(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】スライドロック装置及びスライド装置の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/08 20060101AFI20250325BHJP
【FI】
B60N2/08
(21)【出願番号】P 2023556466
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2022039744
(87)【国際公開番号】W WO2023074692
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-01-05
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 武志
(72)【発明者】
【氏名】佐山 達雄
(72)【発明者】
【氏名】竹田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】立川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】井上 文貴
(72)【発明者】
【氏名】小菅 辰紀
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0078454(US,A1)
【文献】国際公開第2008/153229(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0224954(US,A1)
【文献】国際公開第2014/135145(WO,A1)
【文献】米国特許第7780138(US,B1)
【文献】特表2010-519095(JP,A)
【文献】特開2004-196140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド装置のスライドロック装置であって、
前記スライド装置は、レールと、前記レールにスライド可能に支持されたスライダとを有し、前記レールには複数の係止孔が前記レールの延在方向に並んで設けられ、
前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシングと、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材とを有し、
前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部を有し、
前記操作部材は、初期位置から操作後位置に移動するときに前記ロック部材を押圧し、前記ロック部材を前記ロック位置から前記解除位置に移動させるスライドロック装置。
【請求項2】
前記操作部材は、前記初期位置と前記操作後位置との間で回動可能に前記ケーシングに支持されている請求項1に記載のスライドロック装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記ロック部材の回転軸線を中心とした螺旋状に延び、
前記ケーシングは、前記凸部を摺動可能に受容する螺旋溝を有する請求項1に記載のスライドロック装置。
【請求項4】
前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記凸部は前記ケーシングから突出し、前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記凸部は前記ケーシング内に位置する請求項1に記載のスライドロック装置。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記ロック部材の回転軸線と直交する方向に突出したアーム部を有し、
前記操作部材は、前記ロック部材の前記回転軸線を中心とした接線方向と平行な第1方向に前記アーム部を押圧し、前記ロック部材が前記解除位置に到達したときに前記アーム部と前記操作部材とは前記第1方向において重なりを有しない請求項1に記載のスライドロック装置。
【請求項6】
一対の前記ロック部材が、互いに平行に配置され、
前記ロック部材のそれぞれが前記ロック位置にあるときに、一対の前記アーム部は互いに近づく方向に延び、
前記操作部材は、一対の前記アーム部のそれぞれに当接する請求項5に記載のスライドロック装置。
【請求項7】
前記スライダは、上壁と、前記上壁から下方に延びる一対の側壁とを有し、
前記ケーシングは、前記上壁の底面に結合され、一対の前記側壁の間に配置され、
一対の前記側壁の前記ケーシングと対向する部分には、前記凸部が通過可能な開口部が形成されている請求項1に記載のスライドロック装置。
【請求項8】
前記操作部材は、前記上壁に形成された操作孔を通過して前記上壁の上方に突出する請求項7に記載のスライドロック装置。
【請求項9】
スライド装置の組み立て方法であって、
前記スライド装置は、レールと、前記レールにスライド可能に支持されるスライダと、前記スライダに設けられ、前記レールと係合するスライドロック装置とを有し、前記レールには複数の係止孔が前記レールの延在方向に並んで設けられ、
前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシングと、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材とを有し、
前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部を有し、
前記ケーシングに前記ロック部材、前記付勢部材、及び前記操作部材を取り付け、前記スライドロック装置を組み立てるステップと、
前記ケーシングを前記スライダに取り付けるステップと、
前記スライダを前記レールに取り付けるステップとを有するスライド装置の組み立て方法。
【請求項10】
前記ケーシングは、複数のケーシング部材を含み、
前記スライドロック装置を組み立てるステップは、
前記ロック部材に前記付勢部材を取り付けるステップと、
前記付勢部材が取り付けられた前記ロック部材、及び前記操作部材を複数の前記ケーシング部材の1つに支持させるステップと、
複数の前記ケーシング部材を互いに結合するステップとを有する請求項9に記載のスライド装置の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドロック装置及びスライド装置の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のシートをフロアにスライド移動可能に支持するスライド装置が公知である。特許文献1には、レールと、レールにスライド可能に支持されたスライダと、レールに対するスライダの位置を固定するロック装置とを有するスライドロック装置が開示されている。スライドロック装置は、スライダに結合されたケーシングと、ケーシングに解除位置とロック位置との間で変位可能に支持された一対のロック部材と、ロック部材をロック位置に付勢する付勢部材と、ケーシングに変位可能に支持され、ロック部材に当接した操作部材とを有する。操作部材は、使用者によって操作されるレバーによって駆動され、ロック部材をロック位置から解除位置に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るスライドロック装置では、操作部材は上下方向に変位可能にケーシングに支持され、かつロック部材は左右方向に変位可能に支持されている。操作部材の上下方向の移動は、カムによってロック部材の左右方向への移動に変換される。そのため、ロック部材が上下方向の荷重を受けてケーシングに圧接され、ロック部材が左右方向に円滑に移動することができない場合がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、円滑に動作することができるスライドロック装置を提供することを課題とする。また、円滑に動作することができるスライド装置の組み立て方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様はスライド装置(1)のスライドロック装置(30)であって、前記スライド装置は、レール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されたスライダ(12)とを有し、前記レールには複数の係止孔(15)が前記レールの延在方向に並んで設けられ、前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシング(31)と、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材(32)と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材(33)と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材(34)とを有し、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部(32B)を有し、前記操作部材は、初期位置から操作後位置に移動するときに前記ロック部材を押圧し、前記ロック部材を前記ロック位置から前記解除位置に移動させる。
【0007】
この態様によれば、ロック部材がケーシングに回転可能に支持されているため、操作部材にロック部材が押されたときに、ロック部材はロック位置から解除位置に円滑に移動することができる。これにより、円滑に動作することができるスライドロック装置を提供することができる。
【0008】
上記の態様において、前記操作部材は、前記初期位置と前記操作後位置との間で回動可能に前記ケーシングに支持されてもよい。
【0009】
この態様によれば、操作部材がケーシングに回転可能に支持されているため、初期位置から操作後位置に円滑に移動することができる。
【0010】
上記の態様において、前記凸部は、前記ロック部材の回転軸線を中心とした螺旋状に延び、前記ケーシングは、前記凸部を摺動可能に受容する螺旋溝(31C)を有してもよい。
【0011】
この態様によれば、凸部が螺旋溝を摺動することによって、ロック部材はロック位置から解除位置に円滑に回転することができる。
【0012】
上記の態様において、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記凸部は前記ケーシングから突出し、前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記凸部は前記ケーシング内に位置してもよい。
【0013】
この態様によれば、ケーシングとレールとの隙間を小さくすることができる。
【0014】
上記の態様において、前記ロック部材は、前記ロック部材の回転軸線と直交する方向に突出したアーム部(32C)を有し、前記操作部材は、前記ロック部材の前記回転軸線を中心とした接線方向と平行な第1方向に前記アーム部を押圧し、前記ロック部材が前記解除位置に到達したときに前記アーム部と前記操作部材とは前記第1方向において重なりを有しなくてもよい。
【0015】
この態様によれば、操作部材に過剰な荷重が加わる場合にも、アーム部材には荷重が伝達されない。そのため、ロック部材の破損が防止される。
【0016】
上記の態様において、一対の前記ロック部材が、互いに平行に配置され、前記ロック部材のそれぞれが前記ロック位置にあるときに、一対の前記アーム部は互いに近づく方向に延び、前記操作部材は、一対の前記アーム部のそれぞれに当接してもよい。
【0017】
この態様によれば、ロック部材が一対設けられているため、ロック部材は安定性良くレールに係合することができる。
【0018】
上記の態様において、前記スライダは、上壁と、前記上壁から下方に延びる一対の側壁とを有し、前記ケーシングは、前記上壁の底面に結合され、一対の前記側壁の間に配置され、一対の前記側壁の前記ケーシングと対向する部分には、前記凸部が通過可能な開口部(12F)が形成されてもよい。
【0019】
この態様によれば、スライドロック装置をスライダ内にスペース効率良く配置することができる。
【0020】
上記の態様において、前記操作部材は、前記上壁に形成された操作孔(36)を通過して前記上壁の上方に突出してもよい。
【0021】
この態様によれば、スライドロック装置をスライダ内にスペース効率良く配置することができる。
【0022】
本発明の他の態様は、スライド装置(1)の組み立て方法であって、前記スライド装置は、レール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されるスライダ(12)と、前記スライダに設けられ、前記レールと係合するスライドロック装置(30)とを有し、前記レールには複数の係止孔(15)が前記レールの延在方向に並んで設けられ、前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシング(31)と、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材(32)と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材(33)と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材(34)とを有し、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部(32B)を有し、前記ケーシングに前記ロック部材、前記付勢部材、及び前記操作部材を取り付け、前記スライドロック装置を組み立てるステップと、前記ケーシングを前記スライダに取り付けるステップと、前記スライダを前記レールに取り付けるステップとを有してもよい。
【0023】
この態様によれば、スライダの内側にスライドロック装置を作業効率良く組み付けることができる。
【0024】
上記の態様において、前記ケーシングは、複数のケーシング部材(31A、31B)を含み、前記スライドロック装置を組み立てるステップは、前記ロック部材に前記付勢部材を取り付けるステップと、前記付勢部材が取り付けられた前記ロック部材、及び前記操作部材を複数の前記ケーシング部材の1つに支持させるステップと、複数の前記ケーシング部材を互いに結合するステップとを有してもよい。
【0025】
この態様によれば、スライドロック装置を作業効率良く組み立てることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様はスライド装置(1)のスライドロック装置(30)であって、前記スライド装置は、レール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されたスライダ(12)とを有し、前記レールには複数の係止孔(15)が前記レールの延在方向に並んで設けられ、前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシング(31)と、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材(32)と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材(33)と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材(34)とを有し、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部(32B)を有し、前記操作部材は、初期位置から操作後位置に移動するときに前記ロック部材を押圧し、前記ロック部材を前記ロック位置から前記解除位置に移動させる。
