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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/203 20060101AFI20250326BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20250326BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
H04N1/203
H04N1/387 110
H04N1/00 567K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021057890
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154718
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-027507(JP,A)
【文献】特開2018-198379(JP,A)
【文献】特開平06-311273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
H04N 1/38- 1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1媒体を所定の読取位置へ向けて搬送する搬送部と、
前記第1媒体の搬送路における第1読取位置に設けられた第1撮像部と、
前記搬送部により順次搬送される複数の前記第1媒体の第1画像を前記第1撮像部に順次読み取らせる第1読取処理部と、
媒体載置面の下方に設けられた第2撮像部と、
前記媒体載置面に載置された第2媒体の読取面に沿って前記第2撮像部を移動させつつ走査することにより前記第2媒体の第2画像を前記第2撮像部に読み取らせる第2読取処理部と、
前記第1読取処理部及び前記第2読取処理部それぞれを並行して動作するよう制御する読取制御部と、
前記第1読取処理部により読み取られた前記第1画像と前記第2読取処理部により読み取られた前記第2画像とを合成して合成画像を生成する合成処理部と、を備え
前記合成処理部は、前記第1読取処理部によって順次読み取られた複数の前記第1画像それぞれに対して前記第2画像を合成し、
操作者による合成中断指示の入力に応じて前記合成処理部による合成処理が中断し、その後に操作者による再開指示の入力に応じて前記合成処理部による合成処理が再開した場合に、前記読取制御部は、前記第2読取処理部を再度動作させて前記第2画像を前記第2撮像部に読み取らせ、
前記合成処理部は、合成処理の再開後に前記第1読取処理部により読み取られた前記第1画像と、合成処理の再開後に前記第2読取処理部により読み取られた前記第2画像とを合成して合成画像を生成する、画像読取装置。
【請求項2】
前記第2撮像部は、前記第2媒体の読み取り時に、予め定められた基準位置から移動して前記第2媒体の前記読取面を走査するものであり、
前記搬送路は、
所定の分岐点から前記基準位置に配置された前記第2撮像部による第2読取位置を経て第1排出口に至る第1搬送路と、
前記分岐点から前記第2読取位置を通らずに第2排出口に至る第2搬送路と、を含み、
前記画像読取装置は、
前記搬送部により搬送される前記第1媒体を前記第1搬送路へ案内する第1位置又は前記第1媒体を前記第2搬送路へ案内する第2位置のいずれかに経路切替部と、
前記経路切替部が前記第1位置に配置された場合に、前記搬送部により搬送される前記第1媒体の前記第1画像を前記第2読取位置で前記第2撮像部に読み取らせる第3読取処理部と、を更に備え、
前記読取制御部は、
画像合成指示が入力され、かつ、前記経路切替部が前記第2位置に配置された場合に、前記第1読取処理部及び前記第2読取処理部それぞれを並行して動作するよう制御する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取制御部は、前記再開指示が入力された場合に、前記媒体載置面上の前記第2媒体が変更されたか否かを判定し、前記第2媒体が変更された場合に前記第2読取処理部を再度動作させて前記第2画像を読み取らせる、請求項に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記合成処理部によって生成された前記合成画像を出力する出力処理部を更に備える、請求項1からのいずれか一つに記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一つに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取られた画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の画像を読み取る画像読取装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトガラスに載置された原稿(静止原稿)の画像を読み取る静止原稿読取機能、および自動原稿搬送装置(ADF)により搬送中の原稿(移動原稿)の画像を読み取る移動原稿読取機能を有する画像読取装置が知られている。この種の画像読取装置として、静止原稿の画像を読み取り、その後に移動原稿の画像を読み取り、前者の画像を後者の画像に合成する処理を行う画像読取装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-282193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像読取装置は、同じ読取部を用いて静止原稿と移動原稿とを別々に読み取るため、画像合成処理に時間がかかり、処理効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、合成されるそれぞれの画像を効率よく読み取ることが可能な画像読取装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像読取装置は、第1媒体を所定の読取位置へ向けて搬送する搬送部と、前記第1媒体の搬送路における第1読取位置に設けられた第1撮像部と、前記搬送部により搬送される前記第1媒体の第1画像を前記第1撮像部に読み取らせる第1読取処理部と、媒体載置面の下方に設けられた第2撮像部と、前記媒体載置面に載置された第2媒体の読取面に沿って前記第2撮像部を移動させつつ走査することにより前記第2媒体の第2画像を前記第2撮像部に読み取らせる第2読取処理部と、前記第1読取処理部及び前記第2読取処理部それぞれを並行して動作するよう制御する読取制御部と、前記第1読取処理部により読み取られた前記第1画像と前記第2読取処理部により読み取られた前記第2画像とを合成して合成画像を生成する合成処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合成されるそれぞれの画像を効率よく読み取ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における自動原稿送り装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像合成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像合成処理の変形例を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像合成処理の他の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、以下の説明では、各図に示す上下方向、前後方向、左右方向を用いる場合がある。
