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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】媒体積載装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/38 20060101AFI20250326BHJP
【FI】
B65H31/38
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021034601
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022135035
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 宏文
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一順
(72)【発明者】
【氏名】原 俊
(72)【発明者】
【氏名】内堀 憲治
(72)【発明者】
【氏名】定國 渓
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090376(JP,A)
【文献】特開2014-177329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出して記録を行う記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、
前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、
今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、
前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、
前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整することを特徴とする媒体積載装置。
【請求項2】
記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御することを特徴とする請求項1に記載の媒体積載装置。
【請求項3】
前記第1情報に基づく値は、今回排出される前記媒体の下面における記録濃度である第1下面記録濃度と、前回排出された前記媒体の上面における記録濃度である第2上面記録濃度と、を合計した合計値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の媒体積載装置。
【請求項4】
前記第2情報は、今回排出される前記媒体の上面における記録濃度である第1上面記録濃度から前記第1下面記録濃度を減算した減算値を含み、
前記制御部は、前記減算値が所定値以上の場合には、前記減算値が前記所定値未満の場合よりも、前記閾値を低くすることを特徴とする請求項3に記載の媒体積載装置。
【請求項5】
前記第1情報に基づく値は、今回排出される前記媒体の上面における記録濃度である第1上面記録濃度から今回排出される前記媒体の下面における記録濃度である第1下面記録濃度を減算した減算値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の媒体積載装置。
【請求項6】
前記第2情報は、前記第1下面記録濃度と、前回排出された前記媒体の上面における記録濃度である第2上面記録濃度と、を合計した合計値を含み、
前記制御部は、前記合計値が所定値以上の場合には、前記合計値が前記所定値未満の場合よりも、前記閾値を低くすることを特徴とする請求項5に記載の媒体積載装置。
【請求項7】
前記第2情報は、今回排出される前記媒体のサイズ、今回排出される前記媒体の坪量、今回排出される前記媒体の種類、のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項8】
前記第2情報は、今回排出される前記媒体が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項9】
前記第2情報は、今回排出される前記媒体が排出される際に前記処理トレイに積載されている前記媒体の枚数を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項10】
前記第2情報は、今回排出される前記媒体が記録されてから排出されるまでの第1経過時間を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項11】
前記第2情報は、前回排出された前記媒体が記録されてから、今回排出される前記媒体が排出されるまでの第2経過時間を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項12】
前記第1位置における前記側端整合部材の整合面と、今回排出される前記媒体が前記排出部から排出されたときの該媒体の想定される側端との前記幅方向における距離が重なり量で規定され、
前記制御部は、前記重なり量を、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記重なり量で、前記側端整合部材を制御することを特徴とする請求項1から請求項11のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項13】
前記側端整合部材は、今回排出される前記媒体が排出される際に前記第1位置へ移動したときは、前記第1位置から前記第2位置側に移動した後に、今回排出される前記媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合し、
前記制御部は、前記側端整合部材が前記第1位置から移動するタイミングを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記タイミングで、前記側端整合部材を制御することを特徴とする請求項1から請求項12のうち何れか一項に記載の媒体積載装置。
【請求項14】
今回排出される前記媒体の前記幅方向において一方側の下方に配置され、前記幅方向に移動する第1側端案内部材と、
今回排出される前記媒体の前記幅方向において他方側の下方に配置され、前記幅方向に移動する第2側端案内部材と、を備え、
前記第1側端案内部材は前記側端整合部材として、今回排出される前記媒体が排出される際は前記待機位置に位置し、その後に該媒体の一方側の第1側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の一方側の第1側端に整合することが可能に構成され、
前記第2側端案内部材は前記側端整合部材として、今回排出される前記媒体が排出される際は前記待機位置に位置し、その後に該媒体の他方側の第2側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の他方側の第2側端に整合することが可能に構成され、
前記第2情報は、今回排出される前記媒体の下面の前記幅方向における記録濃度分布である第1下面幅方向記録濃度分布と、前回排出された前記媒体の上面の前記幅方向における記録濃度分布である第2上面幅方向記録濃度分布と、のうち少なくとも一方を含み、
前記制御部は、前記側端整合部材として前記第1側端案内部材及び前記第2側端案内部材のうち何れか一方を特定し、
前記制御部は、前記何れか一方を特定する選択を、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記選択で、前記側端整合部材を制御することを特徴とする請求項2に記載の媒体積載装置。
【請求項15】
媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、
記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、
前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、
今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、
前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、
前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された媒体を積載する媒体積載装置、及び該媒体積載装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたシート積載装置は、画像を形成されたシートを排出する排出手段と、排出されたシートが積載される第1積載部と、排出手段よりも下方に設けられ排出手段によるシート搬送方向に直交する幅方向に移動可能な整合部材と、を備える。整合部材は排出されたシートの幅方向の側端に当接してシートを整合する。シートは媒体の一例であり、排出手段は排出部の一例であり、第1積載部は処理トレイの一例であり、整合部材は側端整合部の一例である。
【0003】
インクジェット方式で画像を形成された直後の媒体は、インクで湿っている。媒体が湿っているほど媒体の摺動性は低下する。より詳しくは、媒体面の画像形成に使用されたインクの量が多いほど媒体面の含水量が多くなるため、媒体の画像比率が高いほど媒体の摺動性が低下する。そのため、媒体の画像比率が高いときに、排出される媒体が既に積載されている媒体の媒体面との摺動抵抗に起因して座屈し、正常に排出されない場合がある。画像比率は記録濃度の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-090376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された媒体積載装置においては、媒体の記録濃度が閾値以上であった場合に、排出部が媒体を排出する際に、側端整合部は、排出部によって排出される媒体の側端より内側に移動する。そして、排出部によって媒体が排出された後に、側端整合部は、排出部によって排出された媒体の側端より外側に移動してから、排出された媒体の側端に当接して媒体を整合する。すなわち、媒体の記録濃度が閾値以上であった場合は、媒体の記録濃度が閾値未満であった場合と比べて整合のための処理時間が多く必要となるため、媒体積載装置の生産性が低下する。
【0006】
記録濃度が同じであっても、媒体が排出部から排出されるときの媒体の摺動性が同じであるとは限らない。例えば、排出部から排出される媒体の先端が下向きにカールしているときは、媒体の先端の媒体面が既に積載されている媒体面に当たる角度が鈍角となるため、媒体の摺動性が低下する。また、媒体に画像が形成されてから媒体が排出されるまでの時間や環境条件によっても媒体面の含水量は変化する。すなわち、記録濃度が同じであっても、他の要因によって媒体が排出部から排出されるときの媒体の摺動性は変化する。そのため、媒体の記録濃度からの想定よりも媒体の摺動性が低下しているときに、側端整合部を排出部によって排出される媒体の側端より内側に移動させなかった場合、媒体の座屈が発生する虞がある。また、他の要因により記録濃度からの想定ほど媒体の摺動性が低下していないにも関わらず、側端整合部を排出部によって排出される媒体の側端より内側に移動させた場合、媒体積載装置の生産性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する媒体積載装置は、液体を吐出して記録を行う記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整する。
【0008】
上記課題を解決する媒体積載装置は、液体を吐出して記録を行う記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御する。
【0009】
上記課題を解決する画像形成システムは、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整する。
【0010】
上記課題を解決する画像形成システムは、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】媒体積載装置及び画像形成システムを示す斜視図。
図2】媒体積載装置の積載部を示す側断面図。
図3】媒体が排出されるときの媒体の状態を示す模式側面図。
図4】第1側端案内部材と第2側端案内部材と媒体との位置関係を示す平面図。
図5】第1側端案内部材が第1位置に位置するときの媒体の状態を示す模式図。
図6】第1側端案内部材が第2位置に位置するときの媒体の状態を示す模式図。
図7】第2側端案内部材が第1位置に位置するときの媒体の状態を示す模式図。
図8】第2側端案内部材が第2位置に位置するときの媒体の状態を示す模式図。
図9】媒体積載装置及び画像形成システムの構成を示すブロック図。
図10】第1実施形態における媒体整合動作の制御方法を示すフローチャート。
図11】第1実施形態における閾値調整処理を示すフローチャート。
図12】制御パラメーター決定処理を示すフローチャート。
図13】媒体整合動作を示すフローチャート。
図14】側端整合動作を示すフローチャート。
図15】第2実施形態における媒体整合動作の制御方法を示すフローチャート。
図16】第2実施形態における閾値調整処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、第1実施形態~第2実施形態における媒体積載装置及び該媒体積載装置を備える画像形成システムについて、図面を参照して説明する。画像形成システムは、例えば、用紙等の媒体に液体の一例であるインクを吐出し、媒体に対して文字や画像を記録する画像形成処理を行い、その記録された媒体を積載して所定の後処理等を行う。
【0013】
図面では、媒体積載装置及び該媒体積載装置を備える画像形成システムが水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸に沿う方向を幅方向X、Y軸に沿う方向を奥行き方向Y、Z軸に沿う方向を重力方向Zともいう。
【0014】
搬送方向における媒体の長さの方向を長さ方向Y1という。搬送方向と直交する方向における媒体の長さの方向は、画像形成システムにおける幅方向Xと同じである。そのため、搬送方向と直交する方向における媒体の長さの方向も幅方向Xという。なお、搬送方向と直交する方向における媒体の長さを媒体幅A、搬送方向における媒体の長さを媒体長さBという。
【0015】
(第1実施形態)
<画像形成システムの概要>
図1に示すように、画像形成システム200は、媒体Mに記録する記録装置111と、媒体Mを部数単位で積載して媒体束として排出する媒体積載装置11と、を備える。記録装置111は、液体を吐出して記録を行う記録部160によって媒体Mに記録する。記録装置111は、例えば、媒体Mにインクを吐出し文字や画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。媒体積載装置11においては、記録装置111によって記録された媒体Mが積載されて媒体束とされた後、その媒体束を綴じるステープル処理等の後処理が行われてもよい。
【0016】
画像形成システム200は、記録装置111によって記録されて記録装置111から排出された媒体Mを媒体積載装置11に搬送する搬送装置210を備えてもよい。すなわち、記録装置111と媒体積載装置11とが直接接続されてもよいし、記録装置111と媒体積載装置11とが搬送装置210を介して接続されてもよい。
【0017】
画像形成システム200は、媒体積載装置11とは別の1つまたは複数の処理装置を備えてもよい。例えば、媒体積載装置11に搬送された媒体Mや、媒体積載装置11で積載された媒体束に対して折り処理を行う折り装置220が、媒体積載装置11に対して接続されてもよい。
【0018】
記録装置111は、媒体Mを収容可能な1つまたは複数の媒体収容部112と、媒体Mに記録する記録部160を有する本体部113と、を備える。また、記録装置111は、媒体Mが排出される第1排出トレイ114と、記録装置111が操作されるためのタッチパネル等の操作部115と、を備えてもよい。また、記録装置111は、原稿の画像を読み取る画像読取部116と、画像読取部116に原稿を送る自動給送部117と、を備えてもよい。
【0019】
媒体積載装置11は、媒体Mが排出される第2排出トレイ12と、媒体Mの大量積載が可能なスタッカートレイ13と、を備える。記録装置111の第1排出トレイ114においては、記録された面が下向きの状態で媒体Mが排出される。媒体積載装置11の第2排出トレイ12においては、記録された面が上向きの状態で媒体Mが排出される。
【0020】
<媒体積載装置の構成と媒体積載処理の流れ>
図2に示すように、媒体積載装置11は、媒体Mを搬送する搬送部70と、媒体Mを部数単位で積載して媒体束として排出する積載部20と、を備える。搬送部70は、媒体Mを記録装置111から搬入する搬入経路76と、第1搬送経路78と、第2搬送経路79と、搬入経路76を第1搬送経路78と第2搬送経路79とに分岐する分岐部77と、を有する。積載部20は、媒体Mを積載し部数単位で媒体Mの幅方向Xにおける排出位置を移動させるシフト処理等を行う処理トレイ21と、処理トレイ21で積載された媒体Mを媒体束としてスタッカートレイ13に排出する束排出部51と、を備える。
【0021】
媒体Mは、媒体積載装置11が備える不図示の搬入部から搬入されて、搬入経路76によって上方に搬送される。分岐部77は、搬入経路76を搬送される媒体Mが第1搬送経路78側に搬送されるか第2搬送経路79側に搬送されるかを、切替可能に構成される。媒体Mが分岐部77によって第1搬送経路78側に搬送されると、媒体Mは、第1搬送経路78によって搬送された後に、媒体積載装置11の上方に位置する第2排出トレイ12に排出される。媒体Mが分岐部77によって第2搬送経路79側に搬送されると、媒体Mは、第2搬送経路79によって積載部20へと搬送された後に、媒体積載装置11の内部に位置する処理トレイ21に排出される。
【0022】
搬送部70は、第2搬送経路79を搬送される媒体Mを処理トレイ21に排出する排出部71を有する。排出部71は、不図示の搬送モーターにより回転駆動される排出駆動ローラー72aと、排出駆動ローラー72aとニップして従動回転する排出従動ローラー72bと、による排出ローラー対72として構成される。排出部71は、液体を吐出して記録を行う図1に示す記録部160によって記録された媒体Mの排出を繰り返す。処理トレイ21は、排出部71によって排出された順に媒体Mを積載する。
【0023】
媒体Mにおいて、排出部71から最初に排出される端部を先端といい、排出部71から最後に排出される端部を後端という。すなわち、媒体Mの長さ方向Y1における端部が先端と後端である。また、幅方向Xにおける媒体Mの端部を側端という。
【0024】
排出部71によって媒体Mが排出される際に、処理トレイ21において媒体排出動作が行われ、媒体Mの後端が排出部71から排出された際に、処理トレイ21において媒体整合動作が行なわれる。媒体整合動作においては、最初に、媒体Mの後端を整合する後端整合動作が行なわれ、次に、媒体Mの側端を整合する側端整合動作が行なわれる。媒体排出動作、後端整合動作、側端整合動作の詳細については後述する。
【0025】
媒体Mが排出される度に処理トレイ21に媒体Mが積載され、媒体Mが積載される度に処理トレイ21で媒体Mが整合される。そのため、処理トレイ21上には整合された媒体束が形成される。そして、スタッカートレイ13に排出されるときの幅方向Xにおける媒体束の位置が、この媒体束の直前にスタッカートレイ13に排出された媒体束に対して幅方向Xにシフトされる。このように、処理トレイ21においてシフト処理が行われる。シフト処理の詳細については後述する。
【0026】
束排出部51は、不図示の束排出モーターにより回転駆動される束排出駆動ローラー52aと、束排出駆動ローラー52aとニップして従動回転する束排出従動ローラー52bと、による束排出ローラー対52として構成される。束排出駆動ローラー52aは、処理トレイ21上において、スタッカートレイ13側の端部に位置する。束排出従動ローラー52bは、束排出駆動ローラー52aに対してニップする図2に二点鎖線で示すニップ位置と、束排出駆動ローラー52aから離間して束排出駆動ローラー52aの上方に位置する図2に実線で示す離間位置とで、その位置を切替可能に構成される。
【0027】
排出部71が処理トレイ21に媒体Mを排出するときは、束排出従動ローラー52bは図2に実線で示す離間位置に位置する。束排出従動ローラー52bが束排出駆動ローラー52aから離間して位置することにより、束排出従動ローラー52bと束排出駆動ローラー52aとの間に空間が形成される。これにより、媒体Mを束排出従動ローラー52bに接触させることなく処理トレイ21に排出できる。そして、媒体整合動作によって媒体Mを処理トレイ21上で整合できる。
【0028】
媒体整合動作によって整合された媒体束が処理トレイ21上に形成されて、その媒体束がスタッカートレイ13に排出されるときは、束排出従動ローラー52bは図2に実線で示す離間位置から下降して、図2に二点鎖線で示すニップ位置に位置する。そして、不図示の束排出モーターによって束排出駆動ローラー52aが回転駆動されることにより、その媒体束が処理トレイ21からスタッカートレイ13に排出される。
【0029】
<媒体排出動作について>
図3に示すように、排出部71によって、今回排出される媒体M1が処理トレイ21に排出される。処理トレイ21に媒体Mが積載されていないときは、処理トレイ21の上に直接、今回排出される媒体M1が排出される。すなわち、今回排出される媒体M1が部数単位の最初の媒体Mであるときは、排出部71は、処理トレイ21の上に直接、今回排出される媒体M1を排出する。処理トレイ21に媒体Mが積載されているときは、処理トレイ21に積載されている媒体Msの上に、今回排出される媒体M1が排出される。すなわち、今回排出される媒体M1が部数単位の最初の媒体Mでないときは、排出部71は、前回排出された媒体M2の上に今回排出される媒体M1を排出する。
【0030】
排出部71が今回排出される媒体M1を排出するとき、今回排出される媒体M1は、今回排出される媒体M1の先端部分M1aから処理トレイ21に排出される。排出部71から今回排出される媒体M1の先端部分M1aが排出されると、先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面に接触する。そして、先端部分M1aが排出されるにつれて、先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出される。なお、今回排出される媒体M1の媒体長さB、先端部分M1aのカール方向、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数等の条件によっては、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面に接触しない場合がある。
【0031】