【0027】
この態様によれば、ロック部材がケーシングに回転可能に支持されているため、操作部材にロック部材が押されたときに、ロック部材はロック位置から解除位置に円滑に移動することができる。これにより、円滑に動作することができるスライドロック装置を提供することができる。
【0028】
上記の態様において、前記操作部材は、前記初期位置と前記操作後位置との間で回動可能に前記ケーシングに支持されてもよい。
【0029】
この態様によれば、操作部材がケーシングに回転可能に支持されているため、初期位置から操作後位置に円滑に移動することができる。
【0030】
上記の態様において、前記凸部は、前記ロック部材の回転軸線を中心とした螺旋状に延び、前記ケーシングは、前記凸部を摺動可能に受容する螺旋溝(31C)を有してもよい。
【0031】
この態様によれば、凸部が螺旋溝を摺動することによって、ロック部材はロック位置から解除位置に円滑に回転することができる。
【0032】
上記の態様において、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記凸部は前記ケーシングから突出し、前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記凸部は前記ケーシング内に位置してもよい。
【0033】
この態様によれば、ケーシングとレールとの隙間を小さくすることができる。
【0034】
上記の態様において、前記ロック部材は、前記ロック部材の回転軸線と直交する方向に突出したアーム部(32C)を有し、前記操作部材は、前記ロック部材の前記回転軸線を中心とした接線方向と平行な第1方向に前記アーム部を押圧し、前記ロック部材が前記解除位置に到達したときに前記アーム部と前記操作部材とは前記第1方向において重なりを有しなくてもよい。
【0035】
この態様によれば、操作部材に過剰な荷重が加わる場合にも、アーム部材には荷重が伝達されない。そのため、ロック部材の破損が防止される。
【0036】
上記の態様において、一対の前記ロック部材が、互いに平行に配置され、前記ロック部材のそれぞれが前記ロック位置にあるときに、一対の前記アーム部は互いに近づく方向に延び、前記操作部材は、一対の前記アーム部のそれぞれに当接してもよい。
【0037】
この態様によれば、ロック部材が一対設けられているため、ロック部材は安定性良くレールに係合することができる。
【0038】
上記の態様において、前記スライダは、上壁と、前記上壁から下方に延びる一対の側壁とを有し、前記ケーシングは、前記上壁の底面に結合され、一対の前記側壁の間に配置され、一対の前記側壁の前記ケーシングと対向する部分には、前記凸部が通過可能な開口部(12F)が形成されてもよい。
【0039】
この態様によれば、スライドロック装置をスライダ内にスペース効率良く配置することができる。
【0040】
上記の態様において、前記操作部材は、前記上壁に形成された操作孔(36)を通過して前記上壁の上方に突出してもよい。
【0041】
この態様によれば、スライドロック装置をスライダ内にスペース効率良く配置することができる。
【0042】
本発明の他の態様は、スライド装置(1)の組み立て方法であって、前記スライド装置は、レール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されるスライダ(12)と、前記スライダに設けられ、前記レールと係合するスライドロック装置(30)とを有し、前記レールには複数の係止孔(15)が前記レールの延在方向に並んで設けられ、前記スライドロック装置は、前記スライダに結合されたケーシング(31)と、前記ケーシングに解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材(32)と、前記ロック部材を前記ロック位置に付勢する付勢部材(33)と、前記ケーシングに変位可能に支持され、前記ロック部材に当接した操作部材(34)とを有し、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記係止孔と係合し、かつ前記ロック部材が前記解除位置にあるときに前記係止孔から離脱する少なくとも1つの凸部(32B)を有し、前記ケーシングに前記ロック部材、前記付勢部材、及び前記操作部材を取り付け、前記スライドロック装置を組み立てるステップと、前記ケーシングを前記スライダに取り付けるステップと、前記スライダを前記レールに取り付けるステップとを有してもよい。
【0043】
この態様によれば、スライダの内側にスライドロック装置を作業効率良く組み付けることができる。
【0044】
上記の態様において、前記ケーシングは、複数のケーシング部材(31A、31B)を含み、前記スライドロック装置を組み立てるステップは、前記ロック部材に前記付勢部材を取り付けるステップと、前記付勢部材が取り付けられた前記ロック部材、及び前記操作部材を複数の前記ケーシング部材の1つに支持させるステップと、複数の前記ケーシング部材を互いに結合するステップとを有してもよい。
【0045】
この態様によれば、スライドロック装置を作業効率良く組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図2】第1実施形態に係る電動スライドレールの斜視図
【
図3】第1実施形態に係る電動スライドレールの断面図
【
図5】第1実施形態に係るスライドロック装置の斜視図
【
図6】第1実施形態に係るスライドロック装置の分解斜視図
【
図7】上ケーシング部材の内面(下面)を示す斜視図
【
図8】上ケーシング部材を省略して示すスライドロック装置の斜視図
【
図9】ロック状態の第1実施形態に係るスライド装置の断面図
【
図10】解除状態の第1実施形態に係るスライド装置の断面図
【
図11】第2実施形態に係るスライドロック装置の斜視図
【
図12】第2実施形態に係るスライドロック装置の斜視図(上ケーシングを省略した状態)
【
図13】第2実施形態に係るスライドロック装置の分解斜視図
【
図14】第2実施形態に係るスライドロック装置のロック部材の斜視図
【
図15】第2実施形態に係るスライドロック装置の断面図
【
図16】第3実施形態に係るスライドロック装置を上方から見た説明図であって、(A)ロック状態、(B)解除状態を示す
【
図17】ロック状態の第3実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図18】解除状態の第3実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図19】第4実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図であって、(A)ロック状態、(B)解除状態を示す
【
図20】第5実施形態に係るスライドロック装置を上方から見た説明図であって、(A)ロック状態、(B)解除状態を示す
【
図21】解除状態の第6実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図22】第7実施形態に係るスライドロック装置を上方からみた説明図
【
図23】ロック状態の第8実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図24】ロック状態の第9実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図25】ロック状態の第10実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図26】第11実施形態に係るスライドロック装置の分解斜視図
【
図27】第11実施形態に係るスライドロック装置を下方から見た斜視図
【
図28】第12実施形態に係るスライドロック装置の分解斜視図
【
図29】ロック状態の第12実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図30】解除状態の第12実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図31】第13実施形態に係るスライドロック装置の分解斜視図
【
図32】ロック状態の第13実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図33】解除状態の第13実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図34】ロック状態の第14実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図35】解除状態の第14実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図36】第15実施形態に係るスライドロック装置の斜視図
【
図37】第15実施形態に係るスライドロック装置の斜視図であって、ケーシングを省略して示す
【
図38】第15実施形態に係るスライドロック装置の操作部材の斜視図
【
図39】ロック状態の第15実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図40】解除状態の第15実施形態に係るスライドロック装置を前方から見た説明図
【
図41】第16実施形態に係る電動スライドレールの斜視図
【
図42】第16実施形態に係るねじアセンブリの斜視図
【
図43】第16実施形態に係るねじアセンブリの分解斜視図
【
図44】第17実施形態に係るねじアセンブリの要部の斜視図
【
図45】第17実施形態に係るねじアセンブリの要部の斜視図
【
図46】第17実施形態に係るねじアセンブリの説明図
【
図48】電動スライドレールのスライダの一例を左方から見た説明図
【
図49】電動スライドレールのスライダを上方から見た説明図
【
図50】電動スライドレールのスライダの一例を左方から見た説明図
【
図51】電動スライドレールのスライダの一例を左方から見た説明図
【
図52】電動スライドレールのスライダの一例を左方から見た説明図
【
図53】電動スライドレールのスライダの一例を上方から見た説明図
【
図54】電動スライドレールの一例を上方から見た説明図
【
図55】電動スライドレールの一例を上方から見た説明図
【
図56】電動スライドレールの一例を上方から見た説明図
【
図57】電動スライドレールの一例を上方から見た説明図
【
図60】電動スライドレールを備えた乗物用シートの一例を左方から見た説明図
【
図61】電動スライドレールを備えた乗物用シートの一例を下方から見た説明図
【
図62】電動スライドレールを備えた乗物用シートの一例を左方から見た説明図
【
図63】電動スライドレールを備えた乗物用シートの一例を左方から見た説明図
【
図64】電動スライドレールを備えた乗物用シートの一例を左方から見た説明図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。スライド装置は、レールと、レールに対してスライド移動可能なスライダとを有する。レールは第1の構造体に結合され、スライダは第2の構造体に結合される。レールに対してスライダが移動することによって、スライド装置は第1の構造体に対して第2の構造体を移動させる。スライド装置は、例えば、車両のフロアとシートとの間に設けられ、フロアに対してシートを移動させる。また、電動スライドレールは、基台とワークホルダとの間に設けられ、基台に対してワークホルダを移動させる。
【0048】
(第1実施形態)
図1に示すように、スライド装置1は、車両のフロア2と、乗物用シート3との間に設けられている。乗物用シート3は、乗員の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック6とを有する。スライド装置1は、フロア2とシートクッション5との間に設けられ、フロア2に対してシートクッション5をスライド移動可能に支持する。シートクッション5の側部には、シートクッション5とフロア2との隙間を隠すためのカバー7が設けられている。
【0049】
図2に示すように、スライド装置1は、前後方向に延在する左右のレール11と、各レール11にスライド可能に支持された左右のスライダ12とを有する。レール11の延在方向を前後方向とする。レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致してもよく、一致しなくてもよい。すなわち、レール11の延在方向は、車両への搭載方向を限定するものではない。本実施形態では、レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致する。本実施形態では、スライダ12はレール11に対して上側に設けられている。そのため、レール11をロアレール、スライダ12をアッパレールと称してもよい。
【0050】
図3及び
図4に示すように、レール11は、溝形の断面を有する。詳細には、レール11は、面が上下を向くレール底壁11Aと、レール底壁11Aの左右の縁部から上方に延びて面が左右を向く左右のレール外側壁11Bと、左右のレール外側壁11Bの上端からそれぞれ互いに近づく方向に延び、面が上下を向く左右のレール上壁11Cと、左右のレール上壁11Cの内端からそれぞれ下方に延び、面が左右を向く左右のレール内側壁11Dとを有する。
【0051】
レール底壁11A、左右のレール外側壁11B、左右のレール上壁11C、及び左右のレール内側壁11Dは、それぞれ前後に延在している。左右のレール外側壁11B及び左右のレール内側壁11Dは、互いに平行に、かつレール底壁11Aに対して垂直に延在している。左右のレール内側壁11Dの下端は、レール底壁11Aに対して間隔をおいて配置されている。レール11は、その上部に前後に延びるレール開口部11Eを有する。レール開口部11Eは、左右のレール内側壁11Dによって画定されている。レール11は、金属板をプレス成形することによって形成されているとよい。レール底壁11Aの左右の縁側部は、上方に隆起した段部11Fを有してもよい。左右の段部11Fは、前後に延在し、その上面が平坦に形成されている。
【0052】
左右のレール内側壁11Dのそれぞれには、互いに近づく方向に突出すると共に、前後方向に延びた突部11Gが形成されている。左右の突部11Gの断面は、円弧状又は台形状に形成されているとよい。各突部11Gは、対応するレール内側壁11Dにおいて、上下方向における中間部に配置されているとよい。左右のレール内側壁11Dの上端部及び下端部は、突部11Gよりも左右外方に配置されている。
【0053】
図2~
図4に示すように、レール11には複数の係止孔15がレール11の延在方向、すなわち前後方向に並んで設けられている。複数の係止孔15は、対応するレール内側壁11Dの突部11Gに形成されている。各係止孔15は、互いに平行に延びている。各係止孔15は、上下に延びている。各係止孔15は、前方又は後方に傾斜しているとよい。
【0054】
フロア2には、下方に向けて凹んだ左右のレール溝17が形成されている。レール11は、対応するレール溝17内に配置されるとよい。
