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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】車両のカウルグリル構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20250326BHJP
【FI】
B62D25/08 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021034253
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134827
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】茂木 芳成
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳
(72)【発明者】
【氏名】森川 秀和
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-006820(JP,A)
【文献】特開2019-069739(JP,A)
【文献】特開2009-083637(JP,A)
【文献】特開平04-283171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウインドシールドの下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、
上記ダッシュパネルの車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
上記フロントサイドフレームに固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部と、
車両前後方向において上記サスペンションタワー部と上記ダッシュパネルとの間に設けられる補機類と、
上記フロントウインドシールドの下方で、かつ、上記ダッシュパネルの車両前方に位置するカウルグリルと、を備え、
上記カウルグリルは、
上記フロントウインドシールドの下方において車幅方向に延びて当該フロントウインドシールドを滴下する水を受けるメンバ部と、
上記メンバ部の前方に位置し、上記補機類の上方を覆うカバー部と、
上記カバー部から下方に延びエンジン側の空間と補機類側の空間とを仕切る仕切部と、
車幅方向に延びてボンネットと接触し、車外空間とエンジンルームとの間をシールするカウルシールと、を備え、
上記メンバ部は、車幅方向および車両前後方向に延び車両前方から車両後方に向けて上方に傾斜する上壁部と、上記上壁部の後端から下方に延びる後側縦壁部と、上記後側縦壁部から後方向けて上方に延びる辺部とを備え、
上記カウルシールは、上記メンバ部の前部に位置し、
上記上壁部には、該上壁部の前部から上記ボンネット側に延びるカウルシール取付け部が設けられ、
上記上壁部の後端は、上記カウルシール取付け部に取り付けられる上記カウルシールよりも高い位置に位置し、
上記上壁部の上記前部から上記後端まで上方に連続して傾斜する構成とし、
上記メンバ部は上記カウルシール取付け部も含めて一体形成され、
上記カバー部は、板状部材で構成され当該カバー部上方の空間と当該カバー部下方の空間とを遮熱するように設けられたことを特徴とする
車両のカウルグリル構造。
【請求項2】
上記カバー部は、無孔構造に形成された
請求項1に記載の車両のカウルグリル構造。
【請求項3】
上記カバー部は、タルク強化樹脂または繊維強化樹脂で構成された
請求項1または2に記載の車両のカウルグリル構造。
【請求項4】
上記カウルシールの車幅方向端部は、上記ボンネットを支持するボンネットヒンジの近傍に位置する
請求項1~3の何れか一項に記載の車両のカウルグリル構造。
【請求項5】
上記カウルシールの車幅方向中央部は、上記カバー部の車両前後方向中央部に対して車両後方に位置する
請求項1~4の何れか一項に記載の車両のカウルグリル構造。
【請求項6】
上記カバー部は、上記カウルシールを取付けるカウルシール取付け部の上下方向位置に対して下方に位置する
請求項1~5の何れか一項に記載の車両のカウルグリル構造。
【請求項7】
上記カバー部は、上記カウルシールより下方に配設され、
上記仕切部と上記カバー部との間には遮熱シール材が介設された
請求項1~6の何れか一項に記載の車両のカウルグリル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のカウルグリル構造に関し、詳しくは、フロントウインドシールドの下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、上記ダッシュパネルの車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、上記フロントサイドフレームに固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部と、車両前後方向において上記サスペンションタワー部と上記ダッシュパネルとの間に設けられる補機類と、上記フロントウインドシールドの下方で、かつ、上記ダッシュパネルの車両前方に位置するカウルグリルと、を備えた車両のカウルグリル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の車両のカウルグリル構造としては、特許文献1に開示されたものがある。
