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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250326BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250326BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
H04N1/00 885
G03G21/00 370
B41J29/38 104
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024537656
(86)(22)【出願日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2023026678
(87)【国際公開番号】W WO2024024644
(87)【国際公開日】2024-02-01
【審査請求日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2022121286
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】坂下 文弥
(72)【発明者】
【氏名】高田 惇平
(72)【発明者】
【氏名】広部 優実
(72)【発明者】
【氏名】藤川 拓磨
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-28355(JP,A)
【文献】特開2018-187848(JP,A)
【文献】特開2019-176250(JP,A)
【文献】特開2020-140559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を形成して印刷を行う画像形成部を備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置への接近者を検知する人感センサーと、
ユーザーから音声が入力される音声入力部と、
前記音声入力部に入力された音声に基づく音声指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた音声指示の内容に従ってジョブを実行すると共に、前記画像形成装置に設けられた複数の動作機構を予め定められた省電力状態とする制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画像形成装置を前記省電力状態としているときに、前記人感センサーにより接近者が検知された場合は、前記音声入力部を音声入力が可能な状態とし、前記受付部が受け付けた前記音声指示が示す内容に対応付けられた機能の実行に必要な前記動作機構を前記省電力状態から解除して通常動作状態とし、前記音声指示が示す内容に対応付けられていない機能の実行に必要な前記動作機構は前記省電力状態を維持させ、
ユーザーによる操作で入力される指示を受け付ける操作部を更に備え、
前記制御部は、前記画像形成装置が備えるいずれかの機構部分の状態が変化したことを示す状態情報を取得したときは、当該機構部分が用いられる機能の実行に必要な前記動作機構のうち、前記音声入力部に入力される音声指示又は前記操作部に受け付けられた指示により選択された機能の実行に必要な動作機構を前記省電力状態から解除して通常動作状態とし、前記選択された機能の実行に必要な動作機構以外の前記動作機構は前記省電力状態を維持させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記人感センサーにより接近者が検知されるという条件に加えて、当該接近者の検知が予め定められた時間継続するという条件を更に満たした場合に、前記音声入力部を音声入力が可能な状態にする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受付部に受け付けられた前記音声指示の内容が複数の機能に対応付けられている場合は、当該複数の機能の実行に必要な前記動作機構を前記省電力状態から除して通常動作状態とし、当該複数の機能の実行に必要ではない前記動作機構は前記省電力状態を維持させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受付部が、更に、デフォルト値とは異なる設定値が予め登録されたお気に入り登録定に関する前記音声指示を受け付けたとき、
前記制御部は、前記お気に入り登録設定が適用される機能の実行に必要な前記動作機構を前記省電力状態から解除して通常動作状態とし、当該機能の実行に必要ではない前記動作機構は前記省電力状態を維持させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声指示が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の画像形成装置には、ユーザーが手入力操作を行うための操作パネルを備えるものがある。ユーザーは、操作パネルを介して操作を行うことで、複数の機能(例えば、コピー機能、スキャナー機能、ファクシミリ機能)の中から1つの機能を選択し、或いは、機能に対する設定を行うことができる。
【0003】
また、画像形成装置には、音声指示を可能とするものが、種々提案され、実用化されている。例えば、下記特許文献1には、音声指示の内容をジョブ設定に反映させることが記載され、下記特許文献2には、ユーザー音声に含まれるキーワードに基づいて、複数のジョブ履歴情報の中からユーザーが意図するジョブ履歴情報を絞り込むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-098383号公報
【文献】特開2019-205052号公報
【発明の概要】
【0005】
