IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海外高橋造船有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図1
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図2
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図3
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図4
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図5
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図6
  • 特許-二元燃料バルクキャリア 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】二元燃料バルクキャリア
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/38 20060101AFI20250327BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
B63H21/38 B
B63B11/04 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022524694
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2020136476
(87)【国際公開番号】W WO2021189986
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】202010230830.9
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521375139
【氏名又は名称】上海外高橋造船有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王怡
(72)【発明者】
【氏名】陳剛
(72)【発明者】
【氏名】王▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】李欣
(72)【発明者】
【氏名】羅小林
(72)【発明者】
【氏名】徐智言
(72)【発明者】
【氏名】周▲ジョン▼
(72)【発明者】
【氏名】郭世璽
(72)【発明者】
【氏名】巌先鋭
(72)【発明者】
【氏名】盧華
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0005919(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110356509(CN,A)
【文献】国際公開第2013/141245(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110550177(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109178204(CN,A)
【文献】国際公開第2019/146087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/38
B63B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二元燃料バルクキャリアの給気システムを含む二元燃料バルクキャリアであって、前記二元燃料バルクキャリアのメインデッキは貨物倉領域と、船尾領域とを含み、前記船尾領域は延在領域を含み、前記延在領域は船尾の両側に位置しかつ船体中央部から離れる方向に沿って延在し、前記船尾領域の前記貨物倉領域に近づく側に上層建物が設置され、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、
開いた前記船尾領域の上方に設置されかつ前記上層建物の左右両側に位置するLNG燃料タンクと、
前記メインデッキの下方に設置される機関室と、
開いた前記船尾領域の上方に設置されかつ2つの前記LNG燃料タンクの間に位置する燃料ガス処理室であって、そのうち、前記LNG燃料タンク内の燃料が前記燃料ガス処理室に輸送されて処理され、且つ前記機関室内のガス使用設備に輸送される燃料ガス処理室と、を含み、
前記上層建物は、前記LNG燃料タンクを収容するように、幅が船体中央部の方向へ収縮しており、
前記船尾領域の幅が船長方向に沿って一定的であり、全幅型テールデッキを形成することを特徴とする二元燃料バルクキャリア。
【請求項2】
前記LNG燃料タンクの設計圧力の範囲は4barg~7bargであることを特徴とする請求項1に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項3】
前記LNG燃料タンクの上方にエアドームがあり、前記エアドームの上方にメンテナンス作業プラットフォームが配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項4】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、LNG充填スタンドを含み、前記LNG充填スタンドは、前記貨物倉領域の左右舷の両側に配置されることを特徴とする請求項1~3の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項5】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは手動クレーンをさらに含み、前記手動クレーンの作業範囲は前記LNG充填スタンドをカバーすることを特徴とする請求項4に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項6】
