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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】ずれ検出方法及びずれ検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20250326BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250326BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
G06T7/00 300D
G01B11/16 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023545879
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2021121342
(87)【国際公開番号】W WO2023050065
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】13/F., LKF29, 29 Wyndham Street, Central, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 継偉
(72)【発明者】
【氏名】王 緒明
(72)【発明者】
【氏名】張 園園
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第213340470(CN,U)
【文献】特開2018-170103(JP,A)
【文献】特開2009-170136(JP,A)
【文献】中国特許第111416142(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/70
G06T 7/00
G01B 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極片と、第2極片とを含む電極アセンブリが巻き付けられる場合の位置ずれを検出するためのずれ検出方法であって、
前記電極アセンブリの巻き付け過程で、撮影ユニットにより、前記第1極片を含む複数の第1画像と、前記第2極片を含む複数の第2画像とを取得する画像取得ステップと、
前記電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成される同じ又は対応する標識対象を含む、一つの第1画像と一つの第2画像とをマッチングする画像マッチングステップと、
マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像における第1極片の境界及び/又は前記第2画像における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定するずれ判定ステップと、を含み、
前記標識対象は同一の巻き付け層中の前記第1極片のタブ及び/又は前記第2極片のタブである、
ことを特徴とするずれ検出方法。
【請求項2】
ずれ判定ステップにおいて、前記標識対象に応じて比較領域を設定し、前記第1画像の前記比較領域における第1極片の境界及び/又は前記第2画像の前記比較領域における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1画像は前記電極アセンブリが巻付ニードルに巻き付けられる前の画像であり、前記第2画像は前記電極アセンブリが前記巻付ニードルに巻き付けられた後の画像である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像取得ステップにおいて、前記巻付ニードルがデフォルト角度で回転する場合、前記第1画像と前記第2画像とを取得する、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撮影ユニットは、前記第1画像を撮影する第1カメラと、前記第2画像を撮影する第2カメラとを含み、
前記第1カメラと前記第2カメラは、それぞれ、前記電極アセンブリの反対の2つの面を撮影する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像マッチングステップにおいて、前記画像取得ステップで取得された(n+1)枚目の第2画像と前記n枚目の第1画像をマッチングする、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ずれ判定ステップにおいて、
マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像において、第1基準点から前記第1極片の境界までの距離である第1距離を取得し、前記第2画像において、第2基準点から前記第2極片の境界までの距離である第2距離を取得し、
