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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】樹脂カス除去装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/27 20190101AFI20250327BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20250327BHJP
   B29C 48/32 20190101ALI20250327BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20250327BHJP
   B29C 48/265 20190101ALI20250327BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
B29C48/27
B29C48/305
B29C48/32
B29C48/92
B29C48/265
B29C49/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021152498
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2022113633
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2024-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2021009650
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021078004
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-032610(JP,A)
【文献】特表2014-520005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00 - 48/96
B29C 49/00 - 49/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形装置のダイの下面に付着した樹脂カスを除去する樹脂カス除去装置であって、
移動手段と、樹脂カス除去ヘッドとを備え、
前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを前記ダイの直下から外れた側方位置と前記直下である直下位置との間で移動させるとともに、前記直下位置において、前記下面から離間する離間位置と、前記下面に近接する近接位置との間で移動させるよう構成され、
前記樹脂カス除去ヘッドは、前記下面に沿って移動することにより前記下面に付着した樹脂カスを除去可能に構成され、
前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドをその先端側で支持する支持アームを備えるとともに、下記(1)、(2)の少なくとも1つの構成を備える、樹脂カス除去装置。
(1)前記支持アームが水平方向に移動することで、前記樹脂カス除去ヘッドを前記側方位置と前記直下位置との間で移動させる構成。
(2)前記支持アームがシーソー状に揺動することで、前記樹脂カス除去ヘッドを前記離間位置と前記近接位置との間で移動させる構成。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記移動手段は、ガイド手段と、スライド部材と、直線駆動手段とを備え、
前記支持アームは前記スライド部材に支持されており、
前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで、前記樹脂カス除去ヘッドが前記直下位置と前記側方位置との間で移動する、樹脂カス除去装置。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記ガイド手段は、前記側方位置において前記ダイに向かって延びており、
前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで前記支持アームが前進及び後退して、前記樹脂カス除去ヘッドが前記直下位置と前記側方位置との間で移動する、樹脂カス除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記スライド部材は、前記支持アームを軸支する支持軸と、前記支持アームを押圧する押圧部とを備え、
前記支持アームは、前記支持軸を挟んで前記樹脂カス除去ヘッドとは反対側の位置に被押圧部を備えており、
前記スライド部材のスライドに伴って前記支持アームが前進した際に、前記押圧部が前記被押圧部を上方から下方に向かって押圧することで、前記支持アームが前記支持軸を中心にシーソー状に揺動する、樹脂カス除去装置。
【請求項5】
請求項4に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記押圧部は、前記ガイド手段を支持する支持フレームに設置されたローラであり、
前記被押圧部は、その上面が前記支持アームの後端側に向かうにつれて上がるよう傾斜するカムであって、
前記スライド部材のスライドに伴って前記支持アームが前進すると、前記ローラが前記上面に当接して当該カムを上方から下方に向かって押圧する、樹脂カス除去装置。
【請求項6】
成形装置のダイの下面に付着した樹脂カスを除去する樹脂カス除去装置であって、
移動手段と、樹脂カス除去ヘッドとを備え、
前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを前記ダイの直下から外れた側方位置と前記直下である直下位置との間で移動させるとともに、前記直下位置において、前記下面から離間する離間位置と、前記下面に近接する近接位置との間で移動させるよう構成され、
前記樹脂カス除去ヘッドは、前記下面に沿って移動することにより前記下面に付着した樹脂カスを除去可能に構成され、
前記成形装置は、円筒状のパリソンを押し出すものであって、前記ダイの下面には、前記円筒状のパリソンを押出可能な円環状のスリットが形成されており、
前記樹脂カス除去ヘッドは、樹脂カス除去部材と、除去駆動手段とを備え、
前記樹脂カス除去部材は、前記下面と対向する対向面を備え、
前記除去駆動手段の駆動により、前記樹脂カス除去部材は、前記対向面が前記スリットに沿って移動するよう回転する、樹脂カス除去装置。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記樹脂カス除去部材は、自転可能に支持された柱状部材である、樹脂カス除去装置。
【請求項8】
請求項6に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記樹脂カス除去部材は、前記回転方向に刃状部を有する除去ブレードである、樹脂カス除去装置。
【請求項9】
請求項2に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記成形装置は、シート状の樹脂シートを押し出すものであって、前記ダイの下面には、前記樹脂シートを押出可能な直線状のスリットが形成されており、
前記ガイド手段は、前記スリットの長手方向に沿って配置されており、
前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで前記支持アームがスライドして、前記樹脂カス除去ヘッドが前記側方位置と前記直下位置との間で移動し、さらに前記スリットに沿って移動する、樹脂カス除去装置。
【請求項10】
請求項9に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記スライド部材は、前記支持アームを軸支する支持軸を備え、
前記移動手段は、前記支持アームを前記支持軸を中心にシーソー状に揺動させる揺動駆動手段を備えている、樹脂カス除去装置。
【請求項11】
請求項10に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記移動手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記樹脂カス除去ヘッドが前記離間位置にある状態で前記直線駆動手段により前記樹脂カス除去ヘッドを前記直下位置における前記側方位置から最も離れた位置に移動させ、次いで、前記揺動駆動手段により前記支持アームを揺動させて前記樹脂カス除去ヘッドを前記近接位置に移動させ、その後、前記樹脂カス除去ヘッドが前記近接位置にある状態で前記直線駆動手段により前記樹脂カス除去ヘッドを前記スリットに沿って前記側方位置に向かって移動させる、樹脂カス除去装置。
【請求項12】
成形装置のダイの下面に付着した樹脂カスを除去する樹脂カス除去装置であって、
移動手段と、樹脂カス除去ヘッドとを備え、
前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを前記ダイの直下から外れた側方位置と前記直下である直下位置との間で移動させるとともに、前記直下位置において、前記下面から離間する離間位置と、前記下面に近接する近接位置との間で移動させるよう構成され、
前記樹脂カス除去ヘッドは、前記下面に沿って移動することにより前記下面に付着した樹脂カスを除去可能に構成され、
前記樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを清掃する清掃手段を備える、樹脂カス除去装置。
【請求項13】
請求項12に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを冷却する冷却手段を備える、樹脂カス除去装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドが前記側方位置に移動した際に当該樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを擦り取るベロである、樹脂カス除去装置。