前記LNG充填スタンドには、固定式乾燥粉末消火システムが配置されることを特徴とする請求項4または5に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項7】
前記LNG充填スタンドのコネクタの下方に液体収集トレーが設置されることを特徴とする請求項4~6の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項8】
前記LNG充填スタンド、前記LNG燃料タンクおよび前記燃料ガス処理室は低温LNG管を介して接続され、前記貨物倉領域または前記船尾領域に位置する低温LNG管の上方に鋼製の防護カバーが設置されることを特徴とする請求項4~7の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項9】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、LNG通気マストを含み、前記LNG通気マストは、前記メインデッキの左舷または右舷に配置されることを特徴とする請求項1~8の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項10】
前記機関室の第3のデッキの船尾に二元燃料発電機群および二元燃料発電機群用燃料ガスバルブ群が設置され、前記機関室の第2のデッキの船尾に二元燃料蒸気ボイラおよび二元燃料蒸気ボイラ用燃料ガスバルブ群が設置されることを特徴とする請求項1~9の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項11】
前記LNG燃料タンク内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、前記LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンクを通って二元燃料メインエンジンに通されることを特徴とする請求項1~10の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項12】
前記LNG燃料タンク内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、前記LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンクを通り、減圧バルブ群によって減圧された後、2つの流路に分岐され、1つは二元燃料発電機群に給気するために用いられ、もう1つは二元燃料蒸気ボイラに給気するために用いられることを特徴とする請求項1~11の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項13】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、前記燃料ガス処理室内に設置されるBOG圧縮機群をさらに含み、
好ましくは、前記LNG燃料タンク内の蒸発ガスは、前記BOG圧縮機群を通過した後、LNGメインエンジンバッファタンクに通され、且つ二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラにそれぞれ給気するために用いられ、
好ましくは、LNG燃料タンク内の蒸発ガスは、前記BOG圧縮機群を通過した後、LNGメインエンジンバッファタンクに通され、且つ二元燃料メインエンジン、二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラにそれぞれ給気するために用いられることを特徴とする請求項1~12の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項14】
前記BOG圧縮機群は2つのBOG圧縮機を含み、そのうち1つの前記BOG圧縮機は、予備のものとして用いられることを特徴とする請求項13に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項15】
前記機関室に二元燃料メインエンジンが設置され、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群は機関室または燃料処理室に設置されることを特徴とする請求項1~14に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項16】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは中低圧LNG燃料給気システムを含み、前記中低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は16bargを超えず、前記二元燃料メインエンジンはWinGD社の二元燃料メインエンジンX-DF機種を採用し、前記LNG燃料タンクはLNG輸送ポンプを含み、前記燃料ガス処理室はLNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOG圧縮機と、BOG圧縮機の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群と、水グリコールユニットとを含むことを特徴とする請求項15に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項17】
前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは高低圧LNG燃料給気システムを含み、前記高低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は300bargを超えず、前記二元燃料メインエンジンはマン社の二元燃料メインエンジンME-GI機種を採用し、前記燃料ガス処理室は高圧ポンプと、高圧LNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOG圧縮機と、前記BOG圧縮機の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群とを含むことを特徴とする請求項15に記載の二元燃料バルクキャリア。
