(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、生産性管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20250326BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20250326BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q10/20
G06F3/12 303
G06F3/12 373
(21)【出願番号】P 2021119347
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野川 鉄蓮
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106472(JP,A)
【文献】特開2017-016177(JP,A)
【文献】特開2011-065289(JP,A)
【文献】特開2020-155852(JP,A)
【文献】特開2009-134623(JP,A)
【文献】特開2021-070564(JP,A)
【文献】特開2003-187069(JP,A)
【文献】特開2014-229176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置であって、
前記画像形成装置の生産性を向上させるために作業員に実施を提案する1以上の改善策と前記改善策を実施することで想定される生産性上の効果とを含む改善策提案リストを、現場端末に出力する改善策出力部と、
前記現場端末に表示された前記改善策提案リストから前記作業員によって選択された改善策を、実際に前記作業員が実施した前記改善策として前記現場端末から取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記改善策を記録する記録部と、
前記記録部に記録されている前記改善策を設定された集計期間ごとに集計して集計結果を出力する集計部と、
前記集計結果に基づいて、集計期間内に実施された前記改善策
の情報を出力する改善実施結果出力部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記改善策を実施することで想定される生産性上の効果は、生産性の時間面での向上の見込みである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記改善策提案リストは、前記作業員が実際に実施した改善策を選択することが可能に表示される
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記作業員が
前記現場端末にテキスト入力した、前記作業員が前記生産性を向上させるために実施した内容を前記改善策として取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記録部は、前記集計期間内に前記改善策が実施された回数を当該改善策と関連付けて記録し、
前記改善実施結果出力部は、前記集計期間内に実施された前記改善策の情報を、前記実施された回数と併せて出力する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記改善実施結果出力部は、前記集計期間内に実施された前記改善策により得られた改善効果を出力する
請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記画像形成装置から稼働履歴情報を取得する稼働履歴取得部と、
前記稼働履歴情報を分析し、分析結果から前記改善策
と該改善策を実施することで想定される前記生産性上の効果を演算する分析部と
、を備える
請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置を用いた生産性管理方法であって、
前記情報処理装置の改善策出力部が、前記画像形成装置の生産性を向上させるために作業員に実施を提案する1以上の改善策と前記改善策を実施することで想定される生産性上の効果とを含む改善策提案リストを、現場端末に出力する処理と、
前記情報処理装置の取得部が
、前記現場端末に表示された前記改善策提案リストから前記作業員によって選択された改善策を、実際に前記作業員が実施した前記改善策として前記現場端末から取得する処理と、
前記情報処理装置の記録部が、
前記取得部で取得された前記改善策を記録する処理と、
前記情報処理装置の集計部が、前記記録部に記録されている前記改善策を設定された集計期間ごとに集計して集計結果を出力する処理と、
前記情報処理装置の改善実施結果出力部が、
前記集計結果に基づいて、集計期間内に実施された前記改善策
の情報を出力する処理と、を含む
生産性管理方法。
【請求項9】
画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理するコンピューターに、
前記画像形成装置の生産性を向上させるために作業員に実施を提案する1以上の改善策と前記改善策を実施することで想定される生産性上の効果とを含む改善策提案リストを、現場端末に出力する手順と、
前記現場端末に表示された前記改善策提案リストから前記作業員によって選択された改善策を、実際に前記作業員が実施した前記改善策として前記現場端末から取得する手順と、
取得された前記改善策を記録部に記録する手順と、
前記記録部に記録されている前記改善策を設定された集計期間ごとに集計して集計結果を出力する手順と、
前記集計結果に基づいて、集計期間内に実施された前記改善策
の情報を出力する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置、生産性管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷会社が使用する印刷機(例えば画像形成装置)の稼働率を計算し、複数の印刷機の稼働実績を比較することでその差分を可視化する技術が知られている。稼働実績の差分を可視化することによりどの印刷機の稼働率が低下しているかが分かる。例えば、稼働率を計算する方法として、特許文献1に、画像形成装置の稼働率を計算する際にジョブの実行中のエラーによる中断時間を含まないことで、稼働率をジョブの実行時間により計算する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷機の稼働率が低下している要因を分析し、稼働率を上げるための改善策を検討することで、印刷機の生産性向上が期待できる。しかしながら、該当印刷機の稼働率低下に対する改善策の提案がなされたとしても、生産性管理マネージャは、その改善策が現場で実施されたか、又はどのように実施されたかを把握できず、改善策による生産性向上の効果があったかどうかを判断することができない。
【0005】
上記の状況から、生産性管理マネージャが実際に実施された改善策を把握できる手法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の情報処理装置は、画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置であって、画像形成装置の生産性を向上させる改善策の中から実際に実施された改善策を取得する取得部と、実施された改善策を記録する記録部と、当該記録部に記録されている、実施された改善策を出力する改善実施結果出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の少なくとも一態様によれば、実際に実施された改善策を入力及び記録し、実際に実施された改善策を提示する仕組みを提供することにより、生産性管理マネージャが実際に実施された改善策を把握することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生産性管理システムのネットワーク構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプリントサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る生産性管理端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る現場端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るプリントサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る生産性管理端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る現場端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図12】画像形成装置の稼働ログデータに対する分析結果画面の例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る分析結果画面に表示される図記号の凡例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の稼働ログデータに対する、実施確認欄ありの分析結果画面の例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る実施内容記載ウィンドウの例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る実施内容記載ウィンドウのテキスト入力欄に自由記述した例を示す図である。
