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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20250326BHJP
   H01H 13/20 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
H01H13/52 B
H01H13/20 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021067078
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162310
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】篠原 賢二
(72)【発明者】
【氏名】米原 博人
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-78972(JP,U)
【文献】実開昭52-124479(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から押圧を受けると基準位置から押込位置側に所定の移動方向に移動し、押圧から解放されると前記基準位置に復帰する被押込部材と、
前記被押込部材を前記基準位置に向かって付勢する付勢部材と、
複数の固定接点部と、
前記被押込部材の移動方向と交差する方向に揺動可能に設けられ、前記複数の固定接点部間の導通状態を切り換える少なくとも1つの可動接点部と、
を備えたスイッチ装置であって、
前記被押込部材は、移動方向と斜交する方向に形成され、前記可動接点部に摺動可能な摺動部を有し、
前記摺動部は、前記被押込部材の移動方向と斜交する方向に段階的に形成された複数の傾斜面を含み、
前記被押込部材が前記基準位置から前記押込位置側に移動するときに、前記被押込部材の前記摺動部での摺動によって前記可動接点部が前記摺動部から押圧されることにより、前記可動接点部が揺動して前記複数の固定接点部のうち少なくとも1つに接離することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置であって、
前記可動接点部が前記複数の固定接点部のうちの1つに接触しているときの前記傾斜面の形成方向は、前記可動接点部が前記複数の固定接点部のうちいずれにも接触していないときの前記傾斜面の形成方向と比較して、前記被押込部材の移動方向に対して小さい角度をなすことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置であって、
前記可動接点部は、前記複数の固定接点部のうちの1つに電気的に接続されたアーム部を有し、
前記被押込部材の前記摺動部での摺動によって前記アーム部が前記摺動部から押圧されることにより、前記可動接点部が揺動して前記複数の固定接点部のうち他の固定接点部に接離することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のスイッチ装置であって、
前記可動接点部は、前記複数の固定接点部のうち少なくとも1つに接離する複数の接触部を有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
外部から押圧を受けると基準位置から押込位置側に所定の移動方向に移動し、押圧から解放されると前記基準位置に復帰する被押込部材と、
前記被押込部材を前記基準位置に向かって付勢する付勢部材と、
複数の固定接点部と、
前記被押込部材の移動方向と交差する方向に揺動可能に設けられ、前記複数の固定接点部間の導通状態を切り換える複数の可動接点部と、
を備えたスイッチ装置であって、
前記被押込部材は、移動方向と斜交する方向に形成され、前記可動接点部に摺動可能な摺動部を有し、
前記被押込部材が前記基準位置から前記押込位置側に移動するときに、前記被押込部材の前記摺動部での摺動によって前記可動接点部が前記摺動部から押圧されることにより、前記可動接点部が揺動して前記複数の固定接点部のうち少なくとも1つに接離することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチ装置であって、
前記被押込部材は、複数の前記可動接点部のそれぞれに対して前記摺動部を有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチ装置であって、
一対の可動接点部を備え、
前記被押込部材は、前記一対の可動接点部に対して一対の前記摺動部を有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1つに記載のスイッチ装置であって、
複数の固定接点部は、第1固定接点部及び第2固定接点部を有し、
前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部に接触し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、第2固定接点部から離隔することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1つに記載のスイッチ装置であって、
複数の固定接点部は、第1固定接点部及び第2固定接点部を有し、
前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部から離隔し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、前記第2固定接点部に接触することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7までのいずれか1つに記載のスイッチ装置であって、
複数の固定接点部は、第1固定接点部、第2固定接点部及び第3固定接点部を有し、