【請求項18】
前記二元燃料バルクキャリアは安全システムおよび補助システムをさらに含み、そのうち、前記安全システムは、ガス検知システム、火災警報システム、緊急遮断システム、消火システム、換気システム、および通気排出システムのうちの一種または多種を含み、前記補助システムは、水グリコールシステム、窒素システムおよび計器用空気システムのうちの一種または多種を含み、
好ましくは、前記LNG燃料タンクから舷側までの距離および前記LNG燃料タンクから船底外板までの距離は、IGFコードにおける確率方法により算出され、
好ましくは、前記LNG燃料タンクは自立角型IMO CタイプLNG燃料タンクであることを特徴とする請求項1~17の少なくとも一項に記載の二元燃料バルクキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本願は、2020年03月27日付けの中国特許出願CN2020102308309の優先権を主張する。本願は、上記の中国特許出願の全体を引用する。
【0002】
「技術分野」
本発明は二元燃料バルクキャリアに関する。
【背景技術】
【0003】
二元燃料バルクキャリアは異なる航路に適用でき、二元燃料バルクキャリアの給気システムは一般的にはLNG燃料タンク、機関室および燃料ガス処理室を有し、LNG燃料タンクは、LNGを貯蔵するための圧力タンクであり、船にある二元燃料ガス使用設備にガス燃料を提供し、LNGは液体の状態でタンク内に貯蔵され、常圧でLNGが液体の場合の温度は約-163℃である。
【0004】
船でのLNG燃料タンクの配置は、まず、安全性を考慮すべきであり、船舶が衝突や座礁した後のLNG燃料タンクの損失確率が最小限になるように、IGFのLNG燃料貯蔵タンクに関する位置要件を満たし、LNG燃料タンクが舷側および船底外板から離れた距離が要件を満たすことを確保すべきであり、また、LNG燃料タンクによる船舶の安定性への影響、防火区画と危険領域の区分、およびLNG管路配置の利便性に合わせて総合的に考慮する。
【0005】
LNG燃料タンクの容積が大きく、LNG燃料給気システムが複雑でレイアウトが困難であり、また、従来技術におけるバルクキャリアについて、メインデッキ上の貨物倉領域に貨物倉ハッチカバーがあるため、LNG燃料タンクがメインデッキの貨物倉領域に配置できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術におけるLNG燃料タンクの容積が大きく、LNG燃料給気システムが複雑でレイアウトが困難であり、LNG燃料タンクをメインデッキ上に合理的に配置しにくいという欠点を解消するために、二元燃料バルクキャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の技術案により上記技術的問題を解決する。
【0008】
二元燃料バルクキャリアの給気システムを含む二元燃料バルクキャリアであって、前記二元燃料バルクキャリアのメインデッキは貨物倉領域と、延在領域を含む船尾領域とを含み、前記延在領域は船尾の両側にありかつ船体中央部から離れる方向に沿って延在し、前記船尾領域の前記貨物倉領域に近づく側に上層建物が設置され、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、
開いた前記船尾領域の上方に設置されかつ前記上層建物の左右両側に位置するLNG燃料タンクと、
前記メインデッキの下方に設置される機関室と、
開いた前記船尾領域の上方に設置されかつ2つの前記LNG燃料タンクの間に位置する燃料ガス処理室であって、前記LNG燃料タンク内の燃料が前記燃料ガス処理室に輸送されて処理され、また前記機関室内のガス使用設備に輸送される燃料ガス処理室と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本技術案では、メインデッキに延在領域を設置することで、LNG燃料タンクはメインデッキに配置でき、LNG燃料タンクは十分な自然換気を有するようになり、それにより、LNG燃料タンクの周囲に火災報知器、ガス検知器および換気を別途設置する必要がなくなり、LNG燃料タンクが船尾領域に配置され、貨物倉領域および機関室のスペースを占用しないため、船舶のメインスケールおよび船本体構造の完全性への影響が小さく、船舶の航行時に運転室にいる人員による操作視野範囲への要件を満たし、また、当該タンクに燃料タンクコネクションスペースを設置することなくIGFの仕様要件を満たすことができる。
【0010】
好ましくは、前記上層建物は、前記LNG燃料タンクを収容するように、幅が船体中央部の方向へ収縮する。
【0011】
本技術案では、上層建物の幅が船体中央部の方向へ収縮することで、上層建物の両辺に、LNG燃料タンクを配置するために、より多くの位置を事前に留保することができる。
【0012】
好ましくは、前記船尾領域の幅が船長方向に沿って一定的であり、全幅型テールデッキを形成する。
【0013】
本技術案では、船尾領域の幅を船長方向に沿って一定的に設置し、すなわち、船尾領域を矩形に設置することで、船尾領域の面積を広げ、また矩形状の船尾領域は構造が簡単で、加工しやすくなる。
【0014】
好ましくは、前記LNG燃料タンクの設計圧力の範囲は4barg~7bargである。
【0015】
好ましくは、前記LNG燃料タンクの上方にエアドームがあり、前記エアドームの上方にメンテナンス作業プラットフォームが配置される。
【0016】
本技術案では、当該メンテナンス作業プラットフォームは、LNG燃料タンク内に設置されるLNG輸送ポンプを吊り上げるためのクレーンを配置するために用いられる。
【0017】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、前記貨物倉領域の左右舷の両側に配置されるLNG充填スタンドを含む。
【0018】
