(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
B65C 9/00 20060101AFI20250326BHJP
B44C 1/17 20060101ALN20250326BHJP
【FI】
B65C9/00
B44C1/17 H
(21)【出願番号】P 2021098491
(22)【出願日】2021-06-14
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 英哲
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121788(JP,A)
【文献】特開2014-185992(JP,A)
【文献】特開2014-025867(JP,A)
【文献】特開2013-242225(JP,A)
【文献】特開2008-164469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/00
B44C 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
開口を有する筐体本体と、
前記開口を閉じる閉位置と、前記開口を開放する開位置と、の間で移動可能なカバーと、
前記カバーを前記閉位置でロック可能なロック機構と、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱するための加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟むための加圧部材と、
第1温度センサと、
前記第1温度センサよりも前記加熱部材の近くに配置され、前記加熱部材の温度を検知する第2温度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1温度センサの電圧値に基づいて、前記第1温度センサが故障し
たかを判定し、
前記第1温度センサの電圧値に基づいて前記ロック機構を制御し、
前記第1温度センサが故障したと判定した場合、前記第1温度センサの電圧値に基づく前記ロック機構の制御を停止し、前記第2温度センサの電圧値に基づいて、前記ロック機構を制御することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記加熱部材に対面する板金であって、前記箔フィルムの幅方向に延び、シートの搬送方向における前記加熱部材の下流側に位置する板金をさらに備え、
前記第1温度センサは、前記板金に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記第1温度センサは、前記加熱部材とは非接触に配置され、
前記第2温度センサは、前記加熱部材と接触して配置されていることを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1温度センサの電圧値が示す温度が第1閾値以上である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーをロックし、
前記第1温度センサの電圧値が示す温度が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーのロックを解除することを特徴とする請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1温度センサの電圧値が所定範囲外の値である場合に、前記第1温度センサが故障したと判定することを特徴とする
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1温度センサの電圧値が所定範囲外である状態が所定時間継続した場合に、前記第1温度センサが故障したと判定することを特徴とする
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1温度センサの電圧値を温度に換算し、換算された温度に基づいて前記第1温度センサの故障を判定することを特徴とする請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1温度センサの電圧値を温度に換算する場合、電圧値と温度の関係を示すテーブルを参照して換算することを特徴とする請求項
7に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記箔転写装置の電源がオンされてから前記シートに前記箔を転写する箔転写を実行する前に、前記第1温度センサが故障したかを判定することを特徴とする請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記シートに前記箔を転写する箔転写を実行中に、前記第1温度センサが故障したかを判定することを特徴とする請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記シートに前記箔を転写する箔転写を実行後に、前記第1温度センサが故障したかを判定することを特徴とする請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記箔転写装置の電源がオンされている間、常に、所定時間毎に、前記第1温度センサが故障したかを判定することを特徴とする請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項13】
前記箔転写装置は、前記第1温度センサよりも前記加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、
0℃において、前記第1温度センサの電圧値は、前記第2温度センサの電圧値と異なる値であることを特徴とする請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項14】
前記箔転写装置は、前記第1温度センサよりも前記加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、