前記第1距離と前記第2距離の差から前記第1極片の境界と前記第2極片の境界とのデフォルト距離を差し引いて得られた差が第1閾値よりも大きい場合、前記電極アセンブリがずれたことを判定する、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ずれ判定ステップにおいて、
マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像において、第1基準点から前記第1極片の境界までの距離である第1距離を取得し、前記第2画像において、第2基準点から前記第2極片の境界までの距離である第2距離を取得し、
前記第1距離と第1距離のデフォルト値を比較することで、前記電極アセンブリの第1極片がずれたかを判定し、
前記第2距離と第2距離のデフォルト値を比較することで、前記電極アセンブリの第2極片がずれたかを判定する、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1極片と、第2極片とを含む電極アセンブリが巻き付けられる場合の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、
前記電極アセンブリの巻き付け過程で、前記第1極片を含む複数の第1画像と、前記第2極片を含む複数の第2画像とを取得する画像取得ユニットと、
前記電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成される同じ又は対応する標識対象を含む、一つの第1画像と一つの第2画像とをマッチングする画像マッチングユニットと、
マッチングされた一組の第1画像と第2画像に対して、前記第1画像における第1極片の境界及び/又は前記第2画像における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定するずれ判定ユニットと、を含み、
前記標識対象は同一の巻き付け層中の前記第1極片のタブ及び/又は前記第2極片のタブである、
ことを特徴とするずれ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池製造分野に関し、特に、電極アセンブリを巻き付けて製造する際に電極アセンブリの位置ずれを検出するためのずれ検出方法及びずれ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極アセンブリは、電池セルにおいて電気化学反応を発生する部材として、一般的に、第1極片、第2極片及びセパレータが巻き付けられて、又は積層されて形成されるものである。電極アセンブリを巻き付ける過程では、第1極片、第2極片及びセパレータに振れ現象が現れやすいので、第1極片、第2極片及びセパレータは正常位置からずれる。電極アセンブリの巻き付け状況の良否は直接電池セルの性能に影響を与える。このため、どのように電極アセンブリに対してずれを正確に検出できるかは、電池の製造に極めて重要である。
【発明の概要】
【0003】
上記問題に鑑みて、本発明は、電極アセンブリが巻き付けられる場合の位置ずれを正確に検出できるずれ検出方法及びずれ検出装置を提供する。
【0004】
第1態様によれば、第1極片と、第2極片とを含む電極アセンブリが巻き付けられる場合の位置ずれを検出するためのずれ検出方法であって、前記電極アセンブリの巻き付け過程で、撮影ユニットにより、前記第1極片を含む複数の第1画像と、前記第2極片を含む複数の第2画像とを取得する画像取得ステップと、前記電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成される同じ又は対応する標識対象を含む、一つの第1画像と一つの第2画像とをマッチングする画像マッチングステップと、マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像における第1極片の境界及び/又は前記第2画像における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定するずれ判定ステップと、を含むずれ検出方法を提供する。
【0005】
本願の実施例の技術的手段において、電極アセンブリ巻き付け設備の巻き付け速度及び撮影ユニットの位置等の影響により、同時に取得された第1画像における第1極片と第2画像における第2極片は互いに対応する関係を有しない可能性がある。即ち、同時に取得された第2画像における第2極片は、第1画像における第1極片に先立って電極アセンブリ巻き付け設備に入る可能性がある。本願の実施例の技術的手段は、第1画像と第2画像とをマッチングすることにより、マッチングされた一組の第1画像と第2画像における第1極片と第2極片が互いに対応することを確保する。即ち、マッチングされた一組の第1画像と第2画像における第1極片と第2極片は、巻き付け後の電極アセンブリに同一の巻き付け層にある。従って、電極アセンブリの巻き付け時の位置ずれをより正確に判定することができる。