画像形成装置には、画像形成装置の動作機構を省電力状態にする省電力モードの設定が可能なものがある。また、音声指示のための音声入力に使用するマイクロフォンは、例えば、人感センサーによって人が検出された場合にオン状態とされる。そして、画像形成装置の前を人が通過したときにマイクロフォンがオン状態となれば省電力モードが解除され、画像形成装置の動作機構が省電力状態から通常動作可能な状態に戻される。しかしながら、人感センサーによって人が検出されただけで、当該人が画像形成装置のどの機能を使用するかが分からない状況で、画像形成装置の動作機構の全てを省電力状態から通常動作可能な状態に戻すことは、効率よく省電力を実現したい観点からは好ましくない。上記特許文献1,2には、このような問題に対処して効率のよい省電力化を実現する手段は開示されていない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、画像形成装置を省電力状態から復帰させる際に、効率のよい省電力化を実現することを目的とする。
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成して印刷を行う画像形成部と、前記画像形成装置への接近者を検知する人感センサーと、ユーザーから音声が入力される音声入力部と、前記音声入力部に入力された音声に基づく音声指示を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた音声指示の内容に従ってジョブを実行すると共に、前記画像形成装置に設けられた複数の動作機構を予め定められた省電力状態とする制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像形成装置を前記省電力状態としているときに、前記人感センサーにより接近者が検知された場合は、前記音声入力部を音声入力が可能な状態とし、前記受付部が受け付けた前記音声指示が示す内容に対応付けられた機能の実行に必要な前記動作機構を前記省電力状態から解除して通常動作状態とし、前記音声指示が示す内容に対応付けられていない機能の実行に必要な前記動作機構は前記省電力状態を維持させ、ユーザーによる操作で入力される指示を受け付ける操作部を更に備え、前記制御部は、前記画像形成装置が備えるいずれかの機構部分の状態が変化したことを示す状態情報を取得したときは、当該機構部分が用いられる機能の実行に必要な前記動作機構のうち、前記音声入力部に入力される音声指示又は前記操作部に受け付けられた指示により選択された機能の実行に必要な動作機構を前記省電力状態から解除して通常動作状態とし、前記選択された機能の実行に必要な動作機構以外の前記動作機構は前記省電力状態を維持させる、ものである。
【0008】
本発明によれば、画像形成装置を省電力状態から復帰させる際に、効率のよい省電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】(A)及び(B)は、表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図4】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図5】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図6】ユーザーにより発話されるキーワードと、省電力状態を解除するユニットとの関係の一例を示す図である。
図7】画像形成装置の制御ユニットで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図8】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。第1実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、記憶部8、人感センサー21、操作部47、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、マイクロフォン22、及びスピーカー23を含んで構成されている。
【0011】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)やDP(Document Processor)と呼ばれるものであり、原稿載置トレイ61を備え、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿読取部5へ1枚ずつ供給する。
【0012】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0013】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置(例えば、パソコン)としてのコンピューターから受信した画像データに基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0014】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、複数の給紙カセット141を備える。
【0015】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0016】
人感センサー21は、画像形成装置1への接近者を検知する。人感センサー21としては、例えば、人体が発する赤外線を検知するセンサーが用いられる。
【0017】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、ユーザーである操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)や物理キーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0018】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0019】
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/複合化、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網等を用いてファクシミリの送受信を行うものである。