【請求項15】
請求項12又は請求項13に記載の樹脂カス除去装置であって、
前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドに沿って移動して当該樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを擦り取る清掃部材と、前記清掃部材に向かってエアを噴出するエア噴出手段とを備える、樹脂カス除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置のダイに付着した樹脂カスを除去する樹脂カス除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形装置から押し出されたパリソンをブロー成形することで、成形体を製造する技術がある。例えば、特許文献1には、成形装置のダイ(ダイス)に形成されたスリットから円筒状のパリソンを押し出して垂下させ、これを金型内でブロー成形することで中空成形品を得る方法が開示されている。また、特許文献2には、一対の成形装置のTダイから樹脂シートを押し出して垂下させ、芯材とともに金型で型締めして樹脂製パネルを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-214815号公報
【文献】特開2019-098560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溶融状態の樹脂がダイのスリットから押し出された後、スリット近傍に樹脂が残留し、これが樹脂カスとして成形装置に付着することで、成形に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、成形装置のダイの下面に付着した樹脂カスを適切に除去することの可能な樹脂カス除去装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、成形装置のダイの下面に付着した樹脂カスを除去する樹脂カス除去装置であって、移動手段と、樹脂カス除去ヘッドとを備え、前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを前記ダイの直下から外れた側方位置と前記直下である直下位置との間で移動させるとともに、前記直下位置において、前記下面から離間する離間位置と、前記下面に近接する近接位置との間で移動させるよう構成され、前記樹脂カス除去ヘッドは、前記下面に沿って移動することにより前記下面に付着した樹脂カスを除去可能に構成される、樹脂カス除去装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、移動手段が樹脂カス除去ヘッドを側方位置と直下位置、離間位置と近接位置の間でそれぞれ移動させるよう構成されていることから、ダイの下面に付着した樹脂を、ダイを損傷させることなく除去することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記移動手段は、前記樹脂カス除去ヘッドをその先端側で支持する支持アームを備えるとともに、下記(1)、(2)の少なくとも1つの構成を備える。(1)前記支持アームが水平方向に移動することで、前記樹脂カス除去ヘッドを前記側方位置と前記直下位置との間で移動させる構成。(2)前記支持アームがシーソー状に揺動することで、前記樹脂カス除去ヘッドを前記離間位置と前記近接位置との間で移動させる構成。
【0010】
好ましくは、前記移動手段は、ガイド手段と、スライド部材と、直線駆動手段とを備え、前記支持アームは前記スライド部材に支持されており、前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで、前記樹脂カス除去ヘッドが前記直下位置と前記側方位置との間で移動する。
【0011】
好ましくは、前記ガイド手段は、前記側方位置において前記ダイに向かって延びており、前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで前記支持アームが前進及び後退して、前記樹脂カス除去ヘッドが前記直下位置と前記側方位置との間で移動する。
【0012】
好ましくは、前記スライド部材は、前記支持アームを軸支する支持軸と、前記支持アームを押圧する押圧部とを備え、前記支持アームは、前記支持軸を挟んで前記樹脂カス除去ヘッドとは反対側の位置に被押圧部を備えており、前記スライド部材のスライドに伴って前記支持アームが前進した際に、前記押圧部が前記被押圧部を上方から下方に向かって押圧することで、前記支持アームが前記支持軸を中心にシーソー状に揺動する。
【0013】
好ましくは、前記押圧部は、前記ガイド手段を支持する支持フレームに設置されたローラであり、前記被押圧部は、その上面が前記支持アームの後端側に向かうにつれて上がるよう傾斜するカムであって、前記スライド部材のスライドに伴って前記支持アームが前進すると、前記ローラが前記上面に当接して当該カムを上方から下方に向かって押圧する。
【0014】
好ましくは、前記成形装置は、円筒状のパリソンを押し出すものであって、前記ダイの下面には、前記円筒状のパリソンを押出可能な円環状のスリットが形成されており、前記樹脂カス除去ヘッドは、樹脂カス除去部材と、除去駆動手段とを備え、前記樹脂カス除去部材は、前記下面と対向する対向面を備え、前記除去駆動手段の駆動により、前記樹脂カス除去部材は、前記対向面が前記スリットに沿って移動するよう回転する。
【0015】
好ましくは、前記樹脂カス除去部材は、自転可能に支持された柱状部材である。
【0016】
好ましくは、前記樹脂カス除去部材は、前記回転方向に刃状部を有する除去ブレードである。
【0017】
好ましくは、前記成形装置は、シート状の樹脂シートを押し出すものであって、前記ダイの下面には、前記樹脂シートを押出可能な直線状のスリットが形成されており、前記ガイド手段は、前記スリットの長手方向に沿って配置されており、前記直線駆動手段の駆動により前記スライド部材が前記ガイド手段に沿ってスライドすることで前記支持アームがスライドして、前記樹脂カス除去ヘッドが前記側方位置と前記直下位置との間で移動し、さらに前記スリットに沿って移動する。
【0018】
好ましくは、前記スライド部材は、前記支持アームを軸支する支持軸を備え、
前記移動手段は、前記支持アームを前記支持軸を中心にシーソー状に揺動させる揺動駆動手段を備えている。
【0019】
好ましくは、前記移動手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記樹脂カス除去ヘッドが前記離間位置にある状態で前記直線駆動手段により前記樹脂カス除去ヘッドを前記直下位置における前記側方位置から最も離れた位置に移動させ、次いで、前記揺動駆動手段により前記支持アームを揺動させて前記樹脂カス除去ヘッドを前記近接位置に移動させ、その後、前記樹脂カス除去ヘッドが前記近接位置にある状態で前記直線駆動手段により前記樹脂カス除去ヘッドを前記スリットに沿って前記側方位置に向かって移動させる。
【0020】
好ましくは、前記樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを清掃する清掃手段を備える。
【0021】
好ましくは、前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドを冷却する冷却手段を備える。
【0022】
好ましくは、前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドが前記側方位置に移動した際に当該樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを擦り取るベロである。
【0023】
好ましくは、前記清掃手段は、前記樹脂カス除去ヘッドに沿って移動して当該樹脂カス除去ヘッドに付着した樹脂カスを擦り取る清掃部材と、前記清掃部材に向かってエアを噴出するエア噴出手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂カス除去装置1と、これを使用して樹脂カスを除去する成形装置100との位置関係を示す模式図である。
図2図1の樹脂カス除去装置1の拡大側面図である。
図3図3Aは、図1の樹脂カス除去装置1の樹脂カス除去ヘッド4の正面図であり、図3Bは、図3AのL部拡大図である。
図4図4A及び図4Bは、図1の樹脂カス除去ヘッド4の回転駆動動作を示す説明図である。
図5図5Aは、図1の樹脂カス除去装置1の樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2且つ離間位置Z1にある様子を示す模式図であり、図5Bは、同樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2且つ近接位置Z2にある様子を示す模式図である。
図6図6A及び図6Bは、図1の樹脂カス除去装置1の支持アーム34の揺動動作を示す説明図である。
図7図7は、支持フレーム2に取り付けられた清掃手段5(ベロ51)を示す拡大図である。
図8図8A及び図8Bは、本発明の第1実施形態の変形例1-1に係る樹脂カス除去装置1の動作を模式的に示す説明図である。
図9図9A及び図9Bは、本発明の第1実施形態の変形例1-2に係る樹脂カス除去装置1の動作を模式的に示す説明図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る樹脂カス除去装置1と、これを使用して樹脂カスを除去する成形装置100との位置関係を示す側面図である。
図11図10の樹脂カス除去装置1と成形装置100の位置関係を示す平面図である。
図12図10の樹脂カス除去装置1の斜視図である。
図13図10の樹脂カス除去装置1の側面図である。
図14図10の樹脂カス除去装置1の樹脂カス除去ヘッド4を示す斜視図である。
図15図13のA-A線断面図である。
