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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/28 20200101AFI20250326BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20250326BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20250326BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20250326BHJP
【FI】
H05B47/28
B60Q1/04 E
H05B47/18
H05B47/105
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021073530
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167615
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱島 由彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-259622(JP,A)
【文献】特開2010-141137(JP,A)
【文献】特開平11-245715(JP,A)
【文献】特開2019-166925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/28
B60Q 1/04
H05B 47/18
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前照灯の光源と、前記光源に接続される光源点灯回路と、前記光源点灯回路に接続される灯具コントローラと、を備える車両用灯具において、
前記光源点灯回路は、前記前照灯の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度が所定温度以上になると、前記温度の高さに応じて前記光源への印加電流を減少させる機能を有する回路構成とし、
前記灯具コントローラは、前記光源への印加電流の変化中にパッシング操作が行われると、パッシング操作があったときの前記光源への印加電流を、パッシング操作があってから設定時間を経過するまで固定する固定指令を前記光源点灯回路に出力する光源電流制御部を有し、
前記光源電流制御部は、前記印加電流の固定指令を出力している前記設定時間を経過すると、前記印加電流の固定を解除し、
前記設定時間を経過した時点の電流・温度動作点から前記光源点灯回路による上限域勾配角度により印加電流・温度関係特性に復帰させる指令を出力する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前照灯の光源と、前記光源に接続される光源点灯回路と、前記光源点灯回路に接続される灯具コントローラと、を備える車両用灯具において、
前記光源点灯回路は、前記前照灯の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度が所定温度以上になると、前記温度の高さに応じて前記光源への印加電流を減少させる機能を有する回路構成とし、
前記灯具コントローラは、前記光源への印加電流の変化中にパッシング操作が行われると、パッシング操作があったときの前記光源への印加電流を、パッシング操作があってから設定時間を経過するまで固定する固定指令を前記光源点灯回路に出力する光源電流制御部を有し、
前記光源電流制御部は、前記パッシング操作があってからの前記設定時間を、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決められる第1設定時間とする
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用灯具において、
前記光源点灯回路は、灯具内の前記温度を検出する温度センサが回路内に設けられ、前記温度が第1設定温度から第2設定温度までの温度範囲のとき、前記温度の高さに応じて前記印加電流が変化する関係特性とし、
前記光源電流制御部は、前記温度センサからのセンサ信号を入力し、前記センサ信号により取得された温度が前記第1設定温度から前記第2設定温度までの温度範囲のとき、前記光源への印加電流の変化中であると判断する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
前記光源電流制御部は、パッシング操作センサを用い、ライトスイッチの操作レバーを手前に引くレバー動作が検出されるとパッシング操作があったときとする
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記光源電流制御部は、前記パッシング操作があってからの前記設定時間を、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決められる第1設定時間とする
