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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/40 20230101AFI20250326BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20250326BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20250326BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20250326BHJP
   H04N 25/42 20230101ALI20250326BHJP
   H04N 25/703 20230101ALI20250326BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20250326BHJP
【FI】
H04N25/40
G02B7/28 N
G02B7/34
G03B13/36
H04N25/42
H04N25/703
H04N25/704
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022527552
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014668
(87)【国際公開番号】W WO2021241014
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2020090342
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 真一
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005443(JP,A)
【文献】特開2019-050486(JP,A)
【文献】特開2015-222885(JP,A)
【文献】特開2019-068351(JP,A)
【文献】特開2018-170768(JP,A)
【文献】特開2016-005189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/28-7/40
G03B3/00-3/12
13/30-13/36
21/53
H04N5/30-5/33
25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備え、
前記制御部は、明暗判定により明環境と判定した場合に、前記1垂直期間の読出として、前記第2読出と前記第1読出を行う
撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記明暗判定により暗環境と判定した場合には、前記1垂直期間の読出として、画像生成対象とする画素について、前記第1画素と前記第2画素の加算値を読み出すとともに前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値を読み出すことで、画像を構成する画素値と、位相差検波に用いる前記第1画素の値及び前記第2画素の値を得ることのできる第3読出が行われるようにする
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第3読出では、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値と、前記加算値は、垂直方向の複数のフォトダイオード分割画素の値の加算値として読み出される
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備え、
前記第1読出では、フォトダイオード分割画素の前記第1画素と前記第2画素の加算値が、3以上の自然数であるN本の水平ラインの周期における(N-1)本以下の水平ラインで垂直方向に加算されて読み出され、
前記第2読出では、前記第1読出で読出が行われない水平ラインのフォトダイオード分割画素から、前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出が行われる
撮像装置。
【請求項5】
水平ラインの周期としての上記N本の値は、明度に応じて変更される
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2読出では、前記第1画素と前記第2画素の加算値の読出と、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値の読出を行う
請求項1又は請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1読出により得られる前記加算値は、ライブビュー画像の生成に用いられる
請求項1又は請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備え、
前記撮像素子は、
射出瞳における所定方向において互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した一対の光束の一方を遮光する遮光部と他方の光束を受光する受光素子とを備えることにより瞳分割機能を有する遮光画素を有し、
前記制御部は、前記1垂直期間の読出として、前記遮光画素を読み出す第4読出が前記第2読出よりも先に行われるように制御し、
前記第4読出で得られた前記遮光画素の値を用いて位相差検波処理が行われる
撮像装置。
【請求項9】
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備え、
前記撮像素子は、
射出瞳における所定方向において互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した一対の光束の一方を遮光する遮光部と他方の光束を受光する受光素子とを備えることにより瞳分割機能を有する遮光画素を有し、
前記制御部は前記遮光画素を読み出す第4読出が行われるように制御し、
前記第4読出で得られた前記遮光画素の値を用いて位相差検波処理が行われ、
前記第2読出に基づく位相差検波処理の結果と、前記第4読出に基づく位相差検波処理の結果のうちで信頼度の高い方を用いてフォーカス制御を行う
撮像装置。
【請求項10】
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子を備えた撮像装置の撮像方法として、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、明暗判定により明環境と判定した場合に、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする
撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、位相差信号を出力する画素群を有する撮像素子を備えた撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置にはオートフォーカス制御を行うために被写体についてのフォーカス情報を取得する機能を備えたものがある。そのような撮像装置では、例えば焦点を検出するための画素を備えたものが知られている。
特許文献1では、撮像素子にて瞳分割された複数の像信号を読み出して焦点検出を行うとともに、複数の像信号を取得する読み出し行を制御することにより、撮像素子の蓄積時間または感度設定に応じて焦点検出画素の読み出し行を変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-81224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PD(Photodiode)分割方式による画素により、瞳分割された複数の像信号(画素値)を読み出すことができるが、その読出のためには、画像信号を生成するための通常の画素読出としてPD分割画素の分割された2つの画素の加算値を読み出している途中に、一部のPD分割画素については、加えて分割された一方の画素の読出を行うようにすることが知られている。加算値と、一方の画素とを読み出すことで、他方の画素値も算出でき、一方の画素と他方の画素の画素値により位相差検波が可能である。
このような読出を1垂直期間(「1V」とも表記する)中に行い、位相差検波によりAF制御を行う場合、AF動作を次の垂直期間に反映させることができないような応答の遅れが発生する場合がある。
そこで本技術では、PD分割画素を有する撮像素子の読出動作を工夫し、AF動作の応答性を低下させないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術に係る撮像装置は、フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備える。
フォトダイオード分割画素(PD分割画素)は、第1画素と第2画素の加算値を読み出すことで、画像生成に用いる画素となる。位相差検波のためには第1画素と第2画素の各値を得る読出を行う。この場合に、加算値を読み出す第1読出に先立って、位相差検波のための第2読出を行うようにする。
