(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】積載率算出装置および積載率算出方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/62 20170101AFI20250326BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250326BHJP
G06T 7/593 20170101ALI20250326BHJP
【FI】
G06T7/62
G06T7/00 C
G06T7/593
(21)【出願番号】P 2024037281
(22)【出願日】2024-03-11
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】中村 康久
(72)【発明者】
【氏名】小林 道明
(72)【発明者】
【氏名】永山 佳範
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-067522(JP,A)
【文献】特開2021-189666(JP,A)
【文献】特開2023-163526(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116034396(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/62
G06T 7/00
G06T 7/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台に積載された荷物の前記荷台における積載率を算出する積載率算出装置であって、
前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得する撮像部と、
前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定する距離測定部と、
前記荷物の領域毎に、前記第1の距離と前記第2の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、
前記荷物の領域毎に、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、
前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出する積載率算出部と
を備える積載率算出装置。
【請求項2】
前記撮像部は、さらに、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる、前記荷台に対して撮影位置の異なる2つの第2の画像情報を取得し、
前記距離測定部は、さらに、2つの前記第2の画像情報における視差情報を用いて、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第3の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第4の距離を測定し、
前記第1の距離及び前記第2の距離の少なくとも1つが所定の測定限界距離より大きい場合には、
前記荷物長算出部は、
前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台の領域の第2の荷物長を算出し、
前記荷物面積算出部は、
前記荷物の領域毎に、前記第2の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の第2の荷物面積を算出し、
前記積載率算出部は、
前記第2の荷物長と前記第2の荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出する
請求項1に記載の積載率算出装置。
【請求項3】
荷台に積載された荷物の画像が含まれる画像情報を取得する撮像部と、前記画像情報において、前記荷台の扉領域と前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域及び荷物の領域までの距離を測定する距離測定部と、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて算出した前記荷物の荷物体積と、前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部とを備える積載率算出装置において実行される積載率算出方法であって、
前記撮像部が、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得するステップと、
前記距離測定部が、前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定するステップと、
前記荷物長算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第1の距離と前記第2の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における荷物の荷物長を算出するステップと、
前記荷物面積算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出するステップと、
前記積載率算出部が、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出するステップと
を有する積載率算出方法。
【請求項4】
前記撮像部は、さらに、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる、前記荷台に対して撮影位置の異なる2つの第2の画像情報を取得し、
前記距離測定部は、さらに、2つの前記第2の画像情報における視差情報を用いて、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第3の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第4の距離を測定し、
前記第1の距離及び前記第2の距離の少なくとも1つが所定の測定限界距離より大きい場合には、
前記荷物長算出部が、
前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台の領域の第2の荷物長を算出するステップと、
前記荷物面積算出部が、
前記荷物の領域毎に、前記第2の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の第2の荷物面積を算出するステップと、
前記積載率算出部が、
前記第2の荷物長と前記第2の荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出するステップと
を有する
