(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20250326BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H29/52
(21)【出願番号】P 2021066368
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼瀬 明日香
(72)【発明者】
【氏名】一宮 祐太
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-259037(JP,A)
【文献】特開2014-166892(JP,A)
【文献】特開2014-076896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
B65H 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を案内するガイド面と、
前記ガイド面に沿って前記記録媒体を第1方向、及び前記第1方向とは逆方向である第
2方向ヘ搬送可能な搬送部と、
前記記録媒体を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記記録媒体に接触していないとき前記ガイド面から進出した進出位置にあり、前記第
1方向へ搬送される前記記録媒体に接触するとき、第1回転方向へ回転して前記進出位置
から後退し、前記第2方向へ搬送される前記記録媒体に接触するとき、前記第1回転方向
とは逆方向である第2回転方向へ回転して前記進出位置から後退する第1レバーと、
前記第1レバーの前記第1回転方向、又は前記第2回転方向への回転に伴って回転する
第2レバーと、
前記第2レバーの回転を検出する検出器と、を有し、
前記第1レバーが前記進出位置にある状態のとき、
前記第1レバーは、前記第1レバーの回転軸から鉛直上方に延在し、
前記第2レバーは、前記第2レバーの回転軸から鉛直下方に延在し、
前記第2レバーの下端部は、前記検出器に対向
し、
前記第2レバーは、
前記第1レバーに摺動される摺動面を有し、
前記第1レバーが前記第1回転方向、又は前記第2回転方向のいずれの方向へ回転して
も、前記摺動面が前記第1レバーに摺動されながら移動することにより、前記第1レバー
の回転方向に拘わらず同一の方向に回転する、
印刷装置。
【請求項2】
前記第2レバーの前記摺動面と、前記摺動面に摺動する前記第1レバーの部位とは、そ
れぞれ異なる材料で構成されている、
請求項
1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記第1レバー及び前記第2レバーを回転可能に支持するホルダーを有する、
請求項
1又は請求項
2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記第1レバーと前記ホルダーとの間に架け渡された第1弾性部材と、前記第2レバー
と前記ホルダーとの間に架け渡された第2弾性部材と、を有し、
前記第1弾性部材は、前記第1レバーが前記進出位置へ向かうように引っ張り、前記第
2弾性部材は、前記摺動面を介して前記第1レバーが前記進出位置へ向かうように前記第
2レバーを引っ張る、
請求項
3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、それぞれ鉛直方向に延在している、
請求項
4に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、記録媒体に接触する片持ち支持のレバーを用いて記録媒体を検出する印刷装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の印刷装置は、記録媒体に接触するレバーの形状が複雑で大きくなってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、記録媒体を案内するガイド面と、前記ガイド面に沿って前記記録媒体を第1方向、及び前記第1方向とは逆方向である第2方向ヘ搬送可能な搬送部と、前記記録媒体を