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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20250326BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W40/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023529151
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 IB2022055871
(87)【国際公開番号】W WO2022269553
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2021105860
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/022968(WO,A1)
【文献】特開2017-193324(JP,A)
【文献】特開2020-175690(JP,A)
【文献】特開2015-214321(JP,A)
【文献】特開2018-154273(JP,A)
【文献】特開2020-147178(JP,A)
【文献】特開2003-58999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両(100)の挙動を制御する制御装置(60)であって、
前記鞍乗り型車両(100)と目標車両との車間距離を前記鞍乗り型車両(100)の周囲環境情報に基づいて制御する車間距離制御を実行する制御部(62)を備え、
前記制御部(62)は、
前記鞍乗り型車両(100)のライダーが操作部(2R)を基準状態から前記基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、前記車間距離制御を開始し、
前記車間距離制御の実行中において、前記ライダーが前記操作部(2R)を前記基準状態に戻すための第2操作に応じて、前記車間距離制御を終了
前記操作部(2R)は、少なくとも前記車間距離制御が解除されている状態において、前記ライダーによって第1方向に回動されると前記鞍乗り型車両(100)に生じる駆動力が増加し、前記ライダーによって前記第1方向と逆方向の第2方向に回動されると前記駆動力が減少するアクセルグリップ(2R)であり、
前記第1操作は、前記基準状態から前記アクセルグリップ(2R)を前記第2方向に回動させる操作であり、
前記第2操作は、前記アクセルグリップ(2R)を、前記第1方向に回動させて前記基準状態に戻すための操作である、
制御装置。
【請求項2】
前記操作部(2R)は、無負荷状態で前記基準状態に戻る構造を含み、
前記第2操作は、前記ライダーが前記第1操作を解除して前記操作部(2R)を前記無負荷状態にする操作である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基準状態は、前記アクセルグリップ(2R)の回動位置が、前記車間距離制御が解除されている状態において前記鞍乗り型車両(100)に生じる前記駆動力が最小となる位置にある状態である、
請求項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に基づいて前記鞍乗り型車両(100)の減速度を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に加えて、前記鞍乗り型車両(100)の車速に基づいて、前記減速度を制御する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御における前輪(3)と後輪(4)との制動力の配分を決定する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に基づいて前記鞍乗り型車両(100)の加速度を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に加えて、車輪(3、4)に生じているスリップ度に基づいて、前記車間距離を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に加えて、前記鞍乗り型車両(100)に搭載された慣性計測装置(44)の検出結果に基づいて、前記車間距離を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に加えて、前記第1操作の状態量に基づいて、前記車間距離を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部(62)は、前記車間距離制御において、前記周囲環境情報に加えて、前記鞍乗り型車両(100)の前記操作部(2R)以外の操作部(11、13)の状態量に基づいて、前記車間距離を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
鞍乗り型車両(100)の挙動の制御方法であって、
前記鞍乗り型車両(100)と目標車両との車間距離を前記鞍乗り型車両(100)の周囲環境情報に基づいて制御する車間距離制御を実行する制御装置(60)の制御部(62)が、
前記鞍乗り型車両(100)のライダーが操作部(2R)を基準状態から前記基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、前記車間距離制御を開始し、
前記車間距離制御の実行中において、前記ライダーが前記操作部(2R)を前記基準状態に戻すための第2操作に応じて、前記車間距離制御を終了
前記操作部(2R)は、少なくとも前記車間距離制御が解除されている状態において、前記ライダーによって第1方向に回動されると前記鞍乗り型車両(100)に生じる駆動力が増加し、前記ライダーによって前記第1方向と逆方向の第2方向に回動されると前記駆動力が減少するアクセルグリップ(2R)であり、
前記第1操作は、前記基準状態から前記アクセルグリップ(2R)を前記第2方向に回動させる操作であり、
前記第2操作は、前記アクセルグリップ(2R)を、前記第1方向に回動させて前記基準状態に戻すための操作である、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、鞍乗り型車両の安全性を適切に向上させることができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗り型車両に関する従来の技術として、安全性を向上させるためのものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのドライバへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の安全性を向上させるための技術として、車両と目標車両との車間距離を制御する車間距離制御がある。ここで、鞍乗り型車両においても、安全性を向上させるために、車間距離制御が利用されることが考えられる。この場合において、車間距離制御によって鞍乗り型車両の安全性を適切に向上させることが望ましい。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗り型車両の安全性を適切に向上させることができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置は、鞍乗り型車両の挙動を制御する制御装置であって、前記鞍乗り型車両と目標車両との車間距離を前記鞍乗り型車両の周囲環境情報に基づいて制御する車間距離制御を実行する制御部を備え、前記制御部は、前記鞍乗り型車両のライダーが操作部を基準状態から前記基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、前記車間距離制御を開始し、前記車間距離制御の実行中において、前記ライダーが前記操作部を前記基準状態に戻すための第2操作に応じて、前記車間距離制御を終了する。
