(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20250326BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20250326BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20250326BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250326BHJP
G03G 13/04 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
H04N1/04 106
G06T1/00 420B
H04N1/10
H04N1/00 E
G03G13/04
(21)【出願番号】P 2021044028
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼月 也寸志
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-254166(JP,A)
【文献】特開平09-289569(JP,A)
【文献】特開2008-016887(JP,A)
【文献】特開2012-116580(JP,A)
【文献】特開2008-072307(JP,A)
【文献】特開2017-220708(JP,A)
【文献】特開2017-038231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G06T 1/00
H04N 1/10
H04N 1/00
G03G 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に配置され、前記本体部の上面における読取位置を通過する原稿から画像を読み取る第1画像読取部と、
前記本体部に連結され、前記本体部の上面を開閉可能に支持されたカバー部と、
前記カバー部に配置され、前記原稿を前記読取位置を経由する搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記カバー部に配置され、前記搬送路に沿って搬送される原稿から画像を読み取る第2画像読取部と、
前記第1画像読取部および前記第2画像読取部によって得られる2つの読取画像それぞれに対する画像処理によって前記第1画像読取部および前記第2画像読取部に対応する2つの原稿傾き角度を導出する傾き導出処理を実行する傾き導出部と、
前記2つの原稿傾き角度の差に応じた傾き修正情報を情報出力装置を通じて出力する情報出力部と、を備え
、
前記傾き修正情報は、前記2つの原稿傾き角度の差を、前記本体部と前記カバー部とを連結するカバー連結機構における傾き調整機構の調整量に換算した情報を含む、画像読取装置。
【請求項2】
前記傾き導出処理は、
前記読取画像から矩形状の前記原稿の辺部を検出することと、
予め定めれた基準方向に対する前記辺部の傾斜角度を前記原稿傾き角度として導出することと、を含む、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記傾き導出処理は、
前記読取画像に含まれる予め定められた線画像を検出することと、
予め定めれた基準方向に対する前記線画像の傾斜角度を前記原稿傾き角度として導出することと、を含む、請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
本体部と、
前記本体部に配置され、前記本体部の上面における読取位置を通過する原稿から画像を読み取る第1画像読取部と、
前記本体部に連結され、前記本体部の上面を開閉可能に支持されたカバー部と、
前記カバー部に配置され、前記原稿を前記読取位置を経由する搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記カバー部に配置され、前記搬送路に沿って搬送される原稿から画像を読み取る第2画像読取部と、を備える画像読取装置によって得られる読取画像を処理する画像処理方法であって、
前記第1画像読取部および前記第2画像読取部によって得られる2つの読取画像それぞれに対する画像処理によって前記第1画像読取部および前記第2画像読取部に対応する2つの原稿傾き角度を導出する傾き導出処理を実行することと、
前記2つの原稿傾き角度の差に応じた傾き修正情報を情報出力装置を通じて出力することと、を有
し、
前記傾き修正情報は、前記2つの原稿傾き角度の差を、前記本体部と前記カバー部とを連結するカバー連結機構における傾き調整機構の調整量に換算した情報を含む、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部に対するカバー部の傾きの調整を容易にする画像読取装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、原稿搬送装置と、前記原稿搬送装置によって搬送される原稿から画像を読み取る画像読取部と、を備える場合がある。一般に、前記画像読取部は、本体部内に配置される。また、前記原稿搬送装置は、前記本体部の上面を開閉可能なカバー部に組み込まれている。
【0003】