前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部から離隔するとともに前記第3固定接点部に接触し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、前記第3固定接点部から離隔するとともに前記第2固定接点部に接触することを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置、特に、プッシュ式のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置として、外部から押圧を受けると基準位置から押込位置側に所定の移動方向に移動し、押圧から解放されると押込位置から基準位置に復帰する被押込部材と、複数の固定接点部と、複数の固定接点部間の導通状態を切り換える可動接点部と、が設けられ、可動接点部が被押込部材の動きに連動して固定接点部に接離するスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3169859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなスイッチ装置では、可動接点部が被押込部材に付設されていることから、可動接点部の移動量が被押込部材の移動量と必然的に同等になる。このため、スイッチ装置を作動する周辺部品の位置ばらつきに対するロバスト性を確保しようとして、被押込部材のストロークを長く確保すると、可動接点部の移動量も必然的に増えてしまう。可動接点部の移動量が増えると、可動接点部が固定接点部上で摺動する摺動距離が長くなることから、固定接点部の摩耗量が増加し、ひいては可動接点部及び固定接点部間の接触信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、可動接点部及び固定接点部間の接触信頼性の低下を抑制することができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願記載のスイッチ装置は、外部から押圧を受けると基準位置から押込位置側に所定の移動方向に移動し、押圧から解放されると前記基準位置に復帰する被押込部材と、前記被押込部材を前記基準位置に向かって付勢する付勢部材と、複数の固定接点部と、前記被押込部材の移動方向と交差する方向に揺動可能に設けられ、前記複数の固定接点部間の導通状態を切り換える少なくとも1つの可動接点部と、を備えたスイッチ装置であって、前記被押込部材は、移動方向と斜交する方向に形成され、前記可動接点部に摺動可能な摺動部を有し、前記被押込部材が前記基準位置から前記押込位置側に移動するときに、前記被押込部材の前記摺動部での摺動によって前記可動接点部が前記摺動部から押圧されることにより、前記可動接点部が揺動して前記複数の固定接点部のうち少なくとも1つに接離することを特徴とするものである。
【0007】
また、前記スイッチ装置において、前記摺動部は、前記被押込部材の移動方向と斜交する方向に段階的に形成された複数の傾斜面を含んでもよい。
【0008】
また、前記スイッチ装置において、前記可動接点部が前記複数の固定接点部のうちの1つに接触しているときの前記傾斜面の形成方向は、前記可動接点部が前記複数の固定接点部のうちいずれにも接触していないときの前記傾斜面の形成方向と比較して、前記被押込部材の移動方向に対して小さい角度をなしてもよい。
【0009】
また、前記スイッチ装置において、前記可動接点部は、前記複数の固定接点部のうちの1つに電気的に接続されたアーム部を有し、前記被押込部材の前記摺動部での摺動によって前記アーム部が前記摺動部から押圧されることにより、前記可動接点部が揺動して前記複数の固定接点部のうち他の固定接点部に接離してもよい。
【0010】
また、前記スイッチ装置において、前記可動接点部は、前記複数の固定接点部のうち少なくとも1つに接離する複数の接触部を有していてもよい。
【0011】
また、前記スイッチ装置において、複数の前記可動接点部を備えていてもよい。
【0012】
また、前記スイッチ装置において、 前記被押込部材は、複数の前記可動接点部のそれぞれに対して前記摺動部を有していてもよい。
【0013】
また、前記スイッチ装置において、一対の可動接点部を備え、前記被押込部材は、前記一対の可動接点部に対して一対の前記摺動部を有していてもよい。
【0014】
また、前記スイッチ装置において、複数の固定接点部は、第1固定接点部及び第2固定接点部を有し、前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部に接触し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、第2固定接点部から離隔してもよい。
【0015】
また、前記スイッチ装置において、複数の固定接点部は、第1固定接点部及び第2固定接点部を有し、前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部から離隔し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、前記第2固定接点部に接触してもよい。
【0016】
また、前記スイッチ装置において、複数の固定接点部は、第1固定接点部、第2固定接点部及び第3固定接点部を有し、前記可動接点部は、前記第1固定接点部に電気的に接続され、前記被押込部材が前記押込位置側に移動するときに、前記第2固定接点部から離隔するとともに前記第3固定接点部に接触し、前記被押込部材が前記基準位置側に移動するときに、前記第3固定接点部から離隔するとともに前記第2固定接点部に接触してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、可動接点部及び固定接点部間の接触信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1におけるスイッチ装置の一例を示す斜視図である。
図2図1のスイッチ装置の内部構造の一例を示す透視斜視図である。
図3図2のスイッチ装置の内部構造を左方向から視た側面図である。
図4図2のスイッチ装置の内部構造を上方向から視た平面図である。
図5】実施形態1における摺動部の一例を示す模式図である。
図6】実施形態1における第1固定接点部及び第2固定接点部が絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図7】実施形態1における第1固定接点部及び第2固定接点部が導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図8】実施形態2におけるスイッチ装置の内部構造の一例を示す透視斜視図である。
図9図8のスイッチ装置の内部構造を上方向から視た平面図である。
図10】実施形態2における第1固定接点部及び第2固定接点部が導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図11】実施形態2における第1固定接点部及び第2固定接点部が絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図12】実施形態3におけるスイッチ装置の内部構造の一例を示す透視斜視図である。
図13図12のスイッチ装置の内部構造を左方向から視た側面図である。
図14図12のスイッチ装置の内部構造を上方向から視た平面図である。
図15】実施形態3における第1固定接点部及び第2固定接点部が絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図16】実施形態3における第1固定接点部及び第2固定接点部が導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
