(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
E04B 2/88 20060101AFI20250326BHJP
E06B 7/14 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
E04B2/88
E06B7/14
(21)【出願番号】P 2021095403
(22)【出願日】2021-06-07
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市東 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 永司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 英敏
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特公平07-065362(JP,B2)
【文献】特開2001-303703(JP,A)
【文献】特開2013-023907(JP,A)
【文献】実開昭57-171087(JP,U)
【文献】実開昭53-016312(JP,U)
【文献】実開昭59-063122(JP,U)
【文献】実開昭54-144726(JP,U)
【文献】実開昭55-022407(JP,U)
【文献】実開平03-068218(JP,U)
【文献】特開昭55-002119(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1481467(CN,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2021-0000235(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88-2/96
E06B 7/12-7/14
E06B 7/26
E06B 1/00-1/70
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、及び、一対の縦枠を有する枠体を備えたカーテンウォールユニットが左右方向に並べて設置されたカーテンウォールであって、
隣り合う前記カーテンウォールユニットの互いに対向する前記縦枠の室内側の下部に一方の前記縦枠から他方の前記縦枠に渡って設けられて、結露水を受ける水受け部品を備え、
前記水受け部品は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面から前記下枠まで延び、前記結露水を前記下枠まで誘導する誘導部
と、前記誘導部に形成され、前記縦枠及び前記下枠との間に上方に向かって開放された溝を形成してシーリング材が充填された凹部と、を有し、
前記誘導部は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面に沿って配置されて、前記結露水を前記下枠に向かって誘導する見付け誘導部を有するカーテンウォール。
【請求項2】
請求項1に記載されたカーテンウォールにおいて、
互いに対向する前記縦枠は、互いの間に室内側に向かって開放された目地空間を形成し、
前記水受け部品は、前記目地空間に配置されて互いに対向する前記縦枠の間で圧縮され、前記誘導部に接続して、前記結露水を前記誘導部まで誘導する目地圧縮部を有するカーテンウォール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたカーテンウォールにおいて、
前記誘導部は、前記縦枠の内周側の見込み面に沿って配置されて、前記結露水を前記下枠に向かって誘導する見込み誘導部を有するカーテンウォール。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたカーテンウォールにおいて、
前記水受け部品は、弾性変形可能な本体部と、固定具により前記枠体に固定される、前記本体部よりも硬質な固定部と、を有するカーテンウォール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたカーテンウォールにおいて、
前記水受け部品は、分割されて、隣り合う前記カーテンウォールユニットの前記枠体のそれぞれに固定されたカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールユニットが左右方向に並べて設置されたカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールの左右方向に隣り合うカーテンウォールユニットでは、それぞれの枠体の縦枠が左右に対向して配置されて、縦枠同士が組み合わされる。このようなカーテンウォールの室内側では、縦枠の表面に結露が生じて、結露水が縦枠の表面を流れ落ちることがある。結露水が枠体の下枠の上に流れ落ちたときには、カーテンウォール内で結露水を処理することができる。これに対し、縦枠の室内側の見付け面に生じた結露水は、例えば、内装材であるペリカバーに向かって縦枠の見付け面を流れ落ちる。
【0003】
ペリカバーと縦枠の見付け面の間にシーリング材を設けたときには、結露水は、縦枠の見付け面からペリカバーの上に流れて、ペリカバーの上に溜まる。しかしながら、この場合には、カーテンウォール内で結露水を処理できず、カーテンウォール外において結露水に対処する必要がある。また、カーテンウォールの施工現場で、不定形のシーリング材をペリカバーと縦枠の見付け面の間に塗布する必要があり、カーテンウォールの施工の手間が増加する。
【0004】