前記カバー部が、前記本体部に対して本来の向きから傾いた状態で取り付けられる場合がある。この場合、前記本体部内の前記画像読取部によって得られる読取画像は、本来の画像が変形した状態になる。
【0004】
従って、前記カバー部が、前記本体部に対して本来の向きで取り付けられることが重要である。
【0005】
例えば、前記本体部の前記画像読取部が、前記カバー部における特定のマークが記された部分に対して画像読取処理を行い、さらに認知部が、前記読取画像から検出される前記マークの位置と目標位置とのズレを認知することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記カバー部の一部に記されたマークの画像が、前記本体部の前記画像読取部によって読み取られる場合、読取画像における前記マークの位置と目標位置とのズレに基づいて、前記本体部に対する前記カバー部の傾きを導出することが可能である。
【0008】
しかしながら、前記マークが記された校正用部材が、前記カバー部に対して正しい位置に正しい向きで取り付けられていない場合、前記カバー部の傾きを正確に導出することはできない。
【0009】
また、前記校正用部材が前記カバー部に対して正しい位置に正しい向きで取り付けられていることを判定することは難しい。
【0010】
本発明の目的は、原稿搬送装置が組み込まれたカバー部が画像読取部が配置された本体部に取り付けられる場合に、前記本体部に対する前記カバー部の傾きの調整を容易にする画像読取装置および画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に係る画像読取装置は、本体部と、第1画像読取部と、カバー部と、搬送装置と、第2画像読取部と、傾き導出部と、情報出力部と、を備える。前記第1画像読取部は、前記本体部に配置され、前記本体部の上面における読取位置を通過する原稿から画像を読み取る。前記カバー部は、前記本体部に連結され、前記本体部の上面を開閉可能に支持されている。前記搬送装置は、前記カバー部に配置され、前記原稿を前記読取位置を経由する搬送路に沿って搬送する。前記第2画像読取部は、前記カバー部に配置され、前記搬送路に沿って搬送される原稿から画像を読み取る。前記傾き導出部は、前記第1画像読取部および前記第2画像読取部によって得られる2つの読取画像それぞれに対する画像処理によって前記第1画像読取部および前記第2画像読取部に対応する2つの原稿傾き角度を導出する傾き導出処理を実行する。前記情報出力部は、前記2つの原稿傾き角度の差に応じた傾き修正情報を情報出力装置を通じて出力する。
【0012】
本発明の他の局面に係る画像処理方法は、前記本体部と、前記第1画像読取部と、前記カバー部と、前記搬送装置と、前記第2画像読取部と、を備える画像読取装置によって得られる読取画像を処理する方法である。前記画像処理方法は、前記第1画像読取部および前記第2画像読取部によって得られる2つの読取画像それぞれに対する画像処理によって前記第1画像読取部および前記第2画像読取部に対応する2つの原稿傾き角度を導出する傾き導出処理を実行することを含む。さらに前記画像処理方法は、前記2つの原稿傾き角度の差に応じた傾き修正情報を情報出力装置を通じて出力することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原稿搬送装置が組み込まれたカバー部が画像読取部が配置された本体部に取り付けられる場合に、前記本体部に対する前記カバー部の傾きの調整を容易にする画像読取装置および画像処理方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像読取装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像読取装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像読取装置におけるカバー連結機構の構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置における調整支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、読取画像から検出される原稿の上辺部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、読取画像から検出される原稿の側辺部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、読取画像から検出される校正原稿の線画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
[画像読取装置1の構成]
実施形態に係る画像読取装置1は、原稿9を搬送し、搬送される原稿9の画像を読み取ることが可能な装置である。
【0017】
図1に示されるように、画像読取装置1は、本体部11および本体部11の上面を覆うカバー部12を備える。本体部11は、各種の機器を収容する筐体である。
【0018】
カバー部12は、本体部11に連結され、本体部11の上面を覆う閉位置と本体部11の上面を開放する開位置との間で変位可能に支持されている。即ち、カバー部12は、本体部11の上面を開閉可能に支持されている。
【0019】