図17】実施形態4における第1固定接点部及び第2固定接点部が導通している状態を模式的に示す平面図である。
図18】実施形態4における第1固定接点部及び第3固定接点部が導通している状態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素の説明は重複するので省略する。
【0020】
<適用例>
本願記載のスイッチは、例えば、座席の位置検知、サンルーフの開閉検知、ドアの開閉検知等を用途として用いられる車載用のマイクロスイッチである。
【0021】
(実施形態1)
-スイッチ装置-
図1は、実施形態1におけるスイッチ装置1Aの一例を示す斜視図である。図2は、図1のスイッチ装置1Aの内部構造の一例を示す透視斜視図である。図3は、図2のスイッチ装置1Aの内部構造を左方向から視た側面図である。図4は、図2のスイッチ装置1Aの内部構造を上方向から視た平面図である。
【0022】
図において、符号Xは、スイッチ装置1(A,B,C,D)の前後方向(奥行き方向)を示しており、-X方向(マイナスX方向)を前方向とし、+X方向(プラスX方向)を後方向とする。符号Yは、スイッチ装置1(A,B,C,D)の左右方向Yを示しており、-Y方向(マイナスY方向)を左方向とし、+Y方向(プラスY方向)を右方向とする。符号Zは、スイッチ装置1(A,B,C,D)の上下方向を示しており、-Z方向(マイナスZ方向)を下方向とし、+Z方向(プラスZ方向)を上方向とする。これらの記載は、以降の実施形態においても同様である。なお、本願実施形態で使用するこれらの方向の記載は、説明の便宜上の方向であり、本願記載のスイッチ装置1の配置方向を限定するものではない。
【0023】
実施形態1におけるスイッチ装置1Aは、ハウジング2と、被押込部材3と、付勢部材4と、固定接点部5(5a,5b)と、可動接点部6と、を備えている(図1図4参照)。実施形態1におけるスイッチ装置1Aは、被押込部材3が上下方向(Z方向)に沿った移動方向D(+D/-D)に往復移動することにより、可動接点部6が固定接点部5(5a,5b)間の導通状態を切り替える構造となっている。
【0024】
<ハウジング>
ハウジング2は、ハウジング本体20と、カバー部21と、カバー固定部22と、を有している(図1参照)。ハウジング2には、被押込部材3と、付勢部材4と、複数の固定接点部5(5a,5b)と、可動接点部6と、が収容されている。実施形態1におけるハウジング2は、ハウジング本体20の上部にカバー部21が取り付けられ、カバー部21の上からカバー固定部22が被せられる構造になっている。
【0025】
ハウジング本体20は、略直方体状に形成されている(図1参照)。ハウジング本体20は、例えば、合成樹脂材を用いた射出成形等で形成されている。
【0026】
実施形態1におけるハウジング本体20の両側面の外面上部には、カバー固定部22が係止される被係止部200が設けられている。実施形態1におけるハウジング本体20の正面の内面には、被押込部材3を移動方向Dにガイドするためのガイド溝201が上下方向(Z方向)に沿って設けられている(図3図4参照)。ハウジング本体20の内部には、付勢部材4を位置決めするための付勢部材位置決めボス202が設けられている(図3図4参照)。
【0027】
ハウジング本体20の外面には、スイッチ装置1Aの周辺部材に嵌合可能なピン203,204が設けられている(図1参照)。
【0028】
カバー部21は、ハウジング本体20内への水、ほこり等の異物の侵入を防止するものであり、防水性、防塵性、可撓性等の特性に優れたゴム等の弾性体から形成されている。カバー部21は、被押込部材3の動きに伴って弾性変形する。
【0029】
カバー固定部22は、下方向(-Z方向)に開口するコの字形状(略U字形状)に形成されている(図1参照)。カバー固定部22の中央部には、被押込部材3をハウジング2の外部に突出させるための透孔220が設けられている。実施形態1におけるカバー固定部22の両端部には、ハウジング本体20の被係止部200に係止される係止部221が設けられている。
【0030】
<被押込部材>
図5は、実施形態1における摺動部31の一例を示す模式図である。
被押込部材3は、外部から押圧を受けると基準位置から押込位置側に移動方向Dに移動し、押圧から解放されると基準位置に復帰するものである。「外部からの押圧」とは、例えば、スイッチ装置1Aの周辺部材の動作によって受ける押圧を含む。「基準位置」とは、被押込部材3が外部から押圧を受けていない状態における被押込部材3の位置を指す。「押込位置」とは、被押込部材3が外部から押圧を受けたときに移動可能な範囲内で基準位置から最も遠い被押込部材3の位置を指す。実施形態1における「基準位置」は、「押込位置」よりも上方(+Z方向側方)に位置している。実施形態1における「押込位置」は、ハウジング本体20の底面に突き当たり、下方向(-Z方向)へのさらなる移動が規制された状態における被押込部材3の位置を指す。
【0031】
被押込部材3は、ボタン部30と、摺動部31と、を有している(図2図3参照)。
【0032】
ボタン部30は、外部から押圧を受ける部分である。実施形態1におけるボタン部30の上端は、略四角錐台状に形成されている(図1図3参照)。
【0033】
摺動部31は、移動方向Dと斜交する-X方向/+Z方向に形成され、可動接点部6に摺動可能な部分である。実施形態1において、可動接点部6に対して摺動部31を滑らせて動かすことにより、摺動部31が可動接点部6に摺動可能となっている。
【0034】
実施形態1における摺動部31は、ボタン部30からハウジング2の正面の内面に沿って下方に延設された脚部33の内側に、被押込部材3の移動方向Dと斜交する方向に段階的に形成された第1傾斜面310及び第2傾斜面311を含む(図3図5参照)。第1傾斜面310は、左右方向(Y方向)から視て、被押込部材3の移動方向Dと角度θで斜交する方向に形成され、第2傾斜面311は、第1傾斜面の上方(+Z方向側方)において、左右方向(Y方向)から視て、被押込部材3の移動方向Dと角度θよりも小さい角度φで斜交する方向に形成されている。
【0035】
以下、図3を参照して、実施形態1における被押込部材3が摺動部31で可動接点部6に摺動する具体例を説明する。被押込部材3が基準位置から押込位置側に+D方向に移動するに伴い、被押込部材3の摺動部31が+D方向に可動接点部6に接触し、可動接点部6に摺動する。上記の通り、実施形態1における摺動部31が-X方向/+Z方向に形成されていることから、摺動部31の+D方向に接触によって、可動接点部6が摺動部31上を被押込部材3に対して相対的に-X方向/+Z方向に滑る。このように、被押込部材3が摺動部31で可動接点部6に摺動するようになっている。
【0036】
<付勢部材>