【0006】
幾つかの実施例において、ずれ判定ステップにおいて、前記標識対象に応じて比較領域を設定し、該第1画像の前記比較領域における第1極片の境界及び/又は該第2画像の前記比較領域における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定する。画像マッチングステップにより、判定された第1画像と第2画像が同一の巻き付け層の2枚の画像であることを確保できる。標識対象により確定される比較領域は、ずれ判定される領域が同一の巻き付け層において互いに積層される第1極片と第2極片の同じ領域であることをさらに確保できる。これにより、電極アセンブリの巻き付け時の位置ずれをより正確に判定することができる。
【0007】
幾つかの実施例において、前記第1画像は前記電極アセンブリが巻付ニードルに巻き付けられる前の画像であり、前記第2画像は前記電極アセンブリが前記巻付ニードルに巻き付けられた後の画像である。巻付ニードルに巻き付けられる過程で、極片はずれやすい。第1画像と第2画像により、極片の巻き付けられる前の状態及び巻き付けられた後の状態をそれぞれ得て、巻き付け過程で電極アセンブリが位置ずれしたかを判定することができる。
【0008】
幾つかの実施例において、前記画像取得ステップにおいて、前記巻付ニードルがデフォルト角度で回転する場合、前記第1画像と前記第2画像とを取得する。デフォルト角度を設置することにより、出力されるそれぞれの第1画像と第2画像に1つの標識対象のみを含むことを確保して、第1画像と第2画像で標識対象により比較領域を確定できることを確保することができる。また、回転すると同時に画像を取得するので、即時にずれ判定を行うことができる。
【0009】
幾つかの実施例において、前記撮影ユニットは、前記第1画像を撮影する第1カメラと、前記第2画像を撮影する第2カメラとを含み、前記第1カメラと前記第2カメラは、それぞれ、前記電極アセンブリの反対の2つの面を撮影する。巻付ニードルに巻き付けられる過程で、電極アセンブリ100がずれやすいので、電極アセンブリ100の反対の2つの面の第1画像T1と第2画像T2を比較することにより、巻付ニードルに巻き付けられる過程で第1極片1と第2極片2がずれたかを判定できる。
【0010】
幾つかの実施例において、前記画像マッチングステップにおいて、前記画像取得ステップで取得された(n+1)枚目の第2画像と前記n枚目の第1画像をマッチングする。電極アセンブリ巻き付け設備の巻き付け速度及び撮影ユニット等の位置の影響により、同時に取得された第2画像における電極アセンブリは第1画像における第1電極アセンブリに先立ち、かつ第2画像T2の1枚目の図面に標識対象がない。(n+1)枚目の第2画像と前記n枚目の第1画像をマッチングすることにより、マッチングされた一組の第2画像と第1画像における電極アセンブリが互いに対応する、即ち、マッチングされた一組の第1画像と第2画像における第1極片と第2極片が、巻き付け後の電極アセンブリに同一の巻き付け層にあることを確保でき、電極アセンブリの巻き付け時の位置ずれをより正確に判定することができる。
【0011】
幾つかの実施例において、前記標識対象は同一の巻き付け層中の前記第1極片のタブ及び/又は前記第2極片のタブである。第1極片のタブ及び/又は第2極片のタブが電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成されるので、別途電極アセンブリに標識物を設置する必要がなく、第1極片のタブ及び/又は第2極片のタブのみにより、第1画像と第2画像で比較領域を確定することができる。
【0012】
幾つかの実施例において、前記ずれ判定ステップにおいて、マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像において、第1基準点から前記第1極片の境界までの距離である第1距離を取得し、前記第2画像において、第2基準点から前記第2極片の境界までの距離である第2距離を取得し、前記第1距離と前記第2距離の差から前記第1極片の境界と前記第2極片の境界とのデフォルト距離を差し引いて得られた差が第1閾値よりも大きい場合、前記電極アセンブリがずれたことを判定する。これにより、第1距離と第2距離を比較することで、第1極片と第2極片の相対的位置関係を判定して、電極アセンブリが巻き付け時が位置ずれしたかを判定することができる。
【0013】
