンサの側面に上向き表示された文字を判定する管理装置と、
を備えるサイコロシステム
である。
【0018】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、サイコロ筐体の内包する加速度センサの検出する重力の方向軸又は向きからサイコロ筐体の側面の表示を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】関連するサイコロセンサの表示を示す図である。
【
図2】関連するサイコロセンサの表示を切り替える動作を示す図である。
【
図3】本開示のサイコロセンサの表示の一例を示す図である。
【
図4】本開示のサイコロセンサの表示を切り替える動作の一例を示す図である。
【
図5】本開示のサイコロセンサの表示を切り替える動作の一例を示す図である。
【
図6】本開示のサイコロセンサの展開図の一例を示す図である。
【
図7】本開示のサイコロセンサの表示の一例を示す図である。
【
図8】本開示のサイコロセンサの表示を切り替える動作の一例を示す図である。
【
図9】本開示のサイコロセンサの表示を切り替える動作の一例を示す図である。
【
図10】本開示のサイコロセンサの表示を切り替える動作の一例を示す図である。
【
図11】本開示のサイコロセンサの展開図の一例を示す図である。
【
図12】本開示のサイコロセンサの利用の例を示す図である。
【
図13】本開示のサイコロセンサの利用の例を示す図である。
【
図14】本開示のサイコロセンサの利用の例を示す図である。
【
図15】本開示のサイコロセンサの構造の例を示す図である。
【
図16】本開示のサイコロセンサの内部筐体の例を示す図である。
【
図17】本開示のサイコロセンサの内部空間の例を示す図である。
【
図18】本開示のサイコロセンサの内部空間の例を示す図である。
【
図19】本開示のサイコロセンサの内部空間の形状の例を示す図である。
【
図20】本開示のサイコロセンサの内部空間の形状の例を示す図である。
【
図21】本開示のサイコロセンサの内部空間の形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態では、重力の方向軸及び向きを検出して出力する加速度センサと、加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機と、加速度センサ及び無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体と、を備えるサイコロセンサを説明する。直方体形状には立方体形状も含まれる。本実施形態のサイコロセンサは、隣接する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交している。本実施形態のサイコロセンサの表示の一例を
図3に示す。本実施形態のサイコロセンサの側面の表示を切り替える動作の一例を
図4及び
図5に示す。
【0023】
図3では、見える3面に表示された文字及びその文字の向きを示す矢印が示され、背後にあって見えない3面に表示された文字は鏡文字で、その文字の向きを示す矢印は点線矢印で示されている。隣接する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交し、対向する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが同じである。
【0024】
側面は正面、左側面、右側面、背面で構成されている。
図3の正面では、文字はX軸方向で向きはプラス、右側面では、文字はZ軸方向で向きはプラス、左側面では、文字はZ軸方向で向きはプラス、背面では、文字はX軸方向で向きはプラス、上面では、文字はY軸方向で向きはマイナス、下面では文字はY軸方向で向きはマイナスとなっている。
【0025】
加速度センサは直交する3軸方向でそれぞれの軸方向における重力の向きを検出する。例えば、3軸の加速度センサは、それぞれ
図3における「状態1」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向き、「状態5」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向き、及び「状態2」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向きを検出する。
【0026】
加速度センサは検出した情報を出力信号として出力する。無線送信機は出力信号を無線送信する。サイコロセンサの外部にある管理装置(不図示)では、重力を検出する3種の方向軸の加速度センサ及びその3種の方向軸の加速度センサの検出する重力の向きの組合せとサイコロセンサの各面に表示された文字とが対応付けられており、管理装置はいずれの方向軸の加速度センサがどちらの向きの重力を検出したかによって、サイコロセンサの側面に上向き表示された文字を判定することができる。
【0027】
図3において、正面にある上向き表示の「状態1」を上向き表示の「状態2」となるように、サイコロセンサを載置することを考える。
図4の(A)では、正面に「状態1」の表示が上向きとなっている。このとき、「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。まず、
図4の(B)のように、サイコロセンサを上面から見て、90度右回転させる。
図4の(B)では、正面に「状態2」の表示は右横向きとなっている。次に、
