(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】多段基板接続構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20250326BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H05K3/36 Z
(21)【出願番号】P 2021044894
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】大道 健斗
(72)【発明者】
【氏名】藤内 洋
(72)【発明者】
【氏名】湯之上 則弘
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-067279(JP,A)
【文献】特開2006-012886(JP,A)
【文献】特開2014-165319(JP,A)
【文献】特開2009-230943(JP,A)
【文献】特開平01-208892(JP,A)
【文献】実開平05-015374(JP,U)
【文献】特開昭63-072083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 3/36
H01R 12/00 - 12/91
H01R 13/6466
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板に形成され、高周波信号が伝送される第1高周波信号導体パターンと、前記第1基板に形成され、前記第1高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第1コネクタと、前記第1基板に形成され、直流電流が伝送される第1DC導体パターンと、前記第1基板の主面と対向して主面が配置された第2基板と、前記第2基板に形成され、高周波信号が伝送される第2高周波信号導体パターンと、前記第2基板に形成され、前記第2高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第2コネクタと、前記第2基板に形成され、直流電流が伝送される第2DC導体パターンと、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続する高周波信号接続部と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第1DC導体パターンと前記第2DC導体パターンとを電気的に接続する導電性の弾性体であるDC接続部とを備え、
前記高周波信号接続部及び前記DC接続部は、それぞれ複数個所に形成され、
全ての前記高周波信号接続部が前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合によって前記第1基板と前記第2基板とを引っ張る引力の総和は、全ての前記DC接続部による前記第1基板と前記第2基板とに対する反発力の総和よりも、力が大きいことを特徴とする多段基板接続構造。
【請求項2】
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、フローティングコネクタであることを特徴とする請求項1に記載の多段基板接続構造。
【請求項3】
前記高周波信号接続部及び前記DC接続部は、それぞれ前記第1基板及び前記第2基板の主面に対する垂直方向に前記引力及び前記反発力を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多段基板接続構造。
【請求項4】
前記高周波信号接続部は、互いの主面を対向させている前記第1基板と前記第2基板との間の空間において、前記DC接続部によりも外側に配置されたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3のいずれか1項に記載の多段基板接続構造。
【請求項5】
前記DC接続部は、板バネであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多段基板接続構造。
【請求項6】
前記板バネは、Z状に屈曲したZ状板バネであることを特徴とする請求項5に記載の多段基板接続構造。
【請求項7】
前記DC接続部は、スプリングプランジャーであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多段基板接続構造。
【請求項8】
前記スプリングプランジャーは、前記第1DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第1基板の内部に固定され、前記第2DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第2基板を押圧していることを特徴とする請求項7に記載の多段基板接続構造。
【請求項9】
前記スプリングプランジャーは、前記第2DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第2基板の内部に固定され、前記第1DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第1基板を押圧していることを特徴とする請求項7に記載の多段基板接続構造。
【請求項10】
