(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】油性棒状化粧料、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20250325BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20250325BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20250325BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250325BHJP
A61K 8/90 20060101ALI20250325BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20250325BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250325BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20250325BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20250325BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/92
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/90
A61K8/46
A61K8/34
A61Q1/06
A61Q1/08
A61Q1/10
(21)【出願番号】P 2024546468
(86)(22)【出願日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 JP2024016871
【審査請求日】2024-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2023080395
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 井手・小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 洋輔
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/113956(WO,A1)
【文献】特表2018-514561(JP,A)
【文献】特表2023-507483(JP,A)
【文献】国際公開第2022/264968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm
2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合、(B)/(C)が0.5~3.0である、
油性棒状化粧料の製造方法であって、
以下の工程1~4を有する油性棒状化粧料の製造方法。
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は
工程2において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
【請求項2】
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項3】
前記成分(E)の含有量が、0.05~1.5質量%である請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項4】
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満の不揮発性液状エステル油、及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油を含有する請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項5】
前記工程1及び/又は
工程2において、さらに成分(F)揮発性油を添加する請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項6】
前記工程2が、前記(2-1)の工程である請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項7】
前記工程2における分散処理が、高剪断分散処理である請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項8】
前記工程3における化粧料組成物を充填する容器が、ゴムモールド又は金型である、請求項1又は2に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【請求項9】
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm
2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油、
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が0.5~3.0であって、
以下の工程1~4;
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は
工程2において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
を含む製造方法によって得られる油性棒状化粧料。
【請求項10】
前記成分(B)の含有量が、25~55質量%である請求項9に記載の油性棒状化粧料。
【請求項11】
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンを含む請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【請求項12】
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油から選ばれる1種または2種以上である請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【請求項13】
前記成分(B2)に対する前記成分(B1)の平均動粘度割合、(B1)/(B2)が、1~250である請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【請求項14】
前記成分(C)が、(C1)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、並びに(C2)(VP/ヘキサデセン)コポリマー、及びダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリルから選ばれる1種または2種以上を含む請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【請求項15】
さらに前記成分(E)が、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン及びトリプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【請求項16】
さらに成分(F)として揮発性油を含有する請求項9又は10に記載の油性棒状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性棒状化粧料、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油性棒状化粧料に求められる主な効果は、例えば、口唇用化粧料である場合、唇に色味を与え、その色味によって健康的な印象を与えるものや、口元に立体感を付与し、美しく際立たせるもの等がある。また理想的な化粧膜を仕上げる上で唇に塗布する際の使用性も非常に重要な要素である。特に口唇は表面が柔らかく、化粧料を塗りにくい部位であることから、塗布時に滑らかに伸び広げやすいことが求められている。これらの品質に加え、近年、感染症防止の観点からマスクの着脱の機会が増えており、化粧料が物理的に他の物質に付着することを防止する二次付着レス効果が求められており、その中でも化粧料を唇に塗布した後に二次付着レス効果を早く発揮することができる口唇化粧料が非常に人気である。二次付着レス効果を発揮する際は、口唇化粧料を塗布した後に、化粧料塗布膜中のシリコーン油が上層に分離し、化粧料塗布膜表面をコーティングすることでその効果を発揮させることができる。
【0003】
これまでに、水添ポリイソブテンと、25℃で水添ポリイソブテンと混合した時に分離する一種または二種以上のメチルフェニルシリコーンと、90℃で上記2種と混合した時のいずれも分離しない親油性界面活性剤と、ワックスを特定量組み合わせて塗布後すぐに優れた二次付着レス効果を有し、かつ塗布後のつやが持続し、安定性にも優れた唇用化粧料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、25℃において固体の油性成分を1種以上含む第一の流動体と、第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分を1種以上含む第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内又は該装置の直前で合流させて、混合液を得る工程を有し、相溶性のない成分や、不安定成分を含む油性固形化粧料を安定的に製造できる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-140481号公報