本技術案では、前記LNG充填スタンドを貨物倉領域の左右舷の両側に設置することにより、バルクキャリアのLNG充填の柔軟性を高め、運転状況に応じて船舶は左右舷のいずれでも燃料の充填・補給が可能なことを満たすことができる。
【0019】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは手動クレーンをさらに含み、前記手動クレーンの作業範囲は前記LNG充填スタンドをカバーする。
【0020】
本技術案では、手動クレーンはLNG充填スタンドにおけるLNG充填ホースを吊り上げるために用いられる。
【0021】
好ましくは、前記LNG充填スタンドには、固定式乾燥粉末消火システムが配置される。
【0022】
好ましくは、前記LNG充填スタンドのコネクタの下方に液体収集トレーが設置される。
【0023】
本技術案では、充填中に極低温液体、極低温管路が船本体に接触するのを防ぐために、LNG充填スタンドのコネクタの下方および漏れが生じる可能性のあるあらゆる場所の下方に耐低温ステンレス鋼材で製造される液体収集トレーを設置すべきであり、それにより、燃料漏れが生じた場合に、周囲の船本体またはデッキ構造が許容できない冷却を受けることはない。
【0024】
好ましくは、前記LNG充填スタンド、前記LNG燃料タンクおよび前記燃料ガス処理室は低温LNG管を介して接続され、前記貨物倉領域または前記船尾領域に位置する低温LNG管の上方に鋼製の防護カバーが設置される。
【0025】
本技術案では、低温LNG管は低温液体を輸送するために用いられ、鋼製の防護カバーを設置することで、船舶に不測の衝突が発生した場合に低温LNG管が損傷するリスクを低減させることができる。
【0026】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは、前記メインデッキの左舷または右舷に配置されるLNG通気マストを含む。
【0027】
本技術案では、通気マストは、圧力システムからの可燃性ガスを安全で、人員および設備に危害が及ばないように大気に放出するために用いられる。
【0028】
好ましくは、前記機関室の第3のデッキの船尾に二元燃料発電機群および二元燃料発電機群用燃料ガスバルブ群が設置され、前記機関室の第2のデッキの船尾に二元燃料蒸気ボイラおよび二元燃料蒸気ボイラ用燃料ガスバルブ群が設置される。
【0029】
好ましくは、前記LNG燃料タンク内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、前記LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンクを通って二元燃料メインエンジンに通される。
【0030】
本技術案では、LNGメインエンジンバッファタンクはLNGが気化した後のガスに対して圧力安定化を行うために用いられる。
【0031】
好ましくは、前記LNG燃料タンク内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、前記LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンクを通り、減圧バルブ群によって減圧された後、2つの流路に分岐され、1つは二元燃料発電機群にガスを供給するために用いられ、もう1つは二元燃料蒸気ボイラにガスを供給するために用いられる。
【0032】
本技術案では、減圧バルブ群は、LNGを、二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラに供給するように、適当な圧力まで減圧するために用いられる。
【0033】
好ましくは、二元燃料バルクキャリアの給気システムは、燃料ガス処理室内に設置されるBOG圧縮機群をさらに含む。
【0034】
本技術案では、BOG圧縮機群は、BOGを圧縮してから送り出すために用いられる。LNGが常温で極めて容易に気化することにより、BOGが形成され、BOGを圧縮して燃料として使用することにより、LNG燃料タンクの保圧時間およびBOG処理の問題を解決できるだけでなく、さらにコストを節約し、汚染物質排出の問題を解決することができる。
【0035】
好ましくは、前記LNG燃料タンク内の蒸発ガスは、前記BOG圧縮機群を通過した後、LNGメインエンジンバッファタンクに通され、また二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラにそれぞれガスを供給するために用いられる。
【0036】
本技術案では、BOGを圧縮してから燃料として二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラに供給する。
【0037】
好ましくは、LNG燃料タンク内の蒸発ガスは、前記BOG圧縮機群を通過した後、LNGメインエンジンバッファタンクに通され、また二元燃料メインエンジン、二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラにそれぞれガスを供給するために用いられる。
【0038】
本技術案では、BOGを圧縮してから燃料として二元燃料メインエンジン、二元燃料発電機群および二元燃料蒸気ボイラに供給する。
【0039】
好ましくは、前記BOG圧縮機群は2つのBOG圧縮機を含み、そのうち1つの前記BOG圧縮機は、予備のものとして用いられる。
【0040】
本技術案では、LNG燃料貯蔵タンクの圧力が高すぎる場合、2台のBOG圧縮機を同時に起動して運転させることを選択することができ、それによりタンク内の圧力を迅速かつ効率的に下げることができる。
【0041】
好ましくは、前記機関室に二元燃料メインエンジンが設置され、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群は機関室または燃料処理室に設置される。
