(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20250326BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B65H5/06 F
(21)【出願番号】P 2023557957
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2022039520
(87)【国際公開番号】W WO2023080002
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2021179659
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021179660
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021179661
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 優汰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 春菜
(72)【発明者】
【氏名】吉村 薫子
(72)【発明者】
【氏名】神田 睦月
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 秀行
(72)【発明者】
【氏名】前田 良太
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-091488(JP,A)
【文献】特開2021-147162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 15/00-15/02
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも予め定められた記録紙の搬送方向の上流側に設けられ、前記画像形成部に前記記録紙を送り出すレジストローラーと、
前記レジストローラーの回転制御を行なう第1制御部と、
前記搬送方向に対する前記記録紙の傾きを検出する傾き検出センサーと、
初期状態が前記搬送方向に対して直交する状態となっている前記レジストローラーのローラー軸を、前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾ける傾斜機構と、
前記傾き検出センサーの検出結果に基づいて、前記傾斜機構に対し、前記ローラー軸を前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾けさせ、前記レジストローラーに前記記録紙が到達しているときに、前記傾斜機構に対し、傾けられた前記ローラー軸を前記初期状態に戻させる制御を行なう第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記ローラー軸の傾ける方向及び量を示す傾斜データを前記第1制御部に向けて送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記傾斜データが示す前記ローラー軸の傾ける方向及び量に基づいて、前記レジストローラーの回転速度を補正し、
前記第2制御部は、前記傾き検出センサーの検出結果に基づいて、前記ローラー軸の傾ける方向及び量を示す傾斜データを決定し、今回決定した前記ローラー軸の傾ける方向及び量と前回決定した前記ローラー軸の傾ける方向及び量とが同じである場合、又は、両者の差が予め定められた設定範囲内である場合には、前記傾斜データを前記第1制御部に向けて送信する代わりに、前記傾斜データよりもデータ量の小さい、予め定められた指令コードを前記第1制御部に向けて送信し、
前記第1制御部は、前記指令コードを受信した場合には、前回受信した前記傾斜データを用いて、前記回転速度の補正を行なう
、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、シリアル通信を用いて、前記傾斜データ及び前記指令コードのうちのいずれかを前記第1制御部に向けて送信する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記傾斜データ及び前記指令コードのうちのいずれかの送信についての通信異常を検出した場合には、前記送信のリトライ処理を実行する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも予め定められた記録紙の搬送方向の上流側に設けられ、前記画像形成部に前記記録紙を送り出すレジストローラーと、
前記レジストローラーの回転制御を行なう第1制御部と、
前記搬送方向に対する前記記録紙の傾きを検出する傾き検出センサーと、
初期状態が前記搬送方向に対して直交する状態となっている前記レジストローラーのローラー軸を、前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾ける傾斜機構と、
前記傾き検出センサーの検出結果に基づいて、前記傾斜機構に対し、前記ローラー軸を前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾けさせ、前記レジストローラーに前記記録紙が到達しているときに、前記傾斜機構に対し、傾けられた前記ローラー軸を前記初期状態に戻させる制御を行なう第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記ローラー軸の傾ける方向及び量を示す傾斜データを前記第1制御部に向けて送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記傾斜データが示す前記ローラー軸の傾ける方向及び量に基づいて、前記レジストローラーの回転速度を補正し、
前記第1制御部は、前記傾斜データについての通信異常を検出しない場合には、前記レジストローラーの回転速度の補正を行ない、前記通信異常を検出した場合には、前記レジストローラーの回転速度についての予め定められた調整処理を行なう
、画像形成装置。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記通信異常を検出した場合には、前記調整処理として、前記記録紙の種類又はサイズに基づいて、前記回転速度を変更する処理を行なう、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記通信異常を検出した場合には、前記調整処理として、前記通信異常が発生していない平常時よりも遅い予め定められた低速度に、前記回転速度を変更する処理を行なう、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記通信異常を検出した場合には、前記調整処理として、前回正常に受信した前記傾斜データに基づいて、前記回転速度を補正する処理を行なう、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2制御部は、前記通信異常を検出した場合には、前記送信のリトライ処理を実行し、
前記第1制御部は更に、前記傾斜データを受信すると、前記記録紙の種類又はサイズに加え、前記通信異常の発生から前記傾斜データを正常に受信するまでのリカバリーに要した時間に基づいて、前記回転速度の補正を行なう、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記レジストローラーよりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記レジストローラーに前記記録紙を搬送するための中間搬送ローラーを更に備え、
前記第1制御部は、前記通信異常が発生した場合には、前記調整処理として、前記通信異常が発生していない平常時よりも遅い予め定められた低速度に、前記中間搬送ローラーの回転速度を変更する処理を行なう、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1制御部は、前記記録紙の厚みが予め定められた範囲から外れている場合、及び、前記記録紙のサイズが予め定められた範囲から外れている場合のうちの少なくともいずれかの場合には、前記回転速度を変更する処理として、前記レジストローラーの回転を一旦停止させる、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも予め定められた記録紙の搬送方向の上流側に設けられ、前記画像形成部に前記記録紙を送り出すレジストローラーと、
前記レジストローラーの回転制御を行なう第1制御部と、
前記搬送方向に対する前記記録紙の傾きを検出する傾き検出センサーと、