【文献】特開2015-124204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次付着レス効果を早く発揮するように化粧料塗布膜の分離スピードを高めると、油性棒状化粧料の製造過程においても分離が進行しやすく、結果として不均一な化粧料になる場合があった。また、色持ちと二次付着レスを両立させると、棒状に成形する際に離形性が悪くなる場合があった。そのため色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度に優れた品質でありながらも、化粧料の製造過程での分離を抑制し、充填時には優れた離形性を有する油性棒状化粧料が求められていた。
例えば特許文献1の技術のように、分離しやすい油剤を層分離させない素材を組み合わせることで品質を維持する着眼はあったが、二次付着レス効果の速度が遅く、効果実感に優れる油性化粧料の開発は行われていなかった。
また、例えば特許文献2のように、第一の流動体に含まれる成分と、相溶しない成分を1種以上含む第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置で対応するという工程の工夫は過去にあったが、着色剤との分離の課題・着眼はなく、着色剤との添加順序を工夫することにより問題が解決する着眼はなかった。
【0007】
すなわち本発明は、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度に優れた品質でありながらも、化粧料の製造過程における分離を抑制し、充填時には優れた離形性を有する油性棒状化粧料の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記実情に鑑み、本発明者は、鋭意検討を行った。その結果、ワックス、25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油、不揮発性液状エステル油、着色粉体、多価アルコールを含有し、25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油の不揮発性液状エステル油に対する含有質量割合が0.5~3.0である油性棒状化粧料、またはその製造方法を、特定の工程で製造することにより、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度に優れた品質でありながらも、化粧料の製造過程においては、成分の分離を抑制し、充填時には優れた離形性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の油性棒状化粧料の製造方法を提供するものである。
[1]
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合、(B)/(C)が0.5~3.0である、
油性棒状化粧料の製造方法であって、
以下の工程1~4を有する油性棒状化粧料の製造方法。
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30℃~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
[2]
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種または2種以上である[1]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[3]
前記成分(E)の含有量が、0.05~1.5質量%である[1]又は[2]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[4]
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満の不揮発性液状エステル油及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油を含有する[1]又は[2]の記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[5]
前記工程1及び/又は2の工程において、さらに成分(F)揮発性油を添加する[1]又は[2]の記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[6]
前記工程2が、前記(2-1)の工程である[1]又は[2]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[7]
前記工程2における分散処理が、高剪断分散処理である[1]又は[2]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[8]
前記工程3における化粧料組成物を充填する容器が、ゴムモールド又は金型である[1]又は[2]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
【0010】
また本発明は、以下の油性棒状化粧料を提供するものである。
[9]
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が0.5~3.0であって、
以下の工程1~4;
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
を含む製造方法によって得られる油性棒状化粧料。
[10]
前記成分(B)の含有量が、25~55質量%である[9]に記載の油性棒状化粧料。
[11]
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンを含む[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[12]
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油から選ばれる1種または2種以上である[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[13]
前記成分(B2)に対する前記成分(B1)の平均動粘度割合、(B1)/(B2)が、1~250である[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[14]
前記成分(C)が、(C1)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、並びに(C2)(VP/ヘキサデセン)コポリマー、及びダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリルから選ばれる1種または2種以上を含む[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[15]
さらに前記成分(E)が、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン及びトリプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[16]
さらに成分(F)として揮発性油を含有する[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果に優れ、製造過程においては成分の分離を抑制し、充填時の離形性にも優れた油性棒状化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0013】
本発明における融点とは、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下-10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより測定された融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm)とする。
【0014】
本発明における25℃における粘度(mPa・s)=(CSt:センチストークス)とは、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして25℃恒温槽にて一昼夜放置した後、単―円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)(芝浦システム社製)(B型粘度計)にて、付属の1~4号ローターを用い、0.3~30rpmで1分後の測定値を読み取り、各々の乗数を乗じたものである。粘度は、流体中の物体の動きにくさを表すものであり、一方、動粘度(mm2/s)は、流体そのものの動きにくさを表すものであり、この動きにくさに影響を及ぼすものが、物体の密度であり、動粘度(mm2/s)=粘度(mPa・s)/密度である。
【0015】
本発明における成分(A)ワックスは、通常化粧料に用いられるものであれば、動物、植物、合成等の起源に限定されず、いずれのものも使用できる。例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライトワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、(エチレン/プロピレン)コポリマー、合成ワックス等の炭化水素ワックス(A1)、硬質ラノリン、カルナウバロウ、ミツロウ、ステアリン酸ステアリル、モンタンワックス、水添ホホバ油、ベヘン酸ベヘニル、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、コメヌカロウ等のロウエステル(A2)、長鎖アルコキシ変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン(例えば、ステアリルジメチコン等)等のシリコーンワックス等が挙げられ、これらから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。充填時の離形性、色もち、製造過程での分離防止、二次付着レス効果の速度向上の観点から、炭化水素ワックス(A1)及びロウエステル(A2)を併用することが好ましい。