【0011】
図1及び図2を参照して本発明の実施形態に係る画像読取装置1及びこれを備えた画像形成装置10の概略構成について説明する。図1は、画像形成装置10を示す斜視図であり、図2は、画像読取装置1の内部構成を示す図である。
【0012】
[画像形成装置10]
画像形成装置10は、画像読取機能、ファクシミリー機能、画像形成機能などを備える複合機である。図1に示すように、画像形成装置10は、画像読取装置1、画像形成部15、操作表示部16、給紙カセット17、排出部18を備えている。操作表示部16は、画像読取装置1の操作表示部としても用いられる。なお、本実施形態では、本発明に係る画像読取装置1を備える画像形成装置10を例示して説明するが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明は、画像形成装置10から独立した画像読取装置1であってもよく、或いは画像読取装置1を備えるファクシミリー装置又は複写機であってもよい。
【0013】
画像形成部15は、画像読取装置1から出力される画像データ又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて電子写真方式にしたがってカラー又はモノクロの画像形成処理(印刷処理)を実行する。画像形成部15は、画像形成ユニット、露光装置、中間転写ベルト、二次転写ローラー、定着装置などを備える。前記画像形成ユニットは、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、一次転写ローラー、クリーニング装置(いずれも不図示)などを備える。これらの構成要素が画像形成部15の筐体に設けられている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部15を例にして説明するが、画像形成部15は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
【0014】
[画像読取装置1]
画像読取装置1は、画像形成装置10の上部に装着されている。画像読取装置1は、原稿から画像を読み取る。画像読取装置1は、原稿を搬送し、搬送される原稿(第1媒体の一例)の画像を読み取ることが可能であり、また、コンタクトガラス65(図2参照)の上面(媒体載置面の一例)に載置された原稿(第2媒体の一例)を光学的に走査して画像を読み取ることが可能である。以下、搬送される原稿を移動原稿と称し、コンタクトガラス65に載置された原稿を静止原稿と称する場合がある。
【0015】
図1に示すように、画像読取装置1は、装置本体11と、カバー部12と、を備える。
【0016】
装置本体11は、画像読取装置1の各種の機器を収容する筐体である。カバー部12は、装置本体11の上面を覆ってコンタクトガラス65(図2参照)に載置された静止原稿を押さえ付けるものであり、装置本体11に回動可能に取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、画像読取装置1は、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)2、第1読取部61(本発明の第1撮像部の一例)、第2読取部62(本発明の第2撮像部の一例)、移動機構7、制御装置8、コンタクトガラス64、コンタクトガラス65、などを更に備える。これらの構成要素が、画像読取装置1の装置本体11に収容されている。
【0018】
自動原稿送り装置2は、カバー部12に設けられている。自動原稿送り装置2は、供給トレイ3aに載置された原稿9を取り出して、搬送路40に沿って、原稿を画像読取装置1による読取位置へ搬送する。供給トレイ3aに複数枚の原稿9が載置されている場合、自動原稿送り装置2は、複数枚の原稿を一枚ずつ取り出して連続的に順次搬送する。これにより、画像読取装置1は、自動原稿送り装置2により搬送される原稿から画像を読み取ることが可能である。
【0019】
コンタクトガラス64及びコンタクトガラス65は、いずれも、装置本体11の上部に取り付けられている。コンタクトガラス64及びコンタクトガラス65は、いずれも、透明な板状部材である。コンタクトガラス65は、画像の読取対象となる静止原稿が載置される領域である。コンタクトガラス64は、自動原稿送り装置2により搬送される原稿に対して第2読取部62から照射される光を透過する領域である。
【0020】
画像読取装置1では、コンタクトガラス65に原稿(静止原稿)が載置されて、カバー部12が閉じられた状態で、読取指示が入力されると、装置本体11内で、移動機構7によって、第2読取部62が所定の基準位置からコンタクトガラス65の下方へ向けてされ、コンタクトガラス65の下面に沿って副走査方向へ移動される。そして、第2読取部62の移動中にコンタクトガラス65に照射される光が前記副走査方向に走査され、これにより前記静止原稿の画像が読み取られる。
【0021】
また、画像読取装置1では、自動原稿送り装置2によって搬送される原稿(移動原稿)から画像を読み取る際には、第2読取部62は、光をコンタクトガラス64へ照射する基準位置(図2に示す位置)、つまり、コンタクトガラス64の下方の位置に移動される。そして、前記移動原稿の搬送中に第2読取部62の発光部6aからコンタクトガラス64に光が照射され、これにより、搬送中の移動原稿の画像が前記基準位置の上側の読取位置P2(図3参照)で読み取られる。前記読取位置P2は、コンタクトガラス64の上面の位置であり、本発明の第2読取位置に相当する。
【0022】
また、画像読取装置1では、画像合成指示が入力された場合に、自動原稿送り装置2によって搬送される原稿の画像は、搬送路40に設けられた第1読取部61によって読み取られる。この場合、原稿は、搬送路40から分岐した後述の第2搬出路40dを通って外部に排出される。
【0023】
図2に示すように、自動原稿送り装置2は、供給トレイ3a(第1トレイ)、第1排出トレイ3b(第2トレイ)、搬送路40、搬送装置4(本発明の搬送部の一例)、供給原稿検出部5、搬送原稿センサー51、およびトレイ閉センサー52などを備える。搬送路40は、原稿9が搬送される通路を形成している。
