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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】しみ撮像装置およびしみ撮像機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20250327BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20250327BHJP
   A45D 44/00 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/107 800
A45D44/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020124653
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021194
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100213285
【弁理士】
【氏名又は名称】古畑 依里
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正博
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/032368(WO,A1)
【文献】特開2013-075112(JP,A)
【文献】特開2008-167987(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080266(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/155634(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/105076(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/084167(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/054695(WO,A1)
【文献】特表2006-516338(JP,A)
【文献】特開2014-136119(JP,A)
【文献】特開2007-184684(JP,A)
【文献】特開2003-256561(JP,A)
【文献】特開2010-046309(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0309300(US,A1)
【文献】特開2010-050725(JP,A)
【文献】特開2010-010909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体としての人体の皮膚に生成されたメラニンを撮像する撮像装置と光源とを備えたしみ撮像機器であって、
前記撮像装置は、
被写体側から順に配置された、
レンズと、
ガラス基材から成り、表面に積層フィルタ膜が形成された500nmより長い波長の光を遮断する第1フィルタと、
誘電体多層膜で構成され、赤外線を遮断する第2フィルタと、
クリアフィルタである樹脂製の第3フィルタと、
波長が少なくとも350nm~400nmの前記被写体の光像を撮像する撮像素子と、で構成され、
前記第1フィルタは波長が少なくとも400nm~500nmの光を透過し、前記レンズ、前記第3フィルタは波長が少なくとも350nm~500nmの光を透過し、
前記第3フィルタは前記第2フィルタと重なって配置され、かつ、前記撮像素子に接して前記撮像素子の受光面を覆い、
前記光源は、前記撮像装置と同一の基板上に隣り合って配置されるとともに波長が350nm~400nmの光を前記被写体に照射し、
前記光源から照射された光によって可視化される前記人体の皮膚に生成されたメラニンを、前記光像として撮像することを特徴とするしみ撮像機器。
【請求項2】
前記撮像素子は、モノクロームの前記光像を撮像する請求項1に記載のしみ撮像機器。
【請求項3】
前記メラニンの光像は、皮下のしみの光像である請求項1に記載のしみ撮像機器。
【請求項4】
前記しみの光像を表示する表示部を備える請求項1に記載のしみ撮像機器。
【請求項5】
前記しみを検出する検出部と、
前記しみに対する複数の美容アドバイスを記憶する記憶部と、
前記複数の美容アドバイスの中から、前記検出部での検出結果に基づいた美容アドバイスを選択する選択部と、を備える請求項1に記載のしみ撮像機器。