すなわち、熱害に弱いバッテリ等の補機類を、サスペンションハウジングのトップ部とダッシュロアパネルとの間に配設し、上述の補機類の上方をカウルグリルのカバー部で覆うと共に、カバー部の前端には、ボンネットと当該カバー部との間をシールするカウルシールを設け、補機類をエンジンによる熱害から保護する構造が開示されている。
【0003】
この従来構造においては、カバー部の前端にカウルシールが配置されているので、熱害に弱い補機類の上方空間を効果的にクールゾーン(cool zone)と成すことができて有利である反面、次のような問題点があった。
【0004】
つまり、カウルグリルには、外気導入孔から吸入した空気の通路と、排水の通路とを設ける必要があり、補機類への被水抑制と、外気導入孔に連通する空気通路下流端の給気口への水侵入抑制とを図るために、当該従来構造においては、排水ダクトを形成すると共に、空気通路をラビリンス構造と成している。
【0005】
このため、カウルグリルの成形性が複雑化して、材料コストが大となるのみならず、カウルグリルの質量が増加するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-43602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、カバー部の構造を複雑化させることなく、補機類の被水防止と熱害防止との両立を図ることができる車両のカウルグリル構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両のカウルグリル構造は、フロントウインドシールドの下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、上記ダッシュパネルの車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、上記フロントサイドフレームに固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部と、車両前後方向において上記サスペンションタワー部と上記ダッシュパネルとの間に設けられる補機類と、上記フロントウインドシールドの下方で、かつ、上記ダッシュパネルの車両前方に位置するカウルグリルと、を備え、上記カウルグリルは、上記フロントウインドシールドの下方において車幅方向に延びて当該フロントウインドシールドを滴下する水を受けるメンバ部と、上記メンバ部の前方に位置し、上記補機類の上方を覆うカバー部と、上記カバー部から下方に延びエンジン側の空間と補機類側の空間とを仕切る仕切部と、車幅方向に延びてボンネットと接触し、車外空間とエンジンルームとの間をシールするカウルシールと、を備え、上記メンバ部は、車幅方向および車両前後方向に延び車両前方から車両後方に向けて上方に傾斜する上壁部と、上記上壁部の後端から下方に延びる後側縦壁部と、上記後側縦壁部から後方向けて上方に延びる辺部とを備え、上記カウルシールは、上記メンバ部の前部に位置し、記上壁部には、該上壁部の前部から上記ボンネット側に延びるカウルシール取付け部が設けられ、上記上壁部の後端は、上記カウルシール取付け部に取り付けられる上記カウルシールよりも高い位置に位置し、上記上壁部の上記前部から上記後端まで上方に連続して傾斜する構成とし、上記メンバ部は上記カウルシール取付け部も含めて一体形成され、上記カバー部は、板状部材で構成され当該カバー部上方の空間と当該カバー部下方の空間とを遮熱するように設けられたものである。
上述の補機類は、バッテリに設定してもよく、カウルシールとしてはウエザストリップを用いてもよい。
【0009】
上記構成によれば、上述のメンバ部の前部に、車外空間とエンジンルームとの間をシールするカウルシールが配設されるので、メンバ部の前方に位置するカバー部は被水しない。カバー部が被水しないので、当該カバー部の複雑化を抑制することができる。
【0010】
また、カバー部は当該カバー部上方の空間と当該カバー部下方の空間とを遮熱するので、補機類を熱害から保護することができる。
要するに、カバー部の構造を複雑化させることなく、補機類の被水防止効果と熱害防止効果との両立を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記カバー部は、無孔構造に形成されたものである。
上記構成によれば、カバー部は孔がない無孔構造であるから、カバー部の上方空間の空気が、補機類が位置するカバー部の下方空間に連通することを抑制し、補機類のさらなる熱害防止効果を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記カバー部は、タルク強化樹脂または繊維強化樹脂で構成されたものである。
上述の繊維強化樹脂としてはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)が好ましい。
上記構成によれば、カバー部の耐熱性および遮熱性を向上でき、補機類のさらなる熱害防止効果を図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記カウルシールの車幅方向端部は、上記ボンネットを支持するボンネットヒンジの近傍に位置するものである。