0℃における前記第1温度センサの電圧値と、1℃における前記第1温度センサの電圧値との差は、0℃における前記第2温度センサの電圧値と、1℃における前記第2温度センサの電圧値との差より大きいことを特徴とする請求項1から請求項
13のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項15】
0℃における前記第1温度センサの電圧値は、0.1V以上であることを特徴とする請求項1から請求項
14のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項16】
前記箔転写装置は、前記第1温度センサよりも前記加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、
前記第1温度センサおよび前記第2温度センサは、温度が上がると抵抗値が低下するサーミスタからなり、
前記第1温度センサは、第1抵抗器とともに抵抗分圧回路を構成し、
前記第2温度センサは、第2抵抗器とともに抵抗分圧回路を構成し、
前記制御部は、前記第1温度センサと前記第1抵抗器の間の電位を前記第1温度センサの電圧値として取得し、
前記第1抵抗器の抵抗値は、前記第2抵抗器の抵抗値よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項
15のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、箔フィルムが巻回された供給リールと、箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムおよびシートを挟む加圧ローラと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この箔転写装置では、カバーを開くことで、箔フィルムを交換したり、詰まったシートを取り除くことが可能となっている。この箔転写装置における制御部は、温度センサに基づいて、検知した温度が閾値以上である場合、カバーをロックし、閾値未満である場合にカバーのロックを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の箔転写装置では、温度センサの故障を判定することができなかった。そのため、温度センサが故障してしまった場合には、制御部が故障に応じた制御をすることができなかった。例えば、温度センサが故障してしまった場合には、制御部は、カバーのロックとロック解除の制御を適切にすることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、温度センサの故障を判定することができる箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、箔フィルムおよびシートを加熱するための加熱部材と、加熱部材との間で箔フィルムおよびシートを挟むための加圧部材と、第1温度センサと、制御部と、を備える。制御部は、第1温度センサの電圧値に基づいて、第1温度センサが故障したかを判定する。
【0007】
この構成によれば、制御部は、第1温度センサの電圧値に基づいて第1温度センサが故障したかを判定できる。
【0008】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサの電圧値が所定範囲外の値である場合に、第1温度センサが故障したと判定する構成としてもよい。
【0009】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサの電圧値が所定範囲外である状態が所定時間継続した場合に、第1温度センサが故障したと判定する構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、制御部が第1温度センサの電圧値が所定範囲外と判定した場合であっても、所定時間外である状態が所定時間継続しなければ第1温度センサが故障したと判定しないので、制御部が誤って第1温度センサが故障したと判定することを抑制することができる。
【0011】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサの電圧値を温度に換算し、換算された温度に基づいて第1温度センサの故障を判定する構成としてもよい。
【0012】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサの電圧値を温度に換算する場合、電圧値と温度の関係を示すテーブルを参照して換算する構成としてもよい。
【0013】
また、前記した構成において、箔転写装置は、開口を有する筐体本体と、開口を閉じる閉位置と、開口を開放する開位置と、の間で移動可能なカバーと、カバーを閉位置でロック可能なロック機構と、を備え、制御部は、第1温度センサの電圧値に基づいてロック機構を制御する構成としてもよい。
【0014】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサが故障したと判定した場合、第1温度センサの電圧値に基づくロック機構の制御を停止する構成としてもよい。
【0015】
また、前記した構成において、箔転写装置は、第1温度センサよりも加熱部材の近くに配置され、加熱部材の温度を検知する第2温度センサをさらに備え、制御部は、第1温度センサが故障したと判定した場合、第2温度センサの電圧値に基づいて、ロック機構を制御する構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、制御部は、第1温度センサが故障しても第2温度センサに基づいてロック機構を適切に制御できる。
【0017】
また、前記した構成において、加熱部材に対面する板金であって、箔フィルムの幅方向に延び、シートの搬送方向における加熱部材の下流側に位置する板金をさらに備え、第1温度センサは、板金に配置されている構成としてもよい。
【0018】
また、前記した構成において、第1温度センサは、加熱部材とは非接触に配置され、第2温度センサは、加熱部材と接触して配置されている構成としてもよい。
【0019】