【請求項6】
前記検出部は、前記検出結果として、前記しみの面積、単位面積当たりの前記しみの個数、前記しみの濃淡値のうちの1つの検出値を得る請求項5に記載のしみ撮像機器。
【請求項7】
前記選択部は、前記検出値と閾値との乖離の程度に応じて前記美容アドバイスを選択する請求項6に記載のしみ撮像機器。
【請求項8】
前記メラニンの光像には、同一箇所を、時間差をもって撮像した第1光像と第2光像とが含まれており、
前記第1光像から検出されたしみと、前記第2光像から検出されたしみと、を比較して、将来的なしみを推定する推定部を備える請求項7に記載のしみ撮像機器。
【請求項9】
前記選択部は、前記推定部の推定結果に基づいて、前記美容アドバイスを選択する請求項8に記載のしみ撮像機器。
【請求項10】
前記選択部で選択された前記美容アドバイスを報知する報知部を備える請求項9に記載のしみ撮像機器。
【請求項11】
400nm以上の波長の光を照射する光源をさらに備える請求項1に記載のしみ撮像機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の皮膚に生じるしみを撮像するしみ撮像装置、および、しみ撮像装置を備えるしみ撮像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容に関する意識が高まり、例えば、美白が保たれた肌を維持することに高い関心が寄せられている。
人体の皮膚には、例えば紫外線等の刺激から表皮層や真皮層等を守るために、メラニンが生成される。そして、皮膚が紫外線にさらされる時間や紫外線の強さ等の諸条件によっては、メラニンが過剰に生成されることがある。このようなメラニンは、時間とともに色素が沈着していき、しみの原因となることが知られている。
【0003】
しみを撮像して、現在のしみの状態を知ることができる撮像装置がある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1に記載の装置は、レンズと、CCDと、複数の処理部と、を備え、メラニン色素沈着部分を強調した画像を得る装置である。また、特許文献2に記載の装置は、複数の光源と、カメラと、各光源に配置された偏光フィルタと、を備え、しみを分類する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-261861号公報
【文献】特開2008-237243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置構成、特許文献2に記載の装置構成は、いずれも、装置全体が大型となる傾向にある。特に特許文献2に記載の装置は、最大幅44mm、最大奥行き33mm、最大高さ116mmとなると考えられる。
このような大型の装置では、例えば、運搬(持ち運び)の作業性、設置面積の確保、使用時の消費電力の大量消費等が懸念される。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、小型化が可能であり、人体の皮膚に生じるしみを容易に撮像することができるしみ撮像装置およびしみ撮像機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係るしみ撮像装置は、被写体としての人体の皮膚に生成されたメラニンを撮像するしみ撮像装置であって、波長が少なくとも350nm~500nmの光を透過するレンズと、波長が少なくとも350nm~400nmの前記被写体の光像を撮像する撮像素子と、波長が350nm~500nmの光を透過するフィルタと、を備え、前記少なくとも350nmから400nmの光の照射によって可視化される前記メラニンを前記光像として撮像する。
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るしみ撮像機器は、少なくとも350nmから400nmの波長の光を照射する光源と、被写体としての人体の皮膚に生成されたメラニンを撮像するしみ撮像装置であって、波長が少なくとも350nm~500nmの光を透過するレンズと、波長が少なくとも350nm~400nmの前記被写体の光像を撮像する撮像素子と、波長が350nm~500nmの光を透過するフィルタと、を備え、前記少なくとも350nmから400nmの光の照射によって可視化される前記メラニンを前記光像として撮像するしみ撮像装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンズ、フィルタおよび撮像素子をレンズの光軸に沿って順に配置した構成とすることができる。これにより、小型化(薄型化)が可能となる。