前記第1基板に対して反対側で、前記第2基板の主面と対向して主面が配置された第3基板と、前記第3基板に形成され、高周波信号が伝送される第3高周波信号導体パターンと、前記第3基板に形成され、前記第3高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第3コネクタと、前記第3基板に形成され、直流電流が伝送される第3DC導体パターンと、前記第2基板に形成され、高周波信号が伝送される第4高周波信号導体パターンと、前記第2基板に形成され、前記第4高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第4コネクタと、前記第2基板に形成され、直流電流が伝送される第4DC導体パターンと、前記第3基板と前記第2基板との間に配置され、前記第3コネクタと前記第4コネクタとを電気的に接続する第2高周波信号接続部と、前記第3基板と前記第2基板との間に配置され、前記第3DC導体パターンと前記第4DC導体パターンとを電気的に接続する導電性の弾性体である第2DC接続部とを備え、
前記第2高周波信号接続部及び前記第2DC接続部は、それぞれ複数個所に形成され、
全ての前記第2高周波信号接続部が前記第3コネクタと前記第4コネクタとを嵌合によって前記第3基板と前記第2基板とを引っ張る引力
の総和は、
全ての前記第2DC接続部による前記第3基板と前記第2基板とに対する反発力
の総和よりも、力が大きいことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の多段基板接続構造。
【請求項11】
前記第2DC接続部は、前記第3基板及び前記第2基板の主面に対する垂直方向において、前記スプリングプランジャーが固定された前記第2基板の部分とずれた位置に形成されることを特徴とする請求項9を引用する請求項10に記載の多段基板接続構造。
【請求項12】
前記第2DC接続部は、第2スプリングプランジャーであり、前記第2スプリングプランジャーは、前記第3DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第3基板の内部に固定され、前記第4DC導体パターンと電気的に接続されている部分が前記第2基板を押圧していることを特徴とする請求項11に記載の多段基板接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板(回路基板)を多段に配置した多段基板接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多段基板接続構造は、複数の回路基板を備えた電子機器において、回路基板を支持する支持部材を無線信号の伝送路として利用するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では伝送路として、導波管が用いられており、弾性を考慮した開示はない。また、振動/衝撃や線膨張係数差による基板の反りに対する対策の開示もない。
【0003】
一方、多段基板接続構造への適用の示唆はないが、多層基板を用いたモジュールにおいては、特許文献2の
図33に開示されているように、半田付けなどによって蓋をシールリングに接続する際、金属スプリングコイルが蓋によって押し縮められることによって電気的な接続を維持するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-103978号公報
【文献】特開平9-321501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多段基板接続構造は、それぞれの基板の着脱を容易にすることが想定されていないという課題があった。また、特許文献1では、金属スプリングコイルなどの弾性体を多段基板接続構造に適用することを示唆する記載がない。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、基板の着脱が容易な多段基板接続構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る多段基板接続構造は、第1基板と、前記第1基板に形成され、高周波信号が伝送される第1高周波信号導体パターンと、前記第1基板に形成され、前記第1高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第1コネクタと、前記第1基板に形成され、直流電流が伝送される第1DC導体パターンと、前記第1基板の主面と対向して主面が配置された第2基板と、前記第2基板に形成され、高周波信号が伝送される第2高周波信号導体パターンと、前記第2基板に形成され、前記第2高周波信号導体パターンと電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能な第2コネクタと、前記第2基板に形成され、直流電流が伝送される第2DC導体パターンと、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続する高周波信号接続部と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第1DC導体パターンと前記第2DC導体パターンとを電気的に接続する導電性の弾性体であるDC接続部とを備え、前記高周波信号接続部及び前記DC接続部は、それぞれ複数個所に形成され、全ての前記高周波信号接続部が前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合によって前記第1基板と前記第2基板とを引っ張る引力の総和は、全ての前記DC接続部による前記第1基板と前記第2基板とに対する反発力の総和よりも、力が大きいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高周波信号接続部を開放することで、容易に第2基板から第1基板を外す、又は、第1基板から第2基板を外すことができる多段基板接続構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る多段基板接続構造の断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る多段基板接続構造の断面図(引力、反発力を図示)である。