請求項3に記載の積載率算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台に積載された荷物の積載率を算出する荷物積載率算出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物の効率的な運搬を目的として、荷台を備えた車両における荷物の積載率を算出する方法が提案されている。最近では、車両ドライバーの労働時間の短縮に伴い、荷物を輸送できる車両数が減少することが予想されており、より一層の荷物の積載率の改善が求められており、荷物の積載率を正確に把握することのできる技術が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて車両の荷室内における荷物の積載率を推定する積載率推定装置が提案されている。荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて人や積み荷以外の物体を検出することにより車両の荷室内における荷物の積載率を正確に推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したような荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて車両の荷室内における荷物の積載率を推定する技術では、荷物を運搬する車両や、荷物の積載率を推定するバース等に複数のカメラを設置する必要があるので、積載率を推定するための装置構成が複雑になり、カメラを設置したバース等に車両を移動させる必要があるので積載率の測定場所の融通性が低いという問題がある。荷物を運搬する車両において、荷物の積載率を簡易かつ正確に測定できる技術が望まれている。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明の積載率算出装置は、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台に積載された荷物の前記荷台における積載率を算出する積載率算出装置であって、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得する撮像部と、前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定する距離測定部と、前記荷物の領域毎に、前記第1の距離と前記第2の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記荷物の領域毎に、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出する積載率算出部とを備える。
【0008】
また、 前記撮像部は、さらに、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる、前記荷台に対して撮影位置の異なる2つの第2の画像情報を取得し、前記距離測定部は、さらに、2つの前記第2の画像情報における視差情報を用いて、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第3の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第4の距離を測定し、前記第1の距離及び前記第2の距離の少なくとも1つが所定の測定限界距離より大きい場合には、前記荷物長算出部は、前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台の領域の第2の荷物長を算出し、前記荷物面積算出部は、前記荷物の領域毎に、前記第2の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の第2の荷物面積を算出し、前記積載率算出部は、前記第2の荷物長と前記第2の荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出してもよい。
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明の積載率算出方法は、荷台に積載された荷物の画像が含まれる画像情報を取得する撮像部と、前記画像情報において、前記荷台の扉領域と前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域及び荷物の領域までの距離を測定する距離測定部と、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて算出した前記荷物の荷物体積と、前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部とを備える積載率算出装置において実行される積載率算出方法であって、前記撮像部が、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得するステップと、前記距離測定部が、前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定するステップと、前記荷物長算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第1の距離と前記第2の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における荷物の荷物長を算出するステップと、前記荷物面積算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出するステップと、前記積載率算出部が、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出するステップとを有する。
【0010】
また、前記撮像部は、さらに、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる、前記荷台に対して撮影位置の異なる2つの第2の画像情報を取得し、前記距離測定部は、さらに、2つの前記第2の画像情報における視差情報を用いて、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第3の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第4の距離を測定し、前記第1の距離及び前記第2の距離の少なくとも1つが所定の測定限界距離より大きい場合には、前記荷物長算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の前記長さを用いて、前記荷台の領域の第2の荷物長を算出するステップと、前記荷物面積算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第2の画像情報における前記荷台の扉領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