図16図16Aは、図10の樹脂カス除去装置1の清掃手段5の配置を示す側面図であり、図16Bは、清掃手段5の配置を示す平面図である。
図17図17A図17Dは、図10の樹脂カス除去装置1の樹脂カス除去ヘッド4が成形装置100のダイ101に沿って移動する様子を示す説明図である。
図18図18Aは、図10の樹脂カス除去装置1の樹脂カス除去ヘッド4が側方位置X1且つ離間位置Z1にある様子を示す模式図であり、図18Bは、同樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2且つ近接位置Z2にある様子を示す模式図である。
図19】ダイ101の下面102の後縁に突出部102aがある様子を示す説明図である。
図20図20A及び図20Bは、図10の樹脂カス除去装置1の清掃手段5が樹脂カス除去ヘッド4に付着した樹脂カスRを除去する様子を示す側面図である。
図21図21A及び図21Bは、図10の樹脂カス除去装置1の清掃手段5が樹脂カス除去ヘッド4に付着した樹脂カスRを除去する様子を示す平面図である。
図22】本発明の第2実施形態の変形例2-1に係る樹脂カス除去装置1と、これを使用して樹脂カスを除去する成形装置100との位置関係を示す側面図である。
図23】本発明の第2実施形態の変形例2-2に係る樹脂カス除去装置1の動作を模式的に示す説明図である。
図24図24Aは、本発明の第1実施形態の変形例1-3に係る樹脂カス除去装置1の支持アーム34及び樹脂カス除去ヘッド4を示す平面図であり、図24Bは、図24Aの樹脂カス除去ヘッド4の回転プレート41に取付部材41bを介して取り付けられる除去ブレード142を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0026】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る樹脂カス除去装置1は、図1及び図2に示すように、支持フレーム2と、移動手段3と、樹脂カス除去ヘッド4とを備える。樹脂カス除去装置1は、図1に示すように、樹脂カス除去ヘッド4により成形装置100のダイ101の下面102に付着した樹脂カスを除去するものである。
【0027】
ここで、本実施形態の樹脂カス除去装置1が使用される成形装置100は、ダイ101に形成された円環状のスリット(図示せず)から円筒状の溶融樹脂103(円筒パリソン)を押し出して垂下させるものである。垂下させた溶融樹脂103を一対の金型104内でブロー成形することで、中空成形品が得られる。そして、樹脂カスは、基本的には、円筒状の溶融樹脂103が型締めの際にダイ101側と金型104側に分離した後、ダイ101側に残存したものによって生じるものである。以下、樹脂カス除去装置1の各構成を詳細に説明する。
【0028】
なお、以下の説明においては、樹脂カス除去ヘッド4がスライド移動する方向を前後方向とし、樹脂カス除去ヘッド4が成形装置100に向かって進む方向を前方向とする(図1参照)。また、前後方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向とする(図3A及び図4A参照)。なお、本実施形態において、前後方向は、図1に示すように、金型104の型閉じ・型開き方向と一致する。
【0029】
1.1 樹脂カス除去装置1の構成
<支持フレーム2>
支持フレーム2は、図2に示すように、側面視が略コの字形状をなすコの字フレーム21と、当該コの字フレーム21の幅方向両側に設けられる一対の側面フレーム22とを備える。コの字フレーム21は、上フレーム21aと、後フレーム21bと、下フレーム21cとを備え、図2に示すように、上フレーム21aに対して、下フレーム21cのほうが長くなっている。
【0030】
側面フレーム22は、上フレーム21aの前端近傍の位置において、上フレーム21a及び下フレーム21cに取り付けられる。各側面フレーム22の内側には、図6A及び図6Bにも示すように、支持アーム34を押圧する押圧部としてのローラ23が2つずつ設けられる。なお、ローラ23の数は、2つずつであることに限られるものではない。また、一対の側面フレーム22は、コの字フレーム21の上方から前方に向かって延びる清掃手段5を支持している。清掃手段5は、その先端に、樹脂カス除去ヘッド4の柱状部材42に付着した樹脂カスを擦り取るベロ51を備えている。
【0031】
なお、支持フレーム2自体は、例えば、成形装置100とともに吊り下げ支持される。
【0032】
<移動手段3>
移動手段3は、図1図5A及び図5Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド4を、成形動作と干渉しないダイ101の直下から外れた位置と、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスを除去可能な位置との間で移動させるものである。移動手段3は、具体的には、図2に示すように、ガイド手段としてのレール部材31と、スライド部材32と、直線駆動手段としてのロッドレスシリンダ33と、支持アーム34とを備える。これらの構成を備える移動手段3は、支持フレーム2に支持される。
【0033】
レール部材31は、支持フレーム2の下フレーム21cの上面に前後方向に亘って、平行に左右一対配置される。各レール部材31はそれぞれ、ガイドブロック36を介してスライド部材32をスライド可能に支持する。また、各レール部材31は、ダイ101の側方位置X1(図1参照)において当該ダイ101に向かって延びている。言い換えると、各レール部材31は、ダイ101に形成された円環状のスリット(図示せず)の法線方向に沿って延びている。
【0034】
スライド部材32は、図2に示すように、側面視が略コの字形状をなし、支持フレーム2のコの字フレーム21の内側に沿うように配置される。スライド部材32は、上板部32aと、後板部32bと、下板部32cとを備える。下板部32cの上面であって前方の位置には、支持アーム34を支持する支持軸35が配置される。また、下板部32cの下面には、一対のレール部材31のそれぞれと対応する位置であって、下板部32cの前端部及び後端部の各位置に、レール部材31に対してスライド可能なガイドブロック36が取り付けられている。一方、上板部32aの下面であって後方の位置には、支持アーム34の揺動を規制する揺動規制部37が設けられる。
【0035】
ロッドレスシリンダ33は、スライドブロック33aと、ガイド部材としてのガイドレール33bとを備える。スライドブロック33aは、スライド部材32の上板部32aの上部に固定される。ガイドレール33bは、支持フレーム2の上板の下部にスライド方向に亘って設けられる。そして、スライドブロック33aがガイドレール33bに沿って移動することで、スライド部材32がレール部材31に沿ってスライドするよう構成される。
【0036】
ロッドレスシリンダ33は、マグネット式であってもよく、エア式であっても良い。また、本実施形態では、設置面積の削減のため、直動駆動手段としてロッドレスシリンダを用いているが、スライド部材32を往復駆動可能であれば、電動シリンダやエアシリンダ等を用いても良い。
【0037】
支持アーム34は、図3A図4A及び図4Bにも示すように、断面形状が略矩形をなす細長い板状の部材である。支持アーム34は、成形装置100側の端部である前端部34aにおいて樹脂カス除去ヘッド4を支持している。支持アーム34は、スライド部材32に設置された左右方向に延びる支持軸35に軸支されており、支持軸35を中心としてシーソー状に揺動可能となっている。また、図2に示すように、支持アーム34の左右の側面であって、支持軸35に軸支される位置よりも後方側の位置には、側面フレーム22に設けられたローラ23によって押圧される被押圧部としてのカム38が設けられている。カム38は、図6A及び図6Bに示すように、その上面が支持アーム34の後端側に向かうにつれて上がるよう傾斜した傾斜面38aとなっている。
【0038】
<樹脂カス除去ヘッド4>
樹脂カス除去ヘッド4は、図2及び図3A図4Bに示すように、回転プレート41と、樹脂カス除去部材としての一対の柱状部材42と、除去駆動手段43とを備える。本実施形態の樹脂カス除去ヘッド4は、成形装置100のダイ101の直下位置X2において回転プレート41を回転させることで、一対の柱状部材42によってダイ101の下面102に付着した樹脂カスを除去可能に構成される。
【0039】
回転プレート41は、断面形状が略矩形をなす細長い板状の部材である。回転プレート41は、支持アーム34の前端部34aに配置され、回転シャフト44を介して支持アーム34に支持される。
【0040】
一対の柱状部材42は、回転プレート41の両端部から上方に向かって延びる軸41aに回転可能(自転可能)に支持される。各柱状部材42は、円柱状をなし、その軸心が上下方向を向くよう配置される。これにより、柱状部材42の円形の上面は、ダイ101の下面102と対向する対向面42aとなる(図3B参照)。柱状部材42の材質としては、柔らかい金属を用いることが好ましく、例えば、真鍮製とされる。柔らかい金属を用いることにより、万が一ダイ101と接触した場合にも、ダイ101の損傷を防止することができる。また、柱状部材42の上縁は、図3Bに示すように、逆テーパ状に拡径した拡径部42bとなっている。加えて、一対の柱状部材42の中心間の距離は、ダイ101に形成された円環状のスリットの直径(言い換えると、成形装置100から垂下される円筒状の溶融樹脂103の直径)と略同一とされている。
【0041】
除去駆動手段43は、回転プレート41を支持アーム34の前端部34aにおいて回転させるよう構成される。除去駆動手段43は、図3A及び図4A図4Bに示すように、回転シャフト44と、前端側プーリ45と、後端側プーリ46と、チェーン47と、ロッドレスシリンダ48とを備える。
【0042】
回転シャフト44は、図3Aに示すように、その上端側に回転プレート41が固定されており、回転シャフト44と回転プレート41とが一体回転するよう構成される。また、回転シャフト44の下端側には、前端側プーリ45が相対回転不能に嵌合される。前端側プーリ45は、支持アーム34の前端部34aの下方に配置され、前端側カバー34b(図2も参照)に覆われている。なお、前端側プーリ45と回転シャフト44の間に、増速又は減速のためのギヤを設けても良い。
