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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】積載率算出装置および積載率算出方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/62 20170101AFI20250326BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250326BHJP
【FI】
G06T7/62
G06T7/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024037287
(22)【出願日】2024-03-11
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】中村 康久
(72)【発明者】
【氏名】小林 道明
(72)【発明者】
【氏名】永山 佳範
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-067522(JP,A)
【文献】特開2021-189666(JP,A)
【文献】特開2023-163526(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116034396(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/62
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台に積載された荷物の前記荷台における積載率を算出する積載率算出装置であって、
前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得する撮像部と、
前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定し、
前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、正対画像である第2の画像情報を取得し、前記第1の画像情報から前記第2の画像情報への幾何変換に対応して、前記第1の距離と前記第2の距離を、それぞれ第3の距離と第4の距離に補正する距離測定部と、
前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における前記荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、
前記第2の画像情報において、前記荷物の領域毎に、前記荷台の領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、
前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部と
を備える積載率算出装置。
【請求項2】
荷台に積載された荷物の画像が含まれる画像情報を取得する撮像部と、前記画像情報において、前記荷台の扉領域と前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域及び荷物の領域までの距離を測定する距離測定部と、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて算出した前記荷物の荷物体積と、前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部とを備える積載率算出装置において実行される積載率算出方法であって、
前記撮像部が、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得するステップと、
前記距離測定部が、
前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定し、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、正対画像である第2の画像情報を取得し、前記第1の画像情報から前記第2の画像情報への幾何変換に対応して、前記第1の距離と前記第2の距離を、それぞれ第3の距離と第4の距離に補正するステップと、
荷物長算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における前記荷物の荷物長を算出するステップと、
前記荷物面積算出部が、前記第2の画像情報において、前記荷物の領域毎に、前記荷台の領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出するステップと、
前記積載率算出部が、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出するステップと
を有する積載率算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台に積載された荷物の積載率を算出する荷物積載率算出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物の効率的な運搬を目的として、荷台を備えた車両における荷物の積載率を算出する方法が提案されている。最近では、車両ドライバーの労働時間の短縮に伴い、荷物を輸送できる車両数が減少することが予想されており、より一層の荷物の積載率の改善が求められており、荷物の積載率を正確に把握することのできる技術が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて車両の荷室内における荷物の積載率を推定する積載率推定装置が提案されている。荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて人や積み荷以外の物体を検出することにより車両の荷室内における荷物の積載率を正確に推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-148169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したような荷台の内部や外部に設置されたカメラを用いて車両の荷室内における荷物の積載率を推定する技術では、荷物を運搬する車両や、荷物の積載率を推定するバース等に複数のカメラを設置する必要があるので、積載率を推定するための装置構成が複雑になり、カメラを設置したバース等に車両を移動させる必要があるので積載率の測定場所の融通性が低いという問題がある。