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記記録媒体に接触していないとき前記ガイド面から進出した進出位置にあり、前記第1方向へ搬送される前記記録媒体に接触するとき、第1回転方向へ回転して前記進出位置から後退し、前記第2方向へ搬送される前記記録媒体に接触するとき、前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向へ回転して前記進出位置から後退する第1レバーと、前記第1レバーの前記第1回転方向、又は前記第2回転方向への回転に伴って回転する第2レバーと、前記第2レバーの回転を検出する検出器と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図。
【
図2】一実施形態に係る印刷装置の主要部の断面を示す断面図。
【
図5】一実施形態に係る検出部の第1レバーを示す斜視図。
【
図6】記録媒体を検出しないときの検出部を示す断面図。
【
図7】第1方向へ搬送される記録媒体を検出したときの検出部を示す断面図。
【
図8】第2方向へ搬送される記録媒体を検出したときの検出部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.実施形態
以下、一実施形態に係る印刷装置10について、図面を参照しながら説明する。
なお、図中における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上側又は単に上と称し負方向を下方向、下側又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向、右側又は単に右と称し負方向を左方向、左側又は単に左と称し、Y軸の正方向を後方向、後側又は単に後と称し負方向を前方向、前側又は単に前と称して説明する。
【0008】
1-1.印刷装置の構成
図1に示す印刷装置10は、紙やフィルムなどの所定長さに切断されたシート状の記録媒体(以下、単に紙と称する)Pや、折り畳まれているファンフォールド紙などの記録媒体(以下、単に連続紙と称する)Fに印刷可能である。紙Pは、例えば、通帳、葉書、封筒等であってもよい。
図1に示すように、印刷装置10は、ケース11、開閉可能なカバー12で覆われている。ユーザーは、印刷装置10の前にいて作業をする。ユーザーは、紙Pを持ち、ガイド面である前側ガイド面13に沿って、第1方向であり後方向であるA方向へ手差しで挿入する。挿入された紙Pは、A方向に搬送され印刷される。印刷後、紙Pは、第2方向であり前方向であるB方向へ戻され、ユーザーに向かって排出される。B方向は、A方向とは逆方向である。
【0009】
図2を用いて、印刷装置10の構成を詳しく説明する。印刷装置10は、例えばドットインパクトプリンターである。
【0010】
ヘッド20は、プラテンローラー23に対向した位置にあって、ヘッド20とプラテンローラー23との間にある紙Pに印刷する。ヘッド20はドットインパクト方式のヘッドであり、インクリボンを介して紙Pに向かってピンを突出させ、インクリボンのインクを紙Pに転写して印刷する。なお、ピンはワイヤーとも称される。
【0011】
紙P及び連続紙Fを案内するガイド面は、前側ガイド面13及び後側ガイド面14を含む。搬送部は、前側ローラー対21及び後側ローラー対22を含む。前側ローラー対21及び後側ローラー対22は、前側ガイド面13及び後側ガイド面14に沿って紙P及び連続紙FをA方向及びB方向ヘ搬送可能である。
【0012】
従動ローラー21a及び駆動ローラー21bで構成される前側ローラー対21は、ヘッド20の前方向に位置しており、紙Pをニップして前側ガイド面13に沿って搬送可能である。駆動ローラー21bは、モーターにより駆動される。
従動ローラー22a及び駆動ローラー22bで構成される後側ローラー対22は、ヘッド20の後方向に位置しており、紙Pをニップして後側ガイド面14に沿って搬送可能である。駆動ローラー22bは、モーターにより駆動される。
前側ローラー対21、後側ローラー対22、及びプラテンローラー23は、互いに連動しながら、前側ガイド面13及び後側ガイド面14に沿って、紙P及び連続紙FをA方向又はB方向へ搬送可能である。