結露水の処理に関し、特許文献1に記載された従来のカーテンウォールにおける最下部結露流出装置は、方立の端面壁片に固定された結露受ブロックと、方立の長辺側壁体に固定されて結露受ブロックから無目まで延びる水滴流下板を備えている。結露水は、結露受ブロックの受水部で受けられて、水滴流下板の上を無目まで流れる。ただし、従来のカーテンウォールにおける最下部結露流出装置は、方立を無目で結合したカーテンウォールの方立の表面に生じる結露水を処理する装置であり、隣り合うカーテンウォールユニットの互いに対向する縦枠の表面に生じる結露水は処理できない。また、結露水を処理するために、結露受ブロックと水滴流下板を含む複数の部品が必要であり、各部品の設置にも手間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、カーテンウォールの室内側で、隣り合うカーテンウォールユニットの互いに対向する縦枠の表面に生じる結露水を簡便に下枠に排水して処理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上枠、下枠、及び、一対の縦枠を有する枠体を備えたカーテンウォールユニットが左右方向に並べて設置されたカーテンウォールであって、
隣り合う前記カーテンウォールユニットの互いに対向する前記縦枠の室内側の下部に一方の前記縦枠から他方の前記縦枠に渡って設けられて、結露水を受ける水受け部品を備え、
前記水受け部品は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面から前記下枠まで延び、前記結露水を前記下枠まで誘導する誘導部と、前記誘導部に形成され、前記縦枠及び前記下枠との間に上方に向かって開放された溝を形成してシーリング材が充填された凹部と、を有し、
前記誘導部は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面に沿って配置されて、前記結露水を前記下枠に向かって誘導する見付け誘導部を有するカーテンウォールである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カーテンウォールの室内側で、隣り合うカーテンウォールユニットの互いに対向する縦枠の表面に生じる結露水を簡便に下枠に排水して処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のカーテンウォールの正面図である。
【
図2】本実施形態のカーテンウォールの縦断面図である。
【
図3】本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
【
図4】
図3の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
【
図5】本実施形態の縦枠に取り付けられた水受け部品を示す図である。
【
図6】本実施形態の縦枠に取り付けられていない状態の水受け部品を示す図である。
【
図7】本実施形態の水受け部品を上方からみた斜視図である。
【
図8】本実施形態の水受け部品を下方からみた斜視図である。
【
図9】本実施形態のカーテンウォールの水受け部品を含む箇所を上方からみた斜視図である。
【
図10】本実施形態のカーテンウォールの水受け部品を含む箇所を下方からみた斜視図である。
【
図11】
図5のX3-X3線で切断した本実施形態のカーテンウォールの断面図である。
【
図12】
図5のX4-X4線で切断した本実施形態のカーテンウォールの断面図である。
【
図13】
図5のX5-X5線で切断した本実施形態のカーテンウォールの断面図である。
【
図14】
図5のX6-X6線で切断した本実施形態のカーテンウォールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカーテンウォールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーテンウォールは、複数のカーテンウォールユニットを備えた建物用のカーテンウォールである。カーテンウォール及びカーテンウォールユニットは、建物の外壁に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。複数のカーテンウォールユニットは、互いに組み合わされて、カーテンウォールの一部として、建物の壁面を形成する。
【0011】
図1は、本実施形態のカーテンウォール1の正面図であり、建物10の壁部11に設置されたカーテンウォール1を室外側からみて示している。
図2は、本実施形態のカーテンウォール1の縦断面図であり、
図1のX1-X1線で切断した建物10の一部とカーテンウォール1を示している。
図3は、本実施形態のカーテンウォール1の横断面図であり、
図2のX2-X2線で切断したカーテンウォール1を示している。
【0012】
図示のように、カーテンウォール1は、建物10の壁部11に並べて設置される複数のカーテンウォールユニット2と、カーテンウォールユニット2に取り付けられた化粧材3を備えている。カーテンウォールユニット2は、カーテンウォール1を構成するパネルユニットであり、壁部11への設置前に、予めユニットとして組み立てられる。カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2は、建物10の躯体12の室外側に配置され、躯体12に取り付けられて、建物10の壁部11の壁面(外壁面)を形成している。複数のカーテンウォールユニット2は、上下方向と左右方向Rに並べて設置されて、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2と互いに組み合わされている。