また、前記した構成において、制御部は、第1温度センサの電圧値が示す温度が第1閾値以上である場合、ロック機構を制御してカバーをロックし、第1温度センサの電圧値が示す温度が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、ロック機構を制御してカバーのロックを解除する構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1閾値より第2閾値を小さくすることで、カバーのロックと解除が頻繁に繰り返されることを抑制できる。
【0021】
また、前記した構成において、制御部は、箔転写装置の電源がオンされてからシートに箔を転写する箔転写を実行する前に、第1温度センサが故障したかを判定する構成としてもよい。
【0022】
また、前記した構成において、制御部は、シートに箔を転写する箔転写を実行中に、第1温度センサが故障したかを判定する構成としてもよい。
【0023】
また、前記した構成において、制御部は、シートに箔を転写する箔転写を実行後に、第1温度センサが故障したかを判定する構成としてもよい。
【0024】
また、前記した構成において、制御部は、箔転写装置の電源がオンされている間、常に、所定時間毎に、第1温度センサが故障したかを判定する構成としてもよい。
【0025】
また、前記した構成において、箔転写装置は、第1温度センサよりも加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、0℃において、第1温度センサの電圧値は、第2温度センサの電圧値と異なる値である構成としてもよい。
【0026】
また、前記した構成において、箔転写装置は、第1温度センサよりも加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、0℃における第1温度センサの電圧値と、1℃における第1温度センサの電圧値との差は、0℃における第2温度センサの電圧値と、1℃における第2温度センサの電圧値との差より大きい構成としてもよい。
【0027】
また、前記した構成において、0℃における第1温度センサの電圧値は、0.1V以上である構成としてもよい。
【0028】
また、前記した構成において、箔転写装置は、第1温度センサよりも加熱部材の近くに配置された第2温度センサをさらに備え、第1温度センサおよび第2温度センサは、温度が上がると抵抗値が低下するサーミスタからなり、第1温度センサは、第1抵抗器とともに抵抗分圧回路を構成し、第2温度センサは、第2抵抗器とともに抵抗分圧回路を構成し、制御部は、第1温度センサと第1抵抗器の間の電位を第1温度センサの電圧値として取得し、第1抵抗器の抵抗値は、第2抵抗器の抵抗値よりも大きい構成としてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、温度センサの故障を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図である。
【
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
【
図3】ロックレバー周りの構造を示す側面図であり、ロックレバーがロック位置に規制されている状態を示す図(a)と、ロックレバーが規制されていない状態を示す図(b)と、ロックレバーが非ロック位置に揺動している状態を示す図(c)である。
【
図5】加熱ユニットを示す斜視図であり、第1温度センサの位置を説明する図である。
【
図6】
図5と異なる方向から見た加熱ユニットを示す斜視図であり、第2温度センサの位置を説明する図である。
【
図7】第1温度センサの回路図(a)、第2温度センサの回路図(b)、第1温度センサおよび第2温度センサのVthmと温度との関係を示すグラフ(c)である。
【
図8】電源がオンされてから制御部が実行するカバーのロックに関する処理を示すフローチャートである。
【
図9】制御部が実行するカバーロック/ロック解除処置のフローチャートである。
【
図10】制御部が実行するセンサ故障判定のフローチャートである。
【
図11】他の形態における第1温度センサの回路図(a)、第2温度センサの回路図(b)、第1温度センサおよび第2温度センサのVthmと温度との関係を示すグラフ(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、方向は、
図1に示す方向で説明する。すなわち、
図1の右側を「前」とし、
図1の左側を「後」とし、
図1の紙面手前側を「左」とし、
図1の紙面奥側を「右」とする。また、
図1の上下を「上下」とする。
【0032】
図1に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上に金箔等の箔を転写するための装置である。つまり、箔転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50と、制御部100と、操作パネルPAと、を備えている。
【0033】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(
図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(
図1の位置)と、開口21Aを開放する開位置(
図2の位置)との間で移動可能となっている。
【0034】
箔転写装置1は、カバー22を閉位置でロックするロック機構8を備えている。ロック機構8については、後で詳述する。
【0035】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。シートトレイ3には、シートトレイ3に載置されたシートSを検知するシートトレイセンサSS0が設けられている。シートトレイセンサSS0は、シートトレイ3にシートSが載置されている場合にONとなり、シートSが載置されていない場合にOFFとなる。
【0036】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと搬送ローラを備えている。
【0037】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