幾つかの実施例において、前記ずれ判定ステップにおいて、マッチングされた一組の第1画像と第2画像において、前記第1画像において、第1基準点から前記第1極片の境界までの距離である第1距離を取得し、前記第2画像において、第2基準点から前記第2極片の境界までの距離である第2距離を取得し、前記第1距離と第1距離のデフォルト値を比較することで、前記電極アセンブリの第1極片がずれたかを判定し、前記第2距離と第2距離のデフォルト値を比較することで、前記電極アセンブリの第2極片がずれたかを判定する。これにより、第1距離と第2距離をそれぞれデフォルト値と比較することにより、第1極片と第2極片が位置ずれしたかをそれぞれ判定することができ、第1距離と第2距離間の関係の判定に比べ、どの極片が位置ずれしたかをより精確に判定することができる。
【0014】
第2態様によれば、第1極片と、第2極片とを含む電極アセンブリが巻き付けられる場合の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、前記電極アセンブリの巻き付け過程で、前記第1極片を含む複数の第1画像と、前記第2極片を含む複数の第2画像とを取得する画像取得ユニットと、前記電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成される同じ又は対応する標識対象を含む、一つの第1画像と一つの第2画像とをマッチングする画像マッチングユニットと、マッチングされた一組の第1画像と第2画像に対して、該第1画像における第1極片の境界及び/又は該第2画像における第2極片の境界に応じて、前記電極アセンブリがずれたかを判定するずれ判定ユニットと、を含むずれ検出装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで説明される図面は、本願をより良く理解させるためのものであり、本願の一部を構成しているが、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するために使用され、本願を不当に限定するものではない。図面において、
【0016】
図1】本願に係る一実施例の電極アセンブリ製造設備を含む模式図である。
図2】本願に係る一実施例の巻き付け後の電極アセンブリの模式図である。
図3】本願に係る一実施例の巻き付け後の電極アセンブリのX-Y断面を含む断面図である。
図4】本願に係る一実施例の電極アセンブリが展開された模式図である。
図5】本願に係る一実施例のずれ検出方法のフローチャートである。
図6】本願に係る一実施態様のマッチングされた一組の第1画像と第2画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本願の実施例における図面に合わせて、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明する。明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者が、本願の実施例に基づいて、創造的な労力を要することなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0018】
別段の定義がない限り、本願で使用される全ての技術と科学用語は、当業者に通常理解される意味と同じである。本願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限することを意図しない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序やメインとサブの関係を説明するためのものではなく、異なる対象を区別するために使用される。
【0019】
本願で言及される「実施例」とは、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性は、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の各所に現れる該語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と互いに排他的である別個的又は代替的な実施例でもない。本願で説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0020】
なお、本願の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「装着」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間仲介部材によって間接的に連結されてもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0021】