付勢部材4は、被押込部材3を基準位置に向かって付勢するものであり、例えば、コイルバネ等で形成されている。付勢部材4は、ハウジング本体20の付勢部材位置決めボス202に挿通されている(図3図4参照)。付勢部材4が設けられていることにより、被押込部材3が外部からの押圧から解放されたときに、被押込部材3が基準位置へと復帰するようになっている。
【0037】
<固定接点部>
実施形態1における複数の固定接点部5は、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bを含む(図2図4参照)。実施形態1における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bは、ともに、ハウジング本体20の下部から突出し、スイッチ装置の周辺部材と電気的に接続可能となっている。
【0038】
第1固定接点部5aは、ハウジング本体20内の右側(+Y方向側)に配置されている(図2図4参照)。第2固定接点部5bは、ハウジング本体20内の左側(-Y方向側)に配置されている(図2図4参照)。第2固定接点部5bの上端部には、可動接点部6が接触するための被接触部51が設けられている。
【0039】
なお、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間に、例えばチップ抵抗等の抵抗が電気的に接続されていてもよい。
【0040】
<可動接点部>
可動接点部6は、被押込部材3の移動方向Dと交差する方向に揺動可能に設けられ、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるものである。「導通状態を切り替える」とは、導通している状態から絶縁している状態に切り替える動作又はその逆の動作のことを指す。実施形態1における可動接点部6は、第1固定接点部5aに電気的に接続されており、第2固定接点部5bに接離して、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0041】
実施形態1における可動接点部6は、アーム部60と、接触部61と、を有している(図2図4参照)。
【0042】
実施形態1におけるアーム部60は、ハウジング本体20の中央部に向かって開口し、左右方向(Y方向)に沿った平面視コの字形状(略U字形状)に形成されている(図4参照)。アーム部60の右側(+Y方向側)の端部には、第1固定接点部5aが電気的に接続されている。具体例として、アーム部60の右側(+Y方向側)の端部に設けられたスリット62に第1固定接点部5aが差し込まれることにより、アーム部60が第1固定接点部5aに電気的に接続されている(図2参照)。
【0043】
可動接点部6は、アーム部60のコの字の右側(+Y方向側)角部65を基端として前後方向(X方向)に沿った揺動方向S(+S/-S)に揺動可能に設けられている(図4参照)。また、可動接点部6は、アーム部60が板ばねとして機能し、無負荷状態で自然状態に復帰するようになっている。
【0044】
実施形態1における接触部61(610,611)は、第2固定接点部5bに接離するものであり、アーム部60の左側(-Y方向側)の端部をフォーク状に分岐させることにより形成されている(図4参照)。接触部61(610,611)は、アーム部60が無負荷状態のときに第2固定接点部5bから離隔するように配置されている(図2図4参照)。接触部610及び接触部611は、ともに、上方向(+Z方向)に開口するU字形状に形成されている。接触部611は、接触部610の内側に位置している。接触部610と比較して可動接点部6の揺動基端に近い接触部611の幅は、接触部610の幅よりも小さく設定されている(図4参照)。これにより、接触部610及び第2固定接点部5b間の摩擦力と接触部611及び第2固定接点部5b間の摩擦力とを均等にすることができることから、接触部61(610,611)及び第2固定接点部5b間の接離がスムーズになる。
【0045】
以下、図4を参照して、実施形態1における可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換える具体例を説明する。
【0046】
上記のような実施形態1における可動接点部6がアーム部60で-X方向に沿って押圧を受けると、角部65を基端として+S方向に揺動する。可動接点部6の+S方向の揺動によって、第2固定接点部5bから離隔していた可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bの被接触部51に接触する。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第2固定接点部5bに接触することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となる。また、可動接点部6が-X方向に沿った押圧から解放されて無負荷状態となると、自然状態に復帰しようとして、-S方向に揺動する。可動接点部6の-S方向の揺動によって、第2固定接点部5bに接触していた可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔する。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第2固定接点部5bから離隔することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となる。このように、可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0047】
上記のように、可動接点部6が複数の接触部61(610,611)を有していることにより、例えば、接触部610の酸化等により第2固定接点部5bとの接触不具合が生じた場合であっても、接触部611を介して第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通が確保されることから、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の接触信頼性が向上する。
【0048】
実施形態1における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bは、ともに、インサート成型によってハウジング本体20と一体的に形成されている。
【0049】
-スイッチ装置の動作-
続いて、実施形態1におけるスイッチ装置1Aの動作を説明する。
【0050】
図6は、実施形態1における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。図7は、実施形態1における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。図において、縦方向の一点破線は、可動接点部6に対する被押込部材3の摺動位置を示すものである。図において、横方向の一点破線は、被押込部材3の基準位置を概念的に示すものである。また、図において、網掛けは、可動接点部6の接触部61において第2固定接点部5bに接触する部分を示すものである。これらの設定は、以降の実施形態においても同様である。