【0055】
図3に示すように、スライダ12は、レール開口部11Eの開口端に配置され、面が上下を向く板状のスライダ上壁12Aと、スライダ上壁12Aの左右の側縁からレール底壁11A側、すなわち下方に延びる左右のスライダ内側壁12Bと、左右のスライダ内側壁12Bの下端からそれぞれ左右外方に延びる左右のスライダ下壁12Cと、左右のスライダ下壁12Cの左右外端から上方に延びる左右のスライダ外側壁12Dとを有する。スライダ上壁12A、左右のスライダ内側壁12B、左右のスライダ下壁12C、及び左右のスライダ外側壁12Dは、前後に延在している。
【0056】
スライダ12は、プレス成形又はロール成形された複数の金属板を互いに締結することによって形成されているとよい。他の実施形態では、スライダ12はプレス成形又はロール成形された1枚の金属板から形成されてもよい。スライダ12の前後長は、レール11の前後長に対して短く設定されている。スライダ12は、スライダ上壁12Aにおいて、シートクッション5に結合されている。
【0057】
スライダ上壁12Aは、左右のレール上壁11Cよりも上方に配置されてもよく、左右のレール上壁11Cよりも下方に配置されてもよい。左右のスライダ内側壁12Bは、面が左右を向き、左右に互いに距離をおいて対向する。左右のスライダ内側壁12Bは、左右のレール内側壁11Dの間に配置されている。各スライダ内側壁12Bは、左右において対応するレール内側壁11Dと隙間を介して対向する。各スライダ下壁12Cは、レール底壁11Aと左右において対応するレール内側壁11Dの下端の間を通過して左右に延びている。各スライダ12外壁は、左右において対応するレール外側壁11B及びレール内側壁11Dの間に配置されている。各スライダ外側壁12Dの左右方向における外面側には、複数の車輪18が回転可能に支持されている。各車輪18は、左右方向回りの回転軸を有し、レール底壁11Aに接地している。本実施形態では、各車輪18は、レール底壁11Aの段部11Fの上面に接地している。スライダ12は、車輪18を介してレール11に接地することによって、レール11に対して円滑にスライド移動することができる。以上の構成により、スライダ12はレール11に受容され、かつレール11にスライド可能に係合する。他の実施形態では、スライダ12はボールやローラーベアリングを介してレール11に支持されてもよい。
【0058】
左右のスライダ内側壁12Bには、互いに近づく方向に凹むと共に、前後方向に延びた凹部12Eが形成されている。スライダ内側壁12Bの凹部12Eの背面側には突部が形成されている。左右の凹部12Eの前後方向から見た断面は、円弧状又は台形状に形成されているとよい。各凹部12Eは、対応するスライダ内側壁12Bにおいて、上下方向における中間部に配置されているとよい。各凹部12Eは、左右において対応するレール11の突部11Gと対向する位置に配置されている。
【0059】
スライダ12は、スライダ上壁12Aと、左右のスライダ内側壁12Bとによって、レール底壁11A側、すなわち下方に向けて開口する溝形に形成されている。
図5及び
図6に示すように、スライダ上壁12Aの下面には、スライドロック装置30が支持されている。
【0060】
図5~
図10に示すように、スライドロック装置30は、スライダ12に結合されたケーシング31と、ケーシング31に解除位置とロック位置との間で回転可能に支持された少なくとも1つのロック部材32と、ロック部材32をロック位置に付勢する付勢部材33と、ケーシング31に変位可能に支持され、ロック部材32に当接した操作部材34とを有する。本実施形態では、ロック部材32及び付勢部材33は、左右一対設けられている。
【0061】
ケーシング31は、複数のケーシング部材31A、31Bを組み合わせて形成されるとよい。本実施形態では、ケーシング31は、互いに結合される下ケーシング部材31A及び上ケーシング部材31Bを含む。左右のロック部材32は、下ケーシング部材31A及び上ケーシング部材31Bの間に回転可能に支持されている。ケーシング31は、スライダ上壁12Aの底面に結合され、一対のスライダ内側壁12Bの間に配置されている。これにより、スライドロック装置30をスライダ12内にスペース効率良く配置することができる。一対のスライダ内側壁12Bのケーシング31と対向する部分には、スライダ開口部12Fが形成されている。
【0062】
一対のロック部材32は、互いに平行に配置されている。各ロック部材32は、前後方向に延びる軸部32Aを有する。すなわち、各ロック部材32の回転軸線は前後方向に延びている。軸部32Aの前端及び後端が、ケーシング31に回転可能に支持されている。各ロック部材32は、軸部32Aから径方向に突出する少なくとも1つの凸部32Bを有する。本実施形態では、複数の凸部32Bが軸部32Aから径方向における一方側に突出している。
【0063】
図6及び
図7に示すように、複数の凸部32Bは、ロック部材32の回転軸線を中心とした螺旋状に延びているとよい。複数の凸部32Bは、互いに断続的に形成されている。複数の凸部32Bは前後方向に間隔をおいて配置されている。ケーシング31は、複数の凸部32Bを摺動可能に受容する螺旋溝31Cを有するとよい。
【0064】
図6及び
図8に示すように、各ロック部材32は、軸部32Aからロック部材32の回転軸線と直交する方向に突出したアーム部32Cを有する。前後方向から見て、アーム部32Cは、軸部32Aから凸部32Bと相反する方向に延びている。
【0065】
ケーシング31の左右の側部には、ケーシング開口部31Dがそれぞれ形成されている。ロック部材32は、複数の凸部32Bがケーシング開口部31Dを通過してケーシング31の外方に突出したロック位置と、複数の凸部32Bがケーシング31内に位置する解除位置との間で回動する。ロック部材32が解除位置にあるときに複数の凸部32Bは、軸部32Aの上方に配置されている。ロック部材32のそれぞれがロック位置にあるときに、一対のアーム部32Cは互いに近づく方向、すなわち軸部32Aからケーシング31の中央に向けて横方向に延びている。複数の凸部32Bの少なくとも1つがケーシング31に当接することによって、ロック部材32のロック位置が定まるとよい。
【0066】
付勢部材33のそれぞれは、ケーシング31と対応するロック部材32との間に設けられ、ロック部材32をロック位置に向けて付勢する。付勢部材33は、例えばねじりコイルばねであるとよい。付勢部材33は、ロック部材32の軸部32Aに支持されているとよい。
【0067】
操作部材34は、面が左右を向く扇形の本体部34Aと、本体部34Aの下端に設けられた押圧部34Bとを有する。操作部材34は、ケーシング31の左右方向における中央に配置されている。本体部34Aの後端には、左右方向に突出した支持軸34Cが設けられている。支持軸34Cは左右方向から見て扇形に形成された本体部34Aの中心に配置されている。支持軸34Cがケーシング31に回転可能に支持されることによって、操作部材34はケーシング31に左右に延びる軸線回りに回動可能に支持されている。本体部34Aの上端は、上ケーシング部材31Bに形成された挿通孔35を通過してケーシング31の上方に突出している。スライダ12のスライダ上壁12Aには上下に貫通する操作孔36が形成されている。操作部材34の本体部34Aの上端は、操作孔36を通過してスライダ12の上方に突出している。押圧部34Bは、ケーシング31の内方に配置されている。押圧部34B材の左右幅は、操作部の左右幅よりも大きく形成されている。ロック部材32がロック位置にあるとき、操作部材34は初期位置にある。このとき、押圧部34Bは左右のアーム部32Cの上方に配置され、アーム部32Cに当接している。操作部材34は、付勢部材37によって初期位置に付勢されてもよい。
【0068】
左右のスライダ12には、操作レバー41が回動可能に設けられている。操作レバー41は、シートクッション5の前部の下方を左右方向に延びるレバー中央部41Aと、レバー中央部41Aの左右の端部から後方に延びる左右のレバー側部41Bとを有する。左右のレバー側部41Bの前後方向における中間部は、対応するスライダ12に左右方向に延びる回動軸41Cを中心として回動可能に支持されている。左右のレバー側部41Bの後端は、操作部の上端に上方から当接している。左右のレバー側部41Bの後端は、図示しない付勢部材33によって上方に向けて付勢されているとよい。
【0069】
図9に示すように、操作部材34が初期位置にあるとき、左右のロック部材32はロック位置にある。左右のロック部材32がロック位置にあるとき、複数の凸部32Bはケーシング開口部31D及びスライダ開口部12Fを通過してレール11の対応する係止孔15に突入し、係止孔15に係止されている。これにより、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。
【0070】
使用者が操作レバー41のレバー中央部41Aを上方に引くと、左右のレバー側部41Bの後端が本体部34Aの上端を下方に押す。これにより、
図10に示すように、操作部材34は回動して下方に移動し、初期位置から操作後位置に移動する。このとき、操作部材34の押圧部34Bは、ロック部材32を押圧し、ロック部材32をロック位置から解除位置に移動させる。具体的には、操作部材34の押圧部34Bが左右のアーム部32Cを下方に押すことによって、左右のロック部材32がロック位置から解除位置に回動する。これにより、複数の凸部32Bがレール11の係止孔15から離脱し、ケーシング31内に移動する。これにより、スライダ12はレール11に対して移動可能になる。
【0071】
操作部材34は、ロック部材32の回転軸線を中心とした接線方向と平行な第1方向にアーム部32Cを押圧し、ロック部材32が前記解除位置に到達したときにアーム部32Cと操作部材34とは第1方向において重なりを有しない。本実施形態では、第1方向は上下方向である。この態様によれば、操作部材34に過剰な荷重が加わる場合にも、アーム部32C材には荷重が伝達されない。そのため、ロック部材32の破損が防止される。
【0072】
ロック部材32がロック位置から解除位置に移動するとき、凸部32Bの少なくとも1つが螺旋溝31Cを摺動することによって、ロック部材32はロック位置から解除位置に円滑に回転することができる。
【0073】
スライドロック装置30では、ロック部材32がケーシング31に回転可能に支持されているため、操作部材34にロック部材32が押されたときに、ロック部材32はロック位置から解除位置に円滑に移動することができる。これにより、円滑に動作することができるスライドロック装置30を提供することができる。
【0074】
ロック部材32がロック位置にあるときに複数の凸部32Bがケーシング31から突出し、ロック部材32が解除位置にあるときに複数の凸部32Bがケーシング31内に位置するため、ケーシング31とレール11との隙間を小さくすることができる。
【0075】
一対の前記ロック部材32が、互いに平行に配置され、操作部材34が一対のアーム部32Cのそれぞれに当接するため、ロック部材32は安定性良くレール11に係合することができる。
【0076】
上記のスライド装置1の組み立て方法は、ケーシング31にロック部材32、付勢部材33、及び操作部材34を取り付け、スライドロック装置30を組み立てるステップと、ケーシング31をスライダ12に取り付けるステップと、スライダ12をレール11に取り付けるステップとを有する。この態様によれば、スライダ12の内側にスライドロック装置30を作業効率良く組み付けることができる。また、スライドロック装置30を組み立てるステップは、ロック部材32に付勢部材33を取り付けるステップと、付勢部材33が取り付けられたロック部材32、及び操作部材34を複数のケーシング31部材の1つに支持させるステップと、複数のケーシング31部材を互いに結合するステップとを有する。複数のケーシング31部は下ケーシング部材31Aと、上ケーシング部材31Bとを有する。
【0077】
(第2実施形態)
図11~
図15は、第2実施形態に係るスライドロック装置100を示す。第2実施形態に係るスライドロック装置100は、第1実施形態に係るスライドロック装置30と比べて、ケーシング31、ロック部材32、操作部材34、付勢部材33等の構成が異なる。スライドロック装置100が設けられるレール11及びスライダ12の構成は、第1実施形態と同じであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
スライドロック装置100は、スライダ12に結合されたケーシング101と、ケーシング101に解除位置とロック位置との間でスライド移動可能に支持された左右のロック部材102と、ロック部材102をロック位置に付勢する前後一対の付勢部材103と、ケーシング101に変位可能に支持され、ロック部材102に当接した操作部材104とを有する。
【0079】
ケーシング101は、下ケーシング部材106と、上ケーシング部材107と、前後一対のガイド部材108とを有する。下ケーシング部材106及び上ケーシング部材107は互いに結合され、中空のケーシング101の外殻を構成する。ケーシング101の左右の側部にはそれぞれケーシング開口部109が形成されている。
【0080】
一対のガイド部材108は、下ケーシング部材106及び上ケーシング部材107に挟持されている。各ガイド部材108には、左右一対のガイド孔108Aが形成されている。各ガイド孔108Aは、ガイド部材108を前後に貫通し、左右に延びている。
【0081】
左右一対のロック部材102は、互いに平行に配置されている。各ロック部材102は、前後方向に延びる本体部102Aを有する。本体部102Aの前端及び後端には、ガイド軸102Bが設けられている。各ガイド軸102Bは、前後のガイド部材108に形成されたガイド孔108Aに係合している。前後のガイド部材108によって、左右のロック部材102は左右方向にスライド移動可能にケーシング101に支持されている。また、各本体部102Aの下部には、下方に突出したガイド凸部102Cが設けられている。下ケーシング部材106の上面には左右に延びるガイド溝106Aが形成されている。左右のガイド凸部102Cは、ガイド溝106Aに係合している。
【0082】
各ロック部材102は、本体部102Aから左右外方に突出する複数の凸部102Dを有する。各本体部102Aの内側面には、前後一対の受容孔102Eが形成されている。各付勢部材103は、左右に延びる圧縮コイルばねである。前側の付勢部材103の左端及び右端は、前側に配置された左右の受容孔102Eに受容されている。後側の付勢部材103の左端及び右端は、後側に配置された左右の受容孔102Eに受容されている。付勢部材103は、各ロック部材102が互いに離れる方向に付勢している。
【0083】
ロック部材102は、複数の凸部102Dがケーシング開口部31Dを通過してケーシング101の外方に突出したロック位置と、複数の凸部102Dがケーシング101内に位置する解除位置との間でスライド移動する。各ロック部材102のロック位置及び解除位置はガイド部材108によって定められている。ロック部材102がロック位置にあるときスライドロック装置100はロック状態になり、ロック部材102が解除位置にあるときスライドロック装置100は解除状態になる。各ロック部材102は付勢部材103によってロック位置に付勢されている。
【0084】