【0038】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCと、図示せぬモータ等の駆動源を備えている。
【0039】
フィルムカートリッジFCは、
図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、供給リール31と、巻取リール35とを備えている。供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0040】
箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層と、被支持層とを有する。支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持している。被支持層は、例えば、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層との間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0041】
転写層は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の薄い金属である。また、転写層は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層は、剥離層と接着層との間に配置されている。接着層は、転写層をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0042】
供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。箔フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、供給リール31に巻回されている。
【0043】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。箔フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、巻取リール35に巻回されている。
なお、
図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示している。
【0044】
フィルムカートリッジFCを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、図示せぬ駆動源によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0045】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加圧部材の一例としての加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0046】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0047】
加圧ローラ51は、カバー22に配置されている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、図示せぬ駆動源によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0048】
加熱ローラ61は、筐体本体21に配置されている。加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータHを配置した回転可能なローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。
【0049】
なお、加熱ローラ61は、加熱ユニット6によって回転可能、かつ、上下に移動可能に支持されている。加熱ユニット6は、加熱ローラ61の他に、外枠を構成する固定フレーム60と、シャッタ62と、接離機構7と、を有している。
【0050】
シャッタ62は、固定フレーム60にガイドされ、接離機構7に連動して閉位置と開位置にスライド移動可能である。
図1に示すように、シャッタ62は、加熱ローラ61が接触位置に位置する場合に、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間と異なる位置である開位置に位置する。
図2に示すように、シャッタ62は、加熱ローラ61が離間位置に位置する場合に、加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の位置である閉位置に位置し、加熱ローラ61を覆う。
【0051】
接離機構7は、加熱ローラ61を、加圧ローラ51に圧接した圧接位置と、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した離間位置との間で移動させる機構である。フィルムカートリッジFCが装着している状態では、加熱ローラ61が圧接位置に位置するときには、加熱ローラ61は箔フィルムFに接触する。接離機構7は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、箔フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、接離機構7は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、箔フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
【0052】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシートSの搬送方向(以下の説明では、単に「搬送方向」という。)における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0053】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔が転写される。転写部50の下流側において、箔フィルムFは、シートSから剥離される。
