(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20250327BHJP
【FI】
A01K85/00 G
(21)【出願番号】P 2021092268
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3541718(US,A)
【文献】特開2011-92097(JP,A)
【文献】中国実用新案第210538315(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00
A01K 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣り用のルアーであって、
第1接合面を有する第1ボディと、前記第1接合面に貼り合わされる第2接合面を有する第2ボディとで構成される中空のボディと、
ライン或いはフックを接続可能なアイを有し、前記ボディに一体に組み付けられたワイヤーと、
前記ボディと前記ワイヤーとの間に設けられ
ると共に、前記ボディとは別体に形成された緩衝部材と、を備え、
前記ワイヤーは、前記アイを前記ボディの外部に露出させた状態で、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に前記緩衝部材を介して挟み込まれると共に、
前記緩衝部材の内側に、前記緩衝部材に対する遊びが許容された状態で前記緩衝部材に対して相対的に移動可能
に収容され、
前記緩衝部材は、
前記ボディよりも軟質な材料で形成され、前記第1ボディ及び前記第2ボディの両方に接するように配置されている、ルアー。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記ワイヤーを挟んで向かい合うように配置された第1緩衝部及び第2緩衝部を有し、
前記ワイヤーは、前記第1緩衝部及び前記第2緩衝部の間に配置されている、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記第1緩衝部と前記第2緩衝部とを連結する連結部を有し、
前記ワイヤーは、前記第1緩衝部、前記第2緩衝部及び前記連結部によって囲まれた収容空間内に配置されている、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記ボディには、前記緩衝部材を囲むように形成されると共に、前記アイを前記ボディの内部から外部に露出させる外部連通孔が形成され、
前記外部連通孔の内面には、前記第1緩衝部に対して面する第1被接触面と、前記第2緩衝部に対して面する第2被接触面とが形成され、
前記第1緩衝部の外面には、前記第1被接触面に対して接触する第1接触面が形成され、
前記第2緩衝部の外面には、前記第2被接触面に対して接触する第2接触面が形成されている、請求項2又は3に記載のルアー。
【請求項5】
前記ボディは、頭部、腹部及び尾部を有し、
前記緩衝部材は、前記頭部、前記腹部及び前記尾部のうちの少なくとも一つに配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記ワイヤーは、前記頭部から前記腹部を経由して前記尾部に亘って配置された状態で、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に挟み込まれている、請求項5に記載のルアー。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記ボディに対して固定される、請求項1から6のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項8】
前記ボディの内部には、前記ボディに対して可動に取り付けられると共に、外部からの光を反射する反射体を有する揺動部が設けられ、
前記ボディは、前記反射体から反射された光が外部から視認可能とされている、請求項1から7のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項9】
前記揺動部は、弾性部材を介して前記ボディに取り付けられ、前記ボディに対して振動する、請求項8に記載のルアー。
【請求項10】
前記ボディの内部には、前記ボディに対して相対移動可能とされた錘部、及び前記錘部の移動に伴って弾性変形すると共に弾性復元変形によって前記錘部を付勢する付勢部材が設けられ、
前記錘部は、少なくともキャスト時に、前記付勢部材を弾性変形するように移動する、請求項1から9のいずれか1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣り用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣りを行うにあたって、対象魚に応じた餌を利用した餌釣りに代えて、ルアー(疑似餌)を利用したルアー釣り(ルアーフィッシング)が行われている。この種のルアーは、対象魚及び釣り方等に応じて多種多様なものが提供されているが、例えば小魚の形状を模した、いわゆるプラグ系のルアーが知られている。
プラグ系のルアーは、例えばブラックバス等の淡水魚、シーバス(スズキ)、ヒラマサ等の海水魚等、小魚を捕食するような対象魚(いわゆるフィッシュイーター)を釣るのに適しており、例えば釣糸を巻いたときのアクション、浮力、潜行深度(レンジ範囲)等の違いによって使い分けがなされている。
【0003】
この種のルアーは、一般的に、互いの接合面を介して貼り合わされることで、小魚を模したボディを構成する第1ボディ及び第2ボディと、第1ボディと第2ボディとの間に挟み込まれたワイヤフレームと、を主に備えている。
ワイヤフレームは、例えばステンレス等の防錆性素材からなる金属線とされ、その一部が曲げ加工されることで、例えばラインが接続されるラインアイや、フックが接続されるフックアイとして機能する。このワイヤフレームは、ラインアイ及びフックアイが少なくとも外部に露出した状態で、ボディの内部に組み付けられている。
【0004】
例えば下記特許文献1には、複数のピンを利用して第1ボディと第2ボディとが組み合わされたボディと、ボディの底面側に露出した状態でボディに組み付けられ、その一部がラインアイ及びフックアイとして機能するワイヤフレームと、を備えたルアーが開示されている。ワイヤフレームは、ピンに係合するように組み付けられることで、ボディに対して適切に保持されている。
【0005】
下記特許文献2には、複数のピンを利用して第1ボディと第2ボディとが組み合わされたボディと、第1ボディの接合面及び第2ボディの接合面のうちボディのテール部(尾鰭部)に位置する部分に形成された錘受入部と、ボディに組み付けられると共に、その一部がラインアイ及びフックアイとして機能するワイヤフレームと、を備えたルアーが開示されている。ワイヤフレームは、ピンに係合するように組み付けられることで、ボディに対して適切に保持されている。さらにワイヤフレームには、錘受入部内に嵌め込まれる錘が一体に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-102582号公報
