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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】軸状部品の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/16 20060101AFI20250326BHJP
   B65G 51/02 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
B65G47/16
B65G51/02 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024205824
(22)【出願日】2024-11-08
【審査請求日】2024-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151366(JP,A)
【文献】国際公開第2014/049674(WO,A1)
【文献】特開2014-50879(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016152(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B65G 51/00 - 51/46
B23P 19/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給管に吹き込まれた搬送空気によって高速度で送給されてきた軸状部品を、一旦停止させ、この一旦停止後に低速で送出させる停止通過ユニットが設けられ、
前記停止通過ユニットは、ケース本体内に開閉部材が進退可能な状態で組み込まれているとともに、前記開閉部材を進退させて前記軸状部品の停止や通過を行わせる開閉駆動手段が前記ケース本体に一体化されており、
静止部材に固定された基部材に、第1進退駆動手段が取り付けられ、
前記第1進退駆動手段の出力部材に前記開閉駆動手段が固定され、
前記開閉駆動手段に、第2進退駆動手段が結合され、
前記第1進退駆動手段と前記開閉駆動手段と前記第2進退駆動手段の一体化によって、前記基部材から起立した態様の柱状集合体が形成され、
前記第2進退駆動手段の出力部材に、前記停止通過ユニットから送出された前記軸状部品を受け止めて保持する保持ソケットが結合され、
前記基部材に固定された柱状の支持部材に、前記軸状部品を受け入れる保持孔が形成され、
前記第2進退駆動手段の出力動作と前記第1進退駆動手段の出力動作によって、前記保持ソケットに保持されている前記軸状部品を前記保持孔に挿入するように構成したことを特徴とする、軸状部品の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸状部品の供給装置に関するもので、高速度で送給されてきた軸状部品を、一旦停止させたり、この一旦停止後に低速で送出させたりする停止通過ユニットや、この停止通過ユニットから送出された軸状部品を保持して目的箇所へ搬送する駆動手段などから構成されている。
【背景技術】
【0002】
特開2013-151366号公報には、搬送部品の停止通過ユニットに関する発明が記載されている。その主たる構成は、本願の図8に記載されている。この図8は、上記公報に記載された図1を本願図面に転載したものである。ここでの中心的部材は、上下方向に伸びた形状の支持基部材31であり、この支持基部材31に停止通過ユニット36や供給ロッド1を進退させるエアシリンダ32が固定され、支持基部材31全体を昇降させるようになっている。支持基部材31に挿入エアシリンダ23が固定され、そのピストンロッド25が静止状態の支持部材22に結合してある。
【0003】