【0016】
本発明における成分(A)の中でも、充填時の離形性や滑らかな伸び広がりの観点から、(A1)炭化水素ワックスは、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、合成ワックス等が好ましい。また、(A1)の融点は65℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。また、充填時の離形性や滑らかな伸び広がりの観点から(A2)ロウエステルはキャンデリラロウ、カルナバロウ、ミツロウが好ましく、キャンデリラロウ、カルナバロウがより好ましく、キャンデリラロウがさらに好ましい。
【0017】
成分(A)として(A1)と(A2)を併用する場合、(A2)に対する(A1)の含有質量割合(A1)/(A2)は、下限としては、0.2以上が好ましく、1以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。上限としては、また、40以下が好ましく、15以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。範囲としては、0.2~40が好ましく、1~15がより好ましく、4~8がさらにより好ましい。この範囲であると、特に、色もち、成分の工程内分離防止の点でより好ましい。
【0018】
本発明における成分(A)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、3質量%(以下、%と略す)以上が好ましく、4.5%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。上限としては、12%以下が好ましく、9%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。範囲としては、3~12%が好ましく、4.5~9%がより好ましく、5~8%がさらに好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油は、化粧料に通常用いられる、室温で固体以外のものであれば、製法や重合度、混合物であるか否か等問わない。例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、アミノ変性シリコーン、高重合ジメチルポリシロキサン等の高分子量シリコーン、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等のポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコーン等のアミノ変性シリコーンをはじめ、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン等の変性シリコーン等が挙げられる。成分(B)として、これらを1種または2種以上適宜選択して用いることが出来る。
【0020】
本発明における成分(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油は、特に限定されないが、充填時の離形性、色もち、製造過程での分離防止、二次付着レス効果の速度向上の観点から、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンを併用することが好ましい。(B1)としては、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等が挙げられる。これらの中でも充填時の離形性や二次付着レス効果の速度の観点から、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンが好ましく、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンがより好ましく、ジフェニルジメチコンがさらに好ましい。また、二次付着レス効果の速度、色持ち、滑らかな伸び広がりの観点から、動粘度は10,000mm2/s以下であり、1,000mm2/s以下がより好ましく、50mm2/s以下がさらに好ましい。
【0021】
成分(B)として(B1)と(B2)を併用する場合、(B2)に対する(B1)の含有質量割合(B1)/(B2)は、下限としては、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。上限としては、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。範囲としては、1~10が好ましく、2~6がより好ましく、3~5がさらにより好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、二次付着レス効果の速度、製造過程での分離防止の点でより好ましい。
なお、本発明に用いられる成分(B)に含まれる(B2)に対する(B1)の平均動粘度割合(B1)/(B2)は、特に限定しないが、下限としては、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。上限としては、また、250以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましい。範囲としては、1~250が好ましく、3~200がより好ましく、20~100がさらにより好ましい。この範囲であると、二次付着レス効果の速度の点でより好ましい。本明細書において平均動粘度割合(B1)/(B2)とは、(B2)の動粘度の値に化粧料組成物中の(B2)の含有率を乗じた値に対する、(B1)の動粘度の値に化粧料組成物中の(B1)の含有率を乗じた値の割合を意味する。
【0022】
本発明における成分(B)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、25%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。上限としては、55%以下が好ましく、47%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましい。範囲としては、25~55%が好ましく、35~47%がより好ましく、40~45%がさらに好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0023】
本発明に用いられる成分(B)に対する成分(A)の含有質量割合(A)/(B)は、0.07以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましい。上限としては、0.29以下が好ましく、0.22以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。範囲としては、0.07~0.29であり、0.1~0.22がより好ましく、0.12~0.2がさらに好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(A2)に対する成分(B1)の含有質量割合(B1)/(A2)は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、17以上がさらに好ましい。上限としては、340以下が好ましく、70以下がより好ましい。42以下がさらに好ましい。範囲としては、5~340であり、10~70がより好ましく、17~42がさらに好ましい。この範囲であると、二次付着レス効果の速度、滑らかな伸び広がり、充填時の離形性の点でより好ましい。
【0025】
本発明に用いられる成分(C)不揮発性液状エステル油は、化粧料に通常用いられる、室温で固体ではなく、液状からペースト状のものであれば特に限定しない。製法や重合度、混合物であるか否か等問わず、例えば、脂肪酸とアルコールがエステル結合したもの、脂肪酸と多価アルコールがエステル結合したもの、アミノ酸のカルボキシル基とアルコールがエステル結合したもの、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルなどが挙げられる。
本発明における成分(C)不揮発性液状エステル油は、特に限定されないが、(C1)粘度1,000mPa・s未満の不揮発性液状エステル油、及び(C2)粘度1,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油を併用することが好ましく、中でも、充填時の離形性、色持ち、製造過程での分離防止、二次付着レス効果の速度向上、滑らかな伸び広がりの観点から、(C2)は、粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油であることがより好ましい。
【0026】
本発明における成分(C)不揮発性液状エステル油は、具体的には、例えば、(C1)粘度1,000mPa・s未満の不揮発性液状エステル油として、脂肪酸とアルコールがエステル結合したエステル油は、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソデカン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジエチル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル等が挙げられる。脂肪酸と多価アルコールがエステル結合したエステル油は、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。また、これらの中でも滑らかな伸び広がりの観点と二次付着レス効果の速度の観点から、(C1)は、脂肪酸の結合数が1~10のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、脂肪酸の結合数が2~4のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、脂肪酸の結合数が2~3のポリグリセリン脂肪酸エステルがさら好ましい。具体的には、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。