【0043】
後端側プーリ46は、支持アーム34の後端部34dの下方に配置され、回転軸49を介して支持アーム34に支持されている。後端側プーリ46は、後端側カバー34c(図2参照)に覆われている。また、前端側プーリ45と後端側プーリ46には、1本のチェーン47が掛け回されている。チェーン47の両端は、それぞれロッドレスシリンダ48のスライドブロック48bに連結されており、環状構造を形成している。
【0044】
ロッドレスシリンダ48は、図4A及び図4Bに示すように、支持板48a(図2も参照)と、スライドブロック48bと、ガイドレール48cとを備える。支持板48aは、その長手方向が前後方向に沿うよう配置され、支持アーム34に取り付けられる。支持板48aは、ガイドレール48cを支持する。スライドブロック48bは、ガイドレール48cに支持され、ガイドレール48cに沿って移動可能とされる。スライドブロック48bは、その一端側にチェーン47の一端が連結され、その他端側にチェーン47の他端が連結されている。ガイドレール48cは、支持板48aの長手方向に沿って、すなわち前後方向に沿って配置される。そして、スライドブロック48bがガイドレール48cに沿って後方向及び前方向に移動することで、チェーン47が移動し、これに連動して前端側プーリ45及び後端側プーリ46が時計周り及び反時計周りに回転するようになっている(図4A及び図4B参照)。
【0045】
なお、ロッドレスシリンダ48は、マグネット式であってもよく、エア式であっても良い。また、チェーン47を移動可能であれば、電動シリンダやエアシリンダ等を用いても良い。
【0046】
1.2 樹脂カス除去装置1の動作
次に、図4A図6Bを参照して、上記構成の樹脂カス除去装置1の動作、具体的には、樹脂カス除去ヘッド4を移動させる除去ヘッド移動動作と、樹脂カス除去ヘッド4による樹脂カス除去動作について説明する。なお、これらの動作は、成形装置100のダイ101のスリット(図示せず)から溶融状態の溶融樹脂103が押し出された後、スリットからの溶融樹脂103の垂下が途切れているタイミングで行われる。より具体的には、例えば、金型104が型閉じされた後であって、型締め後の成形体を取り出す取り出し機(図示せず)が金型104の上部にはみ出した溶融樹脂103を挟み込んだタイミングで樹脂カス除去装置1を動作させる。また、これらの動作は、金型104を型締めする度に毎回行うことが好ましいが、所定の回数ごとに行うことや、ユーザの指示に従って行う構成としても良い。
【0047】
なお、樹脂カス除去装置1の各動作は、図示しない制御手段によって制御される。制御手段は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。また、情報処理装置により構成された制御手段の上述した各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0048】
<除去ヘッド移動動作>
本実施形態の樹脂カス除去装置1において、移動手段3は、図1及び図5Aに示すように、樹脂カス除去ヘッド4を、ダイ101の直下から外れた側方位置X1とダイ101の直下である直下位置X2との間で移動させる。また、移動手段3は、図5A及び図5Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド4を、上記直下位置X2において、ダイ101の下面102から離間する離間位置Z1と、下面102に近接する近接位置Z2との間で移動させる。
【0049】
なお、本実施形態において、「直下位置X2」とは、ダイ101の側面を下方に延長してできる筒の内部の位置を示す。また、樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2にあるとは、樹脂カス除去ヘッド4の回転シャフト44が当該筒内に位置することを示すものとする。以下、移動手段3による除去ヘッドの移動動作を具体的に説明する。
【0050】
本実施形態の樹脂カス除去装置1は、樹脂カス除去動作を行わないときには、図1に示すように、樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1に退避させ、成形装置100による成形動作と干渉しない位置で待機させる。なお、この状態において、移動手段3の支持アーム34は、図2及び図6Aに示すように、その後端部34dが揺動規制部37(図2参照)に当接することによって、揺動、具体的には、支持軸35を中心とした後端部34dが上がる方向の回転が規制されている。そして、この状態において、支持アーム34は、前端部34aが下になるようわずかに傾斜している。
【0051】
この状態から、樹脂カスの除去のため樹脂カス除去ヘッド4を移動させるには、移動手段3のロッドレスシリンダ33を駆動させる。具体的には、ロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aをガイドレール33bに沿って前方へスライドさせる。すると、スライドブロック33aのスライドに伴ってスライド部材32がレール部材31に沿って前方へスライドし、スライド部材32に支持される支持アーム34が前進する。そして、支持アーム34が前進することで、その前端部34aに支持された樹脂カス除去ヘッド4が側方位置X1から直下位置X2に向かって移動する。
【0052】
図5Aは、樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2まで移動した様子を示している。図5Aの段階では、樹脂カス除去ヘッド4の中心、すなわち回転シャフト44はダイ101の中心の直下まで到達していない。そして、樹脂カス除去ヘッド4が側方位置X1から図5Aに示す直下位置X2に至るまで、前端部34aが下になるよう傾斜したままである。
【0053】
図5Aの状態からさらに移動手段3のロッドレスシリンダ33を駆動させると、図6A図6Bに示すように、支持アーム34が前進し、支持アーム34に設けられたカム38が側面フレーム22のローラ23に接近し、その後、ローラ23が傾斜面38aに当接する。その後、さらに支持アーム34が前進すると、ローラ23がカム38を上方から下方に向かって押圧し、カム38には下方への力が加わる。カム38に下方への力が加わると、支持アーム34が支持軸35を中心にシーソー状に揺動し、支持アーム34の前端部34aが上方に移動する。これにより、支持アーム34は水平になる。つまり、本実施形態では、ロッドレスシリンダ33と、ローラ23及びカム38とが、支持アーム34を支持軸35を中心にシーソー状に揺動させる揺動駆動手段であると言える。
【0054】
そして、前端部34aが上方に移動することで、図5A及び図5Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2の内部において離間位置Z1から近接位置Z2へと移動する。樹脂カス除去ヘッド4の中心(回転シャフト44)は、樹脂カス除去ヘッド4が近接位置Z2へと移動した段階でダイ101の中心の直下に到達する。この状態で、柱状部材42の対向面42aは、ダイ101の下面102と平行に向かい合うことになる。本実施形態の樹脂カス除去装置1は、この状態で、次の樹脂カス除去動作が行われる。
【0055】
なお、本実施形態の樹脂カス除去装置1においては、支持アーム34が揺動して樹脂カス除去ヘッド4が近接位置Z2へと移動した場合でも、ダイ101と樹脂カス除去ヘッド4の柱状部材42の間には僅かな隙間(例えば、2mm程度)を残すのが好適である。これにより、回転する柱状部材42がダイ101と干渉することを防止することができる。
【0056】
また、樹脂カス除去動作が終了した後は、移動手段3はロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aをガイドレール33bに沿って後方へスライドさせることで、スライド部材32を後方へスライドさせ、支持アーム34を後退させる。これにより、上記とは逆に、樹脂カス除去ヘッド4は近接位置Z2から離間位置Z1に移動し、その後直下位置X2から側方位置X1に移動することになる。
【0057】
なお、樹脂カス除去ヘッド4が直下位置X2から側方位置X1に移動する際には、図7に示すように、支持フレーム2(一対の側面フレーム22)に支持された清掃手段5のベロ51が、柱状部材42に付着した樹脂カスを擦り取るようになっている。
【0058】
このように、本実施形態の移動手段3は、支持フレーム2に対して支持アーム34が進退する(水平方向に移動する)ことで、樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1と直下位置X2との間で移動させる構成となっている。また、移動手段3は、支持アーム34がシーソー状に揺動することで、樹脂カス除去ヘッド4を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させる構成となっている。
【0059】
<樹脂カス除去動作>
次に、図4A及び図4Bに基づいて、樹脂カス除去ヘッド4による樹脂カス除去動作を説明する。本実施形態において、樹脂カス除去動作は、一対の柱状部材42をダイ101の下面102に沿って移動させる動作である。より具体的には、樹脂カス除去動作は、各柱状部材42の対向面42a(図3B参照)をダイ101の円環状のスリットに沿って回転(公転)させる動作である。
【0060】
樹脂カス除去動作は、樹脂カス除去ヘッド4が図5Bに示す直下位置X2且つ近接位置Z2にある状態で実行される。
【0061】
本実施形態の樹脂カス除去ヘッド4は、一対の柱状部材42を回転させるため、除去駆動手段43を駆動させる。具体的には、ロッドレスシリンダ48のスライドブロック48bをガイドレール48cに沿って前後方向に移動させる。すると、スライドブロック48bのスライドに伴ってチェーン47が移動し、前端側プーリ45が回転する。前端側プーリ45が回転すると、これと相対回転不能に嵌合された回転シャフト44も回転し、上端側に固定された回転プレート41も回転する。そして、回転プレート41が回転することによって、回転プレート41の両端部において軸41aを介して支持される一対の柱状部材42も回転することになる。
