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特許7655750清涼化粧料組成物および清涼感の増強方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】清涼化粧料組成物および清涼感の増強方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20250326BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20250326BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021049766
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148183
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 楓
(72)【発明者】
【氏名】下村 明日香
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332238(JP,A)
【文献】特開2020-66583(JP,A)
【文献】国際公開第2019/151276(WO,A1)
【文献】特開2006-225310(JP,A)
【文献】特開2021-54721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0360712(US,A1)
【文献】特開2019-19129(JP,A)
【文献】特表2005-513093(JP,A)
【文献】特開平11-269059(JP,A)
【文献】3D Cool Touch Base SPF 50+/PA++++, StylingLife Holdings,Mintel GNPD [online],2017年05月,[検索日2024.8.16], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>,ID#:4788003
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/
A61P
A61Q
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)メントール類、dl-カンファ、1,8-シネオール、オイゲノール、ミント、ユーカリ油、およびイシリンからなる群より選ばれる1種以上の清涼成分、(B)ビオサッカリドガム、(C)エタノール、および(D)水を含有する可溶化系の清涼化粧料組成物であって、
前記可溶化系の清涼化粧料組成物中の前記成分(A)の含有量が、0.01~8.0質量%であり、
前記成分(D)に対する前記成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))が、0.30%以下である可溶化系の清涼化粧料組成物。
【請求項2】
前記成分(B)の含有量が、0.0001質量%以上である請求項1記載の可溶化系の清涼化粧料組成物。
【請求項3】
可溶化系の清涼化粧料組成物において、(A)メントール類、dl-カンファ、1,8-シネオール、オイゲノール、ミント、ユーカリ油、およびイシリンからなる群より選ばれる1種以上の清涼成分、(C)エタノール、および(D)水とともに、(B)ビオサッカリドガムを共存させることを特徴とし、
前記可溶化系の清涼化粧料組成物中の前記成分(D)に対する前記成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))が、0.30%以下である、清涼成分の清涼感増強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼化粧料組成物および清涼感の増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷感および清涼感を与える化粧料には、低級アルコールや揮発性ガスによる気化熱を利用して実際に皮膚の表面温度を低下させるタイプの化粧料と、メントール等の清涼成分を用いて感覚的に清涼感を付与するタイプの化粧料とがある。これらのなかでは、一般に清涼成分を用いて感覚的に皮膚に対して清涼感を付与するタイプの化粧料(清涼化粧料)が広く普及している(例えば、特許文献1~3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-239142号公報
【文献】特開平11-199423号公報
【文献】特開2003-073248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清涼化粧料による清涼感の強さは、化粧料における清涼成分の含有率を調整することによって制御されている。しかし、清涼感を強くするために化粧料における清涼成分の含有率を高めると、清涼成分の種類によっては化粧料を皮膚に塗布したときに痛みや灼熱感等の不快感を生じることがある。これらのことから、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感が増強された清涼化粧料および清涼感の増強方法の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、清涼感が増強された清涼化粧料組成物、および清涼成分の含有率を高めることなく清涼感を増強する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、清涼成分(成分(A))とビオサッカリドガム(成分(B))を共存させることで、清涼成分により付与される皮膚への感覚的な清涼感が増強されることを見出した。さらに検討を重ねた結果、前記成分(A)、前記成分(B)、エタノール(成分(C))および水(成分(D))を含有し、前記成分(D)に対する前記成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))が、0.30%以下である清涼化粧料組成物とすることにより、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感を増強された清涼化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
〔1〕(A)清涼成分、(B)ビオサッカリドガム、(C)エタノール、および(D)水を含有し、前記成分(D)に対する前記成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))が、0.30%以下である清涼化粧料組成物、
