IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧 ▶ 岐阜プラスチック工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図1
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図2
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図3
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図4
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図5
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図6
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図7
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図8
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図9
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図10
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図11
  • 特許-自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/14 20060101AFI20250327BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
B65D6/14 C
B65G1/04 555A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021165325
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2023056163
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 勝
(72)【発明者】
【氏名】田村 元
(72)【発明者】
【氏名】福島 伸二
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04798290(US,A)
【文献】特開2005-138883(JP,A)
【文献】特開2017-094730(JP,A)
【文献】特開2012-180093(JP,A)
【文献】特開2004-346142(JP,A)
【文献】特開2005-145683(JP,A)
【文献】特開2009-001728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/14
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動倉庫における載置面に対して摺動する底面を有する自動倉庫用コンテナであって、
段ボールプラスチックを材料として形成され、底板部と複数の側板部とを有する筐体部と、
前記底板部の外面に設けられる帯電抑制プレートと、
を備え、
前記帯電抑制プレートは、前記底面として機能する外向き面を有し、
前記外向き面は、外縁部分に傾斜面部を含み、
前記帯電抑制プレートの表面抵抗率は、前記底板部の表面抵抗率よりも低く、
前記底板部と前記帯電抑制プレートとが溶接されて固定されており、
前記帯電抑制プレートは方形状であり、前記帯電抑制プレートの4つの前記外縁部分のそれぞれに前記傾斜面部があり、
前記帯電抑制プレートは、前記底板部に対して、4つの前記傾斜面部それぞれにおいて溶接されて固定されており、
前記底板部の上面には帯電抑制プレートが設けられていない、自動倉庫用コンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動倉庫用コンテナであって、
前記底面のうち前記載置面に接する部分全体が前記帯電抑制プレートからなり、
前記底面のうち前記帯電抑制プレートからなる部分であって前記傾斜面部よりも底の部分が平坦であり、
前記帯電抑制プレートは、導電性フィラーを含有する樹脂製である、自動倉庫用コンテナ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動倉庫用コンテナであって、
前記帯電抑制プレートの面積は、前記底板部の前記外面の面積よりも小さく、
前記底板部の前記外面は、前記複数の側板部における上端の内縁よりも大きく、
前記帯電抑制プレートは、前記複数の側板部における前記上端の前記内縁と同じかそれよりも小さい、自動倉庫用コンテナ。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動倉庫用コンテナであって、
前記帯電抑制プレートの表面抵抗率は、1.0×10Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲である、自動倉庫用コンテナ。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動倉庫用コンテナであって、
前記帯電抑制プレートは、前記段ボールプラスチックと擦れた際、プラスに帯電し、鉄系材料製の前記載置面と擦れた際、マイナスに帯電する、自動倉庫用コンテナ。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動倉庫用コンテナと、
前記自動倉庫用コンテナを保管する保管棚と、
前記自動倉庫用コンテナを、前記保管棚に向けて又は前記保管棚から搬送する搬送部と、
を備える、自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、自動倉庫用コンテナ及び自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プラスチック段ボールから構成される底板、複数の側板を有する筐体と、隣接する複数の側板における上端縁の角部に固定される角部材と、複数の側板の上端縁に取り付けられる縁部材とからなる簡易組立式収納箱を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-166894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫において、格納部へのコンテナの収納時、及び格納部からのコンテナの取出時などに、自動倉庫における載置面に対してコンテナの摺動を伴うことがある。このコンテナとして、特許文献1に記載の簡易組立式収納箱のようなプラスチック段ボール(段ボールプラスチックなどとも言う)から構成されるコンテナが用いられた場合、コンテナが自動倉庫における載置面に対して摺動することによって帯電することがある。またコンテナの搬送中にコンテナの底部が周辺部材に接触して角部などが傷つく恐れがある。