図4の(C)のように、サイコロセンサを正面から見て90度左横転させる。すると、
図4の(C)では、「状態2」の表示が上向きとなる。「状態2」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。他の方向軸の加速度センサは、重力の向きを検出しない。
【0028】
図3において、正面にある上向き表示の「状態1」を上向き表示の「状態3」となるように、サイコロセンサを載置することを考える。
図5の(A)では、正面に「状態1」の表示が上向きとなっている。このとき、「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。まず、
図5の(B)のように、サイコロセンサを上面から見て、90度右回転させる。
図5の(B)では、「状態2」の表示は正面で右横向きとなっている。次に、
図5の(C)のように、サイコロセンサを上面から見て90度右回転させる。すると、
図5の(C)では、「状態3」の表示が上向きとなる。「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。他の方向軸の加速度センサは、重力の向きを検出しない。
【0029】
「状態1」の矢印と「状態3」の矢印では方向軸も同じで向きも同じのため、「状態3」が上向き表示となるようにサイコロセンサが載置されると、「状態1」の方向軸の加速度センサの検出する重力の向きは「状態1」と同じマイナスとなる。他の方向軸の加速度センサは重力の向きを検出しない。このため、隣接する面同士で異なる文字の表示とし、対向する面同士で同じ文字の表示としておけば、管理装置はサイコロセンサの側面に上向き表示された3種の文字を判定することができる。この結果、本実施形態のサイコロシステムは3種の状態表示に対して有効となる。
【0030】
作業者が本実施形態のサイコロセンサを使用して「状態1」を表したいときは、側面に「状態1」を上向きにしてサイコロセンサを載置する。管理装置は、無線送信機から「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサがマイナスの方向の重力の向きを検出したことを無線受信し、作業者が表しているのは「状態1」であることを判定する。作業者は3種の文字から選択することができる。「状態1」の表示された面の背面では、「状態3」が「状態1」と同じ文字で同じ向きとなっているため、作業者はどちらの面で表してもよい。他の面でも同様である。
【0031】
本実施形態のサイコロセンサの展開図の例を
図6に示す。業務の可視化を図るために、サイコロ筐体の表面に表示する業務内容の例である。隣接する面同士で異なる文字を直交させ、対向する面同士で同じ文字を同じ向きで表示する。例えば、
図6に示す「稼働」、「待機」、「段取り」の3種の文字を表示する。この場合、文字が4つの側面のいずれかで上向きに表示されていれば、その文字が業務内容を表すことになる。
【0032】
(実施形態2)
本実施形態では、重力の方向軸及び向きを検出して出力する加速度センサと、加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機と、加速度センサ及び無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体と、を備えるサイコロセンサを説明する。直方体形状には立方体形状も含まれる。本実施形態のサイコロセンサは、隣接する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交し、対向する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対である。本実施形態のサイコロセンサの表示の一例を
図7に示す。本実施形態のサイコロセンサの側面の表示を切り替える動作の一例を
図8、
図9及び
図10に示す。
【0033】
図7では、見える3面に表示された文字及びその文字の向きを示す矢印が示され、背後にあって見えない3面に表示された文字は鏡文字で、その文字の向きを示す矢印は点線矢印で示されている。隣接する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交し、対向する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対である。
【0034】
側面は正面、左側面、右側面、背面で構成されている。
図7の正面では、文字はX軸方向で向きはプラス、右側面では、文字はZ軸方向で向きはプラス、左側面では、文字はZ軸方向で向きはプラス、背面では、文字はX軸方向で向きはプラス、上面では、文字はY軸方向で向きはマイナス、下面では文字はY軸方向で向きはマイナスとなっている。
【0035】
加速度センサは直交する3軸方向でそれぞれの軸方向における重力の向きを検出する。例えば、3軸の加速度センサは、それぞれ
図7における「状態1」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向き、「状態5」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向き、及び「状態2」の矢印の方向軸で、矢印のプラスかマイナスかの向きを検出する。
【0036】