【0051】
図6に示すように、被押込部材3が基準位置に位置しているとき、可動接点部6が無負荷状態であり、可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔しており、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となっている。
【0052】
被押込部材3が外部から押圧を受けると、被押込部材3がハウジング2のガイド溝201にガイドされて、図7に示すように、+D方向に押込位置側に移動する。被押込部材3は、押込位置側に移動するに伴い、摺動部31で可動接点部6のアーム部60の後側(+X方向側)に摺動する。被押込部材3が可動接点部6のアーム部60に摺動すると、アーム部60は、摺動部31上を被押込部材3に対して相対的に-X方向/+Z方向に滑るとともに、摺動部31から-X方向に沿って押圧される。可動接点部6は、この摺動部31の-X方向に沿った押圧によって、+S方向、すなわち、被押込部材3の移動方向Dと交差する方向に揺動する。可動接点部6の+S方向の揺動によって、第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bの被接触部51に接触し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となる。
【0053】
被押込部材3が外部からの押圧から解放されると、被押込部材3が付勢部材4の付勢によって、図6に示すように、-D方向に移動し、基準位置に復帰する。可動接点部6に対する被押込部材3の摺動が停止され、可動接点部6が摺動部31の-X方向に沿った押圧から解放されて-S方向に揺動する。可動接点部6の-S方向の揺動によって、可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が再び絶縁している状態となる。
【0054】
上記の通り、被押込部材3が基準位置から押込位置側に移動するときに被押込部材3の摺動部31での摺動によって可動接点部6が摺動部31から押圧されることにより、可動接点部6が揺動して複数の固定接点部5(5a,5b)のうちの1つである第2固定接点部5bに接離するとともに、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態が切り替わるようになっている。
【0055】
ここで、摺動部31が被押込部材3の移動方向Dと斜交する角度をωとしたときに、被押込部材3の移動方向Dの移動量及び摺動部31上での可動接点部6の滑り量の比率は、cos(ω):1に近似する。また、摺動部31が+sin(ω)方向/+cos(ω)方向に形成されていることから、可動接点部6は、摺動部31上を被押込部材3に対して相対的に+sin(ω)方向/+cos(ω)方向に滑るとともに、摺動部31から+sin(ω)方向に沿って押圧されて揺動する。すなわち、被押込部材3の移動方向Dの移動量及び可動接点部6の揺動方向Sの移動量の比率は、1:tan(ω)に近似する。従って、可動接点部6の揺動方向Sの移動量は、被押込部材3の移動方向Dの移動量と比較して必然的に小さくなる。可動接点部6の移動量を抑えることにより、可動接点部6が第2固定接点部5bに接触した後に第2固定接点部5b上で摺動する摺動距離も抑えられることから、第2固定接点部5bの摩耗量が抑制され、ひいては可動接点部6及び第2固定接点部5b間の接触信頼性の低下を抑制することができる。
【0056】
もちろん、摺動部31の形状は、上記に限られず、例えば、平面でも曲面でも凹凸面でもよく、要は、被押込部材3の移動方向Dの移動量に対して可動接点部6の揺動方向Sの移動量を抑えることができる形状であればよい。被押込部材3の移動方向D及び移動方向Dと斜交する摺動部31がなす角度ωは、上記の例に限られず、例えば、被押込部材3の移動量に応じて変化するものであってもよい。また、摺動部31の形成方向は、上記に限られず、例えば、+X方向/+Z方向であってもよいし、Y方向/Z方向であってもよい。
【0057】
また、実施形態1において、上記の通り、摺動部31が、被押込部材3の移動方向Dと斜交する方向に段階的に形成された第1傾斜面310及び第2傾斜面311を含むことから、被押込部材3は、基準位置から押込位置側に移動するとき、まず、摺動部31の第1傾斜面310で可動接点部6に摺動し、その移動に伴い、摺動部31の第2傾斜面311で可動接点部6に摺動するようになっている。第1傾斜面310及び第2傾斜面311が被押込部材3の移動方向Dと斜交する角度は、それぞれ角度θ及び角度φであることから、可動接点部6の揺動方向Sの移動量が第1傾斜面310及び第2傾斜面311に応じて変化するようになっている。このように、摺動部31が被押込部材3の移動方向Dと斜交する方向に段階的に形成された複数の傾斜面(第1傾斜面310及び第2傾斜面311)を含むようにすることにより、簡単な構造をもって、可動接点部6の揺動方向Sの移動量を被押込部材3の移動量に応じて変化させることができる。
【0058】
さらに、実施形態1において、可動接点部6が第2固定接点部5bに接触するとき、被押込部材3が摺動部31の第2傾斜面311で可動接点部6に摺動するようになっている。上記の通り、第1傾斜面310は、被押込部材3の移動方向Dと角度θで斜交する方向に形成され、第2傾斜面311は、被押込部材3の移動方向Dと角度θよりも小さい角度φで斜交する方向に形成されている。上記の被押込部材3の移動方向Dの移動量及び可動接点部6の揺動方向Sの移動量の比率を当てはめると、第2固定接点部5bに接触しているときの可動接点部6の揺動方向Sの移動量及び可動接点部6が固定接点部5のうちいずれにも接触していないときの可動接点部6の揺動方向Sの移動量の比率は、tan(φ):tan(θ)に近似する。従って、第2固定接点部5bに接触しているときの可動接点部6の揺動方向Sの移動量は、可動接点部6が固定接点部5のうちいずれにも接触していないときの可動接点部6の揺動方向Sの移動量と比較して小さくなる。これにより、可動接点部6が第2固定接点部5bに接触した後に第2固定接点部5b上で摺動する摺動距離が抑えられることから、第2固定接点部5bの摩耗量が抑制され、ひいては可動接点部6及び第2固定接点部5b間の接触信頼性の低下を抑制することができる。
【0059】
実施形態1において、上記の通り、第2固定接点部5b上での可動接点部6の摺動距離が抑えられることにより、スイッチ装置1Aの小型化が可能となる。