【0005】
そこで、本開示は、自動倉庫用コンテナの帯電及び底部の角部の傷つきを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、自動倉庫用コンテナは、自動倉庫における載置面に対して摺動する底面を有する自動倉庫用コンテナであって、段ボールプラスチックを材料として形成され、底板部と複数の側板部とを有する筐体部と、前記底板部の外面に設けられる帯電抑制プレートと、を備え、前記帯電抑制プレートは、前記底面として機能する外向き面を有し、前記外向き面は、外縁部分に傾斜面部を含み、前記帯電抑制プレートの表面抵抗率は、前記底板部の表面抵抗率よりも低い。
【発明の効果】
【0007】
この自動倉庫用コンテナによると、表面抵抗率の低い帯電抑制プレートの外向き面が自動倉庫用コンテナの底面をなしていることによって、自動倉庫用コンテナの帯電を抑制できる。また、帯電抑制プレートの外縁部に傾斜面部が設けられることによって、自動倉庫用コンテナの底部の角部の傷つきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る自動倉庫用コンテナを示す平面図である。
図2】実施形態に係る自動倉庫用コンテナを示す正面図である。
図3】実施形態に係る自動倉庫用コンテナを示す側面図である。
図4】2つの自動倉庫用コンテナが積み重なった様子を示す断面図である。
図5】段ボールプラスチックを示す部分切欠き斜視図である。
図6】筐体部の展開図である。
図7】筐体部を組み立てる様子を説明する図である。
図8】自動倉庫用コンテナが用いられる自動倉庫の一例を示す概略側面図である。
図9】自動倉庫を示す概略平面図である。
図10】物品移載装置を示す概略斜視図である。
図11】自動倉庫における格納物の流れを示す概略平面図である。
図12】自動倉庫における格納物の流れを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る自動倉庫用コンテナについて説明する。図1は、実施形態に係る自動倉庫用コンテナ10を示す平面図である。図2は、実施形態に係る自動倉庫用コンテナ10を示す正面図である。図3は、実施形態に係る自動倉庫用コンテナ10を示す側面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。なお、図4において、別の自動倉庫用コンテナ10が仮想線で示されて、複数の自動倉庫用コンテナ10群が積み重なった様子が示されている。
【0010】
自動倉庫用コンテナ10(以下、単にコンテナ10と呼ぶことがある)は、自動倉庫70(図8参照)において摺動を伴って搬送される。コンテナ10における底面が、自動倉庫70における載置面に対して摺動する。コンテナ10は、筐体部20と帯電抑制プレート60とを備える。
【0011】
筐体部20は、底板部22と複数の側板部24とを有する。複数の側板部24は、底板部22から突出する。底板部22のうち側板部24が突出する側の面が、物品100が載置される内面であり、反対側の面が外面である。
【0012】
筐体部20の形状及び大きさは、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。例えば、底板部22の平面形状は、矩形状であってもよい。本例では、底板部22の平面形状は、長方形状である。長方形状の底板部22の各辺に相当する4つの外縁からそれぞれ側板部24が突出する。従ってここでは、1つの底板部22から4つの側板部24が突出する。4つの側板部24の底板部22からの突出寸法、つまり高さ寸法は、同じである。以下では、4つの側板部24のうち、底板部22の長辺から突出する2つの側板部24を側板部24Aと呼び、底板部22の短辺から突出する2つの側板部24を側板部24Bと呼ぶことがある。側板部24にはコンテナ10の取手となる貫通孔25が形成されていてもよい。本例では、側板部24Bに貫通孔25が形成されていてもよい。
【0013】
本例では、底板部22及び側板部24は同じ種類の板材によって形成されているため、底板部22の厚みと側板部24の厚みとは、同じである。また本例では、筐体部20は扁平に形成されている。底板部22の平面の大きさは、複数の側板部24のいずれの平面の大きさよりも大きい。底板部22の表面積は、複数の側板部24の表面積の合計よりも大きい。側板部24の高さ寸法が、底板部22の短辺の長さ寸法よりも小さい。側板部24の高さ寸法が、底板部22の短辺の長さ寸法の4分の1以下である。
【0014】
筐体部20は、段ボールプラスチックを材料として形成されている。段ボールプラスチックについて、図5を参照しつつ説明する。図5は、段ボールプラスチック30を示す部分切欠き斜視図である。
【0015】
段ボールプラスチック30は、例えば、ポリプロピレン又はポリカーボネートなどの樹脂材料によって形成される。段ボールプラスチック30は、中空であることによって、重量のわりに高い剛性を有する。段ボールプラスチック30は、一対の平板部32と、連結部34とを有する。
【0016】
各平板部32は、両面が平坦な平板状に形成されている。一対の平板部32は、互いに離れている。一対の平板部32は、互いに平行である。連結部34は、一対の平板部32の間に設けられる。連結部34は、一対の平板部32を連結する。連結部34の平面形状は、平板部32の平面形状よりも小さい。連結部34は、一対の平板部32のうち一部を連結している。一対の平板部32の間において、連結部34がない部分が空隙36とされる。段ボールプラスチック30において、平板部32及び連結部34に囲まれる空間が生じている。
【0017】
本例では、連結部34としていわゆるハニカム構造が採用されている。具体的には、連結部34は、横断面が六角形である複数の筒部35を有する。複数の筒部35は、各筒部35の軸心方向が一対の平板部32が並ぶ方向に沿うように並んでいる。各筒部35の一端部が一対の平板部32の一方に連結され、各筒部35の他端部が一対の平板部32の他方に連結される。段ボールプラスチック30において、1つの筒部35及び一対の平板部32に囲まれる1つの空隙36は、他の筒部35及び一対の平板部32に囲まれる空隙36から独立している。段ボールプラスチック30において、互いに独立した複数の空隙36が形成されている。段ボールプラスチック30において、各空隙36は、閉鎖空間とされる。
【0018】
もっとも連結部34としてハニカム構造に代えて別の構造が採用されていてもよい。例えば、連結部34は、互いに平行な複数の板部を有していてもよい。この場合、段ボールプラスチック30の横断面は、はしご状を呈する。
【0019】
段ボールプラスチック30から筐体部20を製造する様子について、図6及び図7を参照しつつ説明する。図6は、筐体部20の展開図である。図7は、筐体部20を組み立てる様子を説明する図である。なお、以下に示す筐体部20の製造方法は一例であり、筐体部20は他の製造方法によって製造されてもよい。
【0020】
