(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】発光装置および電気機械器具
(51)【国際特許分類】
A61L 9/18 20060101AFI20250327BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20250327BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20250327BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20250327BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20250327BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250327BHJP
【FI】
A61L9/18
F21V5/00 510
F21V5/00 100
F21V5/00 600
F21V17/00 200
F21V31/00 100
H01L23/28 D
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021018391
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井澤 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】本木 弘
(72)【発明者】
【氏名】立野 秀治
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311674(JP,A)
【文献】特開2020-174195(JP,A)
【文献】特開2020-063859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/18
F21V 5/00
F21V 17/00
F21V 31/00
H10H 20/855
H01L 23/28
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面および側面を含む凹部を有する筐体と、
前記底面に配置された発光素子と、
前記凹部内において、前記発光素子の光軸に交わるように前記底面に固定され、前記発光素子から出射される光の配光を制御するための光束制御部材と、
前記凹部に注入され、前記光束制御部材を封止した封止材の硬化物と、
を有する、発光装置であって、
前記光束制御部材
は、
裏側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、
前記入射面と反対側の表側に配置され、前記光束制御部材の内部を進行した光を出射させるための出射面と、
前記入射面および前記出射面よりも外側に配置されたフランジと、
を有し、
前記フランジは、
裏側から表側に向かうにつれて、前記光束制御部材の中心軸に近づくように表側に形成され
、前記封止材
の硬化物が接触
している傾斜面
と、
前記傾斜面よりも外側に配置され、前記封止材の硬化物が接触している凸部と、
含む、
発光装置。
【請求項2】
前記光束制御部材の材料は、シリコーンである、請求項
1に記載の
発光装置。
【請求項3】
前記封止材の硬化物は、前記底面および前記側面に接触している、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光束制御部材の線膨張係数は、前記封止材の線膨張係数よりも低い、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項
1~
4のいずれか一項に記載の発光装置を含む、電気機械器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、発光装置および電気機械器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや小型化の観点から、照明用の光源として、発光ダイオード(以下「LED」ともいう)が使用されている。そして、LEDと、LEDから出射された光の配光を制御する光方向変換用光学素子(光束制御部材)とを組み合わせた発光装置が使用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、シリコーンレンズを有する発光装置が記載されている。特許文献1に記載の発光装置は、ヒートシンクと、パッケージ体と、発光ダイオードと、シリコーンレンズとを有する。パッケージ体の上面には凹部が形成されており、シリコーンレンズの脚に相当する部分が嵌め込まれるようになっている。
【0004】
特許文献1に記載の発光装置などでは、パッケージ体からのシリコーンレンズの離脱を防止すること目的として、凹部の内部に配置されたシリコーンレンズの外周部を封止材により封止することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
封止材でシリコーンレンズを封止した特許文献1に記載の発光装置では、使用時において、LEDからの熱によりシリコーンレンズが変形してしまい、所望の光学特性が得られないことがある。また、封止材が加熱されて膨張することにより、シリコーンレンズが発光装置から外れやすいことがある。
