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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】浴槽
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/16 20060101AFI20250327BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
A47K3/16
A47K3/00 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021108789
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006272
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】柏田 敬一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 公一
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-045601(JP,A)
【文献】特開2020-110445(JP,A)
【文献】実開昭52-008548(JP,U)
【文献】実開昭51-057844(JP,U)
【文献】特開平11-113769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/16
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い平面形状を有する浴槽本体と、
前記浴槽本体の下面に設けられる複数の脚部と、
前記浴槽本体の前記下面に設けられ、前記複数の脚部の間を長辺方向に沿って繋ぎ、前記浴槽本体の前記下面側に配置される線状部材を挿通可能な長辺側切り欠き部を有する長辺側リブと、
前記浴槽本体の前記下面に設けられ、前記複数の脚部の間を短辺方向に沿って繋ぎ、前記線状部材を挿通可能な短辺側切り欠き部を有する短辺側リブと、を備え、
前記長辺側切り欠き部は、前記長辺側リブの全長における前記脚部側の位置に片寄って設けられる、浴槽。
【請求項2】
前記長辺側リブ及び前記短辺側リブの内側に、前記浴槽本体の前記下面の短辺方向に沿って延びる内側リブをさらに備え、
前記内側リブの高さは、前記長辺側切り欠き部の部位における前記長辺側リブ及び前記短辺側切り欠き部の部位における前記短辺側リブの高さ以下である、請求項1に記載の浴槽。
【請求項3】
前記長辺側リブの前記長辺側切り欠き部の内側に設けられ、前記長辺側リブに沿って延びる補助リブをさらに備え、
前記補助リブの高さは、前記長辺側切り欠き部の部位における前記長辺側リブの高さ以下である、請求項1又は2に記載の浴槽。
【請求項4】
前記長辺側切り欠き部及び短辺側切り欠き部の縁部の角部は、テーパー形状、あるいはR形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の浴槽。
【請求項5】
前記浴槽本体の前記下面に設けられ、前記線状部材を前記下面から所定の高さに固定する固定部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の浴槽。
【請求項6】
前記浴槽本体の内底面に設けられるノズルから洗浄水を噴射させて前記浴槽本体の内面を洗浄する浴槽洗浄装置をさらに備え、
前記線状部材は、前記ノズルに前記洗浄水を供給するための配管である、請求項1~5のいずれか1項に記載の浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽本体の内底面に設けたノズルから洗浄水を噴射させ、浴槽本体の内面を自動洗浄する浴槽洗浄装置を備える浴槽が提案されている。浴槽洗浄装置は、浴槽下部空間に設置される装置本体で生成される洗浄水を、浴槽本体の下面側に配置される配管を通してノズルに供給する。
【0003】
浴槽下部空間における装置本体の位置は、浴槽本体の大きさ及び仕様等によって異なる場合がある。そのため、装置本体の設置位置によっては、配管が装置本体からノズルに至る途中で鋭角に屈曲し、配管に負担が掛かるおそれがある。