【
図17】
図17Aは、実施内容記載ウィンドウのテキスト入力欄において第1の実施項目の詳細と関連する実施内容とを併記した例である。
図17Bは、実施内容記載ウィンドウのテキスト入力欄において第2の実施項目の詳細を記載した例である。
図17Cは、実施内容記載ウィンドウのテキスト入力欄において第1の実施項目及び第2の実施項目それぞれの詳細を記載した例である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るレポート出力設定画面の例を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るレポート出力設定画面の他の例を示す図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る現場端末により改善アクションの実施内容を記録する手順の例を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の一実施形態に係る情報処理装置により改善実施データから実施内容(実施項目)と実施回数を集計する手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0010】
<一実施形態>
まず、本発明の一実施形態に係る1以上の画像形成装置の生産性を管理する生産性管理システムについて、
図1を参照して説明する。
【0011】
[生産性管理システム]
図1は、生産性管理システムのネットワーク構成例を示す概略図である。生産性管理システム1は、画像形成装置10A,10B,10C、プリントサーバ20、生産性管理端末30、情報処理装置40、及び現場端末50を含んで構成される。各装置はネットワーク60,70を介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
画像形成装置10A,10B,10Cは、入力された印刷指示に基づいて、記録材に画像を形成する処理(印刷処理ともいう)を実行する。画像形成装置10A,10B,10Cは、稼働履歴に応じて稼働ログデータをネットワーク60に出力する。
図1には3台の画像形成装置10A,10B,10Cが例示されているが、画像形成装置の台数は1台以上であればよく、4台以上であってもよい。以降において、画像形成装置10A,10B,10Cを区別しない場合又は共通の機能について説明する場合には、画像形成装置10A,10B,10Cを「画像形成装置10」と記載することがある。なお、画像形成装置10A,10B,10Cは、印刷機能に加えて他の機能を備えた複合機であってもよい。例えば、他の機能として、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能などが挙げられる。
【0013】
プリントサーバ20は、画像形成装置10A~10Cの各々と通信可能に接続されている。プリントサーバ20は、画像形成装置10A~10Cと他の装置との間の通信を中継する。例えば、プリントサーバ20は、ネットワーク60を介して、不図示のユーザー端末から印刷ジョブを受信し、画像形成装置10A~10Cへ印刷を指示する。
【0014】
生産性管理端末30は、ネットワーク60,70を介して情報処理装置40から提供される画像形成装置10A~10Cの生産性に関する情報を表示する。生産性管理端末30として、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」)やタブレット端末等を用いることができる。
図1では、生産性管理端末30にノート型パソコンを適用した例が示されている。生産性管理マネージャは、生産性管理端末30に表示された生産性に関する情報を確認して、画像形成装置10A~10Cの生産性を管理したり画像形成装置10A~10Cを操作したりする。
【0015】
情報処理装置40は、ネットワーク60,70を介して画像形成装置10A~10Cから稼働ログデータを取得して分析し、分析結果に基づいて画像形成装置10A~10Cの生産性を管理する。例えば、情報処理装置40は、ネットワーク60に接続する複数の画像形成装置10を、画像形成装置10と顧客とを紐づけたテーブルに基づいて、顧客ごとに分けて管理する。情報処理装置40は、画像形成装置10A~10Cの生産性に関する情報として、稼働ログデータを分析した結果(改善策を含む)を生産性管理端末30へ送信する。また、情報処理装置40は、改善策の情報を現場端末50へ送信する。情報処理装置40はWebサーバとして構成される。この場合、生産性管理端末30はWebクライアント(Webブラウザ)として動作する。以下、本明細書では改善策を「改善アクション」とも呼ぶ。
【0016】
現場端末50は、改善策の情報として、改善策を含む分析結果(例えば、後述する
図14の分析結果レポート1210~1230)を情報処理装置40から受信する。また、現場端末50は、改善策を含む分析結果を表示する機能、及び、作業員が実際に実施した改善策及び当該改善策の詳細(例えば、後述する
図16~
図17に示す実施内容)を入力及び記録する機能を有する。情報処理装置40は、現場端末50に入力された改善策とその詳細を記録するとともに、実施された改善策とその詳細についてのレポートを作成、出力する。例えば、作業員には、メンテナンスサービスを提供するサービスマンや、画像形成装置10を使用する印刷会社のオペレーターなどが該当する。
【0017】
ネットワーク60はLAN等の構内ネットワークである。ネットワーク70はインターネット等の広域ネットワークでありいわゆるクラウドを構成する要素の一つである。ネットワーク60とネットワーク70とは、図示しないルータ等の中継機器を介して通信可能に接続されている。または、ネットワーク60とネットワーク70は、一つのネットワークでもよい。
【0018】
また、ネットワーク70(クラウド)に、画像形成装置10が出力する稼働ログデータを蓄積する不図示の蓄積サーバが接続されていて、情報処理装置40が蓄積サーバから画像形成装置10の稼働ログデータを取得する構成としてもよい。この場合、ネットワーク70(クラウド)上に、蓄積サーバと情報処理装置40との間でデータを非同期で送受信できるメッセージキューイング(Webサービス)を導入してもよい。あるいは、メッセージキューイングのミドルウェアを、情報処理装置40に実装してもよい。
【0019】
次に、生産性管理システム1を構成する各装置のハードウェア構成について説明する。
【0020】
[画像形成装置のハードウェア構成]
図2は、画像形成装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像形成装置10は、プリントコントローラ200、プリントエンジン210、及び操作表示部220を備える。
【0021】
プリントコントローラ200は、不図示のユーザー端末からの印刷原稿ファイルの受信、画像データ生成、及びプリントエンジン210へのデータ転送を行う。プリントコントローラ200は、CPU201、ROM202、RAM203、ハードディスク(HDD)204、プリンタI/F206、操作部I/F207、音声入出力I/F208、及びネットワークI/F209を備える。これらの各デバイスは、システムバス205を介して接続される。
【0022】
例えば、プリントコントローラ200は、WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)を適用して構成してもよい。WebDAVは、Webサーバに対して直接ファイルのコピーや削除を実行したり、ファイル所有者や更新日時などのファイル情報を取得・設定したりする機能を持つ分散ファイルシステムであって、HTTP1.1を拡張したプロトコルで実現される。また、プリントサーバ20が画像形成装置10とネットワーク60の通信を中継する構成の場合には、プリントサーバ20にWebDAVを適用してもよい。
【0023】
CPU201は、ROM202又はHDD204に記憶されたコンピューター読取可能な制御プログラムに基づいてシステムバス205に接続される各種のデバイスとのアクセスを統括的に制御する。ROM202は、CPU201によって実行される制御プログラム等を記憶する非一過性の記憶媒体の一例である。RAM203は、主としてCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。HDD204は、ブートプログラム、各種のアプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、及び編集ファイル等を記憶する不揮発性の記録装置である。なお、本実施形態ではHDD204を用いたが、HDD204の他にSDカードや、フラッシュメモリなどの外部記憶媒体を利用してもよい。
【0024】
プリンタI/F206は、印刷処理を実行する機構であるプリントエンジン210への画像データ出力を制御する。プリントエンジン210は、電子写真方式やインクジェット記録方式等により、入力された画像データに基づいて印刷処理(記録材へのトナー、インク等の色材の転写)を実行する。プリントエンジン210は複数のセンサ211を備え、複数のセンサ211により画像形成装置10内の不図示の駆動装置やアクチュエータ等の状態を検知し、検知データをプリンタI/F206へ出力する。