【0013】
トラクターユニット15は、印刷装置10の後方向にセットされた連続紙Fを、C方向へ搬送する。C方向へ搬送された連続紙Fは、後側ガイド面14に沿って後側ローラー対22によりB方向へ搬送される。連続紙Fは、ヘッド20に到達すると印刷が成され、前側ローラー対21により前側ガイド面13に沿ってB方向へ搬送され、ユーザーに向かって排出される。
【0014】
1-2.検出部の構成
図2及び
図3に示すように、検出部としての前側検出部31は、ヘッド20の前方向の位置にあり、検出部としての後側検出部41は、ヘッド20の後方向の位置にある。
前側検出部31は、第1レバー31a、第2レバー31b、検出器31cがホルダー31dに支持されるように構成されている。ホルダー31dは、第1レバー31a及び第2レバー31bを回転可能に支持している。
後側検出部41も前側検出部31と同様の構成であり、同様の形状をした、第1レバー41a、第2レバー41b、検出器41c、ホルダー41dにより構成されている。ホルダー41dは、第1レバー41a及び第2レバー41bを回転可能に支持している。
【0015】
図2及び
図3は、前側ガイド面13及び後側ガイド面14に紙Pが無い紙無し状態を示している。前側検出部31の第1レバー31aは、紙Pに接触していないので、前側ガイド面13から上に進出している位置である進出位置にある。このとき、前側検出部31は、紙無し状態を検出する。同様に、後側検出部41の第1レバー41aは、紙Pに接触していないので、後側ガイド面14から上に進出している位置である進出位置にある。このとき、後側検出部41は、紙無し状態を検出する。
【0016】
図4及び
図5を用いて、前側検出部31の構成を詳細に説明する。なお、後側検出部41は、前側検出部31とは配置が異なるだけであり、前側検出部31と同様の構成であるため、説明を省略する。
図4及び
図5は、第1レバー31aが進出位置にあって、紙Pに接触していない紙無し状態を示している。
図4に示すように、前側検出部31の第1レバー31aは、軸31a3を中心に回転可能にホルダー31dに支持されている。第2レバー31bは、軸31b3を中心に回転可能にホルダー31dに支持されている。
【0017】
第2レバー31bは、
図4に示す摺動面31b1を有している。第1レバー31aは、一方の端部31a1、及び、他方の端部31a2を有している。第1レバー31aの一方の端部31a1、又は、他方の端部31a2は、第2レバー31bの摺動面31b1に摺動可能に構成されている。
【0018】
図5に示す第1レバー31aが進出位置にある状態から、第1レバー31aがA方向ヘ搬送される紙Pの先端に接触するとき、第1レバー31aは、軸31a3を中心に第1回転方向である時計回りへ回転して、進出位置から前側ガイド面13へ向かって後退し、同時に他方の端部31a2も時計回りへ回転する。このとき、他方の端部31a2は、第2レバー31bの摺動面31b1に摺動しながら、摺動面31b1をCA方向へ押し下げるように移動させる。なお、第1レバー31aが、進出位置から前側ガイド面13へ向かって後退した位置を後退位置とする。
【0019】
一方、
図5に示す第1レバー31aが進出位置にある状態から、第1レバー31aがB方向へ搬送される紙Pの先端に接触するとき、第1レバー31aは、軸31a3を中心に第2回転方向である反時計回りへ回転して、進出位置から後退位置へ向かって後退し、同時に一方の端部31a1も反時計回りへ回転する。このとき、一方の端部31a1は、第2レバー31bの摺動面31b1に摺動しながら、摺動面31b1をCB方向へ押し下げるように移動させる。
【0020】
第1レバー31aが、A方向へ搬送される紙Pに接触し時計回りへ回転する場合も、B方向へ搬送される紙Pに接触し反時計回りへ回転する場合も、第1レバー31aは、第2レバー31bの摺動面31b1に摺動しながら、摺動面31b1を同一の方向へ押し下げるように移動させる。
第1レバー31aの回転方向に拘わらず、第2レバー31bは、第1レバー31aにより摺動面31b1が同一の方向へ押し下げられて移動することにより、軸31b3を中心に同一の方向である反時計回りに回転する。