【0013】
なお、建物10に設けたカーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2を正面からみたときに(
図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向Rである。
図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向Rは水平方向である。室内外方向S(
図2、
図3参照)は、建物10に設けたカーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2における室内外方向(屋内外方向)である。このように、カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2に関する方向は、建物10に設けた状態での方向で特定する。また、カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2に関して室内側、室外側とは、建物10に設けた状態での室内側、室外側である。
【0014】
カーテンウォールユニット2は、パネル体2A、2Bと、パネル体2A、2Bを囲む枠体4を備えている。複数のカーテンウォールユニット2の枠体4は、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体4と互いに組み合わされている。枠体4は、開口部4Aを形成する方形状の開口枠であり、建物10の躯体12に取り付けられる。パネル体2A、2Bは、方形状のガラスパネル体(例えば、板ガラス、複層ガラス、又は、合わせガラス)であり、それぞれ枠体4の開口部4Aに配置されている。
【0015】
枠体4は、互いに組み合わされた4つの枠5~8(上枠5、下枠6、一対の縦枠7、8)と無目9を有している。上枠5と下枠6は、枠体4の上下の横枠であり、枠体4の上部と下部で左右方向R(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠7、8(第1縦枠7、第2縦枠8)は、枠体4の左右の側部に位置する側枠であり、枠体4の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠5、下枠6、及び、左右の縦枠7、8の端部同士が接続されて、枠5~8が枠組みされている。無目9は、上枠5と下枠6の間で左右方向Rに沿って延び、左右の縦枠7、8に接続されて、枠体4の開口部4Aを上下に区画している。パネル体2A、2Bは、それぞれ枠体4に嵌め込まれて、枠体4に保持されている。
【0016】
カーテンウォール1のカーテンウォールユニット2は、それぞれ上枠5、下枠6、及び、一対の縦枠7、8を有する枠体4を備えており、カーテンウォールユニット2及び枠体4は、建物10の壁部11で、左右方向Rに並べて設置されている。左右に並ぶ複数のカーテンウォールユニット2の室内側には、板状のペリカバー13が設けられている(
図2、
図3参照)。ペリカバー13は、枠体4の下部の室内側に位置する内装材であり、カーテンウォールユニット2から室内側に向かって突出している。また、ペリカバー13は、枠体4の下枠6及び縦枠7、8の室内側に配置されて、下枠6に沿って左右方向Rに延びる。
【0017】
複数のカーテンウォールユニット2は(
図3参照)、左右方向Rに対して互いに同じ方向に向けて傾けて配置されて、左右に隣接して配置される。カーテンウォールユニット2の左右方向Rに対する傾きに対応して、枠体4の上枠5及び下枠6は、左右方向Rに対して傾けて配置されている。建物10の壁面は、左右方向Rの断面において、左右方向Rに並ぶ複数のカーテンウォールユニット2により、凹凸形状(例えば、ジグザグ形状)に形成されている。
【0018】
図4は、
図3の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォール1の横断面図である。
図示のように、左右方向Rに隣り合う2つのカーテンウォールユニット2において、一方のカーテンウォールユニット2の第1縦枠7と他方のカーテンウォールユニット2の第2縦枠8は、左右方向Rにおいて互いに対向して、左右に隣接して配置されている。第1縦枠7は、枠体4の一対の縦枠7、8のうちの一方の縦枠であり、左右方向Rの一方側に位置している。第2縦枠8は、枠体4の一対の縦枠7、8のうちの他方の縦枠であり、左右方向Rの他方側に位置している。
【0019】
左右方向Rに隣り合う2つのカーテンウォールユニット2の互いに対向する縦枠7、8(第1縦枠7、第2縦枠8)の見込み方向(室内外方向S)の寸法は、互いに相違している。ここでは、互いに対向する縦枠7、8において、一方の縦枠7(第1縦枠7)の見込み方向の寸法は、他方の縦枠8(第2縦枠8)の見込み方向の寸法よりも小さい。また、2つのカーテンウォールユニット2が左右に隣り合う箇所で、一方のカーテンウォールユニット2の第1縦枠7は、左右方向Rにおいて、他方のカーテンウォールユニット2の第2縦枠8の室内側の部分と対向して配置されている。第2縦枠8は、第1縦枠7よりも室外側の位置まで突出して配置されている。
【0020】
カーテンウォールユニット2のそれぞれにおいて、下枠6の長手方向の一端部は、第1縦枠7と室内外方向Sの位置を合わせて配置されており、第1縦枠7の室内側端部から室外側端部までの部分に接続して、第1縦枠7に固定されている。これに対し、下枠6の長手方向の他端部は、第2縦枠8の見込み方向の室外側の部分に接続して、第2縦枠8に固定されている。そのため、2つのカーテンウォールユニット2が隣り合う箇所で、一方のカーテンウォールユニット2の第1縦枠7に接続する下枠6の一端部と他方のカーテンウォールユニット2の第2縦枠8に接続する下枠6の他端部は、室内外方向Sに位置をずらして配置されている。下枠6の一端部は、下枠6の他端部よりも室内側の位置に配置される。また、第1縦枠7は、下枠6の一端部から室内側に突出せずに配置され、第2縦枠8は、下枠6の他端部から室内側に突出して配置されている。