上記構成によれば、カウルシールにてボンネット支持剛性の向上を図ることができる。
【0014】
詳しくは、ボンネットは前端車幅方向中央のストライカと、後端車幅方向左右両側のヒンジとの3点で車体に支持されており、ボンネット閉時には、ボンネット後端側がカウルシールで支持される。
そこで、仮にカウルシールがボンネットヒンジ位置に対して大きく前方に離間して位置する場合には、カウルシールによるボンネットの支持剛性が低下し、車両走行時にボンネットの後端が浮き振れする。
【0015】
従来構造にあっては、ボンネットの浮き振れを抑制するために、ボンネットそれ自体をレインフォースメント等により過度に補強していたが、本実施態様では、カウルシール位置の特定により、ボンネットの過度な補強を必要とすることなく、ボンネットの支持剛性向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記カウルシールの車幅方向中央部は、上記カバー部の車両前後方向中央部に対して車両後方に位置するものである。
上記構成によれば、カウルシールの車幅方向中央部によりボンネット支持効果の向上を図ることができる。
【0017】
詳しくは、上述のカバー部を取外してメンテナンスを行なう際のメンテナンス用の開口面積を広く確保したいという要請があると共に、カウルグリルのメンバ部に形成される外気導入孔の面積をも広く確保したいという要請がある。
【0018】
そこで、カウルシールの車幅方向中央部の前後位置を上記の如く特定することで、メンテナンス用の開口面積の確保と、外気導入孔の面積の確保とを両立させつつ、カウルシールの車幅方向中央部により、ボンネット支持効果の向上を図るものである。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記カバー部は、上記カウルシールを取付けるカウルシール取付け部の上下方向位置に対して下方に位置するものである。
上記構成によれば、カウルシール取付け部に設けられるカウルシールと、カバー部との間、換言すれば、ボンネット下面とカバー部との間には、上下方向の空間が形成されることになり、歩行者保護に対して有利となる。要するに、カバー部による遮熱構造の確保と、歩行者保護との両立を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記カバー部は、上記カウルシールより下方に配設され、上記仕切部と上記カバー部との間には遮熱シール材が介設されたものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、カバー部の構造を複雑化させることなく、補機類の被水防止と熱害防止との両立を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のカウルグリル構造を備えた車両の要部平面図。
図2図1からフロントウインドシールド、カウルグリルを取外した状態で示す車両の要部平面図。
図3図1のA-A線に沿う要部の矢視断面図。
図4図1のB-B線に沿う要部の矢視断面図。
図5】カバー部を示す斜視図。
図6】カウルグリルのメンバ部を示す拡大断面図。
図7】車両のカウルグリル構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
カバー部の構造を複雑化させることなく、補機類の被水防止と熱害防止との両立を図るという目的を、フロントウインドシールドの下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、上記ダッシュパネルの車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、上記フロントサイドフレームに固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部と、車両前後方向において上記サスペンションタワー部と上記ダッシュパネルとの間に設けられる補機類と、上記フロントウインドシールドの下方で、かつ、上記ダッシュパネルの車両前方に位置するカウルグリルと、を備え、上記カウルグリルは、上記フロントウインドシールドの下方において車幅方向に延びて当該フロントウインドシールドを滴下する水を受けるメンバ部と、上記メンバ部の前方に位置し、上記補機類の上方を覆うカバー部と、上記カバー部から下方に延びエンジン側の空間と補機類側の空間とを仕切る仕切部と、車幅方向に延びてボンネットと接触し、車外空間とエンジンルームとの間をシールするカウルシールと、を備え、上記メンバ部は、車幅方向および車両前後方向に延び車両前方から車両後方に向けて上方に傾斜する上壁部と、上記上壁部の後端から下方に延びる後側縦壁部と、上記後側縦壁部から後方向けて上方に延びる辺部とを備え、上記カウルシールは、上記メンバ部の前部に位置し、記上壁部には、該上壁部の前部から上記ボンネット側に延びるカウルシール取付け部が設けられ、上記上壁部の後端は、上記カウルシール取付け部に取り付けられる上記カウルシールよりも高い位置に位置し、上記上壁部の上記前部から上記後端まで上方に連続して傾斜する構成とし、上記メンバ部は上記カウルシール取付け部も含めて一体形成され、上記カバー部は、板状部材で構成され当該カバー部上方の空間と当該カバー部下方の空間とを遮熱するように設けられるという構成にて実現した。