今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面とが接触するとき、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面との間に摩擦力F1が発生する。以降の説明では、「今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面との間の摩擦力F1」を単に「摩擦力F1」という。摩擦力F1が大きいときは、今回排出される媒体M1が排出される際に、今回排出される媒体M1が座屈する虞がある。なお、今回排出される媒体M1の曲げ強さに応じて、今回排出される媒体M1に座屈に抗する抗力F2が発生する。以降の説明では、「今回排出される媒体M1に発生する座屈に抗する抗力F2」を単に「抗力F2」という。摩擦力F1と比較して抗力F2が大きいときは、今回排出される媒体M1は座屈し難い。より詳しくは、F1>F2のときに今回排出される媒体M1は座屈し易く、F1<F2のときに今回排出される媒体M1は座屈し難い。つまり、今回排出される媒体M1の座屈のし易さは、摩擦力F1と抗力F2に起因する。
【0032】
図4に示すように、積載部20は、今回排出される媒体M1の幅方向Xにおいて一方側の下方に配置され幅方向Xに移動する第1側端案内部材41を有する。今回排出される媒体M1の側端は、第1側端M1cと第2側端M1dとである。一方側とは、第1側端M1c側であり、幅方向Xにおける-X方向側である。なお他方側は、第2側端M1d側であり、幅方向Xにおける+X方向側である。
【0033】
第1側端案内部材41は、今回排出される媒体M1が排出される際は、第1位置WP1及び第2位置WP2のうち何れかの待機位置WPに位置する。第1位置WP1は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる位置であり、第2位置WP2は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない位置である。
【0034】
第1側端案内部材41は、今回排出される媒体M1の第1側端M1cに当接して今回排出される媒体M1を整合する整合面41aを有する。整合面41aは幅方向Xに直交する面である。幅方向Xにおいて、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの今回排出される媒体M1の想定される第1側端M1cと整合面41aが重なるときの第1側端案内部材41の位置を基準位置RPという。第1側端案内部材41が基準位置RPよりも+X方向側に位置するとき、第1側端案内部材41は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なると想定されるため、第1側端案内部材41は第1位置WP1に位置するという。また、第1側端案内部材41が基準位置RPよりも-X方向側に位置するとき、第1側端案内部材41は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならないと想定されるため、第1側端案内部材41は第2位置WP2に位置するという。なお、「重なると想定される」を「重なる」、「重ならないと想定される」を「重ならない」と記載する場合がある。
【0035】
第1側端案内部材41の待機位置WPが第2位置WP2のときは、第1側端案内部材41は幅方向Xにおいて、今回排出される媒体M1と重ならない。そのため、今回排出される媒体M1が排出され始めるとすぐに、少なくとも第1側端M1c側において、図3に実線で示す今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面に接触する。
【0036】
第1側端案内部材41の待機位置WPが第1位置WP1のときは、第1側端案内部材41は幅方向Xにおいて、今回排出される媒体M1と重なる。そのため、今回排出される媒体M1が排出され始めてから暫くの間は、第1側端M1c側において、図3に二点鎖線で示す今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面に接触しない。すなわち、第1側端M1c側において、第1側端案内部材41が、今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との接触を抑制する。そのため、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面に接触するタイミングを遅くすることができる。そして、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面に接触した後も、第1側端案内部材41によって、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制し続けることができる。
【0037】
第1側端案内部材41が第1位置WP1に位置するとき、第1側端案内部材41の整合面41aが幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なるとともに、第1側端案内部材41とともに幅方向Xに移動する部分が媒体M1と重なってもよい。すなわち、第1側端M1c側において、第1側端案内部材41とともに移動する部材によって、今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との接触が抑制されてもよい。
【0038】
積載部20は、今回排出される媒体M1の幅方向Xにおいて他方側の下方に配置され幅方向Xに移動する第2側端案内部材42を有する。なお他方側とは、第2側端M1d側であり、幅方向Xにおける+X方向側である。本実施形態においては、第2側端案内部材42は幅方向Xにおいて、第1側端案内部材41と対称形状に構成される。
【0039】
第2側端案内部材42は、今回排出される媒体M1が排出される際は、第1位置WP1及び第2位置WP2のうち何れかの待機位置WPに位置する。第1位置WP1は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる位置であり、第2位置WP2は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない位置である。
【0040】
第2側端案内部材42は、今回排出される媒体M1の第2側端M1dに当接して今回排出される媒体M1を整合する整合面42aを有する。整合面41aは幅方向Xに直交する面である。幅方向Xにおいて、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの今回排出される媒体M1の想定される第2側端M1dと整合面42aが重なるときの第2側端案内部材42の位置を基準位置RPという。第2側端案内部材42が基準位置RPよりも-X方向側に位置するとき、第2側端案内部材42は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なると想定されるため、第2側端案内部材42は第1位置WP1に位置するという。また、第2側端案内部材42が基準位置RPよりも+X方向側に位置するとき、第2側端案内部材42は幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならないと想定されるため、第2側端案内部材42は第2位置WP2に位置するという。
【0041】
第2側端案内部材42の待機位置WPが第2位置WP2のときは、今回排出される媒体M1が排出され始めるとすぐに、少なくとも第2側端M1d側において、図3に実線で示す今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面に接触する。
【0042】
第2側端案内部材42の待機位置WPが第1位置WP1のときは、今回排出される媒体M1が排出され始めてから暫くの間は、第2側端M1d側において、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面に接触しない。すなわち、第2側端M1d側において、第2側端案内部材42が、図3に二点鎖線で示す今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との接触を抑制する。そのため、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面に接触するタイミングを遅くすることができる。そして、今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が前回排出された媒体M2の上面に接触した後も、第2側端案内部材42によって、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制し続けることができる。
【0043】
第2側端案内部材42が第1位置WP1に位置するとき、第2側端案内部材42の整合面42aが幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なるとともに、第2側端案内部材42とともに幅方向Xに移動する部分が媒体M1と重なってもよい。すなわち、第2側端M1d側において、第2側端案内部材42とともに移動する部材によって、今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との接触が抑制されてもよい。
【0044】
<後端整合動作について>
図3に示すように、積載部20は、排出部71の下方かつ処理トレイ21の上方に配置されて整合方向W1に回転する後端整合部材31と、今回排出される媒体M1の後端を整合するときの後端側の基準面となる後端基準面32と、を有する。後端整合部材31は摩擦係数が大きいゴム材料等で形成され、外周に複数の羽根形状部分31aを有する。
【0045】
排出部71が今回排出される媒体M1を排出する際、今回排出される媒体M1の後端部分M1bが、最後に処理トレイ21に排出される。今回排出される媒体M1の後端部分M1bが排出されると、整合方向W1に回転する後端整合部材31が有する3つの羽根形状部分31aが、今回排出される媒体M1の後端部分M1bの上面に順に接触して、今回排出される媒体M1を後端基準面32側に引き寄せる。そして、今回排出される媒体M1の後端が後端基準面32に当接する。
【0046】
羽根形状部分31aの摩擦係数が大きいため、後端整合部材31は、今回排出される媒体M1を後端基準面32側に容易に引き寄せることができる。また、羽根形状部分31aは、今回排出される媒体M1の上面と間欠的に接触する。すなわち、羽根形状部分31aは、今回排出される媒体M1を間欠的に引き寄せる。そのため、今回排出される媒体M1の後端が後端基準面32に当接した状態よりも今回排出される媒体M1をさらに後端基準面32側に引き寄せてしまうことを抑制できる。その結果、今回排出される媒体M1の後端が後端基準面32に当接した状態を維持できる。なお、後端整合部材31と後端基準面32との間で今回排出される媒体M1が座屈し難くなるためには、後端整合部材31の位置は後端基準面32に近い位置であることが望ましい。
【0047】
後端整合部材31は、常に回転してもよいし、排出部71によって今回排出される媒体M1の後端が排出されるタイミングで一定時間だけ回転してもよい。後端整合部材31は今回排出される媒体M1を引き寄せることが可能な部材であればよい。後端整合部材31は、例えば、ローレットベルト、ブラシ、スポンジローラー等であってもよい。
【0048】
媒体Mを積載する処理トレイ21は、図3に示す例では、水平面に対して略30度の角度を有して配置される。今回排出される媒体M1に作用する重力によって、今回排出される媒体M1を処理トレイ21上において後端基準面32側に移動させる力が働き、今回排出される媒体M1の後端が後端基準面32に当接した後も、その状態を保持する力が働く。これにより、今回排出される媒体M1の後端基準面32側への整合を容易にするとともに、今回排出される媒体M1を整合した後の積載状態の乱れを抑制できる。なお、処理トレイ21が水平面に対してなす角度は適宜な値に設定してよい。
【0049】
<側端整合動作について>
図4に示すように、側端整合動作においては、第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方が側端整合部材として特定され、側端整合部材として特定された方の案内部材が側端整合部材として制御される。側端整合動作の間、側端整合部材として特定されなかった方の案内部材の位置は固定され、その案内部材の整合面が、今回排出される媒体M1の側端M1c,M1dが整合されるときの基準面となる。側端整合部材は、今回排出される媒体M1が排出される際は、第1位置WP1及び第2位置WP2のうち何れかの待機位置WPに位置する。
【0050】
最初に、第1側端案内部材41が側端整合部材として制御され、第1側端案内部材41の待機位置WPが第1位置WP1であるときの側端整合動作について説明する。
図5に示すように、第1側端案内部材41が側端整合部材として制御されるときは、第2側端案内部材42の位置が第2位置WP2で固定され、第2側端案内部材42の整合面42aが基準面となる。第1側端案内部材41は、今回排出される媒体M1が排出される際は、待機位置WPとしての第1位置WP1に位置する。そしてその後に、第1側端案内部材41が、今回排出される媒体M1の排出方向に直交する幅方向Xに移動して、側端整合動作を行う。より詳しくは、第1側端案内部材41が第1位置WP1から離れて第2位置WP2側に移動した後に側端整合位置である第1位置WP1に移動して、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合する。なお、図5に示す例では、側端整合位置を第1位置WP1としたが、側端整合位置と第1位置WP1とが同じ位置でなくてもよい。例えば、待機位置WPとしての第1位置WP1は、基準位置RPよりも内側かつ側端整合位置よりも外側にあってもよい。
【0051】
換言すれば、第1側端案内部材41は側端整合部材として、今回排出される媒体M1が排出される際は待機位置WPに位置し、その後に今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合することが可能に構成される。そして、このときの待機位置WPが第1位置WP1に設定される。
【0052】
第1側端案内部材41の待機位置WPが第1位置WP1であるとき、排出部71によって今回排出される媒体M1が排出される際は、第2側端案内部材42は第2位置WP2に位置し、第1側端案内部材41は第1位置WP1に位置する。そのため、第1位置WP1に位置する第1側端案内部材41は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる。これにより、第1側端M1c側において、第1側端案内部材41が、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制する。
【0053】
設定されたタイミングで、第1側端案内部材41は第1位置WP1から離れて、第2位置WP2側への移動を開始する。このタイミングが早いと、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されたと同時に側端整合動作を開始できる。このタイミングが遅いと、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出された後もしばらくの間は、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制できる。
【0054】
第1位置WP1における第1側端案内部材41の整合面41aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第1側端M1cとの前記幅方向Xにおける距離を重なり量L1という。第1位置WP1における第1側端案内部材41と今回排出される媒体M1とは、今回排出される媒体M1の第1側端M1c側で、幅方向Xにおいて重なり量L1の分だけ重なる想定となる。なお、以降の説明では、「第1位置WP1における第1側端案内部材41の整合面41aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第1側端M1cとの前記幅方向Xにおける距離」を単に「重なり量L1」という。第1側端案内部材41の第1位置WP1と、第2側端案内部材42の第2位置WP2とがより+X方向側に設定されることによって、重なり量L1を大きくすることができる。重なり量L1が大きいと、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触をより抑制できる。重なり量L1が小さいと、第1側端案内部材41が第1位置WP1から離れて第2位置WP2側に移動を開始するタイミングが同じでも、第2位置WP2までの移動距離が小さくなる。そのため、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されてから、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合するまでの時間を短くすることができる。
【0055】
第2位置WP2に位置する第1側端案内部材41は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない。そのため、第1側端案内部材41が第2位置WP2から第1位置WP1へ移動するときに、第1側端案内部材41の整合面41aを今回排出される媒体M1の第1側端M1cに当接させることができる。第1側端案内部材41は側端整合部材として、今回排出される媒体Mの排出方向に直交する幅方向Xに移動して今回排出される媒体Mの第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合する側端整合動作を行う。第1側端案内部材41が第2位置WP2から側端整合位置としての第1位置WP1へ移動することにより、今回排出される媒体M1の第1側端M1cが整合される。
【0056】
媒体Mの側端を整合するために、今回排出される媒体Mの側端整合時における第1側端案内部材41の第1位置WP1と、第2側端案内部材42の第2位置WP2との距離は、媒体幅Aと等しく設定されることが望ましい。
【0057】
第1側端案内部材41が側端整合位置としての第1位置WP1に位置する状態のまま、排出部71が次の媒体Mを排出する。これにより、次の媒体Mにおいても、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制できる。
【0058】
次に、第1側端案内部材41が側端整合部材として制御され、第1側端案内部材41の待機位置WPが第2位置WP2であるとき、側端整合部材によって行われる側端整合動作について説明する。
【0059】
図6に示すように、第1側端案内部材41が側端整合部材として制御されるときは、第2側端案内部材42の位置が第2位置WP2で固定され、第2側端案内部材42の整合面42aが基準面となる。第1側端案内部材41は、今回排出される媒体M1が排出される際は、待機位置WPとしての第2位置WP2に位置する。そしてその後に、第1側端案内部材41が、今回排出される媒体M1の排出方向に直交する幅方向Xに移動して、側端整合動作を行う。より詳しくは、第1側端案内部材41が、第2位置WP2から側端整合位置である第1位置WP1に移動して、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合する。
【0060】
換言すれば、第1側端案内部材41は側端整合部材として、今回排出される媒体M1が排出される際は待機位置WPに位置し、その後に今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合することが可能に構成される。そして、このときの待機位置WPが第2位置WP2に設定される。
【0061】
第1側端案内部材41の待機位置WPが第2位置WP2であるとき、排出部71によって今回排出される媒体M1が排出される際は、第2側端案内部材42は第2位置WP2に位置し、第1側端案内部材41は第2位置WP2に位置する。そのため、第2位置WP2に位置する第1側端案内部材41は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない。
【0062】
第1側端案内部材41の待機位置WPが第2位置WP2であるとき、側端整合動作において、第1側端案内部材41は第2位置WP2側から幅方向Xの外側に移動する余分な動作を必要としない。そのため、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されてから、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合するまでの時間を短くすることができる。
【0063】
次に、第2側端案内部材42が側端整合部材として制御され、第2側端案内部材42の待機位置WPが第1位置WP1であるとき、側端整合部材によって行われる側端整合動作について説明する。なお、本実施形態においては、第2側端案内部材42は、幅方向Xにおいて、その構成と側端整合動作とが第1側端案内部材41と対象であるため、共通する説明は省略する。
【0064】
図7に示すように、第2側端案内部材42が側端整合部材として制御されるときは、第1側端案内部材41の位置が第2位置WP2で固定され、第1側端案内部材41の整合面41aが基準面となる。第2側端案内部材42は、今回排出される媒体M1が排出される際は、待機位置WPとしての第1位置WP1に位置する。そしてその後に、第2側端案内部材42が、今回排出される媒体M1の排出方向に直交する幅方向Xに移動して、側端整合動作を行う。より詳しくは、第2側端案内部材42が第1位置WP1から離れて第2位置WP2側に移動した後に側端整合位置である第1位置WP1に移動して、今回排出される媒体M1の第2側端M1dを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに整合する。なお、図7に示す例では、側端整合位置を第1位置WP1としたが、側端整合位置と第1位置WP1とが同じ位置でなくてもよい。例えば、待機位置WPとしての第1位置WP1は、基準位置RPよりも内側かつ側端整合位置よりも外側にあってもよい。
【0065】
換言すれば、第2側端案内部材42は側端整合部材として、今回排出される媒体M1が排出される際は待機位置WPに位置し、その後に今回排出される媒体M1の第2側端M1dを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに整合することが可能に構成される。そして、このときの待機位置WPが第1位置WP1に設定される。
【0066】
第2側端案内部材42の待機位置WPが第1位置WP1であるとき、排出部71によって今回排出される媒体M1が排出される際は、第1側端案内部材41は第2位置WP2に位置し、第2側端案内部材42は第1位置WP1に位置する。そのため、第1位置WP1に位置する第2側端案内部材42は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる。これにより、第2側端M1d側において、第2側端案内部材42が、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制する。
【0067】
第1位置WP1における第2側端案内部材42の整合面42aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第2側端M1dとの前記幅方向Xにおける距離を重なり量L2という。第1位置WP1における第2側端案内部材42と今回排出される媒体M1とは、今回排出される媒体M1の第2側端M1d側で、幅方向Xにおいて重なり量L2の分だけ重なる。なお、以降の説明では、「第1位置WP1における第2側端案内部材42の整合面42aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第2側端M1dとの前記幅方向Xにおける距離」を単に「重なり量L2」という。