【0021】
縦枠7、8は、それぞれ、パネル体2A、2Bを保持する溝状の保持部7A、8Aと、保持部7A、8Aから室内側に向かって突出する見込み部7B、8Bと、見込み部7B、8Bの室内側の端部に接続する見付け部7C、8Cと、見付け部7C、8Cから室外側に向かって突出する対向部7D、8Dを有している。互いに対向する縦枠7、8において、第1縦枠7の保持部7Aは、第2縦枠8の保持部8Aよりも室内側の位置に配置される。
【0022】
縦枠7、8の見込み部7B、8Bは、縦枠7、8の内周側に位置する内周部であり、縦枠7、8の対向部7D、8Dは、縦枠7、8の外周側に位置する外周部である。縦枠7、8の内周側は、枠体4の内周側(枠体4の開口部4A側)であり、縦枠7、8の外周側は、枠体4の外周側(枠体4の開口部4Aの反対側)である。縦枠7、8の見付け部7C、8Cは、縦枠7、8の室内側に位置する室内側部であり、見込み部7B、8Bの室内側の端部と対向部7D、8Dの室内側の端部の間に形成されている。2つのカーテンウォールユニット2が隣り合う箇所で、互いに対向する縦枠7、8の見付け部7C、8Cは、左右方向Rに離隔して、互いの間に隙間をあけた状態で対向して配置されている。
【0023】
見込み部7B、8Bの見込み面7E、8Eは、縦枠7、8の内周側の表面であり、見込み部7B、8B及び見込み面7E、8Eは、縦枠7、8の見込み方向に沿って形成されている。見付け部7C、8Cの見付け面7F、8Fは、縦枠7、8の室内側の表面であり、見付け部7C、8C及び見付け面7F、8Fは、縦枠7、8の見付け方向(左右方向R)に沿って形成されている。見込み面7E、8Eは、縦枠7、8の内周側に位置する見付け面7F、8Fの端部から室外側に向かって形成されている。
【0024】
縦枠7、8の対向部7D、8Dは、縦枠7、8の外周側に位置する見付け面7F、8Fの端部に接続して、縦枠7、8の見込み方向に沿って形成されている。2つのカーテンウォールユニット2が隣り合う箇所で、互いに対向する縦枠7、8の対向部7D、8Dは、左右方向Rに離隔して、互いの間に隙間をあけた状態で対向して配置されている。隣り合うカーテンウォールユニット2の互いに対向する縦枠7、8は、それぞれの対向部7D、8Dにより、互いの間に目地空間Mを形成する。目地空間Mは、互いに対向する2つの縦枠7、8(対向部7D、8D)の間に位置する目地部の空間(空所)であり、室内側に向かって開放されている。
【0025】
第1縦枠7の見込み面7E(見込み部7B)は、下枠6の一端部から室内側に突出せずに、下枠6の一端部の上方に配置されている。第1縦枠7の見付け面7F(見付け部7C)は、下枠6の長手方向において、下枠6の室内側の縁部に連続して配置されている。これに対し、第2縦枠8の見込み面8E(見込み部8B)は、下枠6の他端部から室内側に突出して配置されている。第2縦枠8の見付け面8F(見付け部8C)は、下枠6の他端部から室内側に離隔して、下枠6の他端部よりも室内側の位置に配置されている。
【0026】
第2縦枠8では、見込み面8Eの室外側の部分は、下枠6の他端部の上方に配置され、見込み面8Eの室内側の部分は、下枠6の他端部よりも室内側の位置に配置されている。また、見込み面8Eの室内側の部分は、第1縦枠7の見込み面7Eに対して左右方向Rの一方側の位置に配置され、見込み面8Eの室外側の部分は、第1縦枠7の見込み面7Eよりも室外側の位置に配置されている。
【0027】
カーテンウォールユニット2は、パネル体2A、2Bの室内側で縦枠7、8を覆うカバー7G、8G(第1カバー7G、第2カバー8G)を備えている。第1カバー7Gは、第1縦枠7に取り付けられ、第2カバー8Gは、第2縦枠8に取り付けられている。カバー7G、8Gは、互いに対向する縦枠7、8に取り付けられた状態で、パネル体2A、2Bの室内側に配置されるとともに、下枠6よりも上側の位置に配置される。カバー7G、8Gは、縦枠7、8の見込み面7E、8E及び見付け面7F、8Fとの間に隙間をあけて配置されて、互いに対向する縦枠7、8を覆う。縦枠7、8は、カバー7G、8Gにより室内側において遮蔽される。
【0028】
ペリカバー13は、カバー7G、8Gとの間に隙間をあけた状態で、カバー7G、8Gの下部に沿って配置される。カーテンウォール1は、カバー7G、8G及びペリカバー13よりも下側に配置された水受け部品20(
図4では、鎖線で示す)を備えている。水受け部品20は、カーテンウォール1を室内側からみたときに、カバー7G、8G及びペリカバー13により遮蔽される。
【0029】
図5は、本実施形態の縦枠7、8に取り付けられた水受け部品20を示す図であり、
図4に示すペリカバー13とカバー7G、8Gを取り外したカーテンウォール1の横断面図の一部、及び、上方からみた水受け部品20の平面図を示している。
図6は、本実施形態の縦枠7、8に取り付けられていない状態の水受け部品20を示す図であり、
図5に示すカーテンウォール1の横断面図、及び、上方からみた水受け部品20の平面図を示している。
【0030】