また、レンズおよびフィルタを透過する光の波長がそれぞれ所定の大きさに設定されていることにより、撮像素子では、人体の皮膚に生じるしみを容易に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のしみ撮像装置の第1実施形態を示す部分断面図である。
図2図1に示すしみ撮像装置で撮像された光像の一例を示す図である。
図3】本発明のしみ撮像装置の第2実施形態を示す部分断面図である。
図4】本発明のしみ撮像機器の第1実施形態を示す部分断面図である。
図5図4に示すしみ撮像機器のブロック図である。
図6図4に示すしみ撮像機器で実行される制御プログラムのフローチャートである。
図7】本発明のしみ撮像機器の第2実施形態を示すブロック図である。
図8図7に示すしみ撮像機器で撮像された光像(第1光像)の一例を示す図である。
図9図7に示すしみ撮像機器で撮像された光像(第2光像)の一例を示す図である。
図10】しみを撮像した撮像日としみの大きさ(画素数)との関係を示すグラフである。
図11】本発明のしみ撮像機器の第3実施形態を示す外観図である。
図12】本発明のしみ撮像機器の第4実施形態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のしみ撮像装置およびしみ撮像機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<しみ撮像装置の第1実施形態>
図1は、本発明のしみ撮像装置の第1実施形態を示す部分断面図である。図2は、図1に示すしみ撮像装置で撮像された光像の一例を示す図である。以下、図1および図2を参照して、本発明のしみ撮像装置第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0012】
図1に示すように、しみ撮像装置1Aは、レンズ2と、撮像素子3と、第1フィルタ4Aと、第2フィルタ4Bと、第3フィルタ4Cと、基板51と、ハウジング52と、ホルダ53と、信号読出部54と、を備える。そして、このしみ撮像装置1Aは、被写体100としての人体の皮膚101に生成されたメラニン102を撮像することができる。
【0013】
なお、しみ撮像装置1Aによってメラニン102を撮像する際には、光源(図示せず)から被写体100に向かって紫外線UVを照射した状態で、その撮像が行われる。なお、撮像に用いられる紫外線UVの波長は、350nm~400nmが好ましい。
【0014】
メラニン102は、皮膚101を構成する表皮層および真皮層等を紫外線から守るために生成される。このメラニン102は、皮膚101が紫外線にさらされていくと、その経過時間とともに色素が沈着していき、しみとなる場合がある。本明細書で「しみ」には、メラニン102が色素沈着して目視で十分に確認できるものや、色素沈着する前または色素沈着がまだ十分ではなく、目視では確認し難い「しみ予備軍」と呼ばれるものも含まれる。
【0015】
しみ撮像装置1Aでは、被写体100側から、レンズ2、第1フィルタ4A、第2フィルタ4B、第3フィルタ4C、撮像素子3が順に配置されている。また、レンズ2の光軸上に、第1フィルタ4A、第2フィルタ4B、第3フィルタ4C、撮像素子3が配置されている。
【0016】
レンズ2は、例えば樹脂材料で構成され、少なくとも被写体100側に凸面21を有する凸レンズである。撮像時のレンズ2には、前記光源からの紫外線UVの他に、例えば自然光も入射することとなる。そのため、レンズ2は、波長が少なくとも350nm~500nm、あるいは350nm~650nmの光を透過するものが用いられる。そして、レンズ2を透過した光は、撮像素子3に向かって出射する。
なお、レンズ2を構成する樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0017】
図2に示すように、撮像素子3は、光像32を撮像することができる。光像32は、波長が少なくとも350nm~400nmの被写体100の光像である。撮像素子3としては、特に限定されないが、例えば、紫外線UVに感度を有するCMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサ等を用いることができる。
【0018】
ところで、メラニン102は、波長が350nm~400nmの紫外線UVを吸収する性質がある。図1に示すように、被写体100に照射された紫外線UVには、メラニン102に吸収される紫外線UVと、メラニン102に吸収されずに、皮膚101で反射する紫外線UVとがある。そして、皮膚101で反射した紫外線UVを撮像素子3の受光面31で受光すれば、メラニン102に吸収された部分が陰となって可視化されたメラニン102の光像32を、皮下のしみの光像32として容易に撮像することができる。