【0068】
第2側端案内部材42は側端整合部材として、今回排出される媒体Mの排出方向に直交する幅方向Xに移動して今回排出される媒体Mの第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合する側端整合動作を行う。第2側端案内部材42が第2位置WP2から側端整合位置としての第1位置WP1へ移動することにより、今回排出される媒体Mの第2側端M1dが整合される。
【0069】
次に、第2側端案内部材42が側端整合部材として制御され、第2側端案内部材42の待機位置WPが第2位置WP2であるとき、側端整合部材によって行われる側端整合動作について説明する。なお、本実施形態においては、第2側端案内部材42は、幅方向Xにおいて、その構成と側端整合動作とが第1側端案内部材41と対象であるため、共通する説明は省略する。
【0070】
図8に示すように、第2側端案内部材42が側端整合部材として制御されるときは、第1側端案内部材41の位置が第2位置WP2で固定され、第1側端案内部材41の整合面41aが基準面となる。第2側端案内部材42は、今回排出される媒体M1が排出される際は、待機位置WPとしての第2位置WP2に位置する。そしてその後に、第2側端案内部材42が、今回排出される媒体M1の排出方向に直交する幅方向Xに移動して、側端整合動作を行う。より詳しくは、第2側端案内部材42が、第2位置WP2から側端整合位置である第1位置WP1に移動して、今回排出される媒体M1の第2側端M1dを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに整合する。
【0071】
換言すれば、第2側端案内部材42は側端整合部材として、今回排出される媒体M1が排出される際は待機位置WPに位置し、その後に今回排出される媒体M1の第2側端M1dを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに整合することが可能に構成される。そして、このときの待機位置WPが第2位置WP2に設定される。
【0072】
第2側端案内部材42の待機位置WPが第2位置WP2であるとき、排出部71によって今回排出される媒体M1が排出される際は、第1側端案内部材41は第2位置WP2に位置し、第2側端案内部材42は第2位置WP2に位置する。そのため、第2位置WP2に位置する第1側端案内部材41は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない。
【0073】
<シフト処理について>
後端と側端とを整合された媒体束がスタッカートレイ13に排出される前に、処理トレイ21においてシフト処理が行われる。側端整合動作の後に処理トレイ21上で、媒体束の状態で幅方向Xにおける媒体束の位置がシフトされて、スタッカートレイ13に排出されるときの幅方向Xにおける媒体束の位置が変更される。
【0074】
側端整合動作が終了したときは、整合面41aが処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに当接され、整合面42aが処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに当接されている。そして、処理トレイ21に積載されている媒体Msがスタッカートレイ13に排出される前に、第1側端案内部材41と第2側端案内部材42とが、同じ速度、同じタイミングで、同じ距離だけ幅方向Xの同じ向きに移動される。これにより、処理トレイ21に積載されている媒体Msの幅方向Xにおける位置を変更できる。
【0075】
今回排出される媒体M1の側端M1c,M1dが整合されるときの基準面の位置が、部数単位ごとに変更されてもよい。例えば、基準面となる整合面42aの位置が、最初の媒体束においては基準位置RPから+X方向側に10mm離れた位置であり、次の媒体束においては基準位置RPから+X方向側に20mm離れた位置であってもよい。すなわち、側端M1c,M1dが整合されるときの基準面の位置が部数単位ごとに変更されることで、側端M1c,M1dが整合されたときの処理トレイ21に積載されている媒体Msの幅方向Xにおける位置が、部数単位ごとに変更されてもよい。例えば、最初の媒体束においては整合面41aが基準面となり、次の媒体束においては整合面42aが基準面となってもよい。すなわち、側端M1c,M1dが整合されるときの基準面となる整合面が部数単位ごとに変更されることで、側端M1c,M1dが整合されたときの処理トレイ21に積載されている媒体Msの幅方向Xにおける位置が、部数単位ごとに変更されてもよい。
【0076】
<画像形成システムの構成>
図9に示すように、記録装置111は、液体を吐出して媒体Mに記録を行う記録部160と、記録部160によって記録された媒体Mを媒体積載装置11へ搬送する第2搬送部170と、記録装置111を制御する第2制御部190とを備える。第2制御部190は、情報を格納する第2記憶部191を有する。図9に示す記録装置111及び媒体積載装置11においては、媒体Mの積載に関係しない構成要素については省略されている。
【0077】
記録装置111は外部のネットワークに接続され、そのネットワークに接続されたサーバーやコンピューター等より記録命令を受けてもよい。記録命令には、記録される媒体Mに係る情報としての、媒体Mのサイズ、媒体Mの坪量、媒体Mの種類、記録ページ数と各ページにおける記録データ、片面記録または両面記録の指定、記録部数、後処理の種類等の情報が含まれてもよい。
【0078】
例えば、記録装置111が備える第2記憶部191には、記録装置111内に収容されている媒体Mのサイズ、媒体Mの坪量、媒体Mの種類等の情報が格納される。記録装置111が記録命令を受けると、第2制御部190は、記録命令に含まれる媒体Mのサイズ、媒体Mの坪量、媒体Mの種類等を満足する媒体Mが記録装置111内に収容されているか否かを確認する。記録装置111は、記録命令において指定される媒体Mが記録装置111内に収容されていると判断すると、その記録命令を受け付ける。そして、第2制御部190は、記録命令に応じて記録部160と第2搬送部170との動作を制御してその媒体Mに記録を行う。なお、記録装置111は、図1に示す操作部115からの記録命令によって記録を行ってもよい。
【0079】
媒体積載装置11は、積載部20と、排出部71を有する搬送部70と、媒体積載装置11を制御する制御部90を備える。積載部20は、媒体Mの後端を整合する後端整合部30と、側端整合部材を移動させて媒体Mの側端を整合する側端整合部40と、整合された媒体束を排出する束排出部51とで構成される。制御部90は、情報を記憶する記憶部91を備える。側端整合部材の移動は制御部90によって制御される。制御部90と第2制御部190との間で、有線または無線による通信によって情報の受け渡しが行なわれる。なお、媒体積載装置11は、媒体1枚単位または部数単位に対して後処理を行う後処理部60を備えてもよい。媒体1枚単位に対する後処理とは、例えば、パンチ処理である。また、部数単位に対する後処理とは、例えば、ステープル処理である。なお、部数単位に対する後処理が、パンチ処理であってもよい。
【0080】
媒体積載装置11は、温湿度計測部80を備えてもよい。温湿度計測部80は、画像形成システム200が設置された環境の温度及び湿度を計測する。温湿度計測部80は、媒体Mが記録部160によって記録された環境の温度と湿度を計測することを目的とする。そのため、記録部160を備える記録装置111が温湿度計測部80を備えてもよい。
【0081】
<媒体に係る情報について>
図9に示すように、記録部160によって記録された媒体Mが記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるとき、第2制御部190は、制御部90に対して、今回排出される媒体M1に係る情報を通知する。今回排出される媒体M1が部数単位の最終媒体であるときは、今回排出される媒体M1に係る情報に加えて、部数単位の最終媒体であることを示す情報が通知される。なお、記録装置111から媒体積載装置11に対して今回排出される媒体M1が、排出部71によって処理トレイ21に今回排出される媒体M1である。今回排出される媒体M1に係る情報は、今回の排出までに記録された媒体に係る情報として記憶部91に格納され、媒体積載装置11において、少なくとも部数単位の処理が終了するまでは記憶部91に格納されている。なお、記録装置111から媒体積載装置11に対して今回排出された媒体M1が、排出部71によって処理トレイ21に今回排出されるまでには、その間の搬送に要する搬送時間に相当するタイムラグがある。
【0082】
今回排出される媒体M1に係る情報は、媒体積載装置11が、記録装置111によって記録された媒体Mを積載して媒体束として排出するために必要な情報である。例えば、媒体Mのサイズは媒体整合動作が行われる際に必要な情報である。媒体幅Aと媒体長さBとが通知されることにより、媒体積載装置11は、今回排出される媒体M1を積載するときに、通知された媒体Mのサイズに対して、今回排出される媒体M1を整合できる。
【0083】
媒体排出動作のときの今回排出される媒体M1の座屈のし易さは、摩擦力F1と抗力F2とに起因する。すなわち、摩擦力F1に関連する情報と、抗力F2に関連する情報とは、座屈のし易さの因子の情報である。そのため、今回排出される媒体M1に係る情報には、摩擦力F1に関連する情報と、抗力F2に関連する情報とが含まれる。
【0084】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の下面における記録濃度と、今回排出される媒体M1の上面における記録濃度と、が含まれる。なお、以降の説明では、「今回排出される媒体M1の下面における記録濃度」を単に「第1下面記録濃度」といい、「今回排出される媒体M1の上面における記録濃度」を単に「第1上面記録濃度」という。
【0085】
記録濃度とは、媒体Mの面積当たりの液体吐出量をいう。記録濃度は0~100%で示される。例えば、記録部160が媒体Mに打ち込めるドット数に対して、実際に打ち込んだドット数の割合が記録濃度である。
【0086】
また、記録濃度は媒体Mの記録比率であってもよい。媒体Mの記録比率とは、媒体Mの面積当たりに記録領域が占める比率である。さらに、記録濃度とは、媒体Mの面積当たりの液体吐出量と、媒体Mの記録比率と積で与えられてもよい。
【0087】
記録濃度が高いほど媒体面はインクで湿っている。媒体Mが湿っているほど媒体Mの摺動性は低下するため、摩擦力F1が大きくなる。そのため、第1下面記録濃度と第1上面記録濃度とは、摩擦力F1に関連する情報である。
【0088】
媒体Mの上面と媒体Mの下面とで記録濃度に差があると、記録濃度が小さい面の側に媒体Mの端部がカールする。より詳しくは、媒体Mの繊維が水分を吸収して膨張するとき、媒体Mの上面と媒体Mの下面とで記録濃度に差があると繊維の膨張率が異なる。そのため、膨張率が小さい面の側に媒体Mの端部がカールする。すなわち、媒体Mの上面と媒体Mの下面との記録濃度の差から媒体Mのカール状態を推定できる。例えば、今回排出される媒体M1の先端部分M1aがカールしていないときは、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鋭角になる。一方、例えば、今回排出される媒体M1の先端が下側にカールすると、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鈍角になる。これにより、摩擦力F1が大きくなるため、摺動性が低下する。すなわち、第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値は、今回排出される媒体M1のカール量を代用する値である。なお、以降の説明では、「第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値」を単に「減算値」という。減算値を今回排出される媒体M1に係る情報として、第2制御部190が制御部90に対して通知してもよい。
【0089】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の実際のカール量が含まれてもよい。例えば、記録装置111が今回排出される媒体M1のカール量を測定する不図示のカールセンサーを備え、その測定されたカール量を今回排出される媒体M1に係る情報として、第2制御部190が制御部90に対して通知してもよい。また、記録される画像パターンで今回排出される媒体M1のカール量が推定できる場合には、その推定されるカール量を、今回排出される媒体M1に係る情報として、第2制御部190が制御部90に対して通知してもよい。なお、カール量及び減算値を含む今回排出される媒体M1のカール量を代用する値は、摩擦力F1に関連する情報である。
【0090】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の下面の幅方向Xにおける記録濃度分布が含まれてもよいし、今回排出される媒体M1の上面の幅方向Xにおける記録濃度分布が含まれてもよい。なお、以降の説明では、「今回排出される媒体M1の下面の幅方向Xにおける記録濃度分布」を単に「第1下面幅方向記録濃度分布」という。また、「今回排出される媒体M1の上面の幅方向Xにおける記録濃度分布」を単に「第1上面幅方向記録濃度分布」という。また、「前回排出された媒体M2の上面の幅方向Xにおける記録濃度分布」を単に「第2上面幅方向記録濃度分布」という。
【0091】
例えば、今回排出される媒体M1の下面の媒体面が幅方向Xにおいて、第1側端M1c側の媒体面と、第2側端M1d側の媒体面とに2分割される。そして、第1下面幅方向記録濃度分布は、第1側端M1c側の下面の媒体面の記録濃度と、第2側端M1d側の下面の媒体面の記録濃度との2つの情報で構成される。なお、分割数は3分割以上であってもよい。
【0092】
第1下面幅方向記録濃度分布と、第1上面幅方向記録濃度分布とは、摩擦力F1に関連する情報である。例えば、制御部90は、今回排出される媒体M1の下面において、第1下面幅方向記録濃度分布によって、第1側端M1c側の媒体面の摩擦力F1と第2側端M1d側の媒体面の摩擦力F1とのうち、どちらの摩擦力F1が大きいかを判断できる。例えば、制御部90は、今回排出される媒体M1の上面において、第1上面幅方向記録濃度分布によって、第1側端M1c側の媒体面の摩擦力F1と第2側端M1d側の媒体面の摩擦力F1とのうち、どちらの摩擦力F1が大きいかを判断できる。
【0093】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の下面の長さ方向Y1における記録濃度分布が含まれてもよいし、今回排出される媒体M1の上面の長さ方向Y1における記録濃度分布が含まれてもよい。なお、以降の説明では、「今回排出される媒体M1の下面の長さ方向Y1における記録濃度分布」を単に「第1下面長さ方向記録濃度分布」という。また、「今回排出される媒体M1の上面の長さ方向Y1における記録濃度分布」を単に「第1上面長さ方向記録濃度分布」という。
【0094】
第1下面長さ方向記録濃度分布と、第1上面長さ方向記録濃度分布とは、摩擦力F1に関連する情報である。今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出される。制御部90に通知された第1下面長さ方向記録濃度分布および第1上面長さ方向記録濃度分布によって、媒体Mが擦れる部分の記録濃度を把握できると共に、媒体Mが擦れる部分の摩擦力F1の大きさをより正確に判断できる。
【0095】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1のサイズが含まれる。今回排出される媒体M1のサイズは、媒体積載装置11において媒体整合動作が行われる際に必要な情報である。媒体長さBが長い媒体Mや媒体幅Aが短い媒体Mは曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1のサイズは抗力F2に関連する情報でもある。
【0096】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の坪量が含まれてもよい。今回排出される媒体M1の坪量は今回排出される媒体M1の単位面積当たりの重さであり、坪量が小さいほど媒体Mは曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1の坪量は抗力F2に関連する情報である。
【0097】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1の種類が含まれてもよい。今回排出される媒体M1の種類とは、例えば、今回排出される媒体M1の銘柄や用紙目方向である。今回排出される媒体M1の銘柄によって、曲げ強さが異なる場合があるため、今回排出される媒体M1の銘柄は抗力F2に関連する情報である。また、用紙目方向が長さ方向Y1のときに比べて、用紙目方向が幅方向Xのときは曲げ強さが小さいため、用紙目方向は抗力F2に関連する情報である。
【0098】
記録装置111が温湿度計測部80を備えるときは、今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度が含まれてもよい。例えば、記録部160によって記録された媒体Mが記録装置111から媒体積載装置11に排出されるときに、温湿度計測部80が計測した値を、今回排出される媒体M1に係る情報として、第2制御部190が制御部90に対して通知してもよい。例えば、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度が大きいときは、媒体面が乾くのに時間がかかるため、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度は、摩擦力F1に関連する情報である。また、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度が低い方が乾燥過程による含水状態の良化がみられず、媒体面が乾くのに時間がかかるため、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度は、摩擦力F1に関連する情報である。なお、温度による影響は湿度による影響に比べて少ない。
【0099】
今回排出される媒体M1に係る情報には、今回排出される媒体M1が記録された時刻が含まれてもよい。制御部90は、今回排出される媒体M1が排出される時刻から今回排出される媒体M1が記録された時刻を減算する。これにより、制御部90は、今回排出される媒体M1が記録されてから排出されるまでの経過時間を算出できる。なお、以降の説明では、「今回排出される媒体M1が記録されてから排出されるまでの経過時間」を単に「第1経過時間」という。制御部90は、第1経過時間を用いて側端整合動作の制御を行なってもよい。第1経過時間が短いと、媒体面がまだ乾いていないため、今回排出される媒体M1が記録された時刻は、摩擦力F1に関連する情報である。なお、第2制御部190が制御部90に対して、今回排出される媒体M1が記録されたときから、今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に排出されるまでの経過時間を、今回排出される媒体M1に係る情報として通知してもよい。
【0100】
記録装置111における媒体Mの搬送速度、記録時の解像度、媒体Mへの処理内容等の情報が第1経過時間の代用として使用されてもよい。すなわち、今回排出される媒体M1に係る情報には、記録装置111における今回排出される媒体M1の搬送速度、記録時の解像度、今回排出される媒体M1への処理内容等、第1経過時間の代用として使用できる情報が含まれてもよい。媒体Mの搬送速度が遅いと、第1経過時間が長くなる。記録時の解像度が高いと記録時間が長くなるため、第1経過時間が長くなる。媒体Mへの処理内容によっては、第1経過時間が長くなる。例えば、媒体Mに対して反転排出処理や両面記録処理が行われると、第1経過時間が長くなる。
【0101】
今回排出される媒体M1に係る情報は、ユーザーによって入力されてもよい。例えば、記録装置111が備える図1に示す操作部115で、今回排出される媒体M1に係る情報をユーザーが入力してもよい。また、媒体積載装置11がユーザーによって入力可能な不図示の操作部を備え、その操作部で今回排出される媒体M1に係る情報をユーザーが入力してもよい。例えば、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度がユーザーによって入力されてもよい。
【0102】
<第1情報と第2情報について>
媒体整合動作の制御に使用される情報は、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る情報と、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る情報と、を含む。なお、以降の説明では、「今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る情報」を単に「第1情報」といい、「今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る情報」を単に「第2情報」という。なお、第2情報は複数あってもよい。
【0103】
記録部160によって記録された媒体Mが記録装置111から媒体積載装置11に対して排出される度に、今回排出される媒体M1に係る情報が、記憶部91に格納される。すなわち、記憶部91には、今回の排出までに記録された媒体に係る情報が格納されている。
【0104】
今回の排出までに記録された媒体に係る情報は、前回排出された媒体M2に係る情報を含み、今回排出される媒体M1に係る情報を含む。そして、今回の排出までに記録された媒体に係る情報は、今回の排出までに記録された媒体の記録濃度に係る情報を含む。制御部90は、今回排出される媒体M1に係る情報と、記憶部91に格納されている情報とのうち必要な情報を、第1情報及び第2情報として、媒体整合動作の制御に使用する。
【0105】
今回の排出までに記録された媒体に係る情報を記憶する記憶部91には、前回排出された媒体M2の上面における記録濃度と、前回排出された媒体M2の下面における記録濃度とが格納されている。なお、以降の説明では、「前回排出された媒体M2の上面における記録濃度」を単に「第2上面記録濃度」という。
【0106】
今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出されるため、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面との間に摩擦力F1が発生する。摩擦力F1は、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に依存する。
【0107】