【0024】
供給トレイ3aおよび第1排出トレイ3bは、それぞれ、原稿9を積載可能である。本実施形態において、第1排出トレイ3bは、供給トレイ3aの下方に配置されている。
【0025】
供給原稿検出部5は、供給トレイ3a上に載置された原稿9を検出する。供給原稿検出部5は、第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5bを含む。第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5b各々が、供給トレイ3a上に載置された原稿9を検出可能である。
【0026】
例えば、第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5b各々は、それぞれ不図示の第1変位部材および第1検出センサーを備える。
【0027】
前記第1変位部材は、供給トレイ3a上の原稿9の荷重を受けて初期位置である上位置からそれより下方の下位置へ変位する。前記第1検出センサーは、例えば透過型のフォトインタラプタであり、前記下位置へ変位した前記第1変位部材を検出する。
【0028】
搬送原稿センサー51は、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9を検出する。例えば、搬送原稿センサー51は、それぞれ不図示の第2変位部材および第2検出センサーを備える。
【0029】
前記第2変位部材は、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9と接触することにより、初期位置から退避位置へ変位する。前記検出センサーは、例えば透過型のフォトインタラプタであり、前記退避位置へ変位した前記第2変位部材を検出する。
【0030】
搬送装置4は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬送路40へ送り出し、さらにその原稿9を搬送路40に沿って搬送し、さらにその原稿9を第1排出トレイ3b上へ排出する。
【0031】
以下の説明において、原稿9が供給トレイ3aから送り出される方向に向かう水平な方向を第1方向D1と称し、第1方向D1に対し反対の方向を第2方向D2と称する。また、第1方向D1および第2方向D2に直行する水平な方向を第3方向D3と称する。
【0032】
図3に示すように、搬送路40は、搬入路40a、折り返し路40b(本発明の第1搬送路の一例)、及び第1搬出路40c(本発明の第1搬送路の一例)を含む。搬入路40aは、供給トレイ3aに対応する搬入口401から第1方向D1へ向かう通路である。搬送原稿センサー51は、搬入路40aへ送り出される原稿9を検出する。
【0033】
折り返し路40bは、搬入路40aに連なり、第1方向D1から第2方向D2へ折り返す湾曲した通路である。第1搬出路40cは、折り返し路40bに連なり、第2方向D2へ向かい、第1排出トレイ3bに対応する第1排出口403(本発明の第1排出口の一例)に至る通路である。第1搬出路40cは、コンタクトガラス64の上面に沿う前記読取位置P2(第2読取部62による読取位置)を経由し、第1排出口403に至る。第1排出口403は、第1搬出路40cの排出口である。
【0034】
搬送装置4は、供給トレイ3aに対応する送出機構41と、搬送路40に沿って配置された複数組の搬送ローラー対43と、を備える。
【0035】
送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬入路40aへ送り出す。本実施形態において、送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9のうち最上位の1枚を搬入路40aへ送り出す。
【0036】
複数組の搬送ローラー対43は、不図示のモーターによって回転駆動されることにより、原稿9を搬送路40に沿って搬送する。
【0037】
第1読取部61は、搬入路40aに設けられている。第1読取部61は、搬入路40aを通過する原稿9の読取面の画像を読み取る。具体的には、第1読取部61は、搬入路40aにおける第1読取部61による読取位置(第1読取位置)に原稿9が到達すると、搬送中の原稿9の読取面に光を照射させて、原稿9の読取面の画像を読み取る。読み取られた画像のデータは、制御部81によって後述するRAM82に一時的に記憶される。
【0038】
第2読取部62は、画像読取装置1の左右方向へ移動可能なように、コンタクトガラス64,65の下方に設けられている。第2読取部62は、コンタクトガラス64に対応する前記基準位置(図3に示すコンタクトガラス64の下方の位置)に配置された状態で、第1搬出路40cを通過する原稿9の読取面の画像を読み取る。読み取られた画像のデータは、制御部81によって後述するRAM82に一時的に記憶される。
【0039】
また、第2読取部62は、コンタクトガラス65に載置された静止原稿の読取面の画像を読み取る。具体的には、第2読取部62は、コンタクトガラス65に載置された静止原稿に沿って図2の紙面右方向へ移動しつつ前記静止原稿の読取面を走査することにより、前記静止原稿の読取面の画像を読み取る。読み取られた画像のデータは、制御部81によって後述するRAM82に一時的に記憶される。
【0040】
本実施形態において、第1読取部61および第2読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cを備える(図1参照)。発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cは、それぞれ第3方向D3に沿って延びて形成されている。
【0041】
第1読取部61および第2読取部62それぞれにおいて、発光部6aは、原稿9に光を照射する。レンズ6bは、原稿9に反射した光をイメージセンサー6cへ導く。イメージセンサー6cは、原稿9に反射した光を受光し、その強度(受光量)を検出し、検出信号を前記読取画像の信号として出力するラインセンサーである。本実施形態では、前記ラインセンサーによって原稿の読取面の先端から一ライン又は複数ラインのライン画像が順次読み取られ、読み取られたライン画像に応じた前記検出信号が前記ラインセンサーから順次出力される。
【0042】
イメージセンサー6cから出力される前記検出信号は、出力される度に、前記ライン画像を示すデジタルの画像データ(以下、ライン画像データという。)に順次変換され、制御装置8の制御部81によってRAM82(図4参照)に順次記憶される。この変換処理は、制御部81が行ってもよいし、制御部81とは異なる変換処理部が行ってもよい。変換されたライン画像データは、変換される度にRAM82に順次格納される。そして、原稿の後端までのライン画像が読み取られると、原稿の先端から後端までの全てのライン画像データの集合が当該原稿の読取面の読取画像としてRAM82に格納される。