【0019】
撮像素子3の画素数は、500万画素以上が好ましく、800万画素~1300万画素がより好ましいが、1600万画素以上であってもよい。これにより、微小なしみまで十分に撮像することができる。なお、しみ撮像装置1Aでは、光像32において、黒色の画素が少なくとも3つ連続して隣り合った場合に、当該光像32をしみの光像32とする。
【0020】
撮像素子3は、画素数の大小によらず、平面視で縦10mm以下、横10mm以下の大きさであるのが好ましい。なお、近年では、画素数が1200万画素等の高画素であっても、平面視で縦5mm、横5mmの大きさの撮像素子の製造が可能である。また、レンズ2の光学的な高さを6mm以下とした場合、撮像素子3の高さ(厚さ)は、0.2mm以下とするのが好ましい。このような大きさの撮像素子3は、しみ撮像装置1Aの小型化に寄与する。
【0021】
また、撮像素子3としては、モノクロームの光像32を撮像可能なCMOSイメージセンサを用いるのが好ましい。これにより、感度を高めることができ、しみの大きさやしみの濃さによらず、当該しみを鮮明に撮像することができる。
【0022】
レンズ2と撮像素子3との間には、第1フィルタ4Aが配置されている。第1フィルタ4Aは、波長が350nm~500nmの光を透過するフィルタである。
第1フィルタ4Aとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス基材41と、ガラス基材41の表面に設けられ、所望の波長を透過するための積層フィルタ膜42とを有するものを用いることができる。ガラス基材41は、レンズ2の下方に、当該レンズ2から離間して配置される。ガラス基材41は、少なくとも350nm以上の光を透過するガラス製の板材である。この板材の厚さは、例えば、0.1mm~0.3mmが好ましく、0.11mm~0.21mmがより好ましい。積層フィルタ膜42は、例えば蒸着によってガラス基材41の下面に形成されたチタン酸化膜、シリコン酸化膜等の薄膜で構成される。これにより、第1フィルタ4Aは、波長が前記数値範囲の光を透過可能となる。
【0023】
また、第1フィルタ4Aを透過する光のうち、メラニン102の吸収波長帯以外の光、すなわち、400nm~500nmの光は、メラニン102の撮像への影響は比較的小さいと考えられる。なお、この光は、しみの光像32の輪郭等をより鮮明にさせるのに寄与する。
【0024】
また、第1フィルタ4Aは、500nmより長い波長の光を遮断するのが好ましい。この波長帯の光は、ヘモグロビンに吸収され易いため、鮮明なしみの撮像を損なわせるおそれがある。従って、第1フィルタ4Aで当該波長帯の光を遮断することにより、鮮明なしみの撮像が可能となる。
【0025】
第1フィルタ4Aと撮像素子3との間には、第2フィルタ4Bと第3フィルタ4Cとが重なって配置されている。
第3フィルタ4Cは、撮像素子3の被写体100側に配置されたクリアフィルタである。この第3フィルタ4Cは、例えば樹脂製の透明な板材であり、レンズ2と同様に、波長が少なくとも350nm~500nmの光を透過するフィルタである。第3フィルタ4Cは、撮像素子3に接して、撮像素子3の受光面31を覆う。これにより、受光面31を保護することができる。
【0026】
第3フィルタ4Cよりも被写体100側には、第2フィルタ4Bが配置されている。第2フィルタ4Bは、例えば誘電体多層膜で構成され、赤外線を遮断する赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)である。これにより、赤外線の撮像素子3への入射を防止することができる。
【0027】
自然光には、赤外線が含まれている。赤外線は、皮膚101での反射が顕著なため、撮像素子3でのしみの撮像を損なわせるおそれがある。従って、第2フィルタ4Bで赤外線を遮断することは、しみの撮像上好ましい。
【0028】
しみ撮像装置1Aは、以上のようなレンズ2、第1フィルタ4A、第2フィルタ4B、第3フィルタ4Cおよび撮像素子3が、レンズ2の光軸に沿って順に配置された構成となっている(図1参照)。これにより、しみ撮像装置1Aの小型化(薄型化)が可能となる。この場合、例えば、最大幅が10mm、最大奥行き10mm、最大高さ7mmのしみ撮像装置1Aとすることができる。このような大きさのしみ撮像装置1Aは、スマートフォン等の携帯機器への組み込みが可能となり、持ち運びが容易となる。