【0025】
センサ211は、光学センサ、温度センサ、湿度センサ、電圧計、電流計、加速度センサ、エンコーダ、イメージセンサなどである。プリンタI/F206は、センサ211からアナログ信号が入力された場合に当該アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備えていてもよい。
【0026】
なお、画像形成装置10には、画像形成装置10に取り付けられた扉の開閉を検知する不図示の扉開閉検知センサや、給紙トレイの引き出し/収納を検知するトレイ引き出し検知センサ等が設けられている。例えば、扉開閉検知センサが扉開を検知、又はトレイ引き出し検知センサがトレイ引き出しを検知しているときには、プリントエンジン210は印刷処理を実行しない。このような扉開閉検知センサやトレイ引き出し検知センサ等の、プリントエンジン210の動作に影響するセンサは、センサ211に含めるものとする。
【0027】
操作部I/F207は、操作表示部220が備える表示部222の表示制御、及び入力部221で設定される各種設定情報の入力を制御する。例えば、操作表示部220は、表示部222として液晶表示パネル、及び入力部221としてタッチセンサを備える。音声入出力I/F208は、不図示のマイクロフォン、スピーカ、及びヘッドセット等の音声入出力装置との音声入出力を制御する。
【0028】
ネットワークI/F209は、プリントエンジン210へ出力するための画像データ、及び印刷制御に必要な情報(印刷設定)を、ネットワーク60を介してプリントサーバ20(
図1)から受信する。
【0029】
なお、画像形成装置10とプリントサーバ20を専用線で接続し、画像形成装置10がネットワーク60との通信を行う場合には、プリントサーバ20を中継して行うようにしてもよい。また、専用線を用いる場合、画像形成装置10及びプリントサーバ20がそれぞれ、印刷制御に必要な情報を通信するための制御系I/F(図示略)、印刷する画像データを通信するための画像データ系I/F(図示略)を備えてもよい。
【0030】
画像形成装置10において、CPU201は、プリンタI/F209を介して複数のセンサ211の検知データを取得し、稼働ログデータとしてHDD204に保存する。そして、CPU201は、画像形成装置10の稼働ログデータを、ネットワークI/F209及びネットワーク60,70を介して情報処理装置40へ送信する。
【0031】
[プリントサーバのハードウェア構成]
図3は、プリントサーバ20のハードウェア構成例を示すブロック図である。プリントサーバ20は、投入された印刷ジョブの解析、画像データへの展開処理など印刷処理実行に必要な処理を行う。プリントサーバ20は、CPU301、ROM302、RAM303、ハードディスク(HDD)304、及びネットワークI/F306を備える。各デバイスは、システムバス305によって接続される。
【0032】
CPU301は、ROM302又はHDD304に記憶されたコンピューター読取可能な制御プログラムに基づいてシステムバス305に接続される各種のデバイスとのアクセスを統括的に制御する。ROM302は、CPU301によって実行される制御プログラム等を記憶する非一過性の記憶媒体の一例である。RAM303は、主としてCPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。HDD304は、ブートプログラム、各種のアプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、印刷ジョブデータ等を記憶する。なお、本実施形態ではHDD304を用いたが、HDD304の他にSDカードや、フラッシュメモリなどの外部記憶媒体を利用してもよい。
【0033】
ネットワークI/F306は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク60とデータ通信を行う。ネットワークI/F306は、印刷制御に必要な情報(印刷設定)、及びプリントエンジン210から出力する画像データを、画像形成装置10(
図1)へ送信する。
【0034】
なお、上述のとおり、プリントサーバ20は、画像形成装置10とネットワーク60との通信を中継するようにしてもよい。このとき、プリントサーバ20において、画像形成装置10とのデータ通信は制御系I/Fが行い、ネットワーク60とのデータ通信はネットワークI/Fがそれぞれ行う。
【0035】
[生産性管理端末のハードウェア構成]
図4は、生産性管理端末30のハードウェア構成例を示すブロック図である。生産性管理端末30は、CPU401、ROM402、RAM403、ハードディスク(HDD)404、キーボードI/F406、ディスプレイI/F407、画像入力I/F408、音声入出力I/F409、及びネットワークI/F410を備える。各デバイスは、システムバス405によって接続される。
【0036】
CPU401、ROM402、RAM403、及びHDD404の機能は、プリントサーバ20の対応するデバイスの機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
キーボードI/F406は、キーボード420や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディプレイI/F407は、ディスプレイ430の表示を制御する。画像入力I/F408は、カメラ等の画像入力装置440からの画像入力を制御する。音声入出力I/F409は、不図示のマイクロフォン、スピーカ、及びヘッドセット等の音声入出力装置の音声入出力を制御する。
【0038】
ネットワークI/F410は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク60とデータ通信を行う。なお、上述のとおり、生産性管理端末30は、画像形成装置10との通信はプリントサーバ20を中継して行う構成としてもよい。
【0039】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図5は、情報処理装置40のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置40は、CPU501、ROM502、RAM503、ハードディスク(HDD)504、及びネットワークI/F506を備える。各デバイスは、システムバス505によって接続される。
【0040】
CPU501、ROM502、RAM503、及びHDD504の機能は、プリントサーバ20の対応するデバイスの機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
ネットワークI/F506は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク70とデータ通信を行う。なお、上述したように、ネットワーク60とネットワーク70は、一つのネットワークでもよい。また、情報処理装置40は、画像形成装置10との通信はプリントサーバ20を中継して行う構成としてもよい。
【0042】
[現場端末のハードウェア構成]
図6は、現場端末50のハードウェア構成例を示すブロック図である。現場端末50は、CPU601、ROM602、RAM603、ハードディスク(HDD)604、タッチパネルI/F606、ディスプレイI/F607、画像入力I/F608、音声入出力I/F609、及びネットワークI/F610を備える。各デバイスは、システムバス605によって接続される。
【0043】
CPU601、ROM602、RAM603、及びHDD604の機能は、生産性管理端末30の対応するデバイスの機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
タッチパネルI/F606は、ディスプレイ630に積層されたタッチパネル620からのタッチ入力を制御する。ディプレイI/F607は、ディスプレイ630の表示を制御する。画像入力I/F608は、カメラ等の画像入力装置640からの画像入力を制御する。音声入出力I/F609は、不図示のマイクロフォン、スピーカ、及びヘッドセット等の音声入出力装置の音声入出力を制御する。
【0045】
ネットワークI/F610は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク60とデータ通信を行う。
【0046】
なお、現場端末50のハードウェア構成は、生産性管理端末30のハードウェア構成と同様にしてもよい。例えば、現場端末50としてノート型パソコンを使用し、入力装置がタッチパネル620ではなく、キーボード420やマウスデバイスでもよい。
【0047】
[画像形成装置の機能構成]
図7は、画像形成装置10の機能構成例を示すブロック図である。画像形成装置10のプリントコントローラ200は、印刷画像生成部701、印刷指示部702、表示制御部703、入力制御部704、稼働ログデータ収集部705、及び稼働ログデータ出力部706を備える。これらの機能は、
図2に示した画像形成装置10のCPU201が、ROM202に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0048】