まず、図6に示すように、段ボールプラスチック30を材料とする3つの基材38、39、39が用意される。1つの基材38は、底板部22及び一対の側板部24Aに対応する大きさを有する。2つの基材39、39は、それぞれ側板部24Bに対応する大きさを有する。
【0021】
基材38において、底板部22と側板部24Aとの間に折目38aが形成される。図7に示す例では、折目38aとして、切り欠きが形成されている。平板部32に対して45度の角度をなす切れ目が、底板部22側及び側板部24A側から入れられる。底板部22側の切れ目と側板部24A側の切れ目とが、基材38の厚み方向に沿った中間部で交わることによって、底板部22の一部及び側板部24Aの一部が切り欠かれて、折目38aとされる。
【0022】
基材38が、折目38aで折り曲げられる。側板部24Aにおいて切り欠かれた部分が、底板部22において切り欠かれた部分と接する。互いに接する部分が溶接されて、側板部24Aが底板部22に直交するように底板部22から突出した状態に維持される。なお、底板部22の切れ目及び側板部24Aの切れ目が、平板部32の外面まで達して、底板部22と側板部24Aとは完全に分離していてもよい。
【0023】
2つの基材39、39が、底板部22及び一対の側板部24Aの間にはめ込まれる。基材38と基材39とが接する部分(側板部24Bが底板部22及び一対の側板部24Aと接する部分)が、それぞれ樹脂溶接されて、筐体部20が完成となる。
【0024】
図4において、これらの溶接部のうち底板部22と、側板部24Aとの溶接部W1が仮想線で示されている。
【0025】
コンテナ10において、筐体部20には、上端補強部材40及びコーナー補強部材50が設けられている。上端補強部材40は、筐体部20の上端部を補強する。コーナー補強部材50は、筐体部20のコーナー部を補強する。4つの側板部24のそれぞれに上端補強部材40が設けられている。側板部24Aと側板部24Bとが交わる4つのコーナー部のそれぞれにコーナー補強部材50が設けられている。
【0026】
上端補強部材40は、天井壁42と内壁43と外壁44とを有する。天井壁42と内壁43と外壁44とに囲まれる部分が溝46となっている。溝46は直線状に延在する。溝46に側板部24の上端部が嵌っている。天井壁42は側板部24の上方に位置する。天井壁42は側板部24の上端の端面を覆う。内壁43は側板部24の内側に位置する。内壁43は側板部24の内面を覆う。外壁44は側板部24の外側に位置する。外壁44は側板部24の外面を覆う。上端補強部材40は、自身の溝46に嵌っている側板部24よりも若干短く形成されている。
【0027】
コーナー補強部材50は、天井壁52と内壁53と外壁54とリブ58とを有する。天井壁52と内壁53と外壁54とに囲まれる部分が溝56となっている。溝56はL字状に延在する。溝56に筐体部20のコーナー部が嵌っている。L字状の溝56の一端部に側板部24Aが嵌り、L字状の溝56の他端部に側板部24Bが嵌る。天井壁52は側板部24の上方に位置する。天井壁52は側板部24の先端面を覆う。内壁53は側板部24の内側に位置する。内壁53は側板部24の内面を覆う。外壁54は側板部24の外側に位置する。外壁54は側板部24の外面を覆う。
【0028】
リブ58は、天井壁52から上方に突出する。リブ58は、外壁54と同様に筐体部20よりも外側に設けられる。リブ58の外面と、外壁54の外面とが面一である。リブ58の高さ寸法(天井壁52からの突出寸法)は、コンテナ10におけるコーナー補強部材50よりも下側の部分の高さ寸法と同じかそれよりも小さい。複数のコンテナ10が積み重なった際、上側のコンテナ10における下面が、下側のコンテナ10の天井壁52における上面に載置される。複数のコンテナ10が積み重なった際、上側のコンテナ10における外壁54の下端の端面が、下側のコンテナ10におけるリブ58の上端の端面と接触しない。
【0029】
ここでは上端補強部材40の端部がコーナー補強部材50の溝56に嵌っている。上端補強部材40の一端部が一つのコーナー補強部材50の溝56に嵌り、上端補強部材40の他端部が別のコーナー補強部材50の溝56に嵌っている。
【0030】
上端補強部材40及びコーナー補強部材50は、樹脂製又は金属製である。上端補強部材40及びコーナー補強部材50は、同じ種類の材料で形成されていてもよいし、互いに異なる種類の材料で形成されていてもよい。例えば、上端補強部材40が金属製であり、コーナー補強部材50が樹脂製であってもよい。
【0031】
上端補強部材40及びコーナー補強部材50はリベットRを介して筐体部20に固定されている。リベットRは、上端補強部材40及びコーナー補強部材50が重なる部分に設けられている。上端補強部材40及びコーナー補強部材50が共通のリベットRによって固定されている。リベットRの先端部は、外壁54の外側から外壁54、44を貫通し、側板部24の内部に係止している。リベットRの先端部は、内壁43、53を貫通しておらず、筐体の内面側に露出していない。外壁54、44において、リベットRの先端部が貫通する部分には、予め貫通孔が形成されていてもよい。
【0032】
なお、筐体部20に上端補強部材40及びコーナー補強部材50が設けられることは必須の構成ではない。上端補強部材40及びコーナー補強部材50のいずれか一方又は両方が省略されてもよい。また、上端補強部材40及びコーナー補強部材50が接着剤などのリベットR以外の固定態様で固定されていてもよい。
【0033】
帯電抑制プレート60は、底板部22の外面に設けられている。コンテナ10において、帯電抑制プレート60が、自動倉庫70に対して摺動する底面をなしている。
【0034】
帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、底板部22の表面抵抗率よりも低い。例えば、帯電抑制プレート60は、導電性フィラーを含有する樹脂製である。導電性フィラーは、例えば、カーボン、金属などの導電体の粉末である。段ボールプラスチック30は、導電性フィラーを含有しないか、含有していてもその含有量が帯電抑制プレート60よりも少ないことによって、帯電抑制プレート60の表面抵抗率よりも底板部22の表面抵抗率が高くなる。
【0035】
例えば、帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、1.0×10Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲であってもよい。段ボールプラスチック30は、表面抵抗率が1.0×1014Ω/□よりも大きくてもよい。帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、1.0×108Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲であってもよい。帯電抑制プレート60は、いわゆる帯電防止グレードに属していてもよい。段ボールプラスチック30は、いわゆる絶縁グレードに属していてもよい。段ボールプラスチック30は、帯電抑制プレート60ほど導電性を高くする必要がないため、安価な材料で形成されることができる。