操作部材104は、上下に延びる操作軸104Aと、操作軸104Aの下部から前後に延びる接続軸104Bと、接続軸104Bの前端及び後端に結合された前後一対のカム部材104Cとを有する。操作軸104Aの上端は、上ケーシング部材107の上部に形成された操作孔107Aを通過して、ケーシング101の上方に突出している。操作部材104は、ケーシング101に上下にスライド移動可能に支持されている。前後のカム部材104Cは、前後の付勢部材103の間に配置されている。
【0085】
各カム部材104Cは、接続軸104Bに結合した中央部104Dと、中央部104Dの上端から左右外方かつ下方に延びた左右のカムアーム部104Eと、中央部104Dの下端から左右外方に延びたストッパ部104Fとを有する。各カムアーム部104Eの先端部には、左右内方かつ下方を向くカム面104Gが設けられている。左右のロック部材102の本体部102Aの上部には、左右外方かつ上方を向く前後一対のカム面102Fが設けられている。前後一対のカム面104Gは、対応するカム面102Fと対向している。
【0086】
操作部材104は、初期位置と、初期位置に対して下方に位置する操作後位置との間で移動可能である。操作軸104Aの下端とケーシング101との間には、付勢部材(図示省略)が設けられている。付勢部材によって、操作部材104は初期位置に付勢されている。
【0087】
操作部材104が初期位置にあるとき、カム面104Gはカム面102Fから上方に離れている。このとき、操作部材104の各ストッパ部104Fは、対応するロック部材102の本体部102Aの内側面を左右外方に押し、各ロック部材102はロック位置に維持される。各ストッパ部104Fの左右の側部は、上方かつ左右内方に傾斜しているとよい。左右のロック部材102がロック位置にあるとき、複数の凸部102Dはケーシング開口部109及びスライダ開口部12Fを通過してレール11の対応する係止孔15に突入し、係止孔15に係止されている。これにより、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。
【0088】
操作軸104Aの上端は、操作レバー41のレバー側部41Bの後端に当接している。使用者が操作レバー41のレバー中央部41Aを上方に引くと、左右のレバー側部41Bの後端が操作軸104Aの上端を下方に押す。これにより、操作部材104は下方にスライド移動し、初期位置から操作後位置に移動する。このとき、操作部材104の各ストッパ部104Fは各本体部102Aから離れ、ロック部材102がロック位置から解除位置に移動可能になる。
【0089】
操作部材104が操作後位置に向けて更に下方に移動すると、各カム面104Gが対応するカム面102Fを下方かつ左右内方に押す。これにより、左右のロック部材102がロック位置から解除位置に移動する。これにより、複数の凸部102Dがレール11の係止孔15から離脱し、ケーシング101内に移動する。これにより、スライダ12はレール11に対して移動可能になる。
【0090】
各カム面104G及び各カム面102Fの水平面(操作軸104Aの軸線に対して直交する面)に対する角度は、16度以上27度以下、より好ましくは20度以上25度以下であるとよい。これにより、操作部材104のストロークを大きくすることができる。これにより、各ロック部材102のストロークを大きくすることができ、各凸部102Dの係止孔15への突入長さを大きくすることができる。また、ロック部材102が解除位置にあるときに、各凸部102Dと係止孔15との距離を大きくすることができる。
【0091】
(第3実施形態)
図16~
図18に示すように、第3実施形態に係るスライドロック装置130は、第2実施形態に係るスライドロック装置100と比べて、ロック部材102、操作部材104の構成が異なる。スライドロック装置130においてスライドロック装置100と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
スライドロック装置130では、左右のロック部材131がケーシング101に、左右方向にスライド移動可能に支持されている。また、操作部材132がケーシング101に、上下方向にスライド移動可能に支持されている。
【0093】
各ロック部材131は、前後に延びる本体部131Aと、本体部131Aの前端又は後端からケーシング101の中央側に向けて左右方向に延びる接続部131Bとを有する。複数の凸部131Cは本体部131Aの側面に設けられている。本体部131A及び凸部131Cの構成は、本体部102A及び凸部102Dの構成と同様であってよい。
【0094】
一方のロック部材131では、接続部131Bは本体部131Aの前端に設けられ、他方のロック部材131では、接続部131Bは本体部131Aの後端に設けられているとよい。各接続部131Bには、カム溝131Dが形成されている。
図17及び
図18に示すように、カム溝131Dは、本体部131A側から接続部131Bの突出端に向けて上方に延びている。本実施形態では、カム溝131Dは直線状に延びている。カム溝131Dは、接続部131Bを前後に貫通している。
【0095】
左右のロック部材131は、複数の凸部131Cがケーシング101から左右外方に突出したロック位置と、複数の凸部131Cがケーシング101内に没入した解除位置との間で移動可能である。
【0096】
操作部材132は、上下に延びる操作軸132Aと、操作軸132Aの下端から前方及び後方に延びる接続軸132Bとを有する。操作軸132Aの上端は、ケーシング101から上方に突出している。接続軸132Bはケーシング101内に配置されている。操作部材132は、ケーシング101に上下方向に移動可能に支持されている。
【0097】
接続軸132Bの前端は、左右のロック部材131の一方のカム溝131Dに係合している。接続軸132Bの後前端は、左右のロック部材131の他方のカム溝131Dに係合している。左右のロック部材131がロック位置にあるとき、操作部材132は初期位置に位置する。
【0098】
スライドロック装置130は、左右のロック部材131をロック位置に向けて付勢する付勢部材134を有する。付勢部材134は、例えば圧縮コイルばねであってよい。付勢部材134は、例えば左右の本体部131Aの間に設けられてもよい。付勢部材134は、操作部材132を介して左右のロック部材131をロック位置に向けて付勢してもよい。
【0099】
左右のロック部材131がロック位置にある状態を、スライドロック装置130のロック状態という。左右のロック部材131が解除位置にある状態を、スライドロック装置130の解除状態という。スライドロック装置130がロック状態のとき、左右の複数の凸部131Cは、ケーシング101の左右外方に突出し、レール11の複数の係止孔15に係止される。これにより、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。スライドロック装置130が解除状態のとき、左右の複数の凸部131Cは、ケーシング101内に没入し、レール11の複数の係止孔15から離れる。これにより、レール11に対するスライダ12の移動が可能になる。
【0100】
使用者が操作レバー41を操作すると、操作レバー41のレバー側部41Bの後端が操作軸132Aの上端を下方に押し、操作部材132が下方に移動する。これにより、接続軸132Bの前端及び後端が対応するカム溝131Dを下方に押すため、左右のロック部材131が解除位置に移動する。
【0101】
第3実施形態に係るスライドロック装置130は、第2実施形態に係るスライドロック装置100と比較して、ガイド部材108及びカム部材104Cを省略できるため、部品点数を削減することができる。また、第3実施形態に係るスライドロック装置130は、第2実施形態に係るスライドロック装置100と同様に、ロック部材131のストロークを大きくすることができる。
【0102】
(第4実施形態)
図19に示すように、第4実施形態に係るスライドロック装置150は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、カム溝131Dの形状が異なる。カム溝131Dは、本体部131A側から接続部131Bの突出端に向けて、円弧状に延びている。カム溝131Dは、前方かつ左右外方に向けて凸となる円弧状に形成されている。これにより、操作部材132は初期状態から操作後位置に向けて移動し始めるときに比較的大きな操作力を必要とし、操作後位置に近づくにつれて必要な操作力が小さくなる。
【0103】
(第5実施形態)
図20に示すように、第5実施形態に係るスライドロック装置160は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131の接続部131Bと、操作部材132とが異なる。前後の接続部131Bには、上下に貫通するカム溝131Dが形成されている。上方から見て、各カム溝131Dは、本体部131A側から接続部131Bの突出端に向けて後方に延びている。
【0104】
操作部材161は、ケーシング101に上下方向に移動可能に設けられた操作軸161Aと、前後方向に延び、ケーシング101に前後方向に移動可能に設けられた伝達部材162と、伝達部材162の前端及び後端に設けられたピン163とを有する。各ピン163は対応するカム溝131Dに突入している。
【0105】
伝達部材162には、操作軸161Aの下端と摺接するカム面162Aが設けられている。カム面162Aは後方に向けて下方に傾斜しているとよい。操作軸161Aが下方に移動すると、操作軸161Aの下端がカム面162Aを押し、伝達部材162が前方に移動する。このとき、各ピン163が対応するカム溝131Dを押すことによって、ロック部材131がロック位置から解除位置に移動する。
【0106】
(第6実施形態)
図21に示すように、第6実施形態に係るスライドロック装置170は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。各ロック部材131は、左右方向に延びる第1ラック171を有する。操作部材132は、上下方向に延びる操作軸132Aと、操作軸132Aの左右の側面に設けられ、上下に延びる左右の第2ラック172と、ケーシング101に回転可能に支持された左右のピニオン173とを有する。左側のピニオン173は、左側の第1ラック171と、左側の第2ラック172とに螺合している。右側のピニオン173は、右側の第1ラック171と、右側の第2ラック172とに螺合している。
【0107】
操作軸132Aが初期位置にあるとき、左右のロック部材131はロック位置にある。操作軸132Aが初期位置から操作後位置に移動すると、左右の第2ラック172に噛み合う左右のピニオン173が回転する。これにより、各ピニオン173に噛み合う第1ラック171を有する左右のロック部材131がロック位置から解除位置に移動する。
【0108】
(第7実施形態)
図22に示すように、第7実施形態に係るスライドロック装置180は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。操作部材181は、操作軸182と、ねじ軸183とを有する。操作軸182は、上下に延び、ケーシング101に上下方向にスライド移動可能に支持されている。操作軸182の上端はケーシング101から上方に突出している。操作軸182の下部には、上下に延びるラック182Aが設けられている。ねじ軸183は、左右に延び、その左端及び右端には雄ねじ183Aが形成されている。左右の雄ねじ183Aは、回転方向(螺進方向)が互いに異なっている。左右のロック部材131の本体部131Aの互いに対向する面には、左右方向に延びる雌ねじ孔184がそれぞれ形成されている。ねじ軸183の左右の雄ねじ183Aは、左右において対応する雌ねじ孔184に螺合している。ねじ軸183の中央部には、ラック182Aと噛み合うピニオン183Bが設けられている。
【0109】
操作軸182の上端は操作レバー41のレバー側部41Bの後端と当接している。使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸182が操作レバー41に下方に押されて、操作軸182が下方に移動する。これにより、ラック182Aと噛み合うピニオン183Bが回転し、ねじ軸183が回転する。その結果、左右の雄ねじ183Aが対応する雌ねじ孔184に対して螺進し、左右のロック部材131が互いに近づく方向に移動する。すなわち、左右のロック部材131がロック位置から解除位置に移動する。使用者が操作レバー41の操作を止めると、左右のロック部材131は付勢部材134の付勢力によって解除位置からロック位置に移動し、操作軸182が初期位置に移動する。
【0110】
(第8実施形態)
図23に示すように、第8実施形態に係るスライドロック装置190は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。左右のロック部材131は、ケーシング101に支持された支持軸191に回動可能に支持され、ロック位置と解除位置との間で変位可能となっている。支持軸191は、ケーシング101の上部に設けられ、前後に延びている。左右のロック部材131において、接続部131Bは本体部131Aの上部から上方かつ左右内方に延びている。左右の接続部131Bは、前後方向に幅を有する。接続部131Bの上端は、支持軸191に回動可能に支持されている。
【0111】
操作部材132は、上下に延びる操作軸132Aと、操作軸132Aに設けられた左右のアーム192及び左右のストッパ193とを有する。操作部材132は、支持軸191の前方及び後方に設けられているとよい。操作軸132Aは、ケーシング101に上下方向に変位可能に支持されている。操作軸132Aの上端はケーシング101の上方に突出している。左右のストッパ193は、操作軸132Aの下端から左右側方に突出している。左右のアーム192は、ケーシング101内に配置され、操作軸132Aの上部から左右側方に突出している。操作軸132Aの下端とケーシング101との間には、操作軸132Aを上方(初期位置)に向けて付勢する付勢部材195が設けられている。
【0112】
操作部材132が初期位置にあるとき、左右のストッパ193は左右のロック部材131の本体部131Aの内側面に当接し、左右のロック部材131をロック位置に維持する。使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸132Aが操作レバー41に下方に押されて、操作軸132Aが下方に移動する。これにより、左右のストッパ193が対応する本体部131Aから離れ、左右のロック部材131が解除位置に移動可能になる。この状態で、操作部材132が更に下方に移動すると、左右のアーム192が対応する接続部131Bを下方に押す。これにより、左右のロック部材131は支持軸191を中心として回動し、ロック位置から解除位置に移動する。これにより、左右のロック部材131がレール11の係止孔15から離れるため、スライダ12がレール11に対して移動可能になる。使用者が操作レバー41の操作を止めると、付勢部材134の付勢力によって左右のロック部材131がロック位置に戻ると共に、付勢部材195の付勢力によって操作部材132が初期位置に戻る。
【0113】
(第9実施形態)