本願において、「及び/又は」という用語は、関連対象を説明する相関関係に過ぎず、3種類の関係が存在できることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つのケースを示すことができる。また、本願において、文字「/」は一般的に、前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0022】
本願で出現される「複数」とは、2つ以上(2つを含む)を指す。同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)を指し、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0023】
図1は本願に係る一実施例の電極アセンブリ製造設備を含む模式図である。図2には、巻き付けにより形成された電極アセンブリ100を示す。図1に示すように、電極アセンブリ製造装置は、輸送装置と巻き付け装置(巻付ニードル5)とを含む。輸送装置により、帯状の第1極片1、第2極片2及びセパレータ3を巻き付け装置(巻付ニードル5)に輸送し、第1極片1、セパレータ3、第2極片2及びセパレータ3が順に積層されて巻き付け装置(巻付ニードル5)に巻き付けられ、電極アセンブリ100(図2を参照)が成形される。図1中の巻付ニードル5はイメージに過ぎず、電池セルのタイプ及び電池ケースの形状に応じて、電極アセンブリは断面が円柱形であるもの、又は楕円形であるもの(図2図3に示すように)として巻き付けられ得る。
【0024】
巻付ニードル5が一回転(360°)すると、電極アセンブリ100は1層増える。図2に示すように、巻付ニードル5の回転に伴い、電極アセンブリ100はX方向における厚さが徐々に増加していく。また、帯状の第1極片1、第2極片2及びセパレータ3の幅は、電極アセンブリ100のZ軸方向における高さを決定した。図3図2に示す電極アセンブリ100のX-Y平面における断面図である。図3に示すように、各巻き付け層では、X方向に外から内へ順にセパレータ3、第2極片2、セパレータ3及び第1極片1である。これにより、各巻き付け層では、セパレータ3により第2極片2と第1極片1が仕切られている。
【0025】
電極アセンブリを巻き付ける過程で重要なパラメータは、巻き付け後の電極アセンブリ100のZ軸方向におけるアライメント度合いである。具体的には、巻き付け後の電極アセンブリ100のZ軸方向におけるアライメント度合いは、第2極片2と第1極片1のZ軸方向における相対的位置である。図4は積層巻付後の電極アセンブリ100のY方向に沿う展開図である。図示するように、Z軸方向(即ち、展開される電極アセンブリ100の幅方向)に、外から内へ順にセパレータ3、第2極片2、別のセパレータ3及び第1極片1であるべきである。即ち、Z軸方向に、セパレータ3は最外側に位置し、第1極片1は最内側に位置し、かつ第2極片2は第1極片1よりも所定の距離を超える。電極アセンブリ100を巻き付ける過程で、第2極片2、第1極片1に振れ現象が現れやすいので、第2極片2と第1極片1の相対的位置がずれて、製造された電池セルの品質及び性能に影響を与える。このため、第2極片2と第1極片1の相対的位置のずれ状況を監視するために、電極アセンブリ製造装置は、撮影ユニット4をさらに含む。
【0026】
理想的な状況は、撮影ユニットが巻き付け後の電極アセンブリ100を撮影し、得られた画像で第2極片2と第1極片1を識別して、第2極片2と第1極片1の相対的位置関係を判定することである。しかし、上述したように、電極アセンブリの各巻き付け層では、第1極片1を撮影するために、セパレータ3、第2極片2及び第2極片2と第1極片1との間にある別のセパレータ3を透過しなければならない。従来の撮影ユニットに限界があるため、例えば、赤外線撮影ユニットの透過能力が非常に限られており、巻き付け後の電極アセンブリ100が撮影されている画像において、第2極片2と第1極片1を同時に識別しその相対的位置関係を判定することは困難である。このため、第1極片1と第2極片2がそれぞれ撮影されている画像(それぞれ第1画像T1と第2画像T2に対応する)で極片の位置ずれを判定する必要がある。
【0027】
第1極片1を撮影するために、巻き付け前の画像(この場合、第2極片2、2層のセパレータ3がまだ第1極片1に積層されていない)を用いる必要がある。また、上述したように、位置ずれは巻き付け過程で発生しやすい。このため、第2極片2が撮影されている写真は巻き付け後の画像を用いる必要がある。同時に得られた第1画像T1における第1極片1と第2画像T2における第2極片2は互いに対応する関係を有しない。即ち、同時に得られた第2画像T2における第2極片2は第1画像T1における第1極片1に先立って電極アセンブリ巻き付け設備(巻付ニードル5)に入る。これにより、どのように撮影ユニット4により第2極片2と第1極片1間の相対的位置ずれを正確に判定するかという問題が生じる。
【0028】