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記光源電流制御部は、前記パッシング操作があってからの前記設定時間を、パッシング操作が連続にて行われるとき、1回目の前記パッシング操作があってから2回目のパッシング操作があるまでの必要時間に基づいて決められる第2設定時間とし、
前記パッシング操作があったことにより前記光源への印加電流を固定しているとき、前記第2設定時間が経過する前に次のパッシング操作があると、残り時間を次のパッシング操作があってからの前記第2設定時間にリセットする
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、より急峻な傾きの温度ディレーティングを実現する半導体光源点灯回路が知られている。従来回路は、LEDに電流を供給するDC/DCコンバータと、電流検出電圧を生成する電流検出抵抗と、電流検出電圧と比較電圧との差を小さくするようにDC/DCコンバータを制御する制御部と、比較電圧を生成する比較電圧生成部と、を備える。比較電圧生成部は、LED温度に応じたサーミスタ分圧電圧を生成する温度検出部と、サーミスタ分圧電圧を第6抵抗の抵抗値によって定まる係数でサーミスタ分圧電流に変換する電圧電流変換部と、サーミスタ分圧電流と同じ大きさの調整電流を第1抵抗に流す電流適用部と、を含む(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-160277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体光源点灯回路は、前照灯の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度が所定温度以上になると、温度の高さに応じて半導体光源への印加電流を減少させる機能(以下、「温度ディレーティング機能」という。)を有する回路構成にしている。しかしながら、半導体光源への印加電流の変化中は、印加電流の変化に伴って半導体光源の明るさも変化する。よって、半導体光源への印加電流の変化中にパッシング操作を複数回行うと、半導体光源の明るさもその都度変化し、前照灯を点滅させるパッシングにより相手側に合図を伝えるとき、相手側に対して明るさの変化による違和感を与えてしまう。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、光源への印加電流の変化中、複数回のパッシング操作が行われたとき、明るさの変化により相手側に与える違和感を防止できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の車両用灯具は、前照灯の光源と、光源に接続される光源点灯回路と、光源点灯回路に接続される灯具コントローラと、を備える。この車両用灯具において、光源点灯回路は、前照灯の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度が所定温度以上になると、温度の高さに応じて光源への印加電流を減少させる機能を有する回路構成とする。灯具コントローラは、光源への印加電流の変化中にパッシング操作が行われると、パッシング操作があったときの光源への印加電流を、パッシング操作があってから設定時間を経過するまで固定する固定指令を光源点灯回路に出力する光源電流制御部を有する。光源電流制御部は、印加電流の固定指令を出力している設定時間を経過すると、印加電流の固定を解除し、設定時間を経過した時点の電流・温度動作点から光源点灯回路による上限域勾配角度により印加電流・温度関係特性に復帰させる指令を出力する。
【発明の効果】
【0007】
よって、光源への印加電流の変化中、複数回のパッシング操作が行われたとき、明るさの変化により相手側に与える違和感を防止できる。そして、印加電流の固定制御終了後、温度の上昇や温度の低下に対して応答良く印加電流・温度関係特性に復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の車両用灯具である前照灯の半導体光源制御ユニットを示す全体構成図である。
図2】実施例1の灯具コントローラの光源電流制御部における印加電流制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】比較例の半導体光源点灯回路において灯具内の温度の上昇により印加電流が低下する途中で2回のパッシング操作が行われたときの印加電流と温度の関係を示す印加電流・温度関係特性図である。
図4】実施例1の半導体光源点灯回路において灯具内の温度の上昇により印加電流が低下する途中で2回のパッシング操作が行われたときの印加電流と温度の関係を示す印加電流・温度関係特性図である。
図5】実施例2の灯具コントローラの光源電流制御部における印加電流制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による車両用灯具を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1における車両用灯具は、自動車の前部左右位置に設置されているフロントコンビネーションランプのうち、ハイビームLED光源とロービームLED光源を有する前照灯(ヘッドランプ)の半導体光源制御ユニットに適用されている。
【0011】
まず、図1を参照して前照灯の半導体光源制御ユニットAの構成を説明する。
【0012】