【0004】
従来、浴槽本体の下面側の配管の配置に関して、浴槽の脚部に、配管を通すための貫通部を設けた浴槽が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-110445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
浴槽の脚部は、最も大きな応力が掛かる部位であり、高い強度が要求される。そのため、脚部に配管を通すための貫通部を設けると、脚部の強度が低下して浴槽本体の支持機能に影響を与えるおそれがある。
【0007】
一般に、浴槽本体の下面には、脚部間を繋ぐように複数のリブが設けられる。リブは、脚部を介して連続し、浴槽本体を補強する。しかし、脚部に配管を通すための貫通部を設けると、貫通部によってリブが分断され、脚部を介したリブの連続性が途切れてしまう。そのため、浴槽本体の補強効果が減退する。脚部に貫通部を設けると、脚部の構造が複雑になり、脚部を浴槽設置面に固定するための固定構造も複雑になる。
【0008】
本開示は、線状部材に負担を掛けることがなく、脚部及び浴槽本体の強度を損なうこともなく、浴槽本体の下面側に線状部材を配置可能な浴槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の浴槽は、一方向に長い平面形状を有する浴槽本体と、前記浴槽本体の下面に設けられる複数の脚部と、前記浴槽本体の前記下面に設けられ、前記複数の脚部の間を長辺方向に沿って繋ぎ、前記浴槽本体の前記下面側に配置される線状部材を挿通可能な切り欠き部を有する長辺側リブと、前記浴槽本体の前記下面に設けられ、前記複数の脚部の間を短辺方向に沿って繋ぎ、前記線状部材を挿通可能な切り欠き部を有する短辺側リブと、を備える、浴槽である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】浴槽の平面図である。
図2】浴槽の正面図である。
図3】浴槽の側面図である。
図4】浴槽を下面側から見た斜視図である。
図5図2中のA部の拡大図である。
図6図3中のB部の拡大図である。
図7】線状部材の配置の一形態を示す模式図である。
図8】線状部材の配置の他の一形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、浴槽の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1図4に示すように、浴槽1は、浴槽本体2と、フランジ部3と、脚部4と、リブ5と、を有する。浴槽1は、いずれも図示しない防水パン、洗い場床、壁パネル及び天井パネルによって組み立てられた浴室ユニット内に設置される。
【0012】
浴槽本体2は、図1に示すように、一方向に長い平面形状を有する。浴槽本体2は、図1に示す平面視において、図中の上下方向よりも左右方向に長い略長方形状に形成される。各図中に示す方向において、X1-X2方向は、浴槽1及び浴槽本体2の長辺方向を示す。Y1-Y2方向は、浴槽1及び浴槽本体2の短辺方向を示す。本実施形態の浴槽1において、Y2方向が浴室ユニットの洗い場床側である。
【0013】
浴槽本体2の内底面2aには、排水口21と、複数の滑り止め凸部22と、洗浄水を噴射するためのノズル102と、が設けられる。ノズル102は、後述の浴槽洗浄装置100の構成部品の一つである。
【0014】
フランジ部3は、浴槽本体2の上端部から横方向に延出し、平面視で矩形状の浴槽1の外形を形成している。本実施形態の浴槽1では、このフランジ部3の下方且つ浴槽本体2の裏面側に、浴槽下部空間Sが形成される。
【0015】
脚部4は、浴槽本体2の下面2bの四隅近傍にそれぞれ配置される。本実施形態の脚部4は四角柱状に形成され、下面2bから下方に向けて所定の高さで突出している。
【0016】
リブ5は、浴槽本体2の下面2bから下方に向けて突出する板状部材である。リブ5は、浴槽本体2の下面2bにおいて長辺方向及び短辺方向に延び、浴槽本体2の下面2bを補強する。
【0017】