〔2〕前記成分(B)の含有量が、0.0001質量%以上である上記〔1〕記載の清涼化粧料組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、
〔3〕清涼化粧料組成物において、(A)清涼成分とともに、(B)ビオサッカリドガムを共存させることを特徴とする、清涼成分の清涼感増強方法、
〔4〕前記清涼化粧料組成物が、(C)エタノール、および(D)水を含有し、前記成分(D)に対する前記成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))が、0.30%以下である清涼化粧料組成物である、上記〔3〕記載の清涼感増強方法、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清涼化粧料組成物は、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感が増強された清涼化粧料組成物であるという効果を奏する。また、本発明の清涼感の増強方法は、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感を増強させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、清涼成分、ビオサッカリドガム、エタノール、および水を必須の成分として含有し、水に対するビオサッカリドガムの質量比が0.30%以下であることを特徴とする。
【0011】
本明細書においては、上記清涼成分を「成分(A)」;上記ビオサッカリドガムを「成分(B)」;上記エタノールを「成分(C)」;上記水を「成分(D)」と称する場合がある。なお、本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、用途に応じて、さらに、必須成分である上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、および成分(D)以外の成分を含んでいてもよい。本実施形態に係る清涼化粧料組成物に含まれる上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、およびその他の成分等の各成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0012】
本明細書において特記しない限り、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。すなわち、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意図する。
【0013】
[成分(A):清涼成分]
成分(A)は、清涼化粧料組成物を皮膚に塗布後、感覚的な清涼感を付与する清涼成分である。
【0014】
成分(A)としては、優れた清涼感を付与するできる成分であれば特に限定されないが、例えば、l-メントール、l-メンチルグリセリルエーテル、l-メンチルラクテート、メンチルサリシレート、1-メンチル-3-ヒドロキシブチレート、メントキシフラン、l-メンチルグルコシド等のメントール類;dl-カンファ、1,8-シネオール、オイゲノール、ミント、ユーカリ油、イシリン等を例示することができる。これら成分(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。なかでも、強い清涼感を付与することができるという観点から、成分(A)として1以上のメントール類を含むことが好ましく、l-メントールおよび/またはl-メンチルグリセリルエーテルを含むことがより好ましく、l-メントールを含むことがさらに好ましい。
【0015】
成分(A)中のメントール類の含有量は、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、メントール類のみからなることが特に好ましい。
【0016】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物中の成分(A)の含有量は、望む清涼感を付与する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、清涼化粧料組成物中の成分(A)の含有量は、皮膚刺激および目刺激を抑制する観点から、8.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.80質量%以下がさらに好ましく、0.60質量%以下がさらに好ましく、0.40質量%以下がさらに好ましく、0.20質量%以下が特に好ましい。
【0017】
[成分(B):ビオサッカリドガム]
成分(B)は、ビオサッカリドガムである。成分(B)を配合することにより、成分(A)による皮膚への感覚的な清涼感を増強することができる。
【0018】
成分(B)としては、ビオサッカリドガム-1、ビオサッカリドガム-2、ビオサッカリドガム-4等を例示することができる。成分(B)の市販品としては、ビオサッカリドガム-1(ソラビア社製、商品名:FUCOGEL 1.5P)、ビオサッカリドガム-4(ソラビア社製、商品名:GLYCOFILM 1.5P)等が挙げられる。これら成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0019】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物中の成分(B)の含有量は、充分な清涼感増強効果が得られる観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、0.0008質量%以上がさらに好ましく、0.001質量%以上が特に好ましい。また、清涼化粧料組成物中の成分(B)の含有量は、製剤化の観点から、0.25質量%以下が好ましく、0.20質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.10質量%以下がさらに好ましく、0.060質量%以下が特に好ましい。
【0020】
また、本実施形態に係る清涼化粧料組成物中の成分(D)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比(成分(B)/成分(D))は、0.30%以下であり、0.25%以下が好ましく、0.21%以下がより好ましく、0.16%以下がさらに好ましく、0.12%以下が特に好ましい。成分(B)/成分(D)が0.30%を超える場合は、成分(D)の含有量に対する成分(B)の含有量が多くなり、成分(B)を溶解させることができずに化粧料が白濁してしまい、製剤化が困難となる。また、成分(B)/成分(D)は、清涼感の増強効果を充分に発揮する観点から、0.0001%以上が好ましく、0.0002%以上がより好ましく、0.0005%以上がさらに好ましく、0.0008%以上が特に好ましい。