半導体光源制御ユニットAは、図1に示すように、前照灯1と、ハイビームLED光源2と、ロービームLED光源3と、車載電源4と、ライトスイッチ5と、半導体光源点灯回路6と、灯具コントローラ7と、パッシング操作センサ8と、を備えている。ここで、LEDは、「Light Emitting Diode」の略称である。ハイビームLED光源2とロービームLED光源3は、光源の一例であり、以下、「LED光源2,3」という。
【0013】
前照灯1は、LED光源2,3と、図外のレンズ体やリフレクタ等による光学部材と、を組み合わせ、灯具ハウジング10の内部に配置することで構成されている。灯具ハウジング10の内部には、LED光源2,3以外に、半導体光源点灯回路6がLED光源2,3に近い位置に配置されている。なお、半導体光源点灯回路6については、灯具ハウジング10の内部ではなく外部に配置されても良い。
【0014】
半導体光源点灯回路6は、半導体光源であるLED光源2,3の点灯/消灯/印加電流等を制御する駆動回路であり、LEDドライバと呼ばれる。半導体光源点灯回路6の第1出力端子6aは、第1導電ハーネス21によりハイビームLED光源2に接続される。半導体光源点灯回路6の第2出力端子6bは、第2導電ハーネス31によりロービームLED光源3に接続される。半導体光源点灯回路6の電源端子6cは、電源ハーネス41によりライトスイッチ5を介して車載電源4に接続される。
【0015】
半導体光源点灯回路6の回路基板には、DC/DCコンバータ等と共に温度センサ61が設けられている。半導体光源点灯回路6は、前照灯1の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度Tが所定温度以上になると、温度Tの高さに応じてLED光源2,3への印加電流Iを減少させる温度ディレーティング機能を有する回路構成としている(図3を参照)。ここで、「温度ディレーティング機能」とは、半導体光源点灯回路6やLED光源2,3を熱劣化から保護する目的で、灯具内の温度Tの高さに応じて予め定めた定格電流値以下の印加電流Iによって半導体光源点灯回路6とLED光源2,3を動作させる機能をいう。
【0016】
例えば、温度Tが上昇する場合には、図3の矢印Bに示すように、温度Tの上昇に対して印加電流Iを減少させることで温度ディレーティング機能を実現している。第1設定温度T1未満の間はLED光源2,3への印加電流Iを第1定格電流I1(基本定格電流)に固定する。温度Tが第1設定温度T1以上になると、LED光源2,3へ印加していた第1定格電流I1を温度上昇に応じて低下させる。第2設定温度T2以上になるとLED光源2,3への印加電流Iを第2定格電流I2(高温度域定格電流)に固定させる。
【0017】
逆に、第2定格電流I2(高温度域定格電流)への固定状態から灯具内の温度Tが低下する場合には、図3の矢印Cに示すように、温度Tの低下に対して印加電流Iを増加させることで第1定格電流I1(基本定格電流)への復帰を実現している。温度Tが第2設定温度T2以下に低下すると、LED光源2,3へ印加していた第2定格電流I2を温度低下に応じて増加させる。温度Tが第1設定温度T1に到達すると、LED光源2,3への印加電流Iを第1定格電流I1に固定させる。なお、第1設定温度T1<第2設定温度T2の関係にあり、第1定格電流I1>第2定格電流I2の関係にある。
【0018】
温度センサ61としては、NTCサーミスタ等が用いられ、LED光源2,3の周囲の灯具内温度を検出している。温度センサ61は、特に、LED光源2,3が搭載された灯具ハウジング10の内部空間うち、LED光源2,3の周辺温度の上昇や低下に対して応答良く抵抗値が変化するように、LED光源2,3の近傍の位置に配置されている。
【0019】
灯具コントローラ7は、運転者によるパッシング操作がパッシング操作センサ8により検出されると、半導体光源点灯回路6に対して前照灯1による点灯状態を切り替えるパッシング制御と共に、LED光源2,3への印加電流制御を行う。灯具コントローラ7の第1出力端子7aは、第1出力信号線74により半導体光源点灯回路6に接続される。灯具コントローラ7の第2出力端子7bは、第2出力信号線75により半導体光源点灯回路6に接続される。灯具コントローラ7の第1入力端子7cは、第1入力信号線76によりパッシング操作センサ8に接続される。灯具コントローラ7の第2入力端子7dは、第2入力信号線77により温度センサ61に接続される。灯具コントローラ7は、パッシング制御回路71と、光源電流制御部72と、タイマ73と、を有する。
【0020】
ここで、「パッシング」とは、自車の運転中に、消灯中の前照灯1を一時的にハイビームで点灯する、又は、ロービーム点灯中の前照灯1を一時的にハイビーム点灯に切り替えることによって対向車等の運転者とコミュニケーションを図る方法をいう。
【0021】
パッシング操作センサ8は、ライトスイッチ5の操作レバー9を手前に引き(図1の矢印D)、その後、操作レバー9から手を離して元のレバー位置に復帰させる運転者によるパッシング操作を検出するセンサである。ここで、操作レバー9は、ハンドルに近いステアリングコラムの上部位置に車幅方向等に突出させて設けられる。
【0022】