印刷画像生成部701は、印刷原稿ファイルと印刷設定を基に、プリントエンジン210の印刷処理動作に必要な画像データを生成する。
印刷指示部702は、プリントエンジン210に印刷設定と画像データを出力し、印刷実行を指示する。
【0049】
表示制御部703は、画像形成装置10の状態(印刷可/不可、色調整処理中、消耗材残量等)、給紙トレイの状態等を、表示部222に表示する制御を行う。
入力制御部704は、入力部221に対するユーザーの操作に応じた入力信号を受け付けて、印刷設定の変更、色調整の実行指示、印刷中止、印刷再開指示等を行う。
【0050】
稼働ログデータ収集部705は、複数のセンサ211を含む画像形成装置10内のセンサの検知データや、アクチュエータの動作データ等を収集し、稼働ログデータとして画像形成装置10のRAM203又はHDD204に保存する。稼働ログデータは、センサなどに基づくジョブ実行中の単発的なエラーデータや画質異常データだけではなく、画像形成装置10の稼働履歴(電源オン/オフや動作履歴、ユーザー操作履歴)及び関連情報の全部を含む。例えば、稼働ログデータ収集部705は、稼働履歴及び関連情報として、操作表示部220のパネル操作のログデータ、給紙トレイの引き出し/収納のログデータ、給紙トレイに収納されている記録材についての情報、印刷開始/中断/終了時のログデータ、画像形成装置10本体の扉や不図示の後処理装置の扉を開け閉めした時のログデータ、等を収集する。
【0051】
稼働ログデータ出力部706は、稼働ログデータ収集部705により保存された稼働ログデータを、ネットワーク60,70を介して情報処理装置40へ出力する。
【0052】
[プリントサーバの機能構成]
図8は、プリントサーバ20の機能構成例を示すブロック図である。プリントサーバ20は、印刷原稿ファイル保存部801、印刷設定保存部802、印刷ジョブ管理部803、及びデータ中継部804を備える。これらの機能は、
図3に示したプリントサーバ20のCPU301が、ROM302に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0053】
印刷原稿ファイル保存部801は、不図示のユーザー端末からジョブ管理アプリケーション(プリントドライバ)により送信された印刷原稿ファイルを、HDD304に保存する。
印刷設定保存部802は、印刷原稿ファイル保存部801により保存された印刷原稿と、画像データ生成及び印刷処理に必要な印刷設定とを紐づけて、HDD304に保存する。
【0054】
印刷ジョブ管理部803は、ユーザー端末から受け付けた印刷ジョブデータを管理する。具体的には、HDD304に保存された印刷ジョブデータの呼び出しや、ユーザー端末による印刷ジョブ設定変更の反映、印刷済みジョブの履歴管理などの処理を行う。
【0055】
データ中継部804は、ネットワークI/F306で受信したデータを解析する。そして、データ中継部804は、画像形成装置10とネットワーク60との間で中継すべきデータがあると判定した場合に、そのデータを中継するよう制御する。
【0056】
[生産性管理端末の機能構成]
図9は、生産性管理端末30の機能構成例を示すブロック図である。生産性管理端末30には、生産性管理アプリケーション900がインストールされている。生産性管理アプリケーション900は、生産性管理に関する情報を閲覧するためのブラウザであり、入力受付部901、情報取得部902、及び情報表示部903を備える。これらの機能は、
図4に示した生産性管理端末30のCPU401が、ROM402に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0057】
入力受付部901は、生産性管理マネージャによるキーボード420等に対する操作を受け付けるインターフェースを備える。例えば、入力受付部901は、以下の画像形成装置10の生産性に関する情報の表示要求を受け付ける。画像形成装置10の生産性に関する情報には、例えば、生産性監視状況(分析概略)、分析詳細、生産性改善情報などがある。
【0058】
生産性監視状況(分析概略)は、生産性の変化などに関する情報であり、稼働ログデータの分析結果(後述する
図12、
図14に)に相当する。また、生産性改善情報は、生産性の改善などに関する情報であり、稼働ログデータの分析結果(後述する
図12、
図14に)に相当する。分析詳細は、生産性低下情報、提案概要の根拠などであるが、図示及び説明を省略する。なお、
図14に示すように、本実施形態に係る稼働ログデータの分析結果画面1400には、「提案概要」に示した改善策の実施の有無を表す実施確認欄1401が表示される。
【0059】
情報取得部902は、入力受付部901で受け付けたユーザー操作等に基づいて、情報処理装置40から画像形成装置10の生産性に関する情報を取得する。
【0060】
情報表示部903は、表示要求に基づいて、情報取得部902が情報処理装置40から取得した画像形成装置10の生産性に関する情報をディスプレイ430に表示する。
【0061】
[情報処理装置の機能構成]
図10は、情報処理装置40の機能構成例を示すブロック図である。情報処理装置40は、稼働ログデータ取得部1010、稼働ログ分析部1020、及び分析結果出力部1030を備える。また、情報処理装置40は、改善実施データ取得部1040、改善実施データ集計部1050、及び改善実施結果出力部1060を備える。これらの機能は、
図5に示す情報処理装置40のCPU501が、ROM502に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0062】
稼働ログデータ取得部1010は、画像形成装置10から稼働ログデータを取得し、HDD504に保存する処理を行う。稼働ログデータ取得部1010は、ネットワーク60に接続している1以上の画像形成装置10から稼働ログデータを数msecなど所定の時間間隔で収集する。
【0063】
稼働ログ分析部1020は、HDD504に保存されている画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて生産性向上のための改善策を決定(提案)する。また、稼働ログ分析部1020は、上記改善策を実行することで得られる効果を計算する。稼働ログ分析部1020は、稼働ログデータ取得部1010のバックグラウンドで分析処理を実行する。稼働ログ分析部1020は、対象装置特定部1021、要因特定部1022、及び提案決定部1023を備える。
【0064】
対象装置特定部1021は、1以上の画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて画像形成装置10の分析結果の値を基準値と比較して、生産性が低下している画像形成装置10、改善が必要な画像形成装置10(改善対象装置)を特定する処理を行う。基準値は、所定の比較単位(週単位、日単位、マシン単位、工場全体、それらの組合せ)の稼働率や中断時間等の平均値である。また、基準値は、予め設定した固定値でもよい。
【0065】
要因特定部1022は、生産性が低下し改善が必要な画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて、画像形成装置10の生産性を低下させている要因を特定する処理を行う。
【0066】
提案決定部1023は、改善が必要な画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて、画像形成装置10の生産性を低下させている要因に対する改善策を決定する処理を行う。このとき、提案決定部1023は、分析結果に基づいて、決定した改善策の根拠を特定し、その根拠を改善策とともに分析結果出力部1030へ出力する。なお、稼働ログデータの分析結果に基づく改善策の内容は、予め設定及び登録してHDD504に記録しておいてもよいし、ニューラルネットワークなどの機械学習を用いて適宜更新する構成としてもよい。
【0067】
分析結果出力部1030は、稼働ログ分析部1020の分析結果(分析結果のみ又は改善策も含む)を生産性管理端末30へ出力する処理を行う。このとき、分析結果出力部1030は、改善実施データ取得部1040が取得した改善実施データに基づいて、改善策の実施の有無を表す実施確認欄1401(後述する
図14参照)を、分析結果画面1400の各分析結果レポート1210~1230に付与する。
【0068】
改善実施データ取得部1040は、ネットワーク60を介して現場端末50(
図1)から改善策の実施実績(実施の有無及び実施内容)を表す改善実施データを取得し、HDD404に保存する処理を行う。作業員が現場端末50を操作して改善策の実施実績を表す情報が入力されると、現場端末50からそれらの情報を含んだ改善実施データが送信される。改善実施データ取得部1040は、現場端末50に対して改善実施データを数secなどの所定の時間間隔で収集するようにしてもよい。
【0069】
改善実施データ集計部1050は、改善実施データ取得部1040が取得した改善実施データ(改善策の実施実績)を集計し、集計結果を改善実施結果出力部1060に送信する。なお、以下の説明では、改善策の実施実績を「改善実績」とも記載する。
【0070】
改善実施結果出力部1060は、改善実施データ集計部1050から入力された改善実施データの集計結果に基づいて、レポート出力設定画面1800,1800A(後述する
図18、