初期状態が前記搬送方向に対して直交する状態となっている前記レジストローラーのローラー軸を、前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾ける傾斜機構と、
前記傾き検出センサーの検出結果に基づいて、前記傾斜機構に対し、前記ローラー軸を前記搬送方向に対して上流側又は下流側に傾けさせ、前記レジストローラーに前記記録紙が到達しているときに、前記傾斜機構に対し、傾けられた前記ローラー軸を前記初期状態に戻させる制御を行なう第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記ローラー軸の傾ける方向及び量を示す傾斜データを前記第1制御部に向けて送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記傾斜データが示す前記ローラー軸の傾ける方向及び量に基づいて、前記レジストローラーの回転速度を補正し、
前記第2制御部は、前記傾斜データを、第1通信ラインを通じて前記第1制御部に向けて送信し、
前記第1制御部は、前記傾斜データについての通信異常を検出しない場合には、前記レジストローラーの回転速度の補正を行ない、前記通信異常を検出した場合には、前記第1通信ラインとは異なる第2通信ラインを介して、前記第2制御部による前記ローラー軸に対する前記制御を行なわせないための予め定められた不実施通知を、前記第2制御部に向けて送信する
、画像形成装置。
【請求項12】
前記第1制御部に接続されている汎用ポートを前記第2通信ラインとして更に備え、
前記第1制御部は、前記汎用ポートを介して、前記不実施通知を前記第2制御部に向けて送信する、請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2制御部は、前記不実施通知を受信した場合には、前記ローラー軸に対する前記制御を行なわない、請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1制御部は、前記通信異常が発生していない平常時において前記傾斜データを受信すべき予め定められた時間内に前記傾斜データを受信しない場合に、前記通信異常が発生したと判定する、請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第1制御部は、前記記録紙の搬送状況を監視することにより、前記傾斜データを受信すべき予め定められた時間を計測する、請求項
14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記レジストローラーよりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記レジストローラーに前記記録紙を搬送するための中間搬送ローラーを更に備え、
前記第1制御部は、前記記録紙の先端が前記中間搬送ローラーに到達した時点からの経過時間を計測し、前記経過時間が、前記記録紙の先端が前記中間搬送ローラーに到達した時点から前記レジストローラーに到達するまでに要する時間に達するまでに前記傾斜データを受信しない場合に、前記通信異常が発生したと判定する、請求項
15に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙の傾きを修正する機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙を挟持して画像形成部に供給するタイミングを調整するレジストローラーとを備える、複写機又は複合機等の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、記録紙が、予め定められた記録紙の搬送方向に対して傾いた状態で搬送される場合がある。傾いた状態で記録紙が画像形成部に搬送されると、傾いた画像が記録紙に形成される。
【0004】
記録紙の傾きを修正するために、レジストローラーを用いる技術が知られている。例えば、レジストローラーのローラー回転を一旦停止させ、停止しているレジストローラーに記録紙の先端が突き当たった後に、適当なタイミングでレジストローラーの回転を再開させる。停止しているレジストローラーに記録紙が突き当たると、記録紙に撓みが形成され、その結果、記録紙の傾きが修正される。
【0005】
しかしながら、停止しているレジストローラーに記録紙が突き当たると、衝撃音が発生するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決すべく、例えば、特許文献1乃至3は、レジストローラーのローラー回転を停止させることなく、記録紙の傾きを修正するための技術について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-075802号公報
【文献】特開2020-007092号公報
【文献】特開2020-050493号公報
【発明の概要】
【0008】
特許文献2は、予め定められた記録紙の搬送方向に対する記録紙の傾きを検出し、レジストローラーのローラー軸を記録紙の傾きに合わせて傾けることにより、記録紙の傾きを修正する技術を開示している。
【0009】
しかしながら、レジストローラーのローラー軸を傾けると、レジストローラーに記録紙が到達するタイミングに影響を与える。具体的には、レジストローラーのローラー軸の一端部を搬送方向の上流側に傾けると、レジストローラーと記録紙との距離が短くなり、記録紙はレジストローラーに早く到達する。一方、レジストローラーのローラー軸の一端部を搬送方向の下流側に傾けると、レジストローラーと記録紙との距離が長くなり、記録紙はレジストローラーに遅く到達する。
【0010】
レジストローラーに記録紙が到達するタイミングが変化すると、画像形成部に記録紙が供給されるタイミングに影響を与え、その結果、記録紙への画像形成に影響を与えるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、適切なタイミングでの画像形成部への記録紙の供給を確保しつつ、記録紙の傾きを修正可能にすることを目的とする。
【0012】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部よりも予め定められた記録紙の搬送方向の上流側に設けられ、画像形成部に記録紙を送り出すレジストローラーと、レジストローラーの回転制御を行なう第1制御部と、搬送方向に対する記録紙の傾きを検出する傾き検出センサーと、初期状態が搬送方向に対して直交する状態となっているレジストローラーのローラー軸を、搬送方向に対して上流側又は下流側に傾ける傾斜機構と、傾き検出センサーの検出結果に基づいて、傾斜機構に対し、ローラー軸を搬送方向に対して上流側又は下流側に傾けさせ、レジストローラーに記録紙が到達しているときに、傾斜機構に対し、傾けられたローラー軸を初期状態に戻させる制御を行なう第2制御部と、を備える。第2制御部は、ローラー軸の傾ける方向及び量を示す傾斜データを第1制御部に向けて送信する。第1制御部は、第2制御部から受信した傾斜データが示すローラー軸の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラーの回転速度を補正する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レジストローラーのローラー軸が記録紙の傾きに合わせて傾けられ、レジストローラーに記録紙が到達しているときに、傾けられたローラー軸が初期状態に戻されるので、記録紙の傾きを修正できる。また、ローラー軸の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラーの回転速度が補正されるので、ローラー軸を傾けたとしても、画像形成に適切なタイミングで記録紙を画像形成部へ供給できる。これにより、適切なタイミングでの画像形成部への記録紙の供給を確保しつつ、記録紙の傾きを修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す模式的な部分正面図である。
【
図2】レジストローラー対及びレジストローラー対の周辺部を模式的に示す側面図である。
【
図3】レジストローラー対の傾き動作の一例を説明するための図である。
【
図4】レジストローラー対の傾き動作の他の一例を説明するための図である。
【