ライトスイッチ5は、操作レバー9に内蔵され、操作レバー9を図1の矢印E方向に段階的に回動させる操作を行うと、スイッチモード位置が切り替えられる。スイッチモード位置としては、例えば、オフ位置、オートライト位置、車幅灯位置、前照灯位置、等を有する。オフ位置では外装ランプを全て消灯する。オートライト位置ではセンサ感知によって前照灯1、車幅灯、尾灯、等のランプを自動的に点灯させる制御を行う。テールランプ位置では車幅灯と尾灯を点灯する。前照灯位置では前照灯1、車幅灯、尾灯を点灯する。なお、ライトスイッチ5は、オフ位置からオートライト位置、又は、前照灯位置に切り替えるとオンになる。
【0023】
パッシング制御回路71は、パッシング操作センサ8により運転者によるパッシング操作が入力されると、半導体光源点灯回路6に対して前照灯1による点灯状態を切り替えるパッシング制御を行う。操作レバー9を手前に引いたことが検出されると、操作レバー9を手前に引いている間、ハイビーム点灯指令を半導体光源点灯回路6へ出力する。その後、操作レバー9から手を離す操作が検出されると、ハイビーム点灯の前照灯1を消灯させる指令、又は、ロービーム点灯に切り替える指令を半導体光源点灯回路6へ出力する。なお、ライトスイッチ5をオフにして前照灯1を消灯させていると、半導体光源点灯回路6は車載電源4と切り離されているが、パッシング操作が行われると自動的にライトスイッチ5がオフからオンに切り替わる。
【0024】
光源電流制御部72は、パッシング操作センサ8からの操作センサ信号と、温度センサ61からの温度センサ信号とを入力し、LED光源2,3への印加電流Iの制御を行う。LED光源2,3への印加電流の変化中にパッシング操作が行われると、パッシング操作があったときのLED光源2,3への印加電流を、パッシング操作があってから第1設定時間ST1を経過するまで固定する固定指令を半導体光源点灯回路6に出力する。なお、タイマ73は、パッシング操作があってから第1設定時間ST1を経過するまでの時間をカウントする。ここで、光源電流制御部72が、2つのLED光源2,3に対して同じ電流制御をしている場合について記載した。しかし、2つのLED光源2,3を分けて電流制御をしている場合は、パッシング操作時に点灯するハイビームLED光源2のみの印加電流の制御としても良い。
【0025】
ここで、光源電流制御部72は、温度センサ61からの温度センサ信号により取得した温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、LED光源2,3への印加電流Iの変化中であると判断する。
【0026】
光源電流制御部72は、パッシング操作があってからの第1設定時間ST1を、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決めている。つまり、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間を実験等により検証し、検証結果による必要時間に個人差によるバラツキ時間を加えた時間を第1設定時間ST1としている。
【0027】
光源電流制御部72は、印加電流Iを固定する指令を出力している第1設定時間ST1を経過すると、印加電流Iの固定を解除する。そして、第1設定時間ST1を経過した時点の電流・温度動作点から、半導体光源点灯回路6での上限域勾配角度θmaxにより印加電流・温度関係特性に復帰させる指令を出力する。ここで、「上限域勾配角度θmax」とは、温度Tの上昇に対して印加電流Iが低下する勾配角度、又は、温度Tの低下に対して印加電流Iが上昇する勾配角度のうち、半導体光源点灯回路6において実現可能な上限域の勾配角度をいう。
【0028】
次に、実施例1における作用を、「光源電流制御部における印加電流制御処理作用」、「印加電流の低下途中でパッシング操作が行われたときの比較作用」、「印加電流制御の特徴作用」に分けて説明する。
【0029】
図2のフローチャートを参照して灯具コントローラ7の光源電流制御部72における印加電流制御処理の流れを説明する。なお、図2のフローチャートは、ライトスイッチ5をオフ→オンにすると開始され、ライトスイッチ5がオフになるまで繰り返される。
【0030】
LED光源2,3の印加電流が変化していないときは、S11→リターンへと進む流れが繰り返され、光源電流制御部72での印加電流の固定制御は行われない。即ち、温度Tが第1設定温度T1未満、又は、温度Tが第2設定温度T2を超えているときは、LED光源2,3の印加電流が変化していないときと判断される。
【0031】
LED光源2,3の印加電流が変化しているが、パッシング操作無しのときは、S11→S12→リターンへと進む流れが繰り返され、光源電流制御部72での印加電流の固定制御は行われない。即ち、温度Tが第1設定温度T1以上で第2設定温度T2以下の範囲内であるときは、LED光源2,3の印加電流が変化していると判断される。
【0032】
LED光源2,3の印加電流が変化していて、かつ、パッシング操作有りのときは、S11→S12→S13→S14→S15へと進む。ステップS13では、パッシング操作があると、第1設定時間ST1に対応するタイマ値がセットされる。ステップS14では、パッシング操作があると、LED光源2,3への印加電流が、パッシング操作があったときの印加電流に固定される。S15では、パッシング操作があってからの継続時間が第1設定時間ST1を経過したか否かを判断する。