荷物を運搬する車両において、荷物の積載率を簡易かつ正確に測定できる技術が望まれている。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明の積載率算出装置は、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台に積載された荷物の前記荷台における積載率を算出する積載率算出装置であって、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得する撮像部と、前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定し、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、正対画像である第2の画像情報を取得し、前記第1の画像情報から前記第2の画像情報への幾何変換に対応して、前記第1の距離と前記第2の距離を、それぞれ第3の距離と第4の距離に補正する距離測定部と、前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における前記荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記第2の画像情報において、前記荷物の領域毎に、前記荷台の領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の前記高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部とを備える。
【0008】
上述したような課題を解決するために、本発明の積載率算出方法は、荷台に積載された荷物の画像が含まれる画像情報を取得する撮像部と、前記画像情報において、前記荷台の扉領域と前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域及び荷物の領域までの距離を測定する距離測定部と、前記荷台における荷物の荷物長を算出する荷物長算出部と、前記荷物の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部と、前記荷物長と前記荷物面積を用いて算出した前記荷物の荷物体積と、前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部とを備える積載率算出装置において実行される積載率算出方法であって、前記撮像部が、前記荷台の画像及び前記荷物の画像が含まれる第1の画像情報を取得するステップと、前記距離測定部が、前記撮像部が取得した第1の画像情報において、前記荷台の扉領域と少なくとも1つの前記荷物の領域を抽出し、前記撮像部から前記荷台の扉領域までの第1の距離と、少なくとも1つの前記荷物の領域毎に、前記撮像部から前記荷物の領域までの第2の距離を測定し、前記第1の画像情報における前記荷台の扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、正対画像である第2の画像情報を取得し、前記第1の画像情報から前記第2の画像情報への幾何変換に対応して、前記第1の距離と前記第2の距離を、それぞれ第3の距離と第4の距離に補正するステップと、荷物長算出部が、前記荷物の領域毎に、前記第3の距離と前記第4の距離の差分と前記荷台の長さを用いて、前記荷台における前記荷物の荷物長を算出するステップと、前記荷物面積算出部が、前記第2の画像情報において、前記荷物の領域毎に、前記荷台の領域と前記荷物の領域との面積比と、前記荷台の高さ及び幅を用いて、前記荷物の領域の荷物面積を算出するステップと、前記積載率算出部が、前記荷物長と前記荷物面積を用いて、前記荷物の領域毎に算出した前記荷物の荷物体積の合計と、前記荷台の高さ、幅、及び長さを用いて算出した前記荷台の荷台体積を用いて、前記荷台における前記荷物の積載率を算出するステップとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態の積載率算出装置を備えたシステム構成の一例である。
図2図2は、本発明の実施の形態の積載率算出装置の機能ブロックの一例である。
図3図3は、本発明の実施の形態における荷物の積載率の算出を説明するための図である。
図4図4は、本発明の実施の形態における画像の幾何変換を説明するための図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は、様々な実施の形態で実施することが可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
<荷物積載率算出システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態の積載率算出装置を備えたシステム構成の一例である。図1のシステムは、車両(箱車)の荷台1に荷物2が積載されており、荷物2が積載された荷台1の画像情報と、荷台1に積載された荷物2の距離情報を用いて荷台1における荷物2の積載率を算出する積載率算出装置10と、積載率算出装置10において算出された積載率情報を管理する積載率管理サーバ20とから構成されている。
【0013】
本実施の形態では、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する積載率算出装置10を用いて、車両(箱車)の後方に設置された荷台扉4が開いた状態で荷物2が積載された荷台1の画像を撮影するとともに、荷台1の扉領域3及び荷物2の領域の距離を測定し、撮影した画像情報と測定した距離情報を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。荷物2の積載率は、荷台1における荷物2の荷物長と、荷台1の後方から見た荷物2の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の荷台体積を用いて算出する。
【0014】
荷台1における荷物長は、荷台1の側面から見た荷物の長さである。荷台扉4を車両の後方に備えた箱車の場合、荷物2の積み下ろしは荷台1の後方から行われる。そのため、荷物2を荷台1に積載する場合、荷物2は荷台1の前方から後方に順番に積載するので、荷台1の側面から見た荷物長は、積載率算出装置10と荷台1の扉領域3の間の距離、積載率算出装置10と荷物2との距離、及び荷台1の長さを用いて算出することができる。荷台1の後方から見た荷物2の面積は、撮影した荷台1の画像情報において抽出された荷台1の扉領域3と荷物2の領域との面積比と、予め把握している荷台1の高さ及び幅の情報を用いて算出することができる。
【0015】
