(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品の製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20250326BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
A61F13/494 200
A61F13/15 351A
A61F13/15 371
A61F13/15 356
A61F13/15 391
(21)【出願番号】P 2023546899
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2022032708
(87)【国際公開番号】W WO2023037938
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2021145224
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】永田 一真
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-171421(JP,A)
【文献】特開2013-255624(JP,A)
【文献】特開2012-045317(JP,A)
【文献】特開2016-120993(JP,A)
【文献】特表2016-529967(JP,A)
【文献】特開2016-196370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0121334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/494
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケット材Pを形成するための第1連続ウェブW1を連続方向に搬送する工程と、
第1弾性部材F1を伸張させた状態で前記第1連続ウェブW1に配置してポケット用ウェブWpを生成する工程と、
前記ポケット用ウェブWpの先端部を次々と切断して、所定長のポケット材Pを得る切断工程と、
前記ポケット材Pの搬送方向が前記ポケット材Pの幅方向となるように前記ポケット材Pを旋回させて前記ポケット材Pの姿勢を変更する姿勢変更工程と、
互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を
リピッチドラムD2よって拡げるリピッチ工程と、
互いに離間して配置される伸展した状態の一対の立体ギャザーGを有するギャザー付ウェブW21が巻き掛けられた配置ドラムD3を回転させて前記ギャザー付ウェブW21を伸張状態で搬送する工程と、
前記リピッチドラムD2と前記配置ドラムD3との間で、前記リピッチドラムD2が搬送する前記ポケット材Pを
、前記配置ドラムが搬送する前記ギャザー付ウェブW21上に受け取り、前記ポケット材Pを前記ギャザー付ウェブW21の前記一対の立体ギャザーGに跨るように配置する配置工程とを備え、
ここにおいて、前記切断工程、前記姿勢変更工程および配置工程を
前記リピッチドラムD2及び前記配置ドラムD3を含む吸着ドラム上で行うことを特徴とする、使い捨て着用物品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ポケット用ウェブWpを生成する工程において、前記第1弾性部材F1を配置した前記第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインLに沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に前記第1弾性部材F1を挟むと共に、前記折り重ねた第1連続ウェブW1に前記第1弾性部材F1を接合することで、前記ポケット用ウェブWpを生成する、使い捨て着用物品の製造方法。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、
前記姿勢変更工程により、前記ポケット材Pの搬送方向が前記ポケット材Pの幅方向となるようにした後に、互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチ工程を行う、使い捨て着用物品の製造方法。
【請求項4】
伸長させた状態の第1弾性部材F1を配置した第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインLに沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に前記第1弾性部材F1を挟んでポケット用ウェブWpを生成する第1折り機H1と、
前記ポケット用ウェブWpの先端部を次々に切断してポケット材Pを生成するカッタCと、
前記カッタCで切断される前のポケット用ウェブWpを吸着保持すると共に前記カッタCで切断して生成されたポケット材Pを吸着保持し、更に、前記ポケット材Pの搬送方向が前記ポケット材Pの幅方向となるように、前記ポケット材Pを90°旋回させて、前記ポケット材Pの姿勢を変更するターンドラムD1と、
前記ターンドラムD1から前記ポケット材Pを吸着して次々に受け取って互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチドラムD2と、
第2弾性部材F2が伸張した状態で、伸展した状態の、
互いに離間して配置される一対の立体ギャザーGを有するギャザー付ウェブW21
が巻き掛けられ、巻き掛けられたギャザー付ウェブW21を伸張状態で吸着しながら搬送する
配置ドラムD3を備え、
前記配置ドラムD3は、前記リピッチドラムD2と前記配置ドラムD3との間で、前記リピッチドラムD2から
前記ポケット材Pを前記ギャザー付ウェブW21上に次々に受け取
る、使い捨て着用物品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漏れ防止用のポケットを有する使い捨て着用物品の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨て着用物品のウエスト部に横長のポケット材を配置して、ウエスト部からの排せつ物の漏れをポケットにより防止することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2000-513954(フロントページ)