なお垂直期間とは垂直同期信号で規定される期間であり、画像の1フレーム期間である。
【0006】
上記した本技術の撮像装置においては、前記制御部は、明暗判定により明環境と判定した場合に、前記1垂直期間の読出として、前記第2読出と前記第1読出を行うことが考えられる。
シャッタースピード制御を含む自動露出制御により、明るい環境における撮像時にはフレームレートが高くなり、暗い環境における撮像時にはフレームレートが低くなる。フレームレートが高い状態で第2読出が第1読出に先立って行われるようにする。
【0007】
上記した本技術の撮像装置においては、前記制御部は、前記明暗判定により暗環境と判定した場合には、前記1垂直期間の読出として、画像生成対象とする画素について、前記第1画素と前記第2画素の加算値を読み出すとともに前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値を読み出すことで、画像を構成する画素値と、位相差検波に用いる前記第1画素の値及び前記第2画素の値を得ることのできる第3読出が行われるようにすることが考えられる。
フレームレートが低くなる暗い環境における撮像時には、第1読出に先だって第2読出を行うような読出ではなく、第3読出として、画素値と位相差検波のための値の両方を読み出す読出動作が行われるようにする。
【0008】
上記した本技術の撮像装置においては、前記第3読出では、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値と、前記加算値は、垂直方向の複数のフォトダイオード分割画素の値が加算されて読み出されることが考えられる。
暗環境では露光量が低下することで画素の値が低くなることに対応して、画素値の読出は垂直加算された値として読み出すようにする。
【0009】
上記した本技術の撮像装置においては、前記第1読出では、PD分割画素の前記第1画素と前記第2画素の加算値が、N本(Nは3以上の自然数)の水平ラインの周期における(N-1)本以下の水平ラインで垂直方向に加算されて読み出され、前記第2読出では、前記第1読出で読出が行われない水平ラインのPD分割画素から、前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出が行われることが考えられる。
第1読出では全水平ラインを読み出すのではなく、N本の水平ライン周期で、その(N-1)本について読出が行われる。つまり間引き読出が行われる。
【0010】
上記した本技術の撮像装置においては、水平ラインの周期としてのN本の値は、明度に応じて変更されることが考えられる。
第1読出、第2読出では間引きして読み出した画素の値から、画像生成及び位相差検波を行うが、その間引き率は明るさ条件に応じて変化させることができる。
【0011】
上記した本技術の撮像装置においては、前記第2読出では、前記第1画素と前記第2画素の加算値の読出と、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値の読出を行うことが考えられる。
第1画素と第2画素の加算値と、一方の画素の値を読み出せば、他方の画素の値も算出でき、第1画素の値と第2画素の値をそれぞれ求めることができる。
【0012】
上記した本技術の撮像装置においては、前記第1読出により得られる前記加算値は、ライブビュー画像の生成に用いられることが考えられる。
第1画素と第2画素の加算値として読み出される画素値は、比較的、解像度の低い画像であるライブビュー画像(スルー画とも呼ばれる、撮像モニタ用の画像)に用いられるようにする。
【0013】
上記した本技術の撮像装置においては、前記撮像素子は、射出瞳における所定方向において互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した一対の光束の一方を遮光する遮光部と他方の光束を受光する受光素子とを備えることにより瞳分割機能を有する遮光画素を有し、前記制御部は前記遮光画素を読み出す第4読出が行われるように制御し、前記第4読出で得られた前記遮光画素の値を用いて位相差検波処理が行われることが考えられる。
遮光画素は、例えば、遮光部によって射出瞳の左半部の領域とされた左側領域を通過した光のみが入射される画素と、遮光部によって射出瞳の右半分の領域とされた右側領域を通過した光のみが入射される画素の何れかとされる。
【0014】
上記した本技術の撮像装置においては、前記1垂直期間の読出として、前記第4読出が前記第2読出よりも先に行われるようにすることが考えられる。
第4読出としての遮光画素の読出と、第2読出が時分割で前後して行われるようにする。
【0015】
上記した本技術の撮像装置においては、前記第2読出に基づく位相差検波処理の結果と、前記第4読出に基づく位相差検波処理の結果のうちで信頼度の高い方を用いてフォーカス制御を行うことが考えられる。
遮光画素による位相差検波結果として算出されるデフォーカス量と、フォトダイオード分割画素による位相差検波結果として算出されるデフォーカス量とのいずれかを選択的に用いてフォーカス制御を行う。
【0016】
本技術に係る撮像方法は、フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子を備えた撮像装置の撮像方法として、フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする。
これにより第1読出と第2読出が時分割で、かつ第2読出が先に行われる撮像装置を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本技術の実施の形態の撮像装置の斜視図である。
図2】実施の形態の撮像装置の背面図である。
図3】実施の形態の撮像装置の構成のブロック図である。
図4】実施の形態の撮像装置のレンズ鏡筒内の構成の説明図である。
図5】実施の形態のPD分割画素を有する撮像素子の説明図である。
図6】軸上領域に配置されたPD分割画素の構成例の説明図である。
図7】比較例の読出動作の説明図である。
図8】第1の実施の形態の明環境での読出動作の説明図である。
図9】実施の形態の読出の様子の模式的な説明図である。
図10】第1の実施の形態の暗環境での読出動作の説明図である。
図11】第1の実施の形態の読出及びAF動作の制御のフローチャートである。
図12】実施の形態の露光量の算出に関する構成のブロック図である。
図13】実施の形態のFD加算とSF加算の説明図である。
図14】実施の形態の遮光画素とPD分割画素を有する撮像素子の説明図である。
図15】軸上領域に配置された遮光画素の構成例の説明図である。
図16】第2の実施の形態の明環境での読出動作の説明図である。
図17】第2の実施の形態の暗環境での読出動作の説明図である。
図18】第2の実施の形態の読出及びAF動作の制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について添付図面を参照しながら次の順序で説明する。
<1.撮像装置の構成>
<2.比較例の読出動作>
<3.第1の実施の形態の読出動作>
<4.第2の実施の形態の読出動作>
<5.まとめ及び変形例>
【0019】
<1.撮像装置の構成>
本実施の形態に係る撮像装置1の外観を図1図2に示す。
なお、以下の各例においては、被写体側を前方とし撮像者側を後方として説明を行うが、これらの方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関してこれらの方向に限定されることはない。
【0020】
撮像装置1は、図1及び図2に示すように、内外に所要の各部が配置されるカメラ筐体2と、カメラ筐体2に対して着脱可能とされ、前面部2aに取り付けられるレンズ鏡筒3とを備える。なお、レンズ鏡筒3がいわゆる交換レンズとして着脱可能とされるのは一例であり、カメラ筐体2から取り外せないレンズ鏡筒であってもよい。
【0021】
カメラ筐体2の後面部2bには、背面モニタ4が配置されている。背面モニタ4には、ライブビュー画像や記録した画像の再生画像などが表示される。
背面モニタ4は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスとされている。
背面モニタ4は、カメラ筐体2に対して回動可能とされている。例えば、背面モニタ4の上端部を回動軸として背面モニタ4の下端部が後方に移動するように回動可能とされている。
なお、背面モニタ4の右端部や左端部が回動軸とされていてもよい。更に、複数の軸回り方向に回動可能とされていてもよい。
【0022】
カメラ筐体2の上面部2cには、EVF(Electric Viewfinder)5が配置されている。EVF5は、EVFモニタ5aとEVFモニタ5aの上方及び左右の側方を囲むように後方に突出された枠状の囲い部5bを備えている。
EVFモニタ5aは、LCDや有機ELディスプレイ等を用いて形成されている。なお、EVFモニタ5aに代わって光学式ファインダ(OVF:Optical View Finder)が設けられていてもよい。
【0023】
後面部2bや上面部2cには、各種の操作子6が設けられている。操作子6としては、例えば、再生メニュー起動ボタン、決定ボタン、十字キー、キャンセルボタン、ズームキー、スライドキー、シャッターボタン6S(レリーズボタン)等である。
【0024】