【0007】
本発明の目的は、光束制御部材を封止材で封止した場合でも、所望の光学特性が得られる光束制御部材および当該光束制御部材を有し、光束制御部材が外れにくい発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射される光の配光を制御するための光束制御部材であって、裏側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、前記入射面と反対側の表側に配置され、前記光束制御部材の内部を進行した光を出射させるための出射面と、前記入射面および前記出射面よりも外側に配置されたフランジと、を有し、前記フランジは、裏側から表側に向かうにつれて、前記光束制御部材の中心軸に近づくように表側に形成され、前記光束制御部材を封止するための封止材が接触するための傾斜面を含む。
【0009】
また、本発明の発光装置は、底面および側面を含む凹部を有する筐体と、前記底面に配置された発光素子と、前記凹部内において、前記発光素子の光軸に交わるように配置された、本発明の光束制御部材と、前記傾斜面に接触するように、前記凹部に注入された封止材の硬化物と、を有する。
【0010】
また、本発明の電気機械器具は、本発明の発光装置を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光束制御部材、発光装置および電気機械器具は、光束制御部材を封止材で封止した場合であっても、使用時に変形することがないため、所望の光学特性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る発光装置の断面図である。
【
図2】
図2A~Cは、本発明の一実施の形態に係る光束制御部材の構成を示す図である。
【
図3】
図3A~Cは、本発明の一実施の形態に係る発光装置の組み立て方法を説明するための図である。
【
図4】
図4A、Bは、本発明の一実施の形態に係る発光装置の効果を説明するための図である。
【
図5】
図5A~Cは、本発明の一実施の形態の変形例に係る光束制御部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(発光装置の構成)
発光装置100は、発光素子120および光束制御部材130を有し、所定の配光の光を出射させるための装置である。発光装置100は、様々な装置に組み込むことができる。本実施の形態では、発光装置100は、紫外線を出射する発光素子120を有し、エアーコンディショナー(電気機械器具)における室内機や除湿機の内部に配置される殺菌装置である。
【0015】
図1は、本発明に係る発光装置100の断面図である。
【0016】
図1に示されるように、発光装置100は、筐体110と、発光素子120と、光束制御部材130と、封止材の硬化物140(
図3参照)とを有する。
【0017】
筐体110は、底面111および側面112を含む第1凹部113を有し、第1凹部113の内部に発光素子120および光束制御部材130が配置され、封止材が注入される。第1凹部113の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。第1凹部113(底面111)の平面視形状は、円形でもよいし、矩形でもよい。本実施の形態では、第1凹部113の平面視形状は、円形である。第1凹部113の深さ(側面112の高さ)は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。筐体110の材料は、使用時に生じる熱により変形しなければ特に限定されない。底面111は、発光素子120が実装された基板であってもよい。
【0018】
発光素子120は、所定の波長の光を出射する。発光素子120は、出射する光の波長に応じて適宜選択される。発光素子120の例には、発光ダイオード(LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード(LD)が含まれる。発光素子120から出射される光の中心波長またはピーク波長は、特に限定されない。発光素子120から出射される光が紫外線の場合には、紫外線の中心波長またはピーク波長は、200nm以上350nm以下である。
【0019】
光束制御部材130は、発光素子120から出射された光の配光を制御する。光束制御部材130の形状は、発光素子120から出射された光の配光の制御方法により適宜設計される。光束制御部材130は、いわゆる集光レンズでもよいし、いわゆる拡散レンズでもよい。光束制御部材130は、屈折型のフレネルレンズ部を有していてもよいし、反射型のフレネルレンズ部を有していてもよいし、その他の所望の配光を有するための構造を有していてもよい。光束制御部材130の形状は、中心軸CAを中心とした円対称でもよいし、円対称でなくてもよい。以下の説明では、中心軸CAを中心とした円対称の光束制御部材130について説明する。
【0020】
光束制御部材130の線膨張係数は、封止材の硬化物140の線膨張係数よりも低い。
【0021】
光束制御部材130の材料は、制御する光(発光素子120から出射される光)を透過させ得るものであれば特に限定されない。制御する光が可視光線の場合、光束制御部材130の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーンなどの光透過性樹脂、またはガラスである。本実施の形態では、制御する光が紫外線であるため、光束制御部材130の材料は、シリコーンが好ましい。