積載率算出装置10では、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出し、積載率算出装置10から荷台1の扉領域3及び荷物2の領域までの距離を測定することにより、荷台1における荷物2の積載率を算出するので、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末を用いて、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【0016】
<積載率算出装置の構成>
図2は、本発明の実施の形態の積載率算出装置の機能ブロックの一例である。積載率算出装置10は、例えば、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末である。
【0017】
積載率算出装置10は、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報を取得するための撮像部11、荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定するための距離センサ部12、距離センサ部12を用いて荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定し、測定した距離情報を用いて算出した荷物2の荷物長と、取得した画像情報を用いて算出した荷物2の領域の荷物面積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する中央処理部13、測定した距離情報や算出した積載率等の各種情報等を保存するための記憶部14、撮影者が情報を入力するための入力部15、荷物の積載率の算出状況を表示するための表示部16、積載率管理サーバ20に情報を送信するための無線部17を備える。
【0018】
中央処理部13は、距離センサ部12を用いて荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定する距離測定部13-1、距離測定部13-1の測定結果を用いて、荷台1における荷物2の荷物長を算出する荷物長算出部13-2、撮像部11が取得した画像情報を用いて荷台1における荷物2の領域の荷物面積を算出する荷物面積算出部13-3、荷物長と荷物面積を用いて積載率を算出する積載率算出部13-4として機能する。
【0019】
記憶部14には、測定した荷台1及び荷物2の距離情報や、荷台1における荷物2の荷物長、荷台1における荷物2の領域の荷物面積、荷物長と荷物面積を用いて算出した積載率の情報が記憶されている。記憶部14には、車両の荷台の高さ、幅、及び長さの情報が予め保存されており、これらの情報は、荷台体積、荷物長、荷物面積、及び荷物体積を算出する際に用いられる。
【0020】
積載率算出装置10としては、例えば、撮影機能と距離測定機能を備えたデジタルカメラやスマートホン等を用いることができる。撮像部11としては、汎用的なRGBカメラを用いることができる。距離センサ部12としては、TOF(Time of Flight)センサやLiDARセンサ等の汎用的な測距センサを用いることができる。
【0021】
積載率算出装置10は、CPU、メモリ、および外部機器と接続するためのインタフェースを備えたコンピュータにより構成することができる。
【0022】
<荷物積載率の算出>
図3は、本発明の第1の実施の形態における荷物の積載率の測定を説明するための図である。図3の例では、荷台1に、積載率算出装置10からの距離が異なる3つの荷物の領域を有するように荷物2が積載されている。
【0023】
本実施の形態の積載率算出装置10では、荷台1の側面から見た荷物長と、荷台1の後方から見た荷物の領域の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の体積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。
【0024】
図3の例では、3つの荷物2の領域における荷台1の側面から見た荷物長は、積載率算出装置10と荷台1の扉領域3との距離(D0)と、積載率算出装置10と荷物2の領域との距離(D1、D2、D3)との差分(L1、L2、L3)と荷台1の長さ(L)を用いて算出することができる。図3の例において、3つの荷物2の領域の荷物長は、それぞれ(L-L1)、(L-L2)、(L-L3)である。
【0025】
荷台1の後方から見た荷物2の領域の面積(S1、S2、S3)は、撮影された画像情報における荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ(H)及び幅(W)の情報を用いて算出することができる。図3の例では、荷台1の扉領域3の面積は、H×Wであり、このH×Wに面積比を乗ずることにより、荷物2の領域の面積(S1、S2、S3)を算出することができる。
【0026】
図3において、荷物体積Vtは、以下の式により算出することができる。
Vt=S1×(L-L1)+S2×(L-L2)+S3×(L-L3)
【0027】
図3において、荷台の体積Vは、以下の式により算出することができる。
V=H×W×L
【0028】
図3において、積載率は、以下の式により算出することができる。
積載率=Vt/V
【0029】
<画像の幾何変換と距離の補正>
上述したように、本実施の形態の積載率算出装置10では、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出し、荷台1の扉領域及び荷物2の領域までの距離を測定することにより、荷台1における荷物2の積載率を測定する。そのため、荷台1及び荷物2の画像を撮影する際に荷台の正面において画像撮影ができなかった場合、荷台1の扉領域3と荷物2の領域の距離を正確に測定することができず、その結果、荷台1に積載された荷物2の積載率を正確に算出できないこととなる。
【0030】
そこで、本実施の形態の積載率算出装置10は、荷台1の扉領域3の画像の形状を幾何変換することにより距離情報を補正し、補正した距離情報を用いて積載率を算出するように構成されている。図4は、本発明の実施の形態における画像の幾何変換を説明するための図である。
【0031】
本実施の形態では、抽出した扉領域3の画像が正対画像でなかった場合には、扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、扉領域3の画像を正対画像に変換する。図4の上図は、幾何変換前の抽出した画像であり、図4の下図は、抽出した画像を幾何変換した後の正対画像である。
【0032】