挿入エアシリンダ23の上昇室26と下降室27のいずれかに作動空気を供給することによって、ピストン24とピストンロッド25以外の全部材が一斉に昇降するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-151366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載されている技術においては、その機能上質量が大きくなる支持基部材31、停止通過ユニット36、エアシリンダ32、挿入エアシリンダ23など全ての部材を挿入エアシリンダ23とピストン24で昇降させるものであるから、ピストン24やピストンロッド25に作用する荷重負担が著しく大きくなり、円滑な昇降動作に支障を来したり、挿入エアシリンダ23の耐久性を長期化できなかったりする、という問題がある。とくに、支持基部材31はその機能から考察すると、分厚くて縦横寸法の大きな鋼板などが最適とみられるが、このような大型部材を他の機能部材と一緒に昇降させることは、昇降駆動手段の負担を軽減させることからも、回避することが求められる。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するもので、高速度で送給されてきた軸状部品を、一旦停止させたり、この一旦停止後に低速で送出させたりする停止通過ユニットや、この停止通過ユニットから送出された軸状部品を保持して目的箇所へ搬送する駆動手段などからなる軸状部品の供給装置において、駆動手段に対する負荷を軽減するとともに、構造的なまとまりを改善することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
部品供給管に吹き込まれた搬送空気によって高速度で送給されてきた軸状部品を、一旦停止させ、この一旦停止後に低速で送出させる停止通過ユニットが設けられ、
前記停止通過ユニットは、ケース本体内に開閉部材が進退可能な状態で組み込まれているとともに、前記開閉部材を進退させて前記軸状部品の停止や通過を行わせる開閉駆動手段が前記ケース本体に一体化されており、
静止部材に固定された基部材に、第1進退駆動手段が取り付けられ、
前記第1進退駆動手段の出力部材に前記開閉駆動手段が固定され、
前記開閉駆動手段に、第2進退駆動手段が結合され、
前記第1進退駆動手段と前記開閉駆動手段と前記第2進退駆動手段の一体化によって、前記基部材から起立した態様の柱状集合体が形成され、
前記第2進退駆動手段の出力部材に、前記停止通過ユニットから送出された前記軸状部品を受け止めて保持する保持ソケットが結合され、
前記基部材に固定された柱状の支持部材に、前記軸状部品を受け入れる保持孔が形成され、
前記第2進退駆動手段の出力動作と前記第1進退駆動手段の出力動作によって、前記保持ソケットに保持されている前記軸状部品を前記保持孔に挿入するように構成したことを特徴とする、軸状部品の供給装置である。
【発明の効果】
【0008】
静止部材に固定された基部材に、第1進退駆動手段が固定され、第1進退駆動手段の出力部材に、軸状部品を、一旦停止させ、この一旦停止後に低速で送出させる停止通過ユニットの開閉駆動手段が固定され、この開閉駆動手段に第2進退駆動手段が結合され、第1進退駆動手段と開閉駆動手段と第2進退駆動手段の一体化によって、基部材から起立した態様の柱状集合体が形成され、第2進退駆動手段の出力部材に、停止通過ユニットから送出された軸状部品を受け止めて保持する保持ソケットが結合され、基部材に固定された柱状の支持部材に、軸状部品を受け入れる保持孔が形成されている。
【0009】
このため、質量が大きくなり、縦・横・厚さなどの寸法も大きくなる基部材が静止部材に固定されて静止しているので、第1進退駆動手段には停止通過ユニットと第2進退駆動手段と保持ソケットと部品供給管だけの荷重が作用することとなり、第1進退駆動手段の円滑な動作、小型化および小出力化にとって有効である。
【0010】
基部材上に、第1進退駆動手段と停止通過ユニットの開閉駆動手段と第2進退駆動手段が、一連性を持って一体化された起立状態の柱状集合体として存在し、同時に、保持孔が形成された柱状の支持部材が起立した状態になっている。柱状集合体と起立状態の支持部材が基部材上で向かい合うような位置関係で配置されている。したがって、基部材に柱状集合体と支持部材をまとまり良く配置することができ、装置構造の小型化や簡素化にとって有効である。
【0011】
停止通過ユニットの部品通過位置を有する部材、すなわち停止通過ユニットのケース本体が、柱状集合体と、起立状態の支持部材との間に配置されている。このような配置構造により、基部材の片側に第1進退駆動手段、停止通過ユニットの開閉駆動手段、第2進退駆動手段が起立状態で配置され、さらにその隣側に停止通過ユニットのケース本体が配置され、さらにその隣側である基部材の他側に支持部材が配置される。上述のように配置により、各駆動手段やケース本体、支持部材などを、基盤的な存在である基部材にまとまりよく集約することができて、装置の小型化にとって有効である。とくに、基部材の両端側にそれぞれ柱状集合体と支持部材が配置され、その間に停止通過ユニットのケース本体が配置されているので、ケース本体が供給装置の外部に突き出るような作動形態を回避することができ、コンパクトな供給装置を得ることができる。