各種の操作子6は、ボタン、ダイヤル、押圧及び回転可能な複合操作子など、各種の態様のものを含んでいる。各種の態様の操作子6により、例えば、メニュー操作、再生操作、モード選択/切換操作、フォーカス操作、ズーム操作、シャッタースピードやF値等のパラメータ選択/設定が可能とされる。
【0025】
このような撮像装置1の内部構成を図3に示す。また図4図3の一部の構成の配置例を示している。
【0026】
撮像装置1のカメラ筐体2の内外には、撮像素子7、カメラ信号処理部8、記録部9、表示部10、出力部11、操作部12、電源部13、カメラ制御部14、メモリ部15などが設けられている。
レンズ鏡筒3は、光学系16、ドライバ部17、鏡筒制御部18、操作部19、メモリ部20等を有して構成されている。
【0027】
光学系16は、入射端レンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ、集光レンズなどの各種レンズや、信号電荷が飽和せずにダイナミックレンジ内に入っている状態でセンシングが行われるようにレンズやアイリス(絞り)による開口量などを調整することで露光制御を行う絞り機構や、フォーカルプレーンシャッターなどのシャッターユニットを備えて構成されている。
なお、光学系16を構成する各部は一部がカメラ筐体2に設けられていてもよい。
【0028】
撮像素子7は、例えばCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型とされ、光学系16を介して入射された被写体からの光についての露光制御を行う。そして画素で光電変換した電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理やAGC(Automatic Gain Control)処理やA/D(Analog/Digital)変換処理を行う処理部を備えて構成されている。従って、撮像素子7は、デジタルデータとしての撮像画像信号を、カメラ信号処理部8やカメラ制御部14に出力する。
【0029】
撮像素子7のセンサ面は、複数の画素が2次元配列されたセンシング素子を有して構成されている。
図5に示すように、撮像素子7はPD分割画素21が行方向及び列方向にマトリクス上に配列されて成る。それぞれのPD分割画素21は、二つの分割画素によって構成される。
【0030】
PD分割画素21の構成を図6に模式的に示している。
PD分割画素21は、二つの分割画素、即ち、左側の分割画素とされた左PD40Lと右側の分割画素とされた右PD40Rと、その前方に配置された画素境界メタル41と、インナーレンズ32と、カラーフィルタ33と、オンチップマイクロレンズ34とを備えている。カラーフィルタ33は、赤(R)の分光感度を有するカラーフィルタ33Rと、緑(G)の分光感度を有するカラーフィルタ33Gと、青(B)の分光感度を有するカラーフィルタ33Bのいずれかとされる。なお、インナーレンズ32等が設けられていない構成例もある。
【0031】
図示するように、左PD40Lは、射出瞳EPの右瞳領域EPRを通過した光を受光する。右PD40Rは、左瞳領域EPLを通過した光を受光する。これにより、瞳分割機能を実現する。
【0032】
このようなPD分割画素21が、カラーフィルタ33の違いにより、図5のように、R画素、G画素、B画素として配列される。
例えば1つのPD分割画素21としてのG画素の場合、左PD40Lと右PD40Rの加算値として得られる信号が、1つのG画素の信号となる。また左PD40Lと右PD40Rの値により位相差検波を行うことができる。
【0033】
図3に戻って説明する。カメラ信号処理部8は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)などのデジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサや、マイクロコンピュータなどにより構成される。
【0034】
カメラ信号処理部8は、撮像素子7から送られてくるデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の信号処理を施す。
具体的には、R,G,Bの色チャンネル間の補正処理、ホワイトバランス補正、収差補正、シェーディング補正等の処理を行う。
また、カメラ信号処理部8は、R,G,Bの画像データから、輝度(Y)信号及び色(C)信号を生成(分離)するYC生成処理や、輝度や色を調整する処理、ニー補正やガンマ補正などの各処理を行う。
更に、カメラ信号処理部8は、解像度変換処理や記録用や通信用のための符号化を行うコーデック処理などを行うことによって最終的な出力形式への変換を行う。最終的な出力形式へ変換された画像データは、メモリ部15に記憶される。また、画像データが表示部10に出力されることにより、背面モニタ4やEVFモニタ5aに画像が表示される。更に、外部出力端子から出力されることにより、撮像装置1の外部に設けられたモニタ等の機器に表示される。
【0035】
カメラ信号処理部8は、位相差検波部8aを備えている。
位相差検波部8aは、PD分割画素21の左PD40Lと右PD40Rの出力信号から位相差検波を行う。そして位相差検波部8aは、検出した位相差情報に基づいてデフォーカス量を算出する。算出されたデフォーカス量は、鏡筒制御部18を介して光学系16が備えるフォーカスレンズの駆動に用いられることによりオートフォーカス(AF)機能に利用されてもよい。また、デフォーカス量は、被写体のフォーカス具合に関する情報をユーザに対して提示するために用いられてもよい。
【0036】
記録部9は、例えば不揮発性メモリからなり、静止画データや動画データ等の画像ファイル(コンテンツファイル)や、画像ファイルの属性情報、サムネイル画像等を記憶する。
画像ファイルは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の形式で記憶される。
記録部9の実際の形態は多様に考えられる。例えば、記録部9が撮像装置1に内蔵されるフラッシュメモリとして構成されていてもよいし、撮像装置1に着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記憶や読み出しのためのアクセスを行うアクセス部とで構成されていてもよい。また撮像装置1に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0037】
表示部10は、撮像者に対して各種の表示を行うための処理を実行する。表示部10は、例えば、背面モニタ4やEVFモニタ5aとされる。表示部10は、カメラ信号処理部8から入力される適切な解像度に変換された画像データを表示する処理を行う。これにより、レリーズのスタンバイ中の撮像画像である所謂スルー画を表示させる。
更に、表示部10は、カメラ制御部14からの指示に基づいて各種操作メニューやアイコン、メッセージ等、GUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上で実現させる。
また、表示部10は、記録部9において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させることが可能である。
【0038】
なお、本例においては、EVFモニタ5a及び背面モニタ4の双方が設けられているが、本技術の実施においてはこのような構成に限定されず、EVFモニタ5aと背面モニタ4の何れか一方のみが設けられていてもよいし、EVFモニタ5aと背面モニタ4の何れか一方或いは双方が着脱可能な構成とされていてもよい。
【0039】
出力部11は、外部機器とのデータ通信やネットワーク通信を有線や無線で行う。例えば、外部の表示装置、記録装置、再生装置等に対して撮像画像データ(静止画ファイルや動画ファイル)の送信を行う。
また、出力部11は、ネットワーク通信部として機能してもよい。例えば、インターネット、ホームネットワーク、LAN(Local Area Network)等の各種のネットワークによる通信を行い、ネットワーク上のサーバや端末等との間で各種データの送受信を行うようにしてもよい。
【0040】
カメラ筐体2に設けられた操作部12は、上述した各種操作子6だけでなく、タッチパネル方式を採用した背面モニタ4なども含んでおり、撮像者のタップ操作やスワイプ操作などの種々の操作に応じた操作情報をカメラ制御部14に出力する。
なお、操作部12は撮像装置1とは別体のリモートコントローラ等の外部操作機器の受信部として機能してもよい。
【0041】
電源部13は、例えば内部に充填したバッテリから各部に必要な電源電圧(Vcc)を生成し、動作電圧として供給する。
撮像装置1にレンズ鏡筒3が装着された状態においては、電源部13による電源電圧Vccがレンズ鏡筒3内の回路にも供給されるように構成されている。
なお、電源部13には、商用交流電源に接続したACアダプタにより変換されて入力される直流電圧を電源として、バッテリへの充電を行う回路や電源電圧Vccを生成する回路が形成されていてもよい。
【0042】
カメラ制御部14は、CPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)により構成され、撮像装置1の統括的な制御を行う。例えば、撮像者の操作に応じたシャッタースピードの制御や、カメラ信号処理部8における各種信号処理についての指示、ユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作、記録した画像ファイルの再生動作を行う。