図4の上図に示すように、抽出した扉領域の画像が正対画像でなかった場合、荷物2の領域の距離についても正確な測定結果が得られていない。そのため、撮像部11から扉領域3及びの荷物2の領域までの距離を、扉領域の画像の幾何変換に対応して補正し、その補正した距離情報を用いて、荷物2の領域毎に荷台1における荷物2の荷物長を算出する。
【0033】
抽出した画像の形状を正対画像に幾何変換する方法としては、公知の射影変換技術を用いることができる。距離情報の補正量についても、射影変換の変換座標における移動量に基づいて算出すればよい。
【0034】
荷物2の領域の荷物面積についても、正対画像に幾何変換された画像情報における荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ(H)及び幅(W)の情報を用いて、荷台の後方から見た荷物2の領域の荷物面積を算出し、算出した荷物長と荷物面積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。
【0035】
<積載率算出装置の動作フロー>
図5を用いて、積載率算出装置10において実行される積載率算出方法の動作を説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態の積載率算出方法の動作フローの一例である。
【0036】
積載率算出装置10の撮像部11は、荷台1の扉領域3及び荷物2の画像が含まれる画像情報(第1の画像情報)を取得する(S1-1)。
【0037】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、撮像部11が取得した第1の画像情報において、荷台1の扉領域3と荷物2の領域を抽出する(S1-2)。
【0038】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、距離センサ部12を用いて、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と、荷物2の領域毎に、撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)を測定する(S1-3)。
【0039】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、抽出した荷台1の扉領域3の画像が正対画像でなかった場合には、扉領域3の画像を幾何変換することにより、抽出した画像を正対画像(第2の画像情報)に変換する(S1-4)。
【0040】
積載率算出装置10の距離測定部13-1は、さらに、扉領域3の画像の幾何変換に対応して、撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第1の距離)と、撮像部11から荷物2の領域までの距離(第2の距離)を補正する(S1-5)。
【0041】
積載率算出装置10の荷物長算出部13-2は、荷物2の領域毎に、補正された撮像部11から荷台1の扉領域3までの距離(第3の距離)と撮像部11から荷物2の領域までの距離(第4の距離)との差分と、荷台1の長さを用いて、荷台1における荷物2の荷物長を算出する(S1-6)。
【0042】
積載率算出装置10の荷物面積算出部13-3は、幾何変換された第2の画像情報において、荷物2の領域毎に、荷台1の扉領域3の面積と荷物2の領域の面積との面積比と、荷台1の高さ及び幅の情報を用いて、荷物2の領域の荷物面積を算出する(S1-7)。
【0043】
積載率算出装置10の積載率算出部13-4は、算出した荷物長と荷物面積を用いて、荷物2の領域毎に算出した荷物2の荷物体積の合計と、荷台1の高さ、幅、及び長さを用いて算出した荷台1の荷台体積を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する(S1-8)。
【0044】
本実施の形態では、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する積載率算出装置10を用いて、車両(箱車)の後方に設置された荷台扉4が開いた状態で荷物2が積載された荷台1の画像を撮影するとともに、荷台1の扉領域3及び荷物2の領域の距離を測定し、撮影した画像情報と測定した距離情報を用いて、荷台1における荷物2の積載率を算出する。荷物2の積載率は、荷台1における荷物2の荷物長と、荷台1の後方から見た荷物2の面積を用いて算出した荷物体積と、所定の高さ、幅、及び長さを有する荷台1の荷台体積を用いて算出する。
【0045】
本実施の形態によれば、積載率算出装置10では、荷台1の領域と荷物2の領域を抽出し、荷台の領域と荷物の領域までの距離を測定することにより、荷台1における荷物2の積載率を算出するので、スマートホン等の撮影機能と距離測定機能を有する携帯端末を用いて、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【0046】
また、積載率算出装置10では、画像情報を幾何変換することにより補正した距離情報を用いて積載率を算出するように構成されているので、荷台1及び荷物2の画像を撮影する際に荷台1の正面において画像撮影ができなかった場合でも、荷台1に積載された荷物2の積載率を簡易かつ正確に測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1…荷台、2…荷物、3…扉領域、4…荷台扉、10…積載率算出装置、11…撮像部、12…距離センサ部、13…中央処理部、13-1…距離測定部、13-2…荷物長算出部、13-3…荷物面積算出部、13-4…積載率算出部、14…記憶部、15…入力部、16…表示部、17…無線部、20…積載率管理サーバ。
【要約】
【課題】荷台に設置された荷物の積載率を簡易かつ正確に測定することができる積載率算出装置を提供する。
【解決手段】本発明の積載率算出装置10は、荷台及び荷物の画像が含まれる画像情報において、荷台の扉領域までの第1の距離と、荷物の領域までの第2の距離を測定し、画像情報における荷台の扉領域の画像の形状を幾何変換することにより、正対画像である画像情報を取得し、画像情報の幾何変換に対応して、第1の距離と第2の距離を、それぞれ第3の距離と第4の距離に補正し、補正後の第3の距離と第4の距離の差分と荷台の長さを用いて、荷台における荷物の荷物長を算出し、幾何変化後の画像情報において、荷台の扉領域と荷物の領域との面積比と荷台の前記高さ及び幅を用いて、荷物の領域の荷物面積を算出し、荷物長と荷物面積を用いて、荷物の領域毎に算出した荷物の荷物体積の合計と、荷台の荷台体積を用いて、荷台における荷物の積載率を算出する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5