【0029】
前述したように、しみ撮像装置1Aは、基板51と、ハウジング52と、ホルダ53と、信号読出部54と、を備える(図1参照)。
基板51は、導体の配線(図示せず)が設けられたプリント基板である。この基板51には、撮像素子3および信号読出部54が固定され、前記配線と電気的に接続されている。
【0030】
信号読出部54は、撮像素子3からの映像信号を読み出すよう構成されている。また、信号読出部54は、例えば液晶ディスプレイを有する外部機器と接続されるコネクタである。これにより、信号読出部54を介して読み出された映像信号を外部機器に送信して、液晶ディスプレイにしみの光像32を表示することができる。しみ撮像装置1Aの使用者は、液晶ディスプレイに表示されたしみの光像32を観察して、現在のしみの状態を把握することができる。そして、使用者は、しみが顕在化する前に、早期の予防措置を取ることができる。予防措置は、美白が保たれた肌を維持するのに重要である。
【0031】
ハウジング52は、撮像素子3を、第2フィルタ4B、第3フィルタ4Cごと収納する箱状の部材である。ハウジング52は、レンズ2が臨む部分に、貫通孔521が設けられている。紫外線UVは、貫通孔521を通過する。そして、この貫通孔521を覆うように、第1フィルタ4Aが固定されている。
【0032】
前述したように、第1フィルタ4Aは、レンズ2と撮像素子3との間に配置されている。この配置により、第1フィルタ4Aをハウジング52に固定した態様を採ることができる。これにより、撮像素子3と第1フィルタ4Aとハウジング52とを含むパッケージを容易に製造することができる。
【0033】
ハウジング52の上側には、ホルダ53が一体成形されている。ホルダ53は、レンズ2を支持して、レンズ2の焦点位置を一定に維持することができる。これにより、しみ撮像装置1Aは、焦点位置を調整する焦点位置調整機構等が省略された構成となる。よって、しみ撮像装置1Aは、焦点位置調整機構等が省略された分、小型化が可能となる。なお、しみ撮像装置1Aは、焦点位置調整機構が設けられていてもよい。また、ホルダ53のレンズ2に対する固定方法としては、特に限定されず、例えば、樹脂製の接着剤56を用いて固定する方法等が挙げられる。
【0034】
<しみ撮像装置の第2実施形態>
図3は、本発明のしみ撮像装置の第2実施形態を示す部分断面図である。以下、図3を参照して本発明のしみ撮像装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。なお、以下では、説明の都合上、図3中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
本実施形態は、第1フィルタ4Aの配置箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0035】
図3に示すように、しみ撮像装置1Bの第1フィルタ4Aは、レンズ2よりも被写体100側に配置されている。本実施形態では、第1フィルタ4Aは、透明なガラス板55を介して、ホルダ53に支持されている。紫外線UVは、ガラス板55を十分に透過することができる。なお、しみ撮像装置1Bでは、ガラス板55を省略して、第1フィルタ4Aをホルダ53に直に設置してもよい。
【0036】
例えばレンズ2がアクリル樹脂で構成されている場合、当該レンズ2は、比較的割れ易いものとなる。そこで、第1フィルタ4Aをレンズ2よりも被写体100側に配置することにより、レンズ2を保護することができ、レンズ2の劣化防止に寄与する。
【0037】
<しみ撮像機器の第1実施形態>
図4は、本発明のしみ撮像機器の第1実施形態を示す部分断面図である。図5は、図4に示すしみ撮像機器のブロック図である。図6は、図4に示すしみ撮像機器で実行される制御プログラムのフローチャートである。以下、図4図6を参照して本発明のしみ撮像機器の第1実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。なお、以下では、説明の都合上、図4中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
本実施形態では、しみ撮像装置の構成は、前記「しみ撮像装置の第1実施形態」の構成と同様である。
【0038】
図4に示すように、しみ撮像機器10Aは、光源6と、しみ撮像装置1Aと、を備える。
光源6は、しみ撮像機器10Aに隣り合って配置されており、しみ撮像装置1Aによる撮像時に、少なくとも紫外線UVを含む光を被写体100に向かって照射する装置である。なお、紫外線UVの波長は、350nm~400nmが好ましく、365nm~395nmがより好ましい。