図24に示すように、第9実施形態に係るスライドロック装置200は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。操作部材132の操作軸132Aは、左右のリンク201によって左右のロック部材131に接続されている。各リンク201は、操作軸132Aに回動可能に結合された第1軸201Aと、ロック部材131に回動可能に結合された第2軸201Bとを有する。第1軸201A及び第2軸201Bは、互いに平行に前後方向に延びている。
【0114】
ロック部材131の本体部131Aの前端及び後端の少なくとも一方には前後方向に突出するガイドピン203が設けられている。ケーシング101には、左右のガイドピン203を摺動可能に受容する左右のガイドスロット204が形成されている。各ガイドスロット204は、左右内方に向けて下方に傾斜している。
【0115】
使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸132Aが操作レバー41に下方に押されて、操作軸132Aが下方に移動する。これにより、リンク201を介して操作軸132Aに接続された左右のロック部材131は、ロック位置から解除位置に移動する。すなわち、左右のロック部材131は、操作軸132Aに引っ張られて、ケーシング101の左右内方に移動する。このとき、左右のガイドピン203が左右のガイドスロット204に案内されるため、左右のロック部材131の傾きが抑制される。
【0116】
(第10実施形態)
図25に示すように、第10実施形態に係るスライドロック装置210は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。左右のロック部材131は、本体部131Aの前端及び後端の下部から前後に突出する回動軸211と、本体部131Aの下部から左右内方に延びるアーム部212とを有する。前後の回動軸211は、ケーシング101に回動可能に支持されている。これにより、左右のロック部材131は、前後の回動軸211を中心として、ロック位置と解除位置との間で回動する。付勢部材134によって左右の本体部131Aはロック位置に付勢されている。
【0117】
操作部材132は、上下に延びる操作軸132Aと、操作軸132Aの下端に設けられたカム213を有する。カム213は、上下方向における中間部に左右一対の凹部213Aを有する。左右の凹部213Aは、カム213の左右の側面から左右内方に向けて凹んでいる。カム213は、左右の凹部213Aの上方に左右外方に突出した左右一対の上側凸部213Bを有し、左右の凹部213Aの下方に左右外方に突出した左右一対の下側凸部213Cを有する。各凹部213Aと対応する上側凸部213Bとは滑らかな曲面によって接続されている。各凹部213Aと対応する下側凸部213Cとは滑らかな曲面によって接続されている。操作部材132は、付勢部材215によって初期位置に付勢されている。
【0118】
操作部材132が初期位置にあるとき、左右のロック部材131のアーム部212は、対応する凹部213A内に位置し、左右のロック部材131はロック位置に位置する。使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸132Aが操作レバー41に下方に押されて、操作軸132Aが下方に移動する。このとき、左右の上側凸部213Bが対応するアーム部212を下方に押すため、左右のロック部材131は解除位置に向けて回動する。そして、操作部材132が操作後位置に到達するとき、左右のロック部材131は解除位置に到達する。
【0119】
(第11実施形態)
図26及び
図27に示すように、第11実施形態に係るスライドロック装置220は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ケーシング101、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。ケーシング221は、面が上下を向く上壁221Aと、上壁221Aの前縁から下方に延び、面が前後を向く前壁221Bと、上壁221Aの後縁から下方に延び、面が前後を向く後壁221Cとを有する。前壁221B及び後壁221Cのそれぞれには、前後に貫通し、左右に延びたガイドスロット221Dが形成されている。上壁221Aの中央には、上下に貫通する角孔221Eが形成されている。角孔221Eは、四角形に形成されているとよい。
【0120】
左右のロック部材131の本体部131Aの前端及び後端には、前後方向に突出する第1ガイドピン223が設けられている。前後の第1ガイドピン223は対応するガイドスロット221Dに受容されている。これにより、左右のロック部材131は、左右にスライド移動可能にケーシング101に支持され、ロック位置と解除位置との間でスライド移動可能となっている。各本体部131Aの下端には、下方に延びるガイドアーム224が設けられている。各ガイドアーム224の下端部には、左右外方に屈曲した係止部224Aが設けられている。
【0121】
操作部材132は、操作軸226と、カムプレート227と、付勢部材228とを有する。操作軸226は、上下に延びている。操作軸226は、角柱に形成されている。本実施形態では、操作軸226は、四角形の断面を有する。操作軸226は、上下方向における中間部に捩じれ部226Aを有する。操作軸226は、捩じれ部226Aにおいて、上下方向に延びる軸線を中心として90度回転している。操作軸226は、捩じれ部226Aより上側の部分から側方に突出したストッパ226Bを有する。
【0122】
操作軸226の上部は、角孔221Eに上下方向に移動可能に挿入されている。操作軸226は角孔221Eと係合することによって、上下方向に延びる軸線を中心とした回転が規制されている。ストッパ226Bは上壁221Aよりも下方に配置されている。ストッパ226Bは上壁221Aに当接することによって、操作軸226の初期位置を定めている。操作軸226の上端は、操作レバー41のレバー側部41Bの後端と当接している。
【0123】
カムプレート227は、面が上下を向く板状部材である。カムプレート227は、円形に形成されているとよい。カムプレート227の中央には、上下方向に貫通する挿通孔227Aが形成されている。カムプレート227の挿通孔227Aの周囲には、一対のカムスロット227Bが形成されている。一対のカムスロット227Bは、カムプレート227の軸線を中心とした回転対称形に形成されている。各カムスロット227Bは、カムプレート227を上下方向に貫通している。カムスロット227Bは、カムプレート227の周方向に延び、第1端227Cと第2端227Dとを有する。第1端227Cとカムプレート227の中心との距離は、第2端227Dとカムプレート227の中心との距離よりも大きい。
【0124】
操作軸226の下部は、挿通孔227Aに上下方向に移動可能に挿入されている。挿通孔227Aは、操作軸226の下部と係合することによって、操作軸226に対して回転不能になっている。
【0125】
各カムスロット227Bには、対応するロック部材131のガイドアーム224が挿入されている。各ロック部材131の本体部131Aと係止部224Aとによって、カムプレート227の各ロック部材131に対する上下方向への移動が規制されている。
【0126】
付勢部材228は、ストッパ226Bとカムプレート227との間に設けられている。付勢部材228は、圧縮コイルばねであってよい。付勢部材228は、カムプレート227に対して操作軸226を上方に付勢する。すなわち、付勢部材228は操作軸226を初期位置に付勢する。
【0127】
操作軸226が初期位置にあるとき、挿通孔227A内に操作軸226の下部が位置する。このとき、左右のガイドアーム224は対応するカムスロット227Bの第1端227Cに位置する。これにより、左右のロック部材131は、左右方向に互いに離れたロック位置に位置する。
【0128】
使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸226が操作レバー41に下方に押されて、操作軸226が下方に移動する。これにより、カムプレート227に対して操作軸132Aが下方に移動し、捩じれ部226Aが挿通孔227A内に進入する。これにより、カムプレート227が回転し、左右のガイドアーム224が対応するカムスロット227B内を第1端227Cから第2端227Dに移動する。これにより、左右のロック部材131が左右方向において互いに近づく方向に移動する。すなわち、左右のロック部材131がロック位置から解除位置に移動する。
【0129】
(第12実施形態)
図28~
図30に示すように、第12実施形態に係るスライドロック装置240は、第11実施形態に係るスライドロック装置220と比べて、ケーシング101、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。ケーシング221の前壁221B及び後壁221Cのそれぞれには、支持孔241と、左右のガイドスロット242とが形成されている。支持孔241及び左右のガイドスロット242は、前壁221B及び後壁221Cを前後方向に貫通している。左右のガイドスロット242は、互いに間隔をおいて配置され、左右に延びている。左右のガイドスロット242は、左右に延びる直線上に配置されているとよい。支持孔241は、左右のガイドスロット242の間に配置されている。支持孔241は、円形の断面を有する。上壁221Aには、上下に貫通する挿通孔243が形成されている。
【0130】
左右のロック部材131の本体部131Aの前端及び後端には、前後方向に突出する第1ガイドピン223が設けられている。前後の第1ガイドピン223は対応するガイドスロット242に受容されている。これにより、左右のロック部材131は、左右にスライド移動可能にケーシング101に支持され、ロック位置と解除位置との間でスライド移動可能となっている。左右のロック部材131の間には、左右のロック部材131をロック位置に付勢する複数の付勢部材245が設けられている。
【0131】
操作部材132は、操作軸247と、カムシャフト248と、前後一対のカムプレート249と、付勢部材251とを有する。操作軸247は、上下に延び、挿通孔243に上下方向に移動可能に挿入されている。操作軸247の下端には押圧部247Aが設けられている。押圧部247Aは、操作軸247の上部に対して左右方向に幅が広くなっている。操作軸247の上下方向における中間部には径方向に張り出したストッパ247Bが設けられている。ストッパ247Bは、上壁221Aより下方に配置されている。ストッパ247Bは挿通孔243を通過することができない。付勢部材251は、ストッパ247Bと上壁221Aとの間に設けられるとよい。付勢部材251は、操作部材132を初期位置に付勢する。付勢部材251は、引張コイルばねであるとよい。操作軸247の上端は、操作レバー41のレバー側部41Bの後端と当接している。
【0132】
カムシャフト248は、前後に延びている。カムシャフト248の前端及び後端は、前側及び後側の支持孔241に回転可能に支持されている。カムシャフト248の中間部には、径方向に突出した湾曲部248Aが設けられている。
【0133】
前後一対のカムプレート249は、カムシャフト248の前端及び後端に結合されている。各カムプレート249は、カムシャフト248と一体に回転する。前側のカムプレート249は、前壁221Bの前方に配置されても後方に配置されてもよい。後側のカムプレート249は、後壁221Cの前方に配置されても後方に配置されてもよい。
【0134】
カムプレート249は、面が前後を向く板状部材である。カムプレート249は、円形に形成されているとよい。カムプレート249の中央には、前後に貫通する結合孔249Aが形成されている。結合孔249Aには、カムシャフト248の前端又は後端が挿入され、回転不能に結合されている。
【0135】
カムプレート249の結合孔249Aの周囲には、一対のカムスロット249Bが形成されている。一対のカムスロット249Bは、カムプレート249の軸線を中心とした回転対称形に形成されている。各カムスロット249Bは、カムプレート249を前後方向に貫通している。カムスロット249Bは、カムプレート249の周方向に延び、第1端249Cと第2端249Dとを有する。第1端249Cとカムプレート249の中心との距離は、第2端249Dとカムプレート249の中心との距離よりも大きい。カムスロット249Bは、第1端249Cから第2端249Dにかけて直線状に延びているとよい。
【0136】
各カムスロット249Bには、対応するロック部材131の第1ガイドピン223が挿入されている。
図29に示すように、左右のロック部材131がロック位置にあるとき、各第1ガイドピン223は対応するカムスロット249Bの第1位置に位置する。このとき、カムシャフト248の湾曲部248Aはカムシャフト248の回転軸線に対して左右側方に位置する。
【0137】
使用者が操作レバー41を操作すると、
図30に示すように、操作軸247が操作レバー41に下方に押されて、操作軸247が下方に移動する。これにより、操作軸247の下端の押圧部247Aがカムシャフト248の湾曲部248Aを下方に押す。これにより、カムシャフト248及び前後のカムプレート249が回転する。このとき、左右のロック部材131の第1ガイドピン223が対応するカムスロット249B内を第1端249Cから第2端249Dに移動する。これにより、左右のロック部材131が左右方向において互いに近づく方向に移動する。すなわち、左右のロック部材131がロック位置から解除位置に移動する。
【0138】
(第13実施形態)
図31~
図33に示すように、第13実施形態に係るスライドロック装置270は、第11実施形態に係るスライドロック装置220と比べて、ケーシング221、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。前壁221B及び後壁221Cのそれぞれには、ガイドスロット221Dに加えて、左右の支持孔271が形成されている。上壁221Aには、上下に貫通する挿通孔272が形成されている。
【0139】
左右のロック部材131の本体部131Aの前端及び後端には、前後方向に突出する第1ガイドピン223が設けられている。前後の第1ガイドピン223は対応するガイドスロット221Dに受容されている。これにより、左右のロック部材131は、左右にスライド移動可能にケーシング101に支持され、ロック位置と解除位置との間でスライド移動可能となっている。左右のロック部材131の間には、左右のロック部材131をロック位置に付勢する複数の付勢部材245が設けられている。各本体部131Aの外側面の下部には、左右内方に向けて凹んだ係止凹部274が形成されている。
【0140】
操作部材132は、操作軸275と、左右一対のレバー276と、付勢部材277とを有する。操作軸275は、上下に延び、挿通孔272に上下方向に移動可能に挿入されている。操作軸275の上下方向における中間部には径方向に張り出したストッパ275Aが設けられている。ストッパ275Aは、上壁221Aより下方に配置されている。ストッパ275Aは挿通孔272を通過することができない。付勢部材277は、ストッパ275Aと上壁221Aとの間に設けられるとよい。付勢部材277は、操作部材132を初期位置に付勢する。付勢部材277は、引張コイルばねであるとよい。操作軸275の上端は、操作レバー41のレバー側部41Bの後端と当接している。