【0022】
(光束制御部材の構成)
図2A~Cは、光束制御部材130の構成を示す図である。
図2Aは、本発明に係る光束制御部材130の平面図であり、
図2Bは、底面図であり、
図2Cは、
図2Aに示されるA-A線の断面図である。
【0023】
図2A~Cに示されるように、光束制御部材130は、入射面131と、反射面132と、出射面133と、フランジ134とを有する。光束制御部材130は脚部135をさらに有してもよく、フランジ134は凸部144さらにを有していてもよい。入射面131と、反射面132と、出射面133と、フランジ134とは、いずれも中心軸CAを回転中心とする回転対称の形状である。
【0024】
入射面131は、発光素子120から出射された光を入射させる。入射面131の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、入射面131は、裏側に形成された第2凹部136の内面であり、第1入射面137および第2入射面138を有する。
【0025】
第1入射面137は、発光素子120から出射された出射角度の小さな光を入射させる。第1入射面137は、発光素子120の光軸LAと交わるように配置されている。中心軸CAを含む断面において、第1入射面137は、裏側に向かってその中心部分が滑らかに突出するように形成されている。
【0026】
第2入射面138は、発光素子120から出射された出射角度の大きな光を入射させる。第2入射面138は、第1入射面137および反射面132を接続する。第2入射面138は、裏側から表側に向かうについて中心軸CAに近づくように形成されている。中心軸CAを含む断面において、第2入射面138は、直線形状でもよいし、曲線形状でもよい。本実施の形態では、当該断面において、第2入射面138は直線形状に形成されている。
【0027】
反射面132は、主として第2入射面138から入射した光を出射面133に向けて反射させる。反射面132と中心軸CAとの距離は一定でもよく、裏側から表側に向かって漸増していてもよい。中心軸CAを含む断面において、反射面132は、外側(中心軸CAから離れる側)に凸の曲線形状でもよく、直線形状でもよい。なお、本実施の形態では、当該断面において、反射面132は、曲線形状である。
【0028】
出射面133は、入射面131から入射した光を出射させる。出射面133は、入射面131と反対側の表側に配置されている。出射面133は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、出射部123は、円形状の平面である。
【0029】
フランジ134は、光束制御部材130の取扱を容易にするとともに、光束制御部材130の筐体110からの離脱を防止する。平面視した場合、中心軸CAを中心として、フランジ134は、入射面131および出射面133の外側に配置されている。これにより、封止材の硬化物140が膨張することによる応力が入射面131および出射面133に作用しづらくなるため、光束制御部材130の変形をより抑制できる。
【0030】
フランジ134は、筒部141と、裏面142と、傾斜面143と、凸部144とを含む。筒部141は、入射面131および出射面133を取り囲むように形成されている。裏面142は、第1凹部113の底面111に接着するための接着面として機能する。本実施の形態では、裏面142は、平面である。
【0031】
傾斜面143は、裏側から表側に向かうにつれて、光束制御部材130の中心軸に近づくように表側に形成されている。傾斜面143は、光束制御部材130を封止するための封止材が接触する。中心軸CAに沿う方向(光束制御部材130の表裏方向)において、傾斜面143の上端部は、入射面131の上端部よりも裏側に配置されている。
【0032】
中心軸CAを含む断面における傾斜面143の形状は、特に限定されない。当該形状は、直線形状でもよいし、曲線形状でもよい。本実施の形態では、当該形状は、直線形状である。すなわち、傾斜面143の形状は、円錐台形状の側面と同じ形状である。
【0033】
中心軸CAに対する傾斜面143は、30~60°が好ましく、40~50°がより好ましい。中心軸CAに対する傾斜面143の傾斜角度が当該範囲内であれば、封止材の硬化物140が膨張することによる応力を光束制御部材130が変形しないように逃がすことができる。
【0034】
凸部144は、傾斜面143よりも外側に配置されている。凸部144の平面視形状は、円環形状である。また、中心軸CAを含む断面における凸部144の形状は、特に限定されない。中心軸CAを含む断面における凸部144の形状は、三角形でもよいし、矩形でもよいし、円弧形状でもよい。本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における凸部144の形状は、矩形である。すなわち、本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における凸部144の内面の外側は、直線形状に形成されている。傾斜面143と、凸部144とは、直接接続されていてもよいし、接続面を介して接続されていてもよい。