図5】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図6】第1のローラー軸傾斜処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の回転速度調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2のローラー軸傾斜処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2の回転速度調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3のローラー軸傾斜処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第3の回転速度調整処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構造を示す模式的な部分正面図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備える複合機である。画像形成装置1は、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び搬送部19を含む。
【0016】
画像形成部12は、中間転写ユニット120と、ブラック、マゼンタ、シアン、及びイエロー用の各感光体ドラム121と、二次転写ローラー210と、を備える。中間転写ユニット120は、外周面にトナー像が転写される中間転写ベルト125、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、及び一次転写ローラー126を含む。
【0017】
中間転写ベルト125は、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間に張架されている。中間転写ベルト125は、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動されることで、感光体ドラム121と同期しながら、無端走行する。
【0018】
中間転写ベルト125上に転写される各色(ブラック、マゼンタ、シアン、及びイエロー)のトナー像は、調整された転写タイミングで中間転写ベルト125上に重ね合わされることで、カラーのトナー像となる。
【0019】
二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125を挟んで、駆動ローラー125Aとの間でニップ部N1を形成する。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、ニップ部N1において、給紙部14から搬送路190を介して搬送されてくる記録紙Pに転写する。ニップ部N1でトナー像が転写された記録紙Pは、定着部13に搬送される。
【0020】
搬送部19は、搬送路190と、ニップ部N1(すなわち、画像形成部12で画像が形成される画像形成位置)よりも記録紙Pの搬送方向Dの上流側に搬送路190に沿って設けられるレジストローラー対191と、レジストローラー対191よりも搬送方向Dの上流側に搬送路190に沿って設けられる傾き検出センサー193と、レジストローラー対191と給紙部14との間に搬送路190に沿って設けられる中間搬送ローラー対194と、レジストローラー対191付近に搬送路190に沿って設けられるレジストセンサー195と、中間搬送ローラー対194付近に搬送路190に沿って設けられる中間センサー196と、を備える。
【0021】
レジストローラー対191は、駆動レジストローラー191Aと、駆動レジストローラー191Aに従動して回転する従動レジストローラー191Bと、を含む。駆動レジストローラー191Aと従動レジストローラー191Bとはニップ部N2を形成している。レジストローラー対191は、画像形成部12に記録紙Pを送り出す。レジストローラー対191は、記録紙Pをニップ部N1に搬送するタイミングを調整する。
【0022】
傾き検出センサー193は、搬送方向Dに対する記録紙Pの傾きを検出する。本実施形態では、傾き検出センサー193は、ラインセンサーの一種であるCIS(Contact Image Sensor)である。傾き検出センサー193は、記録紙Pの一方面の画像データを検出する。傾き検出センサー193は、搬送方向Dに直交する方向に並列されている。
【0023】
中間搬送ローラー対194は、記録紙Pをレジストローラー対191に向けて搬送する。
【0024】
レジストセンサー195は、レジストローラー対191に記録紙Pの先端が到達したことを検出する。中間センサー196は、中間搬送ローラー対194に記録紙Pの先端が到達したことを検出する。レジストセンサー195及び中間センサー196は、例えば、発光素子と、当該発光素子から射出された光の記録紙Pにおける反射光を検出する受光素子とを備える既知の反射型光電センサーであり、記録紙Pの先端を検出する。
【0025】
給紙部14は、複数の給紙カセット141を備える。給紙カセット141はそれぞれ、ピックアップローラー142と、フィードローラー143と、フィードローラー143と対向配置されるリタードローラー144と、搬送ローラー対145と、を備える。
【0026】
ピックアップローラー142は、給紙カセット141に収容されている記録紙Pをピックアップする。フィードローラー143及びリタードローラー144は、ピックアップローラー142によりピックアップされた記録紙Pを1枚ずつ分離して、搬送ローラー対145に向けて搬送する。
【0027】
図2は、レジストローラー対191及びレジストローラー対191の周辺部を模式的に示す側面図である。レジストローラー対191は、
図1に示すように、駆動レジストローラー191Aと、従動レジストローラー191Bと、を含む。駆動レジストローラー191A及び従動レジストローラー191Bは、それぞれ、ローラー軸192A,192B(以降、単に「ローラー軸192」と称す場合がある。)を含む。なお、
図2において、ローラー軸192Aは、
図2の奥行き方向においてローラー軸192Bの真裏に位置する。また、駆動レジストローラー191Aも、
図2の奥行き方向において従動レジストローラー191Bの真裏に位置する。駆動レジストローラー191A、従動レジストローラー191B、及びローラー軸192A,192Bは、回転基板30に対して、
図2における紙面の手前側に設けられている。
図2に示す、レジストローラー対191のローラー軸192が、記録紙Pの搬送方向Dに直交している状態を、レジストローラー対191のローラー軸192の初期状態とする。
【0028】
レジストローラー対191は、回転基板30上に設けられている。回転基板30には、ローラー軸192Aの軸受31,32と、駆動ギア33と、連結ギア34と、軸駆動モーター35と、支持部36と、が設けられている。ローラー軸192Aの軸受31は、ローラー軸192Bの軸受31に重ねて設けられ、ローラー軸192Aの軸受32は、ローラー軸192Bの軸受32に重ねて設けられている。すなわち、ローラー軸192Bの軸受31,32は、ローラー軸192Aの軸受31,32を介して回転基板30上に設けられている(
図1参照)。
【0029】
駆動レジストローラー191Aのローラー軸192Aの軸受31,32は、ローラー軸192A(駆動軸)を回転可能に支持する。従動レジストローラー191Bのローラー軸192Bの軸受31,32は、ローラー軸192B(駆動軸)を回転可能に支持する。
【0030】
駆動レジストローラー191Aのローラー軸192Aの軸端には、ローラー軸192Aと共回りする駆動ギア33が固定されている。駆動ギア33は、軸駆動モーター35の出力軸に固定された連結ギア34と噛み合っている。これにより、軸駆動モーター35の駆動によってレジストローラー対191は回転する。
【0031】
支持部36は、画像形成装置1の装置本体の一部に固定されている支持基板40に固定されている。支持部36は、例えば円柱状の突起であり、回転基板30に設けられている孔部に遊嵌されている。支持基板40は、支持部36を介して、回転基板30を回転可能に支持している。支持基板40には、旋回モーター41と、旋回モーター41の出力軸に取り付けられて当該出力軸と共回りするピニオンギア42とが、設けられている。
【0032】
回転基板30の軸受32側の一端部には、ラックギア37が設けられている。ラックギア37は、旋回モーター41の出力軸に固定されているピニオンギア42と噛み合っている。これにより、旋回モーター41の駆動によって、回転基板30は支持部36を回転軸として回転する。従って、旋回モーター41を図中時計回りに回転させることで、レジストローラー対191の軸受31側を回転中心としてレジストローラー対191の軸受32側が記録紙Pの搬送方向Dの下流側に傾く(以下、この状態を、レジストローラー対191を搬送方向Dの下流側に傾けた状態という)。一方、旋回モーター41を図中反時計回りに回転させることで、レジストローラー対191の軸受31側を回転中心としてレジストローラー対191の軸受32側が記録紙Pの搬送方向Dの上流側に傾く(以下、この状態を、レジストローラー対191を搬送方向Dの上流側に傾けた状態という)。回転基板30、支持部36、ラックギア37、支持基板40,旋回モーター41及びピニオンギア42を含む構成は、特許請求の範囲における傾斜機構の一例である。