より詳しくは、今回排出される媒体M1の下面の記録濃度が高いと、今回排出される媒体M1の下面の含水率が高くなる。これにより、媒体面の摺動性が悪くなるため、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。前回排出された媒体M2の上面の記録濃度が高いと、前回排出された媒体M2の上面の含水率が高くなる。これにより、媒体面の摺動性が悪くなるため、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。今回排出される媒体M1の上面の記録濃度がその下面の記録濃度よりも高い場合、上面と下面の記録濃度差による含水率の差が大きくなるため、今回排出される媒体M1の先端が下方にカールする。これにより、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面とが強く接触し、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。前回排出された媒体M2の下面の記録濃度がその上面の記録濃度よりも高い場合、上面と下面の記録濃度差による含水率の差が大きくなるため、前回排出された媒体M2の先端が上方にカールする。これにより、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面とが強く接触し、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。つまり、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。そのため、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報は、今回排出される媒体M1における座屈のし易さの因子として、媒体整合動作の制御に使用される。
【0108】
本実施形態においては、第1情報は第1下面記録濃度と第2上面記録濃度である。そして、第1情報に基づく値は第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値であり、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との両方の媒体の記録濃度に係る情報に基づく値である。制御部90は、第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値を算出し、その合計値を用いて側端整合動作の制御を行なう。なお、以降の説明では、「第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値」を単に「合計値」という。また、以降の説明で使用される「閾値」とは、第1情報に基づく値における閾値であり、本実施形態においては、合計値における閾値である。
【0109】
今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出される。合計値が大きいほど、媒体面同士が湿った状態で摺動する。すなわち、合計値が大きいほど今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との摺動性は低下するため、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。第1情報に基づく値としての合計値は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。そのため、本実施形態においては、合計値は、今回排出される媒体M1における座屈のし易さの因子として、媒体整合動作の制御に使用される。
【0110】
より詳しくは、合計値が閾値よりも大きいときは、側端整合部材の待機位置WPが第1位置WP1とされ、側端整合部材が、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制する。そのため、今回排出される媒体M1の座屈が抑制される。合計値が閾値よりも小さいときは、側端整合部材の待機位置WPが第2位置WP2とされ、待機位置WPが第1位置WP1であるときと比較して、今回排出される媒体M1を整合する時間を短くすることができる。
【0111】
第2制御部190が、合計値を算出してもよい。そして、今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるときに、第2制御部190が制御部90に対して、合計値を今回排出される媒体M1に係る情報として通知してもよい。
【0112】
第1情報の他にも座屈のし易さの因子はある。今回排出される媒体M1の座屈のし易さは、摩擦力F1と、摩擦力F1に抗する力である抗力F2とに起因する。摩擦力F1が抗力F2よりも大きいときは、今回排出される媒体M1が側端整合部材と重ならない第2位置WP2が待機位置WPに特定されると、今回排出される媒体M1は座屈し易い。また、摩擦力F1が抗力F2よりも小さいときは、今回排出される媒体M1が座屈し難いため、今回排出される媒体M1が側端整合部材と重なる第1位置WP1が待機位置WPに特定される必要がない。そればかりか、第1位置WP1が待機位置WPに特定されると、媒体整合動作に時間がかかるため、媒体積載装置11の生産性が低下する。媒体に係る情報の中には、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報の他にも、摩擦力F1に関連する情報がある。また、媒体に係る情報の中には、抗力F2に関連する情報があってもよい。つまり、第1情報に基づく値のみで、待機位置WPの特定が制御されると、媒体積載装置11の性能が低下する虞がある。
【0113】
合計値から想定される摩擦力F1よりも実際の摩擦力F1が小さいときに、制御部90は、第2情報に基づいて閾値を調整してもよいし、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、第2情報に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。閾値の調整と、その決定された制御パラメーターでの制御と、の両方が行われてもよいし、一方のみが行われてもよい。より詳しくは、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターは、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置及び側端整合部材が第1位置WP1で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターである。なお、以降の説明では、「側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーター」を単に「制御パラメーター」という。座屈への影響が少ない範囲で、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置や側端整合部材が第1位置WP1で待機する時間が変更される。これにより、今回排出される媒体M1の座屈を抑制したままで媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0114】
合計値から想定される摩擦力F1よりも実際の摩擦力F1が大きいときに、制御部90は、第2情報に基づいて、閾値を調整してもよいし、制御部90は、制御パラメーターを第2情報に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。閾値の調整と、その決定された制御パラメーターでの制御と、の両方が行われてもよいし、一方のみが行われてもよい。生産性への影響が少ない範囲で、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置や側端整合部材が第1位置WP1で待機する時間が変更される。これにより、座屈が抑制できなかった記録条件での座屈を抑制できる。
【0115】
制御パラメーターは、第1位置WP1における側端整合部材の整合面41a,42aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される側端M1c,M1dとの幅方向Xにおける距離である重なり量L1,L2を含む。重なり量L1,L2は、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置を制御する制御パラメーターである。側端整合部材が第1側端案内部材41のときは、重なり量L1は、第1位置WP1における第1側端案内部材41の整合面41aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第1側端M1cとの前記幅方向Xにおける距離である。側端整合部材が第2側端案内部材42のときは、重なり量L2は、第1位置WP1における第2側端案内部材42の整合面42aと、今回排出される媒体M1が排出部71から排出されたときの媒体の想定される第2側端M1dとの前記幅方向Xにおける距離である。制御部90は、重なり量L1,L2を、第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定した重なり量L1,L2で、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。重なり量L1,L2が小さくされると、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。重なり量L1,L2が大きくされると、座屈が抑制できなかった記録条件での座屈を抑制できる。
【0116】
制御パラメーターは、側端整合部材が第1位置WP1から移動するタイミングを含む。そのタイミングは、側端整合部材が第1位置WP1で待機する時間を制御する制御パラメーターである。制御部90は、そのタイミングを第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定したそのタイミングで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。そのタイミングが早くされると、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。そのタイミングが遅くされると、座屈が抑制できなかった記録条件での座屈を抑制できる。
【0117】
制御パラメーターは、制御部90による側端整合部材としての第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方を特定する選択を含む。その選択は、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置を制御する制御パラメーターである。制御部90は、その選択を第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定した選択で、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。第2側端M1d側の摩擦力F1よりも第1側端M1c側の摩擦力F1が大きいときは、制御部90が第1側端案内部材41を側端整合部材として制御することにより、第1側端M1c側の接触が抑制されるため、より効果的に座屈を抑制できる。側端整合部材として第1側端案内部材41が特定されるために第1側端案内部材41が選択されるとき、例えば、選択される値は1である。このとき、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置は、第2側端M1dよりも第1側端M1cに近い位置となる。第1側端M1c側の摩擦力F1よりも第2側端M1d側の摩擦力F1が大きいときは、制御部90が第2側端案内部材42を側端整合部材として制御することにより、第2側端M1d側の接触が抑制されるため、より効果的に座屈を抑制できる。側端整合部材として第2側端案内部材42が特定されるために第2側端案内部材42が選択されるとき、例えば、選択される値は2である。このとき、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置は、第1側端M1cよりも第2側端M1dに近い位置となる。
【0118】
第2情報は、第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値を含んでもよい。制御部90は、第2情報となる減算値を算出し、その減算値に基づいて閾値を調整してもよい。制御部90は、制御パラメーターを第2情報となる減算値に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。減算値は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。減算値が大きくなると、摩擦力F1は大きくなるため、制御部90は、減算値が所定値以上の場合には、閾値を低くしてもよい。
【0119】
第2制御部190が、第2情報となる減算値を算出してもよい。そして、今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるときに、第2制御部190が制御部90に対して、減算値を今回排出される媒体M1に係る情報として通知してもよい。
【0120】
第2情報は、今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つを含んでもよい。制御部90は、第2情報となる今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つに基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、制御パラメーターを第2情報となる今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つに基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類は、抗力F2に関連する情報であり、抗力F2の因子である。
【0121】
媒体Mのサイズは媒体長さBと媒体幅Aである。今回排出される媒体M1の媒体長さBが長いほど曲げ強さが小さいため、抗力F2は小さくなり今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。今回排出される媒体M1の媒体長さBが短いほど、今回排出される媒体M1における排出部71から排出された媒体長さが長くなる前に排出が終了するため、抗力F2は小さくならず今回排出される媒体M1が座屈し難くなる。今回排出される媒体M1の媒体幅Aが短いほど曲げ強さが小さいため、抗力F2は小さくなり今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。今回排出される媒体M1の媒体幅Aが長いほど曲げ強さが大きいため、抗力F2は大きくなり今回排出される媒体M1が座屈し難くなる。
【0122】
今回排出される媒体M1の坪量が小さいときは曲げ強さが小さいため、抗力F2は小さくなり今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。今回排出される媒体M1の坪量が大きいときは曲げ強さが大きいため、抗力F2は大きくなり今回排出される媒体M1が座屈し難くなる。
【0123】
今回排出される媒体M1の種類によっては曲げ強さが小さいため、抗力F2は小さくなり今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。今回排出される媒体M1の種類によっては曲げ強さが大きいため、抗力F2は大きくなり今回排出される媒体M1が座屈し難くなる。
【0124】
第2情報は、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一つを含んでもよい。制御部90は、第2情報となる今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、制御パラメーターを第2情報となる今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、側端整合部材をそれらの第2情報に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0125】
第2情報は、今回排出される媒体M1が排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数を含んでもよい。制御部90は、第2情報となる処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、制御パラメーターを第2情報となる処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、側端整合部材を処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。記憶部91は、今回の排出までに記録された媒体に係る情報を記憶するため、制御部90は、今回排出される媒体M1が排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数を算出できる。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が多いときは、前回排出された媒体M2の上面と今回排出される媒体M1の下面との距離が近いため、摩擦力F1が大きい。また、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が少ないときは、前回排出された媒体M2の上面と今回排出される媒体M1の下面との距離が遠いため、摩擦力F1が小さい。すなわち、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0126】
第2情報は、第1経過時間を含んでもよい。制御部90は、第2情報となる第1経過時間を算出し、第1経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、第2情報となる第1経過時間を算出し、制御パラメーターを第2情報となる第1経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第1経過時間に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。第1経過時間が短いと今回排出される媒体M1の媒体面がまだ乾いていないため、第1経過時間は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0127】
制御部90は、今回排出される媒体M1が排出される時刻から前回排出された媒体M2が記録された時刻を減算する。これにより、制御部90は、前回排出された媒体M2が記録されてから今回排出される媒体M1が排出されるまでの経過時間を算出できる。なお、以降の説明では、「前回排出された媒体M2が記録されてから、今回排出される媒体M1が排出されるまでの経過時間」を単に「第2経過時間」という。
【0128】
第2情報は、第2経過時間を含んでもよい。制御部90は、第2情報となる第2経過時間を算出し、第2経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、第2情報となる第2経過時間を算出し、制御パラメーターを第2情報となる第2経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2経過時間に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。第2経過時間が短いと前回排出された媒体M2の媒体面がまだ乾いていないため、第2経過時間は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0129】
今回排出される媒体M1に係る情報には、第1下面幅方向記録濃度分布が含まれてもよいし、第1上面幅方向記録濃度分布が含まれてもよい。そして、今回の排出までに記録された媒体に係る情報を記憶する記憶部91には、第2上面記録幅方向濃度分布が格納されている。
【0130】
第2情報は、今回排出される媒体M1の下面の幅方向Xにおける第1下面幅方向記録濃度分布を含んでもよい。制御部90は、第1下面幅方向記録濃度分布において、第1側端M1c側の下面の媒体面の記録濃度から第2側端M1d側の下面の媒体面の記録濃度を減算した今回排出される媒体M1の側端濃度差を算出する。そして、制御部90は、第2情報となるその側端濃度差に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、制御パラメーターをその側端濃度差に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その側端濃度差に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。なお、以降の説明では、「第1側端M1c側の下面の媒体面の記録濃度から第2側端M1d側の下面の媒体面の記録濃度を減算した今回排出される媒体M1の側端濃度差」を単に「第1側端濃度差」という。
【0131】
第1側端濃度差が大きいほど、第2側端M1d側の媒体面間の摩擦力F1に比べて、第1側端M1c側の媒体面間の摩擦力F1が大きくなる。また、第1側端濃度差が小さいほど、第1側端M1c側の媒体面間の摩擦力F1に比べて、第2側端M1d側の媒体面間の摩擦力F1が大きくなる。つまり、第1側端濃度差は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0132】
第2情報は、今回排出される媒体M1の上面の幅方向Xにおける第2上面幅方向記録濃度分布を含んでもよい。制御部90は、第2上面幅方向記録濃度分布において、第1側端M1c側の上面の媒体面の記録濃度から第2側端M1d側の上面の媒体面の記録濃度を減算した前回排出された媒体M2の側端濃度差を算出する。そして、制御部90は、第2情報となるその側端濃度差に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、制御パラメーターをその側端濃度差に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その側端濃度差に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。なお、以降の説明では、「第1側端M1c側の上面の媒体面の記録濃度から第2側端M1d側の上面の媒体面の記録濃度を減算した前回排出された媒体M1の側端濃度差」を単に「第2側端濃度差」という。
【0133】
第2側端濃度差が大きいほど、第2側端M1d側の媒体面間の摩擦力F1に比べて、第1側端M1c側の媒体面間の摩擦力F1が大きくなる。また、第2側端濃度差が小さいほど、第2側端M1d側の媒体面間の摩擦力F1に比べて、第1側端M1c側の媒体面間の摩擦力F1が小さくなる。つまり、第2側端濃度差は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。
【0134】
<媒体整合動作の制御方法について>
最初に、媒体整合動作の制御方法の概要を説明し、次に、媒体整合動作の制御方法のフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。その後、媒体整合動作の制御方法のフロー内で行われるサブルーチンである閾値調整処理サブルーチン、制御パラメーター決定処理サブルーチン、媒体整合動作サブルーチン、側端整合動作サブルーチン、を順に説明する。
【0135】
図10に示すように、最初に、媒体整合動作の制御方法の概要を説明する。