【0012】
本願発明は、上述のような供給装置の発明であるが、以下に記載する実施例から明らかなように、停止通過ユニットの動作や軸状部品の搬送タイミングなどを特定した方法発明として存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】供給装置全体を示す側面図である。
図2】支持部材の一部を示す断面図である。
図3】軸状部品の切り出し機構を示す断面図である。
図4】切り出し機構の平面図である。
図5】停止通過ユニットの開閉部材を示す斜視図である。
図6】保持ソケットの動作状態を示す断面図である。
図7図1の(7)-(7)断面図である。
図8】特開2013-151366号公報の[図1]を転載した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本願発明の軸状部品の供給装置を実施するための形態を説明する。
【実施例
【0015】
図1図7は、本願発明の実施例を示す。
【0016】
最初に、本願発明の全体的な態様について説明する。
【0017】
図1において、符号100は、軸状部品を送り出す送出構造部を示しており、パーツフィーダからの軸状部品を一つずつ搬送空気で送出する機能を有している。符号200は、送出構造部100から送出されてきた軸状部品を受け止めて目的箇所へ供給する供給装置を示している。
【0018】
図1においては、一つの供給装置200が実線で示され、二つ目の供給装置200が2点鎖線で包囲状に示さており、送出構造部100から両供給装置200に軸状部品が供給されるようになっている。両供給装置200は同一構造なので、以下に説明する実施例においては、一つの供給装置200についてだけ説明をしている。
【0019】
つぎに、軸状部品について説明する。
【0020】
軸状部品としては、中実な丸棒、パイプ部材、ボルトなど種々なものがあるが、ここでは頭部付きボルトである。ボルトが見やすく示されている図6にしたがって説明する。ボルト1は、雄ねじが形成された軸部2と、六角形の頭部3と、頭部3と軸部2の間に配置されているフランジ4によって構成されている。そして、軸状部品は、磁性材料である鉄で作られている。
【0021】
つぎに、供給装置200について説明する。
【0022】
本願発明における供給装置200は、ボルト1の頭部2を所定の箇所に停止させるものであり、停止している頭部2はロボット装置やネジ締め装置などで保持されて、他の所定箇所に移送される。
【0023】
つぎに、停止通過ユニットについて説明する。
【0024】
停止通過ユニット5は、高速度で送給されてきたボルト1を、一旦停止させ、この一旦停止後に低速で送出させるもので、ボルト1が後述の保持ソケットに高速で衝突すると、保持ソケットの受け面に凹みや割れなどの損傷が発生する恐れがあるので、ボルトを一旦停止させてから、低速で保持ソケットへ到達させるようになっている。
【0025】
断面矩形の細長いケース本体6内に摺動空間7が形成され、そこに断面矩形の開閉部材8が摺動可能な状態で差し込んである。送出構造部100から伸びてきている部品供給管9が、ケース本体6に差し込み構造で結合してあり、その部品供給管9は摺動空間7に開口している。つまり、供給装置200の領域における部品供給管9は、停止通過ユニット5の入口管の役割を果たしている。一方、短い出口管10が、ケース本体6に差し込み構造で結合してあり、出口管10も摺動空間7に開口している。そして、部品供給管9と出口管10は同軸上に配置してある。また、出口管10は、ステンレス鋼などの金属材料で作られている。
【0026】
なお、部品供給管9は、ウレタン樹脂のような合成樹脂材料で作られており、適宜湾曲させて配管姿勢を所定通りにすることができる。また、頭部付きのボルトの軸部長さが30mm程度の場合、部品供給管の長さは5m~10mに及ぶことがある。
【0027】
図5に示すように、開閉部材8は直方体の部材であり、中実部分の下面が停止面12とされ、その隣側に通過孔13が形成してある。開閉部材8に開閉動作を行わせるために、開閉駆動手段であるエアシリンダ14が、筒状のディスタンスピース15を介して、ケース本体6に固定されている。エアシリンダ14のピストンロッド16がディスタンスピース15内を通過して開閉部材8に結合してある。以下、開閉駆動手段についても符号14が付されている。