【0021】
このように、A方向へ搬送される紙P又はB方向へ搬送される紙Pにより、第1レバー31aがいずれの方向へ回転するときも、第1レバー31aの回転に伴い、第2レバー31bの摺動面31b1が第1レバー31aに摺動されながら押し下げられて、第2レバー31bは同一の方向へ移動する。この結果、第2レバー31bは、第1レバー31aの回転方向に拘わらず、同一の反時計回りへ回転する。
また、第1レバー31aにおいて、A方向及びB方向へ搬送される紙Pに接触する部分の形状は、搬送方向に対して互いに対称となっていることが好ましい。第1レバー31aは単純な構成となり、小さくて済む。また、いずれの方向の紙に対しても同等の摩擦負荷となる。
【0022】
第2レバー31bの摺動面31b1と、摺動面31b1に摺動する部位である第1レバー31aの一方の端部31a1及び他方の端部31a2とは、それぞれ異なる材料で構成されていることが好ましい。また例えば、それぞれ摺動性が異なる樹脂で構成されることが好ましい。例として、第2レバー31bの摺動面31b1がPOM DURACON SW-01(商品名)で構成され、第1レバー31aの一方の端部31a1及び他方の端部31a2がPOM DURACON NW-02(商品名)で構成される。この逆の組み合わせでもよい。
【0023】
このようにそれぞれ異なる材料で構成することにより、第2レバー31bの摺動面31b1と、摺動面31b1に摺動する部位である第1レバー31aの一方の端部31a1及び他方の端部31a2との間の摩擦負荷及び摩耗を抑制することができる。
また、第1レバー31aの一方の端部31a1及び他方の端部31a2は、ローラー形状としてもよい。摺動面31b1との間の摩擦負荷及び摩耗を抑制することができる。
【0024】
検出器31cは、透過型の光センサーである。
図4に示すように、第1レバー31aが紙Pに接触していないとき、検出器31cは、第2レバー31bの端部31b2により検出光が遮蔽され、検出光を検出しない状態となっている。
上述のように、第1レバー31aが、A方向へ搬送される紙P又はB方向へ搬送される紙Pに接触すると、それぞれ時計回り又は反時計回りへ回転して進出位置から後退位置へ移動する。このとき、第1レバー31aの時計回り又は反時計回りヘの回転に伴い、第2レバー31bは同一の反時計回りに回転する。
【0025】
第2レバー31bの回転に伴い、検出器31cから端部31b2が離れていき、検出器31cは、検出光を検出する紙有り状態に変化する。このように、前側検出部31は、検出光を検出しない紙無し状態から検出光を検出する紙有り状態に変化し、A方向又はB方向へ搬送される紙Pを検出することができる。
このように、前側検出部31は、第1レバー31aが紙Pに接触しないとき、検出器31cが検出光を検出しない紙無し状態として検出することができ、第1レバー31aが紙Pに接触するとき、検出器31cが検出光を検出する紙有り状態として検出することができる。
【0026】
上述のように、
図4は、第1レバー31aが紙Pに接触していない状態であり、進出位置にある状態を示している。検出器31cは紙無し状態として検出する。
第1弾性部材である第1バネ31eは、第1レバー31aとホルダー31dとの間に架け渡されている。第1バネ31eは、第1レバー31aを進出位置に保持するように引っ張っている。第1レバー31aは、A方向へ搬送された紙Pの先端に接触すると第1バネ31eの引っ張り力に抗って時計回りへ回転し、進出位置から後退位置へ移動する。検出器31cは紙有り状態として検出する。
【0027】
紙Pは、前側ローラー対21及び後側ローラー対22によりA方向へ搬送されながら、ヘッド20により印刷される。紙PがさらにA方向へ搬送されていくと、紙Pの後端が第1レバー31aの位置を通り過ぎる。第1レバー31aは、紙Pと接触しなくなるとき、第1バネ31eの引っ張り力により時計回りとは逆方向である反時計回りへ回転し、後退位置から進出位置へ戻るように移動する。検出器31cは紙無し状態として検出する。
【0028】