カメラ制御部14は各種撮影モードの切り換え等を行う。各種撮影モードとは、例えば、静止画像撮影モード、動画撮影モード、静止画を連続的に取得する連写モードなどである。
【0043】
カメラ制御部14は、これらの機能に対するユーザの操作を可能とするためのユーザインタフェース制御部(UI制御部)14aを備えている。UI制御部14aは、撮像装置1に設けられた各操作子6に対する操作を検出する処理や、背面モニタ4に対する表示処理や操作検出処理等を行う。
【0044】
また、カメラ制御部14は、光学系16が備える各種のレンズを制御するために鏡筒制御部18に対する指示を行う。
例えば、AF制御のための必要な光量を確保するために絞り値を指定する処理や、絞り値に応じた絞り機構の動作指示などを行う。
【0045】
カメラ制御部14は、鏡筒制御部18を介して光学系16が備える各種レンズについての情報を取得可能とされている。レンズの情報としては、例えば、レンズの型番やズームレンズの位置やF値の情報、或いは、射出瞳位置の情報などが含まれる。また、カメラ制御部14は、光学系16が備える絞り機構の絞り値を取得可能とされている。
【0046】
メモリ部15は、カメラ制御部14が実行する処理に用いられる情報等を記憶する。図示するメモリ部15としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどを包括的に示している。
メモリ部15はカメラ制御部14としてのマイクロコンピュータチップに内蔵されるメモリ領域であってもよいし、別体のメモリチップにより構成されてもよい。
【0047】
メモリ部15のROMやフラッシュメモリ等には、カメラ制御部14が利用するプログラム等が記憶される。ROMやフラッシュメモリ等には、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムやファームウェア等が記憶される。
カメラ制御部14は、当該プログラムを実行することで、撮像装置1及びレンズ鏡筒3の全体を制御する。
【0048】
メモリ部15のRAMは、カメラ制御部14のCPUが実行する各種データ処理の際に用いられるデータやプログラム等が一時的に格納されることにより、カメラ制御部14の作業領域として利用される。
【0049】
レンズ鏡筒3の鏡筒制御部18は、例えば、マイクロコンピュータによって構成され、カメラ制御部14の指示に基づいて実際に光学系16の各種レンズを駆動するためにドライバ部17に対する制御信号の出力を行う。
なお、カメラ制御部14と鏡筒制御部18の間の情報通信は、レンズ鏡筒3がカメラ筐体2に装着された状態においてのみ可能とされていてもよいし、無線通信によりレンズ鏡筒3がカメラ筐体2に装着されていない状態で可能とされていてもよい。
【0050】
鏡筒制御部18は、光学系16が備える各種レンズの種類や駆動位置に基づいて射出瞳位置や射出瞳の瞳距離の情報をカメラ制御部14へ送信する。具体的には、メモリ部20としてのROMに記憶された情報から瞳距離に関する情報を取得し、カメラ制御部14へ送信する。
【0051】
ドライバ部17は、例えば、ズームレンズ駆動モータに対するモータドライバ、フォーカスレンズ駆動モータに対するモータドライバ、絞り機構を駆動するモータに対する絞り機構ドライバ等が設けられている。
各ドライバは鏡筒制御部18からの指示に応じて、駆動電流を対応する駆動モータに供給する。
【0052】
レンズ鏡筒3の操作部19は、レンズ鏡筒3側に設けられた操作子を示している。操作部19による操作情報は鏡筒制御部18に供給され、鏡筒制御部18を介してカメラ制御部14に通知される。
操作部19の操作に応じて、鏡筒制御部18による光学系16の動作制御や、カメラ制御部14による各種設定や動作制御が行われる。
【0053】
操作部19はレンズ鏡筒3とは別体のリモートコントローラ等の外部操作機器の受信部として機能してもよい。
【0054】
メモリ部20は、ROMやフラッシュメモリ等によって構成され、鏡筒制御部18が利用するプログラムやデータ等が記憶される。メモリ部20には、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や各種動作のためのアプリケーションプログラムやファームウェア等が記憶される。
また、メモリ部20に記憶される情報には、光学系16の射出瞳の瞳距離などの情報が含まれている。
【0055】
<2.比較例の読出動作>
ここで比較例として、PD分割画素21を有する撮像素子7からの画素値の読出を行う場合に、AF動作の応答が遅れるという事象を説明しておく。なお読出は、ローリングシャッター読出を行う場合とする。
【0056】
図5のように左PD40Lと右PD40Rを有するPD分割画素21が配列された撮像素子7の場合、各PD分割画素21では、画像生成のための通常画素信号を読み出すことができるだけでなく、左右のPDの値を別々に求め、位相差信号を得ることができる。この位相差信号によりデフォーカス量を算出し、AF(オートフォーカス)制御を実行できる。
このために、1つのPD分割画素21に対して、例えば(L+R)読出と、L読出を行うように、1つの水平ラインに対して2回の読出を行うことが考えられる。
なお、“(L+R)読出”は、左PD40Lと右PD40Rからの電荷を加算した読出を指す。“L読出”は左PD40Lからの電荷読出、“R読出”は右PD40Rからの電荷読出を指すものとする。また“L値”は左PD40Lから直接読出または演算により求められる画素信号値、“R値”は右PD40Rから直接読出または演算により求められる画素信号値とする。また(L+R)値は、左PD40Lと右PD40Rの画素信号値の加算値である。
【0057】
(L+R)値、即ち左PD40Lと右PD40Rからの読出電荷の加算値は、そのPD分割画素21の画素値としての意味をもつため、画像生成に用いられる信号となる。
またL読出を行い、左PD40Lの信号値(L値)を得るとともに、(L+R)値-L値により右PD40Rの信号値(R値)が得られる。この“L値"R値”により瞳分割された画素成分の位相差を得ることができ、これに基づいてAF制御を行うことができる。
【0058】
図7は、そのような読出動作を模式的に表している。
この図7では、垂直同期信号XVSで規定される垂直期間(V1,V2・・・)において、直線SL10として、縦軸を水平ライン番号としたときの各水平ラインの読出タイミングを示している。先頭の水平ライン番号を「HL1」、最後の水平ライン番号を「HLmax」とする。直線SL10上に記載した●は、位相差検波のための読出も行う水平ラインを示しているものとする。
【0059】
例えば48ラインごとに位相差検波のための読出を行うと仮定すると、水平ラインごとの各PD分割画素21に対する読出動作は次のようになる。
・第1水平ライン:(L+R)読出
・第2水平ライン:(L+R)読出
・第3水平ライン:(L+R)読出
(以下、第47水平ラインまで同様に(L+R)読出))
【0060】
・第48水平ライン:L読出
・第48水平ライン:(L+R)読出
・第49水平ライン:(L+R)読出
・第50水平ライン:(L+R)読出
(以下、第95水平ラインまで同様に(L+R)読出)
【0061】
・第96水平ライン:L読出
・第96水平ライン:(L+R)読出
・第97水平ライン:(L+R)読出
・第98水平ライン:(L+R)読出
【0062】
このように周期的な水平ライン(上記例では第48水平ラインと第96水平ライン)で、L読出と(L+R)読出の両方を行う。
全ての水平ラインで、L読出と(L+R)読出の両方を行うと、1フレームの読出時間が長くなってしまうためである。
【0063】
但し、このように画像生成のための読出と、位相差検波のための読出を行うことで、AF動作が遅れることが生ずる場合がある。
L値と(L+R)値を読み出したら、R値を算出して位相差検波、デフォーカス量の算出を行うが、この処理が行われるのは、必要なL値と(L+R)値が得られた後となるため、図7に「位相差検波」として示す期間となる。つまり1フレーム分の全部の(または間引きする場合は一部の)水平ラインの読出が完了した後となる。つまり画素生成のための読出を含めた直線SL10で示す期間を経た後に、AF動作のための位相差検波が実行できるようになる。
この位相差検波の結果に基づいてカメラ制御部14はレンズ駆動制御を行い、実際にフォーカスレンズの駆動が行われ、被写体に合焦される。
【0064】
このような場合、図示のように、合焦状態が反映されるのが、次のフレーム(垂直期間V2のタイミング)ではなく、さらに次のフレーム(垂直期間V3のタイミング)にまで遅れることが生ずる。位相差検波の開始タイミングが、1フレーム分の読出後となるためである。
このようなAF動作の遅れは、特に動被写体を撮像している場合に、ユーザに影響が感じられやすくなり、望ましくない。
また明るい環境(明環境)では、AE(Automatic Exposure)制御によりフレームレートが高くなるように変更され、1V期間が短くなると、上記のようなAF制御の遅れが顕著になりやすい。
そこで実施の形態では、このようなAF動作の応答性の遅れが生じないような読出動作を行うようにする。
【0065】