また、(C2)1,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油は、脂肪酸とアルコールがエステル結合したエステル油としては、リンゴ酸ジイソステアリル、脂肪酸と多価アルコールがエステル結合したエステル油としては、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル等のペンタエリスリチル脂肪酸エステル等が挙げられる。また、アミド基を有するビニル化合物とアルキル基を有するビニル化合物との共重合体の油剤としては、具体的には(VP/ヘキサデセン)コポリマーが挙げられる。また、アミノ酸のカルボキシル基とアルコールがエステル結合したエステル油は、具体的にはN-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(コレステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-サルコシン-イソプロピル等が挙げられる。ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体としては、モノあるいはジ-不飽和脂肪酸を2量体化させた後、必要に応じて水素添加して得られるダイマー酸と種々のアルコールとのジエステル体、さらにはダイマー酸を還元して得られるダイマージオールと種々の脂肪酸とのジエステル体、ダイマー酸とダイマージオールとのエステル体などを指し、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル等が挙げられる。中でも、成分(C2)は、10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油が好ましく、アミド基を有するビニル化合物とアルキル基を有するビニル化合物との共重合体、ダイマー酸とダイマージオールとのエステル体がより好ましい。
【0027】
本発明における成分(C)の(C1)の粘度は、二次付着レス効果の速度、製造過程での分離防止、滑らかな伸び広がりの観点から50~1,000mPa・s未満が好ましく、50~750mPa・sがより好ましく、50~600mPa・sがさらに好ましい。
また、本発明における成分(C)の(C2)の粘度は、二次付着レス効果の速度、色持ち、成分の工程内分離防止の観点から10,000mPa・s~15,000mPa・sが好ましい。
【0028】
成分(C)として(C1)と(C2)を併用する場合、(C2)に対する(C1)の含有質量割合(C1)/(C2)は、下限としては、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。上限としては、1.4以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。範囲としては、0.1~1.4が好ましく、0.2~0.85がより好ましく、0.3~0.7がさらにより好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、二次付着レス効果の速度、色持ち、成分の工程内分離防止の点でより好ましい。
本発明における成分(C)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、15%以上が好ましく、22%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。上限としては、42%以下が好ましく、38%以下がより好ましく、36%以下がさらに好ましい。範囲としては、15~42%が好ましく、22~38%がより好ましく、25~36%がさらに好ましい。この範囲であると、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0029】
本発明に用いられる成分(C)に対する成分(B)の含有質量割合(B)/(C)は、0.5以上であり、1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましい。上限としては、3.0以下であり、2.8以下が好ましく、2.1以下がより好ましい。1.8以下がさらに好ましい。範囲としては、0.5~3.0であり、1~2.8が好ましく、1.2~2.1がより好ましく、1.3~1.8がさらに好ましい。この範囲であると、充填時の離形性、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0030】
本発明に用いられる成分(B)に対する成分(A)と成分(C)合計の含有質量割合〔(A)+(C)〕/(B)は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。上限としては、2.3以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。1以下がさらに好ましい。範囲としては、0.5~2.3が好ましく、0.6~1.3がより好ましく、0.7~1.0がさらに好ましい。この範囲であると、色もち、離型性の点でより好ましい。
【0031】
本発明に用いられる成分(D)の着色粉体とは、通常化粧料に使用するものであればいずれのものも使用でき、無機粉体でも有機粉体でも、色相は特に限定はしない。例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の金属酸化物や、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機色素が挙げられる。またタルク、マイカ、セリサイト、無水ケイ酸、合成金雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ガラス末、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム等の白色無機体質粉体等、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン粉末の有機高分子樹脂粉体、金属石鹸粉体、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、アクリルデンプン、コメデンプン等のデンプン粉末、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、シリコーン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、ウレタン粉末等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物もしくは有機色素が好ましく、酸化鉄、赤202号、赤201号が好ましく、色持ち等の観点から赤202号がより好ましい。また、滑らかな伸び広がり、色もちの観点から、白色無機体質粉体、天然有機粉体が好ましい。特に、白色無機体質粉体の中でも、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、マイカ、セリサイト、合成金雲母、硫酸バリウムがより好ましく、天然有機粉体の中でも、セルロース粉末、デンプン粉末がより好ましい。
また、本発明に用いられる成分(D)着色粉体は、リン脂質、アミノ酸、アミノ酸誘導体、セラミド、デキストリン誘導体、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、フッ素化合物、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0032】
本発明における成分(D)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、0.01%以上が好ましく、1.25%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましい。上限としては、10%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.01~10%が好ましく、1.25~6%がより好ましく、1.5~3%がさらに好ましい。この範囲であると、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、色もち、製造過程での分離防止の点でより好ましい。
【0033】
本発明に用いられる成分(D)に対する成分(C)の含有質量割合(C)/(D)は、3以上が好ましく、7以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。上限としては、32以下が好ましく、25以下がより好ましい。20以下がさらに好ましい。範囲としては、3~32であり、7~25がより好ましく、11~20がさらに好ましい。この範囲であると、色もちの点でより好ましい。
【0034】
本発明に用いられる成分(D)に対する成分(C2)の含有質量割合(C2)/(D)は、1.0以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。上限としては、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。7以下がさらに好ましい。範囲としては、1.0~20であり、2.5~10がより好ましく、3~7がさらに好ましい。この範囲であると、色もち、製造過程での分離防止の点でより好ましい。