【0008】
本発明に係る制御方法は、鞍乗り型車両の挙動の制御方法であって、前記鞍乗り型車両と目標車両との車間距離を前記鞍乗り型車両の周囲環境情報に基づいて制御する車間距離制御を実行する制御装置の制御部が、前記鞍乗り型車両のライダーが操作部を基準状態から前記基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、前記車間距離制御を開始し、前記車間距離制御の実行中において、前記ライダーが前記操作部を前記基準状態に戻すための第2操作に応じて、前記車間距離制御を終了する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、鞍乗り型車両と目標車両との車間距離を鞍乗り型車両の周囲環境情報に基づいて制御する車間距離制御を実行する制御装置の制御部が、鞍乗り型車両のライダーが操作部を基準状態から基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、車間距離制御を開始し、車間距離制御の実行中において、ライダーが操作部を基準状態に戻すための第2操作に応じて、車間距離制御を終了する。それにより、ライダーの意図に即して車間距離制御を実行することができる。ゆえに、鞍乗り型車両の安全性を適切に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るブレーキシステムの概略構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るハンドル及びその周囲の概略構成を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るアクセルグリップの回動方向を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る制御装置が行う車間距離制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。
【0012】
なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが(図1中の鞍乗り型車両100を参照)、本発明に係る制御装置の制御対象となる車両は、鞍乗り型車両であればよく、二輪のモータサイクル以外の他の鞍乗り型車両であってもよい。鞍乗り型車両は、ライダーが跨って乗車する車両を意味する。鞍乗り型車両には、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、自転車、バギー等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを動力源とする車両、電気モータを動力源とする車両等が含まれる。モータサイクルには、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な車両を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0013】
また、以下では、車輪を駆動するための動力を出力可能な駆動源としてエンジン(具体的には、後述される図1中のエンジン5)が搭載されている場合を説明しているが、駆動源としてエンジン以外の他の駆動源(例えば、電気モータ)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0014】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0015】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0016】
<鞍乗り型車両の構成>
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両100の構成について説明する。
【0017】
図1は、鞍乗り型車両100の概略構成を示す模式図である。図2は、ブレーキシステム10の概略構成を示す模式図である。
【0018】
鞍乗り型車両100は、本発明に係る鞍乗り型車両の一例に相当する二輪のモータサイクルである。鞍乗り型車両100は、図1及び図2に示されるように、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4と、エンジン5と、ブレーキシステム10と、周囲環境センサ41と、前輪車輪速センサ42と、後輪車輪速センサ43と、慣性計測装置44とを備える。本実施形態では、制御装置(ECU)60が、後述されるブレーキシステム10の液圧制御ユニット50に設けられている。
【0019】
エンジン5は、鞍乗り型車両100の駆動源の一例に相当し、車輪(具体的には、後輪4)を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン5には、内部に燃焼室が形成される1又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン5の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0020】
ブレーキシステム10は、図1及び図2に示されるように、第1ブレーキ操作部11と、少なくとも第1ブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、第2ブレーキ操作部13と、少なくとも第2ブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14とを備える。また、ブレーキシステム10は、液圧制御ユニット50を備え、前輪制動機構12の一部、及び、後輪制動機構14の一部は、当該液圧制御ユニット50に含まれる。液圧制御ユニット50は、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力、及び、後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。
【0021】
第1ブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、ライダーの手によって操作される。第1ブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。第2ブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、ライダーの足によって操作される。第2ブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
【0022】
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路25と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路26と、マスタシリンダ21のブレーキ液を副流路26に供給する供給流路27とを備える。