【0033】
ステップS15において、パッシング操作があってからの継続時間が第1設定時間ST1を経過していないと判断されている間は、S15→S16へと進む流れが繰り返され、ステップS16では、その前のタイマ値が処理周期に応じて減少される。
【0034】
一方、ステップS15において、パッシング操作があってからの継続時間が第1設定時間ST1を経過したと判断されると、ステップS15からステップS17へと進む。ステップS17では、印加電流Iの固定を解除し、第1設定時間ST1を経過した時点の動作点(Ic,Te)から印加電流固定前の印加電流・温度関係特性(図3)に復帰させる指令を半導体光源点灯回路6へ出力してリターンへ進む。
【0035】
図3及び図4を参照して印加電流の低下途中でパッシング操作が行われたときの比較作用を説明する。
【0036】
比較例は、温度ディレーティング機能を有する半導体光源点灯回路において、パッシング操作が介入しても灯具内の温度Tが高いほど印加電流Iを低下させるものとする。比較例の場合、半導体光源への印加電流Iの変化中に複数回のパッシング操作が行われると、印加電流Iの変化に伴って半導体光源の明るさも変化する。
【0037】
よって、図3に示すように、半導体光源点灯回路において灯具内の温度Tの上昇により印加電流Iが低下する途中の温度Ta(>T1)で1回目のパッシング操作が行われると、印加電流IがIaとなる。その後、印加電流Iが低下する途中の温度Tb(>Ta)で2回目のパッシング操作が行われると、印加電流IがIb(<Ia)となる。なお、ハイビーム点灯の継続中に温度Tが上昇すると、温度上昇に伴い印加電流IがIa,Ibから少し低下する。
【0038】
このように、印加電流Iが変化する温度区間(T1≦温度T≦T2)において、例えば、パッシング操作を2回行うと、半導体光源の明るさが1回目の明るさよりも2回目の方が暗くなるというように変化する。この結果、比較例の場合、前照灯を点滅させる複数回のパッシング操作により相手側に合図を伝えるとき、相手側に対して明るさの変化による違和感を与えてしまう。
【0039】
これに対し、実施例1は、LED光源2,3への印加電流の変化中にパッシング操作が行われると、1回目のパッシング操作があったときのLED光源2,3への印加電流Icを、1回目のパッシング操作があってから第1設定時間ST1を経過するまで固定している。つまり、実施例1の場合、複数回のパッシング操作が介入しても、第1設定時間ST1を経過するまでの間のパッシング操作であれば、印加電流Icの固定によりLED光源2,3の明るさが変化しない。
【0040】
よって、図4に示すように、半導体光源点灯回路6において灯具内の温度Tの上昇により印加電流Iが低下する途中の温度Tcで1回目のパッシング操作が行われると、印加電流Iがパッシング操作の検出開始時の印加電流Icに固定される。その後、印加電流Icに維持されている途中の温度Td(>Tc)で2回目のパッシング操作が介入しても、印加電流Icに固定されたままになる。加えて、ハイビーム点灯の継続中に温度Tが上昇しても、印加電流Icに固定されたままになる。
【0041】
このように、印加電流Iが変化する温度区間(T1≦温度T≦T2)において、例えば、パッシング操作を2回行うと、LED光源2,3の明るさが1回目の明るさと2回目の明るさとが同じ明るさに保たれる。この結果、前照灯1を点滅させる複数回のパッシング操作により相手側に合図を伝えるとき、相手側に対して明るさの変化により与える違和感を防止できる。ここで、明るさの変化により与える違和感には、温度Tの上昇により前照灯1の明るさが暗く変化する違和感と、温度Tの低下により前照灯1の明るさが明るく変化する違和感とを含む。
【0042】
次に、印加電流制御の特徴作用を説明する。
【0043】
実施例1の半導体光源点灯回路6において、灯具内の温度Tを検出する温度センサ61が回路内に設けられ、温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、温度Tの高さに応じて印加電流Iが変化する関係特性を有する回路構成としている。光源電流制御部72において、温度センサ61からのセンサ信号を入力し、センサ信号により取得された温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、LED光源2,3への印加電流Iの変化中であると判断している。
【0044】
即ち、LED光源2,3への印加電流Iが変化中であるとの判断は、LED光源2,3への印加電流Iの変化を直接検出することで行える。しかし、この場合、印加電流Iが変化していることを確認するのに必要な監視時間を設定されるため、LED光源2,3への印加電流Iの変化中であるとの判断が監視時間の経過後になってしまい、判断タイミングが遅れる。これに対し、温度センサ61が半導体光源点灯回路6の回路内に設けられ、かつ、半導体光源点灯回路6は、所定の温度範囲のときに温度Tの高さに応じて印加電流Iが変化する関係特性を有する回路構成であることに着目した。つまり、温度センサ61により取得した温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、LED光源2,3への印加電流Iの変化中であると判断した。従って、温度センサ61から取得した灯具内の温度TによってLED光源2,3への印加電流Iの変化中を判断することで、印加電流Iの変化中判断タイミングの遅れが防止される。