図19)のデータを作成して生産性管理端末30に出力する。なお、印刷会社のオペレーターが現場端末50を使用する場合、改善実施結果出力部1060は、レポート出力設定画面1800,1800Aのデータを現場端末50に出力するようにしてもよい。
【0071】
[現場端末の機能構成]
図11は、現場端末50の機能構成例を示すブロック図である。現場端末50には、改善実施アプリケーション1100がインストールされている。改善実施アプリケーション1100は、改善策を表示するとともに、現場の作業員が実施した改善策を入力及び記録するブラウザであり、入力受付部1101、情報取得部1102、情報表示部1103、及び改善実施データ出力部1104を備える。これらの機能は、
図6に示した現場端末50のCPU601が、ROM602に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0072】
入力受付部1101は、作業員によるタッチパネル620等に対する操作を受け付けるインターフェースを備える。例えば、入力受付部1101は、生産性が低下した画像形成装置10に対する改善策の表示要求や、後述する現場の作業員が実施した改善策の入力を受け付ける。
【0073】
情報取得部1102は、入力受付部901で受け付けた作業員の操作等に基づいて、情報処理装置40から対象の画像形成装置10に対する改善策の情報を取得する。
【0074】
情報表示部1103は、情報取得部1102が情報処理装置40から取得した改善策の情報を、ディスプレイ630に表示する。このとき、ディスプレイ630には、改善策とともに、改善策の実施の有無を入力する欄(実施確認欄1401(
図14))が表示される。なお、改善策は、作業員の表示要求がなくても、情報処理装置40が現場端末50に改善策を自発的に送信し、情報処理装置40から受信した改善策を情報表示部1103が表示するようにしてもよい。
【0075】
改善実施データ出力部1104は、入力受付部1101が受け付けた現場の作業員が実施した改善策の情報(改善実績)を、改善実施データとしてネットワーク60を介して情報処理装置40に送信する。
【0076】
[稼働ログデータの分析結果画面]
次に、生産性管理端末30に表示される画像形成装置10の稼働ログデータに対する分析結果を表す画面について
図12を参照して説明する。ここでは、分析結果を表す画面として、改善アクション提案リストを表示する分析結果画面について説明する。
【0077】
図12は、生産性管理端末30に表示される画像形成装置10の稼働ログデータに対する分析結果画面の例を示す。生産性管理マネージャが、
図9に示した生産性管理アプリケーション900(ブラウザ)を起動させてログインすると、生産性管理端末30が情報処理装置40にアクセスし、トップ画面に分析結果画面1200が表示される。
【0078】
分析結果画面1200には、11/08(日)~11/14(土)(第45週)の分析結果レポート1210、10/25(日)~10/31(土)(第44週)の分析結果レポート1220、及び10/18(日)~10/24(土)(第43週)の分析結果レポート1230が表示されている。分析結果が週単位で表示されているが、分析対象期間はこの例に限らない。第45週の分析結果レポート1210は3個の分析結果(レコード)を有し、第44週の分析結果レポート1220は2個の分析結果(レコード)を有する。また、第43週の分析結果レポート1230は3個の分析結果(レコード)を有する。
【0079】
図12の例では、分析結果レポート1210~1230の各レコードは、「提案」、「提案種類」、「分析分類」、「想定効果」、「提案概要」の各フィールドから構成されている。分析結果レポートは、提案概要を一覧表示する改善アクション提案リストの一例である。
【0080】
「提案」は、一目見て提案内容がわかるようにピクトグラム等の図記号(
図13の図記号1301,1302)を示す。提案には、大きく分けて生産性向上のための「改善アクション」、及び、「分析・発見」の2つの提案(レポート)がある。
「提案種類」は、「提案」の欄に示された提案内容の種類(
図13の図記号1303~1306)を示す。
「分析分類」は、分析によって特定した生産性低下の要因の分類(
図13の図記号1307~1309)を示す。
【0081】
「想定効果」は、改善アクションを実施することで想定される効果を示す。想定効果は、“〇〇分/日”又は“○○分/週”という表記で、一日又は一週間に生産性が何分向上される見込みがあるかを表す。“〇〇分/日”又は“○○分/週”は、画像形成装置10の稼働実績によって可変する。
【0082】
「提案概要」は、改善アクションや分析・発見の提案(レポート)の概要を示す。提案概要では、特定のマシン(例:印刷会社が保有している画像形成装置の中の一台)に対して、生産性を下げている要因に関するどのような改善提案(例:オペレーション改善、装置構成変更等)があるかを示す。生産性を下げている要因として、例えば印刷中断時間、印刷準備時間、印刷時間などがある。「特定のマシン」、「生産性を下げている要因」、「どのような改善」の内容は、画像形成装置10の稼働実績によって可変する。
【0083】
[図記号の凡例]
ここで、分析結果画面に表示される図記号の凡例について
図13を参照して説明する。
図13は、分析結果画面に表示される図記号の凡例を示す。なお、この図記号は分析結果画面以外、例えば不図示の分析結果の詳細を表す画面で使用されてもよい。
(提案)
図記号1301は、豆電球を表した絵であり、改善アクション(改善策)の提案又はレポートを示す。
図記号1302は、虫眼鏡を表した絵であり、分析・発見の提案又はレポートを示す。
【0084】
(提案種類)
図記号1303は、人を表した絵であり、オペレーションに関する提案又はレポートを示す。
図記号1304は、印刷機を表した絵であり、機械に関する提案又はレポートを示す。
図記号1305は、段ボールを表した絵であり、マテリアルに関する提案又はレポートを示す。
図記号1306は、マネジメントサイクルを表した絵であり、方法・プロセスに関する提案又はレポートを示す。
図記号1303~1306は、業務の実施で使用されるリソース、いわゆる生産の4要素(Man、Machine、Material、Method)を表している。
【0085】
(分析分類)
図記号1307は、印刷機と砂時計を表した絵であり、印刷中断時間に関する提案又はレポートを示す。
図記号1308は、電源スタンバイと砂時計を表した絵であり、稼働時間に関する提案又はレポートを示す。
図記号1309は、手差しトレイと砂時計を表した絵であり、印刷準備時間に関する提案又はレポートを示す。
【0086】
例えば、
図12に示した第43週の分析結果レポート1230の1行目のレコードには、「提案」として改善アクションの提案(図記号1301)が記載されている。「提案種類」はオペレーションに関する提案(図記号1303)であり、「分析分類」は印刷中断時間(図記号1307)に関する提案である。「想定効果」には170分/週と記載されている。そして、「提案概要」に、「[第43週]B/W1号機は、“排紙トレイフル”発生後の印刷再開時間を改善することで、週あたり約170分短縮できる可能性があります。」というメッセージが示されている。B/W1号機は、印刷会社内で使用されるマシン(印刷機)の通称であり、マシンAなど他の呼称や記号でもよい。
【0087】
同様に、分析結果レポート1230の2行目のレコードには、「提案」として改善アクションの提案(図記号1301、符号図示省略)が記載されている。分析結果レポート1230の3行目のレコードには、「提案」として分析・発見の提案(図記号1302、符号図示省略)が記載されている。
【0088】
分析結果レポート1230の1行目のレコードでは、印刷中断時間に関する提案であったが、印刷時間など他の項目に関する提案であってもよい。例えば、印刷時間(稼働時間:図記号1308)に関して改善アクションを提案する場合には、「印刷時間が短く稼働率が低いので、もっと印刷しましょう。」、「マシン間や週単位/月単位で印刷時間のバラツキがあるから平準化しましょう。」といった提案が可能である。また、印刷準備時間(図記号1309)に関して改善アクションを提案する場合には、「予め○○を用意して印刷準備時間を短縮しましょう。」といった提案が可能である。さらに、「週単位/月単位で印刷時間に何らかの傾向がみられる。」というような、生産性に関係する何らかの傾向が存在することを示唆した分析結果(図記号1302)を表示することも考えられる。
【0089】
分析結果の詳細を確認したい場合には、分析結果のリストから確認したい提案(任意の一行)を選択すると、該当提案の提案根拠や改善アクションの詳細が表示されるようにしてもよい。
図12の例では、分析結果の任意の行(レコード)にポインタの位置を合わせてマウスデバイスをクリック操作することで、不図示の分析結果の詳細を示す詳細画面に遷移する。
【0090】
なお、本発明は現場における改善アクションの実施の有無や実施内容を確認することであり、稼働ログデータの分析処理や分析結果(提案根拠、より詳細な分析項目など)にはないため、分析処理や分析結果(提案根拠など)については詳細な説明を省略する。
【0091】
[実施確認欄ありの分析結果画面]
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置10の稼働ログデータに対する実施確認欄ありの分析結果画面について
図14を参照して説明する。
【0092】