【0036】
帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30と擦れた際、プラスに帯電し、鉄系材料製の載置面と擦れた際、マイナスに帯電する。帯電列において、帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30と載置面との間に位置する。なお、人の皮膚は、鉄系材料製の載置面と擦れた際、プラスに帯電する。段ボールプラスチック30、帯電抑制プレート60、鉄系材料製の載置面、及び人の皮膚は、帯電列において、マイナスに帯電しやすい側から、この順に並ぶ。
【0037】
帯電抑制プレート60の形状及び大きさは、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。本例では、帯電抑制プレート60は、充実である。帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30のように中空であってもよい。本例では、帯電抑制プレート60は、底板部22に対応する矩形状である。帯電抑制プレート60は、矩形状以外の形状であってもよい。帯電抑制プレート60は、底板部22の外面よりも小さい。底板部22の外面は、複数の側板部24の外面を結ぶ長方形と同じ大きさである。底板部22の外面は、複数の側板部24における上端の内縁よりも大きい。帯電抑制プレート60は、複数の側板部24における上端の内縁と同じかそれよりも小さい。底板部22の外面は、複数の側板部24の内面を結ぶ長方形よりも大きい。帯電抑制プレート60は、複数の側板部24の内面を結ぶ長方形と同じかそれよりも小さい。帯電抑制プレート60は、コーナー補強部材50の内壁53の内面を結ぶ長方形と同じかそれよりも小さい。
【0038】
帯電抑制プレート60の厚みは、所定値(例えば2mm)以上である。これにより、筐体部20が底上げされ、底板部22と側板部24の底が、自動倉庫の一部と接触することによって破損することが抑制されている。帯電抑制プレート60の厚みは、底板部22の厚みよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。帯電抑制プレート60の厚みは、底板部22の厚みと同じであってもよい。帯電抑制プレート60の厚みは、平板部32の厚みよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。帯電抑制プレート60の厚みは、平板部32の厚みと同じであってもよい。帯電抑制プレート60の厚みは、好ましくは3mm以上であるとよい。帯電抑制プレート60の厚みが増すほど、筐体部20が底上げされる量が増すと共に、帯電抑制プレート60自体の剛性が増す。帯電抑制プレート60の厚みの上限は特に限定されるものではないが、コンテナ10の高さを抑えるとの観点から、好ましくは40mm以下であるとよい。
【0039】
帯電抑制プレート60は、内向き面61と外向き面62とを有する。内向き面61は、底板部22側を向く面である。外向き面62は、内向き面61とは反対側を向く面である。内向き面61は、全体に平坦とされる。内向き面61の全体が底板部22の外面と接する。外向き面62は、平坦面部63と傾斜面部64とを有する。外向き面62の外縁部が傾斜面部64とされる。傾斜面部64に囲まれる部分が平坦面部63とされる。
【0040】
ここでは傾斜面部64が平坦面部63の四方を囲む。これにより、コンテナ10がいずれの方向に搬送されても、搬送方向前方に傾斜面部64が向くことができる。傾斜面部64が平坦面部63に対して三方以下に設けられてもよい。搬送方向前方及び後方の少なくとも二方が傾斜面部64とされていると良い。平坦面部63は内向き面61よりも小さい。傾斜面部64は平坦面部63の外縁から内向き面61の外縁に向かって傾斜する。
【0041】
図4に示す例では、傾斜面部64の角度(傾斜面部64と内向き面61とのなす角)は45度である。もっとも、傾斜面部64の角度は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。同じ大きさの帯電抑制プレート60に対して、傾斜面部64の角度が大きくなると、平坦面部63が大きくなり、傾斜面部64が小さくなる。また、同じ大きさの帯電抑制プレート60に対して、傾斜面部64の角度が小さくなると、平坦面部63が小さくなり、傾斜面部64が大きくなる。
【0042】
底板部22と帯電抑制プレート60とは、溶接されて固定されている。帯電抑制プレート60の外縁部が溶接されている。帯電抑制プレート60の中間部は溶接されていない。図4において、底板部22と帯電抑制プレート60との溶接部W2が仮想線で示されている。
【0043】
例えば、溶接前の帯電抑制プレート60は、内向き面61及び外向き面の両面が同じ大きさの平坦面である平板であってもよい。当該帯電抑制プレート60が底板部22に溶接される際、全体に平坦な外向き面のうち外縁部が熱変形して傾斜面部64とされてもよい。この場合、帯電抑制プレート60の厚みが所定値(例えば2mm)以上であると、帯電抑制プレート60に傾斜面部64を設けやすい。例えば、同じ角度の傾斜面部64に対して、帯電抑制プレート60の厚みが大きくなるほど、傾斜面部64の面積が大きくなり、その分、帯電抑制プレート60と底板部22との溶接部の面積が大きくなる。
【0044】
帯電抑制プレート60の面積は、筐体部20の底の面積よりも小さい。これによって、帯電抑制プレート60の外縁部を筐体部20に溶接する際の溶着部分を側板部24よりも内側に確保でき、溶接する際の製造性向上に寄与できる。
【0045】
コンテナ10の底面のうち載置面に接する部分全体が帯電抑制プレート60からなる。底面のうち載置面に接する部分が摺動面とされる。摺動面全体が帯電抑制プレート60からなる。底面のうち帯電抑制プレート60からなる部分が平坦である。ここでは帯電抑制プレート60において、外向き面62のうちの平坦面部63が摺動面となる。
【0046】
自動倉庫70において、コンテナ10は繰り返し入出庫される。このため、帯電抑制プレート60が繰り返し摺動する。帯電抑制プレート60は、自動倉庫70における繰り返しの摺動に耐える剛性、耐摩耗性を有する。自動倉庫70において、底板部22は、帯電抑制プレート60ほど摺動しない。底板部22は、帯電抑制プレート60ほどの繰り返しの摺動に耐える剛性、耐摩耗性を有していなくてもよい。
【0047】
<自動倉庫>
自動倉庫70について説明する。図8はコンテナ10が用いられる自動倉庫70の一例を示す概略側面図であり、図9は自動倉庫70を示す概略平面図である。図10は、物品移載装置76を示す概略斜視図である。
【0048】
自動倉庫70において、物品100(図12参照)はコンテナ10に収容された状態で搬送及び格納される。以下、物品100がコンテナ10に収容されたものを、格納物102と呼ぶことがある。コンテナ10に収容される物品100は、例えば電子部品である。
【0049】