【0054】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0055】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access Memory)、ROM(Read only Memory)および入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、箔転写装置1の制御を実行する。なお、制御部100の動作については、後で詳述する。
【0056】
図1に示すように、箔転写装置1は、カートリッジセンサASを備えている。カートリッジセンサASは、フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着されているかを検出可能である。
【0057】
ここで、カバー22をロックするロック機構8について詳しく説明する。
図3(a)に示すように、ロック機構8は、ロックレバー81と、アクチュエータ91と、揺動規制部材92と、ロックピンRPと、を有する。本実施形態では、ロックレバー81は、カバー22の前端部に位置し、アクチュエータ91、揺動規制部材92およびロックピンRPは、筐体本体21に位置している(
図2参照)。
【0058】
ロックレバー81は、カバー22を閉位置にロックするロック位置(
図4(a)参照)と、カバー22をロックしない非ロック位置(
図4(c)参照)とに揺動可能である。
【0059】
図4に示すように、ロックレバー81は、円筒状のシャフト82の両端に1つずつ設けられている。シャフト82は、カバー22に回動可能に支持されている。シャフト82の軸方向中央部には、ユーザによって操作されるハンドル83が設けられている(
図5(a)も参照)。各ロックレバー81およびハンドル83は、シャフト82に固定されている。これにより、ユーザがハンドル83を回動させると、シャフト82とともに各ロックレバー81が回動するようになっている。
【0060】
図3(a)に示すように、ロックレバー81は、先端部がフック形状となっており、先端部がロックピンRPに係合可能となっている。ロックレバー81は、カバー22が閉位置に位置する状態において、ロックピンRPに係合可能なロック位置(
図3(a)の位置)と、ロックピンRPから外れる非ロック位置(
図3(c)の位置)とに移動可能となっている。
【0061】
揺動規制部材92は、
図3(a)に示す規制位置と、
図3(b),(c)に示す非規制位置とに移動可能である。
図3(a)に示すように、揺動規制部材92は、規制位置において、ロックレバー81と接触することで、ロックレバー81がロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制する。
【0062】
また、
図3(b),(c)に示すように、揺動規制部材92は、非規制位置において、ロックレバー81から離れることで、ロックレバー81がロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制しない。
【0063】
アクチュエータ91は、揺動規制部材92を規制位置と非規制位置との間でスライド移動させるためのものである。
【0064】
ここで、加熱ユニット6に設けられている第1温度センサ66と、第2温度センサ68について説明する。
図1,2に示すように、加熱ユニット6は、第1温度センサ66と、板金67と、第2温度センサ68と、をさらに有している。
【0065】
板金67は、搬送方向における加熱ローラ61の下流側に位置する。
図5に示すように、板金67は、箔フィルムFの幅方向に延びている。板金67は。加熱ローラ61に対面している。
【0066】
第1温度センサ66は、板金67の下面に配置されている。すなわち、第1温度センサ66は、板金67の面のうち加熱ローラ61側の面に配置され、搬送方向における加熱ローラ61の下流側に位置する。第1温度センサ66は、加熱ローラ61とは非接触に配置されている。加熱ローラ61から第1温度センサ66までの距離と、加熱ローラ61からシャッタ62までの距離はほぼ同じとなっている。第1温度センサ66は、シャッタ62の温度を推定して、カバー22のカバーロック/ロック解除処理を実行するためのものである。
【0067】
第2温度センサ68は、搬送方向における加熱ローラ61の上流側に位置する。
図6に示すように、本実施形態では、第2温度センサ68は複数配置されており、複数の第2温度センサ68は、箔フィルムFの幅方向に並んでいる。第2温度センサ68は、加熱ローラ61と接触して配置されている。第2温度センサ68は、第1温度センサ66よりも加熱ローラ61の近くに配置され、加熱ローラ61の温度を検知する。第2温度センサ68は、加熱ローラ61の温度を検知して加熱ローラ61の温度を制御するためのものである。
【0068】
第1温度センサ66および第2温度センサ68は、温度が上がると抵抗値が低下するサーミスタからなる。
図7(a)に示すように、第1温度センサ66は、第1抵抗器66Rとともに抵抗分圧回路を構成する。
図7(b)に示すように、第2温度センサ68は、第2抵抗器68Rとともに抵抗分圧回路を構成する。本実施形態では、第1抵抗器66Rの抵抗値R1は、第2抵抗器68Rの抵抗値R2よりも大きい。第1温度センサ66は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第1抵抗器66Rよりも入力電圧VDD3側に位置する。第2温度センサ68は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第2抵抗器68Rよりも入力電圧VDD3側に位置する。
【0069】
図7(c)は、第1温度センサ66および第2温度センサ68が出力する電圧値Vthmと温度との関係を示すグラフである。制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算する場合、
図7(c)のグラフに従った電圧値Vthmと温度T1の関係を示すテーブルを参照して換算する。
【0070】
制御部100は、第1温度センサ66と第1抵抗器66Rの間の電位を第1温度センサ66の電圧値Vthmとして取得する。制御部100は、第1温度センサ66から取得した電圧値Vthmを温度T1に換算する。