図示のように、水受け部品20は、左右方向Rに隣り合う2つのカーテンウォールユニット2同士の互いに対向する2つの縦枠7、8の室内側の下部に設けられている。水受け部品20は、結露水を受ける水受け用の部品であり、パネル体2A、2Bよりも室内側に位置している。水受け部品20は、パネル体2A、2Bの室内側で、縦枠7、8の表面(外表面)に沿って配置されて、縦枠7、8の表面に生じた結露水を受ける。結露水は、縦枠7、8の表面に生じた結露の水であり、縦枠7、8の表面を流れ落ちる。
【0031】
第1縦枠7の見込み面7E、及び、第2縦枠8の見込み面8Eの室外側の部分では、流れ落ちた結露水は、下枠6により受けられる。これに対し、見付け面7F、8F、目地空間M内に位置する対向部7D、8D、及び、第2縦枠8の見込み面8Eの室内側の部分では、流れ落ちた結露水は、下枠6によっては受けられず、水受け部品20により受けられて下枠6に向かって誘導される。水受け部品20により、結露水は、下枠6まで誘導されて、下枠6に排水される。
【0032】
水受け部品20は、複数のビス30により、隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体4のそれぞれに固定されて、互いに対向する2つの縦枠7、8のそれぞれに取り付けられている。また、水受け部品20は、互いに対向する縦枠7、8のうちの一方の第1縦枠7から他方の第2縦枠8に渡って設けられて、縦枠7、8に装着されている。ビス30は、水受け部品20を枠体4に固定する固定具の一例である。第1縦枠7側では、水受け部品20は、ビス30により、見付け部7Cの見付け面7Fと下枠6の一端部に固定され、対向部7Dと見付け面7Fに装着されて、対向部7Dと見付け面7Fに沿って配置されている。第2縦枠8側では、水受け部品20は、ビス30により、見付け部8Cの見付け面8Fと見込み部8Bの見込み面8Eに固定され、対向部8D、見付け面8F、及び、見込み面8E(室内側の部分)に装着されて、対向部8D、見付け面8F、及び、見込み面8Eに沿って配置されている。
【0033】
図7は、本実施形態の水受け部品20を上方からみた斜視図であり、
図8は、本実施形態の水受け部品20を下方からみた斜視図である。
図7A、
図8Aは、水受け部品20の全体を示し、
図7B、
図8Bは、分解した水受け部品20を示している。
図5~
図8に示すように、水受け部品20は、複数(ここでは、2つ)に分割可能であり、分割されて、隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体4のそれぞれに固定されている。そのため、水受け部品20は、2つの分割部品21、22(第1分割部品21、第2分割部品22)からなる。第1分割部品21は、一方のカーテンウォールユニット2の枠体4に固定されて、第1縦枠7に装着される。第2分割部品22は、他方のカーテンウォールユニット2の枠体4に固定されて、第2縦枠8に装着される。第1分割部品21と第2分割部品22は、互いに当接して、1つの水受け部品20を構成する。
【0034】
水受け部品20(分割部品21、22)は、弾性変形可能な弾性体であり、水受け部品20の本体を構成する軟質な本体部23と、枠体4に固定される硬質な固定部24を有している。本体部23と固定部24は、分割部品21、22のそれぞれに設けられている。弾性変形可能な本体部23は、水受け部品20の固定部24以外の部分を構成している。分割部品21、22の互いに当接する部分は、本体部23の一部であり、分割部品21、22同士が当接した状態で弾性変形する。これにより、分割部品21、22が互いに密着する。
【0035】
固定部24は、水受け部品20の複数箇所に分散して設けられて、ビス30により枠体4に固定される。固定部24には、挿通孔25が形成されている。挿通孔25は、固定部24を貫通しており、固定部24は、挿通孔25を囲む環状に形成されている。ビス30は、例えば、トラスビスであり、挿通孔25を挿通して固定部24を貫通した状態で枠体4に取り付けられる。水受け部品20の固定部24は、ビス30の頭部と枠体4の間に挟み込まれて、枠体4に固定される。ビス30により、水受け部品20の分割部品21、22は、縦枠7、8の各部に密着した状態で固定される。
【0036】
水受け部品20の本体部23は、固定部24よりも軟質な軟質部であり、例えば、スポンジ状のシリコンゴム(シリコンスポンジ)によって形成されている。水受け部品20の固定部24は、本体部23よりも硬質な硬質部であり、例えば、ソリッド状の合成ゴム(ソリッドゴム)によって形成されている。本体部23は、固定部24よりも圧縮変形に対する剛性が低く、固定部24よりも変形し易い。固定部24は、本体部23よりも圧縮変形に対する剛性が高く、本体部23よりも変形し難い。本体部23と固定部24が一体成型されて、水受け部品20の分割部品21、22がそれぞれ形成される。
【0037】
水受け部品20は、結露水を下枠6まで誘導するL字形状の誘導部40と、目地空間Mで圧縮される目地圧縮部50と、誘導部40及び目地圧縮部50に形成された溝状の凹部41、51と、誘導部40に形成された水止め壁42を有している。誘導部40、目地圧縮部50、凹部41、51、及び、水止め壁42は、分割部品21、22のそれぞれに設けられている。
【0038】
誘導部40は、互いに対向する2つの縦枠7、8のそれぞれの室内側の見付け面7F、8Fから下枠6まで延び、結露水を受けて下枠6に向かって誘導する。水受け部品20は、誘導部40により、隣り合うカーテンウォールユニット2のそれぞれの下枠6に結露水を誘導して、下枠6のそれぞれに結露水を排水する。結露水は、誘導部40から下枠6の上面に排水され、カーテンウォール1内で処理される。
【0039】