【0039】
光源6は、UVランプ61と、ハウジング62とを有する。
UVランプ61は、紫外線UVを出射するランプである。このUVランプ61は、基板51に固定され、基板51の配線と電気的に接続されている。
ハウジング62は、UVランプ61を収納する箱状の部材である。ハウジング62は、UVランプ61から紫外線UVが出射される部分が透明なガラス板621となっている。紫外線UVは、ガラス板621を十分に透過することができる。
【0040】
図5に示すように、しみ撮像機器10Aは、表示部7と、報知部8と、制御部9と、をさらに備える。
表示部7は、信号読出部54を介して読み出された映像信号を、しみの光像32として表示するよう構成されている。これにより、しみ撮像機器10Aの使用者は、表示部7に表示されたしみの光像32を観察することができる。なお、表示部7としては、特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0041】
報知部8は、制御部9で決定された美容アドバイスを報知するよう構成されている。本実施形態では、報知部8は、音を発するスピーカ81を有する。これにより、音声による美容アドバイスの報知を行うことができる。なお、報知部8は、音声による報知を行うものに限定されず、例えば、互いに色が異なる光を発することにより、報知を行うものであってもよい。
また、しみ撮像機器10Aでは、表示部7が報知部8の機能の一部または全部を担ってもよい。
【0042】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)91と、記憶部92と、を有し、しみ撮像装置1A、光源6、表示部7、報知部8等の作動を制御することができる。
【0043】
CPU91は、記憶部92に記憶されている各種の制御プログラム等を実行することができる。また、CPU91は、検出部911として機能する部分と、選択部912として機能する部分と、を有する。
【0044】
検出部911は、しみ撮像装置1Aの撮像素子3で撮像された光像32に基づいて、しみを検出する。前述したように、しみ撮像装置1Aでは、黒色の画素が少なくとも3つ連続して隣り合った光像32を、しみの光像32とする。従って、検出部911は、光像32において、黒色の画素が少なくとも3つ連続して隣り合った場合に、しみを検出した、すなわち、しみがあるとする。
【0045】
また、検出部911は、しみがあるとした場合の検出結果として、しみの面積、単位面積当たりのしみの個数、しみの濃淡値のうちの1つの検出値を得る。本実施形態では、検出値を代表して、しみの面積を用いる。また、しみの面積としては、光像32内で黒色の画素が占める画素数を用いる。
【0046】
選択部912は、記憶部92に記憶されている複数の美容アドバイスの中から、検出部911での検出結果に基づいた美容アドバイスを選択する。例えば、後述するように、選択部912は、検出部911での検出値αと、閾値α0との乖離(演算値β)の程度に応じて、美容アドバイスを選択することができる。
【0047】
そして、報知部8は、選択部912で選択された美容アドバイスを報知することができる。これにより、しみ撮像機器10Aの使用者は、表示部7に表示されたしみの光像32と合わせて、美容アドバイスを今後の肌の美白維持に活かすことができる。
【0048】
記憶部92は、各種の制御プログラムや、しみに対する複数の美容アドバイス等を記憶する。美容アドバイスとしては、例えば、撮像時現在の美容アドバイスや、将来的な美容アドバイス等が挙げられる。
【0049】
しみ撮像機器10Aは、紫外線UVを照射してから撮像を行い、その後、美容アドバイスを行うことができる。
次に、紫外線UVを照射してから美容アドバイスを行うまでの制御プログラムについて、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御プログラムは、制御部9で実行される。また、後述の「閾値α0」、「閾値β1」、「閾値β2」は、いずれも、どの程度の美容アドバイスを行う必要があるかを判断する基準値である。
【0050】
まず、光源6を作動させて、紫外線UVを被写体100に向けて照射する(ステップS101)。
次いで、検出部911によって、しみを検出して(ステップS102)、しみの有無を判断する(ステップS103)。そして、ステップS103での判断の結果、しみがあると判断された場合(ステップS103:YES)には、光源6による紫外線UVの照射を停止する(ステップS104)。