【0028】
開閉駆動手段としてエアシリンダ14を例示したが、これに換えて進退出力式電動モータを採用することも可能である。この進退出力式電動モータを、サーボモータ等の電動モータで作動するリニアアクチュエータで構成することができる。あるいは、電動モータの回転をラックピニオン機構で進退動作に変換することも可能である。
【0029】
図1は、停止面12が部品供給管9の開口部を閉じていて、そこに高速で送給されてきたボルト1の頭部2が突き当たって停止している状態であり、後述の搬送空気の動圧によりボルト1が図示の位置に停止している。ここで、開閉駆動手段であるエアシリンダ14が右方への引き込み動作をすると、今度は、通過孔13が部品供給管9や出口管10に合致し、停止していたボルト1は通過孔13を通って低速で送出される。
【0030】
この低速送出後は、エアシリンダ14の動作で停止面12が移動してきて、部品供給管9や出口管10の開口部を閉鎖し、次のボルト1の到来に備えることとなる。
【0031】
つぎに、基部材について説明する。
【0032】
基部材17は、供給装置200の基盤的な機能を果たすもので、それに適した強度剛性が付与されている。そのために、基部材17は、ステンレス鋼などで作られた分厚い長方形の板材で構成されている。また、基部材17は、何らかの外力が作用しても容易に位置ずれを起こさないように、しっかりと静止部材18に固定されている。静止部材18としては、図示していないが、ここでは供給装置200の機枠や台板などである。基部材17は水平な姿勢で配置され、開閉部材8の進退方向も水平になるように、停止通過ユニット5の取り付け姿勢が選定されている。
【0033】
送出構造部100から伸びてきている部品供給管9は、基部材17を貫通して停止通過ユニット5のケース本体6に到達している。このために、基部材17に、部品供給管9の直径よりもわずかに大きな直径の貫通孔11が設けられ、部品供給管9が基部材17に対して進退動作をするときに、部品供給管9の外表面が貫通孔11の内周面に強く擦り付けられないようになっている。
【0034】
つぎに、第1進退駆動手段について説明する。
【0035】
第1進退駆動手段19は、停止通過ユニット5を支持し、停止通過ユニット5を保持孔31の中心軸線方向に進退させるものであり、図7からも明らかなように、基部材17の右端側に片寄せて設置してある。第1進退駆動手段19としては、エアシリンダや、進退出力式電動モータを採用することも可能である。この進退出力式電動モータには、サーボモータ等の電動モータで作動するリニアアクチュエータが含まれている。あるいは、電動モータの回転をラックピニオン機構で進退動作に変換することも可能である。
【0036】
ここでは、第1進退駆動手段としてエアシリンダ19が採用されている。第1進退駆動手段の出力部材は、エアシリンダ19のピストンロッド20であり、ピストンロッド20の端部に前述の開閉駆動手段であるエアシリンダ14が結合してある。ピストンロッド20の進退方向は、基部材17の水平面方向やエアシリンダ14の進退方向に対して垂直になっている。以下、第1進退駆動手段についても符号19が付されている。
【0037】
つぎに、第2進退駆動手段について説明する。
【0038】
第2進退駆動手段22は、開閉駆動手段であるエアシリンダ14に結合され、後述の保持ソケット24を進退させるものである。第2進退駆動手段22としては、エアシリンダや、進退出力式電動モータを採用することも可能である。この進退出力式電動モータとして、サーボモータ等の電動モータで作動するリニアアクチュエータを採用することも可能である。あるいは、電動モータの回転をラックピニオン機構で進退動作に変換することも可能である。
【0039】
ここでは、第2進退駆動手段としてエアシリンダ22が採用されている。第2進退駆動手段の出力部材は、エアシリンダ22のピストンロッド23であり、ピストンロッド23の端部に保持ソケット24が結合されている。ピストンロッド23の進退方向は、基部材17の水平面方向やエアシリンダ14の進退方向と平行になっている。以下、第2進退駆動手段についても符号22が付されている。
【0040】