【0021】
[成分(C):エタノール]
成分(C)はエタノールである。成分(A)の溶剤として用いられると同時に、気化熱を利用して皮膚の表面温度を低下させる冷感付与剤としても作用する。
【0022】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物中の成分(C)の含有量は、成分(A)を充分に溶解させる観点、気化熱による冷感を付与する観点から、1.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上がさらに好ましい。また、清涼化粧料組成物中の成分(C)の含有量は、皮膚等への刺激を抑制する観点から、80.0質量%以下が好ましく、70.0質量%以下がより好ましく、60.0質量%以下がさらに好ましく、50.0質量%以下が特に好ましい。
【0023】
[成分(D):水]
成分(D)は水である。成分(D)は成分(B)の溶剤として用いられる。
【0024】
本実施形態において使用可能な水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物中の成分(D)の含有量は、皮膚等への刺激を抑制する観点、成分(B)を充分に溶解させる観点から、19.0質量%以上が好ましく、29.0質量%以上がより好ましく、39.0質量%以上がさらに好ましく、50.0質量%以上が特に好ましい。また、清涼化粧料組成物中の成分(D)の含有量は、充分な清涼感を得る観点から、98.0質量%以下が好ましく、94.0質量%以下がより好ましく、90.0質量%以下がさらに好ましい。
【0026】
<その他の成分>
本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、および成分(D)以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、界面活性剤、成分(B)以外の水溶性高分子、多価アルコール、高級アルコール、成分(C)以外の低級アルコール、炭化水素油、シリコーン油、ビタミン類、酸化防止剤、防腐成分、紫外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、殺菌剤、制汗剤、粉体、植物抽出エキス、香料、pH調整剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
【0027】
上記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルグリセリルエーテル、イソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、グリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、シリコーン界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN-メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩等のアニオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0028】
界面活性剤(好ましくはノニオン性界面活性剤)を含有する場合の清涼化粧料組成物中の含有量は、特に制限されないが、0.10質量%以上が好ましく、0.30質量%以上がより好ましく、0.50質量%以上がさらに好ましい。また、界面活性剤を含有する場合の清涼化粧料組成物中の含有量は、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。
【0029】
上記成分(B)以外の水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルエーテル、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー等のアクリル系増粘剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系増粘剤;キサンタンガム、ゼラチン、グアガム、カラギーナン、ペクチン、プルラン等の天然ガム系増粘剤;ヒアルロン酸またはその塩等が挙げられる。これら水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0030】
上記多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコール等が挙げられ、グリコール類およびグリセリン類が好ましく、グリコール類がより好ましい。具体的には、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。
【0031】
上記高級アルコールとしては、例えば、炭素数8~22の直鎖または分岐鎖のアルコールが挙げられる。具体的には、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルアルコール、セタノール等が挙げられる。
【0032】
上記成分(C)以外の低級アルコールとしては、例えば、炭素数1~4の直鎖または分岐鎖のアルコールが挙げられる。具体的には、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。
【0033】
上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、平均重合度が650~7000である高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン等が挙げられる。
【0034】
上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、トコフェロールおよびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体等が挙げられる。
【0035】
粉体としては、特に制限はなく、天然物、造粒物、複合粉体等いずれの由来であってもよい。粉体の形状は、特に限定されず、例えば、球状、燐片状、板状、粉末状等が挙げられる。粉体の具体例としては、例えば、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、セルロース、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、シルセスキオキサン等の有機粉体;タルク、シリカ、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体が挙げられる。これらの粉体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