【0033】
図3は、レジストローラー対191が搬送方向Dの下流側に傾けられている状態の一例を示す図である。旋回モーター41の出力軸が図中時計回りに回転すると、回転基板30が支持部36を回転軸として反時計回りに回転し、レジストローラー対191のローラー軸192が搬送方向Dの下流側に傾く。
【0034】
図4は、レジストローラー対191が搬送方向Dの上流側に傾けられている状態の一例を示す図である。旋回モーター41の出力軸が図中反時計回りに回転すると、回転基板30が支持部36を回転軸として時計回りに回転し、レジストローラー対191のローラー軸192が搬送方向Dの上流側に傾く。
【0035】
図3及び
図4に示すように、回転基板30を回転させ、記録紙Pの先端の辺と平行となるように、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けることで、記録紙Pはレジストローラー対191に対しては傾いていない姿勢で搬送され、レジストローラー対191で形成されるニップ部N2(
図1)に侵入し挟持される。
【0036】
レジストローラー対191で形成されるニップ部N2に記録紙Pが挟持された後、回転基板30を反対方向に回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を初期状態に戻すことで、記録紙Pの傾きを正すことができる。すなわち、記録紙Pの傾きが修正される。
【0037】
図5は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、メイン制御ユニット100、エンジン制御ユニット200、レジストレス制御ユニット300、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、搬送部19、操作部47、及び記憶装置8を含む。なお、
図1に示す画像形成装置1と同様の構成部分については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0038】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に設けられている。原稿給送部6は、プラテンガラス上に載置されている原稿を読取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿送り装置である。原稿給送部6は、原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置されている原稿を原稿読取部5へ供給する。
【0039】
画像形成装置1で原稿読取動作が行なわれる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又はプラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読取り、画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、画像メモリー等に保存される。
【0040】
画像形成装置1で画像形成動作が行なわれる場合について説明する。原稿読取部5により生成された画像データ、又は、ネットワーク接続されている外部装置としてのコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙されてくる記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。
【0041】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙Pを加熱及び加圧して、トナー像を記録紙Pに定着させる。定着処理が施された記録紙Pは排出トレイに排出される。給紙部14は、
図1に示す複数の給紙カセット141を備える。
【0042】
搬送部19は、記録紙Pを、
図1に示す搬送路190に沿って、画像形成部12に向けて搬送する。搬送部19は、軸駆動モーター35と、
図1に示す中間搬送ローラー対194のローラー軸に回転駆動力を供給する駆動モーター51と、レジストセンサー195と、中間センサー196と、旋回モーター41と、傾き検出センサー193と、を備えている。
【0043】
記憶装置8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。記憶装置8は、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0044】
操作部47は、各種のハードキー等を備える。操作部47は、当該ハードキーを介して、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理についての、例えば画像形成動作実行指示等のユーザーの指示を受付ける。操作部47は、ユーザーへの操作案内等を表示する表示部473を備えている。操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介した、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)、又は、ハードキーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーの指示の入力を受付ける。
【0045】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成されている。表示部473は、タッチパネルを備えている。ユーザーが画面表示されているボタン又はキーに触れる操作を行なうと、タッチパネルは、タッチ操作された位置に対応付けられている指示を受付ける。
【0046】
メイン制御ユニット100、エンジン制御ユニット200、及びレジストレス制御ユニット300は、それぞれにプロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含む。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。
【0047】
メイン制御ユニット100は、記憶装置8に記憶されている第1制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、メイン制御部101として機能する。エンジン制御ユニット200は、記憶装置8に記憶されている第2制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、エンジン制御部201として機能する。レジストレス制御ユニット300は、記憶装置8に記憶されている第3制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、レジストレス制御部301として機能する。なお、第1乃至第3プログラムは、同一の制御プログラムにより構成されていてもよい。
【0048】
エンジン制御部201及びレジストレス制御部301はそれぞれ、特許請求の範囲における第1制御部及び第2制御部の一例である。
【0049】
なお、メイン制御部101等は、メイン制御ユニット100等による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0050】
また、本実施形態では、メイン制御部101とは別に、画像形成を行なう部分を制御するエンジン制御部201を設けているが、本発明は当該実施形態に限定されない。例えば、エンジン制御部201とメイン制御部101とを統合し、メイン制御部101がエンジン制御部201の機能及び処理を実行してもよい。
【0051】
メイン制御部101、エンジン制御部201、及びレジストレス制御部301の間でのデータ通信には、例えば第1通信ラインを介したシリアル通信が用いられる。
【0052】
メイン制御部101は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。メイン制御部101は、操作部47と接続されている。メイン制御部101は、操作部47に対するユーザーによるタッチ操作等で入力された指示を受付ける。メイン制御部101は、表示部473の表示を制御する。
【0053】
エンジン制御ユニット200は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び搬送部19と接続されている。エンジン制御部201は、これらの各部の駆動制御等を行なう。例えば、エンジン制御部201は、画像形成部12に記録紙Pを送り出すために、レジストローラー対191の回転制御を行なう。具体的には、エンジン制御部201は、軸駆動モーター35を制御することにより、レジストローラー対191の回転制御を行なう。