さらに、画像読取装置1は、カバー部12の上面に配置されたコンタクトガラス64およびプラテンガラス65を備える。コンタクトガラス64およびプラテンガラス65は、それぞれ透明な板状部材である。
【0020】
さらに、画像読取装置1は、原稿搬送装置2、画像読取部6、移動機構7、制御装置8、操作装置801および表示装置802などを備える。原稿搬送装置2は、カバー部12に組み込まれている。
【0021】
原稿搬送装置2は、供給トレイ3a、排出トレイ3b、搬送路40、搬送装置4、供給原稿センサー5aおよび搬送原稿センサー5bなどを備える。供給トレイ3aおよび排出トレイ3bは、それぞれ原稿9を積載可能である。
【0022】
搬送路40は、カバー部12内において原稿9が搬送される通路を形成している。搬送路40は、供給トレイ3aに対応する搬入口からコンタクトガラス64上の読取位置P1を経由し、排出トレイ3bに対応する搬出口に至る。
【0023】
供給原稿センサー5aは、供給トレイ3a上に載置された原稿9を検出する。例えば、供給原稿センサー5aは、それぞれ不図示の第1変位部材および第1検出センサーを備える。
【0024】
前記第1変位部材は、供給トレイ3a上の原稿9の荷重を受けて初期位置である上位置からそれより下方の下位置へ変位する。前記第1検出センサーは、前記下位置へ変位した前記第1変位部材を検出する。
【0025】
搬送原稿センサー5bは、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9を検出する。例えば、搬送原稿センサー5bは、それぞれ不図示の第2変位部材および第2検出センサーを備える。
【0026】
前記第2変位部材は、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9と接触することにより、基準位置から退避位置へ変位する。前記検出センサーは、前記退避位置へ変位した前記第2変位部材を検出する。
【0027】
搬送装置4は、カバー部12に配置されている。搬送装置4は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬送路40へ送り出し、さらにその原稿9を搬送路40に沿って搬送し、さらにその原稿9を排出トレイ3b上へ排出する。
【0028】
搬送装置4は、供給トレイ3aに対応する送出機構41と、搬送路40に沿って配置された複数組の搬送ローラー対43と、を備える。
【0029】
送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬送路40へ送り出す。本実施形態において、送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9のうち最上位の1枚を搬送路40へ送り出す。
【0030】
複数組の搬送ローラー対43は、不図示のモーターによって回転駆動される。これにより、複数組の搬送ローラー対43は、原稿9を搬送路40に沿って搬送し、さらに原稿9を搬送路40から排出トレイ3bへ排出する。
【0031】
画像読取部6は、原稿9に形成されている画像を読み取り、読み取った画像のデータを出力する画像読取処理を実行する。画像読取部6は、搬送路40に沿って搬送される原稿9に対する前記画像読取処理を実行可能である。さらに、画像読取部6は、プラテンガラス65上に載置された原稿9に対する前記画像読取処理も実行可能である。以下の説明において、画像読取部6によって原稿9から読み取られた画像のことを読取画像g1と称する(
図5~7参照)。
【0032】
本実施形態において、画像読取部6は、第1画像読取部61、第2画像読取部62およびAFE(Analog Front End)60を含む。
【0033】
以下の説明において、供給トレイ3aに載置された原稿9の上面を第1面と称し、供給トレイ3aに載置された原稿9の下面を第2面と称する。
【0034】
第1画像読取部61は、本体部11内に配置されている。第1画像読取部61は、読取位置P1に対向する位置に保持された状態で、搬送路40の読取位置P1を通過する原稿9の前記第1面の画像を読み取る。
【0035】
第2画像読取部62は、カバー部12内に配置されている。第2画像読取部62は、搬送路40に沿って搬送される原稿9の前記第2面の画像を読み取る。第2画像読取部62は、搬送路40における読取位置P1よりも原稿搬送方向の上流側の位置で原稿9の画像を読み取る。
【0036】
本実施形態において、第1画像読取部61および第2画像読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cを備える(
図1参照)。発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cは、それぞれ主走査方向に沿って延びて形成されている。
【0037】
発光部6aは、原稿9に光を照射する。レンズ6bは、原稿9に反射した光をイメージセンサー6cへ導く。イメージセンサー6cは、原稿9に反射した光の強度を検出し、検出信号を読取画像g1の信号として出力するラインセンサーである。
【0038】
AFE60は、読取画像g1の信号をデジタルの画像データへ変換し、その画像データを出力する。前記デジタルの画像データが、読取画像g1のデータである。
【0039】