【実施例
【0023】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のカウルグリル構造を示し、図1は当該カウルグリル構造を備えた車両の要部平面図、図2図1からフロントウインドシールド、カウルグリルを取外した状態で示す車両の要部平面図、図3図1のA-A線に沿う要部の矢視断面図、図4図1のB-B線に沿う要部の矢視断面図である。
また、図5はカバー部を示す斜視図、図6はカウルグリルのメンバ部を示す拡大断面図、図7は車両のカウルグリル構造を示す斜視図である。
【0024】
車両のカウルグリル構造の説明に先立って、まず、前部車体構造について説明する。
図3図4図7に示すように、エンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル3を設けている。このダッシュロアパネル3は車幅方向に延びており、当該ダッシュロアパネル3の車幅方向左右両端部は、図示しないヒンジピラーに連結されている。
【0025】
図2に示すように、上述のダッシュロアパネル3の車幅方向中央下部には、フロントフロアパネル4のフロアトンネル5と連続するトンネル部3aが形成されている。
図2に示すように、フロントフロアパネル4におけるフロアトンネル5と後述するサイドシル8との間の車幅方向中間上面にはフロアフレーム6を接合固定し、当該フロアフレーム6とフロントフロアパネル4との間に、車両前後方向に延びるフロアフレーム閉断面を形成して、下部車体剛性の向上を図っている。
【0026】
また、図2に示すように、フロアトンネル5の上面部にはトンネルレインフォースメント7を接合固定し、該トンネルレインフォースメント7とフロアトンネル5との間に、車両前後方向に延びる閉断面を形成して、フロアトンネル5の剛性向上を図っている。
【0027】
上述のダッシュロアパネル3の車幅方向左右両側部には、車両の上下方向に延びる左右のヒンジピラーが立設されている。このヒンジピラーは、ヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を有する車体強度部材である。
【0028】
上述のヒンジピラーの下端部には、図1図2に示すように、当該下端部から車両後方に延びるサイドシル8が設けられている。このサイドシル8はサイドシルインナとサイドシルアウタとを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体強度部材である。
【0029】
また、図1図2に示すように、上述のヒンジピラーの上端部には、当該上端部から後方かつ上方へ斜め方向に延びるフロントピラー9が設けられている。このフロントピラー9はフロントピラーインナとフロントピラーアウタとを接合固定して、車両の後上方向に斜めに延びるフロントピラー閉断面を備えた車体強度部材である。
【0030】
図1に示すように、左右一対のフロントピラー9,9と、車両上部前側に位置するフロントヘッダと、後述するカウルパネル23とで囲繞形成されたフロントウインドシールド配置用の開口部10には、フロントウインドシールド11(いわゆる、フロントウインドガラス)が設けられている。
【0031】
ここで、上述のダッシュロアパネル3は、フロントウインドシールド11の下端部に位置し、車幅方向に延びてエンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るパネル部材である。
【0032】
一方、図1図2図7に示すように、上述のヒンジピラーの上端前部には、当該上端前部から車両前方に延びるエプロンレインフォースメント12が設けられている。
図1図2図7に示すように、ダッシュロアパネル3の車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム13を設けている。このフロントサイドフレーム13は上述のエプロンレインフォースメント12に対して車幅方向内側で、かつ車両上下方向の下側に位置している。
【0033】
また、上述のフロントサイドフレーム13は、フロントサイドフレームインナとフロントサイドフレームアウタとを接合固定して、車両の前後方向に延びるフロントサイドフレーム閉断面を備えた車体強度部材である。
【0034】
図7に示すように、上述のフロントサイドフレーム13に固定されて上方に突出し、図示しないフロントサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部14を設けている。同図に示すように、このサスペンションタワー部14は、エプロンレインフォースメント12の内側面を構成するサイドパネル15と、上述のフロントサイドフレーム13との間に跨がって取付けられている。ここで、上述のサスペンションタワー部14としてはストラットタワー部を採用してもよい。
【0035】
図1図2に示すように、上述のフロントサイドフレーム13の前端部において、当該前端部とエプロンレインフォースメント12の前部とを車両上下方向に連結する連結部材16を設けている。
【0036】
一方、図1図2に示すように、上述のエンジンルーム1の車幅方向左右両側部は、フロントフェンダパネル17により覆われている。また、図3図4に示すように、上述のエンジンルーム1の上方は、ボンネット18により開閉可能に覆われている。