なお、第2進退駆動手段22は、開閉駆動手段14に結合されているが、この結合は、エアシリンダ22をエアシリンダ14に直接結合してもよく、あるいは図示のように、両エアシリンダ14と22の間にディスタンスピースのような結合部材25を介在させてもよい。結合部材25を介在させるときには、保持ソケット24の動作空間を広げて、保持ソケット24の進退動作に近隣の部材が干渉することを防止する場合に採用される。
【0041】
つぎに、保持ソケットの構造について説明する。
【0042】
保持ソケット24は、第2進退駆動手段22の出力部材であるピストンロッド23に結合され、停止通過ユニット5から低速で送出されてきたボルト1を受け止めて保持し、その後、エアシリンダ22の進出で所定の箇所に移動させるものである。
【0043】
保持ソケット24の本体26の下面に、ボルト1の頭部2を受け入れる受入凹部27が形成され、受入凹部27に入ったボルト1が落下するのを防止するために、本体26に永久磁石28は埋め込んである。
【0044】
つぎに、支持部材について説明する。
【0045】
支持部材29は、基部材17に固定された柱状の部材で構成され、その端部にボルト1の軸部2を受け入れる保持孔31が形成されている。保持孔31の軸線方向は、エアシリンダ19の進退方向と平行になっている。保持孔31の奥底部の近くに永久磁石32が埋め込んであり、その磁石吸引力は保持ソケット24側の永久磁石28の吸引力よりも強く設定してある。
【0046】
保持孔31に差し込まれたボルト1の軸部2が、保持孔31内で回転するのを防止するために、図2に示すように、押圧部材33を軸部2に押付けて、軸部2の回転を防止している。押圧部材33はエアシリンダ30のピストンロッドによって構成されている。
【0047】
つぎに、各構成部材の配置関係について説明する。
【0048】
基部材17に固定されたエアシリンダ19、そのピストンロッド20に結合されているエアシリンダ14、さらにエアシリンダ14に結合されているエアシリンダ22は、上下方向で見て、ほぼ一直線上に配列された柱のような形態であるので、このような配列集合によって柱状集合体300が構成されている。この柱状集合体300の配列方向は、基部材17に対して垂直な方向とされ、停止通過ユニット5の開閉部材8の進退方向と直交している。そして、支持部材29の保持孔31の中心軸線は、柱状集合体300の配列方向と平行になっている。基部材17を貫通した部品供給管9は、前述のように出口管10と同軸状に配置され、部品供給管9と出口管10の中心軸線は、柱状集合体300の配列方向や、支持部材29の保持孔31の中心軸線と平行になっている。さらに、エアシリンダ22の進退方向とエアシリンダ14の進退方向は、柱状集合体300の配列方向に対して直交している。
【0049】
つぎに、送出構造部について説明する。
【0050】
送出構造部100は、パーツフィーダ34に貯留されているボルト1を一つずつ搬送空気で送出する機能を有している。パーツフィーダ34から送出されたボルト1は、傾斜した搬送レール35を経て切り出しユニット36へ送られる。搬送レール35や切り出しユニット36におけるボルト1の支持は、平行な2本のガイドレール37の間の空間に軸部2を位置させ、ガイドレール37の上面38にボルト1のフランジ4を載せた、吊り下げ状態とされている。したがって、フランジ4がガイドレール37の上面38を滑動するようになっている。なお、パーツフィーダ34は、円形のボウルの内側に螺旋状の通路版が溶接され、ボウルに上下方向と円周方向の振動を付与することにとって動作する、一般的に採用されているタイプである。
【0051】
切り出しユニット36を、図3にしたがって説明する。ユニット本体39にもユニット側ガイドレール41が2本設けられ、その間を軸部2が通過する。ユニット側ガイドレール41の上面42をフランジ4が滑動するようになっている。
【0052】
ユニット側ガイドレール41の端部に、送出孔43が形成してある。この送出孔43にボルト1を一つずつ送出するために、切り出しユニット44が取り付けられている。ユニット本体39に固定したエアシリンダ45のピストンロッド46をユニット側ガイドレール41の端部に差し込んで軸部2の移動を禁止している。ピストンロッド46が後退すると、最先のボルト1が後方からのボルト1に押されて、送出孔43へ移動する。この移動の直後にピストンロッド46が差し込まれて、二番目のボルト1の移動を禁止する。なお、符号47は、送出孔43に連続させてユニット本体39に取り付けたガイド管である。
【0053】