ステップS301~307において、制御部90は、排出部71から今回排出される媒体M1が排出されるときに、今回排出される媒体M1に係る情報を記録装置111より取得し、記憶部91に格納する。そして、制御部90は、今回排出される媒体M1に係る情報と、記憶部91に格納されている前回までに排出された媒体に係る情報とから、媒体整合動作の制御に使用する複数の情報を選択する。その複数の情報のうちの1つまたは複数の情報に基づいて算出値が算出され、その算出値が媒体整合動作の制御に使用する情報として使用されてもよい。なお、前回までに排出された媒体とは、排出部71から今回排出される媒体M1が排出されるときに処理トレイ21に積載されている媒体Msを含む。つまり、ステップS301~307において、媒体整合動作の制御に使用するための第1情報と第2情報とが準備される。
【0136】
ステップS400~S500において、制御部90は、第2情報に基づいて閾値を調整する。そして、制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを第2情報に基づいて決定する。閾値とは、ステップS308a~309において、第1情報に基づく値によって待機位置WPが特定されるときの閾値である。
【0137】
ステップS308a~309において、制御部90は、第1情報に基づく値が閾値以上か否かを判定する。そして、制御部90は、側端整合部材として第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方を特定する。第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、制御部90は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する。第1情報に基づく値が閾値未満の場合は、制御部90は、幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重ならない第2位置WP2を側端整合部材の待機位置WPに特定する。
【0138】
ステップS600において、制御部90は、媒体整合動作を実行する。制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、第2情報に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。媒体整合動作が終了すると、本フローは終了する。
【0139】
図10に示すように、次に、媒体整合動作の制御方法のフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。記録部160によって記録された今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるときに、第2制御部190が、制御部90に対して今回排出される媒体M1に係る情報を通知すると本フローが開始される。
【0140】
ステップS301において、制御部90は、今回排出される媒体M1に係る情報を記録装置111より取得して記憶部91に格納する。ステップS302において、制御部90は、合計値を算出する。ステップS303において、制御部90は、減算値を算出する。ステップS304において、制御部90は、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数を算出する。ステップS305において、制御部90は、第1経過時間を算出する。ステップS306において、制御部90は、第2経過時間を算出する。ステップS307において、制御部90は、第1側端濃度差を算出する。
【0141】
ステップS400において、制御部90は、閾値調整処理サブルーチンを実行する。閾値調整処理サブルーチンについては後述する。閾値調整処理サブルーチンが終了すると、ステップS500において、制御部90は、制御パラメーター決定処理サブルーチンを実行する。制御パラメーター決定処理サブルーチンについては後述する。
【0142】
制御パラメーター決定処理サブルーチンが終了すると、ステップS308aにおいて、制御部90は、合計値が閾値以上か否かを判断する。合計値が閾値以上のときは、ステップS308aがYESになり、制御部90は、処理をステップS309に移行する。
【0143】
ステップS309において、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する。なお、側端整合部材が第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうちの何れであるかは、後述するステップS509において特定される。合計値が閾値未満のときは、ステップS308aがNOになり、制御部90は、処理をステップS310に移行する。そして、ステップS310において、制御部90は、第2位置WP2を側端整合部材の待機位置WPに特定する。
【0144】
例えば、第1下面記録濃度を60%、第2上面記録濃度を60%としたとき、第1下面記録濃度の値は60であり、第2上面記録濃度の値は60である。このとき、(合計値)=(第1下面記録濃度)+(第2上面記録濃度)=60+60=120となる。閾値を100としたとき、(合計値)≧(閾値)であるから、制御部90は、合計値が閾値以上であると判断する。記録濃度が高いほど媒体面は湿っており、媒体Mにおける媒体面の摺動性は低下する。今回排出される媒体M1の下面が、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出されるため、合計値が大きいほど摩擦力F1が大きくなる。そのため、合計値が閾値以上のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する。第1位置WP1は、側端整合部材が幅方向Xにおいて今回排出される媒体M1と重なる待機位置WPであるため、前回排出された媒体M2の上面と、今回排出される媒体M1の下面とが接触し難くなる。
【0145】
第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とは、媒体面全面の記録濃度であってもよいし、媒体面の一部の記録濃度であってもよい。例えば、第2上面記録濃度は、今回排出される媒体M1の下面が前回排出された媒体M2の上面に接触するときに、最初に接触する今回排出される媒体M1の下面の先端部分M1aの記録濃度であってもよい。
【0146】
第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とが重み付けして加算されてもよい。今回排出される媒体M1は、前回排出された媒体M2と比較して、記録してからの時間が短いため、摩擦力F1への寄与が大きい。そのため、第1下面記録濃度の寄与が大きくなるように、重み付けされて合計値が算出されてもよい。例えば、(合計値)=2×(第1下面記録濃度)+(第2上面記録濃度)のように、第1下面記録濃度に2倍の重み付けがされて加算されてもよい。また、媒体Mが積載される時間間隔が非常に長いときは、今回排出される媒体M1が排出されるときに、前回排出された媒体M2の上面が既に乾いている場合がある。このような場合、第2上面記録濃度の寄与がなくなるように、重み付けがされて加算されてもよい。例えば、(合計値)=(第1下面記録濃度)+0×(第2上面記録濃度)のように、重み付けの係数を「ゼロ」として合計値が算出されてもよい。
【0147】
ステップS600において、制御部90は、媒体整合動作サブルーチンを実行する。媒体整合動作サブルーチンについては後述する。媒体整合動作サブルーチンが終了すると、本フローは終了する。
【0148】
<閾値調整処理サブルーチンについて>
図11に示すように、閾値調整処理サブルーチンのフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0149】
ステップS401aにおいて、制御部90は、減算値が所定値以上か否かを判断する。減算値が所定値以上であるときは、ステップS401aがYESになり、制御部90は、処理をステップS402に移行する。そして、ステップS402において、制御部90は、閾値を1段階低くして、処理をステップS403に移行する。減算値が所定値未満であるときは、ステップS401aがNOになり、制御部90は、処理をステップS403に移行する。
【0150】
例えば、第1上面記録濃度を100、第1下面記録濃度を10としたとき、第1上面記録濃度の値は100であり、第1下面記録濃度の値は10である。このとき、(減算値)=(第1上面記録濃度)-(第1下面記録濃度)=100-10=90となる。所定値を50としたとき、(減算値)≧(所定値)であるから、制御部90は、減算値が所定値以上であると判断する。今回排出される媒体M1の先端が下側にカールしているほど、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鈍角になる。すなわち、減算値が大きいほど、今回排出される媒体M1の下面は前回排出された媒体M2の上面と強く擦れて積載される。これにより、摩擦力F1が大きくなるため、摺動性が低下する。そのため、減算値が所定値以上のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を1段階低くする。
【0151】
所定値よりも大きな値の第2の所定値が設けられ、減算値が第2の所定値以上であるときに、制御部90は、閾値を2段階低くしてもよいし、さらに多くの所定値が設けられてもよい。また、制御部90は、減算値が所定値未満であるときに閾値を高くしてもよい。今回排出される媒体M1の先端が上側にカールしていると、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鋭角になる。これにより、摩擦力F1が小さくなるため、今回排出される媒体M1が座屈し難くなる。
【0152】
ステップS403において、制御部90は、今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値以上か否かを判断する。今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値以上であるときは、ステップS403がYESになり、制御部90は、処理をステップS404に移行する。そして、ステップS404において、制御部90は、閾値を1段階低くして、処理をステップS405に移行する。今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値未満であるときは、ステップS403がNOになり、制御部90は、処理をステップS405に移行する。
【0153】
例えば、今回排出される媒体M1がA3サイズの媒体Mであるとき、媒体長さBは420mmであり、媒体長さBの値は420である。所定値を350としたとき、(媒体長さB)≧(所定値)であるから、制御部90は、今回排出される媒体M1の媒体長さBは所定値以上であると判断する。今回排出される媒体M1の媒体長さBが長いほど曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。そのため、今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値以上のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を1段階低くする。
【0154】
今回排出される媒体M1の幅に対して所定値が設けられてもよい。今回排出される媒体M1の幅が短いほど曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。そのため、今回排出される媒体M1の幅が所定値以下のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を低くしてもよい。
【0155】
媒体Mの坪量や媒体Mの種類に対して所定値が設けられてもよい。例えば、今回排出される媒体M1の坪量が小さいときは曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。そのため、今回排出される媒体M1の坪量が小さいときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を低くしてもよい。例えば、今回排出される媒体M1が横目であれば曲げ強さが小さいため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。そのため、今回排出される媒体M1が横目のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を低くしてもよい。また、媒体Mの曲げ強さに影響を与えるその他の因子に対して所定値が設けられてもよい。
【0156】
ステップS405において、制御部90は、処理トレイ21上の媒体Mの枚数が所定値以上か否かを判断する。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が所定値以上であるときは、ステップS405がYESになり、制御部90は、処理をステップS406に移行する。そして、ステップS406において、制御部90は、閾値を1段階低くして、処理をステップS407に移行する。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が所定値未満であるときは、ステップS405がNOになり、制御部90は、処理をステップS407に移行する。
【0157】
例えば、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が40枚であるとき、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数の値は40である。所定値を10としたとき、(処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数)≧(所定値)である。そのため、制御部90は、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は所定値以上であると判断する。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が多いほど、前回排出された媒体M2の上面と今回排出される媒体M1の下面との距離が近く、摩擦力F1が大きいため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。そのため、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が所定値以上のときは、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する閾値を1段階低くする。
【0158】
処理トレイ21に積載されている媒体Msの坪量に応じて、所定値が変更されてもよい。処理トレイ21に積載されている媒体Msの坪量が大きいほど、積載高さが高くなるため、前回排出された媒体M2の上面と今回排出される媒体M1の下面との距離が近くなる。そして、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。また、処理トレイ21に積載されている媒体Msの種類や記録密度に応じて、所定値が変更されてもよい。処理トレイ21に積載されている媒体Msの種類や記録密度によっては、媒体面の波うちやカールが発生して、積載高さが高くなる場合がある。
【0159】
ステップS407において、制御部90は、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度が所定値以上か否かを判断する。その湿度が所定値以上であるときは、ステップS407がYESになり、制御部90は、処理をステップS408に移行する。そして、ステップS408において、制御部90は、閾値を1段階低くして、処理をステップS409に移行する。その湿度が所定値未満であるときは、ステップS407がNOになり、制御部90は、処理をステップS409に移行する。
【0160】
ステップS409において、制御部90は、第1所定時間が所定値以上か否かを判断する。第1所定時間が所定値以上であるときは、ステップS409がYESになり、制御部90は、処理をステップS410に移行する。そして、ステップS410において、制御部90は、閾値を1段階高くして、処理をステップS411に移行する。第1所定時間が所定値未満であるときは、ステップS409がNOになり、制御部90は、処理をステップS411に移行する。
【0161】
ステップS411において、制御部90は、第2所定時間が所定値以上か否かを判断する。第2所定時間が所定値以上であるときは、ステップS411がYESになり、制御部90は、処理をステップS412に移行する。そして、ステップS412において、制御部90は、閾値を1段階高くして、閾値調整処理サブルーチンを終了する。第2所定時間が所定値未満であるときは、ステップS411がNOになり、制御部90は、閾値調整処理サブルーチンを終了する。
【0162】
<制御パラメーター決定処理サブルーチンについて>
図12に示すように、制御パラメーター決定処理サブルーチンのフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0163】
ステップS501において、制御部90は、今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値以上か否かを判断する。今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値以上であるときは、ステップS501がYESになり、制御部90は、処理をステップS502に移行する。そして、ステップS502において、制御部90は、重なり量L1,L2を1段階大きくして、処理をステップS503に移行する。今回排出される媒体M1の媒体長さBが所定値未満であるときは、ステップS501がNOになり、制御部90は、処理をステップS502に移行する。
【0164】
ステップS503において、制御部90は、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度が所定値以上か否かを判断する。その湿度が所定値以上であるときは、ステップS503がYESになり、制御部90は、処理をステップS504に移行する。そして、ステップS504において、制御部90は、重なり量L1,L2を1段階大きくして、処理をステップS505に移行する。その湿度が所定値未満であるときは、ステップS503がNOになり、制御部90は、処理をステップS505に移行する。
【0165】
ステップS505において、制御部90は、第1所定時間が所定値以上か否かを判断する。第1所定時間が所定値以上であるときは、ステップS505がYESになり、制御部90は、処理をステップS506に移行する。そして、ステップS506において、制御部90は、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを1段階早くして、処理をステップS507に移行する。第1所定時間が所定値未満であるときは、ステップS505がNOになり、制御部90は、処理をステップS507に移行する。
【0166】
ステップS507において、制御部90は、第2所定時間が所定値以上か否かを判断する。第2所定時間が所定値以上であるときは、ステップS507がYESになり、制御部90は、処理をステップS508に移行する。そして、ステップS508において、制御部90は、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを1段階早くして、処理をステップS509に移行する。第1所定時間が所定値未満であるときは、ステップS507がNOになり、制御部90は、処理をステップS509に移行する。
【0167】
ステップS509において、制御部90は、第1側端濃度差が所定値以上か否かを判断する。第1側端濃度差が所定値以上であるときは、ステップS509がYESになり、制御部90は、処理をステップS510に移行する。そして、ステップS510において、制御部90は、側端整合部材として第1側端案内部材41を特定して、制御パラメーター決定処理サブルーチンを終了する。第1側端濃度差が所定値未満であるときは、ステップS509がNOになり、制御部90は、処理をステップS511に移行する。そして、ステップS511において、制御部90は、側端整合部材として第2側端案内部材42を特定特定して、制御パラメーター決定処理サブルーチンを終了する。
【0168】
例えば、所定値を「ゼロ」とし第1側端濃度差が所定値以上のときは、今回排出される媒体M1において、第2側端M1d側の記録濃度よりも第1側端M1c側の記録濃度が大きいため、第2側端M1d側の媒体面よりも第1側端M1c側の媒体面が湿っている。そのため、第1側端案内部材41を側端整合部材に特定する。そして、第1側端案内部材41が湿っている側である第1側端M1c側の媒体面同士が接触することを抑制する。
【0169】
また、「ゼロ」を挟んで2つの所定値が設けられてもよい。例えば、制御部90は、第1側端濃度差が第1所定値以上のときは側端整合部材として第1側端案内部材41を特定し、第1側端濃度差が第2所定値未満のときは側端整合部材として第2側端案内部材42を特定してもよい。そして、第1側端濃度差が第1所定値未満かつ第2所定値以上のとき、制御部90は、生産性が高くなる方の案内部材を、側端整合部材として特定してもよい。すなわち、第1側端濃度差が「ゼロ」近傍のときは、どちらの案内部材が側端整合部材として特定されても座屈の抑制に対しての差が少ないため、制御部90は、生産性が高くなる方の案内部材を、側端整合部材として特定する。例えば、部数単位の処理の途中で、側端整合部材が第1側端案内部材41から第2側端案内部材42に変更されなければ、次の媒体Mの側端整合のために処理トレイ21に積載されている媒体Msの位置変更が必要ないため、生産性が高くなる。例えば、部数単位の最初の媒体Mの処理のときに側端整合部材が第1側端案内部材41から第2側端案内部材42に変更されれば、媒体束の排出前に行われるシフト処理がその媒体束に対して必要ないため、生産性が高くなる。つまり、摩擦力F1が均等に近いときは、制御部90が、側端整合部材としての第1側端案内部材41と、側端整合部材としての第2側端案内部材42とを状況に応じて使い分けることにより、媒体積載装置11の生産性を向上させることができる。
【0170】
制御部90は、第2側端濃度差が所定値以上か否かを判断してもよいし、第1側端濃度差と第2側端濃度差との両方が所定値以上か否かを判断してもよい。なお、制御部90が、第1側端濃度差と第2側端濃度差との両方がそれぞれ所定値以上か否かを判断し、両方ともが所定値以上であったときは、制御部90は、例えば、第1側端濃度差と第2側端濃度差とのうち濃度差が大きい方で判断してもよい。
【0171】
<媒体整合動作サブルーチンについて>
図13に示すように、媒体整合動作サブルーチンのフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0172】
ステップS601において、制御部90は、今回排出される媒体M1が排出される前に処理トレイ21に積載されている媒体Msの位置変更が必要か否かを判断する。位置変更が必要なときは、ステップS601がYESになり、制御部90は、処理をステップS602に移行する。そして、ステップS602において、制御部90は、処理トレイ21に積載されている媒体Msの位置を移動させて、処理をステップS603に移行する。位置変更が必要ないときは、ステップS601がNOになり、制御部90は、処理をステップS603に移行する。
【0173】