【0035】
本発明に用いられる成分(E)の多価アルコールは、分子内にヒドロキシル基を2つ以上有する構造をもつグリコールであり、炭素数3~12のグリコールがさらに好ましい。通常化粧料などに用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、メチレングリコール、グリコール(エチレングリコール)、プロピレングリコール、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール)、ジエチレングルコール、メチレンプロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソペンチルジオール、アミノエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブトキシジグリコール、リプロピレングリコール、エチルヘキサンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、1,2,6-ヘキサントリオール、フィタントリオール、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等が挙げられる。特にポリエチレングリコール鎖を含むグリコールの場合は、重合度20以下が好ましいが、特に限定しない。また、ポリグリセリンの場合は、重合度が3~10であるものが好ましいが、特に限定しない。
【0036】
本発明に用いられる成分(E)は、特に限定しないが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン、トリプロピレングリコールが好ましく、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオールがより好ましく、ジプロピレングリコールがさらに好ましい。
【0037】
本発明に用いられる成分(E)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、0.05%以上が好ましく、0.2%以上がより好ましく、0.25%以上がさらに好ましい。上限としては、1.5%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.05~1.5%が好ましく、0.2~0.8%がより好ましく、0.25~0.5%がさらに好ましい。この範囲であると、二次付着レス効果の速度、色もちの点でより好ましい。
【0038】
さらに本発明には、成分(F)揮発性油を用いることが好ましい。揮発性油としては、1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、揮発性炭化水素油として、軽質流動イソパラフィン、揮発性シリコーン油として、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられる。ここで軽質流動イソパラフィンは溶解度の基準として用いたものに限定されず用いることができる。
市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)が挙げられる。また、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーンTMF-1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF-96L-2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)などが挙げられる。
【0039】
本発明に用いられる成分(F)は、特に限定しないが、二次付着レス効果の速度、色もちの点で揮発性炭化水素油が好ましく、さらに、軽質流動イソパラフィンを用いることがより好ましい。
【0040】
本発明に用いられる成分(F)の含有量は、油性棒状化粧料全量に対し、下限としては、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましい。上限としては、15%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。範囲としては、1~15%が好ましく、2~12%がより好ましく、4~10%がさらに好ましい。この範囲であると、滑らかな伸び広がり、色もち、製造過程での分離防止の点でより好ましい。
【0041】
本発明は、さらに、色持ち、滑らかな伸び広がりの観点から、成分(G)植物由来の骨格を有する樹脂、及び植物抽出樹脂から選ばれる1種又は2種以上を含有することがより好ましい。特に限定しないが、例えば、植物由来の母体であるイソステアリン酸デキストリン等のデキストリン系樹脂;植物から樹脂分を分画した植物抽出樹脂として、例えば、キャンデリラ樹脂、カルナウバロウエキス樹脂等の、油溶性樹脂が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。市販品としては、例えば、キャンデリラ樹脂E-1、E-2(日本ナチュラルプロダクツ社製)、TOWAX-1B4(東亜化成社製)、ユニフィルマHVY(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いられてもよい成分(G)の含有量は、特に限定されないが、油性棒状化粧料全量に対して、0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらにより好ましい。また、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、8%以下がさらにより好ましい。また、0.1~30%が好ましく、0.3~20%がより好ましく、0.5~8%がさらにより好ましい。この範囲であれば、色持ち、滑らかな伸び広がりに優れるため好ましい。
【0043】
本発明の油性棒状化粧料は、上記の成分(A)~(G)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、前記成分(B)、(C)、(F)以外の油性成分、界面活性剤、繊維、アルコール類、前記成分(A)以外の油性固化剤、水溶性高分子、(G)以外の樹脂による皮膜形成剤、成分(E)以外の保湿剤等の水性成分、糖類、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、成分(E)以外の防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0044】
本発明の油性棒状化粧料は、以下の製法で製造することができる。
具体的には、成分(A)を融点以上で溶解する工程を含み、成分(C)及び(D)を前記成分(A)の融点以上の温度で均一にて添加混合したものと成分(B)を添加し、容器に充填して得ることができるが、この製造方法に限定されるものではない。好ましい工程に関しては、前記製造方法は、以下の工程1~4を有する油性棒状化粧料の製造方法であり、具体的には、
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程、
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程、
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程を有する。
工程1における温度は成分(A)の融点以上の温度であれば特に制限されないが、例えば、70~130℃が好ましく、80~110℃がより好ましい。また工程1において、成分(B)と(C)はそれぞれ別個に成分(A)と混合してもよいが、事前に成分(C)と成分(D)を混合してから添加して成分(A)と混合することが好ましい。このような工程により、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果に優れるため好ましい。このように工程1において、成分(A)と、成分(C)、(D)を混合することが必要であり、例えば成分(D)を工程1で添加しなかった場合には、工程内分離防止の観点で劣る場合がある。
工程2の工程(2-1)での混合物の分散処理、さらに成分(B)を添加した後の分散処理、工程(2-2)での混合物に成分(B)を添加した後の分散処理において用いる機器に関しては、通常化粧料の製造に使用する分散機器であれば特に限定されないが、ヘンシェルミキサー、ニーダー、ビーズミル・ボールミル等のメディア分散機、メディアレスナノ高圧分散機、石臼式摩砕機、ロールミル、ホモジナイザー、アジデスパ-、トリプルミキサー、ウルトラミキサー、高粘度ミキサー等自公転を活用した機器等が挙げられ、ビーズミル・ボールミル等のメディア分散機、メディアレスナノ高圧分散機、石臼式摩砕機、ロールミルが好ましい。中でも、高剪断分散処理をする機器を用いた高剪断分散処理が好ましい。高剪断分散処理をする機器として、ビーズミル・ボールミル等のメディア分散機、メディアレスナノ高圧分散機、石臼式摩砕機、ロールミル、自公転を活用した機器がより好ましい。このような工程により、色持ち、滑らかな伸び広がりに優れるため好ましい。本発明の油性棒状化粧料は、二次付着レス効果の発現速度が速いことが重要であるが、油性棒状化粧料を塗布後に成分(B)が急速に塗布膜表面に分離し、成分(A)、成分(C)、成分(D)を含む相が、皮膚の近傍に急速に移動することが重要である。ただし、工程内で分離した状態の場合、使用中の滑らかな伸び広がり、充填時の離形性や、経時安定性に影響するため、工程内ではより均一に混合されていることが好ましく、相反する効果を同時に満たすために、工程2において工夫することが好ましい。具体的には、工程(2-1)は、予め成分(D)が均一に分散された油相中に特定の温度で成分(B)を添加する工程であり、成分(B)をなおかつ均一に後から混合する工程であるが、工程(2-1)のほうが、工程内分離防止の観点から好ましい。なお、工程(2-1)における成分(B)の添加温度は、30~110℃であり、60~110℃が好ましく、60~90℃がより好ましい。この範囲であると、成分(B)とその他成分との相溶性の悪さから成分(D)を含む油相成分の再凝集を促すことがなく、二次付着レス効果の速度が速く、かつ、成分の工程内分離防止、離形性を両立できるため好ましい。また工程(2-1)において、工程1で得られた混合物を分散するときの温度は5~80℃であり、10~60℃がより好ましい。