【0042】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは中低圧LNG燃料給気システムを含み、前記中低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は16bargを超えず、前記二元燃料メインエンジンはWinGD社の二元燃料メインエンジンX-DF機種を採用し、LNG燃料タンクはLNG輸送ポンプを含み、燃料ガス処理室はLNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOG圧縮機群と、BOG圧縮機群の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群と、水グリコールユニットとを含む。
【0043】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアの給気システムは高低圧LNG燃料給気システムを含み、前記高低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は300bargを超えず、前記二元燃料メインエンジンはマン社の二元燃料メインエンジンME-GI機種を採用し、燃料ガス処理室は高圧ポンプと、高圧LNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOG圧縮機群と、BOG圧縮機群の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群とを含む。
【0044】
好ましくは、前記二元燃料バルクキャリアは安全システムおよび補助システムをさらに含み、そのうち、前記安全システムは、ガス検知システム、火災警報システム、緊急遮断システム、消火システム、換気システム、および通気排出システムのうちの一種または多種を含み、前記補助システムは、水グリコールシステム、窒素システムおよび計器用空気システムのうちの一種または多種を含む。
【0045】
本技術案では、安全システムの設置は安全、避難などの需要を満たすことができ、補助システムの設置はLNG給気システムのプロセスフローをより合理的かつ円滑にすることができる。
【0046】
好ましくは、前記LNG燃料タンクから舷側まで距離および前記LNG燃料タンクから船底外板までの距離は、IGFコードにおける確率方法により算出される。
【0047】
好ましくは、前記LNG燃料タンクは自立角型IMO CタイプLNG燃料タンクである。
【0048】
本発明の各好ましい実施例は、当該分野における通常の知識に合う限り、上述した好ましい各条件を任意に組み合わせることによって得られる。
【発明の効果】
【0049】
本発明の積極的な進歩効果は以下のとおりであり、メインデッキに延在領域を設置することで、LNG燃料タンクはメインデッキに配置でき、LNG燃料タンクは十分な自然換気を有するようになり、それにより、LNG燃料タンクの周囲に火災報知器、ガス検知器および換気設備を別途設置する必要がなくなり、LNG燃料タンクが船尾領域に配置され、貨物倉領域および機関室のスペースを占用しないため、船舶のメインスケールおよび船本体構造の完全性への影響が小さく、船舶の航行時に運転室にいる人員による操作視野範囲への要件を満たし、また、当該タンクに燃料タンクコネクションスペースを設置することなくIGFの仕様要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の好ましい実施例に係る二元燃料バルクキャリアの正面構造を示す概略図である。
図2】本発明の好ましい実施例に係る二元燃料バルクキャリアの左側面構造を示す概略図である。
図3】本発明の好ましい実施例に係る二元燃料バルクキャリアの平面構造を示す概略図である。
図4】本発明の好ましい実施例に係る燃料処理室の構造概略図であり、ここで、二元燃料バルクキャリアの給気システムは中低圧LNG燃料給気システムを採用する。
図5】本発明の好ましい実施例に係る燃料処理室のもう1つの構造概略図であり、ここで、二元燃料バルクキャリアの給気システムはLNG高圧ポンプを有する高低圧LNG燃料給気システムを採用する。
図6】本発明の好ましい実施例に係る燃料処理室のもう1つの構造概略図であり、ここで、二元燃料バルクキャリアの給気システムはポンプ気化ユニットを有する高低圧LNG燃料給気システムを採用する。
図7】本発明の好ましい実施例に係る船尾領域と従来技術におけるメインデッキの船尾領域との比較概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
図1図7における符号の説明は以下のとおりであり、
1a、1b…LNG燃料タンク、2a、2b…エアドーム、3…燃料処理室、4…LNG通気マスト、5…二元燃料メインエンジン、6…二元燃料発電機群、7…二元燃料発電機群用燃料ガスバルブ群、8…二元燃料蒸気ボイラ、9…二元燃料蒸気ボイラ用燃料ガスバルブ群、10a、10b…手動クレーン、11a、11b…LNG充填スタンド、12…LNG燃料タンク防護鋼、13a、13b…高圧ポンプ、14a、14b…避難口、15…ポンプ気化ユニット、16…低圧気化器、17…BOGプレヒータ、18a、18b…BOG圧縮機群、19…メインエンジンバッファタンク、20…二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群、21…水グリコールユニット、22…高圧気化器、23…サーボ室、24…ポンプ気化ユニット油圧ポンプステーション、25…上層建物、26…メインデッキ、27…第2のデッキ、28…第3のデッキ、29…貨物倉領域、30…船尾領域、301…延在領域、31…支持構造、40…メインデッキの輪郭線、41…通常のメインデッキの輪郭線。
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
図1、2、3および7に示すように、本実施例は、二元燃料バルクキャリアの給気システムを含む二元燃料バルクキャリアであって、二元燃料バルクキャリアのメインデッキ26は貨物倉領域29と、延在領域301を含む船尾領域30とを含み、延在領域301は船尾の両側にありかつ船体中央部から離れる方向に沿って延在し、船尾領域30の貨物倉領域29に近づく側に上層建物25が設置され、二元燃料バルクキャリアの給気システムは、