さらに、実施形態1において、上記の通り、可動接点部6が複数の固定接点部5(5a,5b)のうちの1つである第1固定接点部5aに電気的に接続されたアーム部60を有し、被押込部材3の摺動部31での摺動によってアーム部60が摺動部31から押圧されることにより、可動接点部6が揺動して他の固定接点部である第2固定接点部5bに接離するようになっている。可動接点部6がアーム部60を有していることにより、シンプルな構造をもって可動接点部6を揺動可能に設けることができる。また、被押込部材3の摺動部31がアーム部60を摺動することにより、摺動部31の摺動を利用して可動接点部6を揺動させるシンプルな構造をもって、アーム部60の第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えることができる。
【0060】
ところで、可動接点部6が接触する第2固定接点部5bの被接触部51には、耐食性の観点から、めっき等で被膜されていることが望ましい。実施形態1において、上記の通り、第2固定接点部5b上での可動接点部6の摺動距離が抑えられることにより、第2固定接点部5bのめっき面積を減少することが可能となることから、製造コストの低減に寄与することができる。
【0061】
上記のように、実施形態1におけるスイッチ装置1Aは、ノーマリーオープン(NO)タイプのスイッチに適用可能である。
【0062】
(実施形態2)
以下、実施形態2におけるスイッチ装置1Bについて、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0063】
図8は、実施形態2におけるスイッチ装置1Bの内部構造の一例を示す透視斜視図である。図9は、図8のスイッチ装置1Bの内部構造を上方向から視た平面図である。
【0064】
実施形態2における接触部61(610,611)は、ともに、アーム部60が無負荷状態のときに第2固定接点部5bの被接触部51に接触するように配置されている。
【0065】
以下、図9を参照して、実施形態2における可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換える具体例を説明する。
【0066】
上記のような実施形態2における可動接点部6がアーム部60で-X方向に沿って押圧を受けると、+S方向に揺動する。可動接点部6の+S方向の揺動によって、第2固定接点部5bに接触していた可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔する。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第2固定接点部5bから離隔することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となる。また、-X方向に沿った押圧から解放されて可動接点部6が無負荷状態となると、自然状態に復帰しようとして、-S方向に揺動する。可動接点部6の-S方向の揺動によって、第2固定接点部5bに接触していた可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bに接触する。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第2固定接点部5bに接触することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となる。このように、可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0067】
続いて、実施形態2におけるスイッチ装置1Bの動作を説明する。
【0068】
図10は、実施形態2における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。図11は、実施形態2における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
【0069】
図10に示すように、被押込部材3が基準位置に位置しているとき、可動接点部6が無負荷状態であり、可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bの被接触部51に接触しており、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となっている。
【0070】
被押込部材3が外部から押圧を受けると、図11に示すように、+D方向に押込位置側に移動する。被押込部材3は、押込位置側に移動するに伴い、摺動部31で可動接点部6のアーム部60に摺動する。可動接点部6は、被押込部材3から摺動されると、摺動部31から-X方向に沿って押圧されて+S方向に揺動する。可動接点部6の+S方向の揺動によって、第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となる。
【0071】
被押込部材3が外部からの押圧から解放されると、被押込部材3が付勢部材4の付勢によって、図10に示すように、-D方向に移動し、基準位置に復帰する。可動接点部6に対する被押込部材3の摺動が停止され、可動接点部6が摺動部31の-X方向に沿った押圧から解放されて-S方向に揺動する。可動接点部6の-S方向の揺動によって、可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bの被接触部51に接触し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が再び導通している状態となる。
【0072】
上記のように、実施形態2におけるスイッチ装置1Bは、ノーマリークローズ(NC)タイプのスイッチに適用可能である。
【0073】
(実施形態3)
以下、実施形態3におけるスイッチ装置1Cについて、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0074】
図12は、実施形態3におけるスイッチ装置1Cの内部構造の一例を示す透視斜視図である。図13は、図12のスイッチ装置1Cの内部構造を左方向から視た側面図である。図14は、図12のスイッチ装置1Cの内部構造を上方向から視た平面図である。
【0075】
実施形態3におけるスイッチ装置1Cは、ハウジング2と、被押込部材3と、付勢部材4と、固定接点部5(5a,5b)と、相対向する一対の可動接点部6a及び可動接点部6bと、を備えている(図12参照)。
【0076】
実施形態3における被押込部材3は、可動接点部6a及び可動接点部6bのそれぞれに対して摺動部を有している。具体的には、被押込部材3は、可動接点部6aに摺動可能な摺動部31aと、可動接点部6bに摺動可能な摺動部31bと、を有している(図13参照)。摺動部31aは、ボタン部30からハウジング2の正面の内面に沿って下方に延設された脚部33aの内側に-X方向/+Z方向に形成され、摺動部31bは、ボタン部30からハウジング2の背面の内面に沿って下方に延設された脚部33bの内側に+X方向/+Z方向に形成されている(図13参照)。