【0020】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置(例えば、パソコン)と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。
【0021】
マイクロフォン22は、画像形成装置1の周囲の音を集音して電気信号(音声データ)変換する音声入力部である。なお、マイクロフォン22は、ユーザーの発話する音声を集音しやすい適当な箇所、例えば、操作部47に設けられている。
【0022】
スピーカー23は、操作部47を操作するときの操作音や効果音、操作方法を解説するガイダンス音声、画像形成装置1でトラブルが発生した場合の警告音等の各種音声を出力する。例えば、スピーカー23は、画像形成装置1の外側からは見えない箇所、例えば、操作部47内に設けられる。
【0023】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、表示制御部101と、音声解析部102と、受付部103と、を備えている。
【0024】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、表示制御部101、音声解析部102、及び受付部103として機能するものである。但し、これら制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0025】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、記憶部8,人感センサー21,操作部47、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、マイクロフォン22、及びスピーカー23と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成部12等の動作を制御して、原稿読取部5による読み取りで得られた原稿画像を、記録媒体としての記録紙に形成させる。
【0026】
また、制御部100は、人感センサー21により接近者が検知されると、マイクロフォン22を制御してオン状態にして、マイクロフォン22への音声入力を可能にし、人感センサー21により接近者が検知されなくなってから予め定められた時間(例えば、30秒)が経過すると、マイクロフォン22を制御してオフ状態にする。なお、マイクロフォン22のオンオフの切り替えは、操作部47に入力される指示に従って制御部100が行うことも可能である。
【0027】
また、制御部100は、人感センサー21により接近者が検知されたときに、マイクロフォン22をオン状態にして、音声の入力が可能に状態にする。
【0028】
表示制御部101は、表示部473の表示動作を制御する。例えば、表示制御部101は、画像形成装置1で実行可能とされている複数の機能の中から実行する機能をユーザーに選択させるための選択画面を表示部473に表示すると共に、当該選択画面よりも下位層である、各機能の設定に係る入力を受け付けるための設定画面を表示部473に表示する。
【0029】
図3(A)及び(B)は、表示部473に表示される画面の一例を示す図である。図3(A)に示した操作画面SC1は、画像形成装置1で実行可能とされている複数の機能の中から、実行する機能をユーザーに選択させるための選択画面である。操作画面SC1には、「コピー」ボタンや「送信(スキャナー機能)」ボタン、「ファクス(ファクシミリ機能)」ボタンなどが表示される。なお、上記選択画面としての操作画面SC1はホーム画面でもある。ユーザーにより「コピー」ボタンが押下されると、操作部47にコピー機能選択指示が受け付けられ、制御部100が、この指示に従って、図3(B)に示した操作画面SC2を表示部473に表示させる。
【0030】
操作画面SC2は、「ホーム」画面よりも下位階層として表示部473に表示される。操作画面SC2は、「コピー」機能の設定に係る入力を受け付けるための設定画面である。「コピー」機能の設定画面の中央部には、「用紙選択」、「カラー選択」、「ページ集約」、「縮小/拡大」、「両面/分割」、及び「ステープル/パンチ」と記された6つのボタンが表示される。これらボタンは、「コピー」機能に関する設定を受け付けるための画像である。
【0031】
また、操作画面SC2において、上記6つのボタンの下には、デフォルト値とは異なる設定値が予め登録されたお気に入り登録設定の指定を受け付けるためのボタンが表示されている。当該ボタンには例えば「IDカードコピー」と記されている。「IDカードコピー」は、免許証や保険証などのIDカードの表と裏の両面を1枚の記録紙に並べてコピーしたいときに使用する機能である。「IDカードコピー」には「コピー」機能の設定として「A6(用紙選択)」、「カラー(カラー選択)」、「2in1(ページ集約)」、「A6(原稿サイズ)」、「設定しない(連続読み込み)」、「設定する(原稿領域外の消去)」、「外枠:1mm(枠消し)」など、デフォルト値とは異なる設定値が予め登録されている。そのため、「IDカードコピー」ボタンをユーザーが押下すると、操作部47には、これらデフォルトとは異なる設定値をコピー機能に反映させる指示が入力され、更に受付部103に受け付けられる。
【0032】
音声解析部102は、マイクロフォン22により変換された電気信号(音声データ)を既存の音声認識技術を用いてテキストデータに変換し、当該テキストデータを既存の自然言語処理技術を用いて解析することにより、ユーザーによる音声指示を認識する。
【0033】
受付部103は、表示部473に現在表示中の画面に対する操作部47(タッチパネルを含む)を介した手入力操作により入力された指示、及びマイクロフォン22を介して音声解析部102により認識された音声指示(音声解析部102による解析結果)をユーザからの指示として受け付ける。制御部100は、受付部103が受け付けた指示の内容に従ってジョブを実行する。