開いた船尾領域30の上方に設置されかつ上層建物25の左右両側に位置するLNG燃料タンク1a、1bと、
メインデッキ26の下方に設置される機関室と、
開いた船尾領域30の上方に設置されかつ2つのLNG燃料タンク1a、1bの間に位置する燃料ガス処理室であって、LNG燃料タンク1a、1b内の燃料は燃料ガス処理室に輸送されて処理され、また機関室内のガス使用設備に輸送される燃料ガス処理室と、を含む二元燃料バルクキャリアを提供する。
【0055】
LNG燃料タンクは自立角型LNG燃料タンクであり、IMO Cタイプ貯蔵タンクを採用し、メインデッキ26上に船尾領域30が設置され、LNG燃料タンク1a、1bは開いたメインデッキの船尾領域30上に配置され、メインデッキ上の貨物油の積み下ろしステーション、関連する貨物油の配管システムおよびケーブル領域の配置を考慮し、また船舶の航行時に運転室の人員による操作視野範囲への要件に合わせると、当該タンクに気密性燃料タンクコネクションスペース(Tank Connection Space)を設置することなくIGF仕様要件を満たすことができ、LNG燃料タンク1a、1bは船尾領域30において十分な自然換気を有し、それによりLNG燃料タンク1a、1bの周囲に火災報知器、ガス検知器および換気を別途設置する必要がなくなり、LNG燃料タンク1a、1bは貨物倉領域29および機関室のスペースを占用しないため、船舶メインスケールおよび船本体構造の完全性への影響が小さく、貨物積載量を確保することを前提として、機関室内の主要な設備や船室の配置に影響を与えないとともに、船舶の航行時に運転室の人員による操作視野範囲への要件を満たす。
【0056】
なお、当該タンクに燃料タンクコネクションスペースを設置することで、危険領域の拡大を制限し、天気による影響を受けないように設備を保護し、燃料タンクおよび周囲の設備を保護しガス検知の時間を短縮させることができる。
【0057】
図3に示すように、2つのLNG燃料タンク1a、1bは船長方向に沿って上層建物25の左右両側に対称的に配置される。上層建物25は、LNG燃料タンク1a、1bを収容するように、幅が船体中央部の方向へ収縮して薄くて狭い上層建物を形成する。ここで、上層建物25の幅が船体中央部の方向へ収縮することで、上層建物25の両辺に、LNG燃料タンク1a、1bを配置するために、より多くの位置を事前に留保することができる。
【0058】
図7は従来技術における通常のメインデッキの輪郭線41および本実施形態におけるメインデッキの輪郭線40を示し、また図3を参照して理解できるように、船尾領域30の幅が船長方向に沿って一定的であり、全幅型テールデッキを形成する。ここで、船尾領域30の幅を船長方向に沿って一定的に設置し、すなわち、船尾領域30を矩形に設置することで、船尾領域30の面積を広げ、また矩形状の船尾領域30は構造が簡単で、加工しやすくなる。さらに、上層建物25における隣接するデッキの高さを調整し1層のデッキを追加することにより、上層建物25全体の高さをそれ相応に高め、それにより、上層建物25は従来のケープサイズのバルクキャリアと同じ貨物積載量および快適さを有する。
【0059】
図2に示すように、延在領域301を支持するために延在領域301の下方に支持構造31が設置され、具体的には、支持構造31は船本体鋼構造であってもよい。
【0060】
具体的には、LNG燃料タンクの設計圧力の範囲は4barg~7bargである。LNGは液体の状態でタンク内に貯蔵され、常圧でLNGが液体の場合の温度は約-163℃である。船にあるガス使用設備に必要な燃料ガス供給圧力、IGF仕樣で定められるLNG燃料タンク圧力の維持時間および燃料貯蔵タンクの製造コストを考慮して、前記LNG燃料タンクの設計圧力は一般的には4barg~7bargにする。前記LNG燃料貯蔵タンクの圧力リリーフバルブの最大許容設定値(MARVs)は、燃料タンクの設計圧力と一致する。
【0061】
図1に示すように、LNG燃料タンク1a、1bの上方にエアドーム2a、2bがあり、エアドーム2a、2bの上方にメンテナンス作業プラットフォームが配置される。ただし、当該メンテナンス作業プラットフォームは、LNG燃料タンク1a、1b内に設置されるLNG輸送ポンプを吊り上げるためのクレーンを配置するために用いられる。
【0062】
図2に示すように、LNG燃料タンク1a、1bの上方にLNG燃料タンク防護鋼12が設置される。ここで、船舶のモノレールクレーンは、動作中にLNG燃料タンク1a、1bの上方を通り、LNG燃料タンク保護鋼12は、モノレールクレーンが部品を吊り上げる期間における不測の事態の発生によるLNG燃料タンク1a、1bの損傷を回避することができる。
【0063】
図1および図3に示すように、二元燃料バルクキャリアの給気システムは、貨物倉領域29の左右舷の両側に配置されるLNG充填スタンド11a、11bを含む。ここで、LNG充填スタンド11a、11bを貨物倉領域29の左右舷の両側に設置することにより、バルクキャリアのLNG充填の柔軟性を高め、運転状況に応じて船舶は左右舷のいずれでも燃料の充填・補給が可能なことを満たすことができる。二元燃料バルクキャリアの給気システムは手動クレーン10a、10bをさらに含み、手動クレーン10a、10bの作業範囲はLNG充填スタンド11a、11bをカバーする。ここで、手動クレーン10a、10bはLNG充填スタンド11a、11bにおけるLNG充填ホースを吊り上げるために用いられる。LNG充填スタンド11a、11bには、固定式乾燥粉末消火システムが配置される。LNG充填スタンド11a、11bの頂部と左右両側には、船舶の積み降ろし時に不測の事態が発生してLNG充填スタンド11a、11bや充填配管が損傷するリスクを低減するために、防護用の鋼板が設置される。LNG充填スタンド11a、11bのコネクタの下方に液体収集トレーが設置される。充填中に極低温液体、極低温管路が船本体に接触するのを防ぐために、LNG充填コネクタおよび漏れが生じる可能性のあるあらゆる場所の下方に耐低温ステンレス鋼材で製造される液体収集トレーを設置すべきであり、それにより、燃料漏れが生じた場合に、周囲の船本体またはデッキ構造が許容できない冷却を受けることはない。LNG充填スタンド11a、11b、LNG燃料タンク1a、1bおよび燃料ガス処理室は低温LNG管を介して接続され、貨物倉領域29または船尾領域30の低温LNG管の上方に鋼製の防護カバーが設置される。ここで、低温LNG管は低温液体を輸送するために用いられ、鋼製の防護カバーを設置することで、船舶が不測の衝突を発生した場合に低温LNG管が損傷するリスクを低減させることができる。LNG燃料が漏れて船本体構造に接触することによって生じた低温凍傷を回避するために、LNG充填スタンド11a、11bは、任意のオーバーフロー燃料を安全に保護するために、水散布システムを配置する必要がある。