【0023】
主流路25には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路26は、主流路25のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間をバイパスする。副流路26には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが設けられている。主流路25のうちの、マスタシリンダ21側の端部と、副流路26の下流側端部が接続される箇所との間には、第1弁(USV)35が設けられている。供給流路27は、マスタシリンダ21と、副流路26のうちのポンプ34の吸込側との間を連通させる。供給流路27には、第2弁(HSV)36が設けられている。
【0024】
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
【0025】
液圧制御ユニット50は、込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36を含むブレーキ液圧を制御するためのコンポーネントと、それらのコンポーネントが設けられ、主流路25、副流路26及び供給流路27を構成するための流路が内部に形成されている基体51と、制御装置60とを含む。
【0026】
なお、基体51は、1つの部材によって形成されていてもよく、複数の部材によって形成されていてもよい。また、基体51が複数の部材によって形成されている場合、各コンポーネントは、異なる部材に分かれて設けられていてもよい。
【0027】
液圧制御ユニット50の上記のコンポーネントの動作は、制御装置60によって制御される。それにより、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力、及び、後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力が制御される。
【0028】
例えば、通常時、つまり、後述される車間距離制御が実行されていない時には、制御装置60によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。その状態で、第1ブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3に制動力が生じる。また、第2ブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4に制動力が生じる。
【0029】
周囲環境センサ41は、鞍乗り型車両100の周囲の環境に関する周囲環境情報を検出する。例えば、周囲環境センサ41は、鞍乗り型車両100の胴体の前部に設けられており、鞍乗り型車両100の前方の周囲環境情報を検出する。周囲環境センサ41により検出された周囲環境情報は、制御装置60に出力される。
【0030】
周囲環境センサ41により検出される周囲環境情報は、鞍乗り型車両100の周辺に位置する被検体までの距離又は方位に関連する情報(例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度等)であってもよく、また、鞍乗り型車両100の周辺に位置する被検体の特徴(例えば、被検体の種別、被検体自体の形状、被検体に付されているマーク等)であってもよい。周囲環境センサ41は、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。
【0031】
なお、周囲環境情報は、他車両に搭載される周囲環境センサ、又は、インフラストラクチャ設備によっても検出され得る。つまり、制御装置60は、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して、周囲環境情報を取得することもできる。
【0032】
前輪車輪速センサ42は、前輪3の車輪速(例えば、前輪3の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ42が、前輪3の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ42は、前輪3に設けられている。
【0033】
後輪車輪速センサ43は、後輪4の車輪速(例えば、後輪4の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ43が、後輪4の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ43は、後輪4に設けられている。
【0034】
慣性計測装置44は、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサを備えており、鞍乗り型車両100の姿勢を検出する。慣性計測装置44は、例えば、鞍乗り型車両100の胴体に設けられている。例えば、慣性計測装置44は、鞍乗り型車両100のリーン角を検出し、検出結果を出力する。慣性計測装置44が、鞍乗り型車両100のリーン角に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。リーン角は、鉛直上方向に対する鞍乗り型車両100の車体(具体的には、胴体1)のロール方向の傾きを表す角度に相当する。慣性計測装置44が、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサの一部のみを備えていてもよい。
【0035】
ここで、図3及び図4を参照して、ハンドル2及びその周囲の構成について、より詳細に説明する。図3は、ハンドル2及びその周囲の概略構成を示す模式図である。具体的には、図3は、鞍乗り型車両100の胴体1の上前部を鉛直上方から見た図である。
【0036】
図3に示されるように、ハンドル2は、右グリップ2Rと、左グリップ2Lとを含む。ハンドル2は、車幅方向に延びている。右グリップ2Rは、ハンドル2の右端部に形成され、走行時にライダーの右手により把持される。左グリップ2Lは、ハンドル2の左端部に形成され、走行時にライダーの左手により把持される。特に、右グリップ2Rは、ライダーによるアクセル操作(つまり、鞍乗り型車両100を加速させる操作)において用いられるアクセルグリップである。アクセルグリップを回動させる操作がアクセル操作に相当する。以下、右グリップ2Rをアクセルグリップ2Rとも呼ぶ。
【0037】
右グリップ(アクセルグリップ)2Rの近傍には、第1ブレーキ操作部11が設けられている。ライダーは、右手で第1ブレーキ操作部11を握ることができる。第1ブレーキ操作部11を握る操作がブレーキ操作(つまり、鞍乗り型車両100を減速させる操作)に相当する。なお、上述した第2ブレーキ操作部13を踏み込む操作もブレーキ操作に相当する。また、左グリップ2Lの近傍には、クラッチ操作部15が設けられている。クラッチ操作部15は、例えば、クラッチレバーである。ライダーは、左手でクラッチ操作部15を握ることができる。クラッチ操作部15を握る操作がクラッチ操作(つまり、エンジン5から駆動輪への動力の伝達を断接するクラッチを開放させる操作)に相当する。
【0038】