<化粧料>
本実施形態に係る清涼化粧料組成物の剤型としては、液状剤型、ジェル状剤型、エアゾール剤型等が挙げられる。なかでも、液状剤型であることが好ましく、透明液状剤型であることがより好ましい。
【0037】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物の製品形態としては、例えば、化粧水、エアゾールスプレー、ロールオン、拭取り用シート、ミスト等が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。また、本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、ヒンジボトル、スクリューボトル、(エアゾール型または非エアゾール型の)スプレー容器、ディスペンサー容器等に充填されることが好ましい。
【0038】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨等として用いられる。
【0039】
本実施形態に係る清涼化粧料組成物は、主に、皮膚(肌)に塗布するために用いられる。塗布する部位としては、特に限定されず、例えば、顔面(例えば、額、目元、目じり、頬、口元等)や、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中等が挙げられる。
【0040】
<清涼感の増強方法>
本実施形態に係る清涼感の増強方法は、清涼成分(成分(A))とビオサッカリドガム(成分(B))とを共存させることを特徴とする。この共存により、成分(A)による皮膚への感覚的な清涼感を増強させることができる。
【0041】
前記清涼化粧料組成物は、成分(A)および成分(B)に加え、エタノール(成分(C))および水(成分(D))を含有することが好ましい。前述のとおり、成分(C)は成分(A)の溶剤として、成分(D)は成分(B)の溶剤としてそれぞれ作用する。
【0042】
また、前記清涼化粧料組成物における、成分(D)に対する成分(B)の質量比(成分(B)/成分(D))は、製剤化の観点から、0.30%以下であり、0.25%以下が好ましく、0.21%以下がより好ましく、0.16%以下がさらに好ましく、0.12%以下が特に好ましい。また、成分(B)/成分(D)は、清涼感の増強効果を充分に発揮する観点から、0.0001%以上が好ましく、0.0002%以上がより好ましく、0.0005%以上がさらに好ましく、0.0008%以上が特に好ましい。
【0043】
本実施形態に係る清涼感の増強方法において使用される上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、およびその他の成分の、種類、含有量、これらの比率等については、前記と同様である。
【実施例
【0044】
以下、本実施形態を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、有効成分の配合量であり、「質量%」で表す。また、表中の配合量における「-」は、その成分を配合していないことを示す。
【0045】
<実施例および比較例>
表に示した組成(配合量)に従い、実施例および比較例の各化粧料を常法により混合し、調製した。得られた各化粧料について、下記の通り「外観」、および「清涼感の増強効果」を評価した。
【0046】
<外観>
得られた各化粧料について、調製直後の外観を目視で確認した。可溶化系の化粧料が調製されており、透明な外観を示したものを「透明」、不溶成分が存在し、白濁等により製剤化できなかったものを「不可」として表中に示した。なお、本試験結果が「不可」となった各化粧料は、「清涼感の増強効果」についての評価は実施しなかった(表中「-」で示す)。
【0047】
<清涼感の増強効果>
20歳代から30歳代の男性10名を被験者とし、室温が21~23℃、相対湿度が45~60%である試験室で試験を行った。
【0048】
各化粧料が適用される被験者の頸部の耳下部を濡れタオルで拭き、皮脂汚れ等を除去し、約10分間安静にした後、左右の頸部(耳下)にディスペンサー〔(株)吉野工業所製、品番:Y-150〕を用い、皮膚から10cm離れたところで化粧料を約0.3mL噴霧し、噴霧開始から1分後の清涼感を評価し、基準となる比較例(成分(B)非配合)に対する清涼感の増強効果を確認した。比較例1を実施例1~8および比較例2、3の基準、比較例6を実施例9~12の基準、比較例8を実施例13の基準とした。清涼感の増強効果が認められたものを「有」、増強効果が認められなかったものを「無」として表中に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
さらに、以下に、本実施形態に係る清涼化粧料組成物の処方例を示す。
【0053】
処方例1:ミスト剤型清涼化粧料
l-メントール 0.30質量%
l-メンチルグリセリルエーテル 0.10質量%
ビオサッカリドガム-1 0.05質量%
イソボルニルオキシエタノール 0.05質量%
ジプロピレングリコール 5.00質量%
PEG-32 0.50質量%
PEG-6 0.50質量%
ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン 0.05質量%
クエン酸Na 0.30質量%
クエン酸 0.10質量%
PEG-60水添ヒマシ油 0.08質量%
フェノキシエタノール 0.08質量%
香料 0.05質量%
エタノール 30.0質量%
水 残 部
合計 100.0質量%
【0054】
処方例2:ロールオン剤型清涼化粧料
l-メントール 0.10質量%
ビオサッカリドガム-4 0.05質量%
トリエチルヘキサノイン 1.50質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.50質量%
グリコシルトレハロース 0.05質量%
加水分解水添デンプン 0.03質量%
ポリクオタニウム-7 0.05質量%
異性化糖 0.20質量%
エタノール 60.0質量%
水 残 部
合計 100.0質量%
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の清涼化粧料組成物は、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感が増強された清涼化粧料組成物として有用である。本発明の清涼感の増強方法は、清涼成分の含有率を高めることなく、清涼感を増強させることができる方法として有用である。