【0037】
上述のボンネット18は、ボンネットアウタパネル19とボンネットインナパネル20とを備え、ボンネットアウタパネル19の周縁部をヘミング加工して、ボンネットアウタパネル19とボンネットインナパネル20とを一体化したものである。
【0038】
このボンネット18は、当該ボンネット18の閉時にその前端車幅方向中央部がストライカおよびラッチにより車体に支持されると共に、ボンネット後端の車幅方向左右両側が、図1に示すボンネットヒンジブラケット21に設けられたボンネットヒンジにより支持されるものである。
【0039】
図3図4図7に示すように、上述のダッシュロアパネル3の上端折曲げ部3bには、ダッシュアッパパネル22を介して断面略ハット形状のカウルパネル23を設けている。当該カウルパネル23と上述のダッシュアッパパネル22との間には、車幅方向に延びるカウル閉断面24を形成して、カウル部の剛性向上を図るように形成している。
【0040】
図3図4に示すように、上述のカウルパネル23の前低後高状に傾斜する上壁部23aには、接着剤25を介して上述のフロントウインドシールド11が取付けられている。
また、図3図4に示すように、上述のカウルパネル23の前壁部23bには、当該前壁部23bから車両前方に延びる雨樋部材としてのカウルセンタ26が設けられている。
【0041】
図2図3図4に示すように、車両前後方向において、上述のサスペンションタワー部14とダッシュロアパネル3との間には、補機類としてのバッテリ27が設けられている。換言すれば、これら各要素14,3,27の位置関係は、車両前方からサスペンションタワー部14、補機類であるバッテリ27、ダッシュロアパネル3の順に配置されている。
なお、図3図4において、28は上記バッテリ27を受けるバッテリトレーであり、29はバッテリステイブラケットである。
【0042】
次にカウルグリル構造について詳述する。
図1図3図4に示すように、フロントウインドシールド11の下方(この実施例では、フロントウインドシールド11の傾斜下方)には、ダッシュロアパネル3の車両前方に位置するカウルグリル30を備えている。
【0043】
このカウルグリル30は、フロントウインドシールド11の下方において車幅方向に延びて当該フロントウインドシールド11を滴下する水を受けるメンバ部31と、該メンバ部31の前方に位置して補機類の上方を覆う左右のカバー部32,33と、を備えている。
【0044】
ここで、車両左側のカバー部32は、その下方に配置された補機類としてのリザーバタンクの上方を覆っており、車両右側のカバー部33は、その下方に配置された補機類としてのバッテリ27の上方を覆っている。
【0045】
この実施例の車両のカウルグリル構造は、左右略対称に形成されているが、以下の説明においては車両右側のカバー部33に関連する構造、すなわち、車両右側のカウルグリル構造について述べる。
【0046】
上述のカウルグリル30は、図4図7に示すように、上記メンバ部31と、上記カバー部33と、該カバー部33から下方に延びてエンジン側の空間であるエンジンルーム1と、補機類側の空間であるバッテリ配置空間34とを仕切る前方仕切部35および側方仕切部36と、車幅方向に延びてボンネット18(詳しくは、ボンネットインナパネル20)に接触し、車外空間とエンジンルーム1との間をシールするカウルシール37と、を備えている。
【0047】
メンバ部31は、図6に拡大断面図で示すように、車幅方向および車両前後方向に延びる上壁部31aと、この上壁部31aの前端および後端から前角部31bおよび後角部31cを介して下方に延びる前側縦壁部31dおよび後側縦壁部31eと、を備えている。
【0048】
さらに、上述のメンバ部31は、上壁部31aの中間段差部31fよりも車両前方の前辺部31gと、中間段差部31fよりも車両後方の後辺部31hと、を備えている。
また、上述のメンバ部31は、前側縦壁部31dの下端から車両前方に延びるフランジ部31iと、中間段差部31fからボンネット18側に延びてカウルシール37を取付ける取付け座31jと、後側縦壁部31eからさらに後方に延びてフロントウインドシールド11の傾斜下端上面に当接する当接辺部31kと、を備えている。
【0049】
つまり、上述のメンバ部31は、各要素31a~31kを合成樹脂により一体形成したものである。
図6に示すように、前辺部31gと後辺部31hとから成る上壁部31a、および、当接辺部31kは、車両前方が低く、車両後方が高くなる前低後高状に傾斜しており、一方で、前側縦壁部31dおよび後側縦壁部31eは、車両前方が高く、車両後方が低くなる前高後低状に傾斜している。
【0050】
また、図1図7に示すように、上壁部31aにおける後辺部31hには、複数のメッシュ構造の外気導入孔38が開口形成されている。
図3図4に示すように、上述のカウルシール37はメンバ部31の車両前部、詳しくは、メンバ部31の前部に位置する取付け座31jに配置されている。また、上述のカバー部33は、板状部材で構成されており、該カバー部33により、当該カバー部33の上方空間39と当該カバー部33の下方空間であるバッテリ配置空間34とを遮熱するように設けられている。
【0051】