<3.第1の実施の形態の読出動作>
第1の実施の形態としての読出動作を図8に模式的に示している。
図8は、横方向は時間軸としており、垂直同期信号XVSで規定される垂直期間V1,V2を示している。この垂直期間V1,V2・・・としては、例えばユーザがシャッターボタン6Sの半押しを行っており、カメラ制御部14は、表示部10にライブビュー画像の表示を実行させるとともにAF制御を行っている場合を想定している。1つの垂直期間でライブビュー画像の1フレームの画像信号が得られる。
【0066】
また図では縦軸を水平ライン番号(「HL1」から「HLmax」)として、実線RL1,RL2を示している。実線RL1,RL2は、各水平ラインについての読出タイミングを示している。
図示のように1つの垂直期間において、先に実線RL2の読出(第2読出)が行われ、続いて実線RL1の読出(第1読出)が行われる。
図8では表現されないが、後述の図9A図9Bに示すように、第1読出と第2読出は異なる水平ラインを対象とするため、露光については、それぞれ読出前に行われるようにすればよく、各水平ラインの露光のタイミングや長さは特に規定されず、適切に設定されればよい。
【0067】
実線RL1で示す第1読出は、ライブビュー画像の生成のための読出であり、画素値として各PD分割画素21から(L+R)読出を行う。
一例として、1垂直期間における6本の水平ラインの周期で(L+R)読出を行うものとして説明する。
【0068】
図9Aに第1読出の動作を模式的に示している。各水平ラインからL値+R値の電荷読出が行われるが、対象とする水平ラインは、6本のラインのうちの4本としている。
4本の各水平ラインのPD分割画素21について、それぞれ(L+R)読出を行う。さらに、垂直方向の4つのPD分割画素21から読み出した(L+R)値を加算(このような加算をL値+R値の加算と区別して、「垂直加算」と表記する)して、1つの画素信号とする。
【0069】
つまりライブビュー画像を生成するための画素値は、例えば6本の水平ライン毎に、6本の水平ラインのうちで4本の水平ラインのPD分割画素21の垂直加算値とし、これを、ライブビュー画像を生成する1つの画素値とする。
このような読出を、例えば先頭の水平ラインHL1側から、6本周期で、最後の水平ラインHLmax側に向けて行っていく。
なお、例えば単純な間引き読出として、6本の水平ラインごとに1本の水平ラインから(L+R)値を読み出して1つの画素信号としてもよいのであるが、垂直加算することで、比較的、受光光量が少ない場合でも信号レベルとして十分なレベルが得られやすく、有利とすることができる。
【0070】
なお、図9Aはあくまで模式的に示すものであるが、垂直加算をするのは、図13で後述する同じ垂直信号線VSLに接続された複数の画素であって、かつ同じ色のカラーフィルタが設けられた画素である。これは図9Cに示す垂直加算についても同様である。
またこれらは垂直信号線VSLにおける電圧加算となる。
【0071】
図8に実線RL2として示す第2読出は、位相差検波のための読出であり、画素値としてPD分割画素21からL読出と(L+R)読出を行う。
図9Bに模式的に示すが、1垂直期間におけるそれぞれ6本の水平ラインの周期において、第1読出が行われない水平ラインのうちの少なくとも1つの水平ラインのPD分割画素21から、L読出と(L+R)読出を行う。
すなわち第2読出では、6本の水平ライン毎に1本の水平ラインのPD分割画素21を対象として、L読出と(L+R)読出が行われるようにする。
その読み出しは、例えば左PD40LからのL値の読み出し後に、その電荷をリセットせずに右PD40Rの画像信号を読み出す処理が行われるようにする。つまり撮像素子内のFD(フローティングディフュージョン)部でL値とR値の加算が行われて(L+R)値が読み出されるようにする。
このような読出を例えば先頭の水平ラインHL1側から、6本周期で、最後の水平ラインHLmax側に向けて行っていく。
【0072】
このような第1読出と第2読出を1垂直期間に行うわけであるが、図8に示すように、まず第2読出を行い、その後に第1読出を行うようにする。
第2読出が完了した時点で、画像生成のための読出完了を待たずに、位相差検波を行い、続いてレンズ駆動を実行することができるため、次の垂直期間V2のタイミングでAF動作を反映させることができる。これにより、例えば動被写体に対しても良好なAF性能を実現できる。
【0073】
ところで、この図8のような読出動作は、明暗にかかわらず行ってもよいが、明環境と判定されるときに行うようにすることも望ましい。明環境でフレームレートが上がって垂直期間が短くなるときに、AF応答性が低下する可能性が高いため、図8のように第2読出と第1読出を行うことで、AF動作応答性を改善することができるためである。
一方で、暗環境と判定される場合は、図10のような実線RL3で示す第3読出を行うことが考えられる。
【0074】
この第3読出では、同じ水平ラインのPD分割画素21を対象として、画像生成のための読出と、位相差検波のための読出を行うようにする。つまり、上述の第1読出、第2読出のようには読出期間を分けないようにする。
【0075】
図9Cに第3読出の動作を模式的に示す。明環境時と同様に、同じく6本の水平ラインの周期で間引き読出を行うものとする。
ライブビュー画像の生成のための読出として、L値+R値の電荷読出が行われるが、図9Aと同様に、対象とする水平ラインは、6本のラインのうちの4本とし、4本の各水平ラインのPD分割画素21について、それぞれ(L+R)読出を行うとともに、垂直方向の4つのPD分割画素21から読み出した(L+R)値を垂直加算して、1つの画素値とする。
【0076】
これとともに、位相差検波のための読出として、それらの4つのPD分割画素21から、L読出が行われるようにする。この場合、L値についても、垂直方向の4つのPD分割画素21のL値を垂直加算して、1つのL値とする。
R値は、垂直加算した(L+R)値から、垂直加算したL値を減算することで得られる。
この場合に、例えば図9Bのように垂直加算しないで1つの水平ラインのPD分割画素21からL値と(L+R)値を読み出すようにしてもよいのであるが、それぞれ垂直加算した(L+R)値とL値を用いるようにすることで、低照度性能を改善することができる。
【0077】
この図9Cのように行われる、図8の実線RL3で示す第3読出は、6本の水平ライン周期の例でいえば、次のようになる。
・第1から第6水平ライン:L読出(4/6ラインの垂直加算読出)
・第1から第6水平ライン:(L+R)読出(4/6ラインの垂直加算読出)
・第7から第12水平ライン:L読出(4/6ラインの垂直加算読出)
・第7から第12水平ライン:(L+R)読出(4/6ラインの垂直加算読出)
(以下、6水平ライン毎に同様)
【0078】
このような第3読出の後、位相差検波を行い、続いてレンズ駆動を実行することができる。位相差検波は1フレーム分の画素信号の読出後に開始されることになるが、この場合は暗環境であり、暗環境でフレームレートが低下し、垂直期間が長くなっていることで、次の垂直期間V2のタイミングでAF動作を反映させることができる。これにより、例えば良好なAF性能を維持できる。
そのうえで、(L+R)値の読出と、L値の読出を行う画素の数(水平ラインの数)は、図8のように第2読出及び第1読出を分けて行う場合よりも少なくできる。
例えば図9の例でいえば、第2読出及び第1読出により、6本中で合計5本の水平ラインで読出が行われるが、第3読出は6本中で4本の水平ラインで読出が行われることになる。これにより省電力効果を得ることができる。
【0079】
以上の図8図10のような読出動作がカメラ制御部14の制御に基づいて実行される。カメラ制御部14の制御処理の例を図11に示す。
【0080】
図11のステップS101でカメラ制御部14は、シャッターボタン6Sの半押しを監視している。半押しが行われていないときは図示しない他の処理を行う。
半押しが行われている間は、図11の処理は1垂直期間ごとにステップS102以降に進むことになる。
【0081】
シャッターボタン6Sの半押しを検知すると、カメラ制御部14はステップS102で露光演算を行う。この露光演算は、シャッタースピードや読出信号に対するAGCゲインを決めるために行うもので、すなわちAE制御(自動露光制御)のために行われる。
露光演算として露光量の算出のための処理ブロックを図12に示している。
【0082】
撮像素子7からは、画像信号の生成するための通常画素出力と、AF制御のための位相差信号としての位相差画素出力が得られる。ここでいう通常画素出力とは、PD分割画素21からの(L+R)値、位相差画素出力とはL値とR値のこととなる。
【0083】
通常画素出力及び位相差画素出力は、カメラ信号処理部8が備える出力レベル検波回路にそれぞれ入力される。出力レベル検波回路では、入力された通常画素出力及び位相差画素出力に基づいて画素上の露光計算対象領域における出力平均値を算出し、カメラ信号処理部8からは、それぞれの出力平均値が出力され、カメラ制御部14に入力される。
【0084】
カメラ制御部14は、カメラ信号処理部8から出力された検波結果に応じた露光量計算を行い、シャッタースピード(或いはF値やゲイン等の露光量調整が可能なパラメータ)を決定する。カメラ制御部14は、決定されたシャッタースピードを撮像素子7に設定する処理を行う。
【0085】