【
図3】実施の形態1に係る多段基板接続構造のDC接続部(板バネ)の説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る多段基板接続構造のDC接続部の説明図(スプリングプランジャー)である。
【
図5】実施の形態2に係る多段基板接続構造の断面図である。
【
図6】実施の形態2に係るのDC接続部の説明図(スプリングプランジャー付近の課拡大断面図)である。
【
図7】実施の形態2に係る多段基板接続構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る多段基板接続構造について、
図1から
図4を用いて説明する。
図1は多段基板接続構造の断面図、
図2は多段基板接続構造の断面図(引力、反発力を図示)である。
図1及び
図2に示す断面図は、第1基板1と第2基板2の互いの主面に対する垂直方向における断面を示す図であり、コネクタ(第1コネクタ4、第2コネクタ7、高周波信号接続部9)が存在する部分を通る断面を例示している。そのため、コネクタ(第1コネクタ4、第2コネクタ7、高周波信号接続部9)の断面がみえている。
図4も同様の断面図であり、スプリングプランジャー10の内部がみえている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0011】
実施の形態1に係る多段基板接続構造は、第1基板1と第2基板2は、互いの主面が対向して配置されているものである。第1基板1、第2基板2などの多段基板接続構造用の基板は、高周波信号用のプリント基板(PWB:Printed Wiring Board)が好適である。よって、最終的に得られる実施の形態1に係る多段基板接続構造は、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)が多段で構成されているものといえる。
【0012】
図1から
図4において、第1高周波信号導体パターン3は、第1基板1に形成され、高周波信号が伝送されるものである。なお、第1基板1には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、高周波信号貫通導体として形成されている。第1高周波信号導体パターン3は、第1基板1の他方の主面(裏面)に形成され、高周波信号貫通導体と電気的に接続されている。
【0013】
図1から
図4において、第1コネクタ4は、第1基板1に形成され、第1高周波信号導体パターン3と電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能なものである。第1コネクタ4は、第1基板1の他方の主面(裏面)に形成されている。第1DC導体パターン5は、第1基板に形成され、直流電流が伝送されるものである。なお、DCは、Direct Currentを意味する。第1基板1には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、DC貫通導体として形成されている。第1DC導体パターン5は、第1基板1の他方の主面(裏面)に形成され、DC貫通導体と電気的に接続されている。
【0014】
図1から
図4において、第2高周波信号導体パターン6は、第2基板2に形成され、高周波信号が伝送されるものである。なお、第2基板2には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、高周波信号貫通導体として形成されている。第2高周波信号導体パターン6は、第2基板2の一方の主面(表面)に形成され、高周波信号貫通導体と電気的に接続されている。
【0015】
図1から
図4において、第2コネクタ7は、第2基板6に形成され、第2高周波信号導体パターン6と電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能なものである。第2コネクタ7は、第2基板2の一方の主面(表面)に形成されている。第2DC導体パターン8は、第2基板2に形成され、直流電流が伝送されるものである。なお、第2基板2には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、DC貫通導体として形成されている。第2DC導体パターン8は、第2基板2の一方の主面(表面)に形成され、DC貫通導体と電気的に接続されている。
【0016】
図1から
図4において、高周波信号接続部9(コネクタ9)は、第1基板1と第2基板2との間に配置され、第1コネクタ4と第2コネクタ7とを電気的に接続するものである。第1コネクタ4及び第2コネクタ7を含めて全体として、高周波信号接続部9と称してもよい。コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7は、スナップフィット構造が好適である。DC接続部10は、第1基板1と第2基板2との間に配置され、第1DC導体パターン5と第2DC導体パターン8とを電気的に接続する導電性の弾性体である。
【0017】
実施の形態1に係る多段基板接続構造は、高周波信号接続部9が第1コネクタ4と第2コネクタ7とを嵌合によって前記第1基板と前記第2基板とを引っ張る引力(
図2に示す白抜きの矢印が示す方向への力)が、DC接続部10による第1基板1と第2基板2とに対する反発力(
図2に示す黒字の矢印が示す方向への力)よりも、力が大きいことを特徴としている。このため、実施の形態1に係る多段基板接続構造は、コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7の嵌合力だけで、DC接続部10に接触荷重を印加することができる。
