(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】熱式除害装置及び該装置を用いた熱式除害方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/74 20060101AFI20250327BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20250327BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20250327BHJP
B01D 53/75 20060101ALI20250327BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20250327BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
B01D53/74
B01D53/86 228
B01D53/86 280
B01D53/38 ZAB
B01D53/75
F23G7/06 D
C23C16/44 E
(21)【出願番号】P 2022052025
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2024-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591088870
【氏名又は名称】株式会社巴商会
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】秋永 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 秀之
(72)【発明者】
【氏名】松本 徹生
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆満
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-70662(JP,A)
【文献】特開2002-188810(JP,A)
【文献】特開2010-190548(JP,A)
【文献】特開平11-333247(JP,A)
【文献】特開平7-323211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/34-53/73
B01D53/74-53/85
B01D53/92
B01D53/96
H01L21/00-21/04
C23C16/00-16/56
F23G 5/14- 5/18
F23G 7/06- 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のチャンバーと、該チャンバーの内周面に嵌合するヒーター部を備え、該ヒーター部の内部に上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱し除害処理を行う熱式除害装置であって、上記ヒーター部は、面状又は線状の電熱ヒーターを平面視渦巻状に成形して成り、上記電熱ヒーター同士の隣接間隔から成る平面視渦巻状の通ガス流路を有すると共に、該ヒーター部の上部を覆う整流部を設け、該整流部は、上記チャンバーの内周面に嵌合し、中心部に処理済ガスの通過を許容する排出孔を有することを特徴とする熱式除害装置。
【請求項2】
上記面状の電熱ヒーターは、貫通する多数の通ガス孔を有することを特徴とする請求項1記載の熱式除害装置。
【請求項3】
上記ヒーター部の上流側に圧力センサーを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱式除害装置。
【請求項4】
上記ヒーター部における上記通ガス流路の始点部の上流側にプレヒーター部を設け、該プレヒーター部は上記ヒーター部の下端部を覆う截頭逆円錐状のリフレクターから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の熱式除害装置。
【請求項5】
上記リフレクターの下端開口に、除害処理において触媒として機能する金属で構成したネットを配することを特徴とする請求項4記載の熱式除害装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の熱式除害装置を用いた熱式除害方法であって、上記ヒーター部の上記通ガス流路に上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱することにより、当該処理対象ガスを熱分解すると共に、該熱分解により副生された粉体をトラップすることを特徴とする熱式除害方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等のエレクトロニクス製品の製造プロセスで用いるガスを安全に排出するための熱式除害装置及び熱式除害方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロニクス製品製造工場で排出するガスの除害方式として種々の方式があるが、たとえばALD(Atomic Layer Deposition)等の薄膜形成技術に用いるTMA(トリメチルアルミニウム)等のように、熱分解によって有害物質や危険物質を取り除くことができるガスに対して熱式除害処理が施されている。
【0003】