【0051】
次いで、CPU91によって、検出部911での検出値αと、記憶部92に予め記憶されている閾値α0との差を演算して、演算値βを得る(ステップS105)。
次いで、演算値βと、記憶部92に予め記憶されている閾値β1とを比較して、演算値βが閾値β1よりも小さいか否かを判断する(ステップS106)。
【0052】
ステップS106での判断の結果、演算値βが閾値β1よりも小さいと判断された場合(ステップS106:YES)には、選択部912によって、美容アドバイスの「しみレベル1」を選択する(ステップS107)。その後、報知部8によって、「しみレベル1」を報知する(ステップS108)。なお、「しみレベル1」とは、例えば、「現在、しみがほとんど目立たないので、・・・していきましょう。」といったアドバイスである。
【0053】
一方、ステップS106での判断の結果、演算値βが閾値β1よりも小さいと判断されなかった場合(ステップS106:NO)には、演算値βと、記憶部92に予め記憶されている閾値β1および閾値β2とを比較して、演算値βが閾値β1以上閾値β2以下である否かを判断する(ステップS109)。なお、閾値β2は、閾値β1よりも大きい。
【0054】
ステップS109での判断の結果、算値βが閾値β1以上閾値β2以下であると判断された場合(ステップS109:YES)には、選択部912によって、美容アドバイスの「しみレベル2」を選択する(ステップS111)。その後、報知部8によって、「しみレベル2」を報知する(ステップS111)。なお、「しみレベル2」とは、例えば、「周囲の環境の明るさの程度によってはしみが目立つ場合がありますので、・・・していきましょう。」といったアドバイスである。
【0055】
一方、ステップS109での判断の結果、算値βが閾値β1以上閾値β2以下であると判断されなかった場合(ステップS109:NO)には、選択部912によって、美容アドバイスの「しみレベル3」を選択する(ステップS112)。その後、報知部8によって、「しみレベル3」を報知する(ステップS113)。なお、「しみレベル3」とは、例えば、「しみが顕著に目立ちますので、・・・していきましょう。」といったアドバイスである。
【0056】
また、ステップS103での判断の結果、しみがあると判断されなかった場合(ステップS103:NO)には、制御部9に内蔵されているタイマを作動させて(ステップS114)、そのタイマがタイムアップを迎える(ステップS115)まで、検出部911によるしみの検出を行う。そして、タイムアップを迎えた場合には、光源6による紫外線UVの照射を停止する(ステップS116)。
【0057】
以上のような制御プログラムを実行することにより、しみ撮像機器10Aの使用者は、美容アドバイスを今後の肌の美白維持に活かすことができる。
なお、閾値α0、閾値β1、閾値β2については、例えば、被写体100の年齢や人種、しみ撮像機器10Aを使用する季節等に応じて適宜変更可能である。
【0058】
<しみ撮像機器の第2実施形態>
図7は、本発明のしみ撮像機器の第2実施形態を示すブロック図である。図8は、図7に示すしみ撮像機器で撮像された光像(第1光像)の一例を示す図である。図9は、図7に示すしみ撮像機器で撮像された光像(第2光像)の一例を示す図である。図10は、しみを撮像した撮像日としみの大きさ(画素数)との関係を示すグラフである。以下、図7図10を参照して本発明のしみ撮像機器の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、制御部の構成が異なること以外は前記「しみ撮像機器の第1実施形態」と同様である。
【0059】
図7に示すように、しみ撮像機器10Bの制御部9は、CPU91が推定部913として機能する部分を有する。推定部913は、第1光像321から検出されたしみと、第2光像321から検出されたしみとを比較して、将来的なしみ、すなわち、今後予想されるしみを推定する。
【0060】
ここで、第1光像321および第2光像322について説明する。第1光像321と第2光像322とは、しみ撮像装置1Aによって、同一箇所を時間差をもって撮像されたしみ(メラニン102)の光像32である。図8には、例えば7月1日に撮像された第1光像321が示されている。また、図9には、例えば同年8月1日に撮像された第2光像322が示されている。図8図9とを比較すると、第1光像321よりも第2光像322が大きくなっているのを確認することができ、しみの面積が時間の経過とともに増大しているのが分かる。
【0061】