【文献】実用新案登録第3184551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、プラグ系のルアーを利用した場合には、魚信(魚のあたり)があった際に、フックを通じてフックアイに対象魚からの外力が伝わるので、ボディに対してフックアイが強く押し当たり易い。この際、フックアイを含むワイヤフレームは、第1ボディと第2ボディとの間に配置されているため、フックを通じてフックアイに大きな外力が伝わった場合には、ボディに対してフックアイが瞬間的或いは継続的に強く押し当たってしまう。これにより、第1ボディの接合面と第2ボディの接合面とを引き裂くように、フックアイがボディを2つに分断してしまうおそれがあった。
【0008】
この点は、例えば特許文献1に記載のルアーも同様であり、ボディのテール部に位置するフックアイは、第1ボディの接合面及び第2ボディの接合面に形成された受入溝内に嵌め込まれている。そのため、ボディのテール部に位置するフックアイに、対象魚からの外力が加わった際に、2つの接合面を引き裂くようにフックアイが強く押し当たってしまう。これにより、ボディが2つに分断してしまうおそれがあった。
【0009】
特許文献2に記載のルアーも同様であり、ボディのテール部に位置するフックアイは、第1ボディの接合面と第2ボディの接合面に形成された錘受入部内に、錘と共に嵌め込まれている。そのため、ボディのテール部に位置するフックアイに、対象魚からの外力が加わった際に、フックアイから錘を通じてボディ内に外力が伝わるので、同様に、2つの接合面が引き裂かれるようにボディが2つに分断してしまうおそれがあった。
【0010】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、アイを含むワイヤーに対して外力が伝わったとしても、ワイヤーからボディに外力が伝わることを抑制することができるルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係るルアーは、魚釣り用のルアーであって、第1接合面を有する第1ボディと、前記第1接合面に貼り合わされる第2接合面を有する第2ボディとで構成される中空のボディと、ライン或いはフックを接続可能なアイを有し、前記ボディに一体に組み付けられたワイヤーと、前記ボディと前記ワイヤーとの間に設けられた緩衝部材と、を備え、前記ワイヤーは、前記アイを前記ボディの外部に露出させた状態で、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に前記緩衝部材を介して挟み込まれると共に、前記緩衝部材に対して相対的に移動可能とされ、前記緩衝部材は、前記第1ボディ及び前記第2ボディの両方に接するように配置されている。
【0012】
本発明に係るルアーによれば、アイを有するワイヤーが、第1ボディ及び第2ボディの両方に接するように配置された緩衝部材を介して第1ボディと第2ボディとの間に挟み込まれている。そのため、緩衝部材を利用して、ワイヤーがボディ(第1ボディ及び第2ボディ)に対して直接的に接触することを防止することができる。従って、例えば魚信があったときに、対象魚からアイに対して外力が伝わり、ボディ及び緩衝部材に対してワイヤーが相対的に移動したとしても、ワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることを防止することができる。
従って、従来のようにワイヤーがボディに対して強く押し当たることで、第1接合面及び第2接合面が引き裂かれるようにボディが分断するといった不都合が生じてしまうことを抑制することができる。つまり、ワイヤーからボディに伝わる外力(対象魚からの外力)を緩衝部材で緩和及び分散させることができる。従って、第1接合面と第2接合面との間に外力が集中して伝わることを抑制することができるので、第1ボディと第2ボディとが分離するようなボディの割れ等を生じさせ難くすることができる。従って、長期に亘って品質が安定したルアーとすることができる。
【0013】
なお、緩衝部材に対してワイヤーが相対的に移動可能とされているので、緩衝部材に対してワイヤーの遊びを許容した状態でワイヤーを組み合わせることができる。そのため、アイを含むワイヤーの自由度を確保することができ、例えば魚信があったときに、対象魚の動きに対応してワイヤーを変位させることができる。従って、対象魚の掛かりが外れ難いルアーとすることができる。
【0014】
(2)前記緩衝部材は、前記ワイヤーを挟んで向かい合うように配置された第1緩衝部及び第2緩衝部を有し、前記ワイヤーは、前記第1緩衝部及び前記第2緩衝部の間に配置されても良い。
【0015】
この場合には、第1緩衝部及び第2緩衝部がワイヤーを挟んで向かい合うように配置されているので、対象魚からの外力によって緩衝部材に対してワイヤーが動いたとしても、第1緩衝部及び第2緩衝部に対してワイヤーを接触させ易い。従って、第1緩衝部及び第2緩衝部を利用して、ワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることをさらに防止し易い。
【0016】
(3)前記緩衝部材は、前記第1緩衝部と前記第2緩衝部とを連結する連結部を有し、前記ワイヤーは、前記第1緩衝部、前記第2緩衝部及び前記連結部によって囲まれた収容空間内に配置されても良い。
【0017】
この場合には、第1緩衝部、第2緩衝部及び連結部によって囲まれた収容空間内にワイヤーを配置できるので、ワイヤーを囲むように緩衝部材を配置することができる。従って、対象魚からの外力によって緩衝部材に対してワイヤーが動いたとしても、ワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることを効果的に抑制することができる。さらに、第1緩衝部、第2緩衝部及び連結部によって、1パーツとして緩衝部材を構成できるので、緩衝部材の取り扱いが容易であるうえ、例えばルアーの組み立て作業等を効率良く行える。
【0018】
(4)前記ボディには、前記緩衝部材を囲むように形成されると共に、前記アイを前記ボディの内部から外部に露出させる外部連通孔が形成され、前記外部連通孔の内面には、前記第1緩衝部に対して面する第1被接触面と、前記第2緩衝部に対して面する第2被接触面とが形成され、前記第1緩衝部の外面には、前記第1被接触面に対して接触する第1接触面が形成され、前記第2緩衝部の外面には、前記第2被接触面に対して接触する第2接触面が形成されても良い。
【0019】