以上の考慮に基づき、発明者は深く研究し、ずれ検出方法を提案した。図5は本願に係る一実施例のずれ検出方法のフローチャートである。図5に示すように、該ずれ検出方法200は、前記電極アセンブリ100の巻き付け過程で、撮影ユニット4により、前記第1極片1を含む複数の第1画像T1と、前記第2極片2を含む複数の第2画像T2とを取得する画像取得ステップ210と、電極アセンブリ100の各巻き付け層の部分に周期的に形成される同じ又は対応する標識対象6を含む、一つの第1画像T1と一つの第2画像T2とをマッチングする画像マッチングステップ220と、マッチングされた一組の第1画像T1と第2画像T2において、第1画像T1における第1極片1の境界及び/又は第2画像T2における第2極片2の境界に応じて、電極アセンブリ100がずれたかを判定するずれ判定ステップ230と、を含む。
【0029】
第1画像T1と第2画像T2により、巻き付け後の電極アセンブリ100に同一の巻き付け層の同じ位置にある第2極片2と第1極片1の相対的位置を比較するために、本願に係る一実施例の方法では、前記電極アセンブリ100の各巻き付け層の部分に周期的に形成される標識対象を定義した。これにより、各層で撮影された第1図片T1と第2画像T2に対して、すべて該標識対象を含有する。
【0030】
標識対象を識別することにより、同じ又は対応する標識対象が撮影された一組の画像T1、T2をマッチングする。一組のマッチングされた画像T1、T2によりずれ判定ステップ230を行う。これにより、ずれ判定ステップ230において判定されたのは、巻き付けられた電極アセンブリ100における同一の巻き付け層の同じ位置にある第1極片1と第2極片2であることを確保して、電極アセンブリ100の位置ずれを正確に判定することができる。
【0031】
本願の幾つかの実施例によれば、図6に示すように、標識対象6は同一の巻き付け層における第1極片1のタブ11及び/又は前記第2極片2のタブ22である。第1極片1のタブ11及び/又は第2極片2のタブ22が電極アセンブリの各巻き付け層の部分に周期的に形成されるので、別途電極アセンブリ100に標識物を設置する必要がなく、第1極片のタブ11及び/又は第2極片のタブ22のみにより、第1画像T1と第2画像T2をマッチングすることができる。また、標識対象6は第1極片1のタブ11、前記第2極片2のタブ22にも限られず、それぞれの第1画像T1、第2画像T2に現れることが可能であればよい。
【0032】
本願の幾つかの実施例によれば、ずれ判定ステップにおいて、標識対象に応じて比較領域Sを設定し、第1画像T1の比較領域Sにおける第1極片1の境界及び/又は該第2画像T2の比較領域Sにおける第2極片2の境界に応じて、電極アセンブリ100がずれたかを判定する。
【0033】
図6に示すように、Y方向に、第1画像T1における比較領域Sの標識対象6から離れる距離は、第2画像T2における比較領域Sの同じ又は対応する標識対象6から離れる距離に等しい。これにより、第1画像T1における標識対象6と第2画像T2における標識対象6とが互いに対応することを確保すれば、第1画像T1における比較領域Sと第2画像T2における比較領域Sが同一の巻き付け層に互いに積層される第1極片1と第2極片2の同じ領域にあることを確保できる。これにより、電極アセンブリの巻き付け時の位置ずれをより正確に判定することができる。また、比較領域SはY方向に所定の長さを有する一部の領域である。該所定の長さは巻き付け層の展開長さよりも小さい。全体の展開長さにおいて位置ずれを判定することなく、該所定の長さにおいて第1極片1と第2極片2の相対的位置ずれを判定することにより、ずれ判定の速度を向上することができる。
【0034】
本願の幾つかの実施例によれば、第1画像T1は電極アセンブリ100が巻付ニードル5に巻き付けられる前の画像であり、第2画像T2は電極アセンブリ100が巻付ニードル5に巻き付けられた後の画像である。
【0035】
図6に示すように、巻き付け前の電極アセンブリ100が撮影されている第1画像T1において、第1極片1はX軸方向に最外側に位置し、第1極片1の下に順にセパレータ3、第2極片2及び別のセパレータ3である。撮影ユニット4の透過能力に依存し、第1画像T1において、第1極片1及びセパレータ3を識別することができる。巻き付け後の電極アセンブリ100が撮影されている第2画像T2において、セパレータ3はX軸方向に最外側に位置し、セパレータ3の下に順に第2極片2、別のセパレータ3及び第1極片1である。撮影ユニット4の透過能力に依存し、第2画像T2において、セパレータ3と第2極片2を識別することができる。そして、第1画像T1における第1極片1は巻き付け前の電極アセンブリ100の状態であり、第2画像T2における第2極片2は巻き付け後の電極アセンブリ100の状態である。
【0036】