そして、本実施形態では、第1光像321から検出された7月1日現在のしみと、第2光像321から検出された8月1日現在のしみとを比較して、さらに1ヶ月後の9月1日のしみを、推定部913で推定することができる。具体的には、図10に示すように、第1光像321内で黒色の画素が占める画素数と、第2光像321内で黒色の画素が占める画素数とをそれぞれプロットしていき、回帰直線RLを求める。そして、回帰直線RLの延長線EL上の日付が9月1日に相当する部分の縦軸の値を、9月1日に予想されるしみの大きさと推定する。
【0062】
その後は、例えば、「9月1日に予想されるしみの大きさ」を検出値αとして、ステップS106以降のステップを順次実行していく。このようにしみ撮像機器10Bでは、推定部913の推定結果に基づいて、選択部912で美容アドバイスが選択される。これにより、しみ撮像機器10Bの使用者は、美容アドバイスを得ることができる。
【0063】
<しみ撮像機器の第3実施形態>
図11は、本発明のしみ撮像機器の第3実施形態を示す外観図である。以下、図11を参照して本発明のしみ撮像機器の第3実施形態態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。なお、以下では、説明の都合上、図11中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
本実施形態は、しみ撮像機器の外観が異なること以外は前記「しみ撮像機器の第1実施形態」と同様である。
【0064】
図11に示すように、しみ撮像機器10Cの外形形状は、スティック状をなす。このしみ撮像機器10Cの外装11の下部には、使用時に把持される把持部111が設けられている。これにより、しみ撮像機器10Cを使用する際、当該しみ撮像機器10Cを安定して把持することができ、操作性が向上する。
【0065】
<しみ撮像機器の第4実施形態>
図12は、本発明のしみ撮像機器の第4実施形態を示す外観図である。以下、図12を参照して本発明のしみ撮像機器の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、しみ撮像機器の構成の一部および外観が異なること以外は前記「しみ撮像機器の第1実施形態」と同様である。
【0066】
図12に示すように、しみ撮像機器10Dは、光源12と、カラー画像撮像装置13と、をさらに備える。
カラー画像撮像装置13は、被写体100のカラー画像を撮像することができる。このカラー画像は、表示部7に表示される。
光源12は、400nm以上の波長の光、好ましくは可視光を照射する。これにより、暗所でのカラー画像の撮像が可能となる。
【0067】
また、しみ撮像機器10Dは、偏平な外形形状、すなわち、近年のスマートフォンのような外形形状をなし、背面側に、しみ撮像装置1A、光源6、光源12、カラー画像撮像装置13がそれぞれ配置されている。なお、しみ撮像機器10Dの正面側には、表示部7が配置されている。
【0068】
以上、本発明のしみ撮像装置およびしみ撮像機器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、しみ撮像装置およびしみ撮像機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のしみ撮像装置およびしみ撮像機器は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1A しみ撮像装置
1B しみ撮像装置
2 レンズ
21 凸面
3 撮像素子
31 受光面
32 光像
321 第1光像
322 第2光像
4A 第1フィルタ
41 ガラス基材
42 積層フィルタ膜
4B 第2フィルタ
4C 第3フィルタ
51 基板
52 ハウジング
521 貫通孔
53 ホルダ
54 信号読出部
55 ガラス板
56 接着剤
6 光源
61 UVランプ
62 ハウジング
621 ガラス板
7 表示部
8 報知部
81 スピーカ
9 制御部
91 CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)
911 検出部
912 選択部
913 推定部
92 記憶部
10A しみ撮像機器
10B しみ撮像機器
10C しみ撮像機器
10D しみ撮像機器
11 外装
111 把持部
12 光源
100 被写体
101 皮膚
102 メラニン
UV 紫外線
EL 延長線
RL 回帰直線
S101~S116 ステップ
α 検出値
α0 閾値
β 演算値
β1 閾値
β2 閾値

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12