【0141】
左右のレバー276は、操作部材132と左右のロック部材131とを接続し、操作部材132の移動に応じて左右のロック部材131を移動させる。左右のレバー276は、前後方向に延びている。各レバー276の前端及び後端には、前後方向に延びる凸部276Aが設けられている。各凸部276Aは円柱状に形成されてもよい。各凸部276Aは、対応する支持孔271に回転可能に挿入されている。これにより、各レバー276はケーシング101に前後に延びる軸線を中心として回転可能に支持されている。
【0142】
各レバー276は、前方から見て、左右に延びる基部276Bと、基部276Bの一端から上方に突出した第1片276Cと、基部276Bの他端から上方に突出した第2片276Dとを有する。上方に開口した溝形に形成されている。左側のレバー276の第1片276Cは操作軸275の下端に下方から当接し、左側のレバー276の第2片276Dは左側のロック部材131の係止凹部274に左方から当接している。右側のレバー276の第1片276Cは左側のレバー276の第1片276Cに下方から当接し、右側のレバー276の第2片276Dは右側のロック部材131の係止凹部274に右方から当接している。
【0143】
図32に示すように、操作部材132が初期位置にあるとき、左右のロック部材131はロック位置に位置する。使用者が操作レバー41を操作すると、
図33に示すように、操作軸275が操作レバー41に下方に押されて、操作軸275が下方に移動する。これにより、左右のレバー276が回動し、左右のロック部材131を左右内方に押す。すなわち、左右のレバー276が左右のロック部材131をロック位置から解除位置に移動させる。
【0144】
(第14実施形態)
図34~
図35に示すように、第14実施形態に係るスライドロック装置290は、第3実施形態に係るスライドロック装置130と比べて、ケーシング101と、ロック部材131と、操作部材132とが異なる。ケーシング101の底壁291の上面には、左右内方に向けて下方に傾斜する傾斜面292が設けられている。
【0145】
左右のロック部材131の本体部131Aの下面には、左右内方に向けて下方に傾斜する傾斜面293が設けられている。左右のロック部材131は、付勢部材134によってロック位置に付勢されている。
【0146】
操作部材132は、上下に延びる操作軸132Aと、操作軸132Aの下端に設けられた押圧部295とを有する。押圧部295は、板状に形成されているとよい。
【0147】
図34に示すように、左右のロック部材131がロック位置にあるとき、操作部材132は、ロック部材131に上方に押されて初期位置に位置する。
【0148】
使用者が操作レバー41を操作すると、操作軸132Aが操作レバー41に下方に押されて、操作軸132Aが下方に移動する。これにより、左右のロック部材131は押圧部295に押されて、ケーシング101に対して下方に移動する。このとき、左右のロック部材131は傾斜面292にガイドされて、左右内方に移動する。すなわち、左右のロック部材131は解除位置に移動する。
【0149】
(第15実施形態)
図36~
図40に示すように、第15実施形態に係るスライドロック装置300は、第2実施形態に係るスライドロック装置100と比べて、ロック部材102、操作部材104、ガイド部材108等の構成が異なる。同一の構成については、同一の符号を符合して説明を省略する。
【0150】
図36に示すように、ケーシング101は、ブラケット301によってスライダ上壁12Aの下面に締結される。ブラケット301は、前後方向に延び、前端及び後端においてスライダ上壁12Aに締結される。ブラケット301の前後方向における中央部301Aは、下方に向けて凹んでいる。ケーシング101は中央部の上面に固定される。
【0151】
操作部材104は、操作軸104Aと、操作軸104Aの下端から前方及び後方に延びる接続部材303を有する。接続部材303の前端及び後方には、前後方向に延びる押圧軸304が設けられている。接続部材303の前部及び後部の下部には、前後一対のストッパ305が設けられている。各ストッパ305は、接続部材303から下方に延びると共に、左右両側に延びている。操作部材104は、付勢部材306によって上方、すなわち初期位置に向けて付勢されている。
【0152】
前後のガイド部材108には、前後の押圧軸304を受容する第2ガイド孔307が形成されている。各第2ガイド孔307は、上下に延びている。各押圧軸304は、対応する第2ガイド孔307内を上下に移動することができる。
【0153】
接続部材303の前端と前側のガイド部材108の間には左右のカム部材310が設けられている。接続部材303の後端と後側のガイド部材108の間にも、同様の左右のカム部材310が設けられている。左側のカム部材310は、押圧軸304が下方に移動するときに左側のロック部材102を右方、すなわち解除位置に移動させる。右側のカム部材310は、押圧軸304が下方に移動するときに右側のロック部材102を左方、すなわち解除位置に移動させる。左右のカム部材310は、ケーシング101に左右方向にスライド移動可能に支持されている。
【0154】
左側のカム部材310は、押圧軸304の下方に配置されたカム面310Aと、左側のロック部材102のガイド軸102Bを係止する係止部310Bとを有する。カム面310Aは、左方に向けて下るように傾斜している。係止部310Bは、ガイド軸102Bを係止するフックやガイド軸102Bが突入する孔であってよい。右側のカム部材310は、左側のカム部材310に対して左右対称形に形成されている。前方から見て、左右のカム部材310は重なりを有する。前方から見て、左右のカム面310Aは互いに交差している。
【0155】
図39に示すように、操作部材104が初期位置にあるとき、押圧軸304は各カム部材310のカム面310Aから上方に離れている。このとき、付勢部材103によって、左右のロック部材102はロック位置に位置する。また、操作部材104の各ストッパ305は、対応するロック部材102の本体部102Aの内側面に当接し、各ロック部材102はロック位置に維持される。
【0156】
使用者が操作レバー41のレバー中央部41Aを上方に引くと、左右のレバー側部41Bの後端が操作軸104Aの上端を下方に押す。これにより、
図40に示すように、操作部材104は下方にスライド移動し、初期位置から操作後位置に移動する。このとき、操作部材104の各ストッパ305は各本体部102Aから離れ、ロック部材102がロック位置から解除位置に移動可能になる。
【0157】
操作部材104が操作後位置に向けて更に下方に移動すると、各押圧軸304が対応するカム面310Aを下方に押す。これにより、左右のカム部材310が左右内方に移動し、ロック部材102がロック位置から解除位置に移動する。これにより、複数の凸部102Dがレール11の係止孔15から離脱し、ケーシング101内に移動する。これにより、スライダ12はレール11に対して移動可能になる。
【0158】
ロック部材102が解除位置に到達したとき、押圧軸304はカム面310Aの端部から離脱する。これにより、ロック部材102が解除位置に到達した後に荷重を受けることが防止される。また、カム部材310は、カム面310Aの側方に下方に凹んだ凹部310Cを有する。凹部310Cにより、押圧軸304が更に下方に移動しても押圧軸304とカム部材310とが上下方向において当接することが避けられる。
【0159】
(第16実施形態)
図41~
図43を参照して、第16実施形態に係る電動スライドレール401について説明する。電動スライドレール401は、レール11と、レール11に対してスライド移動可能なスライダ12とを有する。レール11に対してスライダ12が移動することによって、電動スライドレール401はフロア2に対して乗物用シート3を移動させる。乗物用シート3、レール11、及びスライダ12の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0160】
図41に示すように、電動スライドレール401は、前後方向に延在するレール11と、レール11にスライド可能に係合するスライダ12とを有する。
図41及び
図42に示すように、スライダ上壁12Aの下面には、ねじアセンブリ403及び電動モータ404が支持されている。ねじアセンブリ403は、前後方向周りに回転可能にスライダ12に支持されたねじ部材406、407を含む。電動モータ404は、スライダ12に支持され、ねじ部材406、407を回転させる。
【0161】
本実施形態では、ねじ部材406、407は、第1ねじ部材406と第2ねじ部材407とを含む。他の実施形態では、ねじアセンブリ403は、単一のねじ部材を有してもよい。
【0162】
図43に示すように、第1ねじ部材406は、前後に延びる軸部406Aと、軸部406Aの長手方向における中間部の外周面に形成されたねじ山406Bとを有する。同様に、第2ねじ部材407は、前後に延びる軸部407Aと、軸部407Aの長手方向における中間部の外周面に形成されたねじ山407Bとを有する。ねじ山406B、407Bの数は、電動スライドレール401の大きさや、電動スライドレール401の長手方向における要求強度によって決定されるとよい。例えば、要求強度を増加させたい場合には、ねじ山406B、407Bの数を増加させるとよい。
図41に示すように、ねじアセンブリ403は、第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407を回転可能に支持するギヤケース411と、ギヤケース411をスライダ12に支持するための第1ブラケット412とを有する。
【0163】
図42及び
図43に示すように、ギヤケース411は、前後に長い直方体の箱形に形成されている。ギヤケース411は、第1ねじ部材406と、第2ねじ部材407と、電動モータ404の回転軸に連結する駆動軸413とを回転可能に支持している。第1ねじ部材406、第2ねじ部材407、及び駆動軸413は、それぞれ前後に延び、互いに並列にギヤケース411に配置されている。ギヤケース411は、後方に向けて開口した箱形のケース本体411Aと、ケース本体411Aの後端に結合されたリッド411Bとを有する。ケース本体411Aとリッド411Bとはねじによって互いに締結されている。
【0164】
第1ねじ部材406の軸部406Aの前端及び後端、第2ねじ部材407の軸部407Aの前端及び後端、駆動軸413の前端及び後端のそれぞれは、ギヤケース411に回転可能かつ前後方向に移動可能に支持されている。第1ねじ部材406の軸部406Aの前端及び後端、第2ねじ部材407の軸部407Aの前端及び後端、駆動軸413の前端及び後端のそれぞれは、ベアリング415を介してギヤケース411に支持されているとよい。
【0165】
第1ねじ部材406はギヤケース411の左側部に沿って配置され、第2ねじ部材407はギヤケース411の右側部に沿って配置されている。駆動軸413は、第1ねじ部材406と第2ねじ部材407との中間部の下方に配置されている。
【0166】
駆動軸413は、ギヤケース411内において駆動ギヤ413Aを有する。第1ねじ部材406は、駆動ギヤ413Aに噛み合う第1ギヤ406Cを有する。第2ねじ部材407は、駆動ギヤ413Aに噛み合う第2ギヤ407Cを有する。駆動ギヤ413A、第1ギヤ406C、及び第2ギヤ407Cのそれぞれは、平歯車であってよい。駆動軸413が回転すると、第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407は互いに同一方向に回転する。第1ギヤ406Cと第2ギヤ407Cとは、対称形であってよい。
【0167】
第1ギヤ406Cは、第1ねじ部材406の軸部406Aに対して前後方向(軸方向)に変位可能かつ軸部406Aに対して回転不能に支持されている。例えば、第1ギヤ406Cの中心に角孔が形成され、軸部406Aが角孔に回転不能かつ前後方向に移動可能に嵌合する角中柱部を有するとよい。同様に、第2ギヤ407Cは、第2ねじ部材407の軸部407Aに対して前後方向(軸方向)に変位可能かつ軸部407Aに対して回転不能に支持されている。第1ギヤ406C及び第2ギヤ407Cは、前後方向に長さを有する。これにより、第1ギヤ406Cが前後方向に移動しても、第1ギヤ406C及び駆動ギヤ413Aの噛み合いが維持される。同様に、第2ギヤ407Cが前後方向に移動しても、第2ギヤ407C及び駆動ギヤ413Aの噛み合いが維持される。
【0168】
ねじアセンブリ403は、第1ねじ部材406を前後方向に付勢する第1付勢部材406Dを有する。本実施形態では、第1付勢部材406Dは軸部406Aの後端に支持されている。第1付勢部材406Dは、ねじ山406Bと第1ギヤ406Cとの間に配置されている。第1付勢部材406Dは、軸部406A及びねじ山406Bをギヤケース411に対して前方に付勢している。
【0169】
ねじアセンブリ403は、第2ねじ部材407を前後方向に付勢する第2付勢部材407Dを有する。本実施形態では、第2付勢部材407Dは軸部407Aの前端に支持されている。第2付勢部材407Dは、ねじ山406Bと前側のベアリング415との間に配置されている。第2付勢部材407Dは、軸部407A及びねじ山407Bをギヤケース411に対して後方に付勢している。第1付勢部材406D及び第2付勢部材407Dは、少なくとも1つの皿ばね、圧縮コイルばね、板ばね、ゴム等であってよい。
【0170】
第1ねじ部材406とギヤケース411との前後方向における隙間には第1緩衝部材406Eが設けられてもよい。第1緩衝部材406Eは、第1付勢部材406Dと相反する軸部406Aの端部に設けられるとよい。本実施形態では、第1緩衝部材406Eは軸部406Aの前端に支持されている。第1緩衝部材406Eは、ねじ山406Bと前側のベアリング415との間に配置されている。
【0171】
第2ねじ部材407とギヤケース411との前後方向における隙間には第2緩衝部材407Eが設けられてもよい。第2緩衝部材407Eは、第2付勢部材407Dと相反する軸部407Aの端部に設けられるとよい。本実施形態では、第2緩衝部材407Eは軸部407Aの後端に支持されている。第2緩衝部材407Eは、ねじ山407Bと後側のベアリング415との間に配置されている。第1緩衝部材406E及び第2緩衝部材407Eは、ゴム、不織布等であってよい。
【0172】
図41及び
図42に示すように、ギヤケース411は、第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407を側方に露出させるための開口であるケース開口418を有する。第1ねじ部材406のねじ山406Bは、ギヤケース411の左側部に形成されたケース開口418を通過して左方に突出している。同様に、第2ねじ部材407のねじ山407Bは、ギヤケース411の右側部に形成されたケース開口418を通過して右方に突出している。ケース開口418はケース本体411Aに形成されている。
【0173】