図1に示される例において、第1画像読取部61および第2画像読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサー6cが一体化されたCIS(Contact Image Sensor)である。
【0040】
移動機構7は、第1画像読取部61をコンタクトガラス64に対向する位置からプラテンガラス65に対向する位置に亘る範囲で移動させる。
【0041】
原稿9が搬送装置4によって搬送される場合に、移動機構7は、第1画像読取部61をコンタクトガラス64に対向する位置に保持する。
【0042】
一方、原稿9がプラテンガラス65上に載置される場合に、移動機構7は、第1画像読取部61をプラテンガラス65に沿って移動させる。これにより、第1画像読取部61の発光部6aの光がプラテンガラス65上の原稿9に走査されつつ、第1画像読取部61のイメージセンサー6cが原稿9の画像を読み取る。
【0043】
即ち、搬送装置4が動作するときの画像読取部6は、搬送路40に沿って搬送される原稿9に対する前記画像読取処理を実行する。一方、搬送装置4が動作しないときの画像読取部6は、プラテンガラス65上に載置された原稿9に対する前記画像読取処理を実行する。
【0044】
なお、第1画像読取部61のイメージセンサー6cがCCD(Charge Coupled Device)タイプのセンサーであってもよい。この場合、移動機構7は、発光部6aおよびレンズ6bを移動させ、CCDタイプのイメージセンサー6cは、予め定められた位置に固定される。
【0045】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置であり、例えば、操作ボタンおよびタッチパネルを含む。表示装置802は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置を含む。
【0046】
制御装置8は、各種のデータ処理および画像読取装置1の制御を実行する。
図3に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。さらに、制御装置8は、他装置と通信可能な通信装置85も備える。
【0047】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0048】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0049】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0050】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、搬送制御部8b、読取制御部8cおよび画像処理部8dなどを含む。
【0051】
主制御部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、表示装置802の制御などを実行する。搬送制御部8bは、搬送装置4を制御することにより、原稿9の搬送を制御する。
【0052】
読取制御部8cは、画像読取部6を制御することにより、画像読取部6に前記画像読取処理を実行させる。画像処理部8dは、前記画像読取処理によって得られる読取画像g1に対して各種の画像処理を実行する。
【0053】
カバー部12が、本体部11に対して本来の向きから傾いた状態で取り付けられる場合がある。この場合、本体部11内の第1画像読取部61によって得られる読取画像g1は、本来の画像が変形した状態になる。
【0054】
従って、カバー部12が、本体部11に対して本来の向きで取り付けられることが重要である。
【0055】
図3に示されるように、カバー部12は、本体部11に対してカバー連結機構13,14によって上下に回動可能に連結されている。カバー連結機構13,14は、第1連結部13および第2連結部14を含む。
【0056】
第1連結部13は、本体部11に固定される第1ベース部材131と、第1ベース部材131に連結された第1ヒンジ部材132とを備える。例えば、第1ベース部材131は、ビス留めなどによって本体部11に固定される。
【0057】
第1ヒンジ部材132を構成する一対のプレート部のうちの一方が第1ベース部材131に連結されており、他方がカバー部12に連結される。例えば、第1ヒンジ部材132は、ビス留めなどによってカバー部12に連結される。
【0058】
第1連結部13は、回転連結機構133をさらに備える。回転連結機構133は、第1ヒンジ部材132を第1ベース部材131に対して本体部11の上面に沿って回転可能に連結している。第1ヒンジ部材132は、第1ベース部材131に対して連結軸133aを中心に回転可能である。
【0059】
従って、第1連結部13は、カバー部12を上下に回動可能に、かつ、連結軸133aを中心に本体部11の上面に沿って回転可能に本体部11に連結する。
【0060】
例えば、連結軸133aは、読取位置P1に対しコンタクトガラス64の長手方向の延長線上に配置されている。
【0061】
第2連結部14は、本体部11に固定される第2ベース部材141と、第2ベース部材141に連結された第2ヒンジ部材142とを備える。例えば、第2ベース部材141は、ビス留めなどによって本体部11に固定される。