自動倉庫70は、格納部71と、物品移載装置76とを備える。自動倉庫70は、仮置き棚84と、昇降装置88と、コンベア92とをさらに備える。格納部71は保管棚の一例である。また、物品移載装置76、仮置き棚84、昇降装置88、及びコンベア92は搬送部の一例である。
【0050】
格納部71は、物品移載装置76の走行路73の少なくとも一方側に設けられる。ここでは、走行路73の両側に一対の格納部71が設けられる。格納部71は、上下方向において間隔をあけて支持された複数段の棚72を有する。それぞれの段の棚72が格納物102を支持することができる。各段における棚72も、複数の格納物102を支持することができる。このため、格納部71全体として見ると、複数の格納物102が上下左右に配列した状態で格納される。格納部71において、格納物102が格納される空間が格納空間である。このため、格納部71には、走行路73を走行する物品移載装置76の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成される。各格納空間は仕切無く連続していてもよいし、仕切られていてもよい。
【0051】
走行路73は、格納部71の延在方向に沿って、ここでは、一対の格納部71の間で、その間の延在方向に沿って設けられている。走行路73は、格納部71の延在方向に沿い、かつ、仮置き棚84迄延在している。走行路73は、上下の複数の棚72のそれぞれに対応して設けられている。各走行路73は、例えば、一対のレール74を備えた構成であってもよい。レール74は、格納部71の横フレームを兼ねていてもよいし、格納部71とは別体として構成されていてもよい。
【0052】
物品移載装置76は、ピッカーとも呼ばれる装置であり、上記走行路73を往復走行可能に構成されている。物品移載装置76は、台車77と支持台78と物出し入れ機構79とを有する。台車77がレール74に沿って走行する。支持台78及び物出し入れ機構79は台車77に支持される。物出し入れ機構79は、支持台78と、格納部71又は仮置き棚84との間で格納物102を出し入れする。走行路73を走行する物品移載装置76は、一対の格納部71の両方に対して格納物102を出し入れすることができる。
【0053】
本例では、複数の走行路73及び複数の物品移載装置76が、上下の各棚72に対応して設けられている例で説明するが、これは必須ではない。例えば、上下の複数の棚72に共通する1つの走行路73が設けられ、当該走行路73を移載台車が走行してもよい。この場合、移載台車に昇降機構が設けられて、上下の複数の棚72に対して格納物102を出し入れできるようにされてもよい。また、1つの走行路73に対して複数の移載台車が走行してもよい。
【0054】
物出し入れ機構79は、例えば、一対のアーム80と引っ掛け片81とを備える。一対のアーム80は、支持台78の両側部から格納部71又は仮置き棚84側に向けて進退可能かつ伸縮可能に構成されている。引っ掛け片81は、一対のアーム80の端部で、一対のアーム80に向けて突出する姿勢と当該突出姿勢から退避した姿勢との間で起伏可能に構成されている。
【0055】
物品移載装置76において、台車77の駆動部、アーム80の駆動部、及び引っ掛け片81の駆動部などが台車77に支持されていてもよい。
【0056】
仮置き棚84、昇降装置88及びコンベア92は格納部71の延在方向の一部に設けられる。本例では、一対の格納部71のそれぞれの一端部に入庫用の仮置き棚84、昇降装置88及びコンベア92が設けられる。また、一対の格納部71のそれぞれの他端部に出庫用の仮置き棚84、昇降装置88及びコンベア92が設けられる。一対の格納部71の長手方向中間部に、仮置き棚84、昇降装置88及びコンベア92が設けられてもよい。仮置き棚84、昇降装置88及びコンベア92は、入庫用と出庫用とに分けられている必要は無く、入出庫兼用とされてもよい。
【0057】
仮置き棚84は、昇降装置88と物品移載装置76との間で格納物102を中継する装置である。仮置き棚84は、複数の棚72それぞれに対応する複数の仮置き台85を備える。複数の仮置き台85は、格納部71と隣の位置で、対応する棚72と同じ高さ位置に設けられる。このため、各棚72に対応して設けられた物品移載装置76が、当該棚72の段において、仮置き台85及び棚72に対して格納物102を移載することができる。
【0058】
昇降装置88は格納物102を昇降させる装置であり、格納物102を支持した状態で昇降する昇降台89を備える。昇降台89は、昇降機構90によって昇降駆動される。昇降機構90は、例えば、モータと、スプロケット又は循環ベルトを有し、モータを回転させることで、スプロケット又は循環ベルトが循環回転され、これにより、当該スプロケット又は循環ベルトに連結された昇降台89が昇降する構成であってもよい。昇降台89が昇降駆動されることで、昇降台89が、仮置き棚84の隣の位置で、複数の仮置き台85のそれぞれに対応する位置に昇降移動される。昇降台89がいずれかの仮置き台85に対応する高さ位置で、当該仮置き台85と隣り合うことで、格納物102が昇降台89と仮置き台85との間で水平移動して移載されることができる。
【0059】
コンベア92は、昇降装置88に向けて格納物102を搬送する。昇降台89及びコンベア92が対応する高さ位置で隣り合うことで、格納物102が昇降台89とコンベア92との間で水平移動して移載されることができる。コンベア92は、ベルトコンベアであってもよいし、ローラコンベアであってもよい。
【0060】
制御部94は、物品移載装置76の走行動作及び格納物102の出入動作、仮置き棚84における移載動作、昇降装置88の昇降動作及び移載動作、コンベア92における移載動作などを制御する。この自動倉庫70においては、制御部94による制御下、格納物102の入庫、及び、出庫がなされる。
【0061】
<自動倉庫70における格納物102の流れ>
自動倉庫70における格納物102の流れについて、図11及び図12をさらに参照しつつ説明する。図11は、自動倉庫70における格納物102の流れを示す概略平面図である。図12は、自動倉庫70における格納物102の流れを示す概略側面図である。
【0062】
自動倉庫70において、格納物102は、棚72と支持台78との間、支持台78と仮置き台85との間、仮置き台85と昇降台89との間、昇降台89とコンベア92との間のそれぞれで移載される。自動倉庫70において、コンテナ10が載置される載置面は、棚72、支持台78、仮置き台85、昇降台89、及びコンベア92のそれぞれの上面である。
【0063】
本例では、仮置き台85及び昇降台89は、コンベア92と同様に格納物102を移動させる機能を有している。本例では、仮置き台85、昇降台89及びコンベア92はそれぞれローラコンベアである。ローラコンベアは複数のローラを有する。複数のローラのうち少なくとも1つのローラが、回転駆動可能な駆動ローラである。当該駆動ローラが回転駆動することによって、格納物102が、ローラコンベア上を移動する。仮置き台85、昇降台89及びコンベア92のそれぞれがローラコンベアであることによって、仮置き台85と昇降台89との間、及び昇降台89とコンベア92との間において、格納物102が、他の移載装置を介さずとも、ローラコンベアによって直接移載されることができる。この際、コンテナ10のうち平坦面部63がローラに対して摺動する。平坦面部63の周りに傾斜面部64があることによって、コンテナ10の底部がローラやその周辺部材に引っ掛かりにくい。