また、図3に示されるように、鞍乗り型車両100には、表示装置70が搭載される。表示装置70は、各種情報を視覚的に表示する装置である。例えば、表示装置70は、車速を示すオブジェクトや燃料残量を示すオブジェクト等を表示してもよい。図3に示される例では、表示装置70は、鞍乗り型車両100におけるハンドル2の前方に設けられている。
【0039】
ここで、図4を参照して、ハンドル2のアクセルグリップ2Rについて、より詳細に説明する。図4は、アクセルグリップ2Rの回動方向を示す模式図である。具体的には、図4は、アクセルグリップ2Rを図3中の矢印Aの方向に見た図(つまり、アクセルグリップ2Rの軸方向に沿って車両右側から見た図)である。
【0040】
アクセルグリップ2Rは、後述される車間距離制御を実行させるためのライダーによる操作で用いられる本発明に係る操作部の一例に相当する。
【0041】
具体的には、アクセルグリップ2Rは、円筒状又は円柱状であり、当該アクセルグリップ2Rの中心軸周りに回動可能となっている。アクセルグリップ2Rは、無負荷状態(つまり、外部からアクセルグリップ2Rへの荷重入力がない状態)で、アクセルグリップ2Rの回動位置が基準位置P0に戻る構造を含む。このような構造は、例えば、バネ等の復元力を利用することによって実現され得る。この場合、アクセルグリップ2Rには、車両右側から見て反時計回りの方向である第1方向D1にも、車両右側から見て時計回りの方向である第2方向D2にも、アクセルグリップ2Rの回動位置を基準位置P0に戻す付勢力が作用し得る。後述される車間距離制御が解除されている状態において、アクセルグリップ2Rの回動位置が基準位置P0となっている場合、鞍乗り型車両100に生じる駆動力が最小となる。アクセルグリップ2Rの回動位置が基準位置P0にある状態が、アクセルグリップ2Rの基準状態である。
【0042】
また、後述される車間距離制御が解除されている状態では、アクセルグリップ2Rを基準位置P0から第1方向D1に回動させることによって、鞍乗り型車両100に駆動力を生じさせることができる。ここで、鞍乗り型車両100に生じる駆動力は、アクセルグリップ2Rの回動位置の基準位置P0に対する相対角度が大きいほど大きくなる。例えば、アクセルグリップ2Rの回動位置が図4中の位置P1(具体的には、基準位置P0から第1方向D1に角度θ1だけ回動した位置)となっている場合、角度θ1に応じた駆動力が鞍乗り型車両100に生じる。
【0043】
後述される車間距離制御が解除されている状態では、鞍乗り型車両100に駆動力が生じている状態(具体的には、アクセルグリップ2Rの回動位置が基準位置P0に対して第1方向D1側となっている状態)において、ライダーによってアクセルグリップ2Rが第1方向D1に回動されると駆動力が増加し、ライダーによってアクセルグリップ2Rが第1方向D1と逆方向の第2方向D2に回動されると駆動力が減少する。
【0044】
制御装置60は、鞍乗り型車両100の挙動を制御する。例えば、制御装置60の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置60の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置60は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0045】
図5は、制御装置60の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置60は、図5に示されるように、例えば、取得部61と、制御部62とを備える。
【0046】
取得部61は、鞍乗り型車両100に搭載されている各装置から出力される情報を取得し、制御部62へ出力する。例えば、取得部61は、周囲環境センサ41、前輪車輪速センサ42、後輪車輪速センサ43及び慣性計測装置44から出力される各種検出結果を示す情報を取得する。また、例えば、取得部61は、アクセルグリップ2R、第1ブレーキ操作部11、第2ブレーキ操作部13及びクラッチ操作部15により受け付けられた各種操作の操作量を示す情報を、これらの各操作部から取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0047】
制御部62は、例えば、駆動制御部62aと、制動制御部62bとを含む。
【0048】
駆動制御部62aは、車輪に伝達される駆動力を制御する。具体的には、駆動制御部62aは、エンジン5の各装置(スロットル弁、燃料噴射弁及び点火プラグ等)の動作を制御するための信号を出力するエンジン制御装置(図示省略)に指令を出力することによって、エンジン5の動作を制御する。それにより、エンジン5から車輪に伝達される駆動力が制御され、鞍乗り型車両100の加速度が制御される。なお、駆動制御部62aは、エンジン5の各装置の動作を制御するための信号を出力し、エンジン5の各装置の動作を直接的に制御してもよい。
【0049】
制動制御部62bは、ブレーキシステム10の液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御することによって、鞍乗り型車両100の車輪に生じる制動力を制御する。例えば、制動制御部62bは、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増加させて車輪の制動力を自動で増大させることができる。それにより、鞍乗り型車両100の減速度が制御される。なお、制動制御部62bは、前輪制動機構12及び後輪制動機構14の各々の動作を個別に制御することによって、前輪3の制動力と後輪4の制動力とを個別に制御することができる。
【0050】
上記のように、制御部62は、鞍乗り型車両100に搭載されている各装置の動作を制御することによって、鞍乗り型車両100の加速度及び減速度を制御することができる。
【0051】
ここで、制御部62は、車間距離制御を実行することができる。車間距離制御では、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離が、鞍乗り型車両100の周囲環境情報に基づいて制御される。なお、車間距離は、車線(具体的には、鞍乗り型車両100の走行レーン)に沿う方向の距離を意味してもよく、直線距離を意味してもよい。また、車間距離制御は、車間距離自体を制御対象にするものであってもよく、また、車間距離に実質的に置き換え可能な他の物理量を制御対象とするものであってもよい。車間距離に実質的に置き換え可能な他の物理量は、例えば、同一地点を鞍乗り型車両100が通過するタイミングと目標車両が通過するタイミングとの時間差である通過時間差、又は、鞍乗り型車両100が目標車両に追い付くまでに要する時間等である。
【0052】
例えば、周囲環境センサ41は、鞍乗り型車両100の前方を走行する先行車両と鞍乗り型車両100との車間距離、及び、先行車両に対する鞍乗り型車両100の相対速度を周囲環境情報として検出する。そして、制御部62は、例えば、車間距離制御において、先行車両を目標車両に設定し、鞍乗り型車両100と先行車両との車間距離を周囲環境情報に基づいて制御する。車間距離制御は、鞍乗り型車両100の加速度及び減速度の少なくとも一方を制御することによって実現される。
【0053】
<制御装置の動作>
図6及び図7を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置60の動作について説明する。
【0054】
図6は、制御装置60が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6におけるステップS101は、図6に示される制御フローの開始に対応する。