成分(E)は、工程1又は工程2のいずれか一方に添加混合又は分散してもよく、工程1及び工程2の双方において添加混合又は分散してもよいが、工程1において添加混合することが、色持ち及び滑らかな伸び広がりにおいてより優れるため好ましい。成分(F)を使用する場合も、工程1又は工程2のいずれか一方に添加混合又は分散してもよく、工程1及び工程2の双方において添加混合又は分散してもよいが、工程2において添加分散することが、滑らかな伸び広がりにおいてより優れるため好ましい。
工程3の容器に関しては、ゴムモールド容器、金型容器、プラスチック容器等に充填することができるが、ゴムモールド容器又は金型容器が好ましく、ゴムモールド容器がより好ましい。このような工程により、油性棒状化粧料の充填時の離形性に優れ、なおかつ経時の安定性にも優れるため好ましい。
なお、各工程においては、記載される成分以外の他の成分が含まれることを制限するものではない。
工程4では、工程3で容器に充填された化粧料組成物を冷却して固化させる。その温度は特に制限されないが、例えば-20~0℃程度である。
【0045】
本発明の油性棒状化粧料は、固形であれば特に限定されず、口紅、リップグロスなどの口唇化粧料、ファンデーション、コンシーラー、アイライナー、アイカラー、ほほ紅等に用いることができる。中でも、本発明の油性棒状化粧料の色持ちのよさ、滑らかな伸び広がりの良さは、日常的に動きの多い部位であり、柔らかい部位で滑らかに塗布することで唇への化粧料である多い口唇化粧料において好適に使用できる。
【0046】
なお、本発明は以下の構成を採用することもできる。
[1]
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合、(B)/(C)が0.5~3.0である、
油性棒状化粧料の製造方法であって、
以下の工程1~4を有する油性棒状化粧料の製造方法。
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30℃~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
[2]
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種または2種以上である[1]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[3]
前記成分(E)の含有量が、0.05~1.5質量%である[1]又は[2]に記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[4]
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満の不揮発性液状エステル油及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油を含有する[1]~[3]のいずれかに記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[5]
前記工程1及び/又は2の工程において、さらに成分(F)揮発性油を添加する[1]~[4]のいずれかに記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[6]
前記工程2が、前記(2-1)の工程である[1]~[5]のいずれかに記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[7]
前記工程2における分散処理が、高剪断分散処理である[1]~[6]のいずれかに記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[8]
前記工程3における化粧料組成物を充填する容器が、ゴムモールド又は金型である[1]~[7]のいずれかに記載の油性棒状化粧料の製造方法。
[9]
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が0.5~3.0であって、
以下の工程1~4;
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程
を含む製造方法によって得られる油性棒状化粧料。
[10]
前記成分(B)の含有量が、25~55質量%である[9]に記載の油性棒状化粧料。
[11]
前記成分(B)が、(B1)メチルフェニルポリシロキサン及び(B2)ジメチルポリシロキサンを含む[9]又は[10]に記載の油性棒状化粧料。
[12]
前記成分(C)が、(C1)25℃において粘度1,000mPa・s未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び(C2)25℃において粘度10,000mPa・s以上の不揮発性液状エステル油から選ばれる1種または2種以上である[9]~[11]のいずれかに記載の油性棒状化粧料。
[13]
前記成分(B2)に対する前記成分(B1)の平均動粘度割合、(B1)/(B2)が、1~250である[9]~[12]のいずれかに記載の油性棒状化粧料。
[14]
前記成分(C)が、(C1)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、並びに(C2)(VP/ヘキサデセン)コポリマー、及びダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリルから選ばれる1種または2種以上を含む[9]~[13]のいずれかに記載の油性棒状化粧料。
[15]
さらに前記成分(E)が、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン及びトリプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である[9]~[14]のいずれかに記載の油性棒状化粧料。
[16]
さらに成分(F)として揮発性油を含有する[9]~[15]のいずれかに記載の油性棒状化粧料。
【実施例】
【0047】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1~47及び比較例1~4:油性棒状口紅
下記表1~5に示す処方の棒状口紅を製造方法1にて調製し、(イ)二次付着レス効果の速度、(ロ)色持ち、(ハ)滑らかな伸び広がり、(二)工程内分離防止、(ホ)離形性について下記評価方法により評価した。
【0048】
【表1】
*1 CIREWAX90 (CIREBELLE社製)
*2 CIREWAX80 (CIREBELLE社製)
*3 CB303 (SONNEBORN社製)
*4 精製キャンデリラワックス SR-3 (日本ナチュラルプロダクツ製)
*5 TOWAX 1F-6 (東亜化学製)
*6 WHITE BEES WAX (三木化学製)
*8 KF-54 (信越化学工業社製)
【0049】
【表2】
*9 BELSIL PDM 1000 (旭化成ワッカー社製)
*10 DOWSILSH 556 Fluid (東レダウ社製)
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
《製造方法》
(製造方法1)(配合量記載のないNo.の原料は、含まれないものとして考える。)
工程1:
a.成分(1)~(7)(成分(A)他)を、均一に融点以上の温度80~110℃にて溶解する。
b.成分(15)~(22)(成分(C))と成分(24)~(25)(成分(D))を混合分散する。
c.aにbを加え、さらに、成分(23)、成分(26)~(28)(成分(E))を加え、80~110℃にて加熱混合する。
工程2(2-1):
d.cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
e.dに成分(8)~(14)(成分(B)他)、成分(29)(成分(F))を加え、80℃にて加熱混合する。(化粧料組成物)
工程3:
f.eを(成分(A)他)の融点以上の100℃以上にて攪拌しながら口紅のゴムモールド(12Φ)容器に充填する。
工程4:
g.fを-10℃にて冷却し油性棒状口紅を得た。
【0054】
実施例1-2~実施例1-12
下記表6に示す油性棒状口紅を製造方法2~12にて調整し、(イ)二次付着レス効果の速度、(ロ)色持ち、(ハ)滑らかな伸び広がり、(二)工程内分離防止、(ホ)離形性について同様に下記評価方法により評価し、実施例1(製造方法1)と比較した。
【0055】
【0056】
《製造方法》
(製造方法2)
(製造方法1)の工程において、工程1:bを
「b.aに成分(15)~(22)(成分(C))、成分(24)~(25)(成分(D))、成分(26)~(28)(成分(E))、成分(23)を各々加え、110℃にて混合する。」
工程にかえて製造した。
【0057】
(製造方法3)
(製造方法1)の工程において、工程2(2-1):eを
「e.dに成分(8)~(14)(成分(B)他)、成分(29)(成分(F))を加え、110℃にて加熱混合する。(化粧料組成物)」
工程にかえて製造した。
【0058】