【0077】
以下、図13を参照して、実施形態3における被押込部材3が摺動部31a及び摺動部31bで可動接点部6a及び可動接点部6bに摺動する具体例を説明する。被押込部材3が基準位置から押込位置側に+D方向に移動すると、被押込部材3の摺動部31aが+D方向に可動接点部6aに接触し、可動接点部6aに摺動する。このとき、可動接点部6aは、摺動部31a上を被押込部材3に対して相対的に-X方向/+Z方向に滑る。同様に、摺動部31bが+D方向に可動接点部6bに接触し、可動接点部6bに摺動する。このとき、可動接点部6bは、摺動部31b上を被押込部材3に対して相対的に+X方向/+Z方向に滑る。
【0078】
実施形態3における第1固定接点部5aの上端部には、可動接点部6bが接触するための被接触部51aが設けられている。実施形態3における第2固定接点部5bの上端部には、可動接点部6aが接触するための被接触部51bと、が設けられている(図12図14参照)。
【0079】
実施形態3における可動接点部6a及び可動接点部6bは、それぞれ、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bに電気的に接続されており、互いに接離して、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0080】
実施形態3における可動接点部6aは、アーム部60aと、接触部61aと、を有しており、可動接点部6bは、アーム部60bと、接触部61bと、を有している(図12図14参照)。可動接点部6aのアーム部60aの右側(+Y方向側)の端部には、第1固定接点部5aが電気的に接続されている。可動接点部6bのアーム部60bの左側(-Y方向側)の端部には、第2固定接点部5bが電気的に接続されている(図12図14参照)。
【0081】
可動接点部6aは、アーム部60aのコの字の右側(+Y方向側)角部65aを基端として前後方向(X方向)に沿った揺動方向S1(+S1/-S1)に揺動可能に設けられている(図14参照)。同様に、可動接点部6bは、アーム部60bのコの字の左側(-Y方向側)角部65b基端として前後方向(X方向)に沿った揺動方向S2(+S2/-S2)に揺動可能に設けられている(図14参照)。
【0082】
接触部61aは、アーム部60aが無負荷状態のときに第2固定接点部5bから離隔するように配置されている。同様に、接触部61bは、アーム部60bが無負荷状態のときに第1固定接点部5aから離隔するように配置されている。
【0083】
以下、図14を参照して、実施形態3における可動接点部6a及び可動接点部6bが第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換える具体例を説明する。
【0084】
上記のような実施形態1における可動接点部6aがアーム部60aで-X方向に沿って押圧を受けると、角部65aを基端として+S1方向に揺動する。同様に、可動接点部6bがアーム部60bで+X方向に沿って押圧を受けると、角部65bを基端として+S2方向に揺動する。可動接点部6aの+S1方向の揺動によって、第2固定接点部5bから離隔していた可動接点部6aの接触部61aが第2固定接点部5bの被接触部51bに接触するとともに、可動接点部6bの+S2方向の揺動によって、第1固定接点部5aから離隔していた可動接点部6bの接触部61bが第1固定接点部5aの被接触部51aに接触する。第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが互いに接触することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となる。また、可動接点部6aが-X方向に沿った押圧から解放されて無負荷状態となると、自然状態に復帰しようとして、-S1方向に揺動する。同様に、可動接点部6bが+X方向に沿った押圧から解放されて無負荷状態となると、自然状態に復帰しようとして、-S2方向に揺動する。可動接点部6aの-S1方向の揺動によって、第2固定接点部5bに接触していた可動接点部6aの接触部61aが第2固定接点部5bから離隔するとともに、可動接点部6bの-S2方向の揺動によって、第1固定接点部5aに接触していた可動接点部6bの接触部61bが第1固定接点部5aから離隔する。第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが互いに離隔することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となる。このように、可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0085】
上記のように、スイッチ装置1Cが複数の可動接点部(可動接点部6a及び可動接点部6b)を備えていることにより、例えば、可動接点部6aの酸化等により第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間に接触不具合が生じた場合であっても、可動接点部6bを介して第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通が確保されることから、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の接触信頼性が向上する。
【0086】
続いて、実施形態3におけるスイッチ装置1Cの動作を説明する。
【0087】
図15は、実施形態3における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが絶縁している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。図16は、実施形態3における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが導通している状態を模式的に示す側面図及び平面図である。
【0088】
図15に示すように、被押込部材3が基準位置に位置しているとき、可動接点部6a及び可動接点部6bがともに無負荷状態であり、可動接点部6a及び可動接点部6bが互いに離隔しており、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となっている。
【0089】