【0018】
なお、高周波信号接続部9及びDC接続部10は、それぞれ第1基板1及び第2基板2の主面に対する垂直方向に引力及び反発力を付与することが望ましい。高周波信号接続部9によって、高周波信号の垂直伝送と、第1基板1及び第2基板2の支持とが可能となる。また、
図1及び
図2に示すように、高周波信号接続部9及びDC接続部10は、それぞれ複数個所に形成されていることが望ましい。もちろん、引力(
図2に示す白抜きの矢印が示す方向への力)は、全ての高周波信号接続部9によるものの総和で、反発力(
図2に示す黒字の矢印が示す方向への力)は、全てのDC接続部10によるものの総和である。
【0019】
実施の形態1に係る多段基板接続構造は、
図1及び
図2に示すように、高周波信号接続部9が、互いの主面を対向させている第1基板1と第2基板2との間の空間において、DC接続部10によりも外側に配置することが好ましい。DC接続部10は、図示しているように、板バネ10又はスプリングプランジャー10が好ましい。
図3は、板バネ10の斜視図である。また、
図4は、スプリングプランジャー10の断面図である。
図3に示すように、板バネ10は、Z状に屈曲したZ状板バネなどが考えられる。締結器具の違いにより、
図3(A)、
図3(B)に示すような構成が考えられるが、これらに限るものではない。
【0020】
図3(A)に示すように、板バネ10は、板バネ本体部10A及び板バネ締結部10Bから構成されている。板バネ締結部10Bは、Z状の板バネ本体部10Aの第2DC導体パターン8側に形成され、ネジ等の締結器具で第2基板2に締結することで、DC接続部10(板バネ)と第2DC導体パターン8とを電気的に接続するものである。
【0021】
図3(B)に示すように、板バネ10は、板バネ本体部10A及び板バネ締結部10Cから構成されている。板バネ締結部10Cは、Z状の板バネ本体部10Aの第2DC導体パターン8側に形成され、第2基板2に嵌合されることで第2基板2に締結することで、DC接続部10(板バネ10)と第2DC導体パターン8とを電気的に接続するものである。
【0022】
すなわち、板バネ10は、第2DC導体パターン8と電気的に接続されている部分が第2基板2に板バネ締結部10B又は板バネ締結部10Cで固定され、第1DC導体パターン5と電気的に接続されている部分が第1基板1を押圧している。もちろん、板バネ10は、第1DC導体パターン5と電気的に接続されている部分が第1基板1に板バネ締結部10B又は板バネ締結部10Cで固定され、第2DC導体パターン8と電気的に接続されている部分が第2基板2を押圧しているようにしてもよい。
【0023】
次に、DC接続部10が、スプリングプランジャー10の場合を説明する。
図4に示すように、スプリングプランジャー10は、第1基板1(第1DC導体パターン3)を押圧する押圧側プランジャー部10D、第2基板2に嵌合される固定側プランジャー部10E、スプリング部10F全体を収納し、押圧側プランジャー部10D及び固定側プランジャー部10Eの一部を収納するバレル部10Gから構成されている。押圧側プランジャー部10D及び固定側プランジャー部10Eは、スプリング部10Fによってそれぞれ反発力が掛けられている。
【0024】
すなわち、スプリングプランジャー10は、第2DC導体パターン8と電気的に接続されている部分が第2基板2の内部に固定され、第1DC導体パターン5と電気的に接続されている部分が第1基板1を押圧している。図示は省略するが、もちろん、スプリングプランジャー10は、第1DC導体パターン5と電気的に接続されている部分が第1基板1の内部に固定され、第2DC導体パターン8と電気的に接続されている部分が第2基板2を押圧しているようにしてもよい。
【0025】
複数のDC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)の全てが、第1基板1及び第2基板2のいずれか一方に固定するようにしてもよいし、DC接続部10ごとに第1基板1又は第2基板2に固定してもよい。もちろん、DC接続部10を第1基板1及び第2基板2の両方に固定してもよいが、第2基板2から第1基板1を外す、又は、第1基板1から第2基板2を外す場合に、DC接続部10の固定が解除できるものが好ましい。高周波信号接続部9の接続を開放して、容易に第2基板2から第1基板1を外す、又は、第1基板1から第2基板2を外す場合は、複数のDC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)の全てが、第1基板1及び第2基板2のいずれか一方に固定した方がよりよい。
【0026】
高周波信号接続部9(第1コネクタ4及び第2コネクタ7)に、フローティングコネクタを使用すると、周波信号接続部9(第1コネクタ4及び第2コネクタ7)が、第1基板1及び第2基板2の熱ひずみなどのストレスリリーフを担うことができる。もちろん、DC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)は、第1基板1又は第2基板2のいずれか一方に固定されているだけの場合は、DC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)も、第1基板1及び第2基板2の熱ひずみなどのストレスリリーフを担うことができる。
【0027】
このように、実施の形態1に係る多段基板接続構造は、コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7の嵌合力だけで、DC接続部10に接触荷重を印加しているので、高周波信号接続部9の接続を開放することで、容易に第2基板2から第1基板1を外す、又は、第1基板1から第2基板2を外すことができる多段基板接続構造を得ることができる。