紙Pの後端が第1レバー31aの位置を通り過ぎ、紙Pへの印刷が終了すると、前側ローラー対21及び後側ローラー対22により紙PはB方向へ搬送され、戻される。
第1レバー31aは、B方向へ搬送される紙Pの後端に接触すると、第1バネ31eの引っ張り力に抗って反時計回りへ回転し、進出位置から後退位置へ移動する。検出器31cは紙有り状態として検出する。
【0029】
前側ローラー対21及び後側ローラー対22により紙PがさらにB方向へ搬送されていくと、紙Pの先端が第1レバー31aの位置を通り過ぎる。第1レバー31aは、紙Pと接触しなくなるとき、第1バネ31eの引っ張り力により反時計回りとは逆方向である時計回りへ回転し、後退位置から進出位置へ戻るように移動する。検出器31cは紙無し状態として検出する。
【0030】
第2弾性部材である第2バネ31fは、第2レバー31bとホルダー31dとの間に架け渡されている。第2バネ31fは、第2レバー31bの摺動面31b1を、CA方向及びCB方向とは逆方向へ向かって、押し上げるように引っ張っている。第2バネ31fは、摺動面31b1を介して第1レバー31aが進出位置に向かうように、第2レバー31bを引っ張っている。つまり、第2バネ31fは、第1バネ31eと同様に第1レバー31aを進出位置に保持するように、第2レバー31bを引っ張っている。
【0031】
第1レバー31aは、A方向又はB方向ヘ搬送される紙Pに接触すると、時計回り又は反時計回りに回転し、進出位置から後退位置へ移動する。
第1レバー31aの時計回り又は反時計回りへの回転に伴い、第2レバー31bは、摺動面31b1が第1レバー31aに摺動しながら押し下げられるように移動することにより、第1レバー31aを進出位置に向かわせる第2バネ31fの引っ張り力に抗って、反時計回りへ回転する。検出器31cは、第2レバー31bの端部31b2の移動により検出光が通過するようになり、紙有り状態として検出する。
【0032】
前側ローラー対21及び後側ローラー対22によりさらにA方向又はB方向へ紙Pが搬送されると、紙Pの後端又は先端が第1レバー31aの位置を通り過ぎる。
第1レバー31aが紙Pと接触しなくなると、第2レバー31bは、第1レバー31aを進出位置に向かわせる第2バネ31fの引っ張り力により反時計回りとは逆方向である時計回りへ回転する。このとき、第2レバー31bは、摺動面31b1が第1レバー31aに摺動しながら押し上げるように移動することにより、第1レバー31aを後退位置から進出位置へ戻るように移動させる。検出器31cは、第2レバー31bの端部31b2により検出光が遮蔽されるようになり、紙無し状態として検出する。
【0033】
以上、前側検出部31の構成を例に説明した。後側検出部41も前側検出部31と同様の構成であり、前側検出部31における、第1レバー31a、第2レバー31b、検出器31c、ホルダー31dは、後側検出部41における、第1レバー41a、第2レバー41b、検出器41c、ホルダー41dにそれぞれ対応している。
【0034】
1-3.検出部の動作
図6から
図8を参照しながら、前側検出部31の動作を詳細に説明する。なお、後側検出部41は、前側検出部31とは配置が異なるだけであり、前側検出部31と同様の動作となるため、説明を省略する。
【0035】
図6は、前側ガイド面13に紙Pが無い紙無し状態を示している。前側検出部31の第1レバー31aは、紙Pに接触していないので、前側ガイド面13から上に進出している位置である進出位置にある。第2レバー31bは、端部31b2が検出器31cの検出光を遮蔽する位置にあり、検出光を検出しない状態となっている。このように、前側検出部31は、前側ガイド面13に紙Pが無く、第1レバー31aが紙Pに接触しないとき、検出器31cが検出光を検出しない紙無し状態として検出することができる。
【0036】
なお、第1レバー31aとホルダー31dとの間に架け渡されている第1バネ31eは、第1レバー31aを進出位置に保持するように引っ張っている。また、第2レバー31bとホルダー31dとの間に架け渡されている第2バネ31fは、摺動面31b1を介して第1レバー31aが進出位置に向かうように、第2レバー31bを引っ張っている。