【0043】
図2に示される例において、第1読取部61および第2読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサー6cが一体化されたCIS(Contact Image Sensor)である。
【0044】
移動機構7は、第2読取部62をコンタクトガラス64に対向する前記基準位置(図3に示す位置)からコンタクトガラス65に対向する位置に亘る範囲で移動させる。移動機構7は、第2読取部62のキャリッジ(不図示)に駆動力を伝達して、第2読取部62を移動させる。移動機構7は、ステッピングモーター等の駆動装置(電動機)を用いた従来周知の移動機構であり、前記キャリッジを副走査方向(図2における左右方向)へ移動可能に構成されている。移動機構7は、前記駆動装置からの駆動力を前記キャリッジに伝達するベルトやプーリー、ギヤなどを含む伝達機構を有する。
【0045】
本実施形態では、後述する画像合成処理が行われない非合成処理時には、原稿9が搬送装置4によって搬送される場合に、移動機構7は、第2読取部62をコンタクトガラス64に対向する前記基準位置に保持する。これにより、第2読取部62の発光部6aの光がコンタクトガラス64上を移動する原稿9の読取面に照射され、その反射光がイメージセンサー6cに入射する。これにより、イメージセンサー6cが搬送中の原稿9の画像を読み取る。
【0046】
また、前記非合成処理時には、原稿9がコンタクトガラス65上に載置される場合に、移動機構7は、第2読取部62をコンタクトガラス65に沿って移動させる。これにより、第2読取部62の発光部6aの光がコンタクトガラス65上の原稿9に走査されつつ、第2読取部62のイメージセンサー6cが原稿9の画像を読み取る。
【0047】
また、後述する画像合成処理が行われる合成処理時には、第1読取部61の発光部6aの光がコンタクトガラス64上を移動する原稿9の読取面に照射され、その反射光がイメージセンサー6cに入射する。これにより、イメージセンサー6cが搬送中の原稿9の画像を読み取る。また、同時に、第2読取部62をコンタクトガラス65に沿って移動させて、第2読取部62の発光部6aの光をコンタクトガラス65上の原稿9に走査させつつ、第2読取部62のイメージセンサー6cが原稿9の画像を読み取る。
【0048】
なお、第2読取部62のイメージセンサー6cがCCD(Charge Coupled Device)タイプのセンサーであってもよい。この場合、移動機構7は、発光部6aおよびレンズ6bを移動させ、CCDタイプのイメージセンサー6cは、予め定められた位置に固定される。
【0049】
操作表示部16は、人の操作を受け付ける操作部を含む。前記操作部は、例えば、操作ボタンおよびタッチパネルなどである。例えば、後述の画像合成処理を実行させるための画像合成指示や、画像合成処理を中断させるための合成中断指示、中断した画像合成処理を再開させるための再開指示などの各信号の入力を受け付ける。つまり、前記操作部には、前記画像合成指示を入力したり、前記再開指示を入力するための読取実行キー(スタートボタン)、前記画像合成処理を中断させるためのキャンセルキーなどが配置されている。また、操作表示部16は、各種の情報を表示する表示部を含む。前記表示部は、例えば、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置である。
【0050】
本実施形態において、自動原稿送り装置2は、原稿9を積載可能な第2排出トレイ3cをさらに備える(図2図3参照)。
【0051】
図3に示すように、第2排出トレイ3cは、供給トレイ3aおよび第1排出トレイ3bに対し第1方向D1へ離れた位置に配置されている。第2排出トレイ3cは、カバー部12の外縁に沿って折り畳み可能である。
【0052】
また、搬送路40は、第2搬出路40d(本発明の第2搬送路の一例)をさらに含む。第2搬出路40dは、搬入路40aに連なり第1方向D1へ延在し、第2排出トレイ3cに対応する第2排出口404(本発明の第2排出口の一例)に至る通路である。第2搬出路40dは、搬入路40aから連続して第1方向D1へ向けて概ねまっすぐ延在している。
【0053】
即ち、搬送路40は、搬入路40aから折り返し路40bおよび第2搬出路40dそれぞれに分岐している。言い換えると、搬送路40は、搬入路40aの終点付近の分岐点P1(図3参照)から、折り返し路40bおよび第2搬出路40dそれぞれに分岐している。
【0054】
以下の説明において、搬送路40における搬入路40aから折り返し路40bを経由して第1搬出路40cに至る通路を湾曲搬送路40a-40cと称する。また、搬送路40における搬入路40aから第2搬出路40dに至る通路をストレート搬送路40a-40dと称する。
【0055】
第2排出トレイ3cは、第2排出口404を閉じる閉位置と第2排出口404を開放する開位置との間で変位可能に支持されている。第2排出口404は、第2搬出路40dの排出口である。第2排出トレイ3cは、前記開位置に存在する状態で原稿9を積載可能である。
【0056】
トレイ閉センサー52は、第2排出トレイ3cが前記閉位置に存在するトレイ閉状態を検出する。例えば、トレイ閉センサー52は、前記閉位置の第2排出トレイ3cを検出する接触式のリミットセンサーまたは非接触式のフォトセンサーなどである。トレイ閉センサー52は、トレイ閉検出部の一例である。
【0057】
また、自動原稿送り装置2は、経路切替機構44(本発明の経路切替部の一例)を備える。
【0058】
経路切替機構44は、搬入路40aに沿って搬送される原稿9を折り返し路40bおよび第2搬出路40dのいずれか一方へ選択的に案内する。換言すれば、経路切替機構44は、原稿9の搬送経路を、湾曲搬送路40a-40cおよびストレート搬送路40a-40dのいずれか一方に選択する。
【0059】
経路切替機構44は、搬送路40の分岐点P1に揺動可能に支持されたフラップである。前記フラップが外力を受けて所定の第1位置と第2位置との間で変位する。前記第1位置は、搬送装置4により搬送される原稿9を折り返し路40bへ案内可能な位置である。前記第2位置は、原稿9を第2搬出路40dへ案内可能な位置である。つまり、経路切替機構44(フラップ)は、搬送路40を搬送される原稿9を折り返し路40bへ案内可能な前記第1位置と、原稿9を第2搬出路40dへ案内可能な前記第2位置との間で変位する。経路切替機構44が前記第1位置に配置されることにより、湾曲搬送路40a-40cが開通する。経路切替機構44が前記第2位置に配置されることにより、ストレート搬送路40a-40dが開通する。
【0060】