本実施形態のリブ5は、図1及び図4に示すように、長辺側リブ51,52と、短辺側リブ53,53と、内側リブ54と、補助リブ55と、によって構成される。リブ5のうちの長辺側リブ51,52及び短辺側リブ53,53は、浴槽本体2の下面2bの最も外周側に配置され、4つの脚部4に亘って下面2bを取り囲むように設けられる。長辺側リブ51,52及び短辺側リブ53,53の下面2bからの高さは、全てのリブ5のうちで最も大きい。
【0018】
長辺側リブ51,52は、4つの脚部4のうちの長辺方向に離隔して配置される2つの脚部4,4間を繋ぐように設けられる。長辺側リブ51は、浴槽1が浴室ユニットに設置された際に洗い場床側に配置される。長辺側リブ52は、洗い場床とは反対側に配置される。本実施形態の長辺側リブ51は、排水口21の近傍では、排水口21を避けるようにやや内側(長辺側リブ52側)にずれている。しかし、長辺側リブ51,52のいずれも、脚部4,4間に亘って、一定の高さで途切れることなく連続している。下面2bからの長辺側リブ51,52の高さは、下面2bからの脚部4の高さよりもやや低い。
【0019】
短辺側リブ53,53は、4つの脚部4のうちの短辺方向に離隔して配置される2つの脚部4,4間をそれぞれ繋ぐように設けられる。短辺側リブ53,53は、2つの脚部4,4間に亘って、長辺側リブ51,52と同じ一定の高さで途切れることなく連続している。
【0020】
内側リブ54は、長辺側リブ51と長辺側リブ52との間を、短辺方向に繋ぐように設けられる。内側リブ54は、長辺側リブ51,52間を繋ぐことによって、浴槽本体2の下面2bの補強効果を高める。本実施形態では、浴槽本体2の下面2bに、短辺側リブ53,53に対して略平行な4本の内側リブ54が設けられている。4本の内側リブ54は、浴槽本体2の下面2bの長辺方向に一定の間隔で離隔して配置される。下面2bからの内側リブ54の高さは、下面2bからの長辺側リブ51,52及び短辺側リブ53,53の高さよりも低い。
【0021】
補助リブ55は、長辺側リブ51よりも内側に、長辺側リブ51に近接して配置される。補助リブ55は、後述する長辺側切り欠き部6が設けられる部位の長辺側リブ51の補強機能を補助する。補助リブ55は、長辺側リブ51に接続される脚部4,4と、その脚部4,4の直近の内側リブ54,54との間を、長辺方向に沿って繋ぐように設けられる。下面2bからの補助リブ55の高さは、下面2bからの内側リブ54の高さと同一である。したがって、補助リブ55の高さは、長辺側リブ51の高さよりも低い。
【0022】
次に、浴槽1に装備される浴槽洗浄装置100について説明する。浴槽洗浄装置100は、装置本体101と、ノズル102と、配管103と、を有する。装置本体101は、浴槽下部空間Sに設置される。本実施形態の装置本体101は、浴槽本体2の短辺側の浴槽下部空間Sに配置されている。ノズル102は、浴槽本体2の内底面2aの略中央部に設けられる。配管103は、浴槽本体2の下面2b側を通って、装置本体101とノズル102とを連結する。装置本体101は、湯水と洗浄液とを混合して洗浄水を生成し、その洗浄水を、配管103を介してノズル102に供給する。ノズル102は、装置本体101から供給される洗浄水を浴槽本体2の内面に向けて噴射し、浴槽本体2の内面を洗浄する。
【0023】
本実施形態における配管103は、線状部材の一例である。本実施形態の配管103の一方端部は、装置本体101に対して洗い場床(図示せず)側から接続されている。配管103の他方端部は、長辺側リブ51側から浴槽本体2の下面2b側に導入され、下面2b側に突出するノズル102の配管接続部102aに接続されている。
【0024】
配管103は、浴槽本体2の下面2b側を通って装置本体101とノズル102とに亘って設けられるため、長辺側リブ51及び短辺側リブ53,53のいずれかと交差する。本実施形態の長辺側リブ51及び短辺側リブ53,53には、それぞれ配管103を挿通可能な切り欠き部が設けられる。
【0025】
図2及び図4に示すように、長辺側リブ51には、長辺方向に離隔する位置に、それぞれ長辺側切り欠き部6,6が設けられる。長辺側切り欠き部6は、長辺側リブ51の高さを部分的に低くすることによって形成される。図1図5では、長辺側リブ51の2つの長辺側切り欠き部6,6のうちの一方、具体的には、浴槽洗浄装置100の装置本体101に近い側の長辺側切り欠き部6に、配管103を挿通させた状態が示されている。