【0064】
棚72及び支持台78は、ローラコンベアなどではなく、格納物102を移動させる機能は有していない。このため、棚72と支持台78との間において、格納物102は、他の移載装置を介して移載される。また支持台78と仮置き台85とは、格納物102の移載の際、仮置き台85において格納物102がローラコンベアによって流れる方向と直交する方向に並ぶ。このため、支持台78と仮置き台85との間において、格納物102は、他の移載装置を介して移載される。本例では、棚72と支持台78との間、及び支持台78と仮置き台85との間において、格納物102は、物品移載装置76の物出し入れ機構79を介して移載される。この際、コンテナ10において、平坦面部63が、棚72及び支持台78における平坦な上面に対して摺動する。平坦面部63の周りに傾斜面部64があることによって、コンテナ10の底部が棚72、支持台78及び仮置き台85やその周辺部材に引っ掛かりにくい。
【0065】
入庫される格納物102に着目すると、入庫用のコンベア92等によって入庫される格納物102が昇降装置88に移載される。すると、昇降装置88は、当該格納物102を、その格納物102が格納される棚72のある段に対応する位置に昇降移動させる。この後、昇降台89に支持された格納物102が仮置き棚84に移載される。仮置き棚84によって支持された格納物102は、物品移載装置76に移載される。物品移載装置76は、格納物102を支持した状態で走行路73を走行し、格納部71における格納物102の格納予定位置に向けて移動する。物品移載装置76が格納予定位置に達すると、格納物102が物品移載装置76から格納部71に移載され、当該格納物102が格納部71に格納される。
【0066】
出庫される格納物102に着目すると、当該格納物102の格納位置に対応する棚72のある段の物品移載装置76が、当該格納物102の格納位置に対応する位置に走行移動する。この後、物品移載装置76が格納部71から格納物102を取込む。格納物102を取込んだ物品移載装置76は、出庫用の仮置き棚84に向けて移動し、格納物102を仮置き棚84に移載する。出庫用の昇降装置88は、昇降台89を、当該出庫される格納物102に対応する棚72のある段の位置に昇降移動させる。そして、当該棚72のある段において仮置き棚84上の格納物102が昇降台89に移載される。出庫用の昇降装置88は、昇降台89を出庫用のコンベア92の高さ位置に移動させ、格納物102を当該出庫用のコンベア92に移載する。格納物102は、出庫用のコンベア92によって外部に出庫される。
【0067】
物品移載装置76が格納部71又は仮置き台85上の格納物102を取込む際には、物品移載装置76が、走行路73に沿って走行して上記格納部71又は仮置き台85に対向する位置に移動する。この状態で、一対のアーム80が格納部71又は仮置き台85側に向けて延び出ると、一対のアーム80が格納部71又は仮置き台85上の格納物102の両側外側に位置することとなる。この状態で、退避姿勢にある引っ掛け片81が突出姿勢に姿勢変更すると、引っ掛け片81が格納物102に対して物品移載装置76とは反対側に位置することとなる。この状態で、一対のアーム80が縮みつつ退避すると、引っ掛け片81が引っ掛っている格納物102が支持台78に向けて押されるようにして移動する。これにより、格納物102が格納部71又は仮置き台85から物品移載装置76に向けて引込まれるようにして移載される。
【0068】
物品移載装置76が支持台78上の格納物102を棚72又は仮置き台85上に移載する際には、格納物102を取り込んだ物品移載装置76が走行路73に沿って移動し、棚72又は仮置き台85における所定の格納予定位置に対向する位置に移動する。この後、移載方向反対側の引っ掛け片81を突出させた姿勢で、一対のアーム80が伸びつつ棚72又は仮置き台85に向けて進出移動すると、引っ掛け片81が引っ掛っている格納物102が棚72又は仮置き台85に向けて押されるようにして移動する。これにより、物品移載装置76上の格納物102が物品移載装置76から格納部71又は仮置き台85に向けて押し出されるようにして移載される。
【0069】
<効果等>
このように構成された自動倉庫用コンテナ10及びこれを備える自動倉庫70によると、底板部22の表面抵抗率よりも低い表面抵抗率を有する帯電抑制プレート60によって自動倉庫用コンテナ10の底面が構成される。このため、底板部22がコンテナ10の底面をなす場合と比べて、擦れた際の帯電量が大きくなりにくくなると共に、帯電した静電気が比較的速やかに消散することができる。これにより、段ボールプラスチック30製の底板部22の底面が自動倉庫70における載置面に対して摺動したときと比べて、コンテナ10の帯電が抑制される。
【0070】
特に、底板部22が側板部24よりも大きく、かつ、底板部22の表面は平坦な面であるため、底板部22がコンテナ10の底面をなす場合、摺動時に擦れる面積が大きくなる。また底板部22は、絶縁性を有するポリプロピレンなどの樹脂材料によって形成されているため、表面抵抗率が高い。これらより、底板部22がコンテナ10の底面をなす場合、底板部22に電荷が溜まりやすい。帯電抑制プレート60がコンテナ10の底面をなすことによって、コンテナ10の帯電が抑制される。
【0071】
また帯電抑制プレート60に傾斜面部64が設けられることによって、傾斜面部64の部分が平坦面部63と面一の平面部である場合と比べて、帯電抑制プレート60における平坦面部63の面積が小さくなる。これにより、摺動時に帯電抑制プレート60が載置面と擦れる面積が小さくなり、コンテナ10の帯電が抑制される。
【0072】
また帯電抑制プレート60の内側に帯電抑制プレート60よりも表面抵抗率の高い底板部22があるため、帯電抑制プレート60に溜まった電荷が筐体部20に収容された物品100に達しにくい。また筐体部20が段ボールプラスチック30を材料として形成されているため、帯電抑制プレート60と同様の表面抵抗率を有する部材によって筐体部20が形成される場合と比べて、コストアップが抑制される。
【0073】
また帯電抑制プレート60の厚みが所定値(例えば2mm)以上であることによって、筐体部20が底上げされて、筐体部20の底部が自動倉庫70の設備と接触しにくくなる。また、帯電抑制プレート60に傾斜面部64が設けられることにより、帯電抑制プレート60の角部が自動倉庫70の設備と接触しにくくなる。また、帯電抑制プレート60の角部が自動倉庫70の設備と接触しても、傾斜面部64が設備に対して滑ることができることによって、帯電抑制プレート60の角部が設備に引掛かりにくくなる。これらより、コンテナ10の底部の角部の傷つきを抑制できる。
【0074】
また、底板部22と帯電抑制プレート60とが溶接されて固定されている。これにより、底板部22と帯電抑制プレート60とが固定される部分において、接着剤などの別部材を用いずに済む。