【0054】
レジストレス制御ユニット300は、搬送部19の旋回モーター41及び傾き検出センサー193と接続されている。レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193による検出結果に基づいて旋回モーター41を制御することで、レジストローラー対191のローラー軸192を搬送方向Dに対して上流側又は下流側に傾けることにより、記録紙Pの傾きを修正する。
【0055】
レジストレス制御部301は、シリアル通信を用いて、ローラー軸192を傾ける方向及び量を示す傾斜データをエンジン制御部201に向けて送信する。
【0056】
エンジン制御部201は、レジストレス制御部301から受信した傾斜データが示すローラー軸192を傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191の回転速度を補正する。
【0057】
図3に示すように、レジストローラー対191を搬送方向Dに対して下流側に傾けると、記録紙Pからレジストローラー対191で形成されるニップ部N2までの距離が初期状態のときよりも長くなるので、レジストローラー対191を傾けない場合と比較して、記録紙Pがニップ部N2で挟持されるタイミングが遅くなる。そのため、エンジン制御部201は、レジストローラー対191の回転速度を速くする補正を行なう。これにより、タイミングのズレを調整する。
【0058】
一方、
図4に示すように、レジストローラー対191を搬送方向Dに対して上流側に傾けると、記録紙Pからレジストローラー対191で形成されるニップ部N2までの距離が初期状態のときよりも短くなるので、レジストローラー対191を傾けない場合と比較して、記録紙Pがニップ部N2で挟持されるタイミングが早くなる。そのため、エンジン制御部201は、レジストローラー対191の回転速度を遅くする補正を行なう。これにより、タイミングのズレを調整する。
【0059】
次に、レジストレス制御部301が行なう第1のローラー軸傾斜処理の一例について、
図6に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて記録紙Pの先端を検出した場合に、第1のローラー軸傾斜処理を行なう。
【0060】
レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて、搬送方向Dに対する記録紙Pの傾きを検出する(ステップS1)。レジストレス制御部301は、検出した記録紙Pの傾きに基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を記録紙Pの先端の辺と平行にするための、レジストローラー対191のローラー軸192の傾ける方向及び量を決定する(ステップS2)。
【0061】
レジストレス制御部301は、今回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量と、前回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量との差が予め定められた設定範囲内であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0062】
レジストレス制御部301は、ローラー軸192の傾ける方向及び量について、今回と前回との差が予め定められた設定範囲内でないと判断した場合(ステップS3でNO)、今回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量を示す傾斜データを、シリアル通信で、エンジン制御部201に向けて送信する(ステップS4)。ステップS4の後、レジストレス制御部301は、今回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を傾ける(ステップS5)。
【0063】
一方、レジストレス制御部301は、ローラー軸192の傾ける方向及び量について、今回と前回との差が予め定められた設定範囲内である(すなわち、今回と前回とで大きな差はない)と判断した場合(ステップS3でYES)、傾斜データよりもデータ量の小さい、予め定められた指令コードを、シリアル通信で、エンジン制御部201に向けて送信する(ステップS6)。ステップS6の後、レジストレス制御部301は、今回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を傾ける(ステップS5)。
【0064】
指令コードとしては、ローラー軸192の傾ける方向及び量を示す情報を送信する必要がなく、単純な情報であればよいので、傾斜データのデータ量よりも小さくすることは容易である。レジストレス制御部301は、指令コードとして、例えば、傾斜データが示す値としてはあり得ないような値を示すデータを送信してもよい。
【0065】
次に、エンジン制御部201が行なう第1の回転速度調整処理の一例について、
図7に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、エンジン制御部201は、レジストレス制御部301からシリアル通信で送信されてくるデータを受信した場合に、第1の回転速度調整処理を行なう。
【0066】
エンジン制御部201は、受信したデータが傾斜データであるか否かを判断する(ステップS11)。エンジン制御部201は、受信したデータが傾斜データであると判断した場合(ステップS11でYES)、傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じた、レジストローラー対191の回転速度を決定する(ステップS12)。例えば、エンジン制御ユニット200が内蔵する不揮発性のメモリー又は記憶装置8が、ローラー軸192の傾ける方向及び量の組合せに対応付けられたレジストローラー対191の回転速度を示すデータテーブルを記憶している。エンジン制御部201は、当該データテーブルを用いて、傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じたレジストローラー対191の回転速度を決定する。又は、エンジン制御ユニット200が内蔵する不揮発性のメモリー又は記憶装置8が、ローラー軸192の傾ける方向及び量の組合せに対応付けられた各係数を記憶している。エンジン制御部201は、当該係数を用いて、傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じたレジストローラー対191の回転速度を算出して決定する。
【0067】
エンジン制御部201は、ステップS12の処理後、レジストローラー対191の回転速度が、決定したレジストローラー対191の回転速度となるように、軸駆動モーター35を駆動制御する(ステップS15)。これにより、レジストローラー対191の回転速度が補正される。ステップS15の処理は、レジストレス制御部301が、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けた後(すなわち、
図6に示すステップS5の後)に行なわれる。
【0068】
一方、エンジン制御部201は、受信したデータが傾斜データでないと判断した場合(ステップS11でNO)、受信したデータが指令コードであるか否かを判断する(ステップS13)。エンジン制御部201は、受信したデータが指令コードであると判断した場合(ステップS13でYES)、前回受信した傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じたレジストローラー対191の回転速度をデータテーブル又は係数を用いて決定する(ステップS14)。エンジン制御部201は、ステップS14の処理後、レジストローラー対191の回転速度が、決定したレジストローラー対191の回転速度となるように、軸駆動モーター35を駆動制御する(ステップS15)。これにより、レジストローラー対191の回転速度が補正される。
【0069】
ステップS15の処理後、レジストレス制御部301は、レジストセンサー195から送信されてくる、記録紙Pの先端を検出したことを示す信号を受信すると、当該信号の受信タイミングに基づいて、レジストローラー対191により記録紙Pの先端の辺が完全にニップされるニップタイミング(すなわち、レジストローラー対191に記録紙Pが到達するタイミング)を算出する。例えば、レジストレス制御部301は、上記受信タイミングから予め定められた時間経過した時点をニップタイミングとして算出する。レジストレス制御部301は、算出したニップタイミングの到来時に、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を初期状態に戻す。