【0026】
長辺側切り欠き部6は、図4に示すように、長辺側リブ51において、脚部4と、脚部4の直近の内側リブ54と、の間に配置される部位に設けられる。詳しくは、長辺側切り欠き部6は、脚部4の直近の内側リブ54よりも脚部4に近接した位置に設けられる。2つの長辺側切り欠き部6,6は同一構成であり、浴槽本体2の長辺方向の中央に対して左右対称に設けられる。
【0027】
本実施形態の長辺側切り欠き部6は、脚部4に隣接して設けられている。詳しくは、図5に示すように、本実施形態の長辺側切り欠き部6の縁部61は、脚部4に向けて傾斜して設けられている。より詳しくは、縁部61の脚部4側の端部61aは、長辺側切り欠き部6の最深部から、設置面Fに接する脚部4の下端面41aにかけて傾斜して延びている。
【0028】
一般に、長辺側リブ51は、短辺側リブ53に比べて長いため、浴槽本体2からの荷重によって大きな負荷が掛かる部位である。そのため、長辺側リブ51に切り欠き部を設けることは、長辺側リブ51による浴槽本体2の補強効果の観点から本来好ましいことではない。しかし、長辺側リブ51は脚部4に近づく程強度が高くなるため、長辺側切り欠き部6が脚部4に近接した位置に設けられることによって、長辺側リブ51の強度低下を極力抑えつつ、長辺側リブ51に配管103を挿通可能な切り欠き部を設けることができる。
【0029】
図5に示すように、長辺側切り欠き部6の最大深さd1は、配管103の直径以上である。そのため、浴槽1は、脚部4を必要以上に高くすることなく、配管103を、長辺側切り欠き部6に挿通させて浴槽本体2の下面2b側に導入することができる。長辺側切り欠き部6の最大深さd1は、浴槽設置面Fから長辺側切り欠き部6の最深部までの距離である。
【0030】
図5に示すように、内側リブ54及び補助リブ55の高さは、長辺側切り欠き部6の部位における長辺側リブ51の高さd2以下である。そのため、浴槽本体2の下面2b側において、長辺側切り欠き部6を挿通する配管103が、内側リブ54及び補助リブ55と干渉することはない。長辺側切り欠き部6の部位における長辺側リブ51の高さd2は、切り残された長辺側リブ51の残部の高さである。
【0031】
図5に示すように、長辺側切り欠き部6は、長辺側リブ51を略台形状に切り欠いた形状を有する。長辺側切り欠き部6の縁部61の各角部61bは、長辺側リブ51の延び方向(図5における左右方向)に沿って、テーパー形状、あるいはR形状を有する。これによって、長辺側切り欠き部6の縁部61は、長辺側切り欠き部6に隣接する脚部4と長辺側リブ51とにかけて、滑らかに連続している。長辺側切り欠き部6は、部分的に応力が集中するような鋭角な角部を含まないため、これによっても、長辺側切り欠き部6を設けたことによる長辺側リブ51の強度低下を極力抑えることができる。
【0032】
図3及び図4に示すように、短辺側リブ53,53には、それぞれ短辺側切り欠き部7,7が設けられる。短辺側切り欠き部7は、短辺側リブ53の高さを部分的に低くすることによって形成される。短辺側切り欠き部7は、長辺側切り欠き部6と同様に、配管103を挿通可能である。2つの短辺側切り欠き部7,7は同一構成であり、浴槽本体2の長辺方向の中央に対して左右対称に設けられる。
【0033】
図6に示すように、短辺側切り欠き部7の最大深さd10は、配管103の直径以上である。そのため、浴槽1は、脚部4を必要以上に高くすることなく、配管103を、短辺側切り欠き部7に挿通させて浴槽本体2の下面2b側に導入することができる。短辺側切り欠き部7の最大深さd10は、浴槽設置面Fから短辺側切り欠き部7の最深部までの距離である。
【0034】
図6に示すように、内側リブ54の高さは、短辺側切り欠き部7の部位における短辺側リブ53の高さd20以下である。そのため、浴槽本体2の下面2b側において、短辺側切り欠き部7を挿通する配管103が、内側リブ54と干渉することはない。短辺側切り欠き部7の部位における短辺側リブ53の高さd20は、切り残された短辺側リブ53の残部の高さである。
【0035】