(製造方法4)
(製造方法1)の工程において、工程2(2-1):eを
「e.dに成分(8)~(14)(成分(B)他)、成分(29)(成分(F))を加え、30℃にて加熱混合する。(化粧料組成物)」
工程にかえて製造した。
【0059】
(製造方法5)
(製造方法1)の工程において、工程1:cを
「c.aにbを加え、さらに、成分(23)、成分(26)~(28)(成分(E))を加え、110℃にて加熱混合し、成分(29)(成分(F))を加え、70℃にて加熱混合する。
e.工程から成分(29)(成分(F))を加える工程を削除した。」
工程にかえて製造した。
【0060】
(製造方法6)
(製造方法1)の工程において、工程2(2-1):eを
「e.dに成分(8)~(14)(成分(B)他)を加え、80℃にて加熱混合し、成分(29)(成分(F))を加え40℃にて添加混合する。(化粧料組成物)」
工程にかえて製造した。
【0061】
(製造方法7)
(製造方法1)の工程において、工程2(2-1):eを
「e.dに成分(8)~(14)(成分(B)他)、成分(29)(成分(F))を加え、成分(E)をc.工程における添加から削除し、e.工程に移し80℃にて加熱混合する。(化粧料組成物)」
工程にかえて製造した。
【0062】
(製造方法8)
(製造方法1)の工程において、工程3:fを
「f.eを(成分(A)他)の融点以上の100℃以上にて攪拌しながら口紅の金型ステンレス製12φ容器に充填する。」
工程にかえて製造した。
【0063】
(製造方法9)
(製造方法1)の工程において、工程3:fを
「f.eを(成分(A)他)の融点以上の100℃以上にて攪拌しながら口紅のPP材質のカプセル12φ容器に充填する。」
工程にかえて製造した。
【0064】
(製造方法10)
(製造方法1)の工程において、工程2(2-1):dを
「d.cを10℃~60℃にて均一に高粘度ミキサーにて混合分散する。」
工程にかえて製造した。
【0065】
(製造方法11)
(製造方法1)の工程において、
工程1:cを
「c.aにbを加え、さらに、成分(23)、成分(26)~(28)(成分(E))を加え、110℃にて加熱混合し、」
工程2(2-2)として:dを、
[d.成分(8)~(14)(成分(B)他)を加え、80℃にて加熱混合する。10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。」工程とし、
eから「dに工程から成分(8)~(14)(成分(B)他)を加える工程」を削除し、
「e.成分(29)(成分(F))を加え、80℃にて加熱混合する。(化粧料組成物)」
工程にかえて製造した。
【0066】
(製造方法12)
(製造方法1)の工程において、
工程1:cを
「c.aにbを加え、さらに、成分(23)、成分(26)~(28)(成分(E))を加え、110℃にて加熱混合し、成分(29)(成分(F))を加え、80℃にて加熱混合する。」工程とし、
工程2(2-2)として:dを、
[d.成分(8)~(14)(成分(B)他)を加え、80℃にて加熱混合する。10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。(化粧料組成物)」工程とし、
eを削除した工程にかえて製造した。
【0067】
(評価方法)
(イ)二次付着レス効果の速度
(ロ)色持ち
(ハ)滑らかな伸び広がり
下記(イ)~(ハ)の項目について、各試料について化粧品評価専門パネル12名による使用テストを行った。パネル各人が実施例及び比較例の油性棒状口紅を使用し、下記絶対評価基準にて5段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し下記判定基準により判定した。(イ)二次付着レス効果の速度に関しては、各試料を口唇に塗布1分後にティッシュオフを実施し、二次付着が抑制されたと感じたかどうか、(ロ)色持ちに関しては、各試料を口唇に塗布し、8時間後に色持ちを感じたかどうか、(ハ)滑らかな伸び広がりに関しては、各試料を口唇に塗布した際に滑らかに伸び広がったかどうかを評価した。
【0068】
<評価項目>
(イ)二次付着レス効果の速度
(ロ)色持ち
(ハ)滑らかな伸び広がり
【0069】
<絶対評価基準>
(評点) :(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :どちらでもない
2 :悪い
1 :非常に悪い
<5段階判定基準>
(判定) :(評価)
AA :4.5以上
A :4.0点以上4.5点未満
B :3.5点以上4.0点未満
C :3.0点以上3.5点未満
D :3.0点未満
【0070】
(二)工程内分離防止
工程内分離防止については、充填直前における分離の評価手法として前記実施例及び比較例の棒状化粧料を110℃にて溶解させた後、直径4cm、高さ8cmの円柱型ガラス瓶に50g充填し、加熱を加え続けた際の10分静置後における状態を観察し、以下の判定基準にて判定した。これらの評価は、実際の製造工程における工程内での油と色材の分離挙動を検証できるものである。
(工程内分離防止判定基準)
(判定) :(評価)
AA :化粧料に油の分離・色むらが見られない
A :化粧料の色むら・分離がわずか認められるが1回振とうして均
一となる
B :化粧料の色むら・分離が認められるが2回振とうして均一とな
る
C :化粧料に分離が認められ2回振とうしても不均一である
D :化粧料に分離が多く生じている
【0071】
(ホ)離形性
離形性については、棒状に成形した後における各試料を最後まで繰り出して外観を以下の基準で目視評価した。
(離形性判定基準)
(判定) :(評価)
AA :ハガレ、亀裂、折れ、欠けがほぼ見られない(外観に占める割合
が2.5%未満)
A :ハガレ、欠けのいずれかがわずかに見られる(外観に占める割合
が2.5~5%以下)
B :ハガレ、欠けが両方見られる(外観に占める割合が2.5~5%
以下)
C :ハガレ、欠けのいずれかがはっきりと見られ使用性に影響は少な
いが、製品の外観品質上許容できないレベルである(外観に占め
る割合が5~10%未満)
D :著しいハガレ、亀裂、折れ、欠けが認められ使用性に影響するレ
ベルである(外観に占める割合が10%以上)
【0072】
表1~5の結果から明らかなように、本発明の実施例1~47の油性棒状口紅は、比較例1~4の油性棒状に比べ、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性に優れたものであった。
一方、成分(A)がない比較例1では色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、離形性に欠け、更にそれに伴い満足のいくものが得られなかった。
また、成分(B)がない比較例2では、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、離形性に欠け、満足のいくものが得られなかった。
また、成分(C)がない比較例3では、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、離形性に欠け満足のいくものが得られなかった。
また、成分(E)がない比較例4では、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度に欠け満足のいくものが得られなかった。
【0073】
表6の結果から明らかなように、本発明の実施例1、1-8の油性棒状口紅は、実施例1-2~1-7、1-9~1-12の油性棒状に比べ、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性のすべてにおいて非常に優れたものであった。特に、実施例1は、表面模様においても好ましいものであった。
製造方法2の実施例1-2は、成分(C)と成分(D)を予め接触させないため、色持ちが少し低下する傾向がみられたものの、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法3の実施例1-3は、成分(B)の添加温度が高いため、工程1において生成されたものの流動性が高まり粘度が低下し、成分(B)と成分(D)が接触しやすくなり、工程内分離が少ししやすくなる傾向がみられたが、色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法4の実施例1-4は、成分(B)の添加温度が低いため、工程1において生成されたものの粘度が高く、成分(B)が混合しにくくなり、均一に混ざらないことで少し工程内分離しやすくなり、さらに滑らかな伸び広がりが少し低下する傾向がみられたが、色持ち、二次付着レス効果の速度、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法5の実施例1-5は、工程2ではなく工程1に成分(F)を添加するものであるが、滑らかな伸び広がりが少し低下する傾向がみられたが、色持ち、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法6の実施例1-6は、工程2において成分(F)の添加温度を下げた場合であるが、その前の組成物の粘度が高くなることにより、成分(F)が均一に混ざりにくく、成分(A)~(E)による連続したワックス結晶構造を壊してしまう傾向が若干見られたが、色持ち、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止において非常に優れたものであった。
製造方法7の実施例1-7は、工程1から工程2に成分(E)を添加に変更したものであるが、成分(D)と成分(E)との接触による、色持ち効果が少し低下するものの、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法9の実施例1-9は、工程3において容器を変更したものであるが、離形性により、さらに滑らかな伸び広がりにも影響したものの、色持ち、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止において優れたものであった。