直方体の形状とされた保持部材48に、ボルト1の頭部3とフランジ4が入る大径孔49が形成され、この大径孔49に連続させて軸部2が入る小径孔51が形成されている。大径孔49と小径孔51の境界部に段部52が形成され、ここにフランジ4が載置されるようになっている。保持部材48はエアシリンダ55のピストンロッド56に結合されており、エアシリンダ55の進出位置によって、送出孔43、ガイド管47、大径孔49、小径孔51が同一軸線上に配置されようになっている。小径孔51の底部に、搬送空気が吹き込まれる空気孔53が開けられている。
【0054】
一つの供給装置200にボルト1を送給する部品供給管9と、もう一つの供給装置200(2点鎖線で図示)にボルト1を送給する部品供給管9が、静止部材18に固定した支持板54に固定され、各部品供給管9は入口箇所で下方に開口している。
【0055】
エアシリンダ55の進出によって、保持部材48が、部品供給管9と同軸位置に配置された空気供給管57の間に進入するようになっている(図1図3参照)。空気供給管57の上端にノズル孔58が設けてある。
【0056】
エアシリンダ55は、一つ目の部品供給管9にボルト1を送給するものであり、二つ目の部品供給管9にボルト1を送給するために、エアシリンダ59が静止部材18に固定されている。エアシリンダ59のピストンロッド60がエアシリンダ55に結合してある。保持部材48は、一つ目のエアシリンダ55で第1モーションが行われ、二つ目のエアシリンダ59で第2モーションが行われて、両部品供給管9にボルト1が2段モーションによって送給される。
【0057】
各エアシリンダへの作動空気の供給・排出は、制御装置61からの信号によって空気切換え弁62を動作させて行われている。符号63は、装置全体を起動させる起動スイッチである。また、制御装置61は、簡単なコンピュータ装置やシーケンス回路などによって構成されている。
【0058】
つぎに、ボルトを保持して目的箇所へ供給する送給機構について説明する。
【0059】
送給機構400は、支持部材29の保持孔31に保持されているボルト1を、目的箇所へ送給するものである。送給機構400としては、簡単な供給ロッドでボルト1を保持して目的箇所へ送給したり、ねじ締め構造を備えたロボット装置でボルト1を保持して目的箇所へ送給したりするものなど、種々な形式のものが採用できる。ここでは、後者のロボット装置のタイプである。
【0060】
通常の6軸式ロボット装置64に、ねじ締めユニット65が装着されている。ねじ締めユニット65は、電動モータ66の出力軸67にソケット68が結合されたもので、ソケット68にはボルト1の頭部3がぴったりと嵌まり込む六角形の受入孔69が開けられている。ソケット68にボルト1の落下を防止する永久磁石70が埋め込んである。この永久磁石70の吸引力は、支持部材29の永久磁石32の吸引力よりも強く設定されている。
【0061】
なお、上述の実施例においては、基部材17が水平状態になっている事例を説明したが、この基部材17を鉛直方向の起立姿勢にして、開閉部材8やエアシリンダ22の進退方向などを鉛直方向に進退させるように配置変換を行ってもよい。
【0062】
つぎに、装置の動作を説明する。
【0063】
パーツフィーダ34から送り出されたボルト1が、切り出しユニット36から、待機している保持部材48の大径孔49、小径孔51に挿入されると、エアシリンダ55が作動して、保持部材48が片方の部品供給管9と空気供給管57の間に送られる。それからノズル孔58から搬送空気が噴射されて、ボルト1は高速度で部品供給管9内を移動し、閉じている開閉部材8の停止面12で受け止められる。もう一つのエアシリンダ59もエアシリンダ55と同様に作動して、エアシリンダ55も押し出され、保持部材48が他方の部品供給管9と合致し、二つ目の2点鎖線図示の供給装置200にボルト1が供給される。
【0064】
ついで、開閉駆動手段であるエアシリンダ14が作動して開閉部材8が図1の右側に移動すると、通過孔13が部品供給管9と出口管10に合致する。これによって、搬送空気の動圧を受けていたボルト1が低速で送り出されて、頭部3が保持ヘッド24の受入れ凹部27に受け入れられる。この受入れ状態は永久磁石28の吸引力によって維持される。部品供給管9がケース本体6に結合されている付近では、搬送空気の流速も大幅に低減しているので、ボルト1に作用する動圧も大幅に低下している。このような動圧低下によって、ボルト1は低速で送出される。