図6に示すように、短辺側切り欠き部7は、短辺側リブ53を略台形状に切り欠いた形状を有する。短辺側切り欠き部7の縁部71の各角部71aは、短辺側リブ53の延び方向(図6における左右方向)に沿って、テーパー形状、あるいはR形状を有する。これによって、短辺側切り欠き部7の縁部71は、短辺側切り欠き部7に隣接する脚部4と短辺側リブ53とにかけて、滑らかに連続している。短辺側切り欠き部7は、部分的に応力が集中するような鋭角な角部を含まないため、短辺側切り欠き部7を設けたことによる短辺側リブ53の強度低下を極力抑えることができる。
【0036】
短辺側リブ53の補強効果を補助するため、短辺側リブ53の内側に短辺側リブ53に近接して、補助リブ55と同様の補助リブ(図示せず)が、脚部4,4を繋ぐように短辺方向に沿って設けられてもよい。
【0037】
以上のように構成される本実施形態の浴槽1において、配管103は、次のようにして浴槽本体2の下面2b側に配置される。
【0038】
図4及び図7に示すように、本実施形態の浴槽洗浄装置100の装置本体101は、浴槽下部空間Sの短辺側に設置されている。装置本体101に接続される配管103は、装置本体101に近い長辺側リブ51の長辺側切り欠き部6を挿通して浴槽本体2の下面2b側に導入され、その下面2b側でノズル102の配管接続部102aと接続される。配管103は、装置本体101から一旦洗い場床(図示せず)側に向けて延びた後に、長辺側リブ51に沿って滑らかに湾曲しながら、長辺側切り欠き部6に挿通される。そのため、配管103は、鋭角に折り曲げられる部位を持たず、配管103に無理な負担が掛かることはない。
【0039】
これに対し、図7中に仮想線で示す配管103Aのように、装置本体101から装置本体101に近い短辺側切り欠き部7を挿通させる場合、配管103Aは、装置本体101の近傍の点Pで鋭角に折り曲げられる。そのため、配管103Aには無理な負担が掛かる。すなわち、本実施形態の浴槽1のように、浴槽洗浄装置100の装置本体101が短辺側に設置される場合、配管103を長辺側切り欠き部6に挿通させることによって、浴槽本体2の下面2b側に配管103を無理なく配置させることができる。
【0040】
図8に示すように、浴槽洗浄装置100の装置本体101が、浴槽下部空間Sの長辺側に設置される場合、図8中の仮想線で示す配管103Aのように、装置本体101に近い長辺側切り欠き部6に挿通させると、配管103Aは、装置本体101の近傍の点Pで鋭角に折り曲げられてしまう。この場合は、配管103を短辺側切り欠き部7に挿通させることによって、配管103に無理な負担を掛けることなく、滑らかに湾曲させながら配管接続部102aまで導くことが可能である。
【0041】
このように、この浴槽1によれば、浴槽本体2の下面2b側への配管103の導入の際に、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7のいずれかを選択することによって、配管103に無理な負担を掛けることなく、下面2b側に配管103を配置させることができる。脚部4に貫通穴等を設ける必要はなく、リブ5の強度が大きく低下することもないため、浴槽本体2の強度が損なわれるおそれはない。
【0042】
図1及び図4に示すように、浴槽本体2の下面2bには、配管103を固定する固定部8が設けられる。固定部8は、浴槽本体2の下面2b側に配置される配管103を把持あるいは挟持して固定し、配管接続部102aへ誘導する。固定部8は、配管103を下面2bに対して所定の高さに保持するスペーサとしても機能する。固定部8は、配管103を、内側リブ54と干渉しない程度の高さに保持する。これによって、配管103は、浴槽本体2の下面2b側において、内側リブ54と干渉することなく安定的に配置される。
【0043】
浴槽本体2の下面2bには、保温材(図示せず)が設けられてもよい。下面2b側の配管103は、固定部8によって所定の高さに保持されるため、下面2bと配管103との間にも保温材を挿入することが可能である。
【0044】