【0028】
実施の形態2.
以下、実施の形態1に係る多段基板接続構造について、
図5、
図6、
図7を用いて説明する。
図5及び
図7に示す断面図は、第1基板1と第2基板2の互いの主面に対する垂直方向(第2基板2と第3基板11の互いの主面に対する垂直方向、第2基板2、第3基板11及び第n基板20のそれぞれの主面に対する垂直方向)における断面を示す図であり、コネクタ(第1コネクタ4、第2コネクタ7、高周波信号接続部9)が存在する部分を通る断面を例示している。
図7は、
図5のDC接続部10及び第2DC接続部19付近の拡大図である。そのため、コネクタ(第1コネクタ4、第2コネクタ7、高周波信号接続部9)の断面がみえている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0029】
実施の形態2に係る多段基板接続構造は、第1基板1と第2基板2は、互いの主面が対向して配置されている構成に加え、さらに第3基板11などの一つ以上の基板を備えているものである。第1基板1、第2基板2、第3基板11などの多段基板接続構造用の基板は、高周波信号用のプリント基板(PWB)が好適である。よって、最終的に得られる実施の形態2に係る多段基板接続構造は、プリント回路基板(PCB)が多段で構成されているものといえる。
【0030】
図5、
図6、
図7において、第3基板11は、第1基板1に対して反対側で、第2基板2の主面と対向して主面が配置されたものである。第3高周波信号導体パターン12は、第3基板11に形成され、高周波信号が伝送されるものである。
なお、第3基板11には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、高周波信号貫通導体として形成されている。第3高周波信号導体パターン12は、第3基板11の一方の主面(表面)に形成され、高周波信号貫通導体と電気的に接続されている。
【0031】
図5、
図6、
図7において、第3コネクタ13は、第3基板11に形成され、第3高周波信号導体パターン12と電気的に接続されて、外部に前記高周波信号が出力可能なものである。第3コネクタ13は、第3基板11の一方の主面(表面)に形成されている。第3DC導体パターン14は、第3基板3に形成され、直流電流が伝送されるものである。なお、第3基板11には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、DC貫通導体として形成されている。第3DC導体パターン14は、第3基板11の一方の主面(表面)に形成され、DC貫通導体と電気的に接続されている。
【0032】
図5、
図6、
図7において、第4高周波信号導体パターン15は、第2基板2に形成され、高周波信号が伝送されるものである。なお、実施の形態1で説明したように、第2基板2には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、高周波信号貫通導体として形成されている。第4高周波信号導体パターン15は、第2基板2の他方の主面(裏面)に形成され、高周波信号貫通導体と電気的に接続されている。つまり、第4高周波信号導体パターン15は、高周波信号貫通導体を介して、第2高周波信号導体パターン6と電気的に接続されている。
【0033】
図5、
図6、
図7において、第4コネクタ16は、第2基板2に形成され、第4高周波信号導体パターン15と電気的に接続されて、外部に高周波信号が出力可能なものである。第4コネクタ16は、第2基板2の他方の主面(裏面)に形成されている。第4DC導体パターン17は、第2基板2に形成され、直流電流が伝送されるものである。なお、実施の形態1で説明したように、第2基板2には、一方の主面(表面)と他方の主面(裏面)とを貫通し、メタライズされたスルーホール又は金属ブロックが、DC貫通導体として形成されている。第4DC導体パターン17は、第2基板2の他方の主面(裏面)に形成され、DC貫通導体と電気的に接続されている。つまり、第4DC導体パターン17は、DC貫通導体を介して、第2DC導体パターン8と電気的に接続されている。
【0034】
図5、
図6、
図7において、第2高周波信号接続部18は、第3基板11と第2基板2との間に配置され、第3コネクタ13と第4コネクタ16とを電気的に接続するものである。第2高周波信号接続部18は、実施の形態1で説明した高周波信号接続部9と同じ構成である。第3コネクタ13及び第4コネクタ16を含めて全体として、第2高周波信号接続部18と称してもよい。コネクタ18、第3コネクタ13、第4コネクタ16は、コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7と同じく、スナップフィット構造が好適である。第2DC接続部19は、第3基板11と第2基板2との間に配置され、第3DC導体パターン14と第4DC導体パターン17とを電気的に接続する導電性の弾性体である。第2DC接続部19は、実施の形態1で説明したDC接続部10と同じ構成である。よって、第2DC接続部19は、実施の形態1で説明した
図3、
図4に示す板バネ10(板バネ19)、スプリングプランジャー10(スプリングプランジャー19)が好適であるといえる。
【0035】
図6に示すように、第2DC接続部19は、第2基板2(第3基板11及び第2基板2)の主面に対する垂直方向において、スプリングプランジャー10が固定された第2基板2の部分とずれた位置に形成されていることが望ましい。また、第2DC接続部19が、第2スプリングプランジャー19(スプリングプランジャー19)である場合、第2スプリングプランジャー19は、