【0045】
実施例1の光源電流制御部72において、パッシング操作センサ8を用い、ライトスイッチ5の操作レバー9を手前に引くレバー動作が検出されるとパッシング操作があったときとしている。
【0046】
即ち、運転者のパッシング操作が行われると、パッシング操作の開始時を含むパッシング操作を応答良く知る必要がある。これに対し、パッシング操作がライトスイッチ5の操作レバー9を手前に引くレバー動作により行われることに着目した。従って、レバー動作を検出するパッシング操作センサ8を用いることで、パッシング操作の開始時を含むパッシング操作の介入を応答良く検出できる。
【0047】
実施例1の光源電流制御部72において、印加電流Iの固定指令を出力している第1設定時間ST1を経過すると、印加電流Iの固定を解除する。そして、第1設定時間ST1を経過した時点の電流・温度動作点(Ic,Te)から、半導体光源点灯回路6での上限域勾配角度θmaxにより印加電流・温度関係特性(図4)に復帰させる指令を出力している。
【0048】
即ち、印加電流Iの固定制御は、電流・温度動作点が、温度ディレーティング機能を発揮する印加電流・温度関係特性上の電流・温度動作点から外れる制御である。よって、印加電流Iの固定制御を解除すると、電流・温度動作点を元の印加電流・温度関係特性に戻す必要がある。このとき、図4の一点鎖線で示すように、第1設定時間ST1を経過した時点の電流・温度動作点(Ic,Te)から、半導体光源点灯回路6での特性勾配角度θnにより印加電流・温度関係特性に復帰させるものを比較例とする。この比較例の場合、印加電流・温度関係特性に復帰したとき、電流・温度動作点(I2,T3)になる。
【0049】
これに対し、実施例1の場合、図4の実線で示すように、第1設定時間ST1を経過した時点の電流・温度動作点(Ic,Te)から、半導体光源点灯回路6での上限域勾配角度θmaxにより印加電流・温度関係特性に復帰する。よって、印加電流・温度関係特性に復帰したとき、電流・温度動作点(I2,T2)になる(T2<T3)。従って、印加電流Iの固定制御終了後、温度Tの上昇や温度Tの低下に対して応答良く印加電流・温度関係特性に復帰できる。特に、温度Tが上昇しているときに応答良く印加電流・温度関係特性に復帰することで、半導体光源点灯回路6やLED光源2,3を熱劣化から保護する機能を維持できる。
【0050】
実施例1の光源電流制御部72において、パッシング操作があってからの設定時間を、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決められる第1設定時間ST1としている。
【0051】
即ち、課題が発生するのは複数回のパッシング操作時であることに合わせ、パッシング操作があってからの設定時間が、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決められる。従って、印加電流Iを固定する継続時間を、決められた1つの第1設定時間ST1とする簡単な制御処理により、複数回のパッシング操作により相手側に合図を伝えるとき、相手側に対して明るさの変化により与える違和感を防止できる。
【0052】
以上説明したように、実施例1の車両用灯具にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0053】
(1)前照灯1の光源(LED光源2,3)と、光源(LED光源2,3)に接続される光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)と、光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)に接続される灯具コントローラ7と、を備える。この車両用灯具において、光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)は、前照灯1の点灯時における周辺環境によって灯具内の温度Tが所定温度(第1設定温度T1)以上になると、温度Tの高さに応じて光源(LED光源2,3)への印加電流Iを減少させる機能を有する回路構成とする。灯具コントローラ7は、光源(LED光源2,3)への印加電流Iの変化中にパッシング操作が行われると、パッシング操作があったときの光源(LED光源2,3)への印加電流Iを、パッシング操作があってから設定時間(第1設定時間ST1)を経過するまで固定する固定指令を光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)に出力する光源電流制御部72を有する。このため、光源(LED光源2,3)への印加電流Iの変化中、複数回のパッシング操作が行われたとき、明るさの変化により相手側に与える違和感を防止できる。
【0054】