【0055】
図6に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、制御部62は、第1操作が行われたか否かを判定する。第1操作は、ライダーがアクセルグリップ2Rを基準状態から基準状態と異なる状態にする操作である。具体的には、第1操作は、ライダーがアクセルグリップ2Rを図4に示される基準位置P0から第2方向D2に回動させる操作である。つまり、第1操作は、アクセル操作において駆動力を減少させる場合と同一の方向にアクセルグリップ2Rを回動させる操作である。
【0056】
例えば、第1操作は、アクセルグリップ2Rを基準位置P0から図4中の位置P2(具体的には、基準位置P0から第2方向D2に角度θ2だけ回動した位置)まで回動させる動作である。この場合、ライダーの意図に反してアクセルグリップ2Rが第2方向D2に僅かに回動してしまった場合に、第1操作が行われたと誤って判定されることを抑制することができる。なお、アクセルグリップ2Rは、位置P2よりも第2方向D2側に更に回動できてもよい。
【0057】
第1操作が行われていないと判定された場合(ステップS102/NO)、ステップS102が繰り返される。一方、第1操作が行われたと判定された場合(ステップS102/YES)、ステップS103に進む。
【0058】
ステップS102でYESと判定された場合、ステップS103において、制御部62は、車間距離制御を実行する。以下、図7を参照して、車間距離制御における処理の流れの一例について説明する。
【0059】
図7は、制御装置60が行う車間距離制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、図7に示される制御フローは、図6に示される制御フローにおけるステップS103で行われる処理の一例である。図7におけるステップS201は、図7に示される制御フローの開始に対応する。図7におけるステップS205は、図7に示される制御フローの終了に対応する。
【0060】
以下では、車間距離制御が、目標車両である先行車両との衝突を回避するために、鞍乗り型車両100の減速度を制御することによって車間距離を制御するものである例を説明する。ただし、後述されるように、車間距離制御において、鞍乗り型車両100の加速度を制御することによって車間距離が制御されてもよい。また、車間距離制御が、車間距離を維持するための制御であってもよい。
【0061】
図7に示される制御フローが開始されると、ステップS202において、制御部62は、周囲環境情報に基づいて、目標減速度を決定する。
【0062】
ステップS202では、制御部62は、例えば、先行車両と鞍乗り型車両100との車間距離、及び、先行車両に対する鞍乗り型車両100の相対速度に基づいて、目標減速度を決定する。ここで、制御部62は、先行車両との衝突が回避され得るような減速度を目標減速度として決定する。例えば、制御部62は、先行車両と鞍乗り型車両100との車間距離が短いほど、大きな減速度を目標減速度として決定する。また、例えば、制御部62は、先行車両に対する鞍乗り型車両100の相対速度が大きいほど、大きな減速度を目標減速度として決定する。
【0063】
次に、ステップS203において、制御部62は、鞍乗り型車両100の減速度が目標減速度より小さいか否かを判定する。なお、鞍乗り型車両100の減速度は、鞍乗り型車両100の車速の推移に基づいて取得され得る。鞍乗り型車両100の車速は、前輪車輪速センサ42の検出結果、及び、後輪車輪速センサ43の検出結果に基づいて取得され得る。
【0064】
鞍乗り型車両100の減速度が目標減速度より小さいと判定された場合(ステップS203/YES)、ステップS204に進む。一方、鞍乗り型車両100の減速度が目標減速度より小さいと判定されなかった場合(ステップS203/NO)、図7に示される制御フローは終了する。
【0065】
ステップS203でYESと判定された場合、ステップS204において、制御部62は、鞍乗り型車両100の減速度を目標減速度となるように増大させる制御を実行し、図7に示される制御フローは終了する。
【0066】
ステップS204において、制御部62は、ブレーキシステム10の液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御することによって、鞍乗り型車両100の車輪に制動力を自動で生じさせる。それにより、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13を用いたブレーキ操作がライダーによって行われることなく、鞍乗り型車両100の減速度を自動で増大させることができる。
【0067】
上記のように、図7に示される制御フローでは、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて鞍乗り型車両100の減速度を制御する。ここで、鞍乗り型車両100の減速度を適正化する観点では、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、他の情報に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度(ひいては、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離)を制御することが好ましい。
【0068】
例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の車速に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。ここで、鞍乗り型車両100の車速が低い状態で大きな減速度が鞍乗り型車両100に付与されると、鞍乗り型車両100の姿勢が不安定になりやすい。ゆえに、制御部62は、車間距離制御において、鞍乗り型車両100の車速が低いほど、鞍乗り型車両100の減速度を小さくしてもよい。
【0069】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の車輪に生じているスリップ度に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。スリップ度は、車輪が路面に対して滑っている度合いを示す指標であり、スリップ度としては、例えば、車速と車輪の車輪速との差を車速で除算して得られるスリップ率が用いられる。スリップ率は、前輪車輪速センサ42の検出結果、及び、後輪車輪速センサ43の検出結果に基づいて取得され得る。
【0070】
制御部62は、例えば、スリップ度が許容スリップ度を超えている車輪がある場合に、当該車輪にロック又はロックの可能性が生じていると判断し、当該車輪に生じる制動力を減少させることによって、当該車輪のスリップ度を許容スリップ度以下になるように制御する。この制御は、車輪のロックを抑制するために当該車輪に生じる制動力を調整するアンチロックブレーキ制御と呼ばれる制御である。制御部62は、車間距離制御において、アンチロックブレーキ制御を実行してもよい。
【0071】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100に搭載された慣性計測装置44の検出結果に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。例えば、鞍乗り型車両100が鉛直方向に対してロール方向に傾いている状態で大きな減速度が鞍乗り型車両100に生じると、鞍乗り型車両100が鉛直方向に対してより大きく傾きやすくなる。ゆえに、制御部62は、車間距離制御において、鞍乗り型車両100のリーン角が大きいほど、鞍乗り型車両100の減速度を小さくしてもよい。