【0064】
図1に示すように、二元燃料バルクキャリアの給気システムは、メインデッキ26の左舷または右舷に配置されるLNG通気マスト4を含む。ここで、通気マストは、圧力システムからの可燃性ガスを安全で、人員および設備に危害が及ばないように大気に放出するために用いられる。居住区と送風機の新風口から遠ざかるように、LNG通気マスト4の出口と、上層建物25の開口、ガス安全箇所の空気出入口、機械設備の排気ガス出口との間の距離は10mより大きい。具体的には、LNG燃料貯蔵タンクおよびLNG管路の内部の過圧を回避し、燃料タンクおよび関連する管路の安全性を確保するために、二元燃料バルクキャリアには、LNG燃料タンク1a、1bの圧力リリーフおよび天然ガスの緊急排出のための通気システムが設置され、通気システムはLNG通気マスト4に接続される。
【0065】
図1に示すように、機関室の第3のデッキ28の船尾に二元燃料発電機群6および二元燃料発電機群用燃料ガスバルブ群7が設置され、機関室の第2のデッキ27の船尾に二元燃料蒸気ボイラ8および二元燃料蒸気ボイラ用燃料ガスバルブ群9が設置される。機関室に二元燃料メインエンジン5が設置され、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群20は機関室または燃料処理室3に設置される。
【0066】
本実施形態では、LNG燃料タンク1a、1b内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンク19を通過して二元燃料メインエンジン5に通される。ここで、LNGメインエンジンバッファタンク19はLNGが気化した後のガスに対して圧力安定化を行うために用いられる。具体的には、LNG輸送ポンプは、潜液式LNG輸送ポンプである。
【0067】
本実施形態では、LNG燃料タンク1a、1b内にLNG輸送ポンプが設置され、燃料は、LNG輸送ポンプを介してLNG気化器に輸送され、LNGメインエンジンバッファタンク19を通り、減圧バルブ群によって減圧された後、2つの流路に分岐され、1つは二元燃料発電機群6にガスを供給するために用いられ、もう1つは二元燃料蒸気ボイラ8にガスを供給するために用いられる。ここで、減圧バルブ群は、LNGを、二元燃料発電機群6および二元燃料蒸気ボイラ8に供給するように、適当な圧力まで減圧するために用いられる。
【0068】
代替可能な実施形態では、二元燃料発電機群6および二元燃料蒸気ボイラ8に供給する通路について、減圧バルブ群の後ろに補助エンジンバッファタンクを設置することができ、燃料は補助エンジンバッファタンクにより圧力が安定化された後、二元燃料発電機群6および二元燃料蒸気ボイラ8にそれぞれ通される。
【0069】
図4に示すように、二元燃料バルクキャリアの給気システムは、燃料ガス処理室内に設置されるBOG圧縮機群18a、18bをさらに含む。ここで、BOG圧縮機群18a、18bは蒸発ガス(BOG)を圧縮して送り出すために用いられ、LNGは常温で極めて容易に気化することでBOGを形成し、BOGを圧縮して燃料として使用することにより、LNG燃料タンク1a、1bの保圧時間およびBOG処理の問題を解決できるだけでなく、さらにコストを節約し、汚染物質排出の問題を解決することができる。
【0070】
本実施形態では、LNG燃料タンク1a、1b内の蒸発ガスはBOG圧縮機群18a、18bを通過した後、LNGメインエンジンバッファタンク19に通され、また二元燃料発電機群6および二元燃料蒸気ボイラ8にそれぞれガスを供給するために用いられ、ここで、BOG圧縮機群18a、18bは16bargレベルのガス圧縮機を採用する。BOG圧縮機群18a、18bは2つのBOG圧縮機を含み、そのうち1つのBOG圧縮機は、予備のものとして用いられる。LNG燃料貯蔵タンクの圧力が高すぎる場合、2台のBOG圧縮機を同時に起動して運転させることを選択することができ、それによりタンク内の圧力を迅速かつ効率的に下げることができる。
【0071】
他の代替可能な実施形態では、LNG燃料タンク1a、1b内の蒸発ガスはBOG圧縮機群18a、18bを通過した後、LNGメインエンジンバッファタンク19に通され、また二元燃料メインエンジン5、二元燃料発電機群6および二元燃料蒸気ボイラ8にそれぞれガスを供給するために用いられ、ここで、BOG圧縮機群18a、18bは8bargレベルのガス圧縮機を採用する。
【0072】
さらに、二元燃料バルクキャリアの給気システムはBOGプレヒータ17をさらに含むことができ、LNG燃料タンク1a、1b内の蒸発ガスは、まず、BOGプレヒータ17を通過してからBOG圧縮機群18a、18bに入る。LNG燃料貯蔵タンク内のBOGは自発的にタンクの頂部の蒸発ガス管路を通過して送り出されるため、この時BOGの温度および圧力はいずれも低く、ガス使用条件を満たすことができず、BOGプレヒータ17は蒸発ガスを適当な温度まで加熱してから、常温BOG圧縮機に通すために用いられる。
【0073】