制御部100は、第2温度センサ68と第2抵抗器68Rの間の電位を第2温度センサ68の電圧値Vthmとして取得する。制御部100は、第2温度センサ68から取得した電圧値Vthmを温度T2に換算する。
【0071】
0℃において、第1温度センサ66の電圧値Vthmは、第2温度センサ68の電圧値Vthmと異なる値である。本実施形態では、各温度、例えば、0℃、100℃、200℃、300℃において、第1温度センサ66の電圧値Vthmは、第2温度センサ68の電圧値Vthmより大きな値である。
【0072】
また、0℃から1℃の間において、第1温度センサ66のグラフの傾きは、第2温度センサ68のグラフの傾きより大きい。言い換えると、0℃における第1温度センサ66の電圧値Vthmと、1℃における第1温度センサ66の電圧値Vthmとの差は、0℃における第2温度センサ68の電圧値Vthmと、1℃における第2温度センサ68の電圧値Vthmとの差より大きい。一方で、定着温度(一例として130~170℃)において、第2温度センサ68のグラフの傾きは、第1温度センサ66のグラフの傾きより大きい。
【0073】
また、0℃における第1温度センサ66の電圧値Vthmは、0.1V以上である。
一方、0℃における第2温度センサ68の電圧値Vthmは、0.1V未満である。
【0074】
次に、制御部100によるロック機構8の制御について説明する。
【0075】
制御部100は、箔転写装置1の電源がオンされた後、電源がオンされている間、カバーロック/ロック解除処理と、センサ故障判定と、を繰り返し実行する。
【0076】
制御部100は、カバーロック/ロック解除処理として、第1温度センサ66の電圧値Vthmが示す温度T1が第1閾値以上である場合、ロック機構8を制御してカバー22をロックする。第1閾値は、一例として85℃である。
【0077】
制御部100は、カバーロック/ロック解除処理として、第1温度センサ66の電圧値Vthmが示す温度T1が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、ロック機構8を制御してカバー22のロックを解除する。第2閾値は、一例として75℃である。第1閾値と第2閾値との差は、5~15℃が望ましい。
【0078】
制御部100は、カバー22が開いている間は、第1温度センサ66の温度T1に関わらず、ロックをしない。制御部100は、図示せぬカバーセンサによって、カバー22が閉位置に位置するか、開位置に位置するかを判定し、カバー22が開位置に位置する場合、第1温度センサ66の温度T1に関わらず、カバー22をロックしない。
【0079】
制御部100は、シートSに箔を転写する箔転写を実行している間は、カバー22をロックし、第1温度センサ66の温度T1に関わらずカバー22のロックを解除しない。
【0080】
制御部100は、センサ故障判定として、箔転写装置1の電源がオンされている間、常に、所定時間毎に、第1温度センサ66が故障したかを判定する。
具体的に、制御部100は、箔転写装置1の電源がオンされてからシートに箔を転写する箔転写を実行する前と、箔転写を実行中と、箔転写を実行後のいずれにおいても第1温度センサ66が故障したかを判定する。
【0081】
本実施形態では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算し、換算された温度T1に基づいて第1温度センサ66の故障を判定する。制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmから換算した温度T1が-25℃以下であった場合に、第1温度センサ66が故障したと判定する。
【0082】
そして、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmが所定範囲外である状態が所定時間継続した場合に、第1温度センサ66が故障したと判定する。本実施形態では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmに基づいて換算した温度T1が-25℃以下である状態が3秒以上継続した場合に、第1温度センサ66が故障したと判定する。逆に言うと、制御部100は、温度T1が-25℃以下であると判定しても-25℃以下である状態が3秒以上継続しなかった場合には第1温度センサ66が故障したと判定しない。
【0083】
制御部100は、第1温度センサ66が故障したと判定した場合、第1温度センサ66の電圧値Vthmに基づくロック機構8の制御を停止し、第2温度センサ68の電圧値Vthmに基づいて、ロック機構8を制御する。
【0084】
次に、
図8~10のフローチャートを参照して、箔転写処理を実行しない待機時に制御部100が実行するカバーロック処理の一例について説明する。
【0085】
図8に示すように、制御部100は、箔転写装置1の電源がオンされたと判定した場合(S1,Yes)、カバーロック/ロック解除処理を実行する(S2)。
【0086】
図9に示すように、カバーロック/ロック解除処理として、制御部100がカバー22はロックされているかを判定する(S20)。
【0087】
ステップS20において、制御部100は、カバー22がロックされていると判定した場合(S20,Yes)、第1温度センサ66が故障しているかを判定する(S21)。
【0088】
ステップS21において、制御部100は、第1温度センサ66が故障していると判定した場合(S21,Yes)、第2温度センサ68に基づいて温度T2を取得し(S22)、取得した温度T2が第4閾値より小さいか(T2<第4閾値?)を判定する(S23)。なお、第4閾値は、第2閾値より大きい値である。
【0089】
ステップS23において、制御部100は、温度T2が第4閾値より小さいと判定した場合(S23,Yes)、カバー22を開けてもよいと判定して、カバーロックを解除して(S24)、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0090】