【0072】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、第1操作の状態量に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。第1操作の状態量は、第1操作の操作量(具体的には、アクセルグリップ2Rの回動角)を示す指標である。
【0073】
制御部62は、例えば、第1操作の操作量に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。ここで、第1操作の操作量が大きいほど、鞍乗り型車両100に大きな減速度を生じさせることをライダーが望む傾向が強いと予想される。ゆえに、制御部62は、車間距離制御において、第1操作の操作量が大きいほど、鞍乗り型車両100の減速度を大きくしてもよい。例えば、制御部62は、第1操作におけるアクセルグリップ2Rの回動角が図4中の角度θ2よりも大きい場合、アクセルグリップ2Rが図4中の位置P2を超えて更に回動した角度に応じて、鞍乗り型車両100の減速度を変化させてもよい。
【0074】
制御部62は、例えば、第1操作の操作量の変化度合いに基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。ここで、第1操作の操作量の変化度合いが大きいほど、鞍乗り型車両100に大きな減速度を生じさせることをライダーが望む傾向が強いと予想される。ゆえに、制御部62は、車間距離制御において、第1操作の操作量の変化度合いが大きいほど、鞍乗り型車両100の減速度を大きくしてもよい。例えば、制御部62は、第1操作におけるアクセルグリップ2Rの回動角の変化速度に応じて、鞍乗り型車両100の減速度を変化させてもよい。
【0075】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100のアクセルグリップ2R以外の操作部(例えば、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13)の状態量に基づいて、鞍乗り型車両100の減速度を制御してもよい。第1ブレーキ操作部11の状態量は、第1ブレーキ操作部11の操作量を示す指標である。第2ブレーキ操作部13の状態量は、第2ブレーキ操作部13の操作量を示す指標である。
【0076】
ここで、車間距離制御の実行中に、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13を用いたブレーキ操作がライダーによって行われている場合もあり得る。第1ブレーキ操作部11を用いたブレーキ操作が行われている場合、第1ブレーキ操作部11の操作量に応じた制動力が前輪3に付与されている状態となる。第2ブレーキ操作部13を用いたブレーキ操作が行われている場合、第2ブレーキ操作部13の操作量に応じた制動力が後輪4に付与されている状態となる。このようにブレーキ操作がライダーによって行われている場合、制御部62は、例えば、前輪3の制動力を、第1ブレーキ操作部11の操作量に応じた制動力に対して増大させてもよく、後輪4の制動力を、第2ブレーキ操作部13の操作量に応じた制動力に対して増大させてもよい。例えば、車間距離制御において鞍乗り型車両100に生じる減速度が、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13を用いたブレーキ操作が行われていない場合と比べて、ブレーキ操作の操作量に応じた制動力により生じる減速度だけ大きくなってもよい。なお、車間距離制御によって、ブレーキ操作の操作量に応じた制動力の目標制動力(つまり、目標減速度を生じさせるために必要な制動力)に対する不足分が補われてもよい。
【0077】
なお、ステップS204において、制御部62は、前輪3及び後輪4の双方の制動力を増大させてもよく、前輪3及び後輪4のうちの一方のみの制動力を増大させてもよい。ここで、制御部62は、車間距離制御における前輪3と後輪4との制動力の配分を決定してもよい。例えば、制御部62は、鞍乗り型車両100の走行状態に関する情報(例えば、車速又は減速度等)に基づいて、車間距離制御における前輪3と後輪4との制動力の配分を決定してもよい。それにより、鞍乗り型車両100の前輪3と後輪4との制動力の配分を、例えば、鞍乗り型車両100の姿勢が安定化されるような配分にすることができる。
【0078】
なお、上記の例では、ステップS203でNOと判定された場合、鞍乗り型車両100の減速度の制御が行われずに、図7に示される制御フローが終了する。ただし、ステップS203でNOと判定された場合に、制御部62は、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13を用いたブレーキ操作によらずに、鞍乗り型車両100に所定の減速度を生じさせてもよい。
【0079】
以下、図6に戻り、説明を続ける。
【0080】
ステップS103の次に、ステップS104において、制御部62は、第2操作が行われたか否かを判定する。第2操作は、ライダーがアクセルグリップ2Rを基準状態に戻すための操作である。具体的には、第2操作は、ライダーがアクセルグリップ2Rを図4に示される基準位置P0まで第1方向D1に回動させる操作である。例えば、第1操作でアクセルグリップ2Rが図4中の位置P2まで回動される場合、第2操作は、アクセルグリップ2Rを図4中の位置P2から基準位置P0まで回動させる動作である。
【0081】
上述したように、アクセルグリップ2Rは、無負荷状態で、基準位置P0に戻る構造を含む。ゆえに、ライダーが第1操作を解除する(具体的には、第1操作を行っている手をアクセルグリップ2Rから離す)ことによって、アクセルグリップ2Rを基準位置P0まで第1方向D1に回動させることができる。このように、第2操作は、ライダーが第1操作を解除してアクセルグリップ2Rを無負荷状態にする操作であってもよい。
【0082】
第2操作が行われていないと判定された場合(ステップS104/NO)、ステップS103に戻る。一方、第2操作が行われたと判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進む。
【0083】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、制御部62は、車間距離制御を終了し、ステップS102に戻る。
【0084】
上記のように、制御部62は、ライダーがアクセルグリップ2Rを基準状態から基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、車間距離制御を開始する。そして、制御部62は、車間距離制御の実行中において、ライダーがアクセルグリップ2Rを基準状態に戻すための第2操作に応じて、車間距離制御を終了する。例えば、図6に示される制御フローでは、制御部62は、第1操作が行われている間、車間距離制御を実行し、第2操作が行われるタイミングで、車間距離制御を終了する。
【0085】