【0070】
ここで、ステップS12及びステップS14において、エンジン制御部201が決定するレジストローラー対191の回転速度は、上記のように傾けられたレジストローラー対191が記録紙Pをニップした状態で初期状態に戻されているときにレジストローラー対191により送出される記録紙Pの先端が中間転写ベルト125及び駆動ローラー125Aのニップ部N1に到達するタイミングが、搬送方向Dに対して記録紙Pが傾いておらず、レジストローラー対191が初期状態のままであって上記補正前の回転速度で記録紙Pがレジストローラー対191により送出される場合に到達するタイミング、となる回転速度に設定されている。
【0071】
なお、エンジン制御部201は、受信したデータが指令コードでないと判断した場合(ステップS13でNO)、すなわち、エンジン制御部201が、傾斜データ及び指令コードのいずれも受信していない場合は、第1の回転速度調整処理を終了する。
【0072】
第1実施形態によれば、レジストローラー対191のローラー軸192が記録紙Pの傾きに合わせて傾けられ、レジストローラー対191により記録紙Pの先端の辺が完全にニップされたタイミングで、傾けられたレジストローラー対191のローラー軸192が初期状態に戻されるので、記録紙Pの傾きを、記録紙Pの先端の辺が搬送方向Dに直交する正常な状態に修正できる。また、ローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191の回転速度が補正されるので、ローラー軸192を傾けたとしても、適切なタイミングで記録紙Pを画像形成部12へ供給できる。これにより、適切なタイミングでの画像形成部12への記録紙Pの供給を確保しつつ、記録紙Pの傾きを修正できる。
【0073】
また第1実施形態によれば、レジストレス制御部301は、ローラー軸192の傾ける方向及び量について、今回と前回との差が予め定められた設定範囲内である(すなわち、今回と前回とで大きな差はない)と判断した場合、傾斜データの代わりに、傾斜データよりもデータ量の小さい指令コードを、シリアル通信で、エンジン制御部201に向けて送信する。
【0074】
これにより、CPU等の資源が通信に占有される時間を減らすことができる。また、通信データ量を小さくすることで、通信に要する時間を短くできる。その結果、通信後にレジストレス制御部301が行なうローラー軸192の傾き制御への移行が早くなり、応答性のよい記録紙Pの搬送制御が行なわれる。また、エンジン制御部201によるレジストローラー対191の回転速度の補正制御についても開始が早くなる。
【0075】
なお、第1実施形態では、レジストレス制御部301は、ローラー軸192の傾ける方向及び量について、今回と前回との差が予め定められた設定範囲内であると判断した場合に、指令コードをエンジン制御部201に向けて送信するが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態として、レジストレス制御部301は、今回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量と、前回決定したローラー軸192の傾ける方向及び量とが同じである場合に限定して、指令コードをエンジン制御部201に向けて送信してもよい。
【0076】
また、レジストレス制御部301は、傾斜データ及び指令コードのうちのいずれかの送信についての通信異常を検出した場合には、送信のリトライ処理を実行してもよい。
【0077】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照して説明する。第2実施形態に係る画像形成装置1は、レジストレス制御部301が、上記第1のローラー軸傾斜処理に代えて、第2のローラー軸傾斜処理を実行する点、及び、エンジン制御部201が、上記第1の回転速度調整処理に代えて、第2の回転速度調整処理を実行する点を除き、第1実施形態に係る画像形成装置1と同じ構成を備える。以下、第1実施形態に係る画像形成装置1と同じ構成については、繰返して説明しない。
【0078】
次に、レジストレス制御部301が行なう第2のローラー軸傾斜処理の一例について、
図8に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて記録紙Pの先端を検出した場合に、第2のローラー軸傾斜処理を行なう。
【0079】
レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて、搬送方向Dに対する記録紙Pの傾きを検出する(ステップS1)。レジストレス制御部301は、検出した記録紙Pの傾きに基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を記録紙Pの先端の辺と平行にするための、レジストローラー対191のローラー軸192の傾ける方向及び量を決定する(ステップS2)。
【0080】
レジストレス制御部301は、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量を示す傾斜データを、シリアル通信で、エンジン制御部201に向けて送信する(ステップS3)。ステップS3の後、レジストレス制御部301は、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を傾ける(ステップS4)。
【0081】
次に、エンジン制御部201が行なう第2の回転速度調整処理の一例について、
図9に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、エンジン制御部201は、レジストレス制御部301からシリアル通信で送信されてくるデータを受信した場合に、第2の回転速度調整処理を行なう。
【0082】
エンジン制御部201は、レジストレス制御部301からシリアル通信で送信されてくる傾斜データについての通信異常が発生しているか否かを判断する(ステップS11)。シリアル通信で受信側のエンジン制御部201は、例えば、既知のパリティーエラー、オーバーランエラー、又はフレーミングエラーを、通信異常として検出する。
【0083】
エンジン制御部201は、通信異常が発生していないと判断した場合(ステップS11でNO)、正常に受信した傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じた、レジストローラー対191の回転速度を決定する(ステップS12)。エンジン制御部201は、例えば、上記第1実施形態と同様にして、エンジン制御ユニット200が内蔵する不揮発性のメモリー又は記憶装置8に記憶されているデータテーブル又は係数を用いて、レジストローラー対191の回転速度を決定する。
【0084】
エンジン制御部201は、ステップS12の処理後、レジストローラー対191の回転速度が、決定したレジストローラー対191の回転速度となるように、軸駆動モーター35を駆動制御する(ステップS18)。これにより、レジストローラー対191の回転速度が補正される。ステップS18の処理は、レジストレス制御部301が、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けた後(すなわち、
図8に示すステップS4の後)に行なわれる。
【0085】
なお、エンジン制御部201は、通信異常が発生していないと判断した場合、傾斜データを正常に受信できたことを示す応答データをレジストレス制御部301に向けて送信する。
【0086】
一方、エンジン制御部201は、通信異常が発生していると判断した場合(ステップS11でYES)、すなわち、傾斜データについての通信異常を検出した場合、レジストローラー対191の回転速度についての予め定められた調整処理を行なう(ステップS13)。なお、エンジン制御部201は、通信異常が発生していると判断した場合、傾斜データを正常に受信できなかったことを示す応答データをレジストレス制御部301に向けて送信する。レジストレス制御部301は、エンジン制御部201からの上記応答データを受信すると、傾斜データの送信のリトライ処理を実行する。
【0087】
上記予め定められた調整処理として、エンジン制御部201は、例えば、(i)通信異常が発生していない平常時における予め定められた回転速度よりも遅い予め定められた低速度に、レジストローラー対191の回転速度を変更する処理を行なう、(ii)記録紙Pの種類若しくはサイズに基づいて、レジストローラー対191の回転速度を変更する処理を行なう、又は、(iii)前回正常に受信した傾斜データに基づいて、レジストローラー対191の回転速度を補正する処理を行なう。