この場合には、第1被接触面に対して第1接触部を接触させ、且つ第2被接触面に対して第2接触面を接触させた状態で、外部連通孔の内側に緩衝部材を配置しているので、ボディに対して緩衝部材を例えば位置ずれ等させることなく適切に組み合わせることができる。そのため、例えばボディに対して緩衝部材が回ってしまう等の不具合が生じ難い。従って、緩衝部材の姿勢を安定にした状態で、ボディとワイヤーとの間に緩衝部材を配置させることができる。そのため、ワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることを抑制するといった、緩衝部材としての役割を適切に発揮させることができる。
【0020】
(5)前記ボディは、頭部、腹部及び尾部を有し、前記緩衝部材は、前記頭部、前記腹部及び前記尾部のうちの少なくとも一つに配置されても良い。
【0021】
この場合には、ワイヤーにおけるアイを、例えばラインが接続可能なラインアイや、ボディの腹部側に設けられるフック(いわゆるフロントフック)を接続可能なフックアイや、ボディの尾部側に設けられるフック(いわゆるリアフック)を接続可能なフックアイとして機能させた場合であっても、緩衝部材を利用して、ワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることを抑制することができ、ワイヤーからボディに伝わる外力を緩和及び分散させることができる。
【0022】
(6)前記ワイヤーは、前記頭部から前記腹部を経由して前記尾部に亘って配置された状態で、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に挟み込まれても良い。
【0023】
この場合には、ワイヤーがボディの内部を頭部から腹部を経由して尾部に亘って配置されているので、第1ボディと第2ボディとでワイヤーを広範囲に亘って挟み込むことができ、ボディに対してワイヤーを強固に組み付けることができる。
【0024】
(7)前記緩衝部材は、前記ボディに対して固定されても良い。
【0025】
この場合には、ボディに対して緩衝部材が例えば接着や融着等によって固定されているので、例えばボディに対して緩衝部材が意図せずにスライド或いは回転等して緩衝部材の姿勢が変化することや、ボディから緩衝部材が脱落するような不都合を防止することができる。
【0026】
(8)前記ボディの内部には、前記ボディに対して可動に取り付けられると共に、外部からの光を反射する反射体を有する揺動部が設けられ、前記ボディは、前記反射体から反射された光が外部から視認可能とされても良い。
【0027】
この場合には、例えばラインを通じたアクション等によってボディの内部に設けられた揺動部を例えば振動するように揺動させることができる。そのため、反射体で反射した光(反射光)の状態を変化させることができ、光の見え方を変化させることができる。従って、あたかもルアーが輝いているかのようにルアーを視認させることができる。これにより、対象魚に対してルアーを効果的にアピールすることができ、ルアーに対象魚が掛かるヒット率を高め易い。
【0028】
(9)前記揺動部は、弾性部材を介して前記ボディに取り付けられ、前記ボディに対して振動しても良い。
【0029】
この場合には、弾性部材を介して揺動部をボディの内部に取り付けているので、例えばラインを通じたアクションが停止した場合や、水或いは潮の動きが停止した場合であっても、揺動部を直ちに停止させるのではなく、可動させた状態を維持することができる。従って、対象魚に対するアピールを継続して行うことができ、ヒット率を高め易い。
【0030】
(10)前記ボディの内部には、前記ボディに対して相対移動可能とされた錘部、及び前記錘部の移動に伴って弾性変形すると共に弾性復元変形によって前記錘部を付勢する付勢部材が設けられ、前記錘部は、少なくともキャスト時に、前記付勢部材を弾性変形するように移動しても良い。
【0031】
この場合には、ルアーのキャストによってボディを飛行させることで、ボディの内部に設けられた錘部が慣性によって付勢部材を弾性変形させながらボディ内で移動する。また、飛行の後半段階においては、ボディの速度が低下することに伴って、付勢部材の弾性復元力によって錘部を元の位置に復元移動させることができる。
このように、キャスト時にボディに作用する加速度、速度等に応じて錘部を適宜移動させることができるので、ルアー全体の重心位置を適宜変化させることができる。そのため、飛行状況に応じてボディの飛行姿勢を最適な姿勢に維持することが可能となり、飛距離を伸ばすことができる。従って、軽い力のキャスティングであっても、ルアーを遠くまで効率良く飛ばすことができ、使い易いルアーとすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るルアーによれば、魚信等によってアイを含むワイヤーに対して外力が伝わったとしても、ワイヤーからボディに伝わる外力を緩和及び分散させることができ、ボディに対して外力が伝わることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態を示す図であって、ルアーの外観図である。
【
図3】
図1に示すルアーをテール部側から見た背面図である。
【
図4】
図1に示すルアーのボディを構成する第1ボディを第1接合面側から見た側面図である。
【
図5】
図4に示す緩衝部材の周辺を拡大した斜視図である。
【
図6】図
4に示すA-A線に沿った縦断面図である。
【
図7】図
4に示すB-B線に沿った縦断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態を示す図であって、ルアーを構成する第1ボディを第1接合面側から見た側面図である。
【
図9】
図8に示す錘部がボディのテール部側に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るルアーの第1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、ルアーとして、イワシ等の小魚の形状を模した海釣り用のソルトルアーであって、トップウォータールアー等として利用されるペンシルベイト型のルアーを例に挙げて説明する。
【0035】
図1~
図4に示すように、本実施形態のルアー(魚釣り用ルアー)1は、第1ボディ2及び第2ボディ3が組み合わされることで構成されたボディ4と、複数のアイ5を有し、ボディ4に組み合わされたワイヤー6と、ボディ4とワイヤー6との間に設けられた緩衝部材7と、を備えている。なお、
図1以外の各図面では、後述するラインL、フロントフック8、リアフック9の図示を省略している。
【0036】
ボディ4は、小魚の形状を模した外形形状とされ、図示しない釣竿から繰り出されたライン(釣糸)Lに接続される。本実施形態では、ボディ4の長手方向に沿った方向を前後方向L1として定義すると共に、前後方向L1及び上下方向に直交する方向を左右方向(ボディの幅方向)L2として定義する。さらに前後方向L1において、ボディ4からラインLに向かう方向を前方といい、その反対方向を後方として定義する。