なお、特定の操作に応じて特定の処理が行われると言った場合において、当該特定の操作が行われるタイミングと、当該特定の処理が行われるタイミングとが厳密に一致していてもよく、一致していなくてもよい。例えば、第1操作が開始するタイミングと、車間距離制御が開始されるタイミングとは、厳密に一致していてもよく、一致していなくてもよい。また、例えば、第2操作が行われるタイミングと、車間距離制御が終了するタイミングとは、厳密に一致していてもよく、一致していなくてもよい。
【0086】
本実施形態によれば、ライダーは、第1操作及び第2操作を行うことによって、車間距離制御を開始及び終了させることができる。ゆえに、ライダーの意図に即して車間距離制御を実行することができる。例えば、アクセル操作及びブレーキ操作が行われておらずエンジンブレーキにより鞍乗り型車両100が減速している状況において、鞍乗り型車両100が先行車両に対して接近した場合に、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13を用いることなく、第1操作及び第2操作を行うことによって、車間距離制御を意図したタイミングで実行させることができる。それにより、簡便な操作によって、ライダーの意図に即して車間距離制御を実行し、衝突を回避することができる。特に、鞍乗り型車両100の姿勢は、四輪の自動車等と比べて不安定になりやすいので、ライダーの意図しないタイミングで車間距離制御(例えば、減速度の制御)が実行されると、却って安全性が損なわれるおそれがある。ゆえに、ライダーの意図に即して車間距離制御を実行させることは、安全性を向上させる観点では重要である。このように、本実施形態によれば、鞍乗り型車両100の安全性を適切に向上させることができる。
【0087】
なお、上記では、車間距離制御を実行させるための操作である第1操作及び第2操作で用いられる操作部がアクセルグリップ2Rである例を説明したが、本発明に係る操作部は、アクセルグリップ2R以外のもの(つまり、アクセル操作を受け付ける操作部以外の種々の操作部)であってもよい。例えば、本発明に係る操作部は、当該操作部の中心軸以外の軸周りに回動可能であってもよい。また、例えば、本発明に係る操作部は、円筒状又は円柱状でなくてもよい。また、例えば、本発明に係る操作部は、回動可能でなく、並進運動可能であってもよい。なお、並進運動可能な操作部が第1操作及び第2操作で用いられる場合、第1操作及び第2操作は、当該操作部を並進運動させる操作であってもよい。
【0088】
なお、上記では、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて鞍乗り型車両100の減速度が制御される例を説明した。ただし、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて目標加速度を決定し、エンジン5の駆動力をアクセル操作によらずに制御することによって、鞍乗り型車両100の加速度を目標加速度になるように制御してもよい。この場合、目標加速度は、例えば、先行車両と鞍乗り型車両100との車間距離が目標距離に維持されるような加速度であってもよい。
【0089】
また、鞍乗り型車両100の加速度を適正化する観点では、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、他の情報に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度(ひいては、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離)を制御することが好ましい。
【0090】
例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の車輪に生じているスリップ度に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。制御部62は、例えば、駆動輪のスリップ度が許容スリップ度を超えている場合に、当該駆動輪が空転していると判断し、当該駆動輪に生じる駆動力を減少させることによって、当該駆動輪のスリップ度を許容スリップ度以下になるように制御する。この制御は、駆動輪の空転を抑制するために当該駆動輪に生じる駆動力を調整するトラクションコントロールと呼ばれる制御である。制御部62は、車間距離制御において、トラクションコントロールを実行してもよい。
【0091】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100に搭載された慣性計測装置44の検出結果に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。例えば、鞍乗り型車両100が鉛直方向に対してロール方向に傾いている状態で大きな加速度が鞍乗り型車両100に生じると、鞍乗り型車両100が鉛直方向に向けて起き上がりやすくなる。ゆえに、制御部62は、車間距離制御において、鞍乗り型車両100のリーン角が大きいほど、鞍乗り型車両100の加速度を大きくしてもよい。
【0092】
また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、第1操作の状態量に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。制御部62は、例えば、第1操作の操作量に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。例えば、制御部62は、車間距離制御において、第1操作の操作量が大きいほど、鞍乗り型車両100の加速度を大きくしてもよい。また、制御部62は、例えば、第1操作の操作量の変化度合いに基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。例えば、制御部62は、車間距離制御において、第1操作の操作量の変化度合いが大きいほど、鞍乗り型車両100の加速度を大きくしてもよい。
【0093】
また、例えば、第1操作及び第2操作で用いられる操作部がアクセルグリップ2R以外のものである場合、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の当該操作部以外の操作部(例えば、アクセルグリップ2R)の状態量に基づいて、鞍乗り型車両100の加速度を制御してもよい。アクセル操作がライダーによって行われている場合、制御部62は、例えば、エンジン5の出力を、アクセル操作の操作量に応じた出力に対して増大させてもよい。例えば、車間距離制御において鞍乗り型車両100に生じる加速度が、アクセル操作が行われていない場合と比べて、アクセル操作の操作量に応じた駆動力により生じる加速度だけ大きくなってもよい。なお、車間距離制御によって、アクセル操作の操作量に応じた駆動力の目標駆動力に対する不足分が補われてもよい。
【0094】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置60の効果について説明する。
【0095】
制御装置60において、制御部62は、鞍乗り型車両100のライダーが操作部(例えば、アクセルグリップ2R)を基準状態から基準状態と異なる状態にする第1操作に応じて、車間距離制御を開始し、車間距離制御の実行中において、ライダーが上記操作部を基準状態に戻すための第2操作に応じて、車間距離制御を終了する。それにより、ライダーの意図に即して車間距離制御を実行することができる。ゆえに、鞍乗り型車両100の安全性を適切に向上させることができる。