本実施形態では、二元燃料バルクキャリアの給気システムは中低圧LNG燃料給気システムを採用し、中低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は16bargを超えず、二元燃料メインエンジンはWinGD社の二元燃料メインエンジンX-DF機種を採用し、LNG燃料タンク1a、1bはLNG輸送ポンプを含み、燃料ガス処理室はLNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOGプレヒータ17と、BOG圧縮機群18a、18bと、BOG圧縮機群の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群20と、水グリコールユニット21とを含む。燃料ガス処理室に2つの避難口14a、14bが設置されるため、部屋内にエアシャッタを設置する必要がない。
【0074】
他の代替可能な実施形態では、二元燃料バルクキャリアの給気システムは高低圧LNG燃料給気システムを採用することができ、図5に示すように、高低圧LNG燃料給気システムの燃料ガス供給圧力は300bargを超えず、二元燃料メインエンジンはマン社の二元燃料メインエンジンME-GI機種を採用し、高低圧LNG燃料給気システムは高圧ポンプ13a、13bを有し、燃料ガス処理室は高圧ポンプ13a、13bと、高圧LNG気化器と、低圧LNG気化器と、BOGプレヒータ17、BOG圧縮機群18a、18bと、BOG圧縮機群の出入口熱交換器と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群20とを含む。
【0075】
他の代替可能な実施形態では、高低圧LNG燃料給気システムは、高圧ポンプ13a、13bの代わりにポンプ気化ユニット15(PVU)を採用することができ、図6に示すように、燃料ガス処理室はポンプ気化ユニット15と、低圧気化器16と、BOGプレヒータ17と、BOG圧縮機群18a、18bと、メインエンジンバッファタンク19と、二元燃料メインエンジン用燃料ガスバルブ群20とを含む。ポンプ気化ユニット油圧ポンプステーション24は距離燃料ガス処理室に近いサーボ室23内に配置される。水グリコールユニット21は機関室の第2のデッキ27の舳先に配置される。ここで、ポンプ気化ユニット15の体積が小さく、設備の占有面積とシステム重量を大幅に低減させ、配置の難易度を低下させる。ポンプ気化ユニット15の応答速度が速く、高圧二元燃料エンジンの流量および圧力に対する要件をよりよく満たすことができる。
【0076】
本実施形態では、二元燃料バルクキャリアは安全システムおよび補助システムをさらに含み、そのうち、安全システムは、ガス検知システム、火災警報システム、緊急遮断システム、消火システム、換気システム、および通気排出システムのうちの一種または多種を含み、補助システムは、水グリコールシステム、窒素システムおよび計器用空気システムのうちの一種または多種を含む。ここで、安全システムの設置は安全、避難などの需要を満たすことができ、補助システムの設置はLNG給気システムのプロセスフローをより合理的かつ円滑にすることができる。
【0077】
LNG燃料タンクから舷側および船底外板までの距離が要件に合致することを確保し、船舶が衝突や座礁の発生した後にLNG燃料貯蔵タンクの損失確率を最小限にするように、LNG燃料タンクから舷側まで距離およびLNG燃料タンクから船底外板までの距離は、IGFコードにおける確率方法により算出される。また、LNG燃料貯蔵タンクによる船舶の安定性への影響、防火区画と危険領域の区分、およびLNG管路配置の利便性に合わせて総合的に考慮する。
【0078】
他の代替可能な実施形態では、LNG燃料タンクから舷側および船底外板までの距離要件に合致することを確保し、船舶が衝突や座礁の発生した後にLNG燃料貯蔵タンクの損失確率を最小限にするように保護するために、LNG燃料の位置は物理的保護のための隔離要求(決定法)を用いて得ることもできる。
【0079】
具体的には、二元燃料バルクキャリアの積載重量は8万トン~30万トンであり、LNG燃料タンクの材料は9ニッケル鋼または304ステンレス鋼耐低温材料であり、低温状態でLNGを貯蔵することを満たすために好ましくは9ニッケル鋼とする。また、LNG燃料タンクの表面に一層の絶縁材料が設置され、絶縁材料はポリウレタンフォームまたはポリスチレンフォーム、好ましくはポリウレタンフォームを採用し、それにより外部熱量の過剰な搬入のために倉内のLNG液体の継続的な蒸発を引き起こすことをを阻害する。
【0080】
本発明を応用して、LNGと燃料油を動力とする二元燃料バルクキャリアの技術案を形成することで、最新のNOx Tier IIIとSOx 2020の環境保護要求を直接満たすことができ、2025年EEDIの第3の段階の要求を達成することができ、省エネ・環境保護と経済性の面で国際の先進的な水準に達し、LNG燃料給気システムは、中低圧給気システムまたは高低圧給気システムを選択することができ、ガス使用設備のニーズに応じて、二元燃料エンジンと二元燃料蒸気ボイラに異なる圧力と温度の燃料ガスを提供し、バルクキャリアは、8万トン以上30万トンまでの中長航程のバルクキャリアを主にカバーする。
【0081】
21万トンのニューカルス型二元燃料バルクキャリアを応用例とし、船舶の運営航行距離に基づき、船に2つの容量が同じのIMO CタイプLNG燃料貯蔵タンクが設置され、各LNG燃料タンクの容積は約3000m3~3500m3であり、LNGを船舶の全行程航行時の動力燃料とすることを満たすことができ、途中にLNGを充填する必要がない。
【0082】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、当業者であれば、これは単なる例示であり、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定されることを理解すべきであろう。当業者であれば、本発明の原理および趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変更または修正を加えることができ、それらはいずれも本発明の保護範囲に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7