ステップS23において、制御部100は、温度T2が第4閾値より小さいと判定しなかった場合(S23,No)、カバー22を開けてはいけないと判定して、カバーロックを解除せずに、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0091】
一方、ステップS21において、制御部100は、第1温度センサ66が故障していると判定しなかった場合(S21,No)、第1温度センサ66に基づいて温度T1を取得し(S25)、取得した温度T1が第2閾値より小さいか(T1<第2閾値?)を判定する(S26)。
【0092】
ステップS26において、制御部100は、温度T1が第2閾値より小さいと判定した場合(S26,Yes)、カバー22を開けてもよいと判定して、カバーロックを解除して(S27)、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0093】
ステップS26において、制御部100は、温度T1が第2閾値より小さいと判定しなかった場合(S26,No)、カバー22を開けてはいけないと判定して、カバーロックを解除せずに、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0094】
ステップS20において、制御部100は、カバー22がロックされていると判定しなかった場合(S20,No)、第1温度センサ66が故障しているかを判定する(S31)。
【0095】
ステップS31において、制御部100は、第1温度センサ66が故障していると判定した場合(S31,Yes)、第2温度センサ68に基づいて温度T2を取得し(S32)、取得した温度T2が第3閾値以上であるか(T2≧第3閾値?)を判定する(S33)。なお、第3閾値は、第4閾値より大きい値である。また、第3閾値は、第1閾値より大きい値である。
【0096】
ステップS33において、制御部100は、温度T2が第3閾値以上であると判定した場合(S33,Yes)、カバー22を開けてはいけないと判定して、カバー22をロックして(S34)、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0097】
ステップS33において、制御部100は、温度T2が第3閾値以上であると判定しなかった場合(S33,No)、カバー22を開けてよいと判定して、カバーをロックせずに、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS31において、制御部100は、第1温度センサ66が故障していると判定しなかった場合(S31,No)、第1温度センサ66に基づいて温度T1を取得し(S35)、取得した温度T1が第1閾値以上であるか(T1≧第1閾値?)を判定する(S36)。
【0099】
ステップS36において、制御部100は、温度T1が第1閾値以上であると判定した場合(S36,Yes)、カバー22を開けてはいけないと判定して、カバー22をロックして(S37)、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0100】
ステップS36において、制御部100は、温度T1が第1閾値以上であると判定しなかった場合(S36,No)、カバー22を開けてよいと判定して、カバー22をロックせずに、カバーロック/ロック解除処理を終了する。
【0101】
図8に示すように、制御部100は、カバーロック/ロック解除処理(S2)を実行した後、箔転写が実行されるかを判定する(S3)。
【0102】
ステップS3において、制御部100は、箔転写が実行されると判定しなかった場合(S3,No)、ステップS2に戻り、再び、カバーロック/ロック解除処理(S2)を実行する。すなわち、制御部100は、電源オンされている間は、カバーロック/ロック解除処理(S2)を繰り返し実行する。
【0103】
ステップS3において、制御部100は、箔転写が実行されると判定した場合(S3,Yes)、カバー22がロックされているかを判定し(S4)、カバー22がロックされていると判定しなかった場合(S4,No)、カバー22をロックし(S5)、カバー22がロックされていると判定した場合(S4,Yes)、カバー22をロックする動作をすることなく、箔転写動作を実行する(S6)。
【0104】
ステップS6の後、制御部100は、箔転写動作が完了するまで箔転写動作(S6)を継続し、箔転写動作が完了したと判定した場合(S7,Yes)、ステップS2に移行する。
【0105】
制御部100は、箔転写装置1の電源がオンされている間、センサ故障判定を繰り返し実行している。
図10に示すように、制御部100は、センサ故障判定として、所定時間待機し(S50)、第1温度センサ66に基づいて温度T1を取得する(S51)。
【0106】
ステップS51の後、制御部100は、取得した温度T1が-25℃以下であるか(T1≦-25℃?)を判定する(S52)。制御部100は、取得した温度T1が-25℃以下であると判定しなかった場合(S52,No)、第1温度センサ66が故障していないと判定してステップS50に戻る。
【0107】
一方、制御部100は、取得した温度T1が-25℃以下であると判定した場合(S52,Yes)、第1温度センサ66が故障したかもしれないとして、温度異常継続時間tの計測を開始する(S53)。
【0108】
ステップS53の後、制御部100は、所定時間待機し(S54)、第1温度センサ66に基づいて温度T1を再び取得し(S55)、再び取得した温度T1が-25℃以下であるか(T1≦-25℃?)を判定する(S56)。
【0109】
ステップS56において、制御部100は、再び取得した温度T1が-25℃以下であると判定しなかった場合(S56,No)、温度異常継続時間tの計測を終了し(S59)、ステップS50に戻る。
【0110】
ステップS56において、制御部100は、再び取得した温度T1が-25℃以下であると判定した場合(S56,Yes)、温度異常継続時間tが3秒以上であるかを判定する(S57)。制御部100は、温度異常継続時間tが3秒以上であると判定しなかった場合(S57,No)、ステップS54に戻り、温度異常継続時間tが3秒以上であると判定した場合(S57,Yes)、第1温度センサ66が故障と判定し(S58)、センサ故障判定を終了する。