カメラ制御部14で行われる露光量計算は、通常画素出力のみに基づいて行われてもよいし、位相差画素出力のみに基づいて行われてもよい。また、通常画素出力及び位相差画素出力の双方に基づいて行われてもよい。いずれにしても露光量計算により明暗(照度)環境を判定することができる。
【0086】
ステップS103でカメラ制御部14は、明環境か暗環境かを判定する。例えば上記の露光量計算で得られたEV(Exposure Value)が閾値thEV以上であるか否かを判定する。例えば閾値thEV=EV10として、算出された値がEV10以上であるか否かを判定する。
【0087】
EVが閾値thEV以上であれば、明環境であるとしてステップS111に進む。
この場合、カメラ制御部14は図8の読出制御を行う。まずステップS111で第2読出を実行させる。撮像素子7では、図9Bに示した読出が、例えば6水平ラインの周期で行われる。
またステップS112でカメラ制御部14はカメラ信号処理部8に、6水平ライン毎に読み出されるL値と(L+R)値から、R値を求めさせ、L値とR値を記憶させる処理を開始させる。
【0088】
以上のステップS111,S112の制御で開始される動作が継続され、第2読出が完了したら、カメラ制御部14はステップS113で第1読出を開始させる。すなわち図9Aで示した読出動作である。
この第1読出で読み出される6水平ライン毎の4/6ライン垂直加算された(L+R)値は、カメラ信号処理部8においてライブビュー画像の画像信号として処理される。
【0089】
カメラ制御部14は、第1読出を開始させるとともに、第1読出の終了を待たずに、ステップS130で位相差検波を実行制御する。すなわち各PD分割画素21についてL値とR値が記憶された後、カメラ信号処理部8で位相差検波部8aの機能により位相差検波が行われるようにする。そしてカメラ制御部14にデフォーカス量が伝えられる。
カメラ制御部14はデフォーカス量に応じてステップS131で鏡筒制御部18に指示し、光学系16が備えるフォーカスレンズの駆動を実行させる。そしてステップS132でレンズ駆動が停止される。これによりAF動作が実行されることになる。
【0090】
ステップS103でEVが閾値thEV未満であれば、カメラ制御部14は暗環境であると判定してステップS121に進む。
この場合、カメラ制御部14は図10の第3読出としての読出を開始させる制御を行う。撮像素子7では、図9Cに示した読出、すなわち6水平ライン毎の、L読出(4/6ラインの垂直加算読出)と、(L+R)読出(4/6ラインの垂直加算読出)が開始される。
またステップS122でカメラ制御部14はカメラ信号処理部8に、6水平ライン毎に読み出されるL値と(L+R)値から、R値を求めさせ、L値とR値を記憶させる処理を開始させる。
【0091】
以上のステップS121,S122の制御で開始される動作が継続され、第3読出が完了したら、カメラ制御部14はステップS130、S131、S132で上記同様に処理を行う。これにより第3読出に基づいてAF動作が実行されることになる。
【0092】
ここで図13を参照して、(L+R)値としての加算と、垂直加算の違いについて説明しておく。図13A図13Bには、PD分割画素21から垂直信号線VSLに信号電荷が読み出される様子を示している。
(L+R)値としての加算は、図13Aに示すFD加算であり、PD分割画素21を構成する左PD40Lと右PD40Rの電荷がフローティングディフュージョンFDで加算されて読み出されることを指している。
【0093】
一方、(L+R)値やL値ついて行う垂直加算は、図13Bに示すSF(ソースフォロワ)加算であり、PD分割画素21から読み出された信号が垂直信号線VSLで電圧加算されることを指している。
【0094】
なお以上の説明では、第1読出、第2読出、第3読出において、6水平ライン周期で読出を行う例を挙げたが、6本の水平ラインを1周期とするのは一例である。また例えば明るさに応じて1周期とする水平ライン数を変化させることが考えられる。
すなわち1周期の水平ライン数をN本としたとき、Nの数を可変とする。
また図9A図9Cのように、第1読出、第3読出では、N本のうち(N-1)本未満の本数(上記例では4本)の水平ラインで垂直方向となるPD分割画素21について垂直加算を行うが、この垂直加算する本数も明度に応じて可変としてよもよい。特に明るくなるほど垂直加算する画素数を減らし、暗くなるほど垂直加算する画素数を増やすことが好適である。
【0095】
<4.第2の実施の形態の読出動作>
第2の実施の形態として、撮像素子7が、PD分割画素21と遮光画素23を有するハイブリッドタイプのものである場合の例を説明する。
【0096】
図14に撮像素子7の画素配置例を示す。
第1画素行22Aとして、遮光画素23を有する画素行が形成される。この第1画素行22Aは、上下方向に離散的に配置され、第1画素行22Aと第1画素行22Aの間には複数行の第2画素行22Bが配置されている。
第1画素行22Aは、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。但し、規則的に配置されている方が、撮像素子7の製造に係る設計コストや製造コストを抑制することができる。
【0097】
第2画素行22Bに含まれる各PD分割画素21は、それぞれベイヤー配列のカラーフィルタにより覆われており、カラーフィルタの種類によって赤(R)の分光感度を有するものと緑(G)の分光感度を有するものと青(B)の分光感度を有するものの何れかとされている。
【0098】
遮光画素23の構成について、図15の模式図を参照して説明する。
遮光画素23は、PD30と、PD30の前方(被写体側)に配置された遮光部31と、遮光部31の前方に配置されたインナーレンズ32と、インナーレンズ32の前方に配置されたカラーフィルタ(シアン)33と、カラーフィルタ33の前方に配置されたオンチップマイクロレンズ34とを備えている。
なお、遮光画素23にインナーレンズ32やカラーフィルタ33が設けられていなくてもよい。
【0099】
PD30は、射出瞳EPを通過した光の一部が入射する受光素子であるが、前方に配置された遮光部31により、PD30の受光領域における一部の領域でのみ受光可能とされている。
即ち、遮光部31は、PD30の左半分の領域を覆うように形成されている。遮光部31には、右開口35Rが形成されている。
【0100】
インナーレンズ32とオンチップマイクロレンズ34は、射出瞳EPを通過し画素一つ分に入射された光を効率的にPD30に集光するために設けられた光学部品である。
カラーフィルタ33は、例えば、シアン(Cy)の分光感度を有するフィルタとされている。
【0101】
図15に示されるように、PD30は、射出瞳EPの左半分の領域である左側領域(左瞳領域)を通過する光のみを受光するように構成されている。即ち、射出瞳EPの右半分の領域である右側領域(右瞳領域)を通過する光は、遮光部31により遮光され、PD30に到達しない。これにより、瞳分割機能を実現する。
【0102】
図15に示すような左瞳領域を通過する光を受光するように構成された遮光画素23は、受光面において右側に偏った領域で光を受光することから遮光画素23Rとする。即ち、遮光画素23Rは右開口35Rが形成されている。
また、図15に示す構成に対して鏡面対称とされた構成を有する遮光画素23Lは、右瞳領域を通過する光を受光するように構成された遮光画素23であり、この画素は受光面において左側に偏った領域で光を受光する。図14のように、遮光画素23Lが備える遮光部31には、左開口35Lが形成されている。
【0103】
図14に示すように、遮光画素23Rと遮光画素23Lの距離は例えば画素二つ分の距離とされ、交互に配置されている。
遮光画素23Rから出力される信号と遮光画素23Lから出力される信号は、カメラ信号処理部8(或いはカメラ制御部14)によって一対の位相差信号として扱われる。即ち、遮光画素23Rから出力される信号と遮光画素23Lから出力される信号の位相差を用いて、カメラ信号処理部8の位相差検波部8aはデフォーカス量の算出を行うことができる。
なお、カメラ信号処理部8等が一対の位相差信号を特定できるようにするために、どの遮光画素23Rとどの遮光画素23Lとがペアであるかの情報が、カメラ信号処理部8等がアクセスできる記憶領域にあらかじめ記憶されている。
【0104】
このような撮像素子7を想定した場合の明環境での読出動作例を図16に示し、また暗環境での読出動作例を図17に示す。
【0105】
図16に示すように明環境では、垂直期間において、まず実線RL4として示す第4読出を行うようにする。
この第4読出は、位相差検波のための読出であり、画素値として遮光画素23から(L+R)読出を行うものである。
図9Dに模式的に示すが、1垂直期間において、所定の瞳距離に応じて設けられている遮光画素を有する或る水平ラインについて、その水平ラインの(L+R)読出を行う。ここで(L+R)読出を行うのは、遮光画素23Rと遮光画素23Lのいずれからも有意な信号読出ができるようにするためである。
【0106】
このように第4読出を行った後に、同じく位相差検波のための読出として第2読出を行う。そして第4読出と第2読出を行った後に、第1読出を開始するとともに、位相差検波を開始し、その後レンズ駆動が実行されるようにする。
これによりAF動作の応答性を改善する。
【0107】