【0035】
脚部135は、筐体110の底面111に対して光束制御部材130を位置決めするために機能する。脚部135は、フランジ134の裏面142に配置されている。脚部135の数は、光束制御部材130を位置決めできれば特に限定されない。本実施の形態では、脚部135の数は、3つである。また、脚部135の配置も上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、脚部135は、裏面142の周方向に等間隔となるように配置されている。
【0036】
言い換えると、本実施の形態に係る光束制御部材130におけるフランジ134は、筒部141と、裏面142と、傾斜面143と、溝とを有する。溝の内面は、傾斜面143の一部と、凸部144の内側面とから構成される。
【0037】
封止材の硬化物140は、筐体110に対して、光束制御部材130を固定する。封止材の硬化物140は、傾斜面143に接触している。封止材の材質は、特に限定されない。封止材の材質の例には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が含まれる。封止材の硬化物140の線膨張係数は、光束制御部材130の線膨張係数よりも高いことが好ましい。
【0038】
次に、発光装置100の組み立て方法について説明する。
図3A~Cは、発光装置100の組み立て方を説明するための図である。
【0039】
図3Aに示されるように、フランジ134の裏面142に対応する位置に封止材を塗布する。
【0040】
次いで、
図3Bに示されるように、筐体110の第1凹部113の底面111(基板)に発光素子120を実装する。そして、封止材を硬化させることにより、筐体110に対して光束制御部材130を仮止めする。
【0041】
次いで、
図3Cに示されるように、光束制御部材130よりも外側であって、筐体110の第1凹部113に封止材を充填する。このとき、封止材は、傾斜面143を覆うまで充填されることが好ましい。これにより、光束制御部材130の変形をより抑制できる。
【0042】
以上の工程により、光束制御部材130が筐体110に対して封止(固定)される。
【0043】
なお、光束制御部材130が脚部135を有する場合には、脚部135により筐体110に対して位置決めおよび固定できる。このように、光束制御部材130の脚部135などによって光束制御部材130を筐体110にあらかじめ固定することができる場合には、上記工程のように封止材の仮止めを行わずに、光束制御部材130を筐体110に配置した後に封止材を傾斜面143を覆うまで充填してもよい。
【0044】
ここで、本発明の効果について、図面を用いて説明する。なお、比較として、傾斜面143を有さない比較例に係る光束制御部材530を有する発光装置500の場合についても説明する。
【0045】
図4A、Bは、本発明の効果を説明するための図である。
図4Aは、比較例に係る光束制御部材530を有する発光装置500の場合を説明するための図であり、
図4Bは、本発明に係る光束制御部材130を有する発光装置100の場合を説明するための図である。
【0046】
図4Aに示されるように、比較例に係る発光装置500は、筐体110と、発光素子120と、光束制御部材530と、封止材の硬化物140とを有する。光束制御部材530は、入射面131と、反射面132と、出射面133と、フランジ534と、脚部135とを有する。フランジ534は、筒部141と、裏面142とを有する。すなわち、比較例に係る発光装置500における光束制御部材530は、傾斜面143を有さない。
【0047】
発光装置100、500の使用により、熱が生じると、封止材の硬化物140が膨張する。このとき、光束制御部材130、530も膨張するが、封止材の硬化物140の線膨張係数が光束制御部材130、530の線膨張係数よりも大きいため、発光装置100、500では封止材の硬化物140の膨張により生じる応力が優位に作用する。
【0048】
比較例に係る発光装置500では、封止材の硬化物140が膨張すると、中心軸CAを含む断面において、封止材の硬化物140からの応力は、光束制御部材530を外側から内側に向かって押すとともに、筐体110を内側から外側に向かって押す。このとき、筐体110は硬度が高いため、筐体110を内側から外側に向かって押す反力で光束制御部材530がさらに外側から内側に向かって押される。
【0049】
これにより、光束制御部材530が歪む。このとき、光束制御部材530に対して外側から内側に向かって作用する応力は、光束制御部材530の下側に向かって作用しないため、光束制御部材530の表側に向かって作用する。したがって、発光装置500の使用により生じた熱により、光束制御部材530が歪み、または光束制御部材530が第1凹部113から脱離してしまう。
【0050】
一方、
図4Bに示されるように、本実施の形態に係る発光装置100では、封止材の硬化物140が膨張すると、中心軸CAを含む断面において、封止材の硬化物140からの応力は、光束制御部材130を外側から内側に向かって押すとともに、筐体110を内側から外側に向かって押す。このとき、筐体110は硬度が高いため、筐体110を内側から外側に向かって押す反力で光束制御部材130がさらに外側から内側に向かって押される。
【0051】