【0111】
以上に説明した構成によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
【0112】
従来の箔転写装置1では、温度センサの故障を判定することができなかった。そのため、温度センサが故障してしまった場合には、故障に応じた制御をすることができなかった。しかし、本実施形態の制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmに基づいて、第1温度センサ66が故障を判定することができるので、故障に応じた制御をすることができる。
【0113】
また、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmが所定範囲外の値、本実施形態では-25℃以下である場合に、第1温度センサ66が故障したと判定する。また、本実施形態においては、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmが所定範囲外である状態が所定時間、本実施形態では、3秒以上継続した場合に、第1温度センサ66が故障したと判定する。このため、制御部100が第1温度センサ66の電圧値Vthmが所定範囲外であると判定した場合であっても、所定時間外である状態が所定時間継続しなければ第1温度センサ66が故障したと判定しないので、制御部100が誤って第1温度センサ66が故障したと判定することを抑制することができる。
【0114】
また、制御部100は、第1温度センサ66が故障したと判定した場合、第2温度センサ68の電圧値Vthmに基づいて、ロック機構8を制御する。このため、制御部100は、第1温度センサ66が故障しても第2温度センサ68に基づいてロック機構8を適切に制御できる。第2温度センサ68は、第2温度センサ68が故障したときのために設けられたものではなく、加熱ローラ61を制御するためのものであるため、故障対応のために温度センサを余分に設ける必要はない。
【0115】
また、制御部100は、温度T1が第1閾値以上である場合、ロック機構8を制御してカバー22をロックし、温度T1が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、ロック機構8を制御してカバー22のロックを解除する。このため、第1閾値より第2閾値を小さくすることで、カバー22のロックと解除が頻繁に繰り返されることを抑制できる。
【0116】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0117】
前記実施形態では、第1温度センサ66は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第1抵抗器66Rよりも入力電圧VDD3側に位置していた(
図7(a)参照)。また、第2温度センサ68は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第2抵抗器68Rよりも入力電圧VDD3側に位置していた(
図7(b)参照)。しかし、本発明は、この構成に限られない。
例えば、
図11(a)に示すように、第1温度センサ66は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第1抵抗器66RよりもグランドGND側に位置する構成としてもよい。また、
図11(a)に示すように、第2温度センサ68は、入力電圧VDD3とグランドGNDの間において、第2抵抗器68RよりもグランドGND側に位置する構成としてもよい。このような場合には、第1温度センサ66および第2温度センサ68の検知した電圧値Vthmと温度との関係を示すグラフは、
図11(c)のようになる。
【0118】
前記実施形態では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算し、換算された温度T1に基づいて第1温度センサ66の故障を判定していたが、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算せずに、第1温度センサ66の電圧値Vthmに基づいて、第1温度センサ66が故障したかを判定する構成としてもよい。具体的には、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度に換算せずに、第1温度センサ66の電圧値Vthmが所定範囲外の値である場合に、第1温度センサ66が故障したと判定すればよい。
例えば、
図7(a)に示す形態の第1温度センサ66では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmが0.1V未満であった場合に、第1温度センサ66が故障したと判定できる。
例えば、
図11(a)に示す第1温度センサ66では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmが3.3Vより大きい場合に、第1温度センサ66が故障したと判定できる。
【0119】
前記実施形態では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算する場合、
図7(c)のグラフに従ったテーブルを参照して換算していたが、この構成に限られず、
図7(c)のグラフに従った計算式により温度T1に換算してもよい。
【0120】
前記実施形態では、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmを温度T1に換算し、換算された温度T1に基づいてロック機構8を制御していたが、制御部100は、第1温度センサ66の電圧値Vthmに基づいてロック機構8を制御する構成としてもよい。
【0121】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 箔転写装置
6 加熱ユニット
8 ロック機構
21 筐体本体
21A 開口
22 カバー
61 加熱ローラ
62 シャッタ
66 第1温度センサ
67 板金
68 第2温度センサ
81 ロックレバー
100 制御部