【0062】
ところで、本実施形態では、樹脂カス除去ヘッド4が図5Bに示す直下位置X2且つ近接位置Z2にある状態において、樹脂カス除去ヘッド4の中心(回転シャフト44の軸心)は、ダイ101の中心、言い換えると円環状のスリットの中心の直下に位置するようになっている。また、一対の柱状部材42の中心間の距離は、スリットの直径と略同一とされている。これらのことから、本実施形態の柱状部材42は、円環状のスリットに沿って回転することになり、これにより、スリット付近に付着した樹脂カスが弾き飛ばされるようになっている。
【0063】
このように、樹脂カス除去ヘッド4が図5Bに示す直下位置X2且つ近接位置Z2にある状態で一対の柱状部材42を回転させることにより、ダイ101の下面102、特に、スリット付近に付着した樹脂カスを効果的に除去することが可能となっている。
【0064】
なお、一回の樹脂カス除去動作においては、ロッドレスシリンダ48のスライドブロック48bを往復させることで一対の柱状部材42を時計回り及び反時計回りの両方向に移動させることが好適である。これにより、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスを両側から擦り取ることができ、樹脂カスを効果的に除去することが可能となっている。
【0065】
また、柱状部材42が回転シャフト44を中心に回転(公転)する際には、柱状部材42自体も軸41aを中心に回転(自転)可能となっている。柱状部材42自体が回転することで、柱状部材42が樹脂カスに引っかかることを抑制することが可能となっている。
【0066】
加えて、柱状部材42は、その上縁が逆テーパ状に拡径した拡径部42bとなっていることで、ダイ101に付着した樹脂カスを効果的にちぎり取ることが可能となっている。
【0067】
1.3 作用効果
以上のように、本実施形態に係る樹脂カス除去装置1によれば、ロッドレスシリンダ33の駆動により、支持アーム34を進退させて水平方向に移動させることで樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1と直下位置X2の間で移動させるとともに、支持アーム34を揺動させることで樹脂カス除去ヘッド4を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させることが可能となっている。
【0068】
本実施形態の樹脂カス除去装置1は、このように、1つのロッドレスシリンダ33の駆動のみによって、支持アーム34の進退動作と揺動動作の2つの動作を行うことが可能となっている。そして、支持アーム34が直下位置X2において揺動動作を行うことにより、進退動作の際に樹脂カス除去ヘッド4がダイ101と干渉することを防止することが可能となっている。
【0069】
なお、本実施形態の樹脂カス除去装置1では、樹脂カス除去ヘッド4を取り替えることで、径の異なるダイ101の樹脂カスを除去することが可能となる。
【0070】
1.4 変形例
本実施形態に係る発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0071】
<変形例1-1>
上述した実施形態において、移動手段3は、支持アーム34を進退させて水平方向に移動させることで樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1と直下位置X2との間で移動させる構成であった。しかしながら、樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1と直下位置X2との間で移動させる構成は、これに限定されない。例えば、図8A及び図8Bに示すように、支持アーム34を、任意の回転駆動手段(図示せず)により平面視におけるダイ101の外方において垂直方向に伸びる回転軸39まわりに回転駆動させることで、樹脂カス除去ヘッド4を側方位置X1と直下位置X2との間で移動させる構成とすることも可能である。回転駆動手段としては、電動モータが挙げられる。
【0072】
<変形例1-2>
上述した実施形態において、移動手段3は、支持アーム34を支持軸35のまわりに揺動させることで樹脂カス除去ヘッド4を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させる構成であった。しかしながら、樹脂カス除去ヘッド4を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させる構成は、これに限定されない。例えば、図9A及び図9Bに示すように、伸縮駆動手段6により支持アーム34を上下方向に昇降させることで、樹脂カス除去ヘッド4を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させる構成とすることも可能である。伸縮駆動手段6としては、例えば電動シリンダが挙げられる。さらに、支持アーム34を支持軸35のまわりに揺動させる構成と、伸縮駆動手段6により支持アームを昇降させる構成を組み合わせ、高さの異なるダイ101に適用可能とすることも好適である。
【0073】
<変形例1-3>
上述した実施形態において、樹脂カス除去ヘッド4は、樹脂カスを除去する樹脂カス除去部材としての一対の柱状部材42を備えて構成されていた。しかしながら、図24A及び図24Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド4は樹脂カス除去部材として、一対の柱状部材42に代えて、樹脂カス除去ヘッド4(回転プレート41)の回転方向(図24A及び図24Bの矢印の方向)に刃状部142bを有する一対の除去ブレード142を備えて構成されてもよい。一例において、一対の除去ブレード142は、取付部材41bを介して回転プレート41の両端部に固定される。また、除去ブレード142の材質は、柱状部材42と同様、柔らかい金属を用いることが好ましく、例えば、真鍮製とされる。
【0074】
なお、除去ブレード142は、その高さ、すなわち、除去ブレード142の対向面142aとダイ101の下面102の距離を調節可能な態様で取付部材41bに取り付けられることが好ましい。具体的には例えば、図24Bに示すように、取付部材41bが上記回転方向に対して傾斜した取付面41b1を備え、除去ブレード142が当該取付面41b1と対応して傾斜する被取付面142cを備えるよう構成する。そして、取付面41b1と被取付面142cを当接させた状態で、除去ブレード142に開けられた長孔(図示せず)にボルト41cを挿通してボルト41cを取付部材41bに螺入し、除去ブレード142を固定する。このような構成にすることで、除去ブレード142の高さを取付面41b1に沿ってスライドさせて調節し、固定することが可能となる。加えて、回転プレート41に対する除去ブレード142の取付角度を調整することで、除去ブレード142の角度も微調整可能とすることがより好ましい。
【0075】
また、本変形例において、除去ブレード142は、図24Aに示すように、矩形状の回転プレート41に対してその刃状部142bが内側を向くよう角度をつけて取り付けられている。具体的には、平面視において刃状部142bの先端によって形成される直線が回転プレート41の回転軸に向かって延びるよう、除去ブレード142が取り付けられている。これにより、刃状部142bの先端の向きと回転プレート41の回転に伴って回転する刃状部142bの移動方向が一致し、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスを効果的にこそぎ取ることが可能となっている。
【0076】
加えて、刃状部142bは、図24Bに示すように、側面視において回転方向に向かう先端が鋭角となっている。刃状部142bは、除去ブレード142の対向面142aをダイ101の下面102に押し当てた状態で回転プレート41を回転させることで、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスをこそぎ取ることが可能となっている。なお、除去ブレード142の対向面142aとダイ101の下面102とは、第1実施形態と同様、僅かな隙間を残すようにしても良い。
【0077】
<その他の変形例>
・上記実施形態においては、側面フレーム22に設けたローラ23が支持アーム34のカム38を上方から下方に向かって押圧することで、ロッドレスシリンダ33によるスライド部材32のスライド動作を利用して支持アーム34が揺動する構成であった。しかしながら、ロッドレスシリンダ33とは別の動力手段により、支持アーム34を揺動駆動する構成とすることも可能である。
・上記実施形態において、樹脂カス除去ヘッド4は一対の柱状部材42を備えて構成されていたが、柱状部材42の数及び形状はこれに限定されるものではない。例えば、柱状部材42の断面形状を矩形とすることも可能である。また、回転プレート41上に柱状部材42を1つだけ設ける構成とすることも可能である。
・上記実施形態において、樹脂カス除去ヘッド4の回転プレート41はロッドレスシリンダ48の駆動によりチェーン47が移動することで回転するものであった。しかしながら、回転プレート41を電動モータ等の他の駆動手段によって回転させる構成とすることも可能である。
・上記実施形態においては、樹脂カス除去装置1が使用される成形装置100は円環状のスリットを有し、円筒状の溶融樹脂103(パリソン)を押し出して垂下させるものであった。しかしながら、本発明を、シート状の溶融樹脂を供給する成形装置に用いることも可能である。
【0078】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る樹脂カス除去装置1は、図10及び図11に示すように、支持フレーム2と、移動手段3と、樹脂カス除去ヘッド7と、清掃手段5(図16A及び図16B参照)と、制御手段10とを備える。樹脂カス除去装置1は、図10に示すように、樹脂カス除去ヘッド7により成形装置100のダイ101(Tダイ)の下面102に付着した樹脂カスRを除去するものである。