【0096】
好ましくは、制御装置60において、上記操作部は、無負荷状態で基準状態に戻る構造を含み、第2操作は、ライダーが第1操作を解除して上記操作部を無負荷状態にする操作である。それにより、ライダーによる第2操作の手間を低減することができる。ゆえに、より簡便な操作によって、車間距離制御を終了させることができる。よって、鞍乗り型車両100の安全性をより適切に向上させることができる。
【0097】
好ましくは、制御装置60において、上記操作部は、少なくとも車間距離制御が解除されている状態において、ライダーによって第1方向に回動されると鞍乗り型車両100に生じる駆動力が増加し、ライダーによって第1方向と逆方向の第2方向に回動されると駆動力が減少するアクセルグリップ2Rである。ここで、走行時には、アクセルグリップ2Rがライダーの手により把持されている状態が基本的に維持される。ゆえに、上記操作部としてアクセルグリップ2Rが用いられることによって、第1操作を行う際にライダーがアクセルグリップ2Rから他の操作部に手を移動させる手間を省略することができる。よって、鞍乗り型車両100の安全性をより適切に向上させることができる。
【0098】
好ましくは、制御装置60において、第1操作は、アクセルグリップ2Rを第2方向に回動させる操作であり、第2操作は、アクセルグリップ2Rを第1方向に回動させる操作である。それにより、アクセル操作において駆動力を減少させる場合と同一の方向にアクセルグリップ2Rを回動させることによって、第1操作を行うことができる。ゆえに、ライダーは、アクセルグリップ2Rを用いたアクセル操作と、第1操作とを適切に区別しやすくなるので、誤操作することなく第1操作を行うことができる。
【0099】
好ましくは、制御装置60において、基準状態は、アクセルグリップ2Rの回動位置が、車間距離制御が解除されている状態において鞍乗り型車両100に生じる駆動力が最小となる位置にある状態である。それにより、ライダーは、アクセルグリップ2Rを用いたアクセル操作と、第1操作とを適切に区別しやすくなるので、誤操作することなく第1操作を行うことができる。
【0100】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて鞍乗り型車両100の減速度を制御する。それにより、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離が過度に短くなることを抑制することができる。ゆえに、例えば、目標車両との衝突を回避することができる。
【0101】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の車速に基づいて、減速度を制御する。それにより、鞍乗り型車両100の姿勢が不安定になることを抑制しつつ、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離が過度に短くなることを抑制することができる。
【0102】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御における前輪3と後輪4との制動力の配分を決定する。それにより、前輪3と後輪4との制動力の配分を、例えば、鞍乗り型車両100の姿勢が安定化されるような配分等に適正化しつつ、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離が過度に短くなることを抑制することができる。
【0103】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に基づいて鞍乗り型車両100の加速度を制御する。それにより、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離が過度に長くなることを抑制することができる。ゆえに、例えば、目標車両との車間距離を目標距離に維持することができる。
【0104】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、車輪に生じているスリップ度に基づいて、車間距離を制御する。例えば、制御部62は、車間距離制御において、アンチロックブレーキ制御を実行してもよい。それにより、車間距離制御において、車輪のロックを抑制することができる。また、例えば、制御部62は、車間距離制御において、トラクションコントロールを実行してもよい。それにより、車間距離制御において、駆動輪の空転を抑制することができる。
【0105】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100に搭載された慣性計測装置44の検出結果に基づいて、車間距離を制御する。それにより、鞍乗り型車両100の姿勢が不安定になることを抑制しつつ、車間距離を制御することができる。
【0106】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、第1操作の状態量に基づいて、車間距離を制御する。それにより、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離を、よりライダーの意図に沿って制御することができる。
【0107】
好ましくは、制御装置60において、制御部62は、車間距離制御において、周囲環境情報に加えて、鞍乗り型車両100の上記操作部以外の操作部の状態量に基づいて、車間距離を制御する。それにより、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離を、よりライダーの意図に沿って制御することができる。
【0108】
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。また、例えば、上述した車間距離制御は、ライダーによる加減速操作によらずに鞍乗り型車両100の速度を自動で制御し、鞍乗り型車両100と目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールであってもよい。また、例えば、ライダーによる加減速操作によらずに鞍乗り型車両100の速度を自動で制御するものの車間距離維持制御が行われないオートクルーズコントロールの実行中に、第1操作に応じて車間距離制御(例えば、アダプティブクルーズコントロール)が開始されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 胴体、2 ハンドル、2L 左グリップ、2R 右グリップ(アクセルグリップ)、3 前輪、3a ロータ、4 後輪、4a ロータ、5 エンジン、10 ブレーキシステム、11 第1ブレーキ操作部、12 前輪制動機構、13 第2ブレーキ操作部、14 後輪制動機構、15 クラッチ操作部、21 マスタシリンダ、22 リザーバ、23 ブレーキキャリパ、24 ホイールシリンダ、25 主流路、26 副流路、27 供給流路、31 込め弁、32 弛め弁、33 アキュムレータ、34 ポンプ、35 第1弁、36 第2弁、41 周囲環境センサ、42 前輪車輪速センサ、43 後輪車輪速センサ、44 慣性計測装置、50 液圧制御ユニット、51 基体、60 制御装置、61 取得部、62 制御部、62a 駆動制御部、62b 制動制御部、70 表示装置、100 鞍乗り型車両、D1 第1方向、D2 第2方向、P0 基準位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7