【0062】
第2ヒンジ部材142を構成する一対のプレート部のうちの一方が第2ベース部材141に連結されており、他方がカバー部12に連結される。例えば、第2ヒンジ部材142は、ビス留めなどによってカバー部12に連結される。
【0063】
第2連結部14は、さらに可動連結機構143を備える。可動連結機構143は、第2ヒンジ部材142を、第2ベース部材141に対して円弧に沿って変位可能に連結している。
【0064】
第2ヒンジ部材142は、連結軸133aを中心とする円弧に沿って変位可能である。そして、第2ヒンジ部材142は、ビスなどの固定具144によって第2ベース部材141に固定される。
【0065】
固定具144が緩められ、第2ベース部材141に対する第2ヒンジ部材142の位置が調整されることにより、本体部11に対するカバー部12の角度が調整される。調整されるカバー部12の角度は、連結軸133aを回転中心とする角度である。
【0066】
本実施形態において、回転連結機構133および可動連結機構143は、本体部11とカバー部12とを連結するカバー連結機構13,14における傾き調整機構の一例である。
【0067】
第2ベース部材141には、第2ベース部材141に対する第2ヒンジ部材142の位置を示す複数の目盛り145が記されている。複数の目盛り145各々は、前記傾き調整機構における調整量を表す。複数の目盛り145は、前記傾き調整機構における調整量を定量化している。
【0068】
ところで、カバー部12の一部に記されたマークの画像が、本体部11の第1画像読取部61によって読み取られる場合、読取画像g1における前記マークの位置と目標位置とのズレに基づいて、本体部11に対するカバー部12の傾きを導出することが可能である。
【0069】
しかしながら、前記マークが記されたプレートなどの校正用部材が、カバー部12に対して正しい位置に正しい向きで取り付けられていない場合、カバー部12の傾きを正確に導出することはできない。
【0070】
また、前記校正用部材がカバー部12に対して正しい位置に正しい向きで取り付けられていることを判定することは難しい。
【0071】
画像読取装置1において、CPU81は、後述する調整支援処理を実行する(
図4参照)。前記調整支援処理は、カバー部12が本体部11に取り付けられる場合に、本体部11に対するカバー部12の傾きの調整を容易にするための処理である。
【0072】
主制御部8aは、操作装置801に対する予め定められた調整開始操作を検知したときに、前記調整支援処理を開始する。
【0073】
[調整支援処理]
以下、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記調整支援処理の手順の一例について説明する。前記調整支援処理は、画像読取装置1によって得られる読取画像g1を処理する画像処理方法の一実施形態である。
【0074】
以下の説明において、S1,S2,…は、前記調整支援処理における複数の工程の識別符号を表す。前記調整支援処理において、まず、工程S1の処理が実行される。
【0075】
<工程S1>
工程S1において、主制御部8aは、予め定められた案内情報を表示装置802に表示させる原稿準備案内処理を実行する。その後、主制御部8aは、処理を工程S2へ移行させる。
【0076】
前記案内情報は、予め定められた原稿9を供給トレイ3a上に載置することを案内する情報である。例えば、前記案内情報は、予め定められたサイズの任意の原稿9を供給トレイ3a上に載置することを案内する情報である。
【0077】
また、前記案内情報が、予め定められた校正用原稿9Aを供給トレイ3a上に載置することを案内する情報であってもよい(
図7参照)。校正用原稿9Aは、両面に予め定められた線画像が形成された原稿9である。
【0078】
例えば、校正用原稿9Aの両面には、校正用原稿9Aの横方向に延びる横線画像g13および校正用原稿9Aの縦方向に延びる縦線画像g14の一方が形成されている。
【0079】
<工程S2>
工程S2において、主制御部8aは、供給トレイ3a上の原稿9が供給原稿センサー5aによって検出されている状態で、操作装置801に対する読取開始操作を検出したときに処理を工程S3へ移行させる。
【0080】
主制御部8aは、供給トレイ3a上の原稿9が供給原稿センサー5aによって検出されている状態で前記読取開始操作を検出するまで待機する。
【0081】
<工程S3>
工程S3において、搬送制御部8bは、搬送装置4に原稿9の搬送を開始させ、その後、処理を工程S4へ移行させる。
【0082】
<工程S4>
工程S4において、読取制御部8cは、画像読取部6に前記画像読取処理を実行させる。その後、読取制御部8cは、処理を工程S5へ移行させる。
【0083】
工程S4の処理により、第2画像読取部62による原稿9の前記第2面に対する前記画像読取処理と、第1画像読取部61による原稿9の前記第1面に対する前記画像読取処理とが実行される。その結果、原稿9の両面に対応する2つの読取画像g1が得られる。
【0084】
<工程S5>
工程S5において、画像処理部8dは、傾き導出処理を実行する。その後、画像処理部8dは、処理を工程S6へ移行させる。工程S5の処理を実行する画像処理部8dは、傾き導出部の一例である。
【0085】