被押込部材3が外部から押圧を受けると、被押込部材3がハウジング2のガイド溝201にガイドされて、図16に示すように、+D方向に押込位置側に移動する。被押込部材3は、押込位置側に移動するに伴い、摺動部31aで可動接点部6aのアーム部60aの後側(+X方向側)に摺動するとともに、摺動部31bで可動接点部6bのアーム部60bの前側(-X方向側)に摺動する。被押込部材3が可動接点部6aのアーム部60aに摺動すると、アーム部60aは、摺動部31a上を被押込部材3に対して相対的に-X方向/+Z方向に滑るとともに、摺動部31aから-X方向に沿って押圧される。可動接点部6aは、この摺動部31aの-X方向に沿った押圧によって、+S1方向に揺動する。同様に、被押込部材3が可動接点部6bのアーム部60bに摺動すると、アーム部60bは、摺動部31b上を被押込部材3に対して相対的に+X方向/+Z方向に滑るとともに、摺動部31bから+X方向に沿って押圧される。可動接点部6bは、この摺動部31bの+X方向に沿った押圧によって、+S2方向に揺動する。
【0090】
可動接点部6aの+S1方向の揺動及び可動接点部6bの+S2方向の揺動によって、可動接点部6aの接触部61aが第2固定接点部5bの被接触部51bに接触するとともに、可動接点部6bの接触部61bが第1固定接点部5aの被接触部51aに接触する。すなわち、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが互いに接触し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となる。
【0091】
被押込部材3が外部からの押圧から解放されると、被押込部材3が付勢部材4の付勢によって、図15に示すように、-D方向に移動し、基準位置に復帰する。可動接点部6に対する被押込部材3の摺動が停止され、可動接点部6aが摺動部31aの-X方向に沿った押圧から解放されて-S1方向に揺動する。同様に、可動接点部6bが摺動部31bの+X方向に沿った押圧から解放されて-S2方向に揺動する。可動接点部6の-S1方向の揺動及び可動接点部6bの-S2方向の揺動によって、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが互いに離隔し、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が再び絶縁している状態となる。
【0092】
上記のように、実施形態3において、被押込部材3が複数の可動接点部(可動接点部6a及び可動接点部6b)のそれぞれに対して摺動部を有していることにより、複数の可動接点部(可動接点部6a及び可動接点部6b)をそれぞれ揺動させることが可能となり、スイッチ装置1Cの設計の自由度が向上する。
【0093】
また、上記のように、スイッチ装置1Cが一対の可動接点部6a及び可動接点部6bを備え、被押込部材3が一対の可動接点部6a及び可動接点部6bに対して一対の摺動部31a及び摺動部31bを有していることにより、被押込部材3が基準位置から押込位置側に移動するに伴い、一対の摺動部31a及び摺動部31bがそれぞれバランス良く可動接点部6a及び可動接点部6bに摺動することから、被押込部材3の押込時の安定性が向上する。
【0094】
上記のように、実施形態3におけるスイッチ装置1Cは、ノーマリーオープン(NO)タイプのスイッチに適用可能である。
【0095】
(実施形態4)
以下、実施形態4におけるスイッチ装置について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0096】
図17は、実施形態4における第1固定接点部5a及び第2固定接点部5bが導通している状態を模式的に示す平面図である。図18は、実施形態4における第1固定接点部5a及び第3固定接点部5cが導通している状態を模式的に示す平面図である。
【0097】
実施形態4における固定接点部5は、第1固定接点部5aと、第2固定接点部5bと、第3固定接点部5cと、を含む(図17図18参照)。第2固定接点部5bは、ハウジング本体20内の左側(-Y方向側)に配置された被接触部51bを有しており、第3固定接点部5cは、第2固定接点部5bの被接触部51bの前方(-X方向側方)に配置された被接触部51cを有している(図17図18参照)。
【0098】
実施形態4における可動接点部6は、第1固定接点部5aに電気的に接続されており、第2固定接点部5b及び第3固定接点部5cに接離して、第2固定接点部5b及び第3固定接点部5c間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0099】
実施形態4における接触部61は、アーム部60が無負荷状態のときに第2固定接点部5bに接触するように配置されている。
【0100】
以下、図17及び図18を参照して、実施形態4における可動接点部6が第2固定接点部5b及び第3固定接点部5c間の導通状態を切り換える具体例を説明する。
【0101】
上記のような実施形態4における可動接点部6がアーム部60で-X方向に沿って押圧を受けると、+S方向に揺動する。可動接点部6の+S方向の揺動によって、第2固定接点部5bに接触していた可動接点部6の接触部61が第2固定接点部5bから離隔して、第3固定接点部5cの被接触部51cに接触する(図18参照)。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第2固定接点部5bから離隔して第3固定接点部5cに接触することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が絶縁している状態となるとともに、第1固定接点部5a及び第3固定接点部5c間が導通している状態となる。また、可動接点部6が-X方向に沿った押圧から解放されて無負荷状態となると、自然状態に復帰しようとして、-S方向に揺動する。可動接点部6の-S方向の揺動によって、第3固定接点部5cに接触していた可動接点部6の接触部61が第3固定接点部5cから離隔して第2固定接点部5bの被接触部51bに接触する(図17参照)。第1固定接点部5aに電気的に接続された可動接点部6が第3固定接点部5bから離隔して第2固定接点部5bに接触することにより、第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間が導通している状態となるとともに、第1固定接点部5a及び第3固定接点部5c間が絶縁している状態となる。このように、可動接点部6が第1固定接点部5a及び第2固定接点部5b間の導通状態を切り換えるようになっている。
【0102】
上記のように、実施形態4におけるスイッチ装置は、双投式スイッチに適用可能である。
【0103】
なお、上記の実施形態1~4において、単極式スイッチを例示して説明したが、本願記載のスイッチ装置は、多極式スイッチにも適用可能である。
【0104】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 スイッチ装置
2 ハウジング
3 被押込部材
30 ボタン部
31 摺動部
4 付勢部材
5 固定接点部
6 可動接点部
60 アーム部
61 接触部
D 移動方向
S 揺動方向
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