【0075】
また、帯電抑制プレート60は、底板部22に対して、傾斜面部64において溶接されて固定されている。これにより、傾斜面部64の形成作業と、帯電抑制プレート60の底板部22への固定作業とが、一つの工程で行われることができ、コンテナ10の製造が容易となる。例えば、底板部22に固定されて帯電抑制プレート60となる前の基材として両面が同じ大きさの平面である平板が用意され、当該平板が底板部22と溶接される際、外縁部が部分的に潰れて傾斜面部64とされてもよい。例えば、当該平板の外縁部は、溶接機による熱プレスによって底板部22に溶接されつつ熱変形して傾斜面部64とされてもよい。
【0076】
また、コンテナ10の底面のうち自動倉庫70の載置面に接する部分(ここでは平坦面部63)全体が帯電抑制プレート60からなる。これにより、コンテナ10の底面と載置面との摺動時に帯電抑制プレート60のみが載置面と接触するため、コンテナ10の帯電をより抑制できる。
【0077】
また、底面のうち帯電抑制プレート60からなる部分であって傾斜面部64よりも底の部分(ここでは平坦面部63)が平坦である。これにより、摺動時にコンテナ10が引っ掛かりにくい。
【0078】
また、帯電抑制プレート60は、底板部22の外面よりも小さい。これにより、帯電抑制プレート60と載置面との擦れる面積が小さくなり、コンテナ10の帯電が抑制される。
【0079】
また、底板部22の外面は、複数の側板部24における上端の内縁よりも大きく、帯電抑制プレート60は、複数の側板部24における上端の内縁と同じかそれよりも小さい。これにより、複数のコンテナ10が積み重なる際、上側のコンテナ10の底板部22が下側のコンテナ10の側板部24の上面に重なることができつつ、上側のコンテナ10の帯電抑制プレート60が下側のコンテナ10の側板部24の上面に重なることが抑制される。これにより、積み重なったコンテナ10群の高さが高くなることが抑制される。これにより、複数のコンテナ10に物品100が収容されていない状態で、複数のコンテナ10が積み重なって搬送される際の、容量を小さくできる。
【0080】
また、帯電抑制プレート60は、導電性フィラーを含有する樹脂製である。これにより、コンテナ10の摺動時に帯電抑制プレート60が自動倉庫70の載置面を傷つけにくい。また導電性フィラーの種類、含有量などを変えることによって、帯電抑制プレート60の表面抵抗率を変えることができる。
【0081】
また、帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、1.0×10Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲である。これにより、帯電抑制プレート60が、金属などの良導体製の場合と比べて高い絶縁性を保ちつつ、帯電防止を行うことができる。
【0082】
帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30と擦れた際、プラスに帯電し、鉄系材料製の載置面と擦れた際、マイナスに帯電する。これにより、帯電抑制プレート60が段ボールプラスチック30よりも、帯電列において、人の皮膚に近くなり、帯電抑制プレート60が仮に帯電していても、人が帯電抑制プレート60に触れたときに静電気による感電が生じにくい。
【0083】
また、底板部22は、複数の側板部24のいずれよりも大きい。これにより、底板部22が底面の場合に、擦れる面積が比較的大きくなり、電荷が溜まりやすい。この場合でも、底板部22の外面に帯電抑制プレート60が設けられることによって、コンテナ10の帯電が抑制される。
【0084】
<付記>
これまで、底板部22と帯電抑制プレート60とが溶接されて固定されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。底板部22と帯電抑制プレート60とは、溶接以外の固定態様で固定されていてもよい。例えば、底板部22と帯電抑制プレート60とはリベットRなどによって固定されていてもよいし、接着剤などによって固定されていてもよい。
【0085】
またこれまで、コンテナ10の底面のうち自動倉庫70における載置面に接する部分全体が帯電抑制プレート60からなるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。コンテナ10の底面のうち載置面に接する部分に、帯電抑制プレート60とは別の部分があってもよい。
【0086】
またこれまで、コンテナ10の底面のうち帯電抑制プレート60からなる部分が平坦であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、コンテナ10において、平坦面部63の中に凹凸形状が形成されていてもよい。
【0087】
またこれまで、帯電抑制プレート60は、底板部22の外面よりも小さいものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。帯電抑制プレート60は、底板部22の外面と同じかそれよりも大きくてもよい。
【0088】
またこれまで、底板部22の外面は、複数の側板部24における上端の内縁よりも大きく、帯電抑制プレート60は、複数の側板部24における上端の内縁と同じかそれよりも小さいものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、帯電抑制プレート60は、複数の側板部24における上端の内縁よりも大きくてもよい。上側のコンテナ10の帯電抑制プレート60が、下側のコンテナ10の側板部24に積み重なってもよい。
【0089】
またこれまで、帯電抑制プレート60は、導電性フィラーを含有する樹脂製であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、帯電抑制プレート60は、金属板などであってもよい。
【0090】
またこれまで、帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、1.0×10Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、帯電抑制プレート60の表面抵抗率は、1.0×10Ω/□よりも小さくてもよい。
【0091】
またこれまで、帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30と擦れた際、プラスに帯電し、鉄系材料製の載置面と擦れた際、マイナスに帯電するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、帯電抑制プレート60は、段ボールプラスチック30と擦れた際、マイナスに帯電してもよい。また例えば、帯電抑制プレート60は、鉄系材料製の載置面と擦れた際、プラスに帯電してもよい。
【0092】