の第2の荷物面積を算出するステップと、前記積載率算出部が、前記第2の荷物長と前記第2の荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の前記高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の前記積載率を算出するステップとを有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の積載率算出装置を備えたシステム構成の一例である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態の積載率算出装置の機能ブロックの一例である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態における荷物の積載率の測定を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態における荷物の距離の測定を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は、様々な実施の形態で実施することが可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
<荷物積載率算出システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態の積載率算出装置を備えたシステム構成の一例である。
図1のシステムは、車両(箱車)の荷台1に荷物2が積載されており、荷物2が積載された荷台1の画像情報と、荷台1に積載された荷物2の距離情報を用いて荷台1における荷物2の積載率を算出する積載率算出装置10と、積載率算出装置10において算出された積載率情報を管理する積載率管理サーバ20とから構成されている。
【0015】
本実施の形態では、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する積載率算出装置10を用いて、車両(箱車)の後方に設置された荷台扉4が開いた状態で荷物2が積載された荷台1の画像を撮影するとともに、荷台1の扉領域3及び荷物2の領域の距離を測定し、撮影した画像情報と測定した距離情報を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。荷物2の積載率は、荷台1における荷物2の荷物長と、荷台1の後方から見た荷物2の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の荷台体積を用いて算出する。
【0016】
荷台1における荷物長は、荷台1の側面から見た荷物の長さである。荷台扉4を車両の後方に備えた箱車の場合、荷物2の積み下ろしは荷台1の後方から行われる。そのため、荷物2を荷台1に積載する場合、荷物2は荷台1の前方から後方に順番に積載するので、荷台1の側面から見た荷物長は、積載率算出装置10と荷台1の扉領域3の間の距離、積載率算出装置10と荷物2との距離、及び荷台1の長さを用いて算出することができる。荷台1の後方から見た荷物2の面積は、撮影した荷台1の画像情報において抽出された荷台1の扉領域3と荷物2の領域との面積比と、予め把握している荷台1の高さ及び幅の情報を用いて算出することができる。
【0017】
積載率算出装置10では、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出し、積載率算出装置10から荷台1の扉領域3及び荷物2の領域までの距離を測定することにより、荷台1における荷物2の積載率を算出するので、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末を用いて、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【0018】
<積載率算出装置の構成>
図2は、本発明の実施の形態の積載率算出装置の機能ブロックの一例である。積載率算出装置10は、例えば、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末である。
【0019】
積載率算出装置10は、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報を取得するための撮像部11、荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定するための距離センサ部12、距離センサ部12を用いて荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定し、測定した距離情報を用いて算出した荷物2の荷物長と、取得した画像情報を用いて算出した荷物2の領域の荷物面積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する中央処理部13、測定した距離情報や算出した積載率等の各種情報等を保存するための記憶部14、撮影者が情報を入力するための入力部15、荷物の積載率の算出状況を表示するための表示部16、積載率管理サーバ20に情報を送信するための無線部17を備える。
【0020】
中央処理部13は、距離センサ部12を用いて荷台1及び荷物2との間の距離を測定する距離測定部13-1、距離測定部13-1の測定結果を用いて、荷台1における荷物2の荷物長を算出する荷物長算出部13-2、撮像部11が取得した画像情報を用いて荷台1における荷物2の荷物面積を算出する荷物面積算出部13-3、荷物長と荷物面積を用いて積載率を算出する積載率算出部13-4として機能する。
【0021】
記憶部14には、測定した荷台1及び荷物2の距離情報や、荷台1における荷物2の荷物長、荷台1における荷物2の領域の荷物面積、荷物長と荷物面積を用いて算出した積載率の情報が記憶されている。記憶部には、車両の荷台の高さ、幅、及び長さの情報が予め保存されており、これらの情報は、荷台体積、荷物長、荷物面積、及び荷物体積を算出する際に用いられる。
【0022】
積載率算出装置10としては、例えば、撮影機能と距離測定機能を備えたデジタルカメラやスマートホン等を用いることができる。撮像部11としては、汎用的なRGBカメラを用いることができる。距離センサ部12としては、TOF(Time of Flight)センサやLiDARセンサ等の汎用的な測距センサを用いることができる。
【0023】
積載率算出装置10は、CPU、メモリ、および外部機器と接続するためのインタフェースを備えたコンピュータにより構成することができる。
【0024】
<第1の実施の形態>
図3は、本発明の第1の実施の形態における荷物の積載率の測定を説明するための図である。
図3の例では、荷台1に、積載率算出装置10からの距離が異なる3つの荷物2の領域を有するように荷物2が積載されている。
【0025】