【0088】
上記(ii)の場合について説明する。画像形成装置1においては、厚すぎる、又は、薄すぎる記録紙Pは、標準的な厚みの記録紙Pよりも扱いが難しい。また、幅方向の長さが長すぎる、又は、短すぎる記録紙Pも、標準的な長さの記録紙Pよりも扱いが難しい。したがって、エンジン制御部201は、例えば、記録紙Pの厚みが予め定められた範囲から外れている場合、及び記録紙Pのサイズが予め定められた範囲から外れている場合のうちの少なくともいずれかの場合には、レジストローラー対191の回転速度の変更処理として、レジストローラー対191の回転を一旦停止させてもよい。
【0089】
ステップS13の処理後、エンジン制御部201は、レジストレス制御部301によるリトライ処理により再送信されてくる傾斜データの受信に成功したか否かを判断する(ステップS15)。
【0090】
エンジン制御部201は、傾斜データの受信に成功したと判断した場合(ステップS15でYES)、傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じたレジストローラー対191の回転速度を決定する(ステップS12)。エンジン制御部201は、ステップS12の処理後、レジストローラー対191の回転速度が、決定したレジストローラー対191の回転速度となるように、軸駆動モーター35を駆動制御する(ステップS18)。これにより、レジストローラー対191の回転速度が補正される。
【0091】
なお、ステップS18においては、エンジン制御部201は更に、記録紙の種類又はサイズに加え、上記通信異常の発生から傾斜データを正常に受信するまでのリカバリーに要した時間に基づいて、レジストローラー対191の回転速度を決定してもよい。
【0092】
例えば、
図3に示すように、レジストローラー対191を搬送方向Dに対して下流側に傾けている場合、エンジン制御部201は、レジストローラー対191の回転速度が速くなるように補正するが、リカバリーに要した時間が長くなるに従って、レジストローラー対191の回転速度を更に速くするように、レジストローラー対191の回転速度を決定する。
【0093】
一方、
図4に示すように、レジストローラー対191を搬送方向Dに対して上流側に傾けている場合、エンジン制御部201は、レジストローラー対191の回転速度が遅くなるように補正するが、リカバリーに要した時間が長くなるに従って、レジストローラー対191の回転速度を更に遅くするように、レジストローラー対191の回転速度を決定する。
【0094】
一方、エンジン制御部201は、傾斜データの受信に成功していないと判断した場合(ステップS15でNO)、レジストセンサー195から送信されてくる信号に基づいて、記録紙Pの先端がレジストローラー対191に到達したか否かを判断する(ステップS17)。
【0095】
すなわち、エンジン制御部201は、記録紙Pの先端がレジストローラー対191に到達するまでは(ステップS17でNO)、レジストレス制御部301によるリトライ処理により再送信されてくる傾斜データの受信に成功したか否かを判断する(ステップS15)。エンジン制御部201は、記録紙Pの先端がレジストローラー対191に到達するまでに(ステップS17でNO)、再送信されてくる傾斜データの受信に成功したと判断したときは(ステップS15でYES)、傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じたレジストローラー対191の回転速度を決定する(ステップS12)。ステップS12の処理後、エンジン制御部201は、ステップS18の処理を行なう。
【0096】
なお、ステップS18の処理後、レジストレス制御部301は、レジストセンサー195から送信されてくる、記録紙Pの先端を検出したことを示す信号を受信すると、上記第1実施形態と同様にして、当該信号の受信タイミングに基づいてニップタイミングを算出する。レジストレス制御部301は、算出したニップタイミングの到来時に、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を初期状態に戻す。
【0097】
ここで、上記第1実施形態と同様に、ステップS12において、エンジン制御部201が決定するレジストローラー対191の回転速度は、上記のように傾けられたレジストローラー対191が記録紙Pをニップした状態で初期状態に戻されているときにレジストローラー対191により送出される記録紙Pの先端が中間転写ベルト125及び駆動ローラー125Aのニップ部N1に到達するタイミングが、搬送方向Dに対して記録紙Pが傾いておらず、レジストローラー対191が初期状態のままであって補正前の回転速度で記録紙Pがレジストローラー対191により送出される場合に到達するタイミング、となる回転速度に設定されている。
【0098】
一方、エンジン制御部201は、記録紙Pの先端がレジストローラー対191に到達するまでに、再送信されてくる傾斜データの受信に成功したと判断しなかったときは(ステップS15でNO,ステップS17でYES)、第2の回転速度調整処理を終了する。
【0099】
ところで、記録紙Pを適切なタイミングで画像形成部へ供給するために、エンジン制御部201は、ローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191の回転速度を補正する。しかしながら、本実施形態では、レジストローラーを回転させるための制御を行なうエンジン制御部201と、ローラー軸192を傾けるための制御を行なうレジストレス制御部301とが独立しているため、レジストレス制御部301からエンジン制御部201に向けて傾斜データを送信する必要がある。
【0100】
ところが、通信異常が発生し、傾斜データがエンジン制御部201で正常に受信されないと、エンジン制御部201において上記回転速度の補正を適切に行なうことが難しくなる。その結果、記録紙Pに対する画像形成に悪影響が及ぶおそれがある。
【0101】
これに対し、第2実施形態によれば、傾斜データについての通信異常が発生した場合には、上記回転速度の補正が行なわれる代わりに、レジストローラー対191の回転速度についての予め定められた調整処理が行なわれる。当該調整処理の実行により、傾斜データについての通信異常が発生した場合に生じる悪影響が抑制される。予め定められた調整処理としては、上記したように、例えば、前回正常に受信した傾斜データに基づいてレジストローラー対191の回転速度の上記補正を行なうこと、又は、通信異常が発生していない平常時よりもレジストローラー対191の回転速度を低くすること等がある。
【0102】
記録紙Pが搬送方向Dに対して傾いている場合、前回の記録紙Pの搬送時と同程度に傾いている可能性は高いと予想される。そのため、前回正常に受信した傾斜データに基づいて上記補正を行なうことが合理的である。
【0103】
また別の実施形態として、エンジン制御部201は、通信異常が発生した場合には、駆動モーター51を制御して、上記予め定められた調整処理として、通信異常が発生していない平常時よりも遅い予め定められた低速度に、中間搬送ローラー対194の回転速度を変更する処理を行なってもよい。これにより、通信異常が回復するまでの時間を稼ぐことができる。
【0104】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照して説明する。第3実施形態に係る画像形成装置1は、レジストレス制御部301が、上記第1のローラー軸傾斜処理に代えて、第3のローラー軸傾斜処理を実行する点、及び、エンジン制御部201が、上記第1の回転速度調整処理に代えて、第3の回転速度調整処理を実行する点を除き、第1実施形態に係る画像形成装置1と同じ構成を備える。以下、第1実施形態に係る画像形成装置1と同じ構成については、繰返して説明しない。
【0105】
次に、レジストレス制御部301が行なう第3のローラー軸傾斜処理の一例について、
図10に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて記録紙Pの先端を検出した場合に、第3のローラー軸傾斜処理を行なう。
【0106】
レジストレス制御部301は、傾き検出センサー193が検出した画像データに基づいて、搬送方向Dに対する記録紙Pの傾きを検出する(ステップS1)。レジストレス制御部301は、検出した記録紙Pの傾きに基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を記録紙Pの先端の辺と平行にするための、レジストローラー対191のローラー軸192の傾ける方向及び量を決定する(ステップS2)。