経路切替機構44が前記第1位置に配置された状態で、搬送装置4の送出機構41および複数組の搬送ローラー対43が動作すると、原稿9は折り返し路40bに向けて搬送されて、第1排出口403から第1排出トレイ3bに排出される。
【0061】
また、経路切替機構44が前記第2位置に配置された状態で、搬送装置4の送出機構41および複数組の搬送ローラー対43が動作すると、原稿9は第2搬出路40dに向けて搬送されて、第2排出口404から第2排出トレイ3cに排出される。
【0062】
経路切替機構44は、第2排出トレイ3cが前記閉位置にあるときにバネなどの付勢部材によって前記第1位置側へ付勢されており、前記第1位置に配置されている。また、第2排出トレイ3cが前記閉位置から前記開位置に変位された場合に、経路切替機構44は、前記第1位置から前記第2位置側へ変位して、前記第2位置に配置される。
【0063】
例えば、経路切替機構44は、第2排出トレイ3cが前記閉位置から前記開位置にされたことに連動するアクチュエータあるいはリンク部材から作動力を受けて、前記第1位置から前記第2位置に変位し、第2排出トレイ3cが前記閉位置に戻された場合に、前記付勢部材による付勢力によって前記第2位置に戻るよう構成されている。
【0064】
あるいは、経路切替機構44は、トレイ閉センサー52によって第2排出トレイ3cが前記閉位置から前記開位置にされたことが検知された場合に、不図示の駆動部(ソレノイド又はモーター)によって、前記第1位置から前記第2位置に変位され、第2排出トレイ3cが前記閉位置に戻された場合に、前記付勢部材によって前記第2位置に戻されるよう構成されていてもよい。
【0065】
なお、画像読取装置1は、第3読取部63をさらに備えていてもよい。この場合、第3読取部63は、第2搬出路40dを通過する原稿9の画像を読み取る。第3読取部63は、第1読取部61と同じ構成である。第3読取部63が設けられている場合、後述の第1読取処理において、原稿9の他の読取面を第3読取部63に読み取らせてもよい。
【0066】
[制御装置8]
制御装置8は、各種のデータ処理および画像読取装置1の制御を実行する。図4に示すように、制御装置8は、制御部81、RAM(Random Access Memory)82、記憶装置83、及び信号インターフェイス84などを備える。さらに、制御装置8は、他装置との通信を行う通信装置85も備える。
【0067】
記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、記憶装置83として採用される。
【0068】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータを制御部81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、制御部81が出力する制御指令を制御信号に変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0069】
制御部81は、CPU(Central Processing Unit)などの演算機器を有する。制御部81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、制御部81の前記CPUが実行する前記コンピュータープログラムおよび制御部81の前記CPUが各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0070】
制御部81は、前記CPUが前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理部を含む。具体的には、制御部81は、主演算部8a、搬送制御部8b、読取制御部8c、合成処理部8d、出力処理部8eなどを含む。読取制御部8cは、本発明の読取制御部、第1読取処理部、第2読取処理部、第3読取処理部の一例である。合成処理部8dは、本発明の合成処理部の一例である。出力処理部8eは、本発明の出力処理部の一例である。
【0071】
なお、前記各処理部は、制御部81によって実現されるものに限られず、例えば、複数のプロセッサーによって実現されるものであってもよい。また、各処理部は、制御部81によって実現される処理部に限られず、たとえば、各処理部の機能を実現可能な電子回路で構成されてもよい。
【0072】
主演算部8aは、操作表示部16の前記操作部に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、操作表示部16の前記表示部に情報を表示する制御などを実行する。
【0073】
搬送制御部8bは、搬送装置4を制御することにより、原稿9の搬送を制御する。
【0074】
具体的には、搬送制御部8bは、供給トレイ3a上の原稿9を、折り返し路40bを経由して搬送し第1排出トレイ3bへ排出する搬送動作(折り返し搬送動作)が可能なように搬送装置4等を制御する。なお、この場合、経路切替機構44は前記第1位置に配置されており、第2排出トレイ3cは前記閉位置に配置されている。このように制御されることにより、供給トレイ3a上の原稿9は、1枚ずつ湾曲搬送路40a-40cに沿って搬送され、第1排出トレイ3b上に排出される。
【0075】
また、搬送制御部8bは、供給トレイ3a上の原稿9を、折り返し路40bの手前で分岐した搬送路に沿って搬送し、第1排出トレイ3bとは異なる第2排出トレイ3c上へ排出する搬送動作(ストレート搬送動作)が可能なように搬送装置4等を制御する。なお、この場合、経路切替機構44は前記第2位置に配置されており、第2排出トレイ3cは前記開位置に配置されている。このように制御されることにより、供給トレイ3a上の原稿9は、1枚ずつストレート搬送路40a-40dに沿って搬送され、第2排出トレイ3c上に排出される。
【0076】
読取制御部8cは、第1読取部61や第2読取部62などを制御することにより、画像読取処理を実行させる。
【0077】
具体的には、読取制御部8cは、搬送装置4により搬送される原稿9の読取面の画像を第1読取部61に読み取らせる処理(以下、第1読取処理という。)を実行する。本実施形態では、後述する画像合成処理を実行するための画像合成指示が入力された場合に、読取制御部8cは、第1読取部61に原稿9の画像(第1画像)を読み取らせる。この場合、読取制御部8cは、本発明の第1読取処理部として機能する。
【0078】
また、搬送装置4によって複数の原稿9が連続して順次搬送される場合に、読取制御部8cは、各原稿9の画像を第1読取部61に順次読み取らせる。
【0079】
また、読取制御部8cは、コンタクトガラス65に載置された静止原稿の読取面に沿って第2読取部62を移動させつつ走査させることにより、前記静止原稿の画像(第2画像)を第2読取部62に読み取らせる処理(以下、第2読取処理という。)を実行する。本実施形態では、後述する画像合成処理を実行するための画像合成指示が入力された場合、又は、前記非合成処理時において前記静止原稿の読取指示が入力された場合に、読取制御部8cは、第2読取部62に前記静止原稿の画像(第2画像)を読み取らせる。この場合、読取制御部8cは、本発明の第2読取処理部として機能する。