本実施の形態の積載率算出装置10では、荷台1の側面から見た荷物長と、荷台1の後方から見た荷物2の領域の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の体積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。
【0026】
図3の例では、3つの荷物2の領域における荷台1の側面から見た荷物長は、積載率算出装置10と荷台1の扉領域3との距離(D0)と、積載率算出装置10と荷物2の領域との距離(D1、D2、D3)との差分(L1、L2、L3)と荷台1の長さ(L)を用いて算出することができる。
図3の例において、3つの荷物2の領域の荷物長は、それぞれ(L-L1)、(L-L2)、(L-L3)である。
【0027】
荷台1の後方から見た荷物2の領域の面積(S1、S2、S3)は、撮影された画像情報における荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ(H)及び幅(W)の情報を用いて算出することができる。
図3の例では、荷台1の扉領域3の面積は、H×Wであり、このH×Wに面積比を乗ずることにより、荷物2の領域の面積(S1、S2、S3)を算出することができる。
【0028】
図3において、荷物体積Vtは、以下の式により算出することができる。
Vt=S1×(L-L1)+S2×(L-L2)+S3×(L-L3)
【0029】
図3において、荷台の体積Vは、以下の式により算出することができる。
V=H×W×L
【0030】
図3において、積載率は、以下の式により算出することができる。
積載率=Vt/V
【0031】
<積載率算出装置の動作フロー>
図4を用いて、積載率算出装置10において実行される積載率算出方法の動作を説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
【0032】
積載率算出装置10の撮像部11は、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報(第1の画像情報)を取得する(S1-1)。
【0033】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、撮像部11が取得した第1の画像情報において、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出する(S1-2)。
【0034】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、距離センサ部12を用いて、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)を測定する(S1-3)。
【0035】
積載率算出装置10の荷物長算出部13-2は、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)との差分と、荷台1の長さを用いて、荷台1における荷物2の荷物長を算出する(S1-4)。
【0036】
積載率算出装置10の荷物面積算出部13-3は、荷物2の領域毎に、荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ及び幅の情報を用いて、荷物2の領域の荷物面積を算出する(S1-5)。
【0037】
積載率算出装置10の積載率算出部13-4は、算出した荷物長と荷物面積を用いて、荷物2の領域毎に算出した荷物2の荷物体積の合計と、荷台1の高さ、幅、及び長さを用いて算出した荷台1の荷台体積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する(S1-6)。
【0038】
本実施の形態では、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する積載率算出装置10を用いて、車両(箱車)の後方に設置された荷台扉4が開いた状態で荷物2が積載された荷台1の画像を撮影するとともに、荷台1の扉領域3及び荷物2の領域の距離を測定し、撮影した画像情報と測定した距離情報を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。荷物2の積載率は、荷台1における荷物2の荷物長と、荷台1の後方から見た荷物2の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の荷台体積を用いて算出する。
【0039】
本実施の形態によれば、積載率算出装置10では、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出し、荷台の領域と荷物の領域までの距離を測定することにより、荷台1における荷物2の積載率を算出するので、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末を用いて、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【0040】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、積載率算出装置10が備えた距離センサ部12で測定した距離情報を用いて荷台1における荷物2の荷物長を算出した。LiDARセンサ等の汎用的な距離センサは、所定の長さの測定レンジ(測定限界距離)を有しており、荷台や荷物との距離が所定の測定レンジより大きい場合には距離の検出精度が落ちる場合がある。そのような場合に対応するため、第2の実施の形態では、撮像部で取得した画像情報における視差を利用して荷台や荷物の距離を測定する。
【0041】
図5は、本発明の第2の実施の形態における荷物の距離の測定を説明するための図である。
図5では、測定対象である荷物2を、荷台1からの距離が等しく撮影位置の間の距離が既知である左右の異なる撮影位置から撮影し、撮影した画像における視差情報を用いて測定対象である荷物2のポイントPまでの距離Zを算出する。
【0042】
図5の例では、撮像部11の焦点距離をF、左右の撮影位置の間の距離をB、左右の撮影位置で撮影した画像における荷物2の視差をDとした場合、積載率算出装置10から測定対象である荷物2のポイントPまでの距離Zは以下の式で算出することができる。
Z=F×B/D
【0043】
視差Dは、撮像部11の撮像面における画素数(ピクセル数)として検出されるが、既知である撮像部11の画素の間隔を乗ずることで、画素数を距離の情報に変換することができるので、上述した式により、積載率算出装置10から測定対象である荷物2のポイントPまでの距離Zを算出することができる。左右の撮影位置の間の距離Bについては、予め撮影位置を決めておくことで、荷物を撮影する度に測定する必要はない。例えば、撮影位置を荷台1の左右の側面の位置に決めておけば、左右の撮影位置の間の距離Bは、荷台1の幅とほぼ同じ長さとなる。
【0044】