第1ブラケット412は、前後に延在し、前端に設けられた第1結合部412Aと、後端に設けられた第2結合部412Bとを有する。第1ブラケット412は、第1結合部412A及び第2結合部412Bにおいてスライダ12のスライダ上壁12Aの下面に結合されている。第1ブラケット412は、第1結合部412Aから第2結合部412Bに延びる支持部412Cを有する。第1ブラケット412は、第1結合部412A、第2結合部412B、支持部412Cを含む一体的な金属製の部材であるとよい。支持部412Cは、第1結合部412A及び第2結合部412Bに対して下方に位置する部分を有する。支持部412Cによって第1ブラケット412はスライダ上壁12Aと協働して閉構造を形成する。ギヤケース411はスライダ12のスライダ上壁12Aと支持部412Cとの間に配置されている。第1ブラケット412は、金属板を折曲成形することに形成されている。第1結合部412Aはギヤケース411の前部から前方に延出し、第2結合部412Bはギヤケース411の後部から後方に延出している。第1結合部412A及び第2結合部412Bは、ねじやリベット等の締結部材によってスライダ上壁12Aに締結されているとよい。第1結合部412A及び第2結合部412Bの締結点間の距離は、ギヤケース411の前後長よりも長く設定されている。
【0174】
第1ブラケット412の後方には、電動モータ404をスライダ12のスライダ上壁12Aに支持するための第2ブラケット421が設けられている。第2ブラケット421は、スライダ上壁12Aに結合される結合部421Aと、結合部421Aからスライダ上壁12Aと相反する側、すなわち下方に延びる支持部421Bとを有する。支持部421Bは結合部421Aに対して直交し、第2ブラケット421はL字形に形成されている。電動モータ404は、その一側の端部において支持部421Bに結合されている。本実施形態では、電動モータ404は結合部421Aの下方に配置され、第2ブラケット421は電動モータ404のねじ部材406、407側の端部を片持ち支持する。
【0175】
駆動軸413の後端は、ギヤケース411の後支持部材411Cから後方に突出し、第1ブラケット412に形成された貫通孔を通過して後方に延びている。電動モータ404の回転軸は、駆動軸413の後端部に接続されている。電動モータ404の回転軸と駆動軸413とはカップリングによって結合されているとよい。また、電動モータ404の回転軸と駆動軸413とは、互いに噛み合う嵌合部を有してもよい。電動モータ404の回転軸と駆動軸413とは、同一直線上に配置されている。電動モータ404は、円筒形に形成され、前後に延びている。
【0176】
電動モータ404の回転軸と駆動軸413との間に、減速機が設けられてもよい。減速機は、例えば、遊星歯車機構であるとよい。減速機は、第2ブラケット421の支持部421Bの電動モータ404と相反する側の面に設けられているとよい。他の実施形態では、ギヤケース411の後端面に支持されてもよい。減速機は選択的な構成であり、省略可能である。
【0177】
電動モータ404の回転軸と駆動軸413とは、フレキシブルシャフトを介して連結されてもよい。これにより、電動モータ404の回転軸と駆動軸413とを互いにオフセットして配置することが可能になる。このように、ねじアセンブリ403及び電動モータ404のレイアウトの自由度が向上する。
【0178】
ねじアセンブリ403、電動モータ404、第1ブラケット412、及び第2ブラケット421は、スライダ上壁12Aの下方、かつ左右のスライダ内側壁12Bの間に配置されている。左右のスライダ内側壁12Bは、ねじアセンブリ403と対応する位置に開口であるスライダ開口部12Fを有する。スライダ開口部12Fは、スライダ内側壁12Bの凹部12Eに形成されている。第1ねじ部材406のねじ山406Bの左部は、ギヤケース411の左側のケース開口418及び左側のスライダ内側壁12Bのスライダ開口部12Fを通過して左側のスライダ内側壁12Bの左方に突出している。同様に、第2ねじ部材407のねじ山407Bの右部は、ギヤケース411の右側のケース開口418及び右側のスライダ内側壁12Bのスライダ開口部12Fを通過して右側のスライダ内側壁12Bの右方に突出している。
【0179】
レール11には、前後方向に延在し、ねじ部材406、407と係合する係止孔15が形成されている。第1ねじ部材406は、ねじ山406Bの左部において複数の係止孔15と噛み合い、回転することによって係止孔15に対して前後に移動する。同様に、第2ねじ部材407は、ねじ山407Bの右部において複数の係止孔15と噛み合い、回転することによって係止孔15に対して前後に移動する。
【0180】
電動モータ404の回転は、回転軸、駆動軸413、駆動ギヤ413A、第1ギヤ406C又は第2ギヤ407Cを介して第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407に伝達される。その結果、第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407が同一方向に回転する。第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407が回転すると、第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407が係止孔15及び係止孔15に対して前後に移動し、レール11に対してスライダ12が前後に移動する。
【0181】
本実施形態に係る電動スライドレール401では、電動モータ404及びねじアセンブリ403がスライダ12に固定されているため、係止孔15及び係止孔15に対する第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407の倒れが抑制される。そのため、第1ねじ部材406が係止孔15に適切な角度で噛み合うことができ、第1ねじ部材406の回転が円滑になる。第2ねじ部材407についても同様である。その結果、円滑に動作することができる電動スライドレール401を提供することができる。また、電動モータ404がレール11に受容されるスライダ12に取り付けられるため、電動スライドレール401の外形を小型化することができる。また、電動モータ404がスライダ12の内部に配置されるため、電動モータ404とねじアセンブリ403との距離を短くすることができ、電動モータ404とねじアセンブリ403とを接続する駆動軸413を短くすることができる。これにより、駆動軸413の撓みが抑制され、ねじアセンブリ403が円滑に回転することができる。
【0182】
ねじアセンブリ403が第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407の2つを有するため、ねじアセンブリ403は係止孔15及び係止孔15の両方と係合しつつ、小型化が可能になる。また、第1ねじ部材406が係止孔15から受ける反力の方向と、第2ねじ部材407が係止孔15から受ける反力の方向とが逆方向になるため、第1ねじ部材406と係止孔15とが確実に係合し、第2ねじ部材407と係止孔15とが確実に係合する。
【0183】
第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407は、ギヤケース411及び第1ブラケット412と共にねじアセンブリ403を構成するため、スライダ12への組み付けが容易である。
【0184】
第1付勢部材406Dがねじ山406Bを前方に付勢するため、電動モータ404の停止時においてねじ山406Bが係止孔15の前縁に当接することができる。また、第2付勢部材407Dがねじ山407Bを後方に付勢するため、電動モータ404の停止時においてねじ山407Bが係止孔15の後縁に当接することができる。これらにより、レール11に対するねじアセンブリ403のがた付きが抑制される。
【0185】
第1緩衝部材406Eによって第1ねじ部材406とベアリング415との前後方向における衝突が抑制され、衝突音の発生が抑制される。第2緩衝部材407Eによって第2ねじ部材407とベアリング415との前後方向における衝突が抑制され、衝突音の発生が抑制される。
【0186】
(第17実施形態)
図44及び
図45を参照して、第17実施形態に係る電動スライドレール450について説明する。
図44に示すように、電動スライドレール450では、第1ねじ部材406のねじ山406Bと第1ギヤ406Cとの間に第1ロックプレート451が設けられている。第1ロックプレート451は、面が前後を向き、ギヤケース411に固定されたプレート部451Aと、プレート部451Aを前後に貫通する挿通孔451Bと、プレート部451Aからねじ山406B側に突出する少なくとも1つの凸部451Cとを有する。第1ねじ部材406の軸部406Aは、挿通孔451Bを通過している。
【0187】
ねじ山406Bの後端には、後方に突出する少なくとも1つの凸部454が設けられている。第1付勢部材406Dは、第1ロックプレート451のプレート部451Aとねじ山406Bとの間に設けられている。第1付勢部材406Dは、第1ロックプレート451に対してねじ山406Bを前方に付勢する。
【0188】
図45に示すように、第2ねじ部材407のねじ山407Bと前側のベアリング415との間には第2ロックプレート461が設けられている。第2ロックプレート461は、面が前後を向き、ギヤケース411に固定されたプレート部461Aと、プレート部461Aを前後に貫通する挿通孔461Bと、プレート部461Aからねじ山407B側に突出する少なくとも1つの凸部461Cとを有する。第2ねじ部材407の軸部407Aは、挿通孔461Bを通過している。
【0189】
ねじ山407Bの前端には、前方に突出する少なくとも1つの凸部464が設けられている。第2付勢部材407Dは、第2ロックプレート461のプレート部461Aとねじ山407Bとの間に設けられている。第2付勢部材407Dは、第2ロックプレート461に対してねじ山407Bを後方に付勢する。
【0190】
スライダ12に所定の前荷重が加わっていないとき、第1付勢部材406Dの付勢力によって第1ロックプレート451の凸部451Cとねじ山406Bの凸部454とは前後方向に離れている。そのため、第1ねじ部材406は第1ロックプレート451及びギヤケース411に対して回転することができる。同様に、スライダ12に所定の後方荷重が加わっていないとき、第2付勢部材407Dの付勢力によって第2ロックプレート461の凸部461Cとねじ山407Bの凸部464とは前後方向に離れている。そのため、第2ねじ部材407は第2ロックプレート461及びギヤケース411に対して回転することができる。なお、電動モータ404が回転しているときも、同様に第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407はギヤケース411に対して回転することができる。
【0191】
スライダ12に所定の前方荷重が加わったとき、第1付勢部材406Dの付勢力に抗してギヤケース411及び第1ロックプレート451が前方に移動し、第1ロックプレート451の凸部451Cとねじ山406Bの凸部454とが周方向に噛み合う。これにより、第1ねじ部材406は第1ロックプレート451及びギヤケース411に対して回転不能になる。同様に、スライダ12に所定の後方荷重が加わったとき、第2付勢部材407Dの付勢力に抗してギヤケース411及び第2ロックプレート461が後方に移動し、第2ロックプレート461の凸部461Cとねじ山407Bの凸部464とが周方向に噛み合う。これにより、第2ねじ部材407は第2ロックプレート461及びギヤケース411に対して回転不能になる。このように、スライダ12に所定の前後荷重が加わるときには、第1ねじ部材406又は第2ねじ部材407の回転が規制されるため、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。
【0192】
(第18実施形態)
図46を参照して、第18実施形態に係る電動スライドレール470について説明する。
図46に示すように、第1ねじ部材406は、前部471及び後部472に前後に分割されてもよい。前部471及び後部472は、前後方向に相対移動可能かつ互いに回転不能に接続されている。例えば、前部471の後端に角孔471Aが形成され、後部472の前端に角孔471Aに前後方向に移動可能かつ回転不能に突入する角柱472Aが設けられているとよい。
【0193】
前部471は前側付勢部材474によってギヤケース411に対して後方に付勢されている。後部472は後側付勢部材475によってギヤケース411に対して前方に付勢されている。これにより、前部471のねじ山406Bはレール11の係止孔15の後縁に当接し、後部472のねじ山406Bはレール11の係止孔15の前縁に当接する。これにより、ねじアセンブリ403のレール11に対するがたつきが抑制される。第2ねじ部材407についても同様である。
【0194】
前部471と後部472とを含む第1ねじ部材406の軸方向の長さは、電動モータ404の軸方向の長さよりも短く設定されているとよい。前部471と後部472とを含む第1ねじ部材406の軸方向の長さが、電動モータ404の軸方向の長さよりも長く設定されてもよい。第2ねじ部材407についても同様である。
【0195】
図47に示すように、レール11の後端の係止孔15は、前方に幅が拡大された拡張部477を有するとよい。ねじアセンブリ403が装着されたスライダ12をレール11に組み付ける前の状態では、前側付勢部材474及び後側付勢部材475によって前部471及び後部472は最も近づいた状態に位置する。そのため、前部471のねじ山406Bの後端と、後部472のねじ山406Bの前端との距離、すなわちピッチが短くなっている。そのため、複数の係止孔15が等間隔で配置されていると、スライダ12をレール11に後方から挿入するときに後部472の前端のねじ山406Bを後端の係止孔15に円滑に挿入することができない。本実施形態では、後端の係止孔15が拡張部477を有するため、後部472の前端のねじ山406Bを後端の係止孔15に円滑に挿入することができる。後部472の前端のねじ山406Bが後端の係止孔15に挿入された後は、複数の係止孔15の間隔に合わせて、後側付勢部材475の付勢力に抗して後部472が前部471から後方に離れる。第2ねじ部材407についても同様である。
【0196】
前方からレール11にスライダ12を挿入する場合には、レール11の前端の係止孔15が後方に幅が拡大された拡張部(図示省略)を有するとよい。
【0197】
第16~第18実施形態に係るスライダ12において、複数の車輪18の位置について説明する。
図48及び
図49に示すように、複数の車輪18は、左右の前車輪18Aと、左右の後車輪18Bとを有する。左右方向から見て、左右の前車輪18Aは、ねじアセンブリ403よりも前方に配置されている。左右方向から見て、左右の後車輪18Bは、電動モータ404と重なる位置に配置されている。
【0198】
左右の前車輪18Aが、ねじアセンブリ403及び電動モータ404を避けて配置されるため、スライダ12の左右幅が大きくなることを抑制することができる。
【0199】
左右方向から見て、左右の後車輪18Bが電動モータ404と重なる位置に配置されているため、スライダ12の前後長が長くなることを抑制することができる。
【0200】
図50に示すように、他の実施形態では、複数の車輪18は、左右の前車輪18Aと、左右の後車輪18Bと、左右の中間車輪18Cとを有してもよい。左右方向から見て、左右の前車輪18Aは、スライダ12の前端に配置されるとよい。左右方向から見て、左右の中間車輪18Cは、ねじアセンブリ403と重なる位置に配置されてもよい。左右方向から見て、左右の後車輪18Bは、ねじアセンブリ403と電動モータ404との間に配置されているとよい。