図14は、実施確認欄ありの分析結果画面の例を示す図である。図示する分析結果画面1400では、
図12に示した分析結果画面1200の分析結果レポート1210~1230のそれぞれに、実施確認欄1401が付与されている。実施確認欄1401は、分析結果レポート1210~1230の各レコードの先頭(図中、左側)に追加されている。実施確認欄1401にはチェックボックスが表示され、作業員は、タッチパネル620(
図6)によりチェックボックスにチェックマークを入力することで、実際に実施した改善アクションを選択することができる。
図14では、分析結果レポート1210の1行目に提案された改善アクションと、分析結果レポート1230の1行目及び3行目に提案された改善アクションが選択されている。
【0093】
このように、本実施形態では、分析結果レポート(改善アクション提案リスト)に対して、現場の作業員が実際に実施した改善アクションにチェックを入れて、実施した改善アクションの記録を残せるようにしている。なお、本実施形態では、チェックマークを採用しているが、作業員が実施した改善アクションの記録を残せればよく、○印などの他の記号による選択、色や枠などによる強調表示などでもよい。
【0094】
[実施内容記載ウィンドウ]
上記の分析結果レポートにおいて任意のレコードを選択することで、選択したレコードに記載された改善アクションに対する実施内容の詳細を入力する画面(実施内容記載ウィンドウ)に遷移する。情報処理装置40の分析結果出力部1030は、現場端末50において改善アクションを提案した任意のレコードが選択されたことを検知すると、実施内容記載ウィンドウを現場端末50に表示させる。以下、実施内容記載ウィンドウについて説明する。
【0095】
図15は、実施内容記載ウィンドウの例を示す図である。分析結果レポート1230において、実施確認欄1401にチェックマークが表示された1行目と2行目のレコードのうち、ポインタ1510によって1行目のレコードが選択されている。そして、選択されたレコードに記載の改善概要(改善アクション)に対する実施内容記載ウィンドウ1500が表示される。本実施形態では、実施した(実施確認欄1401にチェックマークが表示されている)改善アクションが記載されたレコードをクリック操作して実施内容記載ウィンドウ1500を表示し、実施内容の詳細を入力することを可能とする。
【0096】
実施内容記載ウィンドウ1500は、実施した改善アクションの詳細を記載するためのインターフェースである。実施内容記載ウィンドウ1500に表示される実施内容は、改善アクションに応じて決定される。すなわち、実施内容には、改善アクションの内容に応じて予め用意されている実施項目が表示される。実施項目は、実施内容を端的に表す説明又は用語(キーワード)である。例えば、実施項目は、提案概要に対応する図示しない改善アクションの詳細から抽出される。作業員は、改善アクションの実施内容として、実施内容記載ウィンドウ1500に予め用意されている実施項目の中から実際に実施した実施項目を選ぶ。
【0097】
例えば、実施内容記載ウィンドウ1500では、第1の実施項目1501、第2の実施項目1502、及びテキスト入力が可能なテキスト入力欄1503が用意されている。第1の実施項目1501、第2の実施項目1502、及びテキスト入力欄1503のそれぞれに対して、チェックボックスが表示される。例えば、第1の実施項目1501として「排紙トレイ設定を振り返る」、第2の実施項目1502として「オペレーションを振り返る」が表示されている。
図15の例では、第1の実施項目1501にチェックマークがつけられている。改善実施データ出力部1104は、この第1の実施項目1501の情報を情報処理装置40に送信する。
【0098】
なお、情報表示部1103は、実施内容記載ウィンドウ1500を表示した後に分析結果レポート1230を消去してもよいし、分析結果レポート1230と実施内容記載ウィンドウ1500を並べて表示してもよい。
【0099】
図16は、実施内容記載ウィンドウ1500のテキスト入力欄1503に自由記述した例を示す図である。作業員は、テキスト入力欄1503のチェックボックスにチェックマークをつけることで、テキスト入力欄1503に実施内容や補足事項等を文章で自由に記述することが可能である。
図16では「大容量排紙トレイを追加設置した。」と記述されている。
【0100】
このように、本実施形態では、作業員が分析結果レポート(改善アクション提案リスト)の該当する改善アクションにチェックを入れる(選択する)だけで、作業員が実施した改善アクションを入力及び記録することができる。また、本実施形態では、作業員が改善アクションの実施内容を、用意された実施項目の中から選ぶ、及び、テキスト入力欄1503に実施内容等を自由に記述するという二つの方法で記載することができる。それにより、作業員は、改善アクションの実施内容を容易に記載(記録)することができる。
【0101】
逆に、分析結果レポートの該当行(該当レコード)、あるいは実施確認欄1401の該当行を選び、表示された実施内容記載ウィンドウ1500で該当する実施項目を選択したり、テキストを入力したりすることにより、該当レコードの実施確認欄1401に実施済みの印(チェックマーク)が表示されるようにしてもよい。
【0102】
なお、入力受付部1101又は改善実施データ出力部1104は、実施内容記載ウィンドウ1500で実施内容が記載(実施項目選択、テキスト記述)されていない場合には、実施内容が記載されていない旨を表示してもよい。これにより、作業員に実施内容を記載するように促すことができる。
【0103】
最後に、作業員は、分析結果画面に表示された不図示の確定ボタンを押下することで、実施した改善アクションの選択、及び実施内容の記載を確定し、情報処理装置40に記録する。分析結果画面を閉じることで、上記の入力内容を自動的に確定するようにしてもよい。
【0104】
図17A~
図17Cは、実施内容記載ウィンドウ1500のテキスト入力欄1503に自由記述した他の例を示す図である。実施内容(チェックボックス)は、複数選択することも可能である。また、テキスト入力は、チェックした実施項目の詳細を記載してもよいし(一致する実施内容について補足で記載したい内容がある場合)、全く異なる実施内容を併記してもよい。
【0105】
図17Aは、実施内容記載ウィンドウ1500のテキスト入力欄1503において、第1の実施項目1501の詳細と、関連する実施内容とを併記した例である。テキスト入力欄1503の(1)には、第1の実施項目1501の詳細として「排紙トレイが排紙容量の小さいトレイに設定されていたため、設定を変更した。」と記載されている。また、テキスト入力欄1503の(2)には、第1の実施項目1501の詳細と関連して「大容量排紙トレイを追加設置した。」ことが記載されている。
【0106】
図17Bは、実施内容記載ウィンドウ1500のテキスト入力欄1503において、第2の実施項目1502の詳細を記載した例である。テキスト入力欄1503には、第2の実施項目1502の詳細として「排紙トレイのセンサに触れるように置かれていたダンボール板を撤去した。」と記載されている。
【0107】
図17Cは、実施内容記載ウィンドウ1500のテキスト入力欄1503において、第1の実施項目1501及び第2の実施項目1502それぞれの詳細を記載した例である。テキスト入力欄1503の(1)には、第1の実施項目1501の詳細として「排紙トレイが排紙容量の小さいトレイに設定されていたため、設定を変更した。」と記載されている。また、テキスト入力欄1503の(2)には、第2の実施項目1502の詳細として「排紙トレイのセンサに触れるように置かれていたダンボール板を撤去した。」と記載されている。
【0108】
[レポート出力設定画面]
本発明では、情報処理装置40の改善実施結果出力部1060(
図10)は、生産性管理端末30からの要求に基づいて、集計期間内の改善実施結果(改善実績)についてレポートを出力することが可能である。以下、生産性管理端末30に改善実施結果(改善実績)を表示するためのレポート出力設定画面について
図18を参照して説明する。
【0109】
図18は、レポート出力設定画面の例を示す図である。図示するレポート出力設定画面1800は、改善実績を表すとともに、レポートの出力形態を設定する画面である。レポート出力設定画面1800は、レポート期間1810、内容選択1820、出力形式1850、次月目標1860、及び出力ボタン1870を備える。
【0110】
レポート期間1810は、レポート出力設定画面1800におけるレポートの集計期間を設定する領域である。選択肢として、「週次」、「月次」、「四半期」、「半期」、「年次」がある。例えば、
図18では「月次」が選択され、レポート期間は“1/10/2020~31/10/2020”である。生産性管理端末30でレポート期間を設定すると、レポート期間設定が情報処理装置40へ送信され、情報処理装置40からレポート期間に応じた改善実施結果が生産性管理端末30へ送信される。
【0111】
内容選択1820は、改善実績を表す領域であり、レポート期間1810で設定された期間を含む。内容選択1820は、工程改善結果1830と改善実績1840を有する。生産性管理マネージャは、内容選択1820により、過去及び指定したレポート期間における改善アクションの実施実績と、レポート出力される内容を把握できる。
【0112】