このように、メンバ部31の前部に、車外空間とエンジンルーム1との間をシールするカウルシール37を配設することで、メンバ部31の前方に位置するカバー部33が被水しないように構成し、これにより、カバー部33の複雑化を抑制すべく構成している。また、カバー部33で当該カバー部33の上方空間39と下方空間であるバッテリ配置空間34とを遮熱することで、補機類としてのバッテリ27を熱害から保護すべく構成している。すなわち、カバー部33の構造を複雑化させることなく、補機類としてのバッテリ27の被水防止効果と熱害防止効果との両立を図るように構成したものである。
【0052】
上述のカウルシール37は、ウエザストリップにより形成されており、該カウルシール37は、図7に示すように、その車幅方向端部が端部部材40を介してエプロンレインフォースメント12に取付けられている。この端部部材40はカウルシール37と一体であってもよく、または、別体であってもよい。
【0053】
図1に示すように、上述のカウルシール37の車幅方向端部は、ボンネット18を支持するボンネットヒンジ(ボンネットヒンジブラケット21参照)の近傍に位置している。これにより、上記カウルシール37にてボンネット18の支持剛性の向上を図るように構成している。
【0054】
詳しくは、カウルシールがボンネットヒンジに対して大きく前方に離間して位置すると、カウルシールによるボンネット18の支持剛性が低下し、車両走行時にボンネット18後端が浮き振れするが、上述の如くカウルシール37の車幅方向端部をボンネットヒンジの近傍位置に設けることで、当該カウルシール37にてボンネット18の支持剛性向上を図っている。
【0055】
また、図1に示すように、カウルシール37の車幅方向中央部は、上述のカバー部33の車両前後方向中央部に対して車両後方に位置するように配設されている。これにより、カウルシール37の車幅方向中央部においてもボンネット支持効果を確保するように構成している。
【0056】
詳しくは、上記カバー部33を取外してメンテナンスを行なう際には、広いメンテナンス用の開口面積が要求され、一方で、メンバ部31に形成される外気導入孔38も広い面積が要求される。そこで、カウルシール37の車幅方向中央部の前後位置を上述の如く特定することで、メンテナンス用の開口面積の確保と、外気導入孔38の面積確保とを両立させつつ、カウルシール37の車幅方向中央部にて、ボンネット支持効果の向上を図るように構成したものである。
【0057】
図5に示すように、上述のカバー部33は、車幅方向外側に位置する外辺部33aと、車両前方に位置する前辺部33bと、この前辺部33bの車幅方向内端から車幅方向内側かつ車両後方に傾斜して延びる前側傾斜辺部33cと、車幅方向内側に位置する内辺部33dと、車両後方に位置する後辺部33eと、を備えている。
【0058】
また、上述のカバー部33は、上記各辺部33a~33eに連続形成されて、バッテリ配置空間34の上方を覆うカバー本体33fを備えている。
上述の前辺部33bに対応するカバー本体33fの前部には、スカート部33gを介してフランジ部33hが一体形成されており、上述の前側傾斜辺部33cに対応するカバー本体33fの前部にも、スカート部33iを介してフランジ部33jが一体形成されている。
【0059】
図3図5に示すように、上述のカバー部33におけるカバー本体33fは孔が存在しない無孔構造で、かつカバー本体33fの上面は滑らかな略平坦形状に構成されている。
これにより、カバー部33の上方空間39の空気が、補機類であるバッテリ27が位置するカバー部33の下方空間(バッテリ配置空間34)に連通することを抑制し、バッテリ27の熱害防止効果をさらに高めるように構成している。
【0060】
また、上述のカバー部33は、タルク強化樹脂または繊維強化樹脂により構成されている。これにより、カバー部33の耐熱性および遮熱性を向上させて、補機類であるバッテリ27の熱害防止効果をさらに高めるように構成している。上述の繊維強化樹脂としてはGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics ガラス繊維強化プラスチック)が好ましい。
【0061】
さらに、図3図4に示すように、上述のカバー部33は、カウルシール37を取付けるカウルシール取付け部としてのメンバ部31の取付け座31jの上下方向位置に対して下方に位置している。
【0062】
これにより、取付け座31jに設けられるカウルシール37とカバー部33との間、換言すれば、ボンネット18のボンネットインナパネル20下面とカバー部33上面との間には、上下方向の空間が形成され、歩行者保護に対して有利となる。つまり、カバー部33による遮熱構造の確保と、歩行者保護との両立を図るように構成したものである。
【0063】
また、図3に示すように、上述のカバー部33における後辺部33eには、カバー本体33fの後側下面から後方に延びる支持片33kが一体形成されており、この支持片33kとカバー本体33f後端部との間に、メンバ部31のフランジ部31iを挟み込んで支持している。
このフランジ部31iの挟み込み位置において、カバー部33のカバー本体33f後端部下面とフランジ部31i上面との間には遮熱シール材41が介設されている。
【0064】
図4図7に示すように、上述の前方仕切部35はカバー部33のフランジ部33h,33jから下方に延びてエンジンルーム1とバッテリ配置空間34との間を仕切るものである。