誘導部40は、水受け部品20の上面を含む上面部であり、水平方向に対して傾斜して延びる。誘導部40は、結露水の誘導経路に沿って次第に下方に傾斜する水勾配を有し、下枠に向かって斜め下方に傾斜している。また、誘導部40は、少なくとも2つの縦枠7、8の見付け面7F、8Fに沿って配置される。第1縦枠7では、第1分割部品21の誘導部40は、見付け面7Fの室内側に位置して、見付け面7Fに沿って配置される。第2縦枠8では、第2分割部品22の誘導部40は、見付け面8Fの室内側及び見込み面8Eの第2縦枠8の内周側に位置して、見付け面8F及び見込み面8Eに沿って配置される。
【0040】
誘導部40の凹部41は、誘導部40の縦枠7、8(見付け面7F、8F、見込み面8E)側及び下枠6側に位置する縁部に形成され、縦枠7、8及び下枠6に沿って配置されて、縦枠7、8及び下枠6との間に、上方に向かって開放された凹状の溝を形成する。目地圧縮部50の凹部51は、目地圧縮部50の縦枠7、8(対向部7D、8D)側に位置する両縁部に形成され、縦枠7、8に沿って配置されて、縦枠7、8との間に、上方に向かって開放された凹状の溝を形成する。
【0041】
水受け部品20の分割部品21、22がそれぞれ縦枠7、8に装着された状態で(
図5参照)、誘導部40の凹部41及び目地圧縮部50の凹部51のそれぞれに、不定形のシーリング材31が充填される。凹部41、51は、シーリング材31により埋められる。また、シーリング材31により、水受け部品20の第1分割部品21が第1縦枠7と下枠6に接着され、水受け部品20の第2分割部品22が第2縦枠8と下枠6に接着される。シーリング材31は、誘導部40と縦枠7、8の間、誘導部40と下枠6の間、及び、目地圧縮部50と縦枠7、8の間のそれぞれの箇所をシールする。
【0042】
誘導部40の水止め壁42は、上方に突出する突片であり、縦枠7、8(見付け面7F、8F、見込み面8E)から離隔して配置されている。水止め壁42は、縦枠7、8との間に、上方に向かって開放されて、結露水を下枠6に向かって誘導する凹状の誘導溝43を形成する。結露水は、誘導溝43内に入り、縦枠7、8と水止め壁42の間の誘導溝43内を下枠6に向かって流れる。その際、水止め壁42により、誘導溝43からの結露水の流出が防止される。
【0043】
誘導部40は、縦枠7、8の見付け面7F、8Fに生じる結露水を下枠6に向かって誘導する見付け誘導部44と、第2縦枠8の見込み面8Eに生じる結露水を下枠6に向かって誘導する見込み誘導部45を有している。見付け誘導部44は、分割部品21、22のそれぞれに設けられ、見込み誘導部45は、第2分割部品22にのみ設けられている。第1分割部品21の見付け誘導部44と第2分割部品22の見付け誘導部44は、互いに当接して密着し、縦枠7、8の見付け方向に連続して、水受け部品20の1つの見付け誘導部44を構成する。
【0044】
第1分割部品21の見付け誘導部44は、第1縦枠7の見付け面7Fに沿って配置されて、第1縦枠7に接続する下枠6まで延びる。第2分割部品22の見付け誘導部44は、第2縦枠8の見付け面8Fに沿って配置されて、第1分割部品21の見付け誘導部44及び第2分割部品22の見込み誘導部45に連続する。その結果、水受け部品20の見付け誘導部44は、互いに対向する2つの縦枠7、8の室内側の見付け面7F、8Fに沿って配置されて、縦枠7、8の見付け方向に沿って下枠6まで延びる。
【0045】
第2分割部品22の見込み誘導部45は、第2分割部品22の見付け誘導部44から室外側に向かって突出して、第2縦枠8の見込み方向に沿って延びる。見込み誘導部45は、下枠6よりも室内側に位置する第2縦枠8の内周側の見込み面8Eに沿って配置されて、見付け誘導部44から第2縦枠8に接続する下枠6まで延びる。
【0046】
目地圧縮部50は、誘導部40の見付け誘導部44の室外側に位置する弾性変形可能な突出部であり、見付け誘導部44から室外側に向かって突出して、目地空間Mに配置されている。また、目地圧縮部50は、互いに対向する縦枠7、8の目地空間M内に位置する部分(ここでは、対向部7D、8D)の間に配置されて、目地空間M内に収容される。目地圧縮部50は、縦枠7、8の対向部7D、8Dに沿って配置されて、室内側に位置する誘導部40の見付け誘導部44に接続する。目地圧縮部50は、縦枠7、8の対向部7D、8Dに生じる結露水を受けて、結露水を誘導部40の見付け誘導部44に向かって誘導する。
【0047】
第1分割部品21の目地圧縮部50は、第1縦枠7の対向部7Dに沿って配置されて、第1分割部品21の誘導部40の見付け誘導部44に接続する。第2分割部品22の目地圧縮部50は、第2縦枠8の対向部8Dに沿って配置されて、第2分割部品22の誘導部40の見付け誘導部44に接続する。第1分割部品21の目地圧縮部50と第2分割部品22の目地圧縮部50は、互いに当接して密着し、水受け部品20の1つの目地圧縮部50を構成する。
【0048】
水受け部品20の目地圧縮部50の厚み寸法は、目地圧縮部50の厚み方向における目地空間Mの寸法(縦枠7、8の対向部7D、8Dの間隔)よりも大きい。そのため、目地圧縮部50は、目地空間M内に配置された状態で、互いに対向する縦枠7、8の対向部7D、8Dの間で圧縮されて、縦枠7、8の対向部7D、8Dのそれぞれに密着する。また、圧縮に伴い、第1分割部品21の目地圧縮部50と第2分割部品22の目地圧縮部50が隙間なく互いに密着する。
【0049】
図9は、本実施形態のカーテンウォール1の水受け部品20を含む箇所を上方からみた斜視図であり、
図10は、本実施形態のカーテンウォール1の水受け部品20を含む箇所を下方からみた斜視図である。
図9A、
図9Bは、互いに異なる方向からみたカーテンウォール1を示し、
図10A、
図10Bは、互いに異なる方向からみたカーテンウォール1を示している。
【0050】