【0080】
また、読取制御部8cは、搬送装置4により搬送される原稿9の読取面の画像を第2読取部62に読み取らせる処理(以下、第3読取処理という。)を実行する。本実施形態では、前記非合成処理時において自動原稿送り装置2による原稿9の読取指示が入力された場合に、読取制御部8cは、第2読取部62に原稿9の画像を読み取らせる。この場合、読取制御部8cは、本発明の第3読取処理部として機能する。
【0081】
また、読取制御部8cは、画像合成処理を実行するための画像合成指示が入力された場合に、前記第1読取処理と前記第2読取処理とを並行して実行する。
【0082】
本実施形態では、読取制御部8cは、前記画像合成指示が入力され、かつ、経路切替機構44が前記第2位置に配置された場合に、前記第1読取処理と前記第2読取処理とを並行して実行する。
【0083】
合成処理部8dは、前記画像合成指示が入力された場合に、前記第1読取処理において第1読取部61に読み取られた原稿9の画像と、前記第2読取処理において第2読取部62に読み取られた画像とを合成して合成画像を生成する処理(合成画像生成処理)を実行する。合成処理方法としては、透過の程度を示す係数であるα値を用いて各画像を合成するアルファブレンディングを用いることが可能である。
【0084】
例えば、合成処理部8dは、搬送装置4によって複数の原稿9の画像が順次読み取られた場合、各原稿9の画像それぞれに対して、前記第2読取処理で読み取られた1枚の静止原稿の画像を合成する処理を行う。
【0085】
また、操作表示部16から前記合成中断指示が入力されて、この入力に応じて画像読取装置1で実行される画像合成処理(図5参照)が中断し、その後に入力された前記再開指示に応じて前記画像合成処理が再開した場合、読取制御部8cは、前記第2読取処理を再度実行し、第2読取部62に前記静止原稿の画像を読み取らせる。
【0086】
この場合、読取制御部8cは、コンタクトガラス65上の原稿が変更されたか否かを判定し、変更されたと判定された場合に、前記第2読取処理を再度実行し、第2読取部62に前記静止原稿の画像を読み取らせることが好ましい。
【0087】
出力処理部8eは、読取制御部8cによる読取処理によって読み取られた画像データや、合成処理部8dによって生成された合成画像の画像データ(合成画像データ)を出力する。具体的には、出力処理部8eは、前記画像データを、記憶装置83に記憶し、又は画像形成部15に出力し、又は操作表示部16の前記表示部に出力し、又は外部の情報処理装置或いは記憶装置に出力する。
【0088】
ところで、従来の画像読取装置は、同じ読取部を用いて静止原稿と移動原稿とを別々に読み取る処理を行うため、画像合成処理に時間がかかり、処理効率が悪い。これに対して、本実施形態の画像読取装置1は、後述の画像合成処理において、前記静止原稿と前記移動原稿とを同時に読み取り、各読取画像を合成するため、合成されるそれぞれの画像を効率よく読み取ることが可能である。
【0089】
[画像合成処理]
以下、図5のフローチャートを参照しつつ、制御装置8の制御部81によって実行される画像合成処理の手順の一例について説明する。なお、以下の説明においては、画像読取装置1において画像合成機能が有効に設定されており、当該画像合成処理に必要な背景濃度や、倍率、原稿サイズ、カラー選択、原稿の種類、下地画像の選択、などが設定済みであるものとする。
【0090】
前記画像合成機能が有効に設定された状態で、当該画像合成処理を実行するための前記画像合成指示が入力されたか否かを判定する(S101)。本実施形態では、画像読取装置1において前記画像合成機能が有効に設定された状態で、操作表示部16の操作部から読取実行キー(スタートボタン)が操作者によって押し操作された場合に、制御部81は、前記画像合成指示が入力されたと判定する。
【0091】
前記画像合成指示が入力されると、次のステップS102において、制御部81は、供給トレイ3a及びコンタクトガラス65それぞれに読取対象の原稿がセットされているか否かを判定する。具体的には、制御部81は、供給トレイ3aに読取対象である原稿9が載置されているか否かを判定し、コンタクトガラス65に読取対象である静止原稿が載置されているか否かを判定する。つまり、制御部81は、供給トレイ3a及びコンタクトガラス65それぞれにおける原稿の有無を検出する。ここで、供給トレイ3aにおける原稿9の有無は、供給原稿検出部5によって検出可能である。また、コンタクトガラス65における前記静止原稿の有無は、例えば、カバー部12の押さえ面に設けられた反射型のフォトインタラプタなどの原稿検出センサー(原稿検出部)によって検出可能である。前記静止原稿の有無は、例えば、カバー部12が閉じられた直後に第2読取部62をコンタクトガラス65の下方へ移動させて、コンタクトガラス65の第1方向D1側の端部(自動原稿送り装置2側の端部)における所定幅領域へ照射した光の反射光の受光量や、その受光量から変換された前記所定幅領域の画像データに基づいて判定することも可能である。
【0092】
ステップS102において、供給トレイ3a及びコンタクトガラス65の両方に原稿がセットされていないと判定された場合、つまり、供給トレイ3a及びコンタクトガラス65のいずれか一方又は両方に原稿がセットされていないと判定された場合、制御部81は、両方に原稿をセットするよう促すエラーメッセージを操作表示部16の前記表示部に表示する(S1021)。その後、ステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が行われる。
【0093】
一方、ステップS102において、供給トレイ3a及びコンタクトガラス65それぞれに原稿がセットされていると判定されると、続いて、制御部81は、ストレート搬送路40a-40dが開通しているか否かを判定する(S103)。例えば、第2排出トレイ3cが前記開位置に配置されており、経路切替機構44が前記第2位置に配置されている場合に、ストレート搬送路40a-40dが開通していると判定される。
【0094】
第2排出トレイ3cの前記開位置は、トレイ閉センサー52の出力信号に基づいて判定可能である。また、経路切替機構44が所定の駆動部によって動作されるものである場合は、制御部81のよる駆動制御信号が出力されているか否かによって判定可能である。また、経路切替機構44が第2排出トレイ3cの開閉動作によって連動して前記第1位置又は前記第2位置に変位するものである場合、制御部81は、第2排出トレイ3cが前記開位置に配置されていることを判定した場合に、ストレート搬送路40a-40dが開通していると判定してもよい。
【0095】