【発明の概要】
【0004】
横長のポケット材には胴回り方向に伸縮する糸ゴムが配置されている。一方、着用物品の本体の一部を形成する立体ギャザーには縦方向に伸縮する糸ゴムが配置されている。したがって、両者を重ね合わせてポケット材を立体ギャザーの上に配置する際には、ポケット材にシワが生じるなどの不具合が生じ易い。
【0005】
しかし、上記文献には、ポケット材を配置するプロセスについては何ら開示されていない。
【0006】
したがって、本発明の目的はポケット材にシワが生じにくく、ポケット材を効率良く配置し得る使い捨て着用物品の製造方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明方法は、ポケット材Pを形成するための第1連続ウェブW1を連続方向に搬送する工程と、
第1弾性部材F1を伸張させた状態で前記第1連続ウェブW1に配置してポケット用ウェブWpを生成する工程と、
前記ポケット用ウェブWpの先端部を次々と切断して、所定長のポケット材Pを得る切断工程と、
前記ポケット材Pの搬送方向が前記ポケット材Pの幅方向となるように前記ポケット材Pを旋回させて前記ポケット材Pの姿勢を変更する姿勢変更工程と、
互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチ工程と、
前記ポケット材Pを一対の立体ギャザーGに跨るように配置する配置工程とを備え、
ここにおいて、前記切断工程、前記姿勢変更工程および配置工程を吸着ドラム上で行うことを特徴とする。
【0008】
一方、本発明装置は、伸長させた状態の第1弾性部材F1を配置した第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインLに沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に前記第1弾性部材F1を挟んでポケット用ウェブWpを生成する第1折り機H1と、
前記ポケット用ウェブWpの先端部を次々に切断してポケット材Pを生成するカッタCと、
前記カッタCで切断される前のポケット用ウェブWpを吸着保持すると共に前記カッタCで切断して生成されたポケット材Pを吸着保持し、更に、前記ポケット材Pの搬送方向が前記ポケット材Pの幅方向となるように、前記ポケット材Pを90°旋回させて、前記ポケット材Pの姿勢を変更するターンドラムD1と、
前記ターンドラムD1から前記ポケット材Pを吸着して次々に受け取って互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチドラムD2と、
第2弾性部材F2が伸張した状態で伸展した状態の立体ギャザーGを有するギャザー付ウェブW21を伸張状態で吸着しながら搬送すると共に、前記リピッチドラムD2からポケット材Pを前記ギャザー付ウェブW21上に次々に受け取る配置ドラムD3とを備える。
【0009】
本発明によれば、ポケット材の生成および配置を吸着ドラム上で行うので、弾性部材が伸張した状態を維持し易い。したがって、ポケット材にシワが生じにくく、効率の良い配置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明方法の一実施形態を示す概念図である。
【
図2】本発明装置の一実施形態を示す概略レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみに基づいて定められる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0012】
以下、本発明の実施形態が図面にしたがって説明される。
図1~
図2は1つの実施形態を示す。まず、製造方法について説明する。
【0013】
図1に示すように、ポケット材Pを形成するための第1連続ウェブW1を連続方向に搬送しながら、第1弾性部材F1を伸張させた状態で第1連続ウェブW1に配置してポケット用ウェブWpを生成する。
この際、第1弾性部材F1を配置した第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインLに沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に第1弾性部材F1を挟むと共に、折り重ねた第1連続ウェブW1に第1弾性部材F1を接合することで、ポケット用ウェブWpを生成する。
【0014】
この生成後、次の切断工程において、ポケット用ウェブWpの先端部を次々と切断して、所定長のポケット材Pを得る。この切断工程の後に次の姿勢変更工程および配置工程を実行する。
【0015】
姿勢変更工程では、ポケット材Pの搬送方向がポケット材Pの幅方向となるようにポケット材Pを90°旋回させてポケット材Pの姿勢を変更する。この後、リピッチ工程において、互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を着用物品の単位に見合うように拡げる。
【0016】
本例の場合、姿勢変更工程により、ポケット材Pの搬送方向をポケット材Pの幅方向となるようにした後に、互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチ工程を行う。
なお、リピッチ工程の後に、姿勢変更工程を実行してもよい。
【0017】
その後、このポケット材Pが一対の立体ギャザーGを有するギャザー付ウェブW21上に配置される配置工程が実行される。ギャザー付ウェブW21は搬送方向に連続した一対の立体ギャザーGを有している。
各立体ギャザーGは折られたウェブの部位に第2弾性部材F2を有しており、周知のように、着用時に起立して排せつ物の横漏れを抑制する。
【0018】
前記配置後、各ポケット材Pを覆うように、ギャザー付ウェブW21の中心に沿って第3連続ウェブW3が配置されて着用物品の本体の一部となる連続した積層体W4が生成される。
【0019】
前記切断工程、姿勢変更工程および配置工程は、以下に説明するように、