前回排出された媒体M2の側端整合動作が終了したときは、第1側端案内部材41の整合面41aは第1側端Mscに当接し、第2側端案内部材42の整合面42aは第2側端Msdに当接している。この状態において今回排出される媒体M1が排出されたときの重なり量L1,L2と、図12に示すフローチャートが終了するときに設定された重なり量L1,L2と、が異なるときは、制御部90は、処理トレイ21に積載されている媒体Msの位置を移動させる。すなわち、シフト処理が行われる。より詳しくは、第1側端案内部材41と第2側端案内部材42とを、同じ速度、同じタイミングで、同じ距離だけ幅方向Xの同じ向きに移動させる。これにより、今回排出される媒体M1が排出されたときの重なり量L1,L2を、図12に示すフローチャートが終了するときに設定された重なり量L1,L2にすることができる。
【0174】
ステップS603において、制御部90は、第1側端案内部材41と第2側端案内部材42とを待機位置WPに移動させる。そして、ステップS604において、制御部90は、媒体排出動作を開始する。すなわち、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが排出部71より排出されて、排出動作が開始される。そして、ステップS605において、制御部90は、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングか否かを判断する。より詳しくは、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングまで、側端整合部材は移動しない。なお、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングは、図12に示すフローチャートが終了するときに設定されたタイミングである。側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングになると、ステップS606がYESになり、制御部90は、処理をステップS606に移行する。
【0175】
ステップS606において、制御部90は、側端整合部材の待機位置WPが第1位置WP1か否かを判断する。側端整合部材の待機位置WPが第1位置WP1のときは、ステップS606がYESになり、制御部90は、処理をステップS607に移行する。そして、ステップS607において、制御部90は、側端整合部材を第2位置WP2に移動させて、処理をステップS608に移行する。側端整合部材の待機位置WPが第2位置WP2のときは、ステップS606がNOになり、制御部90は、処理をステップS608に移行する。
【0176】
ステップS608において、制御部90は、媒体排出動作が終了したか否かを判断する。より詳しくは、制御部90は、今回排出される媒体M1の後端が排出部71より排出されたか否かを判断する。媒体排出動作が終了すると、ステップS608がYESになり、制御部90は、処理をステップS609に移行する。
【0177】
ステップS609において、制御部90は、後端整合動作を行う。後端整合動作が終了すると、ステップS700において、制御部90は、側端整合動作のサブルーチンを実行する。側端整合動作のサブルーチンについては後述する。側端整合動作のサブルーチンが終了すると、制御部90は、媒体整合動作サブルーチンを終了する。
【0178】
図14に示すように、図13のステップS700において行われる側端整合動作サブルーチンのフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0179】
ステップS701において、制御部90は、側端整合部材の位置が第1位置WP1か否かを判断する。側端整合部材の位置が第1位置WP1のときは、ステップS701がYESになり、制御部90は、処理をステップS702に移行する。そして、ステップS702において、制御部90は、側端整合部材を第2位置WP2に移動させて、処理をステップS703に移行する。側端整合部材の位置が第2位置WP2のときは、ステップS701がNOになり、制御部90は、処理をステップS703に移行する。
【0180】
今回排出される媒体M1が座屈し易いときは、媒体排出動作が終了するまでは、側端整合部材が第1位置WP1に位置する場合がある。すなわち、媒体排出動作が終了したときの側端整合部材の位置が第1位置WP1である場合がある。このとき、制御部90は、側端整合部材をいったん、第2位置WP2に移動させる。
【0181】
ステップS703において、制御部90は、側端整合部材を第2位置WP2から第1位置WP1に移動させる。これにより、今回排出される媒体M1の側端M1c,M1dが整合される。より詳しくは、第1側端案内部材41が側端整合部材に特定されたときは、第1側端案内部材41が、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合する。第2側端案内部材42が、側端整合部材に特定されたときは、第2側端案内部材42が今回排出される媒体M1の第2側端M1dを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第2側端Msdに整合する。側端整合部材が第2位置WP2から第1位置WP1に移動すると、制御部90は、側端整合動作サブルーチンを終了する。
【0182】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態においては、標準記録条件において、座屈が発生しない最も大きな合計値が閾値とされる。座屈が発生しない最も大きな合計値は、例えば、実験によって決められる。なお、標準記録条件は、平均的な記録条件であってもよいし、最もよく使用される記録条件であってもよい。標準記録条件の決め方は限定しない。
【0183】
標準記録条件の一例を以下に記載する。媒体Mにおいては、A4サイズ、80gsm、縦目の用紙が、縦送りで使用される。媒体Mの両面に標準解像度の画像が記録され、幅方向Xにおける記録濃度の差はない。どの媒体Mにも、同じ画像が記録される。媒体Mが記録された環境の温度と湿度は、22度65%である。媒体Mが排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は5枚である。以上の条件が標準記録条件であるとき、座屈が発生しない最も大きな合計値が80であれば、合計値の閾値を80とする。すなわち、第2情報に基づいて調整される前の閾値は80である。なお、「gsm」は媒体Mの坪量の単位である。用紙目方向には縦目と横目があり、用紙目方向は媒体Mの種類の一例である。また、縦送りとは用紙の長辺が搬送方向に平行となる送り方向をいう。
【0184】
実際の記録条件の一例を以下に記載する。媒体Mにおいては、A3サイズ、80gsm、縦目の用紙が、縦送りで使用される。媒体Mの両面に高解像度の画像が記録され、上面記録濃度は50%、下面記録濃度は20%である。幅方向Xにおける記録濃度の差があり、第1側端濃度差は20である。どの媒体Mにも、同じ画像が記録される。媒体Mが記録された環境の温度と湿度は、22度85%である。媒体Mが排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は20枚である。以上の条件が実際の記録条件であるとき、第1情報に基づく値としての合計値は、(合計値)=(第1下面記録濃度)+(第2上面記録濃度)=20+50=70となる。
【0185】
合計値は70であり、第2情報に基づいて調整される前の合計値の閾値は80である。すなわち、閾値が第2情報に基づいて調整されていないときは、(合計値)<(閾値)である。合計値は閾値未満であるため、閾値が第2情報に基づいて調整されていないときは、第2位置WP2が待機位置WPに特定される。
【0186】
閾値が第2情報に基づいて調整される。本実施形態においては、第2情報に基づいた値が所定値以上のときに閾値が調整される。第2情報に基づいた値が所定値以下のときに閾値が調整されてもよい。すなわち、第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときに閾値が調整される。第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときは、第1情報に基づく値から想定される標準記録条件における摩擦力F1と、実際の記録条件における摩擦力F1との乖離が大きい。もしくは、標準記録条件における抗力F2と、実際の記録条件における抗力F2との乖離が大きい。そのため、制御部90は、第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときに閾値を調整することで、実際の記録条件に適した制御に変更する。
【0187】
制御部90は第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値を算出すると、(減算値)=(第1上面記録濃度)-(第1下面記録濃度)=50-20=30となる。例えば、第2情報としての減算値における所定値を25としたとき、減算値が25を超えたときは、第1情報に基づく値から想定される標準記録条件における摩擦力F1と、実際の記録条件における摩擦力F1との乖離が大きいため、閾値を調整する。(減算値)≧(所定値)であるため、制御部90は閾値を1段階低くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=80-15=65となる。なお、1段階分の値の決め方は限定しない。
【0188】
第2情報としての今回排出される媒体M1の媒体長さBの値は420である。今回排出される媒体M1の媒体長さBにおける所定値を350とすると、(媒体長さB)≧(所定値)であるため、制御部90は閾値を1段階低くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=65-15=50となる。なお、第2情報としての今回排出される媒体M1の種類、第2情報としての今回排出される媒体M1の坪量に基づいて、制御部90は閾値を調整してもよい。
【0189】
第2情報としての処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数の値は20である。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数における所定値を10とすると、(処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数)≧(所定値)であるため、制御部90は閾値を1段階低くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=50-15=35となる。
【0190】
第2情報としての今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度の値は85である。媒体Mが記録された環境の湿度における所定値を75とすると、(今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度)≧(所定値)であるため、制御部90は閾値を1段階低くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=35-15=20となる。なお、第2情報としての媒体Mが記録された環境の温度に基づいて、制御部90は閾値を調整してもよい。
【0191】
高解像度の画像が両面に記録されると記録時間が長くなるため、今回排出される媒体M1が記録されてから排出されるまでの第2情報としての第1経過時間は、標準記録条件における第1経過時間と比べて長く、(第1経過時間)≧(所定値)を満たすとする。制御部90は閾値を1段階高くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=20+15=35となる。
【0192】
高解像度の画像が両面に記録されるため、前回排出された媒体M2が記録されてから今回排出される媒体M1が排出されるまでの第2情報としての第2経過時間は、標準記録条件における第2経過時間と比べて長く、(第2経過時間)≧(所定値)を満たすとする。制御部90は閾値を1段階高くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=35+15=50となる。
【0193】
このようにして、閾値が第2情報に基づいて調整される。第1情報に基づく値としての合計値は70であり、第2情報に基づいて調整された後の閾値は50である。すなわち、閾値が第2情報に基づいて調整された後は、(合計値)>(閾値)である。合計値は閾値以上であるため、閾値が第2情報に基づいて調整されるときは、第1位置WP1が待機位置WPに特定される。この例においては、閾値が第2情報に基づいて調整されないときは、第2位置WP2が待機位置WPに特定され、閾値が第2情報に基づいて調整されるときは、第1位置WP1が待機位置WPに特定される。
【0194】
第1情報に基づく値としての合計値は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。そのため、合計値は、今回排出される媒体M1における座屈のし易さの因子として、媒体整合動作の制御に使用される。しかし、合計値の他にも座屈のし易さの因子はある。今回排出される媒体M1の座屈のし易さは、摩擦力F1と抗力F2とに起因する。そのため、第1情報以外の摩擦力F1に関連する情報と、抗力F2に関連する情報とが、第2情報として媒体整合動作の制御に使用されることにより、より適切な待機位置WPを選択できる。
【0195】
制御パラメーターが第2情報に基づいて決定される。本実施形態においては、第2情報に基づいた値が所定値以上のときに制御パラメーターが基準値から変更される。第2情報に基づいた値が所定値以下のときに制御パラメーターが基準値から変更されてもよい。すなわち、第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときに制御パラメーターが基準値から変更される。第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときは、第1情報に基づく値から想定される標準記録条件における摩擦力F1と、実際の記録条件における摩擦力F1との乖離が大きい。もしくは、標準記録条件における抗力F2と、実際の記録条件における抗力F2との乖離が大きい。そのため、制御部90は、第2情報に基づいた値が所定の範囲を外れたときに制御パラメーターを変更することで、実際の記録条件に適した制御に変更する。
【0196】
(媒体長さB)≧(所定値)であるため、制御部90は、第2情報としての今回排出される媒体M1の媒体長さBに基づいて、制御パラメーターである重なり量L1,L2を1段階大きくする。すなわち、制御部90は、今回排出される媒体M1と第1位置WP1における側端整合部材とがより重なるように制御する。なお、制御部90は、今回排出される媒体M1の媒体長さBに基づいて、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを変更してもよい。また、制御部90は、第2情報としての今回排出される媒体M1の種類、第2情報としての今回排出される媒体M1の坪量に基づいて、制御部90は重なり量L1,L2を変更してもよいし、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを変更してもよい。
【0197】
(環境の湿度)≧(所定値)であるため、制御部90は、第2情報としての今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度に基づいて、制御パラメーターである重なり量L1,L2をさらに1段階大きくする。すなわち、制御部90は、今回排出される媒体M1と第1位置WP1における側端整合部材とがさらに重なるように制御する。なお、制御部90は、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度に基づいて、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを変更してもよい。また、制御部90は、第2情報としての今回排出される媒体M1が記録された環境の温度に基づいて、制御部90は重なり量L1,L2を変更してもよいし、側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを変更してもよい。
【0198】
(第1経過時間)≧(所定値)を満たすとする。制御部90は、第2情報としての第1経過時間に基づいて側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングを1段階早くする。すなわち、制御部90は、側端整合動作が早く終了するように制御を変更する。なお、制御部90は、第1経過時間に基づいて重なり量L1,L2を変更してもよい。
【0199】
(第2経過時間)≧(所定値)を満たすとする。制御部90は、第2情報としての第2経過時間に基づいて側端整合部材が第1位置WP1から離れるタイミングをさらに1段階早くする。すなわち、制御部90は、側端整合動作がさらに早く終了するように制御を変更する。なお、制御部90は、第2経過時間に基づいて重なり量L1,L2を変更してもよい。
【0200】
第2情報としての減算値に基づいて、制御部90は、制御パラメーターを決定してもよい。また、制御部90は、第2情報としての処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて制御パラメーターを決定してもよい。
【0201】
本実施形態においては、制御パラメーターとしての「側端整合部材としての第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方を特定する選択」が、第2情報としての第1側端濃度差に基づいて決定される。第2情報としての第1側端濃度差は20である。第1側端濃度差における所定値を「ゼロ」とすると、(第1側端濃度差)≧(所定値)であるため、制御部90は、側端整合部材として第1側端案内部材41を特定する。すなわち、制御部90は、今回排出される媒体M1が湿っている側端側の整合部材を側端整合部材として特定して、今回排出される媒体M1と、今回排出される媒体M1が湿っている側端側の第1位置WP1における側端整合部材とが重なるように制御する。なお、「側端整合部材としての第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方を特定する選択」は、第2情報としての第2側端濃度差に基づいて決定されてもよいし、第1側端濃度差と第2側端濃度差との両方に基づいて決定されてもよい。
【0202】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態の媒体積載装置11及び画像形成システム200においては、以下の効果が得られる。
【0203】
(1)第1情報に基づく値から想定される標準記録条件における摩擦力F1と、実際の記録条件における摩擦力F1との乖離が大きいときは、制御部90は、第2情報に基づいて閾値を調整する。また、標準記録条件における抗力F2と、実際の記録条件における抗力F2との乖離が大きいときは、制御部90は、第2情報に基づいて閾値を調整する。第2情報に基づいて閾値が調整されることで、調整されない場合に比べ、媒体Mの座屈が発生し易いときに第1位置WP1が待機位置WPとして特定され易くなる。また、媒体Mの座屈が発生し難いときに第1位置WP1が待機位置WPとして特定され難くなる。つまり、記録濃度からの想定よりも媒体Mの摺動性が低下しているときにおいても媒体Mの座屈を抑制できる。また、記録濃度からの想定ほど媒体Mの摺動性が低下していないときに媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。すなわち、制御部90が側端整合部材を、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報だけで制御したときと比べて、媒体Mの座屈を抑制しつつ媒体積載装置11の生産性を向上させることができる。
【0204】
(2)第1情報に基づく値から想定される標準記録条件における摩擦力F1と、実際の記録条件における摩擦力F1との乖離が大きいときは、制御部90は、第2情報に基づいて、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを決定する。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。また、標準記録条件における抗力F2と、実際の記録条件における抗力F2との乖離が大きいときは、制御部90は、第2情報に基づいて、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを決定する。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御する。より詳しくは、座屈への影響や生産性への影響が少ない範囲で、第1位置WP1の幅方向Xにおける位置や側端整合部材が第1位置WP1で待機する時間が変更される。これにより、第1位置WP1が待機位置WPに特定されたときの側端整合部材の移動における必要な動きが増える又は大きくなる。また、第1位置WP1が待機位置WPに特定されたときの側端整合部材の移動における無駄な動きが無くなる又は小さくなる。つまり、記録濃度からの想定よりも媒体Mの摺動性が低下しているときにおいても媒体Mの座屈を抑制できる。また、記録濃度からの想定ほど媒体Mの摺動性が低下していないときに媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。すなわち、制御部90が側端整合部材を、今回排出される媒体M1及び前回排出された媒体M2のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報だけで制御したときと比べて、媒体Mの座屈を抑制しつつ媒体積載装置11の生産性を向上させることができる。
【0205】
(3)第2情報は、第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値を含む。減算値が大きいほど、今回排出される媒体M1の上面と下面との含水率の差によって今回排出される媒体M1の先端部分M1aは、下方にカールする。すなわち、減算値が大きいほど、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鈍角になるため、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面とが強く接触する。これにより、摩擦力F1が大きくなるため、摺動性が低下する。制御部90は、減算値が所定値以上の場合には、減算値が所定値未満の場合よりも、閾値を低くする。制御部90は、減算値が所定値未満の場合には、減算値が所定値以上の場合よりも、閾値を高くしてもよい。今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鈍角になることで摩擦力F1が大きくなっているときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鋭角になることで摩擦力F1が小さくなっているときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0206】