(2)光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)は、灯具内の温度Tを検出する温度センサ61が回路内に設けられ、温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、温度Tの高さに応じて印加電流Iが変化する関係特性を有する回路構成としている。そして、光源電流制御部72は、温度センサ61からのセンサ信号を入力し、センサ信号により取得された温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、光源(LED光源2,3)への印加電流Iの変化中であると判断する。このため、温度センサ61から取得した灯具内の温度Tによって光源(LED光源2,3)への印加電流Iの変化中を判断することで、印加電流Iの変化中判断タイミングの遅れを防止できる。
【0055】
(3)光源電流制御部72は、パッシング操作センサ8を用い、ライトスイッチ5の操作レバー9を手前に引くレバー動作が検出されるとパッシング操作があったとする。このため、レバー動作を検出するパッシング操作センサ8を用いることで、パッシング操作の開始時を含むパッシング操作の介入を応答良く検出できる。
【0056】
(4)光源電流制御部72は、印加電流Iの固定指令を出力している設定時間(第1設定時間ST1)を経過すると、印加電流Iの固定を解除する。そして、設定時間(第1設定時間ST1)を経過した時点の電流・温度動作点(Ic,Te)から、光源点灯回路(半導体光源点灯回路6)での上限域勾配角度θmaxにより印加電流・温度関係特性に復帰させる指令を出力する。このため、印加電流Iの固定制御終了後、温度Tの上昇や温度Tの低下に対して応答良く印加電流・温度関係特性に復帰できる。
【0057】
(5)光源電流制御部72は、パッシング操作があってからの設定時間を、複数回のパッシング操作が行われるときの必要時間に基づいて決められる第1設定時間ST1とする。このため、印加電流Iを固定する継続時間を、決められた1つの第1設定時間ST1とする簡単な制御処理により、複数回のパッシング操作により相手側に合図を伝えるとき、相手側に対して明るさの変化により与える違和感を防止できる。
【実施例2】
【0058】
実施例2は、パッシング操作があってからの設定時間の決め方等を、実施例1とは相違させた例である。
【0059】
実施例2の全体構成は、図1に示す実施例1の前照灯1の半導体光源制御ユニットAと同様である。以下、光源電流制御部72において、実施例1と相違する構成について説明する。
【0060】
光源電流制御部72は、パッシング操作開始があってからの設定時間を、パッシング連続操作が行われるとき、1回目のパッシング操作があってから2回目のパッシング操作があるまでの必要時間に基づいて決められる第2設定時間ST2としている。そして、パッシング操作があったことによりLED光源2,3への印加電流Iを固定しているとき、第2設定時間ST2が経過する前に次のパッシング操作があると、残り時間を次のパッシング操作があってからの第2設定時間ST2にリセットしている。つまり、2回連続でパッシング操作を行うとき、1回目のパッシング操作の必要時間を実験等により検証し、1回のパッシング操作終了から次のパッシング操作が開始されるまでの時間間隔を実験等により検証する。そして、検証結果による必要時間と時間間隔とバラツキ時間を加えて第2設定時間ST2としている(ST1>ST2)。なお、他の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0061】
次に、図5のフローチャートを参照し、実施例2の灯具コントローラ7の光源電流制御部72における印加電流制御処理の流れを説明する。なお、図5のフローチャートは、ライトスイッチ5をオフ→オンにすると開始され、ライトスイッチ5がオフになるまで繰り返される。
【0062】
LED光源2,3の印加電流が変化していないときは、S21→リターンへと進む流れが繰り返される。LED光源2,3の印加電流が変化しているが、パッシング操作無しのときは、S21→S22→リターンへと進む流れが繰り返される。いずれのときも実施例1と同様に光源電流制御部72での印加電流の固定制御は行われない。
【0063】
LED光源2,3の印加電流が変化していて、かつ、パッシング操作有りのときは、S21→S22→S23→S24→S25へと進む。ステップS23では、パッシング操作があると、第2設定時間ST2に対応するタイマ値がセットされる。ステップS24では、パッシング操作があると、LED光源2,3への印加電流が、パッシング操作検出開始時の印加電流に固定される。S25では、パッシング操作があってからの継続時間が第2設定時間ST2を経過したか否かを判断する。
【0064】
ステップS25において、パッシング操作があってからの継続時間が第2設定時間ST2を経過していないと判断され、かつ、次のパッシング操作が無い間は、S25からS26→S28へと進む流れが繰り返される。ステップS28では、その前のタイマ値が処理周期に応じて減少される。
【0065】
その後、ステップS25において、パッシング操作検出開始からの継続時間が第2設定時間ST2を経過していないと判断され、かつ、次のパッシング操作が行われると、S25からS26→S27へと進む流れが繰り返される。ステップS27では、減少されたタイマ値が、第2設定時間ST2に対応するタイマ値がリセットされる。
【0066】