【0037】
(ボディ)
図1~
図3に示すように、ボディ4は、ベイトである小魚の形状を模した外形形状とされ、前部側がヘッド部(本発明に係る頭部)10とされ、後部側がテール部(本発明に係る尾部)11とされている。ボディ4のうちヘッド部10とテール部11との間に位置する下側部分が腹部(腹鰭部)12とされ、上側部分が背部(背鰭部)13とされている。
【0038】
ボディ4の材質としては、特定のものに限定されるものではないが、例えばABS樹脂等の合成樹脂材料、金属材料、硬質発泡素材等の高浮力素材等を採用することができる。さらに、ボディ4としては、いわゆる硬質材料で形成されている必要はなく、エラストマ等のいわゆる軟質材料で形成されていても構わない。さらにボディ4の外表面には、必要に応じて各種の塗装や表面処理等を施しても構わない。
【0039】
本実施形態のボディ4は、第1ボディ2と第2ボディ3とが左右方向L2から組み合わされることで構成されている。
第1ボディ2及び第2ボディ3は、外形形状が互いに左右対称となるように形成されている。第1ボディ2及び第2ボディ3は、
図2及び
図3に示すように、ボディ4の左右方向L2の中央を通過し、且つ前後方向L1及び上下方向に平行な仮想面(仮想垂直面)Vを境界面として一体に組み合わされている。つまり、第1ボディ2及び第2ボディ3は、仮想面Vをいわゆる合わせ面として一体に連結されている。
【0040】
本実施形態では、ボディ4を後方から見た視点で左右を定義したときに、右側(RH)に位置する一方の分割ボディを第1ボディ2とし、左側(LH)に位置する他方の分割ボディを第2ボディ3とする。
【0041】
図2~
図4に示すように第1ボディ2は、仮想面Vに沿うと共に第2ボディ3側である左側(LH)に面すると共に、第1ボディ2の外形形状に沿って形成された第1接合面15を有している。同様に、第2ボディ3は、仮想面Vに沿うと共に第1ボディ2側である右側(RH)に面すると共に、第2ボディ3の外形形状に沿って形成された第2接合面16を有している。
第1ボディ2及び第2ボディ3は、第1接合面15及び第2接合面16同士を面合わせした状態で、一体に組み合わされている。
【0042】
第1ボディ2について詳細に説明する。
図4に示すように、第1ボディ2は、先に述べたように第1接合面15が該第1ボディ2の外形形状に沿って形成されている。つまり、第1接合面15は、第1ボディ2のヘッド部10、腹部12、テール部11、及び背部13に沿って連続的に形成されている。これにより、第1ボディ2を左側(LH)から見た側面視において、第1ボディ2の内側には第1接合面15によって囲まれた中空室20が形成されている。
【0043】
図示の例では、ヘッド部10側に位置する第1リブ21と、テール部11側に位置する第2リブ22とによって、中空室20が前後方向L1に3つに区画されている。第1リブ21及び第2リブ22は、上下方向に延びる縦長に形成され、上端部及び下端部が第1接合面15に一体に繋がるように形成されている。
【0044】
なお、中空室20のうち第1リブ21よりも前方側に位置する中空室20が前方中空室23とされ、第2リブ22よりも後方に位置する中空室20が後方中空室24とされ、第1リブ21と第2リブ22との間に位置する中空室20が中央中空室25とされている。図示の例では、中央中空室25は、前方中空室23及び後方中空室24よりも内容積が大きく形成されている。
【0045】
なお、本実施形態では、第1リブ21及び第2リブ22を利用して中空室20を3つに区画した場合を例に挙げて説明したが、リブの数は2つに限定されるものではなく、1つでも良いし、3つ以上形成しても構わない。これにより、例えば中空室20を2つ、或いは4つ以上に区画しても構わない。ただし、第1リブ21及び第2リブ22は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0046】
第2ボディ3は、上述した第1ボディ2と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
そして
図1~
図3に示すように、第1ボディ2及び第2ボディ3は、先に述べたように第1接合面15及び第2接合面16同士を面合わせした状態で一体に組み合わされ、これによってボディ4を構成している。なお、第1ボディ2と第2ボディ3とを組み合わせる際、例えば複数のピンを利用したピン結合、接着剤を利用した接着固定等、各種の接合方法を採用することができる。さらに、ボディ4の内部は、前方中空室23、後方中空室24及び中央中空室25を有する中空構造とされている。
【0047】
さらに本実施形態のボディ4には、
図4に示すように、ワイヤー6に形成された複数のアイ5のそれぞれを外部に露出させるための外部連通孔が複数形成されている。
具体的には、ボディ4のヘッド部10には、該ボディ4を前後方向L1に貫通する前方連通孔30が形成されている。前方連通孔30は、ボディ4の最前方部に位置すると共に、第1接合面15及び第2接合面16を前後方向L1に貫通するように形成され、外部と前方中空室23内とを連通している。
【0048】
さらに、ボディ4のうち、小魚の形状を模した顎部分に相当する部分には、該ボディ4を上下方向に貫通する顎部連通孔31が形成されている。顎部連通孔31は、前方連通孔30と第1リブ21との間に位置すると共に、第1接合面15及び第2接合面16を上下方向に貫通するように形成され、外部と前方中空室23内とを連通している。
【0049】
さらに、ボディ4のテール部11には、該ボディ4を前後方向L1に貫通する後方連通孔(本発明に係る外部連通孔)32が形成されている。後方連通孔32は、ボディ4の最後方部に位置すると共に、第1接合面15及び第2接合面16を前後方向L1に貫通するように形成され、外部と後方中空室24内とを連通している。
【0050】
さらに、ボディ4の腹部12には、下方に開口した第1腹部連通孔33及び第2腹部連通孔34が前後方向L1に間隔をあけて形成されている。第1腹部連通孔33及び第2腹部連通孔34は、第1接合面15及び第2接合面16のうち腹部12に位置する部分に形成された第1ワイヤー溝35及び第2ワイヤー溝36内にそれぞれ連通するように形成されている。
【0051】
第1ワイヤー溝35及び第2ワイヤー溝36は、ワイヤー6を受け入れるための収納溝であって、第1接合面15及び第2接合面16のうち腹部12に位置する部分に形成されている。
具体的には、第1ワイヤー溝35は、第1接合面15及び第2接合面16のうち、顎部連通孔31と第1腹部連通孔33との間に位置する部分に配置されると共に、顎部連通孔31内及び第1腹部連通孔33内に連通するように腹部12に沿って形成されている。第2ワイヤー溝36は、第1接合面15及び第2接合面16のうち、第2腹部連通孔34と後方中空室24との間に位置する部分に配置されると共に、第2腹部連通孔34内及び後方中空室24内に連通するように腹部12に沿って形成されている。