以上のように、本実施形態の浴槽1は、一方向に長い平面形状を有する浴槽本体2と、浴槽本体2の下面2bに設けられる複数の脚部4と、浴槽本体2の下面2bに設けられ、複数の脚部4の間を長辺方向に沿って繋ぐ長辺側リブ51,52と、浴槽本体2の下面2bに設けられ、複数の脚部4の間を短辺方向に沿って繋ぐ短辺側リブ53と、を備える。長辺側リブ51及び短辺側リブ53は、浴槽本体2の下面2b側に配置される線状部材である配管103を挿通可能な長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7をそれぞれ有する。これによれば、浴槽本体2の下面2b側への配管103の導入の際に、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7のいずれかを選択することによって、配管103に無理な負担を掛けることなく、下面2b側に配管103を配置させることができる。脚部4に貫通穴等を設ける必要がないため、脚部の強度低下のおそれはない。
【0045】
本実施形態の浴槽1は、長辺側リブ51,52及び短辺側リブ53の内側に、浴槽本体2の下面2bの短辺方向に沿って延びる内側リブ54をさらに備える。内側リブ54の高さは、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7の部位における長辺側リブ51及び短辺側リブ53の高さd1,d10以下である。これによれば、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7のいずれかを挿通する配管103を、内側リブ54と干渉することなく、浴槽本体2の下面2bに配置させることができる。
【0046】
本実施形態の浴槽1は、長辺側リブ51の長辺側切り欠き部6の内側に設けられ、長辺側リブ51に沿って延びる補助リブ55をさらに備える。補助リブ55の高さは、長辺側切り欠き部6の部位における長辺側リブ51の高さd1以下である。これによれば、長辺側切り欠き部6が設けられることによって補強効果の低下が懸念される長辺側リブ51の補強機能を補助することができる。補助リブ55の高さは、長辺側切り欠き部6の部位における長辺側リブ51の高さd1以下であるため、長辺側切り欠き部6を挿通する配管103を、補助リブ55と干渉することなく、浴槽本体2の下面2bに配置させることができる。
【0047】
本実施形態において、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7の縁部61,71の角部61b,71aは、テーパー形状、あるいはR形状を有する。これよれば、蝶へ側切り欠き部9及び短辺側切り欠き部7は、部分的に応力が集中するような鋭角な角部を含まないため、長辺側切り欠き部6及び短辺側切り欠き部7を設けたことによる長辺側リブ51及び短辺側リブ53の強度低下を極力抑えることができる。
【0048】
本実施形態の浴槽1は、浴槽本体2の下面2bに設けられ、配管103を下面2bから所定の高さに固定する固定部8をさらに備える。これによれば、配管103を、浴槽本体2の下面2b側において、内側リブ54等と干渉することなく安定的に配置させることができる。
【0049】
本実施形態の浴槽1は、浴槽本体2の内底面2aに設けられるノズル102から洗浄水を噴射させて浴槽本体2の内面を洗浄する浴槽洗浄装置100をさらに備える。配管103は、ノズル102に洗浄水を供給するための配管である。これによれば、浴槽1に浴槽洗浄機能を簡単に付加することができる。
【0050】
以上の実施形態では、浴槽本体2の下面2b側に配置される線状部材が、浴槽洗浄装置100の装置本体101とノズル102とを繋ぐ洗浄水供給用の配管103である場合について説明した。しかし、線状部材はこれに限定されない。線状部材は、ワイヤ、チューブ、ダクト、配線等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 浴槽、 2 浴槽本体、 2a 内底面、 2b 下面、 4 脚部、 6 長辺側切り欠き部、 7 短辺側切り欠き部、 8 固定部、 51,52 長辺側リブ、 53 短辺側リブ、 54 内側リブ、 55 補助リブ、 61,71 縁部、 61b,71a 角部、 102 ノズル、 100 浴槽洗浄装置、 103 配管(線状部材)
図1
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図8