このとき、本発明では傾斜面143を有するため、外側から内側に向かって作用する応力の一部は、下側に向かって作用する。これにより。本発明の発光装置100では、比較例の発光装置500と比較して、光束制御部材130の入射面および出射面133に作用する応力が小さくなる。よって、本実施の形態に係る光束制御部材130は、比較例の発光装置500と比較して歪みにくく、または第1凹部113からの脱離を抑制できる。
【0052】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置100は、フランジ134に傾斜面143を有しているため、封止材の硬化物140が膨張することによる応力の一部は、裏側(第1凹部113の底面111側)に向かって作用するため、光束制御部材130の変形および第1凹部113からの離脱を抑制できる。また、本実施の形態に係る発光装置100は、傾斜面143および凸部144が楔として機能するため、光束制御部材130の第1凹部113からの離脱をより抑制できる。
【0053】
(変形例)
本実施の形態の変形例に係る発光装置は、光束制御部材230の構成のみが実施の形態1に係る発光装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る発光装置100と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
(発光装置の構成)
【0055】
特に図示しないが、本発明の変形例に係る発光装置は、筐体110と、発光素子120と、光束制御部材230と、封止材の硬化物140とを有する。
【0056】
図5A~Cは、本発明の変形例に係る光束制御部材230の構成を示す断面図である。
図5Aは、変形例に係る光束制御部材230の平面図であり、
図5Bは、底面図であり、
図5Cは、
図5Aに示されるA-A線の断面図である。
【0057】
図5A~Cに示されるように、変形例に係る光束制御部材230は、入射面131と、反射面132と、出射面133と、フランジ234と、脚部135とを有する。フランジ234は、筒部141と、裏面142と、傾斜面243と、凸部244を有する。
【0058】
傾斜面243は、光束制御部材230の表側から裏側に向かうにつれて中心軸CAから離れるように形成されている。変形例における傾斜面243は、中心軸CAを含む断面において、曲線形状に形成されている。より具体的には、傾斜面243は、中心軸CAを含む断面において、傾斜面243の接線および中心軸CAがなす角度が漸増するように形成されている。
【0059】
中心軸CAを含む断面における凸部244の内面の外側は、曲線形状に形成されている。当該内面の外側は、光束制御部材230の表側から裏側に向かうにつれて中心軸CAに近づくように形成されている。より具体的には、凸部244の内面の外側は、中心軸CAを含む断面において、当該内面の接線および中心軸CAがなす角度が漸減するように形成されている。
【0060】
言い換えると、変形例における光束制御部材230におけるフランジ234は、筒部141と、裏面142と、傾斜面243と、溝とを有する。溝の内面は、傾斜面243の一部と、凸部244の内側面とから構成される。
図5Cに示されるように、中心軸CAを含む断面における溝の内面は、円弧形状に形成されている。
【0061】
変形例に係る発光装置では、傾斜面243が表側から裏側に向かうにつれて中心軸CAから離れるように形成されており、凸部244の内面の外側が表側から裏側に向かうにつれて中心軸CAに近づくように形成されているため、外側から内側に向かって作用する応力の一部は、下側に向かって連続して作用する。よって、比較例の発光装置100と比較して、光束制御部材230が歪みにくく、また第1凹部113からの脱離を抑制できる。
【0062】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態1に係る発光装置100の効果に加え、外側から内側に向かって作用する応力の一部が下側向かって連続して作用するため、光束制御部材230の第1凹部113からの離脱をより抑制できる。
【0063】
なお、上述したように、発光装置100は、エアーコンディショナー(電気機械器具)に配置されうる。発光装置100は、エアーコンディショナー(電気機械器具)から分離可能に構成されていてもよいし、筐体110がエアーコンディショナー(電気機械器具)の他の部材と一体に形成されていてもよい。筐体110がエアーコンディショナー(電気機械器具)の他の部材と一体に形成されている場合、発光装置100は、エアーコンディショナー(電気機械器具)と分離できない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る光束制御部材および発光装置は、光束制御部材が変形しにくい。したがって、例えばエアーコンディショナーにおける室内機の内部や、除湿機の内部などの紫外線を用いた殺菌処理に有用である。
【符号の説明】
【0065】
100、500 発光装置
110 筐体
111 底面
112 側面
113 第1凹部
120 発光素子
130、230、530 光束制御部材
131 入射面
132 反射面
133 出射面
134、234、534 フランジ
135 脚部
136 第2凹部
137 第1入射面
138 第2入射面
141 筒部
142 裏面
143、243 傾斜面
144、244 凸部