【0079】
ここで、本実施形態の樹脂カス除去装置1が使用される成形装置100は、第1実施形態のものとは異なり、シート状の溶融樹脂103(樹脂シート)を押し出すものであって、ダイ101(Tダイ)の下面102には、溶融樹脂103を押出可能な直線状のスリット105(図11参照)が形成されている。成形装置100は、図10に示すように、溶融樹脂103が平行に一対垂下されるよう一対配置される。各成形装置100から垂下された一対の溶融樹脂103は、一対の金型104により賦形及び型締めされることで、樹脂成形体に成形されるようになっている。なお、樹脂カスは、フィラー(特に、ガラス)を追加した溶融樹脂103を用いる場合に、特に生じやすい。
【0080】
図10に示すように、本実施形態において、樹脂カス除去装置1は、一対の成形装置100それぞれに設けられる。そして、樹脂カスは、基本的には、シート状の溶融樹脂103が型締めの際にダイ101側と金型104側に分離した後、ダイ101側に残存したものによって生じるものである。以下、本実施形態の樹脂カス除去装置1の各構成を詳細に説明する。なお、成形装置100ごとに設けられる一対の樹脂カス除去装置1は同一の構成であるため、以下では、一方の樹脂カス除去装置1についてのみ説明する。
【0081】
なお、本実施形態の説明においては、図11に示すように、ダイ101のスリット105の長手方向を前後方向とし、前後方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向とする(図10及び図12参照)。また、本実施形態において、左右方向は、図10に示すように、金型104の型閉じ・型開き方向と一致する。
【0082】
2.1 樹脂カス除去装置1の構成
<支持フレーム2>
支持フレーム2は、図11及び図12に示すように、前後方向、すなわちダイ101の長手方向に間隔をあけて一対設けられる。支持フレーム2は、移動手段3のガイド手段131を支持する。なお、支持フレーム2自体は、例えば、成形装置100とともに吊り下げ支持される。
【0083】
<移動手段3>
移動手段3は、樹脂カス除去ヘッド7を、成形動作と干渉しないダイ101の直下から外れた位置(図11及び図17A参照)と、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスを除去可能な位置(図17B及び図17C参照)との間で移動させるものである。移動手段3は、具体的には、図11及び図12に示すように、ガイド手段131と、スライド部材32と、直線駆動手段としてのロッドレスシリンダ33と、支持アーム34と、揺動駆動手段としての第1エアシリンダ138とを備える。これらの構成を備える移動手段3は、支持フレーム2に支持される。
【0084】
ガイド手段131は、一対の支持フレーム2間において、ダイ101の長手方向に沿って前後方向に延びるよう配置される。ガイド手段131は、ロッドレスシリンダ33を介してスライド部材32をスライド可能に支持する。
【0085】
スライド部材32は、図13に示すように、接続板32dと、一対のアーム支持板32eとを備える。接続板32dは、後述するロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aに支持されるとともに、一対のアーム支持板32eを支持する。接続板32dは、左右方向を法線方向とする主面を持つ板状の部材であり、図13に示すように、後述するスライドブロック33aによって支持される位置から下方に向かって延びている。接続板32dは、スライドブロック33aとは反対側(つまり、左側)において一対のアーム支持板32eを支持し、スライドブロック33aと同じ側(つまり、右側)であってスライドブロック33aの下方の位置に設けられた取付ベース32d1において、第1エアシリンダ138の一端側取付部138a1を支持する。
【0086】
一方、一対のアーム支持板32eは、図12に示すように、それぞれ前後方向を法線方向とする主面を持つ板状の部材であり、前後方向に間隔を開けて平行に並ぶよう接続板32dに支持される。また、図13に示すように、一対のアーム支持板32eは、接続板32dの下端よりも下方まで延びており、一対のアーム支持板32eの下端部であって一対のアーム支持板32eの間の位置において、前後方向に延びる支持軸35を介して支持アーム34を揺動可能に軸支している。
【0087】
ロッドレスシリンダ33は、図11及び図12に示すように、スライドブロック33aと、ガイド部材133bとを備える。スライドブロック33aは、ガイド部材133bに支持され、ガイド部材133bに沿って前後方向にスライドする。また、スライドブロック33aは、スライド部材32の接続板32dを支持する。ガイド部材133bは、ガイド手段131に支持され、一対の支持フレーム2間において、ダイ101の長手方向に沿って前後方向に延びるよう配置される。そして、ロッドレスシリンダ33は、スライドブロック33aがガイド部材133bに沿って移動することで、スライド部材32をガイド手段131に沿ってスライドさせるよう構成される。
【0088】
なお、ロッドレスシリンダ33は、マグネット式であってもよく、エア式であっても良い。また、本実施形態では、設置面積の削減のため、直動駆動手段としてロッドレスシリンダを用いているが、スライド部材32を往復駆動可能であれば、電動シリンダやエアシリンダ等を用いても良い。
【0089】
支持アーム34は、図12及び図13に示すように、長手方向に垂直な断面形状が略矩形をなす細長い板状の部材であり、樹脂カス除去ヘッド7を支持する。支持アーム34は、アーム支持板32eに設置された前後方向に延びる支持軸35に軸支され、支持軸35を中心としてシーソー状に揺動可能となっている。支持アーム34は、具体的には、支持軸35が挿入される直線状の本体部34eと、成形装置100側の端部であって樹脂カス除去ヘッド7を支持する先端部34fと、先端部34fとは反対側の端部であって第1エアシリンダ138が接続される基端部34gとを備える。本体部34eは、支持軸35及び第1エアシリンダ138によってダイ101の下端に向かって下がるように支持される。また、先端部34fは、樹脂カス除去ヘッド7をその板状のベース部材70(後述)が略水平になるよう支持する。
【0090】
揺動駆動手段としての第1エアシリンダ138は、図13に示すように、シリンダ部138aとロッド部138bとを備える。シリンダ部138aには、一端側取付部138a1が設けられ、ロッド部138bの先端には、他端側取付部138b1が設けられる。一端側取付部138a1は、スライド部材32の取付ベース32d1に回転軸60を介して回動可能に連結され、他端側取付部138b1は、支持アーム34の基端部34gに回転軸61を介して回動可能に連結される。ここで、回転軸60及び回転軸61は、ともに前後方向に延びる軸である。第1エアシリンダ138は、このような構成により、シリンダ部138aに対してロッド部138bを伸縮させることで、支持アーム34を支持軸35を中心としてシーソー状に揺動させるようになっている。具体的には、ロッド部138bを収縮させると、支持アーム34の先端部34fが下がるよう揺動し、ロッド部138bを伸長させると、支持アーム34の先端部34fが上がるようになっている。
【0091】
<樹脂カス除去ヘッド7>
樹脂カス除去ヘッド7は、図14に示すように、ベース部材70と、樹脂カス除去部材としての板状部材71とを備える。本実施形態の樹脂カス除去ヘッド7は、成形装置100のダイ101の直下位置X2において板状部材71をスリット105に沿って移動させることで、板状部材71によってダイ101の下面102に付着した樹脂カスを除去可能に構成される。
【0092】
ベース部材70は、その右側において支持アーム34の先端部34fに支持される。ベース部材70は、具体的には、平面視が略矩形の板状とされる。ベース部材70の上記平面視において矩形を概ね4分割したときの左側且つ前側の上面70aは、図15の左右方向に垂直な断面図に示すように、左側且つ前側の上面70aに対して高くなっている。そして、ベース部材70は、当該左側且つ前側の上面70aにおいて、板状部材71を支持している。また、左側且つ後側の上面は、板状部材71が擦り取った樹脂カスを受けるカス受け部70bとなっている。なお、左側且つ前側の上面70aと左側且つ後側のカス受け部70bをつなぐ垂直面70cは、下方が湾曲してカス受け部70bになめらかに接続されている。また、ベース部材70は、上記平面視における右側且つ前側の上面において、清掃手段5の第2エアシリンダ52を支持している。
【0093】
板状部材71は、図15に示すように、上下方向を法線方向とする主面を持つ板状の部材であり、その上面は、ダイ101の下面102と対向する対向面71aとなっている。また、板状部材71の対向面71aと板状部材71の後面とが交わる辺は、樹脂カスを擦り取る除去エッジ71bとなっている。板状部材71の材質としては、ベース部材70よりも柔らかい金属を用いることが好ましく、例えば、真鍮製とされる。
【0094】
<清掃手段5>
清掃手段5は、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71がダイ101から擦り取り、板状部材71に付着した樹脂カスR(図20A及び図21A参照)を板状部材71から除去するために用いられる。清掃手段5は、図16A及び図16Bに示すように、進退清掃手段としての第2エアシリンダ52及び清掃部材53と、第1エア噴出手段54と、第2エア噴出手段55とを備える。第2エアシリンダ52は、圧縮エアが供給されることで図示しないピストンをシリンダ52a内で進退させ、ピストンに連結されたロッド52b(図20B及び図21B)を進退駆動する。なお、進退清掃手段として、第2エアシリンダ52以外の構成により清掃部材53を進退駆動するよう構成することも可能である。
【0095】