図示のように、カーテンウォールユニット2を建物10の壁部11に設置する前(例えば、カーテンウォールユニット2の組立時)に、水受け部品20の分割部品21、22をカーテンウォールユニット2の縦枠7、8のそれぞれに装着する。その状態で、複数のカーテンウォールユニット2を建物10の壁部11に設置して、隣り合うカーテンウォールユニット2同士を組み合わせる。これに伴い、左右方向Rに隣り合うカーテンウォールユニット2の第1分割部品21と第2分割部品22が互いに当接して、第1分割部品21と第2分割部品22からなる水受け部品20が縦枠7、8の室内側の下部に設けられる。
【0051】
下枠6の室内側の部分には壁部6Aが形成されている。壁部6Aは、下枠6の上面部で上方に突出して、下枠6の長手方向に延びる。結露水は、水受け部品20により、下枠6の壁部6Aよりも室外側(パネル体2B側)の箇所に向かって排水される。壁部6Aにより、下枠6から室内側への結露水の流出が防止される。
【0052】
図11は、
図5のX3-X3線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の断面図である。
図12は、
図5のX4-X4線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の断面図である。
図示のように、下枠6の水受け部品20と接続する箇所では、壁部6Aが除去されて、結露水の受入部6Bが下枠6の壁部6Aに形成されている。水受け部品20は、下枠6の受入部6Bに接続し、結露水を下枠6の受入部6Bまで誘導して、下枠6の受入部6Bに結露水を排水する。下枠6は、受入部6Bで結露水を受け入れて、結露水を処理する。
【0053】
誘導部40の見付け誘導部44は、互いに対向する2つの縦枠7、8の見付け面7F、8Fに配置されて、水平方向に対して傾斜した状態で見付け面7F、8Fに沿って延びる。見付け誘導部44は、下枠6(受入部6B)に向かって結露水を誘導する水勾配を有し、下枠6に向かって次第に下方に傾斜する。結露水は、見付け誘導部44により、縦枠7、8の見付け面7F、8Fから下枠6に向かって誘導されて、下枠6に排水される。
【0054】
図13は、
図5のX5-X5線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の断面図である。
図示のように、水受け部品20の目地圧縮部50は、互いに対向する縦枠7、8の対向部7D、8Dに配置されて、水平方向に対して傾斜した状態で縦枠7、8の対向部7D、8Dに沿って延びる。目地圧縮部50は、水受け部品20の誘導部40(ここでは、見付け誘導部44)に向かって結露水を誘導する水勾配を有し、室外側から室内側の誘導部40に向かって次第に下方に傾斜する。結露水は、目地圧縮部50により、目地空間Mから誘導部40まで誘導されて、誘導部40まで流れる。
【0055】
図14は、
図5のX6-X6線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の断面図である。
図示のように、誘導部40の見込み誘導部45は、第2縦枠8の見込み面8Eに配置されて、水平方向に対して傾斜した状態で見込み面8Eに沿って延びる。見込み誘導部45は、下枠6(受入部6B)に向かって結露水を誘導する水勾配を有し、下枠6に向かって次第に下方に傾斜する。結露水は、見込み誘導部45により、第2縦枠8の見込み面8Eから下枠6に向かって誘導されて、下枠6に排水される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のカーテンウォール1では、カーテンウォール1の室内側で、水受け部品20により、隣り合うカーテンウォールユニット2の互いに対向する縦枠7、8の表面に生じる結露水を簡便に下枠6に排水して処理することができる。また、結露水が縦枠8の表面からペリカバー13の上に流れて、ペリカバー13の上に結露水が溜まるのを防止することができる。
【0057】
水受け部品20の目地圧縮部50は、圧縮された状態で目地空間Mに配置される。そのため、目地圧縮部50を2つの縦枠7、8の間の目地空間Mに確実に配置でき、目地圧縮部50により、目地空間Mの縦枠7、8の表面に生じる結露水を確実に受けることができる。また、目地圧縮部50により、結露水を目地空間Mから排水して、目地空間Mから下方に向かう結露水の落下を抑制することができる。圧縮に伴い、シーリング材を塗布しなくても、第1分割部品21の目地圧縮部50と第2分割部品22の目地圧縮部50を確実に密着させることもできる。
【0058】
水受け部品20の見付け誘導部44により、縦枠7、8の見付け面7F、8Fに生じる結露水を受けて下枠6に向かって排水することができる。また、水受け部品20の見込み誘導部45により、第2縦枠8の見込み面8Eに生じる結露水を受けて下枠6に向かって排水することができる。
【0059】
水受け部品20の本体部23が弾性変形することで、カーテンウォール1の熱伸縮及び層間変位に追従可能であり、水受け部品20の機能を安定して発揮させることができる。水受け部品20の固定部24が本体部23よりも硬質であり、固定具であるビス30による締め付けによる固定部24の潰れ、及び、水受け部品20の変形を抑制することができる。水受け部品20の分割部品21、22をゴムの一体成型品にすることで、複雑な形状の水受け部品20を容易に形成でき、水受け部品20の品質を安定させることができる。
【0060】
分割された水受け部品20の分割部品21、22をカーテンウォールユニット2のそれぞれに予め取り付けておくことができ、カーテンウォール1の施工の手間を軽減することができる。また、カーテンウォール1の施工現場で、シーリング材31を水受け部品20の凹部41、51に充填する必要がなく、カーテンウォール1の施工効率を向上させることができる。