【0034】
表示制御部101は、手入力操作により入力された指示又は上記音声指示が示す内容を表示した設定画面を表示部473に表示する。例えば、図3(B)に示した設定画面としての操作画面SC2が表示部473に表示されているときに、ユーザーが操作部47を介して「用紙選択」を「A4」に、「カラー選択」を「白黒」に、「ページ集約」を「2in1」に設定する指示を入力し、受付部103がこれら指示を受け付ける。このとき、表示制御部101は、図4(A)に示すような、「用紙選択」の設定が「自動」から「A4」に、「カラー選択」の設定が「フルカラー」から「白黒」に、「ページ集約」が「オフ」から「2in1」に切り替えて表示する操作画面SC2(設定画面)を表示部473に表示する。
【0035】
図3(A)に示した操作画面SC1が表示部473に表示されているときに、ユーザーが「白黒コピー」というキーワードを発話すると、スピーカー23及び音声解析部102を介して、設定値を「白黒コピー」とする音声指示が受付部103に受け付けられる。すなわち、表示制御部101は、表示部473に選択画面である操作画面SC1を表示させているときに、スピーカー23に音声指示が入力されて、音声解析部102を介して当該音声指示が受付部103に受け付けられたとき、表示部473の表示画面を、選択画面である操作画面SC1から、当該音声指示が示す設定値の入力を受け付けるための設定画面である操作画面SC2に遷移させる。更に、表示制御部101は、図5に例を示すように、操作画面SC2に、当該受け付けられた音声指示が示す設定値、ここでは「白黒コピー」を表示させる。なお、各設定画面について、いずれの機能に対応しているか、どのような設定値の入力を受け付けるためのものか、の情報を、制御プログラムに基づく動作により、例えば、制御ユニット10に内蔵されるメモリーに予め保有されている。表示制御部101は、当該情報に基づいて、音声指示が示す設定値の入力を受け付けるための設定画面を特定する。
【0036】
また、制御部100は、画像形成装置1に設けられた複数の動作機構を予め定められた省電力状態とする制御を行う。予め定められた省電力状態とは、動作機構を、直ちに動作可能なスタンバイ状態ではなく、可能な限りで消費電力を低減したスリープ状態にすることをいう。上記動作機構は、例えば、UI(User Interface)ユニット、スキャナーユニット、印刷(画像形成)ユニット、ファクシミリユニットなどである。UIユニットは操作部47を含む動作機構である。スキャナーユニットは原稿読取部5を含む動作機構である。印刷ユニットは画像形成部12及び定着部13を含む動作機構である。ファクシミリユニットはファクシミリ通信部71を含む動作機構である。
【0037】
制御部100は、画像形成装置1を省電力状態としているときに、人感センサー21により接近者が検知された場合は、マイクロフォン22を音声入力が可能な状態とし、受付103が受け付けた音声指示が示す内容に対応付けられた機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とし、上記音声指示が示す内容に対応付けられていない機能の実行に必要な動作機構は省電力状態を維持させる。
【0038】
例えば、受付部103が「コピー」というキーワードを含む音声指示を受け付けた場合、制御部100は、音声指示が示す内容であるコピー機能に対応付けて予め記憶しているUIユニット、スキャナーユニット、及び印刷ユニットについて省電力状態を解除する。一方、このとき、制御部100は、コピー機能に対応付けて予め記憶していないファクシミリユニットについては省電力状態を解除せずそのまま維持する。
【0039】
図6は、ユーザーにより発話されて音声指示に含まれるキーワードと、省電力状態を解除する動作機構との関係の一例を示す図である。図6では、省電力状態を解除して通常動作が可能な通常動作状態とするユニットを「ON」で表記し、省電力状態を解除しないユニットを「OFF」で表記している。図6に示すキーワードは、「コピー」がコピー機能に対応し、「送信」が送信機能に対応し、「ファクス」がファクシミリ機能に対応する。すなわち、図6は、画像形成装置1で実行可能な各機能と、各機能に対応付けられて省電力状態を解除する動作機構との関係を示す。
【0040】
また、受付部103は、上記予め登録されたお気に入り登録設定に対する音声指示を受け付ける。例えば、受付部103は、ユーザーが「IDカードコピー」というキーコードを発話して、マイクロフォン22及び音声解析部102を介して、IDカードコピーに関する音声指示を受付部103が受け付けた場合、或いは、「IDカードコピー」ボタンがユーザーにより押下されて操作部47を介して手入力指示を受け付けた場合、IDカードコピーについてのお気に入り登録設定として予め登録されている内容(設定値)でのコピー機能の設定を受け付ける。
【0041】
制御部100は、画像形成装置1を省電力状態としているときに、受付部103がお気に入り登録設定に対する音声指示を受け付けた場合にも、当該音声指示が示すお気に入り登録設定により設定が行われる機能実行に必要な動作機構の省電力状態を解除して通常動作状態とし、当該機能の実行に必要ではない他の動作機構は省電力状態を維持させる。
【0042】
次に、画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理の一例について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、画像形成装置1が省電力状態とされている状態で、人感センサー21により接近者が検知されて、制御部100がマイクロフォン22をオン状態にして、マイクロフォン22への音声入力を可能にし、マイクロフォン22及び音声解析部102を介して音声指示が受付部103に受け付けられたときに行われる処理である。
【0043】