【0052】
(ワイヤー)
ワイヤー6は、ステンレス鋼等の防錆性を有する金属線を折り曲げ加工されることで形成され、ラインL或いはフックを接続可能な複数のアイ5を有している。複数のアイ5は、ワイヤー6の一部が円形状或いは半円形状に形成されることで構成されている。特に、本実施形態のワイヤー6は、1本の長尺な金属線を折り曲げ加工することで、4つのアイ5を有した状態で前後方向L1に延びるように形成されている。
ワイヤー6は、4つのアイ5をボディ4の外部に露出させた状態で、一部分が第1ワイヤー溝35内及び第2ワイヤー溝36内に収納されることでボディ4に組み合わされている。これにより、ワイヤー6は、ヘッド部10から腹部12を経由してテール部11に亘って配置された状態で第1ボディ2と第2ボディ3との間に挟み込まれている。
【0053】
図1及び
図4に示すように、複数のアイ5のうち、前方連通孔30を通じてボディ4の前方側に露出するアイ5は、釣竿からのラインLが接続されるラインアイ40として機能する。なお、図示の例では、ラインアイ40に対してラインLを直接的に接続している場合を図示しているが、例えばスイベル等の連結金具を利用してラインLをラインアイ40に接続しても構わない。
【0054】
複数のアイ5のうち、顎部連通孔31を通じてボディ4の腹部12側に露出するアイ5は、フロントフック8が接続されるフロントフックアイ41として機能する。同様に、複数のアイ5のうち、第1腹部連通孔33及び第2腹部連通孔34を通じてボディ4の腹部12側に露出するアイ5は、フロントフック8が接続されるフロントフックアイ42として機能する。
さらに複数のアイ5のうち、後方連通孔32を通じてボディ4の後方側に露出するアイ5は、リアフック9が接続されるリアフックアイ43として機能する。
【0055】
図4に示すように、ワイヤー6の端部のうち前方に位置する第1端部6aは、前方中空室23内に収納され、図示しない係止部等に係止されている。ワイヤー6の端部のうち後方に位置する第2端部6bは、後方中空室24内に収納され、図示しない係止部等に係止されている。
このように、ワイヤー6は、第1端部6aを含むワイヤー前方部45が前方中空室23内に配置され、第2端部6bを含むワイヤー後方部46が後方中空室24内に配置され、且つワイヤー中間部47が第1ワイヤー溝35内及び第2ワイヤー溝36内に収納された状態で、第1ボディ2と第2ボディ3との間に挟み込まれている。
【0056】
ここで、後方中空室24内に配置されたワイヤー後方部46について詳細に説明する。
図4及び
図5に示すようにワイヤー後方部46は、第2ワイヤー溝36内から後方中空室24内を経由して後方連通孔32からボディ4の後方に突出した後、円形状に折り曲げられ、再び後方連通孔32を通じて後方中空室24内に入り込むように形成されている。
【0057】
このように構成されたワイヤー後方部46のうち、第2ワイヤー溝36内から後方中空室24内を経由して後方連通孔32からボディ4の後方に延びる部分を、第1ワイヤー素線部46aと称する。さらに、ボディ4の後方において円形状に形成された部分は、先に述べたリアフックアイ43として機能する。よって、リアフックアイ43は、第1ワイヤー素線部46aに連続して繋がるように形成されている。さらに、リアフックアイ43から連続して繋がるように形成され、後方連通孔32を通じて後方中空室24内に入り込んだ部分を、第2ワイヤー素線部46bと称する。
【0058】
後方中空室24内において、第1ワイヤー素線部46aと第2ワイヤー素線部46bとは、上下方向に間隔をあけて配置され、且つ前後方向L1に延びるように配置されている。なお、第2ワイヤー素線部46bの端部が、先に述べた第2端部6bに相当する。
【0059】
(緩衝部材)
図4及び
図5に示すように、緩衝部材7は、後方中空室24内に配置され、ワイヤー後方部46とボディ4との
間に位置するように設けられている。
図4~
図7に示すように、緩衝部材7は、第1ワイヤー素線部46a及び第2ワイヤー素線部46bを挟んで上下方向に向かい合うように配置された第1緩衝部50及び第2緩衝部51と、第1緩衝部50と第2緩衝部51とを上下方向に連結する連結部52と、を備えた縦断面視C形状に形成され、第1ボディ2及び第2ボディ3の両方に接するように後方中空室24内に配置されている。
【0060】
第1緩衝部50は、第1ワイヤー素線部46aの下方に配置されていると共に、後方中空室24の下面に沿って前後方向L1に延びるように形成されている。これにより、第1緩衝部50は、第1ワイヤー素線部46aの全長に亘って、後方中空室24の下面と第1ワイヤー素線部46aとの間に配置されている。従って、第1緩衝部50は、第1ワイヤー素線部46aが後方中空室24の下面に対して直接的に接触することを防止している。
【0061】
なお、第1緩衝部50は、後方中空室24の下面に対して接触或いは近接している。特に、後方連通孔32の下面は、第1緩衝部50に対して面する第1被接触面32aとされている。第1被接触面32aは、第1ボディ2及び第2ボディ3のそれぞれに形成されていると共に、第1接合面15及び第2接合面16を間にして左右方向L2に延びる平坦面状に形成されている。なお、第1被接触面32aは、後方中空室24の下面の一部を構成している。
【0062】
これに対して、第1緩衝部50のうち第1被接触面32aに対して対向する部分は、第1被接触面32aに対して接触する第1接触面50aとされている。図示の例では、第1接触面50aは、第1被接触面32aに対して上方から面接触している。
【0063】
第2緩衝部51は、第2ワイヤー素線部46bの上方に配置されていると共に、後方中空室24の上面に沿って前後方向L1に延びるように形成されている。これにより、第2緩衝部51は、第2ワイヤー素線部46bの全長に亘って、後方中空室24の上面と第2ワイヤー素線部46bとの間に配置されている。従って、第2緩衝部51は、第2ワイヤー素線部46bが後方中空室24の上面に対して直接的に接触することを防止している。
【0064】
なお、第2緩衝部51は、後方中空室24の上面に対して接触或いは近接している。特に、後方連通孔32の上面は、第2緩衝部51に対して面する第2被接触面32bとされている。第2被接触面32bは、第1ボディ2及び第2ボディ3のそれぞれに形成されていると共に、第1接合面15及び第2接合面16を間にして左右方向L2に延びる平坦面状に形成されている。なお、第2被接触面32bは、後方中空室24の上面の一部を構成している。
【0065】
これに対して、第2緩衝部51のうち第2被接触面32bに対して対向する部分は、第2被接触面32bに対して接触する第2接触面51aとされている。図示の例では、第2接触面51aは、第2被接触面32bに対して下方から面接触している。