【0061】
なお、カーテンウォールユニット2を建物10の壁部11に設置した後に、水受け部品20の分割部品21、22をカーテンウォールユニット2に取り付けてもよい。また、水受け部品20は、2つの分割部品21、22に分割せず、全体を一体成型した1つの部品であってもよい。この場合には、カーテンウォールユニット2を建物10の壁部11に設置した後に、水受け部品20を互いに対向する縦枠7、8の室内側の下部に設ける。これに対し、水受け部品20は、3つ以上の分割部品に分割して、隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体4のそれぞれに固定してもよい。この場合には、2つの分割部品21、22のいずれか一方又は両方が複数に分割される。
【0062】
カーテンウォールユニット2の形状は、特に限定されない。そのため、カーテンウォールユニット2は、左右方向Rの断面において、フラット形状に形成されたカーテンウォールユニットであってもよい。カーテンウォールユニット2の枠体4の形状に対応して、例えば、水受け部品20の分割部品21、22の両方に見込み誘導部45を設けてもよく、水受け部品20の分割部品21、22の両方に見込み誘導部45を設けなくてもよい。また、水受け部品20の見付け誘導部44により、隣り合うカーテンウォールユニット2のうちのいずれか一方のカーテンウォールユニット2の下枠6に向かって結露水を誘導してもよく、両方のカーテンウォールユニット2の下枠6に向かって結露水を誘導してもよい。
【0063】
以上のとおり、カーテンウォールは、上枠、下枠、及び、一対の縦枠を有する枠体を備えたカーテンウォールユニットが左右方向に並べて設置されたカーテンウォールであって、
隣り合う前記カーテンウォールユニットの互いに対向する前記縦枠の室内側の下部に一方の前記縦枠から他方の前記縦枠に渡って設けられて、結露水を受ける水受け部品を備え、
前記水受け部品は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面から前記下枠まで延び、前記結露水を前記下枠まで誘導する誘導部を有するカーテンウォールである。
従って、カーテンウォールの室内側で、隣り合うカーテンウォールユニットの互いに対向する縦枠の表面に生じる結露水を簡便に下枠に排水して処理することができる。
【0064】
互いに対向する前記縦枠は、互いの間に室内側に向かって開放された目地空間を形成し、
前記水受け部品は、前記目地空間に配置されて互いに対向する前記縦枠の間で圧縮され、前記誘導部に接続して、前記結露水を前記誘導部まで誘導する目地圧縮部を有する。
従って、水受け部品の目地圧縮部を2つの縦枠の間の目地空間に確実に配置でき、目地圧縮部により、目地空間の縦枠の表面に生じる結露水を確実に受けることができる。また、目地圧縮部により、結露水を目地空間から排水して、目地空間から下方に向かう結露水の落下を抑制することができる。
【0065】
前記誘導部は、互いに対向する前記縦枠の室内側の見付け面に沿って配置されて、前記結露水を前記下枠に向かって誘導する見付け誘導部を有する。
見付け誘導部により、縦枠の見付け面に生じる結露水を受けて下枠に向かって排水することができる。
【0066】
前記誘導部は、前記縦枠の内周側の見込み面に沿って配置されて、前記結露水を前記下枠に向かって誘導する見込み誘導部を有する。
見込み誘導部により、縦枠の見込み面に生じる結露水を受けて下枠に向かって排水することができる。
【0067】
前記水受け部品は、弾性変形可能な本体部と、固定具により前記枠体に固定される、前記本体部よりも硬質な固定部と、を有する。
水受け部品の本体部が弾性変形することで、カーテンウォールの熱伸縮及び層間変位に追従可能であり、水受け部品の機能を安定して発揮させることができる。また、固定具による締め付けによる水受け部品の固定部の潰れ、及び、水受け部品の変形を抑制することができる。
【0068】
前記水受け部品は、分割されて、隣り合う前記カーテンウォールユニットの前記枠体のそれぞれに固定される。
分割された水受け部品をカーテンウォールユニットのそれぞれに予め取り付けておくことができ、カーテンウォールの施工の手間を軽減することができる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・カーテンウォール、2・・・カーテンウォールユニット、2A・・・パネル体、2B・・・パネル体、3・・・化粧材、4・・・枠体、4A・・・開口部、5・・・上枠、6・・・下枠、6A・・・壁部、6B・・・受入部、7・・・第1縦枠、7A・・・保持部、7B・・・見込み部、7C・・・見付け部、7D・・・対向部、7E・・・見込み面、7F・・・見付け面、7G・・・第1カバー、8・・・第2縦枠、8A・・・保持部、8B・・・見込み部、8C・・・見付け部、8D・・・対向部、8E・・・見込み面、8F・・・見付け面、8G・・・第2カバー、9・・・無目、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・躯体、13・・・ペリカバー、20・・・水受け部品、21・・・第1分割部品、22・・・第2分割部品、23・・・本体部、24・・・固定部、25・・・挿通孔、30・・・ビス、31・・・シーリング材、40・・・誘導部、41・・・凹部、42・・・水止め壁、43・・・誘導溝、44・・・見付け誘導部、45・・・見込み誘導部、50・・・目地圧縮部、51・・・凹部、M・・・目地空間、R・・・左右方向、S・・・室内外方向。