暗環境においても図17に示すように、垂直期間において、まず実線RL4として示す第4読出を行うようにする。そしてその後第3読出を行う。第3読出の後に、位相差検波を開始し、その後レンズ駆動が実行されるようにする。暗環境でフレームレートが低下されていることで、AF応答性にはさほど影響は与えない。
【0108】
以上の図16図17のような読出動作がカメラ制御部14の制御に基づいて実行される。カメラ制御部14の制御処理の例を図18に示す。
【0109】
図18のステップS101、S102、S103は図11と同様であり重複説明を避ける。
EVが閾値thEV以上であり明環境と判定した場合、カメラ制御部14はステップS110に進み、遮光画素23を対象とする第4読出を開始させる。読み出された遮光画素23の(L+R)値はカメラ信号処理部8内で記憶させる。
【0110】
第4読出に続いてカメラ制御部14は、ステップS111、S112として図11と同様に第2読出、R値算出と、L値とR値の記憶処理を開始させ、さらにその後ステップS113で第1読出を開始させる。
そしてカメラ制御部14は第1読出を開始させるとともに、その終了を待たずに、ステップS130で位相差検波を実行させる。
この場合、PD分割画素21の信号に基づく位相差検波と、遮光画素23の信号に基づく位相差検波の両方が行われる。
【0111】
ステップS103でEVが閾値thEV以上ではなく、暗環境と判定した場合、カメラ制御部14はステップS120に進み、遮光画素23を対象とする第4読出を開始させる。読み出された遮光画素23の(L+R)値はカメラ信号処理部8内で記憶させる。
第4読出に続いてカメラ制御部14は、ステップS121、S122として図11と同様に第3読出、R値算出と、L値とR値の記憶処理を開始させる。
そしてステップS121,S122の制御で開始される動作が継続され、第3読出が完了したら、カメラ制御部14はステップS130に進み、位相差検波を実行させる。この場合も、PD分割画素21の信号に基づく位相差検波と、遮光画素23の信号に基づく位相差検波の両方が行われる。
【0112】
以上のように明環境、あるいは暗環境においてステップS130に進んだ後は、カメラ制御部14はステップS140で、F値に基づいて、いずれの位相差検波結果の信頼性が高いかを判定する。例えばF値が閾値thF以上であるか否かを判定する。例えば閾値thF=F11などとする例が考えられる。
【0113】
F値が閾値thF以上であれば、カメラ制御部14はステップS141に進み、PD分割画素21による位相差検波結果を用いて、デフォーカス量を求め、AF制御としてレンズ駆動を実行させるようにする。そしてステップS132でレンズ駆動が停止され、合焦状態とされる。
【0114】
F値が閾値thF未満であれば、カメラ制御部14はステップS142に進み、PD分割画素21による位相差検波結果と遮光画素23による位相差検波結果のうちで信頼度の高い方を用いて、デフォーカス量を求め、AF制御としてレンズ駆動を実行させ、ステップS132で合焦状態とさせるようにする。
【0115】
遮光画素23とPD分割画素21は、次のような違いがある。
遮光画素23は位相差検波のみに用いる画素となる。一方、PD分割画素21は位相差検波のために用いながら通常の画素(画像生成のための画素)として用いることができる。このため、遮光画素23は離散配置され、画素数はあまり多くできない。
これにより、PD分割画素21は低照度性能、大F値性能という点で、遮光画素23より優れている。
一方で遮光画素23は瞳補正設計自由度があり、軸外性能がよいという点で、PD分割画素21で優れている。
これを考えると、低照度環境下ではPD分割画素21の利点を生かし、高照度環境下では遮光画素23の利点を生かすことができると考えられる。
【0116】
そこで、まずステップS140では大F値性能という点で有利なPD分割画素21の位相差検波結果が選択されるようにする。
またステップS142では、照度環境に基づいて、信頼度判定を行うことが考えられる。具体的には露光量に応じていずれかの位相差信号を選択するようにする。暗環境ではPD分割画素21の位相差検波結果、明環境では遮光画素23の位相差検波結果が選択されるようにする。
なお、図18の処理では、ステップS130で遮光画素23に基づく位相差検波結果とPD分割画素21に基づく位相差検波結果を算出してから、いずれかをAF制御に用いるために選択するようにしたが、先に選択した上で、選択した方の位相差検波を実行するようにしてもよい。
【0117】
<5.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態の撮像装置1は、PD分割画素21を備えた撮像素子7と、カメラ制御部14を備える。カメラ制御部14はPD分割画素21を構成する左PD40L(第1画素)と右PD40R(第2画素)の加算値(L+R)を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、第1読出で読出対象としないPD分割画素21から位相差検波に用いるL値、R値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、第2読出が行われた後に第1読出が行われるようにする。
1垂直期間において第2読出を第1読出に先立って行うことで、位相差検波に基づくAF制御について時間的に余裕が生じ、次のフレームで合焦状態に制御することができるようになるなど、AF制御の応答性を高めることができる。
なお、位相差検波に用いるL値、R値を得ることができる読出とは、(L+R)値とL値の読出でもよいし、(L+R)値とR値の読出でもよい。またL値とR値の読出でもよい。
【0118】
第1、第2の実施の形態では、カメラ制御部14は、明暗判定により明環境と判定した場合に、1垂直期間の読出として、第2読出と第1読出を行う例を説明した。
フレームレートが高い状態では1垂直期間長が短くなり、これによりAF動作が次のフレームに間に合わなくなることが起こりやすい。このようなときに第2読出として先読みを行い、位相差検波を早い段階で行うことで、AF動作の応答性を低下させないようにすることが特に有効となる。
なお、明暗環境にかかわらず、第2読出と第1読出が行われるようにし、第3読出は行われない例も考えられる。
【0119】
第1、第2の実施の形態では、カメラ制御部14は、明暗判定により暗環境と判定した場合には、1垂直期間の読出として、画像生成対象とする画素について、左PD40Lと右PD40Rの加算値である(L+R)値を読み出すとともに、左PD40LのL値を読み出すことで、ライブビュー画像を構成する画素値と、位相差検波に用いるL値及びR値を得ることのできる第3読出が行われるようにした。
フレームレートが低い状態では1垂直期間長が長くなるため、第3読出としての動作によっても、AF動作の応答性はあまり問題にならない。つまり次のフレームに間に合うようなAF動作が実行できる場合が多い。そこで暗環境では、第1読出と第2読出を別途行うよりも簡易で電力消費も抑えられる第3読出を行うようにする。
なお第3読出では、例えば(L+R)値を読み出すとともに、右PD40RのR値が読み出されるようにしてもよい。
【0120】
第1、第2の実施の形態では、第3読出では、(L+R)値、L値は、垂直方向の複数のPD分割画素21の垂直加算値として読み出される例を挙げた。
低照度の環境では、画素値は垂直方向の複数のPD画素で加算平均されて読み出されるようにしている。これにより位相差を求めるため信号レベルを高めてS/Nを悪化させないようにし、AF動作が適切に行われるようにする。つまりPD分割画素を用いたAF動作に関して低照度性能を向上させることができる。
また第3読出では、(L+R)値、L値を同じPD分割画素21から読み出していることで、トータルの読出ライン数を減らして、消費電力的の低減をはかることができる。なおこの動作は、全体的な読出時間の短縮が可能で、フレームレート向上にも有利な場合がある。
【0121】
第1、第2の実施の形態では、第1読出では、PD分割画素の加算値((L+R)値)が、N本(例えば6本)の水平ラインの周期における(N-1)本以下の水平ラインで垂直方向に加算されて読み出され、第2読出では、第1読出で読出が行われない水平ラインのPD分割画素21から、L値とR値を得ることができる読出(例えばL値と(L+R)値の読出)が行われる例を挙げた。
第1読出では、たとえば6本の水平ラインの周期で4/6本の(L+R)値が、垂直加算されて読み出される。これにより、ライブビューに用いる画素値などとして適切な信号レベルの画素値を得ることができる。
また、その場合、第2読出として、残りの2本の水平ラインのいずれかから、たとえばL値と(L+R)値を読み出す。この読出は第1読出で読み出されていない水平ラインのPD分割画素21について行うものであるため、第1読出と第2読出のための露光は共通に行えばよいことになる。つまり露光期間を第1読出と第2読出で別に設定する必要もなく、1垂直期間の読出動作として効率的な動作を実現できる。
なお、実施の形態では6本単位で周期的に読出を行うものとしたが、N本の周期的な読出は位置例である。周期的でなくてもよい。
【0122】
第1の実施の形態の説明において、水平ラインの周期としてのN本の値は、明度に応じて変更されるようにしてもよいと言及した。