清掃部材53は、ロッド52bの先端に取り付けられる。清掃部材53は、図14及び図15に示すように、左右方向に垂直な断面視が略矩形の直方体形状をなし、ベース部材70の垂直面70cとカス受け部70bがなめらかに接続されているのに対応して、後面と下面とが交わる辺が同断面視において湾曲した形状(Rを有する形状)となっている。
【0096】
第2エアシリンダ52は、樹脂カス除去ヘッド7のベース部材70の右側且つ後側の上部に配置される。また、第2エアシリンダ52は、清掃部材53が板状部材71の除去エッジ71bに沿って左右方向に移動する向きに配置される。
【0097】
第1エア噴出手段54は、前後一対のノズル54aと、エア供給源(図示せず)とを備える。一対のノズル54aは、図14図16Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド7の上方であって、板状部材71及び清掃部材53の右側に配置される。そして、第1エア噴出手段54は、ノズル54aを介して板状部材71及び清掃部材53に対して右側から圧縮エアを噴出するよう構成される。
【0098】
第2エア噴出手段55は、左右一対のノズル55aと、エア供給源(図示せず)と、ノズル支持フレーム55bとを備える。一対のノズル55aは、図16A及び図16Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド7の左側の位置において、ノズル支持フレーム55bに支持される。そして、第2エア噴出手段55は、樹脂カス除去ヘッド7の左側の位置においてノズル55aを介して後方に向かって圧縮エアを噴出する。
【0099】
<制御手段10>
制御手段10は、樹脂カス除去装置1の各動作を制御する。制御手段10は、具体的には、移動手段3のロッドレスシリンダ33及び第1エアシリンダ138、清掃手段5の第2エアシリンダ52、第1エア噴出手段54及び第2エア噴出手段55の動作を制御する。
【0100】
制御手段10は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。また、情報処理装置により構成された制御手段10の上述した各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段10の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0101】
2.2 樹脂カス除去装置1の動作
次に、図17A図21Bを参照して、本実施形態の樹脂カス除去装置1の動作、具体的には、樹脂カス除去ヘッド7を移動させて樹脂カスを除去する除去ヘッド移動動作と、樹脂カス除去ヘッド7に付着した樹脂カスRを清掃する樹脂カス清掃動作について説明する。これらの動作は、ユーザの指示又は予め設定されたプログラムに応じて、制御手段10によって制御される。なお、本実施形態においては、除去ヘッド移動動作により、ダイ101からの樹脂カス除去も同時に行われる。また、除去ヘッド移動動作は、成形装置100のダイ101のスリット105(図11参照)からシート状の溶融樹脂103が押し出された後、スリット105からの溶融樹脂103の垂下が途切れているタイミングで行われる。より具体的には、例えば、金型104が型閉じされた後であって、型締め後の成形体を取り出す取り出し機(図示せず)が金型104の上部にはみ出した溶融樹脂103を挟み込んだタイミングで樹脂カス除去装置1を動作させる。また、これらの動作は、金型104を型締めする度に毎回行うことが好ましいが、所定の回数ごとに行うことや、ユーザの指示に従って行う構成としても良い。また、清掃動作は、除去ヘッド移動動作の終了後、当該動作に続いて実行される。ただし、清掃動作についても、除去ヘッド移動動作の終了後、毎回行う必要はなく、所定の回数ごとに行うことや、ユーザの指示に従って行う構成としても良い。
【0102】
<除去ヘッド移動動作>
本実施形態の樹脂カス除去装置1において、制御手段10は、移動手段3を制御することによって、図17A図17Dに示すように、樹脂カス除去ヘッド7を、ダイ101の直下から外れた側方位置X1(図17A参照)とダイ101の直下である直下位置X2(図17B図17D参照)との間で移動させる。また、制御手段10は、移動手段3の制御により、図17A図17B及び図18A及び図18Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド7を、上記直下位置X2において、ダイ101の下面102から離間する離間位置Z1(図17A図17B及び図18A参照)と、下面102に近接する近接位置Z2(図17C図17D及び図18B参照)との間で移動させる。
【0103】
なお、本実施形態の樹脂カス除去装置1においては、第1実施形態の樹脂カス除去装置1と異なり、支持アーム34が揺動して樹脂カス除去ヘッド7が近接位置Z2へと移動した際にはダイ101と樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71は当接するようになっている。近接位置Z2において板状部材71をダイ101に当接させることで、ダイ101の下面102に付着した樹脂カスをより確実に擦り取ることが可能となっている。また、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71をダイ101に押し付けるようにすることも可能である。以上のように、本発明において、「近接位置」には、ダイ101と樹脂カス除去ヘッド7(第1実施形態では、ダイ101と樹脂カス除去ヘッド4)の間にわずかな隙間を有している場合に加え、当該隙間が0mmである場合も含まれる。
【0104】
また、本実施形態において、「直下位置X2」とは、ダイ101の下面102の外縁を下方に延長してできる筒の内部の位置を示す。また、樹脂カス除去ヘッド7が直下位置X2にあるとは、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71の重心が当該筒内に位置することを示すものとする。以下、移動手段3による樹脂カス除去ヘッド7の移動動作を具体的に説明する。
【0105】
本実施形態の樹脂カス除去装置1は、樹脂カス除去動作を行わないときには、図17Aに示すように、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1(ダイ101の後方位置)に退避させ、成形装置100による成形動作と干渉しない位置で待機させる。なお、この状態において、移動手段3の支持アーム34は、図18Aに示すように、第1エアシリンダ138のロッド部138bを収縮状態に維持することで、先端部34fが下がった状態に維持される。これにより、樹脂カス除去ヘッド7もその先端側がわずかに下がった状態となっている。
【0106】
この状態から、樹脂カスの除去のため樹脂カス除去ヘッド7を移動させるには、制御手段10は、移動手段3のロッドレスシリンダ33を駆動させる。具体的には、制御手段10は、ロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aをガイドレール33bに沿って前方へスライドさせる(図11及び図12参照)。すると、スライドブロック33aのスライドに伴ってスライド部材32がレール部材31に沿って前方へスライドし、スライド部材32に支持される支持アーム34が前方向に移動する。そして、支持アーム34が前方向に移動することで、図17A図17Bに示すように、その先端部34fに支持された樹脂カス除去ヘッド7が側方位置X1から直下位置X2に移動する。さらに、制御手段10は、図17Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド7をまず直下位置X2における側方位置X1(図17A参照)から最も離れた位置まで移動させる。
【0107】
ここで、図17Aに示す側方位置X1から図17Bに示す直下位置X2における側方位置X1から最も離れた位置に至るまで、制御手段10は、第1エアシリンダ138のロッド部138bを収縮状態に維持する。これにより、支持アーム34の先端部34fは下がった状態に維持され、樹脂カス除去ヘッド7は、図17B及び図18Aに示すように、離間位置Z1に維持される。つまり、本実施形態において、樹脂カス除去装置1は、樹脂カス除去ヘッド7が側方位置X1から最も離れた位置(図17B参照)まで移動するまでは、樹脂カスの除去は行わない。
【0108】
次に、制御手段10は、樹脂カス除去ヘッド7が側方位置X1から最も離れた位置(図17B参照)にある状態で、第1エアシリンダ138のロッド部138bを伸長させる。すると、支持アーム34が揺動して先端部34fが上がり、図17C及び図18B参照に示すように、樹脂カス除去ヘッド7が直下位置X2の内部において離間位置Z1から近接位置Z2に移動する。そして、制御手段10は、この樹脂カス除去ヘッド7を近接位置Z2に維持した状態で、ロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aをガイドレール33bに沿って後方へスライドさせる(17C~図17D参照)。これにより、樹脂カス除去ヘッド7はスリット105に沿って側方位置X1に向かって移動し、スリット105の近傍に付着した樹脂カスが板状部材71の除去エッジ71bによって擦り取られる。なお、擦り取られた樹脂カスは、一部が板状部材71に付着し、板状部材71から落ちたものは、カス受け部70bに保持される。
【0109】
図17Dの状態からさらに移動手段3のロッドレスシリンダ33のスライドブロック33aをガイドレール33bに沿って後方へスライドさせると、樹脂カス除去ヘッド7は直下位置X2から側方位置X1に向かって移動する。この際、板状部材71の除去エッジ71bがスリット105の後端に到達すると、制御手段10は、第1エアシリンダ138のロッド部138bを収縮させる。これにより、樹脂カス除去ヘッド7が直下位置X2における側方位置X1に最も近い位置に至るまでに、樹脂カス除去ヘッド7は近接位置Z2(図18B参照)から離間位置Z1(図18A参照)へと移動する。そして、樹脂カス除去ヘッド7は、離間位置Z1にある状態で、直下位置X2から側方位置X1へと移動する。