熱式除害用の装置としては、ガスバーナーによる燃焼式が主流であり、当該燃焼式の熱式除害装置にあっては、処理対象ガスを除害処理に必要な温度まで効率良く加熱できるメリットがある反面、ガスボンベ、燃焼室などの比較的大容量の余分なユーティリティが必要となるデメリットや、安全性に関する懸念がある。
【0004】
そこで、安全に除害処理を行うことができると共に装置自体をコンパクトにするために、電熱ヒーターによる加熱で処理対象ガスの熱分解を行うことができる熱式除害装置が開発されており、たとえば、下記特許文献1に示す熱式除害装置が既知である。
【0005】
しかし、下記特許文献1の熱式除害装置にあっては、電熱ヒーター単独の加熱では、所望の高温雰囲気を形成することが困難であることから、さらに、下記特許文献2に示すように、燃料ガスを電熱ヒーターで着火することによって所望の高温雰囲気を形成する熱式除害装置が開発されている(特許文献2の段落0009)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3016690号公報
【文献】特許第3866412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、熱式除害装置における実情は、燃焼式の装置が抱える大型化と安全性に関する懸念を解決するために電熱ヒーターを用いたとしても、電熱ヒーター単独では熱式除害に必要な加熱を行うことができず、結局、燃焼による加熱を利用することとなっている。
【0008】
したがって、燃焼を伴わず、電熱ヒーターによる加熱だけで有効に除害処理を施すことができる装置、すなわち小型化を図ることができると共に燃焼による危険を考慮する必要がない熱式除害装置が渇望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電熱ヒーターの配置や通ガス流路を特徴とするヒーター構造によって、電熱ヒーター単独での有効な除害処理を実現する熱式除害装置及び該装置を用いた熱式除害方法を提供する。
【0010】
要述すると、本発明に係る熱式除害装置は、円筒状のチャンバーと、該チャンバーの内周面に嵌合するヒーター部を備え、該ヒーター部の内部に上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱し除害処理を行う熱式除害装置であって、上記ヒーター部は、面状又は線状の電熱ヒーターを平面視渦巻状に成形して成り、上記電熱ヒーター同士の隣接間隔から成る平面視渦巻状の通ガス流路を有すると共に、該ヒーター部の上部を覆う整流部を設け、該整流部は、上記チャンバーの内周面に嵌合し、中心部に処理済ガスの通過を許容する排出孔を有する構成を備えている。
【0011】
よって、通ガス方向(上下方向)に直交する方向に高密度に隣接した電熱ヒーターで処理対象ガスを熱分解に必要な温度まで有効に加熱し除害処理を行うことができ、電熱ヒーター以外の加熱手段を用いる必要がない。また、通ガス流路で熱分解によって副生された粉体をトラップすることができ、スクラバー等の洗浄設備を設ける必要がない。
【0012】
好ましくは、上記面状の電熱ヒーターが、当該面を貫通する多数の通ガス孔を有することにより、加熱と副生粉体のトラップをさらに効率良く行うことが可能となる。
【0013】
また、上記ヒーター部の上流側に圧力センサーを設けることにより、熱分解によって副生された粉体等による上記ヒーター部の目詰まりの有無を監視することができる。
【0014】
好ましくは、上記ヒーター部における上記通ガス流路の始点部の上流側にプレヒーター部を設け、該プレヒーター部は上記ヒーター部の下端部を覆う截頭逆円錐状のリフレクターから成ることにより、上記ヒーター部の熱エネルギーを有効活用してプレヒーティングすることができ、効果的な熱分解及び粉体の副生抑止が可能となる。
【0015】
より好ましくは、上記リフレクターの下端開口に、除害処理において触媒として機能する金属で構成したネットを配することにより、さらに高効率の除害処理を促進することができる。
【0016】
本発明に係る熱式除害方法は、上述した本発明に係る熱式除害装置を用いた熱式除害方法であって、上記ヒーター部の上記通ガス流路に上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱することにより、当該処理対象ガスを熱分解すると共に、該熱分解により副生された粉体をトラップすることができ、安全でクリーンな除害処理が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る熱式除害装置によれば、通ガス方向に直交する方向で電熱ヒーター同士を密に近接させる配置構造によって、処理対象ガスを効率的に加熱できると共に副生粉体をトラップできる通ガス流路構造を備え、電熱ヒーター単独加熱による熱式除害を可能とすると共に、装置の小型化・安全化に貢献することができる。
【0018】
また、本発明に係る熱式除害方法によれば、燃焼を伴わず、電熱ヒーターから成るヒーター部のみで熱分解処理を行うことができ、安全な除害処理が可能となる。また、スクラバー等の洗浄装置を用いることなく、クリーンな除害処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る、面状の電熱ヒーターを用いた熱式除害装置の概要図である。
【
図2】面状の電熱ヒーターで構成したヒーター部を説明する図であり、(A)はヒーター部の平面図、(B)はヒーター部の側面図、(C)はヒーター部の斜視図である。
【
図3】本発明に係る、線状の電熱ヒーターを用いた熱式除害装置の概要図である。