ステップS103において、ストレート搬送路40a-40dが開通していないと判定されると、制御部81は、第2排出トレイ3cが前記閉位置にあることを示すエラーメッセージ、第2排出トレイ3cを前記開位置に変位させて、ストレート搬送路40a-40dを開通するよう促すエラーメッセージを操作表示部16の前記表示部に表示する(S1031)。その後、ステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が行われる。
【0096】
なお、本実施形態では、前記画像合成機能が有効に設定された状態では、搬送装置4によって搬送される原稿9は、ストレート搬送路40a-40dに搬送され、湾曲搬送路40a-40cには搬送されない。したがって、ストレート搬送路40a-40dが開通されない限り、ステップS104の第1読取処理、及びステップS105の第2読取処理は実行されず、ステップS106の合成画像生成処理も実行されない。
【0097】
ステップS103において、ストレート搬送路40a-40dが開通していると判定されると、制御部81は、ステップS104の前記第1読取処理と、ステップS105の前記第2読取処理とを並行して実行する。上述したとおり、前記第1読取処理は、搬送装置4を動作させて、搬送装置4により搬送される原稿9の読取面の画像を第1読取部61に読み取らせる処理である。また、前記第2読取処理は、コンタクトガラス65に載置された静止原稿の読取面の画像を第2読取部62に読み取らせる処理である。本実施形態では、ストレート搬送路40a-40dが開通しているため、搬送装置4によって搬送された原稿9は、搬入路40aにおいて第1読取部61によって画像が読み取られた後、経路切替機構44によって第2搬出路40dへ案内されて、第2排出口404から第2排出トレイ3cに排出される。
【0098】
前記第1読取処理及び前記第2読取処理によって読み取られた読取画像のデータは、当該画像合成処理が終わるまでRAM82に一時的に記憶される。
【0099】
その後、ステップS106において、制御部81は、ステップS104の前記第1読取処理によって読み取られた原稿9の画像(読取画像)と、ステップS105の前記第2読取処理によって読み取られた前記静止原稿の画像(読取画像)とを合成して合成画像を生成する処理(合成画像生成処理)を実行する。例えば、前記静止原稿の画像が前記下地画像(背景画像)に設定されている場合、原稿9の画像の背景画像として前記静止原稿の読取画像が原稿9の読取画像に合成される。また、原稿9の画像が前記下地画像(背景画像)に設定されている場合、前記静止原稿の画像の背景画像として原稿9の読取画像が前記静止原稿の読取画像に合成される。当該合成画像生成によって生成された合成画像データは、記憶装置83に記憶されて保管される。
【0100】
続いて、ステップS107において、制御部81は、ステップS106で生成された前記合成画像データを出力する処理を行う。なお、前記合成画像データの出力先は、表示要求がある場合は、操作表示部16の表示部であり、画像形成要求がある場合は、画像形成処理を実行する処理部であり、データ転送要求がある場合は、転送先の情報処理装置や記憶装置などである。これにより、一連の画像合成処理が終了する。
【0101】
なお、供給トレイ3aに複数の原稿9が載置されている場合は、ステップS104,105以降の処理を繰り返し実行することにより、全ての原稿9に対して前記静止原稿の画像を合成することができる。
【0102】
[画像合成処理の第1変形例]
本実施形態では、上述の画像合成処理において、供給トレイ3aに複数の原稿9が載置されている場合に各原稿9それぞれに対してステップS104,S105以降の処理を行う処理例について説明した。しかしながら、本発明はこのような処理例に限れない。例えば、図6に示すように、コンタクトガラス65上の静止原稿に対する前記第2読取処理を1度だけ行い、各原稿9の画像が読み取られる度に、原稿9の読取画像に対して前記静止画像の読取画像を合成するようにしてもよい。なお、図6では、上述の画像合成処理の手順と同じ又は同等の手順については、同じステップ番号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0103】
具体的には、図6に示すように、制御部81は、ステップS101,S102の判定処理の後に、ストレート搬送路40a-40dが開通していると判定し(S103のYes)、第1枚目の原稿9に対する前記第1読取処理(S104)、及び前記静止原稿に対する前記第2読取処理(S105)を並行して実行する。その後、制御部81は、前記合成画像生成処理(S106)を実行する。前記合成画像生成処理が行われた後、制御部81は、ステップS111において、自動原稿送り装置(ADF)2の供給トレイ3aに次の原稿9があるか否かを判定する。
【0104】
第1枚目の原稿9の搬送後に、供給原稿検出部5によって供給トレイ3aに原稿9があることが検出されると、制御部81は、供給トレイ3aに次の第2枚目の原稿9があると判定する。ステップS111において供給トレイ3aに次の第2枚目の原稿9があると判定されると、制御部81は、搬送装置4を動作させて、原稿9を供給トレイ3aから搬送し、再び前記第1読取処理(S112)を実行する。この場合、制御部81は、前記第2読取処理を実行せず、第2読取部62を前記基準位置に待機させる。
【0105】
その後、制御部81は、ステップS106に戻り、読み取られた第2枚目の原稿9の読取画像と、RAM82に記憶された前記静止原稿の読取画像(ステップS105で読み取られた画像)とを合成して合成画像を生成する処理を実行する。なお、ステップS112からステップS106に続く処理は、ステップS111において供給トレイ3aに原稿9が無いと判定されるまで繰り返される。
【0106】
ステップS111において供給トレイ3aに原稿9が無いと判定されると、制御部81は、ステップS106で生成された前記合成画像データを出力する処理を行う(S107)。
【0107】
[画像合成処理の第2変形例]
上述した実施形態で説明した画像合成処理の実行中に、合成中断指示が入力された場合は、コンタクトガラス65上の静止原稿が他の原稿の差し替えられた可能性が高い。この場合は、図7に示すように、再度、ステップS105の前記第2読取処理を実行して、前記静止原稿の画像を読み取るようにしてもよい。なお、図7では、上述の画像合成処理の手順と同じ又は同等の手順については、同じステップ番号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0108】
具体的には、図7に示すように、ステップS101~106までの処理が実行され、更に、ステップS111の判定処理が行われた後、制御部81は、次のステップS121において、当該画像合成処理を中断するための前記合成中断指示が入力されたか否かを判定する。本実施形態では、画像読取装置1において前記画像合成機能が有効に設定された状態で、操作表示部16の操作部からキャンセルキーが操作者によって押し操作された場合に、制御部81は、前記合成中断指示が入力されたと判定する。なお、制御部81は、当該画像合成処理中にカバー部12が開けられたことがセンサーなどによって検出された場合に、前記合成中断指示が入力されたと判定してもよい。