またこれまで、底板部22は、複数の側板部24のいずれよりも大きいものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、複数の側板部24のいずれかは、底板部22と同じかそれよりも大きくてもよい。また例えば、複数の側板部24のいずれも、底板部22と同じかそれよりも大きくてもよい。
【0093】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0094】
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
【0095】
第1の態様は、自動倉庫における載置面に対して摺動する底面を有する自動倉庫用コンテナであって、段ボールプラスチックを材料として形成され、底板部と複数の側板部とを有する筐体部と、前記底板部の外面に設けられる帯電抑制プレートと、を備え、前記帯電抑制プレートは、前記底面として機能する外向き面を有し、前記外向き面は、外縁部分に傾斜面部を含み、前記帯電抑制プレートの表面抵抗率は、前記底板部の表面抵抗率よりも低い。
【0096】
この自動倉庫用コンテナによると、底板部の表面抵抗率よりも低い表面抵抗率を有する帯電抑制プレートによって自動倉庫用コンテナの底面が構成される。このため、底板部が自動倉庫用コンテナの底面をなす場合と比べて、擦れた際の帯電量が大きくなりにくくなると共に、帯電した静電気が比較的速やかに消散することができる。これにより、段ボールプラスチック製の底板部の底面が自動倉庫における載置面に対して摺動したときと比べて、自動倉庫用コンテナの帯電が抑制される。また帯電抑制プレートの厚みが所定値(例えば2mm)以上であることによって、筐体部が底上げされて、筐体部の底部が自動倉庫と接触しにくくなる。また、帯電抑制プレートに傾斜面部が設けられることにより、帯電抑制プレートの角部が自動倉庫と接触しにくくなる。また、帯電抑制プレートの角部が自動倉庫の設備と接触しても、傾斜面部が設備に対して滑ることができることによって、帯電抑制プレートの角部が設備に引掛かりにくくなる。これらより、自動倉庫用コンテナの底部の角部の傷つきを抑制できる。
【0097】
第2の態様は、第1の態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記底板部と前記帯電抑制プレートとが溶接されて固定されている。これにより、底板部と帯電抑制プレートとが固定される部分において、接着剤などの別部材を用いずに済む。
【0098】
第3の態様は、第2の態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記帯電抑制プレートは、前記底板部に対して、前記傾斜面部において溶接されて固定されている。これにより、傾斜面部の形成作業と、帯電抑制プレートの底板部への固定作業とが、一つの工程で行われることができ、自動倉庫用コンテナの製造が容易となる。
【0099】
第4の態様は、第1から第3の態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記底面のうち前記載置面に接する部分全体が前記帯電抑制プレートからなる。これにより、自動倉庫用コンテナの底面と載置面との摺動時に帯電抑制プレートのみが載置面と接触するため、自動倉庫用コンテナの帯電をより抑制できる。
【0100】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記底面のうち前記帯電抑制プレートからなる部分であって前記傾斜面部よりも底の部分が平坦である。これにより、摺動時に自動倉庫用コンテナが引っ掛かりにくい。
【0101】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記帯電抑制プレートの面積は、前記底板部の前記外面の面積よりも小さい。これにより、帯電抑制プレートと載置面との擦れる面積が小さくなり、自動倉庫用コンテナの帯電が抑制される。
【0102】
第7の態様は、第6の態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記底板部の前記外面は、前記複数の側板部における上端の内縁よりも大きく、前記帯電抑制プレートは、前記複数の側板部における前記上端の前記内縁と同じかそれよりも小さい。これにより、複数の自動倉庫用コンテナが積み重なる際、上側の自動倉庫用コンテナの底板部が下側の自動倉庫用コンテナの側板部の上面に重なることができつつ、上側の自動倉庫用コンテナの帯電抑制プレートが下側の自動倉庫用コンテナの側板部の上面に重なることが抑制される。これにより、積み重なった自動倉庫用コンテナ群の高さが高くなることが抑制される。
【0103】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記帯電抑制プレートは、導電性フィラーを含有する樹脂製である。これにより、自動倉庫用コンテナの摺動時に帯電抑制プレートが自動倉庫の載置面を傷つけにくい。
【0104】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記帯電抑制プレートの表面抵抗率は、1.0×10Ω/□から1.0×1014Ω/□の範囲である。これにより、帯電抑制プレートが、金属などの良導体製の場合と比べて高い絶縁性を保ちつつ、帯電防止を行うことができる。
【0105】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナであって、前記帯電抑制プレートは、前記段ボールプラスチックと擦れた際、プラスに帯電し、鉄系材料製の前記載置面と擦れた際、マイナスに帯電する。これにより、帯電抑制プレートが段ボールプラスチックよりも、帯電列において、人の皮膚に近くなり、人が帯電抑制プレートに触れたときに静電気による感電が生じにくい。
【0106】
第11の態様は、自動倉庫であって、第1から第10のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用コンテナと、前記自動倉庫用コンテナを保管する保管棚と、前記自動倉庫用コンテナを、前記保管棚に向けて又は前記保管棚から搬送する搬送部と、を備える。上記自動倉庫用コンテナが用いられることによって、自動倉庫において、自動倉庫用コンテナの帯電にかかる問題及び底部の傷つきにかかる問題が生じにくくなる。
【0107】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0108】
10 自動倉庫用コンテナ
20 筐体部
22 底板部
24、24A、24B 側板部
30 段ボールプラスチック
40 上端補強部材
50 コーナー補強部材
60 帯電抑制プレート
61 内向き面
62 外向き面
63 平坦面部(摺動面)
64 傾斜面部
70 自動倉庫
71 格納部(保管棚)
72 棚
76 物品移載装置(搬送部)
78 支持台
79 物出し入れ機構
85 仮置き台(搬送部)
88 昇降装置(搬送部)
89 昇降台
92 コンベア(搬送部)
100 物品
102 格納物
W1、W2 溶接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12