図2の3つのドラムD1~D3上で行なわれる。以下、製造装置の一例について説明する。
【0020】
図2において、第1折り機H1には第1連続ウェブW1および第1弾性部材F1が導入される。第1折り機H1は第1弾性部材F1を配置した第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインL(
図1)に沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に第1弾性部材F1を挟んでポケット用ウェブWpを生成する。
【0021】
ポケット用ウェブWpは、搬送コンベヤCVにより一定速度で搬送されターンドラムD1上に導入される。ターンドラムD1は複数のアンビルおよびパッドを有し、このターンドラムD1上において、カッタCがポケット用ウェブWpの先端部を次々に切断してポケット材P(
図1)が次々に生成される。
【0022】
このターンドラムD1は周知の構造で、前記切断後、パッドの姿勢を90°旋回する。すなわち、ターンドラムD1はカッタCで切断される前のポケット用ウェブWpを吸着保持すると共にカッタCで切断して生成されたポケット材Pを吸着保持し、更に、ポケット材Pの搬送方向がポケット材Pの幅方向となるように、ポケット材Pを90°旋回させてポケット材Pの姿勢を変更する。かかるターンドラムD1としては、WO 2005/075163 A1に開示されたドラムがあり、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0023】
リピッチドラムD2は、ターンドラムD1からポケット材Pを吸着して次々に受け取って互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げる。かかるリピッチドラムD2としては、WO 01/44086 A1に開示されたドラムがあり、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0024】
一方、第2折り機H2には、第2連続ウェブW2および第2弾性部材F2が導入され、第2連続ウェブW2を折ると共に、折った部位に第2弾性部材F2を配置して、
図1のギャザー付ウェブW21を生成する。生成されたギャザー付ウェブW21は
図2の配置ドラムD3に連続的に導入される。
【0025】
前述のリピッチされたポケット材Pは配置ドラムD3で搬送中のギャザー付ウェブW21上に配置される。すなわち、配置ドラムD3は伸展した状態の立体ギャザーG(
図1)を有するギャザー付ウェブW21を伸張状態で吸着しながら搬送すると共に、前記ギャザー付ウェブW21上にポケット材Pをギャザー付ウェブW21を介して次々に受け取る。こうして、各着用物品の単位ごとにポケット材Pが配置された積層体W4が得られる。
【0026】
なお、積層体W4には
図2の配置ドラムD3に導入された第3連続ウェブW3が更に積層されてもよい。
【0027】
ところで、
図2のリピッチドラムD2は、複数のパッドを有し、各パッドごとに対応したサーボモータで各パッドの周速度が変速されて、各パッドで受け取ったポケット材をリピッチする構造であってもよい。この場合、物品のサイズに応じて隣り合うポケット材の間隔を拡げることができる。なお、かかるサーボモータを用いたリピッチドラムとしては特開2013-255624(
図2)に開示されたドラムがあり、ここにその記述の全てが組み込まれる。
【0028】
以上の実施形態には以下の発明が含まれる。
【0029】
好ましい製造方法においては、前記ポケット用ウェブWpを生成する工程において、前記第1弾性部材F1を配置した前記第1連続ウェブW1を搬送方向に沿った仮想の折りラインLに沿って折ることで折り重ねて、この折り重ねた第1連続ウェブW1の間に前記第1弾性部材F1を挟むと共に、前記折り重ねた第1連続ウェブW1に前記第1弾性部材F1を接合することで、前記ポケット用ウェブWpを生成する。
【0030】
この場合、第1弾性部材F1による収縮力がポケット材Pに作用するが、吸着ドラム上でポケット材Pが搬送され、受け渡しされるので、ポケット材Pが第1弾性部材F1により縮むことなく、立体ギャザーGに配置される。そのため、ポケット材Pにシワが生じにくく、効率の良い配置を行うことができる。
【0031】
別の好ましい製造方法においては、前記姿勢変更工程により、前記ポケット材Pの搬送方向を前記ポケット材Pの幅方向となるようにした後に、互いに隣り合うポケット材P同士の間隔を拡げるリピッチ工程を行う。
【0032】
搬送方向に長いポケット材Pを90°旋回させて姿勢を変更させることで、搬送方向の長さが小さくなり、リピッチドラムの径が小さくなる。
【0033】
前記姿勢変更工程の後にリピッチ工程を行う場合、リピッチターンドラムにより姿勢変更を行うと共に若干のリピッチを行い、更に別のリピッチドラムによりポケット材同士の間隔を大きく拡げてもよい。
【0034】
1つの実施態様または好ましい各実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様において同一または類似な形で、および/または他の実施態様と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0035】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、ポケット材を1つの着用物品の前胴と後胴の双方に設けてもよい。
また、ターンドラムにおいてパッドとアンビルは別体である必要はなく、パッドの下流端または上流端にアンビルを一体に設けてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は使い捨て着用物品の製造方法および製造装置に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
H1:第1折り機
D1:ターンドラム
D2:リピッチドラム
D3:配置ドラム
H2:第2折り機
C:カッタ
CV:搬送コンベヤ
G:立体ギャザー
W1:第1連続ウェブ
F1:第1弾性部材
Wp:ポケット用ウェブ
P:ポケット材
L:折りライン
W2:第2連続ウェブ
F2:第2弾性部材
W21:ギャザー付ウェブ
W3:第3連続ウェブ
W4:積層体