【0109】
前記合成中断指示が入力されると、制御部81は、現在実行中の原稿9の搬送、各読取処理(S104,105,S112)、合成画像生成処理(S106)が終了した後に、一連の画像合成処理を中断する(S122)。
【0110】
その後、制御部81は、当該画像合成処理を再開するための前記再開指示が入力されたか否かを判定する(S123)。本実施形態では、画像読取装置1において前記画像合成処理が中断している状態で、操作表示部16の操作部から読取実行キー(スタートボタン)が操作者によって押し操作された場合に、制御部81は、前記再開指示が入力されたと判定する。
【0111】
前記再開指示が入力されると、制御部81は、次のステップS124において、コンタクトガラス65上の静止原稿が他の原稿に変更されたか否かを判定する。制御部81は、例えば、中断中にカバー部12の開閉動作が行われたこと、中断中に前記原稿検出センサーの出力信号に変化があったこと、再開指示の入力後に第2読取部62によって取得されたコンタクトガラス65の前記端部の所定幅領域からの受光量や画像データと既に読み取られた前記静止原稿の読取画像との間に差分があること、などの各条件のいずれか一つ又は複数を満たした場合に、前記静止原稿が変更されたと判定することができる。
【0112】
ステップS124において、前記静止原稿が変更されたと判定されると(S124のYes)、変更後の静止原稿の画像を読み取る必要があるため、制御部81は、再び、ステップS104の前記第1読取処理に並行して、ステップS105の前記第2読取処理を実行し、その後、ステップS106以降の処理を行う。一方、ステップS124において、前記静止原稿が変更されていないと判定されると(S124のNo)、制御部81は、前記静止画像を読み取る必要がないため、ステップS112以降の処理を行う。
【0113】
なお、上述の第2変形例では、ステップS124において前記静止原稿が変更されたか否かを判定する処理が実行される処理例を例示したが、例えば、ステップS124の判定処理を行うことなく、以下の条件を満たした場合に、ステップS104,S105それぞれの読取処理を並行して実行してもよい。例えば、供給トレイ3aに原稿9が存在している状態で、前記合成中断指示が入力され、かつ、前記再開指示が入力された場合は、前記静止原稿が変更された可能性が高いと考えられる。このため、実際に前記静止原稿が変更されたか否かを判定することなく、ステップS121において前記合成中断指示が入力されたこと、及びステップS123において前記再開指示が入力されたこと、の2つの条件を満たした場合に、前記静止原稿が変更されたものとみなして、ステップS104,S105の処理を実行してもよい。
【0114】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置1においては、前記画像合成指示が入力された場合に、第1読取部61を用いた前記第1読取処理、及び第2読取部62を用いた前記第2読取処理のそれぞれが並行して実行される。そのため、自動原稿送り装置2により搬送される原稿9の画像と、コンタクトガラス65上の前記静止原稿の画像とを同時に読み取ることができる。その結果、合成されるそれぞれの画像を効率よく読み取ることが可能となり、各読取画像の合成処理の処理時間を短縮することができる。
【0115】
また、本実施形態では、前記画像合成指示が入力された場合は、原稿9が湾曲搬送路40a-40cを通らずに、ストレート搬送路40a-40dに沿って搬送される。このため、原稿9の搬送中に原稿9が傾きにくくなり、合成ずれが生じ難くなる。つまり、合成画像の精度が向上する。
【0116】
また、前記合成中断指示が入力されたことにより画像合成処理が中断し、その後に画像合成処理が再開された場合は、前記第2読取処理が実行されて、前記静止原稿の画像が再び読み取られる。つまり、前記静止原稿が変更された可能性が高い場合に、自動的に前記静止原稿の画像の読取処理が実行される。これにより、作業者は、前記静止原稿を変更したことを事前に設定する必要がない。
【0117】
また、本実施形態では、前記再開指示が入力された場合に、前記静止原稿が変更されたか否かを判定し、前記静止原稿が変更された場合に前記第2読取処理によって前記静止原稿の画像が読み取られる。これにより、変更された前記静止原稿の画像を確実に取得することができる。また、前記静止原稿が変更されていない場合に前記第2読取処理が無駄に実行されることを防止できる。
【0118】
なお、上述の実施形態において、画像読取装置1の前記画像合成機能が有効に設定されていない状態(無効にされた状態)で、かつ、供給トレイ3aだけに原稿9が載置された状態で読取実行キーが入力されると、制御部81は、前記第1読取処理、又は前記第3読取処理のいずれか一方の処理を実行する。具体的には、制御部81は、湾曲搬送路40a-40cが開通している場合に、前記第3読取処理を実行する。また、制御部81は、ストレート搬送路40a-40dが開通している場合に、前記第1読取処理を実行する。
【0119】
また、上述の実施形態では、装置本体11の上面にコンタクトガラス64及びコンタクトガラス65が設けられた構成について例示したが、本発明のこの構成に限られない。例えば、コンタクトガラス64が設けられておらず、第1方向D1側の端部が読取位置P2まで延在するコンタクトガラス65が装置本体11の上面に設けられた構成にも、本発明は適用可能である。
【0120】
また、本発明は、画像読取装置1を備える画像形成装置10の発明と捉えることが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 :画像読取装置
2 :自動原稿送り装置
3a :供給トレイ
3b :第1排出トレイ
3c :第2排出トレイ
4 :搬送装置
5 :供給原稿検出部
8 :制御装置
8a :主演算部
8b :搬送制御部
8c :読取制御部
8d :合成処理部
8e :出力処理部
9 :原稿
10 :画像形成装置
40 :搬送路
40b :折り返し路
40c :第1搬出路
40d :第2搬出路
44 :経路切替機構
51 :搬送原稿センサー
52 :トレイ閉センサー
61 :第1読取部
62 :第2読取部
63 :第3読取部
64 :コンタクトガラス
65 :コンタクトガラス
81 :制御部
403 :第1排出口
404 :第2排出口
D1 :第1方向
D2 :第2方向
D3 :第3方向
P1 :分岐点
P2 :読取位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7