【
図4】線状の電熱ヒーターで構成したヒーター部を説明する図であり、(A)はヒーター部の平面図、(B)はヒーター部の側面図、(C)はヒーター部の斜視図である。
【
図5】線状の電熱ヒーターを複数組み合わせたヒーター部例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る熱式除害装置及び該装置を用いた熱式除害方法の最適な実施例について、
図1乃至
図5に基づき説明する。なお、各図において、電熱ヒーター4,5に関する電源や電線は省略して描いている。
【0021】
<熱式除害装置の基本構成>
本発明に係る熱式除害装置1は、
図1,
図3に示すように、円筒状のチャンバー2と、該チャンバー2の内周面2aに嵌合する円柱状又は円錐状のヒーター部3を備える基本構成を有しており、該ヒーター部3の内部に上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱し除害処理を行うことができる。
【0022】
そのため、チャンバー2の下端部にガス搬入口2bを設け、同上端部にガス搬出口2cを設けると共に、ヒーター部3が円筒状のチャンバー2の内周面2aに嵌合することにより、ガス搬入口2bよりチャンバー2内に搬入された対象ガスがヒーター部3を経由せずにガス搬出口2cから搬出されることはない。
【0023】
チャンバー2は、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)、耐熱鋼(SUH:Steel Use Heat Resisting)、インコンネル(Inconel)(登録商標)、ハステロイ(Hastelloy)(登録商標)等の熱式除害処理に影響のない金属で構成し、その内部容積は適宜調整できるのは勿論のこと、チャンバー2の内部容積に対するヒーター部3の容積も適宜調整することができる。なお、ヒーター部3には、後述するように、抵抗加熱方式の電熱ヒーターを用いることが好ましく、チャンバー2の内周面2aとヒーター部3の外周面3a間には絶縁シートを介在させて、ショートや漏電等によるトラブルを防ぐことが望ましい。
【0024】
なお、
図1,
図3中のPは除外処理の処理対象ガスや処理済ガスを搬送するためのパイプであり、Cは処理済ガスを冷却する冷却器である。半導体工場等からパイプPを通じて熱式除害装置1まで搬送された処理対象ガスは、熱式除害装置1によって除害処理されて処理済ガスとなり、該処理済ガスは冷却器にて冷却された後、パイプPを通じて搬送され、大気等へ放出される。
【0025】
≪ヒーター部の構成≫
ヒーター部3は、
図1,
図2に示すように、面状の電熱ヒーター4を平面視渦巻状に巻いて円柱状に成形して成り、又は、
図3,
図4に示すように、線状の電熱ヒーター5を平面視渦巻状に成形して成る。電熱ヒーターとしては、既知の電熱ヒーターを用いることができるが、たとえば600℃以上、さらには1000℃以上の対象ガスの熱分解に必要な高温雰囲気を形成するため、加えて平面視渦巻状に成形するためには、抵抗加熱方式の電熱ヒーターを用いるのが好ましく、特にニクロムやカンタル(登録商標)などの金属を発熱抵抗体とする電熱ヒーターを用いるのが好ましい。
【0026】
面状の電熱ヒーター4を用いる場合には、
図1,
図2に示すように、平面視渦巻状に且つ全体形状が円筒状となるように成形して成り、面状電熱ヒーター4同士の隣接間隔、つまり平面視渦巻状の隣接間隔は可及的に幅狭にすると共に、該隣接間隔を通ガス流路6として利用する。よって、面状電熱ヒーター4同士をできるだけ近接させながら渦巻状に巻いてヒーター部3を形成し、できるだけ幅狭の通ガス流路6を形成する。
【0027】
このように、通ガス方向(上下方向上向き)に直交する方向に、面状電熱ヒーター4同士を密に近接させる配置構造によって、通ガス流路6は、処理対象ガスを効率的に加熱できると共に副生粉体をトラップできる構造となる。なお、本発明にあっては、通ガス流路6を設けることができれば、面状電熱ヒーター4同士が部分的に接触する場合を排除しない。
【0028】
また、面状電熱ヒーター4は、具体的には図示しないが、貫通する多数の通ガス孔を有することが望ましい。さらに効率良く加熱を行うことができると共に、熱分解によって副生された粉体をトラップすることが可能となるためである。また、面状電熱ヒーター4の表面を粗面状とし、副生粉体を蒐集しやすくすることも実施に応じ任意である。
【0029】
又は、線状のヒーター5を用いる場合には、
図3,
図4に示すように、平面視渦巻状に且つ全体形状が円錐状となるように成形して成り、線状電熱ヒーター5同士の隣接間隔、つまり平面視渦巻状の隣接間隔は可及的に幅狭にすると共に、該隣接間隔を通ガス流路6として利用する。
【0030】
よって、線状電熱ヒーター5を用いる場合も、面状電熱ヒーター4の場合と同様に、通ガス方向に直交する方向に線状電熱ヒーター5同士を密に近接させる配置構造によって、通ガス流路6は、処理対象ガスを効率的に加熱できると共に副生粉体をトラップできる構造となる。なお、本発明にあっては、通ガス流路6を設けることができれば、線状ヒーター5同士が部分的に接触する場合を排除しない。また、線状ヒーター5の表面を粗面状とし、副生粉体を蒐集しやすくすることも実施に応じ任意である。
【0031】
また、線状電熱ヒーター5を用いる場合、