一方、ステップS25において、パッシング操作検出開始からの継続時間が第2設定時間ST2を経過したと判断されると、ステップS25からステップS29へと進む。ステップS29では、印加電流Iの固定を解除し、第2設定時間ST2を経過した時点の動作点(Ic,Te)から印加電流固定前の印加電流・温度関係特性(図3)に復帰させる指令を半導体光源点灯回路6へ出力してリターンへ進む。
【0067】
実施例2の光源電流制御部72において、パッシング操作があってからの設定時間を、パッシング操作が連続にて行われるとき、1回目のパッシング操作があってから2回目のパッシング操作があるまでの必要時間に基づいて決められる第2設定時間ST2としている。そして、パッシング操作があったことによりLED光源2,3への印加電流Iを固定しているとき、第2設定時間ST2が経過する前に次のパッシング操作があると、残り時間を次のパッシング操作があってからの第2設定時間ST2にリセットしている。
【0068】
即ち、第2設定時間ST2(<ST1)は、パッシング操作が連続的に行われるとき、1回目のパッシング操作があってから2回目のパッシング操作があるるまでの必要時間に基づいて決められる。このため、ステップS22にて1回のみパッシング操作が行われた場合、パッシング操作があってから第2設定時間ST2が経過すると、印加電流Iの固定が解除される。従って、1回のみパッシング操作が行われた場合、第2設定時間ST2(<第1設定時間ST1)が経過すると印加電流Iの固定が解除されるため、印加電流Iの固定が必要以上継続するのを防止できる。
【0069】
第2設定時間ST2が経過する前に次のパッシング操作があると、そのときの残り時間が、次のパッシング操作を検出開始からの第2設定時間ST2にリセットされる。このため、パッシング操作が複数回連続して行われた場合、第2設定時間ST2に到達する前に次のパッシング操作が行われると、設定時間のリセットによってパッシング操作が行われる回数にかかわらず、印加電流Iの固定が維持される。従って、パッシング操作が複数回連続して行われる場合、回数にかかわらずパッシング操作の途中で印加電流Iの固定が解除されるのを防止できる。
【0070】
以上説明したように、実施例2の車両用灯具にあっては、実施例1の(1)~(4)の効果に加え、下記の効果が得られる。
【0071】
(6)光源電流制御部72は、パッシング操作があってからの設定時間を、パッシング操作が連続にて行われるとき、1回目のパッシング操作があってから2回目のパッシング操作があるまでの必要時間に基づいて決められる第2設定時間ST2とする。パッシング操作の検出により光源(LED光源2,3)への印加電流Iを固定しているとき、第2設定時間ST2が経過する前に次のパッシング操作があると、残り時間を次のパッシング操作があってからの第2設定時間ST2にリセットする。このため、1回のみパッシング操作が行われた場合、印加電流Iの固定が必要以上継続するのを防止できるのに加え、パッシング操作が複数回連続して行われた場合、回数にかかわらずパッシング操作の途中で印加電流Iの固定が解除されるのを防止できる。
【0072】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1,2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0073】
実施例1,2では、光源として、ハイビームLED光源2とロービームLED光源3による半導体光源を用いる例を示した。しかし、光源としては、LED光源に限られるものではなく、半導体レーザー光源等のように、高電流を扱う他の半導体光源を用いる例としても良い。さらに、半導体光源に限らず、温度ディレーティング機能を有する光源点灯回路を備えるハロゲン光源やディスチャージ光源、等であっても良い。
【0074】
実施例1,2では、半導体光源点灯回路6として、回路内に設けられた温度センサ61からの温度Tが第1設定温度T1から第2設定温度T2までの温度範囲のとき、温度Tの高さに応じて印加電流Iが変化する関係特性を有する回路構成とする例を示した。しかし、半導体光源点灯回路としては、回路内に設けられた温度センサからの温度が所定温度以上のとき、温度の高さに応じて印加電流が変化する関係特性を有する回路構成とする例としても良い。この場合、光源電流制御部は、温度センサからの温度が所定温度以上のとき、半導体光源への印加電流の変化中であると判断する。
【0075】
実施例1,2では、光源電流制御部72として、印加電流Iの固定を解除すると、設定時間を経過した時点の電流・温度動作点から、半導体光源点灯回路6での上限域勾配角度θmaxにより印加電流・温度関係特性に復帰させる好ましい例を示した。しかし、光源電流制御部としては、印加電流の固定を解除すると、設定時間を経過した時点の電流・温度動作点から、適宜設定した勾配角度により印加電流・温度関係特性に復帰させる例としても良い。
【符号の説明】
【0076】
A 半導体光源制御ユニット
1 前照灯
2 ハイビームLED光源(光源)
3 ロービームLED光源(光源)
4 車載電源
5 ライトスイッチ
6 半導体光源点灯回路(光源点灯回路)
61 温度センサ
7 灯具コントローラ
71 パッシング制御部
72 光源電流制御部
8 パッシング操作センサ
9 操作レバー
T 温度
I 印加電流
T1 第1設定温度
T2 第2設定温度
ST1 第1設定時間
ST2 第2設定時間
図1
図2
図3
図4
図5