製造方法10の実施例1-10は、工程2における分散機器の異なるものであるが、成分(D)の影響により、色持ちは少し影響したものの、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性において非常に優れたものであった。
製造方法11の実施例1-11、1-12は、工程2において成分(B)を後で添加する工程(2-1)ではなく、成分(B)を予め添加してから分散する工程(2-2)を取るため、分散中に成分(D)が分散している成分が、成分(B)により吐き出され、工程内分離を促進する傾向がみられ、離形性にも影響を及ぼすことがあった。さらに、成分(F)を、工程2より前に添加する工程とする製造方法12の実施例1-12は、さらに、色持ちや滑らかな伸び広がりを低下させる傾向がみられたが、二次付着レス効果の速度は維持されていた。
【0074】
実施例48:油性棒状アイシャドウ
成分 (%)
(1)ポリエチレンワックス(融点90℃)*12 6
(2)カルナバロウ(融点85℃)*5 0.5
(3)キャンデリラロウ(融点72℃)*4 1
(4)ジフェニルジメチコン (粘度:400cs(動粘度)
*1.08(密度)mPa・s)*8 28
(5)ジメチルポリシロキサン (粘度:100cs(動粘度)
*0.97(密度)mPa・s) 3
(6)ジメチルポリシロキサン (粘度:20cs(動粘度)
*0.97(密度)mPa・s) 6
(7)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2
(粘度550mPa・s) 15
(8)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル
(粘度12,500mPa・s) 10
(9)バニリルブチルエーテル 0.1
(10)ミネラルオイル 残量
(11)セルロース末 0.2
(12)オリーブ果実油 0.1
(13)ホホバ種子油 0.1
(14)ゴマ種子油 0.1
(15)赤色202号 1.5
(16)黄色4号 1
(17)青色1号 0.5
(18)赤酸化鉄 0.5
(19)黄酸化鉄 0.5
(20)黒酸化鉄 0.5
(21)テトライソスアリン酸ポリグリセリル-2(2%表面処理)
雲母チタン(干渉色:青色、平均粒子径 40μm) 6
(22)雲母チタン(干渉色:赤色、平均粒子径 20μm) 1
(23)トコフェロール 0.1
(24)マイカ(平均粒子径 20μm) 0.2
(25)l-メントール 0.5
(26)トリプロピレングリコール 0.4
(27)イソドデカン 5
*12: LIPWAX A-4(日本ナチュラルプロダクツ社製)
【0075】
A.成分(1)~(3)を均一に110℃にて溶解する。
B.成分(7)~(24)を混合分散する。
C.AにB及び成分(25)~(26)を加え、110℃にて混合する。
D. Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E. Dに成分(4)~(6)を加え80℃にて加熱混合する。(工程(2-1))
F. Eに成分(27)を加え80℃にて加熱混合する。
G. Fを100℃以上にて攪拌しながらゴムモールド(12Φ)容器に充填する。
H. Gを-10℃にて冷却し油性棒状アイシャドウを得た。
【0076】
実施例48の油性棒状アイシャドウは色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性に優れたものであった。
【0077】
実施例49:油性棒状コンシーラー
成分 (%)
(1)合成ワックス(融点80℃)*2 5
(2)ミツロウ(融点 63℃)*6 1
(3)コメヌカロウ(融点 78℃)*13 0.5
(4)イソステアリン酸デキストリン 1
(5)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 0.2
(6)トリメチルシロキシフェニルジメチコン
(粘度100mPa・s)*9 20
(7)ジメチルポリシロキサン((粘度:100cs(動粘度)
*0.97(密度)mPa・s) 10
(8)ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10
(粘度4,500mPa・s) 17
(9)リンゴ酸ジイソステアリル(粘度2500mPa・s) 10
(10)バラ果実油 1
(11)ジステアラルジモニウムヘクトライト 0.5
(12)ジメチルシリル化シリカ 0.4
(13)チャ花エキス 0.1
(14)オリーブスクワラン 0.1
(15)カニナバラ果実油 0.1
(16)マカデミアナッツ油 残量
(17)ホホバ種子油 1
(18)ラウロイルリジン(2%表面処理)赤酸化鉄 0.7
(19)ラウロイルリジン(2%表面処理)黄酸化鉄 0.4
(20)ラウロイルリジン(2%表面処理)黒酸化鉄 0.1
(21)ラウロイルリジン(2%表面処理)酸化チタン 0.5
(22)無水ケイ酸(球状、平均粒子径 10μm) 1
(23)ジプロピレングリコール 0.4
(24)イソドデカン 5
*13:ライスワックス SS-I(ボーソー油脂社製)
【0078】
A.成分(1)~(5)を均一に110℃にて溶解する。
B.成分(8)~(22)を混合分散する。
C.AにB及び成分(23)を加え、110℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(6)~(7)を加え80℃にて加熱混合する。(工程(2-1))
F.Eに成分(24)を加え80℃にて加熱混合する。
G.Fを100℃以上にて攪拌しながらゴムモールド(12Φ)容器に充填する。
H.Gを-10℃にて冷却し油性棒状コンシーラーを得た。
【0079】
実施例49の油性棒状コンシーラーは色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性に優れたものであった。
【0080】
実施例50:油性棒状チーク
成分 (%)
(1)(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点95℃) 7
(2)キャンデリラロウ(融点 72℃)*4 1.5
(3)エチルセルロース 0.5
(4)ジメチルポリシロキサン (粘度:100cs(動粘度)
*0.97(密度)(mPa・s)) 10
(5)フェニルトリメチコン(粘度:20cs(動粘度)
* 0.98(密度)(mPa・s))*10 25
(6)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2
(粘度550mPa・s) 20
(7)テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2
(粘度750mPa・s) 5
(8)(VP/ヘキサデセン)コポリマー
(粘度10,700mPa・s) 10
(9)サンショウエキス 0.05
(10)レシチン 0.5
(11)ミネラルオイル 残量
(12)マイカ(平均粒子径 15μm) 3
(13)タルク(平均粒子径 5μm) 3
(14)青色1号 0.05
(15)赤色202号 1
(16)赤色226号 1
(17)ポリ乳酸(球状、平均粒子径 15μm) 1
(18)精製水 0.01
(19)ヒアルロン酸Na 0.1
(20)ジプロピレングリコール 0.4
(21)イソヘキサデカン 8
【0081】
A.成分(1)~(3)を均一に110℃にて溶解する。
B.成分(6)~(17)を混合分散する。
C.AにB及び成分(18)~(20)を加え、110℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(4)~(5)を加え80℃にて加熱混合する。(工程(2-1))
F.Eに成分(21)を加え80℃にて加熱混合する。
G.Fを100℃以上にて攪拌しながらゴムモールド(12Φ)容器に充填する。
H.Gを-10℃にて冷却し油性棒状チークを得た。
【0082】
実施例50の油性棒状チークは色持ち、滑らかな伸び広がり、二次付着レス効果の速度、工程内分離防止、離形性に優れたものであった。
【要約】
本発明は、二次付着レス効果の速度、色持ち、滑らかな伸び広がりに優れた品質でありながらも、化粧料の製造工程中の分離を抑制し、充填時には優れた離形性を有する油性棒状化粧料の提供を課題とする。
本発明の課題を解決した油性棒状化粧料の製造方法は、次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
(B)25℃における動粘度が20~10,000mm2/sである不揮発性シリコーン油
(C)不揮発性液状エステル油
(D)着色粉体
(E)多価アルコール
を含有し、
前記成分(B)の前記成分(C)に対する含有質量割合、(B)/(C)が0.5~3.0である、
油性棒状化粧料の製造方法であって、以下の工程1~4を有する油性棒状化粧料の製造方法である。
工程1:前記成分(A)を成分(A)の融点以上で溶解し、前記成分(C)及び成分(D)を添加して混合する工程
工程2:(2-1)前記工程1で得られた混合物を5~80℃にて分散し、さらに30℃~110℃にて前記成分(B)を添加して分散し化粧料組成物を得る工程、又は、
(2-2)前記工程1で得られた混合物に、前記成分(B)を添加し、30~110℃にて分散し、化粧料組成物を得る工程
(但し、前記成分(E)は、工程1及び/又は2の工程において添加混合又は分散される)
工程3:前記工程2で得られた化粧料組成物を80~110℃で加熱し、攪拌しながら容器に充填する工程
工程4:前記工程3で得られた容器に充填された化粧料組成物を冷却する工程