前記傾き導出処理は、工程S4で得られる2つの読取画像g1それぞれに対する画像処理によって第1画像読取部61および第2画像読取部62に対応する2つの原稿傾き角度θ1を導出する処理である(
図5,6参照)。
【0086】
例えば、工程S5において、画像処理部8dは、読取画像g1から矩形状の原稿9の上辺部g11または側辺部g12などの辺部を検出する(
図5,6参照)。
【0087】
具体的には、画像処理部8dは、読取画像g1に対して縦方向D2に沿って周知のエッジ検出処理を実行することにより、原稿9の上辺部g11を検出することができる。また、画像処理部8dは、読取画像g1に対して横方向D1に沿って前記エッジ検出処理を実行することにより、原稿9の側辺部g12を検出することができる。
【0088】
さらに、画像処理部8dは、予め定めれた基準方向に対する前記辺部の傾斜角度を原稿傾き角度θ1として導出する(
図5,6参照)。
【0089】
また、読取画像g1が、校正用原稿9Aから読み取られた画像である場合、画像処理部8dは、前記エッジ検出処理によって横線画像g13または縦線画像g14を検出することができる。
【0090】
また、横線画像g13または縦線画像g14が、赤、緑または青などの予め定められた彩色の画像である場合、画像処理部8dは、読取画像g1から特定の色の画像を検出することにより、横線画像g13または縦線画像g14を検出することができる(
図7参照)。
【0091】
また、画像処理部8dは、予め定めれた基準方向に対する横線画像g13または縦線画像g14の傾斜角度を原稿傾き角度θ1として導出することができる(
図7参照)。
【0092】
通常、原稿9が第2画像読取部62の位置から読取位置P1へ搬送される途中で、原稿9の向きはほぼ変化しない。
【0093】
従って、工程S5で導出される2つの原稿傾き角度θ1の差は、第1画像読取部61の長手方向と第2画像読取部62の長手方向とが成す角度を表す。また、第1画像読取部61の長手方向と第2画像読取部62の長手方向とが成す角度は、本体部11に対するカバー部12の傾きを表す。
【0094】
なお、
図5~7は、便宜上、原稿傾き角度θ1が0°ではない例を示す。しかしながら、カバー部12の傾き調整が行われるときに、少なくとも第2画像読取部62により得られる読取画像g1に対応する原稿傾き角度θ1は、通常、概ね0°である。
【0095】
画像処理部8dは、第2画像読取部62により得られる読取画像g1から導出された原稿傾き角度θ1が予め定められた許容範囲から外れる場合に、処理を工程S1へ移行させてもよい。これにより、原稿9が斜行せず正しい向きで搬送されるまで、工程S1~S4の処理が繰り返される。
【0096】
また、工程S1~S4の処理が予め定められた回数繰り返された場合に、主制御部8aが、カバー部内調整情報を表示装置802に表示させてもよい。前記カバー部内調整情報は、カバー部12に対する原稿搬送装置2および第2画像読取部62の取り付け状態の調整を行うことを調整者に促す情報である。
【0097】
<工程S6>
工程S6において、主制御部8aは、工程S5で導出された2つの原稿傾き角度θ1の差に応じた傾き修正情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主制御部8aは、前記調整支援処理を終了させる。
【0098】
工程S6の処理を実行する主制御部8aは、情報出力部の一例である。また、表示装置802は、情報出力装置の一例である。なお、主制御部8aは、不図示の音響出力装置を通じて前記傾き修正情報を音声として出力してもよい。前記音響出力装置は情報出力装置の一例である。
【0099】
例えば、前記傾き修正情報は、前記2つの原稿傾き角度θ1の差を、可動連結機構143における目盛り145の調整量に換算した情報である。目盛り145の調整量は、前記傾き調整機構における調整量の一例である。
【0100】
本実施形態によれば、本体部11に対するカバー部12の傾きの調整を容易にすることができる。また、第1画像読取部61によって読み取られるマークが記された校正用部材がカバー部12に取り付けられる必要がない。
【0101】
[応用例]
図4に示される前記調整支援処理における工程S5および工程S6の処理が、画像読取装置1と通信可能な情報処理装置のプロセッサーによって実行されてもよい。この場合、CPU81は、通信装置85を通じて工程S4で得られる2つの読取画像g1のデータを前記情報処理装置へ送信する。
【0102】
一方、前記情報処理装置の前記プロセッサーは、画像読取装置1から2つの読取画像g1のデータを受信し、さらに工程S5および工程S6の処理を実行する。本応用例が採用される場合も、前述の実施形態が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0103】
1 :画像読取装置
2 :原稿搬送装置
3a :供給トレイ
3b :排出トレイ
4 :搬送装置
6 :画像読取部
6a :発光部
6b :レンズ
6c :イメージセンサー
8 :制御装置
11 :本体部
12 :カバー部
13 :第1連結部(カバー連結機構)
14 :第2連結部(カバー連結機構)
40 :搬送路
61 :第1画像読取部
62 :第2画像読取部
64 :コンタクトガラス
801 :操作装置
802 :表示装置