【0065】
その後、エアシリンダ22が作動して、保持ヘッド24に保持されているボルト1が保持孔31と同軸となる位置に達すると、エアシリンダ22の進出動作はその位置で停止する。その後、エアシリンダ19の縮小動作が開始され、停止通過ユニット5(エアシリンダ14)とエアシリンダ22と保持ソケット24と部品供給管9が一体になって下降し、ボルト1の軸部2が保持孔31に挿入される。この挿入の進行中に永久磁石28の吸引力よりも強くされた永久磁石32の吸引力が支配的になって、軸部2はさらに保持孔31の奥へ引き込まれて、フランジ4が支持部材29の上部端面21に密着したところで軸部進入は停止する。これに引き続いて、エアシリンダ30が作動して軸部2が保持孔31の内面に押してけられ、ボルト1は回転不可能となる。
【0066】
保持孔31へのボルト挿入が完了すると、エアシリンダ19の伸びだし作動やエアシリンダ22の縮小作動およびエアシリンダ14の伸びだし作動によって、停止通過ユニット5や保持ソケット24などが次のボルト1の到来に備えた待機状態になる。
【0067】
その後、ロボット装置64が作動して、ソケット68が回転しながら、図6に示すように、ソケット68の下面が六角形の頭部3の上面に加圧される。この加圧状態で回転しているソケット68の六角形の受入孔69が頭部3の六角形に合致すると、頭部3は相対的に受入孔69内に進入し、永久磁石70で吸引される。
【0068】
その後、ロボット装置64の作動でボルト1は、所定の箇所に待機している目的部材のねじ孔(図示していない)にねじ込まれる。
【0069】
上述の一連の動作は、各エアシリンダに取り付けられたストロークセンサーからの信号や、ロボット装置64の作動位置を示すセンサーからの信号などが制御装置61に送信されて、所定の順序にそった各エアシリンダの動作がなされるようになっている。つまり、上述の各エアシリンダの進退動作や空気噴射などの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0070】
上述の各エアシリンダに換えて、上述の進退出力式電動モータを採用することも可能である。また、各永久磁石に換えて、電磁石や空気吸引を採用することも可能である。
【0071】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0072】
静止部材18に固定された基部材17に、第1進退駆動手段19が固定され、第1進退駆動手段19の出力部材20に、ボルト1を、一旦停止させ、この一旦停止後に低速で送出させる停止通過ユニット5の開閉駆動手段14が固定され、この開閉駆動手段14に第2進退駆動手段22が結合され、第1進退駆動手段19と開閉駆動手段14と第2進退駆動手段22の一体化によって、基部材17から起立した態様の柱状集合体300が形成され、第2進退駆動手段22の出力部材23に、停止通過ユニット5から送出されたボルト1を受け止めて保持する保持ソケット24が結合され、基部材17に固定された柱状の支持部材29に、ボルト1を受け入れる保持孔31が形成されている。
【0073】
このため、質量が大きくなり、縦・横・厚さなどの寸法も大きくなる基部材17が静止部材18に固定されて静止しているので、第1進退駆動手段19には停止通過ユニット5と第2進退駆動手段22と保持ソケット24と部品供給管9だけの荷重が作用することとなり、第1進退駆動手段19の円滑な動作、小型化および小出力化にとって有効である。
【0074】
基部材17上に、第1進退駆動手段19と停止通過ユニット5の開閉駆動手段14と第2進退駆動手段22が、一連性を持って一体化された起立状態の柱状集合体300として存在し、同時に、保持孔31が形成された柱状の支持部材29が起立した状態になっている。柱状集合体300と起立状態の支持部材29が基部材17上で向かい合うような位置関係で配置されている。したがって、基部材17に柱状集合体300と支持部材29をまとまり良く配置することができ、装置構造の小型化や簡素化にとって有効である。
【0075】