(4)第2情報は、今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つを含む。今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、によって今回排出される媒体M1における座屈に抗する抗力F2は変化する。すなわち、今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類によっては、標準的な媒体Mにおける抗力F2と、今回排出される媒体M1における抗力F2との乖離が大きいときがある。制御部90は、今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つに基づいて、閾値を調整してもよい。制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体M1のサイズ、今回排出される媒体M1の坪量、今回排出される媒体M1の種類、のうち少なくとも一つに基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、抗力F2が小さいときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体M1における抗力F2が摩擦力F1に比べて十分大きいときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0207】
(5)第2情報は、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方を含む。今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度が大きいときは、媒体面が乾くのに時間がかかり、今回排出される媒体M1が記録された環境の湿度が小さいときは、媒体面が乾くのに時間がからない。また、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度が低い方が、乾燥過程による含水状態の良化がみられず媒体面が乾くのに時間がかかり、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度が高い方が、媒体面が乾くのに時間がかからない。制御部90は、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて、閾値を調整してもよい。制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体M1が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0208】
(6)第2情報は、今回排出される媒体M1が排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数を含む。処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が多いときは、前回排出された媒体M2の上面と、今回排出される媒体M1の下面との距離が近く、摩擦力F1が大きい。また、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が少ないときは、前回排出された媒体M2の上面と、今回排出される媒体M1の下面との距離が遠く、摩擦力F1が小さい。制御部90は、今回排出される媒体M1が排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて、閾値を調整してもよい。制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体M1が排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が多くなることで摩擦力F1が大きいときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数が少なくなることで摩擦力F1が小さいときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0209】
(7)第2情報は、今回排出される媒体M1が記録されてから排出されるまでの第1経過時間を含む。第1経過時間が短いと、今回排出される媒体M1の媒体面の乾燥が進んでいない。第1経過時間が長いと、今回排出される媒体M1の媒体面の乾燥が進んでいる。制御部90は、第1経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、第1経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、今回排出される媒体M1の乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体M1の乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0210】
(8)第2情報は、前回排出された媒体M2が記録されてから、今回排出される媒体M1が排出されるまでの第2経過時間を含む。第2経過時間が短いと、前回排出された媒体M2の媒体面の乾燥が進んでいない。第2経過時間が長いと、前回排出された媒体M2の媒体面の乾燥が進んでいる。制御部90は、第2経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、第2経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、前回排出された媒体M2の乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、前回排出された媒体M2の乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0211】
(9)第1位置WP1を待機位置WPと特定したときの側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターは、重なり量L1,L2を含む。重なり量L1,L2が大きくされると、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を、より抑制できる。すなわち、制御部90が、重なり量L1,L2を第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに側端整合部材をその重なり量L1,L2で制御することにより、今回排出される媒体M1が座屈することを、より抑制できる。また、重なり量L1,L2を小さくすると、側端整合部材が第1位置WP1から離れて第2位置WP2側に移動を開始するタイミングが同じでも、第2位置WP2までの移動距離が小さくなる。そのため、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されてから、今回排出される媒体M1の第1側端M1cを処理トレイ21に積載されている媒体Msの第1側端Mscに整合するまでの時間を短くすることができる。すなわち、制御部90が、重なり量L1,L2を第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに側端整合部材をその重なり量L1,L2で制御することにより、媒体積載装置11の生産性が低下することを、抑制できる。
【0212】
(10)第1位置WP1を待機位置WPと特定したときの側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターは、側端整合部材が第1位置WP1から移動するタイミングを含む。このタイミングを早くすると、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されたと同時に側端整合動作を開始できる。すなわち、制御部90が、このタイミングを第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに側端整合部材をそのタイミングで制御することにより、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。このタイミングを遅くすると、今回排出される媒体M1の後端が排出部71から排出されるまで、今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との接触を抑制できる。すなわち、制御部90が、このタイミングを第2情報に基づいて決定し、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに側端整合部材をそのタイミングで制御することにより、今回排出される媒体M1が座屈することを、より抑制できる。
【0213】
(11)第2情報は、第1下面幅方向記録濃度分布と、第2上面幅方向記録濃度分布と、のうち少なくとも一方を含む。そして、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときの側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターは、側端整合部材として第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうち何れか一方を特定する選択を含む。制御部90は、今回排出される媒体M1の下面において、第2情報としての第1下面幅方向記録濃度分布によって、第1側端M1c側の媒体面の摩擦力F1と第2側端M1d側の媒体面の摩擦力F1とのうち、どちらの摩擦力F1が大きいかを判断できる。また、制御部90は、今回排出される媒体M1の上面において、第2情報としての第1上面幅方向記録濃度分布によって、第1側端M1c側の媒体面の摩擦力F1と第2側端M1d側の媒体面の摩擦力F1とのうち、どちらの摩擦力F1が大きいかを判断できる。そして、制御部90が、摩擦力F1が大きい側の側端案内部材を側端整合部材として特定し、摩擦力F1が大きい側の側端案内部材を側端整合部材として制御する。これにより、摩擦力F1が大きい側端側の媒体面の接触が抑制されるため、今回排出される媒体M1が座屈することを、より効果的に抑制できる。また、摩擦力F1が均等に近いときは、制御部90が、側端整合部材としての第1側端案内部材41と、側端整合部材としての第2側端案内部材42とを状況に応じて使い分けることにより、媒体積載装置11の生産性を向上させることができる。
【0214】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態は第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0215】
<第1情報と第2情報について>
本実施形態においては、第1情報は第1上面記録濃度と第1下面記録濃度である。そして、第1情報に基づく値は第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値であり、今回排出される媒体M1の記録濃度に係る情報に基づく値である。制御部90は、第1上面記録濃度から第1下面記録濃度を減算した減算値を算出し、その減算値を用いて側端整合動作の制御を行なう。なお、「閾値」とは、本実施形態においては、減算値における閾値である。
【0216】
今回排出される媒体M1の先端部分M1aの下面が、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出される。減算値が大きいほど、今回排出される媒体M1の先端部分M1aは下方にカールする。減算値は、媒体M1の下方へのカールし易さを示す情報である。すなわち、減算値が大きいほど、今回排出される媒体M1の先端部分M1aが前回排出された媒体M2に接触するときの角度が鈍角になるため、今回排出される媒体M1の下面と前回排出された媒体M2の上面とが強く接触する。これにより、摩擦力F1が大きくなって座屈し易くなる。第1情報に基づく値としての減算値は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。そのため、本実施形態においては、減算値は、今回排出される媒体M1における座屈のし易さの因子として、媒体整合動作の制御に使用される。
【0217】
第2制御部190が、減算値を算出してもよい。そして、今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるときに、第2制御部190が制御部90に対して、減算値を今回排出される媒体M1に係る情報として通知してもよい。
【0218】
第2情報は、第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値を含んでもよい。制御部90は、第2情報となる合計値を算出し、その合計値に基づいて閾値を調整してもよい。また、制御部90は、側端整合部材を第1位置WP1で待機させるときの制御パラメーターを、第2情報となる合計値に基づいて決定してもよい。そして、制御部90は、第1位置WP1を待機位置WPと特定したときに、側端整合部材をその合計値に基づいて決定した制御パラメーターで、第1位置WP1で待機させる側端整合部材を制御してもよい。合計値は摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。合計値が大きくなると、摩擦力F1は大きくなるため、制御部90は、合計値が所定値以上の場合には、閾値を低くしてもよい。
【0219】
第2制御部190が、第2情報となる合計値を算出してもよい。そして、今回排出される媒体M1が記録装置111から媒体積載装置11に対して排出されるときに、第2制御部190が制御部90に対して、合計値を今回排出される媒体M1に係る情報として通知してもよい。
【0220】
<媒体整合動作の制御方法について>
図15に示すように、媒体整合動作の制御方法のフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を説明する。なお、本フローは第1実施形態とほぼ同じであるため、同一のステップについては同一符号を付すことによって重複したステップの説明は省略する。
【0221】
制御パラメーター決定処理サブルーチンが終了すると、ステップS308bにおいて、制御部90は、減算値が閾値以上か否かを判断する。減算値が閾値以上のときは、ステップS308aがYESになり、制御部90は、処理をステップS309に移行する。
【0222】
ステップS309において、制御部90は、第1位置WP1を側端整合部材の待機位置WPに特定する。なお、側端整合部材が第1側端案内部材41及び第2側端案内部材42のうちの何れであるかは、ステップS509において特定される。減算値が閾値未満のときは、ステップS308bがNOになり、制御部90は、処理をステップS310に移行する。そして、ステップS310において、制御部90は、第2位置WP2を側端整合部材の待機位置WPに特定する。
【0223】
第1上面記録濃度と第1下面記録濃度とは、媒体面全面の記録濃度であってもよいし、媒体面の一部の記録濃度であってもよい。例えば、第1上面記録濃度と第1下面記録濃度とは今回排出される媒体M1の先端部分M1aの記録濃度であってもよい。制御部90は、今回排出される媒体M1の先端部分M1aのカール状態を推定できる。
【0224】
<閾値調整処理サブルーチンについて>
図16に示すように、閾値調整処理サブルーチンのフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する制御を説明する。なお、本フローは第1実施形態とほぼ同じであるため、同一のステップについては同一符号を付すことによって重複したステップの説明は省略する。
【0225】
ステップS401bにおいて、制御部90は、合計値が所定値以上か否かを判断する。合計値が所定値以上であるときは、ステップS401bがYESになり、制御部90は、処理をステップS402に移行する。そして、ステップS402において、制御部90は、閾値を1段階低くして、処理をステップS403に移行する。合計値が所定値未満であるときは、ステップS401bがNOになり、制御部90は、処理をステップS403に移行する。
【0226】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。第2実施形態は第1実施形態とほぼ同じであるため、作用においても重複した説明は省略する。
【0227】
本実施形態においては、標準記録条件において、座屈が発生しない最も大きな減算値が閾値とされる。座屈が発生しない最も大きな減算値は、例えば、実験によって決められる。なお、標準記録条件は、平均的な記録条件であってもよいし、最もよく使用される記録条件であってもよい。標準記録条件の決め方は限定しない。
【0228】
標準記録条件の一例を以下に記載する。媒体Mにおいては、A4サイズ、80gsm、縦目の用紙が、縦送りで使用される。媒体Mの両面に標準解像度の画像が記録され、幅方向Xにおける記録濃度の差はない。どの媒体Mにも、同じ画像が記録される。媒体Mが記録された環境の温度と湿度は、22度65%である。媒体Mが排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は5枚である。以上の条件が標準記録条件であるとき、座屈が発生しない最も大きな減算値が25であれば、減算値の閾値を25とする。すなわち、第2情報に基づいて調整される前の閾値は25である。
【0229】
実際の記録条件の一例を以下に記載する。媒体Mにおいては、A3サイズ、80gsm、縦目の用紙が、縦送りで使用される。媒体Mの両面に高解像度の画像が記録され、上面記録濃度は50%、下面記録濃度は35%である。幅方向Xにおける記録濃度の差があり、第1側端濃度差は20である。どの媒体Mにも、同じ画像が記録される。媒体Mが記録された環境の温度と湿度は、22度85%である。媒体Mが排出される際に処理トレイ21に積載されている媒体Msの枚数は20枚である。以上の条件が実際の記録条件であるとき、第1情報に基づく値としての減算値は、(減算値)=(第1上面記録濃度)-(第1下面記録濃度)=50-35=15となる。
【0230】
減算値は15であり、第2情報に基づいて調整される前の減算値の閾値は25である。すなわち、減算値の閾値が第2情報に基づいて調整されていないときは、(減算値)<(閾値)である。合計値は閾値未満であるため、閾値が第2情報に基づいて調整されていないときは、第2位置WP2が待機位置WPに特定される。
【0231】
閾値が第2情報に基づいて調整される。制御部90は第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値を算出すると、(合計値)=(第1下面記録濃度)+(第2上面記録濃度)=50+35=85となる。制御部90は、第2情報としての合計値における所定値を80とすると、(合計値)≧(所定値)であるため、制御部90は閾値を1段階低くする。閾値の1段階分の値が15のとき、(閾値)=25-15=10となる。
【0232】
以降の第2実施形態における作用の説明は、説明に使用する数値こそ異なるが、第1実施形態における作用の説明と同じ説明となるため、説明を省略する。
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
【0233】
本実施形態の媒体積載装置11及び画像形成システム200においては、第1実施形態における(1)、(2)、(4)~(11)と同じ効果が得られる。
(12)第2情報は、第1下面記録濃度と第2上面記録濃度とを合計した合計値を含む。合計値が大きいほど、媒体面同士が湿った状態で摺動する。すなわち、合計値が大きいほど今回排出される媒体M1と前回排出された媒体M2との摺動性は低下するため、摩擦力F1が大きくなる。制御部90は、合計値が所定値以上の場合には、合計値が所定値未満の場合よりも、閾値を低くする。制御部90は、合計値が所定値未満の場合には、合計値が所定値以上の場合よりも、閾値を高くしてもよい。今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との摺動性が低下することで摩擦力F1が大きくなっているときに、今回排出される媒体M1が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体M1の先端部分M1aと前回排出された媒体M2との摺動性が低下していないときに、媒体積載装置11の生産性が低下することを抑制できる。
【0234】
<実施形態の変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0235】
・第1実施形態において、前回排出された媒体M2は下面だけに記録され、今回排出される媒体M1も下面だけに記録されているときは、前回排出された媒体M2の上面が湿っておらず、今回排出される媒体M1の下面は湿っている。このようなときは、第1下面記録濃度を第1情報とし、その値を第1情報に基づく値としてもよい。すなわち、制御部90は、今回排出される媒体M1だけの記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上か否かを判断してもよい。
【0236】
・第1実施形態において、前回排出された媒体M2は上面だけに記録され、今回排出される媒体M1も上面だけに記録されているときは、前回排出された媒体M2の上面が湿っており、今回排出される媒体M1の下面は湿っていない。このようなときは、第2上面記録濃度を第1情報とし、その値を第1情報に基づく値としてもよい。すなわち、制御部90は、前回排出された媒体M2だけの記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上か否かを判断してもよい。
【0237】
・第1情報は第2上面記録濃度と第2下面記録濃度であってもよい。そして、第1情報に基づく値は第2下面記録濃度から第2上面記録濃度を減算した減算値であり、前回排出された媒体M2の記録濃度に係る情報に基づく値であってもよい。今回排出される媒体M1の下面の先端部分M1aが、前回排出された媒体M2の上面を擦りながら、今回排出される媒体M1が排出される。減算値が大きいほど前回排出された媒体M2の先端部分がカールして上方に浮き上がるため、今回排出される媒体M1の下面の先端部分M1aが前回排出された媒体M2の上面に接触する角度が鈍角になる。これにより、摩擦力F1が大きくなるため、今回排出される媒体M1が座屈し易くなる。第1情報に基づく値としての第2下面記録濃度から第2上面記録濃度を減算した減算値は、摩擦力F1に関連する情報であり、摩擦力F1の因子である。そのため、第2下面記録濃度から第2上面記録濃度を減算した減算値は、今回排出される媒体M1における座屈のし易さの因子として、媒体整合動作の制御に使用されてもよい。
【0238】
・第1情報は、第1上面記録濃度と、第1下面記録濃度と、第2上面記録濃度と、第2下面記録濃度であってもよい。そして、第1情報に基づく値は、今回排出される媒体M1の下面の含水状態、今回排出された媒体M1の上面の含水状態、今回排出される媒体M1のカール状態、前回排出された媒体M2のカール状態、の4つに基づいて算出された摩擦力F1を代用する値であってもよい。
【0239】
<実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0240】
(A)媒体積載装置は、液体を吐出して記録を行う記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整する。
【0241】