第1バネ31e及び第2バネ31fの引っ張り力により、第1レバー31aは、前側ガイド面13に紙Pが無くなり紙Pに接触しなくなると、後退位置から進出位置へ戻ることができる。
【0037】
前側ガイド面13に沿ってA方向ヘ紙Pが搬送されると、前側検出部31は、
図6に示す紙無し状態から
図7に示す紙有り状態へ移行する。
図7に示すように、第1レバー31aは、A方向へ搬送された紙Pの先端に接触して押されると、第1バネ31eの引っ張り力に抗って、軸31a3を中心に時計回りへ回転し、進出位置から後退位置へ移動する。同時に、第1レバー31aの他方の端部31a2も、軸31a3を中心に時計回りへ回転する。他方の端部31a2は、回転しながら第2レバー31bの摺動面31b1に摺動する。他方の端部31a2は、摺動面31b1に摺動しながら、第2レバー31bの摺動面31b1をCA方向へ押し下げるように移動させる。
【0038】
第2レバー31bは、摺動面31b1を押し下げられることにより、第2バネ31fの引っ張り力に抗って、軸31b3を中心に反時計回りへ回転する。同時に、第2レバー31bの端部31b2も反時計回りへ回転して、検出器31cの検出光を遮蔽する位置から離れていく。そして、検出器31cは、検出光を検出する紙有り状態に変化する。このように、前側検出部31は、検出器31cが検出光を検出しない紙無し状態から、検出光を検出する紙有り状態へ移行し、A方向へ搬送された紙Pを検出することができる。
【0039】
前側検出部31により検出された紙Pは、前側ローラー対21及び後側ローラー対22により搬送されながらヘッド20により印刷される。
紙Pは、ヘッド20の位置に到達すると、ヘッド20により所定の印刷が成される。例えば、ヘッド20は右方向又は左方向へ移動しながら紙Pに対して1行分の印刷をし、その後、前側ローラー対21及び後側ローラー対22は紙Pに対して1行分の搬送をする。複数行を印刷する場合には、ヘッド20による印刷と、前側ローラー対21及び後側ローラー対22は紙Pによる搬送の動作を繰り返す。
【0040】
さらに紙PがA方向へ搬送されていき、紙Pの後端が前側検出部31の第1レバー31aの位置を通り過ぎると、前側検出部31は、
図7に示す紙有り状態から
図6に示す紙無し状態へ移行する。
このとき、前側ガイド面13の第1レバー31aの位置の紙Pが無くなるので、第1レバー31aは、第1バネ31eの引っ張り力により、軸31a3を中心に反時計回りへ回転し、後退位置から進出位置へ戻っていく。同時に、第1レバー31aの他方の端部31a2も、軸31a3を中心に反時計回りへ回転する。
【0041】
他方の端部31a2の反時計回りへの回転により、第2レバー31bの摺動面31b1に加わっていたCA方向の押し下げる力は働かなくなる。
このため、第2レバー31bは、摺動面31b1をCA方向とは逆方向へ押し上げるように働いている第2バネ31fの引っ張り力により、軸31b3を中心に時計回りへ回転する。同時に、第2レバー31bの端部31b2も時計回りへ回転して、検出器31cの検出光を遮蔽する位置に移動する。検出器31cは、検出光を検出しない紙無し状態へ移行する。
【0042】
このように、前側検出部31は、検出器31cが検出光を検出する紙有り状態から、検出光をしない紙無し検出状態へ移行し、紙Pの後端が第1レバー31aの位置を通り過ぎたことを検出することができる。
前側検出部31により紙Pの後端が第1レバー31aの位置を通り過ぎたことを検出された紙Pは、前側ローラー対21及び後側ローラー対22によりB方向へ戻されるように搬送され、ユーザーに向かって排出される。
【0043】
前側ローラー対21及び後側ローラー対22は、トラクターユニット15によりC方向から搬送された連続紙Fを、B方向へ搬送することが可能である。B方向へ搬送される紙P及び連続紙Fに対する前側検出部31の動作について説明する。紙P及び連続紙Fに対する前側検出部31の動作は同様であるので、紙Pの場合を例として説明する。
【0044】
A方向へ搬送された紙Pの後端が第1レバー31aの位置を通り過ぎた状態を示す
図6の紙無し状態から、紙Pが前側ローラー対21及び後側ローラー対22によりB方向へ戻されるように搬送されると、前側検出部31は、
図8に示す紙有り状態へ移行する。