【0066】
連結部52は、第1ワイヤー素線部46a及び第2ワイヤー素線部46bの右側(RH)に配置され、第1緩衝部50の右端部と第2緩衝部51の右端部とを上下方向に繋ぐ壁状に形成されている。連結部52は、前後方向L1に延びるように形成され、第1緩衝部50の右端部、及び第2緩衝部51の右端部同士を全長に亘って繋ぐように形成されている。
これにより、緩衝部材7の全体は、左側(LH)に開口した縦断面視C形状に形成されている。なお、連結部52は、第1ボディ2側に形成された後方中空室24の側面に対して接触或いは近接している。
【0067】
上述のように構成された緩衝部材7は、後方中空室24内に配置された状態でボディ4に対して固定されている。具体的には、緩衝部材7は、少なくとも第1接触面50aを第1被接触面32aに接触させ、且つ第2接触面51aを第2被接触面32bに接触させた状態で、接着や融着等によってボディ4に固定されている。
【0068】
なお、上述した緩衝部材7の材料としては、特に限定されるものではないが、ボディ4(第1ボディ2及び第2ボディ3)よりも軟質な材料が好ましく、例えば合成樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ゴム材料等が挙げられる。この際、耐食性、耐水性、耐摩耗性等を考慮して、緩衝部材7の材料を選択すれば良い。なお、合成樹脂製の緩衝部材7とする場合には、例えば合成樹脂材料にカーボン繊維等の強化繊維を含有させても構わない。
【0069】
上述のように構成された緩衝部材7が、ボディ4の後方中空室24内に配置されているので、ワイヤー後方部46は、緩衝部材7を介して第1ボディ2と第2ボディ3との間に挟み込まれている。
具体的には、
図5に示すように、ワイヤー後方部46は、左側(LH)に開口した開口部を通じて緩衝部材7の内側に押し込まれることで、リアフックアイ43をボディ4の後方に露出させた状態で、第1緩衝部50、第2緩衝部51及び連結部52によって囲まれた収容空間55内に配置されている。これにより、ワイヤー後方部46は、第1緩衝部50、第2緩衝部51及び連結部52によって囲まれた状態となり、緩衝部材7を介して第1ボディ2と第2ボディ3との間に挟み込まれている。
【0070】
特に、第1ワイヤー素線部46a及び第2ワイヤー素線部46bは、
図6及び
図7に示すように、第1緩衝部50及び第2緩衝部51との間に上下方向に挟まれた状態で配置されている。従って、第1ワイヤー素線部46aは、第1接合面15と第2接合面16との境界面に対して上方から直接的に押し当たることが第1緩衝部50によって防止されている。同様に、第2ワイヤー素線部46bは、第1接合面15と第2接合面16との境界面に対して下方から
直接的に押し当たることが、第2緩衝部51によって防止されている。
【0071】
なお、ワイヤー後方部46は、緩衝部材7の内側に緩衝部材7に対して相対移動可能に収容されている。これにより、ワイヤー後方部46は、緩衝部材7に対する遊び(自由度)が許容された状態で緩衝部材7の内側に組み合わされている。
【0072】
(ルアーの作用)
次に、上述のように構成されたルアー1を利用して釣りを行う場合について説明する。
この場合には、キャスティングを行って、
図1に示すように、ラインLと共にルアー1を水中(海中等)に投入する。投入後、ラインLを介してルアー1に動き(アクション)をつけることで、例えば水面や水中等においてルアー1を揺動させることができ、対象魚にアピールすることができる。これにより、ルアー1に対象魚を食いつかせることができ、フロントフック8及びリアフック9の少なくともいずれか一つに対象魚を針掛かりさせることができる。
【0073】
ここで、対象魚がリアフック9に掛かった場合には、対象魚からリアフックアイ43に対して大きな外力が伝わるので、ボディ4及び緩衝部材7に対してワイヤー6が相対的に移動する。このような場合であっても、
図5~
図7に示すように、リアフックアイ43を含むワイヤー後方部46は、緩衝部材7を介して第1ボディ2と第2ボディ3との間に挟まれているので、ワイヤー後方部46がボディ4に対して直接的に押し当たることを防止することができる。
従って、従来のようにワイヤー後方部46がボディ4に対して強く押し当たることで、ボディ4が第1接合面15及び第2接合面16から引き裂かれるように分断するといった不都合が発生することを抑制することができる。つまり、ワイヤー後方部46からボディ4に伝わる外力(対象魚からの外力)を緩衝部材7で緩和及び分散させることができる。
【0074】
従って、第1接合面15と第2接合面16との間に外力が集中して伝わることを抑制することができるので、第1ボディ2と第2ボディ3とが分離するようなボディ4の割れ等を生じさせ難くすることができる。従って、長期に亘って品質が安定したルアー1とすることができる。
【0075】
以上のことから、本実施形態のルアー1によれば、対象魚のあたりによって、リアフックアイ43を介してワイヤー後方部46に外力が伝わったとしても、緩衝部材7を利用してワイヤー後方部46からボディ4に伝わる外力を緩和及び分散させることができる。従って、第1ボディ2と第2ボディ3とが分離するようなボディ4の割れ等を抑制することができる。
【0076】
なお、緩衝部材7に対してワイヤー後方部46が相対的に移動可能とされ、リアフックアイ43を含むワイヤー6の自由度が確保されているので、リアフック9に食いついた対象魚の動きに対応してワイヤー後方部46を変位させることができる。従って、対象魚の掛かりが外れ難いルアー1とすることができる。
【0077】
特に本実施形態では、
図5~
図7に示すように、緩衝部材7の第1緩衝部50及び第2緩衝部51が、第1ワイヤー素線部46a及び第2ワイヤー素線部46bを挟んで上下方向に向かい合うように配置されている。従って、対象魚からの外力によって緩衝部材7に対してワイヤー後方部46が上下方向に動いたとしても、第1緩衝部50及び第2緩衝部51に対してワイヤー後方部46を接触させることができる。従って、第1緩衝部50及び第2緩衝部51を利用して、ワイヤー後方部46が、第1接合面15と第2接合面16との境界部分に対して直接的に押し当たることを防止することができる。
【0078】
しかも、ワイヤー後方部46は、第1緩衝部50、第2緩衝部51及び連結部52によって囲まれた収容空間55内に配置されているので、対象魚からの外力によって緩衝部材7に対してワイヤー後方部46が例えば左右方向L2に動いたとしても、ワイヤー後方部46がボディ4に対して直接的に押し当たり難くすることができる。
【0079】
さらに緩衝部材7は、第1被接触面32aに対して第1緩衝部50の第1接触面50aが接触し、第2被接触面32bに対して第2緩衝部51の第2接触面51aが接触した状態で後方連通孔32の内側に配置されている。そのため、ボディ4に対して緩衝部材7を例えば位置ずれ等させることなく適切に組み合わせることができ、ボディ4に対して緩衝部材7が回ってしまう等の不具合が生じ難い。