制御部100は、受付部103に受け付けられた音声指示が示す内容に対応付けられた機能を特定する(S1)。そして、制御部100は、当該特定した機能の実行に必要な動作機構を判定する(S2)。制御部100は、判定した動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とする(S3)。このとき、制御部100は、当該音声指示が示す内容に対応付けられていない機能の実行に必要な動作機構、すなわち、判定した動作機構以外の動作機構については、省電力状態を維持させる。
【0044】
このように、上記実施形態によれば、省電力モードが設定されているときに、ユーザーにより音声指示がなされた場合、画像形成装置1の省電力状態が完全に解除されるのではなく、音声指示の内容に対応付けられた機能の実行に必要となるユニットの省電力状態だけが解除される。すなわち、ユーザーが入力した音声指示に対応付けられていない機能を実行するための動作機構は省電力状態が維持される。このため、上記実施形態によれば、画像形成装置1を省電力状態から復帰させる際に、効率のよい省電力化を実現することができる。
【0045】
ここで、上記実施形態の変形例を説明する。例えば、図3(A)に示した操作画面SC1が表示部473に表示されているときに、ユーザーが「白黒コピー」というキーワードを発話すると、マイクロフォン22及び音声解析部102を介して音声指示が受付部103に受け付けられ、制御部100は、当該音声指示が示す内容に対応付けられた機能がコピー機能であることを特定可能である。
【0046】
ところが、上記操作画面SC1が表示部473に表示されているときに、ユーザーが「2in1」というキーワードを発話して音声指示が受付部103に受け付けられた場合、当該音声指示が示す「2in1」は、コピー機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能の複数の機能に共通するため、制御部100は、当該音声指示が示す内容に対応付けられた機能を1つに絞り込んで特定することができない。
【0047】
そこで、制御部100は、受付部103に受け付けられた音声指示の内容が複数の機能に対応付けられている場合は、当該複数の機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とし、当該複数の機能の実行に必要ではない動作機構は省電力状態を維持させる。例えば、ユーザーが「2in1」というキーワードを発話して、マイクロフォン22及び音声解析部102を介して音声指示が受付部103に受け付けられた場合は、当該音声指示に対応付けられている全ての機能の実行に必要な、UIユニット、スキャナーユニット、及び印刷ユニットの省電力状態を解除して通常動作状態にする。
【0048】
上記実施形態の更に他の変形例を説明する。上記実施形態では、制御部100は、画像形成装置1が省電力状態とされている状態で、人感センサー21により接近者が検知されたときに、制御部100がマイクロフォン22をオン状態にしているが、これに代えて、制御部100は、人感センサー21により接近者が検知されるという条件に加えて、当該接近者の検知が予め定められた時間(例えば、30秒)継続するという条件を更に満たした場合に、マイクロフォン22をオン状態にして音声入力が可能な状態にするようにしてもよい。この場合、画像形成装置1を操作せずに画像形成装置1付近を通り過ぎるだけの接近者を人感センサー21が検知しても、音声指示が受付部103に受け付けられないようにできるため、マイクロフォン22に雑音等が入力されて不正確な音声指示か受付部103に受け付けられないようにすることができる。
【0049】
更に他の実施形態として、制御部100は、画像形成装置1が備えるいずれかの機構部分の状態が変化したことを示す状態情報を取得したときは、当該機構部分が用いられる機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とし、当該機構部分がいられる機能の実行に必要ではない前記動作機構は前記省電力状態を維持させる制御を、上記制御に加えて行ってもよい。
【0050】
例えば、制御部100は、画像形成装置1が省電力状態とされている状態で、人感センサー21により接近者が検知されているときに、原稿給送部6の開閉を検知する図略の開閉スイッチから開閉検知情報を取得した場合であって、当該開閉検知情報が「開」を示す場合には、当該「開」情報に予め関連付けられている送信機能及びコピー機能を制御部100が特定し、表示制御部101が、当該送信機能及びコピー機能のいずれを実行するかを選択する選択指示の入力を受け付けるための操作画面SC3(図8に例を示す)を表示部473に表示させる。この時点で、制御部100は、当該送信機能及びコピー機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態としてもよいし、更に、制御部100は、この時点では、当該送信機能及びコピー機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とせず、上記音声指示又は手入力指示により、当該送信機能及びコピー機能のいずれを実行するかを示す上記選択指示が受付部103に受け付けられたときに、上記選択指示により選択された機能の実行に必要な動作機構を省電力状態から解除して通常動作状態とするものとしてもよい。
【0051】
なお、ここまでマイクロフォン22で集音され、変換された音声データを、画像形成装置1内の音声解析部102で解析する場合について説明しているが、更なる実施形態として、スマートスピーカーと呼ばれる、マイクロフォンを内蔵した、AI(人工知能)アシスタント機能を持つスピーカーを採用し、当該スピーカーでユーザーの音声を集音し、画像形成装置1は、当該スピーカーを音声入力部として、当該スピーカーからの音声解析結果を設定値として受付部103が受け付けるようにしてもよい。
【0052】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図8を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8