このとき、第1レバー31aは、B方向へ搬送された紙Pの後端に接触して押され、第1バネ31eの引っ張り力に抗って、軸31a3を中心に反時計回りへ回転し、進出位置から後退位置へ移動する。同時に、第1レバー31aの一方の端部31a1も、軸31a3を中心に反時計回りへ回転する。一方の端部31a1は、反時計回りへ回転しながら第2レバー31bの摺動面31b1に摺動する。一方の端部31a1は、摺動面31b1に摺動しながら、第2レバー31bの摺動面31b1をCB方向へ押し下げるように移動させる。
【0045】
第2レバー31bは、
図7に示すA方向へ搬送された紙Pの場合と同様に動作する。すなわち、第2レバー31bは、摺動面31b1を押し下げられることにより、第2バネ31fの引っ張り力に抗って、軸31b3を中心に反時計回りに回転する。同時に、第2レバー31bの端部31b2も反時計回りに回転して、検出器31cの検出光を遮蔽する位置から離れていく。そして、検出器31cは、検出光を検出する紙有り状態に移行する。
このように、前側検出部31は、検出器31cが検出光を検出しない紙無し状態から、検出光を検出する紙有り状態に移行し、B方向へ搬送された紙Pを検出することができる。
【0046】
前側検出部31により後端が第1レバー31aの位置にあることを検出された紙Pは、前側ローラー対21及び後側ローラー対22により、さらにB方向へ搬送される。また、連続紙Fの場合は、前側ローラー対21及び後側ローラー対22によりB方向へ搬送されながら、ヘッド20により印刷される。
紙Pは、前側ローラー対21及び後側ローラー対22により、さらにB方向へ搬送され、
図6に示す前側検出部31の紙無し状態を経て、ユーザーに向かって排出される。
【0047】
以上のように、前側検出部31の第1レバー31a及び第2レバー31bの動作により、前側検出部31は、紙P及び連続紙Fの紙有り状態と紙無し状態とを検出できる他、A方向へ搬送された紙Pの先端及び後端、B方向へ搬送された紙Pの後端及び先端、B方向へ搬送された連続紙Fの先端及び後端を検出することができる。
前側検出部31による紙Pの検出に基づき、前側ローラー対21及び後側ローラー対22は、紙Pを目標の位置へ搬送することができる。また、ヘッド20は紙Pの目標の位置に印刷することができる。
【0048】
上述の説明では、前側検出部31の動作を例とした。後側検出部41の動作も、前側検出部31の場合と同様であり、前側検出部31における、第1レバー31a、第2レバー31b、検出器31cの各動作は、後側検出部41における、第1レバー41a、第2レバー41b、検出器41c、ホルダー41dの各動作にそれぞれ対応している。
【0049】
上述の実施形態による印刷装置10によれば、紙Pに接触する第1レバー31aの形状を単純にすることができ、大きさやスペースを小さくすることができる。特に、前側ガイド面13に進出する第1レバー31aの部位が単純で小さな構成で済む。第1レバー31aを搭載する前側検出部31も、機構を単純にすることができ、小さくすることができる。この結果、印刷装置10全体も、小さくすることができる。
以上、これら実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
印刷装置10は、ドットインパクトプリンターの例で説明したが、ヘッド20の印刷方式は問わない。例えば、インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンターでもよい。
また、前側検出部31の検出器31cは、透過型の光センサーの例で説明したが、第2レバー31bの端部31b2の移動を検出可能であれば、センサーの種類は問わない。反射型の光センサーでもよく、機械式のスイッチでもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…印刷装置、13…前側ガイド面、14…後側ガイド面、21…前側ローラー対、22…後側ローラー対、31…前側検出部、41…後側検出部、31a,41a…第1レバー、31b,41b…第2レバー、31b1…摺動面、31c,41c…検出器、31d,41d…ホルダー、P…紙。