【0107】
レジストレス制御部301は、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量を示す傾斜データを、シリアル通信で、第1通信ラインを介して、エンジン制御部201に向けて送信する(ステップS3)。ステップS3の処理後、レジストレス制御部301は、レジストレス制御部301に接続されておりエンジン制御部201との通信を可能にする汎用ポートを介して不実施通知を受信しているか否かを判断する(ステップS4)。
【0108】
後で詳しく説明するが、レジストレス制御部301から送信されてくる傾斜データについての通信異常が発生した場合、エンジン制御部201は、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けるための制御を行なわせないための予め定められた不実施通知を、汎用ポートを通じてレジストレス制御部301に向けて送信する。レジストレス制御部301は、汎用ポートを介して不実施通知を受信していないと判断した場合(ステップS4でNO)、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を傾ける(ステップS7)。
【0109】
一方、レジストレス制御部301は、汎用ポートを介して不実施通知を受信していると判断した場合(ステップS4でYES)、ステップS7の処理を行なうことなく、第3のローラー軸傾斜処理を終了する。
【0110】
次に、エンジン制御部201が行なう第3の回転速度調整処理の一例について、
図10に示すフローチャート等を参照して説明する。なお、エンジン制御部201は、レジストレス制御部301からシリアル通信で送信されてくるデータを受信した場合に、第3の回転速度調整処理を行なう。
【0111】
エンジン制御部201は、レジストレス制御部301からシリアル通信で送信されてくる傾斜データについての通信異常が発生しているか否かを判断する(ステップS11)。シリアル通信で受信側のエンジン制御部201は、例えば、既知のパリティーエラー、オーバーランエラー、又はフレーミングエラーを、通信異常として検出する。
【0112】
エンジン制御部201は、通信異常が発生していないと判断した場合(ステップS11でNO)、正常に受信した傾斜データが示すローラー軸192の傾ける方向及び量に応じた、レジストローラー対191の回転速度を決定する(ステップS12)。エンジン制御部201は、例えば、上記第1実施形態と同様にして、エンジン制御ユニット200が内蔵する不揮発性のメモリー又は記憶装置8に記憶されているデータテーブル又は係数を用いて、レジストローラー対191の回転速度を決定する。
【0113】
エンジン制御部201は、ステップS12の処理後、レジストローラー対191の回転速度が、決定したレジストローラー対191の回転速度となるように、軸駆動モーター35を駆動制御する(ステップS13)。これにより、レジストローラー対191の回転速度が補正される。ステップS18の処理は、レジストレス制御部301が、決定したローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けた後(すなわち、
図10に示すステップS7の後)に行なわれる。
【0114】
なお、ステップS13の処理後、レジストレス制御部301は、レジストセンサー195から送信されてくる、記録紙Pの先端を検出したことを示す信号を受信すると、上記第1実施形態と同様にして、当該信号の受信タイミングに基づいてニップタイミングを算出する。レジストレス制御部301は、算出したニップタイミングの到来時に、旋回モーター41を制御して回転基板30を回転させ、レジストローラー対191のローラー軸192を上記初期状態に戻す。
【0115】
ここで、上記第1実施形態と同様に、ステップS12において、エンジン制御部201が決定するレジストローラー対191の回転速度は、上記のように傾けられたレジストローラー対191が記録紙Pをニップした状態で初期状態に戻されているときにレジストローラー対191により送出される記録紙Pの先端が中間転写ベルト125及び駆動ローラー125Aのニップ部N1に到達するタイミングが、搬送方向Dに対して記録紙Pが傾いておらず、レジストローラー対191が初期状態のままであって補正前の回転速度で記録紙Pがレジストローラー対191により送出される場合に到達するタイミング、となる回転速度に設定されている。
【0116】
一方、エンジン制御部201は、通信異常が発生していると判断した場合(ステップS11でYES)、すなわち、傾斜データについての通信異常を検出した場合、エンジン制御部201に接続されておりレジストレス制御部301との通信を可能にする汎用ポートを介して、レジストローラー対191のローラー軸192を傾けるための制御を行なわせないための予め定められた不実施通知をレジストレス制御部301に向けて送信する(ステップS14)。
【0117】
すなわち、エンジン制御部201は、傾斜データの通信を行なう第1通信ラインとは異なる第2通信ラインとしての汎用ポートを介して、不実施通知をレジストレス制御部301に向けて送信する。ステップS14の処理後、エンジン制御部201は、第3の回転速度調整処理を終了する。
【0118】
ところで、記録紙Pを適切なタイミングで画像形成部へ供給するために、エンジン制御部201は、ローラー軸192の傾ける方向及び量に基づいて、レジストローラー対191の回転速度を補正する。しかしながら、本実施形態では、レジストローラーを回転させるための制御を行なうエンジン制御部201と、ローラー軸192を傾けるための制御を行なうレジストレス制御部301とが独立しているため、レジストレス制御部301からエンジン制御部201に向けて傾斜データを送信する必要がある。
【0119】
ところが、通信異常が発生し、傾斜データがエンジン制御部201で正常に受信されないと、エンジン制御部201において上記回転速度の補正を適切に行なうことが難しくなる。その結果、記録紙Pに対する画像形成に悪影響が及ぶおそれがある。
【0120】
これに対し、第3実施形態によれば、傾斜データについての通信異常が発生した場合には、ローラー軸192を傾けるための制御を行なわせないための不実施通知がエンジン制御部201(傾斜データの受信側)からレジストレス制御部301(傾斜データの送信側)に向けて送信される。これにより、レジストローラー対191の回転速度の補正ができない状況下で、レジストローラー対191のローラー軸192が傾けられることを防止可能になる。その結果、傾斜データに対する通信異常が発生した場合に生じる悪影響を抑制できる。
【0121】
また、傾斜データの通信を行なうための第1通信ラインを介した通信についての異常発生時には、第1通信ラインとは異なる第2通信ラインを介して、不実施通知の送信が行なわれるので、不実施通知を確実にレジストレス制御部301に送信可能になり、応答性を高めることができる。例えば、エンジン制御部201は、平常時には「Low」となっている第2通信ラインとしての汎用ポートによる信号を「High」に切り替えるといった簡単な処理により、不実施通知をレジストレス制御部301に送信可能である。
【0122】
なお、エンジン制御部201による通信異常の検出方式としては、上記したような、パリティーエラー、オーバーランエラー、又はフレーミングエラーを通信異常として検出する方法に限定されない。例えば、別の実施形態として、エンジン制御部201は、通信異常が発生していない平常時において傾斜データを受信すべき予め定められた時間内に傾斜データを受信しない場合に、通信異常が発生したと判定してもよい。
【0123】
例えば、エンジン制御部201は、記録紙Pの搬送状況を監視することにより、上記した傾斜データを受信すべき予め定められた時間を計測する。例えば、エンジン制御部201は、中間センサー196から得られる信号に基づいて、記録紙Pの先端が中間搬送ローラー対194に到達したタイミングを検出し、記録紙Pの先端が中間搬送ローラー対194に到達した時点からの経過時間を計測する。
【0124】
エンジン制御部201は、記録紙Pの先端が中間搬送ローラー対194に到達した時点からレジストローラー対191に到達するまでに要する時間Tを、中間搬送ローラー対194の回転速度に基づき算出する。エンジン制御部201は、上記経過時間が、時間Tに達するまでに傾斜データを受信しない場合、傾斜データについての通信異常が発生していると判定する。
【0125】
本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、
図1乃至
図11を用いて示した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。