図5に示すように、複数の平面視渦巻状に成形した線状電熱ヒーター5を重ねて配してヒーター部3とすることができ、より高効率の加熱と副生粉体トラップを実現することができる。なお、平面視渦巻状に成形した線状電熱ヒーター5の全体形状について、本実施例においては円錐状のものを示したが、本発明にあっては、截頭円錐状、逆円錐状、截頭逆円錐状とすることも、実施に応じ任意である。
【0032】
本発明にあっては、ヒーター部3における通ガス流路6は、面状電熱ヒーター4又は線状電熱ヒーター5のいずれで構成する場合においても、下端部が始点部6aであり、上端部が終点部6bとなる。上述のように、チャンバー2の下端部にあるガス搬入口2bから処理対象ガスが搬入されて、該処理対象ガスがヒーター部3に下から接するためである。また、処理対象ガスが加熱されて膨張し通ガス流路6内を下方から上方に向けて移動するためである。
【0033】
また、本発明にあっては、上述のように、通ガス方向に直交する方向に面状電熱ヒーター4同士又は線状電熱ヒーター5同士を密に近接させる配置構造によって、ヒーター部3の通ガス流路6をできるだけ幅狭にし、高効率の加熱と副生粉体のトラップの両立を図る。
【0034】
そのため、トラップされた副生粉体により通ガス流路6が目詰まりするおそれがあるが、本発明にあっては、ヒーター部3の上流側に圧力センサーを設け、ヒーター部3の目詰まりの有無を監視することができる。当該圧力センサーは、具体的には図示しないが、ヒーター部3より上流側であれば、配置箇所に限定はなく、チャンバー2の内部でも外部でも良い。
【0035】
また、ヒーター部3には面状電熱ヒーター4同士又は線状電熱ヒーター5同士を密に近接させることによるショートや漏電等のトラブルを検出するための回路を設けることは言うまでもない。
【0036】
≪整流部の構成≫
本発明においては、
図1,
図3に示すように、上述したヒーター部3の上部を覆うように整流部7を設ける構成となっている。整流部7は、チャンバー2と同様に、ステンレス鋼、耐熱鋼、インコンネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)等の熱式除害処理に影響のない金属で構成し、チャンバー2の内周面2aに嵌合しており、ヒーター部3の上部に密着して又は近接して配される。
【0037】
整流部7は、中心部に処理済ガスの通過を許容する排出孔7aを有しており、ヒーター部3において最も熱エネルギーのロスが少ない、つまり最も高温となるヒーター部3の中心部(中心軸に沿った部分)を処理対象ガスが通過するように促すために配されるものである。
【0038】
したがって、
図1,
図3に示すように、ヒーター部3の通ガス流路6内を流れる処理対象ガスは整流部7によって図中の矢印のようにヒーター部3の中心部に導かれ、熱分解処理後、処理済ガスが排出孔7aから排出される。よって、電熱ヒーター4,5のみで処理対象ガスの熱分解に必要な温度まで有効に加熱し除害処理を行うことができる。
【0039】
なお、整流部7は、ヒーター部3の上部形状に沿う形状とするのが好ましく、
図1に示すように、ヒーター部3が円筒状の場合には整流部7を円盤状とし、
図3に示すように、ヒーター部3が円錐状の場合には、それに倣うような円錐筒状にし、有効にヒーター部3の上部を覆い、処理対象ガスのヒーター部3への効率的な通ガスを促す。
【0040】
≪プレヒーター部の構成≫
本発明にあっては、好ましくは、
図1,
図3に示すように、ヒーター部3における通ガス流路6の始点部6aの上流側にプレヒーター部8を設ける。該プレヒーター部8により、ヒーター部3から漏れ出た熱エネルギーを有効活用してプレヒーティングすることができ、効果的な熱分解及び粉体の副生抑止が可能となる。
【0041】
プレヒーター部8は、ヒーター部3の下端部を覆う截頭逆円錐状のリフレクター9から成り、リフレクター9の上端開口9bでヒーター部3の下端部を覆うことにより、ヒーター部3から漏れ出た熱エネルギーを反射により収集し有効活用することができる。リフレクター9は、熱式除害処理に影響がなく、且つ、熱反射性の良い、ステンレス鋼等の金属で構成する。
【0042】
より好ましくは、フレクター9の下端開口9aに、除害処理において触媒として機能する金属で構成したネット10を配することにより、さらに高効率の除害処理を促進することができる。触媒として機能する金属としては、たとえば炭化水素系ガスに対するプラチナや、アンモニアガスに対するニッケルである。
【0043】
<熱式除害方法>
本発明に係る熱式除害方法は、上述した本発明に係る熱式除害装置1を用いた熱式除害方法であって、次のような特徴を有している。
【0044】
すなわち、通ガス方向に直交する方向に密に隣接した電熱ヒーター4,5の隣接間隔から成る通ガス流路6に、上下方向上向きに処理対象ガスを直接通過させて加熱することにより、当該処理対象ガスを熱分解すると共に、該熱分解により副生された粉体をトラップすることができる。
【0045】
したがって、燃焼を伴わず、面状電熱ヒーター4又は線状電熱ヒーター5から成るヒーター部3のみで熱分解処理を行うことができ、安全な除害処理が可能となる。また、スクラバー等の洗浄装置を用いることなく、クリーンな除害処理が可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1…熱式除害装置、2…チャンバー、2a…内周面、2b…ガス搬入口、2c…ガス搬出口、3…ヒーター部、3a…外周面、4…面状の電熱ヒーター、5…線状の電熱ヒーター、6…通ガス流路、6a…始点部、6b…終点部、7…整流部、7a…排出孔、8…プレヒーター部、9…リフレクター、9a…下端開口、9b…上端開口、10…ネット、C…冷却器、P…パイプ。