停止通過ユニット5の部品通過位置を有する部材、すなわち停止通過ユニット5のケース本体6が、柱状集合体300と、起立状態の支持部材29との間に配置されている。このような配置構造により、基部材17の片側に第1進退駆動手段19、停止通過ユニット5の開閉駆動手段14、第2進退駆動手段22が起立状態で配置され、さらにその隣側に停止通過ユニット5のケース本体6が配置され、さらにその隣側である基部材17の他側に支持部材29が配置される。上述のように配置により、各駆動手段やケース本体6、支持部材29などを、基盤的な存在である基部材17にまとまりよく集約することができて、装置の小型化にとって有効である。とくに、基部材17の両端側にそれぞれ柱状集合体300と支持部材29が配置され、その間に停止通過ユニット5のケース本体6が配置されているので、ケース本体6が供給装置200の外部に突き出るような作動形態を回避することができ、コンパクトな供給装置200を得ることができる。
【0076】
停止通過ユニット5に結合される部品供給管9は、基部材17を貫通して、柱状集合体300と、支持部材29の間を通過してケース本体6に至る構造となっている。そして、部品供給管9は、基部材17の貫通箇所において貫通孔11との間にわずかな空隙を空けて配置されている。このため、部品供給管9が何らかの原因で異常に揺動をすることが発生しても、部品供給管9が基部材17を貫通している箇所において部品供給管9の移動量が制約されるので、基部材17を貫通している箇所からケース本体6の間の部品供給管9の揺動量は問題にならない程度に規制することができ、部品供給管9とケース本体6の結合箇所の外れ防止や部品供給管9の耐久性向上にとって有益である。
【0077】
部品供給管9は、基部材17の貫通箇所において貫通孔11との間にわずかな空隙を空けて配置されているので、部品供給管9が貫通孔11を進退するときには、貫通孔11の内面に対する部品供給管9の外周面の擦り付け度合いが緩和され、合成樹脂材料製とされている部品供給管9の擦り摩耗を、問題にならないレベルに改善することができる。
【0078】
基部材17の端部に近づけて支持部材29を配置してあるので、支持部材29の保持孔31に挿入されたボルト1の周辺に障害的な物を配置することが回避できる。したがって、ロボット装置64やねじ締め装置などでボルト1を取り出すことが、確実に達成される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
上述のように、本発明の供給装置は、高速度で送給されてきた軸状部品を、一旦停止させたり、この一旦停止後に低速で送出させたりする停止通過ユニットや、この停止通過ユニットから送出された軸状部品を保持して目的箇所へ搬送する駆動手段などからなる軸状部品の供給装置において、駆動手段に対する負荷を軽減するとともに、構造的なまとまりを改善するものである。したがって、自動車の車体組み立て工程や、家庭電化製品の板金組み立て工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 ボルト
2 軸部
3 頭部
4 フランジ
5 停止通過ユニット
6 ケース本体
7 摺動空間
8 開閉部材
11 貫通孔
12 停止面
13 通過孔
14 開閉駆動手段、エアシリンダ
16 ピストンロッド
17 基部材
18 静止部材
19 第1進退駆動手段、エアシリンダ
20 出力部材、ピストンロッド
22 第2進退駆動手段、エアシリンダ
23 出力部材、ピストンロッド
24 保持ソケット
29 支持部材
31 保持孔
64 ロボット装置
65 ねじ締めユニット
100 送出構造部
200 供給装置
300 柱状集合体
400 送給機構
【要約】
【課題】軸状部品を一旦停止させたり、送出させたりする停止通過ユニットや軸状部品を目的箇所へ送給する供給装置において、駆動手段に対する負荷を軽減するとともに、構造的なまとまりを改善すること。
【解決手段】部品供給管9に連なった停止通過ユニット5が設けられ、同ユニット5を作動する開閉駆動手段14が設けられ、静止部材18に固定された基部材17に、第1進退駆動手段19が取り付けられ、同駆動手段19の出力部材20に開閉駆動手段14が固定され、開閉駆動手段14に、第2進退駆動手段22が結合され、第1進退駆動手段19と開閉駆動手段14と第2進退駆動手段22の一体化によって、基部材17から起立した態様の柱状集合体300が形成され、第2進退駆動手段22の出力部材23に、軸状部品1を受け止める保持ソケット24が結合され、基部材17に固定された支持部材29に、軸状部品1を受け入れる保持孔31が形成されように構成した。
【選択図】図1
図1
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図8