従って、緩衝部材7の姿勢を安定にした状態で、ボディ4とワイヤー6のワイヤー後方部46との間に位置するように緩衝部材7を配置させることができる。そのため、ワイヤー後方部46がボディ4に対して直接的に押し当たることを抑制するといった、緩衝部材7としての役割を適切に発揮させることができる。
【0080】
しかも緩衝部材7は、ボディ4(第1ボディ2及び第2ボディ3)に対して固定されているので、例えばボディ4に対して緩衝部材7が意図せずにスライド或いは回転等して、緩衝部材7の姿勢が変化することや、ボディ4から緩衝部材7が脱落するような不都合を防止することができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るルアーの第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態では、第1実施形態における中央中空室25内に、重心移動機構及び反射機構が内蔵されている。
【0082】
図8に示すように、本実施形態のルアー60は、ボディ4の内部に設けられた重心移動機構70及び反射機構80を備えている。重心移動機構70及び反射機構80は、中央中空室25内に設けられている。
具体的には、中央中空室25内には、第1リブ21と第2リブ22との間に位置すると共に上下方向に延びるように形成され、中央中空室25内を前後に区画する縦長の第1区画リブ61と、第1区画リブ61の上端部から後方に向かって延びると共に、中央中空室25内を上下に区画する横長の第2区画リブ62とが設けられている。
これにより、中央中空室25内は、ボディ4のヘッド部10側及び背部13側に位置する第1中央中空室63と、ボディ4のテール部11側及び腹部12側に位置する第2中央中空室64とに区画されている。重心移動機構70は第2中央中空室64内に配置され、反射機構80は第1中央中空室63内に配置されている。
【0083】
(重心移動機構)
重心移動機構70は、ボディ4に対して前後方向L1に相対移動可能とされた錘部71と、錘部71の移動に伴って弾性変形すると共に弾性復元変形によって錘部71を付勢するコイルばね(本発明に係る付勢部材)72と、錘部71の移動を案内する案内部材であるガイドロッド73と、を備えている。
【0084】
ガイドロッド73は、前後方向L1に沿って延びるように形成され、第1区画リブ61と第2リブ22との間に配置されている。ガイドロッド73は、例えば金属線から形成されている。金属線の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金等が挙げられる。なお、ガイドロッド73の外表面に、各種の表面処理を施して、錘部71との間の摩擦力軽減等を図っても構わない。
【0085】
錘部71は、例えば前後方向L1に長い円柱状に形成されていると共に、中心軸に沿ってガイドロッド73が挿通される挿通孔71aが形成されている。これにより、錘部71は、ガイドロッド73に沿って前後方向L1に移動可能に案内されている。
なお、錘部71の形状は円柱状に限定されるものではなく、例えば角柱状、球状等、適宜変更して構わない。また、錘部71の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば鉛、鉛合金、真鍮、タングステン、タングステン合金、鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。この際、錘部71の比重がボディ4の比重よりも大きくなるように、材質を選定することが好ましい。
【0086】
コイルばね72は、錘部71と第2リブ22との間に配置されるようにガイドロッド73に装着されている。そのため、通常時、錘部71はコイルばね72によって前方側(ボディ4のヘッド部10側)に位置している。なお、コイルばね72は、圧縮状態で配置されていても構わないし、自然長状態で配置されていても構わない。
【0087】
上述のように構成された重心移動機構70は、少なくともルアー60のキャスト時に、錘部71が後方側(ボディ4のテール部11側)に向けて慣性によって移動することで、ルアー60全体の重心を変化させる。この際、錘部71は、コイルばね72を弾性変形(圧縮変形)させながら移動する。
【0088】
(反射機構)
反射機構80は、第1中央中空室63内に配置され、ボディ4に対して可動に取り付けられた揺動部81を備えている。
揺動部81は、第1中央中空室63内に取り付けられたコイルばね82を介してボディ4に取り付けられている。揺動部81は、前後方向L1に沿って延びる板片状に形成されている。揺動部81の上端部は、前後方向L1に亘って膨らんだ膨出部とされている。膨出部の内側は、揺動部81を前後方向L1に貫通すると共に、コイルばね82が組み込まれた取付孔81aとされている。これにより、揺動部81は、コイルばね82によって吊り下げられた状態で第1中央中空室63内に配置されている。
【0089】
揺動部81の下端部には、錘83が内蔵されている。これにより、揺動部81は、錘83による慣性等によって大きく揺動することが可能とされている。なお、錘83は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0090】
揺動部81の外表面には、外部からの光を反射する反射膜(本発明に係る反射体)84が形成されている。反射膜84としては、光を反射することができれば良く、例えば光沢を有する金属反射膜、蛍光塗料からなる蛍光膜、プリズム効果を利用して光を反射するホログラムフィルム膜等が挙げられる。図示の例では、図面を見易くするために、反射膜84をドット状のハッチングで図示している。なお、着色や模様を施すことで反射膜84を形成しても構わない。
【0091】
さらに本実施形態では、ボディ4(第1ボディ2及び第2ボディ3)のうち、少なくとも反射膜84が形成された揺動部81を囲んでいる部分(主に背部13側)が、光(紫外線)を通過させる程度の透明性を有している。これにより、ボディ4を通じて反射膜84に光を入射させることが可能であると共に、反射膜84で反射された光をボディ4の外部に出射させることが可能とされている。
【0092】
(ルアーの作用)
上述のように構成された本実施形態のルアー60であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができると共に、以下の作用効果をさらに奏功することができる。
【0093】
すなわち、ルアー60のキャストによってボディ4を飛行させると、ラインLに接続されているヘッド部10とは反対のテール部11を先頭にして飛行する。そのため、