工程改善結果1830は、改善アクション(図中、改善アクションを「工程」と表現)の実施結果を表す。工程改善結果1830は、「チェック欄」、「分析No.」、「分析分類」、「改善種類」、「改善施策の記録」の各フィールドを備える。
【0113】
「チェック欄」は、作業員が工程改善結果1830の気になるレコードをチェックする欄である。
「分析No.」は、
図14に示した分析結果レポートの各レコードを特定する識別子であり、実施された改善アクションがどの分析結果に対応するものであるかを示す。
「分析分類」は、
図14に示した分析結果レポートの分析分類と同じである。
「改善種類」は、改善アクションの実施内容の種類を示す。改善種類は、
図14に示した分析結果レポートの提案種類とほぼ対応しているが、対応しない場合もある。「分析分類」と「改善種類」に記載された図記号は、
図13に示した凡例に基づいている。
「改善施策の記録」は、実施された改善施策(改善アクションの実施内容に相当)を示す。
【0114】
工程改善結果1830の行(レコード)は、改善実施データ取得部1040が、現場端末50から実際に実施された改善アクションの情報を受信するたびに追加される。
工程改善結果1830において強調表示されている「分析No.」“XX0620XX 0021”及び“XX0620XX 0026”のレコードは、レポート期間1810で設定された期間内に実施された改善アクションを含むレコードを示している。ここでは、
図17Aの実施内容記載ウィンドウ1500に記載された実施内容に相当する改善施策が記録されている。よって、2つのレコードの「改善種類」には、機械に関する提案を表す図記号1304が表示されている。
「チェック欄」にチェックマークが付されたレコードは、その情報がレポートとして出力される。レポート期間に該当するレコードには、自動的にチェックマークが付される。また、生産性管理マネージャが気になる内容のレコードを選択することも可能である。また、一度付したチェックマークを外すことも可能である。
【0115】
改善実績1840は、レポート期間1810で設定された期間に、実施された改善アクションの集計結果を表す。ここでは、どのような改善を何回実施したかを表す。集計は、集計単位を週や月、年単位に設定して、又は集計期間を任意に選択して実行可能である。実施内容(実施項目)の選択やテキスト記述により、実施内容の項目や実施回数が増えていく。改善実績1840は、「実施内容」、「実施回数」の各項目を有する。
【0116】
「実施内容」は、レポート期間1810で設定された期間に実施された、改善アクションの実施内容である。この実施内容は、
図15~
図17に示した用意された実施項目、及びテキスト記述した実施内容から抽出された実施項目に相当する。
図18では、「実施内容」の例として、「排紙トレイ設定」、「用紙トレイ設定」、及び「設備投資」が表示されている。
【0117】
「実施回数」は、レポート期間1810で設定された期間に、改善アクションの実施内容を実施した回数を示す。
図18では、2020年10月の改善実績として、「排紙トレイ設定」、「用紙トレイ設定」、及び「設備投資」とともに、実施回数が“1”である例が示されている。
【0118】
工程改善結果1830及び改善実績1840それぞれの表示領域の右端には垂直スライドバーが表示されている。垂直スライドバーを移動させることで、表示範囲に収まらない工程改善結果1830のレコードや改善実績1840の実施内容を表示させることができる。
【0119】
出力形式1850は、改善実施結果のレポートの出力形式を設定する領域である。本実施形態では、レポートのファイル形式と、レポートの向き(縦長又は横長)を設定できる。ファイル形式の選択肢は、例えば“PDF”(Portable Document Format)と“CSV”(Comma-Separated Values)である。
図18では、“PDF”と“横”が選択された例が示されている。改善実施結果出力部1060(
図10)は、工程改善結果1830のチェックマークが付されたレコードと、レポート期間1810で設定された期間の改善実績1840の情報とを、改善実施結果のレポートとして出力する。
【0120】
なお、レポート出力設定画面1800の右上に表示された「表示設定」機能により、図示しないレポートの表示形態を設定できる。また、「プレビュー」機能により、出力されるレポートの内容や仕上がりを確認することができる。
【0121】
次月目標1860は、次月の目標が表示される領域である。例えば、
図18には、来月の目標としてマシン稼働率を“23%”、生産能力を“2200枚/時”とすることが表示されている。なお、ここでは、“次月目標”が表示されているが、対象期間はレポート期間1810に基づく期間としてもよいし、任意の期間に設定してもよい。例えば、レポート期間1810で“週次”が選択された場合には“次週目標”に変更し、集計単位も週単位に変更する。
【0122】
出力ボタン1870は、作業員がレポートの出力を指示するためのボタンである。生産性管理マネージャが出力ボタン1870に対しクリック操作すると、生産性管理アプリケーション900(
図9)は、現在のレポート出力設定画面1800に表示された情報をレポートとして出力処理する。例えば、生産性管理端末30の生産性管理アプリケーション900は、ディスプレイ430(
図4)にレポートを表示する。または、生産性管理端末30(生産性管理アプリケーション900)が画像形成装置10に対してレポートの印刷ジョブを出力してもよい。少なくともレポートには、内容選択1820内の工程改善結果1830のチェックマークが付されたレコード、及び、改善実績1840の内容が含まれる。
【0123】
[レポート出力設定画面の他の例]
次に、レポート出力設定画面の他の例について
図19を参照して説明する。
図19は、レポート出力設定画面の他の例を示す図である。
図19に示すレポート出力設定画面1800Aは、
図18に示したレポート出力設定画面1800と比較して、内容選択1820に改善効果1880の項目を有することが異なる。改善効果1880は、提案された改善アクションを実施することで得られた効果を示し、レポートに出力される。
図19では、稼働率が、9月は“17%”であったのが10月には“20%”となり、1か月で3%向上した例が示されている。このように、改善を実施して生じた効果を示すことで、生産性管理マネージャが改善効果を認識できるようにする。
【0124】
[改善アクションの実施内容を記録する処理]
次に、本発明の一実施形態に係る改善アクションの実施内容を記録する処理について
図20を参照して説明する。
【0125】
図20は、現場端末50により改善アクションの実施内容を記録する手順の例を示すフローチャートである。現場端末50のCPU601(
図6)が、ROM602又はHDD604に記録された制御プログラム(
図11の改善実施アプリケーション1100)を読み出して実行することにより、本フローチャートにおける各ステップの処理が実現される。
【0126】
前提として、現場端末50において、情報取得部1102が、情報処理装置40から画像形成装置10の稼働ログデータの分析結果を受信し、情報表示部1103は、
図14に示すような分析結果画面1400をディスプレイ630に表示する。そして、作業後、現場の作業員は、実施確認欄1401が付与された分析結果レポート(改善アクション提案リスト)を確認し、実施した改善アクションのチェックボックスにチェックマークを入力する(S1)。入力受付部1101は、チェックマークが入力されたかどうかを判定し(S2)、チェックマークが入力されない場合(S2のNO判定)には本フローチャートの処理を終了する。
【0127】
チェックマークが入力された場合(S2のYES判定)、情報表示部1103は、選択された改善アクションに応じて実施内容記載ウィンドウ1500(
図15~
図17)を表示する(S3)。
【0128】
次いで、作業員は、実施内容記載ウィンドウ1500を確認し、用意(表示)された実施内容(例えば第1の実施項目1501及び第2の実施項目1502)が実際の実施内容と一致するかどうかを判断する(S4)。
【0129】
そして、作業員は、用意された実施内容が実際の実施内容と一致すると判断した場合(S4のYES判定)には、一致する実施内容(実施項目)にチェックマークをつける(S5)。次いで、作業員は、上記の一致する実施内容について補足したい内容がある場合、テキスト入力欄1503に説明を記載する(S6)。
【0130】
また、作業員は、用意された実施内容が実際の実施内容と一致しないと判定した場合(S4のNO)には、テキスト記入用のチェックボックスにチェックマークを入力する(S7)。次いで、作業員は、用意されていない新たな実施内容を、テキスト入力欄1503に記載する(S8)。
【0131】
作業員は、選択した改善アクションに対して実施内容記載ウィンドウ1500に記載したい実施内容が他にもある場合、ステップS4の判断処理に戻ってステップS4~S8の処理を適宜実施する。また、作業員は、他に選択したい改善アクションがある場合、ステップS1の処理に戻ってステップS1~S8の処理を適宜実施する。
【0132】
ステップS6又はS8の処理後、入力受付部1101が上記実施内容の入力を検知すると、改善実施データ出力部1104は、選択された改善アクション及びその実施内容を、改善実施データとして情報処理装置40へ送信する(S9)。ステップS9の処理が終了後、本フローチャートの処理を終了する。