これにより明るさの状況に応じて適した画像の生成や精度のよい位相差検波が可能となる。また明るさに応じて間引き率を変えることで、明るい状況では第1読出、第2読出を行う画素数を少なくし、読出時間を短縮することもできる。
【0123】
第1、第2の実施の形態では、第2読出は、左PD40L及び右PD40Rの加算値の読出と、左PD40Lの値の読出を行うものとした。
1水平ラインにつき、例えば左PD40Lの読出と、左PD40L及び右PD40Rの加算読出として2回読出を行うことで、デフォーカス量算出のための左PD40Lの値と右PD40Rの値を得ることができる。
なお第2読出では、左PD40L及び右PD40Rの加算値の読出と、右PD40Rの値の読出を行うようにしてもよい。
また第2読出では、例えば左PD40Lの読出と、右PD40Rの読出をそれぞれ行うようにしてもよい。
【0124】
第1、第2の実施の形態では、第1読出により得られる前記加算値は、ライブビュー画像の生成に用いられるものとした。
第1読出と第2読出が異なるPD分割画素21を対象に行われることになると、第1読出による画素値は、有効な全PD分割画素21の画素値として得るものではないことになる。従って比較的低解像度の画像生成に適した読出となる場合がある。特にライブビュー画像の生成に適している。また、ユーザがライブビュー画像を見る場合としては、シャッターボタン6Sの半押しを行って、被写体を確認しながらレリーズのタイミングをはかっているときが想定される。つまりAF動作が行われる機会である。このようなときに第2読出が第1読出に先立って行われるようにしてAF動作応答性を向上させることが有用となる。
【0125】
第2の実施の形態では、撮像素子7は、射出瞳における所定方向において互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した一対の光束の一方を遮光する遮光部と他方の光束を受光する受光素子とを備えることにより瞳分割機能を有する遮光画素23を有するものとし、カメラ制御部14は、遮光画素23を読み出す第4読出が行われるように制御し、第4読出で得られた遮光画素23の値を用いて位相差検波処理が行われるものとした。
PD分割画素21と遮光画素23を備える撮像素子7を用いることで、PD分割画素21に基づく位相差検波と、遮光画素23に基づく位相差検波ができるようになり、例えば状況に応じて選択的に用いることができる。
【0126】
第2の実施の形態では、1垂直期間の読出として、第4読出が第2読出よりも先に行われるようにした。
第2読出と第4読出の前後は必ずしも限定されないが、第4読出を先に行うことで、例えば遮光画素に基づくデフォーカス量の信頼度が高い状況などでは、第4読出に基づいてAF制御が実行でき、応答性を向上させることができる。
【0127】
第2の実施の形態では、第2読出に基づく位相差検波処理の結果と、第4読出に基づく位相差検波処理の結果のうちで信頼度の高い方を用いてフォーカス制御を行うことを述べた(図18参照)。
これによりPD分割画素と遮光画素のそれぞれの利点が得られるAF制御が可能となり、AFの信頼性を向上させることができる。
【0128】
実施の形態のプログラムは、図11図18に示す処理を、例えばCPU、DSP等、或いはこれらを含むデバイスに実行させるプログラムである。
即ち、実施の形態のプログラムは、PD分割画素21を備えた撮像素子7を備えた撮像装置1における演算処理装置に、PD分割画素21を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、第1読出で読出対象としないPD分割画素から位相差検波に用いる第1画素の値と第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、第2読出が行われた後に第1読出が行われるようにする処理を実行させるプログラムである。このようなプログラムにより、上述した撮像装置1を実現できる。
【0129】
このような撮像装置1を実現するプログラムは撮像装置1等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0130】
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の撮像装置1の広範な提供に適している。例えばカメラ機能を備えたスマートホンやタブレット等の携帯端末装置、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、ビデオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)等にプログラムをダウンロードすることで、これらの機器を、本開示の撮像装置1として機能させることができる。
【0131】
尚、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0132】
本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子と、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする制御部と、を備えた
撮像装置。
(2)
前記制御部は、明暗判定により明環境と判定した場合に、前記1垂直期間の読出として、前記第2読出と前記第1読出を行う
上記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記制御部は、前記明暗判定により暗環境と判定した場合には、前記1垂直期間の読出として、画像生成対象とする画素について、前記第1画素と前記第2画素の加算値を読み出すとともに前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値を読み出すことで、画像を構成する画素値と、位相差検波に用いる前記第1画素の値及び前記第2画素の値を得ることのできる第3読出が行われるようにする
上記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記第3読出では、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値と、前記加算値は、垂直方向の複数のフォトダイオード分割画素の値の加算値として読み出される
上記(3)に記載の撮像装置。
(5)
前記第1読出では、PD分割画素の前記第1画素と前記第2画素の加算値が、3以上の自然数であるN本の水平ラインの周期における(N-1)本以下の水平ラインで垂直方向に加算されて読み出され、
前記第2読出では、前記第1読出で読出が行われない水平ラインのPD分割画素から、前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出が行われる
上記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)
水平ラインの周期としてのN本の値は、明度に応じて変更される
上記(5)に記載の撮像装置。
(7)
前記第2読出では、前記第1画素と前記第2画素の加算値の読出と、前記第1画素と前記第2画素のうちの一方の値の読出を行う
上記(1)から(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)
前記第1読出により得られる前記加算値は、ライブビュー画像の生成に用いられる
上記(1)から(7)のいずれかに記載の撮像装置。
(9)
前記撮像素子は、
射出瞳における所定方向において互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した一対の光束の一方を遮光する遮光部と他方の光束を受光する受光素子とを備えることにより瞳分割機能を有する遮光画素を有し、
前記制御部は前記遮光画素を読み出す第4読出が行われるように制御し、
前記第4読出で得られた前記遮光画素の値を用いて位相差検波処理が行われる
上記(1)から(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)
前記1垂直期間の読出として、前記第4読出が前記第2読出よりも先に行われるようにする
上記(9)に記載の撮像装置。
(11)
前記第2読出に基づく位相差検波処理の結果と、前記第4読出に基づく位相差検波処理の結果のうちで信頼度の高い方を用いてフォーカス制御を行う
上記(9)または(10)に記載の撮像装置。
(12)
フォトダイオード分割画素を備えた撮像素子を備えた撮像装置の撮像方法として、
フォトダイオード分割画素を構成する第1画素と第2画素の加算値を、画像を構成する画素値として読み出す第1読出と、前記第1読出で読出対象としないフォトダイオード分割画素から位相差検波に用いる前記第1画素の値と前記第2画素の値を得ることができる読出を行う第2読出について、1垂直期間において、前記第2読出が行われた後に前記第1読出が行われるようにする
撮像方法。
【符号の説明】
【0133】
1 撮像装置
2 カメラ筐体
3 レンズ鏡筒
6S シャッターボタン
7 撮像素子
8 カメラ信号処理部
8a 位相差検波部
14 カメラ制御部
21 PD分割画素
22A 第1画素行
22B 第2画素行
23,23R,23L 遮光画素
40L 左PD
40R 右PD
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18