加速度センサは検出した情報を出力信号として出力する。無線送信機は出力信号を無線送信する。サイコロセンサの外部にある管理装置(不図示)では、重力を検出する3種の方向軸の加速度センサ及びその3種の方向軸の加速度センサの検出する重力の向きの組合せとサイコロセンサの各面に表示された文字とが対応付けられており、管理装置はいずれの方向軸の加速度センサがどちらの向きの重力を検出したかによって、サイコロセンサの側面に上向き表示された文字を判定することができる。
【0037】
図7において、正面にある上向き表示の「状態1」を上向き表示の「状態2」となるように、サイコロセンサを載置することを考える。
図8の(A)では、正面に「状態1」の表示が上向きとなっている。このとき、「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。まず、
図8の(B)のように、サイコロセンサを上面から見て、90度右回転させる。
図8の(B)では、正面に「状態2」の表示は右横向きとなっている。次に、
図8の(C)のように、サイコロセンサを正面から見て90度左横転させる。すると、
図8の(C)では、「状態2」の表示が上向きとなる。「状態2」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。他の方向軸の加速度センサは、重力の向きを検出しない。
【0038】
図7において、正面にある上向き表示の「状態1」を上向き表示の「状態3」となるように、サイコロセンサを載置することを考える。
図9の(A)では、正面に「状態1」の表示が上向きとなっている。このとき、「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがマイナスとなっていることを検出する。まず、
図9の(B)のように、サイコロセンサを上面から見て、90度右回転させる。
図9の(B)では、「状態2」の表示は正面で右横向きとなっている。次に、
図9の(C)のように、サイコロセンサを上面から見て90度右回転させる。すると、
図9の(C)では、「状態3」の表示が下向きとなる。
図10の(C)は
図9の(C)と同じである。
図10の(C)から(D)のように、正面から見て90度右横転させる。さらに、
図10の(E)のように、正面から見て90度右横転させる。「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサが重力を検出して、重力の向きがプラスとなっていることを検出する。他の方向軸の加速度センサは、重力の向きを検出しない。
【0039】
「状態1」の矢印と「状態3」の矢印では方向軸が同じで向きが反対のため、「状態3」が上向きになるようにサイコロセンサが載置されると、「状態1」の方向軸の加速度センサの検出する重力の向きは「状態1」と反対のプラスとなる。他の方向軸の加速度センサは重力の向きを検出しない。このため、6面のそれぞれで異なる文字の表示としておけば、管理装置はサイコロセンサの側面に上向き表示された6種の文字を判定することができる。この結果、本実施形態のサイコロシステムは6種の状態表示に対して有効となる。
【0040】
作業者が本実施形態のサイコロセンサを使用して「状態1」を表したいときは、側面に「状態1」を上向きにしてサイコロセンサを載置する。管理装置は、無線送信機から「状態1」の矢印の方向軸の加速度センサがマイナスの方向の重力の向きを検出したことを無線受信し、作業者が表しているのは「状態1」であることを判定する。作業者は6種の文字から選択することができる。
【0041】
本実施形態のサイコロセンサの展開図の例を
図11に示す。業務の可視化を図るために、サイコロ筐体の表面に表示する業務内容の例である。各面で異なる6種の文字を表示する。隣接する面同士で文字の方向軸を直交させ、対向する面同士で文字の向きを反対に表示する。例えば、
図11に示す「稼働」、「待機」、「段取り」、「メンテ」、「停止」、「故障」の6種の文字を表示する。この場合、文字が4つの側面のいずれかで上向きに表示されていれば、その文字が業務内容を表すことになる。
【0042】
本実施形態のサイコロセンサの利用の例を
図12、
図13及び
図14に示す。
図12、
図13及び
図14は
図11に示す展開図のサイコロセンサである。
図12において、正面に「稼働」の文字が上向きに表示されている。このとき、右側面には「待機」の文字が背面向きに、背面には「メンテ」の文字が下向きに、左側面には「停止」の文字が正面向きに表示されている。つまり、4つの側面で上向き表示されているのは「稼働」だけである。3軸の加速度センサのうち、鉛直方向の方向軸の加速度センサのみが重力を検出する。鉛直方向の方向軸の加速度センサが重力の向きを検出すれば、管理装置は上向き表示されている文字を判定することができる。「稼働」の文字は、正面でなく右側面、背面、及び左側面のいずれにあってもよい。
図13では、「待機」の文字のみが上向き表示され、
図14では、「メンテ」の文字のみが上向き表示されている。
【0043】
いずれの実施形態でも、隣接する面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸は直交している。実施形態1では、対向する3組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが同じであるため、3種の文字を判定することができる。対向する2組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが同じで、対向する1組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であれば、4種の文字を判定することができる。対向する1組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが同じで、対向する2組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であれば、5種の文字を判定することができる。対向する3組の面同士で、サイコロ筐体の表面に表示された文字の向きが反対であれば、6種の文字を判定することができる。