図9に示すように、重心移動機構70の錘部71が慣性によって、コイルばね72を弾性変形させながらテール部11側に移動する。従って、飛行の初期段階では、ルアー60全体の重心を、錘部71の移動によってヘッド部10側からテール部11側に移動(シフト)させることができる。これにより、ルアー60の姿勢を安定させた状態で、テール部11側を先頭としてルアー60を勢いよく飛行させることができ、飛距離を稼ぐことができる。
しかも、キャスト時に、錘部71の移動によってルアー60に対して遠心力を効率良く付与することができる。これによっても、ルアー60の飛距離を稼ぐことができる。
【0094】
さらに飛行の後半段階においては、空気抵抗等によってルアー60の速度が低下すると共に、負の加速度が作用する。そのため、コイルばね72による弾性復元力を利用して錘部71をヘッド部10側に移動させて、
図8に示すように元の位置に復元移動させることができる。これにより、ルアー60全体の重心位置をヘッド部10側に移動させることができ、飛行中のルアー60の姿勢として、テール部11側が下方に下がり難い姿勢に維持することができる。従って、飛行の後半段階においてもルアー60の飛距離を稼ぐことができる。
【0095】
このように、キャスト時に、ボディ4に作用する加速度、速度等に応じて錘部71を適宜移動させることができるので、ルアー60全体の重心位置を適宜変化させることができる。従って、飛行状況に応じてボディ4の飛行姿勢を最適な姿勢に維持することが可能となり、飛距離を伸ばすことができる。
従って、軽い力でのキャスティングであっても、ルアー60を遠くまで効率良く飛ばすことができ、使い易いルアー60とすることができる。
【0096】
なお、ルアー60の着水時、着水の衝撃によって、錘部71は瞬間的にテール部11側に移動して、コイルばね72を弾性変形させる。しかしながら、コイルばね72の弾性復元力を利用して、着水後に錘部71をヘッド部10側に速やかに戻すことが可能である。これにより、ルアー60の姿勢を速やかに安定させることができ、ラインLを通じて直ちにルアー60にアクションをつけることができる。そのため、対象魚に対するルアー60のアピールを効果的に行うことができ、着水後のヒット率を高めることができる。
【0097】
さらに、本実施形態のルアー60は、反射機構80を備えているので、対象魚へのさらなるアピールを行うことができる。
すなわち、ラインLを通じたアクション等によって揺動部81を例えば振動するように揺動させることができるので、反射体で反射した光(反射光)の状態を変化させることができる。従って、光の見え方を変化させることができ、あたかもルアー60が輝いているかのようにルアー60を視認させることができる。これにより、対象魚に対してルアー60を効果的にアピールすることができ、ルアー60に対象魚が掛かるヒット率を高めることができる。
【0098】
特に、コイルばね82を介して揺動部81を吊り下げるように取り付けているので、例えばラインLを通じたアクションが停止した場合や、水或いは潮の動きが停止した場合であっても、揺動部81を直ちに停止させるのではなく、可動(振動)させた状態を維持することができる。従って、対象魚に対するアピールを継続して行うことができ、ヒット率を高めることができる。
【0099】
(第2実施形態の変形例)
なお、上記第2実施形態では、コイルばね82を利用して揺動部81を吊り下げるように取り付けた構成としたが、この場合に限定されるものではなく、例えばピン、リング、吊り棒等を利用して揺動部81をボディ4に対して可動可能に取り付けても構わない。
【0100】
さらに、上記第2実施形態において、ボディ4の内部を例えば真空に設定する等して、大気圧よりも負圧となるように構成しても構わない。この場合には、ボディ4の内部の負圧化によって揺動部81が空気抵抗を受け難くなるので、揺動部81を例えば効率良く振動させることができると共に、長時間振動させ易い。これにより、対象魚に対するアピールをさらに効果的に行うことができる。
【0101】
さらに上記第2実施形態では、ボディ4の内部に重心移動機構70及び反射機構80の両方を組み込んだ場合を例に挙げて説明したが、両方具備する必要はなく、いずれか一方の機構だけを組み込んだ構成としても構わない。
【0102】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0103】
例えば、上記各実施形態では、ペンシルベイト型のルアーを例に挙げて説明したが、例えばボディの顎部にリップ部を有する、いわゆるミノープラグ系のルアーとしても構わない。さらには、ボディの背部に背鰭等を付加しても構わない。
【0104】
さらに上記各実施形態では、緩衝部材をボディのテール部側に設けた構成を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばヘッド部側や腹部側に設けても構わない。この場合には、例えばラインアイやフロントフックアイに対して大きな外力が加わった場合であっても、緩衝部材を利用してワイヤーがボディに対して直接的に押し当たることを抑制することができ、ワイヤーからボディに伝わる外力を緩和及び分散させることができる。
【0105】
さらに上記各実施形態では、ワイヤーをボディのヘッド部から腹部を経由してテール部に亘って連続的に配置した状態で、第1ボディと第2ボディとの間で挟み込んだ構成を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、ボディのヘッド部、腹部、テール部のそれぞれに対してアイを有するワイヤーを個別に取り付けても構わない。
ただし、上記各実施形態のように、ボディのヘッド部から腹部を経由してテール部に亘って連続的に配置されるようにワイヤーを構成することで、第1ボディと第2ボディとでワイヤーを広範囲に亘って挟み込むことができ、ボディに対してワイヤーを強固に組み付けることができる。
【0106】
さらに上記各実施形態では、第1緩衝部、第2緩衝部及び連結部によって、断面C形状に緩衝部材を構成したが、この場合に限定されるものではない。例えば、第1緩衝部及び第2緩衝部を具備する緩衝部材であっても構わない。ただし、上記各実施形態のように、第1緩衝部、第2緩衝部及び連結部によって緩衝部材を構成した場合には、1パーツとして緩衝部材を取り扱うことができるので、例えばルアーの組み立て作業等を効率良く行える。
【符号の説明】
【0107】
1、60…ルアー
2…第1ボディ
3…第2ボディ
4…ボディ
5…アイ
6…ワイヤー
7…緩衝部材
10…頭部(ヘッド部)
11…尾部(テール部)
12…腹部
15…第1接合面
16…第2接合面
32…後方連通孔(外部連通孔)
32a…第1被接触面
32b…第2被接触面
50…第1緩衝部
50a…第1接触面
51…第2緩衝部
51a…第2接触面
52…連結部
55…収容空間
71…錘部
72…コイルばね(付勢部材)
82…コイルばね(弾性部材)
81…揺動部
84…反射膜(反射体)