図6に示すように、第3DC導体パターン14と電気的に接続されている部分が第3基板11の内部に固定され、第4DC導体パターン14と電気的に接続されている部分が第2基板2を押圧している構成を選択することが望ましい。
【0036】
実施の形態2に係る多段基板接続構造において、第2基板2と第3基板11との関係、及び、第2基板2と第3基板11との間にある構成の関係は、実施の形態1に係る多段基板接続構造で説明した、第1基板1と第2基板2との関係、及び、第1基板1と第2基板2との間にある構成の関係と同様であるので、説明は省略する。なお、互いの対応関係は、次の通りである。
【0037】
すなわち、第4高周波信号導体パターン15は、第1高周波信号導体パターン3に対応する。第4コネクタ16は、第1コネクタ4に対応する。第4DC導体パターン17は、第1DC導体パターン5に対応する。第3高周波信号導体パターン12は、第2高周波信号導体パターン6に対応する。第3コネクタ13は、第2コネクタ7に対応する。第3DC導体パターン14は、第2DC導体パターン8に対応する。第2高周波信号接続部18(コネクタ18)は、高周波信号接続部9(コネクタ9)に対応する。第2DC接続部19(板バネ19、スプリングプランジャー19)は、DC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)に対応する。
【0038】
図5及び
図6では、基板が3枚の場合(第1基板1、第2基板2、第3基板11)を説明してきたが、実施の形態2に係る多段基板接続構造は、
図7に示すように基板がn枚でよい(nは3以上の正の整数)。
図7において、第n基板20は図示しているが、第(n-1)基板は図示していない。第(n-1)基板と第n基板との関係、及び、第(n-1)基板と第n基板との間にある構成の関係は、実施の形態1に係る多段基板接続構造、及び、これまで実施の形態2に係る多段基板接続構造で説明した、第1基板1と第2基板2(第2基板2と第3基板11)との関係、及び、第1基板1と第2基板2(第2基板2と第3基板11)との間にある構成の関係と同様である。
【0039】
そのため、第1高周波信号導体パターン3、第4高周波信号導体パターン15に対応する高周波信号導体パターンの説明は省略する。第1コネクタ4、第4コネクタ16に対応するコネクタの説明は省略する。第1DC導体パターン5、第4DC導体パターン17に対応するDC導体パターンの説明は省略する。第2高周波信号導体パターン6、第3高周波信号導体パターン12に対応する高周波信号導体パターンの説明は省略する。第2コネクタ7、第3コネクタ13に対応するコネクタの説明は省略する。
【0040】
同じく、第2DC導体パターン8、第3DC導体パターン14に対応するDC導体パターンの説明は省略する。高周波信号接続部9(コネクタ9)、第2高周波信号接続部18(コネクタ18)に対応する高周波信号接続部(コネクタ)の説明は省略する。DC接続部10(板バネ10、スプリングプランジャー10)、第2DC接続部19(板バネ19、スプリングプランジャー19)に対応するDC接続部(板バネ、スプリングプランジャー)の説明は省略する。
【0041】
実施の形態2に係る多段基板接続構造は、第2高周波信号接続部18が第3コネクタ13と第4コネクタ16とを嵌合によって第3基板11と第2基板2とを引っ張る引力が、第2DC接続部19による第3基板11と第2基板2とに対する反発力よりも、力が大きいことを特徴としている。このため、実施の形態2に係る多段基板接続構造は、コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7の嵌合力だけで、DC接続部10に接触荷重を印加することができるだけでなく、コネクタ18、第3コネクタ13、第4コネクタ16の嵌合力だけで、第2DC接続部19に接触荷重を印加することができる。これは、第(n-1)基板と第n基板とにおいても同様である。
【0042】
このように、実施の形態2に係る多段基板接続構造は、実施の形態1と同様に、コネクタ9、第1コネクタ4、第2コネクタ7の嵌合力だけで、DC接続部10に接触荷重を印加しているので、高周波信号接続部9の接続を開放することで、容易に第2基板2から第1基板1を外す、又は、第1基板1から第2基板2を外すことができる多段基板接続構造を得ることができる。さらに、実施の形態2に係る多段基板接続構造は、コネクタ18、第3コネクタ13、第4コネクタ16の嵌合力だけで、第2DC接続部19に接触荷重を印加しているので、第2高周波信号接続部18の接続を開放することで、容易に第3基板11から第2基板2を外す、又は、第2基板2から第3基板11を外すことができる多段基板接続構造を得ることができる。これは、第(n-1)基板と第n基板とにおいても同様である。
【符号の説明】
【0043】
1 第1基板
2 第2基板
3 第1高周波信号導体パターン
4 第1コネクタ
5 第1DC導体パターン
6 第2高周波信号導体パターン
7 第2コネクタ
8 第2DC導体パターン
9 高周波信号接続部(コネクタ)
10 DC接続部(板バネ、スプリングプランジャー)
10A 板バネ本体部
10B 板バネ締結部
10C 板バネ締結部
10D 押圧側プランジャー部
10E 固定側プランジャー部
10F スプリング部
10G バレル部
11 第3基板
12 第3高周波信号導体パターン
13 第3コネクタ
14 第3DC導体パターン
15 第4高周波信号導体パターン
16 第4コネクタ
17 第4DC導体パターン
18 第2高周波信号接続部(コネクタ)
19 第2DC接続部(板バネ、スプリングプランジャー)
20 第n基板。