図4に示すように、この前方仕切部35の上下には上部フランジ35aと下部フランジ35bとが一体形成されている。前方仕切部35の上部フランジ35aとカバー部33のフランジ部33h,33jとの間には遮熱シール材42が介設されている。
また、図4に示すように、前方仕切部35の下部フランジ35bとサスペンションタワー部14との間にも、遮熱シール材43が介設されている。
【0065】
図7に示す側方仕切部36はカバー部33のフランジ部33jから下方に延びてエンジンルーム1とバッテリ配置空間34との間を仕切るものである。側方仕切部36の垂下前部36aは、遮熱シール材(図示せず)を介して、サスペンションハウジング44に当接している。
また側方仕切部36の下方への垂下エンド部36bは、遮熱シール材(図示せず)を介して、フロントサイドフレーム13の上部に当接している。
【0066】
さらに、この実施例においては、図7に示すように、カウルグリル30のメンバ部31の下面全体を覆って車両前後方向かつ車幅方向に延びる上端仕切部45と、ダッシュロアパネル3から前方に離間して当該ダッシュロアパネル3の前方を覆う後方仕切部46と、上述の上端仕切部45の前部下面と後方仕切部46の上端折曲げ部46aの前部上面との間を、車幅方向に延びて覆う上方仕切部47と、を備えている。
【0067】
上述の前方仕切部35、側方仕切部36および上端仕切部45としては、ポリプロピレン材に強化材としてのガラス繊維を30%含有させたインシュレータが用いられ、上述の後方仕切部46および上方仕切部47としては、グラスウール(glass wool)製のインシュレータが用いられる。
【0068】
グラスウールは遮熱性に優れることに加えて、吸音性にも優れているので、後方仕切部46、上方仕切部47としてグラスウールを採用することで、エンジン騒音が車室2内に伝播させることを抑制し、吸音効果も確保される。
【0069】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0070】
このように、上記実施例の車両のカウルグリル構造は、フロントウインドシールド11の下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)と、上記ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)の車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム13と、上記フロントサイドフレーム13に固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部14と、車両前後方向において上記サスペンションタワー部14と上記ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)との間に設けられる補機類(バッテリ27)と、上記フロントウインドシールド11の下方で、かつ、上記ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)の車両前方に位置するカウルグリル30と、を備え、上記カウルグリル30は、上記フロントウインドシールド11の下方において車幅方向に延びて当該フロントウインドシールド11を滴下する水を受けるメンバ部31と、上記メンバ部31の前方に位置し、上記補機類(バッテリ27)の上方を覆うカバー部33と、上記カバー部33から下方に延びエンジン側の空間(エンジンルーム1)と補機類(バッテリ27)側の空間(バッテリ配置空間34)とを仕切る仕切部(前方仕切部35、側方仕切部36)と、車幅方向に延びてボンネット18と接触し、車外空間とエンジンルーム1との間をシールするカウルシール37と、を備え、上記カウルシール37は、上記メンバ部31の前部に位置し、上記カバー部33は、板状部材で構成され当該カバー部33上方の空間(上方空間39)と当該カバー部33下方の空間(バッテリ配置空間34)とを遮熱するように設けられたものである(図1図3図4参照)。
【0071】
この構成によれば、上述のメンバ部31の前部に、車外空間とエンジンルーム1との間をシールするカウルシール37が配設されるので、メンバ部31の前方に位置するカバー部33は被水しない。カバー部33が被水しないので、当該カバー部33の複雑化を抑制することができる。
【0072】
また、カバー部33は当該カバー部33上方の空間(上方空間39)と当該カバー部33下方の空間とを遮熱するので、補機類(バッテリ27)を熱害から保護することができる。
要するに、カバー部33の構造を複雑化させることなく、補機類(バッテリ27)の被水防止効果と熱害防止効果との両立を図ることができる。
【0073】
また、この発明の一実施形態においては、上記カバー部33は、無孔構造に形成されたものである(図3図4図5参照)。
この構成によれば、カバー部33は無孔構造であるから、カバー部33の上方空間39の空気が、補機類(バッテリ27)が位置するカバー部33の下方空間(バッテリ配置空間34)に連通することを抑制し、補機類(バッテリ27)のさらなる熱害防止効果を図ることができる。
【0074】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記カバー部33は、タルク強化樹脂または繊維強化樹脂で構成されたものである(図3図4参照)。