【0201】
左右方向から見て、左右の前車輪18Aがねじアセンブリ403と重なる位置に配置されているため、スライダ12の前後長が長くなることを抑制することができる。
【0202】
左右方向から見て、左右の後車輪18Bがねじアセンブリ403と電動モータ404との間に配置されているため、スライダ12の前後長が長くなることを抑制することができる。ねじアセンブリ403と電動モータ404との間の空間を利用して左右の後車輪18Bを支持することができる。
【0203】
図51に示すように、他の実施形態では、ねじアセンブリ403及び電動モータ404が前後逆に配置されてもよい。すなわち、電動モータ404がねじアセンブリ403の前方に配置されてもよい。この場合、左右方向から見て、左右の前車輪18Aは、電動モータ404と重なる位置に配置されてもよい。左右の後車輪18Bは、ねじアセンブリ403より後方に配置されているとよい。
【0204】
図52に示すように、他の実施形態では、前後一対の電動モータ404が、ねじアセンブリ403の前後に配置されてもよい。この場合、駆動軸413が、ねじアセンブリ403から前方及び後方に延び、前後の電動モータ404に接続しているとよい。左右方向から見て、左右の前車輪18Aは、前側の電動モータ404と重なる位置に配置されてもよい。左右の後車輪18Bは、ねじアセンブリ403より後方に配置されているとよい。前後の電動モータ404のそれぞれの前後長は、ねじアセンブリ403の前後長よりも長いとよい。これにより、前後の電動モータ404のトルクを増加させることができる。
【0205】
図3に示すように、上方から見て、レール11のレール内側壁11Dと、スライダ12のスライダ内側壁12Bとの間に隙間が形成されている。この隙間を介して、作業者は上方から第1ねじ部材406及び第2ねじ部材407を視認することができる。レール内側壁11Dの突部11Gの上部と、スライダ内側壁12Bの凹部12Eの上部とは、互いに対向する平行な傾斜面を形成している。これにより、異物がスライダ12のスライダ内側壁12Bとの間に隙間に侵入することが抑制される。
【0206】
図53に示すように、他の実施形態では、スライダ上壁12Aを上下方向に貫通する少なくとも1つの確認窓481が形成されてもよい。確認窓481は、ねじアセンブリ403、電動モータ404、及び駆動軸413の少なくとも1つの上方に配置されているとよい。作業者は、確認窓481を介してねじアセンブリ403等を視認することができる。
【0207】
図54に示すように、左右のスライダ12は、第1ワイヤ501及び第2ワイヤ502によって互いに接続されていてもよい。第1ワイヤ501は、左側のスライダ12の前端と右側のスライダ12の後端とを接続している。第2ワイヤ502は、右側のスライダ12の前端と左側のスライダ12の後端とを接続している。
【0208】
第1ワイヤ501は、第1プーリ503及び第2プーリ504に巻き掛けられている。第1プーリ503は左側のレール11の前端に設けられ、第2プーリ504は右側のレール11の後端に設けられている。第2ワイヤ502は、第3プーリ505及び第4プーリ506に巻き掛けられている。第3プーリ505は右側のレール11の前端に設けられ、第4プーリ506は左側のレール11の後端に設けられている。
【0209】
第1ワイヤ501及び第2ワイヤ502は、レール11の内部を通過して延びている。第1ワイヤ501、第2ワイヤ502、第1~第4プーリ503~506はフロア2の下方に配置されているとよい。第1ワイヤ501及び第2ワイヤ502によって、左右のスライダ12は互いに同期して移動する。第1ワイヤ501及び第2ワイヤ502は、ベルト等の他の線状部材であってもよい。
【0210】
図55に示すように、左右のスライダ12と第1ワイヤ501及び第2ワイヤ502との間に張力を検出するセンサ510を設けてもよい。センサ510で検出した張力に基づいて、左右の電動モータ404が制御されるとよい。例えば、センサ510で検出される張力が小さくなるように、左右の電動モータ404が制御されるとよい。
【0211】
図56に示すように、左右の電動モータ404の回転数を測定するセンサ520を設けられてもよい。左右の電動モータ404は、それぞれの回転数が同一になるように制御されるとよい。センサ520は、例えば可変抵抗器やロータリエンコーダ、ホール素子であってよい。また、左右のレール11に対応するスライダ12の位置を検出するスライダ位置センサが設けられてもよい。
【0212】
図57に示すように、左右のスライダ12の後端にはワイヤ530が接続されている。ワイヤ530はレール11内を通過して後方に延びている。レール11の後方には、ワイヤ530が巻き回されたリール531が設けられている。リール531はワイヤ530を巻き取る方向に付勢されている。リール531には回転数を測定する可変抵抗器532が設けられている。この態様では、左右のリール531の回転数に基づいて左右のスライダ12の位置を検出する。
【0213】
上記の各実施形態の電動スライドレール401、450、470は、
図58及び
図59に示すように車両600に設けられる。
図58に示すように、車両600は、左右の前輪601と、左右の後輪602と、車室603とを有する。車室603には、運転席605と、第1席606と、第2席607と、第3席608とが設けられている。第1席606は助手席、第2席607はセンター席、第3席608は後席と称してもよい。
【0214】
運転席605は、車室603の前部の左側又は右側に設けられているとよい。第1席606は、車室603の左右方向において運転席605と相反する側に設けられているとよい。第2席607は、運転席605と、第1席606との間に設けられているとよい。第3席608は、運転席605の後方に配置されているとよい。
【0215】
第1席606の電動スライドレール606A、第2席607の電動スライドレール607A、第3席608の電動スライドレール608Aは、上記の電動スライドレール401、450、470であってよい。
【0216】
第1席606の電動スライドレール606Aの左右のレール11は、前後方向において、車室603の前部から後輪602まで延びているとよい。電動スライドレール606Aの左右のレール11の後端は、後輪602の前端よりも後方に配置されていてもよい。
【0217】
第2席607の電動スライドレール607Aの左右のレール11は、前後方向において、車室603の前部から後輪602まで延びているとよい。電動スライドレール607Aの左右のレール11の後端は、後輪602の前端よりも後方に配置されていてもよい。
【0218】
第3席608の電動スライドレール607Aの左右のレール11は、前後方向において、運転席605の後部から後輪602まで延びているとよい。電動スライドレール607Aの左右のレール11の後端は、後輪602の前端よりも後方に配置されていてもよい。
【0219】
電動スライドレール606A、607A、608Aのそれぞれの左右のレール11の後端は、車室603の後端に配置されてもよい。
【0220】
図59に示すように、第2席607は省略されてもよい。第1席606の電動スライドレール606Aの左右のレール11は、前後方向に対して傾斜して設けられてもよい。例えば、第1席606の電動スライドレール606Aの左右のレール11は、後方に向けて左右内方に傾斜していてもよい。第1席606の電動スライドレール606Aの左右のレール11は、後輪602のホイールハウス611を避けて配置されるとよい。第1席606の電動スライドレール606Aの左右のレール11の一方の前端は、後輪602のホイールハウス611の前方に配置されるとよい。第3席608の電動スライドレール608Aの左右のレール11についても同様である。
【0221】
各電動スライドレール606A、608Aは、横スライド装置615を介して各席606、608のシートクッションに結合されてもよい。横スライド装置615は、左右方向に延びたロアレールと、ロアレールに左右方向にスライド移動可能に結合されたアッパレールとを有する。ロアレールは、各電動スライドレール606A、608Aの左右のスライダ12に結合されている。アッパレールは、各席606、608のシートクッションに結合されている。横スライド装置615によって各席606、608は横方向に移動することもできる。これにより、後輪602のホイールハウス611との干渉を一層避けることができる。
【0222】
図60及び
図61に示すように、電動スライドレール701が設けられる乗物用シート702は、上下方向に延びる軸線X回りに回転可能であってもよい。電動スライドレール701は、上記の各実施形態の電動スライドレール401、450、470のいずれかであってよい。電動スライドレール701の構成については、電動スライドレール401、450、470と同一の符号を付して説明を省略する。
【0223】
乗物用シート702は、左右のスライダ12とシートクッション5との間に設けられ、左右のスライダ12に対してシートクッション5を回転可能に支持する回転装置705を有する。回転装置705は、左右のスライダ12に結合されたベース部711と、シートクッション5に設けられ、ベース部711に軸線Xを中心として回転可能に支持された回転部712と、ベース部711に対して回転部712を回転させる電動モータ713とを有する。回転部712とシートクッション5との間には、昇降装置715が設けられてもよい。昇降装置715は回転部712に対してシートクッション5を昇降させる。
【0224】
ベース部711は、左右のスライダ12に結合された左右の下サイドプレート711Aと、左右の下サイドプレート711Aに結合された円板形の下センタープレート711Bとを有する。回転部712は、下センタープレート711Bに軸線Xを中心として回転可能に支持された円板形の上センタープレート712Aと、上センタープレート712Aに結合された上プレート712Bを有する。シートクッション5は上プレート712Bに結合されているとよい。
【0225】
シートクッション5の下面には、シートクッション5及びシートバック6に設けられた電装装置を制御する制御装置720が設けられている。制御装置720は、電子制御装置であり、マイクロプロセッサ(MPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、及びインターフェースを有する演算装置である。制御装置720は、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをマイクロプロセッサが実行することによって、各種のアプリケーションを実現する。電装装置は、シートヒータ、ブロア、電動スライドレール701、昇降装置715を含むとよい。
【0226】
左右方向から見て、回転装置705の軸線Xは、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403と重なる位置に配置されている。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403は、電動モータ713より後方に配置されている。
【0227】
左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404は、電動モータ713より後方に配置されている。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404は、制御装置720より後方に配置されている。
【0228】
図61に示すように、上方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403は、下センタープレート711B及び上センタープレート712Aよりも、軸線Xを中心とした径方向外方に配置されている。すなわち、上方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403は、下センタープレート711B及び上センタープレート712Aより左右外方に配置されている。
【0229】
他の態様では、
図62に示すように、左右方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403及び左右の電動モータ404は、回転装置705の軸線Xより前方に配置されてもよい。
【0230】
左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404は、電動モータ713より前方に配置されてもよい。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404は、制御装置720より前方に配置されてもよい。
【0231】
他の態様では、
図63に示すように、左右方向から見て、回転装置705の軸線Xは、電動スライドレール701の左右の電動モータ404と重なる位置に配置されている。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404の後端は、回転装置705の軸線Xより後方に配置されてもよい。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403は、電動モータ713より前方に配置されてもよい。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404の後端は、電動モータ713より前方に配置されてもよい。
【0232】
左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404の後端は、制御装置720より後方に配置されてもよい。
【0233】
他の態様では、
図64に示すように、左右方向から見て、回転装置705の軸線Xは、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403の後端と左右の電動モータ404の前端との間を通過している。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右のねじアセンブリ403は、電動モータ713より後方に配置されているとよい。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404は、電動モータ713より後方に配置されてもよい。左右方向から見て、電動スライドレール701の左右の電動モータ404の後端は、制御装置720よりも後方に配置されてもよい。
【0234】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0235】
1 :スライド装置
2 :フロア
3 :乗物用シート
11 :レール
11A :レール底壁
11B :レール外側壁
11C :レール上壁
11D :レール内側壁
12 :スライダ
12A :スライダ上壁
12B :スライダ内側壁
12F :スライダ開口部
15 :係止孔
30 :スライドロック装置
31 :ケーシング
31A :下ケーシング部材
31B :上ケーシング部材
31C :螺旋溝
31D :ケーシング開口部
32 :ロック部材
32A :軸部
32B :凸部
32C :アーム部
33 :付勢部材
34 :操作部材
34A :本体部
34B :押圧部
34C :支持軸
35 :挿通孔
36 :操作孔
37 :付勢部材