巻付ニードルに巻き付けられる過程で、電極アセンブリ100はずれやすいので、巻き付け後の電極アセンブリ100が撮影されている第2画像T2と、巻き付け前の電極アセンブリ100の状態が撮影されている第1画像T1とを比較することにより、巻き付け過程で第1極片1と第2極片2がずれたかを判定できる。
【0037】
本願の幾つかの実施例によれば、画像取得ステップ210において、巻付ニードル5がデフォルト角度αで回転する場合、第1画像T1と第2画像T2を取得する。
【0038】
図1を参照する。巻付ニードル5がデフォルト角度α(例えば、α=360°)で回転する場合、第1極片1を含む一枚の第1画像T1と、第2極片2を含む一枚の第2画像T2が出力される。αの角度は360°に限らず、出力されるそれぞれの第1画像T1と第2画像T2に1つの同じ又は対応する標識対象6のみを含むことを確保すればよい。また、回転すると同時に画像を取得するので、即時にずれ判定を行うことができる。
【0039】
本願の幾つかの実施例によれば、図1を参照して、撮影ユニット4は、第1画像T1を撮影する第1カメラ41と、第2画像T2を撮影する第2カメラ42とを含み、第1カメラ41と第2カメラ42は、それぞれ、電極アセンブリ100の反対の2つの面を撮影する。
【0040】
撮影ユニット4の第1カメラ41と第2カメラ42は、ラインスキャンカメラであってもよく、第2カメラ42から出力される第2画像T2は、巻き付け後の電極アセンブリ100のY方向に沿う展開図に該当する。
【0041】
巻付ニードルに巻き付けられる過程で、電極アセンブリ100はずれやすいので、電極アセンブリ100の反対の2つの面の第1画像T1と第2画像T2とを比較することにより、巻き付け過程で第1極片1と第2極片2がずれたかを判定できる。
【0042】
本願の幾つかの実施例によれば、前記画像マッチング220ステップにおいて、画像取得ステップ210で取得された(n+1)枚目の第2画像T2とn枚目の第1画像T1をマッチングする。
【0043】
上記の通り、巻付ニードル5がデフォルト角度α(例えば、α=360°)で回転する場合、1枚の第1画像T1と1枚の第2画像T2を出力し、出力された第1画像T1と第2画像T2を計数する。デフォルト角度αを360°以下とすることにより、それぞれの第1画像T2と第1画像T1に標識対象6が存在し、かつただ一つの標識対象6しか存在しないことを確保した。また、図1を参照する。出力される第2画像T2中の電極アセンブリ100が第1画像T1中の電極アセンブリ100に先立って巻付ニードル5に巻き付けられる。そして、第2画像T2の1枚目の図には標識対象6がない。このため、(n+1)枚目の第2画像T2とn枚目の第1画像T1は同一の巻き付け層の電極アセンブリ100である。また、第1画像T1と第2画像T2のマッチング原則は撮影ユニット4における第1カメラ41と第2カメラ42の配置位置に依存することを、理解すべきである。例えば、第1カメラ41と第2カメラ42が遠く離れる場合、(n+2)枚目の第2画像T2とn枚目の第1画像T1がマッチングされることも可能である。
【0044】
本願の幾つかの実施例によれば、ずれ判定ステップ230において、図6に示すように、マッチングされた一組の第1画像T1と第2画像T2において、第1画像T1において、第1基準点A1から第1極片1の境界までの距離である第1距離d1を取得し、前記第2画像T2において、第2基準点A2から第2極片2の境界までの距離である第2距離d2を取得し、第1距離d1と第2距離d2の差から第1極片1の境界と第2極片2の境界とのデフォルト距離を差し引いて得られた差が第1閾値よりも大きい場合、電極アセンブリ100がずれたことを判定する。
【0045】
第1基準点A1と第2基準点A2の選択には制限がないが、第1基準点A1により確定される第1距離d1と第2基準点A2により確定される第2距離d2には、一定の対応関係が存在すればよい。これにより、第1距離d1と第2距離d2を比較することで、第1極片1と第2極片2の相対的位置関係を判定して、電極アセンブリ100が巻き付け時に位置ずれしたかを判定することができる。
【0046】
本願の幾つかの実施例によれば、ずれ判定ステップ230において、マッチングされた一組の第1画像T1と第2画像T2において、第1画像T1において、第1基準点A1から第1極片1の境界までの距離である第1距離d1を取得し、第2画像T2において、第2基準点A2から第2極片2の境界までの距離である第2距離d2を取得する。第1距離d1と第1距離のデフォルト値d1_refを比較することで、電極アセンブリ100の第1極片1がずれたかを判定し、第2距離d2と第2距離のデフォルト値d2_refを比較することで、電極アセンブリ100の第2極片2がずれたかを判定する。
【0047】
第1距離d1と第2距離d2をそれぞれデフォルト値と比較することにより、第1極片1と第2極片2が位置ずれしたかをそれぞれ判定することができる。位置ずれが発生したことを確定した場合、第1距離d1と第2距離d2間の関係の判定に比べ、どの極片が位置ずれしたかをより精確に判定することができる。