【0044】
以上説明したように、本開示の技術を適用すれば、サイコロ筐体の内包する加速度センサの検出する重力の方向軸又は向きからサイコロ筐体の側面の表示を判定することができる。
【0045】
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態1又は実施形態2で説明したサイコロセンサであって、加速度センサ及び無線送信機が直方体形状の内部筐体に収納され、内部筐体がサイコロ筐体の内部空間に固定されず、かつ回転範囲が制限されているサイコロセンサを説明する。直方体形状には立方体形状も含まれる。サイコロセンサの構造を
図15に、加速度センサ及び無線送信機が収納される内部筐体の例を
図16に、内部筐体を収容するサイコロ筐体の内部空間の例を
図17に示す。
【0046】
図15では、サイコロ筐体20の内部に内部空間30が設けられ、内部空間30に内部筐体10が配置されている。内部筐体10は内部空間30に固定されず、その一方で回転範囲が制限されている。
図16の内部筐体10は直方体形状であって、各辺をA、B及びCの大きさとする。
図17の内部空間30は直方体形状であって、各辺をA’、B’及びC’の大きさとする。
【0047】
内部筐体10が内部空間30で固定されず、自由に動くためには、例えば、式(1)が条件となる。さらに、内部筐体10が内部空間30で回転範囲が制限されるには、例えば、式(2)~式(7)が条件となる。両方の条件を満たすには、式(8)が条件となる。但し、A’<B’のときは(2)式、A’>B’のときは(3)式が適用され、B’<C’のときは(4)式、B’>C’のときは(5)式が適用され、C’<A’のときは(6)式、C’>A’のときは(7)式が適用される。
【数1】
【数2】
【0048】
内部筐体10が内部空間30で固定されず、自由に動くことによって、サイコロ筐体20が静かに横転したときでも、内部筐体10はサイコロ筐体20より激しく横転する。内部筐体10が激しく横転することによって、内部筐体10に収納されている加速度センサが激しく振動し、重力の方向軸や向きの変化を確実に検出することができる。
【0049】
その一方で、内部筐体10が自由に動いて、その結果、サイコロ筐体20と加速度センサとの配置関係が変動してしまうと、加速度センサが正しく重力の方向軸や向きを検出できなくなる。内部空間30での内部筐体10の回転範囲が制限されれば、内部筐体10に収納されている加速度センサが、重力の方向軸や向きの変化を精度よく検出することができる。
【0050】
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態3で説明したサイコロセンサであって、内部筐体が配置されているサイコロ筐体の内部空間が面取りされた直方体形状であるサイコロセンサを説明する。直方体形状には立方体形状も含まれる。サイコロセンサの内部空間の構造を
図18に、
図18の断面1における内部空間の形状を
図19に、断面2における内部空間の形状を
図20に、断面3における内部空間の形状を
図21に示す。
【0051】
内部空間は面取りされた直方体形状であって、断面の四隅が直線状に面取りされたC面取りであっても、断面の四隅が弧状に面取りされたR面取りであってもよい。
図19~
図21はC面取りの例で、四隅は各頂点からrの位置で面取りされている。内部筐体10が内部空間30で固定されず、自由に動くためには、式(1)に代えて、例えば、式(9)が条件となる。各頂点からrの位置で面取りされたR面取りでも同様である。
【数3】
さらに、内部空間30での内部筐体10の回転範囲が制限されるには、例えば、式(2)~式(7)が条件となる。両方の条件を満たすには、式(10)が条件となる。
【数4】
【0052】
内部空間30に面取りがないと、内部筐体10が内部空間30の隅に密着してしまい、サイコロセンサを横転させても、加速度センサが機能しないことがある。内部空間30が面取りされた直方体形状であれば、内部筐体10が内部空間30の隅に密着することを防止できるため、内部筐体10が激しく横転することによって、内部筐体10に収納されている加速度センサが激しく振動し、重力の方向軸や向きの変化を確実に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示のサイコロセンサ及びサイコロシステムは、情報通信に適用される。
【符号の説明】
【0054】
10:内部筐体
20:サイコロ筐体
30:内部空間
【要約】
【課題】本開示は、サイコロ筐体の内包する加速度センサの検出する重力の方向軸又は向きからサイコロ筐体の側面の表示を判定できる構成とすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、重力の向きを検出する加速度センサと、前記加速度センサの出力信号を無線送信する無線送信機と、前記加速度センサ及び前記無線送信機を内包し、表面に文字の表示された直方体形状のサイコロ筐体と、を備え、隣接する面同士で、前記サイコロ筐体の表面に表示された文字の方向軸が直交していることを特徴とするサイコロセンサである。
【選択図】
図3