この構成によれば、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて閾値が調整される。今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、幅方向において今回排出される媒体と重なる第1位置が、待機位置に特定される。第1情報に基づく値が閾値未満の場合は、幅方向において今回排出される媒体と重ならない第2位置が、待機位置に特定される。第2情報に基づいて閾値が調整されることで、調整されない場合に比べ、媒体の座屈が発生し易いときに第1位置が待機位置として特定され易くなる。また、媒体の座屈が発生し難いときに第1位置が待機位置として特定され難くなる。つまり、記録濃度からの想定よりも媒体の摺動性が低下しているときにおいても媒体の座屈を抑制できる。また、記録濃度からの想定ほど媒体の摺動性が低下していないときに媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。すなわち、制御部が側端整合部材を、今回排出される媒体及び前回排出された媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報だけで制御したときと比べて、媒体の座屈を抑制しつつ媒体積載装置の生産性を向上させることができる。
【0242】
(B)媒体積載装置は、液体を吐出して記録を行う記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御する。
【0243】
この構成によれば、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて制御パラメーターが決定される。媒体に係る情報のうち記録濃度に係る第1情報に基づいて、待機位置を第1位置にするか第2位置にするかが特定される。また、媒体に係る情報のうち第1情報以外の情報である第2情報に基づいて決定された制御パラメーターに基づいて第1位置が待機位置に特定されたときの側端整合部材の移動が制御される。より詳しくは、座屈への影響や生産性への影響が少ない範囲で、第1位置の幅方向における位置や側端整合部材が第1位置で待機する時間が変更される。このため、第1位置が待機位置に特定されたときの側端整合部材の移動における必要な動きが増える又は大きくなる。また、第1位置が待機位置に特定されたときの側端整合部材の移動における無駄な動きが無くなる又は小さくなる。つまり、記録濃度からの想定よりも媒体の摺動性が低下しているときにおいても媒体の座屈を抑制できる。また、記録濃度からの想定ほど媒体の摺動性が低下していないときに媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。すなわち、制御部が側端整合部材を、今回排出される媒体及び前回排出された媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報だけで制御したときと比べて、媒体の座屈を抑制しつつ媒体積載装置の生産性を向上させることができる。
【0244】
(C)上記媒体積載装置において、前記第1情報に基づく値は、今回排出される前記媒体の下面における記録濃度である第1下面記録濃度と、前回排出された前記媒体の上面における記録濃度である第2上面記録濃度と、を合計した合計値であってもよい。
【0245】
この構成によれば、合計値が大きいほど、媒体面同士が湿った状態で摺動し、合計値が小さいほど、媒体面が乾いた状態で摺動する。すなわち、合計値が大きいほど今回排出される媒体と前回排出された媒体との摺動性は低下するため、摩擦力が大きくなって座屈し易くなる。また、合計値が小さいほど今回排出される媒体と前回排出された媒体との摺動性は低下しないため、摩擦力が小さくなって座屈し難くなる。合計値は、今回排出される媒体における座屈のし易さの因子であるため、媒体整合動作の制御に第1情報に基づく値として使用することで、今回排出される媒体の座屈を抑制できる。
【0246】
(D)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、今回排出される前記媒体の上面における記録濃度である第1上面記録濃度から前記第1下面記録濃度を減算した減算値を含み、前記制御部は、前記減算値が所定値以上の場合には、前記減算値が前記所定値未満の場合よりも、前記閾値を低くしてもよい。
【0247】
この構成によれば、減算値が大きいほど、媒体の上面と下面との含水率の差によって今回排出される媒体の先端部分は、下方にカールする。すなわち、減算値が大きいほど、今回排出される媒体の先端部分が前回排出された媒体に接触するときの角度が鈍角になるため、今回排出される媒体の下面と前回排出された媒体の上面とが強く接触する。これにより、摩擦力が大きくなるため、摺動性が低下する。制御部は、減算値が所定値以上の場合には、前記減算値が前記所定値未満の場合よりも、閾値を低くする。今回排出される媒体の先端部分が前回排出された媒体に接触するときの角度が鈍角になることで摩擦力が大きくなっているときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。
【0248】
(E)上記媒体積載装置において、前記第1情報に基づく値は、今回排出される前記媒体の上面における記録濃度である第1上面記録濃度から今回排出される前記媒体の下面における記録濃度である第1下面記録濃度を減算した減算値であってもよい。
【0249】
この構成によれば、減算値が大きいほど、媒体の上面と下面との含水率の差によって今回排出される媒体の先端部分は、下方にカールする。すなわち、減算値が大きいほど、今回排出される媒体の先端部分が前回排出された媒体に接触するときの角度が鈍角になるため、今回排出される媒体の下面と前回排出された媒体の上面とが強く接触する。そして、摩擦力が大きくなるため、座屈し易くなる。また、減算値が小さいほど、媒体の上面と下面との含水率の差によって今回排出される媒体の先端部分は、上方にカールする。すなわち、減算値が小さいほど、今回排出される媒体の先端部分が前回排出された媒体に接触するときの角度が鋭角になるため、今回排出される媒体の下面と前回排出された媒体の上面とが弱く接触する。これにより、摩擦力が小さくなるため、座屈し難くなる。減算値は、今回排出される媒体における座屈のし易さの因子であるため、媒体整合動作の制御に第1情報に基づく値として使用することで、今回排出される媒体の座屈を抑制できる。
【0250】
(F)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、前記第1下面記録濃度と、前回排出された前記媒体の上面における記録濃度である第2上面記録濃度と、を合計した合計値を含み、
前記制御部は、前記合計値が所定値以上の場合には、前記合計値が前記所定値未満の場合よりも、前記閾値を低くしてもよい。
【0251】
この構成によれば、合計値が大きいほど、媒体面同士が湿った状態で摺動する。すなわち、合計値が大きいほど今回排出される媒体と前回排出された媒体との摺動性は低下するため、摩擦力が大きくなる。制御部は、合計値が所定値以上の場合には、前記合計値が前記所定値未満の場合よりも、閾値を低くする。今回排出される媒体と前回排出された媒体との摺動性が低下することで摩擦力が大きくなっているときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。
【0252】
(G)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、今回排出される前記媒体のサイズ、今回排出される前記媒体の坪量、今回排出される前記媒体の種類、のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0253】
この構成によれば、今回排出される媒体のサイズ、今回排出される媒体の坪量、今回排出される媒体の種類、によって今回排出される媒体における座屈に抗する抗力は変化する。すなわち、今回排出される媒体のサイズ、今回排出される媒体の坪量、今回排出される媒体の種類、によっては、標準的な媒体における抗力と、今回排出される媒体における抗力との乖離が大きいときがある。制御部は、今回排出される媒体のサイズ、今回排出される媒体の坪量、今回排出される媒体の種類、のうち少なくとも一つに基づいて閾値を調整してもよい。制御部は、側端整合部材を第1位置で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体のサイズ、今回排出される媒体の坪量、今回排出される媒体の種類、のうち少なくとも一つに基づいて決定してもよい。そして、制御部は、第1位置を待機位置と特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、抗力が小さいときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体における抗力が摩擦力に比べて十分大きいときに、媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。
【0254】
(H)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、今回排出される前記媒体が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方を含んでもよい。
この構成によれば、今回排出される媒体が記録された環境の湿度が大きいときは、媒体面が乾くのに時間がかかり、今回排出される媒体が記録された環境の湿度が小さいときは、媒体面が乾くのに時間がからない。また、今回排出される媒体が記録された環境の温度が低い方が乾燥過程による含水状態の良化がみられず、媒体面が乾くのに時間がかかり、今回排出される媒体が記録された環境の温度が高い方が、媒体面が乾くのに時間がかからない。制御部は、今回排出される媒体が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて閾値を調整してもよい。制御部は、側端整合部材を第1位置で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体が記録された環境の温度及び湿度のうち少なくとも一方に基づいて決定してもよい。そして、制御部は、第1位置を待機位置と特定したときに、その制御パラメーターで、第1位置で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、今回排出される媒体と前回排出された媒体との乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体と前回排出された媒体との乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。
【0255】
(I)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、今回排出される前記媒体が排出される際に前記処理トレイに積載されている前記媒体の枚数を含んでもよい。
この構成によれば、処理トレイに積載されている媒体の枚数が多いときは、前回排出された媒体の上面と、今回排出される媒体の下面との距離が近く、摩擦力が大きい。また、処理トレイに積載されている媒体の枚数が少ないときは、前回排出された媒体の上面と、今回排出される媒体の下面との距離が遠く、摩擦力が小さい。制御部は、今回排出される媒体が排出される際に処理トレイに積載されている媒体の枚数に基づいて閾値を調整してもよい。制御部は、側端整合部材を第1位置で待機させるときの制御パラメーターを、今回排出される媒体が排出される際に処理トレイに積載されている媒体の枚数に基づいて決定してもよい。そして、制御部は、第1位置を待機位置と特定したときに、側端整合部材をその制御パラメーターで、第1位置で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、処理トレイに積載されている媒体の枚数が多くなることで摩擦力が大きいときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。また、処理トレイに積載されている媒体の枚数が少なくなることで摩擦力が小さいときに、媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。
【0256】
(J)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、今回排出される前記媒体が記録されてから排出されるまでの第1経過時間を含んでもよい。
この構成によれば、第1経過時間が短いと、今回排出される媒体の媒体面の乾燥が進んでいない。第1経過時間が長いと、今回排出される媒体の媒体面の乾燥が進んでいる。制御部は、第1経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。制御部は、側端整合部材を第1位置で待機させるときの制御パラメーターを、第1経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部は、第1位置を待機位置と特定したときに、側端整合部材をその制御パラメーターで、第1位置で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、今回排出される媒体の乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体の乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。
【0257】
(K)上記媒体積載装置において、前記第2情報は、前回排出された前記媒体が記録されてから、今回排出される前記媒体が排出されるまでの第2経過時間を含んでもよい。
この構成によれば、第2経過時間が短いと、前回排出された媒体の媒体面の乾燥が進んでいない。第2経過時間が長いと、前回排出された媒体の媒体面の乾燥が進んでいる。制御部は、第2経過時間に基づいて閾値を調整してもよい。制御部は、側端整合部材を第1位置で待機させるときの制御パラメーターを、第2経過時間に基づいて決定してもよい。そして、制御部は、第1位置を待機位置と特定したときに、側端整合部材をその制御パラメーターで、第1位置で待機させる側端整合部材を制御してもよい。これにより、今回排出される媒体の乾燥が進んでいないときに、今回排出される媒体が座屈することを抑制できる。また、今回排出される媒体の乾燥が進んで含水量が十分小さいときに、媒体積載装置の生産性が低下することを抑制できる。
【0258】
(L)上記媒体積載装置において、前記第1位置における前記側端整合部材の整合面と、今回排出される前記媒体が前記排出部から排出されたときの該媒体の想定される側端との前記幅方向における距離が重なり量で規定され、前記制御部は、前記重なり量を、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記重なり量で、前記側端整合部材を制御してもよい。
【0259】
この構成によれば、重なり量が大きくされると、今回排出される媒体と前回排出された媒体との接触を、より抑制できる。すなわち、制御部が、重なり量を第2情報に基づいて決定し、第1位置を待機位置と特定したときに側端整合部材をその重なり量で制御することにより、今回排出される媒体が座屈することを、より抑制できる。また、重なり量を小さくすると、側端整合部材が第1位置から離れて第2位置側に移動を開始するタイミングが同じでも、第2位置までの移動距離が小さくなる。そのため、今回排出される媒体の後端が排出部から排出されてから、今回排出される媒体の第1側端を処理トレイに積載されている媒体の第1側端に整合するまでの時間を短くすることができる。すなわち、制御部が、重なり量を第2情報に基づいて決定し、第1位置を待機位置と特定したときに側端整合部材をその重なり量で制御することにより、媒体積載装置の生産性が低下することを、抑制できる。
【0260】
(M)上記媒体積載装置において、前記側端整合部材は、今回排出される前記媒体が排出される際に前記第1位置へ移動したときは、前記第1位置から離れて前記第2位置側に移動した後に、今回排出される前記媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合し、前記制御部は、前記側端整合部材が前記第1位置から移動するタイミングを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記タイミングで、前記側端整合部材を制御してもよい。
【0261】
この構成によれば、このタイミングを早くすると、今回排出される媒体の後端が排出部から排出されたと同時に側端整合動作を開始できる。すなわち、制御部が、このタイミングを第2情報に基づいて決定し、第1位置を待機位置と特定したときに側端整合部材をそのタイミングで制御することにより、媒体積載装置の生産性が低下することを、抑制できる。このタイミングを遅くすると、今回排出される媒体の後端が排出部から排出されるまで、今回排出される媒体と前回排出された媒体との接触を抑制できる。すなわち、制御部が、このタイミングを第2情報に基づいて決定し、第1位置を待機位置と特定したときに側端整合部材をそのタイミングで制御することにより、今回排出される媒体が座屈することを、より抑制できる。
【0262】
(N)上記媒体積載装置において、今回排出される前記媒体の前記幅方向において一方側の下方に配置され、前記幅方向に移動する第1側端案内部材と、今回排出される前記媒体の前記幅方向において他方側の下方に配置され、前記幅方向に移動する第2側端案内部材と、を備え、前記第1側端案内部材は前記側端整合部材として、今回排出される前記媒体が排出される際は前記待機位置に位置し、その後に該媒体の一方側の第1側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の一方側の第1側端に整合することが可能に構成され、前記第2側端案内部材は前記側端整合部材として、今回排出される前記媒体が排出される際は前記待機位置に位置し、その後に該媒体の他方側の第2側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の他方側の第2側端に整合することが可能に構成され、前記第2情報は、今回排出される前記媒体の下面の前記幅方向における記録濃度分布である第1下面幅方向記録濃度分布と、前回排出された前記媒体の上面の前記幅方向における記録濃度分布である第2上面幅方向記録濃度分布と、のうち少なくとも一方を含み、前記制御部は、前記側端整合部材として前記第1側端案内部材及び前記第2側端案内部材のうち何れか一方を特定し、前記制御部は、前記何れか一方を特定する選択を、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記選択で、前記側端整合部材を制御してもよい。
【0263】
この構成によれば、制御部は、今回排出される媒体の下面において、第2情報としての第1下面幅方向記録濃度分布によって、第1側端側の媒体面の摩擦力と第2側端側の媒体面の摩擦力とのうち、どちらの摩擦力が大きいかを判断できる。また、制御部は、今回排出される媒体の上面において、第2情報としての第1上面幅方向記録濃度分布によって、第1側端側の媒体面の摩擦力と第2側端側の媒体面の摩擦力とのうち、どちらの摩擦力が大きいかを判断できる。そして、制御部が、摩擦力が大きい側の側端案内部材を側端整合部材として特定し、摩擦力が大きい側の側端案内部材を側端整合部材として制御する。これにより、摩擦力が大きい側端側の媒体面の接触が抑制されるため、今回排出される媒体が座屈することを、より効果的に抑制できる。また、記録濃度の偏りが少ないとき、すなわち摩擦力が均等に近いときは、制御部が、側端整合部材としての第1側端案内部材と、側端整合部材としての第2側端案内部材とを状況に応じて使い分けることにより、媒体積載装置の生産性を向上させることができる。
【0264】
(O)画像形成システムは、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて、前記閾値を調整する。
【0265】
この構成によれば、画像形成システムにおいても(A)と同じ作用効果が得られる。
(P)画像形成システムは、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、記録部によって記録された媒体の排出を繰り返す排出部と、前記排出部によって排出された順に前記媒体を積載する処理トレイと、今回排出される前記媒体の下方に配置され、該媒体が排出される際は待機位置に位置し、その後に該媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、該媒体の側端を前記処理トレイに積載されている前記媒体の側端に整合する側端整合部材と、前記側端整合部材を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、今回排出される前記媒体及び前回排出された前記媒体のうち少なくとも一方の媒体の記録濃度に係る第1情報に基づく値が閾値以上の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重なる第1位置を前記待機位置に特定し、前記第1情報に基づく値が前記閾値未満の場合は、前記幅方向において今回排出される前記媒体と重ならない第2位置を前記待機位置に特定し、前記制御部は、前記第1位置の前記幅方向における位置及び前記側端整合部材が前記第1位置で待機する時間のうち少なくとも一方を制御する制御パラメーターを、今回の排出までに記録された媒体のうち少なくとも1つの媒体に係る第2情報に基づいて決定し、前記第2情報に基づいて決定した前記制御パラメーターで、前記側端整合部材を制御する。
【0266】
この構成によれば、画像形成システムにおいても(B)と同じ作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0267】
11…媒体積載装置、12…第2排出トレイ、13…スタッカートレイ、20…積載部、21…処理トレイ、30…後端整合部、31…後端整合部材、32…後端基準面、40…側端整合部、41…側端整合部材としての第1側端案内部材、41a…整合面、42…側端整合部材としての第2側端案内部材、42a…整合面、51…束排出部、52…束排出ローラー対、52a…束排出駆動ローラー、52b…束排出従動ローラー、60…後処理部、70…搬送部、71…排出部、72…排出ローラー対、72a…排出駆動ローラー、72b…排出従動ローラー、76…搬入経路、77…分岐部、78…第1搬送経路、79…第2搬送経路、80…温湿度計測部、90…制御部、111…記録装置、112…媒体収容部、113…本体部、114…第1排出トレイ、115…操作部、116…画像読取部、117…自動給送部、160…記録部、170…第2搬送部、190…第2制御部、191…第2記憶部、200…画像形成システム、F1…摩擦力、A…媒体幅、B…媒体長さ、F2…抗力、L1…重なり量、L2…重なり量、M…媒体、M1…今回排出される媒体、M1a…先端部分、M1b…後端部分、M1c…第1側端、M1d…第2側端、M2…前回排出された媒体、Ms…処理トレイに積載されている媒体、Msc…第1側端、Msd…第2側端、RP…基準位置、W1…整合方向、WP…待機位置、WP1…第1位置、WP2…第2位置、X…幅方向、Y…奥行き方向、Y1…長さ方向、Z…高さ方向。
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