荷台1の扉領域や他の荷物2の領域の距離も同様にして、2つの撮影位置における画像情報における視差情報を用いて算出することができる。荷台1における荷物2の荷物長については、
図3で説明した第1の実施形態における算出方法と同様の算出方法で算出することができる。
【0045】
荷物2の領域の荷物面積については、左右の異なる撮影位置で撮影した複数の画像情報のいずれかにおいて、第1の実施形態と同様の方法で算出することができる。荷台1を正面から撮影しない場合でも、荷台1の扉領域3と荷物2の領域との面積比は、荷台1を正面から撮影した場合とほぼ同様の値となるので、この面積比と予め把握している荷台1の高さ及び幅の情報を用いて、荷物2の領域の荷物面積を算出することができる。
【0046】
<積載率算出装置の動作フロー>
図6は、本発明の第2の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
図5の動作フローと比較すると、撮像部11が、荷台及び荷物を含む荷物画像を異なる撮影位置で撮影するステップ(S2-2)と、距離センサで測定した距離(画像#1)が所定の測定レンジより大きい場合に(S2-5)、異なる撮影位置で撮影した画像を用いて荷物長と荷物面積を算出するステップ(S2-8~S2-11)が追加されている点が異なる。
【0047】
積載率算出装置10の撮像部11は、荷物2が積載された荷台1の正面の撮影位置において、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報(第1の画像情報)を取得する(S2-1)。
【0048】
積載率算出装置10の撮像部11は、荷物2が積載された荷台1の正面の撮影位置から見て左右の異なる撮影位置において、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報(第2の画像情報)を取得する(S2-2)。
【0049】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、撮像部11が取得した第1の画像情報において、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出する(S2-3)。
【0050】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、距離センサ部12を用いて、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)を測定する(S2-4)。
【0051】
距離センサ部12で測定した距離の少なくとも1つが所定の値以下の場合(S2-5:NO)、積載率算出装置10の荷物長算出部13-2は、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)との差分と、荷台1の長さを用いて、荷台1における荷物2の荷物長を算出する(S2-6)。
【0052】
積載率算出装置10の荷物面積算出部13-3は、荷物2の領域毎に、荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ及び幅の情報を用いて、荷物2の領域の荷物面積を算出する(S2-7)。
【0053】
距離センサ部12で測定した距離の少なくとも1つが所定の値より大きい場合(S2-5:YES)、積載率算出装置10の距離測定部13-1は、撮像部11が異なる撮影位置で撮影した第2の画像情報において、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出する(S2-8)。
【0054】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、異なる撮影位置で撮影した画像(第2の画像情報)における視差を用いて、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第3の距離)と、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷物2の領域までの距離(第4の距離)を測定する(S2-9)。
【0055】
積載率算出装置10の荷物長算出部13-2は、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第3の距離)と撮像部11から荷物2の領域までの距離(第4の距離)との差分と、荷台1の長さを用いて、荷台1における荷物2の荷物長(第2の荷物長)を算出する(S2-10)。
【0056】
積載率算出装置10の荷物面積算出部13-3は、異なる撮影位置で撮影した複数の第2の画像情報のいずれかの画像を用いて、荷物2の領域毎に、荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ及び幅の情報を用いて、荷物2の領域の荷物面積(第2の荷物面積)を算出する(S2-11)。
【0057】
積載率算出装置10の積載率算出部13-4は、算出した荷物長(第2の荷物長)と荷物面積(第2の荷物面積)を用いて、荷物2の領域毎に算出した荷物2の荷物体積の合計と、荷台1の高さ、幅、及び長さを用いて算出した荷台1の荷台体積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する(S2-12)。
【0058】
本実施の形態では、LiDARセンサ等の汎用的な距離センサによる距離の測定に加えて、異なる撮影位置で撮影した複数の画像における視差を用いた距離の測定を併用して、荷台1の扉領域3や荷物2の距離を算出し、算出した距離を用いて荷台1における荷物2の積載率を算出している。
【0059】
本実施の形態によれば、荷台1や荷物2との距離が距離センサの測定レンジより大きい場合でも、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1…荷台、2…荷物、3…扉領域、4…荷台扉、10…積載率算出装置、11…撮像部、12…距離センサ部、13…中央処理部、13-1…距離測定部、13-2…荷物長算出部、13-3…荷物面積算出部、13-4…積載率算出部、14…記憶部、15…入力部、16…表示部、17…無線部、20…積載率管理サーバ。
【要約】
【課題】荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供する。
【解決手段】本発明の積載率算出装置10は、荷台及び荷物の画像が含まれる画像情報において、荷台の扉領域までの第1の距離と、荷物の領域までの第2の距離を測定し、第1の距離と第2の距離の差分と荷台の長さを用いて、荷台における荷物の荷物長を算出し、荷台の扉領域と荷物の領域との面積比と、荷台の前記高さ及び幅を用いて、荷物の領域の荷物面積を算出し、荷物長と荷物面積を用いて、荷物の領域毎に算出した荷物の荷物体積の合計と、荷台の荷台体積を用いて、荷台における荷物の積載率を算出する。
【選択図】
図2