【0133】
[実施項目と実施回数を集計する処理]
次に、本発明の一実施形態に係る改善実施データから実施内容(実施項目)と実施回数を集計する処理について
図21を参照して説明する。
【0134】
図21は、情報処理装置40により改善実施データから実施内容(実施項目)と実施回数を集計する手順の例を示すフローチャートである。情報処理装置40のCPU501(
図5)が、ROM502又はHDD504に記録された制御プログラムを読み出して実行することにより、本フローチャートにおける各ステップの処理が実現される。
【0135】
前提として、情報処理装置40の改善実施データ取得部1040は、現場端末50から改善実施データを受信すると、改善実施データをHDD504に記録する。情報処理装置40において、改善実施データ集計部1050は、受信した改善実施データから、実施された改善アクションに対する実施内容から実施項目を抽出する(S11)。この実施項目は、
図20のステップS5において選択された実施内容(実施項目)に相当し、実施内容を端的に表す説明又は用語(ワード)である。続いて、改善実施データ集計部1050は、ステップS11で抽出した実施項目(リスト(1))を時系列でHDD504等に保存する(S12)。
【0136】
次いで、改善実施データ集計部1050は、テキスト入力欄1503にテキストで入力された実施内容から実施項目を抽出する(S13)。続いて、改善実施データ集計部1050は、ステップS13で抽出した実施項目(リスト(2))を時系列でHDD504等に保存する(S14)。
【0137】
そして、改善実施データ集計部1050は、集計期間(
図18のレポート期間1810)において、ステップS12,S14で保存した実施項目と同様の実施項目を、時系列に保存された実施項目(リスト(1)、(2))から抽出する処理を実行する(S15)。この実施項目のリスト(1),(2)は、
図18の工程改善結果1830に表示された複数のレコード(特に「改善施策の記録」)に相当する。
【0138】
次いで、改善実施データ集計部1050は、リスト(1),(2)に同様の実施項目が存在するかどうかを判定する(S16)。そして、改善実施データ集計部1050は、同様の実施項目が存在する場合(S16のYES判定)には、該当する実施項目のカウント値を“1”増やす(S17)。このカウント値が実施回数に対応する。すなわち、ステップS17の処理後、該当する実施項目の実施回数は“2”以上となる。
【0139】
一方、改善実施データ集計部1050は、同様の実施項目が存在しない場合(S16のNO判定)には、ステップS12又はS14で保存した新たな実施項目のカウント値を“1”とする(S18)。
【0140】
次いで、ステップS17又はS18の処理後、改善実施データ集計部1050は、設定された集計期間における集計が完了したかどうかを判定し(S19)、集計が完了していない場合(S19のNO判定)には、ステップS11へ戻って再度ステップS11~S18の処理を実行する。
【0141】
一方、改善実施データ集計部1050は、集計が完了した場合(S19のYES判定)、レポート出力時に設定された集計期間に合わせて実施項目のカウント値(実施回数)を取得し、改善実績1840を作成する(S20)。ステップS20の処理後、本フローチャートの処理を終了する。
【0142】
ステップS20の処理後、情報処理装置40は、改善実施結果出力部1060により改善実施結果のレポートを作成し、出力指示に従って当該レポートを生産性管理端末30へ送信する。これにより、生産性管理端末30に改善実施結果のレポートが表示され、生産性管理マネージャは、改善アクションの実施の有無や実施内容を把握することができる。
【0143】
以上のとおり、本発明の一実施形態に係る情報処理装置(情報処理装置40)は、画像形成装置10から得られる情報(例えば稼働ログデータ)を処理して生産性を管理する装置である。この情報処理装置は、画像形成装置の生産性を向上させる改善策(改善アクション)の中から実際に実施された改善策を取得する取得部(改善実施データ取得部1040)と、実施された改善策を記録する記録部(改善実施データ取得部1040、HDD504)と、当該記録部に記録されている、実施された改善策を出力する改善実施結果出力部(改善実施結果出力部1060)と、を備える。
【0144】
上記のように構成された本実施形態に係る情報処理装置によれば、実際に実施された改善策(改善アクション)を入力及び記録し、実際に実施された改善策を提示する仕組みを提供することにより、生産性管理マネージャが実際に実施された改善策を把握することができる。
【0145】
また、上記構成の情報処理装置は、現場の作業員に実際に実施した改善策を入力してもらう仕組み(実施した改善策(実施内容)にチェック、又は、テキスト入力)を提供することで、生産性管理マネージャは、改善ノウハウの蓄積や改善活動の効果を測るための記録として役立てることができる。
【0146】
また、本実施形態に係る情報処理装置では、作業員が使用する現場端末に、画像形成装置の生産性を向上させる改善策が提案された改善策提案リスト(分析結果レポート1210~1230)が表示される。情報処理装置の取得部(改善実施データ取得部1040)は、作業員によって改善策提案リストから選択された、実際に作業員が実施した改善策を現場端末から取得するように構成されている。
【0147】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置では、取得部(改善実施データ取得部1040)は、作業員が現場端末にテキスト入力した、当該作業員が生産性を向上させるために実施した内容を上記改善策として取得するように構成されている。
【0148】
上記構成の本実施形態に係る情報処理装置によれば、現場の作業員に対し、実際に実施した改善策(実施内容)を選択してもらう、又は、改善策の実施内容をテキストで入力してもらう仕組みを提供することができる。
【0149】
また、本実施形態に係る情報処理装置は、画像形成装置から稼働履歴情報(稼働ログデータ)を取得する稼働履歴取得部(稼働ログデータ取得部1010)と、その稼働履歴情報を分析し、分析結果から改善策を決定する分析部(稼働ログ分析部1020)と、改善策を作業員が使用する現場端末に出力する改善策出力部(分析結果出力部1030)と、を備える。
【0150】
上記構成の本実施形態に係る情報処理装置によれば、画像形成装置の稼働ログデータから生産性を下げる要因を特定し、生産性を向上させるための具体的な改善策(改善アクション)を出力する。そして、そして、現場端末の表示画面に具体的な改善策を表示することで、作業員が速やかに改善行動をとることができ、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0151】
<変形例>
なお、本発明は上述した一実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した一実施形態は本発明を分かりやすく説明するために情報処理装置40及び生産性管理システム1の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、一実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0152】
例えば、上述した一実施形態では、情報処理装置40が複数の画像形成装置10の稼働ログデータを収集して分析し、改善策の提案を行う構成を説明したが、情報処理装置40の稼働ログ分析機能を、生産性管理端末30が備えていてもよい。この場合、画像形成装置10の稼働ログデータを広域ネットワークであるネットワーク70へ出力しなくて済む。または、情報処理装置40の稼働ログ分析機能を、ネットワーク60又は70に接続された、図示しない他の情報処理装置が備えていてもよい。さらにまた、情報処理装置40の改善実施データ集計機能及びレポート作成機能を、生産性管理端末30が備えていてもよい。
【0153】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
【0154】
また、上述した一実施形態にかかる情報処理装置40の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1…生産性管理システム、 10,10A,10B,10C…画像形成装置、 20…プリントサーバ、 30…生産性管理端末、 40…情報処理装置、50…現場端末、 900…生産性管理アプリケーション、 901…入力受付部、 902…情報取得部、 903…情報表示部、 1010…稼働ログデータ取得部、 1020…稼働ログ分析部、 1030…分析結果出力部、 1021…対象装置特定部、 1022…要因特定部、 1023…提案決定部、 1040…改善実施データ取得部、 1050…改善実施データ集計部、 1060…改善実施結果出力部、 1100…改善実施アプリケーション、 1101…入力受付部、 1102…情報取得部、 1103…情報表示部、 1104…改善実施データ出力部、 1200…分析結果画面、 1210~1230…分析結果レポート、 1400…分析結果画面、 1401…実施確認欄、 1500…実施内容記載ウィンドウ、 1800,1800A…レポート出力設定画面、 1810…レポート期間、 1820…内容選択、 1830…工程改善結果、 1840…改善実績、 1880…改善効果