【0048】
まず、第1距離d1と第2距離d2間の関係を判定して、電極アセンブリ100が巻き付け時に位置ずれしたかを確定してもよい。電極アセンブリ100が巻き付け時に位置ずれしたことを確定する場合、第1距離d1と第1距離のデフォルト値d1_ref、及び第2距離d2と第2距離のデフォルト値d2_refの比較を行い、どの極片が位置ずれしたかをより正確に知る。電極アセンブリ100が巻き付け時に位置ずれしていないことを確定する場合、次のずれ判定を行う必要がない。これにより、ずれ判定の効率を向上することができる。
【0049】
本願の幾つかの実施例によれば、第1極片1と第2極片2とを含む電極アセンブリ100が巻き付けられる場合の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、電極アセンブリ100の巻き付け過程で、第1極片1を含む複数の第1画像T1と、第2極片2を含む複数の第2画像T2とを取得する画像取得ユニットと、同じ又は対応する、前記電極アセンブリ100の各巻き付け層の部分に周期的に形成される標識対象6を含む、一つの第1画像T1と一つの第2画像T2とをマッチングする画像マッチングユニットと、マッチングされた一組の第1画像T1と第2画像T2に対して、該第1画像における第1極片の境界及び/又は該第2画像における第2極片の境界に応じて、電極アセンブリ100がずれたかを判定するずれ判定ユニットと、を含むずれ検出装置を提供する。ずれ検出装置により、同一の巻き付け層における同じ位置の第1極片1と第2極片2間の相対的位置関係を判定でき、巻き付け過程で電極アセンブリ100が位置ずれしたかをより正確に判定することができる。
【0050】
本願の幾つかの実施例によれば、図1図6を参照して、本願は、画像取得ステップ210と、画像マッチングステップ220と、ずれ判定ステップ230と、を含むずれ検出方法200を提供する。
【0051】
画像取得ステップ210では、前記電極アセンブリ100の巻き付け過程で、巻付ニードル5がデフォルト角度αで回転する場合、撮影ユニット4により、巻き付け前の第1極片1を含む第1画像T1と、巻き付け後の第2極片2を含む第2画像T2とを取得する。
【0052】
画像マッチングステップ220では、(n+1)枚目の第2画像T2とn枚目の第1画像T1をマッチングすることにより、(n+1)枚目の第2画像T2における第2極片2とn枚目の第1画像T1が電極アセンブリ100における同一の巻き付け層にあり、一つの第1画像T1と一つの第2画像T2が同じ又は対応する標識対象6(第1タブ11及び/又は第2タブ22)を含むことを確保する。
【0053】
ずれ判定ステップ230では、まず、マッチングされた一組の第1画像T1と第2画像T2において標識対象6を識別し、標識対象6に応じて比較領域Sを確定することにより、ずれ判定された第1極片1の比較領域Sと第2極片2の比較領域Sが電極アセンブリ100における同一の巻き付け層の同じ領域であることを確定する。その後、比較領域において、第1基準点A1と第2基準点A2を定義することにより、第1距離d1(第1基準点A1と第1極片1の境界の距離)と第2距離d2(第2基準点A2と第2極片2の境界の距離)が得られる。d1とd2の距離の差を第1閾値と比較することで、電極アセンブリ100がずれたかを判定する。電極アセンブリ100がずれたことを判定する場合、さらに、d1と第1距離のデフォルト値d1_ref、及びd2と第2距離のデフォルト値d1_refを比較して、第1極片1と第2極片2においてどの極片がずれたかをより正確に判定する。
【0054】
最後に、本願は以上の実施例に限定されないことを説明すべきである。上記の実施例は例示的なものに過ぎず、本願の技術的手段の範囲で技術的思想と実質的に同様な構成を有し、同じ作用効果を発揮する実施例は全て本願の技術的範囲に含まれる。また、本願の趣旨を逸脱することなく、実施例に対して当業者が想到できる各種の変形を行い、実施例中の一部の構成要素を組み合わせて構築した他の態様も本願の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
100 電極アセンブリ
1 第1極片
11 第1タブ
2 第2極片
22 第2タブ
3 セパレータ
4 撮影ユニット
41 第1カメラ
42 第2カメラ
5 巻付ニードル
6 標識対象
α デフォルト角度
T1 第1画像
T2 第2画像
S 比較領域
A1 第1基準点
A2 第2基準点
d1 第1距離
d2 第2距離
200 ずれ検出方法
210 画像取得ステップ
220 画像マッチングステップ
230 ずれ判定ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6