【0110】
このように、樹脂カス除去ヘッド7を離間位置Z1にある状態で直下位置X2から側方位置X1へと移動することで、図19に示すように、例えばダイ101の下面102の後縁に僅かな突出部102aがある場合であっても、当該突出部102aと樹脂カス除去ヘッド7が干渉することを防止することが可能となっている。
【0111】
以上のように、本実施形態の移動手段3は、支持フレーム2に対して支持アーム34を前後方向に移動する(水平方向に移動する)ことで、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1と直下位置X2との間で移動させる構成となっている。また、移動手段3は、支持アーム34をシーソー状に揺動することで、樹脂カス除去ヘッド7を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させる構成となっている。
【0112】
<樹脂カス清掃動作>
本実施形態の樹脂カス除去装置1において、制御手段10は、清掃手段5の第2エアシリンダ52、第1エア噴出手段54及び第2エア噴出手段55を制御することにより、除去ヘッド移動動作の終了後に樹脂カス清掃動作を実行する。
【0113】
具体的には、制御手段10は、図20A図20B図21A図21Bに示すように、樹脂カス除去ヘッド7が側方位置X1にある状態で、第2エアシリンダ52を駆動し、ロッド52bを伸長させてその先端に取り付けられた清掃部材53を左方向に移動させる。また、同時に、制御手段10は、第1エア噴出手段54を動作させ、ノズル54aを介して板状部材71及び清掃部材53に対して右側から圧縮エアを噴出させる。さらに、制御手段10は、第2エア噴出手段55を動作させて樹脂カス除去ヘッド7の左側の位置においてノズル55aを介して後方に向かって圧縮エアを噴出させる。
【0114】
このような動作により、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71に付着した樹脂カスR及びカス受け部70bに溜まった樹脂カスRは、清掃部材53及び第1エア噴出手段54のノズル54aから噴出される圧縮エアによって剥がれ落ち、左側へと飛ばされる。これにより、板状部材71及びカス受け部70bが清掃される。なお、本実施形態においては、図14及び図15に示すように、ベース部材70のカス受け部70bと垂直面70cとがなめらかに接続され、清掃部材53の後面と下面とが交わる辺が湾曲した形状となっていることにより、樹脂カスRがカス受け部70bと清掃部材53の間に詰まることを抑制することが可能となっている。
【0115】
清掃部材53及び第1エア噴出手段54のノズル54aから噴出される圧縮エアによって飛ばされた樹脂カスRは、第2エア噴出手段55のノズル55aから噴出される圧縮エアによって後方(図21B参照)に飛ばされることになる。樹脂カスRが後方、すなわちダイ101とは反対側に飛ばされることで、ダイ101の下方に配置されている金型104等に樹脂カスRが付着することを防止することができる。なお、このようにして除去・回収された樹脂カスRは、例えば、粉砕機によって粉砕し、再利用することが可能である。
【0116】
なお、第1エア噴出手段54のノズル54aから噴出される圧縮エアは、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71を冷却する冷却手段としての効果も有する。板状部材71を冷却することで、付着した樹脂カスRの粘性が低下し、樹脂カスRを剥がれやすくすることが可能となっている。
【0117】
2.3 作用効果
以上のように、本実施形態に係る樹脂カス除去装置1によれば、ロッドレスシリンダ33の駆動により支持アーム34を前後方向(水平方向)に移動させることで樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1と直下位置X2の間で移動させるとともに、第1エアシリンダ138の駆動により支持アーム34を揺動させることで樹脂カス除去ヘッド7を離間位置Z1と近接位置Z2との間で移動させることが可能となっている。また、樹脂カス除去ヘッド7が直下位置X2に移動してから揺動動作を行うことにより、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1から直下位置X2に移動させる際に樹脂カス除去ヘッド7がダイ101と干渉することを防止することが可能となっている。
【0118】
また、本実施形態の樹脂カス除去装置1は、制御手段10が、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1から最も離れた位置(図17B参照)に移動させてから、当該樹脂カス除去ヘッド7を離間位置Z1から近接位置Z2に移動させるようにしている。これにより、スリット105から徐々に染み出してくる樹脂カスを、成形装置100による次の成形動作の直前に除去することができ、樹脂成形体に樹脂カスが付着することを好適に抑制することが可能となっている。
【0119】
加えて、本実施形態の樹脂カス除去装置1は、樹脂カス除去ヘッド7に付着した樹脂カスを清掃する清掃手段5を備えていることにより、樹脂カスの除去性能を維持して、樹脂カス除去装置1を連続的に使用することが可能となっている。
【0120】
2.4 変形例
本実施形態に係る発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0121】
<変形例2-1>
上述した実施形態において、樹脂カス除去装置1が使用される成形装置100は、一組の金型104に対して溶融樹脂103(樹脂シート)が平行に一対垂下されるよう一対配置される構成であった。しかしながら、本実施形態に係る樹脂カス除去装置1は、図22に示すように、一組の金型104に対して1つのみ配置される成形装置100に対しても用いることが可能である。
【0122】
<変形例2-2>
また、上記実施形態のように、一組の金型104に対して溶融樹脂103が平行に一対垂下されるよう一対配置される一対の成形装置100のうち、1つの成形装置100にのみ樹脂カス除去装置1を用いることも可能である。例えば、図23に示すように、一方の成形装置100(図の左側の成形装置100)から垂下される溶融樹脂103と金型104の間に表皮材106(例えば、カーペット材)を配置するような場合、当該溶融樹脂103に樹脂カスが付着しても、樹脂カスが表皮材106に覆われて完成した樹脂成形品の外観に影響がない。したがって、表皮材106を配置しない側の成形装置100にのみ、樹脂カス除去装置1を配置することも好適である。
【0123】
<その他の変形例>
・上記実施形態では、制御手段10が、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1から最も離れた位置(図17B参照)に移動させてから、当該樹脂カス除去ヘッド7を離間位置Z1から近接位置Z2に移動させて樹脂カスを除去するようにしていた。しかしながら、樹脂カス除去ヘッド7を側方位置X1(つまり、樹脂カス除去動作を行わないときに退避させる位置)から側方位置X1から最も離れた位置へと移動させる際にも、樹脂カス除去ヘッド7を近接位置Z2に移動させて樹脂カスを除去するようにしても良い。
・上記実施形態では、清掃手段5の第1エア噴出手段54のノズル54aから圧縮エアを噴出することで、樹脂カス除去ヘッド7の板状部材71を冷却していた。しかしながら、板状部材71を水冷する水冷手段を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0124】
1:樹脂カス除去装置、2:支持フレーム、3:移動手段、4:樹脂カス除去ヘッド、5:清掃手段、6:伸縮駆動手段、7:樹脂カス除去ヘッド、10:制御手段、21:コの字フレーム、21a:上フレーム、21b:後フレーム、21c:下フレーム、22:側面フレーム、23:ローラ(押圧部)、31:レール部材(ガイド手段)、32:スライド部材、32a:上板部、32b:後板部、32c:下板部、32d:接続板、32d1:取付ベース、32e:アーム支持板、33:ロッドレスシリンダ(直線駆動手段)、33a:スライドブロック、33b:ガイドレール(ガイド部材)、34:支持アーム、34a:前端部、34b:前端側カバー、34c:後端側カバー、34d:後端部、34e:本体部、34f:先端部、34g:基端部、35:支持軸、36:ガイドブロック、37:揺動規制部、38:カム(被押圧部)、38a:傾斜面、39:回転軸、41:回転プレート、41a:軸、41b:取付部材、取付面41b1、41c:ボルト、42:柱状部材(樹脂カス除去部材)、42a:対向面、42b:拡径部、43:除去駆動手段、44:回転シャフト、45:前端側プーリ、46:後端側プーリ、47:チェーン、48:ロッドレスシリンダ、48a:支持板、48b:スライドブロック、48c:ガイドレール、49:回転軸、51:ベロ、52:第2エアシリンダ(進退清掃手段)、52a:シリンダ、52b:ロッド、53:清掃部材、54:第1エア噴出手段(冷却手段)、54a:ノズル、55:第2エア噴出手段、55a:ノズル、55b:ノズル支持フレーム、60:回転軸、61:回転軸、70:ベース部材、70a:上面、70b:カス受け部、70c:垂直面、71:板状部材(樹脂カス除去部材)、71a:対向面、71b:除去エッジ、100:成形装置、101:ダイ(Tダイ)、102:下面、102a:突出部、103:溶融樹脂(パリソン、樹脂シート)、104:金型、105:スリット、106:表皮材、131:ガイド手段、133b:ガイド部材、138:第1エアシリンダ(揺動駆動手段)、138a:シリンダ部、138a1:一端側取付部、138b:ロッド部、138b1:他端側取付部、142:除去ブレード、142a:対向面、142b:刃状部、142c:被取付面、R:樹脂カス、X1:側方位置、X2:直下位置、Z1:離間位置、Z2:近接位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24