この構成によれば、カバー部33の耐熱性および遮熱性を向上でき、補機類(バッテリ27)のさらなる熱害防止効果を図ることができる。
【0075】
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記カウルシール37の車幅方向端部は、上記ボンネット18を支持するボンネットヒンジ(ボンネットヒンジブラケット21参照)の近傍に位置するものである(図1参照)。
この構成によれば、カウルシール37にてボンネット支持剛性の向上を図ることができる。
【0076】
詳しくは、ボンネット18は、その閉時に、前端車幅方向中央のストライカと、後端車幅方向左右両側のヒンジとの3点で車体に支持されており、ボンネット18の閉時には、ボンネット18の後端側がカウルシール37で支持される。
【0077】
そこで、仮にカウルシールがボンネットヒンジ位置に対して大きく前方に離間して位置する場合には、カウルシールによるボンネット18の支持剛性が低下し、車両走行時にボンネット18の後端が浮き振れする。
【0078】
従来構造にあっては、ボンネットの浮き振れを抑制するために、ボンネットそれ自体をレインフォースメント等により過度に補強していたが、この実施例では、カウルシール37位置の特定により、ボンネット18の過度な補強を必要とすることなく、ボンネット18の支持剛性向上を図ることができる。
【0079】
加えて、この発明の一実施形態においては、上記カウルシール37の車幅方向中央部は、上記カバー部33の車両前後方向中央部に対して車両後方に位置するものである(図1参照)。
この構成によれば、カウルシール37の車幅方向中央部によりボンネット支持効果の向上を図ることができる。
【0080】
詳しくは、上述のカバー部33を取外して補機類のメンテナンスを行なう際のメンテナンス用の開口面積を広く確保したいという要請があると共に、カウルグリル30のメンバ部31に形成される外気導入孔38の面積をも広く確保したいという要請がある。
【0081】
そこで、カウルシール37の車幅方向中央部の前後位置を上記の如く特定することで、メンテナンス用の開口面積の確保と、外気導入孔38の面積の確保とを両立させつつ、カウルシール37の車幅方向中央部により、ボンネット支持効果の向上を図るものである。
【0082】
また、この発明の一実施形態においては、上記カバー部33は、上記カウルシール37を取付けるカウルシール取付け部(メンバ部31における取付け座31j)の上下方向位置に対して下方に位置するものである(図3図4参照)。
【0083】
この構成によれば、カウルシール取付け部(取付け座31j)に設けられるカウルシール37と、カバー部33との間、換言すれば、ボンネット18下面とカバー部33との間には、上下方向の空間が形成されることになり、歩行者保護に対して有利となる。要するに、カバー部33による遮熱構造の確保と、歩行者保護との両立を図ることができる。
【0084】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のエンジン側の空間は、実施例のエンジンルーム1に対応し、
以下同様に、
ボンネットヒンジは、ボンネットヒンジブラケット21に対応し、
補機類は、バッテリ27に対応し、
カウルシール取付け部は、メンバ部31における取付け座31jに対応し、
辺部は、当接辺部31kに対応し、
補機類側の空間、カバー部下方の空間は、バッテリ配置空間34に対応し、
仕切部は、前方仕切部35、側方仕切部36に対応し、
カバー部上方の空間は、上方空間39に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、フロントウインドシールドの下端部に位置し車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、上記ダッシュパネルの車幅方向両端側から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、上記フロントサイドフレームに固定され上方へ突出しサスペンション装置のダンパ上部を支持するサスペンションタワー部と、車両前後方向において上記サスペンションタワー部と上記ダッシュパネルとの間に設けられる補機類と、上記フロントウインドシールドの下方で、かつ、上記ダッシュパネルの車両前方に位置するカウルグリルと、を備えた車両のカウルグリル構造について有用である。
【符号の説明】
【0086】
1…エンジンルーム(エンジン側の空間)
2…車室
3…ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
11…フロントウインドシールド
13…フロントサイドフレーム
14…サスペンションタワー部
18…ボンネット
21…ボンネットヒンジブラケット(ボンネットヒンジ)
27…バッテリ(補機類)
30…カウルグリル
31…メンバ部
31a…上壁部
31e…後側縦壁部
31f…中間段差部
31j…取付け座(カウルシール取付け部)
31k…当接辺部(辺部)
33…カバー部
34…バッテリ配置空間(補機類側の空間、カバー部下方の空間)
35…前方仕切部(仕切部)
36…側方仕切部(仕切部)
37…カウルシール
39…上方空間(カバー部上方の空間)
42…遮熱シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7